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技術 トップコート用フッ素樹脂塗料及びその塗膜

出願人 三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社
発明者 篠原大策宮城島一彦
出願日 2016年7月27日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-146875
公開日 2018年2月1日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2018-016697
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード フッ素含有溶媒 造膜効果 基材表面処理 関連物品 適用部分 mmノズル 熱溶融性フッ素樹脂 水溶性セルロ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年2月1日)のものです。
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課題

より優れた非粘着性撥水撥油性の表面を形成するトップコートフッ素樹脂塗料、その塗膜、その塗膜を有する物品、およびその塗膜の形成方法を提供する。

解決手段

パーフルオロエチルビニルエーテル)の含有量共重合体の全質量を基準として8〜20質量%である、結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体を含む、トップコート用フッ素樹脂塗料。

概要

背景

フッ素樹脂は、優れた耐熱性耐薬品性電気的性質及び機械的性質を有し、また極めて低い摩擦係数非粘着性撥水撥油性も有しているため、化学機械電機などあらゆる工業分野において広く利用されている。特に、熱溶融性フッ素樹脂は、融点以上の温度で流動性を示すため、塗膜とした際にピンホールの発生を抑制できることから、フッ素樹脂コーティングのための塗料の材料として一般に利用されている。

フッ素樹脂塗料の形態としては、フッ素樹脂を水や有機溶剤に分散・溶解させた液体塗料が広く使用されているが、フッ素樹脂をミクロンオーダー平均粒径1〜100μm)に造粒・調整した熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料も使用されている。

フッ素樹脂の非粘着性、撥水撥油性を利用して、フッ素樹脂コーティングは、フライパン炊飯器などの調理器具塗装OA機器トナー定着させる定着ロールベルトなど様々な分野で利用され、近年では、インクジェットノズル化学プラント設備など、利用分野はさらに広がり、非粘着性、撥水撥油性の更なる改善が求められている。

トップコート用フッ素樹脂塗料の材料としては、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)との共重合体(PFA)が知られ、PAVEがパーフルオロプロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)であるPFAが知られている。

例えば、特許文献1に、PEVEの含有量が20〜80質量%であるPFAが記載されている。特許文献1に記載のPFAは、低温処理でも優れた成膜性が得られることから、コーティングする基材に耐熱性がない場合や融点が低い場合に好適に使用できる。このPFAは非晶質であり、PFAが非晶質となるか否かは、共重合体に組み込まれるPAVEの含有量によって決まる。非晶質のPFAは、特許文献2にも記載され、約20質量%を超えるPEVEを含有し、耐久性のある塗膜を形成することが示されている。

また、特許文献3には、厚紙の用紙を通紙する際に用紙突入傷が生じにくい、画像形成装置用定着用部材離型層の材料として使用される、PAVEの含有量が2モル%〜6モル%であるPFAが記載されている。さらに、特許文献4には、優れた耐久性と溶融成形性を提供する、PAVEの含有量が1.0〜50質量%であるPFAが記載され、特許文献5には、アンダーコート用塗料として使用される、金属粉末を含む、PEVEの含有量が約1〜18質量%であるPFAが記載され、さらにまた、特許文献6には、長い曲げ寿命を有する、PEVEの含有量が少なくとも3質量%であるPFAが記載されている。

しかし、上記PFAのうち、塗料として実際使用できることが具体的に示されているものは、特許文献1および2に記載の非晶質のPFAと、特許文献5に記載のアンダーコート用塗料として使用されるPFAのみである。フッ素樹脂は、その非粘着性という性質上、塗料として使用する場合、基材への塗膜の形成が困難な場合があり、上記いずれの特許文献にも、優れた非粘着性、撥水撥油性を達成するトップコート用フッ素樹脂塗料は記載されていない。

概要

より優れた非粘着性、撥水撥油性の表面を形成するトップコート用フッ素樹脂塗料、その塗膜、その塗膜を有する物品、およびその塗膜の形成方法を提供する。パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体の全質量を基準として8〜20質量%である、結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体を含む、トップコート用フッ素樹脂塗料。 なし

目的

本発明は、基材への接着性が劣らない一方、より優れた非粘着性、撥水撥油性の表面を形成するトップコート用フッ素樹脂塗料、その塗膜、その塗膜を有する物品、およびその塗膜の形成方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

パーフルオロエチルビニルエーテル)の含有量共重合体の全質量を基準として8〜20質量%である、結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体を含む、トップコートフッ素樹脂塗料

請求項2

水系塗料または粉体塗料である、請求項1に記載の塗料

請求項3

請求項1または2に記載の塗料を用いて形成された塗膜

請求項4

基材プライマー塗装されるか、または表面化成処理される、請求項3に記載の塗膜。

請求項5

塗料に含まれる結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体の融点以上に加熱処理して得られた、請求項3または4に記載の塗膜。

請求項6

n−ヘキサン接触角が27度以上である、請求項3〜5のいずれか1項記載の塗膜。

請求項7

請求項3〜6のいずれか1項記載の塗膜を有する物品

請求項8

請求項1または2に記載の塗料を塗装し、次いで加熱処理することを特徴とする、塗膜の形成方法

請求項9

塗料に含まれる結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体の融点以上に加熱処理することを特徴とする、請求項8に記載の塗膜の形成方法。

技術分野

0001

本発明は、改善された非粘着性撥水撥油性を有する塗膜を形成し得るトップコートフッ素樹脂塗料及びその塗膜に関する。

背景技術

0002

フッ素樹脂は、優れた耐熱性耐薬品性電気的性質及び機械的性質を有し、また極めて低い摩擦係数、非粘着性、撥水撥油性も有しているため、化学機械電機などあらゆる工業分野において広く利用されている。特に、熱溶融性フッ素樹脂は、融点以上の温度で流動性を示すため、塗膜とした際にピンホールの発生を抑制できることから、フッ素樹脂コーティングのための塗料の材料として一般に利用されている。

0003

フッ素樹脂塗料の形態としては、フッ素樹脂を水や有機溶剤に分散・溶解させた液体塗料が広く使用されているが、フッ素樹脂をミクロンオーダー平均粒径1〜100μm)に造粒・調整した熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料も使用されている。

0004

フッ素樹脂の非粘着性、撥水撥油性を利用して、フッ素樹脂コーティングは、フライパン炊飯器などの調理器具塗装OA機器トナー定着させる定着ロールベルトなど様々な分野で利用され、近年では、インクジェットノズル化学プラント設備など、利用分野はさらに広がり、非粘着性、撥水撥油性の更なる改善が求められている。

0005

トップコート用フッ素樹脂塗料の材料としては、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)との共重合体(PFA)が知られ、PAVEがパーフルオロプロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)であるPFAが知られている。

0006

例えば、特許文献1に、PEVEの含有量が20〜80質量%であるPFAが記載されている。特許文献1に記載のPFAは、低温処理でも優れた成膜性が得られることから、コーティングする基材に耐熱性がない場合や融点が低い場合に好適に使用できる。このPFAは非晶質であり、PFAが非晶質となるか否かは、共重合体に組み込まれるPAVEの含有量によって決まる。非晶質のPFAは、特許文献2にも記載され、約20質量%を超えるPEVEを含有し、耐久性のある塗膜を形成することが示されている。

0007

また、特許文献3には、厚紙の用紙を通紙する際に用紙突入傷が生じにくい、画像形成装置用定着用部材離型層の材料として使用される、PAVEの含有量が2モル%〜6モル%であるPFAが記載されている。さらに、特許文献4には、優れた耐久性と溶融成形性を提供する、PAVEの含有量が1.0〜50質量%であるPFAが記載され、特許文献5には、アンダーコート用塗料として使用される、金属粉末を含む、PEVEの含有量が約1〜18質量%であるPFAが記載され、さらにまた、特許文献6には、長い曲げ寿命を有する、PEVEの含有量が少なくとも3質量%であるPFAが記載されている。

0008

しかし、上記PFAのうち、塗料として実際使用できることが具体的に示されているものは、特許文献1および2に記載の非晶質のPFAと、特許文献5に記載のアンダーコート用塗料として使用されるPFAのみである。フッ素樹脂は、その非粘着性という性質上、塗料として使用する場合、基材への塗膜の形成が困難な場合があり、上記いずれの特許文献にも、優れた非粘着性、撥水撥油性を達成するトップコート用フッ素樹脂塗料は記載されていない。

先行技術

0009

特開2015−182381号公報
特許3980649号公報
特開2008−224835号公報
特許5665800号公報
特許5165184号公報
特許3519411号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、基材への接着性が劣らない一方、より優れた非粘着性、撥水撥油性の表面を形成するトップコート用フッ素樹脂塗料、その塗膜、その塗膜を有する物品、およびその塗膜の形成方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、種々検討した結果、トップコート用フッ素樹脂塗料の材料として、熱溶融性フッ素樹脂の結晶性テトラフルオロエチレン(TFE)・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)共重合体(TFE/PEVE共重合体)を選択し、さらに、PEVEの含有量を共重合体の全質量を基準として8〜20質量%とすることにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体の全質量を基準として8〜20質量%である、結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体を含む、トップコート用フッ素樹脂塗料。
2.水系塗料または粉体塗料である、上記1に記載の塗料。
3.上記1または2に記載の塗料を用いて形成された塗膜。
4.基材がプライマー塗装されるか、または表面化成処理される、上記3に記載の塗膜。5.塗料に含まれる結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体の融点以上に加熱処理して得られた、上記3または4に記載の塗膜。
6.n−ヘキサン接触角が27度以上である、上記3〜5のいずれかに記載の塗膜。
7.上記3〜6のいずれかに記載の塗膜を有する物品。
8.上記1または2に記載の塗料を塗装し、次いで加熱処理することを特徴とする、塗膜の形成方法。
9.塗料に含まれる結晶性テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体の融点以上に加熱処理することを特徴とする、上記8に記載の塗膜の形成方法。

発明の効果

0013

本発明によれば、既存のフッ素樹脂塗料(特にPFA塗料)よりも非粘着性、撥水撥油性に優れ、かつ、接着性・耐久性・耐摩耗性も通常のPFA塗膜に劣らない塗膜を提供することができる。

0014

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトップコート用フッ素樹脂塗料は、熱溶融性フッ素樹脂の結晶性TFE/PEVE共重合体を含む。

0015

本発明において、PEVEの含有量は、8〜20質量%、好ましくは8〜15質量%、より好ましくは9〜12質量%である。PEVEの含有量が8質量%より小さいと、十分な非粘着性、撥水撥油性が得られず、一方、20質量%を超えると、非結晶部(アモルファス)が多くなり、塗膜が柔らかくなって強度が落ちる結果、耐摩耗性が悪化する。

0016

本発明のPFA(TFE/PEVE共重合体)は、追加の共重合性コモノマーを含んでいても良い。このとき、追加のコモノマー含量は上記のPEVE含有量より少なく、かつ1質量%より少ないことが好ましい。TFEと共重合可能コモノマーの例としては、炭素数3〜6のパーフルオロアルケン、PEVE以外の炭素数1〜6のPAVE、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルなどのフッ素含有コモノマーや、特許文献2に記載の官能性フッ素含有コモノマーや、エチレンプロピレンブチレンペンテンヘキセンスチレン等の2重結合を有するモノマーや、アセチレンプロピン等の3重結合を有するモノマー、各種アクリル単量体、各種ジエンなどの一般的にラジカル重合で用いられるフッ素非含有コモノマーが挙げられる。

0017

本発明におけるPFA(TFE/PEVE共重合体)の合成は、従来公知の方法を利用でき、例えば、特許文献2、特許文献4、特許文献6に記載の方法により合成することができる。

0018

特許文献4で開示された高耐久性PFAを用いることは、塗膜の高耐久性も期待できるため好ましい。

0019

本発明のTFE/PEVE共重合体は、液中での分散重合により重合されることが好ましく、水を液媒体として用いた水系乳化重合が環境面から好ましい。均一な組成を有する共重合体を与えるために、フッ素含有溶媒共用することもできる。

0020

水系乳化重合は広い範囲の温度で行うことができるが、伝熱の問題および熱的に活性化される開始剤の使用のために、約50〜110℃の範囲の高い温度が有利であり、70〜90℃の範囲の温度が好ましい。乳化重合において用いられる界面活性剤は、加熱が過剰になると分散安定性を失う傾向がある。

0021

本発明のTFE/PEVE共重合体の水系乳化重合には、適当な界面活性剤を用いることができる。具体的には、パーフルオロオクタン酸アンモニウム(C−8)、パーフルオロノナン酸アンモニウム(C−9)、および米国特許第4,380,618号に記載されたパーフルオロアルキルエタンスルホン酸およびその塩類特表2010−509441号に記載されたフルオロポリエーテル酸塩界面活性剤が好ましく用いられる。

0022

水系乳化重合の開始剤としては、過硫酸アンモニウムAPS)、過硫酸カリウム(KPS)またはジコハク酸ペルオキシド(disuccinic acid peroxide)のような水溶性フリーラジカルの開始剤、あるいは過マンガン酸カリウム基盤とするもののようなレドックス系開始剤を用いることができる。

0023

本発明のTFE/PEVE共重合体の水系乳化重合において、連鎖移動剤(CTA)を用いることができる。広い範囲の化合物を、CTAとして用いることができる。たとえば、分子状水素、低級アルカン、およびハロゲン原子置換された低級アルカンのような水素含有化合物が用いられる。CTAは、そのCTAの構造により、比較的安定な末端基を生成できる。好ましいCTAとしては、メタンエタン、および塩化メチル塩化メチレンクロロホルム、および四塩化炭素のような置換炭化水素が挙げられる。特定の重合条件下で所望の分子量を達成するために用いられるCTAの量は、用いた開始剤の量および選択したCTAの連鎖移動効率に依存する。連鎖移動効率は、化合物から化合物へと相当に変化し、および温度によっても変化する。

0024

米国特許第3,635,926号において開示されたように、炭酸アンモニウムまたはアンモニア水酸化アンモニウム)のような塩基性緩衝剤を添加することで、より安定なアミド末端基を提供することができる。

0025

反応容器に水、界面活性剤、(もし用いるならば)CTA、およびコモノマーを装填し、選択された温度に加熱し、そして攪拌を開始した後に、開始剤の溶液を規定された速度で添加して重合を開始する。圧力降下が、重合が開始したことを示す指標となる。次に、TFEの添加を開始し、そして重合を調節するために、TFEの添加(注入)や圧力が制御される。最初の開始剤溶液と同一または異なっていてもよい開始剤溶液が、通常は反応を通して添加される。PEVEコモノマーの添加は、あらかじめ反応容器に入れておいても良いし、重合開始後にTFEと同様に注入添加しても良い。PEVE添加の速度は均一であっても良いし、不均一(可変)であっても良い。

0026

加えて、反応容器内の攪拌速度、圧力によっても重合は制御され得る。高い圧力は反応速度を上昇させるが、TFEの重合は発熱的であるため、高い反応速度は発熱を増加させ、熱除去を考慮する必要が生じる。用いられる圧力は、装置設計およびTFEの取り扱いにおける安全性の問題によって決定され、一般的には、約0.3〜7MPaの範囲内の圧力が、TFE共重合体の水系乳化重合に関して知られており、0.7〜3.5MPaの範囲内の圧力がより一般的である。反応器内を一定圧力に維持することが一般的であるが、圧力を変化させることもできる。

0027

本発明のトップコート用フッ素樹脂塗料の形態としては、特に限定されないが、環境面を考慮して、水系塗料または粉体塗料が好ましい。

0028

水系塗料(水を主な媒体とし、TFE/PEVE共重合体などの塗料成分が分散された液体塗料)とする場合は、TFE/PEVE共重合体の水性分散液を用いることが好ましい。TFE/PEVE共重合体の水性分散液は、そのまま塗料として用いることもできるし、分散性導電性発泡防止・耐摩耗改善など求める特性に応じて通常の塗料に使用される充填材や各種の添加剤、例えば、界面活性剤(例えばライオン(株)製レオコールダウケミカルカンパニー製 TRITON、TERGITOLシリーズ、花王(株)製エマルゲンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系の非イオン系界面活性剤や、ライオン(株)製リパール、花王(株)製エマール、ぺレックスなどのスルホコハク酸塩アルキルエーテルスルホン酸ナトリウム塩硫酸モノ長鎖アルキル系の陰イオン系界面活性剤、ライオン(株)製レオアール、ダウケミカルカンパニー製OROTANなどのポリカルボン酸塩アクリル酸塩系の高分子界面活性剤などが挙げられる)、造膜剤(例えば、ポリアミドポリアミドイミドアクリルアセテートなどの高分子系造膜剤、高級アルコールエーテル造膜効果を有する高分子界面活性剤などが挙げられる)、増粘剤水溶性セルロル類や、溶剤分散系増粘剤、アルギン酸ソーダカゼイン、カゼイン酸ソーダキサンタンガムポリアクリル酸アクリル酸エステルなどが挙げられる)なども加えることができる。

0029

また、TFE/PEVE共重合体水性分散液としては、重合されたままの(生の)分散液を用いても良いが、米国特許第3,037,953に記載の方法などの公知の技術により濃縮し安定化した分散液を用いることが好ましい。塗料に用いるTFE/PEVE共重合体水性分散液の濃度としては、20〜70質量%であることが好ましく、濃縮によりTFE/PEVE共重合体の濃度を増加させて、40〜70質量%としたものを用いることが好ましい。

0030

さらに、水性分散液の調整にあたって、重合に用いたフッ素含有乳化剤(C−8など)は、環境面を考慮し、特許5185627号に記載の方法など公知の技術で除去しておくこともできる。

0031

粉体塗料とする場合は、公知の方法により重合されたままの(生の)分散液からTFE/PEVE共重合体を分離して乾燥したのちに造粒して用いることもできるし、TFE/PEVE共重合体水性分散液を特公昭52−44576に記載の方法により、TFE/PEVE共重合体の球状粒子として用いることもできる。

0032

樹脂粉体微細粒子を水などの液体に分散させて、水系塗料などの液体塗料として用いることもできる。

0033

また、本発明のフッ素樹脂塗料は、求める特性に応じて、各種の有機無機充填材を加えることもできる。有機充填材としては、例えば、ポリアリーレンサルファイドポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミドなどのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。無機充填材としては、金属粉金属酸化物酸化アルミ酸化亜鉛酸化スズ酸化チタン等)、ガラスセラミックス炭化珪素酸化珪素弗化カルシウムカーボンブラックグラフアイト、マイカ硫酸バリウムなどが挙げられる。充填材の形状としては、粒子状、繊維状、フレーク状など、各種の形状の充填材が使用可能である。

0034

充填材は、塗料が水系塗料などの液体塗料である場合は、充填材を水などの液媒体に分散させて用いることが好ましい。樹脂を粉体とする場合は、樹脂の粉体と充填材を直接混合するドライブレンドや、水性分散液に充填剤を加えて一緒に攪拌して凝析させる共凝析などの方法が使用可能である。

0035

本発明において、TFE/PEVE共重合体のメルトフローレートMFR)は、1g/10分以上が好ましい。1g/10分より小さいと、融点以上に加熱溶融して塗膜を形成する際、樹脂の流動性が低く、均一な塗膜を形成しにくい。一方、MFRが大きすぎると、融点以上に加熱溶融して塗膜を形成する際、樹脂が流れてしまい、厚みのある塗膜を形成しにくい。したがって、TFE/PEVE共重合体のMFRは、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは40g/10分以下、さらに好ましくは30g/10分以下である。

0036

本発明において、結晶性TFE/PEVE共重合体は、3J/g以上の溶融熱(ΔHm)を有するものである。好ましくは5J/g以上であり、より好ましくは8J/g以上である。

0037

本発明において、塗料中のTFE/PEVE共重合体の含有量は、塗膜に残留する全固形分(溶媒などを除く)中のTFE/PEVE共重合体含有率が、80質量%以上となるのが好ましく、90質量%以上がより好ましい。このTFE/PEVE共重合体の含有率が80質量%を下回ると、塗膜表面のTFE/PEVE共重合体が少なくなり、非粘着性、撥水撥油性が低下する。

0038

本発明のフッ素樹脂塗料を塗装する対象となる基材としては、特に限定されないが、加熱処理に耐え得る基材が好ましく、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属基材、ガラス、セラミック耐熱性プラスチック基材等が挙げられる。

0039

トップコート塗装の塗膜厚は、用途や適用部分などによって適宜選択すればよいが、加熱溶融処理後の場合の膜厚としては、5μm以上、好ましくは10μm以上となるように塗装することが好ましい。それ以下になると、連続的な膜が形成しにくく塗膜に欠陥が生じたり、摩耗により塗装の効果(非粘着性・撥水撥油性)が早期に失われやすくなる問題が生じる。

0040

本発明のフッ素樹脂塗料は、トップコート用であり、塗膜の最表面層に用いるものであり、従来公知の方法により基材に塗布することができる。単独で基材に塗布することも可能であるが、表面層の接着性を高めるため、基材にプライマー塗装しておくか、または表面化成処理しておくことが好ましい。プライマー塗料には、基材と接着性の高い各種エンプラ樹脂(例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなど)が含まれることが好ましく、加えて、トップコート層との層間接着性を向上させるためにフッ素樹脂、望ましくはPFAが含まれることが好ましい。基材とトップコート層双方への接着性を充足するためには、プライマー塗膜中におけるフッ素樹脂の割合は、50〜90質量%であることが好ましく、エンプラ樹脂及び充填材の割合は、10〜50質量%であることが好ましい。

0041

本発明において、塗膜は、塗装後、加熱処理して形成することが好ましく、塗料に含まれるTFE/PEVE共重合体の融点以上に加熱処理して形成することがより好ましい。TFE/PEVE共重合体を溶融流動させることにより、均一な塗膜が得られ、さらに表面エネルギーの低いTFE/PEVE共重合体が塗膜表面に移動・露出することから、非粘着性、撥水撥油性が向上する。

0042

本発明において、高い非粘着性、撥水撥油性のためには、例えば、n−ヘキサンの接触角が、27度以上であることが好ましく、28度以上であることがより好ましく、29度以上であることがさらに好ましく、30度以上であることが最も好ましい。

0043

本発明において、高い非粘着性、撥水撥油性のためには、例えば、純水の滑落角が50度以下であることが好ましく、45度以下であることがより好ましく、40度以下であることがさらに好ましい。

0044

本発明の塗膜を有する物品としては、フライパン・炊飯器などの調理器具、定着ロール・ベルト・インクジェットノズルなどのOA機器関連物品配管などの化学プラントの工業設備関連物品等、非粘着性、撥水撥油性が要求される物品が挙げられる。

0045

本発明において、フッ素樹脂の各物性は、以下の方法により測定した。
(1)コモノマー含有量
試料を350℃で圧縮した後水冷して得られた厚さ約50ミクロンフィルム赤外吸収スペクトル窒素雰囲気)から、特許文献6に記載の方法に従いコモノマー含有量を求めた。

0046

(2)メルトフローレート(MFR)
ASTMD−1238−95に準拠した耐食性シリンダー、ダイ、ピストンを備えたメルトインデクサー(東洋精機製)を用いて、5gの試料粉末を372±1℃に保持されたシリンダーに充填して5分間保持した後、5kgの荷重(ピストン及び重り)下でダイオリフィスを通して押出し、この時の押出速度(g/10分)をMFRとして求めた。

0047

(3)示差走査熱量分析融解熱ΔHm)
示差走査熱量計(Pyris1型DSCパーキンエルマー社製)を用いた。
試料10mgを量して専用のアルミパンに入れ、専用のクリンパーによってクリンプした後、DSC本体に収納し、150℃から10℃/分で360℃まで昇温をする。試料を360℃で1分保持した後、150℃まで10℃/分で降温し、引き続き試料を150℃で1分間保持した後再度360℃まで10℃/分で昇温する。この時得られる融解曲線において、融解ピーク前後で曲線ベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結んで定められるピーク面積から、融解熱(ΔHm)を求めた。

0048

以下に、実施例および比較例によって本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、性能評価は以下のとおり行った。

0049

A.塗膜の作製方法
性能評価に使用する塗膜を以下の手順で作製した。
(1)基材表面処理(塗膜洗浄
基材アルミニウム(JIS A1050準拠品、50mm×100mm、厚み1mm)の表面を、食器用洗剤にて水洗後、イソプロピルアルコール脱脂した。

0050

(2)下塗りプライマー塗布)
上記(1)にて処理を施した基材に、エアースプレー塗装ガン(アネスト岩田(株)製 W−88−10E2 φ1mmノズル手動ガン))を用いて、エアー圧力2.5〜3.0kgf/cm3で液体塗料PJ−BK832(三井・デュポンフロロケミカル(株)社製)を吹き付け、塗装を行った。塗装された液体質量が、基材1枚あたり約0.2g(0.15〜0.25g)となるように塗装し、強制通風循環炉で120℃×15分間乾燥後、さらに200℃×15分間乾燥し、膜厚6〜8μmの塗膜を形成させた。塗装環境は温度25℃、湿度60%RHであった。

0051

(3)ディップ塗装による塗膜形成
上記(1)及び(2)にて処理したアルミニウム基材に、ディップ塗装機(株式会社SDI製 卓上ディップコーターDT−0502−PC)を用いて、引上げ速度0.1〜3mm/sで液体トップコートの塗装を行った。引上げ速度は後記の膜厚をサンプル間で均一にするために調整した。強制通風循環炉で120℃×15分間乾燥後、380℃×20分間焼成後、室温で冷却し、5−10μmの塗膜を形成させた。塗装環境は温度25℃、湿度60%RHであった。

0052

(3)’静電塗装による塗膜形成
上記(1)及び(2)にて処理したアルミニウム基材に、静電粉体塗装機(日本パーカライジング(株)製ハンドガンステムGX7500CS)を用いて、粉体を塗装電圧20〜40kV(負)、吐出量約50g/minにて25cm離れているアースされたアルミニウム基材に静電吹付塗装を行った。基材1枚あたりの粉末質量は0.4〜0.5gとして、強制通風循環炉で380℃×20分間焼成後、室温で冷却し、40〜50μmの塗膜を形成させた。塗装環境は温度25℃、湿度60%RHであった。

0053

B.塗膜の性能評価
塗膜の非粘着性、撥水撥油性を以下のように評価した。

0054

(1)接触角
全自動接触角計協和界面化学株式会社DM−701)を用いて、測定環境:25℃、湿度60%RHにて、n−ヘキサンの接触角(液滴サイズ:約4μL)を測定した。

0055

(2)滑落角
全自動接触角計(協和界面化学株式会社DM−701)を用いて、純水の滑落角を測定した。塗膜または押出成形シートを1度毎傾けていき、液滴(液滴サイズ:10μL)が滑落する直前の角度を滑落角とした。

0056

[実施例1]
特許文献4の実施例1に記載の方法にしたがって得られた樹脂固形分(樹脂の重量/水性分散液重量)が約26質量%であるTFE/PEVE共重合体水性分散液に、非イオン系界面活性剤(ライオン(株)製レオコールTDN90−80)を加えて安定化させた後、特許5185627号に記載の方法により重合で用いたフッ素系乳化剤を取り除き、その後、濃縮により分散液中の樹脂固形分を約60質量%に調整したTFE/PEVE共重合体の水性分散液を得た。

0057

[実施例2]
特許文献4の比較例1や特開2004−161921に記載の方法にしたがって得られた水性分散液を実施例1と同様に濃縮処理を行い、約60質量%に調整したTFE/PEVE共重合体の水性分散液を得た。

0058

[実施例3]
実施例1で得られたTFE/PEVE共重合体の水性分散液に、アクリル造膜剤、増粘剤、界面活性剤を加えて調整塗料を作製した。なお、380度焼成後の塗膜成分は、全固形分中でフッ素樹脂が100%となる(アクリルなどは、分解により揮散する)。

0059

[実施例4]
実施例1で得られたTFE/PEVE共重合体の水性分散液を用い、特公昭52−44576号公報に記載の方法により球状粒子を作製し、粉体塗料とした。

0060

[比較例1]
特許文献4の比較例1や特開2004−161921に記載の方法にしたがって得られた水性分散液を実施例1と同様に濃縮処理を行い、約60質量%に調整したTFE/PEVE共重合体の水性分散液を得た。

0061

[比較例2]
比較例1と同様の方法により、TFE/PEVE共重合体の水性分散液を得た。比較例1のTFE/PEVE共重合体と比べ、コモノマー(PEVE)の含有量は同等であるが、分子量が大きいためMFRが小さい樹脂となっている。

0062

[比較例3]
比較例1と同様の方法により、TFE/PEVE共重合体の水性分散液を得た。

0063

[比較例4]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/PPVE共重合体の水性分散液PFA334−JRを用いた。

0064

[比較例5]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/PPVE共重合体の水性分散液PFA335−JRを用いた。

0065

[比較例6]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/HFP共重合体の水性分散液FEP 120−JRを用いた。

0066

[比較例7]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製PTFE水性分散液PTFE 34−JRを用いた。

0067

[比較例8]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製トップコート用フッ素樹脂塗料EJ−CL565を用いた。

0068

[比較例9]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/PPVE共重合体の水性分散液PFA335−JRに、アクリル造膜剤、増粘剤、界面活性剤を加えて調整塗料を作製した。なお、380度焼成後の塗膜成分は、全固形分中でフッ素樹脂が100%となる(アクリルなどは、分解により揮散する)。

0069

[比較例10]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/PEVE共重合体のペレットPFA959−HP Plusを用い、株式会社プラ技研製 φ25mmフィルム押出成形機を使用して、成形温度360℃にて、幅150mm×厚み0.2mmtのシートを作製した。

0070

[比較例11]
三井・デュポンフロロケミカル(株)製 TFE/PPVE共重合体のペレットPFA350−Jを用い、株式会社プラ技研製 φ25mmフィルム押出成形機を使用して、成形温度360℃にて、幅150mm×厚み0.2mmtのシートを作製した。

0071

実施例1〜4および比較例1〜11の物性および塗膜の性能評価の結果を、表1に示す。

実施例

0072

本発明のTFE/PEVE共重合体を含んだトップコート用フッ素樹脂塗料は、比較例に比べ、n−ヘキサンの接触角が大きく、かつ、純水の滑落角が小さく、これまで用いられてきたトップコート用フッ素樹脂塗料およびシート被膜(比較例10、比較例11)に比べて非粘着性、撥水撥油性に優れることが理解される。

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