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技術 磁気記録媒体、磁気再生装置及び磁気再生方法

出願人 日本放送協会
発明者 奥田光伸宮本泰敬川那真弓
出願日 2016年7月26日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-146550
公開日 2018年2月1日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-018564
状態 特許登録済
技術分野 ホール/MR素子 半導体メモリ 静的磁気メモリ MRAM・スピンメモリ技術 磁気記録再生1
主要キーワード 脱着不可 パルス電流供給 印加電流量 細線形状 シーケンシャルデータ ピエゾ薄膜 並列駆動 磁性細線
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

磁区駆動に必要な電流の増大を回避しながらビット長を正確に制御できる磁気記録デバイスを提供すること。

解決手段

2値データを異なる2方向の磁化のいずれかとして記録される記録領域5aと、記録されたデータが再生される再生領域5cと、記録領域5aと再生領域5cとの間に配置され再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流が供給されることで、2値データの一方が記録されて形成された磁区Dと他方が記録されて形成された磁区Dとの間に形成された磁壁DWが記録領域5aから再生領域5cへ断続的に移動するデータシフト領域5bと、を有する磁性細線5を備え、データシフト領域5bにおける磁性細線5に対して細線の延びる方向に複数並んで配置され、電圧印加されると磁性細線5に対して応力を付加することで磁性細線5の磁性を変化させる圧電素子40を備える磁気記録媒体100、磁気再生装置200及び磁気再生方法である。

概要

背景

従来の磁気記録デバイスでは、機械的駆動部により磁気ディスクを回転させ、磁化の向きとしてデータが記録された磁区磁気データ)を磁気ヘッドの位置まで移動させることにより、データの記録、再生が行われる。そのため、転送レートは機械的駆動部による回転速度が律速となり、転送レートのさらなる高速化には限界がある。

これに対して、近年、スーパーハイビジョンテレビ(SHV)用として、大容量且つ超高速性を有する磁気記録デバイスの開発が進められている。例えば、磁気記録デバイスの転送レートを抜本的に向上させるものとして、磁壁移動型の磁気記録デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この磁壁移動型の磁気記録デバイスは、細線状磁性体からなる磁性細線の内部に形成された磁壁電流印加により高速にシフトする現象を利用したものである。

ところが、磁壁移動型の磁気記録デバイスでは、磁壁の移動距離にばらつきがあり不安定であることが分かっている。磁壁の移動距離のばらつきは、磁壁を形成する各磁区の長さ、すなわちビット長のばらつきを意味する。ビット長は記録の単位となるため、ビット長を正確に制御して揃えることが重要である。

そこで、ビット長を正確に制御して揃えるために、磁性細線に対して、構造的トラップサイト(例えば、くびれ状構造)や磁性に変化を設けた磁気的なトラップサイトを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの技術によれば、磁壁がトラップサイトを通過し難くなる結果、ビット長の制御が可能になる。

概要

磁区駆動に必要な電流の増大を回避しながらビット長を正確に制御できる磁気記録デバイスを提供すること。2値データを異なる2方向の磁化のいずれかとして記録される記録領域5aと、記録されたデータが再生される再生領域5cと、記録領域5aと再生領域5cとの間に配置され再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流が供給されることで、2値データの一方が記録されて形成された磁区Dと他方が記録されて形成された磁区Dとの間に形成された磁壁DWが記録領域5aから再生領域5cへ断続的に移動するデータシフト領域5bと、を有する磁性細線5を備え、データシフト領域5bにおける磁性細線5に対して細線の延びる方向に複数並んで配置され、電圧が印加されると磁性細線5に対して応力を付加することで磁性細線5の磁性を変化させる圧電素子40を備える磁気記録媒体100、磁気再生装置200及び磁気再生方法である。

目的

本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁区駆動に必要な電流の増大を回避しながらビット長を正確に制御できる磁気記録媒体、磁気再生装置及び磁気再生方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして記録される記録領域と、前記記録領域で記録されたデータが再生される再生領域と、前記記録領域と前記再生領域との間に配置され、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流が供給されることで、前記2値のデータの一方が記録されて形成された磁区と前記2値のデータの他方が記録されて形成された磁区との間に形成された磁壁が前記記録領域から前記再生領域へと断続的に移動するデータシフト領域と、を有する磁性細線を備える磁気記録媒体であって、前記データシフト領域における前記磁性細線に対して細線の延びる方向に複数並んで配置され、電圧印加されると前記磁性細線に対して応力を付加することで前記磁性細線の磁性を変化させる圧電素子を備える磁気記録媒体。

請求項2

前記圧電素子は、前記磁性細線の磁区の長さであるビット長ごとに配置される請求項1に記載の磁気記録媒体。

請求項3

請求項1又は2に記載の磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を備える磁気再生装置であって、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流を供給する電流供給手段と、前記複数の圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段と、を備える磁気再生装置。

請求項4

前記電圧印加手段は、前記電流供給手段により供給されるパルス電流のパルス周期終期付近で電圧を印加する請求項3に記載の磁気再生装置。

請求項5

請求項3又は4に記載の磁気再生装置により前記磁気記録媒体に記録されたデータを再生する磁気再生方法であって、前記電流供給手段により、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流を供給する電流供給工程と、前記電圧印加手段により、前記パルス電流のパルス周期の終期付近で前記圧電素子に電圧を印加する電圧印加工程と、前記再生手段により、前記パルス電流に同期して前記磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生工程と、を有する磁気再生方法。

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体磁気再生装置及び磁気再生方法に関する。より詳しくは、磁性細線を用いた磁壁移動型の磁気記録媒体、磁気再生装置及び磁気再生方法に関する。

背景技術

0002

従来の磁気記録デバイスでは、機械的駆動部により磁気ディスクを回転させ、磁化の向きとしてデータが記録された磁区磁気データ)を磁気ヘッドの位置まで移動させることにより、データの記録、再生が行われる。そのため、転送レートは機械的駆動部による回転速度が律速となり、転送レートのさらなる高速化には限界がある。

0003

これに対して、近年、スーパーハイビジョンテレビ(SHV)用として、大容量且つ超高速性を有する磁気記録デバイスの開発が進められている。例えば、磁気記録デバイスの転送レートを抜本的に向上させるものとして、磁壁移動型の磁気記録デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この磁壁移動型の磁気記録デバイスは、細線状磁性体からなる磁性細線の内部に形成された磁壁電流印加により高速にシフトする現象を利用したものである。

0004

ところが、磁壁移動型の磁気記録デバイスでは、磁壁の移動距離にばらつきがあり不安定であることが分かっている。磁壁の移動距離のばらつきは、磁壁を形成する各磁区の長さ、すなわちビット長のばらつきを意味する。ビット長は記録の単位となるため、ビット長を正確に制御して揃えることが重要である。

0005

そこで、ビット長を正確に制御して揃えるために、磁性細線に対して、構造的トラップサイト(例えば、くびれ状構造)や磁性に変化を設けた磁気的なトラップサイトを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの技術によれば、磁壁がトラップサイトを通過し難くなる結果、ビット長の制御が可能になる。

先行技術

0006

特開2011−123943号公報
特開2012−84206号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、構造的なトラップサイトの作製は、電子線リソグラフィーの他、ナノインデンテーション原子間力顕微鏡)及びピエゾコントローラを用いたプローブによる精密切削加工により行われるが、多数のナノメートルサイズの構造的トラップサイトを磁性細線に規則的に作製するのは実際には困難であった。

0008

また、構造的トラップサイトは勿論のこと、従来の磁気的トラップサイトはイオン注入により磁壁の移動速度が遅い高飽和磁化領域と磁壁の移動速度が速い低飽和磁化領域を予め磁性細線中に形成するものである。そのため、従来の技術では、磁区トラップサイトの存在により、トラップサイトが無い場合と比べると磁壁を移動(磁区を駆動)させるためにはより大きな電流を印加する必要があった。

0009

本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁区駆動に必要な電流の増大を回避しながらビット長を正確に制御できる磁気記録媒体、磁気再生装置及び磁気再生方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明に係る磁気記録媒体は、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして記録される記録領域(例えば、後述の記録領域5a)と、前記記録領域で記録されたデータが再生される再生領域(例えば、後述の再生領域5c)と、前記記録領域と前記再生領域との間に配置され、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流が供給されることで、前記2値のデータの一方が記録されて形成された磁区と前記2値のデータの他方が記録されて形成された磁区との間に形成された磁壁(例えば、後述の磁壁DW)が前記記録領域から前記再生領域へと断続的に移動するデータシフト領域(例えば、後述のデータシフト領域5b)と、を有する磁性細線(例えば、後述の磁性細線5)を備える磁気記録媒体(例えば、後述の磁気記録媒体100)であって、前記データシフト領域における前記磁性細線に対して細線の延びる方向に複数並んで配置され、電圧が印加されると前記磁性細線に対して応力を付加することで前記磁性細線の磁性を変化させる圧電素子(例えば、後述の圧電素子40)を備える。

0011

前記圧電素子は、前記磁性細線の磁区の長さであるビット長ごとに配置されていて良い。

0012

本発明に係る磁気再生装置は、上述の磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を備える磁気再生装置(例えば、後述の磁気再生装置200)であって、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流を供給する電流供給手段(例えば、後述のパルス電流供給部10)と、前記複数の圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段(例えば、後述の電圧印加部50)と、を備える。

0013

前記電圧印加手段は、前記電流供給手段により供給されるパルス電流のパルス周期終期付近で電圧を印加して良い。

0014

本発明に係る磁気再生方法は、上述の磁気再生装置により上述の磁気記録媒体に記録されたデータを再生する磁気再生方法であって、前記電流供給手段により、前記再生領域から前記記録領域に向かうパルス電流を供給する電流供給工程と、前記電圧印加手段により、前記パルス電流のパルス周期の終期付近で前記圧電素子に電圧を印加する電圧印加工程と、前記再生手段により、前記パルス電流に同期して前記磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生工程と、を有する。

発明の効果

0015

本発明によれば、磁区駆動に必要な電流の増大を回避しながらビット長を正確に制御できる磁気記録媒体、磁気再生装置及び磁気再生方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の一実施形態に係る磁気再生装置の概略構成図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体のデータシフト領域における断面模式図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の記録領域における断面模式図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の再生領域における断面模式図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の作用を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の構造例1及びその製造方法を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の構造例2及びその製造方法を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の構造例3及びその製造方法を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の構造例4及びその製造方法を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体が備える圧電素子の構造例5及びその製造方法を説明するための図である。

実施例

0017

以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<磁気再生装置200>
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気再生装置の概略構成図である。本実施形態の磁気再生装置200は、磁気記録媒体100を構成する磁性細線5(トラック)に対して、その再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流を供給することで、磁性細線5の内部における磁壁DW及び該磁壁DWで区切られる磁区D(最小データ領域)を記録領域5aから再生領域5cへと断続的に移動させることで、データの再生や記録を高速で行うものである。

0018

図1に示すように、磁気再生装置200は、パルス電流供給部10と、記録部20と、再生部30と、圧電素子40と、電圧印加部50と、備える。すなわち、磁気再生装置200は、記録部20を備えることで、新たなデータを記録可能となっている。
また、磁気再生装置200において、磁気記録媒体100は磁気再生装置200に対して脱着可能(交換可能)としてもよく、従来のHDD装置のように脱着不可能(交換不可能)としてもよい。

0019

本実施形態の磁気再生装置200は、圧電素子40及び電圧印加部50を備え、圧電素子40に電圧を印加して応力を発生させ、発生した応力を磁性細線5に付加することで磁区トラップサイトを可逆的に形成する点に特徴がある。これは、次のような理由による。
すなわち、磁性細線5中において磁区が移動するのに必要な電流のしきい値であるしきい電流(jc)は、以下の数式で表されることが知られている(「スピントロニクス基礎と材料・応用技術の最前線」、シーエムシー出版、G.Tanaka等、Phy.Rev.Lett.,92,086601(2004))

0020

0021

上記数式において、Kは磁気異方性が困難な磁区間のエネルギー差であり、このKはしきい電流(jc)と比例関係にある。従って、部分的に磁性細線5の磁気異方性を制御できれば、磁性細線5中に磁区トラップサイトを生成できると言える。

0022

また、磁性細線5中の磁気異方性は、磁性細線5の歪に依存することが知られている(野健太郎,金属人口格子の磁気異方性に関する理論的研究,東京大学,博士論文,1995)。従って、磁性細線5中に構造的な歪を形成することにより、磁性細線5中に磁区トラップサイトを生成できることが分かる。
そこで、本実施形態の磁気再生装置200では、圧電素子40による応力の付加により、磁性細線5に可逆的な磁区トラップサイトを形成するものである。

0023

[磁気記録媒体100]
磁気記録媒体100は、基板7(図1では省略、後述の図2〜4参照)と、磁性細線5と、を備える。磁性細線5は、基板7上に磁性体を細線状に成形することで形成される。本実施形態では、複数の磁性細線5が並列配置されている。
磁性細線5は、後述の記録部20において、2値のデータ(「0」又は「1」のデータ)を異なる2方向の磁化のいずれかとして、磁性細線5の延びる方向に連続して記録されるものである。磁化の方向としては、磁性細線5の膜面内方向垂直方向のいずれも可能であるが、磁区Dをより高密度化でき、印加するパルス電流の大きさを抑制できる観点から、本実施形態のように膜面に対して垂直方向(膜厚方向)の磁化とすることが好ましい。

0024

すなわち、本実施形態においては、磁性細線5を垂直磁気異方性材料としたとき、その磁化方向は膜厚方向上向き又は下向きである。本実施形態では、データ「0」は下向きの磁化を意味し、図1では下向きの白矢印で示している。また、データ「1」は上向きの磁化を意味し、図1では上向きの白矢印で示している。
磁性細線5において、データ「0」が記録された領域(磁区D)とデータ「1」を記録された領域(磁区D)との間に、磁壁DWが形成される。磁壁DW内では、隣接する磁区Dの磁化方向(上向き)から磁化方向(下向き)へと磁化が徐々に変化して回転している。

0025

このように磁化が回転している磁壁DWは、磁性細線5へのパルス電流の供給と停止を繰り返すことで、磁壁DWに挟まれた磁区Dを一定の距離ずつ移動させては停止させることができるようになっている。すなわち、パルス幅(電流供給時間)を調整してパルス電流を供給することで、磁性細線5におけるデータ領域を1データ長ずつ、細線の延びる方向にシフトさせることができ、再生領域5cにおけるデータ領域(磁区D)を順番入れ替えることができる。これにより、パルス電流に同期して、データの再生を行うことができるようになっている。

0026

ここで、図2は、磁気記録媒体100のデータシフト領域5bにおける断面模式図である。
図2に示すように、データシフト領域5bにおける磁気記録媒体100は、例えば、磁性細線5と、絶縁層6と、基板7と、を備える。磁性細線5は、平坦性の観点から、基板7上の絶縁層6中に埋設されていることが好ましい。磁性細線5は、例えば、配向制御層1と、記録層2と、がこの順に積層された構造を有する。これら各層については後段で詳述する。

0027

図3は、磁気記録媒体100の記録領域5aにおける断面模式図である。
図3に示すように、記録領域5aにおける磁気記録媒体100は、上述のデータシフト領域5bと比べて、磁性細線5に後述の記録部20を構成する記録素子20aを備える。記録素子20aは、下部電極21と、中間層22と、上部電極23と、書込回路24と、を備える。この記録素子20aは、磁気記録媒体100の表面から突出していてもよい。この記録素子20aについては後段で詳述する。

0028

図4は、磁気記録媒体100の再生領域5cにおける断面模式図である。
図4に示すように、再生領域5cにおける磁気記録媒体100は、上述のデータシフト領域5bと比べて、磁性細線5に後述の再生部30を構成する再生素子30aを備える。再生素子30aは、下部電極31と、磁化反転層32と、中間層33と、磁化固定層34と、上部電極35と、読取回路36と、を備える。この再生素子30aは、磁気記録媒体100の表面から突出していてもよい。この再生素子30aについては後段で詳述する。

0029

磁気記録媒体100の形状としては特に限定されないが、例えば円盤状の基板7上に磁性細線5を円環状(同心円状)に形成し、該磁性細線5を円環の一部を欠いた形状としても良い。磁性細線5を円環状に形成することで、磁区Dが滑らかに動き易くなる。また、磁性細線5の円環の一部を切り欠くことで、磁性細線5の一端と他端にパルス電流供給部10を接続可能となる。

0030

ここで、磁性細線5は、強磁性材料からなり、特に膜面に垂直な方向の磁化を有し、例えば、垂直磁気異方性材料で形成されることが好ましい。磁性細線5を構成する材料としては、Ni、Fe、Co等の遷移金属やその合金、Pd、Pt等との積層膜が用いられる。
磁性細線5の膜厚は5〜100nm、幅は10〜200nm、隣接する磁性細線5同士の間隔は40〜200nmであるのが好ましい。幅及び間隔が短いほど、すなわちトラックピッチが狭いほど、磁気記録媒体100の記録容量を大きくできる。
磁性細線5の長さ(トラック長)は、特に限定されない。磁気記録媒体100における全ての磁性細線5が同じ長さでなくてもよいが、同時にデータを再生する隣接する磁性細線5同士の長さは揃えるのが好ましい。

0031

より詳しくは、図2図4に示すように、磁性細線5は、その下側が磁性細線5の磁気特性を制御するための配向制御層1で構成され、その上側が、データを記録するための記録層2で構成される。これら各層については後段で詳述する。

0032

以上の構成を備える磁気記録媒体100は、例えば次のようにして製造される。
磁気記録媒体100は、例えば磁性細線5をダマシン法にて形成することで製造される。
具体的には、先ず、表面を熱酸化したSi基板ガラス基板等の公知の基板材料からなる基板7上に、SiO2やAl2O3等の絶縁膜スパッタリング法等により成膜させる。次いで、成膜した絶縁膜に対して、電子線リソグラフィー及びイオンミリング反応性イオンエッチングRIE)等のエッチングにより、磁性細線5の細線形状の溝を形成して絶縁層6とする。

0033

その際、記録領域5aにおける下部電極21を形成する部位には、下部電極21を形成できるように、さらに深い溝を形成する。次いで、この深い溝を埋め込むようにスパッタ法等により、Cu等の導電材料堆積させる。そして、堆積した導電材料の表面をCMP(化学機械研磨)法により研磨して平坦化することで、導電材料を充填してなる下部電極21を形成する。

0034

次いで、絶縁層6上に磁性材料をスパッタリング法等により溝に堆積させた後、表面をCMP等で溝内以外の強磁性材料を除去することで、磁性細線5とする。
より詳しくは、磁性細線5は、配向制御層1をスパッタ等により堆積させた後、同一真空中で記録層2も堆積させることで形成する。配向制御層1は、磁性細線5の原子配列をうまく調整し、磁気特性を最適な状態に保つ機能を有する。配向制御層1の材料としては、例えば、Ta、W、Si、Cu、Ru、Cr、Pt、Au等が用いられる。

0035

次いで、記録領域5a及び再生領域5cを除いて、樹脂等で表面を被覆する。記録領域5aには、中間層22、上部電極23をスパッタ法等により逐次成膜する。また、再生領域5cには、下部電極31、磁化反転層32、中間層33、磁化固定層34、上部電極35を、スパッタ法等により逐次成膜する。
以上により、磁気記録媒体100が製造される。

0036

[パルス電流供給部10]
図1に戻って、パルス電流供給部10は、磁気記録媒体100の磁性細線5の両端に接続される。パルス電流供給部10は、磁性細線5の再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流を供給し、記録領域5aから再生領域5cに向かう電子注入する。これにより、磁性細線5中の磁壁DW及び磁区Dは、記録領域5aから再生領域5cに向かって移動する。

0037

なお、パルス電流供給部によるパルス電流の大きさについては、磁性細線5の断面積あたりの電流密度を大きくすると磁壁移動速度が速くなるので、磁性細線5の幅と厚さ及び再生速度に基づいて設定され、磁壁移動方向と逆の一定の向きの正又は負のいずれかの直流とする。具体的には、パルス電流の停止時間は、磁気の検出に要する時間以上に設定すればよい。具体的には、電流密度105〜1013A/m2、パルス幅1ps〜10μs、停止時間10ps〜10μsの範囲で調整することが好ましい。

0038

[記録部20]
記録部20は、各磁性細線5に予め形成された記録領域5aに接続される。記録部20は、パルス電流供給部10が供給するパルス電流に同期して、記録領域5aにデータを記録する。すなわち、磁性細線5の記録領域5aにおいて、パルス電流供給部10が供給するパルス電流に同期して、磁壁DW及び磁区Dの断続的な移動が静止した時に、磁性細線5の記録領域5aに到達しているデータ領域(磁区D)にデータを記録する。
記録部20では、スピン注入磁化反転を用いて、磁性細線5の磁区状態を変化させることで、データの書き込みが実行される。これにより、磁性細線5にデータが記録され、磁性細線5は磁気記録媒体100の記録領域となる。

0039

記録部20は、磁性細線5を構成する配向制御層1の下方に位置する下部電極21と、磁性細線5の記録層2の上方に位置する中間層22及び上部電極23と、下部電極21及び上部電極23に配線を介して接続された書込回路24と、を含んで構成される(図3参照)。
上述したように、磁気記録媒体100を脱着可能とする場合には、例えば書込回路24を配線で接続せずに、磁気記録媒体100の電極パッドと、書込回路24の電極コンタクト部との接触により、外部と信号のやり取りをするように構成する。

0040

なお、下部電極21、中間層22、上部電極23によって、記録素子20aが構成される。上部電極23は磁性層、下部電極21は金属層である。この記録素子20aは、磁性細線5と一体化されて、CPP−GMR(Current Perpendicular to Plane−Giant MagnetoResistance)素子型又はTMR(Tunneling MagnetoResistance)素子型の構造を有するスピン注入磁化反転素子構造を構成し、記録素子として機能する。すなわち、スピン注入磁化反転による磁化が、記録層2に記録される。

0041

下部電極21と配向制御層1、中間層22と記録層2の間は、接している方が好ましいが、トンネル電子が流れる程度のわずかな距離であれば、離れていてもよい。離れている場合には、TMR素子の絶縁層のようなものが挟まっている状態と同様な状態であるといえる。TMR素子でも、スピン注入磁化反転は起こるためである。

0042

下部電極21の材料としては、抵抗率の低いAu、Ag、Cu等の金属材料とする。上部電極23は、スピン注入磁化反転について研究されている従来公知の材料でよく、例えばCo−Fe合金、Co2FeSi等のホイスラー合金等が用いられる。また、上部電極23は、抵抗率の低い垂直磁気異方性材料であり、スピン偏極率が高い材料であることが好ましく、さらに記録層2よりも膜厚を大きく設定し、容易に磁化反転が起こらない構造とする。中間層22の材料としては、CPP−GMR素子でよく使用されるCuやAgが好ましいが、TMR素子で利用されるAl2O3やMgOであっても良い。
なお、記録部20としては、データの記録(書き込み)ができるものであればよく、従来公知の磁気ヘッドを用いてもよい。

0043

[再生部30]
図1に戻って、再生部30は、磁性細線5に予め形成された再生領域5cに接続される。再生部30は、パルス電流に同期して、再生領域5cに記録されているデータを再生する。すなわち、磁性細線5の再生領域5cにおいて、パルス電流供給部10が供給するパルス電流に同期して、磁性細線5において磁壁DWの断続的な移動における静止時に、磁性細線5の再生領域5cに到達しているデータ領域(磁区D)に記録されているデータを再生する。再生部30は、CPP−GMR素子やTMR素子を用いて、磁性細線5の磁区状態を検出することで、データの読み出しを実行する。

0044

再生部30は、再生素子30aと、読取回路36と、を備える。すなわち、再生素子30aは、下部電極31と、下部電極31上に設けられた磁化反転層32と、磁化反転層32上に設けられた中間層33と、中間層33上に設けられた磁化固定層34と、磁化固定層34上に設けられた上部電極35と、を含んで構成される。下部電極31及び上部電極35は、配線を介して読取回路36と接続されている(図4参照)。
上述したように、磁気記録媒体100を脱着可能とする場合には、例えば読取回路36を配線で接続せずに、磁気記録媒体100の電極パッドと、読取回路36の電極コンタクト部との接触により、外部と信号のやり取りをするように構成する。また、下部電極31と磁化反転層32は区別せずに一体構造として作製してもよく、同様に上部電極35と磁化固定層34は区別せずに一体構造として作製してもよい。

0045

再生部30の磁化反転層32、中間層33及び磁化固定層34は、CPP−GMR素子又はTMR素子のデータ読取層として機能する。従って、磁化固定層34は、強磁性材料からなり、磁化方向が細線の延びる方向と垂直な上向き又は下向きに固定されている。中間層33は、非磁性材料からなる非磁性層又は絶縁材料からなる絶縁層である。再生部30は、中間層33が非磁性層の場合にはCPP−GMR素子を備えるものとなり、中間層33が絶縁層の場合にはTMR素子を備えるものとなる。磁化反転層32は、強磁性材料からなり、一般的に初期状態では、その磁化方向は磁化固定層34での磁化方向とは反対に揃えられる。再生部30では、磁性細線5の記録層2からのもれ磁束を、CPP−GMR素子やTMR素子で検出し、記録層2の磁化状態を再生する。

0046

また、磁化反転層32、中間層33及び磁化固定層34の材料としては、現在、CPP−GMR素子やTMR素子について研究されている材料であれば良い。例えば、磁化固定層34には、ホイスラー合金(Co2FeSi、Cu2MnAl等)等の磁性合金が用いられるが、これとIrMn等のスピン固着層とを組み合わせた積層構造としてもよい。また、再生部30がCPP−GMR素子を備える場合には、中間層33には、Au,Ag,Al,Cu,Cu合金等の非磁性金属又は合金が好ましく用いられる。このうちCuは、電気抵抗が小さくバリア効果が高いので、特に好ましく用いられる。再生部30がTMR素子を備える場合には、中間層33には、アルミナ(Al2O3)やマグネシア(MgO)等の絶縁材料が好ましく用いられ、その厚さは、スピン偏極電子がトンネルできる程度の厚さである数nm以下とされる。

0047

磁化反転層32は、磁化固定層34と同じ材料で構成することもできるが、記録層2からのもれ磁束により容易に磁化方向が反転することができる材料であって、透磁率が高く保磁力が小さく、スピン偏極率が比較的高い強磁性材料を選択することが好ましい。
また、下部電極31及び上部電極35は、それぞれ、スピン注入磁化反転素子を駆動するための一対の電極の一方及び他方であり、例えば、Ta,Cr,Au,Pt,Al,Cu等の一般的な電極用金属材料で構成することができる。
なお、再生部30は、データの再生(読み出し)ができるものであれば、従来公知の磁気ヘッドを用いてもよい。

0048

再生部30では、先ず、磁壁移動電流として所定のパルス電流をパルス電流供給部10から磁性細線5に供給し、磁区Dを区切る磁壁DWを移動させる。そして、再生を行いたい磁区D(所望のデータ領域(単一あるいは連続した複数のデータ領域))を再生部30の下部電極31の直下(再生領域5c)まで移動させる。再生領域5cは、磁性細線5の磁気を磁気効果により検出するための領域であり、磁性細線5において1つのデータ領域に含まれる長さとする。再生領域5cの位置は、該磁性細線5において固定され、磁気記録媒体100の全ての磁性細線5において、隣接する磁性細線5同士における再生領域5cが、磁性細線5の並列方向に並ぶように設けられている。次いで、磁壁DWは、パルス電流に同期して、すなわちパルス電流のパルス周期に合わせて、移動と停止を繰り返すが、この断続的な移動における静止時に、読取回路36から読取電流を再生素子30aに供給する。

0049

ここで、磁化反転層32と磁化固定層34との間には、非磁性膜や絶縁膜からなる中間層33が設けられているため、磁化反転層32から磁化固定層34に電流が流れる場合の電気抵抗は、磁化反転層32の磁化と、磁化固定層34の磁化との相対的な方向に依存する。ここで、磁化反転層32の磁化は、磁区Dに記録されている信号磁界を受けて、その方向に回転する。その磁化方向を、前記のように磁化反転層32と磁化固定層34との相対的な方向に依存する電気抵抗の変化として検出することができる。
従って、再生を行いたい磁区Dを移動させた後、下部電極31と上部電極35との間に、電流を流し、電気抵抗の変化を検出する。これにより、再生を行いたい磁区Dに記録されている磁化方向を検出(識別)することができ、データを再生することが可能となる。

0050

例えば、磁化反転層32の磁化と磁化固定層34の磁化とが同一方向な場合の電気抵抗をRpとし、逆方向な場合の電気抵抗をRapとすると、Rap>Rpとなる。このように、データ領域の磁化方向に対応した抵抗値を読取電圧として再生領域5cで検出することにより、このデータ領域に対応した磁区Dの磁化方向をデータとして読み取る。

0051

なお、読み取られたデータは、予め設定されたある基準電圧と比較することによって、電圧の高低、すなわち容易に「1」、「0」のデータとして、読み出される。そして、従来のハードディスク装置と同様な復号処理を施すことによって元のデータを取り出すことができ、磁気再生装置200外部に出力して、映像音声等の情報として再生できるようになっている。

0052

[圧電素子40]
図1に戻って、圧電素子40は、データシフト領域5bにおける磁性細線5に対して、細線の延びる方向に複数並んで配置される。この圧電素子40には、電圧供給線51を介して電圧印加部50が接続される。圧電素子40は、電圧印加部50により電圧が印加されると、磁性細線5に対して引張り応力又は圧縮応力を付加する。電圧印加部50は、複数の圧電素子40に対して、同一の時期に同一の電圧を印加する。
本実施形態では、圧電素子40は、データシフト領域5bにおける磁性細線5上、すなわち膜面上に配置されている。ただしこれに限定されず、磁性細線5に対して応力を付加してその磁性を変化させることができる配置であればよい。

0053

圧電素子40は、図1に示すように、各磁性細線5の磁区Dの長さであるビット長ごとに配置されるのが好ましい。これにより、磁壁DW及び磁区Dの移動をより正確に制御でき、ビット長をより正確に制御して揃えることができる。ただしこれに限定されず、データを再生する再生部30が配置された再生領域5cでビット長が揃っていればよいため、例えばビット長のずれが比較的小さい材料からなる磁性細線5であれば、1ビットごとでなく2ビットや3ビットごと、あるいはそれ以上のビットごとに圧電素子を配置してもよい。

0054

上述したように本実施形態の磁性細線5は並列に複数配置されており、複数の圧電素子40は、磁性細線5の並列方向に並んで配置されている。すなわち、図1に示すように、磁性細線5の延びる方向に直交する方向に並んで配置されている。これにより、複数の磁性細線5中の磁区Dを並列駆動させたときに、ビット長を揃えることができるようになっている。

0055

圧電素子40としては、従来公知の圧電素子を用いることができる。具体的には、圧電素子40として、ZnO、PZTチタン酸ジルコン酸鉛)、BaTiO3、PbTiO3、PLZT(チタン酸ジルコン酸鉛中の鉛の一部をLaに置換したもの)、BLT((Bi,La)TiO)、SBT(SrBi4Ti4O15)等を用いることができる。圧電素子40の材料の選定については、後段で詳述する。

0056

図5は、圧電素子40の作用を説明するための図である。
先ず、図5の(a)に示すように初期状態においては、圧電素子40に電圧が印加されていないため、圧電素子40に応力は生じず、磁性細線5に変化は見られない。
次いで、図5の(b)に示すように電圧印加部50により圧電素子40に電圧が印加されると、圧電素子40自体が収縮又は膨張することで、引張り応力又は圧縮応力が磁性細線5に付加される。

0057

すると、図5の(c)に示すように、圧電素子40から応力が付加された部分において、磁性細線5の磁性が変化する。これは、磁性細線5に歪が生じることで磁化が変化する現象であり、逆磁歪効果と呼ばれる。この逆磁歪効果により、圧電素子40から応力を受けた磁性細線5の部分に磁化が生じることで、磁化が生じた部分において磁気異方性(磁気的括れ)が生じる結果、磁区トラップサイトが形成される。ここで、磁性細線5の磁歪定数(磁化の大きさと変形量の比)と圧電素子40の圧電特性変形方向、変形量等)は、いずれも磁性細線5や圧電素子40の構成材料により決定される。そのため、磁性細線5や圧電素子40の構成材料によって最適な応力の向きや強さは異なるため、磁性細線5の構成材料に応じて、圧電素子40の構成材料を選定することが重要である。
次いで、図5の(a)の状態に戻って圧電素子40への電圧の印加が停止されると、圧電素子40からの応力の付加が無くなるため、磁性細線5の磁性が元の状態に戻って周囲と同様となる結果、磁区トラップサイトが消失する。

0058

このように、圧電素子40への電圧の印加を供給、停止することによって、磁性細線5に対して可逆的な磁区トラップサイトが形成される。これにより、磁性細線5中の磁壁DW及び磁区Dの移動がこの磁区トラップサイトで制限されることで、ビット長が正確に制御される結果、再生領域5cにおいてビット長が揃うようになっている。

0059

また、電圧印加部50は、パルス電流のパルス周期の終期付近で、電圧を印加するのが好ましい。これにより、パルス電流により磁壁DW及び磁区Dを移動させているときには、基本的には圧電素子40には電圧が印加されないため、磁区トラップサイトが形成されることがなく、磁壁DW及び磁区Dの移動が妨げられることがない。そのため、磁区駆動に必要なパルス電流の大きさが抑制されている。

0060

次に、圧電素子40の構造例及びその製造方法について詳しく説明する。
図6は、圧電素子40の構造例1及びその製造方法を説明するための図である。
図6に示すように、本構造例1の圧電素子41は、磁性細線5の上側に配置され、ピエゾ薄膜41aと、中間層41bと、を含んで構成される。本構造例1では、ビット長ごとに小さな穴41cが複数形成された非磁性非導電性の中間層41bを作製した後、該中間層41b上にピエゾ薄膜41aを堆積させて成膜する。これにより、穴41c内にもピエゾ薄膜41aが充填される結果、ビット長ごとに圧電素子41が磁性細線5側に露出した構造とすることができる。
なお、ピエゾ薄膜を作製するためには、通常600℃程度の加熱が必要であるところ、磁性細線5の形成に加熱が必要な場合には、本構造例1は好ましく採用される。

0061

図7は、圧電素子40の構造例2及びその製造方法を説明するための図である。
図7に示すように、本構造例2の圧電素子42は、磁性細線5の下側に配置され、ピエゾ薄膜42aと、中間層42bと、を含んで構成される。中間層42bは、相対的に柔らかい素材42cに対してビット長ごとに穴を形成した後、該穴に相対的に硬い素材42dを充填したものである。
本構造例2では、先ず最下層にピエゾ薄膜42aを堆積して成膜し、熱処理した後、中間層42bを積層する。そして、ビット長ごとに並んだ硬い素材42d上に、磁性細線5を配置する。これにより、ピエゾ薄膜42aで生じた応力は、柔らかい素材42cでは吸収される一方で、硬い素材42dでは磁性細線5の下側から応力が付加されるようになっている。

0062

図8は、圧電素子40の構造例3及びその製造方法を説明するための図である。
図8に示すように、本構造例3の圧電素子43は、磁性細線5の上側に配置され、ピエゾ薄膜43aと、中間層43bと、を含んで構成される。中間層43bは、構造例2の中間層42bと同様の構成である。
本構造例3では、先ず、ピエゾ薄膜43a上に中間層43bを作製し、表面を研磨する。そして、これを、磁性細線5を並列配置した基板7と貼り合わせる。これにより、構造例2と同様の圧電素子を形成できる。

0063

図9は、圧電素子40の構造例4及びその製造方法を説明するための図である。
図9に示すように、本構造例4の圧電素子44は、磁性細線5の上側に配置され、ピエゾ薄膜44aと、中間層44bと、基材層44dと、を含んで構成される。中間層44bは、構造例1の中間層41bと同様の構成である。
本構造例4では、先ず、基材層44d上に中間層44bを成形し、中間層44b上にスパッタ等でピエゾ薄膜44aを成膜し、熱処理(あるいはスパッタ中に加熱)する。その後、ピエゾ薄膜44a側の表面を中間層44bが露出するまで研磨した後、磁性細線5を並列配置した基板7と貼り合わせる。これにより、ビット長ごとに圧電素子40を配置できる。

0064

図10は、圧電素子40の構造例5及びその製造方法を説明するための図である。
図10に示すように、本構造例5の圧電素子45は、磁性細線5の上側に配置され、ピエゾ薄膜45aと、基板45bと、を含んで構成される。基板45bは、所定の厚みを有し、磁性細線5の細線が延びる方向に直交する方向に延びる溝45cが所定間隔で複数形成されている。
本構造例5では、先ず、基板45bに上記複数の溝45cを形成した後、かかる基板45b上にピエゾ薄膜45aを堆積させて成膜する。その後、基板45bが露出するまでピエゾ薄膜45a側の表面を研磨する。そして、これを、溝45c内に充填されたピエゾ薄膜45aと磁性細線5とが互いに直交するようにして、磁性細線5を並列配置した基板7と貼り合わせる。これにより、ビット長ごとに圧電素子40を配置できる。

0065

<磁気再生方法>
本実施形態の磁気再生方法は、上述の磁気再生装置200を用いて実行される。
本実施形態の磁気再生方法は、電流供給工程と、電圧印加工程と、再生工程と、を有する。
電流供給工程は、上述のパルス電流供給部10により実行される。電流供給工程では、再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流を供給する。
電圧印加工程は、上述の電圧印加部50により実行される。電圧印加工程では、パルス電流のパルス周期の周期付近で、圧電素子40に電圧を印加する。
再生工程は、上述の再生部30により実行される。再生工程では、パルス電流に同期して磁気記録媒体100に記録されたデータを再生する。
なお、これら各工程の詳細については、上述した通りである。

0066

本実施形態の磁気記録媒体100、磁気再生装置200及び磁気再生方法によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係る磁気記録媒体100は、2値のデータを異なる2方向の磁化のいずれかとして記録される記録領域5aと、記録領域5aで記録されたデータが再生される再生領域5cと、これら記録領域5aと再生領域5cとの間に配置され、再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流が供給されることで、2値のデータの一方が記録されて形成された磁区Dと2値のデータの他方が記録されて形成された磁区Dとの間に形成された磁壁DWが記録領域5aから再生領域5cへと断続的に移動するデータシフト領域5bと、を有する磁性細線5を備える磁気記録媒体100とした。
また、データシフト領域5bにおける磁性細線5上に細線の延びる方向に複数並んで配置され、電圧が印加されると磁性細線5に対して応力を付加することで磁性細線5の磁性を変化させる圧電素子40を設けた。

0067

これにより、従来の磁壁の通過を妨げる構造的なトラップサイトや磁気的なトラップサイトに代わって、複数の圧電素子40を磁性細線5上に配置することで、圧電素子40に電圧を印加するとピエゾ効果によって圧電歪を生じ、磁性細線5に応力(引っ張り又は圧縮)を付加できる。このとき、磁性細線5には逆磁歪効果が働き、磁性細線5の磁性が局所的に変化するため、その部分が磁気的なトラップサイトとして動作する。圧電素子40に電圧を印加しない状態では、磁性細線5に応力が加わらないため、磁性細線5には磁区トラップサイトは存在しないことになり、本来的に磁区駆動に必要な印加電流量で、磁性細線5上において磁壁DWを自由に移動させることができる。
従って本実施形態によれば、駆動電流と圧電素子制御電圧印加タイミングを調整することで、磁区駆動に必要な電流を維持したままビット長を正確に制御できる。

0068

また、複数の磁性細線5を並列配置させて大容量化することで、これら複数の磁性細線5に対する電流印加のタイミングを合わせて同期駆動させることにより、高い転送レートを実現できる。
また、本実施形態の磁気記録媒体100によれば、可動部が無いため無限書換え耐性を有し、データの信頼性も高い。そのため、シーケンシャルデータの記録や特殊映像の再生に好適であり、映像用途として適したデバイスである。

0069

なお、圧電素子40を磁性細線5の磁区Dの長さであるビット長ごとに配置することにより、上記効果がより高められる。
また、複数の圧電素子40を、磁性細線5の並列方向に並んで配置することにより、上記効果がより高められ、よりビット長を正確に制御できる。

0070

また本実施形態に係る磁気再生装置200では、磁気記録媒体100に記録されたデータを再生する再生部30を設け、再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流を供給するパルス電流供給部10と、複数の圧電素子40に電圧を印加する電圧印加部50を設けた。これにより、上述の効果と同様の効果が得られる。
また、電圧印加部50により、複数の圧電素子40に対して同時に電圧を印加することにより、上記効果がより確実に得られる。
また、電圧印加部50により、パルス電流のパルス周期の終期付近で電圧を印加することにより、上記効果がより高められる。

0071

また本実施形態に係る磁気再生方法は、上述の磁気再生装置200により上述の磁気記録媒体100に記録されたデータを再生する磁気再生方法であり、パルス電流供給部10により、再生領域5cから記録領域5aに向かうパルス電流を供給する電流供給工程と、電圧印加部50により、パルス電流のパルス周期の終期付近で圧電素子40に電圧を印加する電圧印加工程と、再生部30により、パルス電流に同期して磁気記録媒体100に記録されたデータを再生する再生工程と、を有する構成とした。これにより、上述の効果と同様の効果が得られる。

0072

なお、本発明は上記第1実施形態〜第5実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
例えば、磁気記録媒体100や磁性細線5の形状は限定されない。各磁性細線5は並列に配置すればよく、磁性細線5の本数は特に限定されない。上記実施形態では磁性細線5の構造として配向制御層を用いたものを例示したが、配向制御層を用いなくてもよい。また、記録部20や再生部30の構成は、上記実施形態に限定されず、他の構成のCPP−GMR素子やTMR素子の形態を用いてもよい。

0073

5磁性細線
5a 記録領域
5bデータシフト領域
5c再生領域
10パルス電流供給部(電流供給手段)
20 記録部
30再生部(再生手段)
40圧電素子
50電圧印加部(電圧印加手段)
100磁気記録媒体
200 磁気再生装置

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