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技術 正極及びリチウムイオン二次電池

出願人 株式会社豊田自動織機
発明者 江口達哉三好学
出願日 2016年8月12日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-158919
公開日 2018年2月15日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-026314
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 頻度分布曲線 二枚一組 板状シリコン イソプロピリデンコハク酸 面プロット 存在箇所 拘束板 レーザー回析法
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

リチウム金属複合酸化物オリビン構造化合物とを併用した正極であって、優れた電池特性及び優れた熱安定性両立するものを提供すること。

解決手段

層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物と、オリビン構造のLiMhPO4を炭素被覆したリチウム金属リン酸化合物とを含む正極活物質層具備する正極であって、 前記正極の孔径水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップが0.25〜0.54μmの範囲内であることを特徴とする正極。

概要

背景

二次電池正極活物質として種々の材料を用い得ることが知られており、正極活物質として複数の材料を採用したリチウムイオン二次電池もまた知られている。

例えば、LiCoO2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等のリチウム金属複合酸化物は、高容量な正極活物質であることが知られている。また、LiFePO4に代表されるオリビン構造の正極活物質は熱安定性に優れた正極活物質であることが知られている。これらの正極活物質は、高容量と熱安定性との両立を図るために併用される場合がある(例えば、特許文献1参照)。

具体的には、特許文献1には、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2と、炭素被覆されたLiFePO4と、を正極活物質として併用したリチウムイオン二次電池が開示されている。

概要

リチウム金属複合酸化物とオリビン構造の化合物とを併用した正極であって、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立するものを提供すること。層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物と、オリビン構造のLiMhPO4を炭素被覆したリチウム金属リン酸化合物とを含む正極活物質層具備する正極であって、 前記正極の孔径水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップが0.25〜0.54μmの範囲内であることを特徴とする正極。なし

目的

特表2010−517238号公報






リチウムイオン二次電池については、好適な電池特性及び熱安定性を両立したものが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

層状岩塩構造一般式LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム金属複合酸化物と、オリビン構造の一般式LiMhPO4(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)を炭素被覆したリチウム金属リン酸化合物とを含む正極活物質層具備する正極であって、前記正極の孔径水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップが0.25〜0.54μmの範囲内であることを特徴とする正極。

請求項2

前記リチウム金属複合酸化物の平均粒子径Aと、前記リチウム金属リン酸化合物の平均粒子径Bとの関係が、0.33×A≦B≦1.34×Aを満足する請求項1に記載の正極。

請求項3

前記平均粒子径Aが2〜10μmの範囲内である請求項2に記載の正極。

請求項4

前記正極活物質層の空隙率が20〜30%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極。

請求項5

前記リチウム金属複合酸化物と前記リチウム金属リン酸化合物との質量比が、60:40〜85:15の範囲内にある請求項1〜4のいずれか1項に正極。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の正極を備えるリチウムイオン二次電池

請求項7

Si含有負極活物質を具備する負極を備える請求項6に記載のリチウムイオン二次電池。

請求項8

有機溶媒全体に対してフッ素含有環状カーボネートを1〜30体積%で含有する電解液を備える請求項6又は7に記載のリチウムイオン二次電池。

技術分野

0001

本発明は、正極及び当該正極を備えるリチウムイオン二次電池に関する。

背景技術

0002

二次電池正極活物質として種々の材料を用い得ることが知られており、正極活物質として複数の材料を採用したリチウムイオン二次電池もまた知られている。

0003

例えば、LiCoO2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等のリチウム金属複合酸化物は、高容量な正極活物質であることが知られている。また、LiFePO4に代表されるオリビン構造の正極活物質は熱安定性に優れた正極活物質であることが知られている。これらの正極活物質は、高容量と熱安定性との両立を図るために併用される場合がある(例えば、特許文献1参照)。

0004

具体的には、特許文献1には、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2と、炭素被覆されたLiFePO4と、を正極活物質として併用したリチウムイオン二次電池が開示されている。

先行技術

0005

特表2010−517238号公報

発明が解決しようとする課題

0006

リチウムイオン二次電池については、好適な電池特性及び熱安定性を両立したものが望まれている。ここで、リチウム金属複合酸化物とオリビン構造の化合物とを併用した正極を備えるリチウムイオン二次電池は、一定程度の電池特性及び一定程度の熱安定性を両立したものである。しかし、リチウム金属複合酸化物とオリビン構造の化合物とを単に併用するのみでは、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立したリチウムイオン二次電池を提供できるとは限らない。

0007

本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、リチウム金属複合酸化物とオリビン構造の化合物とを併用した正極であって、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立するものを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

鋭意検討の結果、正極の細孔の大きさの違いが、リチウムイオン二次電池の電池特性及び熱安定性に影響を与えることを、本発明者は発見した。かかる発見に基づき、本発明者は本発明を完成するに至った。

0009

本発明の正極は、層状岩塩構造一般式LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム金属複合酸化物と、オリビン構造の一般式LiMhPO4(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)を炭素被覆したリチウム金属リン酸化合物とを含む正極活物質層具備する正極であって、
前記正極の孔径水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップが0.25〜0.54μmの範囲内であることを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明のリチウムイオン二次電池は、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立するものである。

0011

以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。

0012

本発明の正極は、層状岩塩構造の一般式LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム金属複合酸化物と、オリビン構造の一般式LiMhPO4(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)を炭素被覆したリチウム金属リン酸化合物とを含む正極活物質層を具備する正極であって、
前記正極の孔径を水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップ(以下、「本発明の正極の孔径」ということがある。)が0.25〜0.54μmの範囲内であることを特徴とする。

0013

Log微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップとは、観察されるピークのうち、ピーク高さが最も高いピークの頂点を意味する。すなわち、本発明の正極の孔径とは、正極の孔径のうち最も頻度が高い孔径を意味する。

0014

水銀圧入法は、水銀ポロシメータを用いて、試料開孔に水銀を圧入し、圧力と水銀圧入量から孔径分布を求める方法であり、JIS R 1655に規定されている。Log微分孔体積分布曲線とは、孔径の対数(logD)に対する累積した孔の体積(V)の微分値(dV/d(logD))を縦軸とし、孔径を横軸とした場合の曲線である。JIS R 1655の記載を引用すると、Log微分孔体積分布曲線とは、dV/d(logD)対数気孔径頻度分布曲線を意味する。

0015

本発明の正極の孔径が0.25〜0.54μmの範囲内にあることに因り、充放電時の本発明の正極は低いイオン抵抗を示すので、本発明の正極を備える本発明のリチウムイオン二次電池は低い放電抵抗を示す。さらに、本発明の正極の孔径が0.25〜0.54μmの範囲内にあることに因り、本発明のリチウムイオン二次電池は熱安定性に優れる。

0016

孔径が小さすぎる正極の場合には、正極のイオン抵抗が増大し、当該正極を備えるリチウムイオン二次電池の放電抵抗が増大する。他方、孔径が大きすぎる正極の場合には、当該正極を備えるリチウムイオン二次電池の熱安定性が低下する。

0017

本発明の正極の孔径は0.26〜0.50μmの範囲内が好ましく、0.26〜0.49μmの範囲内がより好ましい。

0018

リチウム金属複合酸化物の一般式において、上記b、c及びdの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが10/100<b<90/100、10/100<c<90/100、10/100<d<90/100の範囲であることが好ましく、20/100<b<80/100、10/100<c<70/100、10/100<d<70/100の範囲であることがより好ましく、30/100<b<70/100、12/100<c<50/100、12/100<d<50/100の範囲であることがさらに好ましく、40/100<b<60/100、15/100<c<35/100、15/100<d<35/100の範囲であることが特に好ましい。

0019

a、e、fについては一般式で規定する範囲内の数値であればよく、aは、0.5≦a≦1.5の範囲内が好ましく、0.7≦a≦1.3の範囲内がより好ましく、0.9≦a≦1.2の範囲内がさらに好ましい。e、fについては、e=0、f=2を例示することができる。

0020

層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物の具体例としては、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.75Co0.1Mn0.15O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、及びLiNiO2が挙げられる。

0021

リチウム金属リン酸化合物は、オリビン構造のLiMhPO4(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)が炭素被覆されたものである。リチウム金属リン酸化合物としては、LiMhPO4の一部が炭素で被覆されたものであってもよいし、LiMhPO4の表面全部が炭素で被覆されたものであってもよい。

0022

上記LiMhPO4のMは、Mn、Fe、Co、Ni、Mg、V、Teから選ばれる少なくとも1の元素であるのが好ましく、また、hは0.6<h<1.1であるのが好ましい。当該Mは、Mn及び/又はFeであるのがより好ましく、また、h=1であるのがより好ましい。オリビン構造の一般式の具体例としては、例えば、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4、LiVPO4、LiTePO4、LiV2/3PO4、LiFe2/3PO4、LiMn7/8Fe1/8PO4が挙げられる。この中、LiFePO4が熱安定性の点から好ましい。その理由は以下のように推測される。LiFePO4は放電時に比較的平坦放電曲線を示す。そうすると、仮に、リチウムイオン二次電池の正極と負極が短絡して急激な放電が生じたとしても、LiFePO4の存在箇所では放電に伴う急激な電位差が生じにくい。そのため、電極内の他の箇所からの電荷移動誘起しにくく、過電流の発生を抑制することができる。その結果、二次電池の発熱を好適に抑制することができる。

0023

リチウム金属複合酸化物の形状は特に制限されるものではないが、平均粒子径でいうと、100μm以下が好ましく、0.1〜50μmの範囲内がより好ましく、1〜20μmの範囲内がさらに好ましく、2〜10μmの範囲内が特に好ましい。0.1μm未満では、電極を製造した際に集電体との密着性が損なわれやすいなどの不具合を生じることがある。100μmを超えると電極の大きさに影響を与えたり、二次電池を構成するセパレータを損傷したりするなどの不具合を生じることがある。なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置計測した場合のD50の値を意味する。

0024

リチウム金属リン酸化合物の形状は特に制限されないが、平均粒子径でいうと、100μm以下が好ましく、0.01μm以上10μm以下がより好ましく、1μm以上10μm下が最も好ましい。

0025

また、リチウム金属複合酸化物の平均粒子径をAとし、リチウム金属リン酸化合物の平均粒子径をBとした場合の関係が、0.33×A≦B≦1.34×Aを満足すると、正極の孔径は特に好適な大きさとなる。AとBが上記の関係を満足する場合においても、平均粒子径Aは2〜10μmの範囲内であるのが特に好ましい。

0026

本発明の正極は、具体的には、集電体と、集電体の表面に形成されている正極活物質層とを具備する。

0027

集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウムマグネシウムタングステンコバルト亜鉛ニッケル、鉄、白金、錫、インジウムチタンルテニウムタンタルクロムモリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。

0028

正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。

0029

具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。

0030

また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。

0031

集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。

0032

集電体は箔、シートフィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔ニッケル箔アルミニウム箔ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。

0033

正極活物質層は、正極活物質としてリチウム金属複合酸化物及びリチウム金属リン酸化合物を含み、さらに、導電助剤結着剤分散剤などの添加剤を含むことがある。

0034

正極活物質層において、リチウム金属複合酸化物とリチウム金属リン酸化合物との質量比は、60:40〜85:15の範囲内が好ましく、65:35〜80:20の範囲内がより好ましく、67:33〜75:25の範囲内がさらに好ましい。

0035

正極活物質層全体を100質量%としたとき、上記のリチウム金属複合酸化物とリチウム金属リン酸化合物とからなる正極活物質の量は、百分率で、50〜99質量%の範囲内が好ましく、60〜98質量%の範囲内がより好ましく、70〜97質量%の範囲内が特に好ましい。

0036

正極活物質層の空隙率は、20〜30%の範囲内が好ましく、20〜27%の範囲内がより好ましく、22〜26%の範囲内がさらに好ましい。正極活物質層の空隙率が好ましい範囲内であると、本発明のリチウムイオン二次電池の熱安定性が更に向上する場合がある。

0037

導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。

0038

導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック黒鉛気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラックケッチェンブラック登録商標)、ファーネスブラックチャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて正極活物質層に添加することができる。

0039

導電助剤の形状は特に制限されないが、その役割からみて、導電助剤の平均粒子径は小さいほうが好ましい。導電助剤の好ましい平均粒子径として10μm以下が例示され、より好ましい平均粒子径として0.01〜1μmの範囲が例示される。

0040

導電助剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における導電助剤の配合量を挙げると、0.5〜10質量%の範囲内がよく、1〜7質量%の範囲内が好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。

0041

結着剤は、正極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンポリテトラフルオロエチレンフッ素ゴム等の含フッ素樹脂ポリプロピレンポリエチレン等の熱可塑性樹脂ポリイミドポリアミドイミド等のイミド系樹脂アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基スルホ基シラノール基アミノ基、水酸基リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸カルボキシメチルセルロースポリメタクリル酸ポリ(p−スチレンスルホン酸)を挙げることができる。

0042

結着剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における結着剤の配合量を挙げると、0.5〜10質量%の範囲内が好ましく、1〜7質量%の範囲内がより好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると正極活物質層の成形性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、正極活物質層における正極活物質の量が相対的に減少するため、好ましくない。

0043

導電助剤及び結着剤以外の分散剤などの添加剤は、公知のものを採用することができる。

0044

集電体の表面に正極活物質層を形成させるには、ロールコート法ダイコート法ディップコート法ドクターブレード法スプレーコート法カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に正極活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンメタノールメチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。

0045

本発明の趣旨から、本発明の正極の製造方法の一工程として、正極の孔径を水銀圧入法で測定した際のLog微分孔体積分布曲線に観察されるピークトップが0.25〜0.54μmの範囲内にあることを確認する工程を含むことが好ましい。当該工程においては、大きな正極の一部を切り取って、その孔径を測定して確認してもよいし、又は、多数の正極のうちの一定数を抜き取って、それらの孔径を測定して確認してもよい。

0046

本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の正極を備えたものである。本発明のリチウムイオン二次電池は、具体的な電池構成要素として、本発明の正極、負極、電解液、及び必要に応じてセパレータを含む。

0047

負極は、集電体と、集電体の表面に形成された負極活物質層を有する。負極活物質層は負極活物質を含み、さらに、導電助剤、結着剤、分散剤などの添加剤を含むことがある。集電体及び導電助剤は、正極で説明したものを採用すればよい。分散剤は公知のものを採用することができる。

0048

負極活物質としては、リチウム吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを例示することができる。

0049

炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素天然黒鉛人造黒鉛コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体炭素繊維活性炭あるいはカーボンブラック類が例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類フラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。高分子材料としては、具体的にポリアセチレンポリピロールを例示できる。

0050

リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示でき、特に、Si又はSnが好ましい。

0051

リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si3N4、Si2N2O、SiOv(0<v≦2)、SnOw(0<w≦2)、SnSiO3、LiSiOあるいはLiSnOを例示でき、特に、SiOx(0.3≦x≦1.6)が好ましい。また、リチウムと合金化反応可能な元素を有する化合物として、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などの錫化合物を例示できる。

0052

上記のSiOv(0<v≦2)からなる珪素酸化物は、二酸化珪素(SiO2)と単体珪素(Si)とを原料として得られる非晶質の珪素酸化物であるSiOを、熱処理等により不均化することにより得られる。不均化反応は、SiOがSi相とSiO2相とに分解する反応である。一般に、酸素を断った状態であれば800℃以上で、ほぼすべてのSiOが不均化して二相に分離すると言われている。具体的には、非結晶性のSiOに対して、真空中または不活性ガス中などの不活性雰囲気中で800〜1200℃で1〜5時間の熱処理をすることで、非結晶性のSiO2相および結晶性のSi相の二相を含む珪素酸化物が得られる。

0053

この珪素酸化物の平均粒子径は、4μm以上であることが好ましい。平均粒子径とは、メジアン径であり、レーザー回析法による体積基準粒度分布に基づいて得ることができる。珪素酸化物の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、活性点が多いため、SEI(Solid Electrolyte Interphase)の生成が多くサイクル特性が低下する場合がある。一方、平均粒子径が大きすぎると、珪素酸化物は導電率が悪いため、電極全体の導電性が不均一になり、抵抗の上昇や、出力の低下が起こる場合がある。

0054

また、負極活物質として、国際公開第2014/080608号に記載のシリコン材料を採用してもよい。当該シリコン材料は、複数枚板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するものである。シリコン材料は、例えば、CaSi2と酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素離脱させる工程を経て製造されるものである。

0055

シリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi2+6HCl → Si6H6+3CaCl2
Si6H6 → 6Si+3H2↑

0056

ただし、ポリシランであるSi6H6を合成する上段の反応では、副生物不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Si6H6は水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSi6H6のみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi6Hs(OH)tXu(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。

0057

既述のとおり、シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体が効率的に吸蔵及び放出されるためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSi2におけるSi層の名残りであると考えられる。

0058

シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピーク半値幅を用いたシェラーの式から算出される。

0059

シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。

0060

珪素酸化物やシリコン材料などの珪素を含有するSi含有負極活物質は炭素で被覆されていてもよい。炭素で被覆されたSi含有負極活物質は導電性に優れる。

0061

極用の結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。

0062

また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーを結着剤として具備する本発明のリチウムイオン二次電池は、より好適に容量を維持できる。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。中でも、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが好ましい。

0063

ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸ビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。

0064

分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、例えば、酸モノマー重合する方法や、ポリマーにカルボキシル基を付与する方法などで製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸ビニル安息香酸クロトン酸ペンテン酸アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基をもつ酸モノマー、イタコン酸メサコン酸シトラコン酸フマル酸マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基をもつ酸モノマーなどが例示される。

0065

上記の酸モノマーから選ばれる二種以上の酸モノマーを重合してなる共重合ポリマーを結着剤として用いてもよい。

0066

また、例えば特開2013—065493号公報に記載されたような、アクリル酸とイタコン酸との共重合体のカルボキシル基どうし縮合して形成された酸無水物基を分子中に含んでいるポリマーを結着剤として用いることも好ましい。一分子中にカルボキシル基を二つ以上有する酸性度の高いモノマー由来の構造が結着剤にあることにより、充電時に電解液分解反応が起こる前にリチウムイオンなどを結着剤がトラップし易くなると考えられている。さらに、当該ポリマーは、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸に比べてモノマーあたりのカルボキシル基が多いため、酸性度が高まるものの、所定量のカルボキシル基が酸無水物基に変化しているため、酸性度が高まりすぎることもない。そのため、当該ポリマーを結着剤として用いた負極を備える二次電池は、初期効率が向上し、入出力特性が向上する。

0067

また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマージアミン架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。

0069

また、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーと、ポリアミドイミドとの混合物又は反応物を結着剤として用いてもよい。

0070

ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合イミド結合をそれぞれ2つ以上有する化合物を意味する。ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合におけるカルボニル部分となる酸成分と、アミド結合及びイミド結合における窒素部分となるジアミン成分又はジイソシアネート成分を反応させることで製造される。ポリアミドイミドを得るには、当該方法で製造しても良いし、また、市販のポリアミドイミドを購入しても良い。

0071

ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸ピロメリット酸ビフェニルテトラカルボン酸ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジフェニルエーテルテトラカルボン酸シュウ酸アジピン酸マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸ドデカンジカルボン酸ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリルブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸イソフタル酸、ビス(カルボキシフェニル)スルホン、ビス(カルボキシフェニル)エーテルナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物、酸ハロゲン化物、誘導体を挙げることができる。酸成分としては、上記の化合物を単独で又は複数で採用すればよいが、ただし、イミド結合を形成させる点から、カルボキシル基が結合している炭素の隣接炭素にカルボキシル基が存在する酸成分又はその同等物が、必須となる。酸成分としては、反応性耐熱性などの点から、トリメリット酸無水物が好ましい。また、ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率、電解液耐性の点から、トリメリット酸無水物に加えて、酸成分の一部として、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物ビフェニルテトラカルボン酸無水物を採用するのが好ましい。

0072

ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン成分としては、上述した架橋ポリマーに用いられるジアミンを採用すればよい。耐熱性、溶解性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、o−トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率の点からはo−トリジン、ナフタレンジアミンが好ましい。

0073

ポリアミドイミドの製造に用いられるジイソシアネート成分としては、上記ジアミン成分のアミンイソシアネートで置き換えたものを挙げることができる。

0074

負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。

0075

セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステルポリアクリロニトリル等の合成樹脂セルロースアミロース等の多糖類フィブロインケラチンリグニンスベリン等の天然高分子セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。

0076

電解液は、非水溶媒とこの非水溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。

0077

非水溶媒としては、環状エステル類鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネートプロピレンカーボネートブチレンカーボネートガンマブチロラクトンビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネートジエチルカーボネートジブチルカーボネートジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートプロピオン酸アルキルエステルマロン酸ジアルキルエステル酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。電解液には、これらの非水溶媒を単独で用いてもよいし、又は、複数を併用してもよい。

0078

負極活物質として、珪素を含有するSi含有負極活物質を用いる場合には、フッ素含有環状カーボネートを含有する電解液を用いるのが好ましい。フッ素含有環状カーボネートとは、フッ素を分子内に有する環状カーボネートを意味する。電解液に含まれる有機溶媒全体に対するフッ素含有環状カーボネートの量としては、1〜30体積%が好ましく、5〜30体積%がより好ましく、10〜30体積%がさらに好ましく、15〜25体積%が特に好ましい。

0079

フッ素含有環状カーボネートは、耐酸化能に優れるが、還元条件下でたやすく分解する。従って、フッ素含有環状カーボネートは、リチウムイオン二次電池の充放電条件下において、Si含有負極活物質と電解液との界面で優先的に分解する。その結果、Si含有負極活物質の表面に、フッ素含有環状カーボネートの分解物に由来する被膜が形成される。当該被膜がSi含有負極活物質の保護膜となるため、Si含有負極活物質の劣化を抑制できる。

0080

フッ素含有環状カーボネートの具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。

0081

0082

(R1、R2はそれぞれ独立に、水素、アルキル基ハロゲン置換アルキル基又はハロゲンである。ただし、各R1及び各R2のうち、少なくとも一つはFを含む。)

0083

一般式(1)で表されるフッ素含有環状カーボネートを具体的な化合物名で示すと、フルオロエチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられ、中でもフルオロエチレンカーボネートが好ましい。

0084

電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を例示できる。

0085

電解液としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。

0086

リチウムイオン二次電池を製造するために、例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。

0087

リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。リチウムイオン二次電池は、大きな充放電容量を維持し、かつ優れたサイクル性能を有するため、これを搭載した車両は、高性能の車両となる。

0088

車両としては、電池による電気エネルギー動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車ハイブリッド自動車プラグインハイブリッド自動車ハイブリッド鉄道車両電動フォークリフト電気車椅子電動アシスト自転車電動二輪車が挙げられる。

0089

以上、本発明の正極及びリチウムイオン二次電池を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。

0090

以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。

0091

(比較例1)
正極活物質として平均粒子径が6μmのLiNi5/10Co2/10Mn3/10O2を67質量部、正極活物質として平均粒子径が0.5μmの炭素被覆されたLiFePO4を27質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを3質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。正極用集電体としてアルミニウム箔を準備した。アルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、当該アルミニウム箔をプレス接合物を得た。得られた接合物を乾燥機加熱乾燥して、正極活物質層が形成されたアルミニウム箔からなる比較例1の正極を製造した。

0092

負極活物質としてSiOを32質量部、負極活物質として黒鉛を50質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8質量部、結着剤としてポリアミドイミドを10質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として銅箔を準備した。この銅箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された銅箔を乾燥することでN−メチル−2−ピロリドンを除去して、負極活物質層が形成された負極を製造した。

0093

フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを2:1:3:4の体積比で混合した有機溶媒に、LiPF6を加えて溶解させて、LiPF6を1mol/Lの濃度で含有する電解液を製造した。

0094

セパレータとして、ポリオレフィン製多孔質膜を準備した。比較例1の正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。この極板群を二枚一組ラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉された比較例1のリチウムイオン二次電池を製造した。

0095

(比較例2)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が1.5μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0096

(実施例1)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が2μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、実施例1の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0097

(実施例2)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が3μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、実施例2の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0098

(実施例3)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が4μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、実施例3の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0099

(実施例4)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が8μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、実施例4の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0100

(比較例3)
炭素被覆されたLiFePO4として、平均粒子径が12μmのものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で、比較例3の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0101

(評価例1)
水銀圧入法にて、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3の正極の孔径分布を測定した。測定条件は以下のとおりとした。各正極のLog微分孔体積分布曲線で観察されたピークのうち、ピーク高さが最も高いピークの頂点を正極の孔径として、各正極に用いた正極活物質の平均粒子径とともに表1に示す。

0102

水銀ポロシメータ:株式会社島津製作所製オートポア9520型
初期圧:7kPa
水銀接触角:130°
銀表面張力:485dynes/cm

0103

0104

表1及び以下の記載において、NCMとはLiNi5/10Co2/10Mn3/10O2を、LFPとは炭素被覆されたLiFePO4を意味する。また、B/Aは(LFPの平均粒子径)/(NCMの平均粒子径)の値である。

0105

表1から、リチウム金属複合酸化物であるNCMの平均粒子径が一定の場合、リチウム金属リン酸化合物であるLFPの平均粒子径が大きくなれば、正極の孔径も大きくなることがわかる。また、正極の孔径とB/Aとは、相関関係にあるといえる。

0106

(評価例2)
電圧4.2Vに調整した実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3の各リチウムイオン二次電池につき、25℃、1Cレートの定電流にて、10秒間放電させた。放電前後の電圧変化量及び電流値から、オームの法則により、放電時の直流抵抗を算出した。

0107

また、実施例1の正極を2つ用いた測定用セルを準備して、以下の条件でインピーダンス測定を行った。
測定電圧:0V(両正極の電位が同じ状態で測定したことを意味する。)
測定周波数:1.0×106〜1.0×10−2Hz
振幅:±10mV

0108

得られた複素インピーダンス面プロットの曲線を、フィッティングにより、第一円弧と第二円弧に分離した。そして、両円弧に対応する抵抗を算出した。なお、第一円弧は電子抵抗成分に相当し、第二円弧はイオン抵抗成分に相当する。実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例3の正極についても同様のインピーダンス測定を行った。

0109

放電時の直流抵抗及びインピーダンス測定の結果を、評価例1の正極の孔径の結果とともに表2に示す。

0110

0111

表2から、正極の孔径が大きくなるに従い、放電時の直流抵抗が減少することがわかる。さらに、正極の孔径が大きくなっても電子抵抗はほとんど変化しないが、正極の孔径が大きくなるに従い、イオン抵抗が減少する傾向にあることがわかる。以上の結果から、正極の孔径を大きくすると、正極及びリチウムイオン二次電池の抵抗が下がるといえる。電池性能の面からは、孔径の大きい正極が好ましいといえる。

0112

(評価例3)
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3のリチウムイオン二次電池につき、以下の方法で強制短絡試験としての釘刺し試験を行った。

0113

リチウムイオン二次電池に対し、4.5Vの電位で安定するまで定電圧充電を行った。充電後のリチウムイオン二次電池(放電容量は6Ah程度と見込まれる。)を、径20mmの孔を有する拘束板上に配置した。上部にが取り付けられたプレス機に拘束板を配置した。釘が拘束板上の電池を貫通して、釘の先端部が拘束板の孔内部に位置するまで、釘を上部から下部に20mm/sec.の速度で移動させた。釘貫通後の電池の表面温度を経時的に測定した。測定された表面温度のうち、最高温度を表3に示す。なお、使用した釘の形状は径8mm、先端角度60°であり、釘の材質はJIS G 4051で規定するS45Cであった。

0114

0115

表3から、正極の孔径が大きくなるに従い、釘刺し試験時におけるリチウムイオン二次電池の表面温度が上昇することがわかる。

0116

表2及び表3の結果から、放電時の直流抵抗が200mΩ以下と低く、かつ、釘刺し試験時における表面温度が300℃以下に抑制されている、実施例1〜実施例4の正極及びリチウムイオン二次電池は、好適な電池特性及び熱安定性を両立するといえる。

0117

(実施例2−1)
正極製造時のプレス圧を減じた以外は、実施例2と同様の方法で、実施例2−1の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0118

(実施例2−2)
正極製造時のプレス圧を増加した以外は、実施例2と同様の方法で、実施例2−2の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。

0119

(評価例4)
実施例2、実施例2−1及び実施例2−2の正極につき、水銀ポロシメータを用いて空隙率を測定した。さらに、実施例2−1及び実施例2−2の正極につき、評価例1と同様の方法で、正極の孔径分布を測定した。また、実施例2−1及び実施例2−2のリチウムイオン二次電池につき、評価例2と同様の方法で、放電時の直流抵抗を算出し、さらに、評価例3と同様の方法で、釘刺し試験時におけるリチウムイオン二次電池の表面温度を測定した。これらの結果を表4に示す。

0120

実施例

0121

表4から、同一のNCM及びLFPを用いた正極であれば、正極の空隙率が30%から25%に減少すると正極の孔径も減少するものの、放電時の直流抵抗にはほとんど影響がないことがわかる。しかしながら、正極の空隙率が30%から25%に減少すると、釘刺し試験時におけるリチウムイオン二次電池の表面温度が減少することがわかる。以上の結果から、正極の孔径が本発明で規定する範囲内である場合、正極の空隙率は小さい方が好ましいといえる。

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