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技術 ゴルフボール

出願人 住友ゴム工業株式会社
発明者 井上英高神野一也三村耕平多羅尾俊之田中真実
出願日 2017年6月2日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-109904
公開日 2018年2月15日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2018-023757
状態 特許登録済
技術分野 ボール
主要キーワード 衝突角度θ 最大伸び率 表層板 両ポール 球面三角形 分力センサ 打撃地点 仮想球
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年2月15日)のものです。
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図面 (20)

課題

ドライ状態及びウエット状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れ、さらに飛行性能にも優れたゴルフボール2の提供。

解決手段

ゴルフボール2は、本体4と塗膜6とを有している。この塗膜6は、内層14と外層16とを有している。内層14のモジュラスMinは、外層16のモジュラスMoutよりも大きい。差(Min−Mout)は、25kgf/cm2以上である。このゴルフボール2は、複数のディンプル18を有している。ゴルフボール2の仮想球表面積に対するディンプル18の面積の合計の比率Soと、その直径がゴルフボール2の直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプル18の数のディンプル18の総数に対する比率Rsとは、下記の数式(1)を満たす。 Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (1)

概要

背景

ゴルフクラブ打撃されると、ゴルフボールは、バックスピンを伴って飛行する。バックスピンの速度が大きいと、落下後のゴルフボールのランが小さい。バックスピンの速度が大きなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、このゴルフボールを目標地点静止させることができる。バックスピンがかかりやすいゴルフボールは、コントロール性能に優れる。プレーヤーは、特にアプローチショットでのコントロール性能を重視する。

特開2011−092328公報には、その基材ポリウレタンであるカバーを有するゴルフボールが開示されている。このポリウレタンのポリオール成分の数平均分子量は、200以上1500以下である。このカバーは、ゴルフボールのコントロール性能に寄与しうる。

特開2015−126772公報には、塗膜を有するゴルフボールが開示されている。この塗膜の基材は、ポリウレタンである。このポリウレタン10%モジュラスは、100kgf/cm2以下である。この塗膜は、ゴルフボールのコントロール性能に寄与しうる。

ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点後方シフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離生む

ディンプルに関する種々の提案が、なされている。特開2007−175267公報には、高緯度領域のユニット数低緯度領域のユニット数とが異なるディンプルパターンが、開示されている。特開2007−195591公報には、低緯度領域におけるディンプルの種類数が、高緯度領域におけるディンプルの種類数よりも多いディンプルパターンが、開示されている。特開2013−153966公報には、ディンプルの密度が大きく、かつディンプルのサイズのばらつきが小さなディンプルパターンが、開示されている。

概要

ドライ状態及びウエット状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れ、さらに飛行性能にも優れたゴルフボール2の提供。ゴルフボール2は、本体4と塗膜6とを有している。この塗膜6は、内層14と外層16とを有している。内層14のモジュラスMinは、外層16のモジュラスMoutよりも大きい。差(Min−Mout)は、25kgf/cm2以上である。このゴルフボール2は、複数のディンプル18を有している。ゴルフボール2の仮想球表面積に対するディンプル18の面積の合計の比率Soと、その直径がゴルフボール2の直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプル18の数のディンプル18の総数に対する比率Rsとは、下記の数式(1)を満たす。 Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (1)

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

本体と、この本体の外側に位置する塗膜とを備えたゴルフボールであって、上記塗膜が、内層と、この内層よりも外側に位置する外層とを有しており、上記内層の10%モジュラスMinが、上記外層の10%モジュラスMoutよりも大きく、上記モジュラスMinと上記モジュラスMoutとの差(Min−Mout)が、25kgf/cm2以上であり、その表面に複数のディンプルを有しており、上記ゴルフボールの仮想球表面積に対する、上記ディンプルの面積の合計の比率Soが、81.0%以上であり、その直径が上記ゴルフボールの直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rsが、50%以上であり、上記仮想球の半球ディンプルパターンが、互いに回転対称である3つのユニットからなり、それぞれのユニットのディンプルパターンが、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなり、下記数式(1)を満たすゴルフボール。Rs ≧ −2.5 ・ So + 273(1)

請求項2

上記モジュラスMinが100kgf/cm2以上である請求項1に記載のゴルフボール。

請求項3

上記モジュラスMoutが100kgf/cm2未満である請求項1又は2に記載のゴルフボール。

請求項4

上記内層の厚みTinが5μm以上30μm以下であり、上記外層の厚みToutが5μm以上30μm以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。

請求項5

上記内層が樹脂組成物から形成されており、この樹脂組成物の基材樹脂ポリウレタンである請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。

請求項6

上記外層が樹脂組成物から形成されており、この樹脂組成物の基材樹脂がポリウレタンである請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。

請求項7

下記数式(2)を満たす請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。Rs ≧ −2.5 ・ So + 278(2)

請求項8

下記数式(3)を満たす請求項7に記載のゴルフボール。Rs ≧ −2.5 ・ So + 283(3)

請求項9

その直径が上記ゴルフボールの直径の10.10%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rs’が、50%以上であり、下記数式(4)を満たす請求項1から8のいずれかに記載のゴルフボール。Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 245(4)

請求項10

下記数式(5)を満たす請求項9に記載のゴルフボール。Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252(5)

請求項11

それぞれのディンプルの最深部の、上記仮想球の表面からの深さが、0.10mm以上0.65mm以下である請求項1から10のいずれかに記載のゴルフボール。

請求項12

上記ディンプルの総容積が450mm3以上750mm3以下である請求項1から11のいずれかに記載のゴルフボール。

技術分野

0001

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、塗膜及びディンプルを有するゴルフボールに関する。

背景技術

0002

ゴルフクラブ打撃されると、ゴルフボールは、バックスピンを伴って飛行する。バックスピンの速度が大きいと、落下後のゴルフボールのランが小さい。バックスピンの速度が大きなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、このゴルフボールを目標地点静止させることができる。バックスピンがかかりやすいゴルフボールは、コントロール性能に優れる。プレーヤーは、特にアプローチショットでのコントロール性能を重視する。

0003

特開2011−092328公報には、その基材ポリウレタンであるカバーを有するゴルフボールが開示されている。このポリウレタンのポリオール成分の数平均分子量は、200以上1500以下である。このカバーは、ゴルフボールのコントロール性能に寄与しうる。

0004

特開2015−126772公報には、塗膜を有するゴルフボールが開示されている。この塗膜の基材は、ポリウレタンである。このポリウレタン10%モジュラスは、100kgf/cm2以下である。この塗膜は、ゴルフボールのコントロール性能に寄与しうる。

0005

ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点後方シフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離生む

0006

ディンプルに関する種々の提案が、なされている。特開2007−175267公報には、高緯度領域のユニット数低緯度領域のユニット数とが異なるディンプルパターンが、開示されている。特開2007−195591公報には、低緯度領域におけるディンプルの種類数が、高緯度領域におけるディンプルの種類数よりも多いディンプルパターンが、開示されている。特開2013−153966公報には、ディンプルの密度が大きく、かつディンプルのサイズのばらつきが小さなディンプルパターンが、開示されている。

先行技術

0007

特開2011−092328公報
特開2015−126772公報
特開2007−175267公報
特開2007−195591公報
特開2013−153966公報

発明が解決しようとする課題

0008

ゴルフクラブ又はゴルフボールが、雨等で濡れることがある。ゴルフクラブ又はゴルフボールが濡れた状態は、ウエット状態と称される。一方、ゴルフクラブ及びゴルフボールが濡れていない状態は、ドライ状態と称される。柔軟な塗膜は、ドライ状態でのコントロール性能に寄与しうる。しかし、本発明者が得た知見によれば、この塗膜を有するゴルフボールのウエット状態でのスピン速度は、十分ではない。

0009

ゴルフボールに対するプレーヤーの最大の関心事は、飛距離である。プレーヤーは、ドライバーロングアイアン及びミドルアイアンでの飛距離を重視する。アプローチショットでのコントロール性能の観点から、ゴルフボールのスピン性能は重要である。一方、過剰なスピンは、ゴルフボールの飛行性能阻害する。

0010

本発明の目的は、ドライ状態及びウエット状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れ、さらに飛行性能にも優れたゴルフボールの提供にある。

課題を解決するための手段

0011

本発明に係るゴルフボールは、本体と、この本体の外側に位置する塗膜とを備える。この塗膜は、内層と、この内層よりも外側に位置する外層とを有する。内層の10%モジュラスMinは、外層の10%モジュラスMoutよりも大きい。モジュラスMinとモジュラスMoutとの差(Min−Mout)は、25kgf/cm2以上である。このゴルフボールは、表面に複数のディンプルを有する。ゴルフボールの仮想球表面積に対する、ディンプルの面積の合計の比率Soは、81.0%以上である。その直径がゴルフボールの直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rsは、50%以上である。仮想球の半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。このゴルフボールは、下記数式(1)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (1)

0012

好ましくは、モジュラスMinは、100kgf/cm2以上である。好ましくは、モジュラスMoutは、100kgf/cm2未満である。

0013

好ましくは、内層の厚みTinは5μm以上30μm以下である。好ましくは、外層の厚みToutは、5μm以上30μm以下である。

0014

内層は、樹脂組成物から形成されうる。好ましくは、この樹脂組成物の基材樹脂は、ポリウレタンである。

0015

外層は、樹脂組成物から形成されうる。好ましくは、この樹脂組成物の基材樹脂は、ポリウレタンである。

0016

好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(2)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 278 (2)

0017

好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(3)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 283 (3)

0018

好ましくは、その直径がゴルフボールの直径の10.10%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rs’は、50%以上である。好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(4)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 245 (4)

0019

好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(5)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252 (5)

0020

好ましくは、それぞれのディンプルの最深部の、仮想球の表面からの深さは、0.10mm以上0.65mm以下である。

0021

好ましくは、ディンプルの総容積は、450mm3以上750mm3以下である。

発明の効果

0022

本発明に係るゴルフボールは、ドライ状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れる。このゴルフボールは、ウエット状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れる。さらにこのゴルフボールは、飛行性能にも優れる。

図面の簡単な説明

0023

図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された断面図である。
図2は、図1のゴルフボールが示された平面図である。
図3は、図2のゴルフボールが示された正面図である。
図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。
図5は、比率So及び比率Rsの関係が示されたグラフである。
図6は、比率So及び比率Rs’の関係が示されたグラフである。
図7は、本発明の実施例2に係るゴルフボールが示された平面図である。
図8は、図7のゴルフボールが示された正面図である。
図9は、本発明の実施例3に係るゴルフボールが示された平面図である。
図10は、図9のゴルフボールが示された正面図である。
図11は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された平面図である。
図12は、図11のゴルフボールが示された正面図である。
図13は、比較例1に係るゴルフボールが示された平面図である。
図14は、図13のゴルフボールが示された正面図である。
図15は、比較例2に係るゴルフボールが示された平面図である。
図16は、図15のゴルフボールが示された正面図である。
図17は、比較例3に係るゴルフボールが示された平面図である。
図18は、図17のゴルフボールが示された正面図である。
図19は、比較例4に係るゴルフボールが示された平面図である。
図20は、図19のゴルフボールが示された底面図である。
図21は、図19のゴルフボールが示された右側面図である。
図22は、図19のゴルフボールが示された正面図である。
図23は、図19のゴルフボールが示された左側面図である。
図24は、図19のゴルフボールが示された背面図である。
図25は、比較例5に係るゴルフボールが示された平面図である。
図26は、図25のゴルフボールが示された正面図である。
図27は、ゴルフボールの摩擦係数の測定に用いられる接触力試験機が示された斜視図である。
図28は、図27の接触力試験機の衝突体が示された拡大断面図である。
図29は、図27の接触力試験機による測定で得られた結果の一例が示されたグラフである。
図30は、図28に示された衝突体の衝突面の一部が示された拡大断面図である。
図31は、図30の衝突面の一部が示された拡大断面図である。
図32は、図27の接触力試験機による測定で得られた結果の一例が示されたグラフである。

0024

以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。

0025

図1に示されたゴルフボール2は、本体4と、この本体4の外側に位置する塗膜6とを有している。本体4は、球状のコア8と、このコア8の外側に位置する中間層10と、この中間層10の外側に位置するカバー12とを有している。塗膜6は、本体4の外側に位置する内層14と、この内層14よりも外側に位置する外層16とを有している。このゴルフボール2は、その表面に複数のディンプル18を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル18以外の部分は、ランド20である。このゴルフボール2が、マーク層を有してもよい。このマーク層は、カバー12と塗膜6との間に位置してよく、塗膜6の外側に位置してもよい。塗膜6が、3以上の層を有してもよい。

0026

このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。

0027

[コア]
コア8は、ゴム組成物架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとして、ポリブタジエンポリイソプレンスチレンブタジエン共重合体エチレンプロピレンジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。

0028

コア8のゴム組成物は、共架橋剤を含んでいる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛アクリル酸マグネシウムメタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物が、共架橋剤と共に有機過酸化物を含むことが好ましい。好ましい有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。

0029

コア8のゴム組成物が、充填剤硫黄加硫促進剤硫黄化合物老化防止剤着色剤可塑剤及び分散剤のような添加剤を含んでもよい。ゴム組成物が、カルボン酸又はカルボン酸塩を含んでもよい。ゴム組成物が、合成樹脂粉末又は架橋されたゴム粉末を含んでもよい。

0030

コア8の直径は30.0mm以上が好ましく、38.0mm以上が特に好ましい。コア8の直径は42.0mm以下が好ましく、41.5mm以下が特に好ましい。コア8が、2以上の層を有してもよい。コア8が、その表面にリブを有してもよい。コア8が中空であってもよい。

0031

[中間層]
中間層10は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィン炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。この二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。この二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオン中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオンカリウムイオンリチウムイオン亜鉛イオンカルシウムイオンマグネシウムイオンアルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。

0032

アイオノマー樹脂に代えて、中間層10の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、ポリスチレンポリアミドポリエステルポリオレフィン及びポリウレタンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。

0033

中間層10の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤紫外線吸収剤光安定剤蛍光剤蛍光増白剤等を含んでもよい。比重調整の目的で、この樹脂組成物がタングステンモリブデン等の高比重金属粉末を含んでもよい。

0034

中間層10の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。中間層10の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。中間層10の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。中間層10の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。中間層10が、2以上の層を有してもよい。

0035

[カバー]
カバー12は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、ポリウレタンである。樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンを含んでもよく、熱硬化性ポリウレタンを含んでもよい。生産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。基材がポリウレタンであるカバー12は、ゴルフボール2のコントロール性能に寄与しうる。

0036

ポリウレタンは、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成されうる。

0037

ウレタン結合の原料であるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。

0038

ポリウレタン成分のイソシアネートとして、脂環式ジイソシアネート芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートは主鎖に二重結合を有さないので、カバー12の黄変が抑制される。脂環式ジイソシアネートとして、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。汎用性及び加工性の観点から、H12MDIが好ましい。

0039

ポリウレタンに代えて、カバー12の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル及びポリオレフィンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。

0040

カバー12の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。

0041

カバー12の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。カバー12の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。カバー12の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。カバー12の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。カバー12が、2以上の層を有してもよい。

0042

補強層
ゴルフボール2が、中間層10とカバー12との間に、補強層を備えてもよい。補強層は、中間層10と堅固に密着し、カバー12とも堅固に密着する。補強層は、中間層10からのカバー12の剥離を抑制する。補強層は、ポリマー組成物からなる。補強層の基材ポリマーとして、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が例示される。

0043

[塗膜]
前述の通り、塗膜6は内層14と外層16とを有している。内層14は、樹脂組成物から形成されている。この樹脂組成物の基材として、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂酢酸ビニル樹脂及びポリエステルが例示される。特に好ましい基材樹脂は、ポリウレタンである。

0044

外層16は、樹脂組成物から形成されている。この樹脂組成物の基材として、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂及びポリエステルが例示される。特に好ましい基材樹脂は、ポリウレタンである。

0045

典型的には、内層14及び外層16は、それぞれ、ポリウレタン塗料から形成される。この塗料は、ポリオール組成物ポリイソシアネート組成物とを含有する。この塗料では、ポリオールが主剤であり、ポリイソシアネートが硬化剤である。

0046

[ポリオール組成物]
上記ポリオール組成物は、ポリオール化合物を含有する。ポリオール化合物は、分子中に2以上の水酸基を有する。ポリオール化合物は、分子の末端に水酸基を有してもよく、分子の末端以外に水酸基を有してもよい。ポリオール組成物が、2種以上のポリオール化合物を有してもよい。

0047

[分子の末端に水酸基を有するポリオール化合物]
分子の末端に水酸基を有するポリオール化合物には、低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが含まれる。低分子量ポリオールの数平均分子量は、500未満である。高分子量ポリオールの数平均分子量は、500以上である。低分子量ポリオールとして、エチレングリコールジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールのようなジオール;並びにグリセリントリメチロールプロパン及びヘキサントリオールのようなトリオールが例示される。高分子量のポリオールとして、ポリエーテルポリオールポリエステルポリオールポリカプロラクトンポリオールポリカーボネートポリオールウレタンポリオール及びアクリルポリオールが例示される。ポリエーテルポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)が例示される。ポリエステルポリオールとして、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)が例示される。ポリカプロラクトンポリオールとして、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)が例示される。ポリカーボネートポリオールとして、ポリヘキサメチレンカーボネートが例示される。

0048

[ウレタンポリオール]
上記ウレタンポリオールは、2以上のウレタン結合を有し、かつ2以上の水酸基を有する。ウレタンポリオールは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とが、ポリオール成分の水酸基がポリイソシアネート成分のイソシアネート基に対して過剰になるような条件で反応させられることで、得られうる。

0049

ウレタンポリオールの出発原料であるポリオール成分として、ポリエーテルジオールポリエステルジオールポリカプロラクトンジオール及びポリカーボネートジオールが例示される。好ましいポリオール成分は、ポリエーテルジオールである。ポリエーテルジオールとして、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコールが例示される。好ましいポリエーテルジオールは、ポリオキシテトラメチレングリコールである。

0050

上記ポリエーテルジオールの数平均分子量は、600以上が好ましい。この分子量が600以上であるポリエーテルジオールは、塗膜6の柔軟性に寄与しうる。この観点から、この分子量は650以上がより好ましく、700以上が特に好ましい。この分子量は、3000以下が好ましい。この分子量が3000以下であるポリエーテルジオールは、塗膜6の耐汚染性に寄与しうる。この観点から、この分子量は2500以下がより好ましく、2000以下が特に好ましい。ポリオール成分の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。測定条件は、以下の通りである。
標準物質:ポリスチレン
溶離液テトラヒドロフラン
カラム有機溶媒系PC用カラム(昭和電工社の商品名「Shodex KFシリ ーズ」)

0051

ウレタンポリオールにおけるポリエーテルジオールの含有率は、70質量%以上が好ましい。この含有率が70質量%以上であるウレタンポリオールは、塗膜6の柔軟性に寄与しうる。この観点から、この含有率は72質量%以上がより好ましく、75質量%以上が特に好ましい。

0052

上記ウレタンポリオールの出発原料であるポリオール成分として、低分子量ポリオールが用いられうる。この低分子量ポリオールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールのようなジオール;並びにグリセリン、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールのようなトリオールが例示される。出発原料として、2種以上の低分子量ポリオールが用いられてもよい。

0053

出発原料としてジオール及びトリオールが併用されたウレタンポリオールが、好ましい。トリオール成分とジオール成分の質量比(トリオール成分/ジオール成分)は、0.2以上が好ましく、0.5以上が特に好ましい。この質量比は、6.0以下が好ましく、5.0以下が特に好ましい。ジオールとの併用に適したトリオールは、トリメチロールプロパンである。

0054

ウレタンポリオールの出発原料であるポリイソシアネート成分は、2以上のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネート成分として、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネートPPDI)のような芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びノルボルネンジイソシアネート(NBDI)のような脂環式ポリイソシアネート;並びに脂肪族ポリイソシアネートが例示される。出発原料として、2種以上のポリイソシアネートが用いられてもよい。

0055

ウレタンポリオールの重量平均分子量は、5000以上が好ましい。この分子量が5000以上であるウレタンポリオールは、塗膜6の柔軟性に寄与しうる。この観点から、この分子量は5300以上がより好ましく、5500以上が特に好ましい。この分子量は、20000以下が好ましい。この分子量が20000以下であるウレタンポリオールは、塗膜6の耐汚染性に寄与しうる。この観点から、この分子量は18000以下がより好ましく、16000以下が特に好ましい。

0056

ウレタンポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、15mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましい。水酸基価は200mgKOH/g以下が好ましく、190mgKOH/g以下がより好ましく、180mgKOH/g以下が特に好ましい。水酸基価は、「JIS K 1557−1」の規定に準拠して測定される。測定には、アセチル化法が採用される。

0057

[分子の末端以外に水酸基を有する化合物]
分子の末端以外に水酸基を有する化合物として、水酸基を有する修飾ポリロタキサン、及び水酸基変性塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が例示される。

0058

[水酸基を有する修飾ポリロタキサン]
水酸基を有する修飾ポリロタキサンは、シクロデキストリン直鎖状分子及び封鎖基を有する。シクロデキストリンは、環状分子である。直鎖状分子は、シクロデキストリンを貫通している。封鎖基は、直鎖状分子の両末端に配置されている。この封鎖基は、直鎖状分子からのシクロデキストリンの脱離を防止する。このポリロタキサンでは、シクロデキストリンが直鎖状分子に沿って移動可能である。このポリロタキサンを含む塗膜6に張力が加わったとき、この張力が分散される。この塗膜6では、クラック及び傷が生じにくい。

0059

上記シクロデキストリンは、環状構造を有するオリゴ糖である。このシクロデキストリンでは、6個から8個のD−グルコピラノース残基がα—1,4−グルコシド結合により環状に結合している。シクロデキストリンとして、α−シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β−シクロデキストリン(グルコース数:7個)及びγ—シクロデキストリン(グルコース数:8個)が例示される。α−シクロデキストリンが好ましい。2種以上のクロデキストリンが併用されてもよい。

0060

上記直鎖状分子として、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエーテル及びポリアクリルが例示される。ポリエーテルが好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。

0061

直鎖状分子の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、6,000以上が特に好ましい。この分子量は100,000以下が好ましく、80,000以下が特に好ましい。

0062

その両末端に官能基を有する直鎖状分子が、好ましい。この直鎖状分子は、封鎖基と容易に反応しうる。官能基として、水酸基、カルボキシ基アミノ基及びチオール基が例示される。

0063

封鎖基によるシクロデキストリンの脱離の防止方法として、嵩高い封鎖基による物理的防止方法、及びイオン性の封鎖基による静電気的防止方法が例示される。嵩高い封鎖基として、シクロデキストリン及びアダマンタン基が例示される。直鎖上分子が貫通しているシクロデキストリンの個数の、その最大数に対する比は、0.06以上0.61以下が好ましく、0.11以上0.48以下がより好ましく、0.24以上0.41以下が特に好ましい。この比が上記範囲内である塗膜6は、物性に優れる。

0064

シクロデキストリンが有する水酸基の少なくとも一部が、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサンが好ましい。このポリロタキサンでは、ポリロタキサンとポリイソシアネートとの立体障害緩和される。

0065

以下、変性方法の一例が説明される。まず、シクロデキストリンの水酸基がプロピレンオキシドで処理され、ヒドロキシプロピル化される。次に、ε−カプロラクトンが添加され、開環重合がなされる。シクロデキストリンの環状構造の外側に、カプロラクトン鎖−(CO(CH2)5O)nHが、−O−C3H6−O−基を介して、結合する。nは、重合度を表し、1−100の自然数であることが好ましく、2−70の自然数であることがより好ましく、3−40の自然数であることが特に好ましい。カプロラクトン鎖の他方の末端には、開環重合により水酸基が形成される。この水酸基は、ポリイソシアネートと反応しうる。

0066

変性前のシクロデキストリンが有する全水酸基(100モル%)に対する、カプロラクトン鎖で変性される水酸基の比率は、2モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましい。この比率が上記範囲内であるポリロタキサンは、疎水性である。このポリロタキサンの、ポリイソシアネートとの反応性は、高い。

0067

ポリロタキサンの水酸基価は、10mgKOH/g以上400mgKOH/g以下が好ましい。このポリロタキサンのポリイソシアネートとの反応性は、高い。この観点から、水酸基価15mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましい。水酸基価は300mgKOH/g以下がより好ましく、220mgKOH/g以下が特に好ましい。

0068

ポリロタキサンの重量平均分子量は、30,000以上3,000,000以下が好ましい。この分子量が30,000以上であるポリロタキサンは、塗膜6の強度に寄与しうる。この観点から、この分子量は40,000以上がより好ましく、50,000以上が特に好ましい。この分子量が3,000,000以下であるポリロタキサンは、塗膜6の柔軟性に寄与しうる。この観点から、この分子量は2,500,000以下がより好ましく、2,000,000以下が特に好ましい。この分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。測定条件は、以下の通りである。
標準物質:ポリスチレン
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:有機溶媒系GPC用カラム(昭和電工社の商品名「Shodex KFシリ ーズ」)

0069

ポリカプロラクトンで変性されたポリロタキサンの具体例として、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社のセルスーパーポリマーSH3400P、SH2400P及びSH1310Pが例示される。

0070

[水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体]
前述の水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体は、ゴルフボール2のスピン性能に寄与しうる。この共重合体は、水酸基を有する単量体、塩化ビニル及び酢酸ビニルの共重合によって得られうる。この水酸基を有する単量体として、ポリビニルアルコール及びヒドロキシアルキルアクリレートが例示される。この共重合体は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化又は完全ケン化によっても得られうる。

0071

この水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体における、塩化ビニル成分の含有率は、1質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。この含有率は99質量%以下が好ましく、95質量%以下が特に好ましい。水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体の具体例として、日信化学工業社の商品名「ソルバインA」、「ソルバインAL」及び「ソルバインTA3」が例示される。

0072

[ポリオール組成物の態様]
好ましいポリオール組成物の態様は、以下の通りである。
態様1:数平均分子量が600以上3000以下であるポリエーテルジオールを含有す るウレタンポリオールを含む組成物
態様2:シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、−O−C3H6−O−基を介 して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサンを含む組成物

0073

態様1のポリオール組成物における、ポリオール化合物の全量に対するウレタンポリオールの量の比率は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。このポリオール組成物が、ポリオール化合物として、ウレタンポリオールのみを含んでもよい。

0074

態様2のポリオール組成物における、ポリオール化合物の全量に対するポリロタキサンの量の比率は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。この比率は100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が特に好ましい。

0075

態様2のポリオール組成物は、好ましくは、ポリカプロラクトンポリオールを含有する。ポリカプロラクトンポリオールとポリロタキサンとの質量比は、0/100以上が好ましく、5/95以上がより好ましく、10/90以上が特に好ましい。この比は、90/10以下が好ましく、85/15以下がより好ましく、80/20以下が特に好ましい。

0076

態様2のポリオール組成物は、好ましくは、前述の水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を含有する。ポリオール組成物における、ポリオール化合物の全量に対する水酸基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体の比率は、4質量%以上が好ましく、8質量%以上が特に好ましい。この比率は50質量%以下が好ましく、45質量%以下が特に好ましい。

0077

[ポリイソシアネート組成物]
前述のポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物を含有する。このポリイソシアネート化合物は、2以上のイソシアネート基を有する。

0078

ポリイソシアネート化合物として、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)のような芳香族ジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びノルボルネンジイソシアネート(NBDI)のような脂環式又は脂肪族ジイソシアネート;並びにジイソシアネートのアロハネート体ビュレット体イソシアヌレート体及びアダクト体のようなトリイソシアネートが例示される。ポリイソシアネート化合物が、2種以上のイソシアネートを含んでもよい。

0079

アロハネート体は、ジイソシアネートと低分子量ジオールとの反応で形成されるウレタン結合に、さらにジイソシアネートが反応することが得られうる。アダクト体は、ジイソシアネートとトリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量トリオールとの反応で得られうる。ビュレット体は、下記化学式(1)で表わされるビュレット結合を有する。イソシアヌレート体は、例えば、下記化学式(2)で表わされる。

0080

0081

上記化学式(1)において、Rはジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を表わす。

0082

0083

上記化学式(2)において、Rはジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を表わす。

0084

好ましいトリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が例示される。

0085

好ましくは、ポリイソシアネート組成物は、トリイソシアネート化合物を含有する。ポリイソシアネート組成物における、ポリイソシアネートの全量に対する、トリイソシアネート化合物の比率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。ポリイソシアネート組成物が、ポリイソシアネート化合物として、トリイソシアネート化合物のみを含有してもよい。

0086

ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネートのイソシアネート基量NCO%)は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。イソシアネート基量は45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。イソシアネート基量(NCO%)は、下記数式によって算出される。
NCO = (100 × Mi × 42) / Wi
Mi:ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数
42:NCOの分子量
Wi:ポリイソシアネートの総質量(g)

0087

ポリイソシアネートの具体例として、DIC社の商品名「バーノックD−800」、「バーノックDN−950」及び「バーノックDN−955」;住化バイエルウレタン社の商品名「デスモジュールN75MPA/X」、「デスモジュールN3300」、「デスモジュールL75(C)」及び「スミジュールE21−1」;日本ポリウレタン工業社の商品名「コロネートHX」及び「コロネートHK」;旭化成ケミカルズ社の商品名「デュラネート24A−100」、「デュラネート21S−75E」、「デュラネートTPA−100」及び「デュラネートTKA−100」;並びにデグサ社の商品名「VESTANAT T1890」が例示される。

0088

[ポリオール/ポリイソシアネート]
硬化型塗料組成物において、主剤が有する水酸基(OH基)と硬化剤が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO基/OH基)は、0.1以上が好ましい。モル比(NCO基/OH基)が0.1以上である組成物では、十分な硬化反応が生じる。この観点から、このモル比は0.2以上が特に好ましい。このモル比は、1.5以下が好ましい。このモル比が1.5以下である組成物から、柔軟かつ外観に優れた塗膜6が得られる。この観点から、この比率は1.4以下がより好ましく、1.3以下が特に好ましい。この塗膜6の外観が優れる理由は、空気中の水分とイソシアネート基との過剰な反応が生じないことにある。過剰反応の抑制により、炭酸ガスの発生が抑制され、この炭酸ガスによる外観阻害が抑制される。

0089

前述の態様1のポリオール組成物に適したポリイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びイソホロンジイソシアヌレートのイソシアヌレート変性体である。ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体とが、併用されてもよい。この場合、ビュレット変性体とイソシアヌレート変性体との質量比は、20/40以上40/20以下が好ましく、25/35以上35/25以下が特に好ましい。

0090

前述の態様2のポリオール組成物に適したポリイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である。

0091

[塗料]
塗膜6には、水を主たる分散媒とする水系塗料、及び有機溶剤を分散媒とする溶剤系塗料のいずれもが用いられうる。溶剤系塗料が好ましい。溶剤系塗料に適した溶剤として、トルエンイソプロピルアルコールキシレンメチルエチルケトンメチルエチルイソブチルケトンエチレングリコールモノメチルエーテルエチルベンゼンプロピレングリコールモノメチルエーテルイソブチルアルコール及び酢酸エチルが例示される。ポリオール組成物が、溶剤を含んでもよい。ポリイソシアネート組成物が溶剤を含んでもよい。均一な硬化反応の観点から、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物のそれぞれが溶剤を含むことが好ましい。

0092

好ましくは、塗料は、レベリング剤を含有する。レベリング剤は、塗膜6の平滑に寄与しうる。好ましいレベリング剤は、変性シリコーンである。変性シリコーンとして、側鎖又は末端に有機基が導入されたポリシロキサンポリシロキサンブロックポリエーテルブロック、ポリカプロラクトンブロック等が共重合したポリシロキサンブロック共重合体、及びこのポリシロキサンブロック共重合体の側鎖又は末端に有機基が導入された共重合体が例示される。直鎖状であるポリシロキサン又はポリシロキサンブロックが変性されることが好ましい。直鎖状であるポリシロキサン又はポリシロキサンブロックとして、ジメチルポリシロキサンメチルフェニルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンが例示される。導入されうる有機基として、アミノ基、エポキシ基メルカプト基及びカルビノール基が例示される。好ましい変性シリコーンは、ポリジメチルシロキサン−ポリカプロラクトンブロック共重合体である。特に好ましい変性シリコーンは、末端がカルビノール基である変性ポリジメチルシロキサン−ポリカプロラクトンブロック共重合体である。この共重合体は、カプロラクトン変性ポリロタキサン及びポリカプロラクトンポリオールとの相溶性に優れる。変性シリコーンの具体例として、Gelest社の商品名「DBL−C31」、「DBE−224」及び「DCE−7521」が例示される。

0093

硬化反応には、公知の触媒が使用されうる。好ましい触媒として、トリエチルアミン及びN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンのようなモノアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン及びN,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンのようなポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)及びトリエチレンジアミンのような環状ジアミン類;並びにジブチルチンジラウリレート及びジブチルチンジアセテートのような錫系触媒が例示される。2種以上の触媒が併用されてもよい。錫系触媒がより好ましく、ジブチルチンジラウリレートが特に好ましい。

0094

塗料が、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤スリップ剤粘度調整剤等の添加剤を、適量含んでもよい。

0095

塗料は、スプレー塗装法静電塗装法等によって、本体4等に塗布される。エアーガンが用いられたスプレー塗装の場合、このエアーガンの上流ラインミキサーが配置されうる。ポリオール組成物が、ポンプでラインミキサーに供給される。ポリイソシアネート組成物が、他のポンプでラインミキサーに供給される。このラインミキサーにおいて、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とが連続的に混合される。混合によって得られた塗料が、エアーガンから噴射される。ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とが、別個塗装されてもよい。

0096

ゴルフボール2の本体4に第一塗料が塗布され、乾燥される。乾燥により、内層14が得られる。乾燥温度は、30℃以上70℃以下が好ましい。乾燥時間は、1時間以上24時間以下が好ましい。

0097

この内層14に第二塗料が塗布され、乾燥される。乾燥により、外層16が得られる。乾燥温度は、30℃以上70℃以下が好ましい。乾燥時間は、1時間以上24時間以下が好ましい。

0098

[塗膜の物性]
内層14の10%モジュラスMinは、外層16の10%モジュラスMoutよりも大きい。モジュラスMinが大きい内層14は、ウエット状態での大きなスピン速度に寄与しうる。この内層14を有するゴルフボール2は、ウエット状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れる。モジュラスMoutが小さい外層16は、ドライ状態での大きなスピン速度に寄与しうる。この外層16を有するゴルフボール2は、ドライ状態のアプローチショットでのコントロール性能に優れる。

0099

ウエット状態及びドライ状態でのコントロール性能の観点から、モジュラスMinとモジュラスMoutとの差(Min−Mout)は、25kgf/cm2(2.5MPa)以上が好ましく、45kgf/cm2(4.4MPa)以上がより好ましく、65kgf/cm2(6.4MPa)以上が特に好ましい。内層14と外層16との密着性の観点から、差(Min−Mout)は400kgf/cm2(39.2MPa)以下が好ましく、375kgf/cm2(36.8MPa)以下がより好ましく、350kgf/cm2(34.3MPa)以下が特に好ましい。

0100

内層14にモル比(NCO/OH)が大きい塗料が用いられ、外層16にモル比(NCO/OH)が小さい塗料が用いられることにより、差(Min−Mout)が大きい塗膜6が得られうる。内層14に分子量の小さなポリオールを含むポリウレタンが用いられ、外層16に分子量の大きなポリオールを含むポリウレタンが用いられうることにより、差(Min−Mout)が大きい塗膜6が得られうる。

0101

モジュラスMinは、100kgf/cm2(9.8MPa)以上500kgf/cm2(49.0MPa)以下が好ましい。モジュラスMinが100kgf/cm2以上であるゴルフボール2は、ウエット状態でのコントロール性能に優れる。この観点から、モジュラスMinは125kgf/cm2(12.3MPa)以上がより好ましく、150kgf/cm2(14.7MPa)以上が特に好ましい。モジュラスMinが500kgf/cm2以下である内層14は、耐久性に優れる。この観点から、モジュラスMinは450kgf/cm2(44.1MPa)以下がより好ましく、400kgf/cm2(39.2MPa)以下が特に好ましい。

0102

内層14の最大伸び率破壊時のひずみ量)は、30%以上200%以下が好ましい。最大伸び率が30%以上である内層14は、耐久性に優れる。この観点から、最大伸び率は40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。最大伸び率が200%以下である内層14は、ウエット状態でのコントロール性能に寄与しうる。この観点から、最大伸び率は175%以下がより好ましく、150%以下が特に好ましい。

0103

モジュラスMoutは、5kgf/cm2(0.5MPa)以上100kgf/cm2(9.8MPa)未満が好ましい。モジュラスMoutが5kgf/cm2以上である外層16は、耐汚染性に優れる。この観点から、モジュラスMoutは10kgf/cm2(1.0MPa)以上がより好ましく、15kgf/cm2(1.5MPa)以上が特に好ましい。モジュラスMoutが100kgf/cm2未満であるゴルフボール2は、ドライ状態でのコントロール性能に優れる。この観点から、モジュラスMoutは90kgf/cm2(8.8MPa)以下がより好ましく、80kgf/cm2(7.8MPa)以下が特に好ましい。

0104

外層16の最大伸び率(破壊時のひずみ量)は、100%以上500%以下が好ましい。最大伸び率が100%以上である外層16を有するゴルフボール2は、ドライ状態でのコントロール性能に優れる。この観点から、最大伸び率は120%以上がより好ましく、140%以上が特に好ましい。最大伸び率が500%以下である外層16は、耐汚染性に優れる。この観点から、最大伸び率は450%以下がより好ましく、400%以下が特に好ましい。

0105

本発明では、内層14及び外層16のモジュラス及び最大伸び率は、「JIS K7161(2014)」に規定された引張試験によって測定される。測定では、まず主剤及び硬化剤からなる塗料をプレートに塗布し、40℃の温度下で4時間乾燥して、塗膜6を得る。この塗膜6の厚みは、約0.05mmである。この塗膜6を、「JIS K7127(1999)」に規定されたタイプ2の形状に打ち抜いて、試験片を得る。この試験片では、平行部の幅は10mmであり、標線間距離は50mmである。この試験片を、精密万能試験機島津製作所社の商品名「オートグラフ」)におる引張試験に供する。試験条件は、以下の通りである。
チャック間距離:100mm
引張速度:50mm/min
試験温度:23℃

0106

[塗膜の厚み]
内層14の厚みTinは、5μm以上30μm以下が好ましい。厚みTinが5μm以上である内層14は、ウエット状態でのコントロール性能に寄与しうる。この観点から、厚みTinは7μm以上がより好ましく、8μm以上が特に好ましい。厚みTinが30μm以下である内層14は、耐久性に優れる。この観点から、厚みTinは27.5μm以下がより好ましく、25μm以下が特に好ましい。

0107

外層16の厚みToutは、5μm以上30μm以下が好ましい。厚みToutが5μm以上である外層16は、ドライ状態でのコントロール性能に寄与しうる。この観点から、厚みToutは7μm以上がより好ましく、8μm以上が特に好ましい。厚みToutが30μm以下である外層16は、耐汚染性に優れる。この観点から、厚みToutは27.5μm以下がより好ましく、25μm以下が特に好ましい。

0108

外層16の厚みToutと内層14の厚みTinとの比(Tout/Tin)は、0.2以上5以下が好ましい。比(Tout/Tin)が0.2以上である塗膜6は、ドライ状態でのコントロール性能に寄与しうる。この観点から、比(Tout/Tin)は0.3以上がより好ましく、0.4以上が特に好ましい。比(Tout/Tin)が5以下である塗膜6は、ウエット状態でのコントロール性能に優れる。この観点から、比(Tout/Tin)は4以下が好ましく、3以下が特に好ましい。

0109

塗膜6の合計厚みは、10μm以上60μm以下が好ましい。合計厚みが10μm以上である塗膜6は、ドライ状態及びウエット状態でのコントロール性能に寄与しうる。この観点から、合計厚みは13μm以上がより好ましく、15μm以上が特に好ましい。合計厚みが60μm以下である塗膜6は、ディンプル18の形状をへたらせない。この観点から、合計厚みは50μm以下がより好ましく、40μm以下が特に好ましい。

0110

[摩擦係数]
ゴルフボール2の摩擦係数は、0.35以上0.60以下が好ましい。摩擦係数がこの範囲内であるゴルフボール2は、アプローチショットでのコントロール性能に優れる。この観点から、摩擦係数は0.37以上がより好ましく、0.39以上が特に好ましい。摩擦係数は、0.56以下がより好ましく、0.54以下が特に好ましい。

0111

本発明では、接触力試験機によって摩擦係数が測定される。この接触力試験機では、ゴルフボール2の飛行方向に対して傾斜して設置された衝突体に、ゴルフボール2が衝突したときの、ゴルフボール2と衝突体の摩擦係数が測定されうる。接触力試験機により、衝突体に垂直な方向の接触力の時間関数Fn(t)と、衝突体に平行な方向の接触力の時間関数Ft(t)とが、同時に求められる。下記の数式で算出される比の時間関数M(t)の最大値が、摩擦係数である。
M(t)=Ft(t)/Fn(t)

0112

図27に、接触力試験機24が示されている。この接触力試験機24では、ゴルフボール2がクラブフェースで打撃される状態が、擬似的に再現される。この接触力試験機24は、発射装置26、衝突体28、複数のカメラ30、複数のストロボ32、コンピュータ34、コントローラ36及び電源38を有している。発射装置26には、いわゆるエアガン方式が採用されている。発射装置26は、鉛直方向上向きに、ゴルフボール2を発射しうる。衝突体28は、発射装置26の上方に位置している。発射されたゴルフボール2は、衝突体28の衝突面40に衝突する。衝突後に跳ね返ったゴルフボール2は、カメラ30及びストロボ32によって撮影される。撮像で得られた画像データは、コンピュータ34に送信される。このコンピュータ34において、ゴルフボール2の打ち出し速度打ち出し角度及びスピン速度が算出されうる。接触力Fn(t)及びFt(t)も、コンピュータ34に送信される。この送信には、インターフェイス社のパルスカウンタボード(商品名「PCI−6101」)が用いられる。このパルスカウンタボードは、16ビットチャンネルを4つ有する。

0113

発射装置26と衝突面40との距離は、小さい。従って、衝突時のゴルフボール2の速度は、発射装置26から発射された直後のゴルフボール2の速度とほぼ同じである。このゴルフボール2の速度は、プレーヤーがゴルフクラブをスイングするときのヘッド速度に相当する。この観点から、この接触力試験機24では、ゴルフボール2の速度が10m/s以上70m/s以下の範囲内で、調整されうる。本発明では、アプローチショットのヘッド速度が考慮され、ゴルフボール2の速度が19m/秒に設定される。

0114

発射装置26は、第一センサ42と第二センサ44とを有している。ゴルフボール2が第一センサ42を通過してから第二センサ44を通過するまでの時間が測定されることにより、ゴルフボール2の速度が算出されうる。この算出結果は、コンピュータ34に送信される。ゴルフボール2の速度は、コントローラ36のボリュームによって調整されうる。

0115

図28は、衝突体28が示された拡大断面図である。この衝突体28では、ゴルフボール2の発射方向に対する衝突面40の角度αが、調整されうる。90°からこの角度αが減じられた角度θは、衝突角度である。衝突角度θは、クラブフェースのロフト角に相当する。この接触力試験機24では、衝突角度θは、0°以上90°以下の範囲内で、調整されうる。本発明では、アプローチウエッジのロフト角が考慮され、衝突角度θが55°に設定される。

0116

衝突体28は、ベース46、圧力センサ48、表層板50及びボルト52(JIS規格のM10)を有している。ベース46、圧力センサ48及び表層板50は、ボルト52によって一体化されている。

0117

ベース46の材質は、スチールである。ベース46の厚みは、5.35mmである。

0118

圧力センサ48は、ベース46と表層板50とに挟まれている。圧力センサ48として、3成分力センサキスラー社の3成分力センサ「9067」)が使用される。このセンサは、衝突面40と垂直な方向の垂直力Fnと、衝突面40に平行な方向のせん断力Ftとを、時系列データとして測定しうる。測定では、圧力センサ48にチャージアンプ(キスラー社の「5011B」)が接続される。

0119

表層板50は、主部54とカバリング56とを有している。主部54の材料は、ステンレススチール(SUS−630)である。主部54の厚みは、15mmである。主部54の平面形状は、圧力センサ48の平面形状と実質的に同一であり、正方形である。この正方形の一辺は、56mmである。カバリング56の材質は、ステンレススチール(SUS−431)である。カバリング56の厚みは、2.5mmである。カバリング56の平面形状は、主部54の平面形状と実質的に同一であり、正方形である。この正方形の一辺は、56mmである。カバリング56は、その表面に、アプローチウエッジの溝に類似する溝を有する。溝の形状は、後述される。

0120

図29は、図27の接触力試験機24による測定で得られた結果の一例が示されたグラフである。このグラフには、垂直力Fnとせん断力Ftとの時刻歴が示されている。このグラフにおいて点P0は、圧力センサ48が力を感知し始めた点であり、衝突面40とゴルフボール2との衝突が開始された時刻に相当する。このグラフに示されるとおり、垂直力Fn(t)は、点P0から徐々に増加し、点P4で最高値となり、ここから減少して点P3でゼロに達する。この点P3は、圧力センサ48が力を感知しなくなった点であり、衝突面40からゴルフボール2が離れた時刻に相当する。

0121

せん断力Ft(t)は、点P0から徐々に増加し、点P1で最高値となり、ここから減少して点P2でゼロとなり、これ以降は負の値となる。点P3で、せん断力Ft(t)はゼロに達する。Ft(t)のカーブ時間軸とで囲まれた領域のうちFt(t)が正の値をとる領域の面積S1は、せん断力が正である力積を表す。一方、Ft(t)のカーブと時間軸とで囲まれた領域のうちFt(t)が負の値をとる領域の面積S2は、せん断力が負である力積を表す。力積S1はバックスピンを促進する方向に作用し、力積S2はバックスピンを抑制する方向に作用する。力積S1は、力積S2よりも大きい。力積S1から力積S2を減じた値が、ゴルフボール2のバックスピンに相関する。

0122

[ディンプル]
図2及び3に示されるように、ディンプル18の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.60mmであるディンプルAと、直径が4.50mmであるディンプルBと、直径が4.35mmであるディンプルCと、直径が4.00mmであるディンプルDと、直径が3.00mmであるディンプルEとを有している。ディンプル18の種類数は、5である。ゴルフボール2が円形ディンプル18に代えて、又は円形ディンプル18と共に、非円形ディンプル18を有してもよい。

0123

ディンプルAの数は24個であり、ディンプルBの数は12個であり、ディンプルCの数は252個であり、ディンプルDの数は24個であり、ディンプルEの数は12個である。ディンプル18の総数は、324個である。これらのディンプル18とランド20とにより、ディンプルパターンが形成されている。

0124

図4には、ディンプル18の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図4における上下方向は、ディンプル18の深さ方向である。図4において二点鎖線22で示されているのは、仮想球である。仮想球22の表面は、ディンプル18が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球22の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル18は、仮想球22の表面から凹陥している。ランド20は、仮想球22の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル18の断面形状は、実質的に円弧である。

0125

図4において矢印Dmで示されているのは、ディンプル18の直径である。この直径Dmは、ディンプル18の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル18のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル18の輪郭を画定する。図4において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル18の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル18の最深部と仮想球22の表面との距離である。図4において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル18の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル18の最深部と接線Tgとの距離である。

0126

それぞれのディンプル18の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル18は、乱流化に寄与する。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル18は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。

0127

非円形ディンプルの場合、この非円形ディンプルの面積と同じ面積を有する円形ディンプル18が仮想される。この仮想されたディンプル18の直径が、非円形ディンプルの直径と見なされる。

0128

ディンプル18の直径Dmの、ゴルフボール2の直径に対する比率Pdは、9.60%以上10.37%以下が好ましい。この比率が9.60%以上であるディンプル18は、乱流化に寄与する。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。この観点から、比率Pdは9.90%以上がより好ましく、10.10%以上が特に好ましい。この比率Pdが10.37%以下であるディンプル18は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、比率Pdは10.32%以下がより好ましく、10.27%以下が特に好ましい。

0129

比率Pdが9.60%以上10.37%以下であるディンプル18の数の、ディンプル18の総数に対する比率Rsは、50%以上が好ましい。比率Rsが50%以上であるディンプルパターンは乱流化に寄与する。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。この観点から、比率Rsは60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。比率Rsが100%であってもよい。

0130

比率Pdが10.10%以上10.37%以下であるディンプル18の数の、ディンプル18の総数に対する比率Rs’は、50%以上が好ましい。比率Rs’が50%以上であるディンプルパターンは乱流化に寄与する。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。この観点から、比率Rs’は60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。比率Rs’が100%であってもよい。

0131

比率Pdが10.37%を超えるディンプル18の数の、ディンプル18の総数に対する比率は、50%未満が好ましい。この比率が50%未満であるディンプルパターンでは、ディンプルパターンの設計の自由度が高く、従ってランド20の幅が過大となりにくい。この観点から、この比率は30%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。この比率がゼロであってもよい。

0132

飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル18の第一深さDp1は0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、第一深さDp1は0.65mm以下が好ましく、0.60mm以下がより好ましく、0.55mm以下が特に好ましい。

0133

ディンプル18の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル18の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル18の場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S = (Dm / 2)2 * π

0134

図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.62mm2であり、ディンプルBの面積は15.90mm2であり、ディンプルCの面積は14.86mm2であり、ディンプルDの面積は12.57mm2であり、ディンプルEの面積は7.07mm2である。

0135

本発明では、全てのディンプル18の面積Sの合計の、仮想球22の表面積に対する比率は、占有率Soと称される。十分な乱流化が得られるとの観点から、占有率Soは81.0%以上が好ましく、82.0%以上が特に好ましい。占有率Soは、95%以下が好ましい。図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプル18の合計面積は4721.1mm2である。このゴルフボール2の仮想球22の表面積は5728.0mm2なので、占有率Soは82.4%である。

0136

十分な占有率が達成されるとの観点から、ディンプル18の総数Nは250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル18が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。

0137

本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球22の表面とディンプル18の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル18の総容積は450mm3以上が好ましく、480mm3以上がより好ましく、500mm3以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm3以下が好ましく、730mm3以下がより好ましく、710mm3以下が特に好ましい。

0138

図5に示されたグラフにおいて、横軸はディンプル18の占有率Soである。このグラフにおいて、縦軸は、比率Pdが9.60%以上10.37%以下であるディンプル18の数の、ディンプル18の総数に対する比率Rsである。このグラフにおいて符号L1で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 273
このグラフにおいて、直線L1よりも上側のゾーンプロットされるゴルフボール2は、下記数式(1)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (1)
上記数式(1)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0139

図5のグラフにおいて符号L2で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 278
このグラフにおいて、直線L2よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(2)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 278 (2)
上記数式(2)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0140

図5のグラフにおいて符号L3で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 283
このグラフにおいて、直線L3よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(3)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 283 (3)
上記数式(3)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0141

図6に示されたグラフにおいて、横軸はディンプル18の占有率Soである。このグラフにおいて、縦軸は、比率Pdが10.10%以上10.37%以下であるディンプル18の数の、ディンプル18の総数に対する比率Rs’である。このグラフにおいて符号L4で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs’ = −2.2 ・ So + 245
このグラフにおいて、直線L4よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(4)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 245 (4)
上記数式(4)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0142

図6のグラフにおいて符号L5で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs’ = −2.2 ・ So + 252
このグラフにおいて、直線L5よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(5)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252 (5)
上記数式(5)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0143

図3に示されるように、ゴルフボール2(又は仮想球22)の表面は、赤道Eqにより、2つの半球HE区画されうる。具体的には、表面は、北半球NHと南半球SHとに区画されうる。それぞれの半球HEは、ポールPを有している。ポールPは、ゴルフボール2のための成形型の、最も深い点に対応する。

0144

図2には、北半球が示されている。南半球は、図2のディンプルパターンがポールPを中心として回転させられたパターンを有する。図2に示された線分S1、S2及びS3のそれぞれは、ポールPから延びている。線分S1と線分S2との、ポールPにおける角度は、120°である。線分S2と線分S3との、ポールPにおける角度は、120°である。線分S3と線分S1との、ポールPにおける角度は、120°である。

0145

ゴルフボール2(又は仮想球22)の表面のうち、線分S1、線分S2及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第一球面三角形T1である。ゴルフボール2(又は仮想球22)の表面のうち、線分S2、線分S3及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第二球面三角形T2である。ゴルフボール2(又は仮想球22)の表面のうち、線分S3、線分S1及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第三球面三角形T3である。それぞれの球面三角形は、ユニットである。この半球HEは、3つのユニットに区画されうる。

0146

第一球面三角形T1のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第二球面三角形T2のディンプルパターンと、実質的に重なる。第二球面三角形T2のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第三球面三角形T3のディンプルパターンと、実質的に重なる。第三球面三角形T3のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第一球面三角形T1のディンプルパターンと、実質的に重なる。換言すれば、半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。

0147

半球HEのディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられたパターンは、回転前のディンプルパターンと実質的に重なる。半球HEのディンプルパターンは、120°回転対称である。

0148

図2に示された線分S4は、ポールPから延びている。線分S4と線分S1との、ポールPにおける角度は、60°である。線分S4と線分S2との、ポールPにおける角度は、60°である。線分S4により、第一球面三角形T1(ユニット)は、小さな球面三角形T1a及び他の小さな球面三角形T1bに区画されうる。球面三角形T1a及び球面三角形T1bは、小ユニットである。

0149

両ポールPを結ぶ直線及び線分S4を含む平面に対して、球面三角形T1aのディンプルパターンが反転させられたパターンは、球面三角形T1bのディンプルパターンと実質的に重なる。換言すれば、それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。

0150

同様に、第二球面三角形T2のディンプルパターンも、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。第三球面三角形T3のディンプルパターンも、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。この半球HEのディンプルパターンは、6個の小ユニットからなる。

0151

本発明者が得た知見によれば、半球のディンプルパターンが互いに120°回転対称である3つのユニットからなり、それぞれのユニットのディンプルパターンが互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなるゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、スピン速度が大きいにもかかわらず、飛行性能に優れる。

0152

以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。

0153

[ポリオール組成物の調製]
[ポリオール組成物#1(ウレタンポリオール)]
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、数平均分子量650)及びトリメチロールプロパン(TMP)を溶剤(トルエン及びメチルエチルケトン)に溶解した。モル比(PTMG:TMP)は、1.8:1.0であった。この溶液に、触媒として、主剤全量に対して0.1質量%のジブチル錫ジラウレートを添加した。このポリオール溶液を80℃に保持しながら、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下混合した。この混合液のモル比(NCO/OH)は、0.6であった。滴下後にイソシアネートがなくなるまで攪拌を続け、その後常温で冷却し、ウレタンポリオール組成物を得た。この組成物の詳細は、以下の通りである。
固形分:30質量%
PTMGの含有率:67質量%
固形分の水酸基価:67.4mgKOH/g
固形分のOH量:1.20mmol/g
組成物のOH量:0.36mmol/g
ウレタンポリオールの重量平均分子量:4867

0154

[ポリオール組成物#2(ウレタンポリオール)]
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、数平均分子量1000)及びトリメチロールプロパン(TMP)を溶剤(トルエン及びメチルエチルケトン)に溶解した。モル比(PTMG:TMP)は、1.8:1.0であった。この溶液に、触媒として、主剤全量に対して0.1質量%のジブチル錫ジラウレートを添加した。このポリオール溶液を80℃に保持しながら、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下混合した。この混合液のモル比(NCO/OH)は0.6であった。滴下後にイソシアネートがなくなるまで攪拌を続け、その後常温で冷却し、ウレタンポリオール組成物を得た。この組成物の詳細は、以下の通りである。
固形分:30質量%
PTMGの含有率:76質量%
固形分の水酸基価:49.5mgKOH/g
固形分のOH量:0.88mmol/g
組成物のOH量:0.26mmol/g
ウレタンポリオールの重量平均分子量:6624

0155

[ポリオール組成物#3(ポリロタキサン組成物)]
50質量部の、シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が−O−C3H6−O−基を介してカプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサンポリロタキサン(前述の「セルムスーパーポリマー」、直鎖状分子:ポリエチレングリコール、封鎖基:アダマンタン基、直鎖状分子の分子量:35,000、水酸基価:72mgKOH/g、重量平均分子量:700,000)」)、28質量部のポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社の商品名「Placcel 308」、水酸基価:190−200mgKOH/g)、22質量部の塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体(前述の「ソルバインAL」、水酸基価:63.4mgKOH/g)、0.1質量部の変性シリコーン(Gelest社の商品名「DBL−C31」)、0.01質量部のジブチル錫ジラウレート、及び100質量部の溶剤(キシレン/メチルエチルケトン、質量比:70/30)を混合し、ポリオール組成物を調製した。

0156

[ポリイソシアネート組成物の調製]
[ポリイソシアネート組成物#1]
30質量部のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(旭化成ケミカルズ社の商品名「デュラネートTKA−100」、NCO含有率:21.7質量%)、30質量部のヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体(旭化成ケミカルズ社の商品名「デュラネート21S−75E」、NCO含有率:15.5質量%)、及び40質量部のイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(BAYER社の商品名「デスモジュールZ4470」、NCO含有率:11.9質量%)を混合した。この混合物に、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸n−ブチル及びトルエンの混合溶媒を添加し、ポリイソシアネート組成物を得た。この組成物におけるポリイソシアネート成分の濃度は、60質量%であった。

0157

[ポリイソシアネート組成物#2]
100質量部の、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体(前述の「デュラネート21S−75E」、NCO含有率:15.5質量%)、及び100質量部のメチルエチルケトンを混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。

0158

[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、29.5質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.9質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型投入し、170℃の温度下で20分間加熱して、直径が39.7mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。

0159

55質量部のアイオノマー樹脂(デュポン社の商品名「サーリン8945」)、45質量部の他のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミランAM7329」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.0mmであった。

0160

二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を、調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とを含む。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとを含む。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃の雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。この補強層の厚みは、10μmであった。

0161

100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY83A」)、4質量部の二酸化チタン及び0.08質量部のウルトラマリンブルーを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。これらのハーフシェル及び球体を、それぞれが半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に投入し、圧縮成形法にてカバーを得た。カバーの厚みは、0.5mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。

0162

100.0質量部のポリオール組成物#1、及び29.0質量部のポリイソシアネート組成物#1を混合し、塗料P4を調製した。この塗料P4を、カバーの周りに塗装した。この塗料P4を、50℃の温度下で12時間乾燥させ、内層を得た。

0163

100.0質量部のポリオール組成物#2、及び19.2質量部のポリイソシアネート組成物#1を混合し、塗料P6を調製した。この塗料P6を、内層の周りに塗装した。この塗料P6を、50℃の温度下で12時間乾燥させ、外層を得た。この外層を有するゴルフボールでは、直径は約42.7mmであり、質量は約45.6gであった。塗装後のディンプルの仕様D1の詳細が、下記の表3及び5に示されている。

0164

[実施例2−4及び比較例1−3]
ディンプルの仕様を下記の表7及び8に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4及び比較例1−3のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表3−6に示されている。それぞれのゴルフボールにおいて、半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。半球における小ユニットの数は、6である。

0165

[比較例4及び5]
ディンプルの仕様を下記の表8に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例4及び5のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4及び6に示されている。比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の実施例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例4に係るゴルフボールの半球のディンプルパターンは、回転対称ではない。比較例5に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の比較例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例5に係るゴルフボールの半球のディンプルパターンは、回転対称ではない。

0166

[実施例5−10及び比較例6−10]
塗膜の仕様を下記の表9−11に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5−10及び比較例6−10のゴルフボールを得た。塗膜の仕様の詳細が、下記の表1−2に示されている。

0167

[実施例11]
100質量部のハイシスポリブタジエン(前述の「BR−730」)、35質量部のアクリル酸マグネシウム、28質量部のメタクリル酸、適量の硫酸バリウム及び1.3質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃の温度下で20分間加熱して、直径が24.0mmであるセンターを得た。所定の質量のセンターが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。

0168

100質量部のハイシスポリブタジエン(前述の「BR−730」)、32.5質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.9質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物から、ハーフシェルを形成した。上記センターを、2つのハーフシェルで覆った。このセンター及びハーフシェルを、それぞれが半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が39.7mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。

0169

55質量部のアイオノマー樹脂(前述の「サーリン8945」)、45質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.0mmであった。

0170

二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(前述の「ポリン750LE)を、調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とを含む。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとを含む。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃の雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。この補強層の厚みは、10μmであった。

0171

100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述の「エラストランXNY83A」)、4質量部の二酸化チタン及び0.08質量部のウルトラマリンブルーを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。これらのハーフシェル及び球体を、それぞれが半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に投入し、圧縮成形法にてカバーを得た。カバーの厚みは、0.5mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。

0172

100.0質量部のポリオール組成物#1、及び29.0質量部のポリイソシアネート組成物#1を混合し、塗料P4を調製した。この塗料P4を、カバーの周りに塗装した。この塗料P4を、50℃の温度下で12時間乾燥させ、内層を得た。

0173

100.0質量部のポリオール組成物#2、及び19.2質量部のポリイソシアネート組成物#1を混合し、塗料P6を調製した。この塗料P6を、内層の周りに塗装した。この塗料P6を、50℃の温度下で12時間乾燥させ、外層を得た。この外層を有するゴルフボールでは、直径は約42.7mmであり、質量は約45.6gであった。塗装後のディンプルの仕様D1の詳細が、下記の表3及び5に示されている。

0174

[比較例11及び12]
内層の仕様を下記の表11に示される通りとした他は実施例11と同様にして、比較例11のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様を下記の表11に示される通りとした他は実施例11と同様にして、比較例12のゴルフボールを得た。

0175

[摩擦係数]
図27に示された接触力試験機を、準備した。この接触力試験機の衝突面には、クリーブランドゴルフ社のウエッジ(商品名「CG15」)の溝が再現されている。この衝突面の一部が、図30及び31に示されている。衝突面は、複数のジップグルーブ(大きな溝)を有している。これらのジップグルーブは、互いに平行に延びている。ジップグルーブとこれに隣接するジップグルーブとの間に、複数の小さな溝が設けられている。ジップグルーブの仕様は、下記の通りである。
幅W:0.70mm
深さh:0.50mm
ピッチ:3.56mm
角度α:10°
肩の曲率半径R:0.25mm
小さな溝は、レーザーミーリングにより形成されている。ジップグルーブ間の表面部分では、表面粗さRaは2.40±0.8μmであり、Rmaxは14.0±8μmである。表面粗さRa及びRmaxは、ミツトヨ社の表面粗さ計(商品名「SJ−301」)によって測定される。測定の条件は、以下の通りである。
測定長さ:2.5mm
カットオフ値:2.5mm

0176

この接触力試験機にて、ゴルフボールの摩擦係数を測定した。測定温度は23℃であり、ボール初速度は19m/sであった。測定は、ドライ状態及びウエット状態でなされた。ドライ状態の測定では、ゴルフボール及び衝突面は、水に濡れていない。ウエット状態では、ゴルフボール及び衝突面に水を付着させた。接触力Fn(t)及びFt(t)を測定し、Ft(t)/Fn(t)の最大値を算出した。12回の測定がなされ、その結果が平均された。

0177

接触力Fn(t)及びFt(t)の測定結果の一例が、図32に示されている。M(t)の値は、Ft(t)/Fn(t)として算出される。図32の例では、その最大値は0.58である。なお、接触力Ft及びFnは、初期(接触が始まるとき)においてノイズが発生しやすい。さらに、接触力Ft及びFnは、終期(接触が終わるとき)においてもノイズが発生しやすい。従って、初期及び終期をトリムして、M(t)の最大値が算出される。

0178

摩擦係数の測定と同時に、ストロボ及びカメラにて、スピン速度が測定された。さらに、スピン比が算出された。スピン比は、ドライ状態でのスピン速度に対する、ウエット状態でのスピン速度の比である。これらの結果が、下記の表7−11に示されている。

0179

打球感
10名のプレーヤーにウエッジ(クリーブランドゴルフ社の商品名「CG15フォージドウエッジ」、ロフト角:52°)にてゴルフボールを打撃させ、打球感を聞き取った。「打球感がよい」と答えたゴルファーの数に基づき、下記の格付けを行った。
A:8人以上
B:4−7人
C:3以下
この結果が、下記の表7−11に示されている。

0180

フライトテスト
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、ドライバー(ダンロップスポーツ社の商品名「XXIO 9」、シャフト硬度:S、ロフト角:9.5°)を装着した。ヘッド速度が50m/secである条件でゴルフボールを打撃して、ボール速度、スピン速度及び飛距離を測定した。飛距離は、打撃地点ボールが静止した地点との距離である。12回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表7−11に示されている。

0181

0182

0183

0184

0185

0186

0187

0188

0189

0190

0191

実施例

0192

表7−11に示されるように、各実施例のゴルフボールは、ドライ状態及びウエット状態でのスピン性能に優れ、さらに飛行性能にも優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。

0193

本発明に係るゴルフボールは、ゴルフコースでのプレイドライビングレンジでのプラクティス等に適している。

0194

2・・・ゴルフボール
4・・・本体
6・・・塗膜
8・・・コア
10・・・中間層
12・・・カバー
14・・・内層
16・・・外層
18・・・ディンプル
20・・・ランド
22・・・仮想球

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