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技術 圧延機

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 明石透白石利幸東藤篤史小坂滉介田中宏和
出願日 2016年7月26日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-146091
公開日 2018年2月1日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-015769
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般
主要キーワード 各伸び率 拡がり方向 設備改善 変位拘束 反り矯正効果 ロールオフセット 流出角度 塑性領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

最小限のコストで、かつ、L反りの発生も抑制しつつ、調質圧延時被圧延材に発生するクロスバクリング、縦バックリング等の形状不良を防止することが可能な圧延機を提供する。

解決手段

ワークロール111と下ワークロール112とからなる1対の上下ワークロール110を有する第1スタンド11を備え、被圧延材Wを調質圧延する圧延機10において、1対の上下ワークロール110を通板方向に対し前後にオフセットし、1対の上下ワークロール110のオフセット量を、被圧延材Wの板厚dに対して20倍以上とする。

概要

背景

調質圧延は、冷延焼鈍後の薄鋼板圧下率数%以下の軽圧下圧延を施し、表面粗さ、強度や伸び等の機械的特性、形状等を調整する冷延鋼板の最終製造工程である。かかる調質圧延を経て製造される製品としては、飲料缶等に用いられる容器用鋼板(例えば、ブリキ)等の薄鋼板がある。このような薄鋼板の調質圧延においては、その鋼板の物性に応じてクロスバクリング現象、縦バックリング現象等の形状不良が発生する。

調質圧延におけるクロスバックリング等の形状不良を抑制するため、その発生原因圧延条件がクロスバックリング等の発生へ及ぼす影響等に関し、従来から様々な検討がなされている。このような検討として、例えば、非特許文献1には、圧延機出側張力、鋼板の出側流出角度等の調質圧延の操業条件を調整することで、クロスバックリングの発生を防止する方法が開示されている。非特許文献1によれば、圧延機出側の張力を降伏応力と同等程度まで高めたり、出側流出角度を大きくしたりすることにより、クロスバックリングの発生を防止できる、とされている。

また、例えば、特許文献1には、バックアップロールに対し、上下ワークロールを水平方向にオフセットした板圧延機において、ロールオフセット量が調整可能なロールオフセット調整装置ワークロールおよび中間ロールのうちの少なくとも1本のロールに設ける技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、板形制御性に優れ、スキンパス圧延でのジャンピング現象を抑えることができる、とされている。

概要

最小限のコストで、かつ、L反りの発生も抑制しつつ、調質圧延時被圧延材に発生するクロスバックリング、縦バックリング等の形状不良を防止することが可能な圧延機を提供する。上ワークロール111と下ワークロール112とからなる1対の上下ワークロール110を有する第1スタンド11を備え、被圧延材Wを調質圧延する圧延機10において、1対の上下ワークロール110を通板方向に対し前後にオフセットし、1対の上下ワークロール110のオフセット量を、被圧延材Wの板厚dに対して20倍以上とする。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、最小限のコストで、かつ、L反りの発生も抑制しつつ、調質圧延時に被圧延材に発生するクロスバックリング、縦バックリング等の形状不良を防止することが可能な圧延機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ワークロールと下ワークロールとからなる1対の上下ワークロールを有する第1スタンドを備え、被圧延材調質圧延する圧延機であって、前記1対の上下ワークロールが、通板方向に対し前後にオフセットされており、前記1対の上下ワークロールのオフセット量が、前記被圧延材の板厚の20倍以上であることを特徴とする、圧延機。

請求項2

前記上ワークロールと前記下ワークロールとのロール径差が、前記下ワークロールの径の0.2倍以下であることを特徴とする、請求項1に記載の圧延機。

請求項3

前記下ワークロールの径が、前記上ワークロールの径よりも大きいことを特徴とする、請求項2に記載の圧延機。

請求項4

前記第1スタンドの出側に、1対の上下ワークロールを有する第2スタンドを更に備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧延機。

請求項5

前記第2スタンドでは、前記被圧延材を0超〜0.3%の伸び率圧延することを特徴とする、請求項4に記載の圧延機。

請求項6

前記被圧延材が、0.6mm以下の板厚を有する鋼板であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延機。

技術分野

0001

本発明は、調質圧延時被圧延材に発生するクロスバクリング、縦バックリング等の形状不良を防止することが可能な圧延機に関する。

背景技術

0002

調質圧延は、冷延焼鈍後の薄鋼板圧下率数%以下の軽圧下圧延を施し、表面粗さ、強度や伸び等の機械的特性、形状等を調整する冷延鋼板の最終製造工程である。かかる調質圧延を経て製造される製品としては、飲料缶等に用いられる容器用鋼板(例えば、ブリキ)等の薄鋼板がある。このような薄鋼板の調質圧延においては、その鋼板の物性に応じてクロスバックリング現象、縦バックリング現象等の形状不良が発生する。

0003

調質圧延におけるクロスバックリング等の形状不良を抑制するため、その発生原因圧延条件がクロスバックリング等の発生へ及ぼす影響等に関し、従来から様々な検討がなされている。このような検討として、例えば、非特許文献1には、圧延機出側張力、鋼板の出側流出角度等の調質圧延の操業条件を調整することで、クロスバックリングの発生を防止する方法が開示されている。非特許文献1によれば、圧延機出側の張力を降伏応力と同等程度まで高めたり、出側流出角度を大きくしたりすることにより、クロスバックリングの発生を防止できる、とされている。

0004

また、例えば、特許文献1には、バックアップロールに対し、上下ワークロールを水平方向にオフセットした板圧延機において、ロールオフセット量が調整可能なロールオフセット調整装置ワークロールおよび中間ロールのうちの少なくとも1本のロールに設ける技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、板形制御性に優れ、スキンパス圧延でのジャンピング現象を抑えることができる、とされている。

0005

特開平3−146205号公報

先行技術

0006

木島秀夫著CAMP−ISIJ Vol.23(2010)−662 「薄鋼板の調質圧延における形状制御の課題」

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、非特許文献1には、クロスバックリングの発生を防止するための操業条件の一例は開示されているものの、どのようにしてクロスバックリング等の形状不良が発生するか(クロスバックリングの発生メカニズム)については述べられていない。したがって、非特許文献1の方法は、クロスバックリングの発生を防止できない場合もあり得る。また、非特許文献1の方法では、圧延機の出側に鋼板の出側流出角度を調整するための補助ロールを設ける必要があり、補助ロールを設けるためのコストが新たに必要となる。さらに、非特許文献1の方法では、クロスバックリングの発生を防止するために鋼板の出側流出角度を大きくした場合、L反りが発生しやすくなる。

0008

また、特許文献1では、クロスバックリング等の形状不良の発生について言及されておらず、当該形状不良を防止するための方法は開示されていない。特に、特許文献1の技術をクロスバックリング等の形状不良の発生を防止するために用いようとした場合における具体的な条件(例えば、水平ロールベンディング力、ロールオフセット量等)は、特許文献1に開示も示唆もされていない。

0009

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、最小限のコストで、かつ、L反りの発生も抑制しつつ、調質圧延時に被圧延材に発生するクロスバックリング、縦バックリング等の形状不良を防止することが可能な圧延機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

前記の目的を達成するため、本発明は、上ワークロールと下ワークロールとからなる1対の上下ワークロールを有する第1スタンドを備え、被圧延材を調質圧延する圧延機であって、前記1対の上下ワークロールが、通板方向に対し前後にオフセットされており、前記1対の上下ワークロールのオフセット量が、前記被圧延材の板厚に対して20倍以上であることを特徴としている。

0011

本発明によれば、1対の上下ワークロールが通板方向に前後に、被圧延材の板厚に対して20倍以上オフセットされているので、ロールバイト出側で被圧延材をワークロールに巻き付けることができる。このように、ロールバイト出側で被圧延材をワークロールに巻き付けることで、ロールバイト出側で自動的に被圧延材の変位拘束が可能となる。その結果、調質圧延後に発生する縦バックリングを起点にした幅方向及び圧延方向の張力分布をロールバイト出側まで伝えないようにすることができる。従って、調質圧延時に被圧延材に発生するクロスバックリング、縦バックリング等の形状不良を防止することができる。

0012

かかる場合、前記上ワークロールと前記下ワークロールとのロール径差が、前記下ワークロールの径の0.2倍以下であってもよい。さらに、前記下ワークロールの径が、前記上ワークロールの径よりも大きくてもよい。

0013

また、前記圧延機は、前記第1スタンドの出側に、1対の上下ワークロールを有する第2スタンドを更に備えていてもよい。さらに、前記第2スタンドでは、前記被圧延材を0超〜0.3%の伸び率で圧延してもよい。

0014

また、前記被圧延材が、0.6mm以下の板厚を有する鋼板であってもよい。

発明の効果

0015

本発明によれば、調質圧延時に被圧延材に発生するクロスバックリング、縦バックリング等の形状不良を、その発生メカニズムに基づいた方法で防止することが可能な圧延機を提供することが可能となる。また、本発明に係る圧延機によれば、圧延設備の改善コストを最小限に抑え、L反りの発生を抑制しながら、被圧延材の形状不良を防止することができる。

図面の簡単な説明

0016

ロールバイト出側の縦状座屈波の発生メカニズムを説明するための模式図である。
ロールバイト出側の縦状の座屈波の発生メカニズムを説明するための模式図である。
縦バックリング及びクロスバックリングの生成メカニズムを説明するための模式図である。
縦バックリング及びクロスバックリングの生成メカニズムを説明するための模式図である。
第1の実施の形態にかかる圧延機の構成を示す側面図である。
第2の実施の形態にかかる圧延機の構成を示す側面図である。
第3の実施の形態にかかる圧延機の構成を示す側面図である。
第1〜第3の実施の形態における1対の上下ワークロールのオフセット量の適正範囲の根拠を説明するためのグラフである。
第2の実施の形態における1対の上下ワークロールのロール径差の好適範囲の根拠を説明するためのグラフである。
第3の実施の形態における第2スタンドでの圧延時の伸び率の好適範囲の根拠を説明するためのグラフである。

0017

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0018

<クロスバックリング現象の発生メカニズム>
本発明者は、クロスバックリングの発生をその発生メカニズムに基づいて抑制するため、クロスバックリング現象の発生メカニズムを推定した。以下に、図1図4を参照しながら、本発明者らが推定したクロスバックリング現象の発生メカニズムを述べる。図1及び図2は、ロールバイト出側の縦状の座屈波の発生メカニズムを説明するための模式図である。図3及び図4は、縦バックリング及びクロスバックリングの生成メカニズムを説明するための模式図である。

0019

図1に示すように、調質圧延では、被圧延材である鋼板Sを圧延機に設けられた上下1対のワークロール1で挟みこみながら通板させることで、圧延する。この際、圧延機の入側と出側の両方から鋼板Sの圧延方向に所定の張力Tを付与する。鋼板Sを圧延すると、ロールバイトRB内では塑性域図1斜線で示した領域)となっているため、鋼板Sの幅方向および通板方向に塑性変形が生じ,圧延機出側では鋼板Sの幅拡がりが起こる。一方で、圧延機の出側の鋼板Sは、圧延機出側に付与した張力(出側張力)T1のポアソン比の効果で弾性変形による幅縮みも発生している。鋼板Sは、ワークロール1で拘束されている状態で縮もうとしているため、ロールバイトRB内で接触するワークロール1からは幅拡がり方向応力引張応力)T2を受ける。このロールバイトRB内の引張応力T2は、圧延機出側のポアソン比の効果による鋼板Sの幅縮みによる応力T3と釣り合った状態となっている。また、この引張応力T2は、張力T1の大きさに応じて決まることから、圧延機出側では、鋼板Sに、張力T1の大きさに応じて幅方向に塑性伸びが発生する。

0020

図2に示すように、圧延後に鋼板SがロールバイトRBから出ると、ワークロール1から受けていた鋼板Sへの幅拡がり方向への引張応力T2の拘束が無くなるため、弾性復元圧縮応力)により鋼板Sの幅方向に伸びが発生する。この伸びの発生により、変位拘束の厳しいロールバイトRBの出側近傍(図2ドットで示した領域)で、鋼板Sの幅方向に縦状の座屈波(縦波)BWが発生する。

0021

次に、本発明者は、前述したロールバイトRB出側の縦状の座屈波BWの発生後、どのように縦バックリング及びクロスバックリングが生成するか、そのメカニズムを次のように考えた。

0022

前述したように、鋼板SがロールバイトRBから出た後の弾性復元による幅方向の伸びと、ロールバイトRB近傍における完全拘束状態と、鋼板Sの圧延方向の張力T1により、ロールバイトRB近傍に座屈波BWが発生する。この座屈波の発生で生じる鋼板Sの板幅、板厚方向の応力偏差分布(例えば、上に凸の縦波が発生すると、変位に対応して鋼板Sの上面は下面に比べて圧縮側となる。)が、塑性領域であるロールバイトRB出側近傍で張力分布となって付与される。鋼板Sは、ロールバイトRB出側において上記の張力分布を持った状態で圧延方向に引っ張られることにより、図3及び図4に示すように、縦(流れ)バックリングが発生する。また、クロスバックリングは、鋼板Sの両エッジ部の自由端の縦波又は耳波がそれぞれ圧延方向に周期変動を伴い、幅方向に生じた縦波プロフィール周期的に反転することで発生するものと考えられる。より詳細には、座屈プロフィールにおいて、鋼板Sの両エッジ部の自由端の耳波座屈形状プロフィールが大きい場合には、圧延方向に半周期分変動すると、幅方向の座屈プロフィールは180度位相がずれる。この現象と、ロールバイトRB出側の鋼板Sの張力分布(張力変動)が連動することで、クロスバックリングが発生するものと考えられる。

0023

本発明者は、以上のように推定した縦バックリング及びクロスバックリングの発生メカニズムに基づき、縦バックリング及びクロスバックリング等の形状不良を防止するため、鋭意検討した。その結果、調質圧延後に発生する縦バックリングを起点にした幅方向及び圧延方向の張力分布をロールバイトRB出側まで伝えなければ良いとの知見を得た。ロールバイトRB出側は、塑性域となっていることから、この塑性域に面外変形による幅方向及び圧延方向の応力分布を伝えないようにすることができれば、座屈波BWの発生を弾性域で留めることができるため、縦バックリング及びクロスバックリング等の形状不良の発生を抑制又は防止することができるものと考えられる。

0024

以上の知見に基づき、縦バックリング及びクロスバックリング等の形状不良を防止する手段をさらに検討した結果、上下1対のワークロール1を所定量オフセットして配置することで、ロールバイトRB出側で鋼板Sをワークロール1に巻き付けることができる。このように、ロールバイトRB出側で鋼板Sをワークロール1に巻き付けることで、ロールバイトRB出側で自動的に鋼板Sの変位拘束が可能となる。すなわち、ロールバイトRB出側近傍で座屈波BWが発生したとしても、ロールバイトRB出側で鋼板Sをワークロール1に巻き付けて変位拘束することで、調質圧延後に発生する縦バックリングを起点にした幅方向及び圧延方向の張力分布をロールバイトRB出側に伝えずに、鋼板Sの板厚に対して所定比率以上の長さの範囲で面外変形させないようにすることができる。したがって、座屈波の発生に起因して鋼板Sに生じた板厚及び板幅方向の応力偏差も一様化されることとなる。その結果、ロールバイトRB出側の張力分布の影響が小さくなり、鋼板Sの形状を平坦化させることができる。

0025

なお、このとき、非特許文献1に記載されているような圧延機出側に設置される補助ロールを別途必要としないため、圧延設備の改善コストを最小限に抑えることができる。また、非特許文献1では、補助ロールを用いて圧延機出側の鋼板の流出角度を大きくしているため、L反りが発生しやすい状況となっているのに対し、上記のように上下1対のワークロール1をオフセットさせた場合には、圧延機出側の鋼板の流出角度が大きくならずに鋼板Sをワークロール1に巻き付けることができるため、L反りも発生し難い。

0026

また、本発明におけるロールのオフセットは、あくまでバックアップロールに対して1対の上下ワークロール同士のオフセットである。一方、特許文献1では、上下ワークロール同士はオフセットされておらず、ワークロールとバックアップロールとがオフセット、又は、ワークロールと中間ロールとがオフセットされている。したがって、本発明におけるオフセットと、特許文献1に記載されたオフセットとは、その意味が全く異なるものである。

0027

以下、図5図7を参照しながら、上記知見に基づいてなされた本発明の第1〜第3の実施の形態について述べる。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかる圧延機10の構成を示す側面図である。図6は、本発明の第2の実施の形態にかかる圧延機20の構成を示す側面図である。図7は、本発明の第3の実施の形態にかかる圧延機30の構成を示す側面図である。

0028

<第1の実施の形態>
図5に示すように、第1の実施の形態にかかる圧延機10は、単一のスタンド(第1スタンド11)を備え、被圧延材である鋼板Sを調質圧延する圧延機である。第1スタンド11は、上ワークロール111と下ワークロール112とからなる1対の上下ワークロール110を有する。鋼板Sは、入側張力TEN、出側張力TEXで引っ張られた状態で圧延される。

0029

被圧延材である鋼板Sの材質や形状としては特に制限されるものではないが、鋼板Sが0.6mm以下の板厚を有する薄鋼板の場合には、調質圧延後に縦バックリングやクロスバックリング等の形状不良が発生しやすい。したがって、鋼板Sが0.6mm以下の板厚を有する薄鋼板である場合、本実施の形態にかかる圧延機10を用いて調質圧延することにより縦バックリングやクロスバックリング等の形状不良を抑制又は防止する意義が大きい。

0030

本実施の形態では、1対の上下ワークロール110は、前述したように、通板方向(圧延方向)に対し前後に所定量オフセットされている。このように、上ワークロール111と下ワークロール112とが圧延方向に所定量オフセットされることで、ロールバイト出側で鋼板Sを上下ワークロール110に巻き付けることができ、これにより、ロールバイト出側で自動的に鋼板Sの変位拘束が可能となる。すなわち、ロールバイト出側近傍で縦状の座屈波が発生したとしても、ロールバイト出側で鋼板Sを上下ワークロール110に巻き付けて変位拘束することで、鋼板Sが上下ワークロール110に巻き付いている範囲(以下、巻き付き部)Bで面外変形させないようにすることができる。この巻き付き部Bの長さは、1対の上下ワークロール110のオフセット量Lを大きくするほど長くすることができ、鋼板Sの板厚dに対する比率が大きいほど、変位拘束の効果が高くなるため、縦バックリングやクロスバックリング等の高さを抑えることができる。

0031

具体的には、本実施の形態では、1対の上下ワークロール110(上ワークロール111と下ワークロール112と)のオフセット量Lは、(調質圧延前の)鋼板Sの板厚dに対して20倍以上である(図8)。オフセット量Lを鋼板Sの板厚dの20倍以上とすることで、巻き付き部Bを十分な長さとすることができ、ロールバイト出側における鋼板Sの十分な変位拘束効果が得られる。したがって、ロールバイト出側近傍で発生した座屈波による張力変動をロールバイト出側に伝達しないようにすることができ、縦バックリングやクロスバックリング等の高さを抑えることができる。縦バックリングやクロスバックリング等の形状不良をより確実に防ぐためには、オフセット量Lは、鋼板Sの板厚dの30倍以上であることが好ましい。なお、本実施の形態における「オフセット量」とは、上ワークロール111の軸と下ワークロール112の軸との圧延方向の距離をいう(後述する第2及び第3の実施の形態においても同様である)。

0032

また、オフセット量Lが、ワークロール径(上下のワークロール径が異なる場合は、それらの平均値)の0.1倍以上であると、ワークロール表面粗度の鋼板への転写のされ方が上下のワークロールで異なる傾向となり、特に外観目視による光沢の有無等)を重視する容器用鋼板においては望ましくないので、オフセット量Lはワークロール径の0.1倍未満とするのが望ましい。

0033

なお、本実施の形態にかかる圧延機10は、非特許文献1に記載されているような圧延機出側に設置される補助ロールを別途必要としないため、圧延設備の改善コストを最小限に抑えることができ、L反りも発生し難いことは前述の通りである。

0034

<第2の実施の形態>
図6に示すように、第2の実施の形態にかかる圧延機20は、単一のスタンド(第1スタンド21)を備え、被圧延材である鋼板Sを調質圧延する圧延機である。第1スタンド21は、上ワークロール211と下ワークロール212とからなる1対の上下ワークロール210を有する。鋼板Sは、入側張力TEN、出側張力TEXで引っ張られた状態で圧延される。

0035

本実施の形態にかかる圧延機20は、上ワークロール211のロール径r1と、下ワークロール212のロール径r2とにロール径差を有する点で、前述した第1の実施の形態にかかる圧延機10とは異なる。ここで、1対の上下ワークロール210をオフセットさせることにより、ロールバイト出側で鋼板Sが上下ワークロール210に巻き付くため、鋼板Sの材質や形状等によっては若干のL反りが生じる場合がある。しかし、このような場合であっても、本実施の形態におけるように、上ワークロール211と下ワークロール212とにロール径差を設けることにより、上下ワークロール210のオフセットを起因とするL反りと逆向きのL反り(逆反り)を発生させることができるため、オフセットを起因とするL反りと逆反りとで相殺されることで、L反りが矯正される。したがって、第1の実施の形態にかかる圧延機10のように上下ワークロールのロール径が同一の圧延機を用いて調質圧延を行った場合、鋼板Sの材質や形状等によって、若干のL反りが発生した場合であっても、本実施の形態にかかる圧延機20を用いて調質圧延を行うことで、L反りの発生をさらに効果的に抑制することができる。

0036

このようなL反り抑制効果を得るためには、上ワークロール211の半径r1と下ワークロール212の半径r2とのロール径差Δr=(r2−r1)が、下ワークロール212のロール径r2の0.2倍以下であることが好ましい。

0037

また、上ワークロール211と下ワークロール212のいずれを大きくするかは、上下ワークロール210のオフセットを起因とするL反りの向き(上に凸又は下に凸)に応じて決めればよい。本実施の形態では、上下ワークロール210のオフセットにより下に凸のL反りが発生し得ることから、上に凸のL反りを発生させることができるように、下ワークロール212の径が、上ワークロール211の径よりも大きくなっている。

0038

<第3の実施の形態>
図7に示すように、第3の実施の形態にかかる圧延機30は、いわゆるDR(Double Role)圧延が可能なように2つのスタンド(第1スタンド31及び第2スタンド32)を備え、被圧延材である鋼板Sを調質圧延する圧延機である。第1スタンド31は、上ワークロール311と下ワークロール312とからなる1対の上下ワークロール310を有し、第2スタンド32は、上ワークロール321と下ワークロール322とからなる1対の上下ワークロール320を有する。鋼板Sは、入側張力TEN、出側張力TEXで引っ張られた状態で圧延される。

0039

本実施の形態にかかる圧延機30は、1対の上下ワークロール310がオフセットされた第1スタンド31の圧延方向後段側に、第1スタンド31で鋼板Sに発生したL反りを矯正するための第2スタンド32を有する点で、前述した第1の実施の形態にかかる圧延機10とは異なる。なお、圧延機30において、第1スタンド31に設置された上ワークロール311と下ワークロール312に、第2の実施形態と同様に、ロール径差を設けてもよい。これにより、L反りの矯正効果最大限に高めることができる。

0040

また、第2スタンド32は、第1スタンド31で鋼板Sに発生したL反りを矯正するために設けられているものであり、第1スタンド31による調質圧延により、縦バックリング、クロスバックリング等の発生は抑制又は防止されている。したがって、第2スタンド32に設けられた1対の上下ワークロール320は、オフセットの必要がない。

0041

第2スタンド32におけるL反り矯正効果を高めるためには、第2スタンド32では、鋼板Sを0超〜0.3%の伸び率で圧延することが好ましい。かかる範囲の伸び率で鋼板Sを圧延することで、クロスバックリング等の形状不良の優れた抑制効果及びL反りの優れた抑制効果を兼ね備えることができる。

0042

以上の第1〜第3の実施の形態によれば、新たな設備改善コストをほとんど伴うことなく、縦バックリング、クロスバックリング等の座屈、及びL反り等の形状不良が抑制又は防止された薄鋼板を製造可能となる。

0043

なお、以上の実施の形態では、被圧延材に縦バックリング及びクロスバックリングが発生する例を用いて本発明を説明したが、耳波等の形状不良が発生する場合にも本発明を適用することができる。

0044

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0045

(実施例1)
図5に示す圧延機10を用いて、板厚0.2mmの鋼板を調質圧延した。圧延条件としては、圧延荷重を10kN/mm、上ワークロール111及び下ワークロール112のロール径を480mm、圧延機入側の張力を100MPa、圧延機出側の張力を150MPaに固定し、上ワークロール111と下ワークロール112とのオフセット量を変化させた。以上の条件で、各オフセット量について、調質圧延後に鋼板に発生したクロスバックリングの最大高さ(μm)を測定し、プロットした。その結果を図8に示す。図8縦軸は、クロスバックリングの最大高さ(μm)であり、横軸は、無次元オフセット量(上ワークロール111と下ワークロール112とのオフセット量を板厚で除した値)である。
また、オフセット量以外は上記図8に示した条件として、オフセット量を図8に示した条件より増加させて、60mm(ワークロールの径の0.125倍)とした条件でも実施してクロスバックル最大高さと、外観を評価した。
外観は、容器用鋼板として使用した場合の表裏面の光沢度の差が問題となるか否かを目視で評価した(○:光沢度の差は殆ど見られない △:光沢度の差はあるが、容器用鋼板として使用することは出来る ×:光沢度の差が有りすぎて、容器用鋼板として使用するのは困難)。
結果を表1に示す。

0046

0047

図8に示すように、無次元オフセット量(すなわち、板厚に対するオフセット量の比率)が20倍以上では顕著にクロスバックリングの最大高さが低くなっており、クロスバックリングの抑制効果が顕著であることがわかる。また、無次元オフセット量が30倍以上では、クロスバックリングの抑制効果をさらに確実なものとすることができる。

0048

(実施例2)
図6に示す圧延機20を用いて、板厚0.2mmの鋼板を調質圧延した。圧延条件としては、無次元オフセット量(上下ワークロール210のオフセット量/板厚)を22、圧延荷重を10kN/mm、下ワークロール212のロール径r2を480mm、圧延機入側の張力を100MPa、圧延機出側の張力を150MPaに固定し、上ワークロール211半径r1をロール径差Δr=(r2−r1)で4.8mm,9.6mm・・・を付けて無次元ロール径比(α=Δr/r1)を変化させた。以上の条件で、各無次元ロール径比に対し、調質圧延後の鋼板に発生したL反り曲率(1・mm−1)を測定し、プロットした。その結果を図9に示す。図9の縦軸は、L反り曲率(1・mm−1)であり、横軸は、無次元ロール径比である。

0049

図9に示すように、無次元ロール径比が0.15以上の範囲で反り曲率を低減させることができていることから、この範囲で、L反りの発生を効果的に抑制することができるものと推察される。

0050

(実施例3)
図7に示す圧延機30を用いて、板厚0.2mmの鋼板を調質圧延した。圧延条件としては、無次元オフセット量(上下ワークロール310のオフセット量/板厚)を43、圧延荷重を10kN/mm、第1スタンド31の上ワークロール311及び下ワークロール312、並びに第2スタンド32の上ワークロール321及び下ワークロール322の全てのロール径を480mm、圧延機入側の張力を100MPa、圧延機出側の張力を150MPaに固定し、第2スタンド32における圧延の伸び率(%)を変化させた。以上の条件で、各伸び率について、調質圧延後に鋼板に発生したクロスバックリングの最大高さ(μm)及びL反り曲率(1・mm−1)を測定し、プロットした。その結果を図10に示す。図10の縦軸は、クロスバックリングの最大高さ(μm)及びL反り曲率(1・mm−1)であり、横軸は、伸び率(%)である。

実施例

0051

図10に示すように、伸び率が0超〜0.3%の範囲では、クロスバックリングの最大高さがほぼゼロとなっており、かつ、L反り曲率も小さな値となっている。この結果から、第2スタンド32でクロスバックリングが生じないようにしつつ、第2スタンド32で調質圧延を実施した結果、第1スタンド31で発生した若干のL反りが解消されたものと推察される。

0052

本発明は、例えば、飲料缶等に用いられる容器用鋼板(例えば、ブリキ)等の薄板の調質圧延に用いる圧延機に有用である。

0053

10、20、30圧延機
11、21、31 第1スタンド
32 第2スタンド
110、210、310 (1対の)上下ワークロール
320 (1対の)上下ワークロール
111、211、311 上ワークロール
321 上ワークロール
112、212、312 下ワークロール
322 下ワークロール
S 鋼板

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