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技術 計測装置、計測方法、プログラム

出願人 双葉電子工業株式会社
発明者 早野綾一郎野原康弘井伊谷育典関口翔
出願日 2016年7月26日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-146369
公開日 2018年2月1日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-015937
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 参照閾値 監視幅 バラツキ度合い 専用アンプ ランナー構造 計測波形 真空引き装置 計測内容
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

異常判定精度低下抑制コスト削減との両立を図る。

解決手段

本発明に係る計測装置は、射出成形装置配備されたセンサ検出値を取得する取得部と、過去において射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した検出値に基づき、時点ごとの閾値を生成する閾値生成部と、取得部が取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定部とを備えている。

概要

背景

射出成形装置に設置したセンサ検出信号計測装置計測する計測システムが知られている。この計測システムは、射出成形機内金型内或いは成形周辺機器(例えば冷却用温調機真空引き装置など)内に配備した温度センサ圧力センサ等により、樹脂等の成形材料挙動を検出し、波形としてパーソナルコンピュータ等の情報処理装置リアルタイム出力可能とされている。
計測データは、最適な成形条件の設定、不良品自動選別品質管理金型の評価等、様々な用途に活用することができる。
また、計測システムでは、センサの検出信号に基づく計測値監視し、異常の発生に応じてアラーム出力を行うことも可能とされている。このアラーム出力により、射出成形装置の停止や不良品の識別を行うことが可能となる。

なお、下記特許文献1には、射出成形装置に設けられたセンサがキャビティ内の樹脂の圧力を検出し、該センサの検出信号をアンプ装置によりサンプリングする技術が開示されている。

概要

異常判定精度低下抑制コスト削減との両立をる。本発明に係る計測装置は、射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得部と、過去において射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した検出値に基づき、時点ごとの閾値を生成する閾値生成部と、取得部が取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定部とを備えている。

目的

本発明では、異常判定精度の低下抑制とコスト削減との両立を図ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

射出成形装置配備されたセンサ検出値を取得する取得部と、前記取得部が過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成部と、前記取得部が取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定部と、を備える計測装置

請求項2

前記閾値生成部は、前記取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した前記時点ごとの前記検出値を前記時点ごとに平均化することで前記検出値についての前記時点ごとの平均値を得、該時点ごとの平均値に基づいて前記時点ごとの閾値を生成する請求項1に記載の計測装置。

請求項3

前記閾値生成部は、前記取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した前記時点ごとの前記検出値に基づき、前記検出値の前記時点ごとの標準偏差を計算し、前記時点ごとの平均値をそれぞれ対応する時点の前記標準偏差に基づきオフセットさせた値を前記時点ごとの閾値として生成する請求項2に記載の計測装置。

請求項4

前記閾値生成部は、前記閾値として上限値と下限値の二種の閾値を生成する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の計測装置。

請求項5

射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得ステップと、前記取得ステップが過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成ステップと、前記取得ステップが取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定ステップと、を備えた計測装置の計測方法

請求項6

射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得ステップと、前記取得ステップが過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成ステップと、前記取得ステップが取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定ステップと、を演算処理装置に実行させるプログラム

技術分野

0001

本発明は、例えば射出成形装置等の量産監視のための計測装置計測方法プログラムに関する。

背景技術

0002

射出成形装置に設置したセンサ検出信号を計測装置で計測する計測システムが知られている。この計測システムは、射出成形機内金型内或いは成形周辺機器(例えば冷却用温調機真空引き装置など)内に配備した温度センサ圧力センサ等により、樹脂等の成形材料挙動を検出し、波形としてパーソナルコンピュータ等の情報処理装置リアルタイム出力可能とされている。
計測データは、最適な成形条件の設定、不良品自動選別品質管理金型の評価等、様々な用途に活用することができる。
また、計測システムでは、センサの検出信号に基づく計測値を監視し、異常の発生に応じてアラーム出力を行うことも可能とされている。このアラーム出力により、射出成形装置の停止や不良品の識別を行うことが可能となる。

0003

なお、下記特許文献1には、射出成形装置に設けられたセンサがキャビティ内の樹脂の圧力を検出し、該センサの検出信号をアンプ装置によりサンプリングする技術が開示されている。

先行技術

0004

特開2008−36975号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ここで、センサの検出信号に基づく異常判定としては、例えば射出成形装置に使用する金型や樹脂材料を変更するなど射出成形条件が変更された場合には、判定基準の見直しを要することがある。その場合、判定基準は、新たな射出成形条件による量産前試作の段階において、作業者等がセンサ検出値完成品出来映えとを案して策定することが一般的とされている。

0006

しかしながら、人手により判定基準を策定するには相応工数を要し、製品製造にあたってのコストアップを助長する。
このようなコストアップの防止を図るため、判定基準、すなわちセンサ検出値についての閾値としては、例えば幅広い射出成形条件に対応可能とするように或る程度余裕を持たせた数値を固定的に設定することが考えられるが、その場合には異常判定の精度低下を招く虞がある。

0007

そこで、本発明では、異常判定精度低下抑制コスト削減との両立を図ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る計測装置は、射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得部と、前記取得部が過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成部と、前記取得部が取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定部と、を備えるものである。

0009

上記した計測装置によると、実際の検出値に基づき生成した閾値を基準として射出成形状況の異常判定が行われるため、射出成形条件の変化に適応した判定基準によって異常判定を行うことが可能とされる。従って、射出成形条件の変化によって異常判定精度が低下することの抑制が図られる。
また、判定精度を確保するために射出成形条件の変更ごとに判定基準を模索する作業が不要となるため、成形品の製造に係る工数削減が図られる。

0010

上記した本発明に係る計測装置においては、前記閾値生成部は、前記取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した前記時点ごとの前記検出値を前記時点ごとに平均化することで前記検出値についての前記時点ごとの平均値を得、該時点ごとの平均値に基づいて前記時点ごとの閾値を生成することが考えられる。

0011

これにより、過去複数成形サイクルで得られた複数の検出値波形の平均波形に基づいて異常判定の閾値が生成される。

0012

上記した本発明に係る計測装置においては、前記閾値生成部は、前記取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した前記時点ごとの前記検出値に基づき、前記検出値の前記時点ごとの標準偏差を計算し、前記時点ごとの平均値をそれぞれ対応する時点の前記標準偏差に基づきオフセットさせた値を前記時点ごとの閾値として生成することが考えられる。

0013

これにより、異常判定として過去の検出値のバラツキ度合いを考慮した判定が行われる。

0014

上記した本発明に係る計測装置は、前記閾値生成部は、前記閾値として上限値と下限値の二種の閾値を生成することが考えられる。

0015

これにより、検出値について或る監視幅を持った異常判定を行うことが可能とされる。

0016

また、本発明に係る計測方法は、射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得ステップと、前記取得ステップが過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成ステップと、前記取得ステップが取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定ステップと、を備えたものである。
本発明に係るプログラムは、上記各ステップの処理を演算処理装置に実行させるプログラムである。

発明の効果

0017

本発明によれば、異常判定精度の低下抑制とコスト削減との両立を図ることができる。

図面の簡単な説明

0018

実施の形態の射出成形計測システムの構成を示したブロック図である。
実施の形態の管理ソフトウェアによる表示画面の説明図である。
実施の形態の計測装置のブロック図である。
1成形サイクルにおける検出値波形の例を示した図である。
時点ごとの閾値のイメージを示した図である。
時点ごとの閾値を生成するための処理を示したフローチャートである。
生成した閾値を用いた異常判定のための処理を示したフローチャートである。

実施例

0019

<計測システムの構成>
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。まず本発明の実施の形態となる計測装置1と射出成形装置2を含む射出成形計測システム100(単に「計測システム100」とも表記する)について説明する。
図1は計測システム100の構成概要を示した図である。
図示するように計測システム100は、計測装置1、射出成形装置2、専用アンプ3、パーソナルコンピュータ4を備えている。

0020

射出成形装置2は、一般的に公知のとおり、所定位置に配置される金型10と、金型10に対して樹脂材料を射出充填するための機構を備えた射出部11と、射出部11の射出動作や金型10の開閉動作等を制御して一連の射出成形動作を実行制御する成形制御部12を有して構成されている。

0021

金型10は、例えば上型下型が配置され、例えば成形ステージ内に配置された下型に対して射出部11に設けられた機構によって上型が開閉される。上型が下型に対して閉じられた状態で、例えば上型に設けられたゲートに対し、射出部11の射出シリンダによって樹脂材料が注入され、金型10内のキャビティに樹脂材料が充填される。そして充填後、所要の時間が経過したら上型が開放され、キャビティから樹脂成形品が取り出される。
金型10内には金型内センサ31が配置されている。例えば充填された樹脂材料の温度を検出する温度センサや、樹脂材料の圧力を検出する圧力センサなどである。
金型10の構造、種別については特に限定されずに各種のものが想定される。

0022

射出部11には、金型10に対する樹脂材料の注入機構型締め機構、射出シリンダ機構、射出モータ等、射出成形に必要な機構が設けられている。
また射出部11には射出部内センサ32及びセンサ用アンプ33が設けられている。射出部内センサ32としては、注入過程の樹脂材料の温度を検出する温度センサや、圧力を検出する圧力センサ、注入速度を算出する位置センサなどがある。
本実施の形態では射出部11の機構、構造、例えばシリンダ構造、型締め機構の構造、ランナー構造ノズル構造ヒーター配置、モータ配置、材料投入機構などは特に限定されず、どのような構造/種別のものでもよい。

0023

成形制御部12は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)を有するマイクロコンピュータを備えて構成されている。
成形制御部12は、射出部11による各部の駆動制御を行う。例えば射出モータ制御、金型ステージ動作制御金型開閉機構の動作制御、ノズル開閉機構の動作制御、ヒーター制御材料投入動作制御などを行う。これによって一連の射出成形動作を実行させる。

0024

金型内センサ31の検出信号S1は、例えば射出成形装置2とは別体に配置された専用アンプ3により電圧値に変換される。そして電圧信号に変換された検出信号Vs1として計測装置1に供給される。
射出部内センサ32の検出信号S2は、例えば射出部11内に設けられたセンサ用アンプ33により電圧値に変換される。そして電圧信号に変換された検出信号Vs2として計測装置1に供給される。

0025

なお、ここでは検出信号Vs1,Vs2として2つの検出信号を示しているが、検出信号Vs1は金型内センサ31からの検出信号の総称で、検出信号Vs2は射出部内センサ32からの検出信号の総称である。金型内センサ31として複数のセンサが配置される場合や射出部内センサ32として複数のセンサが配置される場合も当然に想定される。
従って検出信号Vs1,Vs2は2系統のみの検出信号を示しているものではなく、金型内センサ31と射出部内センサ32のいずれの検出信号についても計測装置1に入力できることを示しているに過ぎない。
計測装置1にはnチャネル入力系が用意されており、n系統の検出信号の同時入力が可能である。従って金型内センサ31としてn個のセンサの検出信号Vs1を計測装置1に供給してもよいし、射出部内センサ32としてのn個のセンサの検出信号Vs2を計測装置1に供給してもよい。さらに金型内センサ31と射出部内センサ32としてのそれぞれ1又は複数系統の検出信号Vs1,Vs2をnチャネルに振り分けて計測装置1に供給してもよい。
計測装置1に対してどのような検出信号入力を行うかは、実際の射出成形装置2や金型10の構造、種別、成形品、搭載センサ数、実行したい計測・監視の内容などに応じて適宜決められればよい。
また、図示していないが射出成形装置2の周辺機器、例えば冷却用の温調機や真空引き装置などに各種のセンサが設けられる場合もあり、それらのセンサの検出信号を計測装置1に供給することも想定されている。

0026

計測装置1と成形制御部12の間は各種の通信が可能とされる。図1では、通信の1つとして、成形制御部12から計測装置1に対して各種のタイミング信号STMが送信されること、及び計測装置1から成形制御部12に対して通知信号SIが送信されることを示している。
タイミング信号STMの1つとしては、例えば射出成形の1サイクルの開始/終了タイミング通知する信号がある。計測装置1は、タイミング信号STMにより、1ショット樹脂注入による1サイクルの成形期間を検知し、その間の各種検出信号のロギングや判定を行うことができる。
また、他のタイミング信号STMとしては、型締め期間の開始/終了のタイミングを示す信号や、工程の遷移タイミングを示す信号、或いは制御方式速度制御圧力制御)の切替タイミングを示す信号などが考えられる。

0027

なお以下、射出成形装置2による射出成形の1サイクルのことを「1成形サイクル」と表記する。

0028

計測装置1からの通知信号SIは各種の検出情報判定情報の結果を通知する信号である。例えば成形不良等が推定される異常判定の際のアラーム通知や、検出信号波形立ち上がりタイミング立ち下がりタイミングの通知などの信号である。成形制御部12は、これらの内容の通知信号SIに応じて各種動作制御を行うことができる。

0029

計測装置1による温度や圧力などの計測結果は、計測装置1と有線又は無線通信経路USによって接続されたコンピュータ装置4により閲覧可能とされている。通信経路USは、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルなどにより実現される。
コンピュータ装置4には、計測装置1による各種検出信号の計測について管理を行うための管理ソフトウェアがインストールされている。この管理ソフトウェアにより、作業者等はコンピュータ装置4のディスプレイを介して計測装置1による計測結果を閲覧可能とされている。
また、管理ソフトウェアを用いた設定により、作業者等は各種の数値設定を行うことができる。
さらに計測結果をコンピュータ装置4におけるHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Disk)等の所定の記憶装置収録させることが可能とされている。

0030

図2は管理ソフトウェアによってコンピュータ装置4の画面提示される管理画面90の表示内容例を示している。図示のように管理画面90には、各種センサによる検出信号の計測結果を波形により示すことが可能とされるとともに、各検出信号の所定の数値(例えばピーク値積分値、立ち上がりタイミング値、立ち下がりタイミング値等)が示される。また作業者が各種設定入力を行うための操作子が用意されている。

0031

なお図2では、計測波形の表示について、時間軸に沿って描画方向が左から右に向かうようにしているが、これを右から左に向かって描画されるように切り替えることもできる。即ち作業者の操作に応じて、波形の描画方向を切り替えることができるようにしている。例えば射出成形装置では、右側に射出機構が配置され、左に向かって射出する装置が多い。このように樹脂材料の注入方向が右から左になっている場合、表示する波形も右から左に進行するようにすると、作業者にとって感覚的に計測内容がわかりやすいものとなる。

0032

<計測装置の構成>
図3は計測装置1の内部構成を示している。
計測装置1には、演算部20、入力部21、A/D変換器22、バッファ及びIF部23、メモリ部24が設けられている。

0033

入力部21は、検出信号Vs1,Vs2についてnチャネルの入力が可能とされる。図の例では8チャネル入力を想定し、入力チャネルをI1〜I8として示している。
各入力チャネルI1〜I8に入力される検出信号Vs1,Vs2は、上述のように専用アンプ3又はセンサ用アンプ33で検出情報が電圧レベルに変換された信号である。
チャネルI1〜I8の全部又は一部に対して、検出信号Vs1又はVs2が入力される。即ち金型内センサ31や射出部内センサ32として射出成形装置2に配備された1又は複数のセンサの検出信号を、同時に、それぞれ所要のチャネルに入力可能とされている。

0034

A/D変換器22は、入力チャネル数と同数の同時入力が可能とされる。従って図の例では8チャネル入力のA/D変換器とされている。
A/D変換器22は、入力された各チャネルI1〜I8の検出信号を電圧値に応じたデジタルデータに変換し、バッファ及びIF部23に供給する。

0035

バッファ及びIF部23は、各チャネルI1〜I8の検出信号の演算部20への受け渡しや、演算部20と外部機器(コンピュータ装置4や成形制御部12)との通信データの送受信を行う部位を総括して示している。
例えばA/D変換器22から出力される同時入力された複数チャネルの検出信号のデジタルデータ(後述する検出値Ddet)は、バッファ及びIF部23で一時的にバファリングされながら各時点の検出情報として検出信号のサンプリング時点時刻情報とともに順次演算部20に転送される。
また演算部20からの通知信号SIは、バッファ及びIF部23が端子TM2から成形制御部12に送信する。また成形制御部12からの各種のタイミング信号STMは、端子TM1からバッファ及びIF部23に一旦取り込まれ、時刻情報とともに順次演算部20に転送される。
また演算部20とコンピュータ装置4の各種情報通信は、バッファ及びIF部23を介して、端子TM3(例えばLANコネクタ端子)に接続された通信経路USにより実行される。

0036

演算部20は例えばROM、RAM、CPUを有するマイクロコンピュータにより構成される。
本実施の形態では、演算部20は特に取得処理部20a、データログ処理部20b、閾値生成処理部20c、及び判定処理部20dとしての機能を持つ。

0037

取得処理部20aは、射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する。つまりこれは、A/D変換器22からバッファ及びIF部23を経由して転送される検出信号のサンプリング値を取得する機能に相当する。
以下、金型内センサ31、又は射出部内センサ32の検出信号をデジタルサンプリングして得られた値を「検出値Ddet」と表記する。

0038

データログ処理部20bは、取得処理部20aにより取得した各時点での検出値Ddetをログデータとして記憶する処理を行う。例えばA/D変換器22でデジタル値とされた各チャネルI1〜I8の検出信号についてサンプル毎の値(検出値Ddet)をサンプリング時点の時刻情報と共に記憶していく処理を行う。

0039

閾値生成処理部20cは、取得処理部20aが過去において射出成形装置2の1成形サイクル内における時点ごとに取得した検出値Ddetに基づき、時点ごとの閾値を生成する。
判定処理部20dは、取得処理部20aが取得した検出値Ddetと、該検出値Ddetの取得時点に対応して生成された閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める。
なお、これら閾値生成処理部20c、判定処理部20dとしての機能を実現するための演算部20による具体的な処理例については後述する。

0040

メモリ部24は、例えばROM、ワークメモリ不揮発性メモリ等として演算部20が使用できるメモリ領域を総括して示している。
メモリ部24は、例えばデータログ処理部20bの処理によるログデータの記憶領域として用いられる。またメモリ部24は、各種演算処理のワーク領域として用いられる。またメモリ部24は、演算部20の処理、特に取得処理部20a、データログ処理部20b、閾値生成処理部20c、及び判定処理部20dの処理を実現するためのプログラムの格納領域としても用いられる。

0041

<1成形サイクルにおける検出値波形の例>
図4は、金型内センサ31又は射出部内センサ32としてのセンサによる検出信号から得られた検出値Ddetの波形の例を示している。縦軸は検出値Ddet、横軸は時間である。例えば、本図に示す波形は圧力センサの検出値Ddetである。

0042

図4において、時点T0〜T1が1成形サイクルの期間である。この1成形サイクルには、例えば、金型10の上型と下型を閉じる型締め、金型10に対して射出部11のシリンダにより樹脂材料を注入する射出、充填後の保圧成形固化までの計量・冷却、型開き、成形品の突き出し等の各工程が含まれている。

0043

<実施の形態としての異常判定手法
ここで、前述もしたように、センサの検出信号に基づく異常判定としては、例えば射出成形装置2に使用する金型10や樹脂材料を変更するなど射出成形条件が変更された場合には、判定基準の見直しを要することがある。しかしながら、人手により判定基準を策定するには相応の工数を要し、製品製造にあたってのコストアップを助長する。
このため、本実施の形態では、判定基準、つまり判定にあたり用いる閾値を計測装置1の演算処理により生成することとし、工数の削減を図る。

0044

この際、金型10の変更など射出成形条件の変更に対して適応的に判定の閾値が変化するように、実施の形態では、実際の検出値Ddetに基づき閾値を生成するという手法を採る。

0045

また、本実施の形態では、異常判定は1成形サイクルにおける検出値波形の局所部分のみを対象として行うのではなく、少なくとも複数の工程を含んだ比較的広い範囲を対象として行う。例えば、本例では、1成形サイクル全体を対象として各時点の検出値Ddetと判定閾値とを用いた異常判定を行う。この場合、閾値は、1成形サイクルにおける時点ごとに生成する。
このような手法を採ることで、良品ができる場合と不良品ができる場合とで1成形サイクル内のどのタイミング(例えば工程など)で波形の差が現れるかを特定できない場合であっても異常判定を適切に行うことができる。

0046

また、検出信号に基づく異常判定を行う際には、金型10の種類など射出成形条件が一定の条件に定まった後においても、射出成形を繰り返すうちに検出値波形が変化し得る点に留意すべきである。例えば、射出成形装置2を起動後、ショットを繰り返していくと金型10の温度が上昇して金型10への樹脂の入りが良くなるということがあり、その場合、例えば金型10内の圧力についての検出値Ddetとしては、起動時から経時的に波形がシフトしていく(例えば図4に示したピーク部分がより早いタイミングで訪れる等)ことになる。
このような波形変化は、成形品の良/否とは無関係な変化であるため、異常と判定されることは望ましくない。換言すれば、判定の閾値としては、このような波形の経時的な変化にも追従可能であることが望まれる。
そこで、本実施の形態では、取得処理部20aが複数の成形サイクルにわたって取得した時点ごとの検出値Ddetを時点ごとに平均化することで、検出値Ddetについての時点ごとの平均値Vaを得、該時点ごとの平均値Vaに基づいて時点ごとの閾値を生成する。

0047

本例では、時点ごとの閾値として、上限値Luと下限値Llの二種を生成する。
図5に、時点ごとの上限値Lu、下限値Llのイメージを示す。
図5において、破線で示す波形Aは、時点ごとの平均値Vaを波形として表したものである。また、実線で示す波形U、波形Lは、それぞれ時点ごとの上限値Lu、時点ごとの下限値Llを波形により表したものである。
本例において、上限値Lu、下限値Llは、それぞれ対応する時点の平均値Vaに対し図中の矢印で示すようなオフセットを与えた値として生成する。
具体的に、平均値Vaに与えるオフセットの値は、該当する時点について過去複数の成形サイクルにわたって取得した検出値Ddetの標準偏差σに基づく値としている。本例では、オフセット値=3σとして、上限値Luと下限値Llとを生成する。つまり、この場合の上限値Lu、下限値Llとしては、それぞれ対応する時点について計算した平均値Vaと標準偏差σとを用い、「上限値Lu=平均値Va+3σ」「下限値Ll=平均値Va−3σ」により生成する。
本例の異常判定では、時点ごとの検出値Ddet及び上限値Luと下限値Llについて、「Lu≦Ddet≦Ll」の条件を満たすか否かを判定する。すなわち、該条件を満たさなければ異常との判定結果を得る。

0048

上記のように標準偏差σに基づく閾値の生成を行うことで、異常判定として過去の検出値Ddetのバラツキ度合いを考慮した判定を行うことができる。特に、上記のような3σを用いた閾値の生成を行うことで、過去の傾向から特異と推定される状況のみを異常の対象とする判定を実現できる。すなわち、異常判定の感度過度に高くなることの防止が図られる。

0049

処理手順
図6及び図7のフローチャートを参照して、上記により説明した実施の形態としての異常判定手法を実現するための処理手順について説明する。
図6は時点ごとの閾値(上限値Lu、下限値Ll)を生成するための処理を、図7は生成した閾値を用いた異常判定のための処理をそれぞれ示している。
なお、ここでは、射出成形装置2による射出成形を実行中にリアルタイムで閾値生成及び異常判定を行うことを前提とする。この場合、図6図7に示す処理は、演算部20が並行処理として行う。
図6及び図7に示す処理は、複数種の検出値Ddetについて演算部20がそれぞれ並行して(実際の処理としては時分割でもよい)行うこともできる。

0050

先ず、図6において、演算部20はステップS101で、開始基準時からの通算ショット数所定値n以上となるまで待機する。なお、nは2以上の自然数である。
ここで、開始基準時とは、図7に示す異常判定のための処理が開始される基準時点を表すものである。
例えば、図7に示す異常判定のための処理は、コンピュータ装置4への所定操作入力に応じて開始することができる。その場合、開始基準時は該所定操作入力が検知された時点とすればよい。或いは、図7に示す処理が例えば射出成形装置2の起動に応じて開始されるのであれば、該起動を検知した時点を開始基準時とすればよい。なお、射出成形装置2の起動は、前述したタイミング信号STMとして起動タイミングを示す信号が出力される場合には、該タイミング信号STMの検知有無により判定できる。
通算ショット数は、1成形サイクル分の射出成形動作が行われた回数同義である。通算ショット数は、例えばタイミング信号STMの1つとして射出成形装置2側から入力される1成形サイクルの開始タイミング信号の受信回数により特定する。

0051

開始基準時からの通算ショット数が所定値n以上となった場合、演算部20はステップS102に進み、サイクル終了タイミングとなるまで待機する。これは、開始基準時点からn番目の成形サイクルの終了タイミングを待機していることに相当する。該終了タイミングの待機処理としては、タイミング信号STMの1つとして射出成形装置2側から入力される1成形サイクルの終了タイミング信号を待機する処理として実現できる。
或いは、該終了タイミングについては、最新の開始タイミングから所定時間経過の時点として演算部20が内部タイマ計数により管理してもよい。

0052

サイクル終了タイミングが確認されると、演算部20はステップS103で時点識別値xを「0」にセットする。時点識別値xは、本例では1成形サイクルにおける個々の時点(検出値Ddetの個々のサンプリングタイミング)を識別するための識別値とされる。例えば、1成形サイクルにおける検出値Ddetのサンプリング総数を「α」とすると、時点識別値xとしては「0」から「α−1」までの値をとり得る。

0053

ステップS103に続くステップS104で演算部20は、過去nサイクルにおけるx番目時点の検出値Ddetについて平均値Vaを計算する。本例では、取得した検出値Ddetは、演算部20のデータログ処理部20bとしての機能により例えばメモリ部24の所定の領域にログとして記憶される(サンプリング時点の時刻情報と共に記憶される)。ステップS104では、例えば該機能によって記憶された過去nサイクルの検出値Ddetから該当するサイクルにおける該当する時点の検出値Ddetをそれぞれ特定し、特定した検出値Ddetについて平均値Vaを計算する。

0054

ステップS104に続くステップS105で演算部20は、計算した平均値Vaをx番目時点の閾値基準値として記憶する処理を行う。
さらに、続くステップS106で演算部20は、過去nサイクルにおけるx番目時点の標準偏差σを計算する。すなわち、先のステップS104において特定した過去nサイクルそれぞれにおけるx番目時点の検出値Ddetについて標準偏差σを計算する。

0055

ステップS106で標準偏差σを計算したことに応じ、演算部20はステップS107に進み、「閾値基準値+3σ」を計算しx番目時点の上限値Luとして記憶する処理を行う。さらに、続くステップS108で演算部20は、「閾値基準値−3σ」を計算しx番目時点の下限値Llとして記憶する処理を行う。

0056

ステップS108に続くステップS109で演算部20は、時点識別値xが最大値xMAX以上であるか否かを判定する。ここで、最大値xMAXは、上述した「α−1」と同値である。
時点識別値xが最大値xMAX以上でなければ、演算部20はステップS110に進んで時点識別値xを1インクリメントした上でステップS104に戻る。これにより、1成形サイクルにおける残りの各時点について、上限値Luと下限値Llの生成が行われる。

0057

一方、時点識別値xが最大値xMAX以上であれば、演算部20はステップS111に進んで終了条件成立したか否かを判定する。すなわち、図7に示す異常判定のための処理を終了すべきとして予め定められた条件が成立したか否を判定する。該終了条件としては、例えば作業者のコンピュータ装置4を用いた所定操作入力、或いは規定された成形サイクル数分の処理の完了、或いは図7の処理により異常が判定された場合等を挙げることができる。

0058

終了条件が成立していない場合、演算部20はステップS102に戻る。これにより、終了条件が成立するまで、各成形サイクルごとに各時点の上限値Lu及び下限値Llの生成が行われる。
一方、終了条件が成立している場合、演算部20は図6に示す処理を終える。

0059

なお、ステップS107、S108においては、それぞれ過去に記憶した上限値Lu、下限値Llを最新の上限値Lu、下限値Llによって上書き記憶することもできる。

0060

上記図6の処理により、開始基準時からn+1ショット目以降の各成形サイクルごとに、過去nショット分の検出値Ddetから適応的に生成した閾値が順次得られていくことになる。
なお以下、図6の処理で生成される閾値を便宜上「適応閾値」と表記する。

0061

ここで、図6の処理では、開始基準時からnショット目までの各成形サイクルにおいては上記の適応閾値が得られない。このため、以下で説明する「初期閾値」を用いる。
初期閾値としては、例えば開始基準時以前に射出成形装置2を稼働させ、その際における複数の成形サイクルで取得した検出値Ddetを用いて図6で説明した手法(S104からS108)と同手法により予め生成しておく。
例えば、作業者等は、開始基準時以前の射出成形動作として、n成形サイクル分の動作を射出成形装置2に実行させる。このとき、作業者等は、それらn成形サイクルにおける各成形サイクルで得られた成形品の出来映えを確認し、全て良品と判断したらそれらn成形サイクル分の検出値Ddetを用いた閾値生成を計測装置1(演算部20)に実行させる。例えばこのような手法により、上記の初期閾値を得る。
或いは、開始基準時以前の射出成形動作として、n成形サイクルよりも多い成形サイクル分の動作を射出成形装置2に実行させ、計測装置1に各成形サイクルで得られた検出値Ddetのログデータを記憶させておく。作業者等は、該ログデータに基づく検出値Ddetの波形をコンピュータ装置4に表示させ、各成形サイクルのうち、良好な波形が得られたと判断される成形サイクルを選択する。コンピュータ装置4は該選択を受け付け、選択された各成形サイクルの検出値Ddetを用いた閾値生成の実行を計測装置1に指示する。このような手法によっても、初期閾値を得ることができる。
例えば上記の手法によって、開始基準時以前の段階で計測装置1(演算部20)が初期閾値を生成するようにしておく。この場合、演算部20は、生成した初期閾値を例えばメモリ部24に記憶する。

0062

続いて、異常判定のための処理を説明する。
図7において、演算部20は、先ずステップS201でサイクル開始タイミングとなるまで待機する。具体的には、タイミング信号STMの1つとしての上述した開始タイミング信号を待機する処理を行う。
演算部20は、上記の開始タイミング信号によりサイクル開始タイミングであることが確認されると、ステップS202で開始基準時からの通算ショット数が「n+1」以上であるか否かを判定する。

0063

開始基準時からの通算ショット数が「n+1」以上でなければ、演算部20はステップS203に進み、参照閾値を初期閾値とする処理を行う。すなわち、後述する異常判定処理(S208)で参照する閾値、つまりはステップS207で取得対象とする閾値を上述した初期閾値とするための設定処理(例えばフラグ設定処理等)を行う。
一方、開始基準時からの通算ショット数が「n+1」以上であれば、演算部20はステップS204に進んで参照閾値を適応閾値とする処理を行う。

0064

ステップS203又はS204の処理を実行したことに応じ、演算部20はステップS205で時点識別値xを「0」にセットし、続くステップS206でx番目時点の検出値Ddetを取得するまで待機する。つまり本例では、A/D変換器22からバッファ及びIF部23を経由して転送される検出値Ddetを取得するまで待機する。

0065

x番目時点の検出値Ddetを取得すると、演算部20はステップS207に進んでx番目時点の上、下限値を取得する。つまり、先のステップS203で説明した設定処理が行われていれば、演算部20は初期閾値として記憶されているx番目時点の上限値Lu、下限値Llを取得する。一方、先のステップS204による設定処理が行われていれば、演算部20は図6のステップS107、S108の処理により成形サイクルごとに記憶されたx番目時点の上限値Luと下限値Llのうち、最新の値をそれぞれ取得する。換言すれば、現在処理対象としている成形サイクルの1つ前の成形サイクルにおいて生成された適応閾値を取得するものである。

0066

ステップS207の取得処理を実行したことに応じ、演算部20はステップS208で「下限値Ll≦検出値Ddet≦上限値Lu」による条件を満たすか否かを判定する。すなわち、ステップS206で取得した検出値DdetがステップS207で取得した下限値Ll以上且つ上限値Lu以下であるか否かを判定する。

0067

「下限値Ll≦検出値Ddet≦上限値Lu」による条件を満たしていれば、演算部20はステップS209に進み、時点識別値xが最大値xMAX以上か否かを判定し、時点識別値xが最大値xMAX以上でなければステップS210で時点識別値xを1インクリメントした上でステップS206に戻る。
これにより、ステップS208で条件不成立となる(異常と判定される)までは、処理対象の1成形サイクル内における残りの各時点の検出値Ddetについて異常判定が繰り返される。

0068

一方、「下限値Ll≦検出値Ddet≦上限値Lu」による条件を満たしていなければ、演算部20はステップS211の異常対応処理を実行する。異常対応処理としては、異常を通知するための通知信号SI(アラーム信号)を成形制御部12に送信し、またコンピュータ装置4に異常を通知する処理を行うことが考えられる。
なおこの段階で異常(成形不良)との判定結果情報を今回の成形サイクルの識別情報と共にログデータとして記憶させてもよい。

0069

先のステップS209で時点識別値xが最大値xMAX以上であった場合、又はステップS211の異常対応処理を実行したことに応じ、演算部20はステップS212に進み、終了条件が成立したか否かを判定する。該ステップS212の判定処理は先のステップS111の判定処理と同様であるため重複説明は避ける。
終了条件が成立していない場合、演算部20はステップS201に戻る。つまり、新たな成形サイクルを対象として上記した処理が再び実行される。
一方、終了条件が成立していれば、演算部20は図7に示す処理を終える。

0070

なお、上記では、開始基準時からn成形サイクルまでの各成形サイクルにおいて初期閾値(共通値)を用いる例を挙げたが、図6の処理としては、開始基準時以前の各成形サイクルで取得した検出値Ddetも含めて、過去n成形サイクルの検出値Ddetに基づく閾値生成を行うものとしてもよい。これにより、開始基準時の直後の1成形サイクルでのみ初期閾値を使用し、以降の各成形サイクルにおいて適応閾値を用いることができる。

0071

また、上記では、閾値生成や閾値を用いた異常判定の処理を1成形サイクル実行中に検出値Ddetをロギングしながらいわばリアルタイムに行う例を挙げたが、これらの処理は1サイクル完了時点やさらに後の時点等で、ログデータを取得して行うこともできる。つまり1成形サイクルの実行中に、各時点で入力部21から入力され取得された各チャネルI1〜I8の検出値Ddetや、もしくはデータログ処理部20bによってログデータとして記憶された検出値Ddetを用いて、各種のタイミングで閾値生成や異常判定の処理を行うことができる。

0072

また、上記では、閾値の生成周期を1成形サイクルごととしたが、閾値の生成周期は複数成形サイクルごととすることもできる。具体的には、例えばN(Nは2以上の自然数)成形サイクルごとに図6のステップS103からS110の処理を行うことで、閾値をN成形サイクルごとに生成し、異常判定においてはN成形サイクルごとに使用する閾値を新たに生成された閾値に変更する。

0073

またこのとき、閾値の生成周期は、検出値Ddetの平均値Vaに対する差Δdを評価指標として、該評価指標に基づき可変とすることもできる。差Δdは、射出成形動作の安定性指標とみなせる(差Δdが小さい=安定している)。
例えば、各時点における差Δdの最大値又は平均値の時間軸方向での平均値(「平均値Vat」とする)が所定値以下であれば、異常判定に用いる閾値の生成を1成形サイクルごとでなく複数成形サイクルごとに行うことが考えられる。或いは、各時点における差Δdの最大値又は平均値が所定回数以上連続して所定値以下(又は所定値以下となる頻度所定頻度以上)であれば、異常判定に用いる閾値の生成を複数成形サイクルごとに行うことも考えられる。
これにより、安定時には1度計算した閾値を複数成形サイクルにわたって使い回せるようになる。閾値の生成を毎成形サイクル行う必要がなくなり、演算部20の計算処理負担を軽減できる。このとき、安定してないと判定したら、閾値の生成周期を1成形サイクルごとに戻す。
なお、閾値の生成周期は上記の例のように2段階に調整するのではなく、上記した平均値Vatの大きさに応じて多々段階に調整可能としてもよい。
また、作業者等からの操作入力を受け付け、操作入力に応じて閾値の生成周期を可変とすることもできる。

0074

また、上記では、過去n成形サイクルにわたって取得した検出値Ddetに基づいて閾値を生成することを言及したが、「n」の値は固定でなく可変とすることもできる。このとき、「n」の値を小さくすれば、閾値の生成に係る計算処理負担の軽減を図ることができる。
例えば、「n」の値は操作入力に応じて可変とすることができる。
或いは、差Δdについて上記と同様の手法により射出成形動作の安定性について判定を行い、安定していると判定した場合は「n」の値を小さく設定したり、平均値Vatの大きさに応じて「n」の値を多段階に調整することもできる。

0075

また、上記では、閾値基準値(閾値の生成にあたり基準とする値)として平均値Vaを例示したが、閾値基準値は、例えば対象とする時点について過去複数成形サイクルにわたって取得した検出値Ddetの中央値とする等、平均値Vaに限定されるものではない。
また、閾値基準値に与えるオフセットの値は、標準偏差σに基づく値に限定されず、例えば固定値によるオフセットを与える等、標準偏差σに基づく値に限定されるものではない。
さらに、閾値基準値に与えるオフセットの値は操作入力に応じて可変とすることもできる。例えば、標準偏差σに基づくオフセットを与える場合において、2σ/3σの選択操作を可能とすることが考えられる。これにより、目的に応じた適切な基準による異常判定を行うことができる。

0076

なお、前述したデータログ処理部20bとしての機能により、計測装置1は射出成形装置2に配備される各種のセンサ、例えば圧力センサや温度センサ等の検出値Ddetのデータロガーとして機能する。このことで、検出値Ddetについて事後的な評価を行うことが可能となる。すなわち、成形サイクル中の検出値Ddetをログデータとして保存しておくことで、事後的に複数サイクルでの検出値Ddetの分析など、多様な評価、動作解析、調整などに役立てる情報を得ることができる。

0077

また、異常判定結果をログデータとして記憶しておくことも、後の時点での評価や調整等に有用である。特に一旦実行した判定処理を無駄にしないという意味もある。

0078

<まとめ及び変形例>
上記のように実施の形態の計測装置1は、射出成形装置2に配備されたセンサの検出値を取得する取得部(取得処理部20a)と、取得部が過去において射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した検出値に基づき、時点ごとの閾値を生成する閾値生成部(閾値生成処理部20c)と、取得部が取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定部(判定処理部20d)と、を備えている。

0079

上記した計測装置1によると、実際の検出値に基づき生成した閾値を基準として射出成形状況の異常判定が行われるため、射出成形条件の変化に適応した判定基準によって異常判定を行うことが可能とされる。従って、射出成形条件の変化によって異常判定精度が低下することの抑制が図られる。
また、判定精度を確保するために射出成形条件の変更ごとに判定基準を模索する作業が不要となるため、成形品の製造に係る工数削減が図られる。
これらの点より、本実施の形態によれば異常判定精度の低下抑制とコスト削減との両立を図ることができる。

0080

また、実施の形態の計測装置1においては、閾値生成部は、取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した時点ごとの検出値を時点ごとに平均化することで検出値についての時点ごとの平均値を得、該時点ごとの平均値に基づいて時点ごとの閾値を生成している。

0081

これにより、過去複数成形サイクルで得られた複数の検出値波形の平均波形に基づいて異常判定の閾値が生成される。
従って、例えば射出成形動作開始後における温度変化等に起因した波形シフト等、射出成形動作開始後における経時的な波形変化に追従する閾値を生成することができ、異常判定の精度向上を図ることができる。

0082

さらに、実施の形態の計測装置1においては、閾値生成部は、取得部が複数の成形サイクルにわたって取得した時点ごとの検出値に基づき、前記検出値の前記時点ごとの標準偏差を計算し、前記時点ごとの平均値をそれぞれ対応する時点の前記標準偏差に基づきオフセットさせた値を前記時点ごとの閾値として生成している。

0083

これにより、異常判定として過去の検出値のバラツキ度合いを考慮した判定が行われる。
従って、過去の傾向から特異と推定される状況のみを異常の対象とする判定を実現することが可能となり、異常判定の感度が過度に高くなることの防止が図られるという点で、判定精度の低下抑制が図られる。

0084

さらにまた、実施の形態の計測装置1においては、閾値生成部は、閾値として上限値と下限値の二種の閾値を生成している。

0085

これにより、検出値について或る監視幅を持った異常判定を行うことができる。

0086

本発明は上記した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、射出成形装置2の構成は多様に考えられる。計測装置1の構成も同様である。
また、図6図7に示した演算部20の処理例も一例に過ぎず、具体的な処理例は多様に考えられる。
射出成形装置2に搭載されるセンサ(金型内センサ31や射出部内センサ32)としては多様に考えられる。すなわち計測装置1は、圧力センサによる射出部11内や金型10内における樹脂材料の圧力計測や、温度センサの検出信号に基づく成形材料や金型表面温度の計測以外にも多様な検出信号の計測に適用できる。例えば光センサ等の検出信号に基づく成形材料の流速計測赤外線センサ等の検出信号に基づくフローフロント計測(例えば成形樹脂がキャビティ内の所定位置に到達するまでの時間の計測)、位置センサ等の検出信号に基づく型閉時における金型同士位置ズレ量の計測(型開き量の計測)等、射出成形に係る他の計測を行う場合の各種センサの検出信号についても好適に適用できる。

0087

<プログラム及び記憶媒体
本発明に係る実施の形態のプログラムは、計測装置1における演算部20(マイクロコンピュータ等の演算処理装置)に取得処理部20a、閾値生成処理部20c、及び判定処理部20dとしての機能を実行させるプログラムである。

0088

実施の形態のプログラムは、射出成形装置に配備されたセンサの検出値を取得する取得ステップと、前記取得ステップが過去において前記射出成形装置の1成形サイクル内における時点ごとに取得した前記検出値に基づき、前記時点ごとの閾値を生成する閾値生成ステップと、前記取得ステップが取得した検出値と、該検出値の取得時点に対応して生成された前記閾値とを比較した結果に基づき、射出成形状況の異常判定結果を求める判定ステップ(S115)とを演算処理装置に実行させるプログラムである。すなわち、図6図7の処理を実行させるプログラムである。

0089

このようなプログラムにより本実施の形態の計測装置1の製造が容易となる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体や、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。或いはまた、半導体メモリメモリカード光ディスク光磁気ディスク磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。

0090

またこのような実施の形態のプログラムがコンピュータ装置4にインストールされることで、コンピュータ装置4が計測装置1の機能を備えるようにすることもできる。
例えば専用アンプ3とコンピュータ装置4をコネクタ直接接続する。専用アンプ3を介してコンピュータ装置4には単一又は複数の入力チャネルの検出信号が同時に供給されるようにする。そしてコンピュータ装置4において当該プログラムを含むソフトウェアが起動されることで、図6図7の処理をコンピュータ装置4で実行する。すなわち、センサ(31,32)の検出信号について検出値の取得、検出値に基づく閾値生成、及び検出値と閾値とに基づき射出成形状況の異常判定結果を求める処理を行う。これにより、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置4を用いて計測装置1を実現できる。

0091

1計測装置、2射出成形装置、3専用アンプ、4コンピュータ装置、10金型、11射出部、12成形制御部、20演算部、20a取得処理部、20bデータログ処理部、20c閾値生成処理部、20d判定処理部、21 入力部、22 A/D変換器、23バッファ及びIF部、24メモリ部、31金型内センサ、32 射出部内センサ、33 センサ用アンプ、100計測システム

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