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技術 偏光情報を利用した光断層画像撮影装置

出願人 株式会社トーメーコーポレーション
発明者 山成正宏
出願日 2016年10月13日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-201911
公開日 2018年2月15日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-025524
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 眼の診断装置
主要キーワード ADボード 局所位相 フェーザー ガルバノミラーユニット 画像フィルター 最尤推定量 エルゴード性 無偏光ビームスプリッター
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

フォンノイマンエントロピーを用いて、入射偏光状態に依存せず対象物偏光特性の乱雑さを表し、ノイズによって発生するフォンノイマンエントロピーのバイアス補正又は/及びサンプル数が小さいときに発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの緩和を実施可能な光断層画像撮影装置を提供する。

解決手段

光断層画像撮影装置において、少なくとも1つの光に対応する干渉信号ノイズ成分及び信号強度を用いてノイズ成分のフォンノイマンエントロピーを推定する手段を備える構成とした。

概要

背景

光コヒーレンストモグラフィ—(OCT)は、非侵襲、非接触で測定できることから、眼科において生体組織手術留置された非生物物質高解像度断層画像を取得する手段として広く使用されている方法である。

光コヒーレンストモグラフィ—(OCT)においては、タイムドメイン方式と呼ばれる、ミラーを動かして参照光光路長機械的に変化させながら断層画像取得を行うタイムドメインOCTと、フーリエドメイン方式と呼ばれる、分光器を用いてスペクトル情報を検出し断層画像取得を行うスペクトルドメインOCT、もしくは、波長走査光源を用いてスペクトル干渉信号を検出し断層画像取得を行う光周波数掃引OCTとがある。

偏光状態を変化させる複屈折分子が一定方向に配列する組織において生じる。眼底における網膜では網膜神経線維層血管壁強膜篩状板に強い複屈折性が存在する。また、網膜色素上皮層メラニン色素が持つ偏光解消効果により散乱光の偏光状態がランダムになる特性を持つ。機能性OCTの一つである偏光受型OCT(PS−OCT)は、この複屈折性や偏光解消効果を持つこれら組織の可視化が可能であり、近年、さまざまな偏光感受型OCTの開発が試みられている。

偏光感受型OCT(PS−OCT)は、サンプルを観察する測定光円偏光或いは偏光変調した光を用い、干渉光を2つの直交する直線偏光として検出する構成をとることが一般的である。

特許文献1には、偏光感受型OCT(PS−OCT)の1例が開示されている。そこには、Bスキャンと同時に(同期して)光源からの偏光ビーム偏光子により直線的に偏光されたビーム)をEO変調器偏光変調器電気光学変調器)によって連続的に変調し、この連続的に偏光を変調した偏光ビームを分けて、一方をサンプルに照射し、その反射光を得ると共に、他方を参照光として、両者のスペクトル干渉によりOCT計測を行い、このスペクトル干渉成分のうち、垂直偏光成分水平偏光成分を同時に2つの光検出器で測定することにより、サンプルの偏光特性を表すジョーンズ行列を得ることが開示されている。

特許文献2には、偏光感受型OCTで計測したリターデーションについての位相差分布に対して、モンテカルロシミュレーションノイズの特性を解析することによって得られた分布変換関数を用いて対称な位相差の分布のデータに変換することにより系統的な誤差を除去し、ノイズに埋もれた真の位相差を推測し、偏光感受型OCTによる画像をより鮮明に補正する方法が開示されている。

特許文献3および非特許文献1には、偏光感受型OCTで計測した偏光状態をストークスベクトルで表し、ストークスベクトルから偏光均一度(degree of polarization uniformity)を求め、それを網膜色素上皮層の検出に用いる方法が開示されている。

非特許文献2には、偏光感受型OCTの測定値から求めた偏光均一度はノイズによるバイアスの影響を受けることが開示されている。さらに、ストークスベクトルに補正項を導入することにより、偏光均一度のバイアスを除去する方法が開示されている。

非特許文献3には、偏光感受型OCTの測定値から求めた偏光均一度は入射偏光状態に依存することが示されており、入射偏光状態に依存しないパラメーターとして偏光解消指数(depolarization index)が開示されている。

概要

フォンノイマンエントロピーを用いて、入射偏光状態に依存せず対象物の偏光特性の乱雑さを表し、ノイズによって発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの補正又は/及びサンプル数が小さいときに発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの緩和を実施可能な光断層画像撮影装置を提供する。光断層画像撮影装置において、少なくとも1つの光に対応する干渉信号ノイズ成分及び信号強度を用いてノイズ成分のフォンノイマンエントロピーを推定する手段を備える構成とした。

目的

偏光解消指数と同様に、フォンノイマンエントロピーを用いて、入射偏光状態に依存せず対象物の偏光特性の乱雑さを表し、ノイズによって発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの補正又は/及びサンプル数が小さいときに発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの緩和を実施可能な光断層画像撮影装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

光干渉を用いて対象物断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも1つの光に対応する干渉信号ノイズ成分及び信号強度を用いてノイズ成分のフォンノイマンエントロピー推定することを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項2

前記光断層画像撮影装置において、さらに、測定された信号のフォンノイマンエントロピーからノイズ成分を除去するステップと、測定対象偏光特性を示すフォンノイマンエントロピーのみを算出するステップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光断層画像撮影装置。

請求項3

前記ノイズ成分のフォンノイマンエントロピーは、サンプルの深さ方向に累積した偏光特性から計算されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光断層画像撮影装置。

請求項4

前記サンプルの深さ方向に累積した偏光特性はジョーンズ行列特徴付けられることを特徴とする、請求項3に記載の光断層画像撮影装置。

請求項5

前記サンプルの深さ方向に累積した偏光特性はミューラー行列で特徴付けられることを特徴とする、請求項3に記載の光断層画像撮影装置。

請求項6

前記サンプルの深さ方向に累積した偏光特性はジョーンズベクトルで特徴付けられることを特徴とする、請求項3に記載の光断層画像撮影装置。

請求項7

前記サンプルの深さ方向に累積した偏光特性はストークスベクトルで特徴付けられることを特徴とする、請求項3に記載の光断層画像撮影装置。

請求項8

前記光断層画像撮影装置において、干渉光を少なくとも2つの異なる偏光成分に分離し検出することを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載の光断層画像撮影装置。

請求項9

前記ノイズ成分のフォンノイマンエントロピーは、サンプルの深さ方向に局所化された偏光特性から計算されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光断層画像撮影装置。

請求項10

前記サンプルの深さ方向に局所化された偏光特性はジョーンズ行列で特徴付けられることを特徴とする、請求項9に記載の光断層画像撮影装置。

請求項11

前記サンプルの深さ方向に局所化された偏光特性はミューラー行列で特徴付けられることを特徴とする、請求項9に記載の光断層画像撮影装置。

請求項12

前記サンプルの深さ方向に局所化された偏光特性はジョーンズベクトルで特徴付けられることを特徴とする、請求項9に記載の光断層画像撮影装置。

請求項13

前記サンプルの深さ方向に局所化された偏光特性はストークスベクトルで特徴付けられることを特徴とする、請求項9に記載の光断層画像撮影装置。

請求項14

前記光断層画像撮影装置において、干渉光を少なくとも2つの異なる偏光成分に分離し検出することを特徴とする、請求項10から13のいずれか1項に記載の光断層画像撮影装置。

請求項15

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、共分散行列アンサンブル平均サンプル数が十分でない場合に発生する固有値の過小推定を補正するステップと、前記補正した固有値を用いてフォンノイマンエントロピーを算出するステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項16

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、測定したジョーンズ行列に対して移動平均処理を行うステップと、移動平均処理を行ったジョーンズ行列の共分散行列に対して移動平均処理を行うステップと、固有値分解によってジョーンズ行列を推定するステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項17

前記測定したジョーンズ行列の元データを得るために、対象物の3次元ボリュームデータが得られるようにスキャンすることを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項18

前記測定したジョーンズ行列の元データを得るために、対象物の特定の領域を少なくとも2回以上繰り返しスキャンすることを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項19

前記測定したジョーンズ行列の元データを得るために、対象物の3次元の領域を少なくとも2回以上スキャンすることを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項20

前記測定したジョーンズ行列の元データの信号強度に基づいてしきい値を設定し、しきい値以上のピクセルのみを前記ジョーンズ行列の移動平均処理に用いることを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項21

前記測定したジョーンズ行列の元データの信号強度に基づいてしきい値を設定し、しきい値以上のピクセルのみを前記共分散行列の移動平均処理に用いることを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項22

前記測定したジョーンズ行列の元データの信号強度に基づいてしきい値を設定し、しきい値以下のピクセルに任意の色でマスクをかけた画像を出力することを特徴とする、請求項16に記載の光断層画像撮影装置。

請求項23

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項24

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項25

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターを用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項26

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターを用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項27

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターに加えて共分散行列を用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

請求項28

光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターに加えて共分散行列を用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする光断層画像撮影装置。

技術分野

0001

本発明は、光コヒーレンストモグラフィ—により、光断層画像撮影する装置に関し、特に、偏光受型光コヒーレンストモグラフィ—による計測データの高精度化のための補正処理を備えた光断層画像撮影する装置に関する。

背景技術

0002

光コヒーレンストモグラフィ—(OCT)は、非侵襲、非接触で測定できることから、眼科において生体組織手術留置された非生物物質高解像度断層画像を取得する手段として広く使用されている方法である。

0003

光コヒーレンストモグラフィ—(OCT)においては、タイムドメイン方式と呼ばれる、ミラーを動かして参照光光路長機械的に変化させながら断層画像取得を行うタイムドメインOCTと、フーリエドメイン方式と呼ばれる、分光器を用いてスペクトル情報を検出し断層画像取得を行うスペクトルドメインOCT、もしくは、波長走査光源を用いてスペクトル干渉信号を検出し断層画像取得を行う光周波数掃引OCTとがある。

0004

偏光状態を変化させる複屈折分子が一定方向に配列する組織において生じる。眼底における網膜では網膜神経線維層血管壁強膜篩状板に強い複屈折性が存在する。また、網膜色素上皮層メラニン色素が持つ偏光解消効果により散乱光の偏光状態がランダムになる特性を持つ。機能性OCTの一つである偏光感受型OCT(PS−OCT)は、この複屈折性や偏光解消効果を持つこれら組織の可視化が可能であり、近年、さまざまな偏光感受型OCTの開発が試みられている。

0005

偏光感受型OCT(PS−OCT)は、サンプルを観察する測定光円偏光或いは偏光変調した光を用い、干渉光を2つの直交する直線偏光として検出する構成をとることが一般的である。

0006

特許文献1には、偏光感受型OCT(PS−OCT)の1例が開示されている。そこには、Bスキャンと同時に(同期して)光源からの偏光ビーム偏光子により直線的に偏光されたビーム)をEO変調器偏光変調器電気光学変調器)によって連続的に変調し、この連続的に偏光を変調した偏光ビームを分けて、一方をサンプルに照射し、その反射光を得ると共に、他方を参照光として、両者のスペクトル干渉によりOCT計測を行い、このスペクトル干渉成分のうち、垂直偏光成分水平偏光成分を同時に2つの光検出器で測定することにより、サンプルの偏光特性を表すジョーンズ行列を得ることが開示されている。

0007

特許文献2には、偏光感受型OCTで計測したリターデーションについての位相差分布に対して、モンテカルロシミュレーションノイズの特性を解析することによって得られた分布変換関数を用いて対称な位相差の分布のデータに変換することにより系統的な誤差を除去し、ノイズに埋もれた真の位相差を推測し、偏光感受型OCTによる画像をより鮮明に補正する方法が開示されている。

0008

特許文献3および非特許文献1には、偏光感受型OCTで計測した偏光状態をストークスベクトルで表し、ストークスベクトルから偏光均一度(degree of polarization uniformity)を求め、それを網膜色素上皮層の検出に用いる方法が開示されている。

0009

非特許文献2には、偏光感受型OCTの測定値から求めた偏光均一度はノイズによるバイアスの影響を受けることが開示されている。さらに、ストークスベクトルに補正項を導入することにより、偏光均一度のバイアスを除去する方法が開示されている。

0010

非特許文献3には、偏光感受型OCTの測定値から求めた偏光均一度は入射偏光状態に依存することが示されており、入射偏光状態に依存しないパラメーターとして偏光解消指数(depolarization index)が開示されている。

0011

特許第4344829号公報
特開2013−019773号公報
WO2010/122118

先行技術

0012

“Retinal pigment epithelium segmentation by polarization sensitive optical coherence tomography” OPTICS EXPRESS,VOL.16,No.21,2008,p16416−16428
“Degree of polarization uniformity with high noise immunity using polarization-sensitive optical coherence tomography” OPTICSLETERS,VOL.39,No.24,2014,p6783−6786
“Degree of polarization (uniformity) and depolarization index: unambiguous depolarization contrast for optical coherence tomography” OPTICS LETTERS,VOL.40,No.17,2015,p3954−3957

発明が解決しようとする課題

0013

非特許文献2においては、偏光感受型OCTで取得されるジョーンズベクトルをストークスベクトルに変換し、ストークスベクトルへノイズ強度から算出した補正項を導入することによりストークスベクトルのバイアスを除去し、それにより偏光均一度のバイアスも除去する方法が開示されている。しかし、非特許文献3に開示されているように、偏光均一度はバイアスの有無とは無関係に、入射偏光状態に依存するという欠点がある。

0014

非特許文献2においては、直交する2つの入射偏光状態に対応する偏光均一度を求め、それらをOCT信号強度で重み付け加算する手法も開示されている。しかし、その手法が入射偏光状態への依存性を解消するかどうかについては議論されておらず、また数学根拠も示されていない。

0015

非特許文献3においては、偏光感受型OCTで取得されるミューラー行列から偏光解消指数を求めることにより、入射偏光状態に依存せず偏光の均一性または偏光解消の度合いを評価できることが開示されている。しかしながら、偏光解消指数に対しノイズが与えるバイアス効果については議論されておらず、バイアスを補正する方法については未解決の状態である。

0016

本発明は、上記の課題を解決するため、フォンノイマンエントロピーに着目する。偏光解消指数と同様に、フォンノイマンエントロピーを用いて、入射偏光状態に依存せず対象物の偏光特性の乱雑さを表し、ノイズによって発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの補正又は/及びサンプル数が小さいときに発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの緩和を実施可能な光断層画像撮影装置を提供する。

課題を解決するための手段

0017

上記目的を達成するために、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも1つの光に対応する干渉信号ノイズ成分及び信号強度を用いてノイズ成分のフォンノイマンエントロピーを推定することを特徴とする。

0018

また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1にかかる光断層画像撮影装置であって、さらに、測定された信号のフォンノイマンエントロピーからノイズ成分を除去するステップと、測定対象の偏光特性を示すフォンノイマンエントロピーのみを算出するステップを備えることを特徴とする。

0019

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、共分散行列アンサンブル平均のサンプル数が十分でない場合に発生する固有値の過小推定を補正するステップと、前記補正した固有値を用いてフォンノイマンエントロピーを算出するステップを備えることを特徴とする。

0020

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、測定したジョーンズ行列に対して移動平均処理を行うステップと、移動平均処理を行ったジョーンズ行列の共分散行列に対して移動平均処理を行うステップと、固有値分解によってジョーンズ行列を推定するステップを備えることを特徴とする。

0021

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする。

0022

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする。

0023

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターを用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする。

0024

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターを用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする。

0025

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターに加えて共分散行列を用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質をセグメンテーションするステップを備えることを特徴とする。

0026

また、本発明は、光干渉を用いて対象物の断層画像を取得する光断層画像撮影装置であって、少なくとも2つ以上の生体組織又は/及び非生物物質についてそれぞれ偏光特性を表す共分散行列を算出するステップと、共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列又は/及びその固有値から位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアテニュエーションのうち少なくとも1つを算出するステップと、前記算出結果のうち少なくとも1つのパラメーターに加えて共分散行列を用いて教師あり学習又は教師なし学習により生体組織又は/及び非生物物質を分類するステップを備えることを特徴とする。

0027

また、本発明に係る補正処理は、Cloude-Pottier分解に基づいて実施される。つまり、取得された被検物の偏光特性を表すジョーンズ行列を、例えば、パウリ行列辞書式順序行列などの完備な基底を用いてベクトル化する。そして、ベクトル化した後、例えば、4×4のコヒーレンシー行列又は/及び共分散行列に拡張する。拡張した4×4のコヒーレンシー行列又は/及び共分散行列を、対角化して固有値展開し、固有値及び固有値ベクトルを求める。ここで、求めた固有値からフォンノイマンエントロピーを求めることができる。

発明の効果

0028

上記のように、本発明にかかる光断層画像撮影装置は、フォンノイマンエントロピーを用いることにより、入射偏光状態に依存せず対象物の偏光特性の乱雑さを表し、ノイズによって発生するフォンノイマンエントロピーのバイアスの補正を行うことができる。

図面の簡単な説明

0029

本発明に係る光断層画像撮影装置の光学系の概略構成図である。
本発明に係る光断層画像撮影装置の構成を示した図である。
次元断層像の取得までのフローを説明する図である。
本発明に係る期待値を求める処理のフローチャートを示した図である。
本発明に係る試験例1の試験結果を示す図である。
本発明に係る試験例2の試験結果を示す図である。
本発明に係る試験例3の試験結果を示す図である。
本発明に係る試験例4の試験結果を示す図である。
本発明に係る試験例5の試験結果を示す図である。
本発明に係る光断層画像撮影装置の光学系の変形例の概略構成図である。

0030

以下、本発明の一実施例に係る光断層画像撮影装置について図面を参照して説明する。図1には断層画像取得部100の詳細構成を示す。

0031

図1に示すように、断層画像取得部100ではサンプル(被検査物)117に測定光を照射することにより、サンプル117の2次元又は/及び3次元断層画像を撮影する。本実施形態では、時間的に波長を変化させて走査する波長走査光源101を用いたフーリエドメイン(光周波数掃引)方式が採用されている。

0032

即ち、波長掃引光源101から出力された光は、光ファイバを通してファイバーカプラ102に入力され、このファイバーカプラ102において、例えば5:95の比率で、参照光と測定光とに分波されて各々参照アーム160及びサンプルアーム150へ出力される。そのうち参照アーム160に出力された参照光は、光ファイバを通って光サーキュレーター120に入力後、コリメータレンズ121に入力され、参照ミラー122へ入射される。参照ミラー122はサンプルの表面位置に参照光路を合わせる光路長調整のため光路軸上で移動制御可能であり、OCT断層像を測定する前に、測定光路長参照光路長を合わせる。

0033

そして、参照ミラー122で反射された参照光はコリメータレンズ121から光ファイバを通り光サーキュレーター120で光路が変更され、偏光コントローラ119を通り、コリメータレンズ123に入力し偏光感受型検出アーム136に入力される。

0034

一方、前記ファイバーカプラ102からサンプルアーム150に出力された測定光は、光ファイバを通って偏光コントローラ103を介して偏波依存ディレイライン133のコリメータレンズ104に入力後、偏光子105を通る。本実施例では偏光子105の偏光角度は45度に設定してある。さらに、偏光コントローラ103を通過しコリメータレンズ104に入力する直前の偏光角度も45度に制御され、45度に偏光された測定光が効率よく取り出せるように、偏光コントローラ103及び偏光子105が調整及び制御されている。

0035

45度に偏光された測定光は偏波依存ディレイライン133内の偏光ビームスプリッター106を通すことにより互いに直交する2つの直線偏光状態垂直方向及び水平方向)の光に分割される。分割された測定光は各々異なる全反射プリズム107及び108で反射され、2つの異なる光路で伝播させる。ここで、全反射プリズム107及び108の少なくとも1つの全反射プリズムを移動制御することにより、2つの異なる偏光状態(垂直方向及び水平方向)の間の遅延を生じさせる。

0036

ここで、入射測定光を偏光ビームスプリッター106の中心から一定距離外れた位置に入射するように設定することにより、偏光ビームスプリッター106により2つの異なる偏光状態の光を生成し、各々異なる全反射プリズム107及び108で反射され、一定の遅延を持つ2つの異なる偏光状態(垂直方向及び水平方向)の測定光が生成され、反射ミラー110で光路を変えた後、コリメータレンズ109により光ファイバ接続される。

0037

光ファイバを通った測定光は、偏光コントローラ111を通った後、光サーキュレーター112で光路が変更され、コリメータレンズ113に入射後、ガルバノミラー114及び115で反射し、レンズ116により集光して、サンプル117へ入射する。

0038

ガルバノミラー114及び115は、測定光を走査させるためのもので、ガルバノミラー114及び115を制御することにより、測定光をサンプル117の表面において水平方向及び垂直方向に走査されるようになっている。これにより、サンプル117の2次元の断層画像や3次元の断層画像が取得できるのである。

0039

サンプル117で反射された測定光は、上記とは逆にレンズ116、ガルバノミラー115及び114を通り、コリメータレンズ113に入力される。そして、測定光は光ファイバを通って前記光サーキュレーター112で光路が変更され、偏光コントローラ118を通った後、コリメータレンズ125に入力し偏光感受型検出アーム136に入力される。

0040

コリメータレンズ123から偏光感受型検出アーム136に入力し、偏光子124で偏光された参照光と、サンプル117で反射された測定光は無偏光ビームスプリッター132を用いて合成され、分割される。分割された光は、その後、コリメータレンズ126及び127に入力後、2つのインライン型の偏光ビームスプリッター128及び129によって2つの直交する偏光状態に分けられる。

0041

ここで、インライン型の偏光ビームスプリッター128及び129後の参照光の垂直方向及び水平方向の直線偏光のパワーを等しくするために、偏光子124の偏光角度は45度に調整すると共に、効率を上げるため、事前に通る偏光コントローラ119を用いて偏光子124へ入射する直前の偏光角度がほぼ45度となるように制御されている。

0042

2つの偏光状態の干渉は、2つのバランス型光検出器130及び131により検出される。検出された垂直方向及び水平方向の2つの偏光状態の干渉信号は図2に示す制御装置200に設けられた演算部202において、各干渉信号に対するフーリエ変換などの処理が行われ、サンプル117のジョーンズ行列に対応して取得したBスキャン画像又は/及びCスキャン画像(ボリュームデータ)が取得される。取得された断層画像は記憶部203に記憶される。

0043

図4は、断層像取得部100による断層像(Bスキャン像)を取得する様子を示したものである。図4(a)は被検眼Eの眼底網膜の一例を、図4(b)は断層像取得部100から取得して得られた眼底網膜401の複数の2次元断層像(Bスキャン像)の例を示している。そして、図4(c)は本実施例にて生成された眼底部のCスキャン像(3次元断層像、ボリュームデータとも言う)の例を示している。尚、図4(a)〜(c)のx軸はBスキャンのスキャン方向を、y軸はCスキャンの方向を示す。更に、図4(b)、(c)のz軸はAスキャン信号の奥行き方向、つまり眼底部の深さ方向を示す。

0044

図4(b)の404は取得した2次元断層像であり、ガルバノミラーユニット106をX方向にスキャンさせながら、演算部202がAスキャン信号403を再構築して作成される。この2次元断層像がBスキャン像であり、眼底網膜401に対する奥行き方向(Z方向)と直交するX方向の2次元の断面、すなわち図4(b)におけるx軸及びz軸で規定される平面における2次元断層像である。図4(a)の402は2次元断層像404の撮影位置を示す。

0045

次に、サンプル117のジョーンズ行列に対応して取得したBスキャンの画像又は/及びCスキャン画像(ボリュームデータ画像)について、取得したジョーンズ行列の各要素の期待値を求める方法について、図3のフローチャートを用いて説明する。

0046

まず、S10で最初のピクセルを設定する。最初のピクセルは0番目のピクセルとするため、S10ではn=0と設定し、設定したピクセルをn番目のピクセルとする。

0047

次に、S12で、測定されたジョーンズ行列をベクトル化する。測定されたジョーンズ行列を、



と表すとき、行列の第一列と第二列はそれぞれ直交した入射偏光を用いて測定されたジョーンズベクトルであり、数1は、数2に示すような1×4対象ベクトルへ変換される。



ここで、Tr(JΨ)は行列JΨのトレースを示し、Ψは任意の完備な基底である。なお、すべての基底を用いて対象ベクトルを形成するものとする。

0048

任意の完備な基底Ψの例としては、以下のパウリ行列基底や、



以下の辞書式順序行列基底が挙げられる。



完備な基底であれば、どのような基底であっても最終的な結果は等価である。辞書式順序行列基底を用いると対象ベクトルは、



と表される。ここで、Tはベクトルの転置を示す。

0049

次に、S14で、ベクトル化したジョーンズ行列を4×4のコヒーレンシー行列に拡張する。数2の対象ベクトルκは他変数複素ガウス分布で統計的にモデル化できる。対象ベクトルκの確率密度関数は、



で表される。ここで、det(C)は行列Cの行列式を表し、mは対象ベクトルκの次元を表す。数5においてはm=4である。上付き文字ダガーは転置共役を示す。行列Cは半正定値共分散行列で、



と定義される。ここで、E{κκ†}は行列κκ†の期待値を示す。行列Cは



で推定できる。

0050

ここで、数8は行列Cの最尤推定量である。また、nはサンプル数、κiはn個のサンプル中i番目の対象ベクトルを示す。数8は複素ウィシャート分布を持ち、その確率密度関数は



で表される。ここで、



を用いた。なお、Γ(n−i+1)はガンマ関数である。

0051

本実施例では、辞書式順序行列基底を用いて、数8で定義されたZを数11に示す4×4の共分散行列Tに拡張する。



ここで、数11において、上線はアンサンブル平均を表す。アンサンブル平均においては、関心領域内において測定対象が広義に静的かつエルゴード性を持つと仮定する。つまり、アンサンブル平均は空間的に適用してもよいし、時間的に適用してもよいし、空間と時間両方に適用してもよい。

0052

数11の定義から、CやZと同様にTも半正定値行列である。また、Ψとしてパウリ行列基底を用いた場合、共分散行列はミューラー行列と同じ形になる。そのため、後述する共分散行列と示している部分をミューラー行列で置き換えても議論が成立する。また、OCTにおいては各Aスキャンのジョーンズベクトルとストークスベクトルは可換であるため、変換処理によりジョーンズベクトルの代わりにストークスベクトルを用いることも可能である。

0053

次に、S16で、拡張した4×4の共分散行列Tを対角化して分解する。Cloude-Pottier分解を用いると、4×4の共分散行列Tは行列対角化により以下の数12のように分解される。



ここで、行列Aは4つの固有値からなる対角行列である。行列Uは4つの1×4固有ベクトルで構成されるユニタリ行列である。固有値の不等式はTが半正定値行列であることから導かれる。

0054

S18では、数12の固有値を数13に示すように規格化する。



ここで、数13の規格化は0≦λi´≦1となるように定義され、規格化された固有値λi´は対応する固有ベクトルeiが多項確率過程に従って発生する確率とみなされる。

0055

そして、S20において、ジョーンズ行列各要素における、局所位相遅延量の期待値を求める。数4の辞書式順序行列基底を用いる場合、固有ベクトルeiの各要素を、



と置くと、固有ベクトルeiは数15に示すジョーンズ行列Liに変換することができる。

0056

上述のような、Cloude-Pottier分解によってLiを求める手法は、数1の測定されたジョーンズ行列に対して適用できるが、数1は対象物で光が散乱又は/及び反射する前後の深さ方向に累積した全ての影響を含んでおり、対象物の局所的な偏光特性を示しているわけではない。この累積的性質は局所ジョーンズ行列を求めることにより解決されるため、数1の代わりに下記に示す数16を局所ジョーンズ行列として用いる。数16は測定値の波数依存性を補正したものである。



ここで、E’sample(Eの上部に^が付与)は波数依存性を補正した測定されたジョーンズ行列を表し、深さzを中心として深さ方向にδzだけ離した2つのジョーンズ行列を用いている。また、US(z)は深さzにおける対象物の累積的な複屈折光学軸を示すジョーンズ行列であり、λ1(δz)|zとλ2(δz)|zは深さzにおける深さ範囲δzの局所ジョーンズ行列の2つの固有値である。また、Jin’はファイバー入射光学系からサンプル表面までの偏光特性を示すジョーンズ行列である。

0057

2つの多変数ガウス分布の積も多変数ガウス分布となるため、上述した統計的記述は局所ジョーンズ行列についても同様に当てはまる。局所ジョーンズ行列の場合、数17のような重み付けを行う。



‖X‖2で表される値は行列Xの作用素ノルムを示す。数17の重み付けを適用後、局所ジョーンズ行列を推定するために数11で示したアンサンブル平均を行い、Cloude-Pottier分解を用いると、局所ジョーンズ行列の数15が得られる。数15に示されたLiの局所位相遅延量は以下の数18のように示される。



ここで、ξ1(i)とξ2(i)はLiの固有値、arg(X)は複素数Xの偏角を示す。

0058

関心領域内で対象物がある一つの主要な光散乱メカニズムを持つと仮定すると、最も大きい固有値に対応するL1とR1はその主要な光散乱メカニズムの局所ジョーンズ行列と局所位相遅延量であるとそれぞれ見なされる。さらに、対象物の測定が多項確率過程でモデル化される場合は、局所位相遅延量の期待値は以下の数19で求めることができる。

0059

さらに、Liの複屈折軸はLiの固有値ξ1(i)に対応するLiの固有ベクトルから導出される。固有ベクトルはストークスベクトルに変換され、複屈折軸の相対角を求めることができる。

0060

上述のように、S20でn番目のピクセルのジョーンズ行列の各要素における局所位相遅延量の期待値を求めたら、S22でn=n+1として次のピクセルに対してS12〜S20の処理を実施して、同様にジョーンズ行列の各要素における局所位相遅延量の期待値を求める。

0061

S24で、すべてのピクセルについてジョーンズ行列の各要素における局所位相遅延量の期待値を求めたら(n>n(Final))、一連の処理は終了する。上述のように、ジョーンズ行列の各要素における局所位相遅延量の期待値を求め、その値を用いることにより、ジョーンズ行列の各要素は適切に推定されて、良好な定量解析が可能になる。

0062

また、関心領域におけるジョーンズ行列の乱雑さを示すための指標として、フォンノイマンエントロピーを以下のように定義できる。一般に、数20の対数の底をどのような値に定義してもよく、本実施例では、0≦H≦1となるように対数の底をm=4に設定した。H=0のとき、対象物は完全に均一なジョーンズ行列を持つ。H=1のとき、対象物は完全にランダムなジョーンズ行列を持つ。実際には、計測されたフォンノイマンエントロピーは両者間のどこかに値を持つ。



フォンノイマンエントロピーにより、例えば対象物がある空間内で持つ複屈折の乱雑さを求めることができる。これにより、例えば網膜色素上皮虹彩色素上皮、ぶどう膜のメラニン色素量由来する偏光解消効果を評価し、組織内の複屈折分布の乱雑さを評価できる。

0063

ここで、フォンノイマンエントロピーは測定されたジョーンズ行列の乱雑さを表すパラメーターであるため、対象物の偏光特性だけではなくノイズの影響も含んでいる。信号対雑音比(SNR)が低い場合、フォンノイマンエントロピーに対するノイズによるバイアスが高くなるため、対象物の偏光特性を定量評価することが難しくなる。以上を受け、次に、ノイズによるフォンノイマンエントロピーのバイアスを除去する方法について説明する。

0064

まず、数1に示される局所化されていない累積的なジョーンズ行列から求められたフォンノイマンエントロピーに対するバイアス補正方法について以下に述べる。

0065

ランダムノイズと対象物の偏光特性は独立であるから、数21が成り立つ。Hmeasured、Hsubject、Hnoiseはそれぞれ測定されたジョーンズ行列、対象物、ノイズのフォンノイマンエントロピーを表す。ここで、HnoiseをHmeasuredから除去する方法を考える。

0066

4×4共分散行列は数1のE1とE2に関係した2つの部分空間に分割することができる。フォンノイマンエントロピーはそれら部分空間と数22に示すような部分加法性と呼ばれる関係がある。



ここで、Hnoise(E1)とHnoise(E2)は部分空間のフォンノイマンエントロピーで、Hnoise(E1,E2)は全体のフォンノイマンエントロピーをE1とE2の結合エントロピーとして明示的に表記したものである。

0067

E1とE2の部分空間のノイズは互いに独立であると仮定すると、数22は数23に示すような等号が成り立つ。



数23は4×4共分散行列のノイズのフォンノイマンエントロピーが各部分空間(2×2共分散行列)のノイズのフォンノイマンエントロピーの和から導出されることを示している。

0068

また、Hnoise(E1)とHnoise(E2)は共分散行列の固有値から、数24のように求められる。



ここで、λj(i)はEiで構成される部分空間のj番目の固有値である。その固有値は、偏光度DOP:degree of polarization)又は偏光均一度(DOPU:degree of polarization uniformity)と数25で示す関係がある。



P(i)はEiで構成される部分空間のDOPUを示す。以上から、数25のDOPUとノイズの関係が分かればHnoise(E1,E2)も導出できることが分かる。

0069

測定されたジョーンズ行列は各行列要素において独立した複素加法性ホワイトガウスノイズを持つとすると、測定されたジョーンズ行列は数26のように示される。



数26が深さ方向に累積したジョーンズ行列であることに注意すると、数26の[g1Hg1V]Tを変換してできるストークスパラメーターは数27のように定義される。



また、数27と同様にして[g2Hg2V]Tのストークスパラメーターも定義される。

0070

ここで、ノイズ成分を含まないストークスパラメーターは数28で示される。



δ=arg[E1HE1V*]であり、δは対象物の信号強度ではなく偏光特性に影響される。また、δは最終的にP(i)の計算過程キャンセルされるため、δは未知の状態でもよい。

0071

次に、信号振幅ノイズ振幅よりも十分大きいと仮定し、アンサンブル平均された信号強度を用いたストークスパラメーターを数29のように定義すると、信号強度とノイズ強度の間の相対関係によって発生するバイアスを示すDOPUは数30で求められる。






また、数30と同様にしてP(2)も定義される。数30はアンサンブル平均されたストークスパラメーターではなく、アンサンブル平均された信号強度を用いている。なお、数30の分子の平方根内の第2項において積の各因子が負の値を持つと、P(1)が0から1の間の定義域から外れる可能性がある。そのため、数30の分子の平方根内の第2項において積の各因子が負の値を持つ場合、その因子を0に置き換えてから数30を計算してもよい。

0072

上より、数23〜25、29、30を用いて、Hnoiseが信号強度とノイズ強度から求められる。これにより、HmeasuredからHnoiseを除去することが可能となる。

0073

上述したフォンノイマンエントロピーのバイアス成分導出は、深さ方向に累積したジョーンズ行列について述べたものである。しかしこの場合、関心領域が深さ方向を含む空間的に設定されるとき、結果としてDOPUとフォンノイマンエントロピーは深さ方向にジョーンズ行列を急速に変化させる強い複屈折によるアーティファクトを持つ可能性がある。そのため、次に、局所ジョーンズ行列のノイズ成分のフォンノイマンエントロピーHnoiseを導出する方法を以下に述べる。

0074

局所ジョーンズ行列を求めるために、深さzを中心として深さ方向に長さδZだけ離れた2つの累積したジョーンズ行列を用いる。これは前述した数16や数17で既に示しており、数16や数17と同じ表記法を用いると行列の全要素は数31で示される。



これにより、局所ジョーンズ行列は数32のように導出される。



ここで、数32の右辺の行列式は行列各要素のノイズフロアを歪ませる効果があり、フォンノイマンエントロピーの推定を複雑にするため、数32の代わりに数33を用いる。

0075

局所ジョーンズ行列のノイズ成分のフォンノイマンエントロピーHnoiseを求める方法として、数26の代わりに数33を用い、数30で示したP(1)及び同様に求められるP(2)の導出方法と同じ手順を踏む方法が考えられる。しかしながら、数33の第1列と第2列の列ベクトルは依存しているため、数33は数26とは異なり数23で示されるような加法性を満たさないという問題がある。このとき、数23は数34のように修正される。



右辺の第3項はε1とε2の相互情報量である。

0076

ここで、数34は条件付きフォンノイマンエントロピーを用いて数35のように変形することができる。



H(Y|X)はXという条件付きのYのフォンノイマンエントロピーを表す。

0077

以上から、結合エントロピーは、数34と数35を用いて数36のように表される。

0078

ここで、数36を計算するためには数33の行列各要素の分散が必要となる。行列各要素を強い一定フェーザーの信号成分と弱いランダムフェーザーの信号成分との和としてモデル化し仮定すると、分散は以下の数37〜数40のように求められる。












数37〜数40において、Var(X)とE(X)はそれぞれXの分散と期待値を表す。

0079

次に、数36を求めるために必要な条件付き分散は、以下に示す数41〜数44のように求められる。

0080

数33の行列各要素の絶対値の二乗のアンサンブル平均と数37〜数44の分散を用いることにより、DOPUが数45〜数48で求められる。












以上より、数24、25、45〜48を用いて、数36における局所ジョーンズ行列のノイズ成分のフォンノイマンエントロピーHnoiseが求められる。なお、数45〜48の分子の平方根内の第2項において積の各因子が負の値を持つと、数45〜48の値が0から1の間の定義域から外れる可能性がある。そのため、数45〜48の分子の平方根内の第2項において積の各因子が負の値を持つ場合、その因子を0に置き換えてから数45〜48を計算してもよい。

0081

なお、行列各要素の深さ依存のノイズ分散は、例えば散乱を持つ対象物を置かずに測定したAスキャンのノイズ強度の平均に多項式フィッティングを適用することにより算出できる。このノイズ測定やパラメーターの算出は装置の製造時に行なってもよいし、装置起動時など予め定められた時期に自動的に行なってもよいし、対象物測定前或いは測定後において例えば光シャッター光スキャナなどを制御することにより対象物からの光を検出しない状態にして行なっても構わない。

0082

次に、共分散行列のアンサンブル平均に用いるサンプル数が小さい場合を考える。サンプル数が小さい場合、フォンノイマンエントロピーの値が低く見積もられる傾向がある。これを緩和するための方法として、AQ−MLE(asymptotic quasi maximum likelifood estimator)を用いる。アンサンブル平均された共分散行列の固有値はAQ−MLEによって数49のように求められる。



ここで、数49の第1式目の左辺(liの上部に⌒)は推定されたi番目の固有値、λiは限られたサンプル数によるアンサンブル平均から求められたi番目の固有値、nはサンプル数、mは共分散行列の次元であり、本実施例においてはm=4である。また、O(nー1)は近似次数を表し、実際の計算では無視される。

0083

数49によって推定された固有値を用いて、数50に示すようにフォンノイマンエントロピーを求めることができる。



数50の第1式目の左辺(Hの上部に^)は、推定されたフォンノイマンエントロピーである。

0084

ここで、上述したCloude-Pottier分解について考える。上述のCloude-Pottier分解は、画像フィルターとして用いることも可能である。元データとしては3次元ボリュームデータでもよいし、対象物上のある同じ領域を繰り返し撮影したデータでもよいし、その組み合わせのデータでもよい。例えば、前段処理としてコヒーレントなジョーンズ行列フィルターを適用し、その後にCloude-Pottier分解を適用しても構わない。この場合、それぞれのフィルターは2次元又は3次元空間的に適用してもよいし、時間的に適用してもよいし、空間的、時間的の両者の組み合わせでもよい。

0085

コヒーレントなジョーンズ行列フィルターのカーネルサイズとして、例えば空間的に3×1ピクセル(縦×横)に設定してもよい。また、Cloude-Pottier分解のカーネルサイズを、例えば空間的に7×11ピクセル(縦×横)に設定してもよい。カーネルサイズは四角形である必要はなく、空間的又は時間的に任意の形状に設定することができる。カーネルに対してガウス関数などの任意の重み付け関数をかけてもよい。

0086

また、ジョーンズ行列フィルターは、主に空間的に小さなスペックルノイズの除去に用いられ、Cloude-Pottier分解はスペックルよりも大きな局所的な統計を取るために用いられるため、ジョーンズ行列フィルターのカーネルサイズよりもCloude-Pottier分解のカーネルサイズの方が大きいことが好ましい。ただし、必ずしも実装としてその条件に制限されるものではない。

0087

また、元データの信号強度に任意のしきい値を設定し、しきい値以下のピクセルは画像フィルターの元データから除去しても構わない。また、しきい値以下のピクセルについては任意の色、例えば黒色で画像をマスクしても構わない。

0088

Cloude-Pottier分解によって得られた位相遅延量、複屈折軸、ノイズ成分によるバイアスを除去したフォンノイマンエントロピー、さらにノイズ成分のフォンノイマンエントロピーに任意のカラーマップを用いて画像化することができる。また、それらをボリュームレンダリングしても構わない。さらに、ボリュームレンダリングの不透明度として信号強度や信号強度にしきい値をかけたデータを用いても構わない。

0089

また、これまで元データとしてジョーンズ行列を考えてきたが、数22、数23に示されるように、その部分空間であるジョーンズベクトルについても上述の理論は成り立つ。つまり、ジョーンズベクトルを1×2の対象ベクトルとみなし、数8から2×2の共分散行列のアンサンブル平均を求め、Cloude-Pottier分解によってジョーンズベクトルを推定し、数24を用いてフォンノイマンエントロピーを算出することができる。数27〜30からその部分空間のDOPUを算出し、数24、数25からその部分空間のノイズ成分のみのフォンノイマンエントロピーHnoiseを求め、測定したフォンノイマンエントロピーからHnoiseを除算し、対象物の偏光特性のみを表すフォンノイマンエントロピーを算出することができ、対象物の偏光特性の乱雑さ又は/及び対象物で散乱された光の偏光特性の乱雑さを表すことができる。

0090

このときの画像フィルターとしてのカーネルサイズや画像の表示方法については、上述のジョーンズ行列のフォンノイマンエントロピーと同様にさまざまに設定することが可能である。ジョーンズベクトルは光の少なくとも2つの異なる偏光成分を検出すれば測定できるため、この方法はデータ処理アルゴリズムだけでなくハードウェアの簡素化にも寄与する。例えば、干渉光を直交した2つの偏光成分に偏光ビームスプリッターやウォラストンプリズムなどを用いて分離し、それぞれ光検出器で検出する偏光ダイバーシティ検出光学系を構築することにより、ジョーンズベクトルを測定することができるOCTを作製し、上述の方法によりフォンノイマンエントロピーを求めることができる。

0091

ここで、Cloude-Pottier分解は、共分散行列Cが複素ウィシャート分布に従い、ZやTがCの最尤推定量である、という数学的な定理に基づいている。共分散行列を分解して得られるジョーンズ行列Liや固有値λiから、位相遅延量、複屈折軸、フォンノイマンエントロピー、ディアッテニュエーション(diattenuation)などのパラメーターを求めることができる。それらのパラメーターの分布とともに、複素ウィシャート分布などの多変量分布は分布それ自体が生体組織又は/及び非生物物質の偏光特性を反映するため、異なる偏光特性を持った生体組織又は/及び非生物物質のセグメンテーションや分類に使用することができる。つまり、上述の各種パラメーターの分布や多変量分布のうち一部又は全部を用いて多変数空間を構成し、ニュートラルネットワークサポートベクターマシン決定木ランダムフォレスト、単純ベイズ分類器などのアルゴリズムを用いた教師あり学習又は/及びクラスタリングなどのアルゴリズムを用いた教師なし学習により、生体組織又は/及び非生物物質の測定データをセグメンテーション又は/及び分類することが可能となる。

0092

(試験例)
本発明における、ノイズ成分のフォンノイマンエントロピーの補正の方法について、以下、検証のための試験例について説明する。検証のために3種類の対象物を測定した。対象物は、ガラス板、波長633nmの1/4波長板、波長1310nmの1/4波長板である。これら対象物を、以下、それぞれガラス板、EWP、QWPと表記する。また、検証のために用いた装置は中心波長1297nmのPS−OCTである。

0093

まず、試験例1として、上記静的な対象物の表面と裏面間の局所ジョーンズ行列を測定し、その往復での位相遅延量を平均、数19による期待値E(R)、数18による推定値R1によって推定した。試験例1の結果を図5に示す。図5において、ガラス板、EWP、QWPそれぞれのAスキャンのプロットはそれぞれの単一のAスキャンから計算された位相遅延量である。平均(Mean)、E(R)、R1は0からn番目までの全てのAスキャンを用いて計算されプロットしている。図5(1)、(2)、(3)のフォンノイマンエントロピーはそれぞれ0.74、0.62、0.66であった。また、それらの実効SNR(ESNR)はそれぞれ3.50、5.27、4.88dBであった。

0094

図5(1)、(3)において、真値(True Value)は計測範囲の下限と上限にあり、この場合平均及びE(R)はバイアスを持つ。平均及びE(R)のバイアスはそれぞれ、非対称な位相遅延量の分布及びRi(i≧2)が持つノイズ成分によるものである。図5(2)における平均及びE(R)のバイアスは図5(1)(3)よりも低い。これは、位相遅延量の分布が対称に近いためである。それらに対し、図5(1)、(2)、(3)全てにおいてR1は真値に収束した。そのため、SNRが低くてもR1が最も効果的にバイアスなしで位相遅延量を推定できると言える。

0095

次に、対象物の位相遅延量がちょうどπのとき複屈折軸は折り返しの影響を受けることから、試験例2として、位相遅延量がπではないEWPを用いて複屈折軸の推定を行なった。複屈折軸の向きは0から180度まで10度刻みで設定され、上述のCloude-Pottier分解によって得られたL1の固有ベクトルから推定した。その固有ベクトルはストークスパラメーターに変換され、共分散行列Tのアンサンブル平均に800本のAスキャンを用いて算出された0度の複屈折軸との相対角度を求めた。相対角度が90度を超えた時の折り返し現象手動により補正した。このようにして得られた複屈折軸の相対角度を図6に示す。サンプル数の影響を見るため、共分散行列Tのアンサンブル平均を異なるAスキャン数、具体的には8、16、32、64、128本のAスキャンを用いてそれぞれ算出した。図6において、測定結果は見やすさのために、設定した複屈折軸の角度毎に、左から順に8、16、32、64、128Aスキャンを用いて算出した相対角度を水平方向にずらしてプロットしている。ここで、フォンノイマンエントロピー及びESNRはそれぞれ0.25、12.42dBであった。

0096

図6より、Cloude-Pottier分解におけるTのアンサンブル平均に用いられるAスキャンの数を増加させることにより、設定した複屈折軸の向きに近く幅の狭い分布を持った、より好ましい複屈折軸の向きを推定できることが示された。この結果、図5及び図6はジョーンズ行列がCloude-Pottier分解を用いてバイアスなしにL1から推定されることが示された。

0097

次に、試験例3として、数49、50で示されたAQ−MLEの効果を検証するため、ガラス板、EWP、QWPを測定した。この時用いた信号強度の設定を表1に示す。



様々な設定下においてフォンノイマンエントロピーがどのように収束するかを確かめるため、異なる信号強度で測定を行った。その結果を図7に示す。図7において、AQ−MLEを用いない場合を実線で、用いた場合を破線で示してある。また、水平軸は共分散行列Tのアンサンブル平均に用いられたAスキャン数nを示す。

0098

図7において、AQ−MLEを用いないフォンノイマンエントロピーHはAスキャン数がおよそn≦〜20の領域で小さい結果となった。この結果はAQ−MLEを用いて推定されたフォンノイマンエントロピー(Hの上部に^。以下、代用標記としてH’と表す)によって緩和された。Aスキャン数nが多い領域においては、数50から予測される通り、AQ−MLEを用いないフォンノイマンエントロピーHとAQ−MLEを用いて推定されたフォンノイマンエントロピーH’は両方とも同じフォンノイマンエントロピーの値に収束した。

0099

次に、試験例4として、ある一つの深さにおける累積的なジョーンズ行列から求めたノイズ成分のフォンノイマンエントロピーHnoiseを、表1と同様な測定条件において測定したデータから算出した。上述のように信号強度からHnoiseを推定し、フォンノイマンエントロピーH’との関係を図8に示す。

0100

図8において、HnoiseはほぼH’と一致するという結果が得られた。わずかにHnoiseがH’より大きく推定されたが、これは異なるOCTチャンネル間のノイズが完全にランダムではなくわずかに相関を持っているためであると考えられる。また、H’が0.4よりも大きい場合、HnoiseがH’より小さい結果も得られた。これは、信号強度がノイズ強度よりも十分高いという仮定が崩れているためであると考えられる。

0101

次に、試験例5として、局所ジョーンズ行列から算出したノイズ成分のフォンノイマンエントロピーHnoiseを、表1と同様な測定条件において測定したデータから算出した。上述のように局所ジョーンズ行列の信号強度からHnoiseを推定し、フォンノイマンエントロピーH’との関係を図9に示す。比較のため、Hnoise(ε1)+Hnoise(ε2)や数35に示された2つの等価なHnoiseの計算方法の結果をプロットしている。

0102

図9において、Hnoise(ε1)+Hnoise(ε2)は図9(b)及び(c)の高いH’を除いて過大にフォンノイマンエントロピーを見積もっている。対して、数35における2つの等価なHnoiseの計算方法はともにH’とよく一致している。例外として、H’がおおよそ0.5を超える領域においてHnoiseがH’を過小に見積もっている。この原因は、信号強度がノイズ強度よりも十分高いという仮定が崩れているためであると考えられる。

0103

以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

0104

例えば、光断層画像撮影装置の光学系の構成は、図1に示す構成に限られず、種々の構成を採ることができる。例えば、図10に示すような構成としてもよい。図10に示す光断層画像撮影装置では、周波数領域が異なる2つの干渉光成分サンプリングしようとする場合に、深さ方向の計測レンジを狭めることなく、被検物の同じ位置の複数の断層画像を同時に取得できる構成となっている。

0105

すなわち、光路長の異なる2つの測定光を生成し、それらを重畳して被検物に照射し、被検物からの反射光は2つの反射光に分岐され(321〜332)、分岐された2つの反射光と、光路長の異なる2つの参照光とが干渉光生成部360,370で合波されて、2つの干渉光が生成される。そして2つの干渉光は、2つの干渉光検出器380,390で別々に検出されて、2つの干渉信号が生成される。このような構成のOCTにおいても、本発明は適用可能である。

実施例

0106

そして、図10に示す構成では、光路長差を有する2つの測定光を生成する構成としたが、生成する測定光は2つに限られず、光路長差を有する3以上の測定光を生成してもよい。例えば、3つの異なる光路長を有する測定光を用いる場合、これら測定光に対応する3つの参照光を生成すると共に、各光路長に対応する3つの干渉光生成部及び3つの干渉光検出部を設ければよい。

0107

100・・断層画像取得部
101・・波長走査光源
102・・ファイバーカプラ
106・・偏光ビームスプリッター
112、120・・光サーキュレーター
128、129・・インライン型偏光ビームスプリッター
130、131・・バランス型光検出器
132・・無偏光ビームスプリッター
133・・偏波依存ディレイライン
201・・ADボード
202・・演算部
203・・記憶部

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