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技術 染色体のランディングパッドおよび関連使用

出願人 ザスクリプスリサーチインスティテュート
発明者 ビンセント・ピー・モーロチョウ・ウェイブルース・カニンガムジェラルド・エム・エデルマン
出願日 2017年8月24日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-161272
公開日 2018年1月25日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2018-011602
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理
主要キーワード 遠隔供給源 保存データファイル サブパッケージ リゾルバー 機械的手 相対的順序 ランディングパッド 標準パラメータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

宿主細胞における1種または複数の組換えポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または発現方法の提供。

解決手段

宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび発現のための方法であって、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体部位で、異種ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノム中に挿入することを含む、方法。

概要

背景

哺乳類細胞ゲノムへの異種ポリヌクレオチドの組込みは、治療目的で(例えば、遺伝子療法)、インビトロ(in vitro)での有用なタンパク質またはポリペプチドの製造において日常的に実行されている。非相同組換えによるゲノム中の無作為な位置への挿入は、許容される発現系を製造するために数ラウンドの選択およびクローン増殖を必要とする。このアプローチはまた、新規遺伝子のための発現系が探されるたびに反復される必要がある。組込み事象の無作為性のために、組換え遺伝子が挿入される位置の一部は、転写事象を全く支援できない。これは、発現レベルは、一般に、遺伝子座での局所遺伝子環境の影響を受けるからである(位置効果)。さらに、多数の染色体部位からの発現は、経時的に減少する。いくつかの場合には、この不安定性は、導入遺伝子DNAメチル化によるものである。結果として、組込み部位に応じて、組み込まれた遺伝子の発現レベルに幅広い変動が生じ得る。さらに、外因性DNAのゲノムへの無作為な組込みは、いくつかの場合には、重要な細胞遺伝子破壊し、表現型の変更をもたらす場合もある。

無作為な挿入以外にも、ゲノム中の規定の部位での導入遺伝子の挿入のためのリコンビナーゼ媒介性組込みが記載されている。しかし、組み込まれた導入遺伝子の安定な、高効率な発現を達成することは、さらに厄介なことであり、望ましい組み込まれた細胞を選択するために多数のスクリーニングされたクローンを必要とする。

概要

宿主細胞における1種または複数の組換えポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または発現方法の提供。宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび発現のための方法であって、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体部位で、異種ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノム中に挿入することを含む、方法。

目的

以下の参考文献は、当業者に、本開示内容において使用される用語の多くの一般的な定義を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび発現のための方法であって、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体部位で、異種ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノム中に挿入することを含む、方法。

請求項2

異種ポリヌクレオチドの挿入が、相同組換えによってか、またはハイブリッドリコンビナーゼによって媒介される、請求項1に記載の方法。

請求項3

宿主細胞が、哺乳類細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項4

宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項5

天然染色体挿入部位が、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240であるか、またはそれに近接する、請求項4に記載の方法。

請求項6

異種ポリヌクレオチドが、ポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項7

ポリペプチドが、治療用タンパク質または産業用タンパク質である、請求項6に記載の方法。

請求項8

哺乳類細胞のゲノム中に異種ポリヌクレオチド配列を安定に組み込むための組換えポリヌクレオチドであって、第1の相同性アームと、異種ポリヌクレオチド配列と、第2の相同性アームとを含み、ここで、第1および第2の相同性アームが、それぞれ、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体の挿入部位をフランキングする、5’−および3’−配列と実質的に同一である、組換えポリヌクレオチド。

請求項9

天然染色体の挿入部位が、外来遺伝子の安定な組込みを支援する、請求項8に記載のポリヌクレオチド

請求項10

異種ポリヌクレオチド配列が、ポリペプチドをコードする、請求項8に記載のポリヌクレオチド。

請求項11

治療用タンパク質または産業用タンパク質である、請求項8に記載のポリヌクレオチド。

請求項12

異種ポリヌクレオチド配列が、部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。

請求項13

部位特異的組換え配列が、ファージインテグラーゼによって認識される認識配列である、請求項12に記載のポリヌクレオチド。

請求項14

ファージインテグラーゼが、phiC−31インテグラーゼである、請求項13に記載のポリヌクレオチド。

請求項15

認識配列が、ファージインテグラーゼによって認識されるattP部位またはattB部位である、請求項13に記載のポリヌクレオチド。

請求項16

哺乳類細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項8に記載のポリヌクレオチド。

請求項17

天然染色体の挿入部位が、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240であるか、またはそれに近接する、請求項16に記載のポリヌクレオチド。

請求項18

請求項8に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター

請求項19

アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する1つまたは複数の天然染色体の挿入部位で、そのゲノム中に安定に組み込まれる異種ポリヌクレオチドを含む、遺伝子操作された哺乳類細胞。

請求項20

天然染色体の挿入部位が、外来遺伝子の安定な組込みを支援する、請求項19に記載の細胞。

請求項21

異種ポリヌクレオチドが、ポリペプチドをコードする、請求項19に記載の細胞。

請求項22

ポリペプチドが、治療用タンパク質または産業用タンパク質である、請求項21に記載の細胞。

請求項23

異種ポリヌクレオチドが、部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を含む、請求項19に記載の細胞。

請求項24

部位特異的組換え配列が、ファージインテグラーゼによって認識される認識配列である、請求項23に記載の細胞。

請求項25

ファージインテグラーゼが、phiC−31インテグラーゼである、請求項24に記載の細胞。

請求項26

認識配列が、ファージインテグラーゼによって認識されるattP部位またはattB部位である、請求項24に記載の細胞。

請求項27

チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項19に記載の細胞。

請求項28

異種ポリヌクレオチドが、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240でか、またはそれに近接して組み込まれる、請求項27に記載の細胞。

請求項29

異種ポリヌクレオチドを、哺乳類細胞のゲノム中に安定に組み込むための方法であって、(a)細胞のゲノム中に部位特異的組換え配列を挿入することであって、挿入位置は、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体の挿入部位である、挿入することと、(b)挿入された部位特異的組換え配列で、異種ポリヌクレオチドを細胞のゲノム中に相同組換えによって組み込むこととを含む、方法。

請求項30

天然染色体の挿入部位が、外来遺伝子の安定な組込みを支援する、請求項29に記載の方法。

請求項31

部位特異的組換え配列が、ファージインテグラーゼによって認識される第1の認識配列である、請求項29に記載の方法。

請求項32

ファージインテグラーゼが、phiC−31インテグラーゼである、請求項31に記載の方法。

請求項33

第1の認識配列が、attP部位またはattB部位である、請求項31に記載の方法。

請求項34

異種ポリヌクレオチドが、第1の認識配列と同族であるファージインテグラーゼの第2の認識配列と結合している、請求項31に記載の方法。

請求項35

第2の認識配列が、attB部位またはattP部位である、請求項34に記載の方法。

請求項36

細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項29に記載の方法。

請求項37

部位特異的組換え配列が、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240でか、またはそれに近接してゲノム中に挿入される、請求項36に記載の方法。

請求項38

異種ポリヌクレオチドが、プロモーター配列作動可能に連結している、標的ポリペプチドをコードする配列を含む、請求項29に記載の方法。

請求項39

組込みが、ファージインテグラーゼの存在下で生じる、請求項31に記載の方法。

請求項40

ファージインテグラーゼが、細胞に導入されたベクターから発現される、請求項39に記載の方法。

技術分野

0001

優先権書類の参照
本出願は、米国特許法第119条の下で2011年4月5日に出願された米国仮特許出願第61/516,612号の優先権の利益を主張する。前述の出願日の優先権が、本明細書によって主張され、仮特許出願の開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。

0002

配列表の組込み
本出願は、EFSwebによって電子的に本明細書とともに提出された配列表の電子的に等価なハードコピーおよびEFS webによって電子的に本明細書とともに提出された配列表のコンピュータによって読み取り可能な形式を含有し、213476バイトの大きさであり、2012年4月5日に作成され、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる「37651505001WOSEQUENCELISTING.txt」と名づけられたファイルを含有する。

背景技術

0003

哺乳類細胞ゲノムへの異種ポリヌクレオチドの組込みは、治療目的で(例えば、遺伝子療法)、インビトロ(in vitro)での有用なタンパク質またはポリペプチドの製造において日常的に実行されている。非相同組換えによるゲノム中の無作為な位置への挿入は、許容される発現系を製造するために数ラウンドの選択およびクローン増殖を必要とする。このアプローチはまた、新規遺伝子のための発現系が探されるたびに反復される必要がある。組込み事象の無作為性のために、組換え遺伝子が挿入される位置の一部は、転写事象を全く支援できない。これは、発現レベルは、一般に、遺伝子座での局所遺伝子環境の影響を受けるからである(位置効果)。さらに、多数の染色体部位からの発現は、経時的に減少する。いくつかの場合には、この不安定性は、導入遺伝子DNAメチル化によるものである。結果として、組込み部位に応じて、組み込まれた遺伝子の発現レベルに幅広い変動が生じ得る。さらに、外因性DNAのゲノムへの無作為な組込みは、いくつかの場合には、重要な細胞遺伝子破壊し、表現型の変更をもたらす場合もある。

0004

無作為な挿入以外にも、ゲノム中の規定の部位での導入遺伝子の挿入のためのリコンビナーゼ媒介性組込みが記載されている。しかし、組み込まれた導入遺伝子の安定な、高効率な発現を達成することは、さらに厄介なことであり、望ましい組み込まれた細胞を選択するために多数のスクリーニングされたクローンを必要とする。

発明が解決しようとする課題

0005

当技術分野では、哺乳類細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または高レベル遺伝子発現を達成する手段が必要である。本開示内容は、この必要性およびその他の必要性に取り組む。

課題を解決するための手段

0006

一態様では、宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび発現のための方法が提供される。方法は、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン(Nephrocystin)−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体部位で、異種ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノム中に挿入することを含む。いくつかの方法では、宿主ゲノムへの異種ポリヌクレオチドの挿入は、相同組換えによってか、またはハイブリッドリコンビナーゼによって媒介される。いくつかの方法では、宿主細胞は、哺乳類細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。これらの方法の一部では、天然染色体挿入部位は、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240であるか、またはそれに近接する。いくつかの方法では、宿主ゲノム中に組み込まれるべき異種ポリヌクレオチドは、ポリペプチド、例えば、治療用タンパク質または産業用タンパク質をコードし得る。

0007

関連態様では、哺乳類細胞のゲノム中に異種ポリヌクレオチド配列を安定に組み込むための、組換えポリヌクレオチドまたは遺伝子操作されたポリヌクレオチドが提供される。組換えポリヌクレオチドは、通常、第1の相同性アームと、異種ポリヌクレオチド配列と、第2の相同性アームとを含有する。第1および第2の相同性アームは、それぞれ、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体の挿入部位をフランキングする、5’−および3’−配列と実質的に同一である。通常、天然染色体の挿入部位は、外来遺伝子の安定な組込みを支援できる。いくつかの方法では、異種ポリヌクレオチド配列は、ポリペプチド、例えば、治療用タンパク質または産業用タンパク質をコードする。いくつかのその他の方法では、異種ポリヌクレオチド配列は、部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を含む。例えば、部位特異的組換え配列は、phiC−31ファージインテグラーゼによって認識されるattP部位またはattB部位などのファージインテグラーゼによって認識される認識配列であり得る。いくつかの方法では、宿主哺乳類細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。これらの方法では、天然染色体の挿入部位は、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240であり得るか、またはそれに近接し得る。関連実施形態では、組換えポリヌクレオチドまたは遺伝子操作されたポリヌクレオチドを含有するベクターもまた本発明において提供される。

0008

別の態様では、遺伝子操作された哺乳類細胞が提供される。細胞は、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する1つまたは複数の天然染色体の挿入部位で、そのゲノム中に安定に組み込まれる異種ポリヌクレオチドを有する。通常、選択された天然染色体の挿入部位は、外来遺伝子の安定な組込みを支援する。一部の方法では、異種ポリヌクレオチドは、ポリペプチド、例えば、治療用タンパク質または産業用タンパク質をコードする。いくつかのその他の方法では、異種ポリヌクレオチドは、部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を含有する。例えば、部位特異的組換え配列は、phiC−31ファージインテグラーゼによって認識されるattP部位またはattB部位などのファージインテグラーゼによって認識される認識配列であり得る。一部の好ましい実施形態は、組換えまたは遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を対象とする。これらの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240でか、またはそれに近接して組み込まれ得ることが好ましい。

0009

さらに別の関連態様では、異種ポリヌクレオチドを、哺乳類細胞のゲノム中に安定に組み込むための方法が提供される。これらの方法は、(a)細胞のゲノム中に部位特異的組換え配列を挿入することであって、挿入位置は、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子からなる群から選択される遺伝子内にか、またはそれに隣接して位置する天然染色体の挿入部位である、挿入することと、(b)挿入された部位特異的組換え配列で、異種ポリヌクレオチドを細胞のゲノム中に相同組換えによって組み込むこととを必要とする。この方法のために選択される天然染色体の挿入部位は、通常、外来遺伝子の安定な組込みを支援する。いくつかの方法では、部位特異的組換え配列は、ファージインテグラーゼによって認識される第1の認識配列、例えば、phiC−31ファージインテグラーゼのattP部位またはattB部位である。これらの方法では、異種ポリヌクレオチドは、普通、第1の認識配列と同族であるファージインテグラーゼの第2の認識配列、例えば、ファージインテグラーゼによって認識されるattB部位またはattP部位と結合している。いくつかの方法では、使用される哺乳類宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。これらの方法では、部位特異的組換え配列は、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240でか、またはそれに近接してゲノム中に挿入され得ることが好ましい。いくつかの方法では、異種ポリヌクレオチドは、プロモーター配列作動可能に連結している標的ポリペプチドをコードする配列を含有する。通常、宿主ゲノムへの異種ポリヌクレオチドの組込みは、ファージインテグラーゼの存在下で生じる。これらの方法の一部では、ファージインテグラーゼは、細胞に導入されたベクターから発現され得る。

0010

本発明の性質および利点のさらなる理解は、本明細書および特許請求の範囲の残りの部分を参照することによって実現化され得る。

図面の簡単な説明

0011

図1は、強力な転写活性を支援する天然染色体の挿入部位を同定するための、CHOゲノムへの無作為な組込みのために使用されるプラスミドの構造を示す図である。プラスミドは、sv40プロモーターによって駆動されるEGFP発現カセットを含有する。BamHI部位が、EGFPおよびハイグロマイシン耐性遺伝子の間にある(安定な組込みの前の直線化のために)。
図2は、CHOゲノム中の同定された天然染色体の挿入部位へ、attP部位を導入するために使用されるプラスミドを示す。attP部位は、Neo遺伝子の5’にある。左側の相同性アームは、attPおよびNeo遺伝子の5’にクローニングされ、右側相同性アームは、Neo遺伝子の3’にクローニングされる。HSVTK遺伝子が、陰性選択のために使用される。示されている配列は、phi−C31ファージインテグラーゼによって認識されるattPおよびattB部位の二本鎖配列である:attP(配列番号5および配列番号6)、attB(配列番号7および配列番号8)。
図3は、CHO細胞ゲノムのアンキリン2(Ank2)遺伝子中の天然染色体の挿入部位およびフランキング配列(配列番号1)を示す。
図4は、CHO細胞ゲノムの切断およびポリアデニル化特異的因子4(Cpsf4)遺伝子中の天然染色体の挿入部位およびフランキング配列(配列番号2)を示す。
図5は、CHO細胞ゲノムのC−Mos遺伝子中の天然染色体の挿入部位およびフランキング配列(配列番号3)を示す。
図6は、CHO細胞ゲノムのネフロシスチン−1/Mal遺伝子中の天然染色体の挿入部位およびフランキング配列(配列番号4)を示す。

0012

I.概説
組換え遺伝子の強力な転写活性および組換えコンストラクトの部位特異的組込みのための「ランディングパッド」としてのその使用を可能にする哺乳類細胞中の天然染色体部位が、本明細書において開示される。具体的には、組み込まれた外来遺伝子の強力な発現を促進する、哺乳類ゲノム(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)ゲノム)中のいくつかの遺伝子中の染色体位置を同定した。以下に記載されるように、これらの天然染色体の挿入部位の同定は、選択のための遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子および増強された緑色蛍光タンパク質、EGFPをコードする遺伝子)を含有するプラスミドのゲノムへの無作為の組込みを含んでいた。無作為の組込みの際、細胞を、最初のトランスフェクションの3週間後に、ハイグロマイシン耐性について選択し、蛍光活性セルソーティング(Fluorescent Activated Cell Sorting(FACS)を使用してEGFP発現について選別した。選択した細胞を、さらに数週間、選択せずに回復させ、増殖させた。次いで、細胞を、再度FACS選別した。最高EGFPレベルを有する細胞を、96ウェルプレートの個々のウェルに選別した。単細胞からクローンを増殖させ、数週間培養した。次いで、細胞を、EGFP発現について再試験した。親の細胞株増殖速度匹敵するか、またはそれより高い増殖速度を有するものを同定するために、細胞をさらにスクリーニングした。次いで、これらの遺伝子中の挿入部位の配列を分析した。これらの研究の結果、組換え遺伝子からの安定な、強力な転写活性を可能にする天然染色体部位を有するいくつかの遺伝子、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子が同定された。

0013

所望の標的ポリヌクレオチド配列の均一な組込みのための染色体のランディングパッドとしての天然染色体部位の同定もまた、本明細書において記載される。この目的のために、ファージインテグラーゼによって認識されるファージ結合部位attPが、相同組換えによって天然染色体部位中に導入される。ゲノム中に挿入された部位特異的組換え配列(すなわち、attP部位)を用いて、次いで、ファージインテグラーゼの存在下でファージインテグラーゼ(例えば、phiC−31ファージインテグラーゼ)によって認識される同族組換え配列(すなわち、attB結合部位)を含有するベクターを使用して、組換え遺伝子が細胞中に容易に導入され得る。ファージインテグラーゼは、2種の同族組換え配列(すなわち、attBおよびattP部位)の組換えを可能にし、その結果、全attB含有ベクターが、染色体中の単一のattP部位に組み込まれ得る。

0014

宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または発現のための方法が、本明細書において提供される。同定された遺伝子(すなわち、Cpsf4、Ank2、C−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子)のうち1種または複数中またはその付近に安定に組み込まれた異種ポリヌクレオチドを含有する宿主細胞も提供される。異種ポリヌクレオチド、例えば、部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を、哺乳類細胞のゲノム中に、特に、本明細書において開示される天然染色体の挿入部位のうち1種または複数中に挿入するのに有用である、ポリヌクレオチドおよび関連ベクターがさらに提供される。本明細書に開示された天然染色体の挿入部位の1つまたは複数でそのゲノムに安定に組み込まれている異種部位特異的組換え配列を有する、遺伝子操作された哺乳類細胞が、さらに提供される。さらに、1つまたは複数の挿入された染色体のランディングパッドでの安定な組込みおよび対象とする標的ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドの哺乳類細胞における発現のための方法が提供される。異種ポリヌクレオチドを発現するためにこのように作製された細胞も、本明細書において提供される。

0015

本明細書に記載される特定の方法論プロトコールおよび試薬は、変わり得る。特に断りのない限り、当業者の技術の範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学細胞生物学生化学および免疫学の従来技術が使用され得る。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、例示的方法は、以下の参考文献、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (3rd ed., 2001); Brent et al., Current Protocols in Molecular Cloning, John Wiley & Sons, Inc. (ringbou ed., 2003); Freshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, Wiley-Liss, Inc. (4th ed., 2000);およびWeissbach & Weissbach, Methodsfor Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, Section VIII, pp.42 1-463, 1988に記載されている。

0016

II.定義
別に定義されることのない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および化学用語は、この開示内容が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本開示内容において使用される用語の多くの一般的な定義を提供する:Academic Press Dictionary of Science and Technology, Morris (ed.), Academic Press (1st ed., 1992); Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology, Smith et al.(Eds.), Oxford University Press (revised ed., 2000); Encyclopaedic Dictionary of Chemistry, Kumar (Ed.), Anmol Publications Pvt. Ltd. (2002); Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, Singleton et al. (Eds.), John Wiley & Sons (3rd ed., 2002); Dictionary of Chemistry, Hunt (Ed.), Routledge (1st ed., 1999); Dictionary of Pharmaceutical Medicine, Nahler (Ed.), Springer-Verlag Telos (1994); Dictionary of Organic Chemistry, Kumar and Anandand (Eds.), Anmol Publications Pvt. Ltd. (2002);およびA Dictionary of Biology (Oxford Paperback Reference), Martin and Hine (Eds.), Oxford University Press (4th ed., 2000)。本開示内容に具体的に適用する場合のこれらの用語の一部のさらなる説明が本明細書において提供される。

0017

本明細書において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「1種の細胞」への言及は、複数のこのような細胞を含み、「1種のタンパク質」への言及は、1種または複数のタンパク質および当業者に公知のその等価物などを含む。

0018

用語「薬剤」は、任意の物質分子、要素、化合物実体またはそれらの組合せを含む。この用語は、それだけには限らないが、例えば、タンパク質、ポリペプチド、小有機分子多糖、ポリヌクレオチドなどを含む。この用語は、天然物合成化合物または化合物または2種以上の物質の組合せであり得る。特に断りのない限り、用語「薬剤」、「物質」および「化合物」は、本明細書において同義的に使用される。

0019

用語「染色体のランディングパッド」(または簡単に「ランディングパッド」)とは、宿主細胞(例えば、CHO細胞などの哺乳類細胞)のゲノム中に安定に組み込まれる部位特異的認識配列または部位特異的組換え部位(例えば、attP部位)を指す。特に部位特異的認識配列または組換え部位は、本明細書に開示される数種の特定の遺伝子、すなわち、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子中に存在する1つまたは複数の天然染色体の挿入部位で宿主ゲノム中に挿入される。異種部位特異的組換え配列が宿主ゲノム中に存在することで、リコンビナーゼ(例えば、phiC−31インテグラーゼ)が異種ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子の宿主ゲノムへの部位特異的挿入を媒介することが可能となる。通常、異種ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子は、ランディングパッド中に組み込まれるために、リコンビナーゼによって同様に認識される同族認識配列または組換え部位(例えば、挿入される部位特異的組換え部位がattP部位である場合には、attB部位)と結合している。

0020

語句「対象とするポリヌクレオチド」(または「対象とする遺伝子」または「標的遺伝子」)とは、ポリペプチドまたはタンパク質産物(「対象とするポリペプチド」または「標的ポリペプチド」)をコードする、シストロンオープンリーディングフレーム(ORF)またはポリヌクレオチド配列を含むものとする。本明細書に記載される染色体のランディングパッドを有する遺伝子操作された宿主細胞における安定な組込みおよび発現のために、対象とするポリヌクレオチドは、コード配列と作動可能に連結している適当な転写調節エレメント(例えば、プロモーター配列)およびまた同族部位特異的組換え配列(例えば、attBまたはattP部位)をさらに含有し得る。種々の標的ポリペプチド、例えば、治療用タンパク質、栄養タンパク質および工業的に有用なタンパク質は、対象とするポリヌクレオチドによってコードされ、それから発現され得る。

0021

用語「内因性」とは、本明細書において、野生型宿主において通常見られる核酸またはポリペプチドを指し、一方で、用語「外因性」とは、野生型宿主においては通常見られない核酸またはポリペプチドを指す。

0022

「宿主細胞」とは、異種ポリヌクレオチド配列が導入される予定であるか、導入されている生細胞を指す。生細胞は、培養細胞および生きている生物内の細胞の両方を含む。異種ポリヌクレオチド配列を細胞中に導入するための手段は、周知である、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーションリン酸カルシウム沈殿マイクロインジェクション形質転換ウイルス感染および/または同様のもの。細胞中に導入されるべき異種ポリヌクレオチド配列は、複製可能な発現ベクターまたはクローニングベクターであることが多い。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、その染色体上またはそのゲノム中に所望の遺伝子を組み込むよう遺伝子操作され得る。宿主として役立ち得る多数の宿主細胞(例えば、CHO細胞)は、当技術分野で公知である。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (3rd ed., 2001);およびBrent et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (ringbou ed., 2003)参照のこと。一部の好ましい実施形態では、宿主細胞は、哺乳類細胞である。

0023

用語「ヌクレオチド配列」、「核酸配列」、「核酸」または「ポリヌクレオチド配列」とは、一本鎖または二本鎖いずれかの形態で、別に制限されない限り、天然に存在するヌクレオチドと類似の方法で核酸とハイブリダイズする天然ヌクレオチド既知類似体包含するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを指す。核酸配列は、例えば、原核生物の配列、真核細胞mRNA配列、真核細胞のmRNA由来するcDNA配列、真核細胞のDNA(例えば、哺乳類DNA)に由来するゲノムDNA配列および合成DNAまたはRNA配列であり得るが、それに限定されない。

0024

用語「作動可能に連結している」または「作動可能に結合している」とは、それらがその正常な機能を実施することを可能にするような方法で接続している遺伝因子間の機能的な連結を指す。例えば、遺伝子は、その転写が、プロモーターの制御下にあり、生じた転写物が、遺伝子によって正常にコードされるタンパク質に正しく翻訳される場合に、プロモーターと作動可能に連結している。同様に、エンハンサーエレメントは、それが、遺伝子の上方制御された転写を可能にする場合に、対象とする遺伝子と作動可能に結合している。

0025

「実質的に同一である」核酸またはアミノ酸配列とは、参照配列に対して、本明細書に記載される周知のプログラムのうち1種(例えば、BLAST)によって、標準パラメータを使用して測定されるような、少なくとも75%、80%または90%の配列同一性を有する配列を含む核酸またはアミノ酸配列を指す。配列同一性は、好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも98%、最も好ましくは、少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、対象配列は、参照配列と比較してほぼ同じ長さの、すなわち、ほぼ同じ数の連続アミノ酸残基ポリペプチド配列について)またはヌクレオチド残基(ポリヌクレオチド配列について)からなるものである。

0026

配列同一性は、当技術分野で公知の種々の方法を用いて容易に決定できる。例えば、BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のための)は、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待(E)、M=5、N=−4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列のために、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待(E)およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)参照のこと)を使用する。配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって2種の最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、ここで、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は、2種の配列の最適アラインメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両配列中で同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して、マッチした位置の数を得ることと、マッチした位置の数を、比較のウィンドウ中の位置の総数によって除することと、結果に100を掛けて、配列同一性パーセンテージを得ることとによって算出される。

0027

本明細書において、一方向性部位特異的リコンビナーゼ(または簡単に部位特異的リコンビナーゼ)とは、細菌および単細胞酵母由来のリコンナーゼの群を指す。それらは、チロシンリコンビナーゼおよびリゾルバーゼ/インベルターゼまたはセリンリコンビナーゼファミリー(例えば、ファージphiC31、R4およびTP−901由来のインテグラーゼなどのファージインテグラーゼ)の両方を包含する。チロシンリコンビナーゼは、チロシンインテグラーゼ(例えば、λ、HK022、P22、HP1およびL5に由来するインテグラーゼ)およびその他のチロシンリコンビナーゼ(例えば、CreおよびFlp)を含む。セリンリコンビナーゼの例として、セリンインテグラーゼ(例えば、phiC−31、R4、TP901由来のインテグラーゼ)およびその他のセリンリコンビナーゼ(例えば、γδ、Tn3、ファージMuリコンビナーゼ)が挙げられる。

0028

好ましくは、部位特異的リコンビナーゼとして、2種の異なるDNA認識配列、ファージ結合部位、attPおよび細菌結合部位、attB間の一方向性部位特異的組換えを媒介するインテグラーゼ(特に、ファージインテグラーゼ)を挙げることができる。チロシンファミリーのインテグラーゼ、例えば、λインテグラーゼは、触媒チロシンを利用して、鎖切断を媒介し、長いほうのattP配列を認識する傾向があり、ファージまたは宿主細菌によってコードされるその他のタンパク質を必要とする。セリンファミリーに由来するファージインテグラーゼ(例えば、phiC−31ファージインテグラーゼ)は長く、鎖切断のために触媒セリンを使用し、短いほうのattP配列を認識し、宿主補助因子を必要としない。attBおよびattP部位は異なる配列であるので、組換えの結果、attB配列でも、attP配列でもなく、関連するインテグラーゼ酵素の組換え部位として機能的に認識できない核酸のストレッチ(左および右に対して、attLまたはattRと呼ばれる)が得られ、したがって、酵素が第1のものを逆転させる第2の組換え反応を触媒する可能性を除去する。これが、一方向性部位特異的組込み事象をもたらす。

0029

Phi−C31インテグラーゼとは、高効率および厳しい配列特異性で哺乳類細胞ゲノム組換えを触媒できるファージインテグラーゼを指す。この酵素の機能的特性決定は、当技術分野で記載されている、例えば、Kuhstoss and Rao, J. Mol. Biol. 222, 897-908, 1991; Rausch and Lehmann, Nucleic AcidsResearch 19, 5187-5189, 1991;およびGroth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 5995-6000, 2000。

0030

ファージインテグラーゼ(例えば、ファージphi−C31インテグラーゼ)の天然attBおよびattP認識部位は、一般に、約34から40ヌクレオチドの長さである。例えば、本明細書における図2およびまたGroth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5995-6000, 2000参照のこと。これらの部位は、通常、以下のように配列される:attBは、5’から3’の相対的順序attB5’−コア領域−attB3’で、第1のDNA配列attB5’、コア領域および第2のDNA配列attB3’を含む。attPは、5’から3’の相対的順序attP5’−コア領域−attP3’で、第1のDNA配列attP5’、コア領域および第2のDNA配列attP3’を含む。Phi−C31のattPおよびattBのコア領域は、配列5’−TTG−3’を有する。

0031

トランスジェニック動物または植物とは、動物または植物の1つまたは複数の細胞のゲノムに組み込まれた導入遺伝子またはトランスジェニックエレメントを有する非ヒト動物または植物を指す。この用語は、遺伝子修飾を含有するすべてまたはほぼすべての細胞を有する動物または植物(例えば、完全にトランスジェニックな動物、遺伝性の導入遺伝子を有する特にトランスジェニックな動物)ならびに動物または植物の細胞のサブセットが、ゲノム的に組み込まれた導入遺伝子を含有するよう修飾されているキメラトランスジェニック動物または植物を包含する。トランスジェニック植物または動物は、発達のすべての段階にある個々の動物または植物を含む。トランスジェニック動物には、家畜(例えば、ニワトリブタヤギヒツジウシウマウサギなど)、げっ歯類マウスなど)、非ヒト霊長類アカゲザルなど)および家庭内ペット(例えば、ネコおよびイヌ)が、本明細書において考慮される。一部の好ましい実施形態では、動物は、マウスまたはラットである。

0032

治療用遺伝子」とは、タンパク質(例えば、分泌タンパク質膜結合性タンパク質(例えば、受容体)、構造タンパク質細胞質タンパク質など)機能的RNA(アンチセンスハンマーヘッドリボザイム)などを含めた、何らかの治療的利益を宿主に提供する分子をコードするポリヌクレオチド配列を指す。分泌タンパク質として、対象の体液中(例えば、血液、リンパ唾液消化管分泌物などの中)に見られ得るものが挙げられる。いくつかの実施形態では、哺乳類対象は、ヒト対象であり、導入されたポリヌクレオチド配列は、ヒトタンパク質またはその他のヒト遺伝子産物をコードする。

0033

用語「ベクター」または「コンストラクト」とは、これらのエレメントに作動可能に連結している遺伝子の発現/遺伝子産物が、予想通りに制御されるような明確なパターン組織に配列されたポリヌクレオチド配列エレメントを指す。通常、それらは、外来DNAを、宿主細胞中に導入し、その複製および/または転写を促進するために、外来ポリヌクレオチド配列のセグメントがそれにスプライシングされ得る伝搬性ポリヌクレオチド配列(例えば、プラスミドまたはウイルス)である。

0034

クローニングベクターは、宿主細胞において自己複製でき、1種または少数制限エンドヌクレアーゼ認識部位を特徴とするポリヌクレオチド配列(一般に、プラスミドまたはファージ)である。外来ポリヌクレオチド配列断片は、断片の複製およびクローニングを引き起こすために、これらの部位でベクターにスプライシングされ得る。ベクターは、形質転換された細胞の同定において使用するのに適した1種または複数のマーカーを含有し得る。例えば、マーカーは、テトラサイクリンまたはアンピシリン耐性を提供し得る。

0035

発現ベクターは、クローニングベクターと類似しているが、宿主への形質転換後に、それにクローニングされたポリヌクレオチド配列の発現を誘導できる。クローニングされたポリヌクレオチド配列は、普通、プロモーターまたはエンハンサーなどの特定の調節配列の制御下に位置する(すなわち、作動可能に連結している)。プロモーター配列は、構成的で、誘導可能または抑制可能であり得る。

0036

III.天然染色体の組込み部位での異種ポリヌクレオチドの挿入
挿入された異種ポリヌクレオチド(外因性遺伝子または導入遺伝子)の安定な、効率的な発現を支援する天然染色体の組込み部位を含有するいくつかの特定の遺伝子が、本明細書に記載される。これらの天然染色体の組込み部位は、宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または発現に適している。例えば、有用なポリペプチド(例えば、治療用または産業用タンパク質)をコードする導入遺伝子または組換え遺伝子は、宿主細胞においてそのように組み込まれ、発現され得る。さらに、これらの部位は、宿主ゲノムへの部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)の挿入のために使用され得る。このように挿入された染色体のランディングパッドを有する宿主細胞は、順に、異種ポリヌクレオチドの挿入および発現のために使用できる。

0037

天然染色体の挿入または組込み部位とは、異種ポリヌクレオチドが、例えば、無作為の組込みによって組み込まれ得る染色体の位置または部位を指し、これは、細胞のゲノムにおいて天然に起こり得る。言い換えれば、部位は、例えば、組換え手段によってゲノム中に導入されない。別に記載されない限り、本明細書において、この用語は、外来遺伝子の安定な組込みおよびその効率的な転写を支援し、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子としても本明細書において記載されるMal遺伝子を含めた、CHOゲノム中のいくつかの遺伝子のうちの1種内にあるか、またはそれに隣接するゲノム中の位置を具体的に指す。また、同様の機能または活性を有する、これらの遺伝子のオルソログまたはその他の哺乳類種(例えば、マウス、ラットおよびヒト)における相同領域配列アラインメントによって決定されるような)中の染色体の位置も包含する。

0038

本明細書において詳述されるように、1種の特定の天然染色体の挿入部位が、CHOゲノムにおいて同定された4種の遺伝子の各々について本明細書において記載されている(「例示された位置」;図3〜6を参照のこと)。しかし、本明細書において考慮される天然染色体の挿入部位は、これらの特定の位置に制限されない。組み込まれた異種ポリヌクレオチドの安定な組込みおよび/または効率的な転写が支援される限り、例示された部位に対する天然染色体の挿入部位の正確な位置は、絶対に必要というわけではない。むしろ、天然染色体部位は、4種の遺伝子のうち1種内にあるか、またはそれに隣接する任意の位置であり得る。対象とする4種の遺伝子のうち1種内にあるか、またはそれに隣接する特定の染色体位置が、組み込まれた外来遺伝子の安定な組込みおよび効率的な転写を支援するかどうかは、当技術分野で周知の標準的な手順または本明細書に例示された方法に従って決定できる。一部の好ましい実施形態では、CHOゲノムについて本明細書において例示される特定の位置またはその他の哺乳類ゲノム(例えば、マウス、ラットまたはヒトゲノム)中の対応する位置(配列アラインメントによって決定される)は、天然染色体の挿入部位として使用される。一部のその他の実施形態では、本明細書において考慮される天然染色体部位は、例示された位置のうち1種に近接して、例えば、例示された位置のうち1種の約1kb、500bp、250bp、100bp、50bp、25bp、10bp未満または約5bp未満内に位置することが好ましい。さらにいくつかのその他の実施形態では、使用される天然染色体部位は、例示された位置の1種から約1000、2500、5000またはそれ以上の塩基対分離れて位置する。

0039

異種ポリヌクレオチド(例えば、組換え遺伝子または染色体のランディングパッド)は、安定な組込みおよび/または発現のために、本明細書に記載される天然染色体の組込み部位中に容易に挿入され得る。異種ポリヌクレオチドは、種々の手段によって、例えば、相同組換えによって、または組込み部位の配列を特異的に標的とするハイブリッドリコンビナーゼを使用することによって、宿主ゲノムの天然染色体の組込み部位中に挿入され得る。相同組換えのために、相同ポリヌクレオチド分子は並び、その配列のストレッチを交換する。導入遺伝子は、導入遺伝子が相同ゲノム配列によってフランキングされる場合にこの交換の際に導入され得る。例えば、以下に記載されるように、染色体のランディングパッド(attP部位を含有する配列)は、天然染色体の組込み部位で宿主ゲノム中にそのように挿入され得る。

0040

哺乳類細胞における相同組換えの効率は、相同性の染色体領域中に中断を導入することによって改善され得る。これは、この領域にヌクレアーゼターゲッティングすることによって達成され得る。例えば、天然染色体の位置中の配列を認識するDNA結合タンパク質を使用することによって。このターゲッティングを達成するためのこの1つの方法は、亜鉛フィンガーヌクレアーゼを使用することである。これらのタンパク質は、モジュラー組成を有し、個々の亜鉛フィンガードメインを含有し、その各々は、標的配列中の3−ヌクレオチド配列(例えば、上記の天然染色体の組込み部位)を認識し得る。いくつかの実施形態は、亜鉛フィンガーヌクレアーゼを、多数の染色体位置をターゲッティングする個々の亜鉛フィンガードメインと組み合わせて使用できる。例えば、Cpsf4、Ank2、C−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子中の例示された組込み部位の周囲の開示された染色体配列は、それぞれ、8、6、7および8の候補部位を含有し、これらが、遺伝子操作された亜鉛フィンガーヌクレアーゼによってターゲッティングされ得る。

0041

相同組換え以外に、Cpsf4、Ank2、c−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子中か、またはその付近の天然染色体の組込み部位中への異種ポリヌクレオチドの挿入はまた、ハイブリッドリコンビナーゼの使用によって達成され得る。組換えリコンビナーゼは、DNAターゲッティングドメイン(例えば、亜鉛フィンガードメイン)と連結しているリコンビナーゼドメイン(例えば、phiC31インテグラーゼ由来の)を有する遺伝子操作されたタンパク質である。このような分子は、Cpsf4、Ank2、c−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子中またはその付近に含有される部位にターゲッティングされ得る。このような組換えタンパク質は、これらの染色体の位置への組換えコンストラクトの組込みを可能にする。このアプローチの利点として、ランディングパッド(以下の記載されるような)の事前導入を必要とせず細胞株中にターゲッティングする能力および相同組換えより高い効率が挙げられる。

0042

亜鉛フィンガータンパク質は、DNAと結合するその能力について十分に研究されており、上記の適用に適しているが、その他のアプローチを使用することによって、例えば、別の種類のDNA結合ドメイン突然変異によって、Cpsf4、Ank2、c−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子を特異的にターゲッティングする可能性もあり得る。その他のDNA結合ドメインとして、ロイシンジッパーおよびヘリックスターンヘリックス構造が挙げられる。これらの遺伝子中の配列の塩基対の核酸部分を使用することによって、Cpsf4、Ank2、c−Mosおよびネフロシスチン−1/Mal遺伝子を特異的にターゲッティングする可能性もあり得る。

0043

一部の実施形態は、相同組換えまたはハイブリッドリコンビナーゼを使用することのいずれかによって、天然染色体の組込み部位への導入遺伝子の直接組込みを含む。導入遺伝子は、以下の詳述されるように、治療用または産業用タンパク質、例えば、ホルモンまたは酵素をコードする任意の組換え遺伝子であり得る。一部のその他の実施形態は、1種または複数のリコンビナーゼによって認識される部位特異的組換え配列(染色体のランディングパッド)を、本明細書に開示される天然染色体の組込み部位へ挿入することを対象とする。以下に詳述されるように、宿主ゲノム中に安定に挿入された染色体のランディングパッドは、順に、宿主細胞(例えば、CHO細胞またはその他の哺乳類細胞)において導入遺伝子を組込みおよび発現させるために使用できる。本明細書に開示された天然染色体の組込み部位に、1つまたは複数の染色体のランディングパッドを有する遺伝子操作された宿主細胞は、任意の所望の標的遺伝子の部位特異的組込みおよび安定な発現にとって有用である。

0044

IV.相同組換えによる異種ポリヌクレオチドの組込み
一態様では、相同組換えによって異種ポリヌクレオチドを天然染色体の組込み部位に安定に組み込むための方法および組成物が開示される。異種ポリヌクレオチド(導入遺伝子または部位特異的組換え配列)を、本明細書に記載される天然染色体の組込み部位または特定の染色体位置で宿主ゲノム中に挿入するための、ポリヌクレオチド分子およびベクター(「挿入ベクター」)が、本明細書において提供される。ポリヌクレオチドおよび/または挿入ベクターは、通常、異種ポリヌクレオチド配列(例えば、組換え遺伝子または染色体のランディングパッド)、第1の相同性アームおよび第2の相同性アームを含む。ポリヌクレオチドまたはベクターは、さらにまた、陽性および/または陰性選択のためのマーカー遺伝子または配列を含み得る。

0045

宿主ゲノム中に組み込まれるべき異種ポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載されるように任意の治療的または工業的に有用なタンパク質をコードし得る。リコンビナーゼによって認識される組込み部位(染色体のランディングパッド)であり得、次いで、以下に詳述される導入遺伝子の挿入および発現のために使用される。第1および第2の相同性アームは、相同組換えのために、異種ポリヌクレオチド配列を特定の染色体位置(例えば、本明細書に開示される天然染色体の挿入部位)にターゲッティングするものとする。そのようなものとして、それらは、天然染色体の組込み部位の5’−および3’−フランキング配列とそれぞれ実質的に同一である配列である。上記で説明されたように、天然染色体の組込み部位は、4種の特定の遺伝子、Ank2遺伝子、Cpsf4遺伝子、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子のうち1種のコーディングまたは非コーディング領域内またはそれに隣接して存在する。ネフロシスチン−1遺伝子は、Mal遺伝子の5’に見られる。挿入部位は、ネフロシスチン−1とMal遺伝子の間のMal遺伝子の5’であり得る。このゲノム領域は、「ネフロシスチン−1/Mal」として本明細書において記載される。これらの遺伝子中か、またはその周囲の所与の位置での異種ポリヌクレオチドの挿入が、安定な組込みおよび/または発現につながるかどうかを容易に決定できるように、ゲノム中の遺伝子各々に対する天然染色体の組込み部位の正確な位置は、必要ではない。それにもかからず、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞について、一部の好ましい天然染色体の組込み部位が本明細書において記載されている。以下の実施例において例示されるように、CHO細胞の天然染色体の組込み部位は、好ましくは、Ank2遺伝子の配列番号1の位置130〜131の間、Cpsf4遺伝子の配列番号2の位置629〜630の間、C−Mos遺伝子の配列番号3の位置272〜273の間、ネフロシスチン−1/Mal遺伝子の配列番号4の位置239〜240の間であり得る。CHO細胞の天然染色体の組込み部位はまた、アンキリン2遺伝子のNCBI番号NW_003615916.1の位置26,123〜175,773(位置23と配列番号9の152,773の間)またはアンキリン2遺伝子のNCBI番号NW_003635654.1のヌクレオチド844〜845の間(配列番号10)、Cpsf4遺伝子のNCBI NW_003614125.1の位置858,966〜859,967の間(配列番号11の位置966〜967)またはCpsf4遺伝子のNCBI NW_003614125.1の位置858,533〜859,237の間(配列番号11の位置533〜1237)、C−Mos遺伝子のNCBI NW_003614707.1の位置400,355〜400,356の間(配列番号12の位置355〜356)またはC−Mos遺伝子のNCBI NW_003614707.1位置398,595〜399,212の間(配列番号12)およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子のNCBI NW_003613665.1の位置1,578,738〜1,578,739の間(配列番号13の位置738〜739)またはネフロシスチン−1/Mal遺伝子のNCBI NW_003613665.1の位置1,574,453〜1,625,306の間(配列番号13)であり得る。配列およびNCBI参照番号は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。

0046

当然のことではあるが、天然染色体の組込み部位はまた、細胞株の種類ごとに変わり得る。例えば、CHO DG44細胞株のAnk2遺伝子のヌクレオチド配列は、2種の細胞株の種類の天然染色体の組込み部位の正確な位置のようにCHO−K1細胞株のAnk2遺伝子のヌクレオチド配列とは異なり得る。したがって、いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチド配列(導入遺伝子または染色体のランディングパッド)を挿入するための選択された天然染色体の組込み部位は、CHOゲノム中で、これらの特定の位置各々であり得るか、またはそれに近接し得る。細胞株の種類間の、またはその他の哺乳類細胞(例えば、マウス細胞、ラット細胞およびヒト細胞)のための好ましい天然染色体の組込み部位は、異なる哺乳類種における同一遺伝子の中での配列相同性に基づいて決定され得る。

0047

ひとたび、異種ポリヌクレオチド配列を挿入するための正確な天然染色体の組込み部位が決定されると、次いで、フランキング配列と実質的に同一である相同性アームを容易に設計および合成できる。相同性アームの長さは、それらが所望の部位で相同組換えを指示できる限り必須ではない。したがって、相同性アームは、所望の天然染色体の挿入部位をフランキングする配列の少なくとも10bp、25bp、50bp、100bp、200bp、500bp、1kb、2kb、5kb、10kbまたはそれ以上の連続ヌクレオチド対を含む配列であり得る。いくつかの実施形態では、相同性アームは、CHOゲノム中の例示された染色体の挿入部位の1つをフランキングする配列と同一の配列(図3〜6)またはその他の哺乳類ゲノム中の対応する位置(配列アラインメントによって決定される)を含む。一部のその他の実施形態では、天然組込み部位のフランキング配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも75%、80%、90%、95%または99%同一である)配列が、本明細書に記載されるポリヌクレオチド分子およびベクターにおける相同性アームとして使用される。例えば、相同性アームは、図3〜6に示されるように、CHO細胞中のこれらの遺伝子各々の例示された天然組込み部位をフランキングする配列の一部またはすべてを含み得る。

0048

種々の種に由来する細胞(例えば、CHO細胞)中の遺伝子(Ank2、Cpsf4、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子)もまた、当技術分野で記載されている。例えば、ヒトAnk2遺伝子(受託番号NG_009006;NW_003615916.1;NW_003635654.1)、Cpsf4遺伝子(受託番号EF191081;NW_003614125.1)、C−Mos遺伝子(Neel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79: 7842-6, 1982;およびMorris et al., Hum. Genetics 81:339-342; 受託番号NW_003614707.1)、ネフロシスチン−1/Mal遺伝子(Alonso et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:1997-2001, 1987;およびRancano et al., J. Biol. Chem. 269:8159-8164, 1994;受託番号NW_003613665.1)はすべて、当技術分野で特性決定されている。当業者ならば、種々の適用のための適当な相同性アーム配列を容易に設計および合成できる。実施例において例示されるように、約1kb〜5kbの長さの同定された組込み部位の1つをフランキングする配列が、異種ポリヌクレオチド(例えば、ランディングパッド)の宿主ゲノムへの相同組込みのための挿入ベクターの相同性アームとして使用され得る。いくつかの実施形態では、全遺伝子の遺伝子座が使用され得る。その他の実施形態では、5’および3’末端の少なくとも1つ上の全遺伝子の遺伝子座および1、2kbまたはそれ以上が使用され得る。いくつかの実施形態では、Cpsf4遺伝子およびC−Mos遺伝子などについては、5’および3’末端各々上の全遺伝子の遺伝子座および2kbが使用され得る。その他の実施形態では、ネフロシスチン−1/Mal遺伝子およびアンキリン−2遺伝子などについては、全遺伝子の遺伝子座が使用され得る。

0049

いくつかの特定の実施形態では、宿主ゲノム中に組み込まれるべき異種ポリヌクレオチド配列は、部位特異的リコンビナーゼ、例えば、phiC−31ファージインテグラーゼなどのファージインテグラーゼによって認識される部位特異的組換え配列である。天然染色体の組込み部位中に挿入されるべき部位特異的組換え配列は、部位特異的組換えを支援し、一方向性の部位特異的リコンビナーゼによって認識される任意の配列であり得る。好ましくは、部位特異的組換え配列は、インテグラーゼ(例えば、チロシンインテグラーゼまたはセリンインテグラーゼ)によって認識されるファージ結合部位(例えば、attP部位)または細菌結合部位(例えば、attB部位)を含む。このような配列の例として、いくつかのファージインテグラーゼ、例えば、phiC−31インテグラーゼまたはλインテグラーゼによって認識されるattBおよびattP配列(ならびにatt部位)が挙げられる。適した組換え部位としてまた、突然変異体インテグラーゼによって認識される配列も含む。その宿主(例えば、大腸菌(E.coli)細胞)のゲノムへのファージゲノムの組込みの際に、酵素がファージゲノムのattP部位と細菌ゲノムのattB部位間のDNA交換を触媒し、attLおよびattR部位の形成をもたらす。ファージインテグラーゼ(例えば、phiC−31インテグラーゼ)によって認識される部位特異的組換え部位(例えば、attP部位)を宿主ゲノム中に挿入することによって(例えば、本明細書に開示された天然染色体の組込み部位で)、同族認識部位(例えば、attB部位)と結合している異種ポリヌクレオチドが、ファージインテグラーゼによって触媒される部位特異的組換えによって宿主ゲノム中に容易に挿入され得る。

0050

任意の部位特異的リコンビナーゼ(例えば、セリンまたはチロシンファージインテグラーゼ)によって認識されるファージ結合部位(attP)および細菌結合部位(attB部位)が、本明細書に記載される部位特異的組換え配列として使用され得る。これらは、所与のファージインテグラーゼによって認識される野生型(天然)attBおよびattP部位ならびに偽部位の両方を含む。種々のファージおよびその他の種の部位特異的リコンビナーゼおよびそのそれぞれの認識配列(attPおよびattB部位)は、当技術分野で公知であり、特性決定されている。例として、λファージインテグラーゼ(Enquist et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 43:1115-1120, 1979)、HK022ファージインテグラーゼ(Yagil et al., J. Mol. Biol. 207:695-717, 1989)、P22ファージインテグラーゼ(Leong et al., J. Biol. Chem. 260:4468-4477, 1985)、HP1ファージインテグラーゼ(Waldman et al., J. Bacteriol. 165:297-300, 1986)、L5ファージインテグラーゼ(Lee et al., J. Bacteriol. 175:6836-6841, 1993)、phiC−31ファージインテグラーゼ(Kuhstoss and Rao, J. Mol. Biol. 222:897-908, 1991)、R4ファージ(Groth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5995-6000, 2000)、TP901ファージインテグラーゼ(Christiansen et al., J. Bacteriol. 178:5164-5173, 1996)、γδトランスポゾンリゾルバーゼ(Reed et al., Nature 300:381-383, 1982)、Tn3トランスポゾンリゾルバーゼ(Krasnow et al., Cell 32:1313-1324, 1983)およびMuファージインベルターゼGin(Kahmann et al., Cell 41:771-780, 1985)が挙げられる。

0051

部位特異的リコンビナーゼによって認識される野生型組換え部位以外に、ランディングパッド挿入のための、ポリヌクレオチド分子またはベクター中に存在する部位特異的組換え配列はまた、少なくとも1つの塩基対変更(置換欠落または挿入)によって野生型認識部位(例えば、野生型attP部位)とは異なる配列も含み得る。配列変更の位置は、部位特異的組換え配列内の任意の位置であり得る。いくつかの実施形態では、修飾された部位特異的組換え配列は、野生型認識部位と比較して複数の配列変更を有する。このような修飾された部位特異的組換え配列(例えば、修飾されたattP部位)が、本明細書に記載されたような遺伝子操作された宿主細胞のゲノム中に組み込まれる場合には、対応するインテグラーゼの野生型または突然変異体型(例えば、突然変異体phi−C31インテグラーゼ)は、異種ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子を組換え部位に組み込むために必要とされ得る。種々の突然変異体インテグラーゼ(例えば、突然変異体phiC−31インテグラーゼ)もまた、当技術分野で公知である。例えば、Smith et al., Nuc. AcidsRes. 32, 2607-2617, 2004;およびKevarala et al., Mol. Ther. 17, 112-120, 2008参照のこと。

0052

異種ポリヌクレオチド配列(導入遺伝子または染色体のランディングパッド)を、宿主細胞のゲノムに挿入するために、上記のポリヌクレオチドは、通常、ベクター(「挿入ベクター」)中に存在する。これらのベクターは、通常、環状であり、相同組換えに使用される前に直線化される。相同性アームおよび異種ポリヌクレオチド(例えば、ランディングパッド)に加えて、ベクターはまた、選択またはスクリーニングに適したマーカー、複製起点およびその他のエレメントも含有し得る。本明細書における実施例において例示されるように、ベクターは、陽性選択マーカーおよび陰性選択マーカーの両方を含有し得る。陽性選択マーカー、例えば、ベクターが安定に組み込まれている宿主細胞を同定するために、抗生物質耐性遺伝子が使用される。このようなマーカーの例として、ネオマイシンブラストサイジン、ハイグロマイシンおよびゼオシンに対する抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。陰性選択マーカー、例えば、自殺遺伝子が、所望の位置での相同組換えを受けた細胞を保持しながら、無作為に組み込まれているベクター配列を有する細胞を排除するのに役立つ。このような陰性選択マーカーの一例として、本明細書における実施例において例示されるようなHCV−TK遺伝子がある。陽性スクリーニングマーカー(例えば、増強された緑色蛍光タンパク質)を使用して、ベクターが安定に組み込まれている宿主細胞を同定する(例えば、蛍光活性化セルソーティング、FACSを使用することによって)。陰性スクリーニングマーカー、例えば、シアン蛍光タンパク質を使用して、ベクター配列が無作為に組み込まれている細胞を同定する(例えば、FACSによって)。陽性スクリーニングマーカーを含有するが、陰性スクリーニングマーカーを欠く細胞に対するFACSによって、所望の位置で相同組換えを受けている細胞が同定される。

0053

挿入ベクター(ならびに以下に記載されるターゲッティングベクター)のもう1種の成分は、複製起点である。複製起点は、多量体起点結合タンパク質によって認識され、起点部位でのDNA複製酵素のアセンブリーにおいて重要な役割を果たす、複数の短い反復配列を含有する独特DNAセグメントである。ベクター中で使用するのに適した複製起点として、例えば、EBVoriP、SV40、大腸菌oriC、colE1プラスミド起点、ARSなどが挙げられる。発現ベクター中の別の有用なエレメントとして、多重クローニング部位またはポリリンカーがある。一連の制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードする合成DNAが、プラスミドベクター中、例えば、プロモーターエレメントの下流に挿入される。これらの部位は、特定の位置でのDNAのベクターへの従来のクローニングのために遺伝子操作されている。

0054

異種ポリヌクレオチドを宿主ゲノム中に挿入するためのポリヌクレオチドまたはベクターは、分子生物学の技術分野で公知の標準的な手順(例えば、Sambrook et al.、前掲;およびBrent et al.、前掲)および本明細書における開示内容に従って容易に構築され得る。ベクターを作製するために、相同性アームおよび異種ポリヌクレオチド配列(例えば、導入遺伝子または染色体のランディングパッド)を含む上記のポリヌクレオチドが、哺乳類宿主細胞をトランスフェクトするための種々の公知のプラスミド中に挿入され得る。このような公知のプラスミドとして、例えば、BPV、EBV、ワクシニアウイルスベースのベクター、SV40、2ミクロン環状、pcDNA3.1、pcDNA3.1/GS、pYES2/GS、pMT、p IND、pIND(Sp1)、pVgRXR(Invitrogen)などまたはそれらの誘導体が挙げられる。これらのプラスミドは、すべて記載されており、当技術分野で周知である(Botstein et al., Miami Wntr. SyTnp. 19:265-274, 1982; Broach, In: The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces: Life Cycle and Inheritance, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., p.445-470, 1981; Broach, Cell 28:203-204, 1982; Dilon et at., J. Clin. Hematol. Oncol. 10:39-48, 1980;およびManiatis, In: Cell Biology: A Comprehensive Treatise, Vol. 3, Gene Sequence Expression, Academic Press, NY, pp.563-608, 1980。

0055

V.異種ポリヌクレオチドが組み込まれた遺伝子操作された細胞
本明細書において開示される天然染色体の組込み部位の1つまたは複数で、ゲノム中に安定に組み込まれている異種ポリヌクレオチド(組換え遺伝子または染色体のランディングパッド)を含有する、組換えまたは遺伝子操作された宿主細胞が、本明細書において提供される。組換え遺伝子が開示された部位で組み込まれた細胞は、その遺伝子によってコードされるポリペプチドの安定な強力な発現が可能となる。染色体のランディングパッドが組み込まれた細胞は、標的ポリヌクレオチドまたは対象とする遺伝子の効率的な部位特異的組込みおよび/または発現が可能となる。遺伝子操作された宿主細胞はまた、以下に説明されるように、このような挿入された染色体のランディングパッドを有し、次いで、ランディングパッド中に組み込まれた1種または複数の導入遺伝子を有する細胞を含み得る。ポリヌクレオチド分子を使用することまたは上記のベクターを挿入することによって、種々の細胞が、本明細書に記載される特定の染色体位置の1つまたは複数で、組換え遺伝子または染色体のランディングパッドを挿入することによって修飾され得る。

0056

上記の組換えポリヌクレオチドまたは挿入ベクター(または以下に記載されるターゲッティングベクター)は、当技術分野で公知の任意の手段によって、適当な宿主細胞(例えば、CHO細胞などの哺乳類細胞)中に導入され得る。一般に、宿主染色体に対して相同性である遊離末端を作製するための適当な制限酵素消化の後、ポリヌクレオチドは、宿主細胞中にトランスフェクトされ得る。直線化された挿入ベクターは、当技術分野で日常的に実施される標準的なプロトコールによって宿主細胞中に導入され得る。例えば、ベクターは、リン酸カルシウム共沈殿によって、マイクロインジェクションまたはエレクトロポレーションなどの従来の機械的手順によって、リポソーム中に包まれたプラスミドの挿入によって、およびウイルスベクターによって宿主細胞中にトランスフェクトされ得る。これらの技術は、すべて周知であり、当技術分野では日常的に実施される、例えば、Freshney、前掲;Sambrook et al.、前掲;およびBrent et al.、前掲)。トランスフェクトされた組換え挿入ベクターを有する宿主細胞は、ベクター上に存在する選択マーカーを使用して同定および単離され得る。次いで、多数のレシピエント細胞を、ベクターを含有する細胞を選択する培地で増殖させてもよい。

0057

部位特異的組換え配列(すなわち、attP配列)を天然染色体の挿入部位中に挿入するための特定のベクターが、本明細書に例示されている(図2)。attP配列に加えて、ベクターは、記載された天然染色体の挿入部位での相同組換えを支援する相同性アームおよびまた選択マーカーを有する。所望の天然挿入部位にCHOゲノム中に組み込むために、制限消化によってベクターをまず直線化した。直線化配列を宿主細胞(例えば、CHO細胞)中にトランスフェクトした後、次いで、細胞を陽性および陰性選択に付して、相同組換えによって部位特異的組換え部位(attP部位)が組み込まれた細胞を同定する。このように同定された細胞を次いで、選択された天然染色体の挿入部位での異種ポリヌクレオチドの組込みを確認するためにさらに調べてもよい。本明細書において開示されるように、組換え遺伝子が組み込まれた細胞は、遺伝子によってコードされる治療用または産業用タンパク質の製造に直接使用され得る。あるいは、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を染色体のランディングパッド中に組み込むことによって、染色体のランディングパッドが挿入された細胞を、標的ポリペプチドの製造に使用してもよい。

0058

好ましくは、天然染色体の挿入部位に1種または複数の異種ポリヌクレオチドを挿入するための宿主細胞は、真核細胞である。真核細胞のベクター/宿主系および哺乳類発現系は、特に、発現された哺乳類タンパク質の適切な翻訳後修飾、例えば、一次転写物の適切なプロセシンググリコシル化リン酸化および有利なことに、発現生成物分泌が起こるのを可能にする。したがって、哺乳類細胞などの真核細胞は、本明細書に記載された天然染色体の位置で異種ポリヌクレオチド(組換え遺伝子または染色体のランディングパッド)を挿入するための好ましい宿主細胞である。適した細胞は、動物細胞(例えば、昆虫、げっ歯類、ウシ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、非ヒト霊長類、ヒト由来の細胞など)および植物細胞(例えば、コメ、トウモロコシ、綿、タバコトマトジャガイモ、など)の両方を含む。このような宿主細胞株の具体的な例として、CHO、BHK、HEK293、VERO、HeLa、COS、MDCK、PER.C6およびW138が挙げられる。

0059

いくつかの実施形態では、本明細書に記載された天然染色体の位置に事前に挿入されていたランディングパッド中にすでに安定に組み込まれている対象とするポリヌクレオチドまたは導入遺伝子を有する組換え細胞が提供される。標的ポリヌクレオチドを、宿主ゲノム中にすでに挿入されている染色体のランディングパッド中に組み込むためのターゲッティングベクターを、以下により詳細に説明する。本明細書に記載されるように、ランディングパッドは、部位特異的リコンビナーゼ(例えば、phi−C31インテグラーゼなどのファージインテグラーゼ)によって認識される認識配列(例えば、attP部位)を含む。リコンビナーゼによって同様に認識される同族認識配列(例えば、attB部位)と結合することによって、対象とするポリヌクレオチドは、適当な転写調節エレメントとともに、リコンビナーゼによって媒介される部位特異的組換えによってランディングパッド中に組み込まれる。組換え細胞中に組み込まれた対象とするポリヌクレオチドは、工業的または治療的な適用において有用な任意のタンパク質またはポリペプチドをコードし得る。このようなポリペプチドおよびタンパク質の具体的な例は、上記で記載されている。これらとして、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼホスホリパーゼなど)、プロテアーゼ阻害剤、ホルモン(例えば、下垂体ホルモン)、増殖因子サイトカインケモカイン、ケモタクチン(chemotactins)、ゴナドトロピン脂質結合タンパク質、ソマタメアン(somatamedians)、ゴナドトロピンおよび免疫グロブリンが挙げられる。その他の対象とするタンパク質として、抗菌ポリペプチド(例えば、抗菌薬抗真菌薬抗ウイルス薬および/または抗寄生虫ポリペプチド)および抗体またはその抗原結合性抗体断片(例えば、FAb)(例えば、オルソクローンOKT−e(抗CD3)、GPIIb/IIaモノクローナル抗体)が挙げられる。

0060

哺乳類細胞以外に、本明細書に記載されるような異種ポリヌクレオチドを挿入するための宿主細胞は、酵母細胞または植物細胞でもあり得る。このように遺伝子操作された酵母または植物細胞は、酵母または植物発現ベクターによって宿主中に導入される導入遺伝子の安定な組込みおよび発現に適している。適した昆虫細胞の例として、ショウジョウバエ(Drosophila)幼虫に由来する細胞が挙げられる。昆虫細胞が使用される場合には、適当な挿入ベクターによって細胞中に異種ポリヌクレオチドが導入され得る。例えば、バキュロウイルスベクターが当技術分野で記載されるとおりに使用され得る(Jasny, Science 238:1653, 1987;およびMiller et al., In: Genetic Engineering (1986), Setlow, J. K., et al. ed., Plenum, Vol. 8, pp. 277-297)。宿主として昆虫細胞が使用される場合には、異種ポリヌクレオチドを挿入するためにショウジョウバエアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターが、挿入ベクター中で場合により使用され得る(Rubin, Science 240: 1453-1459, 1988)。

0061

VI.染色体のランディングパッドへの標的ポリヌクレオチドの組込み
上記のように、ポリペプチドをコードする標的ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子(すなわち、「対象とするポリヌクレオチド」または「対象とする遺伝子」)は、本明細書において開示される天然染色体の組込み部位に直接的に組み込まれ得る。以下に記載される治療用または産業用タンパク質のいずれかの安定な効率のよい発現および製造は、この方法で達成され得る。あるいは、標的ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される天然染色体の組込み部位にすでに挿入されている染色体のランディングパッドによって宿主ゲノム中に組み込まれ得る。本明細書に記載された染色体のランディングパッドを有する遺伝子操作された宿主細胞を使用して、細胞において異種ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子を組み込み、発現させるためのベクター(「ターゲッティングベクター」)および方法も提供される。種々の有用な標的ポリペプチドをコードする対象とするポリヌクレオチドは、本明細書において記載された遺伝子操作された宿主細胞のゲノム中に安定に組み込まれ得る。対象とするポリヌクレオチドは、宿主細胞にとって内因性または外因性のいずれかであり得る。外因性ポリヌクレオチドとは、宿主細胞中に天然に存在しない配列を有する核酸分子であるのに対し、内因性ポリヌクレオチドは、宿主細胞中に予め存在する配列を有する核酸分子である。発現され得るタンパク質またはポリペプチドの多数の具体的な例は、以下に記載される。

0062

使用されるべき遺伝子操作された宿主に応じて、さまざまなターゲッティングベクターが使用に適している。染色体のランディングパッドが挿入された好ましい宿主細胞として、哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)があり、ターゲッティングベクターは、好ましくは、真核細胞の発現のためのベクターである。一般に、ターゲッティングベクターは、同族組換え部位または認識配列と結合している対象とする遺伝子を有する。ベクター上の同族組換え部位もまた、挿入された染色体のランディングパッドを認識する部位特異的リコンビナーゼ(例えば、phiC−31インテグラーゼ)によって認識される。そのようなものとして、ベクター上の同族組換え部位は、標的ポリヌクレオチドのランディングパッドへのリコンビナーゼ媒介性組込みを支援する。例えば、特定のファージインテグラーゼのファージ結合部位(attP)が挿入された遺伝子操作された宿主細胞における組込みおよび発現のために、ベクターは、同一インテグラーゼによって同様に認識される同族細菌結合部位(attB部位)と結合している標的ポリヌクレオチドを有する。同様に、挿入されたランディングパッドが、ファージインテグラーゼのattB部位を含む場合には、ターゲッティングベクターは、インテグラーゼによって認識される同族attP部位を含む。phi−C31およびR4などの一部のファージインテグラーゼは、細菌結合部位よりもファージ結合部位(attP部位)に組み込まれることを好む。これら酵素を用いる場合には、ターゲッティングベクターは、attB部位を保持しなくてはならないのに対し、ランディングパッドは、attP部位を含まなくてはならない。その他のファージインテグラーゼは、ファージ結合部位よりも細菌結合部位(例えば、偽attB)中に優先的に組み込まれる。この優先傾向を有する酵素の例として、phiBT1インテグラーゼおよびA118インテグラーゼがある。これらのインテグラーゼが使用される場合には、標的ベクターは、attB部位の代わりにattP部位を保持しなくてはならないのに対し、対応する宿主細胞は、挿入されたランディングパッド中にattB部位を含有しなくてはならない。

0063

ランディングパッドでの組込みの際に標的ポリヌクレオチドの発現を支援するために、ターゲッティングベクターはまた、標的ポリヌクレオチドと作動可能に連結しているプロモーター配列およびその他の転写調節エレメント(例えば、エンハンス配列)も含有し得る。一般に、プロモーターは、それらが導入されている細胞種において機能的であるように選択され得る。哺乳類宿主細胞における発現のために、当技術分野で公知の多数のプロモーターが使用され得る。例として、それだけには限らないが、マウスメタロチオネイン遺伝子配列のプロモーター(Hamer et al., J. Mol. Appl. Gen. 1:273-288, 1982);ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight, Cell 31:355-365, 1982);SV40初期プロモーター(Benoist et al., Nature (London) 290:304-310, 1981);酵母gal1遺伝子配列プロモーター(Johnston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 79:6971-6975, 1982);Silver et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 81:5951-59SS, 1984)、CMVプロモーター、EF−1プロモーター、アクチンプロモーターホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター、ユビキチンプロモーターおよびチミジンキナーゼプロモーター、エクジソン応答性プロモーター(単数または複数)、テトラサイクリン応答性プロモーターなどが挙げられる。

0064

さらに、ターゲッティングベクターは、選択またはスクリーニングマーカー配列、複製起点などを有し得る。上記の挿入ベクターにおいて使用されるマーカーと同様に、ターゲッティングベクター中の選択またはスクリーニングマーカーはまた、ベクターを含有する細胞のみの増殖を選択またはスクリーニングするための手段を提供する。このような選択マーカーは、通常、2種類:薬剤耐性および栄養要求性である。薬剤耐性マーカーは、細胞が、外因的に加えられた、そうでなければ細胞を死滅させる薬物を解毒することを可能にする。栄養要求性マーカーは細胞が、必須成分を欠く培地中で増殖しながら必須成分(普通、アミノ酸)を合成することを可能にする。一般的な選択マーカー遺伝子として、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシンブレオマイシンストレプトマイシン、ハイグロマイシン、ネオマイシン、ゼオシン(商標)、G418などといった抗生物質に対する耐性についてのものが挙げられる。選択可能な栄養要求性遺伝子として、例えば、ヒスチジノールの存在下でヒスチジン不含培地での増殖を可能にするhisDが挙げられる。

0065

選択マーカー配列および転写調節エレメントは、ベクター中で標的ポリヌクレオチドおよび同族リコンビナーゼ認識配列と、ひとたびランディングパッドでの部位特異的組換えが起こると標的ポリヌクレオチドとともに宿主ゲノム中に組み込まれるような方法で連結していなければならない。本明細書に記載されたターゲッティングベクターは、本明細書の教示を考慮して、分子生物学の技術分野で公知の方法論を使用して構築され得る。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (3rd ed., 2001); Brent et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (ringbou ed., 2003);およびFreshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, Wiley-Liss, Inc. (4th ed., 2000)参照のこと。通常、ターゲッティングベクターは、ランディングパッドと同族である適したベクター骨格、対象とするポリヌクレオチド、選択マーカーをコードする配列および本明細書に記載されるその他の任意選択のエレメント中に挿入することによってアセンブルされる。

0066

挿入された染色体のランディングパッドおよびターゲッティングベクターを有する遺伝子操作された宿主細胞に加えて、ランディングパッド(例えば、attP部位)での標的ポリヌクレオチドの部位特異的組込みはまた、対応するリコンビナーゼ(例えば、phiC−31インテグラーゼなどのファージインテグラーゼ)の触媒活性も必要とする。リコンビナーゼ(例えば、phiC−31インテグラーゼ)は、ターゲッティングベクターの導入の前、それと同時に、またはその後で標的細胞中に導入され得る。上記で説明されたように、種々のファージインテグラーゼが、本明細書において考慮される。標的ポリヌクレオチドの、遺伝子操作された宿主細胞への組込みにおい使用される特定のインテグラーゼは、宿主ゲノムのランディングパッド中およびターゲッティングベクター中の同族認識配列中の部位特異的組換え配列に対応し、認識しなくてはならない。いくつかの実施形態では、一方向性部位特異的リコンビナーゼとして、セリンインテグラーゼがある。インビトロおよびインビボ(in vivo)組換えに有用であり得るセリンインテグラーゼとして、それだけには限らないが、ファージphi−C31、R4、TP901−1、phiBT1、Bxb1、RV−1、A118、U153およびphiFC1由来のインテグラーゼならびに長いセリンインテグラーゼファミリー中のその他のものが挙げられる。例えば、Gregory et al., J. Bacteriol., 185:5320-5323, 2003; Groth and Calos, J. Mol. Biol. 335:667-678, 2004; Groth et al., Proc. Natl. Aacd. Sci. 97:5995-6000, 2000; Olivares et al., Gene 278:167-176, 2001; Smith and Thorpe, Molec. Microbiol., 4:122-129, 2002;およびStoll et al., J. Bacteriol., 184:3657-3663, 2002参照のこと。これらの野生型インテグラーゼに加えて、突然変異を有する変更されたインテグラーゼも当技術分野で公知である(例えば、Sclimenti et al., Nuc. Acid Res. 29:5044-5051, 2001参照のこと)。野生型と比較して活性または特異性の変更されたこのようなインテグラーゼも、組換え反応および標的ポリヌクレオチドの、遺伝子操作された宿主ゲノムへの組込みにとって有用である。

0067

いくつかの実施形態では、精製酵素ポリペプチドが、ターゲッティングベクターの組込みを媒介するよう宿主細胞中に導入される。機能性タンパク質を細胞中に導入するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、phiC−31インテグラーゼなどのファージインテグラーゼポリペプチドは、リポソームコーティング粒子ウィスカー、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよびペプチドトランスポーターを含めた、多数の手段によって細胞中に直接的に導入され得る(例えば、 Siprashvili et al., Mol. Ther., 9:721-728, 2004参照のこと)。一部のその他の実施形態では、インテグラーゼをコードするポリヌクレオチドは、適した発現ベクターを使用して細胞中に導入され得る。インテグラーゼは、対象とする遺伝子を発現する同一ターゲッティングベクターから発現され得る。あるいは、インテグラーゼをコードするポリヌクレオチドが、第2のベクターによって宿主細胞中に導入され得る。いくつかの実施形態では、インテグラーゼをコードするDNA配列は、発現ベクターで宿主細胞中に導入される。これは、当技術分野で記載されるとおりに実施され得る、例えば、Olivares et al., Gene, 278:167-176, 2001;およびThyagarajan et al., Mol. Cell Biol. 21:3926-3934, 2001。一部のその他の実施形態では、部位特異的組込みは、リコンビナーゼポリペプチドをコードするRNA分子の一時的な存在に頼る。例えば、ファージインテグラーゼをコードするmRNA分子は、例えば、Groth et al., J. Mol. Biol. 335:667-678, 2004;およびHollis et al., Repr. Biol. Endocrin. 1:79, 2003に記載されるように、宿主細胞中に導入および発現され得る。インテグラーゼが、このような時間のみ存在することは、遺伝子操作された宿主細胞のゲノムへのターゲッティングベクターの挿入に必要であるので、一般に好ましい。インテグラーゼをコードするRNA(例えば、mRNA)の導入は、一時的発現を保証でき、インテグラーゼをコードする核酸が、標的ゲノム中に恒久的に組み込まれるようになる可能性を除去する。部位特異的リコンビナーゼの一時的な発現はまた、その他の手段によっても達成され得る。例えば、酵素を発現するポリヌクレオチドを、調節可能プロモーター(すなわち、その発現が選択的に導入または抑制され得るプロモーター)の制御下に配置してもよい。

0068

ターゲッティングベクターおよび/またはファージインテグラーゼを発現する第2のベクターの、標的細胞へのインビトロまたはインビボ導入には、標的細胞の位置に応じて任意の好都合なプロトコールを使用してもよい。例えば、遺伝子操作された宿主細胞が単離細胞である場合、ターゲッティングベクターは、例えば、標準的な形質転換技術を使用することによって、標的細胞の生存力に許容的細胞培養条件下で細胞に直接的に導入され得る。このような技術として、必ずしもそれに制限されないが:ウイルス感染、トランスフェクション、コンジュゲーションプロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ウイルスベクター送達などが挙げられる。方法の選択は一般に、形質転換されている細胞の種類および形質転換が起こる環境(すなわち、インビトロ、エキソビボ(ex vivo)またはインビボ)に応じて変わる。これらの方法の全体的な考察は、例えば、Brent et al、前掲に見出すことができる。

0069

あるいは、遺伝子操作された宿主細胞(単数または複数)が、多細胞生物の一部である場合には、ターゲッティングベクターは、ターゲッティングベクターが、例えば、インビボまたはエキソビボプロトコールによって宿主細胞(単数または複数)に進入できるような方法で、生物または宿主に投与され得る。「インビボ」とは、標的コンストラクトが、動物の生体に投与されることを意味する。「エキソビボ」とは、細胞または臓器が身体の外で修飾されることを意味する。このような細胞または臓器は、通常、生体に戻される。核酸コンストラクトの投与のための方法は、当技術分野で周知である。例えば、核酸コンストラクトは、陽イオン性脂質を用いて(Goddard, et al, Gene Therapy, 4:1231-1236, 1997; Gorman et al., Gene Therapy 4:983-992, 1997; Chadwick et al., Gene Therapy, 4:937-942, 1997; Gokhale et al., Gene Therapy 4:1289-1299, 1997; Gao and Huang, Gene Therapy 2:710-722, 1995)、ウイルスベクターを使用して(Monahan et al., Gene Therapy 4:40-49, 1997; Onodera et al., Blood 91:30-36, 1998)、「のDNA」の取り込みなどによって送達され得る。細胞のトランスフェクションのための当技術分野で周知の技術(上記の考察参照のこと)は、核酸コンストラクトのエキソビボ投与のために使用できる。正確な処方、投与経路および投与量は経験的に選択され得る。例えば、Fingl et al., 1975, in The Pharmacological Basis of Therapeutics、Ch. 1 p 1参照のこと)。

0070

VII.遺伝子操作された宿主細胞を用いて発現されるべき標的ポリペプチドまたはタンパク質
上記の遺伝子操作された宿主細胞は、対象とする任意のポリヌクレオチドの安定な発現のために有用である。対象とするポリヌクレオチドは、医学的または産業上の適用を有する種々のポリペプチドをコードし得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された宿主細胞中のランディングパッド中に組み込まれるべき、対象とする標的ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、治療用タンパク質をコードするものであり得る。治療用タンパク質の例として、因子VIII、因子IX、β−グロビン低密度リポタンパク質受容体、アデノシンデアミナーゼプリンヌクレオシドホスホリラーゼスフィンゴミエリナーゼグルコセレブロシダーゼ嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、α−アンチトリプシン、CD−18、オルニチントランスカルバミラーゼアルギノコハク酸シンセターゼフェニルアラニンヒドロキシラーゼ分岐鎖α−ケト酸デヒドロゲナーゼフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼグルコース6−ホスファターゼ、α−L−フコシダーゼβ−グルクロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼガラクトース1−リン酸リジルトランスフェラーゼインターロイキン、サイトカイン、小ペプチドなどが挙げられる。遺伝子操作された宿主細胞において組み込まれた標的ポリヌクレオチドから発現され得るその他の治療用タンパク質として、例えば、ヘルセプチン登録商標)、疾患を引き起こす細菌またはウイルスなどの種々の病原体ポリペプチド抗原(例えば、大腸菌、緑膿菌(P.aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、マラリアHIV狂犬病ウイルスHBVおよびサイトメガロウイルス)ならびにラクトフェリンチオレドキシンおよびβ−カゼインワクチン(caseinvaccines)などのその他のタンパク質を挙げることができる。

0071

対象とするタンパク質のさらなる例として、必ずしもそれに限定されないが、インスリンエリスロポエチン組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ウロキナーゼストレプトキナーゼ神経新生(neutropoesis)刺激タンパク質フィルグラスチム(filgastim)または顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)としても知られる)、トロンボポエチン(TPO)、成長ホルモンヘモグロビン(emoglobin)、インスリトロピンイミグルセラーゼサルブラモスチム(sarbramostim)、エンドセリアン(endothelian)、可溶性CD4ならびに抗体および/またはその抗原結合断片(例えば、FAb)(例えば、オルソクローンOKT−e(抗CD3)、GPIIb/IIaモノクローナル抗体)、毛様体(liary)神経突起トランスフォーミング因子(CNTF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM−CSF)、脳由来神経突起因子(BDNF)、副甲状腺ホルモンPTH)様ホルモン、インスリン分泌性ホルモン、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、酸性線維芽細胞増殖因子塩基性線維芽細胞増殖因子トランスフォーミング増殖因子β、神経突起成長因子(NGF)、インターフェロン(IFN)(例えば、IFN−α2b、IFN−α2a、IFN−αN1、IFN−β1b、IFN−γ)、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−8)、腫瘍壊死因子(TNF)(例えば、TNF−α、TNF−β)、トランスフォーミング増殖因子−αおよび−β、カタラーゼカルシトニンアルギナーゼフェニルアラニンアンモニアリアーゼL−アスパラギナーゼペプシンウリカーゼトリプシンキモトリプシンエラスターゼカルボキシペプチダーゼラクターゼスクラーゼ内因子血管作用性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン、Ob遺伝子産物、コレシストキニン(CCK)、セロトニンおよびグルカゴンが挙げられる。

0072

組み込まれた標的ポリヌクレオチドから発現され得る適した対象とするポリペプチドはまた、特定の膜タンパク質またはその他の細胞内タンパク質も含む。膜タンパク質の例として、必ずしもそれに制限されないが、アドレナリン受容体セロトニン受容体、低密度リポタンパク質受容体、CD−18、サルコグリカン筋ジストロフィーにおいて欠乏している)などが挙げられる。有用な細胞内タンパク質として、細胞内区画内に主に位置するか、または細胞内で所望の生物活性を示すタンパク質が挙げられる。このような細胞内タンパク質として、遺伝性チロシン血症1型の対象において欠乏しているフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ(FAH)を挙げることができる。細胞内タンパク質のその他の具体的な例として、抗ウイルスタンパク質(例えば、ウイルス複製の阻害または罹患細胞の選択的死滅を提供できるタンパク質)、コラーゲンなどの構造タンパク質、すなわち、劣性栄養障害性表皮水泡症(RDEB)において欠乏しているVII型コラーゲンCOL7A1遺伝子および筋ジストロフィーにおいて欠乏しているジストロフィンが挙げられる。

0073

VIII.キットおよび導入遺伝子が組み込まれたトランスジェニック動物
上記の遺伝子操作された宿主細胞を使用するためのキットが本明細書において提供される。キットは、当業者が、本明細書に開示された1つまたは複数の天然染色体の組込み部位で、標的導入遺伝子または挿入された染色体のランディングパッドを有する遺伝子操作された宿主細胞において、異種ポリヌクレオチドを、部位特異的に組込みおよび/または発現させることを可能にする。本明細書に記載された一部のキットは、ゲノム中の天然染色体の組込み部位で直接的に挿入された標的ポリヌクレオチドを有する、遺伝子操作された宿主細胞(例えば、CHO細胞)を含有する。一部のその他のキットは、ゲノム中の天然染色体の組込み部位に事前に組み込まれている、1つまたは複数の染色体のランディングパッドに挿入された標的ポリヌクレオチドを有する遺伝子操作された宿主細胞を含有する。本明細書に記載されたさらに一部のその他のキットは、1つまたは複数の天然染色体の組込み部位に染色体のランディングパッドが挿入された組換え細胞および標的ポリヌクレオチドを、染色体のランディングパッド(lads)中に挿入するためのその他の試薬を含有する。

0074

例示として、本明細書に記載された一部のキットは、以下の成分、本明細書に記載された天然染色体の位置の1つまたは複数にランディングパッド(例えば、attP部位)が挿入された遺伝子操作された宿主細胞(例えば、CHO細胞株)、異種ポリヌクレオチドをクローニングし、組み込むためのターゲッティングベクターおよびインテグラーゼ成分(例えば、phiC−31)のうち少なくとも1つまたは複数を含有する。キットは、場合により、ターゲッティングベクター中にクローニングされ、宿主細胞において発現されるべき標的ポリヌクレオチドも含有し得る。通常、ターゲッティングベクターへのクローニングの際に、異種標的ポリヌクレオチドは、挿入されたランディングパッドで組み込まれるためにインテグラーゼによって同様に認識される同族配列(例えば、attB部位)と結合している。本明細書において記載されるように、インテグラーゼ成分は、任意の適した形態(例えば、標的細胞への導入のために製剤されたタンパク質として、または遺伝子操作された宿主細胞への導入後に所望のインテグラーゼの発現を提供するインテグラーゼベクター中で)で提供され得る。したがって、一部のキットは、実質的に精製されたリコンビナーゼポリペプチド(例えば、phiC−31)を含み得る。一部のその他のキットは、宿主細胞における酵素の発現を可能にする第2のベクターを含有し得る。本明細書に記載されたキットは、場合により、その他の成分、例えば、ターゲッティングポリヌクレオチドをクローニングするための制限酵素、対照プラスミド、バッファーなどを含有し得る。キットの種々の成分は、必要に応じて、別個容器中で存在してもよく、または特定の適合する成分を単一容器中に事前に組み合わせてもよい。

0075

本明細書に記載されたキットは、種々の試薬に加えて、通常、対象とするポリヌクレオチドの組込みおよび発現においてキットの成分を使用するための説明書をさらに含む。対象方法を実施するための説明書は、一般に、適した記録媒体に記録されている。例えば、説明書は、紙またはプラスチックなどといった物質上に印刷されてもよい。そのようなものとして、説明書は、キットまたはその成分の容器のラベル付けにおいて(すなわち、パッケージングまたはサブパッケージングに関連して)添付文書としてキット中に存在してもよい。その他の実施形態では、説明書は、適したコンピュータによって読み取り可能な保存媒体、例えば、CD−ROMディスケットなど上に存在する電子的保存データファイルとして存在する。さらなる一部のその他の実施形態では、実際説明書は、キット中に存在しないが、遠隔供給源から、例えば、インターネットによって説明書を入手するための手段が提供される。この実施形態の一例として、説明書を見ることができ、および/またはそこから説明書をダウンロードできるウェブアドレスを含むキットがある。説明書と同様に、説明書を入手するための手段は、適した物質上に記録されている。

0076

本明細書に開示される1つまたは複数の天然染色体の組込み部位で異種ポリヌクレオチド(導入遺伝子または染色体のランディングパッド)を挿入することによって、ゲノムが修飾されているトランスジェニック非ヒト動物または植物が、本明細書においてさらに提供される。トランスジェニック非ヒト動物または植物はまた、染色体のランディングパッドが挿入されており、次いで、挿入されたランディングパッドで1種または複数の標的ポリヌクレオチドを組み込むことによってさらに修飾されているゲノムを有し得る。本明細書に記載された方法を用いて製造できるトランスジェニック動物の例として、マウス、ラット、ニワトリ、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマならびにアカゲザルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。本明細書に記載されたトランスジェニック非ヒト動物または植物は、異種ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子を、天然染色体の組込み部位の1つまたは複数でゲノム中に組み込むことによって製造できる。その他のトランスジェニック動物または植物は、標的ポリヌクレオチドを、本明細書に記載されたようにゲノム中にすでに挿入されている染色体のランディングパッド中に組み込むことによって製造される。標的細胞は、本明細書に記載された系および方法を使用する遺伝子修飾を受け入れられ、本明細書に記載されたトランスジェニック動物を製造するのに適している任意の細胞であり得る。標的細胞は、単離されていてもよく(例えば、培養中)または多細胞生物中であってもよい(例えば、胚盤胞中、胎児中、出生直後の動物中など)。例示的標的細胞として、必ずしもそれに制限されないが、一次細胞二次細胞、形質転換された細胞、卵細胞受精卵細胞、単細胞体細胞(例えば、筋肉、骨、軟骨靭帯、皮膚(真皮表皮など)、内臓の細胞(例えば、肝臓膵臓、消化管(口、、腸)など)、幹細胞(例えば、胚幹細胞(例えば、胚幹細胞表現型を有する細胞)、成体幹細胞多能性幹細胞造血幹細胞間葉系幹細胞など)および生殖細胞(例えば、始原生殖細胞胚性生殖細胞など)が挙げられる。

0077

トランスジェニック動物または植物は、当業者によって日常的に実施される方法を使用して製造され得る。例えば、Brinster, et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 82: 4438, 1985; Houdebine and Chourrout, Experientia 47:897-905, 1991; Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells, A Practical Approach, E. J. Robertson, ed., IRL Press (1987); Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo (Cold Spring Harbor Press 1986); Krimpenfort et al., Bio/Technology 9:86, 1991; Palmiter et al., Cell 41:343, 1985; Kraemer et al., Genetic Manipulation of the Early Mammalian Embryo (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1985); Hammer et al., Nature, 315:680, 1985; Purcel et al., Science, 244:1281, 1986; Pursel, et al., Science 244:1281-1288, 1989; Simms, et al., Bio/Technology 6:179-183, 1988;および米国特許第5,175,384号および米国特許第4945050号、同5175384号および同5175385号参照のこと。

0078

以下の実施例は、さらに示すために提供されるが、本明細書に記載される範囲を制限するものではない。その他の変法は、当業者には容易に明らかとなろう、また添付の特許請求の範囲によって包含される。

0079

強力な転写活性を有する天然染色体の部位の同定
CHOゲノムへの無作為の組込みのためのプラスミド:プラスミドは、Thyagarajan et al., (2001, Mol Cell Biol. 21(12):3926-34)に記載された元のattP含有プラスミドをベースとして修飾した。具体的には、元のプラスミドを、ゼオシンマーカーを、ネオマイシンマーカーと置換するよう修飾した。さらに、ホタルルシフェラーゼ遺伝子をSV40プロモーターによって制御されているEGFP遺伝子と置換した(図1)。

0080

安定なトランスフェクション:修飾されたプラスミドを、Qiagen midiprepカラムを使用して精製した。25μgのDNAを、制限酵素BamHIを用いて一晩消化して、プラスミドを直線化した。次いで、得られた直鎖DNAを、CHO細胞中にトランスフェクトして、安定な組込みを作製した。トランスフェクションの2日後、細胞を、新しいプレートに分け、安定な組込み事象の選択のために増殖培地にハイグロマイシンを添加した。細胞を、培養物で3週間増殖させ、その後FACS分析のために回収した。

0081

FACS:ハイグロマイシン選択下で培養物で3週間増殖させた後、安定な細胞を、Scripps FACSコア施設でのバルソーティングのために一緒プールした;EGFP発現細胞のうち上位1%を集め、培養培地に戻して、数週間回復および増殖させた。細胞培養プレートコンフルエントであった時点で、細胞を回収し、再度FACSによって選別した。今回は、EGFP発現細胞の上位1%を、個々の細胞として96ウェルプレートのウェルに選別した。

0082

単細胞集団:96ウェルプレート中に選別された細胞を、これらのプレート中で2〜3週間増殖させ、その後、24ウェルプレートに移した。1週間後、細胞を増殖培養のために6ウェルプレートに移した。この段階で、EGFP発現を調べて、単細胞集団が、安定に組み込まれたattP含有プラスミドコンストラクトを含有し、EGFP発現を維持していることを確実なものとした。

0083

増殖速度チェック:EGFP発現を確認した後、単細胞集団を、親のCHO細胞株とともに増殖速度について調べた。細胞を、ウェルあたり10,000個細胞で6ウェルプレートに播種した。3つの時点:プレーティング後24時間;48時間および72時間で細胞数カウントした。親のCHO細胞株と同等であるか、またはそれより速い増殖速度を有する細胞のみを、安定性研究のためにさらに培養した。

0084

安定性研究:単細胞集団を、最大4ヶ月さらに培養して、発現安定性を調べた。細胞を、EGFP発現について毎月1回調べた。培養期間の最後に、増殖速度およびEGFP発現の両方を調べて、単細胞集団が、高レベルのEGFP発現を維持しており、親のCHO細胞と同程度に速くか、またはそれよりも速く増殖したことを確実にした。この段階の後に、20の単細胞集団を、染色体組込み部位の同定のための良好な候補として選択した。

0085

組込み部位の同定:上位20の単細胞集団からゲノムDNAを精製した。個々のDNAサンプルを濃度について調べ、10μgの総DNAを、平滑末端生成制限酵素:EcoRV、PvuI、StuIおよびHincIIを使用する酵素消化のために使用した。次いで、完全に消化されたDNAサンプルを、フェノールおよびクロロホルムを用いる精製に付した。次いで、これらのDNAサンプルを、エタノールを使用して沈殿させ、二本鎖DNAリンカー分子(Genome Walker Adoptors)にライゲーションした。

0086

ハイグロマイシン耐性遺伝子をベースとして、3種の遺伝子特異的プライマー(GSP)を設計した。GSP1およびAP1(アダプタープライマー1)を一次PCR反応において使用し;二次PCR反応では、GSP2(ネステッド遺伝子特異的プライマー)およびAP2(アダプタープライマー2)を使用した。必要に応じて、三次PCR反応において、GSP3およびAP2を使用して、特定の生成物を得た。

0087

結果は、アンキリン2遺伝子(Ank2)、切断およびポリアデニル化特異的因子4遺伝子(Cpsf4)、C−Mos遺伝子およびネフロシスチン−1/Mal遺伝子中に、安定な組込みおよび強力な転写活性が存在することを支援する、CHOゲノム中の天然染色体の組込み部位を示す。異種配列の組込みのための遺伝子の正確な位置は、それぞれ、図3〜6(配列番号1〜4)に示されている。

0088

同定された天然染色体の組込み部位でのランディングパッドの挿入
相同組換え:組込み部位をフランキングするゲノムDNAを同定し、陽性および陰性選択マーカーの両方を含有するプラスミド中にクローニングした(図2)。各部位について、長いほうの相同性アーム(3〜4kbの長さ)を、ネオマイシン耐性遺伝子の5’にクローニングする。短いほうの相同性アーム(1.5〜2kbの長さ)を、ネオマイシン耐性遺伝子の3’にクローニングする。1つの単一ファージ結合部位attPは、長いほうの相同性アームの末端に位置している。

0089

相同組換えプラスミドを、NotI酵素を用いて消化して、プラスミドを直線化する;長いほうの相同性アームは、この直鎖DNAの一方の末端にある。CHO細胞へのトランスフェクションの際に、培養培地にネオマイシンを添加して、この直鎖DNAが細胞染色体中に組み込まれた細胞を選択する。4〜6週間後に耐性クローンのプールを得る。次いで、無作為に組み込まれたプラスミドを有する細胞を死滅させるガンシクロビルの培養培地への添加を用いて細胞を陰性選択に付す。標的部位での相同組換えを受けている細胞のみが、陽性および陰性選択両方を生き残る。両ラウンドの選択の後、生存する細胞を選び取り、24ウェル培養プレートで増殖させ、次いで、6ウェルプレートに拡大する。次いで、これらの細胞クローンからゲノムDNAを単離し、標的とされる位置へのattP部位組込みについて調べる。

0090

ランディングパッド組込み:attP部位が、所望の位置に挿入されていることを検証した後、これらの細胞株は、ファージPhi−C31インテグラーゼ系を使用するattP部位への組換え遺伝子の組込みのために使用できる。組換え遺伝子を、単一のattB部位を含有するプラスミド中にクローニングする。組換え遺伝子およびPhi−C31インテグラーゼ遺伝子を含有するプラスミドの同時トランスフェクション時に、細胞を特定の組込み事象について選択できる。

0091

前記の発明は、理解を明確にする目的の例示および実施例によって幾分か詳細に記載されているが、本発明の教示を考慮すると、添付の特許請求の趣旨または範囲から逸脱することなく、それに特定の変法および改変を行うことができることは当業者には容易に明らかである。

実施例

0092

本明細書において引用されたすべての刊行物データベースGenBank配列、特許および特許出願は、参照により、各々が具体的に、個々に参照により組み込まれると示されるかのように、本明細書に組み込まれる。

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