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技術 マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置

出願人 株式会社村田製作所
発明者 奥田哲朗
出願日 2016年7月15日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-140918
公開日 2018年1月18日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-011280
状態 特許登録済
技術分野 圧電・機械振動子,遅延・フィルタ回路 受信機の入力回路等 弾性表面波素子とその回路網 送受信機
主要キーワード 後段フィルタ 周波数規格 フィルタ通過特性 無線搬送周波数 ローノイズアンプ回路 マルチモ 前段フィルタ 弾性表面波エネルギー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年1月18日)のものです。
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図面 (20)

課題

高周波信号伝搬損失が低減された小型化のマルチプレクサを提供する。

解決手段

共通端子101で束ねられた複数のフィルタを備えるマルチプレクサ1Aは、第1通過帯域を有する低周波側のフィルタ11Aと、第1通過帯域よりも高い第2通過帯域を有する高周波側フィルタ12Aとを備え、低周波側のフィルタ11Aは、2以上の弾性波共振子のうち共通端子101側に配置された1以上の弾性波共振子で構成された前段フィルタ部11Fと、前段フィルタ部11Fの弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された後段フィルタ部11Rとを有し、前段フィルタ部11Fを単体で共通端子101側から見た場合の第2通過帯域における反射係数は、後段フィルタ部11Rを単体で共通端子101側から見た場合の第2通過帯域における反射係数よりも大きい。

概要

背景

近年の携帯電話には、一端末で複数の周波数帯域および複数の無線方式、いわゆるマルチバンド化およびマルチモード化に対応することが要求されている。これに対応すべく、1つのアンテナの直下には、複数の無線搬送周波数を有する高周波信号分波するマルチプレクサが配置される。このマルチプレクサは、複数の帯域通過フィルタがアンテナ共通端子並列接続された構成をとる。

特許文献1には、アンテナ素子と複数の弾性表面波フィルタとが、スイッチなしで束ねられた構成を有する弾性表面波分波器が開示されている。これにより、弾性表面波分波器を小型化することが可能となる。

概要

高周波信号の伝搬損失が低減された小型化のマルチプレクサを提供する。共通端子101で束ねられた複数のフィルタを備えるマルチプレクサ1Aは、第1通過帯域を有する低周波側のフィルタ11Aと、第1通過帯域よりも高い第2通過帯域を有する高周波側フィルタ12Aとを備え、低周波側のフィルタ11Aは、2以上の弾性波共振子のうち共通端子101側に配置された1以上の弾性波共振子で構成された前段フィルタ部11Fと、前段フィルタ部11Fの弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された後段フィルタ部11Rとを有し、前段フィルタ部11Fを単体で共通端子101側から見た場合の第2通過帯域における反射係数は、後段フィルタ部11Rを単体で共通端子101側から見た場合の第2通過帯域における反射係数よりも大きい。B

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高周波信号の伝搬損失が低減された小型のマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

共通端子、第1入出力端子および第2入出力端子を有し、前記共通端子で束ねられた複数のフィルタを備えるマルチプレクサであって、前記共通端子と前記第1入出力端子との間に配置された2以上の弾性波共振子で構成され、第1通過帯域を有する第1のフィルタと、前記共通端子および前記第2入出力端子に接続され、前記第1通過帯域と周波数が異なる第2通過帯域を有する第2のフィルタと、を備え、前記第1のフィルタは、前記2以上の弾性波共振子のうち前記共通端子側に配置された1以上の弾性波共振子で構成された前段フィルタ部と、前記2以上の弾性波共振子のうち、前記1以上の弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された後段フィルタ部と、を有し、前記前段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数は、前記後段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数よりも大きい、マルチプレクサ。

請求項2

前記前段フィルタ部は、前記2以上の弾性波共振子のうち前記共通端子に最も近く配置された1つの弾性波共振子で構成されている、請求項1に記載のマルチプレクサ。

請求項3

前記第1のフィルタは、ラダー型フィルタ構造を有し、前記前段フィルタ部は、前記1以上の弾性波共振子として、直列腕共振子および並列腕共振子の少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載のマルチプレクサ。

請求項4

前記第1のフィルタは、縦結合型のフィルタ構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項5

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部を構成する前記1以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するレイリー波、(2)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波、および(3)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、のいずれかを弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項6

前記後段フィルタ部では、弾性波共振子がSMR(SolidlyMountedResonator)またはFBAR(FilmBulkAcousticResonator)で構成される、請求項5に記載のマルチプレクサ。

請求項7

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部を構成する前記1以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、弾性波共振子が、前記IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速高速である高音支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記後段フィルタ部では、弾性波共振子がSMRまたはFBARで構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項8

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)弾性波共振子がSMRで構成される、および(3)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項9

前記後段フィルタ部では、(1)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、ならびに(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、のいずれかである、請求項8に記載のマルチプレクサ。

請求項10

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部および前記後段フィルタ部を構成する弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、弾性波共振子が、前記IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記後段フィルタ部では、(1)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項11

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部および前記後段フィルタ部を構成する弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用し、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項12

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、および(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項13

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(3)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項14

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項15

前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(3)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項16

前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部を構成する前記IDT電極と、前記後段フィルタ部を構成する前記IDT電極とでは、膜厚またはデューティーが異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項17

前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚、前記IDT電極のデューティー、および前記低音速膜の膜厚、のいずれかが異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項18

前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極と当該IDT電極上に形成された保護膜で構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、(1)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するレイリー波、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚、前記IDT電極のデューティー、および前記保護膜の膜厚、のいずれかが異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項19

前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記高音速支持基板はシリコン結晶で構成され、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記圧電体層の膜厚、前記低音速膜の膜厚、および前記高音速支持基板のシリコン結晶方位、のいずれかが異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項20

前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、(1)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚が異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項21

さらに、第3入出力端子と、前記共通端子と前記第3入出力端子との間に配置された2以上の弾性波共振子で構成され、前記第2通過帯域と周波数が異なる第3通過帯域を有する第3のフィルタと、を備え、前記第3のフィルタは、前記前段フィルタ部と、前記2以上の弾性波共振子のうち前記第3入出力端子側に配置された、前記前段フィルタ部の弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された第2後段フィルタ部と、を備え、前記第1のフィルタおよび前記第3のフィルタは、さらに、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部および前記第2後段フィルタ部との間に配置され、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部との接続、および、前記前段フィルタ部と前記第2後段フィルタ部との接続を切り替えるスイッチを備え、前記前段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数は、前記第2後段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数よりも大きい、請求項1〜20のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。

請求項22

請求項1〜21のいずれか1項に記載のマルチプレクサと、前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える、高周波フロントエンド回路

請求項23

アンテナ素子送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する請求項22に記載の高周波フロントエンド回路と、を備える、通信装置

技術分野

0001

本発明は、弾性波フィルタを備えるマルチプレクサ高周波フロントエンド回路および通信装置に関する。

背景技術

0002

近年の携帯電話には、一端末で複数の周波数帯域および複数の無線方式、いわゆるマルチバンド化およびマルチモード化に対応することが要求されている。これに対応すべく、1つのアンテナの直下には、複数の無線搬送周波数を有する高周波信号分波するマルチプレクサが配置される。このマルチプレクサは、複数の帯域通過フィルタがアンテナ共通端子並列接続された構成をとる。

0003

特許文献1には、アンテナ素子と複数の弾性表面波フィルタとが、スイッチなしで束ねられた構成を有する弾性表面波分波器が開示されている。これにより、弾性表面波分波器を小型化することが可能となる。

先行技術

0004

特開2004−88143号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に開示された弾性表面波分波器のように、アンテナ端子で複数のフィルタが束ねられた場合には、一のフィルタのフィルタ特性は、他のフィルタのフィルタ特性の影響を大きく受ける。例えば、他のフィルタのアンテナ端子側からみた反射損失が、一のフィルタの通過帯域において増加している場合、当該一のフィルタの通過帯域における挿入損失は、他のフィルタの反射特性により増加する。

0006

そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高周波信号の伝搬損失が低減された小型のマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るマルチプレクサは、共通端子、第1入出力端子および第2入出力端子を有し、前記共通端子で束ねられた複数のフィルタを備えるマルチプレクサであって、前記共通端子と前記第1入出力端子との間に配置された2以上の弾性波共振子で構成され、第1通過帯域を有する第1のフィルタと、前記共通端子および前記第2入出力端子に接続され、前記第1通過帯域と周波数が異なる第2通過帯域を有する第2のフィルタと、を備え、前記第1のフィルタは、前記2以上の弾性波共振子のうち前記共通端子側に配置された1以上の弾性波共振子で構成された前段フィルタ部と、前記2以上の弾性波共振子のうち、前記1以上の弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された後段フィルタ部と、を有し、前記前段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数は、前記後段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数よりも大きい。

0008

第1のフィルタと第2のフィルタとが共通端子で束ねられた構成の場合、第2のフィルタの第2通過帯域における挿入損失は、第2のフィルタ単体の挿入損失に加え、第1のフィルタの共通端子側から見た反射特性の影響を受ける。より具体的には、第2のフィルタの第2通過帯域における挿入損失は、第1のフィルタの共通端子側から見た第2通過帯域における反射係数が大きいほど、減少する(束ねロスと呼ぶ)。

0009

上記構成によれば、第1のフィルタを構成する前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数が、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きいので、共通端子側から第1のフィルタを見た場合の第2通過帯域における反射損失を、より低減できる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できるので、マルチプレクサ全体の挿入損失を低減できる。

0010

また、前記前段フィルタ部は、前記2以上の弾性波共振子のうち前記共通端子に最も近く配置された1つの弾性波共振子で構成されていてもよい。

0011

複数の弾性波共振子からなるフィルタにおいて、共通端子側から見た反射損失は、共通端子に最近接した1つの弾性波共振子の反射損失が支配的となる。これによれば、第2のフィルタの束ねロスを効果的に低減できる。

0012

また、前記第1のフィルタは、ラダー型フィルタ構造を有し、前記前段フィルタ部は、前記1以上の弾性波共振子として、直列腕共振子および並列腕共振子の少なくとも一方を含んでもよい。

0013

これにより、第1のフィルタの低損失性を確保しつつ、第2フィルタの束ねロスを低減できる。

0014

また、前記第1のフィルタは、縦結合型のフィルタ構造を有してもよい。

0015

これにより、第1のフィルタを、減衰強化等が要求されるフィルタ特性に適応させることが可能となる。

0016

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部を構成する前記1以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するレイリー波、(2)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波、および(3)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、のいずれかを弾性表面波として利用してもよい。

0017

弾性波共振子の共振点および反共振点よりも低周波域における反射損失は、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波、およびLiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波、のいずれかを弾性表面波として利用する場合、他の弾性波を利用する場合よりも小さい。

0018

よって、第1のフィルタが高周波側フィルタであり、第2のフィルタが低周波側フィルタである場合において、第1のフィルタの前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0019

また、前記後段フィルタ部では、弾性波共振子がSMR(Solidly Mounted Resonator)またはFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)で構成されてもよい。

0020

これによれば、前段フィルタ部の構成により第1のフィルタの反射損失を低減しつつ、後段フィルタの上記構成により、第1のフィルタの低損失性および通過帯域の急峻性を確保できる。

0021

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部を構成する前記1以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、弾性波共振子が、前記IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速高速である高音支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記後段フィルタ部では、弾性波共振子がSMRまたはFBARで構成されてもよい。

0022

弾性波共振子の共振点および反共振点よりも低周波域における反射係数は、音速膜積層構造を有する場合のほうが、弾性波共振子をSMRまたはFBARで構成する場合よりも大きい。

0023

よって、第1のフィルタが高周波側フィルタであり、第2のフィルタが低周波側フィルタである場合において、第1のフィルタの前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。また、前段フィルタ部の構成により第1のフィルタの反射損失を低減しつつ、後段フィルタの上記構成により、第1のフィルタの低損失性および通過帯域の急峻性を確保できる。

0024

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)弾性波共振子がSMRで構成される、および(3)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであってもよい。

0025

弾性波共振子の共振点および反共振点よりも高周波域では、バルク波漏洩による不要波が発生し、当該不要波強度は、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、弾性波共振子をSMRで構成する、および弾性波共振子をFBARで構成する、のいずれかの場合、最も小さくできる。

0026

よって、第1のフィルタが低周波側フィルタであり、第2のフィルタが高周波側フィルタである場合において、第1のフィルタの前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0027

また、前記後段フィルタ部では、(1)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、ならびに(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、のいずれかであってもよい。

0028

これによれば、前段フィルタ部の構成により第1のフィルタの反射係数を増大させつつ、後段フィルタ部を音速膜積層構造とした場合には、第1のフィルタの低損失性および良好な温度特性を確保でき、また、後段フィルタ部においてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、第1のフィルタの広い帯域幅を確保できる。

0029

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部および前記後段フィルタ部を構成する弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、弾性波共振子が、前記IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記後段フィルタ部では、(1)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用してもよい。

0030

弾性波共振子の共振点および反共振点よりも高周波域では、バルク波漏洩による不要波が発生し、当該不要波強度は、音速膜積層構造を採用した場合の方が、LiTaO3のリーキー波を弾性表面波として利用する、またはLiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合よりも小さくできる。

0031

よって、第1のフィルタが低周波側フィルタであり、第2のフィルタが高周波側フィルタである場合において、第1のフィルタの前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。さらに、後段フィルタ部においてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、第1のフィルタの広い帯域幅を確保できる。

0032

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部および前記後段フィルタ部を構成する弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記前段フィルタ部では、LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用し、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用してもよい。

0033

弾性波共振子の共振点および反共振点よりも高周波域では、バルク波漏洩による不要波が発生し、当該不要波強度は、LiTaO3のリーキー波を弾性表面波として利用する場合の方が、LiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合よりも小さくできる。

0034

よって、第1のフィルタが低周波側フィルタであり、第2のフィルタが高周波側フィルタである場合において、第1のフィルタの前段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部の第2通過帯域における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。さらに、後段フィルタ部においてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、第1のフィルタの広い帯域幅を確保できる。

0035

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、および(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有してもよい。

0036

弾性波共振子として音速膜積層構造を有する場合には、弾性波共振子の共振周波数の0.76倍付近にレイリー波のスプリアスが発生する。よって、第1のフィルタの後段フィルタ部を音速膜積層構造とし、前段フィルタ部を音速膜積層構造としないことにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を、大きくできる。

0037

よって、第1のフィルタが高周波側フィルタであり、第2のフィルタが低周波側フィルタである場合において、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0038

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも高周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(3)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用してもよい。

0039

LiTaO3のリーキー波を弾性波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の0.76倍付近にレイリー波のスプリアスが発生する。よって、第1のフィルタの後段フィルタ部ではLiTaO3のリーキー波を弾性波として利用し、前段フィルタ部ではLiTaO3のリーキー波を弾性波として利用しないことにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を、大きくできる。

0040

よって、第1のフィルタが高周波側フィルタであり、第2のフィルタが低周波側フィルタである場合において、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0041

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用してもよい。

0042

LiNbO3のレイリー波を弾性波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の1.2倍付近に高次モードが発生する。よって、第1のフィルタの後段フィルタ部ではLiNbO3のレイリー波と弾性波として利用し、前段フィルタ部ではLiNbO3のレイリー波を弾性波として利用しないことにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を、大きくできる。

0043

よって、第1のフィルタが低周波側フィルタであり、第2のフィルタが高周波側フィルタである場合において、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0044

また、前記第1通過帯域は前記第2通過帯域よりも低周波側に位置し、前記前段フィルタ部では、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する、(2)弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有する、(3)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、ならびに(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、前記後段フィルタ部では、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用してもよい。

0045

LiNbO3のラブ波を弾性波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の1.2倍付近に高次モードが発生する。よって、第1のフィルタの後段フィルタ部ではLiNbO3のラブ波と弾性波として利用し、前段フィルタ部ではLiNbO3のラブ波を弾性波として利用しないことにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を、大きくできる。

0046

よって、第1のフィルタが低周波側フィルタであり、第2のフィルタが高周波側フィルタである場合において、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0047

また、前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部を構成する前記IDT電極と、前記後段フィルタ部を構成する前記IDT電極とでは、膜厚またはデューティーが異なってもよい。

0048

LiTaO3のリーキー波を弾性波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の低周波側にレイリー波のスプリアスが発生する。これに対して、前段フィルタ部と後段フィルタ部とで、IDT電極の膜厚またはデューティーを異ならせることにより、前段フィルタ部におけるレイリー波スプリアスの発生周波数を、第2通過帯域外へとシフトさせることが可能となる。これにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を、大きくでき、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0049

また、前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚、前記IDT電極のデューティー、および前記低音速膜の膜厚、のいずれかが異なってもよい。

0050

音速膜積層構造を採用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の低周波側にレイリー波のスプリアスが発生する。これに対して、前段フィルタ部と後段フィルタ部とで、IDT電極の膜厚またはデューティーを異ならせることにより、前段フィルタ部におけるレイリー波スプリアスの発生周波数を、第2通過帯域外へとシフトさせることが可能となる。これにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を大きくでき、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0051

また、前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極と当該IDT電極上に形成された保護膜で構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、(1)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するレイリー波、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚、前記IDT電極のデューティー、および前記保護膜の膜厚、のいずれかが異なってもよい。

0052

LiNbO3のレイリー波、またはLiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側に高次モードが発生する。これに対して、前段フィルタ部と後段フィルタ部とで、IDT電極の膜厚、IDT電極のデューティー、または低音速膜の膜厚を異ならせることにより、前段フィルタ部における高次モードの発生周波数を、第2通過帯域外へとシフトさせることが可能となる。これにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を大きくでき、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0053

また、前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、弾性波共振子が、IDT電極が一方の主面上に形成された前記圧電体層、前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が高速である高音速支持基板、および前記高音速支持基板と前記圧電体層との間に配置され前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜で構成された音速膜積層構造を有し、前記高音速支持基板はシリコン結晶で構成され、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記圧電体層の膜厚、前記低音速膜の膜厚、および前記高音速支持基板のシリコン結晶方位、のいずれかが異なってもよい。

0054

音速膜積層構造を採用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側に高次モードが発生する。これに対して、前段フィルタ部と後段フィルタ部とで、圧電体層の膜厚、低音速膜の膜厚、または高音速支持基板のシリコン結晶方位を異ならせることにより、前段フィルタ部における高次モードの発生周波数を、第2通過帯域外へとシフトさせることが可能となる。これにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を大きくでき、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0055

また、前記第1のフィルタを構成する前記2以上の弾性波共振子は、圧電体層を有する基板と当該基板上に形成されたIDT電極とで構成された弾性表面波共振子であり、前記第1のフィルタでは、(1)LiTaO3からなる前記圧電体層を伝搬するリーキー波、または(2)LiNbO3からなる前記圧電体層を伝搬するラブ波、を弾性表面波として利用し、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部とでは、前記IDT電極の膜厚が異なってもよい。

0056

LiTaO3のリーキー波またはLiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側にバルク波(不要波)が発生する。これに対して、前段フィルタ部と後段フィルタ部とで、IDT電極の膜厚を異ならせることにより、前段フィルタ部におけるバルク波の発生周波数を、第2通過帯域外へとシフトさせることが可能となる。これにより、第1のフィルタの第2通過帯域における反射係数を大きくでき、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。

0057

また、さらに、第3入出力端子と、前記共通端子と前記第3入出力端子との間に配置された2以上の弾性波共振子で構成され、前記第2通過帯域と周波数が異なる第3通過帯域を有する第3のフィルタと、を備え、前記第3のフィルタは、前記前段フィルタ部と、前記2以上の弾性波共振子のうち前記第3入出力端子側に配置された、前記前段フィルタ部の弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された第2後段フィルタ部と、を備え、前記第1のフィルタおよび前記第3のフィルタは、さらに、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部および前記第2後段フィルタ部との間に配置され、前記前段フィルタ部と前記後段フィルタ部との接続、および、前記前段フィルタ部と前記第2後段フィルタ部との接続を切り替えるスイッチを備え、前記前段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数は、前記第2後段フィルタ部を単体で前記共通端子側から見た場合の前記第2通過帯域における反射係数よりも大きくてもよい。

0058

これにより、例えば、第1のフィルタと第3のフィルタとの周波数帯域が重複するような場合であっても、スイッチを切り替えることにより、第1のフィルタおよび第3のフィルタの挿入損失を悪化させることなく、第2のフィルタの束ねロスを低減できる。また、第1のフィルタおよび第3のフィルタは、前段フィルタ部を共用しているので、マルチプレクサ全体を小型化することが可能となる。

0059

また、本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、上記記載のマルチプレクサと、前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える。

0060

これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減することができる高周波フロントエンド回路を提供できる。

0061

また、本発明の一態様に係る通信装置は、アンテナ素子で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する上記記載の高周波フロントエンド回路と、を備える。

0062

これにより、第2のフィルタの束ねロスを低減することができる通信装置を提供できる。

発明の効果

0063

本発明に係るマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路または通信装置によれば、小型化しつつ高周波信号の伝搬損失を低減できる。

図面の簡単な説明

0064

実施の形態1に係るマルチプレクサの回路構成図である。
実施の形態1に係るマルチプレクサの反射特性を説明する図である。
実施の形態1の変形例1に係るマルチプレクサの回路構成図である。
実施の形態1の変形例1に係るマルチプレクサの反射特性を説明する図である。
実施の形態1に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
2つのフィルタを共通端子で束ねた場合の課題を説明する図である。
束ね前のフィルタBの反射損失とフィルタAの束ねロスとの関係を示すグラフである。
ラダー型フィルタを構成する各共振子抵抗成分Rを付加した状態で反射損失を測定する回路図である。
抵抗成分Rを付加した各共振子の位置と反射損失の変化との関係を表すグラフである。
実施の形態1に係るマルチプレクサの共振子を模式的に表す平面図および断面図の一例である。
実施の形態1の変形例2に係るマルチプレクサの低域1における反射特性を説明する図である。
実施の形態1の変形例2に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構成の組み合わせを表す図である。
実施の形態1の変形例3に係るマルチプレクサの高域1におけるバルク波漏洩を説明する図である。
実施の形態1の変形例3に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構成の組み合わせを表す図である。
実施の形態1の変形例4に係るマルチプレクサの低域2におけるスプリアスの発生を説明する図である。
実施の形態1の変形例4に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構成の組み合わせを表す図である。
実施の形態1の変形例5に係るマルチプレクサの高域2における高次モードの発生を説明する図である。
実施の形態1の変形例5に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構成の組み合わせを表す図である。
実施の形態1に係る低周波側フィルタの高次モードによる反射損失の劣化を表すグラフである。
実施の形態1の変形例6に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構造を異ならせるパラメータを表す図である。
実施の形態1の変形例7に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構造を異ならせるパラメータを表す図である。
実施の形態1の変形例8に係る前段フィルタ部および後段フィルタ部の構造を異ならせるパラメータを表す図である。
実施の形態1の変形例9に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例10に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例11に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例12に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例13に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例14に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例15に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例16に係る低周波側フィルタの回路構成図である。
実施の形態1の変形例17に係るマルチプレクサの回路構成図である。
実施の形態2に係る高周波フロントエンド回路および通信装置の回路構成図である。

実施例

0065

以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。

0066

(実施の形態1)
[1.1マルチプレクサの回路構成]
図1Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aの回路構成図である。同図に示すように、マルチプレクサ1Aは、低周波側フィルタ11Aと、高周波側フィルタ12Aと、共通端子101と、入出力端子102および103とを備える。マルチプレクサ1Aは、共通端子101で束ねられた低周波側フィルタ11Aおよび高周波側フィルタ12Aを備える複合弾性波フィルタ装置である。

0067

共通端子101は、例えば、アンテナ素子に接続可能であり、入出力端子102および103は、増幅回路を介して高周波信号処理回路に接続可能である。

0068

低周波側フィルタ11Aは、共通端子101と入出力端子102(第1入出力端子)との間に配置され、第1通過帯域を有する第1のフィルタである。低周波側フィルタ11Aは、前段フィルタ部11Fと、後段フィルタ部11Rとを有している。

0069

前段フィルタ部11Fは、2以上の弾性波共振子のうち共通端子101側に配置された1以上の弾性波共振子で構成されている。一方、後段フィルタ部11Rは、2以上の弾性波共振子のうち入出力端子102側に配置された、前段フィルタ部11Fの弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成されている。前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rを構成する弾性波共振子の構造については、図3以降にて詳述する。

0070

高周波側フィルタ12Aは、共通端子101と入出力端子103(第2入出力端子)との間に配置され、第1通過帯域よりも高周波側に位置する第2通過帯域を有する第2のフィルタである。

0071

図1Bは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aの反射特性を説明する図である。同図には、低周波側フィルタ11Aおよび高周波側フィルタ12Aのフィルタ通過特性、および、前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの反射特性が示されている。ここで、本実施の形態に係るマルチプレクサ1Aにおいて、前段フィルタ部11Fを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域12H(第2通過帯域)における反射係数は、後段フィルタ部11Rを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域12H(第2通過帯域)における反射係数よりも大きい。

0072

なお、前段フィルタ部および後段フィルタ部を有するフィルタは、低周波側フィルタに限定されず、図2Aのように、第1のフィルタが高周波側フィルタであってもよい。

0073

図2Aは、実施の形態1の変形例1に係るマルチプレクサ1Bの回路構成図である。同図に示すように、マルチプレクサ1Bは、低周波側フィルタ11Bと、高周波側フィルタ12Bと、共通端子101と、入出力端子102および103とを備える。マルチプレクサ1Bは、共通端子101で束ねられた低周波側フィルタ11Bおよび高周波側フィルタ12Bを備える複合弾性波フィルタ装置である。

0074

高周波側フィルタ12Bは、共通端子101と入出力端子103(第1入出力端子)との間に配置され、第1通過帯域を有する第1のフィルタである。高周波側フィルタ12Bは、前段フィルタ部12Fと、後段フィルタ部12Rとを有している。

0075

前段フィルタ部12Fは、2以上の弾性波共振子のうち共通端子101側に配置された1以上の弾性波共振子で構成されている。一方、後段フィルタ部12Rは、2以上の弾性波共振子のうち入出力端子103側に配置され、前段フィルタ部12Fの弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成されている。

0076

低周波側フィルタ11Bは、共通端子101と入出力端子102(第3入出力端子)との間に配置され、第1通過帯域よりも低周波側に位置する第2通過帯域を有する第2のフィルタである。

0077

図2Bは、実施の形態1の変形例1に係るマルチプレクサ1Bの反射特性を説明する図である。同図には、高周波側フィルタ12Bおよび低周波側フィルタ11Bのフィルタ通過特性、および、前段フィルタ部12Fおよび後段フィルタ部12Rの反射特性が示されている。ここで、本変形例に係るマルチプレクサ1Bにおいて、前段フィルタ部12Fを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域11L(第2通過帯域)における反射係数は、後段フィルタ部12Rを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域11L(第2通過帯域)における反射係数よりも大きい。

0078

図3は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aが有する低周波側フィルタ11Aの回路構成図の一例である。同図に示すように、低周波側フィルタ11Aは、直列腕共振子s11、s12、s13、およびs14と、並列腕共振子p11、p12、およびp13とで構成されている。直列腕共振子s11〜s14は、共通端子101と入出力端子102とを結ぶ直列腕に、この順で共通端子101側から接続されている。また、並列腕共振子p11〜p13は、上記直列腕とグランド端子とを結ぶ並列腕に接続されている。直列腕共振子s11〜s14および並列腕共振子p11〜p13の上記構成により、低周波側フィルタ11Aは、ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。なお、低周波側フィルタ11Aは、ラダー型のバンドパスフィルタに限定されない。低周波側フィルタ11Aの共振子構成については、図15A図16Bにて説明する。

0079

直列腕共振子s11〜s14および並列腕共振子p11〜p13の構造としては、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振子、SMR(Solidly Mounted Resonator)、BAW(Bulk Acoustic Wave)を用いたFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)であってもよい。

0080

ここで、前段フィルタ部11Fは、直列腕共振子s11〜s14および並列腕共振子p11〜p13のうち、共通端子101に最近接する直列腕共振子s11を含み、後段フィルタ部11Rは、前段フィルタ部11Fの直列腕共振子s11以外の共振子、つまり、直列腕共振子s12〜s14および並列腕共振子p11〜p13を含む。

0081

なお、本実施の形態に係るマルチプレクサ1Aおよび1Bにおいて、共通端子101で束ねられるフィルタの数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。

0082

[1.2マルチプレクサの束ねロス低減効果
図4は、2つのフィルタ(フィルタAおよびフィルタB)を共通端子で束ねた場合の課題を説明する図である。図4に示すように、フィルタA(通過帯域A)およびフィルタB(通過帯域B)が、共通端子で束ねられているマルチプレクサを想定する。この場合におけるマルチプレクサの挿入損失を考える。

0083

フィルタAにおける通過帯域Aの挿入損失は、フィルタA自体の挿入損失に加え、フィルタBの影響を受けて悪化する。なお、フィルタBに起因したフィルタAの挿入損失の悪化分を束ねロスと呼ぶことにする。ここで、フィルタAの束ねロスは、フィルタBの通過帯域Aにおける反射特性が影響する。

0084

図5は、束ね前のフィルタBの反射損失とフィルタAの束ねロスとの関係を示すグラフである。図5横軸は、共通端子で束ねる前のフィルタBにおいて共通端子側からフィルタBを見た場合の反射損失(リターンロス)であり、図5縦軸は、共通端子で束ねられた場合のフィルタAの束ねロス(通過帯域Aの挿入損失の悪化分)を示している。図5に示すように、束ね前のフィルタBの反射損失.が小さいほど、フィルタAの束ねロスは低減する。言い換えると、束ね前のフィルタBの反射係数.が大きいほど、フィルタAの束ねロスは低減する。

0085

次に、フィルタを構成する各弾性波共振子の反射特性への寄与度について説明する。

0086

図6Aは、ラダー型フィルタを構成する各弾性波共振子に抵抗成分Rを付加した状態で反射損失を測定する回路図である。ラダー型フィルタを構成する直列腕共振子s51〜s55および並列腕共振子p51〜p54のいずれかに抵抗成分Rを付加すると、抵抗成分Rが付加された共振子のインピーダンスが高くなり反射損失が増加する。

0087

図6Bは、抵抗成分Rを付加した共振子の位置と反射損失の変化との関係を表すグラフである。図6Bの横軸は、抵抗成分Rを付加した共振子の位置(図6Aにおける位置1〜位置9)を示し、図6Bの縦軸は、Port1からラダー型フィルタを見た場合の反射損失の変化分を示している。図6Bに示すように、Port1(束ね側)に近い共振子ほど、反射損失の変化分が大きく、Port1(束ね側)から離れるにつれ、反射損失の変化分は小さくなり、やがて反射損失には全く影響しなくなる。

0088

つまり、フィルタAの束ねロスを低減させるには、フィルタBの束ね側に近い共振子の通過帯域Aにおける反射損失を小さく(反射係数を大きく)しておくことが重要となる。一方で、フィルタBの反射特性を上記のように向上させつつ、フィルタBの通過特性減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性を要求仕様等に応じて確保する必要がある。弾性波共振子の構成によっては、反射特性と上記フィルタ特性とは両立しないケースがある。

0089

以上の観点から、発明者らは、フィルタBにおいて、反射特性に影響の大きい前段フィルタ部では反射係数を大きくすることを最優先させ、反射特性に影響の小さい後段フィルタ部では、通過特性、減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性を確保する構成をとることを見出した。

0090

本実施の形態に係るマルチプレクサ1Aでは、図3に示すように、共通端子101側に配置された直列腕共振子s11を前段フィルタ部11Fとし、入出力端子102側に配置された直列腕共振子s12〜s14および並列腕共振子p11〜p13を後段フィルタ部11Rとする。ここで、前段フィルタ部11Fの(高周波側フィルタ12Aの)第2通過帯域における反射係数を、後段フィルタ部11Rの(高周波側フィルタ12Aの)第2通過帯域における反射係数よりも大きくしているので、共通端子101側から低周波側フィルタ11A第1のフィルタを見た場合の第2通過帯域における反射損失を、より低減できる。これにより、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できるので、マルチプレクサ1A全体の挿入損失を低減できる。

0091

なお、図6Bの結果より、前段フィルタ部は、直列腕共振子s51〜s55および並列腕共振子p51〜p54のうち、反射特性に影響の大きい直列腕共振子s51および並列腕共振子p51で構成されてもよい。つまり、前段フィルタ部は、複数の弾性波共振子のうち、共通端子の近接する2つの弾性波共振子を含んでもよい。

0092

一方、束ねロスに影響する必要最小限の弾性波共振子のみについて反射係数を増大させ、その他の弾性波共振子についてはフィルタ特性を向上させることに寄与させるという観点では、本実施の形態のように、直列腕共振子s11のみを前段フィルタ部11Fとし、その他の共振子を後段フィルタ部11Rとすることが好ましい。

0093

以下では、前段フィルタ部で反射係数を大きくし、後段フィルタ部で通過特性、減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性を向上させる具体的構成の組み合わせを例示する。

0094

まず、弾性波共振子の構造の一例について説明する。

0095

[1.3弾性波共振子構造]
図7は、実施の形態1に係るマルチプレクサの共振子を模式的に表す平面図および断面図の一例である。図7では、本実施の形態に係る弾性波共振子(直列腕共振子および並列腕共振子)が、例えば、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振子である場合を示している。なお、同図には、図3に示された低周波側フィルタ11Aを構成する複数の共振子のうち、直列腕共振子s11の構造を表す平面摸式図および断面模式図が例示されている。なお、図7に示された直列腕共振子s11は、上記複数の共振子の典型的な構造を説明するためのものであって、電極を構成する電極指の本数や長さなどは、これに限定されない。

0096

低周波側フィルタ11Aの各共振子は、圧電体層83を有する基板80と、櫛形形状を有するIDT(InterDigital Transducer)電極71aおよび71bとで構成されている。

0097

図7の平面図に示すように、圧電体層83の上には、互いに対向する一対のIDT電極71aおよび71bが形成されている。IDT電極71aは、互いに平行な複数の電極指172aと、複数の電極指172aを接続するバスバー電極171aとで構成されている。また、IDT電極71bは、互いに平行な複数の電極指172bと、複数の電極指172bを接続するバスバー電極171bとで構成されている。複数の電極指172aおよび172bは、X軸方向と直交する方向に沿って形成されている。

0098

また、複数の電極指172aおよび172b、ならびに、バスバー電極171aおよび171bで構成されるIDT電極71は、図7の断面図に示すように、密着層72と主電極層73との積層構造となっている。

0099

密着層72は、圧電体層83と主電極層73との密着性を向上させるための層であり、材料として、例えば、Tiが用いられる。密着層72の膜厚は、例えば、10nm程度である。

0100

主電極層73は、材料として、例えば、Cuを1%含有したAlが用いられる。主電極層73の膜厚は、例えば130nm程度である。

0101

保護膜84は、IDT電極71aおよび71bを覆うように形成されている。保護膜84は、主電極層73を外部環境から保護する、周波数温度特性を調整する、および、耐湿性を高めるなどを目的とする層であり、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜である。保護膜84の膜厚は、例えば30nm程度である。

0102

なお、密着層72、主電極層73および保護膜84を構成する材料は、上述した材料に限定されない。さらに、IDT電極71は、上記積層構造でなくてもよい。IDT電極71は、例えば、Ti、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Pdなどの金属または合金から構成されてもよく、また、上記の金属または合金から構成される複数の積層体から構成されてもよい。また、保護膜84は、形成されていなくてもよい。

0103

つぎに、基板80の積層構造について説明する。

0104

図7下段に示すように、基板80は、高音速支持基板81と、低音速膜82と、圧電体層83とを備え、高音速支持基板81、低音速膜82および圧電体層83がこの順で積層された構造(音速膜積層構造)を有している。

0105

圧電体層83は、例えば、42°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶または圧電セラミックス(X軸を中心軸としてY軸から42°回転した軸を法線とする面で切断したタンタル酸リチウム単結晶またはセラミックスであって、X軸方向に弾性表面波が伝搬する単結晶またはセラミックス)からなる。この場合、弾性波共振子は、リーキー波を弾性波として利用する。

0106

また、圧電体層83は、例えば、128°YカットX伝搬LiNbO3圧電単結晶または圧電セラミックスからなる。この場合、弾性波共振子は、レイリー波を弾性波として利用する。

0107

また、圧電体層83は、例えば、YカットX伝搬LiNbO3圧電単結晶または圧電セラミックスからなる。この場合、弾性波共振子は、ラブ波を弾性波として利用する。

0108

なお、圧電体層83の単結晶材料カット角、積層構造は、フィルタの要求仕様(通過特性、減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性)などに応じて、適宜、選択される。

0109

高音速支持基板81は、低音速膜82、圧電体層83ならびにIDT電極71を支持する基板である。高音速支持基板81は、さらに、圧電体層83を伝搬する表面波境界波の弾性波よりも、高音速支持基板81中のバルク波の音速が高速となる基板であり、弾性表面波を圧電体層83および低音速膜82が積層されている部分に閉じ込め、高音速支持基板81より下方に漏れないように機能する。高音速支持基板81は、例えば、シリコン基板であり、厚みは、例えば200μmである。なお、高音速支持基板81は、(1)窒化アルミニウム酸化アルミニウム炭化ケイ素窒化ケイ素シリコンサファイア、サファイア、リチウムタンタレートリチウムニオベイト、または水晶等の圧電体、(2)アルミナジルコニアコージライトムライトステアタイト、またはフォルステライト等の各種セラミック、(3)マグネシアダイヤモンド、(4)上記各材料を主成分とする材料、ならびに、(5)上記各材料の混合物を主成分とする材料、のいずれかで構成されていてもよい。

0110

低音速膜82は、圧電体層83を伝搬する弾性波の音速よりも、低音速膜82中のバルク波の音速が低速となる膜であり、圧電体層83と高音速支持基板81との間に配置される。この構造と、弾性波が本質的に低音速な媒質エネルギーが集中するという性質とにより、弾性表面波エネルギーのIDT電極外への漏れが抑制される。低音速膜82は、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜である。低音速膜82の厚みは、例えば500nm程度である。

0111

基板80の上記音速膜積層構造によれば、圧電基板単層で使用している従来の構造と比較して、共振周波数および反共振周波数におけるQ値を大幅に高めることが可能となる。すなわち、Q値が高い弾性表面波共振子を構成し得るので、当該弾性表面波共振子を用いて、挿入損失が小さいフィルタを構成することが可能となる。

0112

なお、高音速支持基板81は、支持基板と、圧電体層83を伝搬する表面波や境界波の弾性波よりも、伝搬するバルク波の音速が高速となる高音速膜とが積層された構造を有していてもよい。この場合、支持基板は、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体またはシリコン、窒化ガリウム等の半導体及び樹脂基板等を用いることができる。また、高音速膜は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素DLC膜またはダイヤモンド、上記材料を主成分とする媒質、上記材料の混合物を主成分とする媒質等、様々な高音速材料を用いることができる。

0113

なお、上記説明では、弾性波共振子を構成するIDT電極71は、圧電体層83を有する基板80上に形成された例を示したが、IDT電極71が形成される基板は、圧電体層83の単層からなる圧電基板であってもよい。この場合の圧電基板は、例えば、LiTaO3の圧電単結晶、または、LiNbO3などの他の圧電単結晶で構成される。

0114

また、IDT電極71が形成される基板は、圧電体層83を有する限り、全体が圧電体層からなるものの他、支持基板上に圧電体層が積層されている構造を用いてもよい。

0115

ここで、IDT電極71の設計パラメータについて説明する。弾性表面波共振子の波長とは、図7中段に示すIDT電極71を構成する複数の電極指172aまたは172bの繰り返し周期である波長λで規定される。また、電極ピッチは、波長λの1/2であり、IDT電極71aおよび71bを構成する電極指172aおよび172bのライン幅をWとし、隣り合う電極指172aと電極指172bとの間のスペース幅をSとした場合、(W+S)で定義される。また、IDT電極の交叉幅Lは、図7上段に示すように、IDT電極71aの電極指172aとIDT電極71bの電極指172bとのX軸方向から見た場合の重複する電極指長さである。また、各共振子の電極デューティーは、複数の電極指172aおよび172bのライン幅占有率であり、複数の電極指172aおよび172bのライン幅とスペース幅との加算値に対する当該ライン幅の割合であり、W/(W+S)で定義される。

0116

[1.4弾性波共振子構造_低域1における反射係数]
以下、前段フィルタ部で反射係数を増大させ、後段フィルタ部で通過特性、減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性を向上させる具体的構成の組み合わせを例示する。

0117

図8Aは、実施の形態1の変形例2に係るマルチプレクサ1Bの低域1における反射特性を説明する図である。同図の下段に示すように、弾性波共振子のインピーダンス特性において、インピーダンスが極小値となる共振点、および、インピーダンスが極大値となる反共振点が確認される。ここで、共振点よりも低周波側の領域(図8Aの低域1)では、弾性波共振子の構造に応じてインピーダンスが異なり、当該インピーダンスの大小に応じて反射特性の優劣が存在する。より具体的には、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波、および(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波、のいずれかを弾性表面波として利用する構造、ならびに(4)上記音速膜積層構造、の方が、SMRまたはFBARよりも、低域1における反射損失が小さい。

0118

図8Bは、実施の形態1の変形例2に係る前段フィルタ部12Fおよび後段フィルタ部12Rの構成の組み合わせを表す図である。

0119

上記反射損失の関係より、図8Bに示すように、変形例1に係るマルチプレクサ1Bの高周波側フィルタ12Bにおいて、前段フィルタ部12Fでは、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波、および(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波、のいずれかを弾性表面波として利用する構造としてもよい。

0120

これにより、マルチプレクサ1Bにおいて、高周波側フィルタ12Bの前段フィルタ部12Fの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を、後段フィルタ部12Rの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。

0121

一方、後段フィルタ部12Rでは、弾性波共振子がSMRまたはFBARで構成されてもよい。

0122

これにより、前段フィルタ部12Fの構成により高周波側フィルタ12Bの反射係数を増大させつつ、後段フィルタ部12Rの上記構成により、高周波側フィルタ12Bの低損失性および通過帯域の急峻性を確保できる。

0123

また、図8Bに示すように、前段フィルタ部12Fを構成する弾性波共振子のそれぞれは、上述した音速膜積層構造を有し、後段フィルタ部12Rでは、弾性波共振子がSMRまたはFBARで構成されてもよい。

0124

これにより、マルチプレクサ1Bにおいて、高周波側フィルタ12Bの前段フィルタ部12Fの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を、後段フィルタ部12Rの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数よりも大きくすることが可能となる。よって、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。前段フィルタ部12Fの構成により高周波側フィルタ12Bの反射係数を増大させつつ、後段フィルタ部12Rの上記構成により、高周波側フィルタ12Bの低損失性および通過帯域の急峻性を確保できる。

0125

[1.5弾性波共振子構造_高域1におけるバルク波漏洩]
図9Aは、実施の形態1の変形例3に係るマルチプレクサ1Aの高域1におけるバルク波漏洩を説明する図である。同図の下段に示すように、弾性波共振子の反共振点よりも高周波側の領域(図9Aの高域1)では、バルク波漏洩(不要波)によるインピーダンスの変化が発生し、当該インピーダンスの変化に応じて反射特性の優劣が存在する。より具体的には、高域1でのバルク波漏洩による反射損失は、小さい方から順に、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性波として利用する構造、SMR、FBAR、(2)音速膜積層構造、(3)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性波として利用する構造、(4)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性波として利用する構造、となる。

0126

図9Bは、実施の形態1の変形例3に係る前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの構成の組み合わせを表す図である。

0127

上記反射損失の優劣順位により、図9Bに示すように、マルチプレクサ1Aの低周波側フィルタ11Aにおいて、前段フィルタ部11Fでは、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造、(2)弾性波共振子がSMRで構成される、および(3)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであってもよい。

0128

これにより、マルチプレクサ1Aにおいて、低周波側フィルタ11Aの前段フィルタ部11Fの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を、後段フィルタ部11Rの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数よりも大きくすることが可能となる。よって、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0129

一方、後段フィルタ部11Rは、(1)上記音速膜積層構造、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造、および(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造、のいずれかを有していてもよい。

0130

これにより、前段フィルタ部11Fの構成により低周波側フィルタ11Aの反射係数を増大させつつ、後段フィルタ部11Rを音速膜積層構造とした場合には、低周波側フィルタ11Aの低損失性および良好な温度特性を確保できる。また、後段フィルタ部11RにおいてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、低周波側フィルタ11Aの広い帯域幅を確保できる。

0131

また、前段フィルタ部11Fでは、弾性波共振子が、上記音速膜積層構造を有し、後段フィルタ部11Rでは、(1)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造、または(2)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造を有していてもよい。

0132

これにより、マルチプレクサ1Aにおいて、低周波側フィルタ11Aの前段フィルタ部11Fの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を、後段フィルタ部11Rの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数よりも大きくすることが可能となる。よって、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。さらに、後段フィルタ部11RにおいてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、低周波側フィルタ11Aの広い帯域幅を確保できる。

0133

また、前段フィルタ部11Fでは、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造を有し、後段フィルタ部11Rでは、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造を有していてもよい。

0134

よって、マルチプレクサ1Aにおいて、低周波側フィルタ11Aの前段フィルタ部11Fの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を、後段フィルタ部11Rの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数よりも大きくすることが可能となる。これにより、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。さらに、後段フィルタ部11RにおいてLiNbO3によるラブ波を弾性表面波として利用した場合には、低周波側フィルタ11Aの広い帯域幅を確保できる。

0135

[1.6弾性波共振子構造_低域2におけるスプリアス]
図10Aは、実施の形態1の変形例4に係るマルチプレクサ1Bの低域2におけるスプリアスの発生を説明する図である。同図の下段に示すように、弾性波共振子の共振点よりも低周波側の領域(図10Aの低域2)では、特に、上記音速膜積層構造、または、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性波として利用する構造において、共振周波数の0.76倍付近にレイリー波のスプリアスが発生する。このスプリアス発生によりインピーダンスが変化し、当該インピーダンスの変化に応じて反射係数が小さくなる。

0136

図10Bは、実施の形態1の変形例4に係る前段フィルタ部12Fおよび後段フィルタ部12Rの構成の組み合わせを表す図である。

0137

図10Bに示すように、マルチプレクサ1Bの高周波側フィルタ12Bにおいて、前段フィルタ部12Fは、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、および(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、後段フィルタ部12Rは、弾性波共振子が、上記音速膜積層構造を有していてもよい。

0138

つまり、高周波側フィルタ12Bの後段フィルタ部12Rを音速膜積層構造とし、前段フィルタ部12Fを音速膜積層構造としないことにより、高周波側フィルタ12Bの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を、大きくできる。よって、マルチプレクサ1Bに場合において、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。

0139

また、図10Bに示すように、マルチプレクサ1Bの高周波側フィルタ12Bにおいて、前段フィルタ部12Fは、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造、(2)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造、(3)上記音速膜積層構造、(4)弾性波共振子がSMRで構成される、および(5)弾性波共振子がFBARで構成される、のいずれかであり、後段フィルタ部12Rは、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造を有していてもよい。

0140

つまり、高周波側フィルタ12Bの後段フィルタ部12RではLiTaO3のリーキー波を弾性波として利用し、前段フィルタ部12FではLiTaO3のリーキー波を弾性波として利用しないことにより、高周波側フィルタ12Bの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を、大きくできる。よって、マルチプレクサ1Bに場合において、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。

0141

[1.7弾性波共振子構造_高域2における高次モード]
図11Aは、実施の形態1の変形例5に係るマルチプレクサ1Aの高域2における高次モードの発生を説明する図である。同図の下段に示すように、弾性波共振子の共振点よりも高周波側の領域(図11Aの高域2)では、特に、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造、または、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造において、共振周波数の1.2倍付近に高次モードが発生する。この高次モード発生によりインピーダンスが変化し、当該インピーダンスの変化に応じて反射損失が大きくなる。

0142

図11Bは、実施の形態1の変形例5に係る前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの構成の組み合わせを表す図である。

0143

図11Bに示すように、マルチプレクサ1Aの低周波側フィルタ11Aにおいて、前段フィルタ部11Fは、(1)上記音速膜積層構造、(2)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造、(3)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造、(4)SMR、および(5)FBAR、のいずれかを有し、後段フィルタ部11Rは、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造を有していてもよい。

0144

つまり、低周波側フィルタ11Aの後段フィルタ部11RではLiNbO3のレイリー波と弾性波として利用し、前段フィルタ部11FではLiNbO3のレイリー波を弾性波として利用しないことにより、低周波側フィルタ11Aの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を、大きくできる。よって、マルチプレクサ1Aにおいて、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0145

また、図11Bに示すように、マルチプレクサ1Aの低周波側フィルタ11Aにおいて、前段フィルタ部11Fは、(1)LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波を弾性表面波として利用する構造、(2)上記音速膜積層構造、(3)LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用する構造、(4)SMR、および(5)FBARのいずれかを有しており、後段フィルタ部11Rでは、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用する構造を有していてもよい。

0146

つまり、低周波側フィルタ11Aの後段フィルタ部11RではLiNbO3のラブ波と弾性波として利用し、前段フィルタ部11FではLiNbO3のラブ波を弾性波として利用しないことにより、低周波側フィルタ11Aの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を、大きくできる。よって、マルチプレクサ1Aにおいて、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0147

[1.8弾性波共振子構造パラメータの調整]
図12Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aにおける低周波側フィルタ11Aの高次モードによる反射損失の劣化を表すグラフである。同図に示すように、共通端子101(Port1)から見た低周波側フィルタ11Aの反射損失は、共振点の高域側において、高次モードにより増大する(図12A破線領域)。ここで、高次モードにより反射損失が増大する周波数を、弾性波共振子の構造パラメータを変化させることにより、高周波側または低周波側へシフトさせることが可能である。または、弾性波共振子の構造パラメータを変化させることにより、高次モードにより反射損失の増大(反射係数の減少)を抑制することが可能である。

0148

この観点から、発明者らは、フィルタBにおいて、反射特性に影響の大きい前段フィルタ部では、構造パラメータを変化させることで高次モードやスプリアスなどの発生周波数をフィルタAの通過帯域外へとシフトさせ、反射特性に影響の小さい後段フィルタ部では、通過特性、減衰特性、温度特性、および帯域幅などのフィルタ特性を確保するために構造パラメータを最適化することを見出した。

0149

図12Bは、実施の形態1の変形例6に係るマルチプレクサ1Bの前段フィルタ部12Fおよび後段フィルタ部12Rの構造を異ならせるパラメータを表す図である。

0150

高周波側フィルタ12Bを構成する弾性波共振子のそれぞれは、圧電体層83を有する基板80と当該基板上に形成されたIDT電極71とで構成された弾性表面波共振子である。高周波側フィルタ12Bでは、図12Bに示すように、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波を弾性表面波として利用し、前段フィルタ部12Fを構成するIDT電極71と、後段フィルタ部12Rを構成するIDT電極71とでは、電極膜厚またはデューティーが異なる。

0151

LiTaO3のリーキー波を弾性波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の低周波側にレイリー波のスプリアスが発生する。これに対して、前段フィルタ部12Fと後段フィルタ部12Rとで、IDT電極71の電極膜厚またはデューティーを異ならせることにより、前段フィルタ部12Fにおけるレイリー波スプリアスの発生周波数を、第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)外へとシフトさせることが可能となる。これにより、高周波側フィルタ12Bの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を大きくでき、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。

0152

また、高周波側フィルタ12Bでは、図12Bに示すように、弾性波共振子が上記音速膜積層構造を有し、前段フィルタ部12Fと後段フィルタ部12Rとでは、IDT電極71の電極膜厚、IDT電極71のデューティー、および低音速膜82の膜厚、のいずれかが異なってもよい。

0153

音速膜積層構造を採用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の低周波側にレイリー波のスプリアスが発生する。これに対して、前段フィルタ部12Fと後段フィルタ部12Rとで、IDT電極71の電極膜厚またはデューティーを異ならせることにより、前段フィルタ部12Fにおけるレイリー波スプリアスの発生周波数を、第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)外へとシフトさせることが可能となる。これにより、高周波側フィルタ12Bの第2通過帯域(低周波側フィルタ11Bの通過帯域)における反射係数を大きくでき、低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。

0154

図12Cは、実施の形態1の変形例7に係るマルチプレクサ1Aの前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの構造を異ならせるパラメータを表す図である。

0155

低周波側フィルタ11Aを構成する弾性波共振子のそれぞれは、圧電体層83を有する基板80と当該基板上に形成されたIDT電極71と当該IDT電極71上に形成された保護膜84で構成された弾性表面波共振子である。低周波側フィルタ11Aでは、図12Cに示すように、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するレイリー波、または、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用し、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとでは、IDT電極71の電極膜厚、IDT電極71のデューティー、および保護膜84の膜厚、のいずれかが異なる。

0156

LiNbO3のレイリー波、またはLiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側に高次モードが発生する。これに対して、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとで、IDT電極71の電極膜厚、IDT電極71のデューティー、または低音速膜82の膜厚を異ならせることにより、前段フィルタ部11Fにおける高次モードの発生周波数を、第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)外へとシフトさせることが可能となる。これにより、低周波側フィルタ11Aの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を大きくでき、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0157

また、低周波側フィルタ11Aでは、図12Cに示すように、弾性波共振子が上記音速膜積層構造を有し、高音速支持基板81はシリコン結晶で構成され、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとでは、圧電体層83の膜厚、低音速膜82の膜厚、および高音速支持基板81のシリコン結晶方位、のいずれかが異なってもよい。

0158

音速膜積層構造を採用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側に高次モードが発生する。これに対して、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとで、圧電体層83の膜厚、低音速膜82の膜厚、または高音速支持基板81のシリコン結晶方位を異ならせることにより、前段フィルタ部11Fにおける高次モードの発生周波数を、第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)外へとシフトさせることが可能となる。これにより、低周波側フィルタ11Aの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を大きくでき、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0159

図13は、実施の形態1の変形例8に係るマルチプレクサ1Aの前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの構造を異ならせるパラメータを表す図である。

0160

低周波側フィルタ11Aを構成する弾性波共振子のそれぞれは、圧電体層83を有する基板80と当該基板上に形成されたIDT電極71とで構成された弾性表面波共振子である。低周波側フィルタ11Aでは、LiTaO3からなる圧電体層を伝搬するリーキー波、または、LiNbO3からなる圧電体層を伝搬するラブ波を弾性表面波として利用し、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとでは、IDT電極71の電極膜厚が異なる。

0161

LiTaO3のリーキー波またはLiNbO3のラブ波を弾性表面波として利用する場合には、弾性波共振子の共振周波数の高周波側にバルク波(不要波)が発生する。これに対して、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11Rとで、IDT電極71の電極膜厚を異ならせることにより、前段フィルタ部11Fにおけるバルク波の発生周波数を、第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)外へとシフトさせることが可能となる。これにより、低周波側フィルタ11Aの第2通過帯域(高周波側フィルタ12Aの通過帯域)における反射係数を大きくでき、高周波側フィルタ12Aの束ねロスを低減できる。

0162

[1.9マルチプレクサの回路構成の変形例]
図14は、実施の形態1の変形例9に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図である。同図に示された低周波側フィルタの回路構成は、実施の形態1に係る低周波側フィルタの回路構成と同じであるが、前段フィルタ部11Fおよび後段フィルタ部11Rの、ほか、最後段フィルタ部11Nが定義されている。

0163

ここで、前段フィルタ部11Fは、直列腕共振子s11〜s14および並列腕共振子p11〜p13のうち、共通端子101に最近接する直列腕共振子s11を含み、後段フィルタ部11Rは、直列腕共振子s12およびs13ならびに並列腕共振子p11およびp12を含み、最後段フィルタ部11Nは、直列腕共振子s14および並列腕共振子p13を含む。この場合には、前段フィルタ部11Fを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域12H(第2通過帯域)における反射係数は、後段フィルタ部11Rを単体で共通端子101側から見た場合の通過帯域12H(第2通過帯域)における反射係数よりも大きい。これに対して、最後段フィルタ部11Nの反射損失は、低周波側フィルタ11Aを単体で共通端子101側から見た場合の反射損失にほとんど影響しないので、任意であってよい。

0164

また、マルチプレクサ1Aにおける低周波側フィルタ11Aおよびマルチプレクサ1Bにおける高周波側フィルタ12Bは、ラダー型のフィルタ構造を有していてもよい。これにより低周波側フィルタ11Aおよび高周波側フィルタ12Bの低損失性を確保しつつ、高周波側フィルタ12Aおよび低周波側フィルタ11Bの束ねロスを低減できる。この場合には、前段フィルタ部は、直列腕共振子および並列腕共振子の少なくとも一方を含んでいればよい。

0165

図15Aは、実施の形態1の変形例10に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図である。また、図15Bは、実施の形態1の変形例11に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図である。図15Aに示すように、低周波側フィルタ11Aは、1つの直列腕共振子および1つの並列腕共振子を少なくとも有していればよい。図15Aの構成では、前段フィルタ部11Fは、直列腕共振子であり、後段フィルタ部11Rは、並列腕共振子である。また、図15Bの構成では、前段フィルタ部11Fは、1つの直列腕共振子であり、後段フィルタ部11Rは、2つの直列腕共振子および2つの並列腕共振子を有する。

0166

図15C図15Eは、実施の形態1の変形例12〜14に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図である。図15C図15Eに示すように、低周波側フィルタ11Aは、縦結合型のフィルタ構造を有していてもよい。これにより、低周波側フィルタ11Aおよび高周波側フィルタ12Bを、減衰強化等が要求されるフィルタ特性に適応させることが可能となる。

0167

図16Aは、実施の形態1の変形例15に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図であり、図16Bは、実施の形態1の変形例16に係る低周波側フィルタ11Aの回路構成図である。図16Aおよび図16Bに示すように、共通端子101に最近接する弾性波共振子は、直列腕共振子であってもよく、また、並列腕共振子であってもよい。

0168

図17は、実施の形態1の変形例17に係るマルチプレクサの回路構成図である。同図に示されたマルチプレクサは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aと比較して、低周波側フィルタ11Aの代わりに、2つの低周波側フィルタ11L1および11L2が配置されている点が異なる。以下、変形例17に係るマルチプレクサについて、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aと異なる点を中心に説明する。

0169

本変形例に係るマルチプレクサは、共通端子101、入出力端子102A(第1入出力端子)、102B(第3入出力端子)および103(第2入出力端子)と、共通端子101と入出力端子102Aとの間に配置された低周波側フィルタ11L1と、共通端子101と入出力端子102Bとの間に配置され低周波側フィルタ11L1の通過帯域と周波数が異なる第3通過帯域を有する低周波側フィルタ11L2(第3のフィルタ)と、共通端子101と入出力端子103との間に配置された高低周波側フィルタ12とを備える。

0170

低周波側フィルタ11L2は、前段フィルタ部11Fと、2以上の弾性波共振子のうち入出力端子102B側に配置された、前段フィルタ部11Fの弾性波共振子以外の弾性波共振子で構成された第2後段フィルタ部11R2とを備える。

0171

低周波側フィルタ11L1および低周波側フィルタ11L2は、さらに、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11R1および第2後段フィルタ部11R2との間に配置され、前段フィルタ部11Fと後段フィルタ部11R1との接続、および、前段フィルタ部11Fと第2後段フィルタ部11R2との接続を切り替えるスイッチ13を備える。ここで、前段フィルタ部11Fを単体で共通端子101側から見た場合の高低周波側フィルタ12の通過帯域における反射係数は、第2後段フィルタ部11R2を単体で共通端子101側から見た場合の高低周波側フィルタ12の通過帯域における反射係数よりも大きい。

0172

これにより、例えば、低周波側フィルタ11L1と低周波側フィルタ11L2との周波数帯域が重複するような場合であっても、スイッチ13を切り替えることにより、低周波側フィルタ11L1および11L2の挿入損失を悪化させることなく、高低周波側フィルタ12の束ねロスを低減できる。また、低周波側フィルタ11L1および11L2は、前段フィルタ部11Fを共用しているので、マルチプレクサ全体を小型化することが可能となる。

0173

(実施の形態2)
上記実施の形態1およびその変形例に係るマルチプレクサは、高周波フロントエンド回路、さらには当該高周波フロントエンド回路を備える通信装置に適用することもできる。そこで、本実施の形態では、このような高周波フロントエンド回路及び通信装置について説明する。

0174

図18は、実施の形態2に係る高周波フロントエンド回路30および通信装置40の回路構成図である。なお、同図には、通信装置40と接続されるアンテナ素子5についても併せて図示されている。高周波フロントエンド回路30と、RF信号処理回路(RFIC)6と、ベースバンド信号処理回路(BBIC)7とは、通信装置40を構成している。

0175

高周波フロントエンド回路30は、マルチプレクサ1Aと、スイッチ25と、ローノイズアンプ回路26とを備える。

0176

マルチプレクサ1Aは、例えば、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aである。

0177

スイッチ25は、マルチプレクサ1Aの入出力端子102および103に個別に接続された2つの選択端子、ならびに、ローノイズアンプ回路26に接続された共通端子を有するスイッチ回路である。スイッチ25は、制御部(図示せず)からの制御信号にしたがって、共通端子と所定のバンドに対応する信号経路とを接続し、例えば、SPDT(Single Pole Double Throw)型のスイッチによって構成される。なお、共通端子と接続される選択端子は1つに限らず、複数であってもかまわない。つまり、高周波フロントエンド回路30は、キャリアアグリゲーションに対応してもかまわない。

0178

ローノイズアンプ回路26は、アンテナ素子5、マルチプレクサ1Aおよびスイッチ25を経由した高周波信号(ここでは高周波受信信号)を増幅し、RF信号処理回路6へ出力する受信増幅回路である。

0179

RF信号処理回路6は、アンテナ素子5から受信信号経路を介して入力された高周波受信信号を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路7へ出力する。RF信号処理回路6は、例えば、RFICである。

0180

ベースバンド信号処理回路7で処理された信号は、例えば、画像信号として画像表示のために、または、音声信号として通話のために使用される。

0181

なお、高周波フロントエンド回路30は、上述した各構成要素の間に、他の回路素子を備えていてもよい。

0182

以上のように構成された高周波フロントエンド回路30および通信装置40によれば、実施の形態1またはその変形例に係るマルチプレクサを備えることにより、高周波信号の伝搬損失を低減でき、小型化および低コスト化が可能となる。

0183

なお、高周波フロントエンド回路30は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1Aに代わり、送信および受信の双方が可能なトリプレクサまたはクワッドプレクサを備えてもよい。

0184

また、通信装置40は、高周波信号の処理方式に応じて、ベースバンド信号処理回路(BBIC)7を備えていなくてもよい。

0185

(その他の変形例など)
以上、本発明の実施の形態に係るマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置について、実施の形態およびその変形例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る高周波フロントエンド回路および通信装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。

0186

例えば、上記説明では、マルチプレクサとして、2つの受信信号経路が共通端子で束ねられた2分波/合波回路を例に説明したが、本発明は、例えば、送信経路および受信経路の双方を含む回路や3つ以上の信号経路が共通端子で束ねられた分波/合波回路についても適用することができる。

0187

また、マルチプレクサが有する各フィルタにおいて、さらに、入出力端子および接地端子などの各端子の間に、インダクタキャパシタが接続されていてもよいし、抵抗素子などのインダクタおよびキャパシタ以外の回路素子が付加されていてもよい。

0188

本発明は、マルチバンド化およびマルチモード化された周波数規格に適用できる低損失、小型および低コストのマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路および通信装置として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。

0189

1A、1Bマルチプレクサ
5アンテナ素子
6RF信号処理回路(RFIC)
7ベースバンド信号処理回路(BBIC)
11A、11B、11L1、11L2低周波側フィルタ
11F、12F前段フィルタ部
11L、12H通過帯域
11R、11R1、11R2、12R後段フィルタ部
11N 最後段フィルタ部
12、12A、12B高周波側フィルタ
13、25 スイッチ
26ローノイズアンプ回路
30高周波フロントエンド回路
40通信装置
71、71a、71b IDT電極
72密着層
73主電極層
80基板
81高音速支持基板
82低音速膜
83圧電体層
84 保護膜
101共通端子
102、102A、102B、103入出力端子
171a、171bバスバー電極
172a、172b電極指
p11、p12、p13、p51、p52、p53、p54並列腕共振子
s11、s12、s13、s14、s51、s52、s53、s54、s55 直列腕共振子

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