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技術 マグネシウムリチウム合金基体、携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法

出願人 富士通株式会社
発明者 長沼靖雄柏川貴弘木村浩一
出願日 2016年8月15日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-159113
公開日 2018年2月22日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-028114
状態 特許登録済
技術分野 金属の化成処理
主要キーワード 軍用規格 基基材 塗装剥離 引きはがし試験 超音波付与 プロミネンス メートル角 筐体材料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

マグネシウムリチウム合金基体携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材化成処理方法に関し、リチウムを含まない合金と同程度の処理工程で安定した密着力の強い被膜を形成する。

解決手段

マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ及びフッ素を含有する化成皮膜を設ける。

概要

背景

マグネシウム合金比強度が高く比重が軽いため、携帯電話ノートPCの筐体材料として使用すると従来の樹脂アルミニウムと比べ、軽量・高強度な筐体となる。近年、更なる軽量化のために、従来のマグネシウム合金よりも低比重マグネシウム-リチウム合金も使用されてきている。

しかしながら、マグネシウム−リチウム合金は、従来のマグネシウム合金よりも反応性が高く、大気中で容易に酸化し黒く変色する。その原因として、マグネシウム−リチウム合金中のリチウム結晶格子中に完全には入っていないためと考えられる。

そのため、従来のマグネシウム合金以上に化成処理陽極酸化による耐蝕性の高い皮膜筐体表面に形成する必要がある。また、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金上に形成した化成皮膜陽極酸化皮膜上を耐食性の高い金属で被覆する手法も存在する例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。しかし、厚膜の化成皮膜やMAO(陽極酸化)皮膜を形成する方法では、環境要因等で水分が存在すると化成皮膜や陽極酸化皮膜の空孔から水分が侵入し、活性の高いリチウムの影響で腐食等が生じるという問題がある。

例えば、マグネシウム-リチウム合金表面に存在するリチウムと大気を遮断するために、厚膜の化成皮膜やMAO(陽極酸化)皮膜を形成している(例えば、特許文献3参照)。しかし、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金表面に形成した化成皮膜や陽極酸化皮膜上に耐食性の高い金属を被覆する手法は、被覆する金属によっては電位差による異種金属接触腐食が生じる場合もある。電位差が低い金属を被覆する場合も、その上に形成する塗装膜との密着が化成皮膜上に塗装する場合よりも低下し、塗装剥離の原因となるという問題がある。

また、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金表面に形成した化成皮膜や陽極酸化皮膜上に耐食性の高い金属を被覆する手法もある(例えば、特許文献3参照)。また、フッ化物を使用してリチウムをフッ化リチウムの形で不活性化している化成皮膜もある。しかし、フッ化物を使用してリチウムをフッ化リチウムの形で不活性化している化成皮膜の場合には、フッ化リチウムは潮解性があるため、水分の存在下で潮解して元の活性の高いリチウムに戻り、耐食性を悪化させるという問題がある。

そこで、表面のフッ化リチウムを除去する耐食性の低下を防止することが提案されているので、図17及び図18を参照して説明する(例えば、特許文献5参照)。図17は、従来の化成皮膜形成方法フロー図であり、図18は従来の化成皮膜の各工程における概念的断面図である。まず、
s1:脱脂工程として、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を、アルカリに晒す。アルカリとしては、例えば、市販品を用いることができ、例えば、強アルカリ水溶液GF MG−15SX+GF添加剤F21(ミリオ化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

次いで、
s2:活性化工程として、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を晒すことにより、表面にフッ化マグネシウム、フッ化リチウム44、及び酸化リチウムなどを生成する。フッ素を含む酸としては、市販品を用いても良く、例えば、GF MG−109S(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。この時点で、図18(b)に示すように、表面の遊離Li原子43はフッ化される。

次いで、
s3:反応生成物除去工程として、表面への超音波付与や表面への水流の付与による表面洗浄を行う。この表面洗浄により、図18(c)に示すように、反応生成物の内、主にフッ化リチウム44、及び酸化リチウムが除去される。

次いで、
s4:デスマット工程として、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を晒す。アルカリとしては、市販品を用いることができ、例えば、強アルカリ水溶液GF MG−15SX(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

次いで、
s5:化成皮膜形成工程として、マグネシウムリチウム合金基材をフッ素化してMgのフッ化物やMgの酸化物等の化成皮膜45を形成する。フッ素を含む化成処理液としては、例えば、フッ酸、フッ化ナトリウムフッ化水素酸酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウムケイフッ化水素酸とその塩、及びフッ化水素酸とその塩のいずれかを含む溶液を化成処理液として使用できる。或いは、市販品としては、例えば、GR MC−1670A(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

概要

マグネシウムリチウム合金基体携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法に関し、リチウムを含まない合金と同程度の処理工程で安定した密着力の強い被膜を形成する。マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ及びフッ素を含有する化成皮膜を設ける。

目的

したがって、マグネシウムリチウム合金基体、携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法において、リチウムを含まない合金と同程度の処理工程で安定した密着力の強い被膜を形成することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ及びフッ素を含有する化成皮膜を有するマグネシウムリチウム合金基体

請求項2

前記化成皮膜は、スズの酸化物およびスズのフッ化物であり、前記化成皮膜が前記マグネシウムリチウム合金基材の表面を部分的に覆っている請求項1に記載のマグネシウムリチウム合金基体。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のマグネシウムリチウム合金基体を、筐体として用いた携帯電子機器

請求項4

マグネシウムリチウム合金基材を脱脂処理する工程と、前記マグネシウムリチウム合金基材の表面をフッ素を含む酸で活性化する工程と、前記活性化後の前記マグネシウムリチウム合金基材の表面のフッ化リチウムを除去する工程と、前記フッ化リチウムを除去した前記マグネシウムリチウム合金基材をスズ化合物を添加した皮膜化成薬剤中に浸漬して前記マグネシウムリチウム合金基基材の表面にスズ反応生成物を含む化成皮膜を形成する工程とを有しているマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法

請求項5

前記皮膜化成薬剤中に添加するスズ化合物が、フッ化第一スズであり、前記皮膜化成薬剤中に添加するフッ化第一スズの濃度が500ppm〜1000ppmである請求項4に記載のマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。

技術分野

0001

本発明は、マグネシウムリチウム合金基体携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材化成処理方法に関するものである。

背景技術

0002

マグネシウム合金比強度が高く比重が軽いため、携帯電話ノートPCの筐体材料として使用すると従来の樹脂アルミニウムと比べ、軽量・高強度な筐体となる。近年、更なる軽量化のために、従来のマグネシウム合金よりも低比重のマグネシウム-リチウム合金も使用されてきている。

0003

しかしながら、マグネシウム−リチウム合金は、従来のマグネシウム合金よりも反応性が高く、大気中で容易に酸化し黒く変色する。その原因として、マグネシウム−リチウム合金中のリチウム結晶格子中に完全には入っていないためと考えられる。

0004

そのため、従来のマグネシウム合金以上に化成処理陽極酸化による耐蝕性の高い皮膜筐体表面に形成する必要がある。また、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金上に形成した化成皮膜陽極酸化皮膜上を耐食性の高い金属で被覆する手法も存在する例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。しかし、厚膜の化成皮膜やMAO(陽極酸化)皮膜を形成する方法では、環境要因等で水分が存在すると化成皮膜や陽極酸化皮膜の空孔から水分が侵入し、活性の高いリチウムの影響で腐食等が生じるという問題がある。

0005

例えば、マグネシウム-リチウム合金表面に存在するリチウムと大気を遮断するために、厚膜の化成皮膜やMAO(陽極酸化)皮膜を形成している(例えば、特許文献3参照)。しかし、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金表面に形成した化成皮膜や陽極酸化皮膜上に耐食性の高い金属を被覆する手法は、被覆する金属によっては電位差による異種金属接触腐食が生じる場合もある。電位差が低い金属を被覆する場合も、その上に形成する塗装膜との密着が化成皮膜上に塗装する場合よりも低下し、塗装剥離の原因となるという問題がある。

0006

また、マグネシウム合金基材あるいはマグネシウム合金表面に形成した化成皮膜や陽極酸化皮膜上に耐食性の高い金属を被覆する手法もある(例えば、特許文献3参照)。また、フッ化物を使用してリチウムをフッ化リチウムの形で不活性化している化成皮膜もある。しかし、フッ化物を使用してリチウムをフッ化リチウムの形で不活性化している化成皮膜の場合には、フッ化リチウムは潮解性があるため、水分の存在下で潮解して元の活性の高いリチウムに戻り、耐食性を悪化させるという問題がある。

0007

そこで、表面のフッ化リチウムを除去する耐食性の低下を防止することが提案されているので、図17及び図18を参照して説明する(例えば、特許文献5参照)。図17は、従来の化成皮膜形成方法フロー図であり、図18は従来の化成皮膜の各工程における概念的断面図である。まず、
s1:脱脂工程として、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を、アルカリに晒す。アルカリとしては、例えば、市販品を用いることができ、例えば、強アルカリ水溶液GF MG−15SX+GF添加剤F21(ミリオ化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

0008

次いで、
s2:活性化工程として、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を晒すことにより、表面にフッ化マグネシウム、フッ化リチウム44、及び酸化リチウムなどを生成する。フッ素を含む酸としては、市販品を用いても良く、例えば、GF MG−109S(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。この時点で、図18(b)に示すように、表面の遊離Li原子43はフッ化される。

0009

次いで、
s3:反応生成物除去工程として、表面への超音波付与や表面への水流の付与による表面洗浄を行う。この表面洗浄により、図18(c)に示すように、反応生成物の内、主にフッ化リチウム44、及び酸化リチウムが除去される。

0010

次いで、
s4:デスマット工程として、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材41の表面を晒す。アルカリとしては、市販品を用いることができ、例えば、強アルカリ水溶液GF MG−15SX(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

0011

次いで、
s5:化成皮膜形成工程として、マグネシウムリチウム合金基材をフッ素化してMgのフッ化物やMgの酸化物等の化成皮膜45を形成する。フッ素を含む化成処理液としては、例えば、フッ酸、フッ化ナトリウムフッ化水素酸酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウムケイフッ化水素酸とその塩、及びフッ化水素酸とその塩のいずれかを含む溶液を化成処理液として使用できる。或いは、市販品としては、例えば、GR MC−1670A(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

先行技術

0012

特開昭60−190574号公報
特開2006−169543号公報
特開2006−233245号公報
特開2002−348679号公報
特開2015−203135号公報

発明が解決しようとする課題

0013

しかし、化成皮膜を形成したマグネシウムリチウム合金基体に環境負荷を与えた場合、図18(e)に示すように、表面近傍のLiが大気中に水分と反応してLiが再活性化するという問題がある。また、化成皮膜の上に金属被膜を形成し、さらにその上に塗装皮膜を形成した場合には、金属被膜/塗装皮膜間の密着力が弱いという問題がある。さらに、塗装皮膜の乾燥時の収縮応力により、金属被膜/塗装皮膜間の密着力が弱いという問題もある。

0014

したがって、マグネシウムリチウム合金基体、携帯電子機器及びマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法において、リチウムを含まない合金と同程度の処理工程で安定した密着力の強い被膜を形成することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

一つの態様では、マグネシウムリチウム合金基体は、マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ及びフッ素を含有する化成皮膜を有する。

0016

他の態様では、携帯電子機器は、上述のマグネシウムリチウム合金基体を、筐体として用いている。

0017

さらに、他の態様では、マグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法は、マグネシウムリチウム合金基材を脱脂処理する工程と、前記マグネシウムリチウム合金基材の表面をフッ素を含む酸で活性化する工程と、前記活性化後の前記マグネシウムリチウム合金基材の表面のフッ化リチウムを除去する工程と、前記フッ化リチウムを除去した前記マグネシウムリチウム合金基材をスズ化合物を添加した皮膜化成薬剤中に浸漬して前記マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ反応生成物を含む化成皮膜を形成する工程とを有している。

発明の効果

0018

一つの側面として、リチウムを含まない合金と同程度の処理工程で安定した密着力の強い被膜を形成することが可能になる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の実施の形態のマグネシウムリチウム合金基体の説明図である。
本発明の実施の形態の化成皮膜の形成工程のフロー図である。
本発明の実施例1の化成皮膜の形成工程のフロー図である。
本発明の実施例1の化成皮膜の各工程における概念的断面図である。
本発明の実施例1における各試料片の評価結果の説明図(1)である。
本発明の実施例1における各試料片の評価結果の説明図(2)である。
本発明の実施例1の化成皮膜を適用するノートパソコン概略的斜視図である。
フロントカバー形状にプレス加工した状態の説明図である。
バックカバー形状にプレス加工した状態の説明図である。
アッパーカバー形状にプレス加工した状態の説明図である。
ロアカバー形状にプレス加工した状態の説明図である。
本発明の実施例2のマグネシウムリチウム合金基体の概念的断面図である。
本発明の実施例2の評価結果の説明図(1)である。
本発明の実施例2の評価結果の説明図(2)である。
比較例1の評価結果の説明図である。
比較例2の評価結果の説明図である。
従来の化成皮膜の形成工程のフロー図である。
従来の実施例1の化成皮膜の各工程における概念的断面図である。

0020

ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態のマグネシウムリチウム合金基体及び化成皮膜の形成方法を説明する。図1は、本発明の実施の形態のマグネシウムリチウム合金基体の説明図である。図1(a)は、化成皮膜形成直後のマグネシウムリチウム合金基体の概念的断面図であり、図1(b)は、さらに塗装皮膜を形成したマグネシウムリチウム合金基体の概念的断面図である。

0021

図1(a)に示すように、本発明の実施の形態のマグネシウムリチウム合金基材11の表面はスズ及びフッ素を含有する化成皮膜13で被覆されている。即ち、本発明者が鋭意研究の結果、従来の化成処理プロセス中の皮膜化成薬液中にスズを含む塩を添加してスズ及びフッ素を含有する化成皮膜13を形成すると、スズ塩を添加する前の化成皮膜よりも加速試験での耐食性が向上することを見出した。なお、マグネシウムリチウム合金としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、Li(9wt%)−Zn(1Wt%)のLZ91等が挙げられる。なお、図における符号12はLi原子である。

0022

この化成皮膜13は、スズのフッ化物やスズの酸化物14を含んでおり、スズのフッ化物やスズの酸化物14がマグネシウムリチウム合金基材11の表面を部分的に覆っている。表面の他の領域はマグネシウムのフッ化物及び酸化物で覆われることになる。スズのフッ化物やスズの酸化物14はフッ化リチウムとは異なり潮解性がないので、環境負荷を与えた場合にも水分等の影響を受けることない安定な被膜を形成する。

0023

また、図1(b)に示すように、化成皮膜13上に塗装皮膜15を設けることでさらに耐食性を高めることができる。この時、化成皮膜13の表面は、下地のマグネシウムリチウム合金基材11の凹凸を反映した凹凸を有するので、従来の化成皮膜や陽極酸化膜上への金属被覆に比べて凹凸のアンカー効果密着性が高くなるという利点がある。

0024

この様な化成皮膜13を形成したマグネシウムリチウム合金基材11を携帯電子機器の筐体として用いることによって、軽量で耐食性の良好な筐体提供することができる。携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートPC、タブレットPC等が挙げられる。

0025

次に、図2を参照して、本発明の実施の形態の化成皮膜の形成工程を説明する。図2は本発明の実施の形態の化成皮膜の形成工程のフロー図である。まず、
σ1:脱脂工程として、マグネシウムリチウム合金基材の表面を、アルカリに晒す。アルカリとしては、pHが13〜14のアルカリであることが好ましい。例えば、市販品を用いることができ、強アルカリ水溶液GF MG−15SX+GF添加剤F21(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

0026

脱脂工程におけるアルカリの温度としては、特に制限はないが、反応促進するためには、50℃〜90℃が好ましく、65℃〜85℃がより好ましく、70℃〜80℃が特に好ましい。また、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材11の表面を晒す時間としては、特に制限はなく、例えば、1分間〜10分間程度で良い。

0027

次いで、
σ2:活性化工程として、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒すことにより、表面にフッ化マグネシウム、フッ化リチウム、及び酸化リチウムなどを生成する。フッ素を含む酸としては、市販品を用いても良く、例えば、GF MG−109S(ミリオン化学株式会社製商品型番)等が挙げられる。

0028

活性化工程におけるフッ素を含む酸の温度としては、特に制限はなく、温度管理が容易である点で、20℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましく、35℃〜45℃が特に好ましい。また、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒す時間としては、特に制限はなく、例えば、0.5分間〜5分間程度で良い。

0029

次いで、
σ3:反応生成物除去工程として、表面への超音波付与や表面への水流の付与による表面洗浄を行う。この表面洗浄により、反応生成物の内、主にフッ化リチウム、及び酸化リチウムが除去される。

0030

次いで、
σ4:デスマット工程として、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒す。アルカリとしては、pHが13〜14のアルカリであることが好ましい。市販品を用いることができ、例えば、強アルカリ水溶液GF MG−15SX(ミリオン化学株式会社製商品型番)等が挙げられる。

0031

デスマット工程におけるアルカリの温度としては、特に制限はなく、反応促進するためには、40℃〜80℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、55℃〜65℃が特に好ましい。また、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒す時間としては、特に制限はなく、例えば、1分間〜5分間程度で良い。ここまでは、従来の化成皮膜の形成工程と同様である。

0032

次いで、
σ5:化成皮膜形成工程として、フッ素を含む化成処理液にスズ塩を添加して、マグネシウムリチウム合金基材の表面をスズのフッ化物やスズの酸化物を含む化成皮膜を形成する。フッ素を含む化成処理液としては、例えば、フッ酸、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、ケイフッ化水素酸とその塩、及びフッ化水素酸とその塩のいずれかを含む溶液を化成処理液として使用できる。或いは、市販品としては、例えば、GR MC−1670A(ミリオン化学株式会社製商品型番)などが挙げられる。

0033

皮膜処理液としては、フッ化物系の薬液を使用することから、添加するスズ塩としてはフッ化第一スズが好適である。添加するスズ塩の濃度としては、化成処理液中に300ppm〜4000ppm程度添加することが可能であるが、500ppm〜1000ppmの添加で耐食性の効果が最大となる。

0034

化成皮膜形成工程における化成処理液の温度としては、特に制限はなく、反応促進するためには、30℃〜70℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、55℃〜65℃が特に好ましい。また、化成処理液に、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒す時間としては、特に制限はなく、例えば、1分間〜5分間程度で良い。

0035

なお、化成皮膜形成後にマグネシウムリチウム合金基材11をプレス加工して電子機器の筐体を形成しても良いが、脱脂処理する工程の前に、マグネシウムリチウム合金基材11を、携帯電子機器の筐体としてプレス加工することが望ましい。また、図1(b)に示すように、化成皮膜13上に塗装皮膜15をさらに形成しても良い。

0036

本発明の実施の形態では、化成皮膜を潮解性のないスズ及びフッ素を含有する化成皮膜としたので、厚い耐食性皮膜を形成したり、後処理工程を追加したりする必要がなく、通常のマグネシウム合金と同程度の工数で実現可能となる。

0037

次に、図3乃至図11を参照して、本発明の実施例1の化成皮膜の形成方法を説明する。図3は、本発明の実施例1の化成皮膜の形成工程のフロー図であり、図4はフロー図における各工程における概念的断面図である。まず、
S1:脱脂工程として、マグネシウムリチウム合金基材21の表面を、アルカリに晒す。アルカリとしては、強アルカリ水溶液GF MG−15SX+GF添加剤F21(ミリオン化学株式会社製商品型番)を用いる。浸漬条件は、75℃及び5分間とする。この時点では表面に遊離Li原子23が存在する。

0038

次いで、
S2:活性化工程として、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金基材11の表面を晒すことにより、表面にフッ化マグネシウム、フッ化リチウム24、及び酸化リチウムなどを生成する。フッ素を含む酸としては、GF MG−109S(ミリオン化学株式会社製商品型番)を用いる。浸漬条件は、40℃及び1分間とする。

0039

次いで、
S3:反応生成物除去工程として、表面への超音波付与や表面への水流の付与による表面洗浄を行う。この表面洗浄により、図4(c)に示すように、反応生成物の内、主にフッ化リチウム24、及び酸化リチウムが除去される。

0040

次いで、
S4:デスマット工程として、アルカリに、マグネシウムリチウム合金基材の表面を晒す。アルカリとしては、強アルカリ水溶液GF MG−15SX(ミリオン化学株式会社製商品型番)を用いる。浸漬条件は、60℃及び2分間とする。

0041

次いで、
S5:化成皮膜形成工程として、フッ化第一スズを含む化成処理液を用いてスズのフッ化物やスズの酸化物26を含む化成皮膜25を形成する。フッ素を含む化成処理液としては、GR MC−1670A(ミリオン化学株式会社製商品型番)を用いる。この時、GR MC−1670A(ミリオン化学株式会社製商品型番)にフッ化第一スズを0mg/L(従来例)、100mg/L、300mg/L、500mg/L、1000mg/L及び4000mg/Lを添加した化成処理液に浸漬して皮膜化成を行った。浸漬条件は、60℃及び180秒とする。

0042

次いで、80℃の大気オーブン中で30分乾燥した後、MILSTD−106D−202E(米国軍用規格)で規定される温湿度サイクルを10サイクル印加した後のマグネシウムリチウム合金基体の外観変化を評価した。この場合、図4(e)に示すように、スズのフッ化物やスズの酸化物26は潮解性を有していないので環境負荷を与えても変化がなかった。

0043

図5及び図6は実施例1における各試料片の評価結果の説明図である。図5及び図6に示すように、フッ化第一スズを500ppmと1000ppm添加した薬液を使用した試験片で外観変化が小さかった。100ppm、300ppm及び4000ppm添加の試験片は、フッ化第一スズを添加していない薬液で処理した試験片と比べれば若干の改善は見られるが、500ppm〜1000ppm添加した薬剤で処理した試験片よりも斑状の変色が見られた。なお、100ppm添加の試験片は、300ppm添加の試験片よりも斑状の変色が見られた。

0044

図7乃至図11は、実施例1の化成皮膜を適用するノートパソコンの説明図である。図7はノートパソコンを示す概略斜視図である。ノートパソコン30は、本体31の表面の少なくとも一部が筐体32により覆われている。筐体32は、液晶モニタ部の液晶パネル37を支持するフロントカバー33、バックカバー34と、本体31を支持するアッパーカバー35とロアカバー36とからなる。図8はフロントカバー形状にプレス加工した状態の説明図であり、図9はバックカバー形状にプレス加工した状態の説明図であり、図10はアッパーカバー形状にプレス加工した状態の説明図であり、図11はロアカバー形状にプレス加工した状態の説明図である。これらのカバーの全て或いはその内の一部に対して化成皮膜を形成してノートパソコンを形成する。

0045

次に、図12乃至図16を参照して、本発明の実施例2のマグネシウムリチウム合金基体を説明するが、この実施例2は上記の実施例1で作成した試料片に塗装処理を施したものである。図12は、本発明の実施例2のマグネシウムリチウム合金基体の概念的断面図である。マグネシウムリチウム合金基材21の表面にスズのフッ化物とスズの酸化物26を含む化成皮膜25を形成した後、塗装処理により、プロミネンスSP07 N−6グレー(ミカサペイント製商品型番)からなる下塗り層27及びHC−1 Premium Silver Matte2(ミカサペイント製商品型番)からなる上塗り層28を設ける。

0046

この試料片に対して温湿度サイクル後の塗装評価を行った。なお、ここでは、人口1としては、L−ヒスチジン塩酸塩塩化ナトリウム水酸化ナトリウムおよびリン酸ナトリウムを主成分とする中性の人口汗を用い、人口汗2としては、塩化ナトリウム,水酸化ナトリウムおよびリン酸ナトリウムを主成分とするアルカリ系の人口汗を用い、人口汗3としては、塩化ナトリウム,リン酸ナトリウムおよび酢酸を主成分とする酸系の人口汗を用いた。この塗装評価においては、1センチメートル角四角に、1ミリずつカッター切りつけ碁盤目状にクロスカットする。その後、テープを上から張り付けた後、はがしてみて剥がれた1mm×1mm各の小片の数で評価した。

0047

図13及び図14は実施例2の評価結果の説明図である。図13及び図14に示すように、フッ化第一スズを500ppm〜1000ppm添加した化成処理液で処理した試験片では碁盤目試験で塗装剥離が発生しなかったが、フッ化第一スズの添加量が0ppm(従来例)、100ppmでは塗装剥離が多く発生した。300ppmでは人口汗2において塗装剥離が多く発生した。スズ添加量が4000ppmでは、1000ppm添加した試験片よりも若干の塗装剥離が増加した。

0048

次に、本発明の実施例の作用効果を確認するために、比較例を説明する。
[比較例1]:比較例1においては、各種マグネシウム合金(AZ31、AZ91、AZ91D、LZ91)の試験片を通常の化成処理プロセスの脱脂、活性化及び反応生成物を除去する表面調整1及び表面調整2(デスマット)および皮膜化成まで行い、80℃の大気オーブン中で30分乾燥する。その試験片を真空蒸着機に入れ10−4Paまで真空引きした後、試験片上にスズ蒸着膜を0.1μm形成した。その試験片を、MIL−STD−106D−202Eで規定される温湿度サイクルを10サイクル印加した前後で外観変化を比較すると、ほとんど変化が見られなかった。

0049

しかし、図15に示すように、上述のように碁盤目状にクロスカット後にテープ引きはがし試験を行った結果、化成皮膜/スズ蒸着膜間で剥離が発生した。なお、LZ91剤の化成皮膜形成プロセスの化成処理薬剤としてはGR MC−1670A(ミリオン化学製商品型番)を用い、他のAZ系のMg合金の化成処理薬剤には、ミリオン化学製のリン酸-マンガン系の皮膜化成薬剤を使用した。

0050

[比較例2]:比較例2においては、マグネシウムリチウム合金製の試験片表面亜鉛置換後、Cu電解めっき+Ni光沢めっき膜厚:合計20μm)をめっきで形成した。めっきで金属層(Cu/Ni)を被覆した試験片を、MIL−STD−106D−202Eで規定される温湿度サイクルを10サイクル印加した前後で外観変化を比較すると、ほとんど変化が見られなかった。

0051

次に、めっきで金属層(Cu/Ni)を被覆した試験片に塗装処理により、プロミネンスSP07 N−6グレー(ミカサペイント製商品型番)からなる下塗り層14及びHC−1 Premium Silver Matte2(ミカサペイント製商品型番)からなる上塗り層14を設ける。この試料片に対して温湿度サイクル後の塗装評価を行った結果、図16に示すように、上述の碁盤目試験でNi/塗装膜間で塗装剥離が発生した。

0052

本発明の実施例2においては、化成皮膜の凹凸によるアンカー効果により塗装皮膜との密着性が向上することが確認でき、完全に金属膜で被覆してしまう処理よりも密着性を向上できる。これによって、耐食性向上が困難であったリチウムを含むマグネシウム合金でも従来のリチウムを含まないマグネシウム合金と同程度の耐食性を有することが可能となるため、従来よりも軽量な筐体を作製できる。

実施例

0053

ここで、実施例1及び実施例2を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ及びフッ素を含有する化成皮膜を有するマグネシウムリチウム合金基体。
(付記2)前記化成皮膜は、スズの酸化物およびスズのフッ化物であり、前記化成皮膜が前記マグネシウムリチウム合金基材の表面を部分的に覆っている付記1に記載のマグネシウムリチウム合金基体。
(付記3)付記1または付記2に記載のマグネシウムリチウム合金基体を、筐体として用いた携帯電子機器。
(付記4)前記化成皮膜上に塗装皮膜を有する付記3に記載の携帯電子機器。
(付記5)マグネシウムリチウム合金基材を脱脂処理する工程と、前記マグネシウムリチウム合金基体の表面をフッ素を含む酸で活性化する工程と、前記活性化後の前記マグネシウムリチウム合金基材の表面のフッ化リチウムを除去する工程と、前記フッ化リチウムを除去した前記マグネシウムリチウム合金基材をスズ化合物を添加した皮膜化成薬剤中に浸漬して前記マグネシウムリチウム合金基材の表面にスズ反応生成物を含む化成皮膜を形成する工程とを有しているマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。
(付記6)前記フッ化リチウムを除去する工程と前記化成皮膜を形成する工程との間に、デスマット工程をさらに設けた付記5に記載のマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。
(付記7)前記皮膜化成薬剤中に添加するスズ化合物が、フッ化第一スズであり、前記皮膜化成薬剤中に添加するフッ化第一スズの濃度が500ppm〜1000ppmである付記6に記載のマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。
(付記8)前記脱脂処理する工程の前に、前記マグネシウムリチウム合金基材を、携帯電子機器の筐体としてプレス加工する工程を備えた付記5乃至付記7のいずれか1に記載のマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。
(付記9)前記化成皮膜の形成工程の後に、前記化成皮膜上に塗装皮膜を形成する工程をさらに有する付記5乃至付記8のいずれか1に記載のマグネシウムリチウム合金基材の化成処理方法。

0054

11マグネシウムリチウム合金基材
12Li原子
13化成皮膜
14 スズのフッ化物やスズの酸化物
15塗装皮膜
21,41 マグネシウムリチウム合金基材
22,42 Li原子
23,43遊離Li原子
24,44 フッ化リチウム
25,45 化成皮膜
26 スズのフッ化物やスズの酸化物
27下塗り層
28上塗り層
30ノートパソコン
31 本体
32筐体
33フロントカバー
34バックカバー
35アッパーカバー
36ロアカバー
37 液晶パネル

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