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技術 開放型冷媒圧縮機

出願人 三菱重工サーマルシステムズ株式会社
発明者 佐藤創宮本善彰水野尚夫野口章浩後藤孝鹿内敏幸後藤秀作
出願日 2016年8月9日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-156635
公開日 2018年2月15日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2018-025135
状態 特許登録済
技術分野 回転型圧縮機の応用細部 圧縮機の細部
主要キーワード 変形溝 寿命年数 ラジアルクリアランス プーリー軸 斜め溝 開口範囲 花びら形状 冷媒圧縮機構
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年2月15日)のものです。
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図面 (9)

課題

転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面冷媒案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材潤滑性能を高める。

解決手段

開放型冷媒圧縮機1は、ハウジング2と、ハウジング2の内部に設けられ、潤滑油を含む冷媒ガス圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動する駆動軸5と、駆動軸5がハウジング2から外部に突出する軸穴8に圧入されて駆動軸5を軸支する転がり軸受7と、転がり軸受7の外側に位置するように軸穴8に設けられた軸シール部材9と、転がり軸受7が圧入される軸受圧入部8aの内周面に少なくとも1本形成された冷媒案内溝25と、を備え、前記冷媒案内溝25は、駆動軸5の中心軸線C方向に対して所定の傾斜角αを有するように形成されている。

概要

背景

カーエアコン等において冷媒ガス圧縮する冷媒圧縮機コンプレッサ)は、アルミ合金等で形成されたハウジングの内部に圧縮機構が収容され、この圧縮機構を駆動する駆動軸がハウジングの一面から突出し、その突出部に設けられた電磁クラッチ付のプーリーベルトを介してエンジン等に駆動されるようになっている。このような冷媒圧縮機は、そのハウジングに駆動軸を突出させる軸穴が形成されていることから開放型と呼ばれる。これに対し、密閉された圧力容器の内部に圧縮機構と駆動モータとが内蔵されたものは密閉型と呼ばれる。

開放型の冷媒圧縮機において、駆動軸の突出部、即ちハウジングの軸穴にはリップシールリップ付の軸シール部材)が設けられ、ハウジング内部の冷媒ガスが外部に漏洩することが防止されている。このリップシールは、冷媒ガスに混合された潤滑油冷凍機油)によって潤滑されるが、冷媒ガスの循環量が低下する低負荷運転時等にはリップシールへの給油不足することが考えられる。その場合はリップ先端摩耗し、冷媒ガスおよび油漏れの原因となる懸念がある。

この懸念を解決するため、例えば特許文献1の図2および図3に開示されているように、駆動軸の先端付近軸支する転がり軸受軸受圧入部の内周面冷媒を案内する案内溝を形成し、この案内溝の一端をリップシール側に連通させ、他端をハウジングの内部側(圧縮機構側)に連通させることにより、この案内溝を利用してリップシール側への冷媒供給量、即ち潤滑油の給油量を安定させ、リップシールの摩耗を防止するようにしたものがある。図7に示すように、このような案内溝Bを軸受圧入部Aの内周面に複数形成すれば、リップシールへの給油量を増大させることができるため、リップシールの摩耗防止には有効である。

概要

転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に冷媒案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高める。開放型冷媒圧縮機1は、ハウジング2と、ハウジング2の内部に設けられ、潤滑油を含む冷媒ガスを圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動する駆動軸5と、駆動軸5がハウジング2から外部に突出する軸穴8に圧入されて駆動軸5を軸支する転がり軸受7と、転がり軸受7の外側に位置するように軸穴8に設けられた軸シール部材9と、転がり軸受7が圧入される軸受圧入部8aの内周面に少なくとも1本形成された冷媒案内溝25と、を備え、前記冷媒案内溝25は、駆動軸5の中心軸線C方向に対して所定の傾斜角αを有するように形成されている。

目的

本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に冷媒案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる開放型冷媒圧縮機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられ、潤滑油を含む冷媒ガス圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する駆動軸と、前記駆動軸が前記ハウジングから外部に突出する軸穴圧入されて前記駆動軸を軸支する転がり軸受と、前記転がり軸受の外側に位置するように前記軸穴に設けられた軸シール部材と、前記転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に少なくとも1本形成された冷媒案内溝と、を備え、前記冷媒案内溝は、前記駆動軸の中心軸線方向に対して所定の傾斜角を有するように形成されている開放型冷媒圧縮機

請求項2

前記冷媒案内溝は、前記ハウジングの内部側に開口する内側開口部と、前記軸シール部材側に開口する外側開口部と、を備え、前記駆動軸の軸方向視で、前記冷媒案内溝は、前記内側開口部の開口範囲と前記外側開口部の開口範囲とが重ならないように形成されている請求項1に記載の開放型冷媒圧縮機。

請求項3

前記冷媒案内溝はスパイラル状の溝である請求項1または2に記載の開放型冷媒圧縮機。

請求項4

前記冷媒案内溝は、前記内側開口部から前記外側開口部に向かうスパイラル方向が、前記駆動軸の回転方向に合わせられた請求項3に記載の開放型冷媒圧縮機。

請求項5

前記駆動軸の軸方向視で、前記軸受圧入部の内周面と前記冷媒案内溝の内周面との交点における内角鈍角である請求項1から4のいずれかに記載の開放型冷媒圧縮機。

請求項6

前記駆動軸の軸方向視で、前記軸受圧入部の円周に対する前記冷媒案内溝の合計溝幅の割合が30から70%である請求項1から5のいずれかに記載の開放型冷媒圧縮機。

技術分野

0001

本発明は、圧縮機構駆動軸軸支する転がり軸受ハウジング圧入された開放型冷媒圧縮機に関するものである。

背景技術

0002

カーエアコン等において冷媒ガス圧縮する冷媒圧縮機(コンプレッサ)は、アルミ合金等で形成されたハウジングの内部に圧縮機構が収容され、この圧縮機構を駆動する駆動軸がハウジングの一面から突出し、その突出部に設けられた電磁クラッチ付のプーリーベルトを介してエンジン等に駆動されるようになっている。このような冷媒圧縮機は、そのハウジングに駆動軸を突出させる軸穴が形成されていることから開放型と呼ばれる。これに対し、密閉された圧力容器の内部に圧縮機構と駆動モータとが内蔵されたものは密閉型と呼ばれる。

0003

開放型の冷媒圧縮機において、駆動軸の突出部、即ちハウジングの軸穴にはリップシールリップ付の軸シール部材)が設けられ、ハウジング内部の冷媒ガスが外部に漏洩することが防止されている。このリップシールは、冷媒ガスに混合された潤滑油冷凍機油)によって潤滑されるが、冷媒ガスの循環量が低下する低負荷運転時等にはリップシールへの給油不足することが考えられる。その場合はリップ先端摩耗し、冷媒ガスおよび油漏れの原因となる懸念がある。

0004

この懸念を解決するため、例えば特許文献1の図2および図3に開示されているように、駆動軸の先端付近を軸支する転がり軸受の軸受圧入部の内周面冷媒を案内する案内溝を形成し、この案内溝の一端をリップシール側に連通させ、他端をハウジングの内部側(圧縮機構側)に連通させることにより、この案内溝を利用してリップシール側への冷媒供給量、即ち潤滑油の給油量を安定させ、リップシールの摩耗を防止するようにしたものがある。図7に示すように、このような案内溝Bを軸受圧入部Aの内周面に複数形成すれば、リップシールへの給油量を増大させることができるため、リップシールの摩耗防止には有効である。

先行技術

0005

特開2005−23849号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、図7に示すように複数の案内溝Bが形成された軸受圧入部Aの内周面に転がり軸受を圧入(一般に焼き嵌めによる圧入)すると、図8に示すように転がり軸受の外輪部材Cが軸受圧入部Aの内部で径方向外側に拡がろうとし、各案内溝Bの内部に膨出して花びら形状に変形する傾向がある(図8オーバー表現してあり、実際には目視確認できない)。

0007

この外輪部材Cの変形は、精密に加工されているニードル軸受等の転がり軸受においては、ラジアルクリアランス(径方向の遊び)の縮小に繋がり、これによって回転抵抗の増大、フレーキングローラ当たり面の損傷)の発生、回転ムラ回転振動)の発生、寿命年数の減少といった性能低下が発生し得る状況であり、高い回転精度を要求される冷媒圧縮機においては無視し難い問題であった。

0008

本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に冷媒案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる開放型冷媒圧縮機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係る開放型冷媒圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられ、潤滑油を含む冷媒ガスを圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する駆動軸と、前記駆動軸が前記ハウジングから外部に突出する軸穴に圧入されて前記駆動軸を軸支する転がり軸受と、前記転がり軸受の外側に位置するように前記軸穴に設けられた軸シール部材と、前記転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に少なくとも1本形成された冷媒案内溝と、を備え、前記冷媒案内溝は、前記駆動軸の中心軸線方向に対して所定の傾斜角を有するように形成されたものである。

0010

上記構成の開放型冷媒圧縮機によれば、冷媒案内溝が駆動軸の中心軸線方向に対して所定の傾斜角を有するように形成されているため、軸受圧入部に圧入された転がり軸受の外輪部材が径方向外側に拡がった際に、この外輪部材の外周面における所定の角度位置において、駆動軸の中心軸線方向の全長に亘って直線的な変形が起こることが防止される。

0011

つまり、駆動軸の中心軸線に対して所定の傾斜角を有して傾斜した冷媒案内溝の内部に膨出するように転がり軸受の外輪部材が変形しても、その変形部の形状は駆動軸の軸方向に平行に沿う溝状にはならず、軸方向に対して傾斜した溝状となる。このため、外輪部材の内側を転動する転動部材が、その全幅に亘って同時に変形溝の内部に落ち込んだり、変形溝の外に乗り上げたりを繰り返すことがない。また、転がり軸受のラジアルクリアランスが縮小しにくい。

0012

したがって、転がり軸受における回転抵抗の増大や、フレーキングの発生、回転ムラ(回転振動)の発生、寿命年数の減少といった性能低下が発生しにくくなる。この効果は、冷媒案内溝の、駆動軸に対する傾斜角を大きくする程、顕著なものになる。こうして、転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に冷媒案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる。

0013

上記構成の開放型冷媒圧縮機において、前記駆動軸の軸方向視で、前記冷媒案内溝は、前記ハウジングの内部側に開口する内側開口部と、前記軸シール部材側に開口する外側開口部と、を備え、前記駆動軸の軸方向視で、前記冷媒案内溝は、前記内側開口部の開口範囲と前記外側開口部の開口範囲とが重ならないように形成されているとよい。

0014

こうすることにより、軸受圧入部に圧入された転がり軸受の外輪部材が冷媒案内溝の内部に膨出するように変形しても、その変形形状の範囲内に駆動軸の軸方向に平行に沿う部分が発生しない。このため、転動部材が、その全幅に亘って同時に変形溝の内部に落ち込んだり、変形溝の外に乗り上げたりすることを確実に抑制し、転がり軸受の性能低下を防止することができる。

0015

上記構成の開放型冷媒圧縮機において、前記冷媒案内溝をスパイラル状の溝としてもよい。これにより、CNC加工によって冷媒案内溝を容易に形成することができる。

0016

上記構成の開放型冷媒圧縮機において、前記冷媒案内溝は、前記内側開口部から前記外側開口部に向かうスパイラル方向を、前記駆動軸の回転方向に合わせてもよい。
これにより、駆動軸の回転によってハウジング内で旋回する冷媒ガスの流れが冷媒案内溝の内部に取り込まれ易くなり、転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる。

0017

上記構成の開放型冷媒圧縮機において、前記駆動軸の軸方向視で、前記軸受圧入部の内周面と前記冷媒案内溝の内周面との交点における内角鈍角にするのがよい。
これにより、軸受圧入部の内周面に冷媒案内溝の形成による鋭角エッジが発生しない。このため、軸受圧入部に圧入された転がり軸受の外輪部材の変形が緩やかなものになり、転動部材の転動が滑らかになる。したがって、転がり軸受の性能低下をより効果的に防止することができる。

0018

上記構成の開放型冷媒圧縮機において、前記駆動軸の軸方向視で、前記軸受圧入部の円周に対する前記冷媒案内溝の合計溝幅の割合は30から70%に設定するのがよい。この範囲に設定することにより、転がり軸受の圧入強度を確保しつつ、冷媒案内溝の溝幅を可及的に広くし、冷媒案内溝を流れる冷媒ガスおよび潤滑油の量を確保して転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる。

発明の効果

0019

以上のように、本発明に係る開放型冷媒圧縮機によれば、転がり軸受の性能低下を招くことなく、転がり軸受が圧入される軸受圧入部の内周面に潤滑油の案内溝を形成可能にして転がり軸受および軸シール部材の潤滑性能を高めることができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の一実施形態を示す開放型圧縮機の部分縦断面図である。
図1のII部拡大図である。
図2のIII-III矢視により本発明の一実施形態を示す図である。
軸受圧入部と案内溝の第1実施例を示す模式的な斜視図である。
軸受圧入部と案内溝の第2実施例を示す模式的な斜視図である。
軸受圧入部と案内溝の第3実施例を示す模式的な斜視図である。
従来の技術を示す軸受圧入部と案内溝の模式的な斜視図である。
従来の技術の問題点を示す軸受圧入部と案内溝の模式的な平面図である。

実施例

0021

以下、本発明の実施形態について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す開放型スクロール圧縮機(開放型冷媒圧縮機)の部分縦断面図である。本実施形態に係る開放型スクロール圧縮機1は、例えば自動車エンジンルーム内に設置されてエンジン動力により駆動され、冷媒ガスを圧縮するように構成された保冷冷凍輸送車用のものであるが、本発明はこれに限らず、カーエアコン、居住間空調、店舗等における冷蔵冷凍システムヒートポンプ式給湯システム等に用いられる開放型圧縮機にも広く適用することができる。

0022

開放型スクロール圧縮機1は、アルミ合金等で形成された略円筒形状のハウジング2を備えている。ハウジング2は、本体をなすハウジング本体2Aと、ハウジング本体2Aの一端に設けられた開口部を気密的に閉塞するようにボルト等で固定されるハウジングカバー2Bとから構成されている。ハウジング本体2Aの図示しない他端は閉塞されている。

0023

ハウジング2の内部空間S1にはスクロール圧縮機構4(圧縮機構)およびこれを駆動する駆動軸5が収容されている。ハウジング2の外周面には、圧縮される前の冷媒ガスが吸入される吸入ポート3と、スクロール圧縮機構4により圧縮された冷媒ガスが吐出される吐出ポート(非図示)とが設けられている。

0024

駆動軸5は、転がり軸受であるメイン軸受6およびサブ軸受7を介して回転自在に支持されている。メイン軸受6はハウジングカバー2Bの後端部に形成された軸受圧入部2aに圧入され、サブ軸受7はハウジングカバー2Bに形成された軸穴8の後半部に設けられた軸受圧入部8aに圧入されている。メイン軸受6としては例えば単列深溝玉軸受が用いられ、サブ軸受7としては例えばニードル軸受が用いられているが、この限りではなく、他の種の軸受を用いることも考えられる。

0025

図3に示すように、サブ軸受7は、外輪部材7aと、内輪部材7bと、これら内外輪部材7a,7b間に配置された複数のコロ状の転動部材7cと、これら複数の転動部材7cを等間隔に保持する保持器7dとを備えて構成されている。

0026

駆動軸5の一端は軸穴8を通って外部に突出している。軸穴8の内部には、サブ軸受7の外方側に位置するリップシール9(軸シール部材)が圧入されている。リップシール9はサブ軸受7に向かって傾倒し、且つ駆動軸5の外周面に軽く圧接される例えば2つのリップ9a,9bを備えている(図2参照)。サブ軸受7とリップシール9との間には所定の容積を持つ環状のシール空間S2が画成されている。

0027

ハウジングカバー2Bの先端外周部にはプーリー軸受11を介してプーリー12が回転自在に設置され、このプーリー12と図示しないエンジン等の駆動源に設けられた駆動プーリーとの間にベルト(非図示)が巻回される。駆動軸5の先端部に固定されたクラッチ板13がプーリー12の外端面に近接して対向し、プーリー12の内側に位置するようにハウジングカバー2Bに固定された電磁クラッチ14が励磁されると、クラッチ板13がプーリー12側に引き付けられてプーリー12の外端面と摩擦係合し、プーリー12の回転が駆動軸5に伝達されて駆動軸5が回転する。

0028

駆動軸5の後端部には、駆動軸5の中心軸線Cに対して所定寸法だけ偏心したクランクピン5aが一体に形成されており、このクランクピン5aはドライブブッシュ16およびドライブ軸受17を介してスクロール圧縮機構4の旋回スクロール18背面に形成されたボス18aに嵌合されている。
スクロール圧縮機構4は、旋回スクロール18と図示しない固定スクロールとが180度位相をずらされて噛み合わせられた公知の構成のものであり、駆動軸5が回転すると、自転防止機構19の働きによって旋回スクロール18が固定スクロールに対して公転旋回運動するように駆動され、両方のスクロール間に形成された一対の圧縮室(非図示)が外周位置から中心位置へと移動しながらその容積を漸次減少させる。
このため、吸入ポート3からハウジング2の内部空間S1に吸入された冷媒ガスがスクロール圧縮機構4に吸入・圧縮されて吐出ポートから吐出され、図示しない凝縮器等に供給される。部材20はバランサウェイトである。

0029

冷媒ガス中には潤滑油(冷凍機油)が所定の比率で含まれており、この潤滑油のミストによってメイン軸受6、サブ軸受7、リップシール9、クランクピン5a、ドライブブッシュ16、ドライブ軸受17、自転防止機構19、スクロール圧縮機構4等の各内部機構部が潤滑されるようになっている。

0030

リップシール9は、ハウジング2の内部から外部への冷媒ガスおよび潤滑油の漏出を防止するシール部材であり、冷媒ガス中に含まれるオイルに潤滑されることでリップ9a,9bの摩耗を防止されているが、冷媒ガスの循環量が低下する低負荷運転時等にはリップシール9の給油が不足してリップ9a,9bの先端が摩耗する虞がある。

0031

このようなリップシール9の摩耗を防止するために、図1から図4に示すように、サブ軸受7が圧入される軸受圧入部8aの内周面には、その周方向に例えば等間隔で複数の冷媒案内溝25が形成されている。これらの冷媒案内溝25は、例えば時計文字盤における12時、3時、6時、9時の位置付近にそれぞれ配置されており(図3参照)、それら各々の内側開口部25a(図2中右端)がハウジング2の内部空間S1に連通し、外側開口部25b(図2中左端)がサブ軸受7とリップシール9との間のシール空間S2に連通している。

0032

図2から図4示すように、冷媒案内溝25は、CNC加工等により、駆動軸5の中心軸線C方向に対して所定の傾斜角αを有する斜め溝状、例えばスパイラル溝状に形成されている。この傾斜角αの大きさとしては、例えば側面視で中心軸線Cに対して10°から30°程度に設定される。その際、図3に示すように、駆動軸5の軸方向視で、内側開口部25aの開口範囲と外側開口部25bの開口範囲とが重ならないように冷媒案内溝25の傾斜角αを設定するのが良い。なお、傾斜角αが過大になると冷媒案内溝25の全長が長くなり、その形成が困難になるため、傾斜角αは最大でも50°程度までに設定するのが好ましい。

0033

上記のように、冷媒案内溝25はスパイラル状に形成されており、その内側開口部25aから外側開口部25bに向かうスパイラル方向が、駆動軸5の回転方向Rに合わせられている。即ち、図3に示すように、例えば駆動軸5の回転方向Rが駆動軸5の後部側からみて反時計回りであるとすれば、冷媒案内溝25のスパイラル方向も反時計回りとなるように形成されている。

0034

図3中に拡大して示すように、駆動軸5の軸方向視で、軸受圧入部8aの内周面と冷媒案内溝25の内周面との交点における内角β(軸受圧入部8aの外周側における角度)が90°以上の鈍角となるように各冷媒案内溝25は形成されている。本実施形態では、上記内角βが120°程度になっている。
さらに、駆動軸5の軸方向視で、軸受圧入部8aの円周に対する冷媒案内溝25の合計溝幅の割合は30から70%程度、好ましくは40から60%程度に設定するのがよい。

0035

以上のように構成された開放型スクロール圧縮機1において、駆動軸5が回転すると、スクロール圧縮機構4が冷媒ガスを吸入することよってハウジング2の内部空間S1に負圧が発生し、この負圧によって吸入ポート3から内部空間S1に冷媒ガスが導入され、この冷媒ガスはスクロール圧縮機構4によって圧縮されて圧縮冷媒ガスとなり、ハウジング2に形成された吐出ポートから吐出されて凝縮器等の需要部に供給される。

0036

開放型スクロール圧縮機1の作動時において、ハウジング2の内部では、冷媒ガスが内部空間S1から冷媒案内溝25を経てシール空間S2に流れ、冷媒ガスに含まれる潤滑油のミストや液滴によってサブ軸受7とリップシール9とが潤滑される。潤滑に供された潤滑油は、サブ軸受7の外輪部材7aと内輪部材7bとの間を通過しながら転動部材7cを潤滑した後、内部空間S1に放流される。

0037

冷媒案内溝25は、駆動軸5の中心軸線C方向に対して所定の傾斜角αを有するように形成されているため、焼嵌めや冷やし嵌め等によって軸受圧入部8aの内部に圧入されたサブ軸受7の外輪部材7aが圧入後に径方向外側に拡がる際に、この外輪部材7aの外周面における所定の角度位置において、駆動軸5の中心軸線C方向の全長に亘って直線的な変形が起こることが防止される。

0038

つまり、駆動軸5の中心軸線Cに対して所定の傾斜角αを有して傾斜した冷媒案内溝25の内部に膨出するようにサブ軸受7の外輪部材7aが変形しても、その変形部の形状は駆動軸5の軸方向に平行に沿う溝状にはならず、軸方向に対して傾斜した溝状となる。このため、外輪部材7aの内側を転動する転動部材7cが、その全幅に亘って同時に変形溝の内部に落ち込んだり、変形溝の外に乗り上げたりを繰り返すことがない。また、サブ軸受7のラジアルクリアランスが縮小しにくい。

0039

したがって、サブ軸受7における回転抵抗の増大や、フレーキングの発生、回転ムラ回転振動の発生、寿命年数の減少といった性能低下が発生しにくくなる。この効果は、冷媒案内溝25の、駆動軸5に対する傾斜角αを大きくする程、顕著なものになる。こうして、サブ軸受7の性能低下を招くことなく、サブ軸受7が圧入される軸受圧入部8aの内周面に冷媒案内溝25を形成可能にしてサブ軸受7およびリップシール9の潤滑性能を高めることができる。

0040

冷媒案内溝25は、駆動軸5の軸方向視で、その内側開口部25aの開口範囲と外側開口部25bの開口範囲とが重ならないように形成されている(図2図3参照)。こうすることにより、軸受圧入部8aに圧入されたサブ軸受7の外輪部材7aが冷媒案内溝25の内部に膨出するように変形しても、その変形形状の範囲内に駆動軸5の軸方向に平行に沿う部分が発生しない。このため、転動部材7cが、その全幅に亘って同時に変形溝の内部に落ち込んだり、変形溝の外に乗り上げたりすることを確実に抑制し、サブ軸受7の性能低下を防止することができる。

0041

冷媒案内溝25をスパイラル状の溝としたことにより、CNC加工によって冷媒案内溝25を容易に形成することができる。また、そのスパイラル方向を、駆動軸5の回転方向Rに合わせたことにより、駆動軸5の回転によってハウジング2内で旋回する冷媒ガスの流れが冷媒案内溝25の内部に取り込まれ易くなり、サブ軸受7およびリップシール9の潤滑性能を高めることができる。

0042

駆動軸5の軸方向視で、軸受圧入部8aの内周面と冷媒案内溝25の内周面との交点における内角βが鈍角であるため、軸受圧入部8aの内周面に冷媒案内溝25の形成による鋭角なエッジが発生しない。このため、軸受圧入部8aに圧入されたサブ軸受7の外輪部材7aの変形が緩やかなものになり、転動部材7cの転動が滑らかになる。したがって、サブ軸受7の性能低下をより効果的に防止することができる。

0043

さらに、駆動軸5の軸方向視で、軸受圧入部8aの円周に対する冷媒案内溝25の合計溝幅の割合を30から70%、好ましくは40から60%程度に設定したため、サブ軸受7の圧入強度を確保しつつ、冷媒案内溝25の溝幅を可及的に広くし、冷媒案内溝25を流れる冷媒ガスおよび潤滑油の量を確保してサブ軸受7およびリップシール9の潤滑性能を高めることができる。

0044

以上に説明したように、本実施形態に係る開放型スクロール圧縮機1によれば、サブ軸受7の性能低下を招くことなく、サブ軸受7が圧入される軸受圧入部8aの内周面に冷媒案内溝25を形成可能にしてサブ軸受7およびリップシール9の潤滑性能を高めることができる。

0045

なお、本発明は上記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本発明の権利範囲に含まれるものとする。
例えば、開放型スクロール圧縮機1の基本的な内部構造部品位置関係等については、必ずしも本実施形態に示すものと同一である必要はない。また、スクロール式冷媒圧縮機構に代えて、ロータリー式ベーン式、斜板式等の冷媒圧縮機構にしてもよい。

0046

また、冷媒案内溝25の形状は、必ずしも上記実施形態の形状でなくてもよく、駆動軸5の中心軸線Cに対して所定の傾斜角αを有していれば、他の形状とすることも考えられる。例えば、図5に示すように、複数の冷媒案内溝25のスパイラル方向を交互に逆方向にしたり、図6に示すループ状や、波線状メッシュ状等にしたりすることも考えられる。要するに、冷媒案内溝25が中心軸線Cに対して傾斜するとともに、その一端がハウジング2の内部空間S1に連通し、他端がシール空間S2に連通していればよい。

0047

1開放型スクロール圧縮機(開放型冷媒圧縮機)
2ハウジング
4スクロール圧縮機構(圧縮機構)
5駆動軸
7サブ軸受(転がり軸受)
8軸穴
8a軸受圧入部
9リップシール(軸シール部材)
25冷媒案内溝
25a内側開口部
25b外側開口部
C 駆動軸の中心軸線
R 駆動軸の回転方向
S1 ハウジングの内部空間
S2 サブ軸受とリップシールとの間のシール空間
α 冷媒案内溝の傾斜角
β 軸受圧入部の内周面と冷媒案内溝の内周面との交点における内角

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