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技術 六方晶フェライト焼結体、及びこれを用いた高周波磁性部品

出願人 TDK株式会社
発明者 原田明洋佐藤健新海芳浩飯田隆志
出願日 2016年8月5日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-154711
公開日 2018年2月8日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2018-020945
状態 特許登録済
技術分野 軟質磁性材料 磁性セラミックス
主要キーワード 損失係数tanδ 自然共鳴 棒状試料 スプレイドライヤー 高周波ノイズ対策 アンテナ材料 ノイズ対策用 ガラスビード
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

GHz帯周辺幅広周波数範囲において低磁気損失高透磁率を備え且つ異方性を持たないため高周波磁性部品に適用しても設計が制限されない、六方晶フェライト焼結体を提供する。

解決手段

MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19(式中、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上であることを特徴とする六方晶フェライト焼結体。

概要

背景

近年、携帯電話機携帯情報端末等の無線通信機器に利用される周波数帯高周波化が進行し、例えば無線LAN等で使用される2.4GHz帯など、使用される無線信号周波数はGHz帯となっている。そのため、そのようなGHz帯の高周波で使用される電子部品、例えば、インダクタ電子機器高周波ノイズ対策用として用いられるEMIフィルタ、無線通信機器に用いられるアンテナなどに対して、特性の改善や寸法の小型化を図る目的で、高透磁率、且つ低磁気損失磁性材料を適用する試みがなされている。

GHz帯を含む高周波領域で使用可能な軟磁性材料として、近年、スピネルフェライトよりも自然共鳴周波数が高周波となる六方晶フェライトを用いる検討がなされている。

例えば、特許文献1には、GHz以上の高周波帯域透磁率及び誘電率を調整できる電磁波吸収体磁性アンテナに適した固溶系Y型六方晶フェライト材料、及び該材料を用いた成型体、電磁波吸収体、及びアンテナについて記載されている。

特許文献1によると、Ba2(ZnaNibCoc)2Fe12O22の組成において、b=0.5、c=0.5となるように作製した固溶系Y型六方晶フェライト粉末シート形成したものについて、500MHzでの複素透磁率μ’が2.110、tanδが0.009となり、優れたアンテナ材料となるとされている。

しかし、特許文献1では、2GHzまではμ’>2、tanδ<0.1の条件を満たすとされていることから、例えば2.4GHzでtanδ<0.01などのより低い磁気損失は得られないと推察される。

また、特許文献2には、本出願人らによりM型六方晶フェライトを主相として含み、平均結晶粒子径が5μm以上であって、2GHzにおける複素比透磁率実数部が1.2以上であり、且つ、2GHzにおける磁気損失が0.01以下である、アンテナ用磁性材料、並びにアンテナ及び無線通信機器について記載されている。

特許文献2によると、MAFe12−xMBxO19(式中、MAは、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種であり、MBは、MC又はMDであり、MCは、Al、Cr、Sc及びInからなる群より選択される少なくとも1種であり、MDは、Ti及びZrからなる群より選択される少なくとも1種と、Ni、Zn、Mn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択される少なくとも1種との等量混合物であり、xは、1以上5以下の数である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、且つ、平均結晶粒子径が5μm以上のものにおいて、自然共鳴が5GHz程度以上の周波数帯域出現し、それ未満の周波数における自然共鳴に起因する磁気損失は十分に抑えられ、さらに磁壁共鳴が1GHz程度以下の低周波側へシフトするため、1〜5GHz程度の広い周波数帯域で透磁率の損失係数tanδμが効果的に低減されるとしている。

しかし、特許文献2では、高周波のtanδμを低減するため、磁壁共鳴を低周波側へシフトさせるのみで、磁壁共鳴そのものが無くなるわけではないため、低周波側(1GHz以下)では磁壁共鳴に起因する高いtanδμが存在するという問題がある。

また、特許文献3には、本出願人により数百MHzから数GHzの高周波までを含む幅広周波数範囲において、低磁気損失と高透磁率を備える六方晶フェライト焼結体、及びそれを用いた高周波磁性部品について記載されている。

この特許文献3によると、六方晶c軸方向に磁化容易軸を有する六方晶フェライト焼結体について、X線回折測定により2θが15°から80°の範囲で求めた結晶配向度Or(f)=Σ(00l)/Σ(hkl)を0.80以上、磁化容易軸に垂直な方向に磁場を印加した際に得られる100MHz以上3GHz以下における磁気損失tanδμを0.010以下で、且つ複素透磁率実部μ´を1.50以上とすることで、数百MHzから数GHzの高周波を含む広い周波数範囲に対応した、インダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどの磁性材料として適用可能であるとされている。

しかし、特許文献3では、結晶配向度Orを0.80以上に高めることで磁性材料に異方性が生じるため、tanδμが0.010以下の低い値となるのが磁化容易軸に垂直な方向に磁場を印加した際に限られることから、この材料を高周波磁性部品に適用する場合、高周波磁性部品の設計が制限されるという問題がある。

概要

GHz帯周辺の幅広い周波数範囲において低磁気損失と高透磁率を備え且つ異方性を持たないため高周波磁性部品に適用しても設計が制限されない、六方晶フェライト焼結体を提供する。MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19(式中、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上であることを特徴とする六方晶フェライト焼結体。

目的

本発明はかかる事情に鑑み、GHz帯周辺の幅広い周波数範囲において、低磁気損失と高透磁率を備え、且つ異方性を持たないため高周波磁性部品に適用しても設計が制限されない、六方晶フェライト焼結体、及びそれを用いた高周波磁性部品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19(式中、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上であることを特徴とする六方晶フェライト焼結体

請求項2

前記六方晶フェライト焼結体における、αが1.0以上1.1以下、βが4.0以上5.0以下、γ+δが0.49以上0.51以下、δが0.00以上0.10以下であることを特徴とする、請求項1に記載の六方晶フェライト焼結体。

請求項3

請求項1、及び2のいずれかに記載の六方晶フェライト焼結体を用いることを特徴とする高周波磁性部品

技術分野

0001

本発明は、GHz帯周辺幅広周波数範囲での使用に適した六方晶フェライト焼結体、及びこの六方晶フェライト焼結体を用いたアンテナインダクタフィルタなどの高周波磁性部品に関する。

背景技術

0002

近年、携帯電話機携帯情報端末等の無線通信機器に利用される周波数帯高周波化が進行し、例えば無線LAN等で使用される2.4GHz帯など、使用される無線信号周波数はGHz帯となっている。そのため、そのようなGHz帯の高周波で使用される電子部品、例えば、インダクタ、電子機器高周波ノイズ対策用として用いられるEMIフィルタ、無線通信機器に用いられるアンテナなどに対して、特性の改善や寸法の小型化を図る目的で、高透磁率、且つ低磁気損失磁性材料を適用する試みがなされている。

0003

GHz帯を含む高周波領域で使用可能な軟磁性材料として、近年、スピネルフェライトよりも自然共鳴周波数が高周波となる六方晶フェライトを用いる検討がなされている。

0004

例えば、特許文献1には、GHz以上の高周波帯域透磁率及び誘電率を調整できる電磁波吸収体磁性アンテナに適した固溶系Y型六方晶フェライト材料、及び該材料を用いた成型体、電磁波吸収体、及びアンテナについて記載されている。

0005

特許文献1によると、Ba2(ZnaNibCoc)2Fe12O22の組成において、b=0.5、c=0.5となるように作製した固溶系Y型六方晶フェライト粉末シート形成したものについて、500MHzでの複素透磁率μ’が2.110、tanδが0.009となり、優れたアンテナ材料となるとされている。

0006

しかし、特許文献1では、2GHzまではμ’>2、tanδ<0.1の条件を満たすとされていることから、例えば2.4GHzでtanδ<0.01などのより低い磁気損失は得られないと推察される。

0007

また、特許文献2には、本出願人らによりM型六方晶フェライトを主相として含み、平均結晶粒子径が5μm以上であって、2GHzにおける複素比透磁率実数部が1.2以上であり、且つ、2GHzにおける磁気損失が0.01以下である、アンテナ用磁性材料、並びにアンテナ及び無線通信機器について記載されている。

0008

特許文献2によると、MAFe12−xMBxO19(式中、MAは、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種であり、MBは、MC又はMDであり、MCは、Al、Cr、Sc及びInからなる群より選択される少なくとも1種であり、MDは、Ti及びZrからなる群より選択される少なくとも1種と、Ni、Zn、Mn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択される少なくとも1種との等量混合物であり、xは、1以上5以下の数である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、且つ、平均結晶粒子径が5μm以上のものにおいて、自然共鳴が5GHz程度以上の周波数帯域出現し、それ未満の周波数における自然共鳴に起因する磁気損失は十分に抑えられ、さらに磁壁共鳴が1GHz程度以下の低周波側へシフトするため、1〜5GHz程度の広い周波数帯域で透磁率の損失係数tanδμが効果的に低減されるとしている。

0009

しかし、特許文献2では、高周波のtanδμを低減するため、磁壁共鳴を低周波側へシフトさせるのみで、磁壁共鳴そのものが無くなるわけではないため、低周波側(1GHz以下)では磁壁共鳴に起因する高いtanδμが存在するという問題がある。

0010

また、特許文献3には、本出願人により数百MHzから数GHzの高周波までを含む幅広い周波数範囲において、低磁気損失と高透磁率を備える六方晶フェライト焼結体、及びそれを用いた高周波磁性部品について記載されている。

0011

この特許文献3によると、六方晶c軸方向に磁化容易軸を有する六方晶フェライト焼結体について、X線回折測定により2θが15°から80°の範囲で求めた結晶配向度Or(f)=Σ(00l)/Σ(hkl)を0.80以上、磁化容易軸に垂直な方向に磁場を印加した際に得られる100MHz以上3GHz以下における磁気損失tanδμを0.010以下で、且つ複素透磁率実部μ´を1.50以上とすることで、数百MHzから数GHzの高周波を含む広い周波数範囲に対応した、インダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどの磁性材料として適用可能であるとされている。

0012

しかし、特許文献3では、結晶配向度Orを0.80以上に高めることで磁性材料に異方性が生じるため、tanδμが0.010以下の低い値となるのが磁化容易軸に垂直な方向に磁場を印加した際に限られることから、この材料を高周波磁性部品に適用する場合、高周波磁性部品の設計が制限されるという問題がある。

先行技術

0013

特許第5282318号公報
特許第5853381号公報
特開2015−191935号公報

発明が解決しようとする課題

0014

そこで、本発明はかかる事情に鑑み、GHz帯周辺の幅広い周波数範囲において、低磁気損失と高透磁率を備え、且つ異方性を持たないため高周波磁性部品に適用しても設計が制限されない、六方晶フェライト焼結体、及びそれを用いた高周波磁性部品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するため、本発明の六方晶フェライト焼結体は、MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19(式中、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下である)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含み、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上であることを特徴とする六方晶フェライト焼結体とする。

0016

また、本発明の六方晶フェライト焼結体は、上記六方晶フェライト焼結体における、 αが1.0以上1.1以下、βが4.0以上5.0以下、γ+δが0.49以上0.51以下、δは0.00以上0.10以下であることが好ましい。本発明の発明者は、六方晶フェライト焼結体を上記組成、且つMn2+/MnのM型六方晶フェライトとすることで、高い自然共鳴周波数frに起因する高周波での低tanδμを維持しつつ、異方性磁界HAを効果的に減少させることができるため、磁壁共鳴に起因する低周波でのtanδμも抑制され、且つμ´も高められることを見出した。さらに、上記組成のMA、MB、MC、α、β、γ、及びδを適宜調整することにより、GHz帯周辺の幅広い周波数範囲において、低tanδμを維持しつつ、所望の周波数におけるμ´を最大限に高めることができる。

0017

本発明による高周波磁性部品は、本発明による前述の六方晶フェライト焼結体を用いることを特徴とし、例えば、インダクタや、ノイズ対策用として用いられるEMIフィルタ、無線通信機器に用いられるアンテナとして電子機器あるいは無線通信機器内で使用される。

発明の効果

0018

本発明によれば、GHz帯周辺の幅広い周波数範囲において、低磁気損失と高透磁率を備えた六方晶フェライト焼結体、及びそれを用いた高周波磁性部品を、異方性を考慮した設計に制限されることなく提供することができる。本発明の六方晶フェライト焼結体をインダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどの磁性材料として適用することにより、それら電子部品をGHz帯周辺の幅広い周波数範囲で使用することが可能となる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、実施例1、実施例4、実施例5、実施例6、実施例11、及び比較例3、比較例4、比較例8、比較例9、比較例10のMn2+/Mn、さらにMn2+/Mnが(1.340−0.116β)×100[%]以上となる範囲を示すグラフである。

0020

以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。

0021

本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19(式中、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下である)で表されるM型六方晶フェライト焼結体である。そのような組成式で表されるM型六方晶フェライトにおいては、高周波でのtanδμを増大させることなくHAが低められるため、μ=4πMS/HA(MSは飽和磁化)で表される磁化回転による透磁率が高められ、低tanδμを維持しつつ、GHz帯の高周波におけるμ´を高い値とすることが可能となる。

0022

本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、必ずしも上記組成で表されるM型六方晶フェライト焼結体単相である必要はない。製造過程のばらつき等により、Y型フェライトやFe3O4、及びCaやSiを含む粒界成分等の異相が六方晶フェライト焼結体に生成する場合があり得る。したがって、本実施形態に係る六方晶フェライト焼結体は、上記組成で表されるM型六方晶フェライト焼結体を主相とするが、上述したような異相を含むことも許容する。

0023

ただし、異相の存在に伴ってGHz帯の高周波領域におけるtanδμが増加することを防ぐため、上記組成で表されるM型六方晶フェライトの比率は95%以上とする。ここで、上記組成で表されるM型六方晶フェライトの比率とは、本実施形態に係る六方晶フェライト焼結体を構成する各相のX線回折(XRD)測定におけるメインピーク(強度が最も強いピーク)の強度の合計に対する上記組成で表されるM型六方晶フェライトのメインピ−ク強度の合計の割合である。

0024

本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上である。Mn2+/Mnをそのような範囲に限定することで、HAが効果的に調整されるため、磁壁共鳴が抑制され、1GHz以下を含む広い周波数帯において、tanδμを0.010以下とすることが可能となる。ここで、本発明における「全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)」は、蛍光X線分析装置を用いたガラスビード法により測定した組成分析値と、電位差滴定により求めたMn2+量より求めた。

0025

また、本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、上記M型六方晶フェライト焼結体のαが1.0以上1.1以下、βが4.0以上5.0以下、γ+δが0.49以上0.51以下、δは0.00以上0.10以下であることが好ましい。そのような組成式で表されるM型六方晶フェライトにおいてはHAがより効果的に調整されてμ´がより高められるため、低tanδμを維持しつつ、μ´をより高い値とすることが可能となる。

0026

本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、例えば、次のように作製される。まず、M型六方晶フェライト粉を作製する。所望の組成となるように原料となる炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マンガン(Mn3O4)、酸化亜鉛(ZnO)等を量し、ボールミル等の混合手段によって所定の時間配合し、配合が終了した配合粉について電気炉等を用いて適宜の温度、且つ、適宜の時間仮焼する。そして、仮焼終了後の仮焼粉を振動ミルやボールミル等の粉末作製手段で所定の時間粉砕して粉末とすることで、M型六方晶フェライト粉が完成する。

0027

次に、このM型六方晶フェライト焼結体を作製する。まず、作製したM型六方晶フェライト粉にPVAなどのバインダーを添加した後、スプレイドライヤー等によって造粒することにより造粒粉を得る。この造粒粉を所定の圧力でプレス機により所望の形状に成形した後、電気炉等を用いて適宜の温度、且つ、適宜の時間焼成を行い、焼結体を得る。

0028

上記焼結体のMn2+/Mnは、配合組成を適宜調整することにより、(1.340−0.116β)×100[%]以上の範囲に限定することができる。例えば、配合するMnの量を化学量論組成よりも少なくするほど、Mn2+/Mnは高くなる傾向がある。さらに、焼結体の焼成条件を適宜調整することによっても、(1.340−0.116β)×100[%]以上の範囲に限定することができる。例えば、焼成温度を高くするほど、また焼成雰囲気低酸素雰囲気にするほど、Mn2+/Mnは高くなる傾向がある。

0029

本実施形態の六方晶フェライト焼結体は、作製時に磁場成形等の結晶配向工程を含まないため、様々な方法で比較的容易に作製可能である。

0030

本実施形態の高周波磁性部品は、磁性材料として上記六方晶フェライト焼結体を用いる。上記六方晶フェライト焼結体は、GHz帯周辺の幅広い周波数において低tanδμ、且つ高μ´であり、さらに磁性材料として異方性を持たないことから、高周波で使用されるインダクタ、EMIフィルタ、アンテナ等の高周波磁性部品に好適である。

0031

次に、上述した実施形態をより具体的に実施した実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。表1に、実施例、及び比較例に係る六方晶フェライト焼結体の組成、(1.340−0.116β)×100[%]の計算値、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)の実測値、及び800MHzと2.4GHzでのμ´とtanδμの評価結果を示す。

0032

0033

(実施例1〜実施例13、及び比較例1〜比較例10)
実施例1〜実施例13、及び比較例1〜比較例10として、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化マンガン(Mn3O4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化亜鉛(ZnO)を原料とし、これらを表1に示す所定の組成となるように秤量した。秤量後の原料を湿式ボールミルで水を媒体として16時間配合した後、大気中において1300℃で2時間仮焼した。得られた仮焼粉を振動ミルで10分間乾式粉砕した後、湿式ボールミルで水を媒体として24時間粉砕し、粉砕後の粉を150℃で24時間乾燥させて粉砕粉を得た。

0034

次に、粉砕粉にバインダーとしてPVAを添加して造粒し、得られた造粒粉をプレス機により100MPaの圧力で成形して成形体とした。この成形体を酸素分圧0〜20%の低濃度酸素雰囲気中(実施例4では1%、実施例5では15%とし、他のものはこれらを指標として目的とするMn2+/Mnとなるよう適宜調整した。ただし、比較例8〜比較例10については大気中とした)、1150℃から1300℃(実施例5では1150℃、実施例6では1280℃とし、他のものはこれらを指標として目的とするMn2+/Mnとなるよう適宜調整した)で、10時間保持する焼成を行い、焼結体を得た。

0035

このようにして得られた実施例1〜実施例9の六方晶フェライト焼結体は、αが0.8以上1.2以下、βが3.0以上5.5以下、γ+δが0.48以上0.55以下、δが0.00以上0.15以下の範囲にあり、さらにMn2+/Mnが(1.340−0.116β)×100[%]以上であるため、低tanδμを維持しつつHAが調整されて透磁率が高められることから、800MHzと2.4GHzでのtanδμが0.010以下の低い値であり、且つμ´が1.60以上の高い値となっている。

0036

実施例10〜実施例13の六方晶フェライト焼結体は、αが1.0以上1.1以下、βが4.0以上5.0以下、γ+δが0.49以上0.51以下、δが0.00以上0.10以下の範囲にあり、さらにMn2+/Mnが(1.340−0.116β)×100[%]以上であるため、HAがより効果的に調整されて透磁率がより高められることから、800MHzと2.4GHzでのtanδμが0.010以下の低い値であり、且つμ´が1.70以上のより高い値となっている。

0037

比較例1、及び比較例2の六方晶フェライト焼結体は、αの値が0.8以上1.2以下の範囲から逸脱するため、GHz帯周辺のtanδμが広い周波数範囲で低い値に維持されず、αの値が0.8よりも小さい比較例1の六方晶フェライト焼結体においては800MHzでのtanδμが0.010よりも高い値となり、αの値が1.2よりも大きい比較例2の六方晶フェライト焼結体においては2.4GHzでのtanδμが0.010よりも高い値となっている。

0038

比較例3、及び比較例4の六方晶フェライト焼結体は、βの値が3.0以上5.5以下の範囲から逸脱するため、GHz帯周辺のtanδμが広い周波数範囲で低い値に維持されず、βの値が3.0よりも小さい比較例3の六方晶フェライト焼結体においては800MHzでのtanδμが0.010よりも高い値となり、βの値が5.5よりも大きい比較例4の六方晶フェライト焼結体においては2.4GHzでのtanδμが0.010よりも高い値となっている。

0039

比較例5、及び比較例6の六方晶フェライト焼結体は、γ+δの値が0.48以上0.55以下の範囲から逸脱するため、GHz帯周辺のtanδμが広い周波数範囲で低い値に維持されず、γ+δの値が0.48よりも小さい比較例5の六方晶フェライト焼結体においては2.4GHzでのtanδμが0.010よりも高い値となり、γ+δの値が0.55よりも大きい比較例6の六方晶フェライト焼結体においては800MHzでのtanδμが0.010よりも高い値となっている。

0040

比較例7の六方晶フェライト焼結体は、δの値が0.00以上0.15以下の範囲から逸脱するため、GHz帯周辺のtanδμが広い周波数範囲で低い値に維持されず、δの値が0.15よりも大きい比較例7の六方晶フェライト焼結体においては800MHzでのtanδμが0.010よりも高い値となっている。

0041

比較例8〜比較例10の六方晶フェライト焼結体は、αが0.8以上1.2以下、βが3.0以上5.5以下、γ+δが0.48以上0.55以下、δが0.00以上0.15以下の範囲内にあるものの、Mn2+/Mnの値が(1.340−0.116β)×100[%]未満であるため、磁壁共鳴が十分に抑制されず、800MHzでのtanδμが0.010よりも高い値となっている。

0042

(Mn2+/Mn)
全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)は組成分析と、Fe2+とMn2+の定量によって求めた。組成分析は焼結体を粉砕し、粉末状にした後、蛍光X線分析装置(リガク(株)製、SMX−14)を用いガラスビード法によって測定した。Mn2+量は、最初にFe2+量を上記粉末状にした試料200mgにシュウ酸、強リン酸を加え加熱溶解後、脱気水を加えN/500 K2Cr2O7溶液を用いた電位差滴定で求めた後、上記粉末状にした試料200mgに強リン酸を加え加熱溶解後、脱気水を加えN/100硫酸第一鉄アンモニウム溶液を用いた電位差滴定及び先に求めたFe2+量の値より求めた。

0043

(複素透磁率の実部μ´、及び磁気損失tanδμ)
調製した各原料粉末の焼結体からリング状試料外径7mm×内径3.1mm×厚さ2〜2.5mm)を各々成形加工し、得られたリング状試料の1MHzから3GHzにおける複素透磁率の実部μ´、及び磁気損失tanδμを、アジレント・テクノロジー(株)製、E4991A RFインピーダンスマテリアルアナライザを用いて測定した。また、調製した各原料粉末の焼結体から棒状試料(1.2mm×1.2mm×120mm)を各々成形加工し、得られた各棒状試料の2.4GHzにおける複素透磁率の実部μ´、及び磁気損失tanδμを、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製、HP8753D)と空洞共振器を用いた摂動法により測定した。

0044

表1の結果から分かるように、実施例1から実施例13に係る六方晶フェライト焼結体は、いずれも800MHzと2.4GHzのtanδμが0.010以下であり、且つμ´が1.60以上となっている。これらの六方晶フェライト焼結体は全て、MAαFe12−β(MB1−(γ+δ)MnγMCδ)βO19で表され、MAはBa、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、MBは、4価の金属イオンより選択される少なくとも一種であり、MCはNi、Zn、Mn、Mg、Cu及びCoからなる群より選択され、αは0.8以上1.2以下、βは3.0以上5.5以下、γ+δは0.48以上0.55以下、δは0.00以上0.15以下の範囲にあり、且つ全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]以上である。そのため、frが十分に高く、また磁壁共鳴は抑制されたことから、1GHz以下を含む広い周波数帯でtanδμが低い値で維持され、且つHAが調整されてμ´が高められたと考えられる。

0045

実施例10から実施例13に係る六方晶フェライト焼結体は、800MHzと2.4GHzのμ´が1.70以上となっており、実施例1から実施例9に係る六方晶フェライト焼結体と比較して、より高いμ´が達成されている。これは、この実施例に係る六方晶フェライト焼結体のαが1.0以上1.1以下、βが4.0以上5.0以下、γ+δが0.49以上0.51以下、δが0.00以上0.10以下の範囲にあるため、実施例1から実施例9に係る六方晶フェライト焼結体と比較して、異方性磁界HAがより効果的に調整されたため、低tanδμを維持しつつ、μ´がより高められたと考えられる。

0046

比較例1から比較例7に係る六方晶フェライト焼結体は、いずれも800MHz、または2.4GHzいずれかのtanδμが0.010よりも大きい値となっている。これは、この比較例に係る六方晶フェライト焼結体のα、β、γ+δ、またはδのいずれかが、αについては0.8以上1.2以下、βについては3.0以上5.5以下、γ+δについては0.48以上0.55以下、そしてδについては0.00以上0.15以下の範囲から逸脱するため、frが十分に高い値とならなかった、または磁壁共鳴が十分に抑制されなかったことなどを理由に、1GHz以下を含む広い周波数帯でtanδμを低い値に維持することができなかったと考えられる。

実施例

0047

比較例8から比較例10に係る六方晶フェライト焼結体は、いずれも800MHzのtanδμが0.010よりも大きい値となっている。これは、この比較例に係る六方晶フェライト焼結体のα、β、γ+δ、そしてδについては、αが0.8以上1.2以下、βが3.0以上5.5以下、γ+δが0.48以上0.55以下、そしてδが0.00以上0.15以下の範囲内にあるものの、全マンガンイオンに対する2価のマンガンイオンの割合(Mn2+/Mn)が(1.340−0.116β)×100[%]未満となっているため、磁壁共鳴が十分に抑制されず、800MHzのtanδμが0.010よりも大きい値となったと考えられる。

0048

以上説明した通り、本発明の六方晶フェライト焼結体は、1GHz以下から2.4GHz周辺を含む高周波の広い周波数範囲で0.010以下の低いtanδμを維持しつつμ´を1.60以上とすることができる。そのため、本発明による六方晶フェライト焼結体を用いることにより、例えば、GHz帯周辺の幅広い周波数範囲で使用可能なインダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどを提供することができる。

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