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技術 菓子用小麦粉及びその製造方法

出願人 日清製粉株式会社
発明者 岩倉毅根本正道伊藤大輔中村健治広瀬哲也真鍋孝弘石塚晃司
出願日 2016年8月18日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-160743
公開日 2018年2月22日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-027051
状態 特許登録済
技術分野 菓子 ベイカリー製品及びその製造方法
主要キーワード 最小限界値 目詰まり防止用 再粉砕物 衝撃式粉砕 記載範囲 JIS規格 中粒径 パン用粉
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年2月22日)のものです。
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課題

安定的にかつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、しかもそれにより作られた菓子ふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる菓子用小麦粉、及びその製造方法を提供することにある。

解決手段

軟質系小麦主体とする原料小麦製粉し、1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分含有割合が3質量%以上〜20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が、2.4〜3.5%;の物性及び粒度に調整して菓子用小麦粉を製造する。

概要

背景

従来、菓子類、特にスポンジケーキロールケーキシフォンケーキ等のケーキ類ワッフルスコーン等の焼き菓子類カステラ等の食感外観などを向上させるために、様々な方法が提案されており、例えば小麦粉への添加物の配合や、小麦粉の粒度分布の調整、原料小麦又は小麦粉への熱処理などの技術が提案されている。

特許文献1には、小麦粉中粒径30μm以下の小麦粉粒子が80質量%以上であるスポンジケーキ用小麦粉が記載されている。この特許文献1のスポンジケーキ用小麦粉は、市販の薄力粉空気分級に供して微粉画分採取するか、ピンミルで更に粉砕して得られるものである。前者では粗蛋白含量が高い画分の割合が多いため、また後者では過粉砕により損傷澱粉量が高くなり、いずれもその効果は十分とは言い難いことは明らかである。

特許文献2には、小麦粉を湿熱処理などの熱処理を施してグルテンバイタリティを70〜95(未処理のときのグルテンバイタリティを100とする)とした、再粉砕により平均粒径が45μm以下、好ましくは20μm以下とする中力粉及び/又は薄力粉からなる熱処理小麦粉が提案されており、該熱処理小麦粉を用いれば、体積、形状、食感に優れたケーキ類が得られることが記載されている。しかし、この熱処理小麦粉を用いて得られるカステラやスポンジケーキ等は、ある程度口溶けや、形状、外観などを改善する効果があるとは考えられるが、微粉砕により損傷澱粉が高くなるため、しっとり感や口溶けの点で十分とはいえない。同様に、パン用粉と異なる菓子用粉では、グルテン以外の澱粉粒度などが製造上大きく寄与することが明白であるため、グルテンバイタリティだけでその特徴を限定することには限界がある。また、特許文献3には、平均粒径10〜40μm(粒径5〜55μmが75質量%以上、好ましくは85質量%以上)、粗蛋白含量が4.5〜6.8質量%の菓子用小麦粉が記載されている。この小麦粉は、ウエハースなどの焼き菓子用生地スプレット性や、サクミについては効果が得られるものの、スポンジなどのケーキに使用したときにふんわり感、しっとり感に優れ、良好な口溶けは得られず、生地比重を緩やかに上昇させる等の生地の安定性も確保されない。

特許文献4及び5には、キメが細かく、しっとりとして口溶けが極めて良好で、しかも崩れるような脆さがある、独特な食感を有する菓子類が得られる菓子用小麦粉として、粗蛋白質含量、グルテンバイタリティ、α化度及び平均粒径がそれぞれ特定範囲にある菓子用小麦粉が記載されており、また、その製造方法として、軟質系小麦主体とする原料小麦を、加熱水蒸気により、品温85〜100℃で1〜5分間湿熱処理するか、あるいは品温60〜80℃で30分間〜3時間湿熱処理した後、この湿熱処理小麦を常法に従って製粉する工程を含む、菓子用小麦粉の製造方法が記載されている。また、特許文献6には、軟質系小麦を80〜100℃で1〜90分間処理した後、60℃以上且つ該湿熱処理時の品温未満で1〜90分間保持し、該原料小麦を製粉する、熱処理小麦粉の製造方法が記載されている。しかし、しっとり感や口溶けの点では十分とはいえず、特許文献2同様、安定的に菓子を製造するには根幹指標欠けており、でき上がる品質には課題が多く、改善が求められていた。そして、上述の先行技術には、小麦粉の粒度分布を微粉に調整するという概念はあるものの、同時に澱粉の損傷を抑えながら、特定の範囲に粒度と粉砕度を調整するという技術思想はない。

一方、特許文献7には、軟質小麦を粉砕し、平均粒径50μm以上の画分を分収して再粉砕し、残余の画分と混合して、平均粒径35μm以下で且つ損傷澱粉量5質量%以下である麺類用小麦粉が記載されている。しかし、この技術は通常は主としてうどん等の麺類には使用されないアメリカウェスタンホワイトを用いて麺類用小麦粉を製造することを目的としており、かなり微粉砕されているため、損傷澱粉量も高く、そのまま菓子用小麦粉として用いても、十分な効果は全く得られない。

概要

安定的にかつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、しかもそれにより作られた菓子はふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる菓子用小麦粉、及びその製造方法を提供することにある。軟質系小麦を主体とする原料小麦を製粉し、1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分含有割合が3質量%以上〜20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が、2.4〜3.5%;の物性及び粒度に調整して菓子用小麦粉を製造する。なし

目的

本発明の課題は、安定的にかつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、そしてそれにより作られた菓子はふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる菓子用小麦粉、及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

軟質系小麦原料とする小麦粉であって、以下の物性及び粒度を有することを特徴とする菓子用小麦粉。1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分含有割合が3質量%以上〜20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が2.4〜3.5%;

請求項2

平均粒径が、30〜45μmであることを特徴とする請求項1記載の菓子用小麦粉。

請求項3

菓子用小麦粉が、ケーキ類焼き菓子類又はカステラ類用の小麦粉であることを特徴とする請求項1又は2記載の菓子用小麦粉。

請求項4

軟質系小麦を主体とする原料小麦製粉し、以下の物性及び粒度に調整することを特徴とする菓子用小麦粉の製造方法。1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が2.4〜3.5%;

請求項5

平均粒径を30〜45μmの範囲に調整することを特徴とする請求項4記載の菓子用小麦粉の製造方法。

請求項6

小麦粉の製粉における常法に従って、原料小麦をロール粉砕及び分級を繰り返し、生じる画分の一部又は全部を衝撃式粉砕に供し、前記1)〜4)の物性及び粒度に調整することを特徴とする請求項4又は5記載の菓子用小麦粉の製造方法。

請求項7

衝撃式粉砕して得られた粉砕物をさらに分級し、粗粉画分の損傷澱粉量を指標に、さらに衝撃式粉砕に供することを特徴とする請求項6記載の菓子用小麦粉の製造方法。

請求項8

請求項1〜3のいずれかに記載の菓子用小麦粉を使用することを特徴とする菓子類の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、菓子用小麦粉及びその製造方法に関する。詳細には、菓子生地比重の変化が緩やかである等、生地定性や作業性に優れ、これにより安定的かつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、しかもそれにより作られた菓子ふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる、菓子用小麦粉及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、菓子類、特にスポンジケーキロールケーキシフォンケーキ等のケーキ類ワッフルスコーン等の焼き菓子類カステラ等の食感外観などを向上させるために、様々な方法が提案されており、例えば小麦粉への添加物の配合や、小麦粉の粒度分布の調整、原料小麦又は小麦粉への熱処理などの技術が提案されている。

0003

特許文献1には、小麦粉中粒径30μm以下の小麦粉粒子が80質量%以上であるスポンジケーキ用小麦粉が記載されている。この特許文献1のスポンジケーキ用小麦粉は、市販の薄力粉空気分級に供して微粉画分採取するか、ピンミルで更に粉砕して得られるものである。前者では粗蛋白含量が高い画分の割合が多いため、また後者では過粉砕により損傷澱粉量が高くなり、いずれもその効果は十分とは言い難いことは明らかである。

0004

特許文献2には、小麦粉を湿熱処理などの熱処理を施してグルテンバイタリティを70〜95(未処理のときのグルテンバイタリティを100とする)とした、再粉砕により平均粒径が45μm以下、好ましくは20μm以下とする中力粉及び/又は薄力粉からなる熱処理小麦粉が提案されており、該熱処理小麦粉を用いれば、体積、形状、食感に優れたケーキ類が得られることが記載されている。しかし、この熱処理小麦粉を用いて得られるカステラやスポンジケーキ等は、ある程度口溶けや、形状、外観などを改善する効果があるとは考えられるが、微粉砕により損傷澱粉が高くなるため、しっとり感や口溶けの点で十分とはいえない。同様に、パン用粉と異なる菓子用粉では、グルテン以外の澱粉粒度などが製造上大きく寄与することが明白であるため、グルテンバイタリティだけでその特徴を限定することには限界がある。また、特許文献3には、平均粒径10〜40μm(粒径5〜55μmが75質量%以上、好ましくは85質量%以上)、粗蛋白含量が4.5〜6.8質量%の菓子用小麦粉が記載されている。この小麦粉は、ウエハースなどの焼き菓子用生地スプレット性や、サクミについては効果が得られるものの、スポンジなどのケーキに使用したときにふんわり感、しっとり感に優れ、良好な口溶けは得られず、生地比重を緩やかに上昇させる等の生地の安定性も確保されない。

0005

特許文献4及び5には、キメが細かく、しっとりとして口溶けが極めて良好で、しかも崩れるような脆さがある、独特な食感を有する菓子類が得られる菓子用小麦粉として、粗蛋白質含量、グルテンバイタリティ、α化度及び平均粒径がそれぞれ特定範囲にある菓子用小麦粉が記載されており、また、その製造方法として、軟質系小麦主体とする原料小麦を、加熱水蒸気により、品温85〜100℃で1〜5分間湿熱処理するか、あるいは品温60〜80℃で30分間〜3時間湿熱処理した後、この湿熱処理小麦を常法に従って製粉する工程を含む、菓子用小麦粉の製造方法が記載されている。また、特許文献6には、軟質系小麦を80〜100℃で1〜90分間処理した後、60℃以上且つ該湿熱処理時の品温未満で1〜90分間保持し、該原料小麦を製粉する、熱処理小麦粉の製造方法が記載されている。しかし、しっとり感や口溶けの点では十分とはいえず、特許文献2同様、安定的に菓子を製造するには根幹指標欠けており、でき上がる品質には課題が多く、改善が求められていた。そして、上述の先行技術には、小麦粉の粒度分布を微粉に調整するという概念はあるものの、同時に澱粉の損傷を抑えながら、特定の範囲に粒度と粉砕度を調整するという技術思想はない。

0006

一方、特許文献7には、軟質小麦を粉砕し、平均粒径50μm以上の画分を分収して再粉砕し、残余の画分と混合して、平均粒径35μm以下で且つ損傷澱粉量5質量%以下である麺類用小麦粉が記載されている。しかし、この技術は通常は主としてうどん等の麺類には使用されないアメリカウェスタンホワイトを用いて麺類用小麦粉を製造することを目的としており、かなり微粉砕されているため、損傷澱粉量も高く、そのまま菓子用小麦粉として用いても、十分な効果は全く得られない。

先行技術

0007

特開平6−237682
特開平11−332454
特開2013−162767
特開2012−254052
特開2012−254053
特開2015−42165
特開2015−159759

発明が解決しようとする課題

0008

日々、より良い品質を絶えず求める最近の消費者要望に応じられるような、高品質なケーキ等の菓子類が得られ、かつそれら菓子類を安定的に且つ作業性よく製造し得る菓子用小麦粉の開発が求められていた。本発明の課題は、安定的にかつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、そしてそれにより作られた菓子はふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる菓子用小麦粉、及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意、開発を行った結果、軟質系小麦を原料とし、小麦粉の粒度分布を過粉砕にならない特定範囲に調整しながら、同時にその損傷澱粉量を特定範囲に調整することにより、その課題を解決しうることを知見した。

0010

すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)軟質系小麦を原料とする小麦粉であって、以下の物性及び粒度を有することを特徴とする菓子用小麦粉。
1)粗蛋白質量12質量%以下、好ましくは6〜11質量%;
2)粒径60μm以上の粗粉画分含有割合が3質量%以上〜20質量%未満、好ましくは7質量%以上〜17質量%未満;
3)損傷澱粉量が3.2質量%以下、好ましくは2.6〜3.1質量%、より好ましくは2.8〜3.0質量%;
4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、好ましくは1.5〜2.0%であり、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が、2.4〜3.5%、好ましくは2.6〜3.3%;
(2)平均粒径が、30〜45μmであることを特徴とする上記(1)記載の菓子用小麦粉。
(3)菓子用小麦粉が、ケーキ類、焼き菓子類又はカステラ用の小麦粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の菓子用小麦粉。
(4)軟質系小麦を主体とする原料小麦を製粉し、以下の物性及び粒度に調整することを特徴とする菓子用小麦粉の製造方法。
1)粗蛋白質量12質量%以下、好ましくは6〜11質量%;
2)粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満、好ましくは7質量%以上〜17質量%未満;
3)損傷澱粉量3.2質量%以下、好ましくは2.6〜3.1質量%、より好ましくは2.8〜3.0質量%;
4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、好ましくは1.5〜2.0%であり、且つ 粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が、2.4〜3.5%、好ましくは2.6〜3.3%;
(5)平均粒径を30〜45μmの範囲に調整することを特徴とする上記(4)記載の菓子用小麦粉の製造方法。
(6)小麦粉の製粉における常法に従って、原料小麦をロール粉砕及び分級を繰り返し、生じる画分の一部又は全部を衝撃式粉砕に供し、上記1)〜4)の物性及び粒度に調整することを特徴とする上記(4)又は(5)記載の菓子用小麦粉の製造方法。
(7)衝撃式粉砕して得られた粉砕物をさらに分級し、粗粉画分の損傷澱粉量を指標に、さらに衝撃式粉砕に供することを特徴とする上記(6)記載の菓子用小麦粉の製造方法。
(8)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の菓子用小麦粉を使用することを特徴とする菓子類の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によると、菓子生地の比重の変化が緩やかである等、生地安定性や作業性に優れ、これにより安定的にかつ作業性よく菓子類を製造することが可能であり、しかもそれにより作られた菓子類はふんわりと柔らかで、しっとり感に優れ、口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる菓子用小麦粉、及びその製造方法を提供することができる。

0012

本発明の菓子用小麦粉としては、軟質系小麦を原料として、以下1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が2.4〜3.5%;の物性及び粒度を有する小麦粉であれば特に制限されず、また、本発明の菓子用小麦粉の製造方法としては、軟質系小麦を主体とする原料小麦を製粉し、上記1)〜4)の物性及び粒度に調整する方法であれば特に制限されない。

0013

上記軟質系小麦としては、アメリカ産のウェスタンホワイト(WW)、ソフトホワイト、ホワイトクラブ、ソフトレッドウインター(SRW)、日本産の普通小麦、オーストラリア産のオーストラリアスタンダードホイート(ASW)等を挙げることができる。これらの中でも、ウェスタンホワイト、ソフトホワイト、ホワイトクラブ、ソフトレッドウインター、及び日本産の普通小麦が好ましい。本発明においては、軟質小麦として1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0014

菓子用小麦粉中の粗蛋白質量は通常は12質量%以下、好ましくは6〜11質量%である。粗蛋白質量が12質量%を超えると、軟質系小麦を原料としていても、スポンジケーキなどを製造したときに、内相が硬く、ぼそぼそとした食感となり、また、菓子生地が硬くなり、その作業性が劣るものとなる。

0015

また、粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満、好ましくは7質量%以上〜17質量%未満である。なお、本発明において粒径60μm以上の粗粉画分は、25番(目開き62.5μm)JIS規格で、篩分けに供した全量の小麦粉に対し、篩分けした後にを通過せずに篩上に残留する部分が占める割合であり、当該篩分けを以下の具体的な条件で行った場合の値である。一方、粒径60μm未満の微粉画分は、以下の条件で篩を通過した部分が示す割合である。
シフター:明治機械社製ジュニアシフター:型番TS2−245
篩:25番のナイロン篩(NBCメッシュテック社製)
ナイロン篩はテンションを−0.63mmに調整(株式会社プロテック製テンション計 型番STG−80D使用)。
篩い温度20℃、湿度50%に調整した室内で、小麦粉100gをナイロン篩の上に薄く広げ、目詰まり防止用ブラシを入れ、5分間篩分けを行う。
粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が20質量%を超えるとふんわり感やしっとり感が十分なものではなくなる可能性があり、当該割合が3質量%未満であると、過粉砕となっている可能性がある。そして、粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が上記の範囲内にあることで、ふんわり感やしっとり感だけでなく、極めて良好な口溶けが得られるため、好ましい。

0016

本発明の菓子用小麦粉中の損傷澱粉量は通常は3.2質量%以下であり、好ましくは2.6〜3.1質量%、より好ましくは2.8〜3.0質量%の範囲である。損傷澱粉量の最小限界値は定められないが、生地比重を種落ちさせず、安定的に目標に近づけるためには、上記記載範囲の適切な損傷澱粉量が必要である。損傷澱粉量が3.2質量%を超えると過粉砕となり、しっとり感や口溶けの点で十分とはいえなくなるため好ましくない。なお、本発明において、小麦粉中の損傷澱粉量は、特許文献7の測定法、すなわちAACCMethod 76−31に従って、試料中に含まれている損傷澱粉のみをカビ由来α−アミラーゼマルトサッカライド限界デキストリンに分解し、次いでアミログルコシダーゼグルコースにまで分解し、生成されたグルコースを定量することにより測定することができるが、市販のキット(例えばMegaZyme製,Starch Damage Assay Kit)を用いても良い。本発明において損傷澱粉量は、市販のキット(MegaZyme製,Starch Damage Assay Kit)を用いて測定した。

0017

さらに、本発明において、菓子用小麦粉全体の損傷澱粉量を上記の範囲にすると同時に、粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%の範囲であることが必要であり、好ましくは1.5〜2.0%の範囲であり、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が2.4〜3.5%の範囲であることが必要であり、好ましくは2.6〜3.3%の範囲である。これらの範囲にあることで、粉砕が不十分であったり、過粉砕となったりすることなく、スポンジなどの菓子を製造したときに、ふんわり感やしっとり感だけでなく、極めて良好な口溶けが得られるものとなる。

0018

本発明の好適な実施形態において、菓子用小麦粉の全体の損傷澱粉量を上記の範囲にすると同時に、粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉比率を3〜20%の範囲とすることが好ましく、7〜15%の範囲がより好ましい。

0019

上記のとおり、粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満とするために、当該粗粉画分が粒径60μm未満の微粉画分と比較して、より粉砕工程に供されるため、その損傷澱粉は相対的に高くなりやすく、過度に粉砕してしまう可能性がある。そこで、上記の範囲に小麦粉の粒度と粉砕度を調整することにより、生地比重の変化が緩やかであるため容易に比重を合わせる等、安定的に製造することができ、そしてふんわりと柔らかで、しっとり感に優れた口溶けが極めて良好といった菓子類が得られる。

0020

また、本発明の好適な実施形態において、本発明の菓子用小麦粉の平均粒径は、好ましくは30〜45μmの範囲である。なお、本発明において、小麦粉の平均粒径、粒度分布(それぞれの粒度の)は、特許文献4及び5に記載されるマイクロトラック法、すなわち日機装株式会社製「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」を用いて乾式で測定することができる。マイクロトラック法は粒度の頻度からその分布を測定するが、粒径の頻度とは、粒径分布解析し、計算した「検出頻度割合」である(日機装株式会社製の上記装置9200FRAに添付された資料「マイクロトラック粒度分析計測定結果見方」参照)。菓子用小麦の平均粒径が30μm未満であると、必然的に小麦粉が過粉砕の状態となることがあり、その結果、ふんわりとした食感や、良好な口溶けが得られない可能性がある。また、45μmを超えると、これを用いて製造されるケーキ類等の菓子の食感がしっとり感に欠け、ぼそぼそした食感となる可能性があるが、鋭意研究を行った結果、この平均粒径だけの指標で特定しただけでは目標を達成できないことが明らかとなり、上記の指標を必須項目とした。

0021

本発明の菓子用小麦粉は、スポンジケーキ、ロールケーキ、シフォンケーキ、パンケーキなどのケーキ類、ワッフル、ソフトワッフル、スコーン、クッキークレープ、どら焼き、鯛焼きなどの焼き菓子類、カステラ類、特に、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキなどのケーキ類やカステラ、ソフトワッフルなどの製造に用いて好適なものである。本発明の菓子用小麦粉は、従来の菓子用小麦粉と同様にして菓子類の製造に用いられる。すなわち、本発明の菓子用小麦粉及び目的とする菓子類に応じて他の原料を適宜混合し、常法に従って菓子類を製造することができる。

0022

本発明の菓子用小麦粉の製造方法は、軟質系小麦を主体とする原料小麦を製粉し、1)蛋白質量12質量%以下、好ましくは6〜11質量%;2)粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上〜20質量%未満、好ましくは7質量%以上〜17質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下、好ましくは2.6〜3.1質量%、より好ましくは2.8〜3.0質量%;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4〜2.2%、好ましくは1.5〜2.0%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が、2.4〜3.5%、好ましくは2.6〜3.3%;の物性及び粒度に調整する方法であり、具体的には、小麦粉の製粉における常法に従って、原料小麦をロール粉砕及び分級を繰り返し、生じる画分の一部又は衝撃式粉砕に供し、上記1)〜4)の物性及び粒度に調整する。衝撃式粉砕して得られた粉砕物をさらに分級し、粗粉画分の損傷澱粉量を指標に、さらに衝撃式粉砕に供することもできる。

0023

また、常法に従って原料小麦を製粉する前に、原料小麦を熱処理に供してもよい。例えば、軟質系小麦を主体とする原料小麦を、加熱水蒸気により、原料小麦の品温が80〜100℃で1〜5分間湿熱処理するか、あるいは原料小麦の品温が60〜80℃で30分間〜3時間湿熱処理した後に該原料小麦を製粉したり(特許文献4及び5参照)、軟質系小麦を主体とする原料小麦を品温80〜100℃で1〜90分間湿熱処理した後、該原料小麦の品温を60℃以上且つ該湿熱処理時の品温未満で1〜90分間保持し、しかる後、該原料小麦を製粉したり、軟質系小麦を主体とする原料小麦を品温80〜100℃で1〜180分間湿熱処理した後、該原料小麦を製粉することもできる(特許文献6参照)。

0024

本発明の菓子類の製造方法としては、上記本発明の菓子用小麦粉を使用して、常法により、ケーキ類、焼き菓子類、カステラ類等を製造する方法を挙げることができる。

0025

本発明を具体的に説明するために実施例や参考例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。

0026

〔製造例1〕
原料小麦として、軟質小麦であるアメリカ産軟質小麦ウェスタンホワイトを用いた。この原料小麦を通常の菓子用小麦の製粉工程において調質を行った後、ブレーキング工程、グレーディング工程、ピュリフィケーション工程、リダクション工程に供した。次いで、各工程で得られた画分のうち、通常、菓子用小麦粉になる画分について、損傷澱粉が比較的低く、且つ粒径60μm以上の粗粉の占める割合が多いと考えられる画分を衝撃式微粉砕機ACMパルベライザーホソカワミクロン製)を用いて再度粉砕し、得られた再粉砕物と残余の画分を合わせて、菓子用小麦粉を製造した。得られた菓子用小麦粉は下記の表1に示す物性を有していた。

0027

0028

〔製造例2〕
アメリカ産軟質小麦ウェスタンホワイトからなる原料小麦を製造例1と同様にして、ブレーキング工程、グレーディング工程、ピュリフィケーション工程、リダクション工程に供した。各工程で得られた画分のうち、通常、菓子用小麦粉としうる画分のうち、製造例1の物性を基準・目標とし、製造例1とは一部選択する画分を変更し、当該選択した画分全量を衝撃式微粉砕機(ACMパルベライザー,ホソカワミクロン製)を用いて再度粉砕して、菓子用小麦粉を製造した。得られた菓子用小麦粉は下記の表2に示す物性を有していた。

0029

0030

〔製造例3〕
アメリカ産軟質小麦ウェスタンホワイトからなる原料小麦を常法に従って調質を行った。この原料小麦をテクベータ投入して、攪拌しながら、約100℃の水蒸気を吹き込んで2分間の湿熱処理(原料小麦の品温85℃)を行った。湿熱処理後、冷却用コンディショナーに投入し、約50分間滞留させて、出口品温約30℃に冷却した。得られた湿熱処理小麦を製造例2と同様に画分を選択し、菓子用小麦粉を製造した。得られた菓子用小麦粉は下記の表3に示す物性を有していた。

0031

0032

〔製造例4〜7〕
原料小麦として、軟質小麦であるアメリカ産軟質小麦ウェスタンホワイトを用いた。原料小麦を製造例2と同様にして、ブレーキング工程、グレーディング工程、ピュリフィケーション工程、リダクション工程に供した。各工程で得られた画分のうち、通常、菓子用小麦粉としうる画分について、製造例1及び2の物性を基準とし、且つ選択する画分を変更し、当該画分全量を衝撃式微粉砕機(ACMパルベライザー,ホソカワミクロン製)を用いて再度粉砕して、菓子用小麦粉を製造した。得られた菓子用小麦粉は下記の表4に示す物性を有していた。

0033

0034

〔参考例1〜7〕
ケーキに使用されている下記に示す各種業務用小麦粉について、各物性(粗蛋白質量、粒径60μm以上の粗粉画分の割合、粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量、粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量、粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉比率及び平均粒径)を測定ないし算出した。その結果を下記の表5に示す。

0035

参考例1:L社製菓子用小麦粉A
参考例2:M社製菓子用小麦粉B
参考例3:N社製菓子用小麦粉C
参考例4:N社製熱処理菓子用熱処理小麦粉D
参考例5:O社製菓子用小麦粉D
参考例6:P社製熱処理菓子用熱処理小麦粉E
参考例7:L社製菓子用小麦粉F

0036

試験例]
本発明を具体的に説明するために試験例を挙げるが、本発明は以下の試験例によって制限されるものではない。

0037

〔試験例1〕
製造例1〜7で得られた各菓子用小麦粉の二次加工性を確認するために、以下の配合及び工程でスポンジケーキを製造した。表6に示す評価基準に基づいて、製造工程(2)〜(3)における生地の安定性を5名の作業者により評価するとともに、得られたスポンジケーキの食感(しっとりさ、口どけ)をパネラー10名により評価した。その評価結果(平均点)を表7−1に示す。なお、比較のために、参考例1〜7の市販の菓子用小麦粉についても、同様にスポンジケーキを製造し、評価を行った。その結果は表7−2に示す。

0038

〔スポンジケーキの配合〕
100質量部、乳化起泡油脂(月島食品工業社製モンプナ)9質量部、上白糖100重量部、液状油(サラダ油)10重量部、水50重量部、菓子用小麦粉100質量部、ベーキングパウダー(オリエンタ酵母工業社製O#1)2質量部。
〔スポンジケーキの製造工程〕
(1)全卵、乳化起泡油脂、上白糖、液状油、水を混ぜ合わせた。
(2)あらかじめ篩で一度篩っておいた菓子用小麦粉を上記(1)とベーキングパウダーを加えて混ぜ合わせ、比重が0.50になるまでミキシングした。
(3)6号型に紙を敷き、生地を330g分注した。
(4)上火190℃、下火180℃のオーブンで28分間焼成し、スポンジケーキを得た。
(5)得られたスポンジケーキは、60分間の放冷を行い、所定の製品ボックスに入れ蓋をして一晩保管した後、評価試験に供した。

0039

0040

実施例

0041

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