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課題

電流−電圧特性に優れた電気化学セル用バリア層を提供すること。

解決手段

本発明の電気化学セルは、酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含む電解質層と、上記電解質層を挟持する燃料極空気極と、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置され、Ybを含むセリアを主成分として含むバリア層を含む。

概要

背景

近年、電気化学セルクリーンエネルギー源として注目されている。電気化学セルのうち、電解質に固体セラミックを使用している固体酸化物形燃料電池固体酸化物電解セルは、作動温度が高いため排熱を利用でき、さらに高効率で電力水素燃料を得ることができる等の長所を有しており、幅広い分野での活用が期待されている。電気化学セルは、基本構造として、燃料極空気極との間に電解質層が配置された構造を有する。

ところで、従来の電気化学セルでは、空気極の焼成時に、電解質層としてジルコニア系電解質材料を使用した場合に、酸素イオン伝導性を有する電解質層と空気極材料とが反応することによる性能の低下を防ぐため、空気極と電解質層との間に、ガドリニアサマリア等のドーパントをドープしたセリアを含有したバリア層を設けることが知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、ドーパントをドープしたセリアを用いたバリア層を用いた場合、これらのドーパントが電解質であるジルコニアに固溶することにより、電解質のイオン伝導度に大きな影響を及ぼすことがあり、これが、セル内部抵抗を高め、発電電解性能の低下を起こす場合があった。

概要

電流−電圧特性に優れた電気化学セル用バリア層を提供すること。本発明の電気化学セルは、酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含む電解質層と、上記電解質層を挟持する燃料極と空気極と、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置され、Ybを含むセリアを主成分として含むバリア層を含む。なし

目的

本発明の課題は、セルの内部抵抗を抑制し、発電や電解性能の低下が抑制され、電流−電圧特性に優れた電気化学セルを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含む電解質層;該電解質層を挟持する燃料極空気極;および該電解質層と該燃料極ならびに該空気極の少なくとも一方との間に配置され、Ybを含むセリアを主成分として含むバリア層を含む、電気化学セル

請求項2

前記バリア層が、前記電解質層と空気極との間に配置されている請求項1に記載の電気化学セル。

請求項3

前記バリア層において、Yb/Ceのモル比が0.01〜0.40である請求項1または2に記載の電気化学セル。

技術分野

0001

本発明は、電気化学セルに関する。

背景技術

0002

近年、電気化学セルがクリーンエネルギー源として注目されている。電気化学セルのうち、電解質に固体セラミックを使用している固体酸化物形燃料電池固体酸化物電解セルは、作動温度が高いため排熱を利用でき、さらに高効率で電力水素燃料を得ることができる等の長所を有しており、幅広い分野での活用が期待されている。電気化学セルは、基本構造として、燃料極空気極との間に電解質層が配置された構造を有する。

0003

ところで、従来の電気化学セルでは、空気極の焼成時に、電解質層としてジルコニア系電解質材料を使用した場合に、酸素イオン伝導性を有する電解質層と空気極材料とが反応することによる性能の低下を防ぐため、空気極と電解質層との間に、ガドリニアサマリア等のドーパントをドープしたセリアを含有したバリア層を設けることが知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、ドーパントをドープしたセリアを用いたバリア層を用いた場合、これらのドーパントが電解質であるジルコニアに固溶することにより、電解質のイオン伝導度に大きな影響を及ぼすことがあり、これが、セル内部抵抗を高め、発電電解性能の低下を起こす場合があった。

先行技術

0004

特開2007−324087

発明が解決しようとする課題

0005

従って、本発明の課題は、セルの内部抵抗を抑制し、発電や電解性能の低下が抑制され、電流−電圧特性に優れた電気化学セルを提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、電解質層ならびにバリア層を特定の組成とすることで、電流−電圧特性に優れた電気化学セルを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0007

すなわち本発明の電気化学セルは、酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含む電解質層と、上記電解質層を挟持する燃料極と空気極と、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置され、Ybを含むセリアを主成分として含むバリア層を含む。

0008

上記バリア層は、上記電解質層と空気極との間に配置されていることが好ましい。

0009

上記バリア層において、Yb/Ceのモル比が0.01〜0.40であることが好ましい。

発明の効果

0010

本発明によれば、セルの内部抵抗を抑制し、発電や電解性能の低下が抑制され、電流−電圧特性に優れた電気化学セルを提供できる。

0011

1.電気化学セル
本発明の電気化学セルは、酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含む電解質層と、上記電解質層を挟持する燃料極と空気極と、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置されYbを含むセリアを主成分として含むバリア層とを備えた電気化学セルである。本発明の電気化学セルとしては、例えば固体酸化物形燃料電池や固体電解質形電解セルが挙げられ、固体酸化物形燃料電池が好ましい形態である。上記電気化学セルは、燃料極を支持体とする燃料極支持型セル、電解質層を支持体とする固体電解質支持型セル、空気極を支持体とする空気極支持型セルであってもよい。また、上記電気化学セル用単セルは、金属隔壁から構成され複数の貫通孔を備えた支持基板上に、燃料極と上記電解質層と空気極とが、この順に配置されたメタルサポートセルであってもよい。

0012

本発明の電気化学セルは、固体酸化物形燃料電池として用いた場合には、好ましくは、燃料極における過電圧が低く、固体酸化物形燃料電池の出力を高めることができる。また、本発明の電気化学セルは、固体電解質形電解セルとして用いた場合には、好ましくは、低消費電力で高効率の電気分解反応を進めることができる。

0013

1−1電解質層
本発明の電気化学セルを構成する電解質層を構成する電解質としては、酸化物イオン伝導性材料を主成分として含み、Yb含有ジルコニアを含んでいれば特に限定されず公知のものが使用できる。酸化物イオン伝導性材料を主成分として含むとは、電解質100質量%中、酸化物イオン伝導性材料を例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上含んでいることとすることができる。

0014

Yb含有ジルコニアとしてはYbがジルコニアに固溶することにより、結晶構造として立方晶および/または正方晶の割合が高いジルコニア、所謂、安定化ジルコニア(部分安定化ジルコニアおよび完全安定化ジルコニアを含む、Yb安定化ジルコニアともいう)が好ましい。

0015

本発明の電気化学セルを構成する電解質層を構成する酸化物イオン伝導性材料としては、Yb含有ジルコニア(好ましくはYb安定化ジルコニア)以外に、例えば、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属元素、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Erなどの希土類元素、Inなどのその他の金属元素などが1種または2種以上を含有するジルコニア、好ましくはこれらの元素の1種または2種以上を安定化剤として固溶している安定化ジルコニア;さらには、Yb含有ジルコニア(好ましくはYb安定化ジルコニア)や上記安定化ジルコニアに、Al2O3、TiO2、Ta2O3、Nb2O5などが分散強化剤として添加されたジルコニア;イットリウムサマリウムガドリニウムイッテルビウム等を含有するセリア、好ましくはこれらの元素の1種または2種以上が固溶しているドープドセリアランタンガレート、およびランタンガレートのランタンまたはガリウムの一部がストロンチウムカルシウムバリウムマグネシウムアルミニウムインジウムコバルト、鉄、ニッケル、銅等で置換されたランタンガレート型ペロブスカイト構造酸化物;などを例示することができる。

0016

安定化ジルコニアは、より高度な熱的特性機械的特性化学的特性および酸化物イオン伝導特性を有するため好ましい。ジルコニアの安定化元素としては、イッテルビウムに加えて、スカンジウム、イットリウムおよびセリウムから選択される少なくとも一種の元素で安定化されたものがより好ましい。また、結晶構造として正方晶または立方晶を含む(部分)安定化ジルコニアが好ましい。

0017

本発明の電気化学セルに含まれる電解質層としては、ジルコニアを構成するジルコニム原子100モル%に対し、6〜36モル%のイッテルビウムで安定化されたジルコニアを含むことが好ましく、他に、6〜27.5モル%のスカンジウムで安定化されたジルコニア、17〜25モル%のスカンジウムと0.5〜2.5モル%のセリウムで安定化されたジルコニア、6〜28モル%のイットリウムで安定化されたジルコニアを含むことがより好ましい。上記電解質層は、安定化ジルコニアを60質量%以上含んでいることが好ましく、70質量%以上含んでいることがより好ましく、80質量%以上含んでいることが一層好ましく、90質量%以上含んでいることが特に好ましい。また、Yb安定化ジルコニアを50質量%以上含んでいることが好ましく、60質量%以上含んでいることがより好ましく、70質量%以上含んでいることが一層好ましく、80質量%以上含んでいることが特に好ましい。

0018

上記電解質層の膜厚は、例えば1〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜300μmである。電極支持型セルまたは金属支持型セルに使用する場合には、1〜50μmが好ましく、1μm以上30μm未満がより好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。膜厚を薄くすることにより、酸化物イオン伝導性を向上できる。

0019

1−2空気極
上記空気極は、電気化学セルの反応時に空気極触媒活性を有する金属酸化物を含む層であれば、特に制限されない。空気極触媒活性を有する金属酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn、Ni等のうちの少なくとも1種を含有する各種の複合酸化物(例えば、ストロンチウムを固溶したランタンマンガナイト、ランタンフェライト、ランタンコバルトフェライトランタンコバルタイト、ランタンストロンチウムコバタイト等)が挙げられる。空気極は、さらに、上記安定化ジルコニア、ドープドセリア、安定化ビスマスやランタンガレートなどの酸化物イオン伝導性金属酸化物酸化物イオン電子との混合伝導性金属酸化物のうち1種類以上が混合された層であることが好ましい。膜厚は5〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。

0020

1−3燃料極
上記燃料極は、ニッケル、コバルト、銅、鉄、ルテニウム等の、電気化学セルで燃料極触媒活性を有する金属やその前駆体である金属酸化物のうち1種類以上を含む層であれば、特に制限はされない。燃料極触媒活性を有する金属の前駆体である金属酸化物は、電気化学セルの運転雰囲気下では還元されて、該層は燃料極触媒活性を有する金属が含まれる層となる。燃料極は、さらに、上記ジルコニア(好ましくは安定化ジルコニア)、セリア(好ましくはドープドセリア)、安定化ビスマスやランタンガレートなどの酸化物イオン伝導性金属酸化物や酸化物イオンと電子との混合伝導性金属酸化物のうち1種類以上が混合された層であることが好ましい。また、燃料極は、燃料ガス透過性が高いという観点から、気孔を有する層であることが好ましい。

0021

燃料極としては、NiまたはNiOとジルコニアとが混合された層;NiまたはNiOとセリアとが混合された層がより好ましい。NiまたはNiOと、酸化物(ジルコニアまたはセリア)との体積比は、NiまたはNiOについてはNiO換算でNiO/酸化物=40/60〜70/30が好ましい。これらの体積比は、NiOと各酸化物バルクの比重から重量比換算できる。燃料極は、直接に接している電解質層と共通する化合物を含んでいることが好ましい。
燃料極は、燃料ガス透過性が高いという観点から、気孔を有する層であることが好ましい。膜厚は3〜30μmが好ましく、4〜25μmがより好ましい。

0022

1−4バリア層
上記バリア層は、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置され、好ましくは、上記電解質層と上記空気極との間に配置される。

0023

上記バリア層は、Ybを含むセリアを主成分として含む。Ybを含むセリアを主成分として含むとは、バリア層100質量%中、Ybを含むセリアを50質量%以上含むことを意味し、好ましくは60質量%以上含み、70質量%以上含んでいることがさらに好ましい。また、バリア層において、Yb/Ceのモル比が0.01〜0.40であることが好ましく、0.05〜0.30であることがより好ましい。

0024

Ybを含むセリアにおいてYbはセリアにドープされていることが好ましい。
バリア層に含まれるセリアは、Ybの他に、公知の金属元素が1種類または2種類以上含有されていてもよく、ドープされていてもよい。バリア層に含まれるセリアに含有またはドープされていてもよい金属元素としては、例えば、La,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,LuおよびSc等が挙げられる。これらの中でも、La,Pr,SmおよびGdからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。

0025

バリア層の厚みは特に限定されないが、例えば0.2〜20μmであることが好ましい。

0026

本発明の特に好ましい電気化学セルの形態としては、バリア層が電解質層と空気極との間に配置され、Ybが含有されるかまたは固溶しているジルコニアからなる酸化物イオン伝導性材料を主成分として含む電解質層と、Ybが含有されるかまたは固溶しているセリアからなるバリア層とを含む固体酸化物形燃料電池が挙げられる。

0027

1−5支持体
本発明の好ましくは支持体を有する電気化学セルとしては、燃料極を支持体とする形態(燃料極支持型セル)、電解質層を支持体とする形態(固体電解質支持型セル)、空気極を支持体とする形態(空気極支持型セル)、あるいは金属隔壁から構成され複数の貫通孔を備えた支持基板を支持体とする形態(メタルサポートセル)等があげられる。
中でも好ましい支持体の形態としては、燃料極支持基板が挙げられ、一般的に、安定化ジルコニアと導電性成分とを含むものが好ましく使用できる。燃料極支持基板における安定化ジルコニアと導電性成分の割合は適宜調整すればよいが、例えば、安定化ジルコニアと導電性成分の合計に対する導電性成分の質量割合で40質量%以上80質量%以下程度とすることができる。

0028

燃料極支持基板を構成する安定化ジルコニアとしては、イットリウム、スカンジウム、イッテルビウム、カルシウム、マグネシウムおよびランタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(安定化元素ともいう)が固溶することにより結晶構造が安定化しているジルコニア(安定化ジルコニア)が好ましい。これらの元素はジルコニア(安定化ジルコニア)に固溶していることが好ましい。
当該安定化ジルコニアにおけるイットリウム等の元素の含有割合、好ましくは固溶量としては、原子数換算で、安定化ジルコニアに含まれるジルコニウム100モル%に対して4.0モル%以上35.5モル%以下であることが好ましい。当該割合が4.0モル%以上であれば、結晶相の安定化効果などの効果がより確実に得られる。一方、当該割合が過剰になると強度が低下するおそれがあり得るので、当該割合としては35.5モル%以下が好ましい。当該割合としては、5.0モル%以上27.0モル%以下がより好ましい。

0029

電解質層、燃料極、燃料極支持基板に使用される安定化ジルコニアは、イットリウム、スカンジウム、イッテルビウム等の特に好ましい安定化元素に加えてさらに他の金属元素を含んでいてもよい。さらなる金属元素の添加により、酸素イオン伝導性、強度、耐久性などの特性がより一層向上する可能性がある。かかる金属元素としては、例えば、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属元素;Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Erなどの希土類元素;Al、Inなどの第13族元素;Si、Ge、Snなどの第14族元素;Bi、Sbなどの第15族元素;Ti、Hfなどの第4族元素;Nb、Taなどの第5族元素などを挙げることができる。これらの中でも、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、アルミニウム(Al)およびチタン(Ti)からなる群より選択される1種以上の金属元素が特に好ましい。これらその他の金属元素は、いずれか1種のみであってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。また、これらの他の金属元素の割合としてはこれらの合計含有量が、原子数換算で、安定化ジルコニアに含まれるジルコニウム100モル%に対して0.05モル%以上5.0モル%以下が好ましい。

0030

燃料極支持基板は、燃料極へ水素などの燃料ガスを不均一にならないよう供給し、反応により生じる電子をインターコネクタへ受け渡し、電解質層やカソード層を支持する役割を有する。よって、燃料極支持基板は、安定化ジルコニアに加え、発電時の還元的条件下で還元されて導電性を示す導電性成分を含むことが好ましい。かかる導電性成分としては、酸化ニッケル酸化鉄酸化銅などを用いることができ、酸化ニッケルが最も一般的である。

0031

上記燃料極支持基板の厚さは、特に限定されないが、例えば100μm以上が好ましく、120μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましい。また、燃料極支持基板の厚さは、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましく、500μm以下が特に好ましい。燃料極支持基板の厚さが上記範囲内であれば、燃料極支持基板の機械的強度ガス通過性とをバランス良く両立しやすくなる。

0032

2.電気化学セルの製造方法
本発明の電気化学セルにおいて、電解質層と、上記電解質層を挟持する燃料極と空気極と、上記電解質層と上記燃料極ならびに上記空気極の少なくとも一方との間に配置されたバリア層を配置して製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法が使用できる。

0033

好ましくは、本発明の電気化学セルの製造方法(T)は、
(1)電極または電極前駆体膜上へ、電解質層前駆体膜を形成する工程と、
(2)上記電極または電極前駆体膜と、上記電解質層前駆体膜とを共焼成する焼成工程と、
(3)上記工程で形成した電解質層上へ、バリア層前駆体膜を形成する工程と、
(4)上記工程で形成したバリア層前駆体膜上へ、他の電極前駆体膜を形成する工程と、
(5)上記電極と、上記電解質層と、上記バリア層前駆体膜と、上記他の電極前駆体膜とを共焼成する焼成工程と
を含むか、または、
(11)電極または電極前駆体膜上へ、電解質層前駆体膜を形成する工程と、
(12)上記工程で形成した電解質層前駆体膜上へ、バリア層前駆体膜を形成する工程と、
(13)上記工程で形成したバリア層前駆体膜上へ、他の電極前駆体膜を形成する工程と、
(14)上記電極または電極前駆体膜と、上記電解質層前駆体膜と、上記バリア層前駆体膜と、上記他の電極前駆体膜とを共焼成する焼成工程とを含んでいてもよい。

0034

上記電極前駆体膜、上記電解質層前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(12)と工程(13)の間に行って、上記電極前駆体膜、上記電解質層前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜を工程(13)の前に、電極、電解質層およびバリア層としておいてもよい。
上記電極前駆体膜、上記電解質層前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(12)と工程(13)の間に行なうことが好ましい。

0035

電極と他の電極は、それぞれ、燃料極であっても空気極であってもよいが、電極は燃料極であることが好ましく、他の電極は空気極であることが好ましい。
上記の電気化学セルの製造方法(T)は、燃料極または空気極を支持体とする電極支持型セル(燃料極支持型セル、空気極支持型セル)の製法として、またメタルサポートセルの製法として、好ましく採用し得る。

0036

また好ましくは、本発明の電気化学セルの製造方法(A)は、
(21)電解質層を製造する工程と、
(22)上記電解質層上に電極前駆体膜を形成する工程と、
(23)上記電解質層の上記電極前駆体膜が形成された面とは反対側の表面上にバリア層前駆体膜を形成する工程と、
(24)上記バリア層前駆体膜の表面上に他の電極前駆体膜を形成する工程と、
(25)上記電解質層と、上記電極前駆体膜と、上記バリア層前駆体膜と、上記他の電極前駆体膜とを焼成する工程とを含んでいてもよい。

0037

上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(23)と工程(24)の間に行って、上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜を工程(24)の前に、電極、およびバリア層としておいてもよい。
上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(23)と工程(24)の間に行なうことが好ましい。
電極と他の電極は燃料極であっても空気極であってもよいが、電極は燃料極であることが好ましく、他の電極は空気極であることが好ましい。

0038

また好ましくは、本発明の電気化学セルの製造方法(B)は、
(31)電解質層前駆体膜を製造する工程と、
(32)上記電解質層前駆体膜上に電極前駆体膜を形成する工程と、
(33)上記電解質層前駆体膜の上記電極前駆体膜が形成された面とは反対側の表面上にバリア層前駆体膜を形成する工程と、
(34)上記バリア層前駆体膜上に他の電極前駆体膜を形成する工程と、
(35)上記電解質層前駆体膜と、上記電極前駆体膜と、上記バリア層前駆体膜と、上記他の電極前駆体膜とを焼成する工程とを含んでいてもよい。

0039

上記電解質層前駆体膜、上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(33)と工程(34)の間に行って、上記電解質層前駆体膜、上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜を工程(34)の前に、電解質層、電極、およびバリア層としておいてもよい。
上記電解質層前駆体膜、上記電極前駆体膜、および上記バリア層前駆体膜の焼成は、工程(33)と工程(34)の間に行なうことが好ましい。
電極と他の電極は、それぞれ、燃料極であっても空気極であってもよいが、電極は燃料極であることが好ましく、他の電極は空気極であることが好ましい。

0040

上記の電気化学セルの製造方法(A)、(B)は、固体電解質支持型セルの製法として、特に好ましく採用し得る。

0041

上記の各前駆体膜(グリーン層)の形成方法としては、各原料粉末を、公知のバインダーおよび/または溶剤分散媒)、必要により更に分散剤可塑剤等と混合して塗布用インクとし、これら塗布用インクを、ドクターブレード法カレンダーロール法、押出し法等によってポリエステルシート等の平滑な基板上に塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによって、シートグリーンシート)を形成してもよい。また、上記塗布用インクをブレードコート、スリットダイコート等のコーティング法スクリーン印刷等により塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによって塗膜を形成してもよい。
また、上記各層は溶射法やパウダージェットデポジション法等の粉体成膜法を用いて層形成してもよく、この場合には、前駆体層形成工程、脱脂工程および焼成工程を省略できる。

0042

本発明の電気化学セルが有していてもよい支持体の形成は従来公知の方法を採用できるが、たとえば、上記燃料極支持基板の製造では、上記安定化ジルコニアの粉末と上記導電性成分の粉末とを含むものが好ましく使用できる。スラリー基材上に塗工した後に乾燥することにより作製する。当該スラリーは、少なくとも、安定化ジルコニア粉末、導電性成分粉末、溶媒およびバインダーを含み、その他に、例えば可塑剤、分散剤、空孔形成材消泡剤などを添加してもよい。

0043

スラリー調製に用いる溶媒としては、例えば、メタノールエタノール2−プロパノール、1−ブタノール1−ヘキサノール、α−テルピネオールなどのアルコール類アセトン2−ブタノンなどのケトン類ペンタンヘキサンヘプタンなどの脂肪族炭化水素類ベンゼントルエンキシレンエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類酢酸メチル酢酸エチル酢酸ブチルなどの酢酸エステル類などを例示することができ、これらから適宜選択して使用する。これらの溶媒は単独で使用し得る他、2種以上を混合して使用することができる。

0044

溶媒の使用量は、グリーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して調節するのがよく、好ましくはスラリー粘度が1Pa・s以上80Pa・s以下、より好ましくは1Pa・s以上50Pa・s以下の範囲となるように調整するのがよい。

0045

スラリーを製造する際に用いられるバインダーの種類は、焼成により分解したり燃焼することで除去されるものであれば格別の制限はなく、従来から知られた有機質のバインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体スチレン系共重合体、(メタアクリレート系共重合体酢酸ビニル系共重合体マレイン酸系共重合体ポリビニルブチラール樹脂ビニルアセタール系樹脂ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂ワックス類エチルセルロースなどのセルロース類などが例示される。

0046

これらの中でも特に好ましいのは、数平均分子量が5,000以上200,000以下、より好ましくは10,000以上100,000以下の(メタ)アクリレート系共重合体である。これらの有機質バインダーは、単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、n−ブチルメタクリレートイソブチルメタクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートを60質量%以上含むモノマー重合体である。

0047

バインダーの使用量は適宜調整すればよいが、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下程度が好ましい。

0048

可塑剤を、グリーンシートに柔軟性を付与するために添加してもよい。可塑剤としては、例えば、低分子可塑剤コオリゴマー可塑剤および高分子可塑剤がある。低分子可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルフタル酸ジオクチルなどフタル酸エステル類を挙げることができる。コオリゴマー可塑剤および高分子可塑剤としては、ポリエステル類が挙げられる。可塑剤の配合量は、使用するバインダーのガラス転移温度にもよるが、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下程度とすることが好ましい。

0049

スラリーの調製に当たっては、固体電解質材料解膠や分散を促進し、スラリーの流動性を増加せしめ、スラリー中での固体電解質材料の沈降を抑制するため、分散剤を添加してもよい。分散剤の配合量は、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下程度とすることが好ましい。

0050

空孔形成材は、電極における気孔の形成を促進するために添加されるものであり、焼成により分解したり燃焼することで除去されたりするものであれば特に制限はない。従来から知られた空孔形成材としては、例えばカーボンブラックなどの炭素材料を挙げることができる。空孔形成材の配合量は、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して5質量部以上20質量部以下程度とすることが好ましい。

0051

上記各成分は、常法により混合すればよい。例えば、ディスパーなどを用いて混合したり、或いはボールミルなどを用って原料粉末凝集粒子解砕しつつ混合してもよい。

0052

基材上へのスラリーの塗工方法は特に制限されず、ドクターブレード法、カレンダーロール法、印刷法などの常法を用いることができる。具体的には、例えば、スラリーを塗工ダム輸送し、ドクターブレードスクリーン印刷機などにより均一な厚さとなるようPETフィルムなどの基材上にキャスティングし、乾燥することにより、燃料極支持基板グリーンシートとする。

0053

グリーンシートの乾燥条件は、使用した溶媒の種類などに応じて適宜調整すればよいが、通常は40℃以上150℃以下程度とする。乾燥は一定温度で行ってもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。

0054

燃料極支持基板グリーンシートは、所望の形状に切断してもよい。燃料極支持基板グリーンシートの形状は特に制限されず、例えば、目的のハーフセルまたは単セルの形状に合わせればよい。例えば、円形楕円形、R(アール)を持った角形などとすることができ、また、これらのシート内に円形、楕円形、Rを持った角形などの穴を有するものであってもよい。

0055

上記燃料極支持基板グリーンシートは、焼成することにより単独の燃料極支持基板としてもよい。但し本発明では、この段階で燃料極支持基板グリーンシートを焼成せず、その上に燃料極グリーン層などを形成するなどし、所望の形状に切断した上でまとめて共焼成してもよい。また、以降の工程の説明において、グリーン層の上に別のグリーン層を形成することのみが記載されていても、グリーン層を適宜焼成した上で別のグリーン層を形成してもよいものとする。以降の焼成条件は、いずれの層の焼成や共焼成にも適用することができる。

0056

焼成条件は適宜調整すればよいが、例えば、十分量の酸素の存在下、1200℃以上1500℃以下程度で焼成する。1200℃以上で焼結すれば十分な焼成効果が得られ、十分な強度が得られる。一方、焼成温度が高過ぎると各層の結晶粒径が過大となって靭性がかえって低下するおそれがあるため、上限を1500℃とする。より好ましくは1250℃以上1450℃以下である。
焼成温度に至るまでの加熱速度は適宜調整すればよいが、通常、0.05℃/分以上4℃/分以下程度とすることができる。

0057

以下、実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、以下に述べる実施例において記載する「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表すものである。

0058

評価方法
(1)粉体の粒子径の評価
ピロリン酸ナトリウム和光純薬工業(株)製、商品名「ピロリン酸ナトリウム+水和物」]を0.2重量%になるように純水に溶解し、分散媒とした。この分散媒に粉体を分散させ、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置[(株)堀場製作所製、型番LA−920]を用いて、粉体の粒子径を測定した。

0059

(2)凝集物の評価
ペースト中の凝集物の最大粒子径は、JIS K5600−2−5.分散度に従い、グラインドメータを用いて測定した。具体的には、グラインドメータ(BYK社製)の溝にペーストを垂らし、スクレーバーを用いてしごき溝の中に厚さが連続して変化したペースト層を作る。この時、ペースト中の凝集物による顕著な斑点が現れ始めた箇所の層の厚さを読み取り、凝集物の最大粒子径とする。なお、この測定を3回行い、3回の平均値を求めてペースト中の凝集物の最大粒子径とした。

0060

<実施例1>
(支持基板グリーンシートの作製)
導電成分としての酸化ニッケル[正同化学工業(株)製]60質量部、骨格成分としての3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末[東ソー(株)製、商品名「TZ3Y」]40質量部、空孔形成剤としてのカーボンブラック[SECカーボン(株)製、SGP−3]10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部および分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール質量比=3/2)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、燃料極支持基板グリーンシートを作製した。なお、グリーンシートの厚みについては、同じ組成のスラリーを用いて、予備実験を行い、グリーンシートと焼成後の厚みを考慮して、焼成後の厚みが400μmになるようにコントロールして作製を行った。

0061

(8YbSZ原料粉末の作製)
塩化イッテルビウム(III)水和物[和光純薬工業(株)製]および、塩化ジルコニウム(IV)[和光純薬工業(株)製]、を焼成後に8モル%イッテルビア安定化ジルコニア[8YbSZ:(Yb2O3)0.08(ZrO2)0.92]になるように計量した。純水を用意し、加温機能付きのマグネチックスターラーを用いて水温が20℃になるようにコントロールし、上記塩化物を溶解させた。なお、30分経っても溶解しない場合には、さらに純水を加え、目視で、塩化物が溶解するまで溶解させた。目視で塩化物が溶解したことを確認した後、それまで溶解に必要とした超純水の1割に当たる量を加え、さらに、水溶液を25℃になるように加温・保温しながら、1時間撹拌し、塩化物を完全に溶解させた。得られた水溶液をアンモニア水滴下して得られた沈殿洗浄、乾燥後、800℃で1時間仮焼した。仮焼した粉末にエタノールを加え、ボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、さらに乳鉢にて、解砕を行い、解砕した粉を1200℃で焼成して8YbSZ原料粉末を得た。得られた原料粉末にエタノールを加え、ボールミルで0.5μm以下になるように回転数と時間を調整し粉砕し、乾燥させて8YbSZ原料粉末を得た。

0062

燃料極用粉体のボールミル処理
ポリ容器に、導電成分としての酸化ニッケル[日興リカ(株)製、商品名「高純度酸化ニッケルF」]60質量部、イオン伝導成分としての調整した8YbSZ原料粉末40質量部、さらに分散媒としてのエタノールを加え、これをボールミルで粉砕混合してから乾燥させて、ボールミル処理したNiO/8YbSZ混合粉末を得た。

0063

(燃料極用ペーストの作製)
上記によりボールミル処理したNiO/8YbSZ混合粉末60質量部、溶剤としてのα−テルピネオール[和光純薬工業(株)製]36質量部、バインダーとしてのエチルセルロース[和光純薬工業(株)製]4質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート[和光純薬工業(株)製]6質量部および分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質アルミナ)を用いて解砕し、燃料極用ペーストを作製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測されるペースト中の凝集物の最大粒子径が10μm以下になるまで解砕/混練した。

0064

(電解質層用ペーストの作製)
8YbSZ原料粉末60質量部、バインダーとしてエチルセルロース[和光純薬工業(株)製]を5質量部、溶剤としてα−テルピネオール[和光純薬工業(株)製]を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート[和光純薬工業(株)製]を6質量部および分散剤としてソルビタンエステル系界面活性剤[三洋化成工業(株)製、商品名「イオネットS−80」]5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、電解質層用ペーストを作製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測されるペースト中の凝集物の最大粒子径が10μm以下になるまで解砕/混練した。

0065

(YbGdDC原料粉末の作製)
塩化イッテルビウム(III)水和物[和光純薬工業(株)製]および、塩化ガドリニウム(III)水和物[和光純薬工業(株)製]、塩化セリウム(III)水和物[和光純薬工業(株)製]、を焼成後に10モル%イッテルビアおよび10モル%ガドリニアを固溶させたセリア[YbGdDC:(YbO1.5)0.10(GdO1.5)0.10(CeO2)0.80、別表記:Yb0.10Gd0.10Ce0.80Ox]になるように計量した。純水を用意し、加温機能付きのマグネチックスターラーを用いて水温が20℃になるようにコントロールし、上記塩化物を溶解させた。なお、30分経っても溶解しない場合には、さらに純水を加え、目視で、塩化物が溶解するまで溶解させた。目視で塩化物が溶解したことを確認した後、それまで溶解に必要とした超純水の1割に当たる量を加え、さらに、水溶液を25℃になるように加温・保温しながら、1時間撹拌し、塩化物を完全に溶解させた。得られた水溶液をアンモニア水に滴下して得られた沈殿を洗浄、乾燥後、800℃で1時間仮焼した。仮焼した粉末にエタノールを加え、ボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、さらに乳鉢にて、解砕を行い、解砕した粉を1200℃で焼成して焼成粉末を得た。得られた焼成粉末にエタノールを加え、ボールミルで0.5μm以下になるように回転数と時間を調整し粉砕し、乾燥させてYbGdDC原料粉末を得た。

0066

(バリア層用のペーストの作製)
セラミック質として、YbGdDC原料粉末60質量部、バインダーとしてのエチルセルロース[和光純薬工業(株)製]5質量部、溶剤としてのα−テルピネオール[和光純薬工業(株)製]40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート[和光純薬工業(株)製]6質量部および分散剤としてのソルビタン酸エステル系界面活性剤[三洋化成工業(株)製、商品名「イオネットS−80」]5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質;アルミナ)を用いて解砕した。これにより、バリア層用ペーストを得た。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測されるペースト中の凝集物の最大粒子径が10μm以下になるまで解砕/混練した。

0067

燃料極用グリーン層の形成)
上記で得た燃料極用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得た支持基板グリーンシートに、焼成後の厚さが20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、燃料極用グリーン層を形成した。

0068

(電解質層用グリーン層の形成)
上記で得た燃料極用グリーン層上に、上記で得た電解質層用ペーストをスクリーン印刷により、焼成後の厚さが7μmとなるように印刷した。

0069

(バリア層用グリーン層の形成)
上記で得た、電解質層のグリーン層上に上記のバリア層用ペーストを、スクリーン印刷により厚さ3μm以下となるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用グリーン層を形成した。

0070

(焼成)
バリア層用ペーストの乾燥後、上記で得たバリア層用グリーン層、電解質層用グリーン層、燃料極用グリーン層が形成された支持基板用のグリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1300℃で2時間焼成してバリア層を有するハーフセルを得た。

0071

(LSCの粉体材料の調製)
LSC空気極の原料となる粉体材料として、硝酸ランタン(III)水和物、硝酸ストロンチウム硝酸コバルト(II)水和物[いずれも和光純薬工業(株)製]を焼成後にLa0.6Sr0.4CoOxとなるように精製水に溶解させた。溶解後、この溶液を0.1モル/Lになるように精製水を加えて調整した(溶液:A)。調整した溶液Aに対する量論比が1.2倍のシュウ酸アンモニウム水和物(関東化学製)を精製水に溶かした溶液(溶液:B)を用意し、スターラーにて撹拌させた状態の溶液:Bに溶液:Aを滴下させた。
滴下後の混合溶液ロータリーエバポレータにてある程度の水分を留去した後、蒸発皿に移して100℃で乾燥を行った。得られた固形物について、乳鉢で粉砕した後、400℃で4時間熱分解、800℃で6時間仮焼、1100℃で7時間焼成を行なうことで粉末を得た。
得られた粉末にエタノールを加え、さらにこれをボールミルで粉砕混合してから乾燥させて、LSC(6−4−10)粉末を得た。なお、得られた粉末は、X線回折によって、ペロブスカイトからなる単一相であることが確認された。さらにその後、回転数と回転時間を調製しながら粉砕することによって、平均粒子径(D50)が0.52μmのLSC粉末:Aと、2.3μmのLSC粉末:Bを得た。

0072

空気極用スラリーの調製)
上記の方法で調製されたLSC粉末:A100質量部に対して、バインダーとしてのエチルセルロースが3質量%、溶剤としてのα−テルピネオールが30質量%の割合となるように加え、乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、空気極用スラリー:Aを得た。
同様に、LSC粉末:Aを、LSC粉末:Bに変えた以外は同様の方法で、空気極用スラリー:Bを得た。

0073

(LSC空気極の形成)
上記バリア層を有する燃料極支持型ハーフセルのバリア層面に、スクリーン印刷により、上記空気極用スラリー:Aを1cm×1cmで、焼成後の厚みが10μm程度になるように、正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させた。乾燥後に、上記空気極用スラリー:Bを1cm×1cmで、焼成後の厚みが10μm程度になるように正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、2層からなる空気極用グリーン層を形成した。この空気極用グリーン層を、1000℃で2時間焼成し、実施例1に係る電気化学セルを得た。

0074

<実施例2および3>
実施例1において、バリア層材料として、(YbO1.5)0.10(GdO1.5)0.10(CeO2)0.80の代わりに表1に示す材料とした以外は、実施例1と同様にして実施例2および実施例3に係る電気化学セルを作製した。

0075

<比較例1および2>
実施例1において、電解質材料として(Yb2O3)0.08(ZrO2)0.92の代わりに、表1に示す材料とした以外は、実施例1と同様にして比較例1および比較例2に係る電気化学セルを作製した。
なお、ドーパントとしてスカンジウム、イットリウムを用いる場合には、塩化スカンジウム(III)六水和物[和光純薬工業(株)製]、塩化イットリウム(III)六水和物[和光純薬工業(株)製]をそれぞれ使用して作製を行った。

0076

電気化学性能評価試験電池性能評価試験)>
各実施例および比較例のSOFCについて以下の方法で電池性能を評価した。SOFCの燃料極に100mL/分の窒素を、空気極に100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、燃料極、空気極の出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。
次いで、水素を6mL/分、窒素を194mL/分の水温25℃で、バブラーにより加湿した混合ガスを燃料極へ、400mL/分の空気を空気極へ供給した。10分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した後、燃料極側のガスを、水温25℃でバブラーにより加湿した水素を194mL/分の流量で燃料極へ供給し、起電力が安定してから、10分以上経過後に電流−電圧特性による電池性能評価試験を実施した。得られた電流−電圧特性から、1.0A/cm2における電圧を求め、比較した。
各実施例および各比較例の電池性能評価試験の結果を表1に示す。

0077

実施例

0078

表1に示すように、Yb安定化ジルコニアを含む電解質層とYbを含むセリアからなるバリア層とを有する電気化学セルは、Yb安定化ジルコニアを含まない電解質層を有する電気化学セルより電流密度が高く、発電性能に優れていた。従って、発電に用いた場合には過電圧が低く抑えられることにより、出力に優れることを実証できた。一方で、過電圧が低く抑えられたことから、電気分解に用いた場合にも、過電圧が低く抑えられることが予想され、消費電力が少なく、効率的な電気分解が可能となる結果が示唆された。

0079

本発明の電気化学セルは、電流−電圧特性に優れている。したがって、本発明は、電気化学セルの高性能化および高信頼性化に寄与できるものである。

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