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技術 ディスクロータ及びその製造装置、並びにローラ、並びにディスクロータの製造方法

出願人 アイシン高丘株式会社日本スピンドル製造株式会社
発明者 山口智宏岩瀬義孝檜垣孝二
出願日 2016年7月14日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2016-139545
公開日 2018年1月18日 (7ヶ月経過) 公開番号 2018-009661
状態 未査定
技術分野 ブレーキ装置 キー形結合・及び収縮による結合・圧力ばめ・ とりはずし不納な摩擦握り かしめ結合と拡管装置及び管端の縮径・拡径 回転塑性加工 特定物品の製造
主要キーワード 外側摺動面 ローラ移動装置 仮組み体 円柱状領域 開口側部分 環状方向 相対回転規制 内面全域

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図面 (13)

課題

ピース構造を採用した構成であっても、製造コストを低減させるとともに生産性を高めることもできるディスクロータ及びその製造装置、さらにディスクロータの製造装置が有するローラ、並びにディスクロータの製造方法を提供すること。

解決手段

ディスクロータ10は、円筒部21を有するハット部11と、円筒部21が挿通される挿通孔を有する摺動板部12とを有し、挿通孔から円筒部21が突出した状態で両者が連結されている。その連結は、円筒部21に設けられた第1挟持部25と第2挟持部26とで摺動板部12の内周縁部13を挟み込むことでなされている。第2挟持部26は、円筒部21の外周側が塑性変形させられ、第1挟持部25に近づく側へ集められることによって形成されている。

概要

背景

自動車等の車両の制動装置として、ディスクブレーキ装置が知られている。このディスクブレーキ装置は、ディスクロータディスクパッドとを備えている。ディスクロータは、車軸に連結されるハット部と、そのハット部の外周側に設けられた環状の摺動板部とを有している。そして、車両制動時には、車軸と共に回転するディスクロータの摺動板部をディスクパッドが挟み込むことにより、両者の間に生じる摩擦によって車輪の回転が制動される。

このディスクロータは、従前、ハット部と摺動板部とが鋳鉄によって一体形成されていた。車両制動時にディスクパットで挟み込まれる摺動板部は、その挟み込みがなされた際に摩擦熱をもつため、ハット部との温度差によって摺動板部に熱応力が生じる。そのため、この従前の構成では、生じた熱応力によって摺動板部が熱変形してしまい、車両制動時に振動を発生させる要因となっていた。

そこで、ハット部と摺動板部とをそれぞれハット部材及び摺動板部材として別々に構成し、その上で、両者を一体的に連結した2ピース構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。この2ピース構造を採用したディスクロータによれば、ハット部材と摺動板部材との間に、摺動板部材の熱膨張を吸収するための空間を形成するといった構成を採用することが可能となり、摺動板部材に生ずる熱変形を抑制することができる。

概要

2ピース構造を採用した構成であっても、製造コストを低減させるとともに生産性を高めることもできるディスクロータ及びその製造装置、さらにディスクロータの製造装置が有するローラ、並びにディスクロータの製造方法を提供すること。ディスクロータ10は、円筒部21を有するハット部11と、円筒部21が挿通される挿通孔を有する摺動板部12とを有し、挿通孔から円筒部21が突出した状態で両者が連結されている。その連結は、円筒部21に設けられた第1挟持部25と第2挟持部26とで摺動板部12の内周縁部13を挟み込むことでなされている。第2挟持部26は、円筒部21の外周側が塑性変形させられ、第1挟持部25に近づく側へ集められることによって形成されている。

目的

本発明は、2ピース構造を採用した構成であっても、製造コストを低減させるとともに生産性を高めることもできるディスクロータ及びその製造装置、さらにディスクロータの製造装置が有するローラ、並びにディスクロータの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

有底の円筒部を有するハット部と、前記円筒部が挿通される挿通孔を有する環状の摺動板部とを有し、前記挿通孔から前記円筒部が突出した状態で両者が連結されてなるディスクロータにおいて、前記円筒部の外周面から外側へ突出するように設けられた第1挟持部と、前記円筒部の軸線方向における前記第1挟持部の反対側で、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記第1挟持部に近づく側へ集められることによって形成され、前記第1挟持部とともに前記摺動板部の内周縁部を挟み込む第2挟持部と、を備えたことを特徴とするディスクロータ。

請求項2

前記ハット部及び前記摺動板部が、前記摺動板部の周方向に沿って相対回転することを規制する回転規制部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスクロータ。

請求項3

前記回転規制部は、前記摺動板部の内周縁部かつ前記第2挟持部と対向する板面に形成された凹部と、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記第1挟持部に近づく側へ集められることによって前記第2挟持部とともに形成され、前記凹部に入り込む凸部と、を有して構成されていることを特徴とする請求項2に記載のディスクロータ。

請求項4

前記第1挟持部は、前記ハット部の開口側端部に設けられ、前記摺動板部の前記内周縁部には、前記第1挟持部を収容する収容空間が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のディスクロータ。

請求項5

前記摺動板部の前記内周縁部のうち前記第1挟持部寄りの位置から、前記挿通孔側へ突出する突出部が形成されており、前記突出部は前記挿通孔の周方向に離間して複数設けられており、隣接する前記突出部同士の隙間が前記凹部とされ、前記突出部の前記軸線方向における前記第2挟持部側の空間が前記収容空間とされていることを特徴とする請求項4に記載のディスクロータ。

請求項6

有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記ハット部材の前記円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材と、を用い、前記ハット部材と前記摺動板部材とを互いに連結させてディスクロータを製造するディスクロータの製造装置であって、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記摺動板部材の前記挿通孔に前記ハット部材の前記円筒部が挿通されてなる仮組み体を保持する仮組み体保持部と、前記仮組み体保持部に保持された前記仮組み体における前記円筒部の外周側に当接し、前記円筒部の軸線方向における前記フランジ部の反対側で、前記円筒部の外周側を塑性変形させて前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟持する第2挟持部を形成する塑性加工部と、を備えたことを特徴とするディスクロータの製造装置。

請求項7

前記塑性加工部には、前記円筒部の中心軸線の側と前記フランジ部の側とに開放され、前記塑性加工部によって塑性変形させられた部分が導入されて前記第2挟持部を形成する挟持部形成空間が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のディスクロータの製造装置。

請求項8

前記仮組み体保持部を、前記仮組み体を保持した状態で前記仮組み体の中心軸線を中心として回動させる回転駆動部と、前記塑性加工部が環状をなすように形成され、その環状をなす前記塑性加工部の中心軸線を中心として回転可能に支持されたローラと、を備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載のディスクロータの製造装置。

請求項9

有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材とを用い、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記挿通孔に前記円筒部を挿通してなる仮組み体からディスクロータを製造するディスクロータの製造装置に適用され、前記仮組み体における前記円筒部の外周側に当接するローラであって、周方向に沿って環状に形成され、前記円筒部の軸線方向における前記フランジ部の反対側で、前記円筒部の外周側を塑性変形させて前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟持する第2挟持部を形成する塑性加工部と、前記塑性加工部に設けられ、前記円筒部の中心軸線の側と前記フランジ部の側とに開放され、前記塑性加工部によって集められた部分が導入されて前記第2挟持部を形成する挟持部形成空間と、を有することを特徴とするローラ。

請求項10

有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記ハット部材の円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材と、を連結させてディスクロータを製造するディスクロータの製造方法であって、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記摺動板部材の前記挿通孔に前記ハット部材の前記円筒部を挿通して仮組み体を形成し、前記仮組み体における前記円筒部の外周側を塑性変形して、前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟み込む第2挟持部を形成することを特徴とするディスクロータの製造方法。

請求項11

前記摺動板部材の前記内周縁部には、前記第2挟持部と対向する板面に凹部が形成されており、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記フランジ部に近づく側へ集められることによって、前記第2挟持部とともに、前記凹部に入り込む凸部を形成することを特徴とする請求項10に記載のディスクロータの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ディスクロータ及びその製造装置、並びにディスクロータの製造装置が有するローラ、並びにディスクロータの製造方法に関する。

背景技術

0002

自動車等の車両の制動装置として、ディスクブレーキ装置が知られている。このディスクブレーキ装置は、ディスクロータとディスクパッドとを備えている。ディスクロータは、車軸に連結されるハット部と、そのハット部の外周側に設けられた環状の摺動板部とを有している。そして、車両制動時には、車軸と共に回転するディスクロータの摺動板部をディスクパッドが挟み込むことにより、両者の間に生じる摩擦によって車輪の回転が制動される。

0003

このディスクロータは、従前、ハット部と摺動板部とが鋳鉄によって一体形成されていた。車両制動時にディスクパットで挟み込まれる摺動板部は、その挟み込みがなされた際に摩擦熱をもつため、ハット部との温度差によって摺動板部に熱応力が生じる。そのため、この従前の構成では、生じた熱応力によって摺動板部が熱変形してしまい、車両制動時に振動を発生させる要因となっていた。

0004

そこで、ハット部と摺動板部とをそれぞれハット部材及び摺動板部材として別々に構成し、その上で、両者を一体的に連結した2ピース構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。この2ピース構造を採用したディスクロータによれば、ハット部材と摺動板部材との間に、摺動板部材の熱膨張を吸収するための空間を形成するといった構成を採用することが可能となり、摺動板部材に生ずる熱変形を抑制することができる。

先行技術

0005

特表2014−533812号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、上記特許文献1に記載されたディスクロータでは、ハット部材と摺動板部材とを連結する構成として、両者それぞれに凹凸部分を形成し、それら凹凸部分を嵌め合わせた上、さらにカシメによって固定するという構成が採用されている。このような構成では、ハット部材と摺動板部材との連結部分ガタが生じないように、それぞれの凹凸部分を精密に加工しなければならない。また、両部材の凹凸部分を嵌め合わせた後に、さらにカシメで固定するという作業も必要となる。このような精密加工カシメ固定作業が必要な構造は、ディスクロータを製造する上でのコスト増加の原因となり、生産性も低下させるという問題があった。

0007

そこで、本発明は、2ピース構造を採用した構成であっても、製造コストを低減させるとともに生産性を高めることもできるディスクロータ及びその製造装置、さらにディスクロータの製造装置が有するローラ、並びにディスクロータの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するため、第1の発明は、有底の円筒部を有するハット部と、前記円筒部が挿通される挿通孔を有する環状の摺動板部とを有し、前記挿通孔から前記円筒部が突出した状態で両者が連結されてなるディスクロータにおいて、前記円筒部の外周面から外側へ突出するように設けられた第1挟持部と、前記円筒部の軸線方向における前記第1挟持部の反対側で、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記第1挟持部に近づく側へ集められることによって形成され、前記第1挟持部とともに前記摺動板部の内周縁部を挟み込む第2挟持部と、を備えたことを特徴とする。

0009

第2の発明は、第1の発明において、前記ハット部及び前記摺動板部が、前記摺動板部の周方向に沿って相対回転することを規制する回転規制部を備えたことを特徴とする。

0010

第3の発明は、第2の発明において、前記回転規制部は、前記摺動板部の内周縁部かつ前記第2挟持部と対向する板面に形成された凹部と、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記第1挟持部に近づく側へ集められることによって前記第2挟持部とともに形成され、前記凹部に入り込む凸部と、を有して構成されていることを特徴とする。

0011

第4の発明は、第3の発明において、前記第1挟持部は、前記ハット部の開口側端部に設けられ、前記摺動板部の前記内周縁部には、前記第1挟持部を収容する収容空間が設けられていることを特徴とする。

0012

第5の発明は、第4の発明において、前記摺動板部の前記内周縁部のうち前記第1挟持部寄りの位置から、前記挿通孔側へ突出する突出部が形成されており、前記突出部は前記挿通孔の周方向に離間して複数設けられており、隣接する前記突出部同士の隙間が前記凹部とされ、前記突出部の前記軸線方向における前記第2挟持部側の空間が前記収容空間とされていることを特徴とする。

0013

第6の発明は、有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記ハット部材の前記円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材と、を用い、前記ハット部材と前記摺動板部材とを互いに連結させてディスクロータを製造するディスクロータの製造装置であって、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記摺動板部材の前記挿通孔に前記ハット部材の前記円筒部が挿通されてなる仮組み体を保持する仮組み体保持部と、前記仮組み体保持部に保持された前記仮組み体における前記円筒部の外周側に当接し、前記円筒部の軸線方向における前記フランジ部の反対側で、前記円筒部の外周側を塑性変形させて前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟持する第2挟持部を形成する塑性加工部と、を備えたことを特徴とする。

0014

第7の発明は、第6の発明において、前記塑性加工部には、前記円筒部の中心軸線の側と前記フランジ部の側とに開放され、前記塑性加工部によって塑性変形させられた部分が導入されて前記第2挟持部を形成する挟持部形成空間が設けられていることを特徴とする。

0015

第8の発明は、第6の発明又は第7の発明において、前記仮組み体保持部を、前記仮組み体を保持した状態で前記仮組み体の中心軸線を中心として回動させる回転駆動部と、前記塑性加工部が環状をなすように形成され、その環状をなす前記塑性加工部の中心軸線を中心として回転可能に支持されたローラと、を備えたことを特徴とする。

0016

第9の発明は、有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材とを用い、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記挿通孔に前記円筒部を挿通してなる仮組み体からディスクロータを製造するディスクロータの製造装置に適用され、前記仮組み体における前記円筒部の外周側に当接するローラであって、周方向に沿って環状に形成され、前記円筒部の軸線方向における前記フランジ部の反対側で、前記円筒部の外周側を塑性変形させて前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟持する第2挟持部を形成する塑性加工部と、前記塑性加工部に設けられ、前記円筒部の中心軸線の側と前記フランジ部の側とに開放され、前記塑性加工部によって集められた部分が導入されて前記第2挟持部を形成する挟持部形成空間と、を有することを特徴とする。

0017

第10の発明は、有底の円筒部を有し、前記円筒部の開口側端部にフランジ部が設けられたハット部材と、前記ハット部材の円筒部が挿通される挿通孔を有する摺動板部材と、連結させてディスクロータを製造するディスクロータの製造方法であって、前記摺動板部材の内周縁部が前記フランジ部に当接するまで前記摺動板部材の前記挿通孔に前記ハット部材の前記円筒部を挿通して仮組み体を形成し、前記仮組み体における前記円筒部の外周側を塑性変形して、前記フランジ部に近づく側へ集めることにより、前記フランジ部を第1挟持部とした場合に、当該第1挟持部とともに前記内周縁部を挟み込む第2挟持部を形成することを特徴とする。

0018

第11の発明では、第10の発明において、前記摺動板部材の前記内周縁部には、前記第2挟持部と対向する板面に凹部が形成されており、前記円筒部の外周側が塑性変形させられて前記フランジ部に近づく側へ集められることによって、前記第2挟持部とともに、前記凹部に入り込む凸部を形成することを特徴とする。

発明の効果

0019

第1の発明によれば、ハット部の外周側に設けられた第1挟持部と第2挟持部とを用いて摺動板部の内周縁部が挟持されることにより、ハット部と摺動板部とが連結され、両者が分離困難な状態に一体化される。これにより、2ピース構造を採用したディスクロータとしての強度を確保することができる。

0020

その上、第2挟持部は、円筒部の外周側が塑性変形させられて前記第1挟持部に近づく側に集められることによって形成されたものである。この場合、円筒部の外周側を第1挟持部の側へ向けて塑性変形させるだけであるため、第2挟持部を形成する加工には精密な精度は不要であるし、カシメ固定といったさらなる作業も不要である。これにより、第1の発明によれば、凹凸の嵌め合わせやカシメ固定といった作業を必要としていた従来技術に比べ、ディスクロータの製造コストを低減させることができるし、生産性を高めることもできる。

0021

第2の発明によれば、回転規制部により、ハット部と摺動板部との相対回転が規制されるため、ディスクロータの回転方向への強度も確保される。ディスクロータは、車軸の回転とともに回転し、かつ摺動板部がブレーキパッドによって挟み込まれるため、2ピース構造でありながら回転方向への強度が確保されることで、第1の発明のディスクロータについてその実用性をより高めることができる。

0022

第3の発明によれば、円筒部の外周側が塑性変形されて形成された凸部が、摺動板部の凹部に入り込むことにより、ハット部と摺動板部との相対回転が規制される。この凸部は、第2挟持部とともに形成されたものである。そのため、円筒部の外周側を塑性変形させる作業により、ハット部と摺動板部との連結だけでなく、その両者の相対回転規制も併せて行われる。これにより、ハット部と摺動板部とが連結され、かつその両者の相対回転も規制されたディスクロータを容易に製造することができ、製造コストの低減や生産性の向上に寄与する。

0023

第4の発明によれば、ハット部の開口側端部に設けられた第1挟持部が、摺動板部に形成された収容空間に収容されているため、摺動板部から第1挟持部が突出することを抑制できる。ハット部の開口部分より奥の空間には、ブレーキ装置等を構成する各種部品が配置されるため、第1挟持部の存在によって、それら部品配置のためのスペース確保阻害されることを抑制できる。

0024

第5の発明によれば、摺動板部の内周縁部に複数の突出部が形成されることにより、凹部と収容空間との両者が同時に形成されている。このため、溝部によってそれぞれを個別に形成するよりも、凹部及び収容空間を製造する上でのコストを低減させることができる。また、凹部が複数設けられて、それぞれに凸部が入り込んでいるため、複数の凹部ごとで相対回転が規制されることになる。これにより、ディスクロータの回転方向への強度をより高めることができる。

0025

第6の発明によれば、ハット部材と摺動板部材との仮組み体を仮組み体保持部で保持した状態で、塑性加工部により、円筒部の外周側を塑性変形させることにより第2挟持部が形成される。この形成された第2挟持部とフランジ部(第1挟持部)とで、摺動板部材の内周縁部が挟持され、ハット部材と摺動板部材とが連結される。したがって、本発明のディスクロータ製造装置によれば、かかる連結構成を有するディスクロータを好適に製造することができる。

0026

また、摺動板部材として、その挿通孔を形成する内周縁部に、第2挟持部と対向する板面に凹部が形成されたものを用いれば、塑性加工部によって円筒部の外周側を塑性変形させることによって、第2挟持部とともに、凹部に入り込む凸部を形成することができる。このため、凹部に凸部が入り込んでハット部材と摺動板部材との相対回転を規制するディスクロータについても、これを好適に製造することができる。

0027

第7の発明によれば、塑性加工部によって塑性変形させられた部分は、挟持部形成空間に逃げて当該空間に導入され、その導入されたものによって第2挟持部が形成される。これにより、第2挟持部を、フランジ部(第1挟持部)とともに摺動板部材の内周縁部を挟持するに足りる強度を備えた形状とする等、第2挟持部を容易にかつ任意の形状に形成することができる。

0028

第8の発明によれば、回転駆動部の駆動により回動する仮組み体において、その円筒部の外周側が、ローラが有する塑性加工部によって塑性変形させられる。この時、ローラは回転可能に支持されているため、ローラは仮組み体の回動に伴って従動回転する。塑性加工部も回転しながら円筒部の外周側を塑性変形させるため、円筒部の外周側との摩擦によって塑性加工部が受ける摩擦力が低減され、塑性加工部の摩耗を少なくすることができる。

0029

第9の発明によれば、ローラをディスクロータの製造装置に適用すれば、ローラが有する塑性加工部により、円筒部の外周側が塑性変形させられてフランジ部に近づく側へ集めることによって第2挟持部が形成される。第2挟持部が形成される際に、塑性加工部により塑性変形させられた部分を、挟持部形成空間に導入させることができる。そのため、円筒部を塑性変形させて第2挟持部を形成し、それによってハット部材と摺動板部材とを連結するディスクロータの製造装置に用いるのに好適となる。

0030

第10の発明によれば、ハット部材と摺動板部材とで形成された仮組み体において、円筒部の外周側を塑性変形させることにより、フランジ部(第1挟持部)とともに摺動板部材の内周縁部を挟持する第2挟持部が形成される。これにより、ハット部材と摺動板部材とを連結して両者を分離困難な状態に一体化し、2ピース構造であっても強度が確保されたディスクロータを製造することができる。そして、この方法では、円筒部の外周側を第1挟持部の側へ向けて塑性変形させるだけであるため、第2挟持部を形成する加工には精密な精度は不要であるし、カシメ固定といったさらなる作業も不要である。これにより、凹凸の嵌め合わせやカシメ固定といった作業を必要としていた従来技術に比べ、ディスクロータの製造コストを低減させることができるし、生産性を高めることもできる。

0031

第11の発明によれば、円筒部の外周側を塑性変形させることにより、第2挟持部とともに、摺動板部に形成された凹部に入り込んでハット部と摺動板部との相対回転を規制する凸部も併せて形成される。円筒部の外周側を塑性変形させる作業により、ハット部と摺動板部との連結だけでなく、その両者の相対回転も規制される。これにより、ハット部材と摺動板部材とが連結され、かつその両者の相対回転も規制されたディスクロータを容易に製造することができ、製造コストの低減や生産性の向上に寄与する。

図面の簡単な説明

0032

ディスクロータを示す平面図。
図1におけるA−A断面図。
ハット部材を示す平面図。
図3におけるB−B断面図。
摺動板部材を示す平面図。
図5におけるC−C断面図。
ディスクロータ製造装置を示す概略図。
ハット部材と摺動板部材との仮組みの様子を示す分解斜視図。
仮組み体を保持する成形金型を示す一部断面図。
円筒部を塑性変形させる様子を示す説明図。
摺動板部材の別例を示す一部平面図。
ディスクロータの別例を示す一部断面図。

実施例

0033

以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、自動車等の車両の制動装置であるディスクブレーキ装置に用いられる部品の一つである、ディスクロータに具体化されている。

0034

図1に示すように、ディスクロータ10は、ハット部11及び摺動板部12を有する2ピース構造よりなる。図2に示すように、ハット部11の周囲に摺動板部12が設けられ、摺動板部12からハット部11が突出する状態となっている。

0035

ハット部11は、車軸Sの端部に設けられたハブHに取り付けられる部分である。ハット部11は、アルミニウム合金によって形成されている。ハット部11は蓋部分を有する有底円筒状をなしている。ハット部11のうち、円筒状をなす部分が円筒部21であり、蓋部分は取付板部22となっている。

0036

円筒部21は、所定の厚さD1を有し、ディスクロータ10の中心軸線C1の軸線方向に延びている。したがって、中心軸線C1は円筒部21の中心軸線C1でもある。取付板部22の中心部には、中心軸線C1を中心とする取付孔23が設けられている。取付孔23の周囲には、複数のボルト挿通孔24が設けられている。これら取付板部22、取付孔23及びボルト挿通孔24を用いて、ディスクロータ10がハブHに取り付けられる。

0037

摺動板部12は、車両制動時にディスクパッドによって挟み込まれて圧接される部分である。図1及び図2に示すように、摺動板部12は、鋳鉄によって板状かつ円環状をなすように形成されている。摺動板部12の表裏両面は、ディスクパッドにより圧接される一対の摺動面31,32となっている。一対の摺動面31,32は、外側摺動面31と、内側摺動面32とよりなる。外側摺動面31は、ハット部11が突出する側であって、車軸Sに取り付けられた場合に車両外側となる。内側摺動面32は、外側摺動面31とは反対側の面であって、車軸Sに取り付けられた場合に車両内側となる。

0038

ハット部11と摺動板部12とは、円環状をなす摺動板部12の中心部から、ハット部11の円筒部21が突出した状態で、互いに連結されている。両者を連結する結合部分は、ハット部11の開口側端部、つまり中心軸線C1の軸線方向における取付板部22とは反対側の端部に存在する。ハット部11の開口側端部と摺動板部12の内周縁部13とが連結されることにより、ハット部11と摺動板部12とが一体化されている。

0039

次に、その連結構造について、さらに詳しく説明する。なお、この説明において、周方向とは、ディスクロータ10において、ハット部11の円筒部21における周方向(摺動板部12における環状方向)をいうものとする。

0040

はじめに、摺動板部12の側の構成から説明する。図2(右側の拡大図)に示すように、摺動板部12の内周縁部13には、その内側摺動面32の側に、収容空間としての内側溝部33が形成されている。内側溝部33は、内周縁部13の周方向にわたって設けられている。内側溝部33が設けられることにより、摺動板部12の内周縁部13には、一対の摺動面31,32と平行をなすように内周側へ突出する内周突出部34が形成されている。図1に示すように、内周突出部34は周方向に離間して複数設けられている(後述する図5も参照)。この内周突出部34は、突出部に相当する。

0041

図1及び図2(左側の拡大図)に示すように、摺動板部12の内周縁部13には、その内周板面13aに、貫通部35が形成されている。貫通部35は、内側摺動面32と外側摺動面31との両面間を貫通させるようにして形成され、隣接する内周突出部34同士の間に設けられた隙間となっている。したがって、この貫通部35が凹部に相当する。貫通部35は、周方向において所定間隔ごとに複数設けられ、貫通部35が存在する部分では、内側溝部33が途切れた状態となっている。

0042

次に、ハット部11の側の構成について説明する。図2(右側の拡大図)に示すように、円筒部21の開口側端部には、一対の挟持部25,26が設けられている。一対の挟持部25,26はいずれもフランジ形状をなしている。一対の挟持部25,26は、円筒部21の開口側端部において、その外周面21aから中心軸線C1の軸線方向と直交する側方へ向けて形成されている。また、一対の挟持部25,26は、いずれも周方向全域にわたって設けられている。一対の挟持部25,26は、第1挟持部25と、第2挟持部26とよりなる。

0043

第1挟持部25は、ハット部11の開口側端部に設けられている。第2挟持部26は、第1挟持部25よりもハット部11の取付板部22の側において、第1挟持部25から離間して設けられている。第1挟持部25と第2挟持部26とが離間した長さは、摺動板部12が有する内周突出部34の厚さと同じとなっている。

0044

ハット部11及び摺動板部12が上記の構成を備えた上で、図2(右側の拡大図)に示すように、内側溝部33が形成された部分では、ハット部11の第1挟持部25が摺動板部12の内側溝部33に収容されている。さらに、摺動板部12の内周突出部34が、中心軸線C1の軸線方向の両側から第1挟持部25と第2挟持部26とによって挟持されている。

0045

この挟み込み状態では、第1挟持部25は内側溝部33の溝底面33aに当接し、ハット部11の開口側端面11a及び第1挟持部25の開口側端面25aは、摺動板部12の内側摺動面32と同一平面を形成している。第2挟持部26は、内周板面13aに当接している。内周突出部34が形成された部分では、周方向にわたって、第1挟持部25と第2挟持部26とによるこのような挟持がなされている。なお、第2挟持部26が当接する内周板面13aは、第2挟持部26と対向する板面に相当する。

0046

また、図2(左側の拡大図)に示すように、貫通部35が形成された部分では、ハット部11の第1挟持部25が貫通部35に収容されている。この収容状態において、ハット部11の開口側端面11a及び第1挟持部25の開口側端面25aは、摺動板部12の内側摺動面32と同一平面を形成している。

0047

その一方、貫通部35では内周突出部34が存在しないため、第2挟持部26は、貫通部35に入り込んだ凸部27を有している。図1に示すように、凸部27は貫通部35に入り込んで、貫通部35を形成する周方向両側の側面35a,35bと当接した状態となっている。なお、図1に示すような平面視において、凸部27を視認することはできないが、凸部27の存在を示すため、あえて網掛け表示により凸部27を示している。

0048

以上のように、内側溝部33が形成された部分では、内周突出部34を第1挟持部25及び第2挟持部26が挟み込み、貫通部35が形成された部分では、第2挟持部26の凸部27が貫通部35に入り込んで、周方向両側の側面35a,35bと当接した状態となっている。前者の構成によって、ハット部11と摺動板部12とが結合される。後者の構成により、ハット部11と摺動板部12との相対回転が規制される。そのため、ハット部11と摺動板部12とを、分離困難かつ相対回転が困難な状態で、連結させることができる。なお、この凸部27と貫通部35との構成によって回転規制部が構成されている。

0049

次に、上記構成のディスクロータ10を製造する製造方法及びその製造に用いるディスクロータ製造装置と、そのディスクロータ製造装置を用いたディスクロータ10の製造方法について、図3図10を参照しつつ説明する。

0050

はじめに、ディスクロータ10の製造にあたり、図3図6に示すように、ハット部材41と摺動板部材46とをそれぞれ個別に準備する。ハット部材41は、ディスクロータ10のハット部11を構成する部材である。摺動板部材46は、ディスクロータ10の摺動板部12を構成する部材である。ハット部材41及び摺動板部材46の個々の構成について、すでに説明した部分と同じ部分には同じ符号を付しながら説明する。

0051

図3及び図4に示すように、ハット部材41は有底円筒状をなし、前述した円筒部21と取付板部22との他、フランジ部42とを有している。ハット部材41は、アルミニウム合金をプレス加工等することによって形成されている。ハット部材41において、円筒部21が有する厚さD2は、ディスクロータ10における円筒部21の厚さD1(図2参照)よりも厚く形成されている。フランジ部42は、ハット部材41の開口側端部に設けられている。フランジ部42は中心軸線C1の軸線方向に直交するように、開口側端部から側方へ向けて形成されている。フランジ部42の開口側端面43は、中心軸線C1の軸線方向と直交する平面となっている。

0052

図5及び図6に示すように、摺動板部材46は、円環状をなす平板により構成され、その表裏両面には一対の摺動面31,32が形成されている。摺動板部材46は、鋳造等によって形成される。摺動板部材46の中心部には、ハット部材41の円筒部21を挿通する挿通孔47が形成されている。挿通孔47の径は、ハット部材41の円筒部21が有する外径よりも若干小さく形成されている。挿通孔47を形成する内面には、内側摺動面32の側に内側溝部33が形成され、外側摺動面31の側には複数の内周突出部34が形成されている。内周突出部34同士の間には、貫通部35が形成されている。そのため、挿通孔47を形成する内面には、内周突出部34と貫通部35とが交互に複数設けられている。

0053

上記のハット部材41及び摺動板部材46を準備した後、図7に示すように、ディスクロータ製造装置60を用いて両者を一体的に結合させ、ディスクロータ10を製造する。ディスクロータ製造装置60を用いたハット部材41と摺動板部材46との連結は、ハット部材41の円筒部21を塑性加工して第2挟持部26(図2参照)を形成し、摺動板部材46の内周突出部34を第1挟持部25とともに挟み込むことによって行われる。

0054

まず、ディスクロータ製造装置60の構成について説明する。ディスクロータ製造装置60は、回動基部61と、成形金型62と、押圧機構63と、塑性加工機構64を有している。そのうち、回動基部61は、上下方向に延びる回動軸部71を備えている。回動軸部71はモータ等を備えた回転駆動部72に設けられ、回転駆動部72の駆動により、回動軸部71はその中心軸線C2を中心として回動する。

0055

成形金型62は、ハット部材41と摺動板部材46とを仮組みさせた仮組み体Kを保持し、ハット部材41の円筒部21を塑性加工させる際の成形型となっている。成形金型62は、仮組み体保持部に相当する。成形金型62は、回動軸部71の先端部に設けられ、回動軸部71の回動とともに回動する。図8にも示すように、成形金型62は、径の異なる2つの略円柱状部によって構成されている。それら2つの円柱状部は、中心軸線C3を一致させた状態で設けられている。成形金型62は、その中心軸線C3を回動軸部71の中心軸線C2に一致させた状態で、回動軸部71に設けられている。

0056

図8に示すように、成形金型62を構成する2つの円柱状部のうち、一つは径の大きな大径部73であり、もう一つは、大径部73よりも径の小さい小径部74である。大径部73の径は、摺動板部材46よりも大きく形成されている。小径部74は、大径部73の上面73aに設けられている。小径部74は、ハット部材41の筒内に形成された円柱状領域Rと略同じ寸法を有している。つまり、小径部74の径d1(図9参照)は、筒内の円柱状領域Rの径d2(図4参照)と略同じであり、また、小径部74の高さH1(図9参照)は、円柱状領域Rの高さH2(図4参照)と略同じとなっている。このため、小径部74にハット部材41を被せれば、図9に示すように、ハット部材41の内面全域が小径部74の外表面74aの全域に当接し、フランジ部42の開口側端面43は、大径部73の上面73aに当接する。

0057

図7戻り、押圧機構63は、成形金型62の上方に設けられている。押圧機構63は、回動軸部71の中心軸線C2と同軸で、その軸線方向へ延びる移動軸部75を有している。移動軸部75は、シリンダ等を備えた押圧駆動部76に設けられ、押圧駆動部76の駆動により、移動軸部75は上下方向へ移動する。移動軸部75の先端部には、押圧部77が設けられている。押圧部77は、成形金型62の小径部74より径の小さい円板状をなしている。移動軸部75の上下動により、押圧部77は、成形金型62の上方に配置された待機位置と、成形金型62に保持された仮組み体Kを上方から押圧する押圧位置との間を移動する。移動軸部75は、このような上下動に加え、中心軸線C2を中心として従回動することが可能となるように構成されている。

0058

塑性加工機構64は、成形金型62及び押圧機構63の側方に設けられている。塑性加工機構64は塑性加工に用いるローラ78を有している。ローラ78は円錐台形状をなし、その上面部分の中心と底面部分の中心とを通る中心軸線C4を回動中心とした回動可能な状態で、支持部79によって支持されている。ローラ78の中心軸線C4は、上下方向に延びる回動軸部71の中心軸線C2に対して傾いた状態となっている。

0059

支持部79は、ローラ移動装置80に連結されている。ローラ移動装置80により、ローラ78は、支持部79に支持された状態で、成形金型62及び押圧機構63から離間する方向と接近する方向とに移動可能とされ、さらに、成形金型62の上方に配置された状態で上下に移動することも可能とされている。

0060

ローラ78の底面部78aの外周縁部には、挟持部形成空間としての塑性加工用溝部81が形成されている。塑性加工用溝部81は底面部78aに対して凹状をなし、外周縁部の周方向全域にわたって形成されている。塑性加工用溝部81は、その側方と底面側とに向けて開放されている。塑性加工用溝部81は、仮組み体Kの円筒部21に当接して、その外周側を塑性加工する場合に、円筒部21の中心軸線C1(回動軸部71の中心軸線C2)の側と、フランジ部42の側とに開放された状態となっている。

0061

塑性加工用溝部81の溝底面82は水平をなしており、その外周縁には、溝底面82に対して略垂直をなす塑性加工用角部83が形成されている。塑性加工用角部83も、底面部78aの外周縁部における周方向全域にわたって形成されている。塑性加工用角部83は、塑性加工部に相当する。

0062

以上の構成を有するディスクロータ製造装置60を利用し、前述したように、個別に製造されたハット部材41と摺動板部材46とを用いて、次のような方法でディスクロータ10を製造する。

0063

はじめに、押圧機構63の移動軸部75を上方向に移動させ、押圧部77を成形金型62から離間した待機位置に配置する。その上で、図8に示すように、ハット部材41を成形金型62の小径部74に被せる。これにより、図9に示すように、ハット部材41の内面全域が小径部74の外表面74aの全域に当接し、フランジ部42の開口側端面43は、大径部73の上面73aに当接する。

0064

次いで、摺動板部材46を、その挿通孔47にハット部材41の円筒部21を挿通させながら、ハット部材41に組み付ける。前述したように、挿通孔47の径は、ハット部材41の円筒部21が有する外径よりも若干小さく形成されている。このため、内側摺動面32が大径部73の上面73aに当接するまで、摺動板部材46の挿通孔47に円筒部21を圧入する。これにより、図9に示すように、ハット部材41のフランジ部42は、摺動板部材46の内側溝部33及び貫通部35に収容される。この場合において、内側溝部33が設けられている部分では、フランジ部42は内周突出部34に当接している。他方、貫通部35が形成されている部分では、フランジ部42の上方は開放された状態となっている。これが仮組み体Kである。

0065

次に、押圧機構63の移動軸部75を、その押圧位置(図7において二点鎖線で示す位置)まで下方向に移動させる。押圧位置では、押圧部77はハット部材41の取付板部22に当接し、上方から仮組み体Kを押圧して保持する。その上で、回転駆動部72を駆動して回動軸部71及び成形金型62を回動させる。このとき、押圧部77及び移動軸部75は成形金型62と一緒に回動する。

0066

成形金型62の回動状態において、ローラ78の塑性加工用角部83が仮組み体Kにおける円筒部21の上方に配置される位置まで、ローラ78を移動させる。そこから、さらにローラ78を下降させる。すると、塑性加工用角部83が円筒部21に当接し、ローラ78は、成形金型62の回動に対し、中心軸線C4を中心として従動回転する。

0067

そこからさらにローラ78を下降させると、図10(a)に示すように、回転する塑性加工用角部83により、円筒部21の外周側は塑性変形させられてフランジ部42の側に集められる。この塑性変形により、円筒部21は、当初の厚さD2よりも薄肉化し、ディスクロータ10のハット部11が有する円筒部21の厚さD1となる。なお、円筒部21は、薄肉化しても塑性加工されることによって加工硬化する。そこで、塑性加工後に十分な強度が確保される程度の厚さD1が設定される。

0068

この時、塑性加工用角部83によって塑性変形させられた円筒部21の金属材(アルミニウム合金)は、側方と底面側に向けて開放された塑性加工用溝部81に導入される。その導入された金属材により、円筒部21の外周面21aにおける周方向全域には、外周面21aから側方へ突出し、フランジ形状をなす環状突起部28が形成される。

0069

その後、さらにローラ78を下降させると、塑性加工用角部83によって塑性変形させられて集められる金属材の量も徐々に増加し、図10(b)に示すように、環状突起部28は塑性加工用溝部81の内部全域に充填されていく。そして、環状突起部28が摺動板部材46の内周突出部34に当接するまで、ローラ78を下降させる。この時、環状突起部28は、塑性加工用溝部81の溝底面82によって押さえつけられながら、内周突出部34に当接する。これにより、内周突出部34は、フランジ部42と環状突起部28とによって挟み込まれる。つまり、フランジ部42が第1挟持部25となり、塑性加工によって形成された環状突起部28が第2挟持部26となり、両者によって内周突出部34が挟持される。

0070

また、この状態で、摺動板部材46の内周縁部13において貫通部35が形成された部分では、塑性加工用溝部81だけでなく、その貫通部35にも、塑性変形させられて集められた円筒部21の金属材が導入される。このため、図10(c)に示すように、環状突起部28の一部は貫通部35の中にも入り込み、それが凸部27となって、貫通部35を形成する周方向両側の側面35a,35bと当接する(図1を参照)。

0071

以上の手順により、ハット部材41と摺動板部材46が一体的に結合され、ディスクロータ10となる。その後、ローラ78を元の待機位置に復帰させた上、回動軸部71及び成形金型62の回動を停止する。さらに、押圧機構63の移動軸部75を上方向に移動させ、待機位置に復帰させる。成形金型62から、ハット部材41と摺動板部材46とが一体的に連結された状態のものを取り外すことにより、ハット部11及び摺動板部12を有するディスクロータ10を得ることができる。

0072

本実施形態におけるディスクロータ10及びその製造方法、ディスクロータ10の製造に用いるディスクロータ製造装置60は上記のとおりであり、これによれば、以下に示す効果が得られる。

0073

(1)ディスクロータ10では、ハット部11に設けられた第1挟持部25及び第2挟持部26により摺動板部12の内周突出部34が挟持され、これにより、ハット部11と摺動板部12とが連結されて、両者が分離困難な状態に一体化される。これにより、2ピース構造を採用したディスクロータ10としての強度を確保することができる。

0074

(2)ディスクロータ10の製造にあたっては、ハット部材41と摺動板部材46との仮組み体Kにおいて、円筒部21の外周側が塑性変形させられることにより第2挟持部26が形成され、第1挟持部25(フランジ部42)とともに内周突出部34を挟み込む。この方法では、円筒部21の外周側を第1挟持部25の側へ向けて塑性変形させるだけであるため、第2挟持部26を形成する加工には精密な精度は不要であるし、カシメ固定といったさらなる作業も不要である。これにより、凹凸の嵌め合わせやカシメ固定といった作業を必要としていた従来技術に比べ、ディスクロータ10の製造コストを低減させることができるし、生産性を高めることもできる。

0075

(3)ディスクロータ10では、第2挟持部26に設けられた凸部27が、摺動板部12の貫通部35に入り込み、周方向の両側面35a,35bに当接している。これにより、ハット部11と摺動板部12との相対回転が規制され、ディスクロータ10の回転方向への強度を確保することができる。そして、貫通部35は、摺動板部12の周方向に沿って複数設けられ、各貫通部35に凸部27が入り込んだ状態となっているため、相対回転規制による回転方向への強度をより高めることができる。

0076

(4)貫通部35に入り込む凸部27は、仮組み体Kにおいて、円筒部21の外周側が塑性変形させられることによって、第2挟持部26が形成されるのと併せて形成される。円筒部21を塑性変形させる作業によって、ハット部11と摺動板部12との連結と、その両者の相対回転規制とが併せて行われるため、ディスクロータ10を容易に製造することができ、製造コストの低減や生産性の向上に寄与する。

0077

(5)ハット部11の第1挟持部25(ハット部材41のフランジ部42)は、摺動板部12(摺動板部材46)に形成された内側溝部33に収容され、ディスクロータ10において、第1挟持部25は、摺動板部12の内側摺動面32から突出していない。これにより、車軸Sの周辺に設けられるブレーキ装置等の構成部品配置スペースが、第1挟持部25によって阻害されない。

0078

(6)摺動板部12の内周縁部13において、第1挟持部25寄りの位置には、複数の内周突出部34が設けられ、隣接する内周突出部34の間の隙間に貫通部35が形成されている。貫通部35により、凸部27が入り込む空間と、第1挟持部25を収容する空間とが兼用されている。そのため、それぞれの空間を個別に形成するよりも、製造コストの低減に寄与する。特に、摺動板部12は鋳造によって製造されるため、内周突出部34や貫通部35の形成も鋳造時に行えるため、コスト低減の効果は高い。

0079

(7)ディスクロータ製造装置60において、環状をなす塑性加工用角部83が形成されたローラ78は、仮組み体Kの中心軸線C1(回動軸部71の中心軸線C2)に対して、傾いた状態をなす中心軸線C4を中心として従動回転可能に支持されている。そして、その状態を維持しながら、塑性加工用角部83を円筒部21の外周側に当て、その外周側を塑性変形させる。

0080

このように塑性加工用角部83を斜めに当てる構成であるため、ローラ78の中心軸線C4を回動軸部71の中心軸線C2と平行に配置するよりも、より確実に塑性加工用角部83を円筒部21に当てて、円筒部21の外周側を塑性変形させることができる。また、環状突起部28が摺動板部材46の内周突出部34に当接して第2挟持部26となる位置まで、ローラ78を下降させた場合に、ローラ78の底面部78aが摺動板部材46に接触し、摺動板部材46の外側摺動面31を傷つけてしまうおそれを低減できる。

0081

(8)ディスクロータ製造装置60が有するローラ78には、塑性加工用溝部81が設けられている。この塑性加工用溝部81の存在により、塑性加工用角部83によって塑性変形させられて集められた部分は、その塑性加工用溝部81に逃げてその空間に導入される。これにより、第2挟持部26が形成される。そのため、塑性加工用溝部81の形状を工夫することによって、第1挟持部25とともに内周突出部34を挟持するに足りる強度を備えた第2挟持部26の形状とする等、第2挟持部26を任意の形状に形成することができる。

0082

(9)回転駆動部72の駆動により回動する仮組み体Kの円筒部21に、ローラ78の塑性加工用角部83が押し当てられるため、ローラ78は、仮組み体Kの回動に伴って中心軸線C4を中心として従動回転する。塑性加工用角部83も回転しながら円筒部21の外周側を塑性変形させるため、円筒部21の外周側との摩擦によって塑性加工用角部83が受ける摩擦力が低減され、塑性加工用角部83の摩耗を少なくすることができる。

0083

なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、例えば次のような製造方法を実施してもよい。

0084

(a)上記実施の形態では、摺動板部12(摺動板部材46)に貫通部35を形成し、これを凸部27が入り込む凹部に相当するものとしたが、凹部としては、図11に一例を示すように、溝部91であってもよい。この場合、溝部91の形状は、図示された例の他、角形状や半円形状等の各種形状を採用することができる。また、形成される溝部91の数も任意であり、回転方向への強度として必要とされる程度に応じて増減される。

0085

(b)上記実施の形態では、円筒部21の外周部を塑性変形させて、第2挟持部26とともに相対回転規制用の凸部27が形成されるようにしたが、第2挟持部26と凸部27とが別々に形成される構成を採用してもよい。例えば、図12(a)に示すように、第1挟持部25に凸部92を形成し、内周突出部34に形成された溝部93にこの凸部92を入り込ませるようにしてもよい。この場合、摺動板部材46の挿通孔47にハット部材41を挿通させた段階で、相対回転規制がなされることになる。

0086

(c)上記実施の形態では、摺動板部12に内側溝部33を形成し、これに第1挟持部25を収容していたが、内側溝部33を省略してもよい。この場合、図12(b)に示すように、第1挟持部25は、摺動板部12の内側摺動面32から突出した状態となり、その状態で、第2挟持部26とともに内周縁部13を挟み込むことになる。もっとも、この構成では、第1挟持部25によって、ブレーキ装置等の構成部品を配置するスペースが阻害されるおそれがあるため、上記実施形態のように内側溝部33に収容する構成を採用することが好ましい。

0087

(d)上記実施の形態では、ハット部材41の開口側端部にフランジ部42を設け、そのフランジ部42に向けて円筒部21の外周側を塑性変形させることで、もう一方の挟持部を形成したが、塑性変形によって形成される挟持部が逆の構成を採用してもよい。例えば図12(c)に示すように、円筒部21の外周面21aに形成された環状突起94に当接するように、ハット部材41の開口側から摺動板部材46を取り付ける。その後、円筒部21の開口側部分において、開口側から環状突起94の側に向けて外周側を塑性変形させて開口側挟持部95を形成する。これにより、環状突起94と開口側挟持部95とで、摺動板部12の内周縁部13が挟み込まれる。この場合、環状突起94が第1挟持部に相当し、開口側挟持部95が第2挟持部に相当する。

0088

(e)上記実施の形態では、ハット部11と摺動板部12との連結部分において、両者を直接接触させる構成としたが、図12(d)に示すように、塗料等の絶縁材やステンレス鋼等の防食材96を介在させるようにしてもよい。防食材96を介在させることにより、ハット部11を形成するアルミニウム合金と、摺動板部12を形成する鋳鉄という異種金属が接触することによる腐食を抑制することができる。

0089

(f)上記実施の形態では、摺動板部材46に形成された挿通孔47の径を、ハット部材41の円筒部21が有する外径よりも若干小さく形成し、円筒部21を圧入する構成としたが、挿通孔47と円筒部21との間に隙間が形成される構成としてもよい。

0090

(g)上記実施の形態では、ディスクロータ製造装置60において、成形金型62を回動させる一方、ローラ78を従動回転するように構成したが、これとは逆に、ローラ78を回動させる駆動部を設けて、成形金型62の側が従動回転する構成を採用してもよい。また、ローラ78は支持部79によって回転可能に支持されているが、回転しない状態で支持する構成を採用してもよい。回転しない構成であれば、塑性加工用角部83が環状をなすように形成されている必要はない。もっとも、塑性加工用角部83の摩耗を低減させるには、ローラ78を回転させる構成を採用することが好ましい。

0091

(h)上記実施の形態では、ディスクロータ製造装置60において、中心軸線C2が上下方向となるように回動軸部71等を配置したが、その中心軸線C2が水平方向等の他の方向となるように回動軸部71等を配置してもよい。

0092

(i)上記実施の形態では、ディスクロータ製造装置60において、ローラ78を円錐台形状に形成したが、外周縁部に塑性加工用角部83を有する形状であれば足り、例えば円板形状であってもよい。

0093

(j)上記実施の形態では、塑性加工用角部83を、塑性加工用溝部81の溝底面82に対して略直角をなすように形成したが、より鋭角の角度を有する形状となるように形成してもよい。また、塑性加工用角部83を溝底面82に対して直角をなすように形成する場合でも、溝底面82が水平をなしている必要はなく、水平面に対して傾斜した傾斜面であってもよい。

0094

(k)上記実施の形態では、ハット部11(ハット部材41)をアルミニウム合金により形成したが、他の金属材料によって形成してもよい。例えば、ハット部11(ハット部材41)を、チタン合金等、アルミニウム合金以外の軽合金によって形成したり、鋳鉄よりも高強度の鋼材によって形成したりしてもよい。

0095

10…ディスクロータ、11…ハット部、12…摺動板部、13…内周縁部、13a…内周板面(板面)、21…円筒部、21a…外周面、25…第1挟持部、26…第2挟持部、27…凸部、33…内側溝部(収容空間)、34…内周突出部(突出部)、35…貫通部(凹部)、41…ハット部材、42…フランジ部、46…摺動板部材、47…挿通孔、60…ディスクロータ製造装置、62…成形金型(仮組み体保持部)、72…回転駆動部、74…小径部(内側当接部)、78…ローラ、81…塑性加工用溝部(挟持部形成空間)、83…塑性加工用角部(塑性加工部)。

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