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図面 (1)

課題

流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体産生誘導活性、及び液性免疫応答誘導活性に優れ、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる豚流行性下痢の予防又は治療方法ワクチンキット、経口又は経鼻投与用ワクチン、及び筋肉内投与用ワクチンを提供すること。

解決手段

豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する第1の投与工程と、前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する第2の投与工程と、を含む豚流行性下痢の予防又は治療方法である。

概要

背景

流行性下痢(Porcine epidemic diarrhea;PED)は、感染した豚の糞便中に含まれるPEDウイルス(PEDV)の経口感染によって引き起こされ、水様性の下痢及び食欲不振主徴とし、1週齢以下の哺乳豚において、非常に高い致死率を示すウイルス性感染症である(非特許文献1参照)。一度、養豚農場内にPEDVが侵入すると、清浄化が困難であり、甚大な経済被害をもたらす点で問題となっている。実際に、近年アジア諸国及び米国を中心とする北米大陸で豚流行性下痢が流行し、甚大な経済的被害をもたらした(非特許文献2参照)。

PEDVの標的細胞は、消化管、特に空腸及び回腸上皮細胞である(非特許文献3参照)。一部のPEDVは、粘膜下リンパ組織を通じて血流に入ると考えらてれおり、PEDV遺伝子が全身臓器で検出される時期もある。しかし、PEDVは、他の臓器での二次的な増殖を示さず、消化管上皮細胞で増殖した後、糞便から排泄され、新たな感染源となる。離乳期以降の豚では、PEDVに対する感受性が低下し、強制的にPEDVを経口投与しても無症状で経過することもある。しかし、他の病原体の感染、出産及び過密飼育などのストレス状況下にある豚がPEDVに暴露されると、食欲不振及び下痢等の症状を一過性発現してしまう場合もある(非特許文献4参照)。

豚流行性下痢に対するワクチン(以下、「PEDワクチン」と称することがある)は、1990年代後半より日本、韓国、中国、フィリピン、及び米国で市販されている。これらの従来のPEDワクチンは、母豚妊娠期間中に接種され、分娩後の母豚の乳汁中にPEDVに対する中和抗体分泌させ、哺乳豚がこの乳汁を摂取することにより該哺乳豚の消化管内に侵入したPEDVを中和させるという機序の元に設計されてきた(非特許文献5参照)。哺乳豚は、初乳に含まれる移行抗体だけではPEDV感染から免れることはできず、哺乳期間を通じて、前記PEDワクチンによる高濃度のPEDVに対する中和抗体が含まれる乳汁を摂取し続けることでPEDVを中和することができ、これにより豚流行性下痢の発症を阻止することや、症状を軽減することができる。

しかし、何らかの原因で子豚が乳汁を摂取できない状況に陥ると、該子豚は、PEDVに感染して重症化してしまうという問題があった。また、PEDV抗体陰性の母豚及び免疫レベルの低い母豚が大量のPEDVに暴露された場合は、泌乳量の減少を伴う全身症状を呈し、PEDワクチンの効果を十分に発揮できないという問題もあった。

更に、前記従来のPEDワクチンの効果は、PEDVによって引き起こされる症状の軽減及び子豚の死亡率の低下が限界であり、液性免疫応答誘導が不十分でIgA抗体応答を十分に誘導することができないという問題もあった(非特許文献6参照)。

したがって、乳汁中にPEDV特異的な中和抗体の産生を誘導することができるだけでなく、母豚自身に感染防御可能な免疫応答を誘導することができる新たな豚流行性下痢に対するワクチンや、豚流行性下痢の予防又は治療方法の提供が強く望まれているのが現状である。

概要

豚流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体の産生誘導活性、及び液性免疫応答の誘導活性に優れ、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる豚流行性下痢の予防又は治療方法、ワクチンキット、経口又は経鼻投与用ワクチン、及び筋肉内投与用ワクチンを提供すること。豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する第1の投与工程と、前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する第2の投与工程と、を含む豚流行性下痢の予防又は治療方法である。なし

目的

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

流行性下痢ウイルス生ワクチンアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する第1の投与工程と、前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する第2の投与工程と、を含むことを特徴とする豚流行性下痢の予防又は治療方法

請求項2

アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである請求項1に記載の豚流行性下痢の予防又は治療方法。

請求項3

経口又は経鼻投与用の豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン、経口又は経鼻投与用アジュバント、筋肉内投与用の前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン、及び筋肉内投与用アジュバントを有することを特徴とするワクチンキット

請求項4

経口又は経鼻投与用アジュバント及び筋肉内投与用アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである請求項3に記載のワクチンキット。

請求項5

豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して後に追加免疫を付与される豚に対して用いられ、前記豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする経口又は経鼻投与用ワクチン。

請求項6

アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである請求項5に記載の経口又は経鼻投与用ワクチン。

請求項7

豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられ、前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする筋肉内投与用ワクチン。

請求項8

アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである請求項7に記載の筋肉内投与用ワクチン。

技術分野

0001

本発明は、流行性下痢の予防又は治療方法、経口又は経鼻投与ワクチン筋肉内投与用ワクチン、及びワクチンキットに関する。

背景技術

0002

豚流行性下痢(Porcine epidemic diarrhea;PED)は、感染した豚の糞便中に含まれるPEDウイルス(PEDV)の経口感染によって引き起こされ、水様性の下痢及び食欲不振主徴とし、1週齢以下の哺乳豚において、非常に高い致死率を示すウイルス性感染症である(非特許文献1参照)。一度、養豚農場内にPEDVが侵入すると、清浄化が困難であり、甚大な経済被害をもたらす点で問題となっている。実際に、近年アジア諸国及び米国を中心とする北米大陸で豚流行性下痢が流行し、甚大な経済的被害をもたらした(非特許文献2参照)。

0003

PEDVの標的細胞は、消化管、特に空腸及び回腸上皮細胞である(非特許文献3参照)。一部のPEDVは、粘膜下リンパ組織を通じて血流に入ると考えらてれおり、PEDV遺伝子が全身臓器で検出される時期もある。しかし、PEDVは、他の臓器での二次的な増殖を示さず、消化管上皮細胞で増殖した後、糞便から排泄され、新たな感染源となる。離乳期以降の豚では、PEDVに対する感受性が低下し、強制的にPEDVを経口投与しても無症状で経過することもある。しかし、他の病原体の感染、出産及び過密飼育などのストレス状況下にある豚がPEDVに暴露されると、食欲不振及び下痢等の症状を一過性発現してしまう場合もある(非特許文献4参照)。

0004

豚流行性下痢に対するワクチン(以下、「PEDワクチン」と称することがある)は、1990年代後半より日本、韓国、中国、フィリピン、及び米国で市販されている。これらの従来のPEDワクチンは、母豚妊娠期間中に接種され、分娩後の母豚の乳汁中にPEDVに対する中和抗体分泌させ、哺乳豚がこの乳汁を摂取することにより該哺乳豚の消化管内に侵入したPEDVを中和させるという機序の元に設計されてきた(非特許文献5参照)。哺乳豚は、初乳に含まれる移行抗体だけではPEDV感染から免れることはできず、哺乳期間を通じて、前記PEDワクチンによる高濃度のPEDVに対する中和抗体が含まれる乳汁を摂取し続けることでPEDVを中和することができ、これにより豚流行性下痢の発症を阻止することや、症状を軽減することができる。

0005

しかし、何らかの原因で子豚が乳汁を摂取できない状況に陥ると、該子豚は、PEDVに感染して重症化してしまうという問題があった。また、PEDV抗体陰性の母豚及び免疫レベルの低い母豚が大量のPEDVに暴露された場合は、泌乳量の減少を伴う全身症状を呈し、PEDワクチンの効果を十分に発揮できないという問題もあった。

0006

更に、前記従来のPEDワクチンの効果は、PEDVによって引き起こされる症状の軽減及び子豚の死亡率の低下が限界であり、液性免疫応答誘導が不十分でIgA抗体応答を十分に誘導することができないという問題もあった(非特許文献6参照)。

0007

したがって、乳汁中にPEDV特異的な中和抗体の産生を誘導することができるだけでなく、母豚自身に感染防御可能な免疫応答を誘導することができる新たな豚流行性下痢に対するワクチンや、豚流行性下痢の予防又は治療方法の提供が強く望まれているのが現状である。

先行技術

0008

Zimmerman J.J. et al., Diseases of swine, 10th edition, Wiley−Blackwell 2012
Lee C., Virol J, 2015, Vol.12, p.193
Sueyoshi M. et al., J. Comp. Pathol, 1995, Vol.113(1), pp.59−67
▲崎▼子、「近年流行している豚流行性下痢(PED)について」、獣医疫学雑誌、2014年、18(1), pp.85−89
哲朗、「豚流行性下痢生ワクチンの特徴とその効果」、月刊ピッグジャーナル、2014年、2月号、pp.22−25
Song D. et al., Clin. Exp. Vaccine Res., 2015, Vol.4(2), pp.166−176

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、豚流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体の産生誘導活性、及び液性免疫応答の誘導活性に優れ、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる豚流行性下痢の予防又は治療方法、ワクチンキット、経口又は経鼻投与用ワクチン、及び筋肉内投与用ワクチンを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与した後、豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与により追加投与すると、従来の豚流行性下痢に対するワクチンと比較して、豚流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体の産生誘導が増強されるだけでなく、豚流行性下痢ウイルスに特異的なIgA抗体も誘導することができることを見出した。更に、これらの抗体は、乳汁中に分泌され、子豚における感染防御を可能にするのみならず、母豚自身の感染も防御可能であることを見出した。

0011

本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1>豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する第1の投与工程と、
前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する第2の投与工程と、を含むことを特徴とする豚流行性下痢の予防又は治療方法である。
<2> 経口又は経鼻投与用の豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン、経口又は経鼻投与用アジュバント、筋肉内投与用の前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン、及び筋肉内投与用アジュバントを有することを特徴とするワクチンキットである。
<3> 豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して後に追加免疫を付与される豚に対して用いられ、
前記豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする経口又は経鼻投与用ワクチンである。
<4> 豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられ、
前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする筋肉内投与用ワクチンである。

発明の効果

0012

本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、豚流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体の産生誘導活性、及び液性免疫応答の誘導活性に優れ、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる豚流行性下痢の予防又は治療方法、ワクチンキット、経口又は経鼻投与用ワクチン、及び筋肉内投与用ワクチンを提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、PEDVスパイク遺伝子の系統樹解析の結果を示す図である。

0014

(豚流行性下痢の予防又は治療方法)
本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法は、第1の投与工程と、第2の投与工程とを含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。

0015

<第1の投与工程>
前記第1の投与工程は、豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する工程である。

0016

<<豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の生ワクチン>>
前記PEDVの生ワクチンは、PEDVの毒性を弱毒化したワクチンである。
PEDVは、コロナウイルス科(Coronaviridae)、アルファコロナウイルス属(Alphacoronavirus)に属するウイルスであり、グループI及びグループIIの2つの遺伝学的グループに分類されている。

0017

前記PEDVの生ワクチンに用いられるPEDVの分類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記グループI及び前記グループIIのいずれであってもよい。これらのPEDVは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0018

前記PEDVの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PEDVに感染した豚から分離して入手する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。

0019

前記PEDVに感染した豚から分離して入手する方法の具体例としては、以下の方法などが挙げられる。
豚流行性下痢(PED)を発症した豚から小腸採取して組織乳剤を調製した後、該組織乳剤をPEDに感染していない豚に経口投与し、数日間後に該豚の小腸を採取し、これを用いて組織乳剤を調製する。このような継代を適宜選択した回数行った後、最後の代から得られた組織乳剤に、終濃度が5μg/mL〜10μg/mLとなるようにトリプシンを添加し、コンフルエントにしたVero細胞に接種し、5μg/mL〜10μg/mLトリプシン加培養液中で培養する。光学顕微鏡細胞変性効果CPE)を毎日確認し、CPEが確認された時点で培養を停止する。前記CPEが確認されたVero細胞の培養上清から、常法によりRNAを抽出し、配列番号1〜16で表されるプライマー配列を用いてRTPCRを行う。次いで、常法により、増幅したRT−PCR産物を任意のベクタークローニングし、プラスミドを得る。このプラスミド中のPEDVスパイク遺伝子(以下、「PEDV S遺伝子」と称することがある)の塩基配列を常法により解析し、解析した各配列断片アセンブリし、例えば、MEGA4.0ソフトウェア(http://www.megasoftware.net)を用いて、近隣接合法による系統樹解析を行うことにより、前記グループI及び前記グループIIのいずれの遺伝的グループに属するPEDVであるかを判別することができる。

0020

前記市販品を用いる方法の具体例としては、市販されている生ワクチンを、Vero細胞に接種し、培養する方法などが挙げられる。この場合、トリプシン非添加の培養液を用いることが好ましい。

0021

前記グループIに属するPEDVとしては、例えば、P−5V株(Sato T. et al., Virus Genes, 2011, Vol.43(1), pp.72−78)、CV777株(Pensaert M.B. et al., Arch. Virol., 1978, Vol.58(3), pp.243−247)、DR13株(Park S.J. et al., Virus Genes, 2007, Vol 35(1), pp.55−64)、96−P4C6株(一般財団法人化学血清療法研究所スイムジェン登録商標TGE/PEDワクチン株)、JS−2004−2株(Zhao P.D. et al.,Can.J.Vet.Res.,2015, Vol.79(1),8−15)、OH851株(Wang L. et al., Emerg. Infect. Dis., 2014, Vol.20(5),pp.917−919)、CH/FJND−1/2011株(Tian Y., et al., Viruses, 2013, Vol.5(8), pp.1991−2004)、DX株(Zhao P.D. et al.,Can.J.Vet.Res.,2015, Vol.79(1),8−15)などが挙げられる。
また、前記P−5V株は、日生研PED生ワクチン(日生研株式会社製)から前記方法により容易に培養することもできる。

0022

前記グループIIに属するPEDVとしては、例えば、MZ0116−2/2013株(後述の「試験例2」参照)、OKN−1/JPN/2013株(Suzuki T. et al., Infect. Genet. Evol.2015, Vol.36, pp.363−368)、USA/Colorado/2013株(Marthaler D. et.al.,Genome Announce., 2013, Vol.1(4), pp.e00555−13)、USA/Minnesota188/2014株(Marthaler D. et al., Emerg. Infect. Dis., 2014, Vol.20(12), pp.2162−2163)などが挙げられる。

0023

前記PEDVの毒性を弱毒化する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記PEDVを異種宿主継代培養する方法などが挙げられる。
前記異種宿主としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養細胞発育鶏卵などが挙げられる。

0024

前記第1の投与工程における前記PEDVの生ワクチンの投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができるが、1回の投与当たりのウイルス含有量が107.0 TCID50以上となる投与量(107.0 TCID50/ドーズ以上)であることが好ましい。前記投与量が、107.0 TCID50/ドーズ未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがある。

0025

<<アジュバント>>
前記アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム塩完全フロイントアジュバント不完全フロイントアジュバントサポニンモノホスホリルリピッドA(Monophosphoryl lipid A:MPL)、マイクロエマルジョンアジュバント、コレラトキシン大腸菌易熱性毒素CpGオリゴヌクレオチドポリイノシンポリシジン酸(poly(I:C))、ポリマーアジュバント、スクアレンデキストリン誘導体流動パラフィントコフェロール酢酸エステルポリソルベートなどが挙げられる。前記アジュバントは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、マイクロエマルジョンアジュバント、コレラトキシン、大腸菌易熱性毒素、CpGオリゴヌクレオチド、ポリイノシンポリシチジン酸(poly(I:C))、ポリマーアジュバント、スクアレンなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0026

前記マイクロエマルジョンアジュバントは、水中に分散された微小油性粒子からなるものである。前記微小油性粒子とは、軽鉱物油界面活性剤とを混合し、水中で乳化することにより5nm〜500nmの粒子を形成させたものである。

0027

前記軽鉱物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動パラフィン、エーテル化流動パラフィン、軽質流動パラフィン日本薬局方)などが挙げられる。これらの軽鉱物油は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0028

前記流動パラフィンとしては、例えば、商品名で、MARCOL(商標)52(商品名、Exxon Mobil社製)、Penreco(登録商標)Drakeol(登録商標)6VR(商品名、Penreco社製)などが挙げられる。

0029

前記マイクロエマルジョンアジュバントにおける前記軽鉱物油の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%〜10.0質量%が好ましく、0.01質量%〜0.1質量%がより好ましい。前記軽鉱物油の含有量が、0.001質量%未満であると、粒子が不安定になることがあり、10.0質量%を超えると、接種対象動物に対して接種物遺残をもたらすことがある。

0030

前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マンナイドモノオレイン酸、オレイン酸マンタンエステルエトキシル化誘導体、モノステアリン酸グリセリルモノラウリン酸デカグリセリルソルビタンモノオレエートポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテートなどが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0031

前記マイクロエマルジョンアジュバントにおける前記界面活性剤の含有量としては、前記軽鉱物油を乳化してマイクロエマルジョンとすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0032

前記マイクロエマルジョンアジュバントは、更にキレート化剤を含んでいてもよい。前記マイクロエマルジョンアジュバントがキレート化剤を含むと、前記微小油性微粒子に結合した抗原(PEDV)を安定化することや、微小油性粒子の免疫担当細胞への結合を介助する作用を奏する点で有利である。

0033

前記キレート化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコン酸カルシウムグルコン酸マンガンサリチル酸アルミニウム、可溶性酢酸アルミニウム等の多イオン性複合体などが挙げられる。これらのキレート化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0034

前記マイクロエマルジョンアジュバントにおける前記キレート化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.002質量%〜30質量%が好ましく、0.01質量%〜15質量%がより好ましい。前記キレート化剤の含有量が、0.002質量%未満であると、免疫応答活性を増強することができないことがあり、30質量%を超えると、接種動物に対して副作用がもたらされることがある。

0035

前記キレート化剤を含有するマイクロエマルジョンアジュバントを調製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水に、前記軽鉱物油、前記界面活性剤、及び前記キレート化剤を添加し、公知の乳化手段により乳化して、マイクロエマルジョンアジュバントとする方法などが挙げられ、具体的には、特開20004−131417号公報、特開2005−75752号公報に記載の方法などを用いることができる。また、前記マイクロエマルジョンアジュバントは、市販品を用いてもよく、市販品の具体例としては、MONTANIDEIMシリーズのIMS 1312 VG、IMS 1313 VG、IMS 251C、IMS 2215 VG、IMS 3012 VG ST(いずれも、SEPPIC社製)などが挙げられる。

0036

前記第1の投与工程における前記アジュバントの投与量としては、前記PEDVの生ワクチンの効果を損なわない限り、特に制限はなく、アジュバントの種類、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状などの様々な要因を考慮して適宜選択することができる。

0037

前記アジュバントが、前記マイクロエマルジョンアジュバントである場合の投与量としても、特に制限はないが、前記マイクロエマルジョンアジュバントと前記PEDVの生ワクチンを含むウイルス液との体積比が、20/80〜80/20となる投与量が好ましく、50/50となる投与量が特に好ましい。前記体積比(マイクロエマルジョンアジュバント/PEDVの生ワクチンを含むウイルス液)が、20/80未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがあり、80/20を超えると、投与部位腫脹硬結発赤発熱アナフィラキシーショックなどが起こることや、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことなどがある。

0038

前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する時期としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られ、かつ、前記第2の投与工程の前であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを、同時に投与してもよく、別々に投与してもよいが、同時に投与することが簡便である点で好ましい。

0039

前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを同時に経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを混合した組成物を投与する方法などが挙げられる。
前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを混合した組成物としては、後述する本発明の経口又は経鼻投与用ワクチンが好適に用いられる。

0040

前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとを別々に経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する場合、前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとの投与順序としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記PEDVの生ワクチンと前記アジュバントとの投与間隔としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0041

前記第1の投与工程を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明は、前記第1の投与工程を1回行うだけでも十分な効果を得ることができる点で有利である。

0042

<第2の投与工程>
前記筋肉内投与工程は、前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記第1の投与工程後の豚に投与する工程である。

0043

<<豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の不活化ワクチン>>
PEDVの不活化ワクチンは、PEDVの病原性消失又は毒素無毒化したワクチンである。
前記PEDVの不活化ワクチンに用いられるPEDVの分類、入手方法などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の投与工程の中のPEDVの生ワクチンの項目で記載した態様などが挙げられる。

0044

前記PEDVの感染能を不活化する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記PEDVをホルマリン等の薬剤で処理する方法、加熱する方法、pHを変化させる方法、ガンマ線照射する方法、紫外線を照射する方法などが挙げられる。
前記PEDVの不活化ワクチンに使用するPEDVは、分離したウイルスをそのまま不活化してもよく、前記弱毒化したPEDVを不活化してもよい。

0045

前記第2の投与工程における前記PEDVの不活化ワクチンの投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができるが、1回の投与当たりのウイルス含有量が106.5 TCID50以上となる投与量(106.5 TCID50/ドーズ以上)が好ましく、107.5 TCID50以上となる投与量(107.5 TCID50/ドーズ以上)がより好ましい。前記投与量が、106.5 TCID50/ドーズ未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがある。

0046

<<アジュバント>>
前記アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の投与工程の中のアジュバントの項目で記載したものなどが挙げられる。
これらの中でも、アルミニウム塩、マイクロエマルジョンアジュバント、ポリマーアジュバント、デキストリン誘導体、流動パラフィン、スクアレン、トコフェロール酢酸エステル、ポリソルベートなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0047

前記マイクロエマルジョンアジュバントの態様は、前記第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものと同様である。

0048

前記第2の投与工程における前記アジュバントの投与量としては、前記PEDVの不活化ワクチンの効果を損なわない限り、特に制限はなく、アジュバントの種類、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状などの様々な要因を考慮して適宜選択することができる。

0049

前記アジュバントが、前記マイクロエマルジョンアジュバントである場合の投与量としても、特に制限はないが、前記マイクロエマルジョンアジュバントと前記PEDVの不活化ワクチンを含むウイルス液との体積比が、20/80〜80/20となる投与量が好ましく、50/50となる投与量が特に好ましい。前記体積比(マイクロエマルジョンアジュバント/PEDVの不活化ワクチンを含むウイルス液)が、20/80未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがあり、80/20を超えると、投与部位の腫脹、硬結、発赤、発熱、アナフィラキシーショックなどが起こることや、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことなどがある。

0050

前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する時期としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られ、かつ、前記第1の投与工程の後あれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを、同時に投与してもよく、別々に投与してもよいが、同時に投与することが簡便である点で好ましい。

0051

前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを同時に筋肉内投与で前記豚に投与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを混合した組成物を投与する方法などが挙げられる。
前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを混合した組成物としては、後述する本発明の筋肉内投与用ワクチンが好適に用いられる。

0052

前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとを別々に筋肉内与で前記豚に投与する場合、前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとの投与順序としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記PEDVの不活化ワクチンと前記アジュバントとの投与間隔としては、前記アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0053

前記第2の投与工程を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明は、前記第2の投与工程を1回行うだけでも十分な効果を得ることができる点で有利である。

0054

前記第1の投与工程と、前記第2の投与工程との投与間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1週間〜20週間が好ましく、2週間〜10週間がより好ましく、4週間〜10週間が特に好ましい。前記投与間隔が、1週間未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがあり、20週間を超えても、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがある。

0055

(ワクチンキット)
本発明のワクチンキットは、経口又は経鼻投与用の豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン、経口又は経鼻投与用アジュバント、筋肉内投与用の前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン、及び筋肉内投与用アジュバントを有し、必要に応じて、更にその他の構成を有する。

0056

<経口又は経鼻投与用の豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の生ワクチン>
前記経口又は経鼻投与用のPEDV生ワクチンに用いられるPEDVの分類、入手方法、PEDVの毒性を弱毒化する方法などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のPEDVの生ワクチンの項目で記載したものなどが挙げられる。

0057

前記ワクチンキットにおける前記経口又は経鼻投与用のPEDV生ワクチンのウイルス含有量としては、特に制限はなく、使用回数などに応じて適宜選択することができる。前記経口又は経鼻投与用のPEDV生ワクチンの1回の投与当たりのウイルス含有量は、107.0 TCID50/ドーズ以上であることが好ましい。また、前記経口又は経鼻投与用のPEDV生ワクチンは、前記ワクチンキットの使用時に、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択希釈等により調整することができる。

0058

<経口又は経鼻投与用アジュバント>
前記経口又は経鼻投与用アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものなどが挙げられる。
これらの中でも、マイクロエマルジョンアジュバント、コレラトキシン、大腸菌易熱性毒素、CpGオリゴヌクレオチド、ポリイノシンポリシチジン酸(poly(I:C))、ポリマーアジュバント、スクアレンなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0059

前記マイクロエマルジョンアジュバントの態様は、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものと同様である。

0060

前記ワクチンキットにおける前記経口又は経鼻投与用アジュバントの量としては、特に制限はなく、使用回数、前記経口又は経鼻投与用のPEDV生ワクチンを含むウイルス液の量などに応じて、適宜選択することができる。

0061

前記ワクチンキットは、前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと、前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを、個別の構成として有していてもよく、これらを混合した組成物の状態で有していてもよい。
前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを混合した組成物としては、後述する本発明の経口又は経鼻投与用ワクチンが好適に用いられる。

0062

<筋肉内投与用の豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の不活化ワクチン>
前記筋肉内投与用のPEDV不活化ワクチンに用いられるPEDVの分類、入手方法、PEDVの感染能を不活化する方法などしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第2の投与工程の中のPEDVの不活化ワクチンの項目で記載した態様などが挙げられる。

0063

前記ワクチンキットにおける前記筋肉内投与用のPEDV不活化ワクチンのウイルス含有量としては、特に制限はなく、使用回数などに応じて適宜選択することができる。前記筋肉内投与用のPEDV不活化ワクチンの1回の投与当たりのウイルス含有量は、106.5 TCID50/ドーズ以上が好ましく、107.5 TCID50/ドーズ以上がより好ましい。また、前記筋肉内投与用のPEDV不活化ワクチンは、前記ワクチンキットの使用時に、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択希釈等により調整することができる。

0064

<筋肉内投与用アジュバント>
前記筋肉内投与用アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものなどが挙げられる。
これらの中でも、アルミニウム塩、マイクロエマルジョンアジュバント、ポリマーアジュバント、デキストリン誘導体、流動パラフィン、スクアレン、トコフェロール酢酸エステル、ポリソルベートなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0065

前記マイクロエマルジョンアジュバントの態様は、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものと同様である。

0066

前記ワクチンキットにおける前記筋肉内投与用アジュバントの量としては、特に制限はなく、使用回数、前記筋肉内投与用のPEDV不活化ワクチンを含むウイルス液の量などに応じて適宜選択することができる。

0067

前記ワクチンキットは、前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと、前記筋肉内投与用アジュバントとを、個別の構成として有していてもよく、これらを混合した組成物の状態で有していてもよい。
前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとを混合した組成物としては、後述する本発明の筋肉内投与用ワクチンが好適に用いられる。

0068

<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶解液希釈用生理食塩水、用事調製用容器シリンジ注射針添付文書などが挙げられる。

0069

前記溶解液の組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する本発明の経口又は経鼻投与用ワクチンの中のその他の成分の項目に記載のものなどが挙げられる。

0070

使用方法
前記ワクチンキットは、前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを経口投与又は経鼻投与した後、前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとを筋肉内投与して用いる。

0071

前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとは、同時に投与してもよく、別々に投与してもよいが、同時に投与することが簡便である点で好ましい。

0072

前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを同時に経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する場合は、前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを混合した前記組成物を用いることが好ましい。

0073

前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとを別々に経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する場合、前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとの投与順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記経口又は経鼻投与用のPEDVの生ワクチンと前記経口又は経鼻投与用アジュバントとの投与間隔としては、前記経口又は経鼻投与用アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0074

前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとは、同時に投与してもよく、別々に投与してもよいが、同時に投与することが簡便である点で好ましい。

0075

前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとを同時に筋肉内投与で前記豚に投与する場合は、前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとを混合した前記組成物を用いることが好ましい。

0076

前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとを別々に筋肉内与で前記豚に投与する場合、前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとの投与順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記筋肉内投与用のPEDVの不活化ワクチンと前記筋肉内投与用アジュバントとの投与間隔としては、前記筋肉内投与用アジュバントのアジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0077

前記ワクチンキットは、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法に好適に使用することができる。

0078

(経口又は経鼻投与用ワクチン)
本発明の経口又は経鼻投与用ワクチンは、豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン及びアジュバントを含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して後に追加免疫を付与される豚に対して用いられる。

0079

<豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の生ワクチン>
PEDVの生ワクチンに用いられるPEDVの分類、入手方法、PEDVの毒性を弱毒化する方法などしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のPEDVの生ワクチンの項目で記載した態様などが挙げられる。

0080

前記経口又は経鼻投与用ワクチンにおける前記PEDVの生ワクチンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、107.0 TCID50/ドーズ以上であることが好ましい。前記含有量が、107.0 TCID50/ドーズ未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがある。

0081

<アジュバント>
前記アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものなどが挙げられる。
これらの中でも、マイクロエマルジョンアジュバント、コレラトキシン、大腸菌易熱性毒素、CpGオリゴヌクレオチド、ポリイノシンポリシチジン酸(poly(I:C))、ポリマーアジュバント、スクアレンなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0082

前記マイクロエマルジョンアジュバントの態様は、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものと同様である。

0083

前記経口又は経鼻投与用ワクチンにおける前記アジュバントの含有量としては、前記PEDVの生ワクチンの効果を損なわず、アジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0084

前記アジュバントが、前記マイクロエマルジョンアジュバントである場合、前記経口又は経鼻投与用ワクチンにおける前記マイクロエマルジョンアジュバントの含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20体積%〜80体積%が好ましく、50体積%が特に好ましい。前記マイクロエマルジョンの含有量が、20体積%未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがあり、80体積%を超えると、投与部位の腫脹、硬結、発赤、発熱、アナフィラキシーショックなどが起こることや、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことなどがある。

0085

<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0086

前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤保存剤粘結剤増粘剤固着剤結合剤着色剤安定化剤pH調整剤緩衝剤等張化剤溶剤酸化防止剤紫外線防止剤結晶析出防止剤消泡剤、物性向上剤防腐剤などが挙げられる。

0087

前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウム塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。

0088

前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類クロロブタノールクレゾールチメロサールフェノキシエタノールなどが挙げられる。

0090

前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノールプロパノール単シロップブドウ糖液デンプン液ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラックリン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

0091

前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン酸化鉄などが挙げられる。

0092

前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン、ピロ亜硫酸ナトリウムエチレンジアミン四酢酸EDTA)、チオグリコール酸チオ乳酸などが挙げられる。

0093

前記pH調整剤又は前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウム酢酸ナトリウムリン酸ナトリウムなどが挙げられる。

0094

前記等張化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウムブドウ糖などが挙げられる。

0095

前記経口又は経鼻投与用ワクチンにおける前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0096

剤型
前記経口又は経鼻投与用ワクチンの剤型としては、経口投与又は経鼻投与することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤液剤などが挙げられる。これらの中でも、前記経口投与用ワクチンとしては、前記固形剤、前記液剤などが好ましく、前記経鼻投与用ワクチンとしては、前記液剤が好ましい。

0097

−固形剤−
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬カプセル剤軟カプセル剤などが挙げられる。

0098

−液剤−
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、経口投与用ワクチンとして用いられる場合、例えば、シロップ剤ドリンク剤懸濁剤酒精剤、混剤などが挙げられる。
前記液剤が、経鼻投与用ワクチンとして用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤エアゾール剤噴霧剤などが挙げられる。

0099

<製造方法>
前記経口又は経鼻投与用ワクチンを製造する方法としては、前記PEDVの生ワクチンと、前記アジュバントとを混合することができれば、特に制限はなく、剤型などに応じて公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。

0100

<使用>
前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、PEDVの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して後に追加免疫を付与される豚に対して用いられる。
前記豚に追加免疫を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記豚流行性下痢の予防又は治療方法の前記第2の工程に記載の方法が好適に用いられる。

0101

前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、1種単独で使用してもよく、他の成分を有効成分とする医薬と併用されてもよい。また、前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、他の成分を有効成分とする医薬、飼料飲水などに配合された状態で使用してもよい。

0102

前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、後にPEDVの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して追加免疫を付与されることにより、PEDVに特異的な中和抗体の産生を誘導することができ、更に液性免疫応答によりPEDVに特異的なIgAの産生も誘導することができるため、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる。

0103

前記経口又は経鼻投与用ワクチンは、母豚だけでなく、子豚にも直接投与することができるため、何らかの原因で乳汁を摂取することができない子豚や、母豚の乳汁中のPEDVに対する中和抗体の濃度が低い場合であっても、子豚のPEDVへの感染を予防又は治療することができる点で有利である。

0104

(筋肉内投与用ワクチン)
本発明の筋肉内投与用ワクチンは、豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン及びアジュバントを含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記筋肉内投与用ワクチンは、豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられる。

0105

<豚流行性下痢ウイルス(PEDV)の不活化ワクチン>
PEDVの不活化ワクチンに用いられるPEDVの分類、入手方法、PEDVの感染能を不活化する方法などしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第2の投与工程の中のPEDVの不活化ワクチンの項目で記載した態様などが挙げられる。

0106

前記筋肉内投与用ワクチンにおける前記PEDVの不活化ワクチンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、106.5 TCID50/ドーズ以上が好ましく、107.5 TCID50/ドーズ以上がより好ましい。前記含有量が106.5 TCID50/ドーズ未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがある。

0107

<アジュバント>
前記アジュバントの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものなどが挙げられる。
これらの中でも、アルミニウム塩、マイクロエマルジョンアジュバント、ポリマーアジュバント、デキストリン誘導体、流動パラフィン、スクアレン、トコフェロール酢酸エステル、ポリソルベートなどが好ましく、マイクロエマルジョンアジュバントが特に好ましい。

0108

前記マイクロエマルジョンアジュバントの態様は、上記した本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法の第1の投与工程の中のアジュバント項目で記載したものと同様である。

0109

前記筋肉内投与用ワクチンにおける前記アジュバントの含有量としては、前記PEDVの不活化ワクチンの効果を損なわず、アジュバント効果が得られる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0110

前記アジュバントが、前記マイクロエマルジョンアジュバントである場合、前記筋肉内投与用ワクチンにおける前記マイクロエマルジョンアジュバントの含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20体積%〜80体積%が好ましく、50体積%が特に好ましい。前記マイクロエマルジョンの含有量が、20体積%未満であると、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことがあり、80体積%を超えると、投与部位の腫脹、硬結、発赤、発熱、アナフィラキシーショックなどが起こることや、PEDV特異的な中和抗体の産生や液性免疫応答を誘導することができず、豚流行性下痢を予防又は治療することができないことなどがある。

0111

<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記経口又は経鼻投与用ワクチンのその他の成分の項目において記載したものなどが挙げられる。

0112

前記筋肉内投与用ワクチンにおける前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0113

<剤型>
前記筋肉内投与用ワクチンの剤型としては、筋肉内投与することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、注射剤などが挙げられる。

0114

−注射剤−
前記注射剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤などが挙げられる。

0115

<製造方法>
前記筋肉内投与用ワクチンを製造する方法としては、前記PEDVの不活化ワクチンと、前記アジュバントとを混合することができれば、特に制限はなく、剤型などに応じて公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。

0116

<使用>
前記筋肉内投与用ワクチンは、PEDVの生ワクチンとアジュバントと経口又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられる。
前記豚に初回免疫を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記豚流行性下痢の予防又は治療方法の前記第1の工程に記載の方法が好適に用いられる。

0117

前記筋肉内投与用ワクチンは、1種単独で使用してもよく、他の成分を有効成分とする医薬と併用されてもよい。また、前記筋肉内投与用ワクチンは、他の成分を有効成分とする医薬中に配合された状態で使用してもよい。

0118

前記筋肉内与用ワクチンは、PEDVの生ワクチンとアジュバントとを経口投与又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられることにより、PEDVに特異的な中和抗体の産生を誘導することができ、更に液性免疫応答によりPEDVに特異的なIgAの産生も誘導することができるため、効率よく豚流行性下痢を予防又は治療することができる。

0119

前記筋肉内投与用ワクチンは、母豚だけでなく、子豚にも直接投与することができるため、何らかの原因で乳汁を摂取することができない子豚や、母豚の乳汁中のPEDVに対する中和抗体の濃度が低い場合であっても、子豚のPEDVへの感染を予防又は治療することができる点で有利である。

0120

以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。

0121

(製造例1)
<PEDV(P−5V株)生ワクチン1の製造>
<<PEDVのP−5V株の分離及び作出>>
野外で豚流行性下痢(PED)を発症した子豚から小腸を採取し、10質量%組織乳剤とした。この10%組織乳剤を、PEDに感染していない子豚に経口投与し、2日間後、小腸を採取し、10質量%組織乳剤を作製した。同様の方法で、PEDに感染していない子豚で3代まで継代した。継代3代目の子豚から得られた組織乳剤に、終濃度が10μg/mLとなるようにトリプシンを添加し、予め25cm2培養フラスコでコンフルエントにしたVero細胞に接種し、37℃で60分間培養した。その後、以下に記載の方法で調製した培養液(以下、「10μg/mLトリプシン加培養液」と称することがある)5mLを加え、37℃で培養した。光学顕微鏡で細胞変性効果(CPE)を毎日確認し、CPEが確認された時点で培養を停止し、継代した。分離したウイルスの継代は、継代が進むにつれてトリプシン添加量を徐々に減少させ、最終的にトリプシン非添加とし、総継代数100代まで継代した。
−10μg/mLトリプシン加培養液−
500mLのMinimal Essential Media(MEM)(Thermo Fisher Scientific社製)に終濃度0.02%(w/v)となるように酵母エキス(Difco Laboratories社製)及び終濃度0.03%(w/v)となるようにトリプトースホスフェートブロス(Difco Laboratories社製)を溶解し、更にペニシリン50,000ユニットストレプトマイシン50mg、及び終濃度10μg/mLとなるようトリプシンを溶解した。

0122

<<P−5V株の同定>>
P−5V株の培養上清からTRIZol(登録商標)試薬(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、ウイルスRNAを抽出した。PEDV RNAをSuperScript(登録商標) III One−StepRT−PCRSystem(Thermo Fisher Scientific社製)及び下記表1に示す8種類のPEDV S遺伝子特異的プライマーセット(プライマーセット1〜8)を用いたRT−PCRにより、サーマルサイクラー(Veriti 96−Well Thermal Cycler、Thermo Fisher Scientific社製)にて増幅した。増幅したRT−PCR産物は、pCR(商標登録)2.1−TOPO TAベクター(Thermo Fisher Scientific社製)にヒートショック法を用いて大腸菌TOP10(Thermo Fisher Scientific社製)に形質転換し、クローニングした。大腸菌をLB培地(組成:塩化ナトリウム10g、Bacto Trypton 10g、酵母エキス5gを1Lの蒸留水に溶解)を用いて、37℃にて一晩培養した後、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を使用してプラスミドを精製した。精製したプラスミドから、BigDye(登録商標) Terminator v3.1試薬及び3130xlジェネティックアナライザ(Applied Biosystems社製)によって、PEDV S遺伝子塩基配列解読した。解読した各配列断片をアセンブリし、MEGA4.0ソフトウェア(http://www.megasoftware.net)を用いて、近隣接合法による系統樹解析を行った。
その結果、上記で得られた株は、PEDVの遺伝学的グループIのP−5V株と同定した(図1参照)。

0123

0124

<<PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1の調製>>
前記P−5V株をVero細胞に接種し、37℃で3日間培養後、Vero細胞を回収して凍結融解した。次いで、前記凍結融解物を遠心分離し、得られた上清を「PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液1」として回収した。前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液1に対して、7.5%(w/v)のポリエチレングリコール6000、及び1Mの塩化ナトリウムをそれぞれ添加し、4℃で一晩撹拌した後、遠心分離して沈殿を回収した。前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液1の1/20量(v/v)の生理食塩水で前記沈殿を溶解後、再度遠心分離を行い、得られた上清を「PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1」として回収した。

0125

ウイルス力価の測定−
前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1のウイルス力価(ウイルス感染価)を50%組織培養感染値量(50% Tissue Culture Infective Dose:TCID50)法により測定した。
具体的には、Vero細胞を0.75×106細胞/0.5ml/ウェルで24ウェル細胞培養プレート播種し、37℃で3日間培養した。測定対象の抗原液(ここでは、前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1)を培養液(500mLのMEM(Thermo Fisher Scientific社製)に終濃度0.02%(w/v)となるように酵母エキス(Difco Laboratories社製)及び終濃度0.03%(w/v)となるようにトリプトースホスフェートブロス(Difco Laboratories社製)を溶解し、更にペニシリン50,000ユニット、ストレプトマイシン50mgを溶解した)で10倍階段希釈し、Vero細胞へ接種後、37℃で90分間培養した。培養液を交換後、37℃で7日間培養した。細胞変性効果(CPE)を光学顕微鏡で観察し、Reed−Muench法に従いウイルス力価(TCID50)を算出した。
その結果、前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1のウイルス力価は、107.75 TCID50/mLであった。

0126

<<PEDV(P−5V株)生ワクチン1の調製>>
前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1と、マイクロエマルジョン(商品名:MONTANIDEIMS1313 VG、SEPPIC社製)とを等量(v/v)で混合し、室温(25±5℃)で5分間以上撹拌して、「PEDV(P−5V株)生ワクチン1」とした。

0127

(製造例2)
<PEDV(P−5V株)生ワクチン2の製造>
<<PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2の調製>>
製造例1で分離及び作出したPEDVのP−5V株をVero細胞に接種し、37℃で3日間培養後、Vero細胞を回収して凍結融解した。次いで、前記凍結融解物を遠心分離し、得られた上清を「PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液2」として回収した。前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液2に対して、7.5%(w/v)のポリエチレングリコール6000、及び1Mの塩化ナトリウムをそれぞれ添加し、4℃で一晩撹拌した後、遠心分離して沈殿を回収した。前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原液2の1/20量(v/v)の生理食塩水で前記沈殿を溶解後、再度遠心分離を行い、得られた上清を「PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2」として回収した。

0128

前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2のウイルス力価を、前記製造例1の「ウイルス力価の測定」の欄に記載のTCID50法により測定した。その結果、前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2のウイルス力価は、107.75 TCID50/mLであった。

0129

<<PEDV(P−5V株)生ワクチン2の調製>>
前記PEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2と、製造例1で調製したマイクロエマルジョンとを等量(v/v)で混合し、室温(25±5℃)で5分間以上撹拌して、「PEDV(P−5V株)生ワクチン2」とした。

0130

(製造例3)
<PEDV(P−5V株)不活化ワクチン1の製造>
<<PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液1の調製>>
製造例1で得られたPEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液1に対して、終濃度0.2%(v/v)となるように中性緩衝ホルマリン(関東化学株式会社製)を添加し、4℃で48時間攪拌して前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原を不活化することにより、「PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液1」を得た。

0131

<<PEDV(P−5V株)不活化ワクチン1の調製>>
前記PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液1と、製造例1で調製したマイクロエマルジョンとを等量(v/v)で混合し、室温(25±5℃)で5分間以上撹拌して、「PEDV(P−5V株)不活化ワクチン1」とした。

0132

(製造例4)
<PEDV(P−5V株)不活化ワクチン2の製造>
<<PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液2の調製>>
製造例2で得られたPEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液2に対して、終濃度0.2%(v/v)となるように中性緩衝ホルマリン(関東化学株式会社製)を添加し、4℃で48時間攪拌して前記PEDV(P−5V株)ウイルス抗原を不活化することにより、「PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液2」を得た。

0133

<<PEDV(P−5V株)不活化ワクチン2の調製>>
前記PEDV(P−5V株)不活化ウイルス抗原液2と、製造例1で調製したマイクロエマルジョンとを等量(v/v)で混合し、室温(25±5℃)で5分間以上撹拌して、「PEDV(P−5V株)不活化ワクチン2」とした。

0134

(実施例1)
<初回免疫>
PED抗体陰性の8週齢の豚に、製造例1で製造したPEDV(P−5V株)生ワクチン1(10mL、108.0 TCID50/ドーズ)を1回経口投与した。

0135

<追加免疫>
前記初回免疫から4週間後に、製造例3で製造したPEDV(P−5V株)不活化ワクチン1(2mL、107.5 TCID50/ドーズ)を1回筋肉内投与(注射)した。

0136

(比較例1)
<初回免疫>
PED抗体陰性の8週齢の豚に、製造例1で得たPEDV(P−5V株)濃縮ウイルス抗原液(10mL、108.0 TCID50/ドーズ)を1回経口投与した。

0137

<追加免疫>
前記初回免疫から4週間後に、製造例3で製造したPEDV(P−5V株)不活化ワクチン1(2mL、107.5 TCID50/ドーズ)を1回筋肉内投与(注射)した。

0138

(比較例2)
<初回免疫>
PED抗体陰性の8週齢の豚に、日生研PED生ワクチン(日生研株式会社製)(2mL)を1回筋肉内投与(注射)した。

0139

<追加免疫>
前記初回免疫から4週間後に、日生研PED生ワクチン(日生研株式会社製)(2mL)を1回筋肉内投与(注射)した。

0140

0141

(試験例1)
実施例1、比較例1、及び比較例2の豚について、初回免疫直前及び追加免疫から1週間後に、それぞれ血液を採取した。また、対照として、初回免疫及び追加免疫を行っていないPED抗体陰性の8週齢の豚についても、8週齢、12週齢、及び13週齢の時点で血液を採取した。次いで、以下に示す方法で、採取した血液中のPEDV中和抗体価の測定、及びPEDVに対するIgAの産生誘導を調べた。

0142

<PEDV中和抗体価の測定>
Vero細胞を0.75×106細胞/0.5ml/ウェルで24ウェル細胞培養プレートへ播種し、37℃で3日間培養した。培養液(500mLのMEM(Thermo Fisher Scientific社製)に終濃度0.02%(w/v)となるように酵母エキス(Difco Laboratories社製)及び終濃度0.03%(w/v)となるようにトリプトースホスフェートブロス(Difco Laboratories社製)を溶解し、更にペニシリン50,000ユニット、ストレプトマイシン50mgを溶解した)で2倍階段希釈した豚血清に、等量のP−5V株(200 TCID50)を含有するウイルス液を混合し、37℃で90分間反応させた。血清とP−5V株との混合液を、前記Vero細胞に接種し、37℃で90分間培養した。培養液を交換後、37℃で7日間培養した。細胞変性効果(CPE)を光学顕微鏡で観察してPEDV中和抗体価を測定した。結果を下記表3に示す。なお、中和抗体価の単位は、血清の希釈倍率(倍)で示す。

0143

<PEDVに対するIgAの産生誘導>
<<ウェスタンブロット法によるPEDVに対するIgAの検出>>
実施例1、比較例1、及び比較例2の追加免疫から1週間後に採取した血液をそれぞれ遠心分離し、血清を分離した。P−5V株(107.0 TCID50/mL)を含有するウイルス液200μLをSDS−PAGEゲルにて泳動した後、ポリフッ化ビリニデンPVDFフィルター(Merck Millipore社製)へブロッティングした。1次抗体として、3%(w/v)スキムミルク及び0.05%(w/v)Tween20を添加したPBS(組成:NaCl 8g、KCl 0.2g、Na2HPO4/12H2O 2.9g、及びKH2PO4 0.2gを、蒸留水1Lに溶解。以下の試験例においても同様の組成とする)で100倍希釈した豚血清を、2次抗体としてHRP標識抗豚IgAポリクローナル抗体(Acris Antibodies社製)を用い、検出試薬(商品名:ECLPrime Western Blotting Detection Reagent、GE Healthcare社製)により、PEDVに対するIgAを検出した。

0144

ウェスタンブロットの結果より、以下の評価基準に基づきPEDVに対するIgAの産生誘導の有無を評価した。結果を下記表3に示す。
−評価基準−
「−」:PEDVに対するIgAの産生誘導活性なし(ウェスタンブロットのバンドが検出されなかった)
「+」:PEDVに対するIgAの産生誘導活性あり(ウェスタンブロットのバンドが検出された)

0145

0146

初回免疫でアジュバントを含むPEDV(P−5V株)生ワクチン経口投与した場合(実施例1)は、アジュバントを含まないPEDVを経口投与した場合(比較例1)や、従来の筋肉内投与用ワクチンを2回投与した場合(比較例2)と比較して、顕著なPEDV特異的中和抗体の産生増強活性、及びPEDV特異的IgAの産生誘導活性が認められた。

0147

(試験例2)
実施例1及び比較例1の豚に、追加免疫から2週間後に、それぞれ以下の方法で分離及び作出した野外株であるMZ0116−2/2013株(以下、「野外株MZ」と称することがある)(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。また、対照として、初回免疫及び追加免疫を行っていないPED抗体陰性の14週齢の豚も、同様にして野外株MZ(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。次いで、以下に示す方法で、臨床症状の観察、糞便中のPEDV RNAの検出、及び臓器におけるPEDV RNAの検出を行った。

0148

<<PEDV(MZ0116−2/2013株(野外株MZ))の分離及び作出>>
豚流行性下痢(PED)で死亡した子豚から小腸を採取し、この小腸0.5gをビーズ入り破砕チューブ(Bertin Technologies社製)に入れ、高速細胞破砕機(Precellys、Bertin Technologies社製)で破砕後、培養液(MEM、Thermo Fisher Scientific社製)5mLに懸濁し、遠心分離した。遠心分離後の上清をポアサイズ(孔径)0.22μmのシリンジフィルター(GEヘルスケア社製)に通し、10質量%組織乳剤とした。次いで、前記10質量%組織乳剤300μLと、10μg/mLトリプシン加培養液100μLとを混合した混合液を調製した。予め6ウェルの細胞培養プレートでコンフルエントにしたVero細胞に、前記混合液を全量接種し、37℃で90分間培養した。次いで、前記混合液を除去し、10μg/mLトリプシン加培養液4mLを加え、37℃で培養した。光学顕微鏡で細胞変性効果(CPE)を毎日確認し、CPEが確認された時点で培養を停止した。上清及び細胞を回収し、凍結融解した後に遠心分離した上清を継代した。

0149

<<MZ0116−2/2013株の同定>>
製造例1の「P−5V株の同定」において、P−5V株の培養上清に代えて、野外株MZの培養上清を用いたこと以外は、前記「P−5V株の同定」と同様の方法で系統樹解析を行った。
その結果、上記で得られた株は、PEDVの遺伝学的グループIIの野外株MZと同定した(図1参照)。

0150

<臨床症状の観察>
実施例1、比較例1、及び対照を野外株MZで攻撃後0日目〜14日目に、毎日、糞便の状態及び食欲を観察し、以下の評価基準に基づき評価した。糞便の状態の結果を下記表4に、食欲の結果を下記表5に示す。
−糞便の状態の評価基準−
「0」:正常便
「1」:軟便
「2」:下痢便
「3」:水様性下痢便
−食欲の評価基準−
「0」:正常
「1」:軽度の不振
「2」:中程度の不振
「3」:重度の不振

0151

0152

0153

糞便の状態については、実施例1、比較例1、及び対照の全てにおいて0点であり、差が認められなかった(表4)。一方、食欲については、実施例1では正常であったのに対し、比較例1及び対照では食欲の不振が認められた(表5)。

0154

直腸スワブ中のPEDV RNAの検出>
実施例1、比較例1、及び対照を野外株MZで攻撃後0日目〜14日目の間、毎日、滅菌綿棒(オオサキメディカル株式会社製)を用いて直腸スワブを採取し、1mLのPBSに懸濁した。この懸濁液を遠心分離し、TRIZol(登録商標)試薬(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、ウイルスRNAを抽出した。PEDV RNAをSuperScript(登録商標) III One−StepRT−PCRSystem(Thermo Fisher Scientific社製)及びPEDV特異的プライマー(配列番号17で表されるプライマー9−F[5’−GATATGTTTGTAATGGTAACTC−3’]及び配列番号18で表されるプライマー9−R[5’−AGCATAGCTAAAAGGCAATGC−3’])を用いたRT−PCRにより、サーマルサイクラー(Veriti 96−Well Thermal Cycler、Thermo Fisher Scientific社製)にて増幅した。増幅したRT−PCR産物は、アガロースゲル電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドを用いて染色した後、紫外線照射によって検出した。各群の母数に対するPEDV RNAが検出された陽性個体の出現率(%)を算出した結果を下記表6に示す。

0155

0156

<臓器におけるPEDV RNAの検出>
実施例1、比較例1、及び対照を野外株MZで攻撃後14日目に、各個体の脾臓空回腸盲腸結腸、及び腸管リンパ節摘出し、それぞれ10質量%組織乳剤を作製した。各10質量%組織乳剤から、TRIZol(登録商標)試薬(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、各臓器におけるPEDV RNAを抽出した。次いで、GoTaq(登録商標) 1−StepRT−qPCRSystem(Promega社製)及びPEDV特異的プライマー(配列番号19で表されるプライマー10−F[5’−CGCAAAGACTGAACCCACTAAC−3’]及び配列番号20で表されるプライマー10−R[5’−TTGCCTCTGTTGTTACTTGGAGAT−3’])を用いたリアルタイムRT−PCRにより、StepOnePlus Real−Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社製)にてRNA量(log10 TCID50/mL相当)を定量した。結果を下記表7に示す。

0157

0158

表6の結果より、比較例1及び対照では、PEDV RNAが検出された陽性個体の出現率が高かったのに対し、実施例1では、観察期間中にPEDV RNAが検出された陽性個体は出現しなかった。また、表7の結果より、臓器におけるPEDV RNAも同様に、実施例1では検出されなかった。
これらの結果より、実施例1では、腸管粘膜から分泌された分泌型IgAによってPEDVが中和され、感染防御免疫成立しているものと考えられる。
なお、表6の比較例1及び対照で認められるように、PEDVは、一度検出されなくなっても、再び出現し、これが感染後1ヶ月〜2ヶ月程度持続することが知られている。

0159

(実施例2)
<初回免疫>
PED抗体陰性の8週齢の豚に、製造例2で製造したPEDV(P−5V株)生ワクチン2(1mL、107.45TCID50/ドーズ)を1回経鼻投与した。

0160

<追加免疫>
前記初回免疫から6週間後に、製造例4で製造したPEDV(P−5V株)不活化ワクチン2(2mL、107.75TCID50/ドーズ)を1回筋肉内投与(注射)した。

0161

0162

(試験例3)
実施例2の豚について、初回免疫直前及び追加免疫から1週間後の血液を採取した。また、対照として、初回免疫及び追加免疫を行っていないPED抗体陰性の8週齢の豚についても、8週齢及び15週齢の時点で血液を採取した。次いで、試験例1の「PEDV中和抗体価の測定」及び「PEDVに対するIgAの産生誘導」の欄に記載の方法と同様の方法で、採取した血液中のPEDV中和抗体価、及びPEDVに対するIgAの産生誘導を調べた。結果を下記表9に示す。

0163

0164

初回免疫でPEDV(P−5V株)生ワクチン経鼻投与した場合も、経口投与した場合と同様に、顕著なPEDV特異的中和抗体の産生増強活性、及びPEDV特異的IgAの産生誘導活性が認められた。
従来、PEDVが呼吸器系器官に感染するという報告はなく、PEDVの感染は消化器官限局されているため、経鼻投与により、PEDV特異的中和抗体やPEDV特異的IgAの産生を誘導することができることは、本発明者らによる予想外の知見である。

0165

(試験例4)
実施例2の豚に、追加免疫から2週間後に、野外株MZ(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。また、対照として、初回免疫及び追加免疫を行っていないPED抗体陰性の16週齢の豚も、同様にして野外株MZ(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。次いで、試験例2の「直腸スワブ中のPEDV RNAの検出」の欄に記載の方法と同様の方法で、直腸スワブ中のPEDV RNAの検出、及び臓器におけるPEDV RNAの検出を行った。

0166

<直腸スワブ中のPEDV RNAの検出>
各群の母数に対するPEDV RNAが検出された陽性個体の出現率(%)を算出した結果を下記表10に示す。

0167

0168

<臓器におけるPEDV RNAの検出>
実施例2及び対照を野外株MZで攻撃後14日目に、各個体の空回腸、盲腸、結腸、及び腸間膜リンパ節を摘出し、各臓器におけるPEDV RNAを試験例2の「臓器におけるPEDV RNAの検出」の欄に記載の方法と同様の方法で検出し、RNA量(log10 TCID50/mL相当)を定量した。結果を下記表11に示す。

0169

0170

(実施例3)
<初回免疫>
PED抗体陰性の妊娠豚に、製造例2で製造したPEDV(P−5V株)生ワクチン2(1mL、107.45TCID50/ドーズ)を1回経鼻投与した。

0171

<追加免疫>
前記初回免疫から8週間後に、製造例4で製造したPEDV(P−5V株)不活化ワクチン2(2mL、107.75TCID50/ドーズ)を1回筋肉内投与(注射)した。

0172

(比較例3)
<初回免疫>
PED抗体陰性の妊娠豚に、日生研PED生ワクチン(日生研株式会社製) 2mLを1回筋肉内投与(注射)した。

0173

<追加免疫>
前記初回免疫から4週間後に、日生研PED生ワクチン(日生研株式会社製) 2mLを1回筋肉内投与(注射)した。

0174

0175

(試験例5)
実施例3及び比較例3の妊娠豚から生まれた子豚(生後2日目)に、それぞれ野外株MZ(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。また、対照として、初回免疫及び追加免疫を行っていないPED抗体陰性の妊娠豚から生まれた子豚(生後2日目)に対しても野外株MZ(105.0 TCID50/mL)5mLを経口投与して攻撃した。なお、子豚の攻撃後も、実施例3及び比較例3の母豚と、これらの子豚とは同居させた。

0176

<母豚におけるPEDV中和抗体価>
実施例3、比較例3、及び対照の妊娠豚(母豚)ついて、初回投与直前、追加投与から1週後、及び子豚への攻撃から1週間後の血液を採取した。次いで、試験例1の「PEDV中和抗体価の測定」の欄に記載の方法と同様の方法で、採取した血液中のPEDV中和抗体価を調べた。結果を下記表13に示す。

0177

<母豚の乳汁におけるPEDVに対するIgAの産生誘導>
子豚への攻撃直前に、実施例3、比較例3、及び対照の母豚の乳汁を採取し、試験例1の「ウェスタンブロット法によるPEDVに対するIgAの検出」の欄に記載の方法において、血液を前記乳汁に変えたこと以外は、試験例1と同様の方法で、乳汁中のPEDVに対するIgAを検出し、試験例1と同様の方法でPEDVに対するIgAの産生誘導の有無を評価した。結果を下記表13に示す。

0178

0179

<子豚の生存率
実施例3、比較例3、及び対照の妊娠豚から生まれた子豚を野外株MZで攻撃後0日目〜7日目に、毎日、生存率の確認を行った。結果を下記表14に示す。

0180

0181

<子豚の小腸の病理組織学的観察>
前記「子豚の臓器におけるPEDV RNAの検出」の際に摘出した各子豚の小腸をホルマリン固定後、常法によりパラフィン切片を作製した。次いで、キシレンを用いて前記パラフィン切片からパラフィンを除去した。次いで、切片再水和のため、濃度勾配をもたせたエタノール水溶液に切片を浸漬し、切片の再水和を行った後、蒸留水を用いてエタノールを除去した。エタノールを除去した切片標本を、ヘマトキシリン液に20分間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、エオジン液に2分間浸漬して染色した。次いで、濃度勾配をもたせたエタノール水溶液に浸漬して脱水した後、キシレンに浸漬して透徹し、組織標本とした。作製した組織標本を光学顕微鏡で観察し、絨毛萎縮絨毛細胞空砲化、絨毛の平坦化、及び絨毛基底膜の炎症に関する総合的な評価を以下の評価基準に基づき行った。なお、1頭の母豚から数頭の子豚が生まれたため、評価基準のスコアは、実施例3、比較例3、及び対照の各群の子豚の平均値を算出し、スチューデントのT検定により有意差の確認を行った。結果を下記表15に示す。
−評価基準−
「0」:正常
「1」:軽度
「2」:中等度
「3」:重度

0182

実施例

0183

本発明の態様としては、例えば、以下の態様などが挙げられる。
<1>豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与及び経鼻投与のいずれかで豚に投与する第1の投与工程と、
前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与で前記豚に投与する第2の投与工程と、を含むことを特徴とする豚流行性下痢の予防又は治療方法である。
<2> アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである前記<1>に記載の豚流行性下痢の予防又は治療方法である。
<3> 経口又は経鼻投与用の豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン、経口又は経鼻投与用アジュバント、筋肉内投与用の前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン、及び筋肉内投与用アジュバントを有することを特徴とするワクチンキットである。
<4> 経口又は経鼻投与用アジュバント及び筋肉内投与用アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである前記<3>に記載のワクチンキットである。
<5> 豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチンとアジュバントとを筋肉内投与して後に追加免疫を付与される豚に対して用いられ、
前記豚流行性下痢ウイルスの生ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする経口又は経鼻投与用ワクチンである。
<6> アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである前記<5>に記載の経口又は経鼻投与用ワクチンである。
<7> 豚流行性下痢ウイルスの生ワクチンとアジュバントとを経口投与又は経鼻投与して初回免疫を付与された豚に対して用いられ、
前記豚流行性下痢ウイルスの不活化ワクチン及びアジュバントを含むことを特徴とする筋肉内投与用ワクチンである。
<8> アジュバントが、マイクロエマルジョンアジュバントである前記<7>に記載の筋肉内投与用ワクチンである。

0184

本発明の豚流行性下痢の予防又は治療方法、ワクチンキット、経口又は経鼻投与用ワクチン、及び筋肉内投与用ワクチンは、豚流行性下痢ウイルスに特異的な中和抗体の産生誘導活性、及び液性免疫応答の誘導活性に優れるため、豚流行性下痢の予防又は治療に好適に利用可能である。

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    【課題・解決手段】本発明は、レチノイド関連オーファン受容体γアンタゴニスト活性を有し、乾癬等の自己免疫疾患に対して治療効果又は予防効果を発揮する新規な化合物を提供することを目的としている。本発明は、下... 詳細

  • 株式会社ADEKAの「 シート状脱細胞化材料及び同材料を用いる人工血管」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明は、4方向の引張強さの最大値が4MPa以上であって、引張強さが最大となる方向における伸び率が50%〜300%である、生体材料由来シート状脱細胞化材料に関する。本発明によって、血... 詳細

  • 国民大学校産学協力団の「 Fcガンマ受容体変異体」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明はFcガンマ受容体変異体を含むポリペプチドに関するものである。本発明のFcガンマ受容体変異体は、Fcガンマ受容体の一部アミノ酸配列を他のアミノ酸配列に置換して最適化することによ... 詳細

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