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技術 自動変速機の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
発明者 太田圭祐塚本典弘珍部友宏佐川歩高井宏将平野将貴
出願日 2016年7月28日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-148162
公開日 2018年2月1日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-017319
状態 特許登録済
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード 現在目標 制御操作量 適合作業 掛け替え クラッチ発熱量 歯車比 各目標値 回転速度変化量
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

中間変速段を経由させる複数変速が行われる場合において、この複数変速を円滑に行うことができる自動変速機制御装置を提供する。

解決手段

中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフトの要求時、中間変速段に向けての変速制御中におけるトルク相開始時のサージ油圧を、要求変速段に向けての変速制御中におけるトルク相開始時のサージ油圧よりも低く設定する。これにより、変速開始前の変速段から要求変速段までの間のダウンシフト制御での回転変化中盤入力軸回転速度変化率が小さくなってしまうことを抑制でき、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができる。また、要求変速段の成立時には、サージ油圧が高く設定されていることにより、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合することになり、入力軸回転速度の吹き上がりを抑制することができる。

概要

背景

従来、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段のうちの1つを成立させる自動変速機が知られている。この種の自動変速機において、変速時間の短縮化変速ショックの軽減を図るためには、摩擦係合要素に対して供給される油圧係合側の摩擦係合要素に供給される油圧)および排出される油圧(解放側の摩擦係合要素から排出される油圧)の制御を高い精度で行う必要がある。

特許文献1には、パワーオンダウンシフト時に、自動変速機の状態に基づいて変速の遅延を示す条件が成立した場合には、係合側の摩擦係合要素に供給される油圧に対応する指令値を予め定められた時間だけステップ的に上昇させるサージ油圧制御を実行することが開示されている。このサージ油圧制御により、係合側の摩擦係合要素に供給される油圧の応答遅れを抑制することができる。

概要

中間変速段を経由させる複数変速が行われる場合において、この複数変速を円滑に行うことができる自動変速機の制御装置を提供する。中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフトの要求時、中間変速段に向けての変速制御中におけるトルク相開始時のサージ油圧を、要求変速段に向けての変速制御中におけるトルク相開始時のサージ油圧よりも低く設定する。これにより、変速開始前の変速段から要求変速段までの間のダウンシフト制御での回転変化中盤入力軸回転速度変化率が小さくなってしまうことを抑制でき、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができる。また、要求変速段の成立時には、サージ油圧が高く設定されていることにより、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合することになり、入力軸回転速度の吹き上がりを抑制することができる。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中間変速段を経由させる複数変速が行われる場合において、この複数変速を円滑に行うことができる自動変速機の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段のうちの1つを成立させると共に、パワーオンダウンシフトが要求された際、現変速段運転状態に応じて要求される要求変速段との間に2段以上の変速段差が生じた場合に、これら変速段の間に中間変速段を経由させる複数変速が可能な有段式の自動変速機に適用される制御装置において、前記中間変速段を経由させる複数変速を行うパワーオンダウンシフトの実行時に、前記各変速において解放状態から係合状態に向けて制御される係合側摩擦係合要素応答性を高めるために当該係合側摩擦係合要素に対して供給されるサージ油圧を制御するサージ油圧制御部を備えており、前記サージ油圧制御部は、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、前記要求変速段を成立させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定するよう構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。

請求項2

請求項1記載の自動変速機の制御装置において、前記サージ油圧制御部は、前記中間変速段の経由時に、変速機入力軸回転速度が前記中間変速段の同期回転速度近傍に達して、この中間変速段経由時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相が開始される時点、および、前記変速機入力軸回転速度が前記要求変速段の同期回転速度近傍に達して、この要求変速段成立時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相が開始される時点それぞれにおいて前記サージ油圧の供給を開始するよう構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。

請求項3

請求項1または2記載の自動変速機の制御装置において、前記サージ油圧制御部は、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素が、前記中間変速段の次に目標とされる変速段において係合状態となる場合には、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を係合サージ油圧に設定する一方、前記中間変速段の次に目標とされる変速段において解放状態となる場合には、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を前記係合サージ油圧とは異なる解放サージ油圧に設定するよう構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。

技術分野

0001

本発明は自動変速機制御装置に係る。特に、本発明は、中間変速段を経由させる複数変速が可能な有段式の自動変速機の制御に関する。

背景技術

0002

従来、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段のうちの1つを成立させる自動変速機が知られている。この種の自動変速機において、変速時間の短縮化変速ショックの軽減を図るためには、摩擦係合要素に対して供給される油圧係合側の摩擦係合要素に供給される油圧)および排出される油圧(解放側の摩擦係合要素から排出される油圧)の制御を高い精度で行う必要がある。

0003

特許文献1には、パワーオンダウンシフト時に、自動変速機の状態に基づいて変速の遅延を示す条件が成立した場合には、係合側の摩擦係合要素に供給される油圧に対応する指令値を予め定められた時間だけステップ的に上昇させるサージ油圧制御を実行することが開示されている。このサージ油圧制御により、係合側の摩擦係合要素に供給される油圧の応答遅れを抑制することができる。

先行技術

0004

特開2008−215580号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、近年、自動変速機の変速段数の増加が進んでいることに起因して、自動変速機の変速が飛び越し変速(例えばパワーオンダウンシフト時等において、現在の変速段から2段以上のローギヤ側の変速段に向けての変速)によって行われる状況が増加している。

0006

このような飛び越し変速が行われる場合、摩擦係合要素の解放および係合に伴う摩擦係合要素の回転速度変化量が大きくなって、この摩擦係合要素の摩擦材同士の摺動による発熱量(以下、クラッチ発熱量という場合もある)が増大してしまう可能性がある。そこで、このクラッチ発熱量を低減するために、変速前の変速段と、アクセル操作量等の運転状態に応じて要求される要求変速段との間に他の変速段(以下、中間変速段という場合もある)を経由させることが行われている。つまり、中間変速段を経由させる複数変速が行われている。

0007

このような中間変速段を経由させる複数変速を行うに当たり、中間変速段を経由させる際に前記サージ油圧制御を適用した場合、この中間変速段を経由させる際に係合側となる摩擦係合要素(以下、中間変速段経由時係合要素という場合もある)に供給される油圧に対応する指令値を上昇させることになる。この際、この中間変速段経由時係合要素に供給される油圧を、要求変速段を成立させる際に係合側となる摩擦係合要素(以下、要求変速段成立時係合要素という場合もある)に供給される油圧と同等に設定した場合、中間変速段の経由時に中間変速段経由時係合要素が完全係合(クラッチ終結)することがある。この場合、一時的に中間変速段が成立した状態が保持され、一連ダウンシフト制御変速開始前の変速段から要求変速段までの間のダウンシフト制御)での回転変化中盤入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作停滞してしまう)ことになる。これでは、前記複数変速を円滑に行うことができず、変速時間の長期化やドライバビリティの悪化を招いてしまう可能性がある。

0008

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中間変速段を経由させる複数変速が行われる場合において、この複数変速を円滑に行うことができる自動変速機の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段のうちの1つを成立させると共に、パワーオンダウンシフトが要求された際、現変速段と運転状態に応じて要求される要求変速段との間に2段以上の変速段差が生じた場合に、これら変速段の間に中間変速段を経由させる複数変速が可能な有段式の自動変速機に適用される制御装置を前提とする。この制御装置は、前記中間変速段を経由させる複数変速を行うパワーオンダウンシフトの実行時に、前記各変速において解放状態から係合状態に向けて制御される係合側摩擦係合要素応答性を高めるために当該係合側摩擦係合要素に対して供給されるサージ油圧を制御するサージ油圧制御部を備えている。そして、このサージ油圧制御部は、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、前記要求変速段を成立させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定するよう構成されていることを特徴とする。

0010

この特定事項により、中間変速段を経由させる複数変速を行うパワーオンダウンシフトの実行時、サージ油圧制御部は、中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定する。これにより、中間変速段を経由させる際の係合側摩擦係合要素が完全係合(クラッチ終結)することを抑制でき、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段(現変速段)から要求変速段までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作が停滞してしまう)ことを抑制できる。その結果、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができ、変速時間が長期化してしまうことを抑制できると共に、ドライバビリティの悪化を抑制できる。一方、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧は高く設定されているため、この際の係合側摩擦係合要素の応答性が高められており、この要求変速段の成立時には、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合(クラッチ終結)することになる。このため、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度よりも高くなってしまうこと(入力軸回転速度の吹き上がり)を抑制することができる。

0011

また、前記サージ油圧制御部は、前記中間変速段の経由時に、変速機入力軸回転速度が前記中間変速段の同期回転速度近傍に達して、この中間変速段経由時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相が開始される時点、および、前記変速機入力軸回転速度が前記要求変速段の同期回転速度近傍に達して、この要求変速段成立時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相が開始される時点それぞれにおいて前記サージ油圧の供給を開始するよう構成されていることが好ましい。

0012

これにより、中間変速段経由時のトルク相制御開始時におけるサージ油圧が低く設定され、係合側摩擦係合要素が完全係合することを抑制できる。このため、一連のダウンシフト制御での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまうことを抑制できる。一方、要求変速段成立時のトルク相制御開始時におけるサージ油圧が高く設定され、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合する。これにより、入力軸回転速度の吹き上がりを抑制することができる。

0013

また、前記サージ油圧制御部は、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素が、前記中間変速段の次に目標とされる変速段において係合状態となる場合には、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を係合サージ油圧に設定する一方、前記中間変速段の次に目標とされる変速段において解放状態となる場合には、前記中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を前記係合サージ油圧とは異なる解放サージ油圧に設定するよう構成されていることが好ましい。

0014

これにより、中間変速段の次に目標とされる変速段において、前記係合側摩擦係合要素(中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素)が係合状態となるか解放状態となるかに応じて、中間変速段を経由させる際における前記係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を変更するようにしている。このため、中間変速段の次に目標とされる変速段に応じた適切なサージ油圧を設定することが可能となり、中間変速段の次に目標とされる変速段への変速を円滑に行うことができる。

発明の効果

0015

本発明では、中間変速段を経由させる複数変速を行うパワーオンダウンシフトの実行時、中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定している。これにより、変速開始前の変速段(現変速段)から要求変速段までの間のダウンシフト制御での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまうことを抑制でき、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができる。また、要求変速段の成立時には、サージ油圧が高く設定されることにより、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合することになり、入力軸回転速度の吹き上がりを抑制することができる。

図面の簡単な説明

0016

実施形態に係る車両の駆動系の概略構成を示す図である。
トルクコンバータおよび自動変速機の構成を示すスケルトン図である。
自動変速機における変速段毎の第1クラッチ〜第4クラッチ、第1ブレーキおよび第2ブレーキの係合状態を示す係合表である。
車両の制御系の構成を示すブロック図である。
実施形態に係るサージ油圧制御の手順を説明するためのフローチャート図である。
実施形態において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素が、要求変速段成立時においても係合状態にある場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。
従来技術において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素が、要求変速段成立時においても係合状態にある場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素の油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。
実施形態において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素が、要求変速段成立時において解放状態となる場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素の油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。

実施例

0017

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

0018

先ず、図1図4を参照して、本実施形態に係る車両100について説明する。

0019

車両100は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3と、油圧制御装置4と、ECU5とを備えている。この車両100は、例えばFFフロントエンジンフロントドライブ)方式であり、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2および自動変速機3を介してデファレンシャル装置6に伝達され、左右の駆動輪前輪)7に分配されるようになっている。

0020

−エンジン−
エンジン(内燃機関)1は、走行用駆動力源であり、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1は、スロットルバルブスロットル開度吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期などにより運転状態を制御可能に構成されている。

0021

−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、図2に示すように、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト1aに連結されたポンプインペラ21と、自動変速機3に連結されたタービンランナ22と、トルク増幅機能を有するステータ23と、エンジン1と自動変速機3とを直結するためのロックアップクラッチ24とを含んでいる。なお、図2では、トルクコンバータ2および自動変速機3の回転中心軸に対して、下側半分を省略して上側半分のみを模式的に示している。

0022

−自動変速機−
自動変速機3は、エンジン1と駆動輪7との間の動力伝達経路に設けられ、入力軸3aの回転を変速して出力軸3bに出力するように構成されている。この自動変速機3では、入力軸3aがトルクコンバータ2のタービンランナ22に連結され、出力軸3bがデファレンシャル装置6などを介して駆動輪7に連結されている。

0023

自動変速機3は、第1遊星歯車装置31aを主体として構成される第1変速部(フロントプラネタリ)31、第2遊星歯車装置32aと第3遊星歯車装置32bとを主体として構成される第2変速部(リアプラネタリ)32、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2などによって構成されている。

0024

第1変速部31を構成する第1遊星歯車装置31aは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1と、これらピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアCA1と、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1とを備えている。

0025

プラネタリキャリアCA1は、入力軸3aに連結され、その入力軸3aと一体的に回転するようになっている。サンギヤS1は、トランスミッションケース30に固定され、回転不能である。リングギヤR1は、中間出力部材として機能し、入力軸3aに対して減速されてその減速回転を第2変速部32に伝達する。

0026

第2変速部32を構成する第2遊星歯車装置32aは、シングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS2と、ピニオンギヤP2と、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤRRとを備えている。

0027

また、第2変速部32を構成する第3遊星歯車装置32bは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3と、それらピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤRRとを備えている。なお、プラネタリキャリアRCAおよびリングギヤRRは、第2遊星歯車装置32aおよび第3遊星歯車装置32bで共用されている。

0028

サンギヤS2は、第1ブレーキB1によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、サンギヤS2は、第3クラッチC3を介してリングギヤR1に選択的に連結される。更に、サンギヤS2は、第4クラッチC4を介してプラネタリキャリアCA1に選択的に連結される。サンギヤS3は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に選択的に連結される。プラネタリキャリアRCAは、第2ブレーキB2によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、プラネタリキャリアRCAは、第2クラッチC2を介して入力軸3aに選択的に連結される。リングギヤRRは、出力軸3bに連結され、その出力軸3bと一体的に回転するようになっている。

0029

第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる摩擦係合要素であり、油圧制御装置4およびECU5によって制御される。

0030

図3は、変速段(ギヤ段)毎の第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2の係合状態または解放状態を示した係合表である。なお、図3の係合表において、○印は「係合状態」を示し、空白は「解放状態」を示している。

0031

図3に示すように、この例の自動変速機3では、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合されることにより、変速比(入力軸3aの回転速度/出力軸3bの回転速度)が最も大きい第1変速段(1st)が成立する。第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合されることにより第2変速段(2nd)が成立する。

0032

第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合されることにより第3変速段(3rd)が成立し、第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合されることにより第4変速段(4th)が成立する。第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合されることにより第5変速段(5th)が成立し、第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合されることにより第6変速段(6th)が成立する。第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合されることにより第7変速段(7th)が成立し、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合されることにより第8変速段(8th)が成立する。なお、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合されることにより後進段(Rev)が成立する。

0033

このように、自動変速機3は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより複数の変速段のうちの1つを成立させる構成となっている。

0034

−油圧制御装置−
油圧制御装置4は、自動変速機3の摩擦係合要素の状態(係合状態または解放状態)を制御するために設けられている。なお、油圧制御装置4は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ24を制御する機能も有する。

0035

−ECU−
ECU5は、エンジン1の運転制御および自動変速機3の変速制御などを行うように構成されている。具体的には、ECU5は、図4に示すように、CPU51と、ROM52と、RAM53と、バックアップRAM54と、入力インターフェース55と、出力インターフェース56とを含んでいる。なお、ECU5は、本発明の「制御装置」の一例である。

0036

CPU51は、ROM52に記憶された各種制御プログラムマップに基づいて演算処理を実行する。ROM52には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。RAM53は、CPU51による演算結果や各センサの検出結果などを一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM54は、イグニッションオフする際に保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。

0037

入力インターフェース55には、クランクポジションセンサ81、入力軸回転速度センサ82、出力軸回転速度センサ83、アクセル開度センサ84およびスロットル開度センサ85などが接続されている。

0038

クランクポジションセンサ81は、エンジン1の回転速度を算出するために設けられている。入力軸回転速度センサ82は、自動変速機3の入力軸3aの回転速度(入力軸回転速度;タービン回転速度)を算出するために設けられている。出力軸回転速度センサ83は、自動変速機3の出力軸3bの回転速度(出力軸回転速度)を算出するために設けられている。なお、出力軸回転速度から車速を算出することが可能である。アクセル開度センサ84は、アクセルペダル踏込量操作量)であるアクセル開度を検出するために設けられている。スロットル開度センサ85は、スロットルバルブのスロットル開度を検出するために設けられている。

0039

出力インターフェース56には、インジェクタ91、イグナイタ92、スロットルモータ93および油圧制御装置4などが接続されている。インジェクタ91は、燃料噴射弁であり、燃料噴射量を調整可能である。イグナイタ92は、点火プラグによる点火時期を調整するために設けられている。スロットルモータ93は、スロットルバルブのスロットル開度を調整するために設けられている。

0040

そして、ECU5は、各センサの検出結果などに基づいて、スロットル開度、燃料噴射量および点火時期などを制御することにより、エンジン1の運転状態を制御可能に構成されている。また、ECU5は、油圧制御装置4を制御することにより、自動変速機3の変速制御およびトルクコンバータ2のロックアップクラッチ24の制御を実行可能に構成されている。

0041

ECU5による変速制御では、例えば、車速およびアクセル開度をパラメータとする変速マップに基づいて要求変速段が設定され、実際の変速段が要求変速段になるように油圧制御装置4が制御される。

0042

−変速モデルを用いた変速制御−
本実施形態において特徴とする制御(サージ油圧制御)を説明する前に、前述した自動変速機3において変速目標値を実現させる制御操作量を決定するための変速制御の概略について説明する。

0043

一般的な変速制御としては、例えば変速ショックや変速時間等が適切であるか否かを実車にて評価しつつ適合により予め定められた制御マップに基づいて、変速時の各摩擦係合要素のトルク容量(或いは油圧指令値)を決定して変速を実行する手法がある。この制御マップを用いる手法では、パワーオンダウンシフトやパワーオフアップシフト等の変速パターンおよび変速前後の変速段の組み合わせに応じて、多数の制御マップを作成しておく必要がある。そのため、自動変速機の変速段が多段化されるほど、適合作業に多くの労力が必要となってしまう。

0044

そこで、本実施形態では、変速制御として、前記制御マップを用いる手法に代えて、変速目標値を実現させる制御操作量を決定する変速モデルを用いて変速を実行する手法を採用している。前記変速目標値は、変速時に実現したい変化態様を定める要素(例えば変速時間、駆動力等)の目標値である。前記制御操作量は、制御対象に対して操作する要素(エンジントルククラッチトルク等)の要求値である。

0045

以下、変速モデルを用いた変速制御について説明する。変速中における運動方程式は、下記の式(1)および式(2)で表される。

0046

0047

この式(1)および式(2)は、自動変速機3を構成する相互に連結された各回転要素毎の運動方程式、および、自動変速機3を構成する遊星歯車装置における関係式から導き出されたものである。前記各回転要素毎の運動方程式は、各回転要素におけるイナーシャと回転速度時間変化率との積で表されるトルクを、遊星歯車装置の3つの部材、および摩擦係合要素の両側の部材のうち各回転要素に関与する部材に作用するトルクにて規定した運動方程式である。また、遊星歯車装置における関係式は、遊星歯車装置の歯車比を用いて、その遊星歯車装置の3つの部材におけるトルクの関係と回転速度時間変化率の関係とを各々規定した関係式である。

0048

式(1)および式(2)において、dωt/dtは、タービン回転速度(回転角速度)ωt(すなわち変速機入力軸回転速度ωi)の時間微分すなわち時間変化率であり、入力軸3a側の回転部材速度変化量としての入力軸3aの加速度(角加速度、以下、入力軸加速度という場合もある)を表している。dωo/dtは、変速機出力軸回転速度ωoの時間変化率であり、出力軸加速度を表している。Ttは、入力軸3a側の回転部材上のトルクとしての入力軸3a上のトルクであるタービントルクすなわち変速機入力トルクTiを表している。このタービントルクTtは、トルクコンバータ2のトルク比tを考慮すればエンジントルクTe(=Tt/t)と同意である。Toは、出力軸3b側の回転部材上のトルクとしての出力軸3b上のトルクである変速機出力トルクを表している。Tcaplは、変速時に係合動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、係合側クラッチトルクという)である。Tcdrnは、変速時に解放動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、解放側クラッチトルクという)である。a1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2はそれぞれ、前記式(1)および式(2)を導き出した際に定数としたものであり、前記各回転要素におけるイナーシャおよび前記遊星歯車装置の歯車比から設計的に定められる係数である。この定数の具体的な数値は、例えば変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速段の組み合わせ)毎に異なる。従って、前記運動方程式としては1つの所定のものであるが、自動変速機3の変速には、変速の種類毎に異なる定数とされたそれぞれの変速の種類に対応する運動方程式が用いられる。

0049

前記式(1)および式(2)は、変速目標値と制御操作量との関係を定式化した自動変速機3のギヤトレーン運動方程式である。変速目標値は、変速時間および駆動力の各目標値表現でき、ギヤトレーン運動方程式上で取り扱えるものである。本実施形態では、変速時間を表現できる物理量の一例として、入力軸加速度dωt/dtを用いている。また、駆動力を表現できる物理量の一例として、変速機出力トルクToを用いている。つまり、本実施形態では、変速目標値を、入力軸加速度dωt/dtと、変速機出力トルクToとの2つの値で設定している。

0050

一方、本実施形態では、前記変速目標値を成立させる制御操作量を、タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)と、係合側クラッチトルクTcaplと、解放側クラッチトルクTcdrnとの3つの値で設定している。そうすると、運動方程式が前記式(1)および式(2)の2式で構成されることに対して制御操作量が3つあるため、2つの変速目標値を成立させる制御操作量を一意解くことはできない。なお、各式中の出力軸加速度dωo/dtは、前記出力軸回転速度センサ83の検出値である変速機出力軸回転速度ωoから算出される。

0051

そこで、前記式(1)および式(2)の運動方程式に、拘束条件を追加して制御操作量を一意に解くことについて検討した。そして、本実施形態では、変速中のトルクの受け渡しを表現したり制御したりするのに適しており、また、何れの変速パターンにも対応することができる拘束条件として、解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ伝達トルクトルク分担率を用いることとしている。つまり、変速中のトルクの受け渡しを運動方程式に組み込むことができ、且つ制御操作量を一意に解くことができる、伝達トルクのトルク分担率を拘束条件として設定することとしている。前記トルク分担率は、自動変速機3の変速時に解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ必要がある合計の伝達トルク(合計伝達トルク)を、例えば入力軸3a上のトルク(入力軸上合計伝達トルク)に置き換えたときに、その入力軸上合計伝達トルクに対して両摩擦係合要素が各々分担する伝達トルクの割合である。本実施形態では、係合側クラッチのトルク分担率を「xapl」とし、解放側クラッチのトルク分担率を「xdrn」として、それぞれのトルク分担率を、変速中のトルクの受け渡しを反映するように時系列で変化するトルク分担率x(例えば0≦x≦1)を用いて次式(3)および次式(4)のように定義する。

0052

xapl=x …(3)
xdrn=1−x …(4)
係合側クラッチトルクTcaplと解放側クラッチトルクTcdrnとの関係式は、入力軸3a上のトルクに置き換えた「Tcapl」および「Tcdrn」と、前記式(3)および式(4)とに基づいて、「x」(=xapl)と「1−x」(=xdrn)とを用いて定義することができる。そして、前記式(1)、前記式(2)、および、「Tcapl」と「Tcdrn」との関係式から、制御操作量である、タービントルクTt、係合側クラッチトルクTcapl、および、解放側クラッチトルクTcdrnを算出する関係式が導き出される。タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)は、「x」(=xapl)、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、係合側クラッチトルクTcaplは、「x」(=xapl)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、解放側クラッチトルクTcdrnは、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。

0053

つまり、本実施形態の変速モデルは、前記変速目標値と前記制御操作量とを含む自動変速機3の運動方程式(前記式(1),(2))と、前記トルク分担率を表す関係(前記式(3),(4))とを用いて、前記変速目標値に基づいて前記制御操作量を算出するものである。このように、本実施形態では、前記式(1),(2)に、トルク分担率xにて設定した拘束条件を追加することで、変速モデルを用いて自動変速機3の変速を実行する。よって、2つの変速目標値に対して3つの制御操作量があったとしても、前記変速モデルを用いて3つの制御操作量を適切に決定することができる。この変速モデルとしては1つの所定のものであるが、上述したように変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速段の組み合わせ)毎に異なる定数とされたギヤトレーン運動方程式が用いられるので、自動変速機3の変速には、それぞれの変速の種類に対応する変速モデルが用いられることになる。

0054

−サージ油圧制御−
次に、本実施形態の特徴であるサージ油圧制御について説明する。このサージ油圧制御は、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト(特に、中間変速段を経由させるパワーオン飛び越しダウンシフト)が行われる場合に実行される。

0055

前記飛び越しダウンシフトとは、例えばパワーオンダウンシフト時等において、現在の変速段から2段以上のローギヤ側の変速段に向けて変速される制御(現変速段と運転状態に応じて要求される要求変速段との間に2段以上の変速段差が生じた場合の制御)である。例えば、第5変速段での走行中にアクセルペダルの踏込量が大きくなって、要求変速段が第2変速段に設定されて変速が実行される場合や、第8変速段での走行中にアクセルペダルの踏込量が大きくなって、要求変速段が第3変速段に設定されて変速が実行される場合等が挙げられる。

0056

本実施形態に係るもののように変速段数が多い自動変速機3にあっては、一対の摩擦係合要素の掛け替え(所謂クラッチツークラッチ変速)で実現可能な変速前後の変速比の変化量が大きくなる傾向がある。この場合、摩擦係合要素の解放および係合に伴う摩擦係合要素の回転速度変化量が大きくなって、この摩擦係合要素の摩擦材同士の摺動による発熱量(クラッチ発熱量)が増大してしまうことになる。

0057

摩擦係合要素の温度上昇を抑えることでその耐久性(特に、摩擦材の耐久性)を保証する手段としては、変速中の伝達トルクを低下させることが挙げられる(例えばエンジン1のトルクダウン制御等)。しかしながら、この場合、変速中の駆動力が低下したり、変速後における駆動力の変動が大きくなったりしてドライバビリティの悪化に繋がってしまう虞がある。また、前記耐久性を保証する他の手段として、摩擦係合要素の熱容量を増大させることも挙げられる。しかしながら、この場合、摩擦係合要素の大型化に繋がってしまう。その結果、自動変速機3の大型化および重量の増大化、製造コストの高騰、動力伝達効率の悪化等を招いてしまうことになる。

0058

これらの不具合を解消するために、飛び越しダウンシフト要求が生じた場合、変速前の変速段と、前記変速マップに基づいて設定された要求変速段との間に他の変速段(中間変速段)を経由させることが行われる。つまり、中間変速段を経由させる複数変速が行われる。

0059

また、前記サージ油圧制御とは、自動変速機3の変速時において、係合側となる摩擦係合要素(係合側摩擦係合要素)に供給される油圧の応答遅れを抑制するために、トルク相の開始時に、係合側摩擦係合要素へ一時的に高い油圧(サージ油圧)を供給する制御である。例えば、パワーオンダウンシフト時において、変速機入力軸回転速度が、そのパワーオンダウンシフトで目標とする目標変速段(中間変速段や要求変速段)の同期回転速度近傍に達した時点から開始されるトルク相において、係合側摩擦係合要素に一時的に高い油圧をサージ油圧として供給するものである。

0060

前述した中間変速段を経由させる複数変速を行うに当たり、要求変速段を成立させる際に係合側となる摩擦係合要素(要求変速段成立時係合要素)にサージ油圧を供給するだけでなく、中間変速段を経由させる際にも、係合側となる摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)にサージ油圧を供給することになる。この際、中間変速段経由時係合要素に供給される油圧を、要求変速段成立時係合要素に供給される油圧と同等に設定した場合、中間変速段の経由時に中間変速段経由時係合要素が完全係合(クラッチ終結)することがある。この場合、一時的に中間変速段が成立した状態が保持され、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段から要求変速段までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作が停滞してしまう)ことになる。これでは、前記複数変速を円滑に行うことができず、変速時間の長期化やドライバビリティの悪化を招いてしまう可能性がある。

0061

本実施形態は、この点に鑑み、中間変速段を経由させる複数変速が行われる場合において、この複数変速を円滑に行うことができるようにしたものである。

0062

具体的に、本実施形態では、中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)に対するサージ油圧を、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素(要求変速段成立時係合要素)に対するサージ油圧よりも低く設定するようにしている。より具体的には、中間変速段の経由時に、入力軸3aの回転速度(変速機入力軸回転速度)が中間変速段の同期回転速度近傍に達して、この中間変速段経由時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)との掛け替えを行うトルク相が開始される時点から供給されるサージ油圧を低く設定し、変速機入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度近傍に達して、この要求変速段成立時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素(要求変速段成立時係合要素)との掛け替えを行うトルク相が開始される時点から供給されるサージ油圧を高く(前記中間変速段経由時のサージ油圧よりも高く)設定するようにしている。

0063

このサージ油圧制御は前記ECU5によって実行される。このため、ECU5において、前記サージ油圧制御を実行する機能部分が本発明でいうサージ油圧制御部として構成されている。

0064

次に、本実施形態におけるサージ油圧制御の手順について図5のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、車両のスタートスイッチがオン操作された後、所定時間毎に繰り返して実行される。

0065

先ず、ステップST1において、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト制御中であるか否かを判定する。車両の走行開始時には、未だ飛び越しダウンシフト制御は開始されていないので、ステップST1でNO判定されてステップST2に移る。

0066

ステップST2では、自動変速機3の変速要求が生じ、その変速要求が、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト要求であるか否かを判定する。つまり、前記変速マップに基づいて設定される要求変速段が、現在の変速段から2段以上のローギヤ側の変速段であり、且つ要求変速段に至るまでに中間変速段を経由させる必要があるものであるか否かを判定する。この中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト要求としては、例えば、第8変速段での走行中に、前記アクセル開度センサ84によって検出されたアクセル開度が大きくなったことで、第8変速段から第3変速段へのダウンシフト要求が生じた際に、第5変速段を中間変速段として設定する場合等が挙げられる。

0067

飛び越しダウンシフトにおける変速前後の変速段の組み合わせそれぞれに対して、中間変速段を経由させる必要があるか否かの情報および選択される中間変速段の情報は、前述した如くクラッチ発熱量等を考慮したものとして(例えばクラッチ発熱量が所定の許容値を超えないものとなるように)予め前記ROMに記憶されており、飛び越しダウンシフト要求が生じた際に、このROMに記憶された情報を参照することによって、中間変速段を経由させる必要がある飛び越しダウンシフトであるか否かを判定すると共に、中間変速段を経由させる必要がある飛び越しダウンシフトであった場合には、変速前後の変速段の組み合わせに応じて中間変速段が設定されることになる。また、前記ROMに記憶される、中間変速段を経由させる必要があるか否かの情報および選択される中間変速段の情報としては、飛び越しダウンシフトにおける変速前後の変速段の組み合わせと車速(前記出力軸回転速度センサ83からの出力信号に基づいて算出される出力軸回転速度に相当)とに応じて設定されたものであってもよい。例えば、変速前後の変速段の組み合わせが同一であっても、車速が所定値以上である場合には中間変速段を経由させる必要があると判断され、車速が所定値未満である場合には中間変速段を経由させる必要はないと判断される。

0068

中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト要求が生じていない場合、つまり、自動変速機3の変速要求がアップシフト要求であった場合や、変速段を1つだけ変化させるダウンシフト要求であった場合や、中間変速段を経由させなくてもクラッチ発熱量を低く抑えることができる飛び越しダウンシフト要求であった場合や、自動変速機3の変速要求が生じていない場合には、ステップST2でNO判定され、そのままリターンされる。この場合、前記中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト要求以外の変速要求が生じておれば、その変速要求に従った変速が実行されることになる。

0069

一方、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト要求が生じており、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、今回の変速における目標変速段は要求変速段(今回の複数変速において最終の目標変速段)であるか否か、つまり、現在、要求変速段への変速制御が行われているか否かを判定する。

0070

今回の変速における目標変速段が中間変速段であり、ステップST3でNO判定された場合には、ステップST4に移り、入力軸回転速度が、現在目標とされている変速段である中間変速段の同期回転速度近傍に達したか否かを判定する。つまり、変速開始前の変速段から中間変速段に向けての変速が開始され、この変速が進むことで、入力軸回転速度が中間変速段の同期回転速度近傍に達したか否かを判定する。なお、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフトとして、複数の中間変速段を経由させる場合には、中間変速段から次の中間変速段(次の目標変速段として設定された中間変速段)への変速時に、変速が進むことで、入力軸回転速度が目標変速段(次の目標変速段として設定された中間変速段)の同期回転速度近傍に達したか否かを判定することになる。

0071

このステップST4での判定動作として具体的には、入力軸回転速度が、中間変速段の同期回転速度に対して所定の偏差以内に達したか否かを判定する。ここでは、中間変速段に向けてのダウンシフトが行われているため、入力軸回転速度が、中間変速段の同期回転速度よりも低く、その差が所定の偏差以内に達したか否かを判定することになる。この閾値となる偏差は実験またはシミュレーションによって設定されている。なお、この判定は、中間変速段でのトルク相(中間変速段経由時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相)が開始されるタイミングとなったか否かの判定に相当する。

0072

入力軸回転速度が中間変速段の同期回転速度近傍に達しておらず、ステップST4でNO判定された場合には、更に変速が進んで入力軸回転速度が中間変速段の同期回転速度近傍に達するのを待つ。

0073

一方、入力軸回転速度が中間変速段の同期回転速度近傍に達し、ステップST4でYES判定された場合には、ステップST5に移り、現在の目標変速段である中間変速段で係合側となる摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)は、要求変速段の成立時においても係合状態となる摩擦係合要素であるか否かを判定する。つまり、中間変速段経由時係合要素は、そのまま係合が維持されて、要求変速段が成立するものであるか否かを判定する。この判定は、現在の目標変速段(中間変速段)において係合される摩擦係合要素および要求変速段において係合される摩擦係合要素の情報を、予め設定された各変速段の成立に必要な各摩擦係合要素の状態の定義から取得することにより行われる。

0074

例えば、第8変速段から第3変速段へのダウンシフト要求が生じた際に、第5変速段を中間変速段として設定する場合、第5変速段での中間変速段経由時係合要素は第1クラッチC1であり、第3変速段では、この第1クラッチC1は係合状態が維持されるため、この場合には、ステップST5でYES判定されることになる。これに対し、第8変速段から第5変速段へのダウンシフト要求が生じた際に、第6変速段を中間変速段として設定する場合、第6変速段での中間変速段経由時係合要素は第4クラッチC4であり、第5変速段では、この第4クラッチC4は解放状態とされるため、この場合には、ステップST5でNO判定されることになる。

0075

中間変速段経由時係合要素が、要求変速段の成立時において係合状態となるものであり、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST6に移り、中間変速段経由時係合要素に対するサージ油圧として係合サージ油圧αが設定される。つまり、この係合サージ油圧αがトルク相開始時のサージ油圧として設定される。この係合サージ油圧αは、中間変速段経由時において、入力軸回転速度変化率が小さくなることで変速動作が停滞してしまうといった状況を招かない比較的小さい値として実験またはシミュレーションによって設定されている。

0076

このようにしてサージ油圧が係合サージ油圧αに設定された後、ステップST10に移り、この係合サージ油圧αだけ供給油圧が上昇されたトルク相制御が実行される。この際、前述したように係合サージ油圧αは比較的小さい値として設定されているため、中間変速段を経由させる際に中間変速段経由時係合要素が早期に完全係合(クラッチ終結)することを抑制できる。

0077

一方、中間変速段経由時係合要素が、要求変速段の成立時において係合状態とはならない(要求変速段の成立時に解放される)ものであり、ステップST5でNO判定された場合には、ステップST7に移り、中間変速段経由時係合要素に対するサージ油圧として解放サージ油圧βが設定される。つまり、この解放サージ油圧βがトルク相開始時のサージ油圧として設定される。この解放サージ油圧βも、中間変速段経由時において、入力軸回転速度変化率が小さくなることで変速動作が停滞してしまうといった状況を招かない比較的小さい値として実験またはシミュレーションによって設定されている。また、例えば、この解放サージ油圧βは、前記係合サージ油圧αよりも僅かに低い値として設定される。この場合、この解放サージ油圧βは、前記係合サージ油圧αに対して所定の補正係数(1未満の値の補正係数)を乗算することで算出されるものであってもよい。なお、これら係合サージ油圧αと解放サージ油圧βとは同一の値であってもよい。

0078

このようにしてサージ油圧が解放サージ油圧βに設定された後、ステップST10に移り、この解放サージ油圧βだけ供給油圧が上昇されたトルク相制御が実行される。この際、前述したように解放サージ油圧βも比較的小さい値として設定されているため、中間変速段を経由させる際の中間変速段経由時係合要素が完全係合(クラッチ終結)することを抑制できる。

0079

このようにしてトルク相制御が実行されて中間変速段を経由した後、次回のルーチンでは、ステップST1において、現在、中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト制御中であると判定され(例えば中間変速段が経由した後の要求変速段に向けてのダウンシフト制御中であると判定され、つまりYES判定され)、ステップST3に移る。

0080

この場合、ステップST3では、今回の変速における目標変速段が要求変速段であるためYES判定されて、ステップST8に移る。なお、前述した複数の中間変速段を経由させる場合であって、今回の変速における目標変速段も中間変速段(第2回目以降の中間変速段)である場合には、ステップST3でNO判定され、前述したステップST4以降の動作が繰り返される。

0081

前記ステップST8では、入力軸回転速度が、現在目標とされている変速段である要求変速段の同期回転速度近傍に達したか否かを判定する。つまり、中間変速段から要求変速段に向けての変速が開始され、この変速が進むことで、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度近傍に達したか否かを判定する。

0082

具体的には、入力軸回転速度が、要求変速段の同期回転速度に対して所定の偏差以内に達したか否かを判定する。ここでは、要求変速段に向けてのダウンシフトが行われているため、入力軸回転速度が、要求変速段の同期回転速度よりも低く、その差が所定の偏差以内に達したか否かを判定することになる。この閾値となる偏差は実験またはシミュレーションによって設定されている。なお、この判定は、要求変速段でのトルク相(要求変速段成立時の解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掛け替えを行うトルク相)が開始されるタイミングとなったか否かの判定に相当する。

0083

入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度近傍に達しておらず、ステップST8でNO判定された場合には、更に変速が進んで入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度近傍に達するのを待つ。

0084

一方、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度近傍に達し、ステップST8でYES判定された場合には、ステップST9に移り、要求変速段成立時係合要素に対するサージ油圧として係合サージ油圧γが設定される。つまり、この係合サージ油圧γがトルク相開始時のサージ油圧として設定される。この係合サージ油圧γは、要求変速段成立時において、この要求変速段成立時係合要素の応答性が高められ、要求変速段の成立時に、この要求変速段成立時係合要素が早期に完全係合(クラッチ終結)することができる比較的大きい値(前記係合サージ油圧αや前記解放サージ油圧βよりも大きい値)として実験またはシミュレーションによって設定されている。

0085

このようにしてサージ油圧が係合サージ油圧γに設定された後、ステップST10に移り、この係合サージ油圧γだけ供給油圧が上昇されたトルク相制御が実行される。この際、前述したように係合サージ油圧γは比較的大きな値として設定されているため、要求変速段の成立時に、要求変速段成立時係合要素が早期に完全係合(クラッチ終結)することで、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度よりも高くなってしまうこと(入力軸回転速度の吹き上がり)を抑制できる。

0086

このようにして、要求変速段成立時のトルク相制御が実行された後、今回の中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフト制御が終了する。この場合、次回のルーチンでは、ステップST1およびステップST2で共にNO判定されてリターンされることになる。

0087

前述したステップST6、ステップST7およびステップST9の動作が、本発明でいう「サージ油圧制御部による動作であって、中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定する動作」に相当する。

0088

以上の動作が、所定時間毎に繰り返されることになる。

0089

図6は、前述した実施形態において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)が、要求変速段成立時においても係合状態にある場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素の油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。

0090

また、図7は、従来技術(中間変速段経由時係合要素および要求変速段成立時係合要素それぞれに対するサージ油圧を同一としたもの)において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)が、要求変速段成立時においても係合状態にある場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素の油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。

0091

図6および図7は、それぞれ第5変速段を中間変速段とする第8変速段から第3変速段への飛び越しダウンシフトが行われる場合を示している。

0092

図6におけるタイミングT1および図7におけるタイミングt1は、それぞれ中間変速段に向けての変速のイナーシャ相開始タイミングである。このイナーシャ相の開始に伴い、第1ブレーキB1の油圧指令値(各図では省略)が次第に低下され、入力軸回転速度が第5変速段の同期回転速度に向けて上昇していく。そして、入力軸回転速度が第5変速段の同期回転速度近傍に達した時点(図6におけるタイミングT2および図7におけるタイミングt2;トルク相開始時)でサージ油圧の供給が開始される。

0093

従来技術のもの(図7)にあっては、このトルク相開始時におけるサージ油圧(第1クラッチC1に供給するサージ油圧)が高く設定されているため、中間変速段の経由時に中間変速段経由時係合要素(第1クラッチC1)が完全係合(クラッチ終結)し、一時的に中間変速段(第5変速段)が成立した状態が保持され、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段(第8変速段)から要求変速段(第3変速段)までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなっている(変速動作が停滞している)。つまり、複数変速を円滑に行うことができず、変速時間の長期化を招いている。また、入力軸回転速度の停滞に伴ってイナーシャトルクがアウトプットトルクとして出力され、駆動力の変動に起因してドライバビリティの悪化を招いている。なお、この図7におけるタイミングt3は、入力軸回転速度が要求変速段(第3変速段)の同期回転速度近傍に達した時点であって、この要求変速段でのトルク相開始タイミングである。

0094

これに対し、本実施形態のもの(図6)にあっては、前記トルク相開始時(タイミングT2)におけるサージ油圧(第1クラッチC1に供給するサージ油圧)が低く設定されているため(前記係合サージ油圧αに設定されているため)、中間変速段の経由時に中間変速段経由時係合要素(第1クラッチC1)が早期に完全係合(クラッチ終結)することを抑制でき、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段(現変速段;第8変速段)から要求変速段(第3変速段)までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作が停滞してしまう)ことを抑制できる。その結果、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができ、変速時間が長期化してしまうことを抑制できる。また、入力軸回転速度の停滞に伴う駆動力の変動を抑制することができ、ドライバビリティの悪化を抑制することもできる。また、この図6におけるタイミングT3において入力軸回転速度が要求変速段(第3変速段)の同期回転速度近傍に達すると、この要求変速段(第3変速段)でのトルク相が開始される。この要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素(第3クラッチC3)に対するサージ油圧は高く設定されているため(前記係合サージ油圧γに設定されているため)、この際の係合側摩擦係合要素(第3クラッチC3)の応答性が高められており、この要求変速段(第3変速段)の成立時には、係合側摩擦係合要素(第3クラッチC3)が早期に完全係合(クラッチ終結)することになる。このため、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度よりも高くなってしまうこと(入力軸回転速度の吹き上がり)を抑制することができる。

0095

図8は、前述した実施形態において、中間変速段経由時の係合側摩擦係合要素(中間変速段経由時係合要素)が、要求変速段成立時において解放状態となる場合の入力軸回転速度、アウトプットトルクおよび各摩擦係合要素の油圧指令値それぞれの推移を示すタイミングチャート図である。この図8は、第6変速段を中間変速段とする第8変速段から第5変速段への飛び越しダウンシフトが行われる場合を示している。この図8におけるタイミングT4は、中間変速段に向けての変速のイナーシャ相開始タイミングであり、タイミングT5は、入力軸回転速度が第6変速段の同期回転速度近傍に達して第6変速段でのトルク相が開始するタイミングである。

0096

この図8にあっては、このトルク相開始時におけるサージ油圧(第4クラッチC4に供給するサージ油圧)が低く設定されているため(前記解放サージ油圧βに設定されているため)、中間変速段の経由時に中間変速段経由時係合要素(第4クラッチC4)が完全係合(クラッチ終結)することを抑制でき、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段(現変速段;第8変速段)から要求変速段(第5変速段)までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作が停滞してしまう)ことを抑制できる。その結果、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができ、変速時間が長期化してしまうことを抑制できる。また、入力軸回転速度の停滞に伴う駆動力の変動を抑制することができ、ドライバビリティの悪化を抑制することもできる。また、この図8におけるタイミングT6において入力軸回転速度が要求変速段(第5変速段)の同期回転速度近傍に達すると、この要求変速段でのトルク相が開始される。この要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素(第1クラッチC1)に対するサージ油圧は高く設定されているため(前記係合サージ油圧γに設定されているため)、この際の係合側摩擦係合要素(第1クラッチC1)の応答性が高められており、この要求変速段(第5変速段)の成立時には、係合側摩擦係合要素(第1クラッチC1)が早期に完全係合(クラッチ終結)することになる。このため、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度よりも高くなってしまうこと(入力軸回転速度の吹き上がり)を抑制することができる。

0097

以上説明したように、本実施形態では、中間変速段を経由させる複数変速を行うパワーオンダウンシフトの実行時、中間変速段を経由させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧を、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧よりも低く設定している。これにより、中間変速段を経由させる際の係合側摩擦係合要素が完全係合(クラッチ終結)することを抑制でき、一連のダウンシフト制御(変速開始前の変速段(現変速段)から要求変速段までの間のダウンシフト制御)での回転変化の中盤で入力軸回転速度変化率が小さくなってしまう(変速動作が停滞してしまう)ことを抑制できる。その結果、中間変速段を経由させる複数変速を円滑に行うことができ、変速時間が長期化してしまうことを抑制できる。また、入力軸回転速度の停滞に伴う駆動力の変動を抑制することができ、ドライバビリティの悪化を抑制することもできる。一方、要求変速段を成立させる際における係合側摩擦係合要素に対するサージ油圧は高く設定されているため、この際の係合側摩擦係合要素の応答性が高められており、この要求変速段の成立時には、係合側摩擦係合要素が早期に完全係合(クラッチ終結)することになる。このため、入力軸回転速度が要求変速段の同期回転速度よりも高くなってしまうこと(入力軸回転速度の吹き上がり)を抑制することができる。

0098

(他の実施形態)
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、前記実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。

0099

例えば、前記実施形態では、車両100がFFである例を示したが、これに限らず、車両が、FR(フロントエンジン・リアドライブ)であってもよいし、4輪駆動であってもよい。

0100

また、本発明でいう中間変速段を経由させる飛び越しダウンシフトの態様として、広義には、単一ダウンシフト(1段ずつのダウンシフト)を連続して実行するオーバラップ変速を含むものである。

0101

また、本発明でいう要求変速段(最終の目標変速段)としては、変速点により求められた最適変速段、若しくは、それに加えて故障状態、発熱量、オーバレブ等を考慮した実現可能な変速段を用いてもよい。また、この際、中間変速段としては、現在の変速制御において終結される摩擦係合要素から求められる変速段を用いてもよい。

0102

また、本発明に係るサージ油圧の制御は、入力切替を行う場合および入力切替を行わない場合の何れにおいても実施可能である。この入力切替とは、前記第1クラッチC1および第2クラッチC2を係合保持要素(エンジン1からの動力を自動変速機3の第2変速部32に伝達可能な入力クラッチ)とした場合に、この係合保持要素の切替が行われる場合をいう。

0103

本発明は、車両に搭載され、中間変速段を経由させる飛び越し変速が可能な有段式の自動変速機に適用される制御装置に利用可能である。

0104

1エンジン(駆動力源)
3自動変速機
32 第2変速部(変速部)
5 ECU
C1〜C4クラッチ(摩擦係合要素)
B1、B2ブレーキ(摩擦係合要素)

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