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技術 電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 吉村学矢部達也伊藤隆史
出願日 2017年11月1日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2017-212165
公開日 2018年2月1日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2018-017741
状態 特許登録済
技術分野 絶縁性に関する試験
主要キーワード 高電圧部位 接地部位 外部放電 電子雪崩 高速現象 金属容器間 電子付着 放電センサ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することが可能な電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置を提供する。

解決手段

この部分放電検出装置10は、複数回の放電を検出し、複数回の放電の時間間隔Tiを求め、しきい値時間Tthよりも短い時間間隔Tiで放電が発生している場合は金属容器2内で部分放電が発生したと判別し、しきい値時間Tthよりも長い時間間隔Tiのみで放電が発生している場合は金属容器2外で放電が発生したと判別する。したがって、ガス絶縁開閉装置1の金属容器2内で発生する部分放電と金属容器2外で発生する放電とを容易に識別できる。

概要

背景

ガス絶縁開閉装置などの電力機器は、一般的に、高電圧部位接地された金属容器内収納し、外部からのアクセスに対して安全性を確保できる構造をとっている。このような電力機器では、高電圧部位と接地部位との間は固体絶縁物絶縁ガスなどにより絶縁される。

しかし、金属容器内に何らかの原因により金属異物混入した場合、高電圧ストレスにより固体絶縁物が劣化した場合、高電圧部位に電界集中するような形状の突起ができた場合、浮遊電位となる浮き電極ができた場合に、絶縁性能が低下して絶縁破壊に至る恐れがある。このため、電力機器の絶縁破壊を未然に防いで信頼性を高めるために、絶縁性能低下の予兆である部分放電を検出することが重要である。

たとえば特開平10−26650号公報(特許文献1)には、部分放電パルス時間間隔頻度分布に2つのピークが生じる場合は、導電性異物ファイフライを起こしており、絶縁破壊の危険度が高いと判断する部分放電診断方法が開示されている。頻度分布のピークは、0〜40μsの領域と40μs以上の領域の各々で発生する。なお、ファイアフライとは、導電性異物が高電圧部位に垂直に突出するような状態で運動することをいう。

また、部分放電を検出する場合、電力機器内の部分放電と、電力機器外で発生する放電による電磁ノイズとを識別する必要がある。たとえば、架空線から電力機器へ電流を導入するブッシング先端のシールド部や、架空線の碍子沿面などで放電による電磁ノイズが発生することがある。この電磁ノイズは電力機器内の放電と周波数スペクトルが類似しているので、従来技術による識別は容易でない。

たとえば特開2005−156452号公報(特許文献2)には、ある部分放電の電圧位相角と次の部分放電発生までの時間間隔の相関図を作成し、その相関図のパターンから電力機器内の部分放電と外部ノイズとを識別する方法が開示されている。

概要

電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することが可能な電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置を提供する。この部分放電検出装置10は、複数回の放電を検出し、複数回の放電の時間間隔Tiを求め、しきい値時間Tthよりも短い時間間隔Tiで放電が発生している場合は金属容器2内で部分放電が発生したと判別し、しきい値時間Tthよりも長い時間間隔Tiのみで放電が発生している場合は金属容器2外で放電が発生したと判別する。したがって、ガス絶縁開閉装置1の金属容器2内で発生する部分放電と金属容器2外で発生する放電とを容易に識別できる。

目的

この発明の主たる目的は、電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することが可能な電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

絶縁ガス封入された金属容器内導体が設けられ、前記導体および前記金属容器間商用周波数以下の周波数交流高電圧印加される電力機器において前記金属容器内の部分放電を検出する方法であって、複数回の放電を検出する第1のステップと、前記複数回の放電の各放電と前記各放電の次に発生する放電との時間間隔発生頻度ピーク値を求め、前記ピーク値が予め定められたしきい値時間よりも短い時間間隔にある場合は前記金属容器内で前記部分放電が発生したと判別し、前記ピーク値が前記しきい値時間よりも長い時間間隔のみにある場合は前記金属容器外で放電が発生したと判別する第2のステップとを含む、電力機器の部分放電検出方法

請求項2

前記しきい値時間は、大気中放電の時間間隔の下限値である、請求項1に記載の電力機器の部分放電検出方法。

請求項3

前記しきい値時間は100μsである、請求項2に記載の電力機器の部分放電検出方法。

請求項4

絶縁ガスが封入された金属容器内に導体が設けられ、前記導体および前記金属容器間に商用周波数以下の周波数の交流高電圧が印加される電力機器において前記金属容器内の部分放電を検出する装置であって、複数回の放電を検出する放電センサと、前記複数回の放電の各放電と前記各放電の次に発生する放電との時間間隔の発生頻度のピーク値を求め、前記ピーク値が予め定められたしきい値時間よりも短い時間間隔にある場合は前記金属容器内で前記部分放電が発生したと判別し、前記ピーク値が前記しきい値時間よりも長い時間間隔のみにある場合は前記金属容器外で放電が発生したと判別する判別部とを備える、電力機器の部分放電検出装置

請求項5

前記しきい値時間は、大気中放電の時間間隔の下限値である、請求項4に記載の電力機器の部分放電検出装置。

請求項6

前記しきい値時間は100μsである、請求項5に記載の電力機器の部分放電検出装置。

技術分野

0001

この発明は電力機器部分放電検出方法および部分放電検出装置に関し、特に、絶縁ガス封入された金属容器内導体が設けられ、導体および金属容器間高電圧印加される電力機器において金属容器内の部分放電を検出する電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置に関する。

背景技術

0002

ガス絶縁開閉装置などの電力機器は、一般的に、高電圧部位接地された金属容器内に収納し、外部からのアクセスに対して安全性を確保できる構造をとっている。このような電力機器では、高電圧部位と接地部位との間は固体絶縁物や絶縁ガスなどにより絶縁される。

0003

しかし、金属容器内に何らかの原因により金属異物混入した場合、高電圧ストレスにより固体絶縁物が劣化した場合、高電圧部位に電界集中するような形状の突起ができた場合、浮遊電位となる浮き電極ができた場合に、絶縁性能が低下して絶縁破壊に至る恐れがある。このため、電力機器の絶縁破壊を未然に防いで信頼性を高めるために、絶縁性能低下の予兆である部分放電を検出することが重要である。

0004

たとえば特開平10−26650号公報(特許文献1)には、部分放電パルス時間間隔頻度分布に2つのピークが生じる場合は、導電性異物ファイフライを起こしており、絶縁破壊の危険度が高いと判断する部分放電診断方法が開示されている。頻度分布のピークは、0〜40μsの領域と40μs以上の領域の各々で発生する。なお、ファイアフライとは、導電性異物が高電圧部位に垂直に突出するような状態で運動することをいう。

0005

また、部分放電を検出する場合、電力機器内の部分放電と、電力機器外で発生する放電による電磁ノイズとを識別する必要がある。たとえば、架空線から電力機器へ電流を導入するブッシング先端のシールド部や、架空線の碍子沿面などで放電による電磁ノイズが発生することがある。この電磁ノイズは電力機器内の放電と周波数スペクトルが類似しているので、従来技術による識別は容易でない。

0006

たとえば特開2005−156452号公報(特許文献2)には、ある部分放電の電圧位相角と次の部分放電発生までの時間間隔の相関図を作成し、その相関図のパターンから電力機器内の部分放電と外部ノイズとを識別する方法が開示されている。

先行技術

0007

特開平10−26650号公報
特開2005−156452号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、特許文献1では、導電性異物がファイアフライを起こしていることを検出できても、部分放電と外部ノイズを識別することはできなかった。

0009

また、特許文献2では、ある部分放電の電圧位相角と当該部分放電から次の部分放電までの時間間隔との相関図を作成し、その相関図のパターンから電力機器内の部分放電と外部ノイズとを識別するので、識別方法が複雑になるという問題があった。また、その相関図を用いて部分放電とノイズを区別する手段は開示されておらず、さらに、放電の時間間隔を用いて部分放電とノイズを区別する手段も開示されていない。

0010

それゆえに、この発明の主たる目的は、電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することが可能な電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

この発明に係る電力機器の部分放電検出方法は、絶縁ガスが封入された金属容器内に導体が設けられ、導体および金属容器間に商用周波数、もしくはそれ以下の周波数交流高電圧が印加される電力機器において金属容器内の部分放電を検出する方法であって、複数回の放電を検出する第1のステップと、複数回の放電の時間間隔を求め、SFガス中放電の時間間隔と大気中放電の時間間隔との間に定められたしきい値時間よりも短い時間間隔で放電が発生している場合は金属容器内で部分放電が発生したと判別し、しきい値時間よりも長い時間間隔のみで放電が発生している場合は金属容器外で放電が発生したと判別する第2のステップとを含む。

0012

また、この発明に係る電力機器の部分放電検出装置は、絶縁ガスが封入された金属容器内に導体が設けられ、導体および金属容器間に商用周波数、もしくはそれ以下の周波数の交流高電圧が印加される電力機器において金属容器内の部分放電を検出する装置であって、複数回の放電を検出する放電センサと、複数回の放電の時間間隔を求め、SF6ガス中放電の時間間隔と大気中放電の時間間隔との間に定められたしきい値時間よりも短い時間間隔で放電が発生している場合は金属容器内で部分放電が発生したと判別し、しきい値時間よりも長い時間間隔のみで放電が発生している場合は金属容器外で放電が発生したと判別する判別部とを備える。

発明の効果

0013

この発明に係る電力機器の部分放電検出方法および部分放電検出装置では、複数回の放電の時間間隔を求め、SF6ガス中放電の時間間隔と大気中放電の時間間隔との間に定められたしきい値時間よりも短い時間間隔で放電が発生している場合は金属容器内で部分放電が発生したと判別し、しきい値時間よりも長い時間間隔のみで放電が発生している場合は金属容器外で放電が発生したと判別する。したがって、電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することができる。

図面の簡単な説明

0014

この発明の実施の形態1によるガス絶縁開閉装置の部分放電検出装置の構成を示すブロック図である。
図1に示した部分放電検出装置の動作を示すフローチャートである。
図1に示した高電圧導体に印加される交流電圧と部分放電との関係を示すタイムチャートである。
図1に示したガス絶縁開閉装置において放電を起こす恐れがある放電源を示す図である。
図4に示した高電圧突起で発生した放電の時間間隔の頻度を示すヒストグラムである。
図4に示した浮き電極で発生した放電の時間間隔の頻度を示すヒストグラムである。
図4に示した沿面欠陥で発生した放電の時間間隔の頻度を示すヒストグラムである。
図4に示したシールド突起で発生した放電の時間間隔の頻度を示すヒストグラムである。
SF6ガス中の放電と大気中の放電とで時間間隔が異なる理由を説明するための図である。
この発明の実施の形態2による部分放電検出装置の動作を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態3による部分放電検出装置の動作を示すフローチャートである。

実施例

0015

実施の形態1.
本発明の実施の形態1による部分放電検出装置10は、図1に示すように、ガス絶縁開閉装置1(電力機器)内の部分放電を検出するものである。ガス絶縁開閉装置1は、金属容器2を備える。金属容器2は、円筒状に形成されており、その両端は塞口されている。金属容器2内には、高電圧導体3が設けられている。高電圧導体3は、金属容器2と同軸状に配置されており、その中央部は絶縁材料で形成された支持体4によって支持されている。金属容器2は、接地される。高電圧導体3と金属容器2の間には、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の交流高電圧が印加される。

0016

また、金属容器2の外周面の一方端部には、ブッシング5およびシールド6が設けられている。高電圧導体3の一方端は、ブッシング5およびシールド6を介して架空線(図示せず)に接続されている。また、金属容器2内には、絶縁ガスとしてSF6(六フッ化硫黄ガス7が封入されている。SF6ガスの代わりに、窒素、空気、CO2(二酸化炭素)、CF4(四フッ化炭素)のようなハロゲン系ガスなど、またはそれらの混合ガスが封入されていてもよい。

0017

部分放電検出装置10は、放電センサ11、検波部12、波高値判定部13、A/D(Analog/Digital)変換部14、デジタル信号処理部15、放電判定部16、および報知部17を備える。放電センサ11としては、たとえば、放電から放射される電磁波を検出する電磁波アンテナが使用される。

0018

なお、放電から放射される電磁波の周波数成分は数KHzから数GHzまでの広帯域に亘るので、外来ノイズのない周波数を選択してS/N(signal/noise)比を向上させる必要がある。外来電磁波ノイズ低周波領域で多く、高周波になればなるほど小さくなる傾向がある。このため、電磁波アンテナによって検出する電磁波として、数100MHz以上の周波数帯域いわゆるUHF帯と呼ばれる周波数帯域の電磁波を選択することが一般的である。

0019

また、放電センサ11として、電磁波アンテナの代わりに、AE(Acoustic Emission)センサ面電流センサ、接地線電流検知器など、放電が発生する信号を捕らえられるものを使用してもよい。

0020

検波部12は、放電センサ11の出力信号後段電気回路で容易に処理することが可能な波形の信号に変換する。波高値判定部13は、検波部12の出力信号の波高値VHと所定のしきい値電圧Vthとを比較し、検波部12の出力信号のうちの、所定のしきい値電圧Vthよりも大きな波高値VHを持つ信号のみを後段の回路に通過させる。A/D変換部14は、波高値判定部13を通過したアナログ信号デジタル信号に変換する。

0021

デジタル信号処理部15は、A/D変換部14からのデジタル信号とその次に入力されるデジタル信号との時間間隔Tiを計測し、時間間隔Tiの発生頻度(回)をヒストグラム化する。放電判定部16は、デジタル信号処理部15で作成されたヒストグラムに基づいて、放電が金属容器2内で発生した部分放電か金属容器2外で発生した放電かを判別し、判別結果を示す信号φ16を出力する。

0022

具体的には放電判定部16は、デジタル信号処理部15によって作成されたヒストグラムにおいて、所定のしきい値時間Tth以下に頻度が存在するか否かを判別し、判別結果に基づいて信号φ16を生成する。しきい値時間Tthは、100μsである。

0023

放電判定部16は、しきい値時間Tth以下に頻度が存在する場合は、金属容器2内で部分放電が発生したと判別し、信号φ16を活性化レベルの「H」レベルにする。また、放電判定部16は、しきい値時間Tth以下に頻度が存在しない場合、すなわちしきい値時間Tth以上のみに頻度が存在する場合は、金属容器2外で放電が発生したと判別し、信号φ16を非活性化レベルの「L」レベルにする。なお、しきい値時間Tth以下に頻度が存在するか否かと放電との関係については、後で詳細に説明する。

0024

報知部17は、信号φ16が「H」レベルにされた場合は、金属容器2内で部分放電が発生した旨をガス絶縁開閉装置1の使用者に報知する。報知方法としては、モニタ画面文字、画像などを表示する方法、ブザーなどを用いて音によって報知する方法、ランプなどを用いて光によって報知する方法などがある。

0025

図2は、部分放電検出装置10の動作を示すフローチャートである。ステップS1において、放電センサ11によって放電を検出する。ステップS2において、放電センサ11の出力信号が検波部12によって検波され、電気回路によって処理し易い波形の信号に変換される。ステップS3において、検波部12の出力信号の波高値VHが所定のしきい値電圧Vthよりも大きいか否かが波高値判定部13によって判別され、VH>Vthでない場合はステップS1に戻り、Vh>Vthである場合はステップS4に進む。

0026

ステップS4において、波高値判定部13を通過した信号がA/D変換部14によってデジタル信号に変換され、そのデジタル信号に基づき、デジタル信号処理部15によって各連続する2回の放電の時間間隔Tiが計測される。また、ステップS5において、デジタル信号処理部15によって時間間隔Tiの頻度がヒストグラム化される。

0027

ステップS6において、ヒストグラムにおいてしきい値時間Tth以下に頻度が存在するか否かが放電判定部16によって判別され、頻度が存在しない場合はステップS1に戻り、頻度が存在する場合はステップS7に進む。しきい値時間Tthは、100μsである。ステップS7では、報知部17によって金属容器2内で部分放電が発生したこと、すなわち絶縁破壊が起こる可能性が高いことがガス絶縁開閉装置1の使用者に報知される。これに応じて使用者は、ガス絶縁開閉装置1のメンテナンスを行なう。

0028

次に、ガス絶縁開閉装置1で発生する放電について説明する。放電は、1発単体で見ると発生から消滅まで数nsから数10nsでパルス的に発生する高速現象である。また、放電は、条件によっては数μs以下から数msの時間間隔Tiで連続的に発生する特徴がある。放電の時間間隔Tiは、放電源によって異なる。また、放電は、印加電圧に対する連動性も有しており、電圧位相に同期して、位相角度が大体同じところで繰り返されることが多い。印加電圧は通常50Hz〜60Hzで運用されることがほとんどであるので、電圧周期の時間は約16msから20msである。

0029

図3(a)は高電圧導体3に印加される交流電圧VACの波形を示すタイムチャートであり、図3(b)は放電センサ11の出力信号φ11を示すタイムチャートであり、図3(c)は図3(b)のA部を拡大した図である。図3(a)〜(c)において、2周期分の交流電圧VACが示されており、交流電圧VACは正弦波状に変化する。放電1回はパルス状の波形で観測され、印加電圧VACのある特定の位相角放電パルスが観測される。図3(a)〜(c)では、交流電圧VACの最大電圧付近で発生する部分放電が示されている。部分放電がどの位相角度で交流電圧VACと連動するかは放電源で異なる。

0030

図4は、ガス絶縁開閉装置1において放電を起こす恐れがある放電源20〜25を示す図である。図4において、ガス絶縁開閉装置1の部分放電を起こす恐れがある放電源としては、高電圧導体3の突起(高電圧突起)20、高電圧導体3に付着しているが高電圧導体3と電気的な接続が切れた浮き電極21、支持体4の内部欠陥22、支持体4の沿面部の欠陥(沿面欠陥)23、SF6ガスに混入した金属異物24などがある。また、ガス絶縁開閉装置1において外部放電を起こす恐れがある放電源としては、ブッシング5先端に取り付けられたシールド6の突起(シールド突起)25がある。

0031

放電源の種別が明確に異なる場合は、印加電圧周期に連動する放電の特徴から放電源の種別を特定することは可能である。しかし、高電圧突起20とシールド突起25のように放電源の種別が同様である場合は、印加電圧周期に連動する放電の特徴からそれらを識別することは困難である。放電の時間間隔Tiの特徴を利用すると、高電圧突起20とシールド突起25を識別することが可能となる。

0032

図3(a)〜(c)で示すように、交流電圧VACの半周期内に複数の部分放電が発生する場合が多く、ここで言う放電時間間隔Tiは交流電圧VACの半周期内に現れる2つの部分放電の時間差を指す。時間差の定義からは交流電圧VACの半周期分の時間間隔Tiも含まれるが、そのような時間間隔Tiの発生頻度は少なく、電圧位相の半周期分内に発生する部分放電の時間間隔Tiの発生頻度が多い。

0033

図5図8は、それぞれ高電圧突起20、浮き電極21、沿面欠陥23、シールド突起25で発生した放電の時間間隔Tiの頻度を示すヒストグラムである。図5図7はSF6ガス中で発生した放電を示し、図8は大気中で発生した放電を示している。図5図8にはそれぞれ特徴があるが、SF6ガス中の放電では数μs付近から頻度が発生しているのに対し(図5図7)、大気中の放電では約100μs以上にならないと頻度が発生しない。

0034

したがって、図5図8の特性を利用すると、放電の時間間隔Tiを計測し、時間間隔Tiの頻度を示すヒストグラムを作成し、しきい値時間Tthを100μsに設定すれば、SF6ガス中の放電と大気中の放電とを識別することができる。すなわち、100μs以下のみに放電頻度が検出された場合、または100μs以上とともに100μs以下に放電頻度が検出された場合は、SF6ガス中(金属容器2内)で部分放電が発生したと判別することができる。また、100μs以上のみに放電頻度が検出された場合は、大気中(金属容器2外)で放電が発生したと判別することができる。したがって、金属容器2内で部分放電が発生した場合だけ、その旨を報知することができる。

0035

次に、放電が発生する気体の種類によって放電の時間間隔Tiが異なる理由について説明する。図9(a)はSF6ガス中における部分放電の状態を模式的に示す図であり、図9(b)は大気中における放電の状態を模式的に示す図である。図9(a)(b)のいずれの場合においても、棒状電極30の先端を所定の隙間を開けて平板電極31の表面に対向させて配置し、棒状電極30の基端と平板電極31の間に交流電圧VACを印加し、棒状電極30の先端部で部分放電を発生させた。図9(a)(b)から分かるように、SF6ガス中における部分放電形成領域32よりも大気中における部分放電形成領域33の方が大きくなった。

0036

ここで、部分放電の発生の様子について説明する。ガス中には、宇宙線衝突エネルギーなどによってガス分子から電離した電子が一定の割合で存在する。棒状電極30に電圧を印加すると、そのような電子が電界によって加速されてガス分子と衝突し、電子を増加させる電子雪崩が発生する。電子雪崩がある程度の大きさに成長すると、ストリーマ放電と呼ばれる放電が発生する。これが部分放電である。ストリーマ形成条件は、次式(1)で表わされる。

0037

0038

ここで、Nは電子の個数、Xcは電子雪崩の生成距離、αは電離係数、ηは電子付着係数、xは距離、Kは10から13の定数、pはガス圧力である。(α−η)/pはガス種によって異なる。たとえばSF6ガスの場合は、次式(2)で表わされる。
(α−η)/p=27.7(E/p−88.9) …(2)
また、大気の場合は次式(3)で表わされる。
(α−η)/p=0.211(E/p−24.0)2 …(3)
ここで、ガス圧力pの単位はatmであり、Eは電界であり、電界Eの単位はkV/cmである。

0039

成立条件の距離Xcはガス種によって異なり、SF6ガス中では数10μm、大気中では数mmと計算される。大気中の方がSF6ガス中比べ、ストリーマの成立距離が長いため、図9(a)(b)で示したように部分放電の領域も必然と大きくなる。ストリーマの成立は電気力線に沿って形成されるため、図9(a)(b)で示したように、棒状電極30の場合は先端部の周囲で形成される。

0040

ストリーマまたは電子雪崩が発生した後、部分放電が発生するような不平等電界下では、急激に電界も下がるためストリーマまたは電子雪崩の進展も停止する。その後空間には生成されたイオンが残り、これが電界を緩和させるので、直ぐには次の部分放電は発生できない。このため、放電の時間間隔Tiが発生する。

0041

また、電界緩和の原因となるイオンは熱運動によって拡散したり、電界によってドリフトしたりするので、時間経過に伴って電界緩和が小さくなる。したがって、先の放電が停止した後に、棒状電極30に電圧VACが印加されていれば次の放電が発生する。熱運動による拡散速度と電界によるドリフト速度については、空気分子がSF6分子よりも速い。しかし、それらの速度比は2倍程度であり、次の放電が開始するまでの時間は電界緩和がおこるイオンの空間の大きさの影響の方が大きく、先に述べたように大気中の放電が時間を要することとなる。したがって、図5図8に示したようにSF6ガス中の放電の時間間隔Tiは大気中の放電の時間間隔Tiよりも小さくなる。

0042

以上のように、本実施の形態1によれば、部分放電の種類を識別することができ、たとえば放電が発生している気体の種類を識別することができる。したがって、SF6ガス中の放電と大気中の放電とを識別することができ、金属容器2内の部分放電と金属容器2外の放電とを識別することができる。このため、外部放電による部分放電検出装置10の誤動作を防止することができ、部分放電検出装置10の信頼性を高めることができる。

0043

また、部分放電の電圧位相角と時間間隔との相関図を作成し、その相関図のパターンから電力機器内の部分放電と外部ノイズとを識別する特許文献2に比べ、電力機器内で発生する部分放電と電力機器外で発生する放電とを容易に識別することができる。

0044

実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2による部分放電検出装置の動作を示すフローチャートであって、図2と対比される図である。図10のフローチャートが図1のフローチャートと異なる点は、ステップS6がステップS6Aで置換されている点である。

0045

ステップS6Aにおいて、ヒストグラムにおける時間間隔Tiのピーク値Tipがしきい値時間Tth(=100μs)よりも小さいか否かを判別し、Tip>Tthである場合は大気中で放電が発生したと判断してステップS1に戻り、Tip<Tthである場合はSF6ガス中で部分放電が発生したと判断してステップS7に進む。ステップS7では、金属容器2内で部分放電が発生したことを使用者に報知する。

0046

図5図8から分かるように、どのような放電源であっても放電時間間隔Tiの発生頻度は必ずピーク値Tipを持つ。この実施の形態2では、ヒストグラムにおける時間間隔のピーク値Tipに基づいて金属容器2内の部分放電と金属容器2外の放電とを識別するので、それらを容易かつ正確に識別することができる。

0047

実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3による部分放電検出装置の動作を示すフローチャートであって、図2と対比される図である。図11のフローチャートが図2のフローチャートと異なる点は、ステップS6とS7の間にステップS10〜S13が追加されている点である。

0048

ステップS10において、ヒストグラムのばらつき状態を示す半値幅を検出し、その半値幅が数μsよりも小さな第1領域と、数μs〜300μsの第2領域と、300μsよりも大きな第3領域とのうちのどの領域に入るかを判別する。たとえば、図5図7の特性を利用し、半値幅が第1領域に入る場合はステップS11で浮き電極21で部分放電が発生したと判別し、ステップS7でその旨を報知する。また、半値幅が第2領域に入る場合はステップS12において高電圧突起20で部分放電が発生したと判別し、ステップS7でその旨を報知する。また、半値幅が第3領域に入る場合はステップS13において沿面欠陥23で部分放電が発生したと判別し、ステップS7でその旨を報知する。

0049

この実施の形態3によれば、ヒストグラムの半値幅に基づいて金属容器2内の放電源(放電の原因)を識別することができる。その結果、故障箇所を特定することができ、絶縁不良箇所を修復する作業時間を大幅に短縮することができる。したがって、より高度で信頼性の高い部分放電検出装置を得ることができる。

0050

なお、上記実施の形態1〜3では、電力機器がガス絶縁開閉装置1である場合について説明したが、電力機器はガス絶縁変圧器でもよいし、他の機器でもよい。

0051

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0052

1ガス絶縁開閉装置、2金属容器、3高電圧導体、4支持体、5ブッシング、6シールド、7SF6ガス、10部分放電検出装置、11放電センサ、12検波部、13波高値判定部、14 A/D変換部、15デジタル信号処理部、16放電判定部、17報知部、20高電圧突起、21浮き電極、22内部欠陥、23 沿面欠陥、24金属異物、25シールド突起、30棒状電極、31平板電極、32,33部分放電形成領域。

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