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技術 車両の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 増永聖二佐川歩太田圭祐
出願日 2016年7月27日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2016-147896
公開日 2018年2月1日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2018-017309
状態 特許登録済
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード 各作動状態 入出力系統 上昇割合 シフトレバ ロードロード 回転変化量 歯車比 指示圧
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

有段変速機コーストダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制する。

解決手段

自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Nt(=入力回転速度Ni)の吹き上がりが発生している場合には、タービン回転速度Ntを引き下げるように解放側指示圧が増加されるので、ダウンシフト後よりもギヤ比γが小さいダウンシフト前ギヤ段(すなわちハイ側のギヤ段)を形成する解放側係合装置でタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制される。これにより、タービン回転速度Ntの引き下げによる駆動力変化が小さくされ、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制することができる。

概要

背景

エンジンと、複数の係合装置のうちの係合側係合装置係合解放側係合装置の解放とが制御されることで、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機とを備えた車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された自動変速機変速制御装置がそれである。この特許文献1には、複数の係合装置の係合と解放との切替えによって変速を行うと共に、ダウンシフト中にはタービン回転速度が所定速度で増加するように係合装置への油圧を制御する自動変速機の変速制御装置において、ダウンシフト完了時のタービン回転速度を算出し、係合側係合装置への油圧の出力開始後からダウンシフト完了時のタービン回転速度への到達後までの間の所定時間内におけるタービン回転速度の上昇状況により吹き上がりの発生を検出し、吹き上がりの発生を検出したときには係合側係合装置に供給する油圧の上昇割合を上記所定時間内における上昇割合より大きくすることが開示されている。

概要

有段変速機のコーストダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制する。自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Nt(=入力回転速度Ni)の吹き上がりが発生している場合には、タービン回転速度Ntを引き下げるように解放側指示圧が増加されるので、ダウンシフト後よりもギヤ比γが小さいダウンシフト前のギヤ段(すなわちハイ側のギヤ段)を形成する解放側係合装置でタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制される。これにより、タービン回転速度Ntの引き下げによる駆動力変化が小さくされ、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制することができる。

目的

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エンジンと、複数の係合装置のうちの係合側係合装置係合解放側係合装置の解放とが制御されることで、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機とを備えた車両の、制御装置であって、前記有段変速機のコーストダウンシフト中に、前記有段変速機の入力回転速度ダウンシフト後同期回転速度を超える、前記入力回転速度の吹き上がりが発生しているか否かを判定する制御状態判定部と、前記有段変速機のコーストダウンシフト中に前記入力回転速度の吹き上がりが発生していると判定された場合には、前記入力回転速度を引き下げるように前記解放側係合装置の指示圧を増加する変速制御部とを、含むことを特徴とする車両の制御装置。

請求項2

前記有段変速機のコーストダウンシフトは、変速過渡中の前記入力回転速度が前記エンジンのアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトであることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。

請求項3

前記制御状態判定部は、前記有段変速機のコーストダウンシフト中に前記入力回転速度の吹き上がりが発生していると判定した場合には、前記入力回転速度が変化せず停滞しているか否かを判定するものであり、前記変速制御部は、前記入力回転速度を引き下げるように前記解放側係合装置の指示圧を増加しているときに、前記入力回転速度が停滞していると判定された場合には、前記解放側係合装置の指示圧の増加勾配を小さくするか又は前記解放側係合装置の指示圧を現在値で保持することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。

請求項4

前記変速制御部は、前記入力回転速度を引き下げるように、前記解放側係合装置の指示圧を増加すると共に前記係合側係合装置の指示圧を増加することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機を備えた車両の制御装置に関するものである。

背景技術

0002

エンジンと、複数の係合装置のうちの係合側係合装置係合解放側係合装置の解放とが制御されることで、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機とを備えた車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された自動変速機変速制御装置がそれである。この特許文献1には、複数の係合装置の係合と解放との切替えによって変速を行うと共に、ダウンシフト中にはタービン回転速度が所定速度で増加するように係合装置への油圧を制御する自動変速機の変速制御装置において、ダウンシフト完了時のタービン回転速度を算出し、係合側係合装置への油圧の出力開始後からダウンシフト完了時のタービン回転速度への到達後までの間の所定時間内におけるタービン回転速度の上昇状況により吹き上がりの発生を検出し、吹き上がりの発生を検出したときには係合側係合装置に供給する油圧の上昇割合を上記所定時間内における上昇割合より大きくすることが開示されている。

先行技術

0003

特開2003−65429号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、係合装置の係合と解放との切替えによって変速を行う自動変速機において、ダウンシフト前よりもギヤ比が大きいダウンシフト後のギヤ段(すなわちロー側のギヤ段)を形成する係合側係合装置で有段変速機の入力回転速度の吹き上がりを抑制するので、入力回転速度の引き下げによる駆動力増加が大きくなり、ドライバビリティが低下する可能性がある。このようなドライバビリティの低下は、アクセルオフ減速走行状態でのダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生する場合に顕著になり易い。

0005

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とするところは、有段変速機のコーストダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制することができる車両の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

第1の発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、複数の係合装置のうちの係合側係合装置の係合と解放側係合装置の解放とが制御されることで、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機とを備えた車両の、制御装置であって、(b) 前記有段変速機のコーストダウンシフト中に、前記有段変速機の入力回転速度がダウンシフト後の同期回転速度を超える、前記入力回転速度の吹き上がりが発生しているか否かを判定する制御状態判定部と、(c) 前記有段変速機のコーストダウンシフト中に前記入力回転速度の吹き上がりが発生していると判定された場合には、前記入力回転速度を引き下げるように前記解放側係合装置の指示圧を増加する変速制御部とを、含むことにある。

0007

また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記有段変速機のコーストダウンシフトは、変速過渡中の前記入力回転速度が前記エンジンのアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトである。

0008

また、第3の発明は、前記第2の発明に記載の車両の制御装置において、前記制御状態判定部は、前記有段変速機のコーストダウンシフト中に前記入力回転速度の吹き上がりが発生していると判定した場合には、前記入力回転速度が変化せず停滞しているか否かを判定するものであり、前記変速制御部は、前記入力回転速度を引き下げるように前記解放側係合装置の指示圧を増加しているときに、前記入力回転速度が停滞していると判定された場合には、前記解放側係合装置の指示圧の増加勾配を小さくするか又は前記解放側係合装置の指示圧を現在値で保持することにある。

0009

また、第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明の何れか1つに記載の車両の制御装置において、前記変速制御部は、前記入力回転速度を引き下げるように、前記解放側係合装置の指示圧を増加すると共に前記係合側係合装置の指示圧を増加することにある。

発明の効果

0010

前記第1の発明によれば、有段変速機のコーストダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生している場合には、入力回転速度を引き下げるように解放側係合装置の指示圧が増加されるので、ダウンシフト後よりもギヤ比が小さいダウンシフト前のギヤ段(すなわちハイ側のギヤ段)を形成する解放側係合装置で入力回転速度の吹き上がりが抑制される。これにより、入力回転速度の引き下げによる駆動力変化が小さくされ、有段変速機のコーストダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制することができる。

0011

また、前記第2の発明によれば、有段変速機のコーストダウンシフトは、変速過渡中の入力回転速度がエンジンのアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトであるので、アクセルオフの減速走行状態であってもダウンシフト中に入力回転速度の吹き上がりが発生する可能性があることに対して、その吹き上がりの発生時には解放側係合装置の指示圧が増加されることで、入力回転速度の吹き上がりが抑制される。

0012

また、前記第3の発明によれば、入力回転速度がエンジンのアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトでは、解放側係合装置のトルク容量が小さくても入力回転速度の吹き上がりはアイドル回転速度以下に留まることから、入力回転速度が停滞していることを判定することで解放側係合装置のトルク容量が上昇していないこと(すなわち解放側係合装置の指示圧に対してトルク容量の発生が遅れていること)を推定できるので、入力回転速度が停滞している場合に解放側係合装置の指示圧の増加勾配が小さくされるか又は解放側係合装置の指示圧が現在値で保持されることで、解放側係合装置の応答性低下時に解放側係合装置の指示圧の過剰な増加を抑制することができる。

0013

また、前記第4の発明によれば、入力回転速度を引き下げるように、解放側係合装置の指示圧が増加されると共に係合側係合装置の指示圧が増加されることでも、ギヤ比が大きいロー側のギヤ段を形成する係合側係合装置のみで入力回転速度の吹き上がりが抑制されることと比較して、係合側係合装置による入力回転速度の引き下げ分が低減される。

図面の簡単な説明

0014

本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。
トルクコンバータや自動変速機の一例を説明する骨子図である。
自動変速機の変速作動とそれに用いられる係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。
電子制御装置制御作動の要部すなわち自動変速機のコーストダウンシフト中にタービン回転速度の吹き上がりが発生するときにドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。
図4のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。

0015

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。

0016

図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16という)とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース18内に、トルクコンバータ20、自動変速機22、自動変速機22の出力回転部材である変速機出力歯車24に連結された減速ギヤ機構26、その減速ギヤ機構26に連結されたディファレンシャルギヤ(差動歯車装置)28等を備えている。又、動力伝達装置16は、ディファレンシャルギヤ28に連結された1対のドライブシャフト(車軸)30等を備えている。動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、自動変速機22、減速ギヤ機構26、ディファレンシャルギヤ28、及びドライブシャフト30等を順次介して駆動輪14へ伝達される。

0017

エンジン12は、車両10の駆動力源であり、ガソリンエンジンディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン12は、後述する電子制御装置70によって吸入空気量、燃料供給量点火時期等の運転状態が制御されることによりエンジントルクTeが制御される。

0018

図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22の一例を説明する骨子図である。尚、トルクコンバータ20や自動変速機22等は、自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸32の軸心RCに対して略対称的に構成されており、図2ではその軸心RCの下半分が省略されている。

0019

図2において、トルクコンバータ20は、エンジン12と自動変速機22との間の動力伝達経路において、軸心RC回りに回転するように配設されており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び変速機入力軸32に連結されたタービン翼車20tなどを備えた流体式伝動装置である。変速機入力軸32は、タービン翼車20tによって回転駆動されるタービン軸でもある。又、動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間(すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間)を直結可能なロックアップクラッチLCを備えている。又、動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式オイルポンプ34を備えている。オイルポンプ34は、エンジン12によって回転駆動されることにより、自動変速機22の変速制御に用いたり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油吐出する。すなわち、オイルポンプ34によって汲み上げられた作動油は、車両10に備えられた油圧制御回路50(図1参照)の元圧として供給される。

0020

自動変速機22は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する有段式の自動変速機である。自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置36と、ラビニヨ型に構成されている、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置38及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置40とを同軸線上(軸心RC上)に有する、遊星歯車式多段変速機である。自動変速機22は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2の複数の係合装置(以下、特に区別しない場合は単に係合装置Cという)を備えている。

0021

第1遊星歯車装置36は、第1サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1と、その第1遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持する第1キャリヤCA1と、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1とを備えている。第2遊星歯車装置38は、第2サンギヤS2と、第2遊星歯車P2と、その第2遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤRCAと、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合うリングギヤRRとを備えている。第3遊星歯車装置40は、第3サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3a,P3bと、その第3遊星歯車P3a,P3bを自転及び公転可能に支持するキャリヤRCAと、第3遊星歯車P3a,P3bを介して第3サンギヤS3と噛み合うリングギヤRRとを備えている。第2遊星歯車装置38及び第3遊星歯車装置40においては、第3遊星歯車P3bは第2遊星歯車P2と共通化され、又、キャリヤが共通のキャリヤRCAで構成されると共にリングギヤが共通のリングギヤRRで構成される、所謂ラビニヨ型となっている。

0022

係合装置Cは、油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式摩擦係合装置である。係合装置Cは、油圧制御回路50内の各ソレノイドバルブSL1−SL6等から各々出力される各油圧(クラッチ圧)Pc(すなわちクラッチ圧Pc1,Pc2,Pc3,Pc4,Pb1,Pb2)によりそれぞれのトルク容量(クラッチトルク)Tc(すなわちクラッチトルクTc1,Tc2,Tc3,Tc4,Tb1,Tb2)が変化させられることで、それぞれ作動状態(係合や解放などの状態)が切り替えられる。係合装置Cを滑らすことなく(すなわち係合装置Cに差回転速度を生じさせることなく)変速機入力軸32と変速機出力歯車24との間でトルク(例えば変速機入力軸32に入力される入力トルクTiすなわちタービントルクTt)を伝達する為には、そのトルクに対して各係合装置Cにて受け持つ必要がある伝達トルク分(すなわち係合装置Cの分担トルク)が得られるトルク容量が必要になる。但し、伝達トルク分が得られるトルク容量においては、トルク容量を増加させても伝達トルクは増加しない。尚、本実施例では、便宜上、クラッチトルクTcとクラッチ圧Pcとを同義に取り扱うこともある。

0023

自動変速機22において、第1サンギヤS1は、ケース18に連結されている。第1キャリヤCA1は、変速機入力軸32に連結されている。第1キャリヤCA1と第2サンギヤS2とは、第4クラッチC4を介して選択的に連結されている。第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは、第1クラッチC1を介して選択的に連結されている。第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とは、第3クラッチC3を介して選択的に連結されている。第2サンギヤS2は、第1ブレーキB1を介してケース18に選択的に連結されている。キャリヤRCAは、第2クラッチC2を介して変速機入力軸32に選択的に連結されている。キャリヤRCAは、第2ブレーキB2を介してケース18に選択的に連結されている。リングギヤRRは、変速機出力歯車24に連結されている。

0024

自動変速機22は、後述する電子制御装置70により運転者アクセル操作車速V等に応じて係合装置Cのうちの所定の係合装置の係合と解放とが制御されることで(すなわち係合側係合装置の係合と解放側係合装置の解放とが制御されることで)、ギヤ比(変速比)γ(=AT入力回転速度Ni/AT出力回転速度No)が異なる複数のギヤ段(変速段)が選択的に形成される有段変速機である。自動変速機22は、例えば図3係合作動表に示すように、第1速ギヤ段「1st」−第8速ギヤ段「8th」の8つの前進ギヤ段、及び後進ギヤ段「Rev」の各ギヤ段が選択的に形成される。尚、AT入力回転速度Niは、変速機入力軸32の回転速度(すなわち自動変速機22の入力回転速度)であり、AT出力回転速度Noは、変速機出力歯車24の回転速度(すなわち自動変速機22の出力回転速度)である。各ギヤ段に対応する自動変速機22のギヤ比γは、第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、及び第3遊星歯車装置40の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1,ρ2,ρ3によって適宜定められる。第1速ギヤ段「1st」のギヤ比γが最も大きく、高車速側(第8速ギヤ段「8th」側)程小さくなる。

0025

図3の係合作動表は、自動変速機22にて形成される各ギヤ段と係合装置Cの各作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、空欄は解放をそれぞれ表している。図3に示すように、前進ギヤ段では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2との係合によって第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。第1クラッチC1と第1ブレーキB1との係合によって第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1と第3クラッチC3との係合によって第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。第1クラッチC1と第4クラッチC4との係合によって第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1と第2クラッチC2との係合によって第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。第2クラッチC2と第4クラッチC4との係合によって第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。第2クラッチC2と第3クラッチC3との係合によって第7速ギヤ段「7th」が成立させられる。第2クラッチC2と第1ブレーキB1との係合によって第8速ギヤ段「8th」が成立させられる。又、第3クラッチC3と第2ブレーキB2との係合よって後進ギヤ段「Rev」が成立させられる。又、係合装置Cが何れも解放されることにより、自動変速機22は、何れのギヤ段も形成されないニュートラル状態(すなわち動力伝達遮断するニュートラル状態)とされる。

0026

図1戻り、車両10は、例えば自動変速機22の変速制御などに関連する車両10の制御装置を含む電子制御装置70を備えている。よって、図1は、電子制御装置70の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置70による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置70は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置70は、エンジン12の出力制御、自動変速機22の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン出力制御用、油圧制御用(変速制御用)等に分けて構成される。

0027

電子制御装置70には、車両10に設けられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ52、入力回転速度センサ54、出力回転速度センサ56、アクセル開度センサ58、スロットル弁開度センサ60、ブレーキスイッチ62、シフトポジションセンサ64、油温センサ66など)による検出値に基づく各種信号(例えばエンジン回転速度Ne、タービン軸の回転速度(すなわちタービン回転速度Nt)でもあるAT入力回転速度Ni、車速Vに対応するAT出力回転速度No、アクセルペダル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させる為のブレーキ操作部材の運転者による操作が為されたブレーキ操作状態を示す信号であるブレーキオンBon、「P」,「R」,「N」,「D」等のシフトレバーの操作位置(シフトポジション)POSsh、油圧制御回路50内の作動油の温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置70からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン12、油圧制御回路50など)に各種指令信号(例えばエンジン制御指令信号Se、油圧制御指令信号Satなど)が、それぞれ供給される。この油圧制御指令信号Satは、係合装置Cの各油圧アクチュエータへ供給される各クラッチ圧Pcを調圧する各ソレノイドバルブSL1−SL6を駆動する為の指令信号(油圧指令値、指示圧)であり、油圧制御回路50へ出力される。

0028

電子制御装置70は、車両10における各種制御の為の制御機能を実現する為に、エンジン制御手段すなわちエンジン制御部72、及び変速制御手段すなわち変速制御部74を備えている。

0029

エンジン制御部72は、例えば予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θacc及び車速V(AT出力回転速度No等も同意)を適用することで要求駆動力Fdemを算出する。エンジン制御部72は、伝達損失補機負荷、自動変速機22のギヤ比γ等を考慮して、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるように、エンジン12の出力制御を行うエンジン制御指令信号Seをスロットルアクチュエータ燃料噴射装置点火装置などへ出力する。

0030

変速制御部74は、例えば予め定められた関係(変速マップ変速線図)を用いて自動変速機22のギヤ段の切替え制御の実行有無を判断することで自動変速機22の変速を判断する。変速制御部74は、上記変速マップに車速関連値及び駆動要求量を適用することで自動変速機22の変速を判断する(すなわち自動変速機22にて形成するギヤ段を判断する)。変速制御部74は、その判断したギヤ段を形成するように、自動変速機22の変速に関与する係合装置Cを係合及び/又は解放させる変速指令を、油圧制御指令信号Satとして油圧制御回路50へ出力する。

0031

上記変速マップは、車速関連値及び駆動要求量を変数とする二次元座標上に、自動変速機22の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。この変速マップにおける各変速線は、アップシフトが判断される為のアップ線、及びダウンシフトが判断される為のダウン線である。アップ線及びダウン線は、各々、複数のギヤ段において相互に1段異なるギヤ段間毎に予め定められている。この各変速線は、ある駆動要求量を示す線上において実際の車速関連値が線を横切ったか否か、又は、ある車速関連値を示す線上において実際の駆動要求量が線を横切ったか否か、すなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点)を横切ったか否かを判定する為のものであり、この変速点の連なりとして予め定められている。上記車速関連値は、車速Vやその車速Vに関連する値であって、例えば車速Vや車輪速やAT出力回転速度No等である。上記駆動要求量は、運転者による車両10に対する駆動要求の大きさを表す値であって、例えば上述した要求駆動力Fdem[N]、要求駆動力Fdemに関連する要求駆動トルク[Nm]や要求駆動パワー[W]等である。この駆動要求量として、単にアクセル開度θacc[%]やスロットル弁開度θth[%]や吸入空気量[g/sec]等を用いることもできる。

0032

変速制御部74は、自動変速機22の変速の際には、係合装置Cのうちの所定の係合装置としての自動変速機22の変速に関与する係合装置を掴み替える(すなわち所定の係合装置の係合と解放とを切り替える)、所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う。例えば、第2速ギヤ段「2nd」から第1速ギヤ段「1st」への2→1ダウンシフトでは、第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とで掴み替えが行われる(すなわち第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合するクラッチツゥクラッチ変速が実行される)。本実施例では、変速時に掴み替えが行われる係合装置Cのうちで、解放される係合装置を解放側係合装置と称し、係合される係合装置を係合側係合装置と称する。前記油圧制御指令信号Satとしては、変速時の解放側係合装置のクラッチトルク(解放側クラッチトルクともいう)を得る為の解放側係合装置の指示圧(解放側指示圧ともいう)、及び変速時の係合側係合装置のクラッチトルク(係合側クラッチトルクともいう)を得る為の係合側係合装置の指示圧(係合側指示圧ともいう)である。

0033

ここで、自動変速機22のダウンシフト時の制御について詳細に説明する。自動変速機22のダウンシフトは、アクセル踏み増しやアクセルオフからアクセルオンによる駆動要求量(例えばアクセル開度θacc)の増大によってダウンシフトが判断(要求)されたパワーオンダウンシフト、及び、駆動要求量(例えばアクセル開度θacc)の減少やアクセルオフによる減速走行中の車速関連値(例えば車速V)の低下によってダウンシフトが判断(要求)されたパワーオフダウンシフトに大別できる。特に、パワーオフダウンシフトのうちで、アクセルオフの減速走行状態のままで要求されたダウンシフトは、コーストダウンシフトである。ダウン線のうちで、アクセル開度θaccがゼロ(又は、ゼロ及び略ゼロ)のときにダウンシフトを判断するコーストダウン線は、コーストダウン線以外のダウン線よりも低車速側に設定される。これにより、ハイギヤ段がより低車速まで維持されてAT入力回転速度Niが低回転とされるので、例えばダウンシフト前後のAT入力回転速度Niの同期回転速度(=No×ギヤ比γ)の差が小さくされて変速ショックが抑制される。尚、パワーオンの状態は、自動変速機22において駆動輪16側へ伝達されるエンジントルクTeを基にしたトルクが、自動変速機22においてエンジン12側へ伝達されるロードロードを基にしたトルクよりも大きな状態である駆動状態である。一方で、パワーオフの状態は、自動変速機22において駆動輪16側へ伝達されるエンジントルクTeを基にしたトルクが、自動変速機22においてエンジン12側へ伝達されるロードロードを基にしたトルクよりも小さな状態である被駆動状態である。

0034

パワーオンダウンシフトでは、解放側クラッチトルクを低下させれば、タービン回転速度Nt(=AT入力回転速度Ni)がエンジン回転速度Neに向かって上昇させられるので、係合側クラッチトルクを発生させなくても、タービン回転速度Ntをダウンシフト後の同期回転速度へ上昇させられる。このようなことから、パワーオンダウンシフトでは、解放側クラッチトルクの制御を主体としてダウンシフトを進行させることが好適である。一方で、パワーオフダウンシフトでは、ダウンシフト後のギヤ段を形成する係合側係合装置のクラッチトルクを発生させなければ、タービン回転速度Ntをダウンシフト後の同期回転速度へ上昇させられない為、係合側クラッチトルクの制御を主体としてダウンシフトを進行させることが好適である。

0035

コーストダウンシフトでは、例えばアクセルオフの減速走行状態においてエンジン回転速度Neがエンジン12のアイドル回転速度に維持される。このようなコーストダウンシフトが、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトである場合には、係合側クラッチトルクを発生させなくても、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度へ上昇させられる。その為、このような場合には、コーストダウンシフトであっても、パワーオンダウンシフトと同様に、解放側クラッチトルクの制御を主体としてコーストダウンシフトを進行させることが好適である。尚、エンジン12のアイドル回転速度は、例えばエンジン12が車両補機を駆動する動力を出力し、エンジン12の自立運転に必要な動力を出力する為に駆動している状態である、エンジン12のアイドリング状態でのエンジン回転速度Neである。

0036

変速制御部74による、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となる、自動変速機22のコーストダウンシフト時の変速制御について詳細に説明する。コーストダウンシフト時の変速指令が開始されると、先ず、解放側係合装置のクラッチ圧(解放側クラッチ圧ともいう)を低下させる準備の為の解放側指示圧が出力されると共に、係合側係合装置のパック詰めの為の(すなわちクラッチピストンストロークエンドに到達し、且つ係合側クラッチトルクが発生していない状態とする為の)係合側指示圧が出力される。次いで、イナーシャ相を開始する為に、解放側クラッチ圧を低下させる為の解放側指示圧が出力される。タービン回転速度Ntの上昇が開始されてイナーシャ相が開始され、その後、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度へ到達すると、解放側クラッチ圧を最小値(ゼロ値)に向けて速やかに漸減する解放側指示圧が出力されると共に、係合側係合装置の油圧(係合側クラッチ圧ともいう)を最大値(完全係合圧)に向けて速やかに漸増する係合側指示圧が出力されて、一連の変速制御が終了される。

0037

ところで、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフト中には、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度を超える、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生する可能性がある。係合側係合装置が完全係合させられた状態では、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度と一致させられた状態となるので、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生したら、係合側クラッチ圧を速やかに増加する係合側指示圧を出力することが考えられる。この場合、ダウンシフト前よりもギヤ比γが大きいダウンシフト後のギヤ段を形成する係合側係合装置でタービン回転速度Ntの吹き上がりを抑制することになるので、例えば吹き上がりを抑制するときのショックが比較的大きくなり、特にアクセルオフの減速走行状態のような走行状態では、ドライバビリティが低下し易くなるおそれがある。

0038

そこで、変速制御部74は、コーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生した場合には、解放側指示圧を増加させる解放側係合装置の増圧処理を行って、解放側クラッチ圧を増加させることで、タービン回転速度Ntの吹き上がりを抑制する。

0039

解放側係合装置の増圧処理は、イナーシャ相開始や変速進行の為に低下させた解放側クラッチ圧を再び増加させる制御である。その為、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生する前に解放側クラッチ圧の低下によって解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達していない状態(すなわちパック詰めが完了していない状態)とされていると、解放側係合装置の増圧処理によって解放側クラッチ圧を増加させても解放側クラッチトルクが直ぐに発生させられない。又は、解放側指示圧に対する実際の解放側クラッチ圧の応答遅れがあると、解放側係合装置の増圧処理時に実際の解放側クラッチ圧の増加が遅くなる。解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達していない状態になったことや実際の解放側クラッチ圧の応答遅れ等で解放側係合装置の油圧応答特性が遅い場合に、タービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制されていないということで解放側係合装置の増圧処理中における解放側指示圧を更に増加してしまうと、タービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制されてからも実際の解放側クラッチ圧が更に増加されてしまう。そうすると、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度よりも低下してしまい(すなわちダウンシフト前の同期回転速度に向かって低下してしまい)、タービン回転速度Ntの変化がぎくしゃくする可能性がある。このように、解放側係合装置の油圧応答特性が遅い場合に、解放側係合装置の増圧処理中における解放側指示圧を過剰に増加してしまう可能性がある。

0040

変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトの場合、解放側クラッチトルクが小さいと、タービン回転速度Ntが吹き上がり後にエンジン12のアイドル回転速度より低いそのアイドル回転速度付近に停滞する。見方換えれば、タービン回転速度Ntはアイドル回転速度を超えては吹き上がらない。このような現象を利用することで、解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達しているか否かや、実際の解放側クラッチ圧の応答が遅いか否かを推測することができる。つまり、吹き上がったタービン回転速度Ntが、低下することなく停滞している(すなわち吹き上がりの上限となるアイドル回転速度付近に停滞している)ということは、解放側係合装置の油圧応答特性が遅い為に解放側クラッチトルクが小さいか或いは解放側クラッチトルクが発生していないということである。

0041

電子制御装置70は、上述したようなタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制する解放側係合装置の増圧処理を適切に実行する為に、制御状態判定手段すなわち制御状態判定部76を更に備えている。

0042

具体的には、制御状態判定部76は、アクセルオフの減速走行状態での自動変速機22のコーストダウンシフト中(特には、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフト中)に、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生しているか否かを判定する。制御状態判定部76は、例えばタービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度(=No×ダウンシフト後のギヤ比γ)を超えているか否かに基づいて、又は、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度に対して所定回転速度以上上昇しているか否かに基づいて、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生しているか否かを判定する。この所定回転速度は、例えばタービン回転速度Ntの吹き上がりが確実に発生していると判断できる為の予め定められた閾値である。

0043

制御状態判定部76は、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生していると判定した場合には、タービン回転速度Ntが変化せず停滞しているか否かを判定する。制御状態判定部76は、例えばタービン回転速度Ntの今回値前回値からの回転変化量の絶対値(=|今回値−前回値|)が所定回転変化以内であることが連続して所定時間以上継続しているか否かに基づいて、タービン回転速度Ntが変化せず停滞しているか否かを判定する。この所定回転変化及び所定時間は、例えばタービン回転速度Ntが停滞していることを判断する為の予め定められた閾値である。尚、タービン回転速度Ntが変化せず停滞していると判定することは、例えば解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達していない状態であると判定すること、又は実際の解放側クラッチ圧の応答が遅いと判定すること、すなわち解放側係合装置の油圧応答特性が遅いと判定することである。

0044

変速制御部74は、制御状態判定部76により自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生していると判定された場合には、タービン回転速度Ntを引き下げるように解放側指示圧を増加する、解放側係合装置の増圧処理を実行する。例えば、変速制御部74は、制御状態判定部76によりタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生していると判定される毎に、解放側指示圧の今回値を前回値よりも所定圧分増加することで、解放側係合装置の増圧処理を実行する。この所定圧は、例えばタービン回転速度Ntの吹き上がりを抑制する為の予め定められた油圧増加分であって、一律の値を用いても良いし、又は、タービン回転速度Ntが上昇しているときの方が下降しているときよりも大きな値を用いても良いし、又は、タービン回転速度Ntが停滞しているとの判定前の方が、タービン回転速度Ntが停滞しているとの判定の解除後よりも大きな値を用いても良い。

0045

変速制御部74は、解放側係合装置の増圧処理を、制御状態判定部76によりタービン回転速度Ntが停滞していないと判定された場合に実行する。そして、変速制御部74は、タービン回転速度Ntを引き下げるように解放側指示圧を増加しているときに(すなわち解放側係合装置の増圧処理を実行しているときに)、制御状態判定部76によりタービン回転速度Ntが停滞していると判定された場合には、解放側指示圧の増加勾配を小さくするか又は解放側指示圧を現在値で保持する、解放側係合装置の増圧処理のホールドを実行する。変速制御部74は、例えば解放側指示圧の増加勾配を小さくする場合は、前記所定圧より小さくされた油圧分だけ解放側指示圧の今回値を前回値よりも増加する。又は、変速制御部74は、例えば解放側指示圧を現在値で保持する場合は、解放側指示圧の今回値を前回値と同じ値とする。

0046

図4は、電子制御装置70の制御作動の要部すなわち自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生するときにドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば自動変速機22のコーストダウンシフトの変速指令の出力中に繰り返し実行される。図5は、図4のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。

0047

図4において、先ず、制御状態判定部76の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生しているか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合は制御状態判定部76の機能に対応するS20において、タービン回転速度Ntが停滞しているか否かが判定される。このS20の判断が否定される場合は変速制御部74の機能に対応するS30において、解放側係合装置の増圧処理が実行される。一方で、上記S20の判断が肯定される場合は変速制御部74の機能に対応するS40において、解放側係合装置の増圧処理のホールドが実行される。つまり、上記S10の判断が肯定される当初は上記S20の判断が否定されて、解放側係合装置の増圧処理が実行されると考えられる。その為、上記S20の判断が肯定されるときには、解放側係合装置の増圧処理が実行されており、このS40では、その解放側係合装置の増圧処理のホールドが実行される。

0048

図5は、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となる2→1コーストダウンシフト時の実施態様の一例を示している。図5において、2→1コーストダウンシフトの変速指令として、解放側指示圧と係合側指示圧とが出力される。t1時点は、その変速指令の出力開始時点(すなわち変速制御開始時点)である。この変速指令では、イナーシャ相の開始の為に、解放側指示圧が低下させられる。その為、タービン回転速度Ntの吹き上がりが発生する前に、解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達していない状態となってしまう場合がある。イナーシャ相が開始して(t2時点参照)、ダウンシフトが進行する。ダウンシフト過渡中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生すると(t3時点参照)、解放側係合装置の増圧処理が開始されて、解放側指示圧が漸増される(t3時点−t4時点参照)。この増圧処理中に、タービン回転速度Ntが停滞中であると判定されると(例えば解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに未到達であると判定されると)(t4時点参照)、増圧処理のホールドが実行されて、解放側指示圧がそのままの値で保持される(t4時点−t5時点参照)。増圧処理のホールド中に、タービン回転速度Ntが低下したと判定されると(例えば解放側係合装置のクラッチピストンがストロークエンドに到達したと判定されると)(t5時点参照)、タービン回転速度Ntの吹き上がりに対応して再び解放側係合装置の増圧処理が実行される(t5時点−t6時点参照)。ここでの増圧処理では、増圧処理のホールドが実行される前の増圧処理と比べて、解放側指示圧の増加勾配が小さくされる。タービン回転速度Ntの吹き上がりが収束してタービン回転速度Ntが1速同期回転速度とされると、解放側係合装置の増圧処理が終了させられる(t6時点参照)。その増圧処理の終了後は、解放側指示圧が最小値(ゼロ値)に向けて速やかに漸減されると共に、係合側指示圧が最大値(係合側係合装置の完全係合圧)に向けて速やかに漸増される(t6時点以降参照)。

0049

上述のように、本実施例によれば、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Nt(=入力回転速度Ni)の吹き上がりが発生している場合には、タービン回転速度Ntを引き下げるように解放側指示圧が増加されるので、ダウンシフト後よりもギヤ比γが小さいダウンシフト前のギヤ段(すなわちハイ側のギヤ段)を形成する解放側係合装置でタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制される。これにより、タービン回転速度Ntの引き下げによる駆動力変化が小さくされ、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生するときに、ドライバビリティの低下を抑制することができる。

0050

また、本実施例によれば、自動変速機22のコーストダウンシフトは、変速過渡中のタービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトであるので、アクセルオフの減速走行状態であってもダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生する可能性があることに対して、その吹き上がりの発生時には解放側指示圧が増加されることで、タービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制される。

0051

また、本実施例によれば、タービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度以下となるコーストダウンシフトでは、解放側クラッチトルクが小さくてもタービン回転速度Ntの吹き上がりはアイドル回転速度以下に留まることから、タービン回転速度Ntが停滞していることを判定することで解放側クラッチトルクが上昇していないこと(すなわち解放側指示圧に対して解放側クラッチトルクの発生が遅れていること)を推定できるので、タービン回転速度Ntが停滞している場合に解放側指示圧の増加勾配が小さくされるか又は解放側指示圧が現在値で保持されることで、解放側係合装置の応答性低下時に解放側指示圧の過剰な増加を抑制することができる。これにより、タービン回転速度Ntがダウンシフト後の同期回転速度よりも低下してダウンシフト前の同期回転速度に向かってしまうことが抑制され、タービン回転速度Ntの変化がぎくしゃくすることが抑制される。

0052

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

0053

例えば、前述の実施例では、タービン回転速度Ntが停滞している場合には、解放側係合装置の増圧処理のホールドを実行したが、この態様に限らない。例えば、自動変速機22のコーストダウンシフト中にタービン回転速度Ntの吹き上がりが発生している場合には、タービン回転速度Ntが停滞しているか否かに拘わらず、解放側係合装置の増圧処理を実行しても良い。この場合には、図4のフローチャートにおけるS20,S40は備えられず、S30はS10の判断が肯定された場合に実行される。このように、図4のフローチャートは、適宜変更され得る。このようにしても、解放側係合装置でタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制されることにより、ドライバビリティの低下を抑制することができるという一定の効果は得られる。尚、自動変速機22のコーストダウンシフトは、アクセルオフの減速走行状態で実行されるダウンシフトであり、アクセルオフの減速走行状態であれば、ホイールブレーキを作動させる操作が為されているブレーキオンの状態で実行されるダウンシフトであっても良い。つまり、アクセルオフの減速走行状態には、ブレーキオンの状態も含まれる。

0054

また、前述の実施例では、タービン回転速度Ntの吹き上がりを抑制する為に、解放側係合装置の増圧処理を行ったが、この態様に限らない。例えば、解放側係合装置の増圧処理に加えて、係合側指示圧を増加させる係合側係合装置の増圧処理を行って、タービン回転速度Ntの吹き上がりを抑制しても良い。すなわち、変速制御部74は、タービン回転速度Ntを引き下げるように、解放側指示圧を増加すると共に係合側指示圧を増加しても良い。この場合、図4のフローチャートにおけるS30では、解放側係合装置の増圧処理と係合側係合装置の増圧処理とが実行され、S40では、各々の増圧処理のホールドが実行される。このように、図4のフローチャートは、適宜変更され得る。このようにすれば、タービン回転速度Ntを引き下げるように、解放側指示圧が増加されると共に係合側指示圧が増加されることでも、ギヤ比γが大きいロー側のギヤ段を形成する係合側係合装置のみでタービン回転速度Ntの吹き上がりが抑制されることと比較して、係合側係合装置によるタービン回転速度Ntの引き下げ分が低減される。これにより、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。

0055

また、前述の実施例では、自動変速機22は、前進8段の各ギヤ段が形成されたが、この態様に限らない。自動変速機22は、複数の係合装置のうちの所定の係合装置の係合と解放とが制御されることで、ギヤ比が異なる複数のギヤ段が選択的に形成される有段変速機であれば良い。有段変速機としては、自動変速機22のような遊星歯車式の自動変速機でも良いし、又は、同期噛合型平行2軸式自動変速機であって入力軸を2系統備える公知のDCT(Dual Clutch Transmission)などの自動変速機であっても良い。

0056

また、前述の実施例では、車両10の駆動力源としてエンジン12を例示したが、この態様に限らない。例えば、前記駆動力源は、電動機等の他の原動機をエンジン12と組み合わせて採用することもできる。又、エンジン12の動力は、トルクコンバータ20を介して自動変速機22へ伝達されたが、この態様に限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。或いは、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。

実施例

0057

尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

0058

10:車両
12:エンジン
22:自動変速機(有段変速機)
70:電子制御装置(制御装置)
74:変速制御部
76:制御状態判定部
C1−C4:第1−第4クラッチ(係合装置)
B1,B2:第1,第2ブレーキ(係合装置)

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