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技術 マルチモード光ファイバ

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 長谷川健美
出願日 2016年7月25日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-145453
公開日 2018年2月1日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-017767
状態 特許登録済
技術分野 光ファイバ、光ファイバ心線
主要キーワード 不連続変化 環状層 コアエッジ 規格化半径 近距離伝送 外周半径 VCSEL光源 コア周辺
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

広い波長範囲で大きな実効帯域(EB)を有するとともに、コアに添加されるGeの濃度制御を容易にするマルチモード光ファイバを提供する。

解決手段

マルチモード光ファイバは、ファイバ軸に沿って延びたコアおよびクラッドにより構成されたガラス領域を有する。コアはGeのみを含み、半径方向に沿ったGe濃度はα乗分布に従う。クラッドには、コアを取り囲むとともにF濃度が半径方向およびファイバ軸の双方に沿って実質的に一定に設定された環状領域が設けられている。

概要

背景

距離情報通信などに用いられるMMFは、ファイバ軸方向に沿って延びた、高屈折率ガラスからなるコアと、コアを包囲し低屈折率ガラスからなるクラッドと、クラッドを包囲した樹脂被覆を備え、光をコアに閉じ込めた状態で伝送する。ファイバ軸に直交する断面において、コア、クラッド、および樹脂被覆は概ね同心円状に配置されている。コアの屈折率は、ファイバ軸を始点とする半径方向に沿って段階的に減少し、典型的にはα=1.9〜2.1として半径のα乗に比例して屈折率が減少する。これにより、コアを伝搬する複数の導波モード間の群遅延の差、すなわちモード分散が低く抑えられ、広帯域高速信号が伝送可能になる。このような高速信号伝送に適したMMFが、例えば非特許文献1に記載されている。MMFを用いた高速伝送は、低コスト光接続を実現できるメリットがあるため、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)などで広く用いられている。

非特許文献1に記載されているように、MMFの帯域は、MMFの複数の導波モードが光源によってどのように励振されるかに依存する。近距離情報通信における光源として広く用いられている面発光型半導体レーザVCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)で励振されたときの典型的な帯域を表す指標として、実効モード帯域EMB:Effective Mode Bandwidth)が定義されている。EMBは、MMFの差動群遅延(DMD:Differential Mode Delay)を測定した結果から、計算最小実効モード帯域(minEMBc:calculated minimum Effective Mode Bandwidth)を計算し、以下の式(1)によって得られる。なお、これらの計算方法の詳細は、IEC60793-1-49:2006およびIEC 60793-2-10:2011に規定されている。

MMFのコアの屈折率分布を後述のα乗分布に従って精密に形成することにより、モード分散が低く抑えられる。一方、モード分散が十分低く抑えられたMMFでは、波長による群遅延の差、すなわち波長分散の影響も考慮する必要がある。波長分散は、MMFを構成する材料に起因する材料分散導波路構造に起因する導波路分散の寄与によって定まるが、MMFでは後者の影響は無視でき、材料分散が支配的である。MMFは一般的にはシリカガラスによって構成され、その材料分散は波長1.3μm付近零分散波長においてとなり、零分散波長から離れるほど値が大きくなる。MMFを構成するシリカガラスには屈折率分布を形成するために、ゲルマニウム(Ge)、フッ素(F)、リン(P)、ホウ素(B)、塩素(Cl)などの添加物が添加される。その際、添加物によっても材料分散は変化することが非特許文献2、3、4により知られている。

波長分散によって決まる波長分散帯域CB(GHz)は、波長分散をD(ps/nm・km)、MMF長をL(km)、光源の線幅をΔλ(nm)として、以下の式(2)で与えられる。

実際のMMFから得られる伝送帯域は、モード分散と波長分散の寄与によって定まる実効帯域(EB:Effective bandwidth)で近似される。非特許文献5に記載されているように、EBは以下の式(3)で与えられる。

なお、非特許文献5において、分散相互作用(MCDI:Modal and Chromatic Dispersion Interaction)を考慮しない実効帯域としてEB w/o MCDIとして表されている帯域を、本明細書においては実効帯域の近似値とみなして、EBと表記する。

非特許文献5に記載されているように、複数の波長の光に信号を載せて1本のMMFを伝送させる波長分割多重WDM:Wavelength Division Multiplexing)は、近距離伝送の容量に対する高まる要求を満たす方法の一つである。大容量の近距離伝送の規格の一つである100ギガビットイーサネット(100GbE)に適合するためには、非特許文献2に記載されているように、上記式(3)で定義されるEBが2.25GHz・km以上となる必要がある。さらにWDM方式を適用するためには、EBが2.25GHz以上となる波長範囲が広いことが望ましい。非特許文献5には、MMFのコアにGeとFを共添加することで理論上は波長850nm〜1020nmの約170nm幅の帯域に亘って100GbE伝送が可能となることが記載されている。

同様に、特許文献1には、コアにGeとFを添加し、F濃度がコアの中心から外周に向かって増大する屈折率プロファイルを持つMMFを用いることで、Fを空間的に均一に添加した場合に比べてより広い波長範囲で高いEBが得られることが開示されている。

また、特許文献2には、GeおよびPそれぞれの濃度分布がα乗分布に従った濃度分布となるようコアにGeとPを添加することにより、Pが添加されていない従来のMMFと比較して、より広い波長範囲で小さなパルス広がり(大きな帯域に相当する)が得られることが開示されている。

概要

広い波長範囲で大きな実効帯域(EB)を有するとともに、コアに添加されるGeの濃度制御を容易にするマルチモード光ファイバを提供する。マルチモード光ファイバは、ファイバ軸に沿って延びたコアおよびクラッドにより構成されたガラス領域を有する。コアはGeのみを含み、半径方向に沿ったGe濃度はα乗分布に従う。クラッドには、コアを取り囲むとともにF濃度が半径方向およびファイバ軸の双方に沿って実質的に一定に設定された環状領域が設けられている。A

目的

本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、広い波長範囲で大きなEBを有するとともに、効率的かつ経済的な製造を可能にするための構造を備えたMMFを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

中心軸に沿って延びた、屈折率制御剤としてGeが添加されたシリカガラスからなるコアと、前記コアを包囲した状態で前記中心軸に沿って延びた、少なくともFを含むシリカガラスからなるクラッドと、前記クラッドを包囲した状態で前記中心軸に沿って延びた樹脂被覆と、を備えたマルチモード光ファイバであって、前記中心軸に直交する前記マルチモード光ファイバの断面において、純粋シリカガラスを基準とした、前記Geの添加に由来する前記コアの比屈折率差は、前記中心軸が通過する前記コアの断面中心から半径方向に沿って前記中心軸からの距離のα乗に従って減少し、前記純粋シリカガラスを基準とした前記コアの断面中心における比屈折率差Δ0は、0.5%以上0.9%以下であり、かつ、前記クラッドは、前記コアを取り囲むとともに前記Fの濃度が前記半径方向および前記中心軸の双方に沿って実質的に一定に設定された環状領域を含み、前記αの値は、2.0以上2.1以下であり、前記コアの断面中心から前記コアの外周までの前記半径方向に沿った距離で規定される前記コアの半径aは、20μm以上30μm以下であり、前記環状領域の内周は、前記コアに接触するか所定距離離間するとともに、前記純粋シリカガラスを基準とした前記環状領域の比屈折率差Δ1は、−0.5%以上−0.1%以下であり、波長850nmを含む、幅150nm以上の波長範囲における実効帯域は、2.25GHz・km以上である、ことを特徴とするマルチモード光ファイバ。

請求項2

波長850nmにおける伝送損失は、2.0dB/km以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項3

波長850nmにおけるNAは、0.18以上0.22以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項4

前記環状領域は、当該環状領域の内周に一致した内周と当該環状領域の内周と外周との間に位置する外周を有するとともに、前記Geおよび前記Fの双方を含む環状の境界層を含み、前記断面において、前記境界層における前記Geの濃度は、前記コアの外周から前記クラッドの外周に向かって連続的に減少する一方、前記境界層における前記Fの濃度は、前記半径方向および前記中心軸の双方に沿って実質的に一定であることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項5

前記環状領域は、前記半径方向に沿って1μm以上の厚みを有する第1環状層と、前記第1環状層を包囲する第2環状層を含み、前記純粋シリカガラスを基準とした前記第1環状層の比屈折率差Δ11は、前記純粋シリカガラスを基準とした前記第2環状層の比屈折率差Δ12よりも0.1%以上低いことを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項6

前記環状領域は、当該環状領域の内周と前記第1環状層の内周との間に設けられた、前記Geおよび前記Fの双方を含む環状の境界層を含み、前記断面において、前記境界層における前記Geの濃度は、前記コアの外周から前記クラッドの外周に向かって連続的に減少する一方、前記境界層における前記Fの濃度は、前記半径方向および前記中心軸の双方に沿って実質的に一定であることを特徴とする請求項5に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項7

前記コアの断面中心から前記クラッドの外周までの前記半径方向に沿った距離で規定される前記クラッドの外周半径をbとするとき、前記環状領域の内周は、前記コアの断面中心からの距離がa以上(a+b)/2以下の領域内に位置することを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項8

前記クラッドは、前記コアと前記環状領域との間に設けられた、純粋シリカガラスからなる内側クラッドを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項9

前記半径方向に沿った、前記内側クラッドの厚みは、0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項8に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項10

前記クラッドは、前記環状領域の外周と当該クラッドの外周との間に設けられた、純粋シリカガラスからなる外側クラッドを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。

請求項11

前記半径方向に沿った、前記環状領域の厚みは、8μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項10に記載のマルチモード光ファイバ。

技術分野

0001

本発明は、マルチモード光ファイバ(MMF:Multimode fiber)に関するものである。

背景技術

0002

距離情報通信などに用いられるMMFは、ファイバ軸方向に沿って延びた、高屈折率ガラスからなるコアと、コアを包囲し低屈折率ガラスからなるクラッドと、クラッドを包囲した樹脂被覆を備え、光をコアに閉じ込めた状態で伝送する。ファイバ軸に直交する断面において、コア、クラッド、および樹脂被覆は概ね同心円状に配置されている。コアの屈折率は、ファイバ軸を始点とする半径方向に沿って段階的に減少し、典型的にはα=1.9〜2.1として半径のα乗に比例して屈折率が減少する。これにより、コアを伝搬する複数の導波モード間の群遅延の差、すなわちモード分散が低く抑えられ、広帯域高速信号が伝送可能になる。このような高速信号伝送に適したMMFが、例えば非特許文献1に記載されている。MMFを用いた高速伝送は、低コスト光接続を実現できるメリットがあるため、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)などで広く用いられている。

0003

非特許文献1に記載されているように、MMFの帯域は、MMFの複数の導波モードが光源によってどのように励振されるかに依存する。近距離情報通信における光源として広く用いられている面発光型半導体レーザVCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)で励振されたときの典型的な帯域を表す指標として、実効モード帯域EMB:Effective Mode Bandwidth)が定義されている。EMBは、MMFの差動群遅延(DMD:Differential Mode Delay)を測定した結果から、計算最小実効モード帯域(minEMBc:calculated minimum Effective Mode Bandwidth)を計算し、以下の式(1)によって得られる。なお、これらの計算方法の詳細は、IEC60793-1-49:2006およびIEC 60793-2-10:2011に規定されている。

0004

0005

MMFのコアの屈折率分布を後述のα乗分布に従って精密に形成することにより、モード分散が低く抑えられる。一方、モード分散が十分低く抑えられたMMFでは、波長による群遅延の差、すなわち波長分散の影響も考慮する必要がある。波長分散は、MMFを構成する材料に起因する材料分散導波路構造に起因する導波路分散の寄与によって定まるが、MMFでは後者の影響は無視でき、材料分散が支配的である。MMFは一般的にはシリカガラスによって構成され、その材料分散は波長1.3μm付近零分散波長においてとなり、零分散波長から離れるほど値が大きくなる。MMFを構成するシリカガラスには屈折率分布を形成するために、ゲルマニウム(Ge)、フッ素(F)、リン(P)、ホウ素(B)、塩素(Cl)などの添加物が添加される。その際、添加物によっても材料分散は変化することが非特許文献2、3、4により知られている。

0006

波長分散によって決まる波長分散帯域CB(GHz)は、波長分散をD(ps/nm・km)、MMF長をL(km)、光源の線幅をΔλ(nm)として、以下の式(2)で与えられる。

0007

0008

実際のMMFから得られる伝送帯域は、モード分散と波長分散の寄与によって定まる実効帯域(EB:Effective bandwidth)で近似される。非特許文献5に記載されているように、EBは以下の式(3)で与えられる。

0009

0010

なお、非特許文献5において、分散相互作用(MCDI:Modal and Chromatic Dispersion Interaction)を考慮しない実効帯域としてEB w/o MCDIとして表されている帯域を、本明細書においては実効帯域の近似値とみなして、EBと表記する。

0011

非特許文献5に記載されているように、複数の波長の光に信号を載せて1本のMMFを伝送させる波長分割多重WDM:Wavelength Division Multiplexing)は、近距離伝送の容量に対する高まる要求を満たす方法の一つである。大容量の近距離伝送の規格の一つである100ギガビットイーサネット(100GbE)に適合するためには、非特許文献2に記載されているように、上記式(3)で定義されるEBが2.25GHz・km以上となる必要がある。さらにWDM方式を適用するためには、EBが2.25GHz以上となる波長範囲が広いことが望ましい。非特許文献5には、MMFのコアにGeとFを共添加することで理論上は波長850nm〜1020nmの約170nm幅の帯域に亘って100GbE伝送が可能となることが記載されている。

0012

同様に、特許文献1には、コアにGeとFを添加し、F濃度がコアの中心から外周に向かって増大する屈折率プロファイルを持つMMFを用いることで、Fを空間的に均一に添加した場合に比べてより広い波長範囲で高いEBが得られることが開示されている。

0013

また、特許文献2には、GeおよびPそれぞれの濃度分布がα乗分布に従った濃度分布となるようコアにGeとPを添加することにより、Pが添加されていない従来のMMFと比較して、より広い波長範囲で小さなパルス広がり(大きな帯域に相当する)が得られることが開示されている。

0014

米国公開特許2014−0341520号
米国特許第8,965,163号

先行技術

0015

Ronald E.Freund, et al., “High-Speed Transmission in Multimode Fibers”, Journal ofLightwave Technology, VOL. 28, NO. 4, pp. 569-586, (2010)
JamesW. Fleming, “Dispersion in GeO2-SiO 2 glasses”, Applied Optics, Vol. 23, No.24, pp.4486-4493 (1984)
J.W. Fleming, et al., “Refractive index dispersion and related properties in fluorinedoped silica”, Applied Optics, Vol. 22, No. 19, pp.3102-3104 (1983)
O.V.Butov, et al., “Refractive index dispersion of doped silica for fiber optics”,Optics Communications vol.213, pp.301-308 (2002)
Marianne Bigot et al.,“Extra-Wide-Band OM4 MMFfor Future 1.6TbpsData Communications”, Proc. OFC2015, M2C.4.
P.L. CHU, “Nondestructive measurement of index profile of an optical-fibrepreform”, Electronics Letters, Vol. 13, No. 24, pp.737-738 (1977)

発明が解決しようとする課題

0016

発明者は、従来のMMFについて検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、従来技術において広い波長範囲で大きなEBを有するMMFは、低コストで製造することが難しかった。これは、シリカガラスにGeの他にFまたはPが添加される際、それぞれの添加物の濃度分布(プロファイルとも呼ぶ)を高い精度で形成する必要があるが、濃度分布を非破壊的検査することが難しかったためである。一般に、光ファイバ母材の内部の屈折率分布を光学的に非破壊的に測定する方法が知られており(例えば、上記非特許文献6)、このような光学的検査方法で測定できるのは屈折率分布である。純粋シリカガラスの屈折率は既知であり、Ge、F、Pが添加された時の屈折率変化も既知であることから、添加物が一種類であるという前提があれば、屈折率を測定することで添加物の濃度を知ることができる。しかしながら、二種類以上の添加物を含む領域では、その濃度分布を知ることは困難である。その結果、濃度分布が不良である母材が線引き工程に流れるケースが多く発生することになる。結果、良品歩留りが低下して製造コストが高くなるという課題があった。

0017

本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、広い波長範囲で大きなEBを有するとともに、効率的かつ経済的な製造を可能にするための構造を備えたMMFを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0018

上述の課題を解決するため、本実施形態に係るMMF(マルチモード光ファイバ)は、中心軸に沿って延びた、屈折率制御剤としてGeのみが実質的に添加されたシリカガラスからなるコアと、コアを包囲した状態で中心軸に沿って延びた、少なくともFを含むシリカガラスからなるクラッドと、クラッドを包囲した状態で中心軸に沿って延びた樹脂被覆と、を備える。特に、中心軸に直交する当該MMFの断面において、純粋シリカガラスを基準とした、Geの添加に由来するコアの比屈折率差は、中心軸とのコアの断面中心(以下、「コア中心」と記す)から半径方向に沿ってコア中心からの距離のα乗に従って減少する。純粋シリカガラスを基準としたコア中心における比屈折率差Δ0は、0.5%以上0.9%以下である。クラッドは、コアを取り囲む環状領域を含み、この環状領域は、F濃度が半径方向および中心軸の双方に沿って実質的に一定になるよう設定されている。また、当該MMFにおいて、αの値は、2.0以上2.1以下である。コア中心からコアの外周までの半径方向に沿った距離で規定されるコアの半径(外周径)aは、20μm以上30μm以下である。環状領域の内周は、コアに接触するか所定距離離間するとともに、純粋シリカガラスを基準とした環状領域の比屈折率差Δ1は、−0.5%以上−0.1%以下である。また、波長850nmを含む、幅150nm以上の波長範囲における実効帯域は、2.25GHz・km以上である。

0019

なお、本発明に係る各実施形態は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、本発明を限定するものと考えるべきではない。

0020

また、本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施形態を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、本発明の範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。

発明の効果

0021

本実施形態によれば、コアにおける屈折率制御剤がGeに制限される一方、コア周辺クラッド内にF濃度が安定している環状領域が設けられたことにより、広い波長範囲における大きなEBが実現可能になる。また、α乗分布に従うべきコアでのGe濃度検査(実質的にコアにおける屈折率分布検査と同義)に従来の検査方法が適用できるため、低コストでのMMF製造が可能になる。すなわち、線引き前の母材における屈折率分布を測定することで帯域を予測できるため、不良な母材の線引きの省略により低コストでのMMF製造が可能となる。さらに、コア周辺のクラッド内にFを含む環状領域が設けられることにより、コアに添加されるGeの濃度を低減することが可能になり、結果、低い光学損失のMMFが得られる。

図面の簡単な説明

0022

図1は、本実施形態に係るMMFの内部構造の一例を模式的に示す図である。
図1に示されたガラス領域の断面において、Fを含む環状領域の第1形成例を説明するための図である。
図1に示されたガラス領域の断面において、Fを含む環状領域の第2形成例を説明するための図である。
図1に示されたガラス領域の断面において、Fを含む環状領域の第3形成例を説明するための図である。
図1に示されたガラス領域の断面において、Fを含む環状領域の第4形成例を説明するための図である。
第1実施形態に係るMMFの屈折率分布の例を示す図である。
図3Aに示されたMMFにおいて、添加されたGeの濃度に由来する屈折率分布の例を示す図である。
図3Aに示されたMMFにおいて、添加されたFの濃度に由来する屈折率分布の例を示す図である。
比較例に係るMMFのサンプル1の屈折率分布の例を示す図である。
図4Aに示されたMMFのサンプル1において、添加されたGeの濃度に由来する屈折率分布を示す図である。
図4Aに示されたMMFのサンプル1において、添加されたFの濃度に由来する屈折率分布の例を示す図である。
比較例に係るMMFのサンプル2およびサンプル3の屈折率分布の例を示す図である。
図5Aに示されたMMFのサンプル2およびサンプル3において、添加されたGeの濃度に由来する屈折率分布の例を示す図である。
図5Aに示されたMMFのサンプル2およびサンプル3において、添加されたFの濃度に由来する屈折率分布の例を示す図である。
第1実施形態に係るMMFのサンプル1〜サンプル5および比較例に係るMMFのサンプル1〜サンプル3それぞれの物理量(構造パラメータおよび光学特性)を纏めた表である。
比較例に係るMMFのサンプル1〜サンプル3それぞれの伝送特性(EBの波長依存性)を示すグラフである。
第1実施形態に係るMMFのサンプル1〜サンプル5それぞれの伝送特性を示すグラフである。
比較例に係るMMFのサンプル1〜サンプル3それぞれの伝送特性(EMBの波長依存性)を示すグラフである。
第1実施形態に係るMMFのサンプル1〜サンプル5それぞれの伝送特性を示すグラフである。
第2実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。
第3実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。
第4実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。

実施例

0023

[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容をそれぞれ個別に列挙して説明する。

0024

(1)本実施形態に係るMMF(マルチモード光ファイバ)は、その一態様として、中心軸に沿って延びた、屈折率制御剤としてGeのみが実質的に添加されたシリカガラスからなるコアと、コアを包囲した状態で中心軸に沿って延びた、少なくともFを含むシリカガラスからなるクラッドと、クラッドを包囲した状態で中心軸に沿って延びた、紫外線硬化樹脂などの樹脂被覆と、を備える。このようにコアはGeのみを含むガラス領域であるため、半径方向に沿ったコアの屈折率分布は、コアに含まれるGeの濃度分布に依存している。特に、中心軸に直交する当該MMFの断面において、純粋シリカガラスを基準とした、Geの添加に由来するコアの比屈折率差は、コア中心(当該MMFの断面と中心軸との交点)から半径方向に沿ってコア中心からの距離のα乗に従って減少する。純粋シリカガラスを基準としたコア中心における比屈折率差Δ0は、0.5%以上0.9%以下である。クラッドは、コアを取り囲む環状領域を含み、この環状領域は、F濃度が空間的に一様な状態、すなわち、コアを取り囲むとともにF濃度が半径方向および中心軸の双方に沿って実質的に一定になるよう設定されている。また、当該MMFにおいて、αの値は、2.0以上2.1以下である。コア中心からコアの外周までの半径方向に沿った距離で規定されるコアの半径(外周径)aは、20μm以上30μm以下である。環状領域の内周は、コアに接触するか所定距離離間するとともに、純粋シリカガラスを基準とした環状領域の比屈折率差Δ1は、−0.5%以上−0.1%以下である。また、波長850nmを含む、幅150nm以上の波長範囲における実効帯域は、2.25GHz・km以上である。

0025

なお、本実施形態におけるコアおよびクラッドとしては、当該MMFの母材製造時の脱水工程を含む複数工程を経て塩素(Cl)等の不純物が意図せず混入している状態も許容される。また、F濃度に関して「実質的に一定」とは、当該MMFの断面において半径方向に沿ったF濃度の変動幅(最大F濃度と最小F濃度の差の絶対値)、および、ファイバ軸に沿ったF濃度の変動幅の双方が、純粋シリカガラスを基準とした比屈折率差の変動に換算して±0.05%以下に安定している状態を意味する。

0026

(2)本実施形態の一態様として、波長850nmにおける伝送損失は、2.0dB/km以下であるのが好ましい。また、本実施形態の一態様として、波長850nmにおけるNAは、0.18以上0.22以下であるのが好ましい。

0027

(3)本実施形態の一態様として、環状領域は、当該環状領域の内周に一致した内周と当該環状領域の内周と外周との間に位置する外周を有するとともに、GeおよびFの双方を含む環状の境界層を含んでもよい。この場合、当該MMFの断面において、境界層におけるGe濃度は、コアの外周からクラッドの外周に向かって連続的に減少する一方、境界層におけるF濃度は半径方向およびファイバ軸の双方に沿って実質的に一定であるのが好ましい。

0028

(4)本実施形態の一態様として、環状領域は、半径方向に沿って1μm以上の厚みを有する第1環状層と、第1環状層を包囲する第2環状層を含んでもよい。この場合、当該MMFの曲げ損失耐性を向上させるため、純粋シリカガラスを基準とした第1環状層の比屈折率差Δ11は、純粋シリカガラスを基準とした第2環状層の比屈折率差Δ12よりも0.1%以上低いのが好ましい。本実施形態の一態様として、環状領域が上記の第1環状層および第2環状層を有する構成において、当該環状領域は、当該環状領域の内周と第1環状層の内周との間に設けられた、GeおよびFの双方を含む環状の境界層を含んでもよい。なお、このように環状領域が少なくとも境界層、第1環状層、および第2環状層を含む構成において、境界層におけるGe濃度は、コアの外周からクラッドの外周に向かって連続的に減少する一方、境界層におけるF濃度は半径方向およびファイバ軸の双方に沿って実質的に一定である。

0029

(5)本実施形態の一態様として、当該MMFの断面において、コア中心からクラッドの外周までの半径方向に沿った距離で規定されるクラッドの外周半径をbとするとき、環状領域の内周は、コア中心からの距離がa以上(a+b)/2以下の領域内に位置するのが好ましい。本実施形態の一態様として、クラッドは、コアと環状領域との間に設けられた、純粋シリカガラスからなる内側クラッドを含んでもよい。本実施形態の一態様として、コアと環状領域との間に内側クラッドが設けられた構成において、半径方向に沿った、内側クラッドの厚みは、0.1μm以上5μm以下であるのが好ましい。

0030

(6)本実施形態の一態様として、クラッドは、環状領域の外周と当該クラッドの外周との間に設けられた、純粋シリカガラスからなる外側クラッドを含んでもよい。この場合、当該MMFにおける曲げ損失耐性は更に向上する。本実施形態の一態様として、環状領域を取り囲む外側クラッドが設けられた構成において、半径方向に沿った、環状領域の厚みは、8μm以上20μm以下であるのが好ましい。

0031

以上、この[本願発明の実施形態の説明]の欄に列挙された各態様は、残りの全ての態様のそれぞれに対して、または、これら残りの態様の全ての組み合わせに対して適用可能である。

0032

[本願発明の実施形態の詳細]
本願発明に係るMMFの具体例を、以下に添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、これら例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図されている。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

0033

図1は、本実施形態に係るMMF100の内部構造(ファイバ軸AXに直交する断面を含む)の一例を模式的に示す図である。MMF100は、シリカガラスを主成分とするガラス領域と、ガラス領域の外周面上に設けられた樹脂被覆を備える。ガラス領域は、当該MMF100の中心軸に相当するファイバ軸AXに沿って延びたコア10と、コア10の外周面上に設けられたクラッド20により構成されている。図1の例では、樹脂被覆は、クラッド20の外周面上に設けられた一次被覆30と、一次被覆30の外周面上に設けられた二次被覆40により構成されている。また、当該MMF100において、これらコア10、クラッド20、一次被覆30、二次被覆40は略同心円状に配置されている。コア10は、屈折率制御剤としてGeのみが実質的に添加されたシリカガラスからなり、クラッド20は、少なくともFを含むシリカガラスからなる。

0034

なお、本実施形態におけるコア10には、当該MMF100の母材製造時の脱水工程等で意図せず混入した塩素(Cl)等を含んだ状態も含まれる。また、本実施形態の一例において、一次被覆30および二次被覆40は、紫外線硬化樹脂からなる。二次被覆40は、当該MMF100自体の識別のため、色を有していることが好ましい。また、二次被覆40は、当該MMF100自体の識別のため、最外層としてインクからなる着色層を含んでもよい。

0035

コア10の半径は24〜26μmであり、波長850nmにおけるNAは、0.18以上0.22以下である。これにより、広く用いられているVCSEL光源などへの接続が容易になる。クラッド20の直径は124〜126μmである。これにより、広く用いられているコネクタへの接続が容易になる。また、一次被覆30は、0.1〜1MPaのヤング率と190〜210μmの直径を有し、二次被覆40は、300〜3000MPaのヤング率と235〜265μmの直径を有する。これにより、当該MMF100の実使用時に生じる断続的な微小曲げマイクロベンド)による損失が低く抑えられる。

0036

特に、本実施形態に係るMMF100では、図2A図2Dに示されたように、コア10を連続的に取り囲むとともに、ファイバ軸AXおよび半径方向rの双方に沿ってF濃度が実質的に一定に設定された環状領域50A〜50Dがクラッド200内に設けられている。

0037

具体的に、図2Aには、環状領域の第1形成例として、クラッド20に一致した環状領域50Aが示されている。すなわち、環状領域50Aは、コア10の外周(コアエッジ)に一致した内周50Aaと、クラッド20の外周に一致した外周50Abを有する。図2Bには、環状領域の第2形成例として、クラッド20がコア10に隣接する環状領域50Bと、環状領域50Bの外側に位置する外側クラッド23を含む構成が示されている。この構成において、外側クラッド23は、純粋シリカガラスからなる。半径方向rで規定される環状領域50Bの厚みは、クラッド20よりも薄く、環状領域50Bは、コア10の外周に一致した内周50Baと、コア10の外周とクラッド20の外周の間に位置する外周50Bbを有する。図2Cには、環状領域の第3形成例として、クラッド20がコア10に隣接する内側クラッド24と、内側クラッド24の外側に位置する環状領域50Cを含む構成が示されている。この構成において、内側クラッド24は、純粋シリカガラスからなる。環状領域50Cの厚みは、クラッド20よりも薄く、環状領域50Cは、内側クラッド24の外周に一致した内周50Caと、クラッド20の外周に一致した外周50Cbを有する。さらに、図2Dには、環状領域の第4形成例として、クラッド20がコア10に隣接する内側クラッド24と、内側クラッド24の外側に位置する環状領域50Dと、さらに環状領域50Dの外側に位置する外側クラッド23を含む構成が示されている。この構成において、環状領域50Dは、内側クラッド24の外周に一致した内周50Daと、外側クラッド23の内周に一致した外周50Dbを有する。

0038

なお、上述の環状領域50A〜50Dは、何れも、互いにF濃度が異なる複数の環状層により構成されてもよい。また、半径方向rに沿った距離で規定されるクラッド20の外周半径をbとするとき、環状領域50A〜50Dの内周は、何れもコア10の断面中心(コア中心)からの距離がa以上(a+b)/2以下の領域内に位置する。図2Cおよび図2Dに示されたように、コア10と環状領域50C、50Dとの間に内側クラッド24が設けられた構成において、半径方向rに沿った、内側クラッド24の厚みは、0.1μm以上5μm以下に設定される。また、図2Bおよび図2Dに示されたように、環状領域50B、50Dの外側に外側クラッド23が設けられた構成において、半径方向rに沿った、環状領域50B、50Dの厚みは、8μm以上20μm以下に設定される。

0039

なお、以下の説明において、ある領域の屈折率をnとして、その領域の比屈折率差Δは、純粋シリカガラスの屈折率をn0として、以下の式(4)で表される。

0040

0041

また、α乗分布とは、中心軸を原点とする半径をr、コア半径をa、中心軸上での比屈折率差をΔ0、コア外縁での屈折率差をΔ0e、クラッドでの比屈折率差をΔ1として、コアおよびクラッドの比屈折率差Δが以下の式(5)で表される屈折率分布を指す。なお、製造上生じる添加物濃度バラツキや不純物の混入による屈折率のバラツキがあったとしても、式(5)におおよそ従っていればα乗分布とみなしてよい。

0042

0043

(第1実施形態)
図3Aには、第1実施形態に係るMMFの屈折率分布150Aの例、図3Bには、Ge濃度に由来する屈折率分布150Bの例、図3Cには、F濃度に由来する屈折率分布150Cの例がそれぞれ示されている。なお、図3Aに示された屈折率分布150Aは、図1に示されたMMF100の断面において、ファイバ軸AXが通過するコア10の断面中心から半径方向rに沿った各部位の比屈折率差Δを示し、図3Bに示された屈折率分布150Bは、半径方向rに沿った各部位の、Ge濃度に由来する比屈折率差Δ_Geを示し、図3Cに示された屈折率分布150Cは、半径方向rに沿った各部位の、F濃度に由来する比屈折率差Δ_Fを示す。また、図3A図3C横軸は、何れもコア半径aが1になるよう規格化された、コア10の断面中心からの距離(規格化半径)を示す。

0044

この第1実施形態に係るMMFにおいて、コアにはα乗分布に従ってGeが添加されるが、Fは添加されない。一方、クラッドには少なくとも一部に一定濃度のFが添加されるが、Geは添加されない。クラッド内には、F濃度が空間的に一様(実質的に一定)であり、かつ、コアに隣接した環状領域50Aまたは50Bが設定されている。すなわち、図3Bの屈折率分布150Bから分かるように、コアにおける比屈折率差Δ_Geは、ファイバ軸AXからコア外周に向かってα乗分布に従って減少する一方、クラッドにおけるΔ_Geは、0%である。また、図3Cの屈折率分布150Cから分かるように、コアにおける比屈折率差Δ_Fは、0%である一方、クラッドにおけるΔ_Fは、一定である。したがって、第1実施形態に係るMMFの屈折率分布150Aにおいて、コアとクラッド(環状領域50Aまたは50B)との界面付近において比屈折率差Δが不連続に変化している。なお、図3Aに示された屈折率分布150Aにおいても、図2Cおよび図2Dに示されたように、コアと環状領域50A(または50B)の間に内側クラッド(純粋シリカガラス)24が設けられてもよい。

0045

上述のような構造を有する第1実施形態に係るMMFについて、複数のサンプル(サンプル1〜サンプル5)を用意し、それぞれの物理量を測定した。なお、図6は、第1実施形態に係るサンプル1〜サンプル5および後述する比較例に係るサンプル1〜サンプル3それぞれの物理量として、構造パラメータおよび光学特性を纏めた表である。また、用意された第1実施形態のサンプル1〜サンプル5は、何れもクラッドに環状領域50A(図2A)が設定されている。

0046

すなわち、第1実施形態のサンプル1〜サンプル5それぞれにおいて、コアの断面中心におけるGe濃度に由来する比屈折率差Δ0_Geは、順に0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%である。コア10の外周上(コアエッジ)におけるGe濃度に由来する比屈折率差Δ0e_Ge、および、クラッド内におけるGe濃度に由来する比屈折率差Δ1_Geについては、何れのサンプルも0%である。Ge濃度分布に由来するα乗分布の形状を規定するα値α_Geは、サンプル1から順に2.059、2.056、2.049、2.046、2.043である。また、コアの断面中心におけるF濃度に由来する比屈折率差Δ0_F、および、コアの外周上(コアエッジ)におけるF濃度に由来する比屈折率差Δ0e_Fについては、何れのサンプルも0%である。クラッド内におけるF濃度に由来するΔ1_Fは、サンプル1から順に−0.1%、−0.2%、−0.3%、−0.4%、−0.5%、である。これら構造パラメータを総合したサンプル1〜サンプル5それぞれ全体として、コアの断面中心における比屈折率差Δ0は、順に0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%である。コアの外周上における比屈折率差Δ0eは、何れのサンプルも0%である。クラッドにおける比屈折率差Δ1は、サンプル1から順に−0.1%、−0.2%、−0.3%、−0.4%、−0.5%である。コアの比屈折率差とクラッドの比屈折率差との差(Δ0-Δ1)は、何れのサンプルも1%である。

0047

以上の構成を有するサンプル1〜5それぞれにおいて、EBが2.25GHz・km以上となるための最小波長(Min λ for EB ≧2.25)は、順に0.79μm、0.77μm、0.77μm、0.76μm、0.75μmであった。EBが2.25GHz・km以上となるための最大波長(Max λ for EB ≧2.25)は、サンプル1から順に0.95μm、0.95μm、0.98μm、0.98μm、0.97μmであった。EBが2.25GHz・km以上となるための波長範囲(λ range for EB ≧2.25)は、サンプル1から順に0.16μm、0.18μm、0.21μm、0.22μm、0.22μmであった。さらに、最大EB(Max EB)は、サンプル1から順に3.8GHz・km、4.0GHz・km、4.2GHz・km、4.1GHz・km、3.8GHz・kmであり、最大EMB(Max EMB)は、サンプル1から順に5.6GHz・km、5.7GHz・km、5.9GHz・km、5.7GHz・km、4.8GHz・kmであった。

0048

(比較例)
比較例に係るMMFの各サンプルは、図1と同一の断面構造を有する。なお、図4Aには、比較例に係るMMFのサンプル1の屈折率分布250Aの例、図4Bには、Ge濃度に由来する屈折率分布250Bの例、図4Cには、F濃度に由来する屈折率分布250Cの例がそれぞれ示されている。また、図5Aには、比較例に係るMMFのサンプル2、3の屈折率分布260Aの例、図5Bには、Ge濃度に由来する屈折率分布260Bの例、図5Cには、F濃度に由来する屈折率分布260Cの例がそれぞれ示されている。

0049

具体的に、図4Aおよび図5Aに示された屈折率分布250A、260Aそれぞれは、上述の第1実施形態と同様に、半径方向rに沿った各部位の比屈折率差Δを示し、図4Bおよび図5Bに示された屈折率分布250B、260Bそれぞれは、半径方向rに沿った各部位の、Ge濃度に由来する比屈折率差Δ_Geを示し、図4Cおよび図5Cに示された屈折率分布250C、260Cそれぞれは、半径方向rに沿った各部位の、F濃度に由来する比屈折率差Δ_Fを示す。また、図4A図4Cおよび図5A図5Cの横軸は、何れもコア半径aが1になるよう規格化された、コア10のファイバ軸AXからの距離を示す。

0050

図4A図4Cの屈折率分布250A〜250Cから分かるように、比較例のサンプル1において、コアにはα乗分布に従ってGeが添加されているが、Fは添加されていない。クラッドは純粋シリカガラスからなる。また、比較例のサンプル2、3それぞれは、広い波長範囲で大きなEBを有するMMFであり、図5A図5Cの屈折率分布260A〜260Cから分かるように、コアにはα乗分布に従ってGeが添加される一方、コアの断面中心から外周に向かってFの添加量も増加している。また、クラッドは純粋シリカガラスからなる。

0051

図4Aに示された屈折率分布250Aを有する比較例のサンプル1において、Δ0_Geは1%、Δ0e_GeおよびΔ1_Geは共に0%、α_Geは2.065である。また、Δ0_F、Δ0e_FおよびΔ1_Fは何れも0%である。これら構造パラメータを総合したサンプル1全体として、Δ0は1%、Δ0eおよびΔ1は共に0%、(Δ0-Δ1)は1%である。以上の構成を有するサンプル1において、(Minλ for EB ≧2.25)は0.80μm、(Max λfor EB ≧2.25)は0.94μm、(λ rangefor EB ≧2.25)は0.14μmであり、さらに、(MaxEB)は3.3GHz・km、(MaxEMB)は4.8GHz・kmであった。

0052

一方、図5Aに示された屈折率分布260Aを有する比較例のサンプル2、3それぞれにおいて、Δ0_Geは各サンプルとも1%である。サンプル2のΔ0e_Geは0.1%で、サンプル3のΔ0e_Geは0.2%である。Δ1_Geは各サンプルとも0%である。α_Geも各サンプルとも2.065である。また、Δ0_Fは各サンプルとも0%である。サンプル2のΔ0e_Fは−0.1%で、サンプル3のΔ0e_Fは−0.2%である。Δ1_Fは各サンプルとも0%であり、α_Fについても各サンプルとも2.065である。これら構造パラメータを総合したサンプル2全体およびサンプル3全体として、Δ0は各サンプルとも1%、Δ0eおよびΔ1は各サンプルとも0%、(Δ0-Δ1)は各サンプルとも1%である。以上の構成を有するサンプル2、3それぞれにおいて、サンプル2の(Min λ for EB ≧2.25)は0.79μm、サンプル3の(Min λ for EB ≧2.25)は0.78μmであった。サンプル2の(Max λ for EB ≧2.25)は0.94μm、サンプル3の(Max λ for EB ≧2.25)は0.94μmであった。サンプル2の(λ range for EB ≧2.25)は0.15μm、サンプル3の(λ range for EB ≧2.25)は0.17μmであった。さらにサンプル2の(Max EB)は3.3GHz・km、サンプル3の(Max EB)は3.3GHz・kmであった。サンプル2の(MaxEMB)は5.0GHz・km、サンプル3の(Max EMB)は5.0GHz・kmであった。

0053

(伝送特性)
以下、上述のように用意された第1実施形態に係るMMFのサンプル1〜サンプル5および比較例に係るMMFのサンプル1〜サンプル3それぞれの測定された伝送特性について評価する。なお、図7Aにおいて、グラフG700A1は、比較例のサンプル1の伝送特性(EBの波長依存性)、グラフG700A2は、比較例のサンプル2の伝送特性、グラフG700A3は、比較例のサンプル3の伝送特性をそれぞれ示す。図7Bにおいて、グラフG700B1は、第1実施形態のサンプル1の伝送特性(EBの波長依存性)、グラフG700B2は、第1実施形態のサンプル2の伝送特性、グラフG700B3は、第1実施形態のサンプル3の伝送特性、グラフG700B4は、第1実施形態のサンプル4の伝送特性、グラフG700B5は、第1実施形態のサンプル5の伝送特性をそれぞれ示す。また、図8Aにおいて、グラフG800A1は、比較例のサンプル1の伝送特性(EMBの波長依存性)、グラフG800A2は、比較例のサンプル2の伝送特性、グラフG800A3は、比較例のサンプル3の伝送特性をそれぞれ示す。図8Bにおいて、グラフG800B1は、第1実施形態のサンプル1の伝送特性(EMBの波長依存性)、グラフG800B2は、第1実施形態のサンプル2の伝送特性、グラフG800B3は、第1実施形態のサンプル3の伝送特性、グラフG800B4は、第1実施形態のサンプル4の伝送特性、グラフG800B5は、第1実施形態のサンプル5の伝送特性をそれぞれ示す。

0054

図7Aから分かるように、EBが高くなる波長範囲は、グラフG700A1、グラフG700A2、グラフG700A3の順に広がっている。また、図8Aから分かるように、グラフG800A1、グラフG800A2、グラフG800A3の順にEMBのピークが高くなり、同様の順に、EMBが高くなる波長範囲も広がっている。これは、MMFが有する相対的な比屈折率差(Δ0-Δ1=1%)をコアに添加されたGeの濃度に由来する比屈折率差とコアに添加されたFの濃度に由来する比屈折率差により実現することで、モード分散が低減されたことを示している。

0055

一方、図7Bから分かるように、グラフG700B1〜G700B5は、グラフG700A1と比較して、EBが高くなる波長範囲が広がっている。また、図8Bからも分かるように、グラフG800B1〜G800B5は、グラフG800A1と比較して、EMBのピークが高くなり、EMBが高くなる波長範囲も広がっている。これは、MMFが有する相対的な比屈折率差(Δ0-Δ1=1%)をコアに添加されたGeの濃度に由来する比屈折率差とクラッドに添加されたFの濃度に由来する比屈折率差で実現することで、モード分散が低減されたことを示している。

0056

なお、図6から分かるように、EBが2.25GHz・km以上となる波長範囲は、比較例のサンプル1よりも比較例のサンプル2、3の方が大きくなるが、それと同様またはそれ以上に、第1実施形態のサンプル1〜サンプル5の方が大きくなる。具体的に第1実施形態のサンプル1〜サンプル5において、EBが2.25GHz・km以上となる波長範囲は、波長850nmを含み、かつ、150nm以上の幅を有する。

0057

比較例のサンプル2、3は、何れもコアにGeとFの両方が含まれるため、MMFの比屈折率差の情報からGeおよびF濃度を知ることができない。MMFの比屈折率差の一つの例に対して、それを実現するGe濃度分布およびF濃度分布は無数にあり、それらの無数の濃度分布は異なる材料分散を持つため、幾つかの濃度分布ではEBが低下して製造されるMMFが品質不良となる。従来技術では、そのような品質不良となるMMFの母材(線引き前のファイバ母材)を屈折率分布の測定で検出することは難しい。そのため、品質不良の母材を線引きすることで歩留りが低下し、製造コストが増大する。それに対して上述の第1実施形態のサンプル1〜サンプル5では、コアおよびクラッドにはGeまたはFの一方しか添加されていない。そのため、線引き前の母材の屈折率差を測定した結果からGeまたはF濃度を知ることができ(良品母材の選別が可能になる)、MMFの製造歩留りを低下させることはない(低い製造コストの実現)。

0058

また、比較例のサンプル1〜サンプル3では、コアにΔ1%相当のGeが添加され、さらにFも添加されるため、伝送損失が高くなる(典型的には波長850nmにおいて2.1〜2.4dB/kmの伝送損失)。それに対して第1実施形態のサンプル1〜サンプル5では、コアに添加されるGeの濃度が比屈折率差換算で0.5%〜0.9%相当と低いため、伝送損失を低く抑えることができる。典型的には、第1実施形態において、波長850nmにおいて2.0dB/km以下の伝送損失が実現可能である。

0059

(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。図9中、点線で示された屈折率分布は、第1実施形態のサンプル1〜サンプル5の屈折率分布を示し、実線で示された屈折率分布が、第2実施形態に係るMMFの屈折率分布160である。なお、この第2実施形態に係るMMFも、構造上、第1実施形態にかかるMMFと同様な伝送特性が得られることは容易に類推可能である。

0060

この第2実施形態も図1に示された断面構造を有するとともに、図2Aに示されたように、クラッド20の全域にF濃度が空間的に一様(実質的に均一)に設定された環状領域50Aが設定されている。ただし、第2実施形態では、屈折率分布160の形状から分かるように、環状領域50Aがコア10に隣接する境界層(内側層)21と境界層21を包囲する外側層22により構成されている。特に、コア10に隣接する境界層21にはFとともにGeが共添加されており、Ge濃度がコア10に向かって増大することで、コア10とクラッド20との界面付近における比屈折率差Δを連続的に変化させている。なお、境界層21の厚みは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。

0061

第1実施形態の屈折率分布150Aは、コア10とクラッド20の界面付近において比屈折率差Δの不連続な変化を持つため、コア10の外側に光強度を持つ高次モードの群遅延が変化する。これらの高次モードはVCSELではほとんど励振されないため、VCSELを想定した帯域指標であるEBには影響がほとんどないが、古くから用いられており低速だが低コストである発光ダイオードLED:Light Emitting Diode)を想定した帯域指標であるOFL帯域(Over-FilledLaunch)には影響し得る。一方、第2実施形態の屈折率分布160では、コア10とクラッド20の界面付近における比屈折率差Δの不連続変化が低減されており、OFL帯域を改善することができる。なお、従来技術と同様にGeとFが共添加された境界層21では屈折率分布からGe濃度およびF濃度を知ることができない問題は生じるが、この部分はEBへ影響を生じないため、広い波長範囲で高いEBを持つMMFを実現する上では障害とならない。

0062

(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。図10中、点線で示された屈折率分布は、第2実施形態に係るMMFの屈折率分布160を示し、実線で示された屈折率分布が、第3実施形態に係るMMFの屈折率分布170である。なお、この第3実施形態に係るMMFも、構造上、第1実施形態にかかるMMFと同様な伝送特性が得られることは容易に類推可能である。

0063

この第3実施形態も図1に示された断面構造を有するが、図2Bに示されたように、コア10に隣接する環状領域50Bの外側に、純粋シリカガラスからなる外側クラッド23が設けられている点で、第2実施形態とは異なる。すなわち、第3実施形態の屈折率分布170は、クラッド20が外側クラッド23を含む点を除き、第2実施形態に係る屈折率分布160と同じ構造を有する。また、環状領域50BのF濃度は、第1および第2実施形態と同様に、均一であり、環状領域50Bが二重構造(内側層である境界層21および外側層22)を有する点も第2実施形態(屈折率分布160)と同様である。なお、第3実施形態において、環状領域50Bの外周半径は、30〜45μmである。光源からMMFへの接続およびMMFからMMFへの接続では、配置のズレなどにより伝送損失が大きい高次モードが励振される。その結果、伝送帯域の変化が生じるが、環状領域50Bの外側に外側層22よりも屈折率の高い外側クラッド23が設けられた構成では、高次モードが外側クラッド23に漏洩することで早く減衰するため、高次モードによる伝送特性の変化が効果的に抑制され得る。

0064

(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係るMMFの屈折率分布の一例である。図11中、点線で示された屈折率分布は、第3実施形態に係るMMFの屈折率分布170を示し、実線で示された屈折率分布が、第4実施形態に係るMMFの屈折率分布180である。なお、この第2実施形態に係るMMFも、構造上、第1実施形態にかかるMMFと同様な伝送特性が得られることは容易に類推可能である。

0065

この第4実施形態も図1に示された断面構造を有し、クラッド20は、第3実施形態と同様に、環状領域50Bと外側クラッド23を含む。さらに、第4実施形態の環状領域50Bは、第3実施形態と同様に、コア10に隣接する境界層(内側層)21と外側層22で構成されているが、外側層22が二重構造を有する点で、第3実施形態と異なる。すなわち、この第4実施形態の屈折率分布180では、外側層22が第1環状層22aと、第1環状層22aを包囲する第2環状層22bから構成されている。

0066

この第4実施形態において、コア10の断面中心における比屈折率差Δと第2環状層22bの比屈折率差Δとの差は、第1実施形態のサンプル1〜5と同様に1%である。第1環状層22aは、第2環状層22bよりも0.1%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上低い比屈折率差Δを有する。第1環状層22aの厚みは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。環状領域50Bの外側層22内に、第2環状層22bよりも屈折率の低い第1環状層22aが設けられることにより、曲げによる光学損失が低減され得る。典型的には、波長850nmにおいて、半径15mmに1ターン巻かれたときの損失増加が0.1dB以下に抑制される。

0067

以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。

0068

100…MMF(マルチモード光ファイバ)、10…コア、20…クラッド、21…境界層(内側層)、22…外側層、22a…第1環状層(外側層の一部)、22b…第2環状層(外側層の一部)、23…外側クラッド、24…内側クラッド、30…一次被覆(樹脂被覆)、40…二次被覆(樹脂被覆)、50A〜50D…環状領域。

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