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課題

塩分を含む試料溶液を、質量分析装置気化ノズルを毀損しない程度の塩分濃度に短時間で脱塩することができる、イオン交換膜電気透析装置を提供すること。

解決手段

容器、容器の内部に順次配置された陽極アニオン交換膜カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室、脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有し、陽極と陰極の間の電流は、所定の一定値に維持された電流であり、試料溶液は脱塩室を1回のみ通過する、イオン交換膜電気透析装置。

概要

背景

質量分析法は、気化された試料高真空下、適当な方法でイオン化し、そのイオン電磁気的に分離して検出を行う分析方法である。質量分析法では、濃度約1mmol/lの溶液数μlという少量の試料があれば、その分子量等を測定することができる。

質量分析計試料導入部において試料を気化する必要があり、一般に、試料溶液ヒーターで暖められたのち、内径数十ミクロンステンレス製フューズシリカ製キャピラリーから微細な霧となって噴霧されることで気化される。

試料溶液がゴミ、塩分等の不揮発成分を含む場合、これらは気化し難く、キャピラリーの気化ノズル汚染目詰まり等により毀損し、質量分析計が故障する原因になる。かかる問題を防止する目的で、質量分析法では、質量分析計への試料導入前の精製、脱塩が欠かせない工程になっている。そのため、試料溶液の脱塩、濃縮等の質量分析の前処理を行う装置が各種開発されている。

また、質量分析計を高速液体クロマトグラフィーHPLC)、ガスクロマトグラフィーGC)、キャピラリー電気泳動(CE)に連結し、成分の分離を行うことで、結果的に試料溶液の前処理が行われることもある。

質量分析計は高感度であり、少量の成分を測定することができる。また、質量分析計によれば、試料が混合物である場合に、各成分の分子量に対応するピークが生成されるため、ピーク形状から、各成分の含有量を同時に測定することができる。そのため、短時間の間隔(即ち、例えば、数秒以内又は約1分以内)で量が変化する少量成分の含有量の経時変化を追跡する目的に、質量分析法を活用することが要望される。

しかしながら、試料の前処理を行う際に、質量分析計から独立した前処理装置を使用する場合は、試料の実時間における量の変化を測定することができない。また、前処理装置を質量分析計に連結した場合でも、従来の質量分析の前処理は、最低でも約5分以上の処理時間を要し、又は試料成分分別されてしまうため、実質的に、試料採取時と分析結果を対応させることができない。

従来から、質量分析法は試料溶液の前処理を必要とし、時間的な分解能に劣る問題がある。そのため、例えば、少量成分の含有量の経時変化を追跡しようとする場合に、質量分析法を使用して測定することは困難であった。

特許文献1には、試料水溶液中のアルカリ金属アルカリ土類金属及び塩化物イオンを除去する脱塩部である前処理手段を備えた微生物生成物分析装置が記載されている。特許文献1の前処理手段は海水中のイオン、例えば、Na+及びCl−を選択的に除去することを目的とする。しかしながら、特許文献1の脱塩部の構造は通常のイオン交換膜電気透析装置と同様であり、少量の試料溶液をライン内にて連続的に脱塩する機能は奏しないものである。

特許文献2には、電気泳動分離によって少量の化合物を処理する装置が記載されている。特許文献2の装置は、内部空間が分離障壁によって陽極バッファーゾーン空隙容量部分及び陰極バッファーゾーンに仕切られた構造を有する。しかしながら、上記分離障壁は、所定範囲分子量カットオフを有するイオン透過性電気泳動分離膜である。そのため、試料溶液に含まれているイオン性物質の中から塩分を選択的に除去する機能は奏しないものである。また、試料液は空隙容量部にとどまった状態で電気泳動され、処理後に排出される構造となっているため、連続的な処理は出来ない。

概要

塩分を含む試料溶液を、質量分析装置の気化ノズルを毀損しない程度の塩分濃度に短時間で脱塩することができる、イオン交換膜電気透析装置を提供すること。容器、容器の内部に順次配置された陽極アニオン交換膜カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室、脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室に仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有し、陽極と陰極の間の電流は、所定の一定値に維持された電流であり、試料溶液は脱塩室を1回のみ通過する、イオン交換膜電気透析装置。

目的

特許文献1の前処理手段は海水中のイオン、例えば、Na+及びCl−を選択的に除去することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

容器、容器の内部に順次配置された陽極アニオン交換膜カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有し、陽極と陰極の間の電流は、所定の一定値に維持された電流であり、試料溶液は脱塩室を1回のみ通過する、イオン交換膜電気透析装置

請求項2

脱塩室の容積は0.5〜100μlである請求項1に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項3

脱塩溶液排出口から排出される脱塩溶液塩分濃度は0.0001〜0.1重量%である請求項1又は2に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項4

試料溶液の塩分濃度は0.05〜25重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項5

試料溶液の試料濃度は0.1〜1000ppmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項6

脱塩室を通過する試料溶液の流量は0.1〜200μl/分である請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項7

イオン交換膜電気透析装置の試料溶液排出口は、試料溶液を連続的に分析する分析装置試料導入部に連結される請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン交換膜電気透析装置。

請求項8

請求項1〜7のいずれか一項に記載のイオン交換膜電気透析装置及び試料溶液を連続的に分析する分析装置を有するオンライン脱塩質量分析装置

請求項9

前記試料溶液を連続的に分析する分析装置が質量分析計である請求項7又は8に記載の装置。

請求項10

容器、容器の内部に順次配置された陽極、アニオン交換膜、カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室、脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室に仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有するイオン交換膜電気透析装置を準備する工程;陽極室及び陰極室に電極液を通過させる工程;脱塩室に試料溶液を1回のみ通過させる工程;陽極と陰極の間に所定の一定値に維持された電流を流す工程; を包含する脱塩方法

技術分野

0001

本発明は、イオン交換膜電気透析装置に関し、特に、質量分析の前に、試料溶液を処理する用途に使用されるイオン交換膜電気透析装置に関する。

背景技術

0002

質量分析法は、気化された試料高真空下、適当な方法でイオン化し、そのイオン電磁気的に分離して検出を行う分析方法である。質量分析法では、濃度約1mmol/lの溶液数μlという少量の試料があれば、その分子量等を測定することができる。

0003

質量分析計試料導入部において試料を気化する必要があり、一般に、試料溶液はヒーターで暖められたのち、内径数十ミクロンステンレス製フューズシリカ製キャピラリーから微細な霧となって噴霧されることで気化される。

0004

試料溶液がゴミ、塩分等の不揮発成分を含む場合、これらは気化し難く、キャピラリーの気化ノズル汚染目詰まり等により毀損し、質量分析計が故障する原因になる。かかる問題を防止する目的で、質量分析法では、質量分析計への試料導入前の精製、脱塩が欠かせない工程になっている。そのため、試料溶液の脱塩、濃縮等の質量分析の前処理を行う装置が各種開発されている。

0005

また、質量分析計を高速液体クロマトグラフィーHPLC)、ガスクロマトグラフィーGC)、キャピラリー電気泳動(CE)に連結し、成分の分離を行うことで、結果的に試料溶液の前処理が行われることもある。

0006

質量分析計は高感度であり、少量の成分を測定することができる。また、質量分析計によれば、試料が混合物である場合に、各成分の分子量に対応するピークが生成されるため、ピーク形状から、各成分の含有量を同時に測定することができる。そのため、短時間の間隔(即ち、例えば、数秒以内又は約1分以内)で量が変化する少量成分の含有量の経時変化を追跡する目的に、質量分析法を活用することが要望される。

0007

しかしながら、試料の前処理を行う際に、質量分析計から独立した前処理装置を使用する場合は、試料の実時間における量の変化を測定することができない。また、前処理装置を質量分析計に連結した場合でも、従来の質量分析の前処理は、最低でも約5分以上の処理時間を要し、又は試料成分分別されてしまうため、実質的に、試料採取時と分析結果を対応させることができない。

0008

従来から、質量分析法は試料溶液の前処理を必要とし、時間的な分解能に劣る問題がある。そのため、例えば、少量成分の含有量の経時変化を追跡しようとする場合に、質量分析法を使用して測定することは困難であった。

0009

特許文献1には、試料水溶液中のアルカリ金属アルカリ土類金属及び塩化物イオンを除去する脱塩部である前処理手段を備えた微生物生成物分析装置が記載されている。特許文献1の前処理手段は海水中のイオン、例えば、Na+及びCl−を選択的に除去することを目的とする。しかしながら、特許文献1の脱塩部の構造は通常のイオン交換膜電気透析装置と同様であり、少量の試料溶液をライン内にて連続的に脱塩する機能は奏しないものである。

0010

特許文献2には、電気泳動分離によって少量の化合物を処理する装置が記載されている。特許文献2の装置は、内部空間が分離障壁によって陽極バッファーゾーン空隙容量部分及び陰極バッファーゾーンに仕切られた構造を有する。しかしながら、上記分離障壁は、所定範囲分子量カットオフを有するイオン透過性電気泳動分離膜である。そのため、試料溶液に含まれているイオン性物質の中から塩分を選択的に除去する機能は奏しないものである。また、試料液は空隙容量部にとどまった状態で電気泳動され、処理後に排出される構造となっているため、連続的な処理は出来ない。

先行技術

0011

特開2014−167395号公報
特表2003−530988号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、塩分を含む試料溶液を、質量分析装置の気化ノズルを毀損しない程度の塩分濃度に短時間で脱塩することができる、イオン交換膜電気透析装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明は、容器、容器の内部に順次配置された陽極アニオン交換膜カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室、脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室に仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び
陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有し、
陽極と陰極の間の電流は、所定の一定値に維持された電流であり、
試料溶液は脱塩室を1回のみ通過する、イオン交換膜電気透析装置を提供する。

0014

ある一形態においては、脱塩室の容積は0.5〜100μlである。

0015

ある一形態においては、脱塩溶液排出口から排出される脱塩溶液の塩分濃度は0.0001〜0.1重量%である。

0016

ある一形態においては、試料溶液の塩分濃度は0.05〜25重量%である。

0017

ある一形態においては、試料溶液の試料濃度は0.1〜1000ppmである。

0018

ある一形態においては、脱塩室を通過する試料溶液の流量は0.1〜200μl/分である。

0019

ある一形態においては、イオン交換膜電気透析装置の試料溶液排出口は、試料溶液を連続的に分析する分析装置の試料導入部に連結される。

0020

また、本発明は、上記いずれかのイオン交換膜電気透析装置及び試料溶液を連続的に分析する分析装置を有するオンライン脱塩質量分析装置を提供する。

0021

ある一形態においては、前記試料溶液を連続的に分析する分析装置が質量分析計である。

0022

また、本発明は、容器、容器の内部に順次配置された陽極、アニオン交換膜、カチオン交換膜及び陰極を有する透析槽であって、容器の内部は、該アニオン交換膜及び該カチオン交換膜によって陽極及び電極液を含む陽極室、脱塩室、及び陰極及び電極液を含む陰極室に仕切られており、該脱塩室には試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている透析槽、及び
陽極及び陰極に電気を供給する電源、を有するイオン交換膜電気透析装置を準備する工程;
陽極室及び陰極室に電極液を通過させる工程;
脱塩室に試料溶液を1回のみ通過させる工程;
陽極と陰極の間に所定の一定値に維持された電流を流す工程;
包含する脱塩方法を提供する。

発明の効果

0023

本発明のイオン交換膜電気透析装置は、塩分を含む試料溶液を、質量分析装置の気化ノズルを汚染しない程度の塩分濃度に数秒以内という短時間で脱塩することができる。そのため、本発明のイオン交換膜電気透析装置を質量分析計の試料導入部に連結することにより、少量の試料溶液をライン内にて連続的に脱塩することができる。その結果、質量分析法の時間的な分解能が飛躍的に向上するために、質量分析計を用いて試料溶液に含まれる成分の実時間における量の変化を測定することができる。つまり、数秒以内又は約1分以内の間隔で量が変化する少量成分の経時変化を追跡する目的に、質量分析法を活用することが可能になる。

0024

本発明のイオン交換膜電気透析装置は、質量分析計以外にも、試料溶液を連続的に分析する分析装置の試料導入部に連結して、オンライン脱塩装置として使用することができる。

0025

上記分析装置としては、分析の前処理として試料溶液の塩分を除去しておくことが好ましい分析装置が例示され、具体的には、高速液体クロマトグラフ等が挙げられる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の一実施形態であるイオン交換膜電気透析装置の構成を示す模式図である。
水溶液中の塩化ナトリウム濃度(重量%)と水溶液の電気伝導度(ms/cm)の関係を示した検量線である。
本願発明の脱塩装置を質量分析装置に接続してオンライン脱塩を行うマイクロダイアリシスステムを示す模式図である。

0027

図1は、本発明の一実施形態であるイオン交換膜電気透析装置の構成を示す模式図である。

0028

容器1は透析槽を構成する部材を収容し、透析槽という一つの物品にまとめる部材である。容器1は物理的及び化学的に安定性に優れた素材から成る。一般に、容器1は樹脂、金属等を所定の形状に加工して製造される。

0029

容器の内部には、陽極2、アニオン交換膜3、カチオン交換膜4及び陰極5がこの順番で配置される。電極及びイオン交換膜の配置は、陰極5、カチオン交換膜4、アニオン交換膜3及び陽極2の順番であってもよい。電極及びイオン交換膜をこのように配置することで、試料溶液の脱塩を行うことができる。

0030

アニオン交換膜及びカチオン交換膜は一対のみ使用することが好ましいが、必要に応じて複数ずつ対にして使用してよい。但し、アニオン交換膜及びカチオン交換膜を一対以上使用すると、脱塩室の容積が大きくなり、陰極と陽極の間の電圧が高くなり、試料溶液の塩分濃度が低下した場合に、水の電気分解が発生し易くなる。

0031

アニオン交換膜3としては、分析対象物の特性を考慮して、適宜選択して使用する。例えば、分析対象アニオン性物質である場合は、イオン選択性を有するアニオン交換膜を使用してよい。分析対象が非イオン性物質である場合は、イオン選択性を有しないアニオン交換膜を使用してよい。

0032

カチオン交換膜4としては、分析対象物の特性を考慮して、適宜選択して使用する。例えば、分析対象がカチオン性物質である場合は、イオン選択性を有するカチオン交換膜を使用してよい。分析対象が非イオン性物質である場合は、イオン選択性を有しないカチオン交換膜を使用してよい。

0033

容器の内部は、アニオン交換膜3及びカチオン交換膜4によって陽極室6、脱塩室7及び陰極室に仕切られる。陽極室6は電極液を有する。陰極室8は電極液を有する。陽極室の電極液と陰極室の電極液は同一でも相違していてもよい。ある一形態においては、陽極室の電極液と陰極室の電極液は同一であり、陽極室及び陰極室は配管9で連結される。

0034

電極液は通常使用される種類のものであればよい。中でも、強酸強塩基の塩の水溶液が好ましい。好ましい電極液は、塩化ナトリウム水溶液硫酸ナトリウム水溶液、硝酸ナトリウム水溶液等である。

0035

透析槽の脱塩室は、容積が100μl以下である。脱塩室の容積が100μlを超えると試料溶液の循環滞留が生じ、脱塩時間が長くなる。脱塩室の容積は、好ましい上限が50μl以下、より好ましくは15μl以下、更に好ましくは10μl以下、最も好ましくは7μl以下である。脱塩室の容積の下限は小さいほど好ましく、例えば2μl以上、1μl以上、又は0.5μl以上である。透析槽の脱塩室の容積の範囲としては、典型的には、0.5〜50μl、1〜15μl、2〜7μlが挙げられる。

0036

脱塩室の容積が大きい場合、脱塩時間が長くなる。その結果、試料採取地点から分析地点までに要する時間も長くなり、時間的な分解能が低下する。脱塩室及び流路を含めた試料採取地点から分析地点までの容積は小さい方が好ましく、そのことで、分析結果のリアルタイム性が向上する。

0037

脱塩室には、試料溶液導入口及び脱塩溶液排出口が設けられている。試料溶液は試料溶液導入口から導入され、通過した後に、脱塩溶液排出口から排出される。試料溶液はポンプ等の送液手段により所定の速度で移送され、実質的に脱塩室を循環したり、滞留したりすることはない。試料溶液は脱塩室を1回のみ通過する。こうすることで、脱塩した試料溶液を連続的に次の処理工程に提供することができる。

0038

脱塩室に供給される試料溶液の流量は約0.1〜約200μl/分である。試料溶液の流量が約0.1μl/分未満であると脱塩時間が長くなり、約200μl/分を超えると脱塩が不十分となる。試料溶液の流量は、好ましくは0.5〜50μl/分、より好ましくは1〜10μl/分、更に好ましくは、2〜5μl/分である。

0039

試料溶液の脱塩時間、即ち、試料溶液が脱塩室に導入されてから、脱塩されて、排出されるまでの時間は0.3秒〜200分である。試料溶液の脱塩時間が0.3秒未満であると脱塩が十分にされず、200分を超えると塩分以外の物質も減少し、分析の精度が低下する。試料溶液の脱塩時間は、好ましくは0.5〜100分であり、より好ましくは1〜10分である。

0040

本発明のイオン交換膜電気透析装置を使用して試料溶液を連続的に脱塩する場合、脱塩過程において、陽極と陰極の間の電流は、所定の一定値に維持される。また、陽極と陰極の間の電圧は、通電を開始した初期にはイオン濃度が高いため比較的低い。しかし、脱塩の進行に伴って電圧は上昇し、イオンの供給量と脱塩量が平衡に達し、実質的に一定値になる。その後は、陽極と陰極の間の電圧は、実質的に一定に維持される。

0041

陽極と陰極の間の電流は0.1mA〜1.5Aの範囲内で適宜調節される。陽極と陰極の間の電流が0.1mA未満であると脱塩が十分に進まず、1.5Aを超えると試料液の電気分解が発生する。陽極と陰極の間の電流の範囲は、好ましくは0.1mA〜1.5A、より好ましくは0.5mA〜1Aである。

0042

脱塩中、イオンの供給量と脱塩量が平衡に達した後、陽極と陰極の間の電圧は0.1〜10Vの範囲内(但し、実質的に一定値)である。陽極と陰極の間の電圧が0.1V未満であると塩分の除去が不十分となり、10Vを超えると水の電気分解が生じるおそれがある。陽極と陰極の間の電圧の範囲は、好ましくは0.2〜8V、より好ましくは0.5〜5Vである。

0043

分析対象である試料溶液は、塩分濃度が0.05〜25重量%である。ここでいう塩分には、塩化ナトリウム硫酸マグネシウム硫酸カルシウム炭酸水素塩リン酸塩などの不揮発性塩類が含まれる。試料溶液の塩分濃度が0.05重量%未満の場合は、脱塩するまでもなく質量分析装置の気化ノズルを毀損し難い。他方、試料溶液の塩分濃度が25重量%を超えると十分に脱塩することが困難になる。試料溶液の塩分濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは0.8〜2重量%である。

0044

分析対象である試料溶液の試料濃度は、使用する分析装置(例えば、質量分析計)が検出可能な範囲であればよく、例えば、約0.1〜1000ppm、約1.0〜100ppmであってよい。

0045

脱塩過程においては、脱塩室7内の陰イオンは陽極方向に電気泳動し、陰イオン交換膜3を通過して陽極室6に移動し、脱塩室7内の陽イオンは陰極方向に電気泳動し、陽イオン交換膜4を通過して陰極室8に移動する。脱塩室から陰極室及び陽極室に進入したイオンは、陰極室及び陽極室に電極液を通過させることで排出する。

0046

陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜として特定種類のイオンのみを透過するものを選択することで、脱塩室を通過する試料溶液から、除去対象である塩を選択的に除去することができる。例えば、除去対象が塩化ナトリウムである場合は、一価イオン選択性の陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を選択する。

0047

脱塩溶液排出口から排出される脱塩溶液の塩分濃度は、一般に約0.1重量%以下、好ましくは約0.05重量%以下、典型的には0.0001〜0.1重量%である。

0048

本発明のイオン交換膜電気透析装置による脱塩は、質量分析の前処理に使用することができる。配管を用いて脱塩室の脱塩溶液排出口を質量分析計の試料導入部に連結することが好ましい。本発明のイオン交換膜電気透析装置により脱塩された試料溶液は、脱塩室の排出口から排出されて、連続的に、質量分析計の試料導入部に導入されてよい。本発明のイオン交換膜電気透析装置及び質量分析計を組み合わせることで、質量分析装置を構成してもよい。

0049

本発明のイオン交換膜電気透析装置及び質量分析計を組み合わせた質量分析装置は塩分を含む試料溶液をライン内にて連続的に脱塩し、試料溶液に含まれる成分の実時間における量の変化を測定することができるので、マイクロダイアリシス用の分析装置として使用することが好ましい。マイクロダイアリシスとは、脳等の臓器由来する体液透析膜を介して取り出し、取り出された体液の成分濃度などを測定する過程を含む分析方法をいう。

0050

図3は、本願発明の脱塩装置を質量分析装置に接続してオンライン脱塩を行うマイクロダイアリシスシステムを示す模式図である。図3に示すマイクロダイアリシスシステムは、検体20、マイクロシリンジポンプ21、検体(図3ではマウスの脳)に移植されたマイクロダイアリシス用プローブ22、イオン交換膜電気透析装置23、質量分析計(MS)24、マイクロシリンジポンプ21の排出口をマイクロダイアリシス用プローブ22の導入口に連結し、マイクロダイアリシス用プローブ22の排出口をイオン交換膜電気透析装置23の脱塩室の導入口に連結する配管25、イオン交換膜電気透析装置23の脱塩室の排出口を質量分析計(MS)24の試料導入口に連結する配管26を有する。

0051

以下、本発明を、実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0052

<実施例1>
イオン交換膜電気透析装置の製造
アクリル樹脂製容器、電極、配管などを所定の寸法及び形状に成形し、電源と組み合わせることにより、図1に示す構造を有するイオン交換膜電気透析装置を組み立てた。イオン交換膜電気透析装置の仕様を表1に示す。

0053

[表1]

0054

<実施例2>
イオン交換膜電気透析装置の性能確認試験
マイクロシリンジポンプ(株式会社ニューロサイエンス製「KDS100」(商品名))を準備した。配管を用いて、マイクロシリンジポンプの排出口を実施例1のイオン交換膜電気透析装置の導入口に連結した。マイクロシリンジポンプから塩化ナトリウム濃度0.9%の生理食塩水送出した。生理食塩水の流速は3μml/分とした。イオン交換膜電気透析装置に通電し、電流量は0.8mAの定電流に調節した。脱塩処理された液は、通電開始から一定時間(通電時間)蓄積し、その間の脱塩室の電圧をモニターするとともに、脱塩処理した液の電気伝導度を電気伝導度計(堀場製作所製「コンパクト電気伝導率計<LAQUAtwin> B-771」(商品名))を用いて測定した。なお、電気伝導度から塩化ナトリウム濃度(重量%)への換算には、予め作成したNaCl−電気伝導度検量線を用いた。NaCl−電気伝導度検量線は図2に示す。測定結果を表2に示す。

0055

[表2]

※:−は測定しなかったことを示す

0056

本発明のイオン交換膜電気透析装置は、短時間のうちに、連続的に生理食塩水を脱塩することができた。

0057

<実施例3>
食塩水中の模擬試料回収
L−グルタミン酸は脳の神経伝達物質であり、脳内のグルタミン酸の量は動物行動相関する。従って、L−グルタミン酸量は、マイクロダイアリシスの測定対象として有用である。本発明のイオン交換膜電気透析装置は、L−グルタミン酸を含む食塩水から食塩を選択的に除去することを確認するために、模擬試料としてL−グルタミン酸を選択した。

0058

まず、対照として、濃度2.5ppmのL−グルタミン酸標準水溶液を質量分析計(株式会社島津製作所製「LCMS8060」(商品名))で測定したところ、ピーク面積は2016(単位なし)であった。

0059

塩化ナトリウム濃度0.9%の生理食塩水に濃度5ppmになる量でL−グルタミン酸を溶解し、得られた水溶液を実施例1のイオン交換膜電気透析装置で脱塩した。その際、水溶液の流速は3μl/分に、電流量は0.8mAの定電流に調節した。通電開始から5〜15分、15〜25分、及び25〜35分の水溶液をそれぞれ蓄積した。

0060

実施例2と同様にして、脱塩及び蓄積した液の電気伝導度を測定した。蓄積した処理液蒸留水で2倍希釈し、質量分析計で測定した。結果を表3に示す。

0061

[表3]

0062

標準水溶液のピーク面積値を基準に、本装置で脱塩処理した際のL−グルタミン酸の回収率(%)は55〜89%となり、脱塩処理の初期は回収率が高く、通電15分以降は回収率がほぼ安定した傾向を示すことがわかる。また、各処理液の電気伝導を測定した結果、脱塩処理も良好に進んでいることが示された。

0063

<実施例4>
マイクロダイアリシスシステムの製造
マイクロシリンジポンプ(株式会社ニューロサイエンス製「KDS100」(商品名))、ICRマウス(15週齢オス)、マイクロダイアリシス用プローブ(株式会社エイコム製「A−I−4−02」(商品名))、実施例1で製造したイオン交換膜電気透析装置、質量分析計(株式会社島津製作所製「LCMS8060」(商品名))、及び配管を準備した。

0064

図3を参照して、外科手術によってマイクロダイアリシス用プローブ22をマウスの脳に移植した。配管25を用いて、マイクロシリンジポンプ21の排出口をマイクロダイアリシス用プローブ22の導入口に連結し、マイクロダイアリシス用プローブ22の排出口をイオン交換膜電気透析装置23の脱塩室の導入口に連結した。更に、T−ジョイント分岐管(図面には非表示)を有する配管26を用いて、イオン交換膜電気透析装置23の脱塩室の排出口を質量分析計(MS)24の試料導入口に連結した。このようにして、図3に示す構成を有するマイクロダイアリシスシステムを組み立てた。

0065

<実施例5>
マイクロダイアリシス
グルタミン酸の標準品(東京化成工業株式会社製)を用いて質量分析計の操作条件を最適化した。分析にはESネガティブモードを使用した。グルタミン酸のための選択反応モニタリングトランジション、及び衝突エネルギーは、それぞれ、15eVにおいてm/z146〜102、15eVにおいてm/z146〜128、及び16eVにおいてm/z146〜100に設定した。各トランジションにおける滞留時間は200ミリ秒に設定した。

0066

実施例4で製造したマイクロダイアリシスシステムにおいて、マイクロシリンジポンプ21から塩化ナトリウム濃度0.9%の生理食塩水を送出した。生理食塩水の流速は3μml/分とした。イオン交換膜電気透析装置23に通電し、電流量は0.8mAの定電流に調節した。イオン交換膜電気透析装置23で脱塩処理された液が質量分析計24に導入される際に、3μl/分の流速にて、T−ジョイント分岐管(非表示)からメタノールを供給した。脱塩処理された液が質量分析計に導入されてから時間が経過するに従って、SRMクロマトグラムにグルタミン酸のピークが観察された。

0067

マウスの脳から質量分析計にてイオン化されるまでに相当するタイムラグは認められるけれども、200ミリ秒毎に、マウスの脳におけるグルタミン酸の実時間における量の変化を測定することができた。測定の初期は、検出されたグルタミン酸が少量であった。その後マウスを刺激すると、より強いグルタミン酸の応答信号が観察された。グルタミン酸の強度の測定結果を0.5分間隔で表4に示す。

実施例

0068

[表4]

0069

1…容器、
2…陽極、
3…陰イオン交換膜、
4…陽イオン交換膜、
5…陰極、
6…陽極室、
7…脱塩室、
8…陰極室、
9…配管、
20…検体、
21…マイクロシリンジポンプ、
22…マイクロダイアリシス用プローブ、
23…イオン交換膜電気透析装置、
24…質量分析計、
25、26…配管。

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