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技術 蛍光発光素子、光源装置およびプロジェクター

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 坂田秀文
出願日 2016年8月12日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2016-158648
公開日 2018年2月15日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2018-025711
状態 未査定
技術分野 投影装置 非携帯用の照明装置またはそのシステム
主要キーワード 入射界面 集光光学 回折角度θ 蛍光発光素子 ダイクロイック層 面内光強度分布 発散角度 面法線方向
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

ダイクロイック層による光の損失が小さい蛍光発光素子を提供する。

解決手段

本発明の蛍光発光素子は、基板と、基板の第1面の側に設けられた蛍光体層と、基板と蛍光体層との間に設けられたダイクロイック層と、ダイクロイック層とは反対側の蛍光体層の面に設けられた回折格子と、を備える。回折格子は、蛍光体層で生成された蛍光光がダイクロイック層に対するブリュースター角で回折格子に入射した場合において、回折格子を透過する−3次の回折光が発生するように構成されている。

概要

背景

プロジェクター等に用いられる光源装置として、半導体レーザー等の励起光源から射出された励起光蛍光体照射し、蛍光体から得られる蛍光光を利用する光源装置が提案されている。

例えば下記の特許文献1に、基材と、蛍光体層と、ダイクロイック層と、励起光源と、を備えた光源装置が開示されている。この光源装置において、ダイクロイック層は、基材と蛍光体層との間に設けられており、励起光源から射出された励起光を透過し、蛍光体層から発せられた蛍光光を反射する。

概要

ダイクロイック層による光の損失が小さい蛍光発光素子を提供する。本発明の蛍光発光素子は、基板と、基板の第1面の側に設けられた蛍光体層と、基板と蛍光体層との間に設けられたダイクロイック層と、ダイクロイック層とは反対側の蛍光体層の面に設けられた回折格子と、を備える。回折格子は、蛍光体層で生成された蛍光光がダイクロイック層に対するブリュースター角で回折格子に入射した場合において、回折格子を透過する−3次の回折光が発生するように構成されている。

目的

本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ダイクロイック層による蛍光光の損失が小さい蛍光発光素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

基板と、前記基板の第1面の側に設けられた蛍光体層と、前記基板と前記蛍光体層との間に設けられたダイクロイック層と、前記ダイクロイック層とは反対側の前記蛍光体層の面に設けられた回折格子と、を備え、前記蛍光体層で生成された蛍光光が前記ダイクロイック層に対するブリュースター角で前記回折格子に入射した場合において、前記回折格子を透過する−3次の回折光が発生するように前記回折格子が構成されている、蛍光発光素子

請求項2

前記回折格子は、前記第1面の面法線方向から見て、互いに直交する第1方向および第2方向に周期的な凹凸構造を有する、請求項1に記載の蛍光発光素子。

請求項3

前記凹凸構造は、前記第1方向におけるピッチと前記第2方向におけるピッチとが互いに異なる、請求項2に記載の蛍光発光素子。

請求項4

請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の蛍光発光素子と、前記蛍光体層を励起させる励起光射出する励起光源と、を備えた、光源装置

請求項5

請求項4に記載の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して画像光を生成する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学系と、を備える、プロジェクター

技術分野

0001

本発明は、蛍光発光素子光源装置およびプロジェクターに関する。

背景技術

0002

プロジェクター等に用いられる光源装置として、半導体レーザー等の励起光源から射出された励起光蛍光体照射し、蛍光体から得られる蛍光光を利用する光源装置が提案されている。

0003

例えば下記の特許文献1に、基材と、蛍光体層と、ダイクロイック層と、励起光源と、を備えた光源装置が開示されている。この光源装置において、ダイクロイック層は、基材と蛍光体層との間に設けられており、励起光源から射出された励起光を透過し、蛍光体層から発せられた蛍光光を反射する。

先行技術

0004

特開2010−86815号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1の光源装置において、ダイクロイック層は蛍光光を反射するために設けられている。しかし、蛍光光のうち、ブリュースター角でダイクロイック層に入射したP偏光成分は、ダイクロイック層を透過する。これにより、蛍光光の損失が生じるという問題があった。

0006

本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ダイクロイック層による蛍光光の損失が小さい蛍光発光素子を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、本発明の一つの態様の蛍光発光素子を備えた光源装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、本発明の一つの態様の光源装置を備えたプロジェクターを提供することを目的の一つとする。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の蛍光発光素子は、基板と、前記基板の第1面の側に設けられた蛍光体層と、前記基板と前記蛍光体層との間に設けられたダイクロイック層と、前記ダイクロイック層とは反対側の前記蛍光体層の面に設けられた回折格子と、を備え、前記蛍光体層で生成された蛍光光が前記ダイクロイック層に対するブリュースター角で前記回折格子に入射した場合において、前記回折格子を透過する−3次の回折光が発生するように前記回折格子が構成されている。

0008

本発明者は、蛍光光がダイクロイック層に対するブリュースター角で回折格子に入射した場合において、回折格子を透過する回折光の次数が−2を超える場合の回折効率波長依存性が、回折光の次数が−2を超えない場合の回折効率の波長依存性よりも小さいことを見出し、本発明に想到した。本発明の一つの態様の蛍光発光素子によれば、蛍光光がダイクロイック層に対するブリュースター角で回折格子に入射した場合において、回折格子を透過する−3次の回折光が発生するため、回折格子は、広い波長帯域にわたって高い効率で蛍光光を透過させる。これにより、回折格子で反射されてダイクロイック層にブリュースター角で入射する蛍光光が回折格子を備えない場合よりも少ないため、ダイクロイック層による蛍光光の損失が小さい。

0009

本発明の一つの態様の蛍光発光素子において、前記回折格子は、前記第1面の面法線方向から見て、互いに直交する第1方向および第2方向に周期的な凹凸構造を有していてもよい。
蛍光光は蛍光体層の内部で等方的に発せられる。この構成によれば、第1方向に加えて第2方向についても回折光が生じるため、一方向にのみ周期的な凹凸構造を有する回折格子に比べて、回折格子からの蛍光光の取り出し効率が高い。

0010

本発明の一つの態様の蛍光発光素子において、前記凹凸構造は、前記第1方向におけるピッチと前記第2方向におけるピッチとが互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、回折格子を透過した蛍光光の配光分布を任意に制御できる。

0011

本発明の一つの態様の光源装置は、本発明の一つの態様の蛍光発光素子と、前記蛍光体層を励起させる励起光を射出する励起光源と、を備える。
この構成によれば、蛍光発光素子で発生した蛍光光を効率的に利用できる光源装置を実現することができる。

0012

本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して画像光を生成する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学系と、を備える。
この構成によれば、蛍光発光素子で発生した蛍光光を効率的に利用するプロジェクターを実現することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の一実施形態のプロジェクターの光学系を示す模式図である。
蛍光発光素子の要部の平面図である。
図2のIII−III線に沿う蛍光発光素子の断面図である。
ダイクロイック層のP偏光反射特性を示すグラフである。
回折格子のピッチが500nmのときの回折の様子を示す模式図である。
回折格子のピッチが2μmのときの回折の様子を示す模式図である。
回折格子のピッチが500nmのときの波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
回折格子のピッチが500nmのときの波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
回折格子のピッチが700nmのときの波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
回折格子のピッチが700nmのときの波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
回折格子のピッチが2μmのときの波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
回折格子のピッチが2μmのときの波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。

実施例

0014

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る蛍光発光素子、光源装置、およびプロジェクターについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。

0015

[プロジェクター]
図1は、本実施形態のプロジェクター1000の光学系を示す図である。
図1に示すように、プロジェクター1000は、照明装置100と、色分離導光光学系200と、光変調装置400Rと、光変調装置400Gと、光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投射光学系600と、を備えている。

0016

照明装置100は、光源装置80と、コリメート光学系60と、第1レンズアレイ120と、第2レンズアレイ130と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150と、を備える。光源装置80は、励起光源10と、集光光学系20と、波長変換素子30と、を備える。波長変換素子30は、蛍光発光素子45と、蛍光発光素子45を回転させるモーター50と、を備えている。蛍光発光素子45は、基板40と、蛍光体層42と、ダイクロイック層44と、回折格子(図1では図示略)と、を備えている。

0017

光源装置80は、励起光源10から射出された青色光Bと、蛍光体層42が青色光Bで励起されることにより波長変換素子30から射出された緑色光Gおよび赤色光Rを含む蛍光光と、が合成された白色光を射出する。

0018

励起光源10は、半導体レーザー15と、ベース基板11と、冷却器70と、を備えている。半導体レーザー15は、例えばピーク波長が445nmの青色光を射出する。ただし、半導体レーザー15は、ピーク波長が445nm以外(例えば460nm)の青色光を射出してもよい。

0019

半導体レーザー15は、ベース基板11の第1面11aに実装されている。ベース基板11は、半導体レーザー15の熱を効果的に放出するために、銅等の熱伝導性が高い金属が用いられることが望ましい。半導体レーザー15は、サブマウント(図示略)を介してベース基板11に実装されていてもよい。冷却器70は、ベース基板11の第2面11bに固定され、ベース基板11を冷却する。冷却器70は、例えば複数のフィンを有するヒートシンクで構成されている。

0020

集光光学系20は、第1レンズ21と、第2レンズ22と、を備える。集光光学系20は、励起光源10と波長変換素子30との間の光路中に配置されている。集光光学系20は、半導体レーザー15から射出された青色光Bを集光した状態で波長変換素子30の蛍光体層42に入射させる。第1レンズ21および第2レンズ22は、凸レンズで構成されている。

0021

基板40は、モーター50の駆動によって回転軸51を中心として回転する。回転軸51の延在方向から見たとき、基板40の形状は円形である。基板40は、青色光Bを透過させる材料から構成されている。基板40の材料として、石英ガラス水晶サファイア光学ガラス、透明樹脂等を用いることができる。

0022

蛍光体層42は、基板40の第1面40aに、基板40の周方向に沿って円環状に設けられている。蛍光体層42は、波長が445nmの青色光Bによって励起され、緑色光Gと赤色光Rとを含む蛍光光を射出する。蛍光体層42は、例えばYAG系蛍光体の一つである(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを含有する層から構成されている。

0023

ダイクロイック層44は、基板40と蛍光体層42との間に設けられている。ダイクロイック層44は、半導体レーザー15から射出された青色光Bを透過させ、蛍光体層42から射出された蛍光光を反射する。

0024

励起光源10から射出された青色光Bは、基板40とダイクロイック層44とをこの順に透過して蛍光体層42に入射する。蛍光体層42は、励起光源10からの青色光Bの一部を赤色光Rおよび緑色光Gを含む蛍光光に変換し、かつ、青色光Bの残りの一部を変換せずに透過させる。これにより、波長変換素子30は、赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとを含む白色光を、励起光源10から射出された青色光Bが入射する側とは反対側に向けて射出する。

0025

コリメート光学系60は、第1レンズ62と、第2レンズ64と、を備えている。コリメート光学系60は、波長変換素子30から射出された光を略平行化する。第1レンズ62および第2レンズ64は、凸レンズから構成されている。

0026

第1レンズアレイ120は、複数の第1小レンズ122を備えている。第1レンズアレイ120は、コリメート光学系60からの光を複数の部分光束に分割する。複数の第1小レンズ122は、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列されている。

0027

第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を備えている。第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150とともに、第1レンズアレイ120の各第1小レンズ122の像を光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ132は、照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。

0028

偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束の各々を直線偏光に変換する。偏光変換素子140は、波長変換素子30からの光に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を照明光軸100axに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸100axに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板と、を備えている。

0029

重畳レンズ150は、偏光変換素子140からの複数の部分光束を集光して光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの画像形成領域の近傍に重畳させる。第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130および重畳レンズ150は、画像形成領域において、波長変換素子30からの光の面内光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。

0030

色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210と、ダイクロイックミラー220と、反射ミラー230と、反射ミラー240と、反射ミラー250と、リレーレンズ260と、リレーレンズ270と、を備えている。色分離導光光学系200は、照明装置100からの光を赤色光R、緑色光G、および青色光Bに分離し、赤色光R、緑色光G、および青色光Bの各々を、これら各色光に対応した光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bに導光する。

0031

色分離導光光学系200と光変調装置400Rとの間には、集光レンズ300Rが配置されている。色分離導光光学系200と光変調装置400Gとの間には、集光レンズ300Gが配置されている。色分離導光光学系200と光変調装置400Bとの間には、集光レンズ300Bが配置されている。

0032

ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を透過させ、緑色光成分および青色光成分を反射する。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、青色光成分を透過させる。

0033

ダイクロイックミラー210を透過した赤色光Rは、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Rを透過して赤色光用の光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー210で反射した緑色光Gは、ダイクロイックミラー220でさらに反射し、集光レンズ300Gを透過して緑色光用の光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー220を透過した青色光Bは、リレーレンズ260、反射ミラー240、リレーレンズ270、反射ミラー250、集光レンズ300Bを経て青色光用の光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。

0034

光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bは、入射した色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成する。光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bは、透過型液晶パネルから構成されている。図示を省略したが、集光レンズ300Rと光変調装置400Rとの間、集光レンズ300Gと光変調装置400Gとの間、集光レンズ300Bと光変調装置400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置されている。光変調装置400R、光変調装置400G,光変調装置400Bの各々とクロスダイクロイックプリズム500との間には、射出側偏光板が配置されている。

0035

クロスダイクロイックプリズム500は、光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの各々から射出された画像光を合成する。クロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた構成を有する。直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面に、誘電体多層膜が形成されている。

0036

クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投射光学系600によって拡大投射され、スクリーンSCR上で画像を形成する。

0037

図2は、蛍光発光素子45における蛍光体層42の部分を拡大視した平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う蛍光発光素子45の断面図である。
図3に示すように、蛍光体層42は、ダイクロイック層44を介して基板40の第1面40aの側に設けられている。回折格子47は、蛍光体層42のダイクロイック層44とは反対側の面、すなわち蛍光光が射出される側の面(光射出面)に設けられている。

0038

回折格子47は、蛍光体層42で生成された蛍光光がダイクロイック層44に対するブリュースター角で回折格子47に入射した場合において、回折格子47を透過する−3次回折光が発生するように構成されている。

0039

図2に示すように、回折格子47は、基板40の第1面40aの面法線方向から見て、互いに直交する第1方向および第2方向に周期的な凹凸構造を有している。第1方向をX軸方向とし、第2方向をY軸方向とする。凹凸構造において、X軸方向のピッチdxおよびY軸方向のピッチdyは、ともに0.7μm〜4μm程度である。X軸方向のピッチdxとY軸方向のピッチdyとは同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。凹凸構造の深さtは、例えば0.55μm程度である。

0040

上述したように、基板40から入射した青色光Bは、ダイクロイック層44を透過して蛍光体層42に入射する。一部の青色光Bは蛍光体層42を透過し、残りの青色光Bは、蛍光体層42によって緑色光Gおよび赤色光Rを含む蛍光光に変換される。蛍光光のうち、一部の成分は回折格子47を透過して蛍光体層42から射出され、他の成分はダイクロイック層44に入射する。

0041

図4は、P偏光に対するダイクロイック層44の反射特性の一例を示すグラフである。図4横軸入射角度(度)、縦軸反射率(%)である。
図4に示すように、P偏光に対するダイクロイック層44の反射率は、入射角度依存性を有している。具体的には、P偏光の入射角度を0度から増加させると、P偏光の反射率は徐々に低下する。入射角度がブリュースター角近傍の40〜50度になると、反射率は急激に低下する。なお、ブリュースター角は、入射界面を構成する材料の屈折率によって変化する。

0042

蛍光光は非偏光であるため、蛍光光にはP偏光成分が含まれている。40〜50度でダイクロイック層44に入射したP偏光成分の一部はダイクロイック層44を透過し、蛍光体層42の光射出面から射出することができないため、損失となる。仮に蛍光体層42の光射出面が平坦面であったとすると、蛍光体層42の内部から光射出面に対して臨界角以上の入射角度で入射した蛍光光は光射出面で全反射する。さらに、蛍光体層42の内部散乱が弱かったとすると、光射出面で全反射した蛍光光は、光射出面とダイクロイック層44との間で反射を繰り返す。蛍光光がダイクロイック層44に入射する度に蛍光光の一部がダイクロイック層44を透過するため、蛍光光の損失はますます大きくなる。

0043

しかし、本実施形態においては、図3に示すように、蛍光体層42の光射出面に設けた回折格子47が蛍光体層42の内部から光射出面に入射した蛍光光Yを回折させるため、蛍光光Yの一部を例えば0次回折光LT0および−1次回折光LT−1として蛍光体層42から取り出すことができる。後述するように、取り出すことが可能な回折光の次数は、回折格子47のピッチによって調整が可能である。

0044

本発明者は、本実施形態の蛍光発光素子45において回折格子47に入射した光の回折のシミュレーションを行った。シミュレーションでは、蛍光体層42としてYAG系蛍光体材料を用い、回折格子47は1次元回折格子とした。

0045

図5は、回折格子47のピッチを500nmとした場合の波長550nmの光の回折の様子を示している。
この場合、回折格子47に入射する光L0の入射角度が臨界角以上であるため、0次回折光LR0は全反射しているが、回折格子47で反射された−1次回折光LR−1、−2次回折光LR−2と、回折格子47を透過した−1次回折光LT−1、−2次回折光LT−2が生じている。本明細書において、回折格子47を透過するn次回折光をn次回折光LTnと称し、回折格子47で反射されるn次回折光をn次回折光LRnと称する。

0046

図6は、回折格子47のピッチを2μmとした場合の波長550nmの光の回折の様子を示している。ここでは、光は回折格子47に対して垂直に入射している。
図6に示すように、回折格子47のピッチが2μmの場合、回折格子47で反射された−6次回折光LR−6〜6次回折光LR6と、回折格子47を透過した−3次回折光LT−3〜3次回折光LT3が生じている。すなわち、図5および図6からわかるように、回折格子47のピッチを大きくすると、回折角度が小さくなり、高次の回折光が回折格子47を透過できるようになる。

0047

入射側媒体(蛍光体層42)の屈折率をn1とし、射出側媒体(空気)の屈折率をn2とし、回折格子47の面法線入射光とのなす角度をθ1とし、面法線と射出光とのなす角度をθ2とし、回折次数をmとし、光の波長をλとし、回折格子47のピッチをdとしたとき、回折格子47のピッチdと回折角度θ2との関係は以下の(1)式で表される。
n2sinθ2−n1sinθ1=mλ/d …(1)

0048

図7は、回折格子47のピッチを500nmとした場合の波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
図8は、回折格子47のピッチを500nmとした場合の波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
以下の図7図12において、グラフの横軸は入射角度(度)であり、縦軸は回折効率である。また、各グラフにおいて、回折格子47を透過した各回折光の回折効率の合計を全透過回折効率LTSUMで示す。

0049

図7および図8に示すように、回折格子47のピッチを500nmとした場合、ダイクロイック層44に対するブリュースター角である40度の入射角度において−1次回折光LT−1のみが回折格子47を透過する。以下、ダイクロイック層44に対するブリュースター角をブリュースター角と略記する。

0050

図7に示すように、波長550nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において0.60を超える高い値を示した。ところが、図8に示すように、波長650nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において約0.20という低い値を示す。

0051

このように、回折格子47のピッチを500nmとした場合、いずれの波長においても、40度の入射角度において回折格子47を透過する回折光の次数が−2を超えず、波長550nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMと波長650nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMとが大きく異なった。すなわち、ピッチ500nmの回折格子47は、波長550nmおよび波長650nmを含む広い波長帯域にわたって高い効率で蛍光光を透過させることができないことがわかった。

0052

次に、回折格子47のピッチを700nmに設定し、シミュレーションを行った。
図9は、回折格子47のピッチを700nmとした場合の波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
図10は、回折格子47のピッチを700nmとした場合の波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。

0053

図9および図10に示すように、回折格子47のピッチを700nmとした場合、ブリュースター角である40度の入射角度において、回折格子47を透過する−1次回折光LT−1、−2次回折光LT−2、および−3次回折光LT−3が発生した。つまり、回折格子47を透過する回折光の次数が−2を超えている。

0054

図9に示すように、波長550nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において約0.42を示した。また、図10に示すように、波長650nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において約0.54を示した。

0055

このように、回折格子47のピッチを700nmとした場合、波長550nmに対する全透過回折効率LTSUMと波長650nmに対する全透過回折効率LTSUMとの差は、ピッチを500nmとした場合に比べて小さくなった。これにより、ピッチ700nmの回折格子は、波長550nmおよび波長650nmを含む広い波長帯域にわたって高い効率で蛍光光を透過させることができることがわかった。

0056

次に、回折格子47のピッチを2μmに設定し、シミュレーションを行った。
図11は、回折格子47のピッチを2μmとした場合の波長550nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。
図12は、回折格子47のピッチを2μmとした場合の波長650nmの光に対する回折効率の入射角度依存性を示すグラフである。

0057

図11および図12に示すように、回折格子47のピッチを2μmとした場合、ブリュースター角である40度の入射角度において、回折格子47を透過する−1次回折光LT−1、−2次回折光LT−2、−3次回折光LT−3、−4次回折光LT−4および−5次回折光LT−5が発生した。つまり、回折格子47を透過する回折光の次数が−2を超えている。

0058

図11に示すように、波長550nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において約0.43を示した。また、図12に示すように、波長650nmの入射光に対する全透過回折効率LTSUMは、ブリュースター角(入射角度40度)において約0.46を示した。

0059

このように、回折格子47のピッチを2μmとした場合、回折格子47のピッチを700nmとした場合と同様、波長550nmに対する全透過回折効率LTSUMと波長650nmに対する全透過回折効率LTSUMとの差は、ピッチを500nmとした場合に比べて小さくなった。これにより、ピッチ2μmの回折格子は、波長550nmおよび波長650nmを含む広い波長帯域にわたって高い効率で蛍光光を透過させることができることがわかった。

0060

また、シミュレーション結果の例示を省略したが、本発明者は、回折格子47のピッチを500〜700nmの間の値に設定したとき、40度の入射角度において、回折格子47を透過する回折光の次数の最高値が−2となる条件が存在するが、その条件では波長550nmの蛍光光、波長650nmの蛍光光の双方に対して同等の回折効率が得られないことを確認している。

0061

本実施形態の蛍光発光素子45によれば、蛍光体層42のダイクロイック層44と反対側の面(光射出面)に回折格子47が設けられているため、回折格子47が設けられていない場合と比べて、光射出面から取り出せる蛍光光の光量を多くすることができる。さらに、回折格子47は、蛍光光がダイクロイック層44に対するブリュースター角で回折格子47に入射した場合に、回折格子47を透過する−3次回折光LT−3が発生するように構成されているため、ブリュースター角における全透過回折効率LTSUMの波長依存性が小さい。つまり、回折格子47は広い波長帯域にわたって高い効率で蛍光光を透過させる。よって、回折格子47が設けられていない場合と比較して、回折格子47で反射されてダイクロイック層44にブリュースター角で入射する蛍光光が少ない。このように、ダイクロイック層44による蛍光光の損失が小さい蛍光発光素子45を実現することができる。

0062

また、回折格子47がX軸方向およびY軸方向に周期的な凹凸構造を有しているため、蛍光体層42の内部で等方的に発せられる蛍光光に対して、一方向にのみ周期的な凹凸構造を有する回折格子に比べて、回折格子47からの蛍光光の取り出し効率を高めやすい。

0063

また、半導体レーザー15から射出される青色光Bは、光ビーム中心軸に直交するスポット形状楕円であり、方向によって異なる発散角度を有する。凹凸構造のX軸方向のピッチとY軸方向のピッチとを互いに異ならせ、かつ蛍光発光素子45を回転させずに固定すれば、回折格子を透過した蛍光光の配光分布を任意に制御できる。

0064

本実施形態によれば、光源装置80が上記の蛍光発光素子45を備えているため、蛍光光の利用効率が高い。また、本実施形態によれば、プロジェクター1000が上記の光源装置80を備えているため、蛍光発光素子45で発生した蛍光光を効率的に利用するプロジェクター1000を実現することができる。

0065

なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、互いに直交する2つの方向に周期的な凹凸構造を有する回折格子の例を示したが、1つの方向に周期的な凹凸構造を有する回折格子が用いられてもよい。

0066

その他、蛍光発光素子および光源装置を構成する各構成要素の数、形状、材料、配置等については、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、3つの光変調装置を備えるプロジェクターを例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに本発明を適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、上述した液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイスなどを用いることもできる。

0067

その他、プロジェクターの各種構成要素の形状、数、配置、材料等については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
また、上記実施形態では本発明による照明装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による照明装置は、照明器具自動車ヘッドライト等にも適用することができる。

0068

10…励起光源、40…基板、42…蛍光体層、44…ダイクロイック層、45…蛍光発光素子、47…回折格子、80…光源装置、400R,400G,400B…光変調装置、600…投射光学系、1000…プロジェクター。

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