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技術 変速機の制御装置

出願人 いすゞ自動車株式会社
発明者 下沢智啓
出願日 2016年7月22日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-144532
公開日 2018年1月25日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-013217
状態 特許登録済
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御 流体伝動装置の制御
主要キーワード 締結条件 制御フェーズ 締結処理 エンジン回転角速度 変速機電子制御装置 駆動源側 操作レバ 制御開始前
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

駆動源から駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力伝達経路確立する際において、ショックの発生を低減できるようにする。

解決手段

制御装置2において、締結条件を満たすか否かを判定し、ロックアップクラッチ15の伝達可能なロックアップクラッチトルク推定する統括制御部81と、条件を満たす場合に、許容トルクタービントルクに一致するように変速クラッチ20のスリップ状態を制御するクラッチ制御部83と、許容トルクがタービントルクに一致した場合に、ロックアップクラッチ15を締結するように油圧の制御を開始するトルコン制御部82と、を備え、クラッチ制御部83を、油圧制御開始後、タービン回転数エンジン回転数とが一致し、且つロックアップクラッチ許容トルクがドライバ要求エンジントルクを超えるまで、変速クラッチ20の許容トルクを、制御開始時点のタービントルクと一致させる制御を行うように構成する。

概要

背景

従来、エンジン変速機構との間にトルクコンバータを備えた変速機が知られている。トルクコンバータには、入力側と出力側とを機械的に接続可能なロックアップクラッチを有するものがある。

近年では、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備える変速機において、トルクコンバータと変速機構との間に、変速時における駆動力の断接を制御するための変速クラッチを備えた変速機が登場している。

トルクコンバータと、クラッチとを備える変速機における技術として、車速が低く且つ非変速時において、ロックアップクラッチをロックアップ状態とし、クラッチをスリップ状態とすることにより、ドライバビリティの向上を図りながら、燃費の向上を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。

概要

駆動源から駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力の伝達経路確立する際において、ショックの発生を低減できるようにする。制御装置2において、締結条件を満たすか否かを判定し、ロックアップクラッチ15の伝達可能なロックアップクラッチトルク推定する統括制御部81と、条件を満たす場合に、許容トルクタービントルクに一致するように変速クラッチ20のスリップ状態を制御するクラッチ制御部83と、許容トルクがタービントルクに一致した場合に、ロックアップクラッチ15を締結するように油圧の制御を開始するトルコン制御部82と、を備え、クラッチ制御部83を、油圧制御開始後、タービン回転数エンジン回転数とが一致し、且つロックアップクラッチ許容トルクがドライバ要求エンジントルクを超えるまで、変速クラッチ20の許容トルクを、制御開始時点のタービントルクと一致させる制御を行うように構成する。

目的

本発明は、駆動源から駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力の伝達経路を確立する際において、ショックの発生を低減することのできる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

変速機構と、駆動源と前記変速機構との間に設けられ、前記駆動源側に接続されたインペラと、前記変速機構側に接続されたタービンとを有し、作動油を介して前記インペラと前記タービンとの間の動力の伝達が可能であるとともに、前記駆動源側と前記タービンとの間を機械的に接続して動力の伝達を制御可能なロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、前記トルクコンバータと前記変速機構との間に配置され、前記トルクコンバータと前記変速機構との間での動力の伝達を制御可能な変速クラッチと、を有する変速機制御装置であって、前記ロックアップクラッチは、前記ロックアップクラッチを押圧するピストンを介して設けられた第1油圧室と、第2油圧室との作動油の差圧により締結力を調整できるようになっており、前記トルクコンバータの前記ロックアップクラッチを締結する所定の条件を満たすか否かを判定する開始判定手段と、前記開始判定手段により所定の条件を満たすと判定された場合に、前記変速クラッチをスリップ状態として、前記変速クラッチにより伝達可能な許容トルクが、前記タービンのトルクに一致するように制御する第1クラッチ制御手段と、前記ロックアップクラッチの伝達可能なトルクであるロックアップクラッチトルク推定するトルク推定手段と、前記許容トルクが前記タービンのトルクに一致した場合に、前記ロックアップクラッチを締結するように、前記第1油圧室と前記第2油圧室との作動油の油圧の制御を開始するロックアップクラッチ制御手段と、前記ロックアップクラッチ制御手段による前記油圧の制御の開始後、前記タービンの回転数と前記駆動源の回転数とが一致し、且つ推定された前記ロックアップクラッチのトルクが前記駆動源に対してドライバが要求していると想定されるドライバ要求トルクを超えるまで、前記変速クラッチの許容トルクを、前記開始時点の前記タービンのトルクと一致させるように、前記変速クラッチの前記スリップ状態を制御する第2クラッチ制御手段と、を備える変速機の制御装置。

請求項2

前記トルク推定手段は、前記タービンのトルクと、前記タービンのイナーシャと、前記タービンの回転速度と、前記許容トルクと、に基づいて前記ロックアップクラッチトルクを推定する請求項1に記載の変速機の制御装置。

請求項3

前記油圧の制御の開始時点の前記タービンのトルクは、前記ドライバ要求トルク以下のトルクである請求項1又は請求項2に記載の変速機の制御装置。

請求項4

前記タービンの回転数と前記駆動源の回転数とが一致し、且つ推定された前記ロックアップクラッチトルクが前記ドライバ要求トルクを超えた後において、前記駆動源のトルクを前記ドライバ要求トルクよりも一時的に減少させ、その後、前記駆動源のトルクを前記ドライバ要求トルクに変化させて、前記タービンの回転数と、前記変速機構の前記インプットシャフトの回転数とを同期させるように制御する駆動源制御手段を更に備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の変速機の制御装置。

請求項5

前記タービンの回転数と前記駆動源の回転数とが一致し、且つ推定された前記ロックアップクラッチトルクが前記ドライバ要求トルクを超えた後において、前記変速クラッチの前記許容トルクを一時的に増加させ、その後、前記許容トルクを前記ドライバ要求トルクに変化させて、前記タービンの回転数と前記変速機構の前記インプットシャフトの回転数とを同期させるように制御する同期制御手段を更に備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の変速機の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、変速機構と、トルクコンバータと、変速クラッチとを備える変速機制御装置に関する。

背景技術

0002

従来、エンジンと変速機構との間にトルクコンバータを備えた変速機が知られている。トルクコンバータには、入力側と出力側とを機械的に接続可能なロックアップクラッチを有するものがある。

0003

近年では、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備える変速機において、トルクコンバータと変速機構との間に、変速時における駆動力の断接を制御するための変速クラッチを備えた変速機が登場している。

0004

トルクコンバータと、クラッチとを備える変速機における技術として、車速が低く且つ非変速時において、ロックアップクラッチをロックアップ状態とし、クラッチをスリップ状態とすることにより、ドライバビリティの向上を図りながら、燃費の向上を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0005

特開2004−257518号公報

発明が解決しようとする課題

0006

例えば、車速が増加すると、トルクコンバータのロックアップクラッチを締結して、エンジンから駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力の伝達経路確立する必要がある。トルクコンバータのロックアップクラッチの締結力は、例えば、ロックアップクラッチを駆動させるピストンを介して設けられたトルクコンバータ内の2つの油圧室のそれぞれに供給される作動油の圧力の差、すなわち、2つの油圧室の差圧によって制御される。このため、ロックアップクラッチは、応答性や、制御性が比較的悪い。このため、トルクコンバータのロックアップクラッチのみを制御して、ロックアップクラッチを締結する場合には、ロックアップクラッチを締結する際にショックが発生してしまう虞がある。

0007

そこで、本発明は、駆動源から駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力の伝達経路を確立する際において、ショックの発生を低減することのできる技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上述の目的を達成するため、本発明の一観点に係る変速機の制御装置は、変速機構と、駆動源と変速機構との間に設けられ、駆動源側に接続されたインペラと、変速機構側に接続されたタービンとを有し、作動油を介してインペラとタービンとの間の動力の伝達が可能であるとともに、駆動源側と前記タービンとの間を機械的に接続して動力の伝達を制御可能なロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、トルクコンバータと前記変速機構との間に配置され、トルクコンバータと変速機構との間での動力の伝達を制御可能な変速クラッチと、を有する変速機の制御装置であって、ロックアップクラッチは、ロックアップクラッチを押圧するピストンを介して設けられた第1油圧室と、第2油圧室との作動油の差圧により締結力を調整できるようになっており、トルクコンバータのロックアップクラッチを締結する所定の条件を満たすか否かを判定する開始判定手段と、開始判定手段により所定の条件を満たすと判定された場合に、変速クラッチをスリップ状態として、変速クラッチにより伝達可能な許容トルクが、タービンのトルクに一致するように制御する第1クラッチ制御手段と、ロックアップクラッチの伝達可能なトルクであるロックアップクラッチトルク推定するトルク推定手段と、許容トルクがタービンのトルクに一致した場合に、ロックアップクラッチを締結するように、第1油圧室と第2油圧室との作動油の油圧の制御を開始するロックアップクラッチ制御手段と、ロックアップクラッチ制御手段による油圧の制御の開始後、タービンの回転数と駆動源の回転数とが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチのトルクが前記駆動源に対してドライバが要求していると想定されるドライバ要求トルクを超えるまで、変速クラッチの許容トルクを、開始時点のタービンのトルクと一致させるように、変速クラッチのスリップ状態を制御する第2クラッチ制御手段と、を備える。

0009

上記変速機の制御装置において、トルク推定手段は、タービンのトルクと、タービンのイナーシャと、タービンの回転速度と、許容トルクとに基づいてロックアップクラッチトルクを推定するようにしてもよい。

0010

また、上記変速機の制御装置において、油圧の制御の開始時点のタービンのトルクは、ドライバ要求トルク以下のトルクであってもよい。

0011

また、上記変速機の制御装置において、タービンの回転数と駆動源の回転数とが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチトルクがドライバ要求トルクを超えた後において、駆動源のトルクをドライバ要求トルクよりも一時的に減少させ、その後、駆動源のトルクをドライバ要求トルクに変化させて、タービンの回転数と変速機構のインプットシャフトの回転数とを同期させるように制御する駆動源制御手段を更に備えるようにしてもよい。

0012

また、上記変速機の制御装置において、タービンの回転数と駆動源の回転数とが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチトルクがドライバ要求トルクを超えた後において、変速クラッチの許容トルクを一時的に増加させ、その後、許容トルクをドライバ要求トルクに変化させて、タービンの回転数と変速機構のインプットシャフトの回転数とを同期させるように制御する同期制御手段を更に備えるようにしてもよい。

発明の効果

0013

本発明によれば、駆動源から駆動輪へのロックアップクラッチを介しての駆動力の伝達経路を確立する際において、ショックの発生を低減することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の一実施形態に係る変速機を示す模式的な構成図である。
本発明の一実施形態に係る変速機に相当するモデル及び変速機の各部の状態値を表す記号を示す図である。
本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理フローチャートである。
図4(A)は、本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部の回転数の時間変化を示す図である。図4(B)は、本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部のトルクの時間変化を示す図である。
本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理のフローチャートである。
図6(A)は、本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部の回転数の時間変化を示す図である。図6(B)は、本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部のトルクの時間変化を示す図である。

実施例

0015

以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る変速機の制御装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。

0016

図1は、本発明の一実施形態に係る変速機を示す模式的な構成図である。

0017

車両に備えられる変速機1は、駆動源の一例であるエンジン10の出力軸11に接続されている。

0018

変速機1は、トルクコンバータ(トルコン)12と、変速クラッチ20と、変速機構30と、制御装置2と、トルコン用作動油調整部85と、クラッチ用作動油調整部86と、変速調整部87と、エンジン回転数センサ92と、タービン回転数センサ93と、インプットシャフト回転数センサ94と、車速センサ95(出力回転数センサともいう)と、アクセル開度センサ96と、シフトポジションセンサ97とを備えている。制御装置2は、エンジン電子制御装置(エンジンECU)70と、変速機電子制御装置(変速機ECU)80とを備えている。

0019

ここで、変速機1の詳細を説明する前に、変速機1に相当するモデルと、変速機1の各部の状態値を表す記号を説明する。

0020

図2は、本発明の一実施形態に係る変速機に相当するモデル及び変速機の各部の状態値を表す記号を示す図である。

0021

図1に示す変速機1の制御に関わる部分については、図2に示すモデルのように表すことができる。本明細書においては、変速機1の各部の状態を示す状態値については、図2に示すように記号又は添字付き記号で表すこととする。

0022

ここで、記号について説明すると、Tは、トルクを表し、ωは、回転数を表し、Iは、慣性モーメントを表し、iは、ギヤ比を表している。一方、記号に付けられる添字について説明すると、eは、エンジンを表し、lckは、ロックアップクラッチを表し、iはインペラを表し、tは、タービンのシャフトを表し、cは、変速クラッチを表し、oは、変速機構のアウトプットシャフトを表し、lは、駆動輪側負荷を表している。

0023

図1の説明に戻り、トルクコンバータ12は、エンジン10の出力軸11に接続されたインペラ13と、インペラ13と対向するように配置され、変速クラッチ20の入力軸19と接続されるタービン14と、出力軸11と入力軸19(タービンのシャフト)との間を機械的に断接可能なロックアップクラッチ15とを有する。ロックアップクラッチ15は、ロックアップクラッチ15を押圧して移動させるピストン15Aを有する。ピストン15Aは、トルクコンバータ12内において、トルコン用作動油調整部85から作動油が供給される第1油圧室16と、第2油圧室17とを画成している。ロックアップクラッチ15は、トルコン用作動油調整部85から第1油圧室16に供給される作動油の油圧と、第2油圧室17に供給される作動油の油圧との差圧に応じて、締結力を調整可能となっている。

0024

ここで、本実施形態では、ロックアップクラッチ15と出力軸11側の部材とが接触して同一の回転数で回転しつつ、出力軸11からのトルクがロックアップクラッチ15を介して入力軸19に伝達される状態を完全締結状態と称し、ロックアップクラッチ15と出力軸11側の部材とが接触して異なる回転数で回転しつつ、出力軸11からのトルクがロックアップクラッチ15を介して入力軸19に伝達される状態をロックアップクラッチ15のスリップ状態(半クラッチ状態)と称し、ロックアップクラッチ15が入力軸11側の部材と接触していない状態をロックアップクラッチ15の断状態と称する。

0025

変速クラッチ20は、例えば、湿式クラッチであって、トルクコンバータ12のタービン14に接続された入力軸19と一体回転する入力側ディスク20Aと、変速機30のインプットシャフト31と一体回転する出力側ディスク20Bとを有し、入力側ディスク20Aと出力側ディスク20Bとの間の駆動力の断接を行うことができるようになっている。変速クラッチ20の締結力、すなわち、入力側ディスク20Aと出力ディスク20Bとの間の締結力は、クラッチ用作動油調整部86から供給される作動油の圧力により調整できるようになっている。本実施形態では、変速クラッチ20を締結させるために作動油が供給される図示しない油圧室の容積が、ロックアップクラッチ15の第1油圧室16及び第2油圧室17の容積よりも小さく、ロックアップクラッチ15の締結力を調整する際に必要な作動油の量よりも、変速クラッチ20の締結力を調整する際に必要な作動油の量の方が少なくなっているので、変速クラッチ20の締結力を、ロックアップクラッチ15の締結力よりも迅速かつ高精度に制御することができる。

0026

ここで、本実施形態では、入力側ディスク20Aと出力側ディスク20Bとが接触して同一の回転数で回転しつつ、入力側ディスク20Aから出力側ディスク20Bにトルクが伝達される状態を完全締結状態と称し、入力側ディスク20Aと出力側ディスク20Bとが異なる回転数で回転しつつ、入力側ディスク20Aから出力側ディスク20Bにトルクが伝達される状態を変速クラッチ20のスリップ状態(半クラッチ状態)と称し、入力側ディスク20Aと出力側ディスク20Bとが機械的に接触していない状態を変速クラッチ20の断状態と称する。

0027

変速機構30は、変速クラッチ20の出力側ディスク20Bと接続されたインプットシャフト31から入力された駆動力を変速させて、図示しない駆動輪に接続されたアウトプットシャフト32に伝達する。変速機構30は、例えば、平行軸歯車式の変速機構(すなわち、マニュアルトランスミッション)、遊星歯車式の変速機構、又は無段変速機構であってよい。

0028

トルコン用作動油調整部85は、変速機ECU80の制御指示に従って、トルクコンバータ12の第1油圧室16に供給する作動油の圧力と、第2油圧室17に供給する作動油の圧力とのそれぞれを調整する。

0029

クラッチ用作動油調整部86は、変速機ECU80の制御指示に従って、変速クラッチ20の締結力を調整するために変速クラッチ20に供給する作動油の圧力を調整する。

0030

変速調整部87は、変速機ECU80の制御指示に従って、変速機構30の変速段の変更を行う。

0031

エンジン回転数センサ92は、エンジン10の出力軸11の回転数(エンジン回転数ωe)を検出し、エンジンECU70に出力する。タービン回転数センサ93は、入力軸19の回転数(タービン14の回転数(タービン回転数ωt)と対応)を検出し、変速機ECU80に出力する。インプットシャフト回転数センサ94は、インプットシャフト31の回転数(インプットシャフト回転数ωc)を検出し、変速機ECU80に出力する。車速センサ95は、アウトプットシャフト32の回転数(アウトプットシャフト回転数ωo)を検出し、変速機ECU80に出力する。アウトプットシャフト回転数ωoからは、車速を特定することができる。アクセル開度センサ96は、アクセル開度を検出し、エンジンECU70に出力する。シフトポジションセンサ97は、操作レバーにより指定(選択)された位置(シフトポジション)を検出し、変速機ECU80に出力する。操作レバーでは、例えば、車両の停車中に使用するP(パーキングレンジ、車両の変速機をニュートラルにする際に選択するN(ニュートラル)レンジ、自動変速を行う際に選択するD(ドライブ)レンジ、変速を運転者の操作で行う際に選択するM(マニュアル)レンジ、Mレンジでのシフトアップを指定するためのプラス(+)、Mレンジでのシフトダウンを指定するためのマイナス(−)等を選択することができる。

0032

エンジンECU70は、主にエンジン10の各種制御を行うもので、公知のCPU、ROM、RAM、入力ポート出力ポート等を備えて構成されている。これら各種制御を行うために、エンジンECU70には、各種センサ類(92,96)のセンサ値が入力される。なお、エンジンECU70は、変速機ECU80と通信ネットワークを介して接続されており、相互に各種情報交換することができるようになっている。

0033

エンジンECU70は、駆動源制御手段の一例としてのエンジン制御部71を一部の機能要素として有する。

0034

エンジン制御部71は、エンジン10における燃料噴射量等を制御してエンジン10のトルクを制御する。例えば、エンジン制御部71は、アクセル開度センサ96からのアクセル開度や、車速(例えば、変速機ECU80から取得)に基づいて、エンジン10に対してドライバが要求していると想定されるドライバ要求エンジントルクTed(ドライバ要求トルク)を決定し、変速機ECU80に出力する。また、エンジン制御部71は、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTeを超えた後(本実施形態では、その旨の通知を、統括制御部81から受けた場合)に、エンジン10のトルク(エンジントルクTe)をドライバ要求エンジントルクTedよりも一時的に減少させ、その後、エンジントルクTeをドライバ要求エンジントルクTedに変化させて、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを同期させるように制御する。

0035

変速機ECU80は、主にトルクコンバータ12、変速クラッチ20、変速機構30の各種制御を行うもので、公知のCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。これら各種制御を行うために、変速機ECU80には、各種センサ類(93〜95、97)のセンサ値が入力される。

0036

変速機ECU80は、開始判定手段の一例としての統括制御部81と、ロックアップクラッチ制御手段の一例としてのトルコン制御部82と、第1クラッチ制御手段及び第2クラッチ制御手段の一例としてのクラッチ制御部83と、変速制御部84とを一部の機能要素として有する。

0037

なお、本実施形態では、エンジンECU70と、変速機ECU80とは、別のハードウエアとして構成した例を示しているが、エンジンECU70と、変速機ECU80とを一体のハードウエアで構成してもよく、また、エンジンECU70の機能要素と、変速機ECU80の機能要素とを、2つ以上のハードウエアに分散させて設けるようにしてもよい。

0038

統括制御部81は、ロックアップクラッチ15を締結させてエンジン10から駆動輪までの駆動力の伝達経路を確立する処理(ロックアップクラッチ締結処理)を統括して制御する。統括制御部81は、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15を締結する所定の条件を満たすか否かを判定し、所定の条件を満たす場合には、その旨をクラッチ制御部83に通知する。ロックアップクラッチ15を締結する所定の条件としては、例えば、エンジン回転数ωeが、ロックアップクラッチ15を締結するとトルクコンバータ12の図示しないダンパ共振してしまう回転数よりも高い所定の回転数となったこととしてもよい。

0039

また、統括制御部81は、ロックアップクラッチ15の伝達可能なトルクであるロックアップクラッチ許容トルクTlck(ロックアップクラッチトルク)を推定する。本実施形態では、統括制御部81は、式(1)に示すように、タービントルクTtと、タービンイナーシャIt(タービン慣性モーメント)と、タービン回転速度ω・t(式(1)では、ωの上に1つのドット(・)、明細書では便宜的にこの様に表記する)と、許容トルクTcとに基づいてロックアップクラッチ許容トルクTlckを推定するようにしている。なお、統括制御部81が実行する他の処理については、後述する。

0040

ここで、許容トルクTcについては、予め実験的に把握されている、変速クラッチ20における、クラッチ用作動油調整部86により供給されている作動油の油圧と、変速クラッチ20の許容トルクTcとの関係に基づいて、クラッチ用作動油調整部86から供給される作動油の油圧を特定可能な情報(作動油の油圧そのもの、又は、作動油圧を調整するバルブを制御する電流量等)から特定することができる。また、タービントルクTtについては、予め把握されている、トルクコンバータ12における、エンジン回転数ωeとタービン回転数ωtとの速度比に対応するトルク比trと、トルクコンバータ12の設計により決まるポンプ容量係数Cと、センサから検出されたエンジン回転数ωeとを用いて特定することができる。より具体的には、タービントルクTtは、Tt=tr×C×ωe2により特定することができる。また、タービンイナーシャItは、トルクコンバータ12の設計上の値を用いることができる。また、タービン回転速度ω・tは、タービン回転数センサ93により検出されるタービン回転数ωtを微分することにより得ることができる。

0041

統括制御部81は、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えたか否かを判定し、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている場合には、タービン回転数ωtがエンジン回転数ωeと同じ回転数となり且つロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている旨をエンジン制御部71とクラッチ制御部83に通知する。

0042

トルコン制御部82は、許容トルクTcがタービントルクTtに一致した場合(クラッチ制御部83から許容トルクTcがタービントルクTtに一致した旨の通知を受け取った場合)に、ロックアップクラッチ15を締結するように、トルコン用作動油調整部85の図示しないバルブをオンにすることにより、第1油圧室16と第2油圧室17との作動油の油圧の制御を開始する。ここで、ロックアップクラッチ15を締結するように、トルコン用作動油調整部85により、第1油圧室16と第2油圧室17との作動油の油圧の制御を開始した時を、ロックアップ油圧制御開始時ということとする。なお、トルコン制御部82が実行する他の処理については、後述する。

0043

クラッチ制御部83は、統括制御部81からトルクコンバータ12のロックアップクラッチ15を締結する所定の条件を満たす旨の通知を受けた場合に、変速クラッチ20をスリップ状態として、変速クラッチ20の許容トルクTcが、タービントルクTtに一致するように制御する。ここで、許容トルクTcについては、予め実験的に把握されている、変速クラッチ20における、クラッチ用作動油調整部86により供給されている作動油の油圧と、変速クラッチ20の許容トルクTcとの関係に基づいて、クラッチ用作動油調整部86から供給される作動油の油圧を特定可能な情報(作動油の油圧そのもの、又は、作動油圧を調整するバルブを制御する電流量等)から特定することができる。

0044

また、クラッチ制御部83は、許容トルクTcがタービントルクTtに一致したか否か判定し、許容トルクTcがタービントルクTtに一致した場合には、その旨をトルコン制御部82に通知する。

0045

また、クラッチ制御部83は、ロックアップ油圧制御開始時後、ロックアップクラッチ15が完全に締結されるまで(本実施形態では、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えるまで)、変速クラッチ20の許容トルクTcを、ロックアップ油圧制御開始時のタービントルクTt(目標クラッチトルクFLU)と一致させるように、クラッチ用作動油調整部86により変速クラッチ20に供給する作動油の油圧を調整することにより、変速クラッチ20のスリップ状態を制御する。なお、本実施形態では、ロックアップ油圧制御開始時のタービントルクTtである目標クラッチトルクTFLUは、ドライバ要求エンジントルクTedよりも低いトルクとなっている。なお、クラッチ制御部83が実行する他の処理については、後述する。

0046

変速制御部84は、シフトポジションセンサ97から送信される操作レバーの指定位置、アクセル開度(エンジンECU70から取得)、車速センサ95からの車速等の情報に基づいて、変速が必要であるか否かを判定し、変速が必要であれば変速先の変速段を特定し、変速機構30をその変速段に設定するように変速調整部87に制御指示を出力する。

0047

次に、変速機1におけるロックアップクラッチ締結処理について説明する。ロックアップクラッチ締結処理は、ロックアップクラッチ15をロックアップ(完全締結)させることを伴うエンジン10から駆動輪までの駆動力伝達経路を確立する処理である。

0048

図3は、本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理のフローチャートである。図4(A)は、本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部の回転数の時間変化を示す図である。図4(B)は、本発明の一実施形態に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部のトルクの時間変化を示す図である。なお、図4における時間軸の1、2、・・・は、制御フェーズ1、制御フェーズ2、・・・を示している。

0049

ロックアップクラッチ締結処理は、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15が締結されていない場合、例えば、車両の発進直後や、車両の速度が低下した場合等に実行される。ロックアップクラッチ締結処理における初期の状態は、制御フェーズにおける制御開始前フェーズであり、制御開始前フェーズにおいては、変速クラッチ20は、完全に締結されている状態となっている。

0050

制御開始前フェーズは、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15が断状態であり、変速クラッチ20が完全に締結されている状態である。制御開始前フェーズにおいては、変速機1における運動方程式は、以下に示す式(2)、式(3)、式(4)で表すことができる。

0051

ここで、制御開始前フェーズにおいて、ドライバによりアクセルが踏まれてアクセル開度が大きくなった場合を例にして、ロックアップクラッチ締結処理の各ステップを説明する。制御開始前フェーズにおいて、アクセル開度が大きくなると、図4(A)及び図(B)に示すように、ドライバ要求エンジントルクTedが高くなり、エンジントルクTeが高くなるように制御される。この結果、タービントルクTtが上昇し、エンジン回転数ωe、インプットシャフト回転数ωcが上昇する。なお、本実施形態では、ドライバ要求エンジントルクTedが高くなって所定の値で一定となるようにアクセル開度が維持されている場合を例に説明する。

0052

統括制御部81は、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15を締結する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS11)。この結果、所定の条件を満たさない場合(ステップS11:NO)には、制御開始前フェーズのままであるので、統括制御部81は、ステップS11を再び実行する。

0053

一方、所定の条件を満たす場合(ステップS11:YES)には、制御フェーズは、制御開始前フェーズから制御フェーズ1に移り、統括制御部81は、所定の条件を満たす旨をクラッチ制御部83に通知する。

0054

所定の条件を満たす旨の通知を受けたクラッチ制御部83は、変速クラッチ20をスリップ状態として、変速クラッチ20の許容トルクTcが、タービントルクTtに一致するようにする制御を開始する(ステップS12)。

0055

制御フェーズ1においては、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15が断状態であり、変速クラッチ20がスリップ状態であるので、変速機1における運動方程式は、式(2)、式(3)、式(4)で表すことができる。

0056

制御フェーズ1においては、許容トルクTcが、タービントルクTtに一致するように制御されているので、図4(B)に示すように、許容トルクTcが、徐々に減少してタービントルクTtに近づくこととなる。

0057

次いで、クラッチ制御部83は、許容トルクTcがタービントルクTtに一致したか否か判定し(ステップS13)、許容トルクTcがタービントルクTtに一致していない場合(ステップS13:NO)には、制御フェーズ1のままであるので、クラッチ制御部83は、ステップS13を再び実行する。

0058

一方、許容トルクTcがタービントルクTtに一致した場合(ステップS13:YES)には、制御フェーズは、制御フェーズ2に移り、クラッチ制御部83は、その旨をトルコン制御部82に通知する。

0059

トルコン制御部82は、クラッチ制御部83から許容トルクTcがタービントルクTtに一致した旨の通知を受け取った場合には、ロックアップクラッチ15のロックアップを開始する、すなわち、ロックアップクラッチ15を締結するように、トルコン用作動油調整部85の図示しないバルブをオンにすることにより、第1油圧室16と第2油圧室17との作動油の油圧の制御を開始する(ステップS14)。なお、この時点が、ロックアップ油圧制御開始時となる。これにより、ロックアップクラッチ15により伝達可能なトルク(ロックアップクラッチ許容トルクTlck)が徐々に上昇することとなる。なお、ロックアップクラッチ許容トルクTlckは、トルコン用作動油調整部85により、第1油圧室16と第2油圧室17との差圧を制御することにより得られるものであり、詳細な制御が困難であって、制御への応答が不明であるので、図4(B)に示すように変化しているとは限らない。

0060

次いで、制御フェーズは、制御フェーズ3に移り、クラッチ制御部83は、変速クラッチ20の許容トルクTcを、ロックアップ油圧制御開始時のタービントルクTt(目標クラッチトルクTFLU)と一致させるように、クラッチ用作動油調整部86により変速クラッチ20に供給する作動油の油圧を調整することにより、変速クラッチ20のスリップ状態を制御することを開始する(ステップS15)。ここで、目標クラッチトルクTFLUは、ドライバ要求エンジントルクTedよりも低いトルクとなっている。したがって、変速クラッチ20の後段側には、大きなトルクの変化が生じないので、ロックアップクラッチ許容トルクTlckが上昇しても大きなショックが発生しないので、ショックの発生を低減することができる。また、許容トルクTcを、タービン回転数ωtにより大きく低下してしまうタービントルクTtではなく、一定の値である目標クラッチトルクTFLUに一致させるように制御しているので、変速クラッチ20の後段側のトルクが大きく低下してしまうことを防止できる。

0061

制御フェーズ2及び制御フェーズ3においては、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15がスリップ状態であり、変速クラッチ20がスリップ状態であるので、変速機1における運動方程式は、式(5)、式(6)、式(4)で表すことができる。

0062

次いで、統括制御部81は、タービン回転数ωtがインプットシャフト回転数ωcよりも高い回転数となったか否かを判定し(ステップS16)、タービン回転数ωtがインプットシャフト回転数ωcよりも高い回転数でない場合(ステップS16:NO)には、制御フェーズ3のままであるので、統括制御部81は、ステップS16を再び実行する。

0063

一方、タービン回転数ωtがインプットシャフト回転数ωcよりも高い回転数となった場合(ステップS16:YES)には、制御フェーズは、制御フェーズ4に移り、統括制御部81は、タービン回転数ωtがインプットシャフト回転数ωcよりも高い回転数となった旨をエンジン制御部71に通知する。

0064

タービン回転数ωtがインプットシャフト回転数ωcよりも高い回転数となった旨を受け取ったエンジン制御部71は、エンジントルクTeをインペラトルクTiと一致させるように制御する(ステップS17)。インペラトルクTiは、Ti=C×ωe2により推定することができる。ここで、係数Cは、トルクコンバータ12のポンプ容量係数であり、トルクコンバータ12の設計値により定まる値である。

0065

なお、ステップS17の時点においては、クラッチ制御部83は、変速クラッチ20の許容トルクTcを、目標クラッチトルクTFLUと一致させるようにする制御を継続して実行している。したがって、変速クラッチ20の後段側には、大きなトルクの変化が生じないので、ロックアップクラッチ許容トルクTlckが上昇しても大きなショックが発生することがなく、ショックの発生を低減することができる。

0066

制御フェーズ4においては、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15がスリップ状態であり、変速クラッチ20がスリップ状態であるので、変速機1における運動方程式は、式(5)、式(7)、式(8)で表すことができる。

0067

制御フェーズ4においては、タービントルクTtは、徐々に減少していき、タービン回転数ωtがエンジン回転数ωeに近づくように増加する。

0068

次いで、統括制御部81は、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えたか否かを判定し(ステップS18)、いずれかを満たさない場合(ステップS18:NO)には、制御フェーズ4のままであるので、統括制御部81は、ステップS18を再び実行する。

0069

一方、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている場合(ステップS18:YES)には、ドライバ要求エンジントルクTedと同じエンジントルクTeがトルクコンバータ12に入力されても、ロックアップクラッチ15がスリップ状態とならないことが確保され、ロックアップクラッチ15の締結が完全に行われていることを意味しているので、制御フェーズは、制御フェーズ5に移り、統括制御部81は、タービン回転数ωtがエンジン回転数ωeと同じ回転数となり且つロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている旨をエンジン制御部71とクラッチ制御部83に通知する。

0070

エンジン制御部71は通知を受けると、エンジントルクTeをドライバ要求エンジントルクTedよりも一時的に減少させ、その後、エンジントルクTeをドライバ要求エンジントルクTedに変化させて、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを同期させるように制御する。本実施形態では、エンジン制御部71は、式(9)を満たすように制御する(ステップS19)。

0071

なお、ω・ec(式(9)では、ωの上に1つのドット(・)、明細書では便宜的にこの様に表記する)は、予め設定されたエンジン回転角速度目標値を示しており、図4(A)に示すエンジン回転数ωeの低下速度に相当する値となっている。このように、エンジントルクTeを一時的に低下させるので、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを迅速に同期させることができる。

0072

また、クラッチ制御部83は、通知を受けると、変速クラッチ20の許容トルクTcを、ドライバ要求エンジントルクTedと一致させるように上昇させる(ステップS19)。ここで、上記したように、エンジントルクTeを一時的に低下させるので、変速クラッチ20の許容トルクTcを、ドライバ要求エンジントルクTedと一致させるように上昇させる際におけるショックの発生を抑えることができる。

0073

制御フェーズ5においては、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15が完全に締結された状態であり、変速クラッチ20がスリップ状態であるので、変速機1における運動方程式は、式(10)、式(8)で表すことができる。

0074

制御フェーズ5においては、エンジントルクTeがドライバ要求エンジントルクTedよりも一時的に減少し、その後、ドライバ要求エンジントルクTedに一致する。また、許容トルクTcは、徐々に上昇していき、ドライバ要求エンジントルクTedと一致する。また、エンジン回転数ωe(タービン回転数ωtと同じ)は、低下していきインプットシャフト回転数ωcに徐々に近づく。

0075

次いで、統括制御部81は、エンジン回転数ωeとインプットシャフト回転数ωcとの回転数差所定値よりも小さくなったか否かを判定し(ステップS20)、エンジン回転数ωeとインプットシャフト回転数ωcとの回転数差が所定値よりも小さくなっていない場合(ステップS20:NO)には、制御フェーズ5のままであるので、統括制御部81は、ステップS20を再び実行する。

0076

一方、エンジン回転数ωeとインプットシャフト回転数ωcとの回転数差が所定値よりも小さくなった場合(ステップS20:YES)には、変速クラッチ20を完全に締結したとしても締結する際のショックが比較的少ないと考えられるので、制御フェーズは、制御フェーズ6に移り、統括制御部81は、エンジン回転数ωeとインプットシャフト回転数ωcとの回転数差が所定値よりも小さくなった旨をクラッチ制御部83に通知する。

0077

また、クラッチ制御部83は、クラッチ用作動油調整部86により変速クラッチ20に供給する作動油の油圧を調整することにより、変速クラッチ20の許容トルクTcを、変速クラッチ20が完全に締結された際のトルク(完全締結時トルクTMAX)と一致させるようにする(ステップS21)。

0078

次いで、統括制御部81は、変速クラッチ20の許容トルクTcが、完全締結時トルクTMAXと一致したか否かを判定し(ステップS22)、変速クラッチ20の許容トルクTcが、完全締結時トルクTMAXと一致していない場合(ステップS22:NO)には、変速クラッチ20が完全に締結されておらず、制御フェーズ6のままであるので、統括制御部81は、ステップS22を再び実行する。

0079

一方、変速クラッチ20の許容トルクTcが、完全締結時トルクTMAXと一致した場合(ステップS22:YES)には、変速クラッチ20が完全に締結されたことを意味し、トルクコンバータ12のロックアップクラッチ15を介してのエンジン10から駆動輪までの駆動力伝達経路が完全に確立されたことを意味しているので、統括制御部81は、エンジン制御部71を通常の制御状態に戻し、ロックアップクラッチ締結処理を終了する。

0080

以上説明したように、本実施形態に係る制御装置2によると、統括制御部81がトルクコンバータ12のロックアップクラッチ15を締結する所定の条件を満たすか否かを判定し、クラッチ制御部83が、所定の条件を満たすと判定された場合に、変速クラッチ20をスリップ状態として、変速クラッチ20により伝達可能な許容トルクTcが、タービントルクTtに一致するように制御し、トルコン制御部82が、許容トルクTcがタービントルクTtに一致した場合に、ロックアップクラッチ15を締結するように、第1油圧室16と第2油圧室17との作動油の油圧の制御を開始し、クラッチ制御部83が、トルコン制御部82による油圧制御開始時の後、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えるまで、変速クラッチ20の許容トルクTcを、油圧制御開始時のタービントルクTtである目標クラッチトルクTFLUと一致させるように、変速クラッチ20のスリップ状態を制御するようにしたので、ロックアップクラッチのロックアップを伴う駆動力の伝達経路を確立する際において、変速クラッチ20の後段側に比較的大きなトルクが伝達されてしまうことを低減することができ、ショックの発生を低減できる。

0081

また、推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えるまで、変速クラッチ20の許容トルクTcを、目標クラッチトルクTFLUと一致させるようにしているので、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致しているが、ロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedよりも低く、ドライバ要求エンジントルクTedと同じトルクが発生した際に、ロックアップクラッチ15がスリップ状態となってしまい、ロックアップクラッチ15のロックアップを伴う駆動力の伝達経路の確立が長期化してしまうことを適切に防止することができる。

0082

次に、変形例に係る変速機1について説明する。なお、上記した実施形態に係る変速機と同様な部分には同様な符号を付し、異なる点を中心に説明する。

0083

変形例に係る変速機1のクラッチ制御部83は、同期制御手段の一例であり、エンジン制御部71は、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTeを超えた後(本実施形態では、その旨の通知を、統括制御部81から受けた場合)において、クラッチ用作動油調整部86により変速クラッチ20に供給する作動油の油圧を調整することにより、変速クラッチ20の許容トルクTcを一時的に増加させ、その後、許容トルクTcをドライバ要求エンジントルクTedに変化させて、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを同期させるように制御する。

0084

次に、変形例に係る変速機1におけるロックアップクラッチ締結処理について説明する。

0085

図5は、本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理のフローチャートである。図6(A)は、本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部の回転数の時間変化を示す図である。図6(B)は、本発明の変形例に係るロックアップクラッチ締結処理の各フェーズにおける各部のトルクの時間変化を示す図である。なお、図6における時間軸の1、2、・・・は、制御フェーズ1、制御フェーズ2、・・・を示している。

0086

ステップS18において、タービン回転数ωtとエンジン回転数ωeとが一致し、且つ推定されたロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている場合(ステップS18:YES)には、ロックアップクラッチ15の締結が完全に行われたことを意味しているので、制御フェーズは、制御フェーズ5に移り、統括制御部81は、タービン回転数ωtがエンジン回転数ωeと同じ回転数となり、且つロックアップクラッチ許容トルクTlckがドライバ要求エンジントルクTedを超えている旨をクラッチ制御部83に通知する。ここで、統括制御部81と、クラッチ制御部83とは、変速機ECU80に設けられているので、通信による遅延の影響なしに、その旨をクラッチ制御部83に迅速に通知することができる。

0087

クラッチ制御部83は、変速クラッチ20の許容トルクTcを一時的に増加させ、その後、許容トルクTcをドライバ要求エンジントルクTedに変化させて、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを同期させるように制御する。本実施形態では、クラッチ制御部83は、式(11)を満たすように制御する(ステップS23)。

0088

なお、ω・ec(式(11)では、ωの上に1つのドット(・)、明細書では便宜的にこの様に表記する)は、予め設定されたエンジン回転角速度の目標値を示しており、図6(A)に示すエンジン回転数ωeの低下速度に相当する値となっている。このように、許容トルクTcを一時的に増加させるので、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを迅速に同期させることができる。ここで、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとを同期するためには、例えば、エンジン10のトルクを制御することも考えられるが、本実施形態では、エンジン10のトルク制御よりも応答遅れが少ない変速クラッチ20の許容トルクTcを制御するようにしているので、タービン回転数ωtと、インプットシャフト回転数ωcとをより早期に同期させることができるとともに、その際のショックの発生を効果的に低減することができる。

0089

以上説明したように、変形例に係る制御装置2によると、クラッチ制御部83が、ロックアップクラッチ15の締結が完全に行われた後において、変速クラッチ20の許容トルクTcを一時的に増加させ、その後、許容トルクTcをドライバ要求エンジントルクTedに変化させて、タービン回転数ωtと変速機構30のインプットシャフト回転数ωcとを同期させるように制御するようにしたので、ロックアップクラッチ15のロックアップを伴う駆動力の伝達経路の確立を迅速に行うことができる。

0090

なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。

0091

例えば、上記実施形態では、目標クラッチトルクTFLUは、ドライバ要求エンジントルクTedよりも低いトルクとなっていたが、本発明はこれに限られず、ドライバ要求エンジントルクTedと同じトルクであってもよい。

0092

また、上記実施形態では、駆動源としてエンジン10を例にあげていたが、本発明はこれに限られず、例えば、駆動源を電気モータとしてもよく、また、駆動源をエンジンと電気モータとを組み合わせたものとしてもよい。

0093

1変速機
2制御装置
10エンジン
11出力軸
12トルクコンバータ
13インペラ
14タービン
15ロックアップクラッチ
15Aピストン
16 第1油圧室
17 第2油圧室
19入力軸
20変速クラッチ
30変速機構
70 エンジンECU
71エンジン制御部
80 変速機ECU
81統括制御部
82トルコン制御部
83クラッチ制御部
84変速制御部
85 トルコン用作動油調整部
86クラッチ用作動油調整部
87変速調整部
92エンジン回転数センサ
93タービン回転数センサ
94インプットシャフト回転数センサ
95車速センサ
96アクセル開度センサ
97 シフトポジションセンサ

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