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技術 高分子の異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法

出願人 学校法人早稲田大学住友電気工業株式会社
発明者 大木義路小松麻理奈井筒智之小高大祐齊藤隆志山崎孝則
出願日 2017年10月24日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-205436
公開日 2018年1月18日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-010022
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 時間遅延装置 標準試料用 振動電場 光伝導スイッチ フェムト秒パルスレーザ 平板ミラー 時間領域分光法 ネック部分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

アンバーを検出することができる高分子異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法を提供する。

解決手段

所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、標準試料と同じ高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとを比較し、検査対象の吸収スペクトルが標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、検査対象内異物があると判断する異物判断工程と、を有する。

概要

背景

エレクトロニクス分野食料品分野、または医療分野などの製造工程において、様々な方法により異物検査が行われている。例えば、電力ケーブルとしての固体絶縁ケーブルの製造工程においても異物検査が行われている。

電力ケーブルとしての固体絶縁ケーブルでは、ケーブル絶縁体として、例えば(架橋ポリエチレンなどの高分子が用いられている。ケーブル絶縁体は、加熱され溶融した状態で、ケーブル導体の外周を覆うように押出被覆される。この際、ケーブル絶縁体に異物混入すると、絶縁性能を損ね、商品価値下げてしまうため、ケーブル絶縁体の異物検査を行うことが重要となる。ケーブル絶縁体のベース樹脂は加熱され溶融した状態では(可視域で)透明であるため、従来では、可視光による異物検査が行われていた。しかしながら、ベース樹脂に添加物が加えられた高分子の場合では、溶融時においても高分子は透明とならず、可視光による異物検査はできなかった。そこで、従来では、可視光による異物検査ができない場合には、X線による異物検査が行われてきた(例えば、特許文献1)。

概要

アンバーを検出することができる高分子の異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法を提供する。所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、標準試料と同じ高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとを比較し、検査対象の吸収スペクトルが標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、を有する。

目的

本発明の目的は、アンバーを検出することができる高分子の異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、前記標準試料と同じ前記高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内異物があると判断する異物判断工程と、を有し、前記異物判断工程では、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加し、且つ、前記検査対象の吸収スペクトルでの前記高分子の結晶由来のピークが前記標準試料での吸収スペクトルでの前記前記高分子の結晶部由来のピークよりもブロードになっているときに、前記検査対象内の前記異物が無機物を含むと判断する高分子の異物検査方法

請求項2

ケーブル導体と、前記ケーブル導体の外周を覆うように設けられ、所定の高分子を含む被覆層と、を有する電力ケーブルの製造方法であって、前記被覆層の正常部に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、前記正常部と同じ前記高分子を含む前記被覆層の検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、前記正常部の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記正常部の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、を有し、前記異物判断工程では、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記正常部の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記正常部の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加し、且つ、前記検査対象の吸収スペクトルでの前記高分子の結晶部由来のピークが前記正常部での吸収スペクトルでの前記前記高分子の結晶部由来のピークよりもブロードになっているときに、前記検査対象内の前記異物が無機物を含むと判断する電力ケーブルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高分子異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法に関する。

背景技術

0002

エレクトロニクス分野食料品分野、または医療分野などの製造工程において、様々な方法により異物検査が行われている。例えば、電力ケーブルとしての固体絶縁ケーブルの製造工程においても異物検査が行われている。

0003

電力ケーブルとしての固体絶縁ケーブルでは、ケーブル絶縁体として、例えば(架橋ポリエチレンなどの高分子が用いられている。ケーブル絶縁体は、加熱され溶融した状態で、ケーブル導体の外周を覆うように押出被覆される。この際、ケーブル絶縁体に異物混入すると、絶縁性能を損ね、商品価値下げてしまうため、ケーブル絶縁体の異物検査を行うことが重要となる。ケーブル絶縁体のベース樹脂は加熱され溶融した状態では(可視域で)透明であるため、従来では、可視光による異物検査が行われていた。しかしながら、ベース樹脂に添加物が加えられた高分子の場合では、溶融時においても高分子は透明とならず、可視光による異物検査はできなかった。そこで、従来では、可視光による異物検査ができない場合には、X線による異物検査が行われてきた(例えば、特許文献1)。

先行技術

0004

特開平4−262427号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、ケーブル絶縁体には、「アンバー」と呼ばれる高分子の異物(高分子の熱老化酸化劣化、または早期架橋)も生じうる。アンバーとは、ケーブル絶縁体を構成する高分子が部分的に過熱されたときに発生する、または茶褐色の半透明の異物である。アンバーは、主として、高分子が押出機の内部で滞留することで熱老化したり、加熱により酸化劣化したり、または高分子が押出機の内部で滞留することで架橋剤と反応して部分的に早期架橋したりすることにより生じうる。このようなアンバーも、ケーブル絶縁体の絶縁性能を損ねるため、異物検査によって検出することが望まれる。

0006

しかしながら、上記した従来のX線を用いた異物検査では、正常な高分子とアンバーとを区別することができず、アンバーを検出することはできなかった。

0007

本発明の目的は、アンバーを検出することができる高分子の異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一態様によれば、
所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、
前記標準試料と同じ前記高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、
前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、
を有する高分子の異物検査方法が提供される。

0009

本発明の他の態様によれば、
ケーブル導体と、前記ケーブル導体の外周を覆うように設けられ、所定の高分子を含む被覆層と、を有する電力ケーブルの製造方法であって、
前記被覆層の正常部に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、
前記正常部と同じ前記高分子を含む前記被覆層の検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、
前記正常部の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記正常部の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、
を有する電力ケーブルの製造方法が提供される。

発明の効果

0010

本発明によれば、アンバーを検出することができる高分子の異物検査方法、および電力ケーブルの製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0011

本発明の第1実施形態に係る高分子の異物検査装置を示す概略構成図である。
本発明の第1実施形態に係る高分子の異物検査方法におけるフローを示す図である。
標準試料、試料1および2におけるテラヘルツ波の吸収スペクトルである。
標準試料、および試料3におけるテラヘルツ波の吸収スペクトルである。

0012

<本発明の第1実施形態>
(1)高分子の異物検査装置
まず、図1を用い、本発明の第1実施形態に係る異物検査装置10について説明する。図1は、本実施形態に係る高分子の異物検査装置を示す概略構成図である。

0013

(検査対象)
本実施形態の異物検査が行われる検査対象(被検査試料)100は、例えば、電力ケーブルのケーブル絶縁体を含んでいる。電力ケーブルは、例えば、固体絶縁ケーブルとして構成されている。具体的には、電力ケーブルは、中心に設けられたケーブル導体と、ケーブル導体の外周を覆うように設けられる被覆層(ケーブルシース)と、を備えている。被覆層は、例えば、内部半導電層、ケーブル絶縁体、および外部半導電層を有している。例えば、検査対象100は、完成品の電力ケーブルからケーブル導体を除いた被覆層(内部半導電層および外部半導電層を含む)からなる円筒状の試料、または、完成品の電力ケーブルのうちのケーブル絶縁体の一部を(短手方向または軸方向に数mmの厚さで)切り出した板状の試料として構成されている。なお、図1は、検査対象100が板状の試料である場合を示している。

0014

検査対象100を構成するケーブル絶縁体は、所定の高分子を含んでいる。ケーブル絶縁体を構成する高分子としては、例えば、ポリエチレン、架橋ポリエチレンポリプロピレンエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等のエチレン共重合体エチレンプロピレンゴムシリコーンゴム天然ゴムクロロプレンゴム等のゴムが挙げられる。

0015

(異物検査装置)
図1に示されているように、本実施形態に係る異物検査装置10は、例えば、テラヘルツ時間領域分光装置として構成されており、主に、レーザ500、テラヘルツ波発生部320、および検出部(受光部)340を有している。

0016

レーザ500は、例えば、発振波長1550nmのフェムト秒パルスレーザとして構成されている。レーザ500からのポンプ光は、ビームスプリッタ280およびミラー平板ミラー)290を介して、テラヘルツ波発生部320に照射される。テラヘルツ波発生部320は、例えば、テラヘルツ波の発生源としての光伝導アンテナ光伝導スイッチ)を有している。テラヘルツ波発生部320の光伝導アンテナの中央に設けられた微小ギャップに対して、直流電圧をかけた状態で、レーザ500からのポンプ光が照射されることにより、テラヘルツ波が発生する。テラヘルツ波発生部320から発生するテラヘルツ波の周波数帯域は、例えば、0.5THz以上4.0THz以下である。

0017

テラヘルツ波発生部320から発生したテラヘルツ波は、曲面ミラー220を介して、検査対象100に照射される。なお、検査対象100に入射するテラヘルツ波を入射波入射光)L1とする。テラヘルツ波は、光の直進性を有しつつ、高分子への透過性を有しているため、検査対象100を挟んで入射波L1と反対側からはテラヘルツ波が透過する。なお、検査対象100から透過するテラヘルツ波を透過波透過光)L2とする。

0018

検査対象100から透過した透過波L2は、曲面ミラー240を介して、テラヘルツ波を検出する検出部340に照射される。一方で、検出部340には、ビームスプリッタ280、ミラー290および時間遅延装置260を介して、レーザ500からのプローブ光が照射される。レーザ500からのプローブ光は、時間遅延装置260により、テラヘルツ波発生部320に入射したポンプ光よりも所定時間遅延させた状態で、検出部340に照射される。検出部340は、例えば、テラヘルツ波発生部320と同様に、受光素子としての光伝導アンテナ(光伝導スイッチ)を有している。検出部340の光伝導アンテナの中央に設けられた微小ギャップに対して、検査対象100から透過した透過波L2が照射されるとともに、レーザ500からのプローブ光が照射されることにより、透過波L2の振動電場に比例した電流が出力される。なお、検出部340は、さらにアンプを有しており、透過波L2の振動電場に比例した電流を増幅して、後述する制御部400に送信するようになっている。

0019

(制御部)
図1に示されているように、異物検査装置10には、制御部(コンピュータ部)400が設けられている。制御部400は、上記したテラヘルツ波発生部320、検出部340、レーザ500に対して、有線または無線により通信可能に接続されている。制御部400は、検査対象100の異物検査に必要な動作制御を行うためのものであり、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard disk drive)として構成された記憶手段420、各種インタフェース等の組み合わせからなるものである。

0020

記憶手段420は、異物検査に係る各種データやプログラムを記憶するよう構成されている。例えば、記憶手段420は、所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルや、検査対象100に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトル等を記憶するよう構成されている。

0021

また、制御部400は、CPUがROMまたは記憶手段420に格納された所定プログラムを実行することにより、各種手段として機能するように構成されている。
測定制御手段440は、検査対象100に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定するように、テラヘルツ波発生部320、検出部340、およびレーザ500を制御するよう構成されている。
異物判断手段460は、標準試料の吸収スペクトルと検査対象100の吸収スペクトルとを比較し、検査対象100の吸収スペクトルが標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、検査対象100内に異物があると判断するよう構成されている。
上記した各手段による異物検査方法については、詳細を後述する。

0022

これらの各機能を実現するための所定プログラムは、制御部400にインストールして用いられるが、そのインストールに先立ち、制御部400で読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよいし、あるいは制御部400と接続する通信回線を通じて当該制御部400へ提供されるものであってもよい。また、所定プログラムがインストールされる制御部400は、異物検査装置10の各部に対して動作制御指示を与え得るものであれば、必ずしも当該異物検査装置10に搭載されていなくてもよく、当該異物検査装置10に通信回線を介して接続されたものであってもよい。

0023

(2)高分子の異物検査方法
次に、図2を用い、本実施形態に係る高分子の異物検査方法について説明する。図2は、本実施形態に係る高分子の異物検査方法におけるフローを示す図である。

0024

本実施形態の高分子の異物検査工程(後述S110〜S180)は、例えば、電力ケーブルの製造工程のうちの一工程として行われる。例えば、完成品の電力ケーブルからケーブル導体を除いた被覆層(内部半導電層および外部半導電層を含む)からなる円筒状の試料、または、完成品の電力ケーブルのうちのケーブル絶縁体の一部を(短手方向または軸方向に数mmの厚さで)切り出した板状の試料を、検査対象100とする。なお、以下において、ステップを「S」と略す。

0025

(S110:標準試料用意工程)
まず、検査対象100の異物検査を行う前に、異物が混入していないことが分かっている所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する(S110)。例えば、電力ケーブルの被覆層の正常部を標準試料とする。なお、後述する検査対象測定工程S120と同じ工程によって標準試料を測定してもよいし、電子データとして標準試料の吸収スペクトルを用意しておいてもよい。

0026

(S120:検査対象測定工程)
次に、標準試料と同じ高分子を含む検査対象100を異物検査装置10内に配置する。そして、測定制御手段440は、例えば以下のような時間領域分光法により、検査対象100に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する。

0027

図1に示されているように、レーザ500からテラヘルツ波発生部320に対してポンプ光を照射することにより、テラヘルツ波発生部320からテラヘルツ波を発生させる。テラヘルツ波発生部320から検査対象100に対してテラヘルツ波の入射波L1を入射させ、検査対象100からテラヘルツ波の透過波L2を透過させる。一方で、レーザ500から検出部340に対してポンプ光よりも所定時間遅延させたプローブ光を照射することにより、検出部340から透過波L2の振動電場に比例した電流を出力する。このとき、時間遅延装置260によりポンプ光に対するプローブ光の遅延時間を変化させることにより、透過波L2の振動電場の時間波形計測する。そして、計測された透過波L2の時間波形をフーリエ変換することにより、透過波L2の周波数ごとの振幅および位相の情報を得る。そして、透過波L2と予め検査対象100の無い状態で計測した透過波との比をとることにより、検査対象100の透過スペクトルT(f)(f:周波数)を求め、以下の式(1)により検査対象100の吸収スペクトルα(f)を得る(以上、S120)。
α(f)=log(1/T(f)) ・・・(1)

0028

(S200:異物判断工程)
次に、異物判断手段460は、標準試料の吸収スペクトルと検査対象100の吸収スペクトルとを比較し、検査対象100の吸収スペクトルが標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、検査対象100内に異物があると判断する(S200)。異物判断工程S200については、詳細を後述する。

0029

(S180:検査終了判定工程)
その後、制御部400は、異物判断工程S200を終了するか否かを判定する(S180)。異物判断工程S200を終了せず継続させるとき(S180でNo)、別の検査対象100、または検査対象100内の別の検査位置において、再び検査対象測定工程S120から異物判断工程S200までの工程を繰り返す。一方で、異物判断工程S200を終了するとき(S180でYes)、一連の異物検査工程を終了する。

0030

(3)異物判断工程
次に、図2〜4を用い、本実施形態の異物判断工程S200について説明する。図3は、標準試料、試料1および2におけるテラヘルツ波の吸収スペクトルである。図4は、標準試料、および試料3におけるテラヘルツ波の吸収スペクトルである。

0031

本実施形態の異物判断工程S200では、例えば、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとを比較し、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとの違いに基づいて、検査対象100に含まれる異物の種類を判別する。以下、具体例(試料1〜3の結果)を用いて、図2のフローに基づいて詳細を説明する。

0032

(i)試料1
図3を用い、検査対象100が試料1である場合について説明する。なお、標準試料はポリエチレンからなり、試料1も標準試料と同様にポリエチレンからなっている。図3に示されているように、試料1に対する検査対象測定工程S120により、試料1の吸収スペクトルが測定されている。

0033

(S210:条件1判定)
ここで、標準試料の吸収スペクトルと試料1の吸収スペクトルとを比較し、検査対象100の吸収スペクトルが以下の条件1を満たすか否かを判断する(S210)。
[条件1]
(a)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大している。
(b)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しい(または標準試料の吸収スペクトルのピーク個数以下である)。
(c)検査対象100の吸収スペクトルのピークが標準試料の吸収スペクトルのピークと同じ周波数に位置している。

0034

条件1は、例えば、検査対象100に含まれる異物がアンバー(高分子の熱老化、酸化劣化、または早期架橋)であり、且つ、高分子の(熱老化等の)反応の進行具合が標準試料での高分子の反応の進行具合よりも大きく、後述するアンバーBでの高分子の反応の進行具合よりも小さい場合(アンバーAとする)を判断する条件である。アンバーAでは、高分子の熱老化等の反応が標準試料よりも進行した結果、高分子の結晶性が低下するため、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大すると考えられる。また、アンバーAでは、高分子の組成自体は標準試料と変わらず、高分子の結晶部が残存しているため、検査対象100の吸収スペクトルのピークが標準試料の吸収スペクトルのピークと同じ周波数に位置すると考えられる。

0035

(S240:アンバーA判断)
図3において、標準試料の吸収スペクトルと試料1の吸収スペクトルとを比較すると、標準試料の吸収スペクトルでは、周波数が高くなるに従って吸収強度(吸光度)が緩やかに増加しており、また、2.1THz以上2.2THz以下において、ポリエチレンの結晶部由来のピークP0が現れている。これに対して、試料1の吸収スペクトルでは、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、ポリエチレンの結晶部由来のピークP1が標準試料のポリエチレンの結晶部由来のピークP0と同じ周波数に位置している。したがって、試料1の吸収スペクトルは条件1を満たしている(S210でYes)。このとき、異物判断手段460は、試料1内に異物があり、その異物がアンバーAであると判断する(S240)。

0036

(ii)試料2
次に、図3を用い、検査対象100が試料2である場合について説明する。なお、試料2も標準試料と同様にポリエチレンからなっている。図3に示されているように、試料2に対する検査対象測定工程S120により、試料2の吸収スペクトルが測定されている。

0037

図3に示されているように、試料2の吸収スペクトルでは、標準試料のポリエチレンの結晶部由来のピークP0と同じ周波数にピークが現れていない。したがって、試料2の吸収スペクトルは条件1の(c)を満たしていない(S210でNo)。

0038

(S220:条件2判定)
試料2の吸収スペクトルが条件1を満たしていないとき(S210でNo)、標準試料の吸収スペクトルと試料2の吸収スペクトルとを比較し、検査対象100の吸収スペクトルが以下の条件2を満たすか否かを判断する(S220)。
[条件2]
(a)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大している。
(b)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しい(または標準試料の吸収スペクトルのピーク個数以下である)。
(c)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルの極大ピーク極大点)が2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置している。

0039

条件2は、例えば、検査対象100に含まれる異物がアンバーであり、且つ、高分子の(熱老化等の)反応の進行具合が上述したアンバーAでの高分子の反応の進行具合よりも大きい場合(大アンバーまたはアンバーBとする)を判断する条件である。アンバーBにおいても、高分子の熱老化等の反応が標準試料よりも進行した結果、高分子の結晶性が低下するため、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大すると考えられる。また、アンバーBでは、高分子の熱老化等の反応により、酸化が大きく進行する。このため、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルが緩やかな上に凸のスペクトルとなり、極大ピークが2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置すると考えられる。

0040

(S250:アンバーB判断)
図3において、標準試料の吸収スペクトルと試料2の吸収スペクトルとを比較すると、試料2の吸収スペクトルでは、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での試料2の吸収スペクトルの極大ピークP2が2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置している。したがって、試料2の吸収スペクトルは条件2を満たしている(S220でYes)。このとき、異物判断手段460は、試料2内に異物があり、その異物がアンバーBであると判断する(S240)。

0041

(iii)試料3
次に、図4を用い、検査対象100が試料3である場合について説明する。なお、試料3も標準試料と同様に主にポリエチレンからなっている。図4に示されているように、試料3に対する検査対象測定工程S120により、試料3の吸収スペクトルが測定されている。

0042

図4に示されているように、試料3の吸収スペクトルでは、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と異なっている。したがって、試料3の吸収スペクトルは条件1の(b)を満たしていない(S210でNo)。また、試料3の吸収スペクトルでは、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルの極大ピークP34が3.3THz以上3.7THz以下の範囲に位置し、2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置していない。したがって、試料3の吸収スペクトルは条件2の(c)を満たしていない(S220でNo)

0043

(S230:条件3判定)
試料3の吸収スペクトルが条件1を満たさず(S210でNo)、条件2を満たしていないとき(S220でNo)、標準試料の吸収スペクトルと試料3の吸収スペクトルとを比較し、検査対象100の吸収スペクトルが以下の条件3を満たすか否かを判断する(S220)。
[条件3]
(a)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大している。
(b)0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加している。
(c)検査対象100の吸収スペクトルでの高分子の結晶部由来のピークが標準試料での吸収スペクトルでの高分子の結晶部由来のピークよりもブロードになっている(周波数方向に広がっている)。
なお、条件3において、少なくとも(a)および(b)を満たすかを判断し、判断の信頼性を向上させるためにさらに(c)を満たすかを判断する。

0044

条件3は、例えば、検査対象100内に含まれる異物が無機物を含む場合を判断する条件である。無機物としては、例えば、鉄、銅、ステンレスクロムニッケル等の金属や、シリカクレータルクマグネシアアルミナ等の無機化合物が挙げられる。無機物では、テラヘルツ波が透過しない、またはテラヘルツ波の吸収強度が大きいため、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大すると考えられる。また、無機物では、テラヘルツ波が散乱されるため、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での検査対象100の吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加すると考えられる。また、無機物では、テラヘルツ波が散乱されるため、検査対象100の吸収スペクトルでの高分子の結晶部由来のピークが標準試料での吸収スペクトルでの高分子の結晶部由来のピークよりもブロードになると考えられる。

0045

(S260:無機物判断)
図4において、標準試料の吸収スペクトルと試料3の吸収スペクトルとを比較すると、試料3の吸収スペクトルでは、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収強度が標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、4つ以上のピーク(P31〜P34)が現れており、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での試料3の吸収スペクトルのピーク個数が標準試料の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加している。したがって、試料3の吸収スペクトルは条件3を満たしている(S230でYes)。このとき、異物判断手段460は、試料3内に異物があり、その異物が無機物を含むと判断する(S260)。

0046

さらに、試料3の吸収スペクトルでのポリエチレンの結晶部由来のピークP32が、標準試料での吸収スペクトルでのポリエチレンの結晶部由来のピークP0よりもブロードになっている。したがって、試料3の吸収スペクトルは、条件3の(c)をさらに満たしている。これにより、試料3内に含まれる異物が無機物を含むとの判断の信頼性を向上させることができる。

0047

(iv)その他
検査対象100の吸収スペクトルが条件1〜3を満たしていないとき(S210でNo,S220でNo,S230でNo)、異物判断手段460は、試料3内に少なくともアンバーA、アンバーB、または無機物を含む異物は無いと判断する(S270)。

0048

(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。

0049

(a)本実施形態によれば、検査対象100のテラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する。検査対象100内に無機物を含む異物がある場合だけでなく、検査対象100内に異物としてアンバーがある場合であっても、検査対象100のテラヘルツ波の吸収スペクトルは、標準試料のテラヘルツ波の吸収スペクトルから変化しうる。したがって、標準試料のテラヘルツ波の吸収スペクトルと検査対象100のテラヘルツ波の吸収スペクトルとを比較し、両者の違いを検出することにより、検査対象100内において、無機物を含む異物だけでなくアンバーも非破壊で検出することが可能となる。

0050

なお、参考までに、従来の可視光を用いた異物検査では、高分子が可視域で透明である場合に限られていた。また、従来のX線を用いた異物検査では、正常な高分子とアンバーとを区別することができず、アンバーを検出することが出来なかった。これに対して、本実施形態によれば、テラヘルツ波を用いた異物検査により、検査対象100が可視域で透明でない場合であっても、正常な高分子とアンバーとを区別し、検査対象100内の異物としてアンバーを検出することができる。

0051

(b)本実施形態によれば、異物判断工程S200では、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、標準試料の吸収スペクトルと検査対象100の吸収スペクトルとを比較する。0.5THz未満、または4.0THz超の範囲での吸収スペクトルでは異物の影響を判断することは困難である。これに対して、検査対象100中に異物が存在する場合、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルにおいて特に顕著に変化が生じうる。したがって、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での吸収スペクトルを比較することにより、安定的に検査対象100中の異物を検出することができる。

0052

(c)本実施形態によれば、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとを比較し、標準試料の吸収スペクトルと検査対象の吸収スペクトルとの違いに基づいて、検査対象100に含まれる異物の種類を判別する。例えば、上記した条件1〜3のそれぞれを満たすか否かを判断することにより、異物がアンバーAであるか、異物がアンバーBであるか、或いは、異物が無機物を含んでいるかを判断することができる。

0053

(d)本実施形態によれば、検査対象100の吸収スペクトルが条件1を満たす場合に、検査対象100内の異物がアンバーAであると判断し、検査対象100の吸収スペクトルが条件2を満たす場合に、検査対象100内の異物がアンバーBであり、異物としてのアンバーBでの高分子の反応の進行具合がアンバーAでの高分子の反応の進行具合よりも大きいと判断する。このように、検査対象100内の異物としてアンバーの有無を検出するだけでなく、アンバーにおける高分子の反応の進行具合も把握することができる。これにより、異物としてのアンバーにおける高分子の反応の進行具合に応じて、ケーブル絶縁体の絶縁性能への影響を予測することが可能となる。

0054

<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、異物検査工程を、ケーブル絶縁体を押出形成する際に行う点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる要素についてのみ説明し、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。

0055

(異物検査装置)
本実施形態の異物検査装置10は、例えば、ケーブル絶縁体を形成するための製造装置の一部に取り付けられている。具体的には、押出機と押出機の先端に設けられたクロスヘッドとの間のネック部分において、高分子(樹脂)の流路を挟んだ両側に、サファイアガラスが設けられている。サファイアガラスの一方にテラヘルツ波発生部320および曲面ミラー220が配置され、サファイアガラスの他方に検出部340および曲面ミラー240が配置されている。つまり、本実施形態における検査対象100は、ケーブル絶縁体をケーブル導体の外周に押出形成する際に、溶融した状態で上記ネック部分に流れている高分子として構成されている。

0056

(異物検査方法)
標準試料用意工程S110では、例えば、ケーブル絶縁体を押出形成する際における初期溶融状態の高分子を標準試料として、標準試料の吸収スペクトルを測定する。

0057

次に、検査対象測定工程S120では、ケーブル絶縁体を押出形成する際の溶融した高分子を検査対象100として、検査対象100の吸収スペクトルを測定する。ケーブル絶縁体が連続的に押し出された状態で、検査対象100の吸収スペクトルを所定の測定周期で連続的に測定する。

0058

異物判断工程S200では、所定の測定周期で検査対象100の吸収スペクトルが測定される毎に、検査対象100の吸収スペクトルと標準試料の吸収スペクトルとを比較して、検査対象100内に異物があるかを連続的に判断する。

0059

(効果)
本実施形態によれば、検査対象100としての高分子の状態によらず、検査対象100のテラヘルツ波の吸収スペクトルを測定することができる。例えば、電力ケーブルの製造工程において、ケーブル絶縁体を押出形成する際の溶融した高分子を検査対象100として、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定することができる。

0060

また、本実施形態によれば、ケーブル絶縁体を押出形成する際において、検査対象100内の異物を連続的に検査することができる。したがって、電力ケーブルの製造工程中に異物を検出することで、異物が混入した電力ケーブルが流出することを未然に防ぐことができる。

0061

<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

0062

上述の実施形態では、ケーブル絶縁体を検査対象100とする場合について説明したが、内部半導電層、外部半導電層、または防食層等を検査対象としてもよい。さらに言えば、電力ケーブル以外の試料を検査対象としてもよい。

0063

上述の実施形態では、テラヘルツ波発生部320が光伝導アンテナを有している場合について説明したが、テラヘルツ波発生部は、チェレンコフ型など他の発生原理による装置で構成されていてもよい。この場合、テラヘルツ波発生部は、光導波路を有する非線形結晶と、光導波路に接して設けられたプリズムと、を有している。テラヘルツ波発生部は、2つの波長成分を有するレーザ光を光導波路に導入することにより、2つの波長成分の波長差に相当するテラヘルツ波をプリズムから出射するよう構成されている。この場合、発生させるテラヘルツ波の周波数帯域は、例えば、0.5THz以上7THz以下である。

0064

上述の実施形態では、レーザ500が一つだけ設けられている場合について説明したが、ポンプ光を出射するレーザとプローブ光を出射するレーザとが別に設けられていても良い。

0065

上述の実施形態では、異物判断工程S200において、条件1〜3の順で判定していく場合について説明したが、条件1〜3の判定順はこれに限られず、例えば条件3〜1の順で判定してもよい。

0066

上述の実施形態では、条件3判定S230において、検査対象100の吸収スペクトルが条件3(a)〜(c)の全てを満たすか否かを判断する場合について説明したが、条件3判定において、検査対象の吸収スペクトルが少なくとも条件3(a)および(b)を満たすか否かを判断すれば、検査対象内に無機物を含む異物があるか否かを判断することができる。

0067

次に、本発明に係る実施例について説明する。

0068

(1)標準試料および検査対象
厚さ2mmでポリエチレンからなる標準試料を準備した。また、標準試料と同じ厚さでポリエチレンからなる検査対象の試料1〜3を準備した。

0069

(2)異物検査
上述の実施形態で示した異物検査装置を用い、標準試料および試料1〜3のテラヘルツ波の吸収スペクトルを測定した。そして、上述の実施形態で示した異物検査方法により、0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、標準試料の吸収スペクトルと試料1〜3の吸収スペクトルとを比較し、試料1〜3内に異物があるか否かを判断した。なお、0.5THz未満、または4.0THz超の範囲での各吸収スペクトルを参照しても各吸収スペクトルの違いを判断することは困難であった。

0070

(3)結果
図3および4に示されているように、標準試料および試料1〜3の吸収スペクトルを得た。

0071

試料1の吸収スペクトルは、上述の実施形態で示したように、条件1を満たしていたため、試料1には異物としてアンバーAがあると判断した。実際に試料1の内部を拡大鏡で観察したところ、確かに試料1内にアンバーAが存在することを確認した。

0072

試料2の吸収スペクトルは、上述の実施形態で示したように、条件2を満たしていたため、試料2には異物としてアンバーBがあると判断した。実際に試料2の内部を拡大鏡で観察したところ、確かに試料2内にアンバーBが存在することを確認した。

0073

試料3の吸収スペクトルは、上述の実施形態で示したように、条件3を満たしていたため、試料3には無機物を含む異物があると判断した。実際に試料3の内部を拡大鏡で観察したところ、確かに試料3内に金属粉の異物が存在することを確認した。

0074

以上のように、標準試料のテラヘルツ波の吸収スペクトルと検査対象のテラヘルツ波の吸収スペクトルとを比較し、両者の違いを検出することにより、検査対象内において、無機物を含む異物だけでなくアンバーも検出することができることを確認した。また、上記した条件1〜3のそれぞれを満たすか否かを判断することにより、異物がアンバーAであるか、異物がアンバーBであるか、或いは、異物が無機物を含んでいるかを判断することができることを確認した。

0075

<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。

0076

(付記1)
本発明の一態様によれば、
所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、
前記標準試料と同じ前記高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、
前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、
を有する高分子の異物検査方法が提供される。

0077

(付記2)
好ましくは、付記1に記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲で、前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較する。

0078

(付記3)
好ましくは、付記2に記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、前記検査対象の吸収スペクトルのピークが前記標準試料の吸収スペクトルのピークと同じ周波数に位置するときに、前記検査対象内の前記異物がアンバーであると判断する。

0079

(付記4)
好ましくは、付記2又は3に記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルの極大ピークが2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置するときに、前記検査対象内の前記異物がアンバーであると判断する。

0080

(付記5)
好ましくは、付記2〜4のいずれかに記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、前記検査対象の吸収スペクトルのピークが前記標準試料の吸収スペクトルのピークと同じ周波数に位置するときに、前記検査対象内の前記異物がアンバーであると判断し、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数と等しく、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルの極大ピークが2.6THz以上2.9THz以下の範囲に位置するときに、前記検査対象内の前記異物が、前記高分子の反応の進行具合が前記アンバーでの前記高分子の反応の進行具合よりも大きい大アンバーであると判断する。

0081

(付記6)
好ましくは、付記2〜5のいずれかに記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収強度が前記標準試料の吸収強度よりも増大し、且つ、0.5THz以上4.0THz以下の範囲での前記検査対象の吸収スペクトルのピーク個数が前記標準試料の吸収スペクトルのピーク個数よりも増加しているときに、前記検査対象内の前記異物が無機物を含むと判断する。

0082

(付記7)
好ましくは、付記6に記載の高分子の異物検査方法であって、
前記異物判断工程では、
さらに、前記検査対象の吸収スペクトルでの前記高分子の結晶部由来のピークが前記標準試料での吸収スペクトルでの前記前記高分子の結晶部由来のピークよりもブロードになっているときに、前記検査対象内の前記異物が前記無機物を含むと判断する。

0083

(付記8)
本発明の他の態様によれば、
ケーブル導体と、前記ケーブル導体の外周を覆うように設けられ、所定の高分子を含む被覆層と、を有する電力ケーブルの製造方法であって、
前記被覆層の正常部に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを用意する工程と、
前記正常部と同じ前記高分子を含む前記被覆層の検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する工程と、
前記正常部の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記正常部の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断工程と、
を有する電力ケーブルの製造方法が提供される。

0084

(付記9)
好ましくは、付記8に記載の電力ケーブルの製造方法であって、
前記検査対象の前記吸収スペクトルを測定する工程では、
前記電力ケーブルから前記ケーブル導体を除いた前記被覆層からなる試料、または前記電力ケーブルのうちの前記ケーブル絶縁体の一部を切り出した試料を前記検査対象とする。

0085

(付記10)
好ましくは、付記8に記載の電力ケーブルの製造方法であって、
前記検査対象の前記吸収スペクトルを測定する工程では、
前記被覆層を前記ケーブル導体の外周に押出形成する際の溶融した前記高分子を前記検査対象とする。

0086

(付記11)
本発明の更に他の態様によれば、
所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを記憶する記憶手段と、
前記標準試料と同じ前記高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する測定制御手段と、
前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断手段と、
を有する高分子の異物検査装置が提供される。

0087

(付記12)
本発明の更に他の態様によれば、
ケーブル導体と、前記ケーブル導体の外周を覆うように設けられ、所定の高分子を含む被覆層と、を有する電力ケーブルの異物検査装置であって、
前記被覆層の正常部に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを記憶する記憶手段と、
前記正常部と同じ前記高分子を含む前記被覆層の検査対象部に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する測定制御手段と、
前記正常部の吸収スペクトルと前記検査対象部の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象部の吸収スペクトルが前記正常部の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断手段と、
を有する電力ケーブルの異物検査装置が提供される。

実施例

0088

(付記13)
本発明の更に他の態様によれば、
コンピュータを、
所定の高分子を含む標準試料に対してテラヘルツ波を照射したときのテラヘルツ波の吸収スペクトルを記憶する記憶手段と、
前記標準試料と同じ前記高分子を含む検査対象に対して、テラヘルツ波を照射して、テラヘルツ波の吸収スペクトルを測定する測定制御手段と、
前記標準試料の吸収スペクトルと前記検査対象の吸収スペクトルとを比較し、前記検査対象の吸収スペクトルが前記標準試料の吸収スペクトルと異なっていたときに、前記検査対象内に異物があると判断する異物判断手段
として機能させる高分子の異物検査プログラムが提供される。

0089

10異物検査装置
100検査対象(被検査試料)
220曲面ミラー
240 曲面ミラー
260時間遅延装置
280ビームスプリッタ
290ミラー(平板ミラー)
320テラヘルツ波発生部
340 検出部(受光部)
400 制御部(コンピュータ部)
420 記憶手段
440測定制御手段
460異物判断手段
500 レーザ

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