図面 (/)

技術 卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法、並びに、該卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物、毛髪化粧料用組成物及び該毛髪化粧料用組成物を用いた毛髪処理方法

出願人 株式会社グリーンテクノ21下浩史株式会社ブルーム山崎信二佐賀県
発明者 柘植圭介吉村臣史吉村裕美江頭順也加山真子古賀裕司
出願日 2016年7月29日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-150572
公開日 2018年2月1日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-016610
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 化粧料 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード pHメータ 測定終了点 プロミネンス まゆげ キューティクルリムーバー 精密ろ過フィルター アイブロウペンシル テスト機
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年2月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

従来の卵殻膜タンパク質可溶化物と比較して、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法、並びに、該卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物を提供する。

解決手段

アルカリ条件に調整した卵殻膜タンパク質の懸濁液を処理温度130℃以上160℃以下で、かつ、当該処理温度に5分以内に到達するよう加熱することによって卵殻膜タンパク質を可溶化する工程を有する卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。当該方法により、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物を好適に得ることができる。

概要

背景

卵殻膜に含まれるタンパク質成分ペプチド成分は、線維芽細胞増殖作用保湿作用、活性酵素除去作用細胞賦活作用等を有することが知られており、従来、化粧品原料医薬品原料食糧原料等として広く利用されている。特に、卵殻膜は、システイン及びシスチン含有量が高く、アミノ酸組成毛髪と似ているという性質を有するために、毛髪化粧料の原料として利用されている。
例えば、特許文献1や2には、卵殻膜に含まれるタンパク質成分やペプチド成分を配合したパーマネントウェーブ用剤毛髪処理剤が開示されている。

一方、化粧品や毛髪化粧料、医薬品、食糧品等の応用製品に配合される卵殻膜は、原料として配合しやすくするために、一般的に卵殻膜に含まれるタンパク質ペプチド結合加水分解して、より分子量の小さい可溶性卵殻膜タンパク質可溶化物として用いられている。

タンパク質の加水分解方法として、様々な加水分解処理法等が知られている。
しかしながら、酸を用いて加水分解する方法では、装置が腐食しやすく、また卵殻膜のタンパク質が過剰に分解し、目的とする分子量分布外れ低分子化しすぎたり、褐色に着色したり、目的とする加水分解物以外にも副生成物が生成しやすいという問題があった。
また、卵殻膜をタンパク質分解酵素で処理する酵素加水分解方法として、例えば、特許文献3には卵殻膜懸濁液中の卵殻膜に対してタンパク質分解酵素を1〜10重量%の割合で加えてpHを6〜12に調整し、温度30〜60℃にして酵素処理を6〜24時間行い、乾燥させて、卵殻膜を原料とする可溶化卵殻膜製法報告されている。しかしながら、分子量の大きな卵殻膜タンパク質の可溶化物は得られにくく、触媒であるタンパク質分解酵素自体が高価であることから、製造コストが高くなるという問題があった。

一方、卵殻膜タンパク質を、アルカリを用いて加水分解する方法も知られている。卵殻膜タンパク質の加水分解方法として、例えば、特許文献4では溶媒としてアルカリ性含水有機溶媒を使用して加水分解を行い、得られた分解液陰イオン交換樹脂と接触させる可溶化卵殻膜の製法が報告されている。

概要

従来の卵殻膜タンパク質の可溶化物と比較して、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法、並びに、該卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物を提供する。アルカリ条件に調整した卵殻膜タンパク質の懸濁液を処理温度130℃以上160℃以下で、かつ、当該処理温度に5分以内に到達するよう加熱することによって卵殻膜タンパク質を可溶化する工程を有する卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。当該方法により、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物を好適に得ることができる。

目的

しかしながら、酸を用いて加水分解する方法では、装置が腐食しやすく、また卵殻膜のタンパク質が過剰に分解し、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、保持時間16分間より短い時間にピークAを有する卵殻膜タンパク質可溶化物。(測定条件測定方法サイズ排除クロマトグラフィーカラム:GE製、商品名「SuperdexpeptideHR 10/300」1本溶離液:30%アセトニトリル—70%水−0.1%トリフルオロ酢酸流量:0.5ml/minカラム温度:40℃検出器紫外吸光光度計測定波長214nm)試料濃度:5〜10mg/ml試料注入量:25μL

請求項2

前記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、総ピーク面積に対する、前記ピークAの面積の比が9%以上である請求項1に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。

請求項3

卵殻膜タンパク質可溶化物の重量平均分子量は、9000以上14000以下である請求項1又は2に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。

請求項4

原料に対し、システイン及びシスチン含有量残存率が30%以上である請求項1から3のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物

請求項6

請求項1から4のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する毛髪化粧料用組成物。

請求項7

請求項6に記載の毛髪化粧料用組成物を用いた毛髪処理方法

請求項8

アルカリ条件に調整した卵殻膜タンパク質の懸濁液を処理温度130℃以上160℃以下で、かつ、当該処理温度に5分以内に到達するよう加熱することによって卵殻膜タンパク質を可溶化する工程を有する卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。

請求項9

前記卵殻膜タンパク質の懸濁液の加熱方法が、加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱である請求項8に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。

請求項10

原料に対し、システイン及びシスチンの含有量の残存量が30%以上となるよう卵殻膜タンパク質を可溶化する請求項8又は9に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、タンパク質水溶化した卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法に関する。また、該卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物毛髪化粧料用組成物及び該毛髪化粧料用組成物を用いた毛髪処理方法に関する。

背景技術

0002

卵殻膜に含まれるタンパク質成分ペプチド成分は、線維芽細胞増殖作用保湿作用、活性酵素除去作用細胞賦活作用等を有することが知られており、従来、化粧品原料医薬品原料食糧原料等として広く利用されている。特に、卵殻膜は、システイン及びシスチン含有量が高く、アミノ酸組成が毛髪と似ているという性質を有するために、毛髪化粧料の原料として利用されている。
例えば、特許文献1や2には、卵殻膜に含まれるタンパク質成分やペプチド成分を配合したパーマネントウェーブ用剤毛髪処理剤が開示されている。

0003

一方、化粧品や毛髪化粧料、医薬品、食糧品等の応用製品に配合される卵殻膜は、原料として配合しやすくするために、一般的に卵殻膜に含まれるタンパク質のペプチド結合加水分解して、より分子量の小さい可溶性の卵殻膜タンパク質可溶化物として用いられている。

0004

タンパク質の加水分解方法として、様々な加水分解処理法等が知られている。
しかしながら、酸を用いて加水分解する方法では、装置が腐食しやすく、また卵殻膜のタンパク質が過剰に分解し、目的とする分子量分布外れ低分子化しすぎたり、褐色に着色したり、目的とする加水分解物以外にも副生成物が生成しやすいという問題があった。
また、卵殻膜をタンパク質分解酵素で処理する酵素加水分解方法として、例えば、特許文献3には卵殻膜懸濁液中の卵殻膜に対してタンパク質分解酵素を1〜10重量%の割合で加えてpHを6〜12に調整し、温度30〜60℃にして酵素処理を6〜24時間行い、乾燥させて、卵殻膜を原料とする可溶化卵殻膜製法報告されている。しかしながら、分子量の大きな卵殻膜タンパク質の可溶化物は得られにくく、触媒であるタンパク質分解酵素自体が高価であることから、製造コストが高くなるという問題があった。

0005

一方、卵殻膜タンパク質を、アルカリを用いて加水分解する方法も知られている。卵殻膜タンパク質の加水分解方法として、例えば、特許文献4では溶媒としてアルカリ性含水有機溶媒を使用して加水分解を行い、得られた分解液陰イオン交換樹脂と接触させる可溶化卵殻膜の製法が報告されている。

先行技術

0006

特開2000−128744号公報
特開2004−175699号公報
特開2008−7419号公報
特許第5179847号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、従来のアルカリ加水分解法では、卵殻膜タンパク質を、室温〜100℃程度で長時間処理し、低分子量化させないと、可溶化させることができなかった。そのため、例えば、ダメージの大きい毛髪に対しては、十分な補修保護効果を付与することができなかった。また、卵殻膜タンパク質加水分解物の着色を抑制するために有機溶媒を使用したりするため、これらの処理に余剰コストがかかり、製造コストも高くなりやすいという問題があった。

0008

かかる状況下、本発明の目的は、従来の卵殻膜タンパク質の可溶化物と比較して、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法、並びに、該卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ条件下においても、急速加熱することにより、低分子量化させず、かつシステイン及びシスチンを残存させたまま、卵殻膜タンパク質を可溶化できることを見出し、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。

0010

すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 下記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、保持時間16分間より短い時間にピークAを有する卵殻膜タンパク質可溶化物。
測定条件
測定方法サイズ排除クロマトグラフィー
カラム:GE製、商品名「Superdex peptide HR 10/300」1本
溶離液:30%アセトニトリル—70%水−0.1%トリフルオロ酢酸
流量:0.5ml/min
カラム温度:40℃
検出器紫外吸光光度計測定波長214nm)、
試料濃度:5〜10mg/ml
試料注入量:25μL
<2> 前記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、
総ピーク面積に対する、前記ピークAの面積の比が9%以上である前記<1>に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。
<3> 卵殻膜タンパク質可溶化物の重量平均分子量は、9000以上14000以下である前記<1>又は<2>に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。
<4>原料に対し、システイン及びシスチンの含有量の残存率が30%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する組成物。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の卵殻膜タンパク質可溶化物を含有する毛髪化粧料用組成物。
<7> 前記<6>に記載の毛髪化粧料用組成物を用いた毛髪の処理方法。
<8>アルカリ条件に調整した卵殻膜タンパク質の懸濁液を処理温度130℃以上160℃以下で、かつ、当該処理温度に5分以内に到達するよう加熱することによって卵殻膜タンパク質を可溶化する工程を有する卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。
<9> 前記卵殻膜タンパク質の懸濁液の加熱方法が、加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱である前記<8>に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。
<10> 原料に対し、システイン及びシスチンの含有量の残存量が30%以上となるよう卵殻膜タンパク質を可溶化する前記<8>又は<9>に記載の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、従来の卵殻膜タンパク質の可溶化物と比較して、分子量が大きい卵殻膜タンパク質可溶化物及びその製造方法が提供される。該卵殻膜タンパク質可溶化物は、例えば、化粧料用組成物や毛髪化粧料用組成物の原料として好適に使用できる。

図面の簡単な説明

0012

実施例1の卵殻膜タンパク質可溶化物のサイズ排除クロマトグラムである。
実施例2の卵殻膜タンパク質可溶化物のサイズ排除クロマトグラムである。
実施例3の卵殻膜タンパク質可溶化物のサイズ排除クロマトグラムである。
比較例1の卵殻膜タンパク質可溶化物のサイズ排除クロマトグラムである。

0013

以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。

0014

[1]卵殻膜タンパク質可溶化物
本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物(以下、「卵殻膜可溶化物」と称する場合がある。)は、下記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、保持時間16分間より短い時間にピークAを有することを特徴とする。
(測定条件)
測定方法:サイズ排除クロマトグラフィー
カラム:GE製、商品名「Superdex peptide HR 10/300」1本
溶離液:30%アセトニトリル—70%水−0.1%トリフルオロ酢酸
流量:0.5ml/min
カラム温度:40℃
検出器:紫外吸光光度計(測定波長214nm)、
試料濃度:5〜10mg/ml
試料注入量:25μl

0015

本明細書において、「卵殻膜タンパク質」は卵殻膜に含まれるタンパク質成分を意味する。卵殻膜とは、卵殻膜は卵殻の内側にある繊維質薄膜であり、外卵殻膜及び内卵殻膜二層網目状構造からなる。卵殻膜の主成分はタンパク質であるが、卵殻から卵殻膜を分離する際に卵殻由来カルシウム成分を含むことがある。
また、「卵殻膜タンパク質可溶化物」とは、原料の卵殻膜タンパク質が水に可溶化できる状態に変化したものを意味する。ここで、本発明において、「水に可溶化できる状態」には、卵殻膜タンパク質由来の成分が、水に溶解する状態だけでなく、自然沈降せずに水に分散する状態を含む。

0016

図1に、上記条件にて測定された本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物のサイズ排除クロマトグラムの一例を示す。図1の卵殻膜タンパク質可溶化物の詳細については、実施例1にて後述するが、図1の卵殻膜タンパク質可溶化物は、保持時間15.0〜15.2分の間にピークトップを持つピークAを有する。
ここで、上記測定条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、排除限界分子量は20000であり、分子量20000以上のものは、保持時間16分より短い時間にピークAとして検出される。ピークAは、いわゆる排除限界分子量のピークである。
すなわち、本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物の特徴である、保持時間16分より短い時間にピークAを有するということは、本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物は、一般的に可溶化しにくい高分子量の成分を含んでいるにもかかわらず可溶化しているということである。

0017

一方、図4に、従来のアルカリ加水分解で製造された卵殻膜タンパク質の可溶化物のサイズ排除クロマトグラムの一例を示す。図4の卵殻膜タンパク質可溶化物の詳細については、比較例1にて後述するが、図4の卵殻膜タンパク質可溶化物は、保持時間16分より短い時間にピークAは検出されず、全体的に低分子量化することで可溶化していることがわかる。

0018

このように本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物は、従来の卵殻膜タンパク質可溶化物と比較して高分子量成分を含むにもかかわらず、水に可溶化することができ、従来の卵殻膜タンパク質可溶化物とは異なる性質を有したものである。

0019

なお、サイズ排除クロマトグラフィーは、例えば、株式会社島津製作所社製高速液体クロマトグラフ、装置名「プロミネンス」等により測定することができる。

0020

化粧料用組成物や毛髪化粧料用組成物の原料としては、高分子量成分をより含有することが好ましく、上記条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムにおいて、総ピーク面積に対する、ピークAの面積の比((ピークAの面積/総ピーク面積)×100)が3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましい。
高分子量成分をより含有することで、爪、まつげまゆげ、毛髪等に対してより高い保護効果が期待できる。

0021

なお、「総ピーク面積」とは、測定開始から測定終了までの全てのピークの面積の和を意味する。測定終了点は、その保持時間以降のピーク強度及びピークの傾きが実質的に0となる点とする。
また、「ピークAの面積」は、ピークAの立ち上がりの点(測定開始後、ピーク強度が実質的に0より大きくなる最初の点)の保持時間から、ピークAのピークトップ検出後、最初にピークの傾きが0となる点(変曲点)の保持時間までの間の面積とする。

0022

また、本発明の卵殻膜可溶化物は、上記の条件において、サイズ排除クロマトグラムにおいて、保持時間16分より短い時間にピークAを有すれば、使用目的等に応じて、重量平均分子量は適宜調整することができ、卵殻膜可溶化物の重量平均分子量の上限及び下限は、使用目的に応じて、安全面等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、重量平均分子量の上限は、感作性発現しない範囲で、適宜決定すればよい。
化粧料用途や毛髪化粧料用途においては、保護効果をより高めるために、卵殻膜可溶化物の重量平均分子量が9000〜14000であることが好ましい。なお、本明細書において、卵殻膜タンパク質可溶化物の重量平均分子量とは、上記の条件にて測定されたサイズ排除クロマトグラムより算出した重量平均分子量のことである。

0023

また、化粧料用途や毛髪化粧用組成物の原料として用いた場合、保護効果に加えて補修効果を向上させるためには、卵殻膜タンパク質の可溶化物は、システイン及びシスチンを多く含有することが好ましい。本発明の卵殻膜可溶化物は、高分子量成分を多く含むため、システイン及びシスチンの含有量を高めやすい。システイン及びシスチンの含有量を高めることで、爪、まつげ、まゆげ、毛髪等に対してより高い保護効果や補修効果が期待できる。

0024

本発明の卵殻膜可溶化物のシステイン及びシスチンの含有量は、原料に対しシステイン及びシスチンの含有量の残存率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。システイン及びシスチンの含有量の算出方法、残存率については、実施例にて後述する。

0025

また、卵殻膜可溶化物のシステイン及びシスチンの含有量が1.5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2.0質量%以上であり、4.0質量%がさらに好ましい。

0026

本発明の卵殻膜可溶化物は、液状(可溶化した状態)で用いてもよいし、乾燥させて粉末顆粒などの固形物として使用してもよい。
本発明の卵殻膜可溶化物は、水に可溶であり、着色がほとんどないと共に、人体に対する毒性や刺激性が少ないため、各種化粧料用組成物、医薬品用組成物(外用剤服用剤)、機能性食品等の用途に使用することができる。詳しくは、[3]本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物を含む組成物において、後述する。

0027

また、本発明の卵殻膜可溶化物の製造方法は、後述する本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法で好適に製造することができる。

0028

[2]卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法
本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称する場合がある。)は、アルカリ条件に調整した卵殻膜タンパク質懸濁液(以下、単に「懸濁液」と称する場合がある。)を温度130℃以上160℃以下で、かつ、当該処理温度に5分以内に到達するように加熱することによって卵殻膜タンパク質を可溶化する工程を有することを特徴とする。

0029

本発明の製造方法により、上述した本発明の卵殻膜タンパク質の可溶化物を好適に製造できる。

0030

本発明の製造方法の特徴のひとつは、130℃〜160℃の設定温度に急速加熱し、卵殻膜タンパク質の可溶化をすることである。130℃〜160℃の設定温度に急速加熱し、反応系内を急速に高温することで、変性凝集を抑制しつつ、タンパク質の構造を変化に伴う可溶化反応を優先的に進行させつつ、適度な加水分解をもされるので、短時間であっても、十分に可溶化させることができると推察される。また、アルカリ条件下で急速加熱し、短時間で卵殻膜タンパク質を可溶化することで、タンパク質の変性を抑制しやすく、タンパク質可溶化物同士が電荷によって反発しあうため凝集を抑制しやすい傾向にあるため、従来のアルカリの処理液を室温ないしは80〜100℃程度の温度で、長時間、処理することによって得られる卵殻膜タンパク質加水分解物と比較して、分子量の大きなものであっても可溶化できる。

0031

また、酸条件下での可溶化方法と比較して、分子量分布の狭いものが得られやすいため、高分子量化成分を多く含む卵殻膜可溶化物が得られやすく、副生成物の生成も抑制することができる。

0032

また、従来の製法で得られる卵殻膜可溶化物は、可溶化物を得るためにアルカリ条件下で長時間の加熱処理が必要となるために、システイン及びシスチンが分解し、システイン及びシスチンの含有量が低下しやすかった。
本発明の製造方法では、短時間で卵殻膜タンパク質を可溶化させることができるので、従来のアルカリ加水分解法では分解されやすい、卵殻膜の機能性に影響するシスチン及びシステインも分解されにくい。

0033

本発明の製造方法で使用される懸濁液はアルカリ条件に調整される。本発明の卵殻膜可溶化物をより効率に得るためには、アルカリ条件として、pHは8.0以上が好ましく、pH9.0以上がより好ましく、pH10.0以上がさらに好ましく、pH11.0以上が最も好ましい。なお、本発明におけるpHは、卵殻膜タンパク質懸濁液をpHメータで測定した値である。

0034

処理温度は、使用目的に応じて130℃〜160℃の間で適宜選択され、処理温度への到達時間は、5分以内である。処理温度が温度130℃未満の場合には可溶化反応が徐々に起こり、反応に時間を有し、低分子量化しやすい。また、160℃を超えると、可溶化反応より卵殻膜タンパク質の変性及び過度の加水分解が優先的に起こりやすく、本発明の卵殻膜タンパク質を得にくい。
また、目的とする温度までに到達する時間が長すぎると、可溶化反応が徐々に起こるために、卵殻膜タンパク質の変性及び過度の加水分解が起こりやすくなり、本発明の卵殻膜タンパク質を得るのが困難である。

0035

ここで、卵殻膜タンパク質の可溶化の程度は、懸濁液のpHと処理温度に依存して、好適な処理温度範囲が異なる。例えば、pH8.0以上12以下の範囲における好適な条件は、処理温度が150〜160℃である。また、pH12以上範囲における好適な条件は、処理温度が130〜150℃である。

0036

また、本発明の卵殻膜可溶化物をより効率に得るためには、処理温度への到達時間は1分以内が好適である。

0037

なお、「処理温度」とは、急速加熱のときの最高到達温度のことであり、装置により試料が加熱される箇所における試料の測定温度である。本発明においては、処理温度は、130℃〜160℃の間から適宜決定される。また、昇温の速度は、処理温度への到達時間は5分以内となるように、目的等を考慮して適宜調節可能である。

0038

また、処理温度に到達後、速やかに100℃以下に冷却されることが好ましい。冷却は、熱交換器減圧装置の装置を利用してもよい。

0039

また、本発明の目的を損なわない範囲で、130〜160℃の処理温度へ到達後、処理温度で保持してもよい。なお、「保持時間」には、処理時間到達後の処理温度で保持する時間のことであり、昇温時間は含まない。

0040

加熱手段は上記処理条件に懸濁液を加熱できれば特に制限されず、加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱や電磁誘導による加熱、マイクロウェーブ照射により加熱、熱交換機を介した間接的な加熱等が挙げられる。
このような加熱方法には、例えば、超高温瞬間殺菌装置(UHT殺菌装置)を用いたり、マイクロ波加熱装置誘導加熱装置等を用いることができる。なお、上述の処理条件を満たし、急速に卵殻膜タンパク質の懸濁液を加熱できるものであれば、例示した装置に限定されず、使用する設備に特に限定はなく、従来公知の装置を使用することができ、卵殻膜可溶化物の生産量を考慮して適宜好適な装置を選択すればよい。

0041

この中でも、加熱手段は、加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱であると、短時間で効率的に熱が伝わり、可溶化できるので、分子量の大きな卵殻膜可溶化物を得ることができ好ましい。また、多量の懸濁液を連続的に可溶化することができる点でも、加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱が好適である。
加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱の場合、加圧した水蒸気を懸濁液に吹き込んで加圧した水蒸気を懸濁液に接触させても、懸濁液を加圧した水蒸気中に吹き込んで加圧した水蒸気を懸濁液に接触させてもよい。

0042

加圧した水蒸気と前記卵殻膜タンパク質の懸濁液との接触による加熱ができる装置としては、例えば、超高温瞬間殺菌装置(UHT殺菌装置)を用いることができる。
一般的に、超高温瞬間殺菌装置(UHT殺菌装置)は、液状食品の殺菌に用いられ、液状食品に蒸気を吹き込む又は上記に液状食品を吹き込むことにより、食品の温度を極めて短時間で殺菌温度(150℃前後)まで加熱し、数秒保持することで、熱による食品のダメージを抑えつつ殺菌することができる装置である。本発明の製造方法は、一般的に殺菌のために用いられる超高温瞬間殺菌装置(UHT殺菌装置)を転用し、卵殻膜可溶化物の製造のために用いることができる。
また、超高温瞬間殺菌装置の方式は特に限定されず、例えば、スチームインジェクション式でもよく、スチームインフュージョン式でもよい。このような装置として、例えば、イズミフードマシナリー製スチームインジェクションSDI—150殺菌テスト機等が挙げられる。

0043

このような直接懸濁液に水蒸気を接触させて急速に温度を上げる装置は、懸濁液を連続的に処理できる点と、蒸気を直接接触させることにより懸濁液を効率よく撹拌、可溶化できる点で好適である。

0044

また、本発明の製造方法では、短時間で卵殻膜タンパク質を可溶化させることができるので、シスチン及びシステインが分解されにくいが、原料(可溶化処理前の卵殻膜タンパク質)に対し、システイン及びシスチンの含有量の残存量が30%以上となるよう卵殻膜タンパク質を可溶化することが好ましい。このような製造方法は、化粧料用組成物や毛髪化粧料用組成物の原料となる卵殻膜可溶化物の製造に特に好適である。

0045

pH調整に使用するアルカリとしては、本発明の目的が達成される限り、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化カルシウム等の無機アルカリであっても、有機アルカリであってもよいが、通常、無機アルカリが用いられ、特に水酸化ナトリウムは好適なアルカリのひとつである。

0046

pH調整に使用するアルカリの量は、懸濁液のpHが所望のアルカリ条件となるように調整され、原料となる未処理卵殻膜に含まれるカルシウム成分の量を考慮して適宜決定される。アルカリの濃度が高すぎると塩が残留しやすいため、アルカリ濃度3%以下の処理液を用いて卵殻膜タンパク質の懸濁液を調整することがより好ましい。

0047

また、本発明の卵殻膜可溶化物の製造方法は、上記工程を含めばよく、その前後に別の工程を設けてもよい。例えば、上記工程のあとに、脱塩処理等の精製を行ってもよい。

0048

卵殻から卵殻膜を分離する際に卵殻由来のカルシウム成分を含むことがある。これをそのまま使用すると、カルシウム成分が残留し、得られる卵殻膜可溶化物の品質劣化するおそれがある。そこで、このカルシウム成分を除去した卵殻膜タンパク質を使用することで卵殻膜可溶化物の品質が向上する。

0049

より高品質な卵殻膜可溶化物を得ることができる点で、原料の(未処理)卵殻膜タンパク質は、卵殻膜に含まれるカルシウム成分を酸性溶液で溶解させた後に、固液分離して得られる卵殻膜タンパク質であってもよい。すなわち、卵殻膜タンパク質を可溶化する工程の前工程として、原料である(未処理)卵殻膜タンパク質を酸性溶液で処理し、含有するカルシウム成分を溶解させ、固液分離することによりカルシウム成分を除去した卵殻膜タンパク質を得る工程を含んでもよい。

0050

例えば、卵殻膜タンパク質を可溶化する工程の前工程として、原料である(未処理)卵殻膜タンパク質を乳酸で処理し、含有するカルシウム成分を溶解させ、固液分離することによりカルシウム成分を除去した卵殻膜タンパク質を得る工程を含んでもよい。
このようにすることで、カルシウム成分は乳酸カルシウムとして可溶化し、比重の低い不溶性カルシウム塩乳酸溶液に浮き、卵殻膜は乳酸溶液に沈降するために、容易に卵殻膜からカルシウム成分を除去することができる。

0051

使用する酸としては、卵殻膜タンパク質の品質劣化惹起するものでなく、カルシウム成分を溶解することができるものであればよく、塩酸等の無機酸であっても、乳酸やクエン酸酢酸等の有機酸であってもよい。

0052

[3]本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物を含む組成物
本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物は、上述のように水溶性であり、着色がほとんどないと共に、人体に対する毒性や刺激性が少ない。そのため、本発明の卵殻膜可溶化物を含む組成物(以下、「本発明の組成物」と称する場合がある。)は、各種化粧料用組成物、医薬品用組成物(外用剤、服用剤)、機能性食品等の用途に使用することができ、その用途は特に限定されないが、好適な用途の一つとして、毛髪化粧料用組成物が挙げられる。
なお、本発明の卵殻膜可溶化物は、その用途に合わせて所望の分子量分布に調整して使用してもよい。

0053

また、本発明の組成物は、目的を損なわない範囲で、本発明の卵殻膜可溶化物のみならず、加水分解が進行した、より低分子化した成分を含んでいてもよい。

0054

(化粧料用組成物)
本発明の組成物は化粧料用組成物の用途に使用してもよい。本発明の卵殻膜可溶化物は、従来の卵殻膜可溶化物に比べて、分子量が大きいため、皮膚やまゆげ、まつげ、ネイル、毛髪の表面で膜を形成しやすく、保湿効果や保護効果を発揮しやすい。各種化粧料基材及び化粧料添加物に対する安定性も高いため、化粧料用組成物に好適に配合することができる。なお、本発明において、化粧料用組成物は、化粧品のみならず医薬部外品も含む。

0055

化粧料用組成物への卵殻膜可溶化物の配合割合は任意であるが、化粧料用組成物が、保湿作用等の卵殻膜可溶化物に由来する作用を発現する範囲で適宜選択される。卵殻膜可溶化物の化粧料用組成物に対する割合は、卵殻膜可溶化物における溶媒の割合や溶媒の種類等にもよるが、例えば、化粧料用組成物の形態がジェルの場合は1〜50重量%程度、形態が乳液の場合は1〜50重量%程度、形態がクリームの場合は1〜50重量%程度である。

0056

本発明の化粧料用組成物は、慣用化粧料基材を適宜配合し、所望の剤型とすることができる。その形態は特に制限はないが、ジェル、乳液、クリーム等の形態が挙げられる。

0057

化粧料基材としては、目的とする剤型に合わせて、水、水溶性有機溶媒、油脂、ロウ高級脂肪酸高級アルコールエステル類等の従来公知の化粧料基材が適宜選択される。

0058

また、本発明の化粧料用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料皮膚外用医薬で使用される任意の成分を添加することができる。かかる任意成分の具体例としては、増粘・ゲル化剤酸化防止剤紫外線吸収剤色素剤金属封鎖剤防腐剤pH調整剤香料ミツロウ等が挙げられる。これら任意成分の配合割合は、その目的に応じて適宜選択して決定することができる。

0059

本発明の化粧料用組成物は、当業者通常用いる方法によって製造することができ、卵殻膜可溶化物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。

0060

本発明の化粧料用組成物は、スキンケア化粧料用、浴用化粧料用、毛髪化粧料用又はメイクアップ化粧料用等に用いることができるが、好適な用途としては、まゆげ用化粧品、まつげ用化粧品、ネイル用品、毛髪化粧料用組成物(ヘアケア製品)等が挙げられる。

0061

まゆげ用化粧品としては、例えば、アイブロウペンシルアイブロウマスカラアイブロウパウダー等が挙げられる。

0062

まつげ用化粧品としては、例えば、まつげエクステ用グルー、まつげエクステ用リムーバー、まつげエクステ用前処理剤、まつげ美容液、まつげエクステ用コーティング剤マスカラマスカラ下地吸着剤クレンジングアイライナー等が挙げられる。

0064

以下、本発明の化粧料用組成物の好適な用途の一つである毛髪化粧料用組成物について説明する。

0065

(毛髪化粧料用組成物)
本発明の卵殻膜可溶化物組成物は、毛髪化粧料組成物として好適に使用できる。本発明の卵殻膜可溶化物は、従来の卵殻膜可溶化物と比較して分子量が大きいため、低分子化した卵殻膜可溶化物では十分に補修、保護効果が発揮されないようなダメージの大きい毛髪に対しても、十分な補修、保護効果が発揮されやすい。

0066

毛髪化粧料用組成物としては、例えば、染毛剤パーマ剤シャンプーヘアリンスヘアコンディショナーヘアトリートメントヘアクリームヘアジェルヘアムースヘアオイルスタイリング剤カーリング剤縮毛矯正剤頭髪用カールジェル、育毛剤等が挙げられる。なお、本発明において、毛髪化粧料用組成物には、化粧品のみならず医薬部外品も含む。
すなわち、本発明の毛髪化粧料用組成物は、染色やパーマトリートメント、毛髪ケア等の毛髪処理に用いることができる。

0067

毛髪化粧料用組成物への卵殻膜可溶化物の配合割合は任意であるが、毛髪化粧料用組成物が、髪のダメージの保護、補修効果等の卵殻膜可溶化物に由来する作用を発現する範囲で適宜選択される。卵殻膜可溶化物の毛髪化粧料用組成物に対する割合は、卵殻膜可溶化物における溶媒の割合や溶媒の種類等に応じて適宜決定されるが、卵殻膜可溶化物の含有量は、毛髪化粧料用組成物の全体に対して1〜50重量%程度である。

0068

本発明の毛髪化粧料用組成物は、慣用の化粧料基材を適宜配合し、所望の剤型とすることができる。その形態は特に制限はないが、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状ペースト状、ムース状エアゾール等の形態が挙げられる。

0069

化粧料基材としては、目的とする剤型に合わせて、水、水溶性有機溶媒、油脂、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類等の従来公知の化粧料基材が適宜選択される。

0070

なお、毛髪化粧料用組成物は、本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物以外の卵殻膜タンパク質可溶化物を含有してもよいし、卵殻膜タンパク質を含有してもよい。
また、本発明の化粧料用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で通常使用される任意の成分を添加することができる。かかる任意成分の具体例としては、還元剤界面活性剤、増粘・ゲル化剤、アルカリ剤酸化剤、乳化安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素剤、金属封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、香料、保湿剤油剤、ミツロウ、シリコーンキレート剤着色料等が挙げられる。これら任意成分の配合割合は、その目的に応じて適宜選択して決定することができる。

0071

本発明の毛髪化粧料用組成物は、当業者が通常用いる方法によって製造することができ、本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。

0072

(医薬品用組成物)
本発明の組成物は、医薬品用組成物の用途に使用してもよい。なお、本発明の医薬品用組成物は、医薬品のみならず、医薬部外品に配合してもよい。
本発明の医薬品用組成物の形態としては特に限定はないが、一般に皮膚に塗布する形の皮膚外用剤として用いられる場合には、液状やクリーム状である。この場合、医薬品用組成物は、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品に配合される、油性成分、可溶化剤、保湿剤、色素乳化剤増粘剤、香料等の任意の成分を含有することができる。

0073

また、本発明の医薬品用組成物は、入浴剤ボディーソープ、シャンプー等の入浴用組成物に配合して用いてもよい。剤型としては、一般に用いられる、水溶液、W/O型又はO/W型エマルション、適当な賦形剤等を用いて顆粒剤その他の粉末、錠剤等としてもよい。

0074

また、本発明の医薬品用組成物は、人体に対する毒性や刺激性が少なく、安全であるため、外用剤としてのみならず、服用剤として経口投与とすることもできる。
経口投与に利用される剤形としては、具体的には、固形製剤として、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤トローチ等が挙げられる。また、液状製剤として内用液剤外用液剤懸濁剤乳剤シロップ剤等が例示され、これら剤形やその他の剤形が目的に応じて適宜選択される。また、経口投与用医薬品組成物として、薬学的に許容される通常の担体結合剤安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤等張剤等の各種調剤用配合成分をさらに適宜含有していてもよい。

0075

本発明の医薬品組成物は、当業者が通常用いる方法によって製造することができ、卵殻膜タンパク質可溶化物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。医薬品組成物の投与量は、対象者性別年齢、体重、投与形態等に応じて適宜選定することができる。

0076

(機能性食品)
一方、日常的に飲食することで、本発明の卵殻膜タンパク質可溶化物を摂取したい場合には、該食品、飲料に含有させて機能性食品としてもよい。
ここでいう「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持の目的で摂取する食品及び/又は飲料を意味している。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤防菌防黴剤酸味料調味料、乳化剤、強化剤製造用剤、香料等を添加していてもよい。

0077

本発明の機能性食品の対象となる、食品、飲料は特に限定されるものではない。例えば、食品として、ソーセージハム魚介加工品ゼリーキャンディーチューインガム等の食品類が挙げられる。また、飲料としては、各種の茶類清涼飲料水酒類、栄養ドリンク等が挙げられる。本発明の卵殻膜可溶化物は、このような食品、飲料に添加することにより、簡易経口摂取することができる。また、卵殻膜可溶化物の配合量は、食品、飲料の種類、目的とする作用に応じて適宜決定すればよい。

0078

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0079

「実施例1」
(1.卵殻膜の乳酸による前処理)
水94.4重量部及びL−乳酸和光純薬工業(株)、濃度85〜92%)5.6重量部の乳酸溶液に、粉末状の卵殻膜10重量部を添加し、常温(約25℃)下、12時間撹拌し、卵殻膜に含まれるカルシウム成分を溶解させた。なお、撹拌後の混合液のpHをpHメーター(東亜ディーケーケー製、HM−30R)で測定したところ、pH3.19であった。次いで、撹拌後の混合液を、ろ過器を用い、固形物と液体に分離した。得られた固形物を40℃で減圧乾燥し、乾燥物を得た。最終的に得られた固形物(卵殻膜タンパク質)は、3.1重量部であった。この固形物のタンパク質量をケルダール法により評価したところ、タンパク質の割合が94.2重量%であった。得られた卵殻膜は、カルシウム顔料にして0.5%以下の高純度であった。

0080

(2.卵殻膜タンパク質の可溶化処理)
前処理後の卵殻膜タンパク質の可溶化処理は、以下の手順で行った。
まず、純水に水酸化ナトリウムを添加して混合し、水酸化ナトリウム濃度1重量%の処理溶液を調整した。次いで、水酸化ナトリウム濃度1重量%の処理溶液95重量部に対し、卵殻膜タンパク質5重量部を添加し、均一になるように撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液のpHをpHメータ(東亜ディーケーケー製、HM−30R)で測定したところ、pH12以上であった。
さらに、140℃まで1分以内に到達するように直接蒸気吹き込み式連続殺菌装置(イズミフードマシナリー製スチームインジェクションSDI—150殺菌テスト機)を用いて、140℃まで加熱を行い、同温度で20秒間保持し、卵殻膜タンパク質を可溶化し、卵殻膜タンパク質可溶化物を得た。可溶化処理後、室温まで冷却し、実施例1の卵殻膜タンパク質の可溶化物を得た。

0081

「実施例2」
水酸化ナトリウム濃度1重量%の処理溶液に代えて、水酸化ナトリウム濃度2重量%の処理溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして卵殻膜タンパク質の可溶化物を得た。

0082

「実施例3」
水酸化ナトリウム濃度1重量%の処理溶液に代えて、水酸化ナトリウム濃度3重量%の処理溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして卵殻膜タンパク質の可溶化物を得た。

0083

「比較例1」
水酸化ナトリウム濃度3重量%の処理を用いて、卵殻膜タンパク質の懸濁液を調整した。この懸濁液のpHをpHメータ(東亜ディーケーケー製、HM−30R)で測定したところ、pH12以上であった。
さらに、100℃まで20分かけて昇温し、同温度で3時間保持し、卵殻膜タンパク質を可溶化し、卵殻膜タンパク質可溶化物を得た。可溶化処理後、室温まで冷却し、比較例1の卵殻膜タンパク質の可溶化物を得た。

0084

「評価」
(1)卵殻膜タンパク質可溶化物の重量平均分子量
実施例1〜3の卵殻膜タンパク質可溶化物及び比較例1の卵殻膜タンパク質可溶化物について、サイズ排除クロマトグラフィーを測定した。なお、卵殻膜タンパク質可溶化物は、下記試料濃度に調整後、精密ろ過フィルターザルトリウスミニザルトRC15、孔径0.2μm)を通して、装置に注入した。得られたサイズ排除クロマトグラムを図1〜4に示す。
また、サイズ排除クロマトグラフィーで得られた分子量分布から重量平均分子量を算出した。結果を表1に示す。

0085

なお、サイズ排除クロマトグラフィーの条件は以下のとおりである;
株式会社島津製作所社製高速液体クロマトグラフ、装置名「プロミネンス」
カラム:GE製、商品名「Superdex peptide HR 10/300」1本
溶離液:30%アセトニトリル—70%水−0.1%トリフルオロ酢酸
流量:0.5ml/min
カラム温度:40℃
検出器:紫外吸光光度計(測定波長214nm)、
試料濃度:5〜10mg/ml
試料注入量:25μL

0086

0087

(2)システイン及びシスチンの含有量
実施例1〜3の卵殻膜タンパク質可溶化物及び比較例1の卵殻膜タンパク質可溶化物について、アミノ酸組成分析によりシステイン及びシスチンの含有量を算出した。
なお、アミノ酸組成分析は、酸化剤であるアジ化ナトリウム存在下塩酸加水分解してシステイン及びシスチンについてはシステイン酸の形にし、AccQTag誘導体化(日本ウォーターズ株式会社)して超高圧高速液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ株式会社製UPLC H class)で分析した。
また、システイン及びシスチンの含有量は、原料となる可溶化処理前の卵殻膜タンパク質のシステイン及びシスチンの含有量に対する残存率として求めた。すなわち、残存率は以下の式で表される。
残存率(%) = (卵殻膜タンパク質可溶化物のシステイン及びシスチンの含有量/可溶化処理前の卵殻膜タンパク質のシステイン及びシスチンの含有量)×100
結果を表2に示す。

0088

0089

図1に示すように、実施例1の卵殻膜タンパク質可溶化物は、上記測定条件でサイズ排除クロマトグラフィーを測定し得られたサイズ排除クロマトグラムおいて、保持時間15分にピークAを有し、また、総ピーク面積(保持時間0分から、実質的にピーク強度及びピークの傾きが0となる保持時間45分までの間のピークの面積の和)に対する、前記ピークAの面積の比が15.5%である。
また、図2に示すように、実施例2の卵殻膜タンパク質可溶化物は、上記測定条件でのサイズ排除クロマトグラムおいて、保持時間15分にピークAを有し、また、総ピーク面積に対する、前記ピークAの面積の比が10.8%である。
また、図3に示すように、実施例3の卵殻膜タンパク質可溶化物は、上記測定条件でのサイズ排除クロマトグラムおいて、保持時間15分にピークAを有し、また、総ピーク面積に対する、前記ピークAの面積の比が9.4%である。

0090

一方、図4に示すように、比較例1の卵殻膜可溶化物は、上記測定条件でのサイズ排除クロマトグラムにおいて、保持時間16分より短い時間にピークは検出されなかった。

0091

また、実施例1〜3の卵殻膜タンパク質可溶化物と比較例1の卵殻膜タンパク質可溶化物の重量平均分子量の比較からも、本発明の卵殻膜タンパク質の可溶化物は高分子量成分を多く含むことがわかる。

0092

また、表2に示すように、実施例1〜3の卵殻膜タンパク質可溶化物は、比較例1の卵殻膜タンパク質可溶化物と比較して、原料に対するシステイン及びシスチンの含有量の残存率が多く、本製造方法では、システイン及びシスチンが分解しにくいことが分かる。そのため、得られた卵殻膜タンパク質可溶化物は、まゆげ用化粧品やまつげ用化粧品、ネイル用品、毛髪化粧料用組成物の原料として用いることで、高い保護効果が期待できる。

実施例

0093

このように、実施例1〜3の卵殻膜タンパク質の可溶化物は、従来の卵殻膜タンパク質可溶化物と比較して高分子量を多く含むにもかかわらず、水に可溶化することができ、システイン及びシスチンも多く含有しており、従来の卵殻膜タンパク質可溶化物とは異なる性質を有したものである。

0094

本発明によれば、化粧料用組成物、医療用組成物、機能性食品の原料として好適に用いられる卵殻膜タンパク質可溶化物及び、該卵殻膜タンパク質を低コストに生産することができる製造方法が提供されるので、工業的に有望である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ