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技術 鉄道車両用ヨーダンパ装置

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 山崎陽介水野将明
出願日 2016年7月19日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-141833
公開日 2018年1月25日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-012373
状態 特許登録済
技術分野 鉄道車両懸架装置、車輪装置 流体減衰装置
主要キーワード 上下軸周り 均衡速度 回転抵抗力 マルチボディ 曲線軌道 アタック角 蛇行動 つりあい
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

鉄道車両曲線軌道緩和曲線区間走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供する。

解決手段

本発明に係るヨーダンパ装置100は、車体3と1対の台車4のそれぞれとの間に取り付けられたヨーダンパ1と、ヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数と該第1減衰係数よりも小さく且つ0ではない第2減衰係数との間で切り替え制御する制御手段2とを備える。制御手段は、鉄道車両が入口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする。鉄道車両が出口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする。

概要

背景

従来、鉄道車両には、直線軌道高速走行する際の台車蛇行動を抑制するためにヨーダンパが用いられる場合がある。ヨーダンパは、鉄道車両の左右において車体と台車との間に取付けられ、軌道不整レール継ぎ目などの軌道からの加振によって発生するヨーイング(台車が車体に対して上下軸周り回転振動する現象)を速やかに減衰させるために用いられている。このため、ヨーダンパの減衰力減衰係数)は大きい方が高速走行の安定性の観点からは有効である。なお、一般に、ヨーダンパの減衰力は、車体と台車との速度差にヨーダンパの減衰係数を乗算して得られる。

一方、車庫及びそれに付帯する線区又は地下鉄路線等においては曲線半径の小さな曲線軌道が設置されていることが多く、このような曲線軌道を走行する場合には車体と台車との間には上下軸周りに相対的な回転変位が生じる。この際、車体と台車との間の相対的な回転角度は、走行する曲線軌道の曲線半径に応じて幾何学的に決まる角度となるのが望ましい。すなわち、車輪がレールの接線方向を向いて、いわゆるアタック角輪軸が進行する向きと軌道の向きとの相対的な角度差)が0度となるまで台車が回転するのが、曲線軌道の走行性能上は最適な状態である。

しかしながら、実際には、車輪とレールとの間の摩擦力に起因して生じる接線力(車輪とレールとの間に作用する前後方向のクリープ力)と、空気ばね回転抵抗及びヨーダンパの回転抵抗とのつりあい位置までしか台車は回転しない。すなわち、アタック角は0度にはならない。特に、直線区間円曲線区間とを繋ぐ緩和曲線区間を鉄道車両が走行する際に、輪軸のアタック角が大きくなることで横圧が大きくなるのに加えて、軌道のねじれに伴い輪重が抜けやすいため、例えば乗り上がり脱線が生じる危険性が増すことが知られている。

上記のような問題を解決するため、例えば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置が提案されている。
特許文献1に記載のヨーダンパ装置は、直線軌道における高速走行の安定性と小曲線軌道の走行性能という相反する2つの問題を解決するために、ヨーダンパの減衰力を可変とし、高速走行時にはヨーダンパの減衰力を大きくし(有効にし)、小曲線軌道の走行時には減衰力を開放する(無効にする)ものである(例えば、特許文献1の段落0013)。
より具体的には、特許文献1に記載のヨーダンパ装置においては、鉄道車両が緩和曲線区間(入口側緩和曲線区間)に進入する際に、制御装置がヨーダンパに取り付けられた電磁弁に信号を与え、ヨーダンパの減衰力を開放する。一方、鉄道車両が緩和曲線区間(出口側緩和曲線区間)を脱出する際に、制御装置がヨーダンパに取り付けられた電磁弁に信号を与え、ヨーダンパの減衰力を回復させている(例えば、特許文献1の段落0016)。
換言すれば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置においては、入口側緩和曲線区間、円曲線区間及び出口側緩和曲線区間ではヨーダンパの減衰力を無効にし、それ以外の直線区間ではヨーダンパの減衰力を有効にしているといえる。

特許文献1に記載のヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が直線区間を走行する際にはヨーダンパの減衰力が有効であるため、高速走行の安定性を確保できる。また、特許文献1に記載のヨーダンパ装置のように、鉄道車両が円曲線区間を走行する際にヨーダンパの減衰力を無効にすることで、ヨーダンパの回転抵抗が無くなり、ヨーダンパの減衰力を有効にする場合よりも輪軸のアタック角を小さくできるので、円曲線区間で車輪に生じ得る横圧を低減可能であると考えられる。
しかしながら、本発明者らが見出した知見によれば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置のように、鉄道車両が緩和曲線区間を走行する際にヨーダンパの減衰力を無効にしても、緩和曲線区間で車輪に生じる横圧は必ずしも十分に低減するわけではない。このため、乗り上がり脱線が生じる危険性を排除できないという問題がある。

概要

鉄道車両が曲線軌道の緩和曲線区間を走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供する。本発明に係るヨーダンパ装置100は、車体3と1対の台車4のそれぞれとの間に取り付けられたヨーダンパ1と、ヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数と該第1減衰係数よりも小さく且つ0ではない第2減衰係数との間で切り替え制御する制御手段2とを備える。制御手段は、鉄道車両が入口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする。鉄道車両が出口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする。

目的

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、鉄道車両が曲線軌道の緩和曲線区間を走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

車体と、該車体に連結された前後1対の台車とを具備する鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置であって、前記車体と前記1対の台車のそれぞれとの間に取り付けられたヨーダンパと、前記ヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数と該第1減衰係数よりも小さく且つ0より大きい第2減衰係数との間で切り替え制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記鉄道車両が曲線軌道の入口側緩和曲線区間走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にする一方、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にし、前記鉄道車両が曲線軌道の出口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にする一方、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にする、ことを特徴とする鉄道車両用ヨーダンパ装置

請求項2

前記制御手段は、前記鉄道車両が曲線軌道の円曲線区間を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にすると共に、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数も前記第2減衰係数にする、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ヨーダンパ装置。

請求項3

前記制御手段は、前記鉄道車両が直線軌道を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にすると共に、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数も前記第1減衰係数にする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用ヨーダンパ装置。

請求項4

前記ヨーダンパは、ピストンと、該ピストンが内部を移動するシリンダとを具備し、前記シリンダの内部は、前記ピストンの先端部によって第1室及び第2室に区画され、前記ピストンの先端部には、前記第1室と前記第2室とを連通させ、開度調整可能なオリフィスが設けられており、前記制御手段は、前記オリフィスの開度を調整することにより、前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数と前記第2減衰係数との間で切り替え制御する、ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の鉄道車両用ヨーダンパ装置。

技術分野

0001

本発明は、鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置に関する。

背景技術

0002

従来、鉄道車両には、直線軌道高速走行する際の台車蛇行動を抑制するためにヨーダンパが用いられる場合がある。ヨーダンパは、鉄道車両の左右において車体と台車との間に取付けられ、軌道不整レール継ぎ目などの軌道からの加振によって発生するヨーイング(台車が車体に対して上下軸周り回転振動する現象)を速やかに減衰させるために用いられている。このため、ヨーダンパの減衰力減衰係数)は大きい方が高速走行の安定性の観点からは有効である。なお、一般に、ヨーダンパの減衰力は、車体と台車との速度差にヨーダンパの減衰係数を乗算して得られる。

0003

一方、車庫及びそれに付帯する線区又は地下鉄路線等においては曲線半径の小さな曲線軌道が設置されていることが多く、このような曲線軌道を走行する場合には車体と台車との間には上下軸周りに相対的な回転変位が生じる。この際、車体と台車との間の相対的な回転角度は、走行する曲線軌道の曲線半径に応じて幾何学的に決まる角度となるのが望ましい。すなわち、車輪がレールの接線方向を向いて、いわゆるアタック角輪軸が進行する向きと軌道の向きとの相対的な角度差)が0度となるまで台車が回転するのが、曲線軌道の走行性能上は最適な状態である。

0004

しかしながら、実際には、車輪とレールとの間の摩擦力に起因して生じる接線力(車輪とレールとの間に作用する前後方向のクリープ力)と、空気ばね回転抵抗及びヨーダンパの回転抵抗とのつりあい位置までしか台車は回転しない。すなわち、アタック角は0度にはならない。特に、直線区間円曲線区間とを繋ぐ緩和曲線区間を鉄道車両が走行する際に、輪軸のアタック角が大きくなることで横圧が大きくなるのに加えて、軌道のねじれに伴い輪重が抜けやすいため、例えば乗り上がり脱線が生じる危険性が増すことが知られている。

0005

上記のような問題を解決するため、例えば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置が提案されている。
特許文献1に記載のヨーダンパ装置は、直線軌道における高速走行の安定性と小曲線軌道の走行性能という相反する2つの問題を解決するために、ヨーダンパの減衰力を可変とし、高速走行時にはヨーダンパの減衰力を大きくし(有効にし)、小曲線軌道の走行時には減衰力を開放する(無効にする)ものである(例えば、特許文献1の段落0013)。
より具体的には、特許文献1に記載のヨーダンパ装置においては、鉄道車両が緩和曲線区間(入口側緩和曲線区間)に進入する際に、制御装置がヨーダンパに取り付けられた電磁弁に信号を与え、ヨーダンパの減衰力を開放する。一方、鉄道車両が緩和曲線区間(出口側緩和曲線区間)を脱出する際に、制御装置がヨーダンパに取り付けられた電磁弁に信号を与え、ヨーダンパの減衰力を回復させている(例えば、特許文献1の段落0016)。
換言すれば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置においては、入口側緩和曲線区間、円曲線区間及び出口側緩和曲線区間ではヨーダンパの減衰力を無効にし、それ以外の直線区間ではヨーダンパの減衰力を有効にしているといえる。

0006

特許文献1に記載のヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が直線区間を走行する際にはヨーダンパの減衰力が有効であるため、高速走行の安定性を確保できる。また、特許文献1に記載のヨーダンパ装置のように、鉄道車両が円曲線区間を走行する際にヨーダンパの減衰力を無効にすることで、ヨーダンパの回転抵抗が無くなり、ヨーダンパの減衰力を有効にする場合よりも輪軸のアタック角を小さくできるので、円曲線区間で車輪に生じ得る横圧を低減可能であると考えられる。
しかしながら、本発明者らが見出した知見によれば、特許文献1に記載のヨーダンパ装置のように、鉄道車両が緩和曲線区間を走行する際にヨーダンパの減衰力を無効にしても、緩和曲線区間で車輪に生じる横圧は必ずしも十分に低減するわけではない。このため、乗り上がり脱線が生じる危険性を排除できないという問題がある。

先行技術

0007

特開2006−282059号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、鉄道車両が曲線軌道の緩和曲線区間を走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するため、本発明者らは、車体と、車体に連結された前後一対の台車とを具備する鉄道車両において、車体と1対の台車のそれぞれとの間にヨーダンパが取り付けられている場合を想定し、この鉄道車両が、入口側直線区間、入口側緩和曲線区間、円曲線区間、出口側緩和曲線区間及び出口側直線区間からなる軌道を走行する際の運動解析を行って鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)鉄道車両が入口緩和曲線区間を走行する際に、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力を無効又は小さくした場合(ヨーダンパの減衰係数を0又は小さくした場合)、後側の台車の向き(後側の台車が具備する車輪が進行する向き)が軌道の向き(レールの接線方向)に沿わない状態となるため、後側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧が低減しない。この横圧を低減するには、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力(減衰係数)を直線区間を走行する場合と同じように大きくして、後側の台車の向きが軌道の向きに沿うような向きのモーメントを後側の台車に与えてやればよい。一方、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力(減衰係数)は小さいままでよい。
(2)鉄道車両が出口緩和曲線区間を走行する際に、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力を無効又は小さくした場合(ヨーダンパの減衰係数を0又は小さくした場合)、前側の台車の向き(前側の台車が具備する車輪が進行する向き)が軌道の向き(レールの接線方向)に沿わない状態となるため、前側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧が低減しない。この横圧を低減するには、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力(減衰係数)を直線区間を走行する場合と同じように大きくして、前側の台車の向きが軌道の向きに沿うような向きのモーメントを前側の台車に与えてやればよい。一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰力(減衰係数)は小さいままでよい。

0010

本発明は、上記の本発明者らの知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、車体と、該車体に連結された前後1対の台車とを具備する鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置であって、前記車体と前記1対の台車のそれぞれとの間に取り付けられたヨーダンパと、前記ヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数と該第1減衰係数よりも小さく且つ0より大きい第2減衰係数との間で切り替え制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記鉄道車両が曲線軌道の入口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にする一方、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にし、前記鉄道車両が曲線軌道の出口側緩和曲線区間を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にする一方、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にする、ことを特徴とする鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供する。

0011

本発明に係るヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が曲線軌道の入口側緩和曲線区間を走行する際には、制御手段が、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする。第1減衰係数は通常の減衰係数(直線軌道における台車の蛇行動を抑制するために作用させる減衰力を発生させるための減衰係数と同じ減衰係数であり、例えば、ヨーダンパが有する最大減衰係数)にすることができ、第2減衰係数は第1減衰係数よりも小さな減衰係数(ただし、0より大きい)である。すなわち、後側の台車には第1減衰係数によって発生する大きな減衰力が作用するため、後側の台車の向きが軌道の向きに沿うような向きのモーメントが後側の台車に与えられる結果、後側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧が低減する。
また、鉄道車両が曲線軌道の出口側緩和曲線区間を走行する際には、制御手段が、前側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数にする一方、後側の台車に取り付けられたヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数にする。すなわち、前側の台車には第1減衰係数によって発生する大きな減衰力が作用するため、前側の台車の向きが軌道の向きに沿うような向きのモーメントが前側の台車に与えられる結果、前側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧が低減する。
以上のように、本発明に係るヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が曲線軌道の緩和曲線区間を走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能であるため、曲線軌道の走行性能を向上させることが可能である。
なお、ヨーダンパの減衰係数を第2減衰係数に切り替えた場合における当該ヨーダンパの回転抵抗を小さくするには、第1減衰係数に対して第2減衰係数をできるだけ小さくすることが好ましい。具体的には、第1減衰係数を基準値である1とした場合に、第2減衰係数はその3割の大きさである0.3以下に設定することが好ましく、0.2以下に設定することがより好ましく、0.1以下に設定することが最も好ましい。

0012

好ましくは、前記制御手段は、前記鉄道車両が曲線軌道の円曲線区間を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第2減衰係数にすると共に、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数も前記第2減衰係数にする。

0013

上記の好ましい構成によれば、鉄道車両が曲線軌道の円曲線区間を走行する際には、制御手段が、前側及び後側の台車にそれぞれ取り付けられたヨーダンパの減衰係数を双方共に小さな第2減衰係数にするため、前側及び後側の台車の双方に第2減衰係数によって発生する小さな減衰力が作用することになる。このため、特許文献1に記載のヨーダンパ装置と同様に、1対の台車が具備する何れの車輪に生じ得る横圧も低減する。

0014

好ましくは、前記制御手段は、前記鉄道車両が直線軌道を走行する際には、前側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数にすると共に、後側の前記台車に取り付けられた前記ヨーダンパの減衰係数も前記第1減衰係数にする。

0015

上記の好ましい構成によれば、鉄道車両が直線軌道を走行する際には、前側及び後側の台車の双方に第1減衰係数によって発生する大きな減衰力が作用することになる。このため、大きな減衰力でヨーイングが減衰するため、鉄道車両の高速走行の安定性を確保することができる。

0016

本発明に係るヨーダンパ装置が備えるヨーダンパの減衰係数を第1減衰係数と第2減衰係数との間で切り替えるためは、開度調整可能なオリフィスが設けられたヨーダンパを採用することが好ましい。
すなわち、好ましくは、前記ヨーダンパは、ピストンと、該ピストンが内部を移動するシリンダとを具備し、前記シリンダの内部は、前記ピストンの先端部によって第1室及び第2室に区画され、前記ピストンの先端部には、前記第1室と前記第2室とを連通させ、開度調整可能なオリフィスが設けられており、前記制御手段は、前記オリフィスの開度を調整することにより、前記ヨーダンパの減衰係数を前記第1減衰係数と前記第2減衰係数との間で切り替え制御する。

0017

上記の好ましい構成によれば、比較的簡易な構成でヨーダンパの減衰係数を切り替え制御可能である。

発明の効果

0018

本発明に係るヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が曲線軌道の緩和曲線区間を走行する際に車輪に生じる横圧を低減可能であるため、曲線軌道の走行性能を向上させることが可能である。このため、鉄道車両に乗り上がり脱線が生じる危険性を排除することが可能である。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する模式図である。
本発明の一実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置が取り付けられた鉄道車両の車体及び台車と曲線軌道との位置関係を模式的に説明する模式図である。
従来技術1のヨーダンパ装置が取り付けられた鉄道車両の車体及び台車と曲線軌道との位置関係を模式的に説明する模式図である。
従来技術2のヨーダンパ装置が取り付けられた鉄道車両の車体及び台車と曲線軌道との位置関係を模式的に説明する模式図である。
鉄道車両が走行する軌道を構成する各区間における、本発明の一実施形態に係るヨーダンパ装置、従来技術1のヨーダンパ装置及び従来技術2のヨーダンパ装置のそれぞれが備えるヨーダンパの減衰係数の状態を纏めたものである。
運動解析によって横圧を評価する際に用いた軌道条件及び走行条件を示す。
本発明の一実施形態に係るヨーダンパ装置を用いた場合と、従来技術1のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧を対比した結果の一例を示す。
本発明の一実施形態に係るヨーダンパ装置を用いた場合と、従来技術2のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧(前側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧)を対比した結果の一例を示す。
本発明の一実施形態に係るヨーダンパ装置を用いた場合と、従来技術2のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧(後側の台車が具備する前側の輪軸の外軌側の車輪に生じる横圧)を対比した結果の一例を示す。

実施例

0020

以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。

0021

<本実施形態に係るヨーダンパ装置の構成及び動作>
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する模式図である。図1(a)は全体の概略構成を示す図であり、図1(b)はヨーダンパの概略構成を示す断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置(以下、適宜、単に「ヨーダンパ装置」という)100は、車体3と、車体3に連結された台車4とを具備する鉄道車両に用いられるものである。図1(a)では、便宜上、1台の台車4のみを図示しているが、実際には、車体3に前後(図1紙面の左右)1対の台車4が連結されている。
台車4は、前後1対の輪軸4a、4bと、台車枠4cと、車体3と台車枠4cとを連結し車体3を支持する空気ばね4dとを具備する。台車4が具備する上記の構成要素及びその他の構成要素は、周知慣用の台車と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
ヨーダンパ装置100は、車体3と1対の台車4(具体的には、台車枠4c)のそれぞれとの間に取り付けられたヨーダンパ1と、ヨーダンパ1の減衰係数を切り替え制御する制御手段2とを備えている。

0022

ヨーダンパ1は、各台車4の左右(図1の紙面の手前側及び奥側)にそれぞれ1つずつ取り付けられている。図1(b)に示すように、本実施形態のヨーダンパ1は、ピストン11と、ピストン11が内部を移動する(前後方向に移動する)シリンダ12とを具備する。シリンダ12の内部は、ピストン11の先端部(シリンダ12側の端部)によって第1室12a及び第2室12bに区画されており、第1室12a及び第2室12bにはそれぞれオイル等の粘性流体13が封入されている。ピストン11の先端部には、第1室12aと第2室12bとを連通させるオリフィス14が設けられている。ヨーダンパ1が図1(b)の上図に示す状態から収縮(ピストン11が第1室12a側に移動)して図1(b)の下図に示す状態に変化する過程において、第1室12a内の粘性流体13の圧力が上昇し、第1室12a内の粘性流体13は、オリフィス14を矢符13aの方向に通過して第2室12b内に移動する。この際、オリフィス14を通過する粘性流体13の粘性抵抗により、ピストン11には、粘性流体13の移動方向13aと同方向の抵抗力(減衰力)Fが付与される。逆に、ヨーダンパ1が伸長(ピストン11が第2室12b側に移動)する過程においては、ピストン11には、上記の抵抗力Fとは逆方向の抵抗力(減衰力)が付与されることになる。

0023

本実施形態のヨーダンパ1としては、減衰係数可変型のヨーダンパが用いられている。具体的には、ヨーダンパ1が具備するピストン11に設けられたオリフィス14が、開度が調整可能な可変オリフィス流量調整弁)になっており、オリフィス14の開度を調整することで減衰係数を調整し、ピストン11に付与される減衰力を調整可能である。すなわち、オリフィス14の開度を相対的に小さくすることで、オリフィス14を通過する粘性流体13の粘性抵抗が増加するため、減衰係数は相対的に大きくなり、ピストン11に付与される減衰力が相対的に大きくなる。一方、オリフィス14の開度を相対的に大きくすることで、オリフィス14を通過する粘性流体13の粘性抵抗が減少するため、減衰係数は相対的に小さくなり、ピストン11に付与される減衰力が相対的に小さくなる。

0024

制御手段2は、車体3に取り付けられたシーケンサ等から構成される。制御手段2は、ヨーダンパ1が具備するオリフィス14(流量調整弁)に対して制御信号を送信する。オリフィス14の開度は、制御手段2から受信した制御信号によって調整される。
本実施形態の制御手段2は、ヨーダンパ1の減衰係数を通常の減衰係数(直線軌道における台車4の蛇行動を抑制するために作用させる減衰力を発生させるための減衰係数と同じ減衰係数)である第1減衰係数と該第1減衰係数よりも小さく且つ0より大きい第2減衰係数との間で切り替え制御する。本実施形態では、オリフィス14の開度がその調整範囲最小値である場合に生じる減衰係数(すなわち、ヨーダンパ1が有する最大減衰係数)が第1減衰係数として設定され、オリフィス14の開度が最小値よりも大きな所定値である場合に付与される減衰係数が第2減衰係数として設定されている。そして、制御手段2は、ヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする場合には、オリフィス14の開度を最小値にするための制御信号を送信し、ヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にする場合には、オリフィス14の開度を最小値よりも大きな予め決められた所定値にするための制御信号を送信する。

0025

図2は、本実施形態に係るヨーダンパ装置100が取り付けられた鉄道車両の車体3及び台車4と曲線軌道Rとの位置関係を模式的に説明する模式図である。図2(a)は鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を、図2(b)は鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を示す。なお、図2において、ハッチングを施しているヨーダンパ1は減衰係数が第1減衰係数であることを、ハッチングを施していないヨーダンパ1は減衰係数が第2減衰係数であることを意味する。後述の図3についても同様である。後述の図4においては、ハッチングを施していないヨーダンパ1は減衰力が無効(実質的に減衰力が作用しない状態、すなわち減衰係数=0)であることを意味する。
図2(a)に示すように、鉄道車両が曲線軌道R(外軌R1、内軌R2)の入口側緩和曲線区間を走行する際、制御手段2(図2(a)には図示せず)は、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にする一方、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする。具体的には、公知の手段(図示せず)によって検知された鉄道車両が現在走行している軌道情報が制御手段2に入力され、鉄道車両が入口側緩和曲線区間に進入した時点で、制御手段2から前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1が具備するオリフィス14に対して、その開度を予め決められた所定値にするための制御信号を送信し、当該ヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にする。一方、制御手段2から後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1が具備するオリフィス14に対して、その開度を最小値にするための制御信号を送信し、当該ヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする。後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にするため、後側の台車4Bの向き(図2(a)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図2(a)において矢符RDで示す向き)に沿うような向きのモーメント(図2(a)において白抜き矢符で示す向きのモーメント)が後側の台車4Bに与えられる結果、後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧が低減する。

0026

一方、図2(b)に示すように、鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する際、制御手段2(図2(b)には図示せず)は、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする一方、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にする。具体的には、公知の手段(図示せず)によって検知された鉄道車両が現在走行している軌道情報が制御手段2に入力され、鉄道車両が出口側緩和曲線区間に進入した時点で、制御手段2から前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1が具備するオリフィス14に対して、その開度を最小値にするための制御信号を送信し、当該ヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする。一方、制御手段2から後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1が具備するオリフィス14に対して、その開度を予め決められた所定値にするための制御信号を送信し、当該ヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にする。前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にするため、前側の台車4Aの向き(図2(b)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図2(b)において矢符RDで示す向き)に沿うような向きのモーメント(図2(b)において白抜き矢符で示す向きのモーメント)が前側の台車4Aに与えられる結果、前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧が低減する。

0027

また、図示は省略するが、鉄道車両が曲線軌道Rの円曲線区間を走行する際、制御手段2は、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第2減衰係数にすると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第2減衰係数にする。これにより、ヨーダンパ1の回転抵抗力が小さくなり、ヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にする場合よりも輪軸のアタック角を小さくできるので、鉄道車両が円曲線区間を走行する際に1対の台車4A、4Bが具備する何れの車輪に生じ得る横圧も低減可能である。
さらに、鉄道車両が直線軌道を走行する際、制御手段2は、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にすると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第1減衰係数にする。これにより、鉄道車両が直線軌道を走行する際にヨーダンパ1の大きな第1減衰係数によって発生する減衰力でヨーイングが減衰するため、鉄道車両の高速走行の安定性を確保することができる。

0028

以下、本実施形態に係るヨーダンパ装置100の効果をより具体的に説明するため、比較対象とする従来技術1及び従来技術2のヨーダンパ装置について説明する。

0029

<従来技術1のヨーダンパ装置の動作>
図3は、従来技術1のヨーダンパ装置が取り付けられた鉄道車両の車体3及び台車4と曲線軌道Rとの位置関係を模式的に説明する模式図である。図3(a)は鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を、図3(b)は鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を示す。従来技術1のヨーダンパ装置としては、構成自体は本実施形態に係るヨーダンパ装置100の構成と同様(減衰係数を切り替え可能な構成)であるが、その動作が異なるものを採用可能である。或いは、ヨーダンパ1の減衰係数が第1減衰係数で固定されているもの(減衰係数の切り替え不可)を採用可能である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、従来技術1においては、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際、及び、出口側緩和曲線区間を走行する際の双方において、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数が第1減衰係数であると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第1減衰係数である。また、図示は省略するが、鉄道車両が曲線軌道Rの円曲線区間を走行する際にも、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数が第1減衰係数であると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第1減衰係数である。さらに、鉄道車両が直線軌道を走行する際にも、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数が第1減衰係数であると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第1減衰係数である。すなわち、従来技術1においては、全ての軌道において、前側の台車4A及び後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数が常に第1減衰係数である。

0030

従来技術1のヨーダンパ装置によれば、図3(a)に示すように、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際、前側の台車4Aの向き(図3(a)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図3(a)において矢符RDで示す向き)から離れるような向きのモーメント(図3(a)において白抜き矢符で示す向きのモーメント)が前側の台車4Aに与えられる結果、前側の台車4Aのアタック角が大きくなり、前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧が大きくなる。
また、図3(b)に示すように、鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する際、後側の台車4Bの向き(図3(b)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図3(b)において矢符RDで示す向き)から離れるような向きのモーメント(図3(b)において白抜き矢符で示す向きのモーメント)が後側の台車4Bに与えられる結果、後側の台車4Bのアタック角が大きくなり、後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧が大きくなる。
このため、従来技術1のヨーダンパ装置によれば、例えば乗り上がり脱線が生じる危険性が増すことになる。

0031

<従来技術2のヨーダンパ装置の動作>
図4は、従来技術2(特許文献1)のヨーダンパ装置が取り付けられた鉄道車両の車体3及び台車4と曲線軌道Rとの位置関係を模式的に説明する模式図である。図4(a)は鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を、図4(b)は鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する場合の位置関係を示す。従来技術2のヨーダンパ装置としては、構成自体は本実施形態に係るヨーダンパ装置100の構成と同様(減衰係数を切り替え可能な構成)であるが、その動作が異なるものを採用可能である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、従来技術2においては、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際、及び、出口側緩和曲線区間を走行する際の双方において、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を0(減衰力を無効)にすると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も0にする。また、図示は省略するが、鉄道車両が曲線軌道Rの円曲線区間を走行する際にも、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を0にすると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も0にする。すなわち、従来技術2においては、全ての曲線軌道Rにおいて、前側の台車4A及び後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数が0である。なお、鉄道車両が直線軌道を走行する際には、前側の台車4Aに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数を第1減衰係数にすると共に、後側の台車4Bに取り付けられたヨーダンパ1の減衰係数も第1減衰係数にする。

0032

従来技術2のヨーダンパ装置によれば、図4(a)に示すように、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際、後側の台車4Bの向き(図4(a)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図4(a)において矢符RDで示す向き)に沿わない状態となって後側の台車4Bのアタック角が大きくなる結果、後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧が低減しない。
また、図4(b)に示すように、鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する際、前側の台車4Aの向き(図4(b)において矢符4Dで示す向き)が軌道Rの向き(図4(b)において矢符RDで示す向き)に沿わない状態となって前側の台車4Aのアタック角が大きくなる結果、前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧が低減しない。
このため、従来技術2のヨーダンパ装置によれば、例えば乗り上がり脱線が生じる危険性を排除できない。

0033

<本実施形態に係るヨーダンパ装置の評価>
以上に説明したように、各ヨーダンパ装置に応じてその動作が異なる。
図5は、鉄道車両が走行する軌道を構成する各区間における、本実施形態に係るヨーダンパ装置(図5では「本発明」と記載)、従来技術1のヨーダンパ装置及び従来技術2のヨーダンパ装置のそれぞれが備えるヨーダンパ1の減衰係数の状態(相対的な減衰係数の大きさ)を纏めたものである。図5に示す例では、各ヨーダンパ装置において、第1減衰係数を基準値である1とした場合に、第2減衰係数はその1割の大きさである0.1に設定している。
図5から分かるように、鉄道車両が直線軌道(入口側直線区間及び出口側直線区間)を走行する際には、いずれのヨーダンパ装置のヨーダンパ1も全て減衰係数が第1減衰係数であり、差が無い。鉄道車両が曲線軌道R(入口側緩和曲線区間、円曲線区間及び出口側緩和曲線区間)を走行する際に、各ヨーダンパ装置に応じてヨーダンパ1の減衰係数の状態が異なる。

0034

以下、各ヨーダンパ装置を用いた場合に車輪に生じる横圧を実際に運動解析によって評価した結果について説明する。運動解析を行う鉄道車両のモデルとしては、いずれのヨーダンパ装置を用いる場合であっても、車体3に前後1対の台車4(4A、4B)が連結されたモデルを用いた。なお、運動解析は、汎用機解析ソフトを利用して実施可能であり、例えば、シムパックジャパン(株)製マルチボディダイナミクス解析ツールSIMPACK」を利用することが可能である。
図6は、運動解析によって横圧を評価する際に用いた軌道条件及び走行条件を示す。図6に示す「曲線半径」は、円曲線区間における曲線半径を示す。図6に示す「条件1」では、円曲線区間における曲線半径を200mに固定するものの、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを18〜45mの範囲で各種の値に変更すると共に、均衡速度を40km/hとし、30〜60km/hの範囲で走行速度を各種の値に変更して運動解析を行った。また、図6に示す「条件2」では、円曲線区間における曲線半径を400mに固定するものの、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを9〜22.5mの範囲で各種の値に変更すると共に、均衡速度を40km/hとし、30〜60km/hの範囲で走行速度を各種の値に変更して運動解析を行った。さらに、図6に示す「条件3」では、円曲線区間における曲線半径を800mに固定するものの、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを4.6〜11.5mの範囲で各種の値に変更すると共に、均衡速度を40km/hとし、30〜60km/hの範囲で走行速度を各種の値に変更して運動解析を行った。

0035

図7は、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合と、従来技術1のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧を対比した結果の一例を示す。図7(a)は前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧の一例を、図7(b)は後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧の一例を示す。図7に示す結果は、図6に示す条件のうち、最も横圧が大きくなる条件(条件1のうち、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを18mとし、走行速度を60km/h(均衡速度+20km/h)にした条件)で得られた結果である。
図7(a)から分かるように、従来技術1のヨーダンパ装置を用いた場合には、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際(走行距離が100〜118mの間)に、前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧が増大しているのに対し、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合には従来技術1に比べて低減している。
また、図7(b)から分かるように、従来技術1のヨーダンパ装置を用いた場合には、鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する際(走行距離が318〜336mの間)に、後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧が増大しているのに対し、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合には従来技術1に比べて低減している。

0036

図8は、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合と、従来技術2(特許文献1)のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧(前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧)を対比した結果の一例を示す。図8(a)は軌道全体において生じる横圧を、図8(b)は出口側緩和曲線区間を走行する際に生じる横圧(図8(a)において破線で囲んだ箇所)を拡大して示す。図8に示す結果は、図6に示す条件のうち、最も横圧が大きくなる条件(条件1のうち、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを18mとし、走行速度を60km/h(均衡速度+20km/h)にした条件)で得られた結果である。
図8から分かるように、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合には、鉄道車両が曲線軌道Rの出口側緩和曲線区間を走行する際(走行距離が318〜336mの間)に、前側の台車4Aが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Aに生じる横圧が、従来技術2のヨーダンパ装置を用いた場合に比べて低減する。

0037

図9は、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合と、従来技術2(特許文献1)のヨーダンパ装置を用いた場合とについて、運動解析によって得られた車輪に生じる横圧(後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧)を対比した結果の一例を示す。図9(a)は軌道全体において生じる横圧を、図9(b)は入口側緩和曲線区間を走行する際に生じる横圧(図9(a)において破線で囲んだ箇所)を拡大して示す。図9に示す結果は、図6に示す条件のうち、最も横圧が大きくなる条件(条件1のうち、入口側緩和曲線区間の長さと出口側緩和曲線区間の長さを18mとし、走行速度を60km/h(均衡速度+20km/h)にした条件)で得られた結果である。
図9から分かるように、本実施形態に係るヨーダンパ装置100を用いた場合には、鉄道車両が曲線軌道Rの入口側緩和曲線区間を走行する際(走行距離が100〜118mの間)に、後側の台車4Bが具備する前側の輪軸4aの外軌R1側の車輪40Bに生じる横圧が、従来技術2のヨーダンパ装置を用いた場合に比べて低減する。

0038

1・・・ヨーダンパ
2・・・制御手段
3・・・車体
4・・・台車
100・・・ヨーダンパ装置

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