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技術 モータ駆動装置、及び、それを用いた冷凍空調機器

出願人 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
発明者 能登原保夫田村建司奥山敦鈴木尚礼月井浩二上田和弘
出願日 2016年7月22日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-144031
公開日 2018年1月25日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-014854
状態 特許登録済
技術分野 交流電動機の制御一般
主要キーワード 内部値 基本電圧 概説図 トルク式 電流振幅値 インバータ回路部品 軸誤差 脈動振幅
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

本発明が解決しようとする課題は、周期的な負荷トルクを持つ機器振動低減を行う速度変動抑制制御弱め界磁制御領域で安定に制御できるモータ駆動装置を提供するものである。

解決手段

外部機器負荷に起因する周期的なトルク変動に同期するように三相モータ出力トルクを制御することで、前記三相モータの回転速度変動を抑制する速度変動抑制制御部を具備したモータ駆動装置であって、弱め界磁制御時に前記速度変動抑制制御部が出力するモータ電流脈動振幅成分の振幅値は、前記三相モータの回転速度ω反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧Edcに比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧Vomに比例するモータ駆動装置。

概要

背景

永久磁石同期モータ(以下「PMモータ」と呼ぶ。)は、誘導モータに比べて高効率な特性を有するため、家電製品から産業機器あるいは電動車分野へと適用範囲が広がっている。

また、上記機器は、地球温暖化防止や省エネルギー化動きに伴い、低速回転域軽負荷)の高効率化が求められるとともに、機器の使用感快適性)を向上させるために高速回転域(高負荷)における駆動範囲の拡大も求められている。

例えば、家電製品のルームエアコンの場合、省エネルギー指標である通年エネルギー消費効率(以下「APF」と呼ぶ。)の向上及び、高出力化の指標である外気温2℃での暖房能力(以下「低温暖房能力」と呼ぶ。)の向上の両立が求められている。

モータの低速回転域での高効率化の方法としては、モータの磁石量及び巻線を増加させることによる低速設計化があるが、低速設計化すると、高速回転域で発生する誘起電圧が増大するため、高速回転域での効率が大幅に低下し、実用的な駆動可能領域が狭くなることが懸念される。

そこで、低速設計されたモータの高速回転域の拡大手段として、直流電圧を昇圧する方式が実用化されているが、直流電圧を昇圧するための回路が追加となり、回路規模の増加や昇圧回路等の損失の増加が課題となる。

上記課題を解決する手段として、特許文献1の通り、弱め界磁制御を用いて高速回転域を拡大する方法が知られている。特許文献1は、モータ印加電圧が直流電圧以上になる高速回転域において、q軸電流偏差(q軸電流指令Iq*とq軸電流Iqの差)に応じてモータ電圧位相を進めることで弱め界磁制御を実現している。

一方、冷凍空調機器は、圧縮機を用いて冷媒の圧縮を行っており、圧縮機の動作工程に応じて負荷トルク周期的に変動する特性を有する。そこで、周期的に変動する圧縮機の負荷トルクにモータ出力トルクを一致させることで、モータの速度変動を抑制し圧縮機の振動低減を行う速度変動抑制制御が適用されている。特許文献2に速度変動抑制制御の代表的な方式が示されている。本方式は、モータ制御内部値である軸誤差推定値より負荷トルクを推定し、モータ出力トルクを負荷トルクに一致させる制御手法が記載されている。

また、特許文献3には、圧縮機の振動抑制インバータ回路部品焼損防止を目的に、回転速度と回路電流の状態で速度変動抑制制御の補正量を制限(回転速度や電流増加で低減)する方式が開示されている。さらに、特許文献4には、電源脈動成分ピーク値と負荷トルクの変動成分ピーク値とのタイミングが一致した時にピーク電流値の上限値を設定し、その上限値を超えないように出力トルク変動幅を低減する手法が開示されている。

しかし、特許文献1〜4とも弱め界磁制御域での速度変動抑制制御及び、突極比があるモータを使用した場合の脱調抑制に関しては十分な考慮がなされていない。

概要

本発明が解決しようとする課題は、周期的な負荷トルクを持つ機器の振動低減を行う速度変動抑制制御を弱め界磁制御領域で安定に制御できるモータ駆動装置を提供するものである。外部機器の負荷に起因する周期的なトルク変動に同期するように三相モータの出力トルクを制御することで、前記三相モータの回転速度変動を抑制する速度変動抑制制御部を具備したモータ駆動装置であって、弱め界磁制御時に前記速度変動抑制制御部が出力するモータ電流脈動振幅成分の振幅値は、前記三相モータの回転速度ω反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧Edcに比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧Vomに比例するモータ駆動装置。

目的

本発明が解決しようとする課題は、周期的な負荷トルクを持つ機器の振動低減を行う速度変動抑制制御を弱め界磁制御領域で安定に制御できる装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

位系から入力された回転速度指令に基づいて、外部機器負荷に起因する周期的なトルク変動に同期するように三相モータ出力トルクを制御するモータ駆動装置であって、回転座標系のd軸電流指令を出力するd軸電流指令演算部と、回転座標系のq軸電流指令を出力する速度制御部と、固定座標系三相交流電流値が入力され、回転座標系のd軸電流検出値、q軸電流検出値、前記三相モータの回転速度、軸誤差演算値回転位相を出力する位置センサレス制御部と、前記回転速度、および、前記軸誤差演算値が入力され、脈動トルクを出力するトルク脈動推定部と、制限値を出力するトルク電流制限値演算部と、前記回転速度、前記脈動トルク、および、前記制限値が入力され、該脈動トルクに含まれる回転に同期した成分を0にするトルク電流を演算するとともに、該トルク電流の出力振幅を前記制限値で制限した脈動トルク電流指令を出力する速度変動抑制制御部と、前記d軸電流指令と前記d軸電流検出値の差分、前記q軸電流指令と前記q軸電流検出値の差分、前記脈動トルク電流指令、前記回転位相が入力され、固定座標系の三相交流電圧値を出力するベクトル制御部と、を具備することを特徴とするモータ駆動装置。

請求項2

請求項1に記載のモータ駆動装置において、弱め界磁制御時に前記トルク電流制限値演算部が出力する前記制限値は、前記三相モータの回転速度に反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧に比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧に比例、することを特徴とするモータ駆動装置。

請求項3

請求項1に記載のモータ駆動装置において、弱め界磁制御時に前記トルク電流制限値演算部が出力する前記制限値は、前記三相モータへの印加電圧位相に比例、または、前記三相モータの変調率に比例、することを特徴とするモータ駆動装置。

請求項4

請求項1に記載のモータ駆動装置において、弱め界磁制御時に前記トルク電流制限値演算部が出力する前記制限値を、所定値以下としたことを特徴とするモータ駆動装置。

請求項5

請求項1に記載のモータ駆動装置において、弱め界磁制御時に前記トルク電流制限値演算部が出力する前記制限値を、所定値以下まで徐々に低下させることを特徴とするモータ駆動装置。

請求項6

外部機器の負荷に起因する周期的なトルク変動に同期するように三相モータの出力トルクを制御することで、前記三相モータの回転速度変動を抑制する速度変動抑制制御部を具備したモータ駆動装置であって、弱め界磁制御時に前記速度変動抑制制御部が出力するモータ電流脈動振幅成分の振幅値は、前記三相モータの回転速度に反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧に比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧に比例、することを特徴とするモータ駆動装置。

請求項7

周期的なトルク変動を持った圧縮機と、該圧縮機を駆動する三相モータと、該三相モータに電力を供給するインバータと、該インバータを制御するモータ駆動装置と、該モータ駆動装置を制御するマイコンと、を有する冷凍空調機器であって、前記モータ駆動装置は、前記圧縮機に起因する周期的なトルク変動に同期するように前記三相モータの出力トルクを制御することで回転速度変動を抑制する速度変動抑制制御部を具備しており、弱め界磁制御時に前記速度変動抑制制御部が出力するモータ電流の脈動振幅成分の振幅値は、前記三相モータの回転速度に反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧に比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧に比例、することを特徴とする冷凍空調機器。

技術分野

0001

本発明は、永久磁石同期モータ可変速駆動するモータ駆動装置、及び、それを用いた冷凍空調機器に関する。

背景技術

0002

永久磁石同期モータ(以下「PMモータ」と呼ぶ。)は、誘導モータに比べて高効率な特性を有するため、家電製品から産業機器あるいは電動車分野へと適用範囲が広がっている。

0003

また、上記機器は、地球温暖化防止や省エネルギー化動きに伴い、低速回転域軽負荷)の高効率化が求められるとともに、機器の使用感快適性)を向上させるために高速回転域(高負荷)における駆動範囲の拡大も求められている。

0004

例えば、家電製品のルームエアコンの場合、省エネルギー指標である通年エネルギー消費効率(以下「APF」と呼ぶ。)の向上及び、高出力化の指標である外気温2℃での暖房能力(以下「低温暖房能力」と呼ぶ。)の向上の両立が求められている。

0005

モータの低速回転域での高効率化の方法としては、モータの磁石量及び巻線を増加させることによる低速設計化があるが、低速設計化すると、高速回転域で発生する誘起電圧が増大するため、高速回転域での効率が大幅に低下し、実用的な駆動可能領域が狭くなることが懸念される。

0006

そこで、低速設計されたモータの高速回転域の拡大手段として、直流電圧を昇圧する方式が実用化されているが、直流電圧を昇圧するための回路が追加となり、回路規模の増加や昇圧回路等の損失の増加が課題となる。

0007

上記課題を解決する手段として、特許文献1の通り、弱め界磁制御を用いて高速回転域を拡大する方法が知られている。特許文献1は、モータ印加電圧が直流電圧以上になる高速回転域において、q軸電流偏差(q軸電流指令Iq*とq軸電流Iqの差)に応じてモータ電圧位相を進めることで弱め界磁制御を実現している。

0008

一方、冷凍空調機器は、圧縮機を用いて冷媒の圧縮を行っており、圧縮機の動作工程に応じて負荷トルク周期的に変動する特性を有する。そこで、周期的に変動する圧縮機の負荷トルクにモータ出力トルクを一致させることで、モータの速度変動を抑制し圧縮機の振動低減を行う速度変動抑制制御が適用されている。特許文献2に速度変動抑制制御の代表的な方式が示されている。本方式は、モータ制御内部値である軸誤差推定値より負荷トルクを推定し、モータ出力トルクを負荷トルクに一致させる制御手法が記載されている。

0009

また、特許文献3には、圧縮機の振動抑制インバータ回路部品焼損防止を目的に、回転速度と回路電流の状態で速度変動抑制制御の補正量を制限(回転速度や電流増加で低減)する方式が開示されている。さらに、特許文献4には、電源脈動成分ピーク値と負荷トルクの変動成分ピーク値とのタイミングが一致した時にピーク電流値の上限値を設定し、その上限値を超えないように出力トルク変動幅を低減する手法が開示されている。

0010

しかし、特許文献1〜4とも弱め界磁制御域での速度変動抑制制御及び、突極比があるモータを使用した場合の脱調抑制に関しては十分な考慮がなされていない。

先行技術

0011

特開2007-252052号公報
特開2005-198402号公報
特開2001-119981号公報
特開2012-165631号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明が解決しようとする課題は、周期的な負荷トルクを持つ機器の振動低減を行う速度変動抑制制御を弱め界磁制御領域で安定に制御できる装置を提供するものである。

0013

さらに詳しく述べると、突極比が大きい割に誘起電圧定数の値が比較的小さいモータ(例えばフェライトモータ等)は、弱め界磁制御域でのトルク出力範囲が狭い。このようなモータに上記速度変動抑制制御を適用するとトルク不足で脱調する可能性が大きい。

0014

そこで本発明は、弱め界磁制御領域で速度変動抑制制御を行う場合であっても十分なトルクを確保できるようにして脱調の発生を防ぐことを目的としている。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するために、本発明のモータ駆動装置は、外部機器の負荷に起因する周期的なトルク変動に同期するように三相モータの出力トルクを制御することで、前記三相モータの回転速度変動を抑制する速度変動抑制制御部を具備し、弱め界磁制御時に前記速度変動抑制制御部が出力するモータ電流脈動振幅成分の振幅値は、前記三相モータの回転速度に反比例、または、前記三相モータの電源が出力する直流電圧に比例、または、前記三相モータへの印加可能電圧に比例するものとした。

発明の効果

0016

本発明のモータ駆動装置、並びに、冷凍空調機器によれば、低速回転域の高効率化と高速回転域の駆動範囲の拡大の両立をするとともに、弱め界磁制御領域での脱調発生を抑制し、低振動化を実現することができる。

図面の簡単な説明

0017

実施例1のモータ駆動装置の概略図である。
実施例1の速度変動抑制制御部の内部構成図である。
実施例1の振幅制限部の内部構成図である。
実施例1の振幅制限の動作説明ベクトル図である。
実施例1の脈動トルク推定部の構成図である。
実施例1の速度変動抑制制御の動作説明図である。
実施例1のd軸電流とq軸電流の関係説明図である。
実施例1のトルクと電圧位相変調率の説明図である。
実施例1例の制限値演算ブロック図である。
実施例1の動作説明図である。
実施例1の回転速度とモータ電流脈動振幅値の関係図である。
実施例1の回転速度を増加させた時のシミュレーション結果である。
実施例1の直流電圧を増加させた時のシミュレーション結果である。
実施例1のモータ電流のシミュレーション波形である。
実施例2の出力トルクとモータ印加電圧位相と変調率の関係説明図である。
実施例2の制限値演算ブロック図である。
実施例2の動作説明図である。
実施例2の動作説明図である。
実施例3の制限値演算ブロック図である。
実施例3の動作説明図である。
実施例4の制限値演算ブロック図である。
実施例4の動作説明図である。
実施例5の制限値演算ブロック図である。
実施例5の動作説明図である。
実施例6の制限値演算ブロック図である。
実施例6の動作説明図である。
実施例6の適用事例説明図である。
本発明に係るモータ駆動装置とPMモータの関係の概説図である。

0018

以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。

0019

位置センサレスベクトル制御を用いた実施例1のモータ駆動装置100を図1図14、および、図28を用いて説明する。

0020

まず、図28を用いて、本実施例のモータ駆動装置と永久磁石同期モータ(PMモータ)の関係を概説する。図28において、100はモータ駆動装置、281はマイコン、282はインバータ、283は直流電源、284は電流検出器、285は三相のPMモータである。

0021

マイコン281はPMモータ285に接続された圧縮機などの機器に応じた回転速度指令ω*を出力する。モータ駆動装置100は、マイコン281が出力する回転速度指令ω*、電流検出器284が検出した三相交流電流電流値(Iu, Iv, Iw)、直流電源283の直流電圧Edc等に基づき、インバータ282を制御する三相交流電圧指令(Vu*, Vv*, Vw*)を出力する。インバータ282は直流電源283から供給される直流電圧Edcを電力変換した三相交流電圧(Vu, Vv, Vw)を出力し、これによりPMモータ285を回転駆動し、PMモータ285に接続された圧縮機などの運転が行われる。

0022

次に、図1を用いて、モータ駆動装置100を詳細に説明する。図1において、1はd軸電流指令演算部、2は電流指令演算部、3は電圧演算部、4は電圧補正演算部、5はdq/3相変換部、6はPWM演算部、7は速度制御部、8は速度変動抑制制御部、9はトルク脈動推定部、10は3相/dq変換部、11は軸誤差演算部、12はトルク電流制限値演算部、13はPL位相演算部、14は積分器である。また、電流指令演算部2、電圧演算部3、電圧補正演算部4、dq/3相変換部5は、ベクトル制御部101を構成し、3相/dq変換部10、軸誤差演算部11、PLL位相演算部13、積分器14は、位置センサレス制御部102を構成する。

0023

d軸電流指令演算部1は、PMモータ285のd軸電流指令Id*を発生する部分で、駆動するPMモータ285が非突極型モータであれば通常領域では0を出力し、弱め界磁制御を行う領域では相応の値を出力している。一方、突極型モータの場合は、例えば、数1に示すトルク/電流比が最大となる数1の一般式を用いてd軸電流指令Id*を出力する。

0024

0025

ここで、Ke:誘起電圧定数、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、
Iqc:q軸電流検出値である。

0026

ベクトル制御部101は、d軸電流指令演算部1が出力するd軸電流指令Id*と後述するd軸電流検出値Idcの偏差、及び、後述するq軸電流指令Iq*とq軸電流検出値Iqcの偏差等に基づいて、固定座標系の三相交流電圧(Vu、Vv、Vw)を出力するものであり、電流指令演算部2、電圧演算部3、電圧補正演算部4、dq/3相変換部5からなる。

0027

電流指令演算部2は、d軸電流指令Id*とd軸電流検出値Idcの偏差、及び、q軸電流指令Iq*とq軸電流検出値Iqcの偏差から第2の電流指令値(Id**、Iq**)を、比例積分制御を用いて算出している。電流指令演算部2の詳細な動作は特許文献1に記載されている周知技術のため詳細な説明は省略する。

0028

電圧演算部3は、上述した第2の電流指令値(Id** 、Iq**)から数2に示す電圧方程式微分項省略)を用いてモータ電圧指令(Vd* 、Vq*)を算出している。

0029

0030

ここで、R:モータの巻線抵抗値、ω*:モータの回転速度指令である。

0031

電圧補正演算部4は、モータ電圧指令(Vd* 、Vq*)と直流電圧値Edcを基に第2のモータ電圧指令(Vd** 、Vq**)を算出している。具体的には、モータ電圧指令(Vd* 、Vq*)から一旦モータ電圧振幅値と基本電圧位相を算出し、直流電圧の大きさに応じた変調率ベースの第2のモータ電圧指令(Vd** 、Vq**)を算出している。この演算により、直流電圧に変動があってもモータ印加電圧は指令(Vd* 、Vq*)通りの電圧が印加される。

0032

dq/3相変換部5は、回転座標系(dq座標系)の第2のモータ電圧指令(Vd** 、Vq**)を固定座標系の三相交流電圧(Vu、Vv、Vw)に変換する。

0033

PWM演算部6は、ベクトル制御部101の出力である三相交流電圧(Vu、Vv、Vw)をPWM信号に変換し、インバータ282を制御する三相交流電圧指令(Vu*、Vv*、Vw*)として出力する部分である。具体的には、三相交流電圧(Vu、Vv、Vw)と三角波搬送信号を比較してPWM信号を作成している。実際には、マイクロコンピュータPWMタイマの機能で実現している。

0034

速度制御部7は、マイコン281などの上位系から入力された回転速度指令ω*と後述する回転速度検出値ωとの偏差から比例積分制御を用いてq軸電流指令Iq*asrを算出している。

0035

位置センサレス制御部102は、電流検出器284が検出した三相交流電流(Iu,Iv,Iw)に基づいて、PMモータ285の回転位相θd等を推定するものであり、3相/dq変換部10と、軸誤差演算部11、PLL位相演算部13、積分器14からなる。

0036

3相/dq変換部10は、dq/3相変換部5の反対の動作をしており、固定座標系の三相交流電流(Iu,Iv,Iw)を入力された回転位相θdに基づいて回転座標系(dq座標系)のモータ電流(Idc,Iqc)に変換するものである。

0037

軸誤差演算部11は、PMモータ285への印加電圧である第2のモータ電圧指令(Vd**,Vq**)と前記dq座標系のモータ電流検出値(Idc,Iqc)と回転速度指令ω*から数3に従って、制御系の位相と実際の位相の誤差(軸誤差演算値Δθ)を演算している。

0038

0039

PLL位相演算部13は、軸誤差演算値Δθが0になるように比例積分制御を用いて回転速度ωを出力している。

0040

積分器14は、PLL位相演算部13の出力である回転速度ωを積分することでPMモータ285の回転位相θdを出力している。

0041

なお、位置センサレス制御部102の詳細動作は、特許文献1、2にも記載されているので詳細な説明は省略する。

0042

次に、脈動トルク電流指令IqATR*を生成するために用いられる、速度変動抑制制御部8、トルク脈動推定部9、トルク電流制限値演算部12について、詳細に説明する。

0043

トルク脈動推定部9は、回転速度ωと軸誤差演算値Δθから圧縮機などの外部負荷に起因する脈動トルクΔTmを推定して出力する。また、速度変動抑制制御部8は、回転速度ωと脈動トルクΔTmを入力とする積分制御を用いて脈動トルクΔTmを抑制する脈動トルク電流指令IqATR*を算出して出力する。

0044

具体的には、トルク脈動推定部9は、図5に示す演算構成で回転速度ωと軸誤差演算値Δθから脈動トルクΔTmを推定し、速度変動抑制制御部8は、図2の構成に示す、フーリエ変換部8A1、積分補償器8A2、振幅制限部8B、フーリエ逆変換部8C、sin・cos生成部8A3からなる簡易的な構成で、脈動トルクΔTm中に含まれる回転に同期した成分を抽出して、その成分を抑制する脈動トルク電流指令IqATR*を出力している。

0045

なお、速度変動抑制制御部8とトルク脈動推定部9の基本原理は、特許文献2記載のトルク制御器(ATR)とトルク脈動(ΔTm)推定器と同等であるが、本実施例の速度変動抑制制御部8では、振幅制限部8Bを追加している点で特許文献2と相違する。すなわち、振幅制限部8Bを有する本実施例の速度変動抑制制御部8では、トルク電流制限値演算部12の制限値IqATR_LIM*に応じて、前記脈動トルク電流指令IqATR*の出力振幅を抑制する点で特許文献2のトルク制御器(ATR)と相違する。

0046

ここで、速度変動抑制制御の必要性と動作について図6を用いて説明する。図6は、シングルロータリ圧縮機レシプロ圧縮機を想定した圧縮機負荷トルク(破線)とモータ出力トルク(実線)と回転速度と脈動トルク電流指令IqATR*と回転速度の関係を示した図である。

0047

図6(a)はモータ出力トルクを一定に制御した場合、図6(b)はモータ出力トルクを圧縮機負荷トルクに一致させるように脈動トルク電流指令IqATR*を制御し、回転速度を一定に制御した場合である。

0048

図6(a)から分かる通り、モータ出力トルクを一定に制御すると、モータ出力トルクと圧縮機負荷トルクとの差で回転速度(実線太線)が変動する。回転速度が変動すると圧縮機の振動騒音となるばかりではなく、回転数変動が大きいとPMモータ285が脱調し停止する可能性もある。

0049

そこで、図6(b)に示す速度変動抑制制御では、モータ出力トルクを圧縮機負荷トルクに一致させることでトルクの過不足を無くし、回転速度を一定に制御することができる。但し、速度変動抑制制御の実現には、速度変動抑制制御部8の出力である脈動トルク電流指令値IqATR*を、図6(b)で示したように、圧縮機負荷トルクに応じて大きく変化させなければならない。

0050

ここで、表1と図7図8を用いて、速度変動抑制制御時に脈動トルク電流指令値IqATR*を大きく変化させた場合の問題点と対策を説明する。表1は図7作成時に用いたモータ定数と直流電圧値、変調率を示している。表1に示す通り、PMモータ285は、突極比が2で比較的誘起電圧定数Keが小さい突極型モータであり、d軸電流指令Id*は数1により求められるものである。

0051

0052

図7横軸にd軸電流Id、縦軸にq軸電流Iqを取った時の、定トルク曲線と定電圧楕円を示した図である。

0053

定トルク曲線は、数4に示すトルク式を用いて一定トルク時のd軸電流Idとq軸電流Iqの関係を算出したものであり、図6(a)のようなモータ出力トルク一定を実現するために必要なd軸電流Idとq軸電流Iqの関係を示している。図7では、トルクを、1Nm、2Nm、3Nm、4Nm、5Nmとした5パターンの定トルク曲線を示しており、これらから、図7の下側領域ではモータ出力トルクが小さく、左上領域ではモータ出力トルクが大きいことが分かる。

0054

0055

ここで、Pnはモータの極対数である。

0056

一方、定電圧楕円は、数5に示す弱め界磁関係式を用いて、定電圧Vom(モータへの印加可能電圧:例えば直流電圧からモータ電流による電圧降下分(巻線抵抗スイッチング素子などの電圧降下分)を差し引いた値)時のd軸電流Idとq軸電流Iqの関係を算出したものであり、図6(b)のような速度変動抑制制御を実現するために必要なd軸電流Idとq軸電流Iqの関係を示している。すなわち、定電圧楕円は所定の電圧と回転数時に選択できるd軸電流Idとq軸電流Iqの関係を示している。なお、図7では、PMモータ285の回転速度を、1000min-1、2000min-1、2500min-1、3000min-1、4000min-1、5000min-1、6000min-1とした7パターンの定電圧楕円を示しており、これらから、図7右側領域ではd軸電流Idの絶対値|Id|を大きくするとq軸電流Iqも大きくなり、左側領域では|Id|を大きくするとq軸電流Iqが小さくなることが分かる。

0057

0058

以上の説明から分かるように、図7は、所定の電圧時に所定の回転速度で出力できるトルクとその時に必要とされるd軸電流Idとq軸電流Iqの値の関係を示した図である。

0059

次に、図7を用いて、PMモータ285に定電圧Vomを印加し、一定の回転速度2500min-1で回転させた場合を例に、従来のモータ駆動装置を用いて速度変動抑制制御を行った際に発生しうる問題点を説明する。

0060

2500min-1時の定電圧楕円(図7の太実線)に沿ってd軸電流Idの絶対値|Id|を0から順次大きくしていくと、点Aに達するまでに、定トルク曲線3Nm、4Nmを跨ぐことから、モータ出力トルクが凡そ2.5Nmから4.7Nmに増加することが分かる。つまり、点Aの右側の領域では、|Id|、|Iq|の双方を大きくすることで、モータ出力トルクを大きくすることができる。一方、点Aの左側の領域では、|Id|を大きくすると、定電圧楕円上のq軸電流Iqは減少に転じる。すなわち、点Aの左右でq軸電流Iqの変化傾向逆転し、点Aより右側(d軸電流が小さい領域)では、q軸電流Iqは増加傾向、反対に左側(d軸電流が大きい領域)では、q軸電流Iqは減少傾向となっている。

0061

つまり、回転速度を維持したまま、点Aよりも大きなモータ出力トルクを得ようとすると、d軸電流Idの絶対値|Id|を増加させることに加え、q軸電流Iqの絶対値|Iq|を減少させる必要がある。

0062

しかし、一般的な速度制御部7では、速度を増加(トルクを増加)するときにはq軸電流指令Iq*を増加させる処理を行うため、点Aの左側の領域ではd軸電流Idとq軸電流Iqの関係が定電圧楕円から外れ、モータが脱調してしまうという問題があった。なお、この問題は、脈動トルク電流指令値IqATR*の振幅が過大である結果、(Id, Iq)が定電圧楕円から外れ、モータの脱調が発生する、と捉えることもできる。

0063

これは速度変動抑制制御適用時も同様であり、常に定電圧楕円における点Aの右側の領域で運用されるように、速度変動抑制制御適用時には脈動トルク電流指令IqATR*の出力振幅を抑制する必要が生じていた。

0064

これに対処すべく、図6(b)に示す脈動トルク電流指令IqATR*を、トルク電流制限値演算部12が出力する制限値IqATR_LIM*で抑制した場合の、脈動トルク電流指令IqATR*、圧縮機負荷トルク(破線)、モータ出力トルク(実線)、回転速度(実線)の関係を図8に示す。なお、図8各図中の下向き矢印は、脈動トルク電流指令IqATR*のピーク値を図6(b)に比べて制限した量を示し、図8(a)は制限値IqATR_LIM*が大きく制限が小さい状態、(b)は制限値IqATR_LIM*が中で制限も中程度の状態、(c)は制限値IqATR_LIM*が小さく制限が大きい状態を示している。

0065

これらから、モータ出力トルクの振幅(変動)は脈動トルク電流指令IqATR*の振幅(変動)と比例関係にあり、回転速度の振幅(変動)は脈動トルク電流指令IqATR*の振幅(変動)と反比例関係にあることが分かる。

0066

つまり、脈動トルク電流指令IqATR*のピーク値を小さくすると、回転速度の変動が大きくなり、脱調の可能性が高まることになるが、脈動トルク電流指令IqATR*のピーク値を適切に制限することで、図7の定電圧楕円上における点A右側の安定領域でモータを運用できるため、脱調の発生を回避できる。なお、圧縮機負荷トルクの変動が小さい場合は、脈動トルク電流指令IqATR*のピーク値を0に制限し、速度変動抑制制御が停止している時と同じ状態にしても安定したモータ運用を実現することができる。

0067

以下、制限値IqATR_LIM*が入力される振幅制限部8B、制限値IqATR_LIM*を演算するトルク電流制限値演算部12等の具体的な構成を説明する。

0068

まず、図9を用いて、トルク電流制限値演算部12における制限値IqATR_LIM*の算出法を説明する。図9は、数6を基にブロック図化した図である。

0069

0070

0071

数6は、数7の弱め界磁の関係式(前述の数5の変形)の平方根内が負にならない条件式であり、この式を満足するようにq軸電流|Iq*|(脈動トルク電流振幅値)を制限することで、図7の点Aの右側の領域でのモータ運用を維持でき、脱調を回避することができる。

0072

図9に示すように、定電圧演算部12Aで、直流電圧Edc、変調率kh、巻線抵抗等の電圧降下分Vdropを基に定電圧(モータへの印加可能電圧)Vomを算出する。その後、定電圧Vomを回転速度ω、q軸インダクタンスLqで除算する。さらに、速度制御部7の出力であるq軸電流指令Iq*asrを減算することで、制限値IqATR_LIM*を得る。

0073

なお、本実施例を実際に適用する場合は、モータ定数等の設定誤差に対応した制限ができるように、数6から算出される制限値より多少大きめ(制限方向)の値を制限値IqATR_LIM*として採用することが望ましい。

0074

次に、図3を用いて、振幅制限部8Bの内部構成を説明する。図2でも説明したように、振幅制限部8Bは、入力された第1のトルク電流(IqATR_α1、IqATR_β1)と制限値IqATR_LIM*を基に、制限された第2のトルク電流(IqATR_α2、IqATR_β2)を出力するものである。図3に示すように、振幅制限部8Bは、振幅演算部8B1、位相演算部8B2、振幅制限処理部8B3、ベクトル分解演算8B4から構成されている。

0075

振幅演算部8B1、位相演算部8B2は、第1のトルク電流(IqATR_α1、IqATR_β1)を基に、それぞれ、トルク電流振幅値IqATR、位相値θATRを算出する。振幅制限処理部8B3は、制限値IqATR_LIM*を用いて、トルク電流振幅値IqATRを小さくした出力信号IqATR_LIMを出力する。ベクトル分解演算8B4は、出力信号IqATR_LIMと位相値θATRを基に、第2のトルク電流(IqATR_α2、IqATR_β2)を演算して出力する。

0076

図4は、図3で行われる処理をベクトル図で表現した図であり、縦軸をα軸、横軸をβ軸とした平面上に、制限値IqATR_LIM*(点線円弧)、制限前の第1のトルク電流(点線ベクトルA)、制限後の第2のトルク電流(実線ベクトルB)を示した図である。

0077

図4に示す通り、第1のトルク電流(IqATR_α1、IqATR_β1)の位相値θATRを維持したまま、その大きさを制限値IqATR_LIM*と等しくすることで、第1のトルク電流を縮小した第2のトルク電流(IqATR_α2、IqATR_β2)を生成する。なお、第2のトルク電流に相当する実線ベクトルBが制限値IqATR_LIM*内にあることは、図7の点A右側の脱調が発生しない安定領域でモータが運用されることと同義である。

0078

図1の速度変動抑制制御部8は、このようにして得られた第2のトルク電流(IqATR_α2、IqATR_β2)に基づいた脈動トルク電流指令IqATR*を出力するものであり、また、ベクトル制御部101は、この脈動トルク電流指令IqATR*を反映させたq軸電流指令Iq*に基づいて三相交流電圧(Vu, Vv, Vw)を出力するものであるため、これにより制御されるPMモータ285は脱調しない範囲で運用されることになる。

0079

ここで、図10を用いて、本実施例における、PMモータ285の回転速度ωと、Iq*(振幅値)、制限値IqATR_LIM*(振幅値)の関係を説明する。図7からも分かるように、定電圧Vomを用いた場合、q軸電流Iqを大きくすると回転速度が小さくなり、q軸電流Iqを小さくすると回転速度が大きくなる関係がある。これを踏まえ、本実施例では、回転速度ωが増加する初期期間に制限値IqATR_LIM*、q軸電流指令Iq*の両者を徐々に減少するようにし、回転速度ωが一定となる期間に、制限値IqATR_LIM*、q軸電流指令Iq*の両者がともに一定となるようにした。

0080

次に、図11を用いて、本制御を用いた場合の回転速度に対するモータ電流脈動振幅値のイメージ図を示す。図11において、横軸は回転速度ωであり、縦軸はモータ電流脈動振幅値|Iq*|である。本制御を用いた場合、モータ電流脈動振幅|Iq*|は、数6に示す通り、モータ印加可能電圧Vomに比例し、回転速度ωに反比例の関係になる。実線を基準とすると、モータ印加可能電圧Vomが高い場合は、上側鎖線で示すように、モータ電流脈動振幅値の全域にわたり回転速度が増加し、モータ印加可能電圧Vomが低い場合は、下側鎖線で示すように、モータ電流脈動振幅値の全域にわたり回転速度が低下する。

0081

図12図13に本実施例の制御を用いた場合のシミュレーション結果を示す。

0082

図12は、直流電圧Edcを維持したまま、回転速度ωを増加させた場合の、負荷トルク、モータ出力トルク、モータ電流(U相)それぞれの関係を示している。ここに示すように、直流電圧Edcを200Vに固定し、回転速度を10〜11sの1秒間で2500min-1から3000min-1に増加させると、負荷トルクが一定の環境下で脱調の発生なく、図12(c)に示すモータ出力トルク、図12(d)に示すモータ電流ピーク値の両者がともに減少する。つまり、本実施例の制御を用いた場合、回転速度ωとモータ電流ピーク値の間には反比例関係があり、回転速度ωに応じてモータ電流ピーク値を制御できることが分かる。

0083

一方、図13は、回転速度ωを維持したまま、直流電圧Edcを増加させた場合の、負荷トルク、モータ出力トルク、モータ電流(U相)それぞれの関係を示している。ここに示すように、回転速度ωを3000min-1に固定した環境下で、直流電圧Edcを10〜11sの1秒間で200Vから240Vに増加させると、負荷トルクが一定の環境下で脱調の発生なく、図13(c)に示すモータ出力トルク、図13(d)に示すモータ電流ピーク値の両者がともに増加する。つまり、本実施例の制御を用いた場合、直流電圧Edcとモータ電流ピーク値の間には比例関係があり、直流電圧Edcに応じてモータ電流ピーク値を制御できることが分かる。

0084

これらの回転速度ωとモータ電流ピーク値の反比例関係、直流電圧Edcとモータ電流ピーク値の比例関係を利用すれば、回転速度ω、直流電圧Edcを適切に指定し、三相分のモータ電流の振幅値を適切に制御することができる。これにより、図14に示す様に、外部機器の負荷に起因する周期的な脈動トルクΔTmに同期したモータ出力トルクを発生させ、モータの速度変動を抑制することができ、モータの振動低減、脱調回避を図ることができる。

0085

以上で説明したように、本実施例によれば、脈動トルク電流指令IqATR*のピーク値を制限することで、脱調しない組合せのd軸電流指令Id*とq軸電流指令Iq*を生成でき、これらに基づいてベクトル制御を行うことで、PMモータ285の脱調を防止できる。

0086

以上の構成を用いることで、周期的な負荷トルクを持つ機器の振動低減を行う速度変動抑制制御を弱め界磁制御領域で安定に制御でき、低速回転域の高効率化と高速回転域の駆動範囲の拡大の両立をするとともに、更に高出力化が図れ、本手段を用いたモータ駆動装置並びに冷凍空調機器の低振動化が実現できる。

0087

なお、ベクトル制御、位置センサレス制御及び速度変動抑制制御の構成(方式)は本実施例の構成(方式)に限定するものではない。また、本実施例はシングルロータリ圧縮機やレシプロ圧縮機を想定して説明しているが、周期的なトルク変動をもつ負荷なら適用可能である。

0088

基本的制御構成並びに動作は実施例1で説明したので、実施例2以降では、前述の図9図10に相当する制限値IqATR_LIM*の算出法及びその時の動作等の別案について図面を用いて説明する。

0089

図15は、図7別表現で表したグラフであり、横軸に出力トルク、縦軸にモータ印加電圧位相と変調率khを示している。この図15から、モータ印加電圧位相は出力トルクに対して比例の関係があることが分かる。また、変調率khは途中で変極するが出力トルクが小さい領域では概略比例関係があることが分かる。つまり、出力トルクが小さい領域では、電圧位相や変調率を指標にして制限値IqATR_LIM*を算出することも可能である。

0090

図16に実施例2の制限値IqATR_LIM*の演算ブロック図、図17図18にその時の動作説明図を示す。実施例2は、実施例1(図9)に点線部12Bを追加した構成となっている。モータ定数の設定誤差が無ければ、実施例1で問題ないが、実際はモータ定数の設定誤差等が存在する。そのため、実施例2では、モータ印加電圧位相に制限値(上限、下限)を設けて、制限値IqATR_LIM*を補正する構成とした。この構成を用いることでモータ定数の設定誤差等に強くなり、よりロバストな制御が可能となる。また、モータ印加電圧位相を所定値内に管理することも可能になる。

0091

点線部12Bは、モータ印加電圧位相を上限値(θvu*)と下限値(θvd*)を用いて偏差を算出し、比較器12B1で、偏差の正値の大きい方を選択し、その値を積分器12B2に入力し制限値IqATR_LIM*を補正する構成となっている。なお、これらを別々に算出(積分)して制限値IqATR_LIM*を補正しても良い。

0092

図17はモータ印加電圧位相が上限値(θvu*)に達した場合、図18は電圧位相が下限値(θvd*)に達した場合の動作を示している。ここで、回転速度の動きは図示していないが、図10と同様であり、実施例1の制限値IqATR_LIM*を点線で示し、実施例2の制限値IqATR_LIM*を実線で示す。

0093

このようにモータ印加電圧位相を併用することでモータ印加電圧位相を所定値以内に抑えることが可能となり、モータ定数等の設定誤差があっても脱調することなく駆動が可能となる。

0094

なお、図16は点線部12Bと併用する構成であるが、点線部12Bのみで制限値IqATR_LIM*を算出することも可能である。また、電圧位相の偏差は正の値のみを使用するため、実際には負値を削除するリミッタが必要であるが、図の簡単化のため図示していない。以降の図も同様である。

0095

実施例3を図19図20に示す。図19は、図9の構成に点線部12Cを追加した構成であり、図20はその時の動作説明図である。図19の点線部12Cは、変調率で制限値IqATR_LIM*を補正する方式である。変調率を用いても実施例1や実施例2同様に制限値IqATR_LIM*の補正が可能である。なお、図17図18と同様に、図20では、実施例1の制限値IqATR_LIM*を点線で示し、実施例3の制限値IqATR_LIM*を実線で示す。

0096

実施例4を図21図22に示す。実施例4は、実施例3で示した点線部12Cのみで制限値IqATR_LIM*を算出する方式である。この場合、図22に示す通り、変調率hkが変調率指令値kh*に到達した時点で制限値IqATR_LIM*が変化するため、若干のオーバーシュートが発生するものの、実用上の悪影響はなく、構成の簡略化、コスト低減を図ることができる。

0097

実施例5を図23図24に示す。実施例5は、変調率hkと変調率指令値kh*の大小関係を比較し、変調率hkが変調率指令値kh*より大きい期間のみ制限値IqATR_LIM*を所定値だけ減算(変調率hkが変調率指令値kh*より小さい期間は加算)する構成である。本実施例の構成は積分器を使用しないため、構成が簡単であり、ソフトウエアで実現する場合も容量や処理時間が低減できる。また、本実施例では、比較器を用いてIqATR_LIM*を所定値ずつ減算する方式で説明したが、変調率hkが変調率指令値kh*を超えたら、所定の時間間隔で、IqATR_LIM*をあらかじめ設定した所定値まで、所定値ずつ減算する方式としての良い。

0098

実施例6を図25図26に示す。実施例6は、実施例1の図9に併用して、d軸電流の操作でq軸電流(トルク電流ピーク値)を抑制する方式である。図7で定電圧楕円について述べたが、図7に示す通り、q軸電流を増加させるためには、d軸電流を増加させる必要がある。逆に言うと、d軸電流が増加しないとq軸電流は増加できない。よって、図25に示す通り、電圧位相でd軸電流の負への増加を制限することで結果的にq軸電流(IqATR_LIM*)の増加を制限することができる。

0099

図25は、図1のd軸電流指令演算部1に電圧位相によるd軸電流制限部12Dを追加した構成となっている。d軸電流指令演算部1は、数1に従ってトルク/電流比が最大となるId値を算出する算出部と数7に従って弱め界磁電流となるId値を算出する算出部と、上記Id電流値の負に大きい方を出力する選択器から構成されている。モータ印加電圧位相によるd軸電流制限部12Dは図16の12Bの電圧位相上限のみを制限する構成となっている。モータ印加電圧位相によるd軸電流制限部12Dを用いてd軸電流の負に増加を制限する。なお、モータ印加電圧位相によるd軸電流制限部12Dはモータ印加電圧位相によるd軸電流制限部12Bの構成に変更しても問題ない。

0100

動作の様子を図26に記載する。モータ印加電圧位相が電圧位相上限指令値θvu*に到達するとd軸電流指令値の負に増加を図の通り制限する(破線は電圧位相によるd軸電流制限部12Dが無い場合のd軸電流指令値である)。なお、図26では、実施例1のd軸電流指令Id*を点線で示し、実施例6のd軸電流指令Id*を実線で示している。本実施例を用いることで、d軸電流を制限することで間接的にq軸電流(IqATR_LIM*)の増加を制限することができる。

0101

実施例7は、上記何れかの実施例のモータ駆動装置100を、冷凍空調機器の一例としてルームエアコンに適用したものである。図27に示す本実施例のルームエアコンは、室外機271、室内機272、リモコン273から構成されており、室外機271内の圧縮機を駆動するモータ駆動装置に何れかの実施例の構成を適用したものである。ここで、室外機271に搭載されている圧縮機はツインロータリ圧縮機で、機械角1回転に2回のトルク変動を持つ圧縮機である。実施例1では機械角1回転に1回のトルク変動を持つ機器を前提に説明してきたが、周期的に変動する負荷を持つ機器であれば、機械角1回転に2回のトルク変動を持つ圧縮機を対象としても良い。

0102

ここで、上記実施例で電圧位相や変調率khで制限値IqATR_LIM*を補正したり直接制限値IqATR_LIM*を算出する実施例を述べたが、モータ印加電圧位相や変調率khは図15に示した通り、回転速度によって所定値(指令値)が変化する。よって、上記実施例を適用する場合は、回転速度に応じて所定値(指令値)を変化させる構成を備えることが望ましい。

0103

本発明のモータ駆動装置を圧縮機駆動用モータの制御に適用することで、低速回転時から高速回転時まで広範囲振動騒音の低減が可能であり、弱め界磁制御も可能である。

実施例

0104

本実施例ではツインロータリー圧縮機で説明したが、スクロール圧縮機にも適用可能である。但し、振動騒音低減の効果はロータリ圧縮機ほどではない。また、冷蔵庫等小型の冷凍機に広く用いられているレシプロ圧縮機に適用することも可能である。

0105

1 d軸電流指令演算部
2電流指令演算部
3電圧演算部
4電圧補正演算部
5 dq/3相変換部
6PWM演算部
7速度制御部
8速度変動抑制制御部
9トルク脈動推定部
10 3相/dq変換部
11軸誤差演算部
12トルク電流制限値演算部
13PLL位相演算部
14積分器
15 PLL位相演算部
16直流電圧検出
17 積分器
8A1フーリエ変換部
8A2積分補償器
8B振幅制限部
8Cフーリエ逆変換部
100モータ駆動装置
101ベクトル制御部
102位置センサレス制御部
281マイコン
282インバータ
283直流電源
284電流検出器
285 PMモータ

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