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課題
解決手段
概要
背景
液晶ポリマーは、機械特性、成形性、耐薬品性、ガス遮断性、耐湿性、電気特性などに優れるため、多種多様な分野の部品に用いられている。特に、耐熱性、薄肉成形性に優れることから、精密機器等の電子部品への使用が拡大しつつある。
一方、液晶ポリマーの成形品は、超音波洗浄や他部材との摺動によって、樹脂表面が剥離し、毛羽立つ現象(以下、「フィブリル化」と称する)が生じることが知られている。
精密機器、特にレンズがあるような光学機器の場合、わずかなゴミや埃が機器性能に影響を与える。例えば、カメラモジュールのような光学機器に用いられる部品においては、小さなゴミ、油分、埃などがレンズに付着すると、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させる原因となる。
このような光学特性の低下を防ぐ目的で、通常、カメラモジュールを構成する部品は、組み立て前に超音波洗浄され、表面に付着している小さなゴミや埃等が除去される。
しかしながら、上述したように超音波洗浄によって、液晶ポリマー成形品表面のフィブリル化によって生じる粉が、カメラモジュール組立時およびカメラ使用時に異物となり、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させるという問題があった。
フィブリル化を抑える方法として、疎水性シリカ等の無機粒子を樹脂に添加することが知られている。しかし、シリカ等の無機粒子は樹脂との吸着力が弱く、ブリードアウトするという問題があった。ブリードアウトした微粒子は、ごく微小かつ微量であっても、カメラモジュールの光学特性を低下させる異物となり得る。
また、粒子径1μm以下の硫酸バリウムを含有させることにより、フィブリル化が抑制された液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、この樹脂組成物は5〜40容量部もの大量の硫酸バリウムを含有させるものであり、やはり硫酸バリウムがブリードアウトするという問題が避けられないものであった。
したがって、ブリードアウトする物質を含有させることなく、樹脂自体がフィブリル化抑制効果を有する液晶ポリマーが求められていた。
概要
疎水性シリカや硫酸バリウム等のブリードアウトする物質を含まずとも、樹脂自体にフィブリル化を抑制する効果を有する液晶ポリマーを提供すること。式(I)で表される芳香族カルボン酸およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とから構成される共重合体である液晶ポリマー。なし
目的
本発明は、疎水性シリカや硫酸バリウム等のブリードアウトする物質を含まずとも、樹脂自体にフィブリル化を抑制する効果を有する液晶ポリマーを提供する
効果
実績
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請求項1
式(I)で表される芳香族カルボン酸およびその反応性誘導体からなる群から選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とから構成される共重合体である、液晶ポリマー。(R1およびR2は、同一または異なって、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を示す。)
請求項2
請求項3
重合性単量体(A)の合計量が、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して0.01〜10モル部である、請求項1または2に記載の液晶ポリマー。
請求項4
他の重合性単量体(B)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー。
請求項5
他の重合性単量体(B)が芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマー。
請求項6
他の重合性単量体(B)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリマー。
請求項7
請求項8
他の重合性単量体(B)が、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールである、請求項1〜7のいずれかに記載の液晶ポリマー。
請求項9
芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項4、6または8に記載の液晶ポリマー。
請求項10
芳香族ジオールが、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンおよびビスフェノールAからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項4、6または8に記載の液晶ポリマー。
請求項11
請求項12
請求項1〜10のいずれかに記載の液晶ポリマーまたは請求項11に記載の液晶ポリマー組成物から構成される、成形品。
請求項13
成形品が電子部品である、請求項12に記載の成形品。
請求項14
請求項15
電子部品が超音波洗浄を必要とする電子部品である、請求項13または14に記載の成形品。
請求項16
電子部品が摺動部材用電子部品である、請求項13または14に記載の成形品。
請求項17
電子部品がカメラモジュールを構成する部品である、請求項13〜16のいずれかに記載の成形品。
技術分野
背景技術
0002
液晶ポリマーは、機械特性、成形性、耐薬品性、ガス遮断性、耐湿性、電気特性などに優れるため、多種多様な分野の部品に用いられている。特に、耐熱性、薄肉成形性に優れることから、精密機器等の電子部品への使用が拡大しつつある。
0004
精密機器、特にレンズがあるような光学機器の場合、わずかなゴミや埃が機器性能に影響を与える。例えば、カメラモジュールのような光学機器に用いられる部品においては、小さなゴミ、油分、埃などがレンズに付着すると、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させる原因となる。
0005
このような光学特性の低下を防ぐ目的で、通常、カメラモジュールを構成する部品は、組み立て前に超音波洗浄され、表面に付着している小さなゴミや埃等が除去される。
0006
しかしながら、上述したように超音波洗浄によって、液晶ポリマー成形品表面のフィブリル化によって生じる粉が、カメラモジュール組立時およびカメラ使用時に異物となり、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させるという問題があった。
0007
フィブリル化を抑える方法として、疎水性シリカ等の無機粒子を樹脂に添加することが知られている。しかし、シリカ等の無機粒子は樹脂との吸着力が弱く、ブリードアウトするという問題があった。ブリードアウトした微粒子は、ごく微小かつ微量であっても、カメラモジュールの光学特性を低下させる異物となり得る。
0008
また、粒子径1μm以下の硫酸バリウムを含有させることにより、フィブリル化が抑制された液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、この樹脂組成物は5〜40容量部もの大量の硫酸バリウムを含有させるものであり、やはり硫酸バリウムがブリードアウトするという問題が避けられないものであった。
先行技術
0010
特許第5695389号公報
発明が解決しようとする課題
0011
本発明は、疎水性シリカや硫酸バリウム等のブリードアウトする物質を含まずとも、樹脂自体にフィブリル化を抑制する効果を有する液晶ポリマーを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0012
本発明者らは、液晶ポリマー成形品のフィブリル化抑制について鋭意検討した結果、3,5−置換芳香族カルボン酸を他の重合性単量体と共重合させることによって、フィブリル化が抑制された液晶ポリマーが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
0013
すなわち、本発明は、式(I)で表される芳香族カルボン酸(以下、3,5−置換芳香族カルボン酸ともいう)およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とから構成される共重合体である液晶ポリマー、つまり上記重合性単量体(A)と他の重合性単量体(B)とを重合させて成る液晶ポリマーを提供する。
(R1およびR2は、同一または異なって、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を示す。)
発明の効果
0014
本発明の液晶ポリマーは、成形品表面のフィブリル化が抑制されるという効果を有するため、超音波洗浄を必要とする部品や、他の部材との摺動を伴う摺動部材などの電子部品の成形用樹脂として好適に用いることができる。
図面の簡単な説明
0015
実施例1で得られた液晶ポリマーのフィブリル化評価前の試験片表面のマイクロスコープ図である。
実施例1で得られた液晶ポリマーのフィブリル化評価後の試験片表面のマイクロスコープ図である。
比較例1で得られた液晶ポリマーのフィブリル化評価前の試験片表面のマイクロスコープ図である。
比較例1で得られた液晶ポリマーのフィブリル化評価後の試験片表面のマイクロスコープ図である。
0016
本発明の液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当該技術分野においてサーモトロピック液晶ポリエステル又はサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に限定されない。
0017
本明細書において、重合性単量体の「反応性誘導体」とは、目的とする構成単位を導入できる反応性を有する単量体の誘導体を言うものとする。本発明において用い得る好適な3,5−置換芳香族カルボン酸の反応性誘導体としては、3,5−置換芳香族カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、アシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体、ならびにこれら置換体のアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が例示される。置換基としてのアルキル基またはアルコキシ基としては、炭素数6までのものが好適に用いられる。3,5−置換芳香族カルボン酸、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)として、1種のみの化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
0018
本明細書において、「芳香族」とは縮合環数が4までの芳香族基を含む化合物を意味するものとする。また、「脂肪族」とは、炭素原子数2〜12の、分岐を有していてもよい飽和または不飽和炭素鎖を含む化合物を示すものとする。
0019
本発明の液晶ポリマーに用いる、3,5−置換芳香族カルボン酸としては、式(II)で表される5−ヒドロキシイソフタル酸、式(III)で表されるα−レゾルシン酸および式(IV)で表されるトリメシン酸が挙げられ、液晶ポリマーのフィブリル化抑制能に優れる点で、5−ヒドロキシイソフタル酸またはα−レゾルシン酸が好ましく、特に5−ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
0020
本発明の液晶ポリマーに用いる、3,5−置換芳香族カルボン酸、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)の合計量は、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して、0.01〜10モル部であることが好ましく、0.1〜5モル部であることがより好ましく、1.0〜3モル部であることがさらに好ましい。重合性単量体(A)の合計量が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して10モル部を超えると、生成するポリマーがゲル化しやすくなり、液晶性が損なわれる傾向がある。重合性単量体(A)の合計量が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して0.01モル部未満であると、生成するポリマーのフィブリル化が抑制されない傾向がある。
0021
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)としては、従来の液晶ポリマーに用いられる単量体、例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これら化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ヒドロキシ基またはアミノ基を有する単量体を少なくとも1種用いることが望ましい。
0022
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)として、前記化合物の1種以上が結合してなるオリゴマーを、3,5−置換芳香族カルボン酸およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)との共重合に供してもよい。なお、本明細書および特許請求の範囲における、他の重合性単量体(B)の量については、「重合性単量体」をオリゴマーとして用いる場合であっても、当該オリゴマーを構成する単量体ユニット毎にカウントするものとする。
0023
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸および4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度ならびに結晶融解温度を調節し易いという観点から、4−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選択される1種以上の化合物が好ましい。
0024
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニルおよび4,4’’−ジカルボキシターフェニル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、得られる液晶ポリマーの耐熱性を効果的に高められる観点から、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物が好ましく、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物がより好ましい。
0025
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテルおよびビスフェノールA、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、重合時の反応性に優れる観点から、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンおよびビスフェノールAからなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく、ハイドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなる群から選択される1種以上の化合物がより好ましい。
0026
芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸および6−アミノ−2−ナフトエ酸、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
0027
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’−ジアミノビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度のバランスをとりやすい観点から、4−アミノフェノールが好ましい。
0028
芳香族ジアミンの具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレンおよび1,8−ジアミノナフタレン、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
0029
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオール、およびこれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオールを含有するポリマーを、前記の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させてもよい。
0030
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸およびヘキサヒドロテレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、重合時の反応性に優れる観点から、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸が好ましい。
0031
本発明の液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、他の重合性単量体(B)の合計量に対して10モル%以下であるのが好ましい。
0032
他の重合性単量体(B)として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物を併用することは、本発明の好ましい態様の一つである。
0033
これら重合性単量体のうち、芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む組合せがより好適に用いられ、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む組合せがさらに好適に用いられる。
0034
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)の具体例としては、例えば下記の組み合わせからなるものが挙げられる:
1)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
2)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
3)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
4)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン
5)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
6)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
7)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
8)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
9)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
10)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
11)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
12)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
13)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
14)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
15)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’−ジヒドロキシビフェニル
16)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
17)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
18)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
19)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル /4−アミノフェノール
20)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール
21)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール
22)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール
23)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール
24)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル。
0035
これらの中でも、1)、9)、10)または14)のモノマー構成単位からなる液晶ポリマーが好ましい。
0036
以下、本発明の液晶ポリマーの製造方法について説明する。
0037
本発明の液晶ポリマーは、上記3,5−置換芳香族カルボン酸およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とを重合させて成る液晶ポリマーである。
0038
本発明の液晶ポリマーを製造する方法に特に制限はなく、3,5−置換芳香族カルボン酸およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)を、エステル結合またはアミド結合を形成させる公知の縮重合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などに供することにより本発明の液晶ポリマーを得ることができる。
0039
溶融アシドリシス法は、本発明の液晶ポリマーを製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで縮重合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
0041
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)は、いずれも、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。
0044
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、重合反応は、温度150〜400℃、好ましくは250〜370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
0045
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン;三酸化アンチモン;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
0046
触媒を使用する場合、該触媒の量は他の重合性単量体(B)全量に対し、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは2〜100ppmである。
0047
また、本発明の液晶ポリマーの溶融粘度は、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度1000s−1の条件で測定した場合、好ましくは1〜1000Pa・s、より好ましくは5〜300Pa・sである。
0049
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリマーは、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下、真空下、または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態で熱処理を行ってもよい。
0050
上記のようにして得られた、本発明の液晶ポリマーには、無機または有機充填材、以下に説明する他の添加剤、および他の樹脂成分から選択される一種以上を配合して、液晶ポリマー組成物としてもよい。液晶ポリマー組成物の例としては、本発明の液晶ポリマーと無機または有機充填材とを含む電子部品用液晶ポリマー組成物等が挙げられる。
0051
本発明の液晶ポリマーに配合してもよい無機または有機充填材は、繊維状、板状または粒状のものであってよく、たとえばガラス繊維、ミルドガラス、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、ウォラストナイト、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、および酸化チタンが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。これらの充填材は、2種以上を併用してもよい。
0052
本発明の液晶ポリマー組成物における、無機または有機充填材の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。前記の無機または有機充填材の含有量が液晶ポリマー100重量部に対して200重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
0053
本発明の液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜25のものをいう)、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料、カーボンブラックなどの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などを配合しても良い。これらの添加剤は1種のみを配合してもよく、または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
0054
本発明の液晶ポリマー組成物における他の添加剤の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。他の添加剤の合計量が液晶ポリマー100重量部に対して10重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、熱安定性が悪くなる傾向がある。
0055
また、本発明の液晶ポリマーもしくは液晶ポリマー組成物を成形するに際し、上記他の添加剤のうち高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有する添加剤を、予め、液晶ポリマーのペレット表面に付着せしめてもよい。
0056
本発明の液晶ポリマーには、他の樹脂成分を添加してもよい。他の樹脂成分としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。他の樹脂成分の含有量は特に限定的ではなく、液晶ポリマーの用途や目的に応じて適宜定めればよい。一つの典型的な例において、他の樹脂成分の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して0.1〜100重量部、特に0.1〜80重量部である。
0057
本発明の液晶ポリマー組成物は、無機または有機充填剤、他の添加剤および他の樹脂成分等を液晶ポリマー中に添加し、これをバンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍から結晶融解温度プラス100℃までの温度範囲で溶融混練して得ることができる。
0059
本発明の液晶ポリマーはフィブリル化が抑制されるため、精密機器等の電子部品として好適に使用される。
このような電子部品としては、コネクタ、スイッチ、リレー、コンデンサ、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナおよびチップアンテナからなる群から選択されるものを構成する部品が挙げられる。
特に、超音波洗浄を必要とする電子部品、例えばカメラモジュールや、他の部材との摺動を伴う摺動部材用電子部品、例えばコネクタ、スイッチ、リレー、カメラモジュールからなる群から選択されるものを構成する部品として好適に使用される。
0060
これらの中でも、本発明の液晶ポリマーは、成形品表面のフィブリル化に起因する光学特性の低下を阻止することから、カメラモジュールの部品として特に好適に使用される。カメラモジュールの部品としては、レンズバレル部(レンズが載る部分)、マウントホルダー部(バレルを装着し、基板に固定する部分)、CMOS(イメージセンサー)の枠、シャッター、シャッタープレート、シャッターボビン部、絞りのリング、ストッパー(レンズを押さえる部分)などが挙げられる。
0061
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値は以下の方法によって測定した。
0062
〈溶融粘度〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、せん断速度1000s−1の条件で溶融粘度を測定した。実施例1〜6および比較例1〜3は350℃で測定し、実施例7および比較例4は320℃で測定した。
0063
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000)を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持した。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とした。
0064
〈曲げ強度、曲げ弾性率〉
型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業(株)製MINIMAT M26/15)を用いて結晶融解温度+20〜40℃のシリンダー温度、金型温度70℃で射出成形し、短冊状曲げ試験片(長さ65mm×幅12.7mm×厚さ2.0mm)を作製した。曲げ試験は、3点曲げ試験をINSTRON5567(インストロンジャパンカンパニイリミティッド社製万能試験機)を用いて、スパン間距離40.0mm、圧縮速度1.3mm/minで行った。
0065
〈フィブリル化の評価〉
型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業(株)製MINIMAT M26/15)を用いて結晶融解温度+20〜40℃のシリンダー温度、金型温度70℃で射出成形し、ダンベル状引張試験片(長さ63.5mm×幅3.5mm×厚さ2.0mm)を作製した。試験片の表面を、JIS S 6050に規定の消しゴムでMD方向に30往復擦り、目視および、マイクロスコープ(キーエンス社製VHX−2000)による表面状態の確認によって、フィブリルの有無を確認した。
フィブリル化が確認されなければ○、確認されれば×とした。
0066
実施例1
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜150℃の間を1時間かけて昇温し、150℃で30分保った後、340℃まで7時間かけて昇温し、さらに340℃で10分間反応させた後、340℃で減圧を行った。次いで80分かけて10torrまで減圧した後、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。重合中の留去酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。
4−ヒドロキシ安息香酸:628g(70モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:24g(2モル部)
ハイドロキノン:100g(14モル部)
2,6−ナフタレンジカルボン酸:196g(14モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:11g(1モル部)
無水酢酸:675g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して101モル部)
得られたペレットを成形し、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。また、フィブリル化評価前および評価後の試験片表面のマイクロスコープ図をそれぞれ、図1および図2に示した。
0067
実施例2
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:628g(70モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:24g(2モル部)
ハイドロキノン:100.2g(14モル部)
2,6−ナフタレンジカルボン酸:196g(14モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:35g(3モル部)
無水酢酸:689g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して101モル部)
0068
実施例3
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:628g(70モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:24g(2モル部)
ハイドロキノン:100g(14モル部)
2,6−ナフタレンジカルボン酸:196g(14モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:59g(5モル部)
無水酢酸:702g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して101モル部)
0069
実施例4
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:628g(70モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:24g(2モル部)
ハイドロキノン:100g(14モル部)
2,6−ナフタレンジカルボン酸:196g(14モル部)
α−レゾルシン酸:10.0g(1モル部)
無水酢酸:683g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して101モル部)
0070
比較例1
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。また、フィブリル化評価前および評価後の試験片表面のマイクロスコープ図をそれぞれ、図3および図4に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:628g(70モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:24g(2モル部)
ハイドロキノン:100g(14モル部)
2,6−ナフタレンジカルボン酸:196g(14モル部)
無水酢酸:669g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して101モル部)
0071
0072
実施例5
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜150℃の間を1時間かけて昇温し、150℃で30分間保った後、350℃まで7.5時間かけて昇温し、さらに350℃で10分間反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて5torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。
4−ヒドロキシ安息香酸:314g(35モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:61g(5モル部)
ハイドロキノン:121g(17モル部)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル:157g(13モル部)
テレフタル酸:323g(30モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:12g(1モル部)
無水酢酸:689g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して103モル部)
0073
得られたペレットを成形し、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表2に示した。
0074
比較例2
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例5と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表2に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:314g(35モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:61g(5モル部)
ハイドロキノン:121g(17モル部)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル:157g(13モル部)
テレフタル酸:323g(30モル部)
無水酢酸:682g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して103モル部)
0075
0076
実施例6
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜150℃の間を1時間かけて昇温し、150℃で30分間保った後、350℃まで7.5時間かけて昇温し、さらに350℃で10分間反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで2時間かけて10torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。
4−ヒドロキシ安息香酸:385g(43モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:192g(16モル部)
ハイドロキノン:148g(20.5モル部)
テレフタル酸:223g(20.5モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:35g(3モル部)
無水酢酸:696g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して102モル部)
0077
得られたペレットを成形し、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表3に示した。
0078
比較例3
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例6と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表3に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:385g(43モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:192g(16モル部)
ハイドロキノン:223g(20.5モル部)
テレフタル酸:148g(20.5モル部)
無水酢酸:677g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して102モル部)
0079
0080
実施例7
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜150℃の間を1時間かけて昇温し、150℃で30分間保った後、350℃まで7.5時間かけて昇温し、さらに350℃で10分間反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて10torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。
4−ヒドロキシ安息香酸:655g(73モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:330g(27モル部)
5−ヒドロキシイソフタル酸:35g(3モル部)
無水酢酸:696g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して102モル部)
0081
得られたペレットを成形し、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表4に示した。
0082
比較例4
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例7と同様の手順で重縮合、成形を行い、曲げ強度、曲げ弾性率ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表4に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:655g(73モル部)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:330g(27モル部)
無水酢酸:677g(全モノマーのヒドロキシ基100モル部に対して102モル部)
0083
実施例
0084
表1〜4に示される通り、3,5−置換芳香族カルボン酸をモノマー成分として用いた実施例1〜4、実施例5、実施例6および実施例7の液晶ポリマーはそれぞれ、3,5−置換芳香族カルボン酸をモノマー成分として用いなかった比較例1、比較例2、比較例3および比較例4の液晶ポリマーと比べてフィブリル化が抑制されると共に、電子部品等の成形品に用いるために十分な溶融粘度、結晶融解温度、曲げ強度、曲げ弾性率を有することが分かる。