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課題

互いに同族であるドメインを含み、かつ目的の抗原と特異的に結合するドメインを含む、再配列によって、ヒトT細胞受容体可変ドメインをコードする遺伝子を形成できる、再配列されていないヒトT細胞可変領域遺伝子セグメントを含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物)を提供する。

解決手段

本発明は、細胞性免疫応答において機能するヒト化分子発現する非ヒト細胞を含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物)を提供する。本発明はまた、再配列されていないTCR可変遺伝子座を含む非ヒト動物も提供する。

概要

背景

適応免疫応答において、外来抗原は、Bリンパ球(例えば、免疫グロブリン)およびTリンパ球(例えば、T細胞受容体またはTCR)上の受容体分子によって認識される。血液および細胞外間隙中の病原体は、体液性免疫応答過程で抗体によって認識されるのに対し、細胞内部での病原体の破壊は、細胞性免疫応答の過程でT細胞によって媒介される。

T細胞は、細胞表面の主要組織適合遺伝子複合体MHC)に関連してT細胞に対して提示された抗原を認識し、攻撃する。抗原認識は、T細胞の表面で発現されたTCRによって媒介される。この機能を担うのは、細胞表面タンパク質CD8を発現する細胞傷害性T細胞と、細胞表面タンパク質CD4を発現するヘルパーT細胞の、2種類の主要なT細胞である。細胞傷害性T細胞は、抗原を提示する細胞の直接破壊をもたらす(MHC Iに関連して)シグナル伝達カスケード活性化するのに対し、ヘルパーT細胞はいくつかの種類に分化し、それらの活性化(MHC IIに関連して提示された抗原の認識によって初回刺激される)により、マクロファージによって媒介された病原体の破壊が起こり、B細胞による抗体産生刺激される。

抗体は、抗原特異性があるので、数々のヒトの障害に対する治療可能性について現在広く研究されている。ヒト標的を中和できる抗体であって、同時にこのような抗体に対する免疫応答の活性化を回避できる抗体を作成するために、科学者は、ヒトまたはヒト化免疫グロブリンを生成することに全力を注いでいる。in vivoでヒト化抗体を生成する1つの方法は、VELOCIMMUNE(登録商標マウス、即ち、(1)内在性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に、互いにおよびマウス定常領域に作動可能に連結した再配列されていないヒト免疫グロブリンV、DおよびJセグメントレパートリーを含みかつ(2)内在性マウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に、互いにおよびマウス定常κ領域に作動可能に連結した再配列されていないヒトVκおよびJκセグメントレパートリーを含むヒト化マウス、の使用によるものである。したがって、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、ヒト抗体作出に使用するための、多様性に富んだ再配列抗体可変ドメイン豊富供給源を提供する。

抗体と同様に、T細胞受容体は、V(D)J可変領域セグメントを含む再配列されていない遺伝子座(αおよびβ遺伝子座またはδおよびγ遺伝子座)によってコードされる可変領域を含み、この可変領域は、T細胞に抗原結合特異性を与える。また、抗体と同様に、抗原に対するTCR特異性は、新規な療法の開発に利用できる。したがって、互いに同族であるドメインを含み、かつ目的の抗原と特異的に結合するドメインを含む、再配列によって、ヒトT細胞受容体可変ドメインをコードする遺伝子を形成できる、再配列されていないヒトT細胞可変領域遺伝子セグメントを含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラットまたはマウス)が、当技術分野で必要とされている。保存的ヒト化を含むT細胞可変領域遺伝子座を含む非ヒト動物、例えば、再配列によって、非ヒト(内在性)T細胞受容体定常遺伝子配列に連結したT細胞受容体可変領域遺伝子を形成できる、再配列されていないヒト遺伝子セグメントを含む非ヒト動物も必要とされている。ヒトT細胞受容体可変配列の多様なレパートリーを産生できる非ヒト動物も依然として必要である。目的の抗原に応答して、ほとんどのまたは全ての機能性T細胞受容体可変領域セグメントを再配列して、完全ヒト可変ドメインを含むT細胞受容体ポリペプチドを形成できる非ヒト動物が必要とされている。

概要

互いに同族であるドメインを含み、かつ目的の抗原と特異的に結合するドメインを含む、再配列によって、ヒトT細胞受容体可変ドメインをコードする遺伝子を形成できる、再配列されていないヒトT細胞可変領域遺伝子セグメントを含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物)を提供する。本発明は、細胞性免疫応答において機能するヒト化分子を発現する非ヒト細胞を含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物)を提供する。本発明はまた、再配列されていないTCR可変遺伝子座を含む非ヒト動物も提供する。なし

目的

ヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物を作製するための方法;ならびにヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を含み、かつこれらの遺伝子座からヒトまたはヒト化TCRポリペプチドを発現する非ヒト動物、組織および細胞の使用方法も提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

明細書中に記載の発明。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2011年10月28日に出願された米国仮出願第61/552,582号;2012年4月6日に出願された米国仮出願第61/621,198号;および2012年9月14日に出願された米国仮出願第61/700,908号(これら全ては、その全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権の利益を主張する。

0002

本発明は、ヒトまたはヒト化T細胞受容体(TCR)可変遺伝子座(例えば、TCRαおよびTCRβ可変遺伝子座ならびに/またはTCRδおよびTCRγ可変遺伝子座)をゲノム中に含み、かつヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座からヒトまたはヒト化TCRポリペプチド(例えば、TCRαおよびTCRβポリペプチドならびに/またはTCRδおよびTCRγポリペプチド)を発現する遺伝子改変非ヒト動物、例えば、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)に関する。本発明のヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を有する非ヒト動物は、内在性非ヒトTCR遺伝子座に、再配列されていないヒトTCR可変領域遺伝子セグメント(例えば、V、Dおよび/またはJセグメント)を含む。本発明はまた、ヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を含み、かつヒトまたはヒト化TCRポリペプチドを発現する組織および細胞(例えば、T細胞)に関する。ヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物を作製するための方法;ならびにヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座を含み、かつこれらの遺伝子座からヒトまたはヒト化TCRポリペプチドを発現する非ヒト動物、胚、組織および細胞の使用方法も提供する。

背景技術

0003

適応免疫応答において、外来抗原は、Bリンパ球(例えば、免疫グロブリン)およびTリンパ球(例えば、T細胞受容体またはTCR)上の受容体分子によって認識される。血液および細胞外間隙中の病原体は、体液性免疫応答過程で抗体によって認識されるのに対し、細胞内部での病原体の破壊は、細胞性免疫応答の過程でT細胞によって媒介される。

0004

T細胞は、細胞表面の主要組織適合遺伝子複合体MHC)に関連してT細胞に対して提示された抗原を認識し、攻撃する。抗原認識は、T細胞の表面で発現されたTCRによって媒介される。この機能を担うのは、細胞表面タンパク質CD8を発現する細胞傷害性T細胞と、細胞表面タンパク質CD4を発現するヘルパーT細胞の、2種類の主要なT細胞である。細胞傷害性T細胞は、抗原を提示する細胞の直接破壊をもたらす(MHC Iに関連して)シグナル伝達カスケード活性化するのに対し、ヘルパーT細胞はいくつかの種類に分化し、それらの活性化(MHC IIに関連して提示された抗原の認識によって初回刺激される)により、マクロファージによって媒介された病原体の破壊が起こり、B細胞による抗体産生刺激される。

0005

抗体は、抗原特異性があるので、数々のヒトの障害に対する治療可能性について現在広く研究されている。ヒト標的を中和できる抗体であって、同時にこのような抗体に対する免疫応答の活性化を回避できる抗体を作成するために、科学者は、ヒトまたはヒト化免疫グロブリンを生成することに全力を注いでいる。in vivoでヒト化抗体を生成する1つの方法は、VELOCIMMUNE(登録商標)マウス、即ち、(1)内在性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に、互いにおよびマウス定常領域に作動可能に連結した再配列されていないヒト免疫グロブリンV、DおよびJセグメントレパートリーを含みかつ(2)内在性マウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に、互いにおよびマウス定常κ領域に作動可能に連結した再配列されていないヒトVκおよびJκセグメントレパートリーを含むヒト化マウス、の使用によるものである。したがって、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、ヒト抗体作出に使用するための、多様性に富んだ再配列抗体可変ドメイン豊富供給源を提供する。

0006

抗体と同様に、T細胞受容体は、V(D)J可変領域セグメントを含む再配列されていない遺伝子座(αおよびβ遺伝子座またはδおよびγ遺伝子座)によってコードされる可変領域を含み、この可変領域は、T細胞に抗原結合特異性を与える。また、抗体と同様に、抗原に対するTCR特異性は、新規な療法の開発に利用できる。したがって、互いに同族であるドメインを含み、かつ目的の抗原と特異的に結合するドメインを含む、再配列によって、ヒトT細胞受容体可変ドメインをコードする遺伝子を形成できる、再配列されていないヒトT細胞可変領域遺伝子セグメントを含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラットまたはマウス)が、当技術分野で必要とされている。保存的ヒト化を含むT細胞可変領域遺伝子座を含む非ヒト動物、例えば、再配列によって、非ヒト(内在性)T細胞受容体定常遺伝子配列に連結したT細胞受容体可変領域遺伝子を形成できる、再配列されていないヒト遺伝子セグメントを含む非ヒト動物も必要とされている。ヒトT細胞受容体可変配列の多様なレパートリーを産生できる非ヒト動物も依然として必要である。目的の抗原に応答して、ほとんどのまたは全ての機能性T細胞受容体可変領域セグメントを再配列して、完全ヒト可変ドメインを含むT細胞受容体ポリペプチドを形成できる非ヒト動物が必要とされている。

課題を解決するための手段

0007

細胞性免疫応答において機能するヒト化分子を発現する非ヒト細胞を含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物)を提供する。また、再配列されていないTCR可変遺伝子座を含む非ヒト動物も提供する。ヒト化齧歯動物細胞を含むin vivoおよびin vitroの系であって、齧歯動物細胞が1種または複数のヒト化免疫系分子を発現する系を提供する。ヒト化TCRタンパク質をコードする、再配列されていないヒト化TCR齧歯動物遺伝子座も提供する。

0008

一態様において、(a)非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)TCRα定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座、ならびに/または(b)非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)TCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座を、ゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を本明細書中で提供する。

0009

一実施形態において、再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、内在性TCRα可変遺伝子座において、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)TCRα可変遺伝子座と置き換わっている。一実施形態において、再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、内在性TCRβ可変遺伝子座において、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)TCRβ可変遺伝子座と置き換わっている。一実施形態において、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)VαおよびJαセグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができない。一実施形態において、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)Vβ、DβおよびJβセグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない。一実施形態において、非ヒト動物は、動物のゲノムが機能性Vαおよび機能性Jαセグメントを含まないように欠失を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、動物のゲノムが機能性内在性Vβ、機能性内在性Dβおよび機能性内在性Jβセグメントを含まないように欠失を含む。一実施形態において、動物は、全ての機能性内在性VαおよびJαセグメントの欠失を含む。一実施形態において、齧歯動物は、全ての機能性内在性Vβ、DβおよびJβセグメントの欠失を含む。一部の実施形態において、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントは再配列されて、再配列Vα/Jα配列を形成する。一部の実施形態において、ヒトVβセグメント、ヒトDβセグメントおよびヒトJβセグメントは再配列されて、再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成する。したがって、種々の実施形態において、非ヒト動物(例えば、齧歯動物)は、T細胞の表面においてヒト可変領域および非ヒト(例えば、齧歯動物)定常領域を含むT細胞受容体を発現する。

0010

一部の態様において、非ヒト動物のT細胞は、胸腺におけるT細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する。一部の態様において、非ヒト動物は、脾臓CD3+T細胞対脾細胞の正常な比率を含む。種々の実施形態において、非ヒト動物は、末梢セントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する。

0011

一実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物における再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、61のヒトJαセグメントおよび8つのヒトVαセグメントを含む。別の実施形態において、非ヒト動物における再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、ヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含む。

0012

一実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物における再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、14のヒトJβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトVβセグメントを含む。別の実施形態において、非ヒト動物における再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、ヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む。

0013

さらなる実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、齧歯動物)は、ヒト化TCRα遺伝子座にヒトTCRδ可変セグメントヌクレオチド配列をさらに含む。一実施形態において、非ヒト動物(例えば、齧歯動物)は、ヒト化TCRα遺伝子座に少なくとも1つのヒトVδ、DδおよびJδセグメント、例えば、ヒトVδ、DδおよびJδセグメントの完全なレパートリーをさらに含む。

0014

一実施形態において、非ヒト動物は内在性非ヒトTCRαおよび/またはTCRβ遺伝子座を保持し、遺伝子座は非機能性遺伝子座である。

0015

一実施形態において、非ヒト動物は齧歯動物である。一実施形態において、齧歯動物はマウスおよびラットより選択される。一実施形態において、齧歯動物はマウスである。

0016

一態様において、本発明は、(a)非ヒト(例えば、マウスまたはラット)TCRα定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJαセグメントのレパートリーおよびヒトVαセグメントのレパートリーを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座、ならびに/または(b)非ヒト(例えば、マウスまたはラット)TCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJβセグメントのレパートリー、ヒトDβセグメントのレパートリーおよびヒトVβセグメントのレパートリーを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座を、ゲノム中に含む遺伝子改変マウスを提供する。一実施形態において、マウスは、ヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含む。一実施形態において、マウスは、ヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む。一実施形態において、マウスは、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントの完全なレパートリーを含む。一実施形態において、マウスは、ヒトVαセグメントおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む。一実施形態において、マウスは、ヒトVα、ヒトJα、ヒトVβ、ヒトDβおよびヒトJβセグメントの完全なレパートリーを含む。

0017

一実施形態において、マウスは、少なくとも1つの内在性マウスVαセグメントおよび少なくとも1つの内在性マウスJαセグメント(前記内在性セグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができない)を含み、かつまた、少なくとも1つの内在性マウスVβセグメント、少なくとも1つの内在性マウスDβセグメントおよび少なくとも1つの内在性マウスJβセグメント(前記内在性セグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない)を含む。

0018

一実施形態において、ヒトTCRα可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、内在性マウスTCRα可変遺伝子座においてマウスTCRα可変遺伝子と置き換わっており、ヒトTCRβ可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、内在性マウスTCRβ可変遺伝子座においてマウスTCRβ可変遺伝子と置き換わっている。

0019

一実施形態において、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントは再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成し、ヒトVβセグメント、ヒトDβセグメントおよびヒトJβセグメントは再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する。一実施形態において、再配列されたヒトVα/Jα配列は、マウスTCRα定常領域配列に作動可能に連結する。一実施形態において、再配列されたヒトVβ/Dβ/Jβ配列は、マウスTCRβ定常領域配列に作動可能に連結する。したがって、種々の実施形態において、マウスは、T細胞の表面でT細胞受容体を発現し、T細胞受容体は、ヒト可変領域およびマウス定常領域を含む。

0020

一実施形態において、マウスは、ヒト化TCRα遺伝子座にヒトTCRδ可変領域セグメント(例えば、ヒトVδ、JδおよびDδセグメント)のレパートリーをさらに含む。一実施形態において、ヒトTCRδ可変領域セグメントのレパートリーは、完全なヒトTCRδ可変領域セグメントレパートリーである。一実施形態において、ヒトTCRδ可変領域セグメントは、内在性TCRα遺伝子座にある。一実施形態において、ヒトTCRδ可変領域セグメントは、内在性マウスTCRδ可変領域セグメントと置き換わっている。

0021

一実施形態において、遺伝子改変マウスは、T細胞の表面においてヒト可変領域およびマウス定常領域を含むT細胞受容体を発現する。一態様において、マウスのT細胞は、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する。一態様において、マウスは、脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含み、一態様において、マウスは、目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する。

0022

本明細書中に記載した遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を作製するための方法も提供する。

0023

一態様において、内在性齧歯動物TCR遺伝子座で、齧歯動物定常遺伝子ではなく齧歯動物TCRαおよびTCRβ可変領域セグメントを、ヒトの再配列されていないTCRαおよびTCRβ可変領域セグメントと置き換えるステップを含む、ヒト化齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)を作製するための方法を提供する。一実施形態において、この方法は、齧歯動物TCRα可変領域セグメント(Vαおよび/またはJα)をヒトTCRα可変領域セグメント(Vαおよび/またはJα)と置き換えるステップであって、前記TCRα可変領域セグメントが非ヒトTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結してヒト化TCRα遺伝子座を形成するステップと、齧歯動物TCRβ可変領域セグメント(Vβおよび/またはDβおよび/またはJβ)をヒトTCRβ可変領域セグメント(Vβおよび/またはDβおよび/またはJβ)と置き換えるステップであって、前記TCRβ可変領域セグメントが非ヒトTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結してヒト化TCRβ遺伝子座を形成するステップとを含む。一実施形態において、ヒト化齧歯動物はマウスであり、マウスの生殖細胞系は、内在性TCRα遺伝子座で内在性マウスTCRα定常配列に作動可能に連結したヒトTCRα可変領域セグメントを含み、かつマウスの生殖細胞系は、内在性TCRβ遺伝子座で内在性マウスTCRβ定常配列に作動可能に連結したヒトTCRβ可変領域セグメントを含む。

0024

一実施形態において、T細胞の表面においてヒトまたはヒト化可変領域および非ヒト(例えば、齧歯動物)定常領域を含むT細胞受容体を発現する遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を作製するための方法であって、第1の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座と置き換えるステップであって、前記ヒト化TCRα可変遺伝子座が内在性非ヒトTCRα定常領域に作動可能に連結するステップと;第2の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座と置き換えるステップであって、前記ヒト化TCRβ可変遺伝子座が内在性TCRβ定常領域に作動可能に連結するステップと;前記第1および前記第2の非ヒト動物を交配して、ヒトまたはヒト化可変領域および非ヒト定常領域を含むT細胞受容体を発現する非ヒト動物を得るステップとを含む、方法を、本明細書中で提供する。

0025

この方法の一実施形態において、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)VαおよびJαセグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)Vβ、DβおよびJβセグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない。この方法の一実施形態において、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントは再配列されて、再配列Vα/Jα配列を形成し、ヒトVβセグメント、ヒトDβセグメントおよびヒトJβセグメントは再配列されて、再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成する。この方法の一実施形態において、再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座は、61のヒトJαセグメントおよび8つのヒトVαセグメントを含み、再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座は、14のヒトVβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトJβセグメントを含む。この方法の別の実施形態において、再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座は、ヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含み、再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座は、ヒトVβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトJβセグメントの完全なレパートリーを含む。

0026

この方法の一態様において、非ヒト動物(例えば、齧歯動物)のT細胞は、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する。一態様において、非ヒト動物(例えば、齧歯動物)は、脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む。一態様において、非ヒト動物(例えば、齧歯動物)は、目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する。

0027

一部の実施形態において、本明細書中に記載した内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座の置き換えを単一ES細胞において行い、単一ES細胞を非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)胚に導入して、遺伝子改変非ヒト動物(即ち、第1の非ヒト動物、例えば、第1の齧歯動物)を作製し;本明細書中に記載した内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座の置き換えを単一ES細胞において行い、単一ES細胞を非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)胚に導入して、遺伝子改変非ヒト動物(即ち、第2の非ヒト動物、例えば、第2の齧歯動物)を作製する。一実施形態において、第1の齧歯動物および第2の齧歯動物を交配して子孫を形成し、子孫は、その生殖細胞系に、ヒト化TCRα可変遺伝子座およびヒト化TCRβ可変遺伝子座を含む。

0028

この方法の一実施形態において、非ヒト動物は、齧歯動物、例えば、マウスである。したがって、本発明はまた、遺伝子改変マウスを作製するための方法を提供する。

0029

本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)に由来する細胞、例えば、単離T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞など)も、本明細書中で提供する。本明細書中に記載した非ヒト動物に由来する組織および胚も提供する。

0030

一態様において、ヒト化TCRα遺伝子座および/またはヒト化TCRβ遺伝子座を含むように、本明細書中に記載した齧歯動物を遺伝子改変するステップと、T細胞を形成するのに十分な条件下に齧歯動物を維持するステップとを含む、ヒトTCR可変ドメインを作製するための方法であって、T細胞がヒトTCRαおよび/またはヒトTCRβ可変ドメインを発現する、方法を提供する。

0031

一態様において、目的のエピトープと結合するヒトTCR可変ドメインをコードする核酸配列を作製するための方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を、目的のエピトープに曝露するステップと、前記動物がそのヒト化TCRに対して目的のエピトープを提示するのに十分な条件下に前記非ヒト動物を維持するステップと、目的のエピトープと結合するヒトTCR可変ドメインポリペプチドをコードする前記動物の核酸を同定するステップとを含む、方法を提供する。

0032

一態様において、ヒト化TCR受容体を作製するための、本明細書中に記載した非ヒト動物の使用を提供する。一態様において、ヒトTCR可変ドメインを作製するための、本明細書中に記載した非ヒト動物の使用を提供する。一態様において、ヒトTCR可変ドメインをコードする核酸配列を作製するための、本明細書中に記載した非ヒト動物の使用を提供する。

0033

一態様において、抗原結合タンパク質を作製するための、ヒトTCR可変ドメインまたはその断片をコードする核酸配列の使用を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、目的の抗原と結合するヒトTCRαおよび/またはヒトTCRβ可変ドメインを含むTCR可変ドメインを含む。

0034

一態様において、ヒト化T細胞受容体を表面で発現する非ヒト細胞を作製するための、本明細書中に記載した非ヒトの使用を提供する。

0035

一態様において、本明細書中に記載した非ヒト動物に由来するヒト化T細胞受容体を提供する。

0036

一態様において、本明細書中に記載した非ヒト動物中で作製された、ヒトTCR可変ドメインまたはその断片をコードする核酸配列を提供する。

0037

本明細書中に記載した実施形態および態様はいずれも、特に指示がない限りまたは文脈から明らかでない限り、互いに関連して使用できる。他の実施形態は、後述する詳細な説明を検討することによって、当業者には明らかとなるであろう。以下の詳細な説明は、本発明の種々の実施形態を例示的に表すものであり、特許請求の範囲に記載する本発明を限定するものではない。添付図は、本明細書の一部を構成し、説明と一緒になって、実施形態を専ら例示する役割をし、本発明を限定する役割をしない。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
項目1)
非ヒトT細胞受容体(TCR)α定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座を、ゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物。
(項目2)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座が、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座と置き換わっている、項目1に記載の動物。
(項目3)
内在性非ヒトVαセグメントおよび内在性非ヒトJαセグメントが、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができない、項目1に記載の動物。
(項目4)
機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を欠如している、項目1に記載の動物。
(項目5)
前記機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vα遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Jα遺伝子セグメントの欠失および(c)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含む、項目4に記載の動物。
(項目6)
前記ヒトVαセグメントおよび前記ヒトJαセグメントが再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成する、項目1に記載の動物。
(項目7)
T細胞の表面においてヒトTCRα可変領域を含むT細胞受容体を発現する、項目6に記載の動物。
(項目8)
前記動物のT細胞が、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する、項目1に記載の動物。
(項目9)
脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む、項目1に記載の動物。
(項目10)
目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する、項目1に記載の動物。
(項目11)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座が、ヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含む、項目1に記載の動物。
(項目12)
前記動物が内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を保持し、前記遺伝子座が非機能性遺伝子座である、項目1に記載の動物。
(項目13)
齧歯動物である、項目1に記載の動物。
(項目14)
前記齧歯動物がマウスである、項目13に記載の動物。
(項目15)
非ヒトTCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座を、ゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物。
(項目16)
前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座が、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座と置き換わっている、項目15に記載の動物。
(項目17)
内在性齧歯動物Vβセグメント、内在性齧歯動物Dβセグメントおよび内在性齧歯動物Jβセグメントが、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない、項目15に記載の動物。
(項目18)
機能性内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を欠如している、項目15に記載の動物。
(項目19)
前記機能性内在性齧歯動物TCRβ可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vβ遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Dβ遺伝子セグメントの欠失、(c)全ての内在性Jβ遺伝子セグメントの欠失および(d)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含む、項目18に記載の動物。
(項目20)
前記ヒトVβセグメント、前記ヒトDβセグメントおよび前記ヒトJβセグメントが再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する、項目15に記載の動物。
(項目21)
T細胞の表面においてヒトTCRβ可変領域を含むT細胞受容体を発現する、項目20に記載の動物。
(項目22)
前記動物のT細胞が、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する、項目15に記載の動物。
(項目23)
脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む、項目15に記載の動物。
(項目24)
目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する、項目15に記載の動物。
(項目25)
前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座が、ヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む、項目15に記載の動物。
(項目26)
前記動物が内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を保持し、前記遺伝子座が非機能性遺伝子座である、項目15に記載の動物。
(項目27)
齧歯動物である、項目15に記載の動物。
(項目28)
前記齧歯動物がマウスである、項目27に記載の動物。
(項目29)
非ヒトT細胞受容体(TCR)α定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座と、
非ヒトTCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座と
を、ゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物。
(項目30)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座が、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座と置き換わっており、かつ前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座が、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座と置き換わっている、項目29に記載の動物。
(項目31)
内在性非ヒトVαセグメントおよび内在性非ヒトJαセグメントが、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、かつ内在性非ヒトVβセグメント、内在性非ヒトDβセグメントおよび内在性非ヒトJβセグメントが、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない、項目29に記載の動物。
(項目32)
機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を欠如し、かつ機能性内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を欠如している、項目29に記載の動物。
(項目33)
前記機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vα遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Jα遺伝子セグメントの欠失および(c)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含み、かつ
前記機能性内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vβ遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Dβ遺伝子セグメントの欠失、(c)全ての内在性Jβ遺伝子セグメントの欠失および(d)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含む、項目32に記載の動物。
(項目34)
前記ヒトVαセグメントおよび前記ヒトJαセグメントが再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成し、かつ前記ヒトVβセグメント、前記ヒトDβセグメントおよび前記ヒトJβセグメントが再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する、項目29に記載の動物。
(項目35)
T細胞の表面においてヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むT細胞受容体を発現する、項目34に記載の動物。
(項目36)
前記動物のT細胞が、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する、項目29に記載の動物。
(項目37)
脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む、項目29に記載の動物。
(項目38)
目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する、項目29に記載の動物。
(項目39)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座が61のヒトJαセグメントおよび8つのヒトVαセグメントを含み、かつ前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座が14のヒトJβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトVβセグメントを含む、項目29に記載の動物。
(項目40)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座がヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含み、かつ前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座がヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む、項目29に記載の動物。
(項目41)
前記動物が内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座および内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を保持し、前記遺伝子座が非機能性遺伝子座である、項目29に記載の動物。
(項目42)
ヒト化TCRα遺伝子座にヒトVδセグメントのヌクレオチド配列をさらに含む、項目29に記載の動物。
(項目43)
前記ヒト化TCRα遺伝子座にヒトVδセグメントの完全なレパートリー、ヒトDδセグメントの完全なレパートリーおよびヒトJδセグメントの完全なレパートリーをさらに含む、項目42に記載の動物。
(項目44)
齧歯動物である、項目29に記載の動物。
(項目45)
前記齧歯動物がマウスである、項目44に記載の動物。
(項目46)
T細胞の表面においてヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むT細胞受容体を発現する遺伝子改変非ヒト動物を作製するための方法であって、前記方法は:
第1の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座と置き換えて、ヒト化TCRα可変遺伝子座を作成するステップであって、前記ヒト化TCRα可変遺伝子座が内在性非ヒトTCRα定常領域に作動可能に連結している、ステップと、
第2の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座と置き換えて、ヒト化TCRβ可変遺伝子座を作成するステップであって、前記ヒト化TCRβ可変遺伝子座が内在性非ヒトTCRβ定常領域に作動可能に連結している、ステップと、
前記第1の動物および前記第2の動物を交配して、ヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むT細胞受容体を発現する非ヒト動物を得るステップと
を含む、方法。
(項目47)
内在性非ヒトVαセグメントおよび内在性非ヒトJαセグメントが、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、かつ内在性非ヒトVβセグメント、内在性非ヒトDβセグメントおよび内在性非ヒトJβセグメントが、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記遺伝子改変動物は、機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を欠如し、かつ機能性内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を欠如している、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記機能性内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vα遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Jα遺伝子セグメントの欠失および(c)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含み、かつ
前記機能性内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座の前記欠如が、(a)全ての内在性Vβ遺伝子セグメントの欠失、(b)全ての内在性Dβ遺伝子セグメントの欠失、(c)全ての内在性Jβ遺伝子セグメントの欠失および(d)それらの組合せからなる群より選択される欠失を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記ヒトVαセグメントおよび前記ヒトJαセグメントが再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成し、かつ前記ヒトVβセグメント、前記ヒトDβセグメントおよび前記ヒトJβセグメントが再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記齧歯動物のT細胞が、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記動物が、脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む、項目46に記載の方法。
(項目53)
前記動物が、目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座が61のヒトJαセグメントおよび8つのヒトVαセグメントを含み、かつ前記再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座が14のヒトJβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトVβセグメントを含む、項目46に記載の方法。
(項目55)
前記再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座がヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含み、かつ前記再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座がヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む、項目46に記載の方法。
(項目56)
前記非ヒト動物が齧歯動物である、項目46に記載の方法。
(項目57)
前記齧歯動物がマウスである、項目56に記載の方法。
(項目58)
マウスT細胞受容体(TCR)α定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座と、
マウスTCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座と
を、ゲノム中に含む遺伝子改変マウス。
(項目59)
前記再配列されていないTCRα可変遺伝子座が、内在性マウスTCRα可変遺伝子座と置き換わっており、かつ前記再配列されていないTCRβ可変遺伝子座が、内在性マウスTCRβ可変遺伝子座と置き換わっている、項目58に記載のマウス。
(項目60)
内在性マウスVαセグメントおよび内在性マウスJαセグメントが、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、かつ内在性マウスVβセグメント、内在性マウスDβセグメントおよび内在性マウスJβセグメントが、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない、項目58に記載のマウス。
(項目61)
前記ヒトVαセグメントおよび前記ヒトJαセグメントが再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成し、かつ前記ヒトVβセグメント、前記ヒトDβセグメントおよび前記ヒトJβセグメントが再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する、項目58に記載のマウス。
(項目62)
T細胞の表面においてヒト可変領域およびマウス定常領域を含むT細胞受容体を発現する、項目61に記載のマウス。
(項目63)
前記マウスのT細胞が、胸腺T細胞の発生を経て、CD4シングルポジティブT細胞およびCD8シングルポジティブT細胞を生成する、項目58に記載のマウス。
(項目64)
脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む、項目58に記載のマウス。
(項目65)
目的の抗原に対してセントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞の集団を産生する、項目58に記載のマウス。
(項目66)
ヒト化TCRα遺伝子座にVδセグメントの完全なレパートリー、Dδセグメントの完全なレパートリーおよびJδセグメントの完全なレパートリーをさらに含む、項目58に記載のマウス。
(項目67)
前記マウスが内在性マウスTCRα可変遺伝子座および内在性マウスTCRβ可変遺伝子座を保持し、前記遺伝子座が非機能性遺伝子座である、項目58に記載のマウス。
(項目68)
目的の抗原に対してヒトT細胞受容体を生成する方法であって、前記方法は:
項目1に記載の非ヒト動物を前記目的の抗原で免疫化するステップと、
前記動物に免疫応答を開始させるステップと、
前記目的の抗原に反応性のT細胞を前記動物から単離するステップと、
前記T細胞によって発現されたヒトTCR可変領域の核酸配列を決定するステップと、
ヒトTCR定常領域の核酸配列を含むヌクレオチド構築物に前記ヒトTCR可変領域をクローニングするステップであって、前記ヒトTCR可変領域が前記ヒトTCR定常領域に作動可能に連結している、ステップと、
ヒトT細胞受容体を細胞中で発現させるステップと
を含む、方法。

図面の簡単な説明

0038

図1は、マウスにおけるTCR分子MHC分子との相互作用について描示する図である。左パネルは、抗原提示細胞(下)によりMHCクラスIを介して示される抗原(灰色のボール)を認識する、ヒト可変TCRドメインおよびマウス定常TCRドメインを伴うT細胞受容体を含むヒト化TCRマウスに由来するマウスT細胞(上)を示す図であり、右パネルは、MHCクラスIIについて同じ内容を示す図である。MHCI複合体およびMHCII複合体を、それらの各々の共受容体であるCD8およびCD4と併せて示す。マウス領域黒色とし、ヒト領域は白色とする。
図2は、マウスTCRα遺伝子座(上パネル、第1の遺伝子座)およびヒトTCRα遺伝子座(上パネル、第2の遺伝子座)の全体的構成について描示する(一定の縮尺ではない)図である。下パネルは、第14染色体上の内因性マウス遺伝子座において、マウスにおけるTCRα可変領域セグメント(黒塗り記号)を、ヒトTCRα可変領域セグメント(白抜きの記号)で置き換えるための戦略を例示し、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントを有するヒト化TCRα遺伝子座をマウス定常領域およびマウスエンハンサーと共に示し、示される実施形態では、ヒト化の過程において、TCRδ遺伝子座を欠失させることを示す図である。
図3は、マウスTCRα遺伝子座のヒト化のための漸進的戦略であって、TCRα可変領域遺伝子セグメントを、欠失させたマウス遺伝子座の初期のヒト化(MAID1540)の上流に逐次的に付加する戦略について描示する(一定の縮尺ではない)図である。マウス配列は、黒塗りの記号により示し、ヒト配列は、白抜きの記号により示す。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。TRAV=TCR Vαセグメント、TRAJ=TCR Jαセグメント(hTRAJ=ヒトTRAJ)、TRAC=TCR Cαドメイン、TCRD=TCRδ。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図4は、TCRα遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示(一定の縮尺ではない)を示す図である。図4Aは、マウスTCRαVセグメントおよびマウスTCRαJセグメントの欠失を描示する図であり、図4Bは、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを、欠失マウスTCRα遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図4Cは、合計で8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Dは、合計で23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Eは、35のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Fは、48のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図4Gは、54のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトセグメントを挿入するための戦略を描示する図である。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。
図5は、マウスTCRα遺伝子座のヒト化戦略であって、ヒトTCRδ(TCRδV、TCRδD、TCRδJ、TCRδenh(エンハンサー)、およびTCRδ定常(C))配列もまた、ヒト化TCRα遺伝子座に配置する戦略の一実施形態について描示する(一定の縮尺ではない)図である。マウス配列は、黒塗りの記号により示し、ヒト配列は、白抜きの記号により示す。LTVECとは、大型標的化ベクターを指す。hTRD=ヒトTCRδ。
図6は、マウスTCRβ遺伝子座(上パネル、第1の遺伝子座;マウス第6染色体上)およびヒトTCRβ遺伝子座(上パネル、第2の遺伝子座;ヒト第7染色体上)の全体的構成について描示する(一定の縮尺ではない)図である。下パネルは、マウス第6染色体上の内因性マウス遺伝子座において、マウスにおけるTCRβ可変領域セグメント(黒塗りの記号)を、ヒトTCRβ可変領域セグメント(白抜きの記号)で置き換えるための戦略を例示する図である。ヒトVβセグメント、ヒトDβセグメント、およびヒトJβセグメントを有するヒト化TCRβ遺伝子座をマウス定常領域およびマウスエンハンサーと共に示し、示される実施形態では、ヒト化遺伝子座により、マウストリプシノーゲン遺伝子(黒塗りの四角)が保持され、示される特定の実施形態では、単一のマウスVセグメントが、5’側マウストリプシノーゲン遺伝子の上流において保持されることを示す。
図7は、マウスTCRβ遺伝子座のヒト化のための漸進的戦略であって、TCRβ可変領域遺伝子セグメントを、欠失マウスTCRβ可変遺伝子座へと逐次的に付加する戦略について描示する(一定の縮尺ではない)図である。マウス配列は、黒塗りの記号により示し、ヒト配列は、白抜きの記号により示す。MAIDとは、改変された対立遺伝子のID番号を指す。TRBVまたはTCRBV=TCRβVセグメント。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図8は、TCRβ遺伝子座における漸進的ヒト化戦略の詳細な描示を示す図である。図8Aは、マウスTCRβVセグメントを欠失させる戦略を描示する図であり、図8Bは、14のVセグメントを、欠失TCRβ遺伝子座へと挿入するための戦略を描示する図であり、図8Cは、2つのDセグメントおよび14のJセグメントを、TCRβ遺伝子座へと挿入した(i)後、loxP部位を欠失させ(ii)、結果として、14のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントをもたらすための戦略を描示する図であり、図8Dは、40のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Eは、66のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、さらなるヒトVセグメントを挿入するための戦略を描示する図であり、図8Fは、67のヒトVセグメント、2つのヒトDセグメント、および14のヒトJセグメントを結果としてもたらす、マウスエンハンサーの下流におけるマウスVセグメントの置き換えを描示する図である。この特定の実施形態では、1つのマウスVセグメントが、マウストリプシノーゲン遺伝子の5’側において保持される。
図9は、野生型(WT)マウス;欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性のマウス(第1の上パネル;図3のMAID1540);欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性であり、8つのヒトVαおよび61のヒトJαセグメントを含むマウス(第2の上パネル;図3のMAID1767またはヒト化TCRαマウス);上流の1つのマウスVβセグメントおよび下流の1つのマウスVβセグメントを除き、欠失TCRβ遺伝子座についてホモ接合性のマウス(第1の下パネル;図7のMAID1545);欠失TCRβ遺伝子座についてホモ接合性のマウスであって、上流の1つのマウスVβセグメントおよび下流の1つのマウスVβセグメントを伴い、14のヒトVβ、2つのヒトDβ、および14のヒトJβセグメントを含むマウス(第2の下パネル;図7のMAID1716またはヒト化TCRβマウス);ならびにTCRα遺伝子座およびTCRβ遺伝子座の両方の欠失についてホモ接合性(前記2つのマウスVβセグメントを除き)であり、内因性TCRα遺伝子座において8つのヒトVαおよび61のヒトJαセグメントを含むほか、内因性TCRβ遺伝子座において14のヒトVβ、2つのヒトDβ、および14のヒトJβセグメントも含むマウス(MAID1767/1716またはヒト化TCRα/βマウス)において、抗CD3抗体で染色された脾臓細胞パーセントについての代表的なFACS解析ヒストグラム(図中、Y軸は、細胞数であり、X軸は、平均蛍光強度であり、ゲートは、単一のリンパ球集団内のCD3+T細胞の頻度を示す)である。
図10は、WTマウス、ホモ接合性のヒト化TCRαマウス(1767HO;hTCRα);ホモ接合性のヒト化TCRβマウス(1716HO;hTCRβ);およびホモ接合性のヒト化TCRα/βマウス(1716HO1767HO;hTCRα/β)に由来するマウス胸腺細胞であって、抗CD4(Y軸)および抗CD8(X軸)抗体(上パネル)、ならびに抗CD44(Y軸)および抗CD25(X軸)抗体(下パネル)で染色されたマウス胸腺細胞についての代表的なFACSコンタープロットである。上パネルのFACSプロットは、ダブルネガティブ(DN)T細胞、ダブルポジティブDP)T細胞、CD4シングルポジティブ(CD4 SP)T細胞、およびCD8シングルポジティブ(SP CD8)T細胞を識別することを可能とする。下パネルのFACSプロットは、ダブルネガティブT細胞のT細胞の発生における多様な段階(DN1、DN2、DN3、およびDN4)を識別することを可能とする。1716および1767とは、図3および7で同定されるMAID番号を指す。
図11は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)(n=4)の胸腺におけるDN T細胞、DP T細胞、CD4 SP T細胞、およびCD8 SP T細胞の頻度(上パネル)または絶対数(下パネル)を実証する図である。
図12は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)の脾臓細胞についての代表的なFACS解析を示す図である。左パネルは、単一細胞ベース抗CD19抗体染色(Y軸;Bリンパ球についての染色)または抗CD3抗体染色(X軸;Tリンパ球についての染色)についての解析を表す図であり、中パネルは、抗CD4抗体染色(Y軸)または抗CD8抗体染色(X軸)に基づく、CD3+細胞についての解析を表す図であり、右パネルは、抗CD44抗体染色(Y軸)または抗CD62L抗体染色(X軸)に基づく、CD4+細胞またはCD8+細胞についての解析を表し、染色が、末梢における多様な種類のT細胞を識別する(ナイーブT細胞 対セントラルメモリーT細胞(Tcm) 対エフェクターT細胞またはエフェクターメモリーT細胞(Teff/Tem))ことを可能とすることを示す図である。
図13は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)(n=4)の、脾臓1つ当たりのCD4+T細胞(左パネル)またはCD8+T細胞(右パネル)の数(Y軸)を実証する図である。
図14は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)(n=4)の、CD4+T細胞(上パネル)またはCD8+T細胞(下パネル)のうちの、脾臓1つ当たりのナイーブT細胞、Tcm細胞、およびTeff/Tem細胞の数(Y軸)を実証する図である。
図15は、WTマウス、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)の脾臓CD8+T細胞(図15A)またはCD4+T細胞(図15B)における多様なヒトTCRβVセグメントの発現(可変セグメント特異的抗体を用いるFACS解析により決定される)についてまとめる表である。データは、平均±SDとして示す(1群当たりのマウスのn=4)。
図16は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)に存在する多様なヒトTCRβVセグメントの、胸腺T細胞または脾臓T細胞におけるmRNA発現(Y軸)について描示する図であり、図16Aは、ヒトTCRβ可変セグメント(hTRBV)18、19、20、および24のmRNA発現についての解析を表す図であり、図16Bは、hTRBV25、27、28、および29のmRNA発現についての解析を表す図である。
図16は、WTマウス、hTCRαマウス(1767HO)、hTCRβマウス(1716HO)、またはhTCRα/βマウス(1716HO1767HO)に存在する多様なヒトTCRβVセグメントの、胸腺T細胞または脾臓T細胞におけるmRNA発現(Y軸)について描示する図であり、図16Aは、ヒトTCRβ可変セグメント(hTRBV)18、19、20、および24のmRNA発現についての解析を表す図であり、図16Bは、hTRBV25、27、28、および29のmRNA発現についての解析を表す図である。
図17は、WTマウス、欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性のマウス(TCRAΔV)、2つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを伴う欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性のマウス(TCRA2hV;図3のMAID1626)、8つのヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを伴う欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性のマウス(TCRA8hV;図3のMAID1767)、ならびに23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを伴う欠失TCRα遺伝子座についてホモ接合性のマウス(TCRA23hV;図3のMAID1979)において、抗CD3抗体で染色された脾臓細胞についての代表的FACSヒストグラム(図中、Y軸は、細胞数であり、X軸は、平均蛍光強度であり、ゲートは、単一のリンパ球集団内のCD3+T細胞の頻度を示す)である。
図18は、左上パネルにおいて、WTマウスまたは23のヒトVセグメントおよび61のヒトJセグメントを伴うホモ接合性のhTCRαマウス(1979HO)から得られる胸腺のCD3+T細胞であって、抗CD4抗体(Y軸)または抗CD8抗体(X軸)で染色されたCD3+T細胞についての代表的なFACS解析を示す図であり、左下パネルにおいて、WTマウスまたは1979マウスに由来するDN T細胞であって、抗CD44(Y軸)または抗CD25(X軸)で染色されたDN T細胞についてのFACS解析を示す図であり、右パネルにおいて、WTマウスまたは1979HOマウス(n=4)におけるDN、DP、CD4 SP、またはCD8 SPである胸腺細胞のパーセント(Y軸)についてのグラフである。
図19は、左パネルにおいて、WTマウスまたは1979HOマウスに由来する脾臓リンパ球であって、抗CD19抗体または抗CD3抗体で染色された脾臓リンパ球についての代表的なFACS解析を示す図であり、右パネルにおいて、WTマウスおよび1979HOマウス(n=4)から得られる脾細胞であって、CD3+である脾細胞のパーセント(Y軸)についてのグラフである。

0039

定義
本発明は、ヒト化T細胞受容体を発現する遺伝子改変非ヒト動物、例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラットを提供する。本発明はまた、再配列されていないT細胞受容体可変遺伝子座を生殖細胞系に含む遺伝子改変非ヒト動物に関する。それらを含む胚、細胞および組織;それらの作製方法;ならびにそれらの使用方法も提供する。特に定義しない限り、本明細書中で使用する全ての用語および語句は、その用語または語句が使用されている文脈からそうでないことが明白に示されるまたは明らかにわかる場合を除いて、その用語および語句が当技術分野で獲得している意味を含む。

0040

用語「保存的」は、保存的アミノ酸置換を記載するのに使用する場合、アミノ酸残基を、同様な化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基で置換することを含む。保存的アミノ酸置換は、保存的置換をコードするヌクレオチド変化を導入するようにヌクレオチド配列を改変することによって達成し得る。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の目的の機能特性、例えば、T細胞が、MHC分子によって提示されるペプチドを認識する能力に実質的な変化を及ぼさない。同様な化学的性質を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、脂肪族側鎖(例えば、グリシンアラニンバリンロイシンおよびイソロイシン);脂肪族−ヒドロキシル側鎖(例えば、セリンおよびトレオニン);アミド含有側鎖(例えば、アスパラギンおよびグルタミン);芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニンチロシンおよびトリプトファン);塩基性側鎖(例えば、リシンアルギニンおよびヒスチジン);酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸);ならびにイオウ含有側鎖(例えば、システインおよびメチオニン)が挙げられる。保存的アミノ酸置換群としては、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リシン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタメートアスパルテートおよびアスパラギン/グルタミンが挙げられる。一部の実施形態において、保存的アミノ酸置換は、例えばアラニン系統変異導入法(alanine scanning mutagenesis)において使用されるような、タンパク質中の任意のネイティブな残基の、アラニンによる置換であることができる。一部の実施形態において、Gonnetら((1992年)Exhaustive Matching of the Entire Protein Sequence Database、Science 256巻:1443〜45頁)(参照により本明細書中に組み込む)に開示されているPAM250対数尤度行列(log−likelihood matrix)において正の値を有する保存的置換を行う。一部の実施形態において、置換は中程度に保存的な置換であり、置換はPAM250対数尤度行列において負でない値を有する。

0041

したがって、本明細書中に記載したアミノ酸配列に保存的アミノ酸置換を含むヒト化TCRαおよびβポリペプチド(ならびに/またはヒト化TCRδおよびTCRγポリペプチド)を発現する遺伝子改変非ヒト動物は、本発明によって包含される。

0042

当業者ならば、本明細書中に記載したヒト化TCRαおよびβポリペプチドをコードする核酸残基に加えて、遺伝コード縮重により、他の核酸も本発明のポリペプチドをコードし得ることがわかるであろう。したがって、本明細書中に記載したヒト化TCRポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物に加えて、遺伝コードの縮重により、本明細書中に記載したのとは異なるヌクレオチド配列をゲノム中に含む非ヒト動物も提供する。

0043

用語「同一性」は、配列に関連して使用する場合、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の同一性を測定するのに使用できる、当技術分野において公知の多数の異なるアルゴリズムによって決定される同一性を含む。本明細書中に記載した一部の実施形態において、同一性は、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)10.0、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)0.1を用いるClustalW v.1.83(slow)アラインメントを使用し、Gonnet類似度行列(similarity matrix)(MacVector(商標)10.0.2、MacVector Inc.、2008年)を使用して決定する。配列の同一性に関して比較される配列の長さは、個々の配列によって異なる。種々の実施形態において、同一性は、成熟タンパク質の配列をそのN末端からそのC末端まで比較することによって決定する。種々の実施形態において、キメラヒト/非ヒト配列をヒト配列と比較する場合、キメラヒト/非ヒト配列のヒト部分(非ヒト部分ではなく)を、ヒト配列とキメラヒト/非ヒト配列のヒト部分との同一性のレベルを確認するために比較する(例えば、キメラヒト/マウスタンパク質のヒト外部ドメインヒトタンパク質のヒト外部ドメインと比較する)のに使用する。

0044

配列、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に関する用語「相同性」または「相同な」は、最適アラインメントおよび比較時に、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約75%、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約80%、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約90〜95%、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の97%超が同一である2つの配列を意味する。当業者ならば、最適な遺伝子ターゲティングのためには、標的化構築物は内在性DNA配列に対して相同なアーム(即ち、「相同性アーム」)を含んでいるべきであり、したがって、相同組換えが、標的化構築物と標的化される内在性配列との間に起こり得ることがわかるであろう。

0045

用語「作動可能に連結した」は、そのように記載された構成要素が、意図された方法でそれらを機能させる関係にある並置を指す。したがって、タンパク質をコードする核酸配列は、制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー配列など)に作動可能に連結して、適切な転写調節を保持することができる。加えて、本発明のヒト化タンパク質の種々の部分が、作動可能に連結して、細胞内におけるタンパク質の適切なフォールディングプロセシングターゲティング、発現および他の機能特性を保持できる。特に明記しない限り、本発明のヒト化タンパク質の種々のドメインは、互いに作動可能に連結する。

0046

遺伝子置き換えに関する用語「置き換え」は、内在性遺伝子座に外来性遺伝物質を配置し、それによって内在性遺伝子の全てまたは一部をオルソロガスまたは相同性核酸配列と置き換えることを指す。一例において、内在性非ヒト遺伝子またはその断片を、対応するヒト遺伝子またはその断片と置き換える。対応するヒト遺伝子またはその断片は、置き換えられる内在性非ヒト遺伝子もしくはその断片のオルソログ相同体、または置き換えられる内在性非ヒト遺伝子もしくはその断片と構造および/もしくは機能が実質的に同一なまたは同じである、ヒト遺伝子または断片である。以下の実施例において立証する通り、内在性非ヒトTCRαおよびβ可変遺伝子座のヌクレオチド配列は、ヒトTCRαおよびβ可変遺伝子座に対応するヌクレオチド配列によって置き換えられた。

0047

例えば機能性タンパク質に関して、本明細書中で使用する「機能性」は、ネイティブなタンパク質と通常関連する少なくとも1つの生物活性を保持するタンパク質を指す。例えば、本発明の一部の実施形態において、内在性遺伝子座における置き換え(例えば、内在性非ヒトTCRα、TCRβ、TCRδおよび/またはTCRγ可変遺伝子座における置き換え)は、機能性内在性タンパク質を発現できない遺伝子座をもたらす。

0048

本明細書中で使用するTCR座またはTCR遺伝子座(例えば、TCRα(遺伝子)座またはTCRβ(遺伝子)座)は、再配列されていないV(D)J配列、エンハンサー、配列、定常配列(複数可)およびあらゆる上流もしくは下流(UTR、制御領域など)または介在DNA配列(イントロンなど)を含む全TCRコード領域を含むTCRコード領域を含むゲノムDNAを指す。TCR可変座またはTCR可変遺伝子座(例えば、TCRα可変遺伝子座またはTCRβ可変遺伝子座)は、TCR可変領域セグメント(V(D)J領域)を含むが、TCR定常配列および種々の実施形態においてはエンハンサー配列を含まない領域を含むゲノムDNAを指す。遺伝子操作の目的で、他の配列(例えば、選択カセット制限部位など)もTCR可変遺伝子座に含めることができ、これらも本発明に包含される。

0049

遺伝子改変TCR動物
種々の実施形態において、本発明は一般に、遺伝子改変非ヒト動物であって、再配列されていないヒト化TCR可変遺伝子座をゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物を提供する。

0050

T細胞は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC;マウス)またはヒト白血球抗原HLA;ヒト)複合体と関連した抗原提示細胞の表面の小さい抗原決定基上のエピトープと結合する。T細胞は、T細胞の表面のT細胞受容体(TCR)複合体を介して、これらのエピトープと結合する。T細胞受容体は、2種類の鎖:α(アルファ)およびβ(ベータ)鎖またはγ(ガンマ)およびδ(デルタ)鎖から構成されるヘテロ二量体構造である。α鎖は、全δ遺伝子座も包含するα遺伝子座(ヒトまたはマウス染色体14上の)内に位置する核酸配列によってコードされ、β鎖は、β遺伝子座(マウス第6染色体またはヒト第7染色体上の)内に位置する核酸配列によってコードされる。T細胞の大多数はαβTCRを有し、γδTCRを有するT細胞は少数である。TCRとMHCクラスI(CD8+T細胞に提示)分子およびMHCクラスII(CD4+T細胞に提示)分子との相互作用は、図1に示されている(黒い記号(closed symbol)は非ヒト配列を表し;白い記号(open symbol)はヒト配列を表し、本発明のTCRタンパク質の特定の一実施形態を示している)。

0051

T細胞受容体αおよびβポリペプチド(ならびに同様にγおよびδポリペプチド)は、ジスルフィド結合によって互いに連結している。TCRを構成する2つのポリペプチドのそれぞれは、定常領域および可変領域を含む細胞外ドメイン膜貫通ドメインならびに細胞質尾部(cytoplasmic tail)(膜貫通ドメインおよび細胞質尾部は、定常領域の一部でもある)を含んでいる。TCRの可変領域は、その抗原特異性を決定し、免疫グロブリンと同様に、3つの相補性決定領域(CDR)を含む。また、免疫グロブリン遺伝子と同様に、T細胞受容体可変遺伝子座(例えば、TCRαおよびTCRβ遺伝子座)は、複数の再配列されていないV(D)Jセグメント(可変(V)セグメント、結合(J)セグメント、ならびにTCRβおよびδにおいては、多様性(D)セグメント)を含んでいる。胸腺におけるT細胞の発生の過程で、TCRα可変遺伝子座は、得られるTCRα鎖がVJセグメントの特異的な組合せ(Vα/Jα配列)によってコードされるように再配列され;TCRβ可変遺伝子座は、得られるTCRβ鎖がVDJセグメントの特異的な組合せ(Vβ/Dβ/Jβ配列)によってコードされるように再配列される。

0052

胸腺間質との相互作用がトリガーとなり、胸腺細胞が、種々の細胞表面マーカーの発現を特徴とするいくつかの発生段階を経る。胸腺での種々の発生段階における特徴的な細胞表面マーカーの概要を、表1に示す。TCRβ可変遺伝子座の再配列は、DN2段階から始まり、DN4段階の間に終了するのに対して、TCRα可変遺伝子座の再配列はDP段階で起こる。TCRβ遺伝子座の再配列の完了後、細胞は代替α鎖、pTαと一緒に細胞表面でTCRβ鎖を発現する。Janeway’s Immunobiology、7章(上記)を参照のこと。

0053

0054

ナイーブなCD4+およびCD8+T細胞は、胸腺から出て、末梢リンパ器官(例えば、脾臓)に入り、そこで抗原に曝露され、活性化されて、クローン増殖しかつ複数のエフェクターT細胞(Teff)、例えば、細胞傷害性T細胞、TREG細胞、TH17細胞、TH1細胞、TH2細胞などに分化する。感染後、複数のT細胞がメモリーT細胞として残る。これらは、セントラルメモリーT細胞(Tcm)またはエフェクターメモリーT細胞(Tem)のいずれかに分類される。Sallustoら(1999年)Two subsets of memory T lymphocytes with distinct homing potentials and effector functions、Nature 401巻:708〜12頁およびCommentary by Mackay(1999年)Dual personality of memory T cells、Nature 401巻:659〜60頁。Sallustoと同僚は、最初の感染後に、Tem細胞は、末梢組織中の、エフェクター機能を有する初回抗原刺激を受けたメモリーT細胞の容易に入手できるプールに相当し、Tcm細胞は、二次チャレンジ時に新しいエフェクターT細胞となり得る、末梢リンパ器官中の初回抗原刺激を受けたメモリーT細胞に相当することを提唱した。全てのメモリーT細胞が、CD45のCD45ROアイソフォームを発現する(ナイーブT細胞はCD45RAアイソフォームを発現する)のに対し、Tcmは、末梢リンパ器官およびリンパ節に対する結合および末梢リンパ器官およびリンパ節におけるシグナル伝達にとって重要な、L−セレクチン(CD62Lとしても知られる)およびCCR7+の発現を特徴とする。同文献。したがって、末梢リンパ器官に見られる全てのT細胞(例えば、ナイーブT細胞、Tcm細胞など)は、CD62Lを発現する。CD45ROに加えて、全てのメモリーT細胞は、複数の異なる細胞表面マーカー、例えば、CD44を発現することが知られている。T細胞上の種々の細胞表面マーカーの概要については、Janeway’s Immunobiology、10章(上記)を参照のこと。

0055

TCR可変ドメインが主に抗原認識において機能するのに対し、TCRの定常ドメイン細胞外部分ならびに膜貫通および細胞質ドメインもまた、重要な機能を担う。完全なTCR受容体複合体は、αおよびβまたはγおよびδポリペプチドを必要とするだけでない;必要とされる追加の分子としては、CD3γ、CD3δおよびCD3εならびにζホモ二量体(ζζ)が挙げられる。TCRβ再配列の完了時に、細胞がTCRβ/pTαを発現する場合、このプレTCR複合体は、CD3と共に細胞表面に存在する。細胞表面のTCRα(またはpTα)は、その膜貫通ドメインに2つの塩基性残基を有し、塩基性残基の一方はCD3γεヘテロ二量体をリクルートし、もう一方はそれらの各酸性残基を介してζζをリクルートする。TCRβは、その膜貫通ドメインに、CD3δεヘテロ二量体をリクルートすると考えられる追加の塩基性残基を有する。例えば、Kuhnsら(2006年)Deconstructing the Form and Function of the TCR/CD3 Complex、Immunity 24巻:133〜39頁;Wucherpfennigら(2009年)Structural Biology of the T−cell Receptor: Insights into Receptor Assembly, Ligand Recognition, and Initiation of Signaling、Cold Spring Harb. Perspect. Biol.2巻:a005140を参照のこと。TCRαβヘテロ二量体、CD3γε、CD3δεおよびζζを含む組み立てられた複合体が、T細胞表面で発現される。膜貫通ドメインの極性残基は、出ていく小胞体品質管理(quality control)としての役割を担うことが示唆されており;CD3サブユニット非存在下では、TCR鎖はERに保持されて、分解の標的となることが立証されている。例えば、CallおよびWucherpfennig(2005年)The T Cell Receptor: Critical Role of the Membrane Environment in Receptor Assembly and Function、Annu. Rev. Immunol. 23巻:101〜25頁を参照のこと。

0056

TCRαβヘテロ二量体(またはTCRγδヘテロ二量体)単独ではシグナル伝達活性がないので、組み立てられた複合体のCD3およびζ鎖が、TCRシグナル伝達のための構成要素を提供する。CD3鎖はそれぞれ1つの免疫受容体活性化チロシンモチーフ(Immune−Receptor−Tyrosine−based−Activation−Motif)(ITAM)を持っているのに対して、ζ鎖は3つのタンデムITAMを含んでいる。ITAMは、関連キナーゼによってリン酸化され得るチロシン残基を含んでいる。したがって、組み立てられたTCR−CD3複合体は、10個のITAMモチーフを含んでいる。例えば、LoveおよびHayes(2010年)ITAM−Mediated Signaling by the T−Cell Antigen Receptor、Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 2巻:e002485を参照のこと。TCRの係合の後、ITAMモチーフがSrcファミリーチロシンキナーゼ、LckおよびFynによってリン酸化され、それによって、シグナル伝達カスケードが開始され、結果としてRas活性化、カルシウム動員アクチン細胞骨格の再配列および転写因子の活性化が起こり、これらは全て最終的にT細胞の分化、増殖およびエフェクター作用につながる。同文献、さらに、Janeway’s Immunobiology、第7版、Murphyら編、Garland Science、2008年を参照のこと(両文献を参照によって本明細書中に組み込む)。

0057

加えて、TCRβ膜貫通および細胞質ドメインが、ミトコンドリア標的化およびアポトーシス誘導関与すると考えられており;実際に、天然に存在するN−末端切断TCRβ分子が胸腺細胞中に存在する。Shaniら(2009年)Incomplete T−cell receptor−− β peptides target the mitochondrion and induce apoptosis、Blood 113巻:3530〜41頁。したがって、いくつかの重要な機能は、TCR定常領域(種々の実施形態において、細胞外ならびに膜貫通および細胞質ドメインの一部を含む)が担い;種々の実施形態において、ヒト化TCRまたはそれらを発現する遺伝子改変非ヒト動物を設計する場合には、この領域の構造を考慮に入れるべきである。

0058

再配列T細胞受容体配列についてトランスジェニックなマウスは、当技術分野において公知である。本発明は、再配列によって、ヒトT細胞受容体可変ドメインをコードする核酸配列を形成することができる、再配列されていないヒトまたはヒト化T細胞可変遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラット、マウス)、例えば、再配列ヒト可変ドメインおよび非ヒト(例えば、マウスまたはラット)定常領域を含むT細胞を含む動物に関する。本発明はまた、ヒトT細胞受容体可変領域配列の多様なレパートリーを産生できる非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラット、マウス)を提供し;したがって、本発明は、目的の抗原に応答して目的の抗原のエピトープと結合する完全ヒト可変ドメインを有するTCRを発現する非ヒト動物を提供する。一部の実施形態において、APCによって提示される抗原を含むがこれらに限定されない種々の抗原と反応できる多様なT細胞受容体レパートリーを産生する非ヒト動物を提供する。

0059

一実施形態において、本発明は、再配列されていないヒトTCR可変領域セグメント(V(D)Jセグメント)をゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラット、マウス)であって、再配列されていないヒトTCR可変領域セグメントが、内在性非ヒト(例えば、齧歯動物)TCR可変遺伝子座(例えば、TCRα、β、δおよび/またはγ可変遺伝子座)において、内在性非ヒトTCR可変領域セグメントと置き換わっている遺伝子改変非ヒト動物を提供する。一実施形態において、再配列されていないヒトTCR可変遺伝子座は、内在性非ヒトTCR可変遺伝子座と置き換わっている。

0060

別の実施形態において、本発明は、再配列されていないヒトTCR可変領域セグメント(V(D)Jセグメント)をゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、ラット、マウス)であって、再配列されていないヒトTCR可変領域セグメントが、非ヒトTCR定常領域遺伝子配列に作動可能に連結し、それによってヒト化TCR遺伝子座を生じ、ヒト化TCR遺伝子座が、内在性非ヒトTCR遺伝子座以外の、ゲノム中の部位にある、遺伝子改変非ヒト動物を提供する。したがって、一実施形態において、非ヒトTCR定常領域配列に作動可能に連結した再配列されていないヒトTCR可変領域セグメントを含む導入遺伝子を含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウス、ラット)も提供する。

0061

一態様において、本発明の遺伝子改変非ヒト動物は、そのゲノム中にヒトTCR可変領域セグメントを含むと同時に、非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウス、ラット)TCR定常遺伝子セグメントを保持する。種々の実施形態において、定常領域は、TCRの膜貫通ドメインおよび細胞質尾部を含む。したがって、本発明の種々の実施形態において、遺伝子改変非ヒト動物は、内在性非ヒトTCR膜貫通ドメインおよび細胞質尾部を保持する。他の実施形態において、非ヒト動物は、非ヒト非内在性TCR定常遺伝子配列、例えば、非ヒト非内在性TCR膜貫通ドメインおよび細胞質尾部を含む。上で示した通り、TCRの定常領域は、初回抗原刺激を受けたT細胞の活性化の間に開始されるシグナル伝達カスケードに関与し;したがって、内在性TCR定常領域は、T細胞において種々の非ヒトアンカーおよびシグナル伝達タンパク質と相互作用する。したがって、一態様において、本発明の遺伝子改変非ヒト動物は、種々の内在性非ヒトアンカーまたはシグナル伝達分子、例えば、CD3分子(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε)、ζ鎖、Lck、Fyn、ZAP−70などをリクルートする能力を保持するヒト化T細胞受容体を発現する。TCR複合体にリクルートされる分子の非限定的なリストが、Janeway’s Immunobiology(上記)に記載されている。加えて、内在性マウス遺伝子座における可変領域の配置およびマウス定常ドメインの維持に少なくとも部分的に起因すると考えられる正常なB細胞発生プロセスおよび正常なクローン選択プロセスを呈示するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスと同様に、一態様において、本発明の非ヒト動物は、正常なT細胞発生プロセスおよびT細胞分化プロセスを呈示する。

0062

一部の実施形態において、再配列されていないヒトTCRα可変領域セグメントをゲノム中に含む非ヒト動物であって、再配列されていないヒトTCRα可変領域セグメントが、非ヒトTCRα定常領域遺伝子配列に作動可能に連結してヒト化TCRα遺伝子座を生じる、非ヒト動物を提供する。一実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、内在性非ヒトTCRα遺伝子座以外の、ゲノム中の部位にある。別の実施形態において、再配列されていないヒトTCRα可変領域セグメントは、内在性非ヒトTCRα定常領域を保持しながら、内在性非ヒトTCRα可変領域セグメントと置き換わっている。一実施形態において、再配列されていないヒトTCRα可変遺伝子座は、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座と置き換わっている。一部の実施形態において、動物は内在性非ヒトTCRβ可変領域および定常領域遺伝子配列を保持する。したがって、動物は、キメラヒト/非ヒト(即ち、ヒト化)TCRα鎖および非ヒトTCRβ鎖を含むTCRを発現する。

0063

他の実施形態において、再配列されていないヒトTCRβ可変領域セグメントをゲノム中に含む非ヒト動物であって、再配列されていないヒトTCRβ可変領域セグメントが、非ヒトTCRβ定常領域遺伝子配列に作動可能に連結してヒト化TCRβ遺伝子座を生じる、非ヒト動物を提供する。一実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は、内在性非ヒトTCRβ遺伝子座以外の、ゲノム中の部位にある。別の実施形態において、再配列されていないヒトTCRβ可変領域セグメントは、内在性非ヒトTCRβ定常領域を保持しながら、内在性非ヒトTCRβ可変領域セグメントと置き換わっている。一実施形態において、再配列されていないヒトTCRβ可変遺伝子座は、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座と置き換わっている。一部の実施形態において、動物は内在性非ヒトTCRα可変領域および定常領域遺伝子配列を保持する。したがって、動物は、キメラヒト/非ヒト(即ち、ヒト化)TCRβ鎖および非ヒトTCRα鎖を含むTCRを発現する。

0064

一部の特定の実施形態において、本発明は、(a)内在性非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)TCRα定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないT細胞受容体(TCR)α可変遺伝子座、ならびに/または(b)内在性非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)TCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座を、ゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を提供する。

0065

本発明の種々の実施形態において、再配列されていないヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座(例えば、TCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座遺伝子座)は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)の生殖細胞系に含まれる。種々の実施形態において、再配列されていないヒトTCR V(D)Jセグメント(例えば、VαおよびJαならびに/またはVβおよびDβおよびJβセグメント)によるTCR V(D)Jセグメントの置き換えは、内在性非ヒトTCR可変遺伝子座(または複数の遺伝子座)にあり、再配列されていないヒトVおよびJならびに/またはVおよびDおよびJセグメントは、非ヒトTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結している。

0066

本発明の一部の実施形態において、非ヒト動物は、再配列されていないヒトもしくはヒト化TCRα可変遺伝子座の2つのコピーおよび/または再配列されていないヒトもしくはヒト化TCRβ可変遺伝子座の2つのコピーを含む。したがって、非ヒト動物は、一方または両方の再配列されていないヒトまたはヒト化TCRαおよびTCRβ可変遺伝子座に関してホモ接合である。本発明の一部の実施形態において、非ヒト動物は、再配列されていないヒトもしくはヒト化TCRα可変遺伝子座の1つのコピーおよび/または再配列されていないヒトもしくはヒト化TCRβ可変遺伝子座の1つのコピーを含む。したがって、非ヒト動物は、一方または両方の再配列されていないヒトまたはヒト化TCRαおよびTCRβ可変遺伝子座に関してヘテロ接合である。

0067

一実施形態において、ヒト可変領域セグメント(例えば、ヒトVαおよびJαセグメント)を含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、ヒト可変領域セグメントが対応する非ヒト可変領域セグメントと置き換わるように、非ヒトゲノム中に位置付けられる。一実施形態において、ヒト可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、内在性TCRα可変遺伝子座と置き換わっている。一態様において、内在性非ヒトVαセグメントおよび内在性非ヒトJαセグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができない。したがって、一態様において、再配列されていないTCRα可変遺伝子座中のヒトVαおよびJαセグメントは、再配列によって再配列ヒトVα/Jα配列を形成することができる。

0068

同様に、一実施形態において、ヒト可変領域セグメント(例えば、ヒトVβ、DβおよびJβセグメント)を含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、ヒト可変領域セグメントが対応する非ヒト可変領域セグメントと置き換わるように、非ヒトゲノム中に位置付けられる。一実施形態において、ヒト可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、内在性TCRβ可変遺伝子座と置き換わっている。一態様において、内在性非ヒトVβセグメント、内在性非ヒトDβセグメントおよび内在性非ヒトJβセグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない。したがって、一態様において、再配列されていないTCRβ可変遺伝子座中のヒトVβ、DβおよびJβセグメントは、再配列によって再配列ヒトVαβ/Dβ/Jβ配列を形成することができる。

0069

さらに別の実施形態において、ヒト可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRαおよびβ可変遺伝子座の両方は、それぞれの内在性TCRαおよびβ可変遺伝子座と置き換わっている。一態様において、内在性非ヒトVαセグメントおよび内在性非ヒトJαセグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、かつ内在性非ヒトVβセグメント、内在性非ヒトDβセグメントおよび内在性非ヒトJβセグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない。したがって、一態様において、再配列されていないTCRα可変遺伝子座中のヒトVαおよびJαセグメントは、再配列によって再配列ヒトVα/Jα配列を形成することができ、かつ再配列されていないTCRβ可変遺伝子座中のヒトVβ、DβおよびJβセグメントは、再配列によって再配列ヒトVαβ/Dβ/Jβ配列を形成することができる。

0070

本発明の一部の態様において、ヒト化TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子座(再配列されていないTCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座を含む)を含む非ヒト動物は、内在性非ヒトTCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座を保持する。一実施形態において、内在性非ヒトTCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座は、非機能性遺伝子座である。一実施形態において、非機能性遺伝子座は、不活性化遺伝子座、例えば、逆位遺伝子座(例えば、可変遺伝子座のコード核酸配列が、定常領域配列に関して逆方向であるため、逆位遺伝子座からの可変領域セグメントを用いた場合には再配列は成功し得ない)である。一実施形態において、ヒト化TCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座は、内在性非ヒトTCRαおよび/またはTCRβ可変遺伝子座と内在性非ヒトTCRαおよび/またはTCRβ定常遺伝子座の間に位置付けられる。

0071

ヒトおよびマウスTCR遺伝子座のVおよびJならびに/またはV、DおよびJセグメントの数、命名、位置および他の態様は、www.imgt.orgから入手可能なIMGTデータベースを用いて確認し得る。マウスTCRα可変遺伝子座は、約1.5メガベースであり、合計110のVαおよび60のJαセグメントを含む(図2)。ヒトTCRα可変遺伝子座は、約1メガベースであり、合計54のVαおよび61のJαセグメントを含み、45のVαおよび50のJαが機能性であると考えられている。特に明記しない限り、明細書の全体を通じて言及するヒトV(D)Jセグメントの数は、V(D)Jセグメントの総数を指す。本発明の一実施形態において、遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)は、少なくとも1つのヒトVαおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む。一実施形態において、非ヒト動物は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、23個、25個、30個、35個、40個、45個、48個、50個または54個以下のヒトVαセグメントを含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一部の実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、2個、8個、23個、35個、48個または54個のヒトVαセグメントを含む。したがって、一部の実施形態において、非ヒト動物のヒト化TCRα遺伝子座は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のヒトVαを含むことができ;一部の実施形態において、約2%、約3%、約15%、約65%、約90%または100%のヒトVαを含むことができる。

0072

一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトVα40〜Vα41(Vαセグメントは、「TRAV」または「TCRAV」とも称する)の連続したヒト配列を含むDNA断片および61のヒトJαセグメント(Jαセグメントは、「TRAJ」または「TCRAJ」とも称する)の連続したヒト配列を含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRAV35〜TRAV41の連続したヒト配列を含むDNA断片および61のヒトTRAJの連続したヒト配列を含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRAV22〜TRAV41の連続したヒト配列を含むDNA断片および61のヒトTRAJの連続したヒト配列を含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRAV13−2〜TRAV41の連続したヒト配列を含むDNA断片および61のヒトTRAJの連続したヒト配列を含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRAV6〜TRAV41の連続したヒト配列および61のヒトTRAJを含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRAV1−1〜TRAV41の連続したヒト配列および61のヒトTRAJを含むDNA断片を含むヒト化TCRα遺伝子座を含む。種々の実施形態において、ヒトTCRα可変領域セグメントの連続したヒト配列を含むDNA断片はまた、制限酵素部位、選択カセット、エンドヌクレアーゼ部位、または遺伝子座ヒト化プロセスにおけるクローニングおよび選択を容易にするために挿入されるその他の部位を含む。種々の実施形態において、これらの追加の部位は、TCRα遺伝子座における種々の遺伝子の適切な機能(例えば、再配列、スプライシングなど)に干渉しない。

0073

一実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、61のヒトJαセグメント、すなわち100%のヒトJαセグメントを含む。特定の実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、8つのヒトVαセグメントおよび61のヒトJαセグメントを含み;別の特定の実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、23ヒトVαセグメントおよび61のヒトJαセグメントを含む。別の特定の実施形態において、ヒト化TCRα遺伝子座は、ヒトVαおよびJαセグメントの完全なレパートリー、即ち、α遺伝子座によってコードされる全てのヒト可変α領域遺伝子セグメント、すなわち54のヒトVαセグメントおよび61のヒトJαセグメントを含む。種々の実施形態において、非ヒト動物は、TCRα遺伝子座に内在性非ヒトVαセグメントも内在性非ヒトJαセグメントも含まない。

0074

マウスTCRβ可変遺伝子座は、約0.6メガベースであり、合計33のVβセグメント、2つのDβセグメントおよび14のJβセグメントを含む(図6)。ヒトTCRβ可変遺伝子座は、約0.6メガベースであり、合計67のVβセグメント、2つのDβセグメントおよび14のJβセグメントを含む。本発明の一実施形態において、遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)は、少なくとも1つのヒトVβ、少なくとも1つのヒトDβおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む。一実施形態において、非ヒト動物は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、23個、25個、30個、35個、40個、45個、48個、50個、55個、60個、または67個以下のヒトVβセグメントを含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。一部の実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は、8個、14個、40個、66個または67個のヒトVβセグメントを含む。したがって、一部の実施形態において、非ヒト動物のヒト化TCRβ遺伝子座は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98% 99%、または100%のヒトVβを含むことができ;一部の実施形態において、約20%、約60%、約15%、約98%または100%のヒトVβを含むことができる。

0075

一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトVβ18〜Vβ29−1(Vβセグメントは、「TRBV」または「TCRBV」とも称する)の連続したヒト配列を含むDNA断片を含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRBV18〜TRBV29−1の連続したヒト配列を含むDNA断片、ヒトDβ1−Jβ1の連続したヒト配列(即ち、ヒトDβ1−Jβ1−1−Jβ1−6セグメント)を含む別のDNA断片、およびヒトDβ2−Jβ2の連続したヒト配列(即ち、ヒトDβ2−Jβ2−1−Jβ2−7セグメント)を含む別のDNA断片を含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRBV6−5〜TRBV29−1の連続したヒト配列を含むDNA断片、ヒトDβ1−Jβ1の連続したヒト配列(即ち、ヒトDβ1−Jβ1−1−Jβ1−6セグメント)を含む別のDNA断片、およびヒトDβ2−Jβ2の連続したヒト配列(即ち、ヒトDβ2−Jβ2−1−Jβ2−7セグメント)を含む別のDNA断片を含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRBV1〜TRBV29−1の連続したヒト配列を含むDNA断片、ヒトDβ1−Jβ1の連続したヒト配列を含む別のDNA断片、およびヒトDβ2−Jβ2の連続したヒト配列を含む別のDNA断片を含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒトTRBV1〜TRBV29−1の連続したヒト配列を含むDNA断片、ヒトDβ1−Jβ1の連続したヒト配列を含む別のDNA断片、ヒトDβ2−Jβ2の連続したヒト配列を含む別のDNA断片、およびヒトTRBV30の配列を含む別のDNA断片を含むヒト化TCRβ遺伝子座を含む。種々の実施形態において、ヒトTCRβ可変領域セグメントの連続したヒト配列を含むDNA断片はまた、制限酵素部位、選択カセット、エンドヌクレアーゼ部位、または遺伝子座ヒト化プロセスにおけるクローニングおよび選択を容易にするために挿入されるその他の部位を含む。種々の実施形態において、これらの追加の部位は、TCRβ遺伝子座における種々の遺伝子の適切な機能(例えば、再配列、スプライシングなど)に干渉しない。

0076

一実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は14のヒトJβセグメント、すなわち100%のヒトJβセグメント、および2つのヒトJβセグメント、すなわち100%のヒトJβセグメントを含む。別の実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は、少なくとも1つのヒトVβセグメント、例えば、14のヒトVβセグメントならびに全てのマウスDβおよびJβセグメントを含む。特定の実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は、14のヒトVβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトJβセグメントを含む。別の特定の実施形態において、ヒト化TCRβ遺伝子座は、ヒトVβ、DβおよびJβセグメントの完全なレパートリー、即ち、β遺伝子座によってコードされる全てのヒト可変β領域遺伝子セグメント、または67のヒトVβセグメント、2つのヒトDβセグメントおよび14のヒトJβセグメントを含む。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化TCRβ遺伝子座に1つの(例えば、5’)非ヒトVβセグメントを含む。種々の実施形態において、非ヒト動物は、TCRβ遺伝子座に内在性非ヒトVβセグメントも、内在性非ヒトDβセグメントも、内在性非ヒトJβセグメントも含まない。

0077

非ヒト動物(例えば、齧歯動物)がヒトTCRαおよびTCRβ(ならびに任意選択でヒトTCRδおよびTCRγ)可変領域セグメントのレパートリー(例えば、可変領域セグメントの完全なレパートリー)を含む種々の実施形態において、種々のセグメントのレパートリー(例えば、種々のセグメントの完全なレパートリー)が、動物によって利用されて、種々の抗原に対してTCR分子の多様なレパートリーが産生される。

0078

種々の態様において、非ヒト動物は、再配列されていないヒトゲノム可変遺伝子座の場合と同様に構成されたV、DおよびJ、またはDおよびJ、またはVおよびJ、またはVセグメントを含む、例えば、ヒトゲノムTCR可変遺伝子座の場合と同様に構成されたプロモーター配列リーダー配列遺伝子間配列、制御配列などを含む、ヒトゲノムTCR可変遺伝子座の連続した部分を含む。他の態様において、種々のセグメントは、再配列されていない非ヒトゲノムTCR可変遺伝子座の場合と同様に構成される。ヒト化TCRαおよび/またはβ遺伝子座の種々の実施形態において、ヒト化遺伝子座は、ヒトゲノム中に並置されて見られることはない2つ以上のヒトゲノムセグメントを含むことができる、例えば、ヒトゲノム中において定常領域に近接して位置するヒトV遺伝子座のVセグメントの断片を、ヒトゲノム中においてのヒトV遺伝子座の上流端に位置するヒトV遺伝子座のVセグメントの断片と並置して含むことができる。

0079

マウスおよびヒトのいずれにおいても、TCRδ遺伝子セグメントは、TCRα遺伝子座と共に位置する(図2および5を参照のこと)。TCRδJおよびDセグメントは、VαセグメントとJαセグメントの間に位置するのに対し、TCRδVセグメントはTCRα遺伝子座全体に散在し、大部分が種々のVαセグメントの間に位置する。種々のTCRδセグメントの数および位置は、IMGTデータベースから決定できる。TCRα遺伝子座内におけるTCRδ遺伝子セグメントのゲノム構成により、TCRα遺伝子座の成功裏の再配列は一般に、TCRδ遺伝子セグメントを欠失させる。

0080

本発明の一部の実施形態において、再配列されていないヒトTCRα可変遺伝子座を含む非ヒト動物はまた、少なくとも1つのヒトVδセグメント、例えば、最大で、ヒトVδセグメントの完全なレパートリーを含む。したがって、一部の実施形態において、内在性TCRα可変遺伝子座の置き換えは、ヒトVδセグメントによる少なくとも1つの非ヒトVδセグメントの置き換えをもたらす。他の実施形態において、本発明の非ヒト動物は、再配列されていないヒト化TCRα遺伝子座に、ヒトVδ、DδおよびJδセグメントの完全なレパートリーを含み;さらに他の実施形態において、非ヒト動物は、再配列されていないヒト化TCRα遺伝子座に、完全な再配列されていないヒトTCRδ遺伝子座(即ち、ヒト可変領域セグメントならびにヒトエンハンサーおよび定常領域を含むTCRδ遺伝子座)を含む。完全な再配列されていないTCRδ遺伝子座を含む再配列されていないヒト化TCRα遺伝子座を構築するための例示的実施形態が、図5に示されている。

0081

さらに別の実施形態において、本発明の非ヒト動物は、再配列されていないヒト化TCRγ遺伝子座、例えば、少なくとも1つのヒトVγおよび少なくとも1つのヒトJγセグメント(例えば、ヒトVγおよびヒトJγ可変領域セグメントの完全なレパートリー)を含むTCRγ遺伝子座をさらに含む。ヒトTCRγ遺伝子座はヒト第7染色体上にあり、マウスTCRγ遺伝子座はマウス第13染色体上にある。TCRγ遺伝子座に関するより詳細な情報については、IMGTデータベースを参照のこと。

0082

一態様において、本明細書中に記載したヒト化TCRαおよびβ可変遺伝子座(ならびに任意選択で、ヒト化TCRδ/γ可変遺伝子座)を含む非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)は、T細胞の表面においてヒト可変領域および非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)定常領域を含むヒト化T細胞受容体を発現する。一部の態様において、非ヒト動物は、種々の提示された抗原を認識するヒト化T細胞受容体の多様なレパートリーを発現することができる。

0083

本発明の種々の実施形態において、本明細書中に記載したヒト化T細胞受容体ポリペプチドは、ヒトリーダー配列を含む。代替的実施形態において、ヒト化TCRポリペプチドが非ヒトリーダー配列を含むように、ヒト化TCR受容体核酸配列を作出する。

0084

本明細書中に記載したヒト化TCRポリペプチドは、内在性非ヒト調節エレメント(例えば、齧歯動物調節エレメント)、例えば、プロモーター、サイレンサー、エンハンサーなどの制御下で発現させることができる。別法として、本明細書中に記載したヒト化TCRポリペプチドは、ヒト調節エレメントの制御下で発現させることができる。種々の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、ヒトゲノム中にin situで通常見られる全ての制御配列および他の配列をさらに含む。

0085

種々の実施形態において、ヒト化TCRタンパク質のヒト可変領域は、同一細胞または別の細胞の表面の種々のタンパク質と相互作用することができる。一実施形態において、ヒト化TCRのヒト可変領域は、第2の細胞、例えば、抗原提示細胞(APC)の表面において抗原を提示するMHCタンパク質(例えば、MHCクラスIまたはIIタンパク質)と相互作用する。一部の実施形態において、MHC IまたはIIタンパク質は、非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)タンパク質である。他の実施形態において、MHC IまたはIIタンパク質は、ヒトタンパク質である。一態様において、第2の細胞、例えば、APCは、ヒトまたはヒト化MHC分子を発現する内在性非ヒト細胞である。異なる実施形態において、第2の細胞は、ヒトMHC分子を発現するヒト細胞である。

0086

一態様において、非ヒト動物は、T細胞の表面において非ヒト定常領域を有するヒト化T細胞受容体を発現し、前記受容体は、非ヒト分子、例えば、T細胞において発現されるアンカーまたはシグナル伝達分子(例えば、CD3分子、ζ鎖、またはCD3分子もしくはζ鎖を介してTCRに係留される他のタンパク質)と相互作用することができる。

0087

したがって、一態様において、本明細書中に記載されたヒト化TCRα鎖および本明細書中に記載されたヒト化TCRβ鎖を含むTCRを発現する非ヒトT細胞と、MHCIまたはMHC IIに結合された抗原を含む非ヒト抗原提示細胞とを含む細胞複合体を提供する。一実施形態において、非ヒト定常TCRαおよびTCRβ鎖は、非ヒトゼータ(ζ)鎖ホモ二量体およびCD3ヘテロ二量体と複合体を形成する。一実施形態において、細胞複合体は、in vivo細胞複合体である。一実施形態において、細胞複合体は、in vitro細胞複合体である。

0088

遺伝子改変非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギブタウシ(例えば、雌牛、雄バッファロー)、シカヒツジヤギニワトリネコイヌフェレット霊長類(例えば、マーモセットアカゲザル)からなる群より選択し得る。好適な遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手できない非ヒト動物については、他の方法を使用して、遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製する。このような方法は、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または誘導多能性細胞)の改変および核移植の使用による、好適な細胞、例えば、卵母細胞への改変ゲノムの移植、ならびに胚の形成に好適な条件下での非ヒト動物中における改変細胞(例えば、改変卵母細胞)の妊娠を含む。

0089

一態様において、非ヒト動物は哺乳動物である。一態様では、非ヒト動物が、小型の哺乳動物、例えば、Dipodidae(Dipodoidea)上科またはMuroidea上科である。一実施形態では、遺伝子改変動物が、齧歯動物である。一実施形態では、齧歯動物が、マウス、ラット、およびハムスターより選択される。一実施形態では、齧歯動物が、Muroidea上科より選択される。一実施形態では、遺伝子改変動物が、Calomyscidae科(例えば、マウス様ハムスター)、Cricetidae科(例えば、ハムスター、新世界ラットおよびマウス、ハタネズミ)、Muridae科(旧世界マウスおよび旧世界ラット、アレチネズミトゲマウス、クレステッドラット(crested rat))、Nesomyidae科(キノボリマウス、イワネズミ、オオハダカオネズミ(with−tailed rats)、アシガラット、およびアシナガマウス)、Platacanthomyidae科(例えば、トゲヤマネ)、およびSpalacidae科(例えば、ハダカデバネズミ、コタケネズミ、およびコウゲンモグラネズミ)より選択される科に由来する。特定の実施形態では、遺伝子改変齧歯動物が、旧世界マウスおよび旧世界ラット(Muridae科)、アレチネズミ、トゲマウス、およびクレステッドラットより選択される。一実施形態では、遺伝子改変マウスが、Muridae科のメンバーに由来する。一実施形態において、動物は齧歯動物である。特定の実施形態において、齧歯動物は、マウスおよびラットより選択される。一実施形態において、非ヒト動物はマウスである。

0090

特定の実施形態において、非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10CrおよびC57BL/Olaより選択されるC57BL系統のマウスである齧歯動物である。別の実施形態において、マウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群より選択される129系統である(例えば、Festingら(1999年)Revised nomenclature for strain 129 mice、Mammalian Genome 10巻:836頁を参照のこと、また、Auerbachら(2000年)Establishment and Chimera Analysis of 129/SvEv− and C57BL/6−Derived Mouse Embryonic Stem Cell Linesを参照のこと)。特定の実施形態において、遺伝子改変マウスは、前記129系統と前記C57BL/6系統を交配したものである。別の特定の実施形態において、マウスは、前記129系統を交配したものまたは前記BL/6系統を交配したものである。特定の実施形態において、交配の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。別の実施形態において、マウスはBALB系統、例えば、BALB/c系統である。さらに別の実施形態において、マウスは、BALB系統と別の前述の系統を交配したものである。

0091

一実施形態において、非ヒト動物はラットである。一実施形態において、ラットは、Wistarラット、LEA系統、Sprague Dawley系統、Fischer系統、F344、F6およびDark Agoutiより選択される。一実施形態において、ラット系統は、Wistar、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6およびDark Agoutiからなる群より選択される2つ以上の系統を交配したものである。

0092

したがって、一実施形態において、本発明は、再配列されていないヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座、例えば、TCRα、TCRβ、TCRδおよび/またはTCRγ可変遺伝子座をゲノムに含む遺伝子改変マウスを提供する。一部の実施形態において、再配列されていないヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座は、内在性マウスTCR可変遺伝子座と置き換わっている。他の実施形態において、再配列されていないヒトおよびヒト化TCR可変遺伝子座は、対応する内在性マウスTCR遺伝子座以外の、ゲノム中の部位にある。一部の実施形態において、再配列されていないヒトまたはヒト化TCR可変遺伝子座は、マウスTCR定常領域に作動可能に連結する。

0093

一実施形態において、遺伝子改変マウスであって、マウスT細胞受容体(TCR)α定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトJαセグメントおよび少なくとも1つのヒトVαセグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座と、マウスTCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、少なくとも1つのヒトJβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトVβセグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座とをゲノム中に含む、遺伝子改変マウスを提供する。特定の一実施形態において、マウスは、マウスTCRα定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJαセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVαセグメントの完全なレパートリーを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座と、マウスTCRβ定常遺伝子配列に作動可能に連結した、ヒトJβセグメントの完全なレパートリー、ヒトDβセグメントの完全なレパートリーおよびヒトVβセグメントの完全なレパートリーを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座とを、ゲノム中に含む。

0094

一部の実施形態において、ヒトTCRα可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRα可変遺伝子座は、内在性マウスTCRα可変遺伝子座と置き換わっており、ヒトTCRβ可変領域セグメントを含む再配列されていないTCRβ可変遺伝子座は、内在性マウスTCRβ可変遺伝子座と置き換わっている。一部の実施形態において、内在性マウスVαおよびJαセグメントは、再配列によって再配列Vα/Jα配列を形成することができず、内在性マウスVβ、DβおよびJβセグメントは、再配列によって再配列Vβ/Dβ/Jβ配列を形成することができない。一部の実施形態において、ヒトVαセグメントおよびヒトJαセグメントは再配列されて、再配列ヒトVα/Jα配列を形成し、ヒトVβセグメント、ヒトDβセグメントおよびヒトJβセグメントが再配列されて、再配列ヒトVβ/Dβ/Jβ配列を形成する。

0095

種々の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)は、胸腺発生を経て、DN1→DN2→DN3→DN4→DPおよびCD4またはCD8 SP T細胞と進むことができるT細胞を生成する。本発明の非ヒト動物のこのようなT細胞は、胸腺発生の特定の段階の間にT細胞によって典型的に生成される細胞表面分子(例えば、CD25、CD44、Kit、CD3、pTαなど)を発現する。したがって、本明細書中に記載した非ヒト動物は、胸腺発生のDN3段階においてTCRβと複合体を形成したpTαを発現する。本明細書中に記載した非ヒト動物は、胸腺発生を経てCD4+およびCD8+T細胞を生成することができるT細胞を発現する。正常には、胸腺においてCD4+T細胞対CD8+T細胞の生理学的比率は約2:1〜3:1である。例えば、GeおよびStanley(2008年)The O−fucose glycan in the ligand−binding domain of Notch 1 regulates embryogenesis and T cell development、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105巻:1539〜44頁を参照のこと。したがって、一実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、胸腺において約2:1〜3:1(CD4+:CD8+)の比率で、CD4+およびCD8+T細胞を生成する。

0096

種々の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、末梢において正常なT細胞分化を受けることができるT細胞を生成する。一部の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、エフェクターT細胞の正常なレパートリー、例えば、CTL細胞傷害性Tリンパ球)、TH1、TH2、TREG、TH17などを生成することができる。したがって、これらの実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、個々のT細胞型に典型的な異なる機能を果たす、例えば、外来抗原を認識し、外来抗原と結合しおよび外来抗原に応答するエフェクターT細胞を産生する。種々の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、MHCI分子に関連して発現された細胞質ゾルの病原体のペプチド断片ディスプレイする細胞を死滅させるエフェクターT細胞を生成し;細胞内小胞内で分解されかつマクロファージの表面のMHC II分子によって提示された抗原に由来するペプチドを認識して、マクロファージを誘導して微生物を死滅させ;B細胞分化を駆動するサイトカインを生成し;B細胞を活性化して、オプソニン化抗体(opsonizing antibody)を生成し;上皮細胞を誘導して、感染部位好中球をリクルートするケモカインを生成させる、などを行う。

0097

さらなる実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、末梢に、例えば、脾臓中に正常な数のCD3+T細胞を含む。一部の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物における末梢CD3+T細胞のパーセントは、野生型動物(即ち、全ての内在性TCR可変領域セグメントを含む動物)におけるものに匹敵する。一実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、脾臓CD3+T細胞対総脾細胞の正常な比率を含む。

0098

他の態様において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、目的の抗原に応答して、メモリーT細胞の集団を産生することができる。例えば、非ヒト動物は、抗原、例えば、目的の抗原(例えば、ワクチン開発のために試験されている抗原など)に対してセントラルメモリーT細胞(Tcm)およびエフェクターメモリーT細胞(Tem)の両方を産生する。

0099

十分なシグナル(例えば、Notchシグナル)を受け取らないDN1およびDN2細胞は、B細胞、骨髄性細胞(例えば、樹状細胞)、肥満細胞およびNK細胞に発生し得る。例えば、Yashiro−Ohtaniら(2010年)Notch regulation of early thymocyte development、Seminars in Immunology 22巻:261〜69頁を参照のこと。一部の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、正常な数のB細胞、骨髄性細胞(例えば、樹状細胞)、肥満細胞およびNK細胞を発生する。一部の実施形態において、本明細書中に記載した非ヒト動物は、胸腺において正常な樹状細胞集団を発生する。

0100

T細胞の表面で発現されるT細胞受容体の優勢な型は、TCRα/βであり、TCRδ/γを発現する細胞は少数である。本発明の一部の実施形態において、ヒト化TCRαおよび/またはβ遺伝子座を含む非ヒト動物のT細胞は、TCRα/βおよびTCRδ/γ遺伝子座の正常な利用、例えば、野生型動物と同様なTCRα/βおよびTCRδ/γ遺伝子座の利用を呈示する(例えば、本明細書中に記載した非ヒト動物のT細胞は、野生型動物によって発現されるものに匹敵する割合でTCRα/βおよびTCRδ/γタンパク質を発現する)。したがって、一部の実施形態において、ヒト化TCRα/βおよび内在性非ヒトTCRδ/γ遺伝子座を含む非ヒト動物は、全ての遺伝子座の正常な利用を呈示する。

0101

本明細書中に記載した遺伝子操作された非ヒト動物に加えて、非ヒト胚(例えば、齧歯動物胚、例えば、マウスまたはラット胚)であって、本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)に由来するドナーES細胞を含む非ヒト胚も提供する。一態様において、胚は、再配列されていないヒト化TCR遺伝子座を含むESドナー細胞宿主胚細胞とを含む。

0102

本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、マウスまたはラット)に由来しかつヒト化TCRポリペプチド(例えば、TCRαおよび/もしくはTCRβ、またはTCRδおよび/もしくはTCRγポリペプチド)を発現する組織も提供する。

0103

加えて、本明細書中に記載した非ヒト動物から単離された非ヒト細胞も提供する。一実施形態において、細胞はES細胞である。一実施形態において、細胞はT細胞である。一実施形態において、T細胞はCD4+T細胞である。別の実施形態において、T細胞はCD8+T細胞である。

0104

本明細書中に記載した非ヒト動物の染色体またはその断片を含む非ヒト細胞も提供する。一実施形態において、非ヒト細胞は、本明細書中に記載した非ヒト動物の核を含む。一実施形態において、非ヒト細胞は、核移植の結果としての染色体またはその断片を含む。

0105

ヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むTCRタンパク質を発現する非ヒト細胞も提供する。TCRタンパク質は、TCRα、TCRβまたはその組合せを含み得る。一実施形態において、細胞はT細胞、例えば、CD4+またはCD8+T細胞である。

0106

一態様において、本明細書中に記載したヒト化TCRポリペプチドをコードする再配列されていないヒト化TCR遺伝子座を含む非ヒト誘導多能性細胞を提供する。一実施形態において、誘導多能性細胞は、本明細書中に記載した非ヒト動物に由来する。

0107

一態様において、本明細書中に記載した非ヒト動物の細胞に由来するハイブリドーマまたはクアドローマを提供する。一実施形態において、非ヒト動物は、齧歯動物、例えば、マウスまたはラットである。

0108

本明細書中に記載した遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を作製するための方法も提供する。遺伝子改変非ヒト動物を作製するための方法により、再配列されていないヒト化TCR遺伝子座(例えば、再配列されていないヒト化TCRα、TCRβ、TCRδおよび/またはTCRγ遺伝子座)をゲノムが含む動物が得られる。一実施形態において、ヒト可変領域および非ヒト(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)定常領域を含むT細胞受容体をT細胞の表面において発現する遺伝子改変非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を作製するための方法であって、第1の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRα可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVαセグメントと少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRα可変遺伝子座と置き換えるステップであって、ヒト化TCRα可変遺伝子座が内在性TCRα定常領域に作動可能に連結しているステップと;第2の非ヒト動物において、内在性非ヒトTCRβ可変遺伝子座を、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む再配列されていないヒト化TCRβ可変遺伝子座と置き換えるステップであって、ヒト化TCRβ可変遺伝子座が内在性TCRβ定常領域に作動可能に連結しているステップと;前記第1および前記第2の非ヒト動物を交配して、ヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むT細胞受容体を発現する非ヒト動物を得るステップとを含む、方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載した方法に従って作成された再配列されていないヒト化TCRα遺伝子座をゲノムが含む遺伝子改変非ヒト動物、または本明細書中に記載した方法に従って作成された再配列されていないヒト化TCRβ遺伝子座をゲノムが含む非ヒト動物の作製方法を提供する。種々の実施形態において、置き換えは、内在性遺伝子座において行う。一部の実施形態において、方法は、実施例中に記載するように、VELOCIGENE(登録商標)技術を用いて作製された1種または複数の標的化構築物を利用して、構築物(複数可)をES細胞に導入し、標的化されるES細胞クローンを、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を用いてマウス胚中に導入する。一部の実施形態において、ES細胞は、129系とC57BL/6系とを交配したマウスに由来する。種々の実施形態において、方法は、追加の可変領域セグメントを含む構築物をヒト化の各後続ステップにおいてES細胞に導入して、最終的にヒト可変領域セグメントの完全なレパートリーを含むマウスを得る、漸進的なヒト化ストラテジーを含む(例えば、図3および7を参照のこと)。

0109

したがって、本明細書中に記載した遺伝子操作された非ヒト動物の作成に使用するヌクレオチド構築物も提供する。一態様において、ヌクレオチド構築物は、5’および3’同性アームと、ヒトTCR可変領域遺伝子セグメント(複数可)を含むヒトDNA断片と、組換え部位が隣接する選択カセットとを含む。一実施形態において、ヒトDNA断片は、TCRα遺伝子断片であり、少なくとも1つのヒトTCRα可変領域セグメントを含む。別の実施形態において、ヒトDNA断片は、TCRβ断片であり、少なくとも1つのヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントを含む。一態様において、少なくとも1つの相同性アームは、非ヒト相同性アームであり、非ヒトTCR遺伝子座(例えば、非ヒトTCRαまたはTCRβ遺伝子座)に対して相同である。

0110

選択カセットは、標的化構築物に挿入されるヌクレオチド配列であって、目的の構築物を組み込んでいる細胞(例えば、ES細胞)の選択を容易にするためのものである。多くの好適な選択カセットが、当技術分野において公知である。一般に、選択カセットは、特定の抗生物質(例えば、Neo、Hyg、Pur、CM、Specなど)の存在下におけるポジティブ選択を可能にする。加えて、選択カセットには、組換え部位が隣接することができるので、リコンビナーゼ酵素による処理時に選択カセットの削除が可能である。一般に使用される組換え部位は、CreおよびFlp酵素によってそれぞれ認識されるloxPおよびFrtであるが、他のものも当技術分野において公知である。

0111

一実施形態において、選択カセットは、ヒトDNA断片の5’末端に位置付ける。別の実施形態において、選択カセットは、ヒトDNA断片の3’末端に位置付ける。別の実施形態において、選択カセットは、ヒトDNA断片の中に、例えば、ヒトイトロンの中に位置付ける。別の実施形態において、選択カセットは、ヒトおよびマウスDNA断片の接合部に位置付ける。

0112

遺伝子操作された非ヒト動物、構築物、およびこれらに使用する標的化ベクターを作成するための標的化ストラテジーの種々の例示的実施形態が、図3、4、5、7および8に示されている。

0113

遺伝子ターゲッテングの完了後、ES細胞または遺伝子改変非ヒト動物は、スクリーニングして、目的の外来性ヌクレオチド配列組み入れまたは外来性ポリペプチド(例えば、ヒトTCR可変領域セグメント)の発現の成功を確認する。数多くの技術が、当業者に公知であり、その例としては、SouthernブロッティングロングPCR、定量PCT(例えば、TAQMAN(登録商標)を使用するリアルタイムPCR)、蛍光in situハイブリダイゼーション、Northernブロット法フローサイトメトリー、Western解析、免疫細胞化学免疫組織化学などが挙げられる(しかし、これらに限定するものではない)。一例において、目的の遺伝子改変を有する非ヒト動物(例えば、マウス)は、Valenzuelaら(2003年)High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis、Nature Biotech.21巻(6号):652〜659頁に記載された対立遺伝子アッセイ変法を用いて、マウス対立遺伝子の欠損および/またはヒト対立遺伝子の獲得をスクリーニングすることによって同定できる。遺伝子改変動物における特定のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を同定する他のアッセイも、当業者に公知である。

0114

本開示はまた、本明細書中に記載したヒト化TCRタンパク質を発現させるために、非ヒト動物のTCR可変遺伝子座(例えば、TCRα、TCRβ、TCRδおよび/またはTCRγ遺伝子座)を改変する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、T細胞の表面においてヒト化TCRタンパク質を発現させるためにTCR可変遺伝子座を改変する方法であって、非ヒト動物において、内在性非ヒトTCR可変遺伝子座を、再配列されていないヒト化TCR可変遺伝子座と置き換えるステップを含む、方法を提供する。TCR可変遺伝子座がTCRα可変遺伝子座である一実施形態において、再配列されていないヒト化TCR可変遺伝子座は、少なくとも1つのヒトVαセグメントおよび少なくとも1つのヒトJαセグメントを含む。TCR可変遺伝子座がTCRβ可変遺伝子座である一実施形態において、再配列されていないヒト化TCR可変遺伝子座は、少なくとも1つのヒトVβセグメント、少なくとも1つのヒトDβセグメントおよび少なくとも1つのヒトJβセグメントを含む。種々の態様において、再配列されていないヒト化TCR可変遺伝子座は、対応する内在性非ヒトTCR定常領域に作動可能に連結している。

0115

本明細書中に記載された非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)によって作製されるヒト化TCRタンパク質であって、ヒト可変領域および非ヒト定常領域を含むヒト化TCRタンパク質も提供する。したがって、ヒト化TCRタンパク質は、その可変ドメインのヒト相補性決定領域(即ち、ヒトCDR1、2および3)および非ヒト定常領域を含む。

0116

以下の実施例は、ゲノムがヒト化TCRαおよび/またはヒト化TCRβ可変遺伝子座を含む遺伝子操作された非ヒト動物について記載するが、当業者ならば、ゲノムがヒト化TCRδおよび/またはヒト化TCRγ可変遺伝子座を含む遺伝子操作された動物の生成にも同様なストラテジーを使用し得ることがわかるであろう。4つのTCR可変遺伝子座全てがヒト化された遺伝子操作された非ヒト動物も提供する。

0117

遺伝子改変TCR動物の使用
種々の実施形態において、本発明の遺伝子改変非ヒト動物は、表面にヒト化TCR分子を有するT細胞を作製し、結果としてMHC複合体によってそれらに提示されたペプチドを、ヒトと同様な方法で認識するであろう。本明細書中に記載した遺伝子改変非ヒト動物を使用すれば、ヒトT細胞の発生および機能ならびに免疫寛容のプロセスを研究すること;ヒトワクチン候補を試験すること;TCR遺伝子療法のために特定の特異性を有するTCRを作成すること;疾患関連抗原(例えば、腫瘍関連抗原(TAA)に対するTCRライブラリーを作成することなどが可能である。

0118

T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)は、目的の抗原、例えば、ウイルス抗原細菌抗原腫瘍抗原などまたはそれを提示する細胞を攻撃しかつ破壊をもたらすよう方向付けることができるので、T細胞療法への関心は当技術分野において増えている。癌T細胞療法の初期研究は、腫瘍細胞塊から腫瘍浸潤リンパ球(TIL;腫瘍抗原に対して反応性のT細胞を含むと考えられている腫瘍塊中のリンパ球の集団)を単離し、in vitroでT細胞増殖因子を用いてそれらを増やし、かつ養子細胞移植と称されるプロセスでそれらを患者に戻すことを目指した。例えば、Restifoら(2012年)Adoptive immunotherapy for cancer: harnessing the T cell response、Nature Reviews 12巻:269〜81頁;Linnermannら(2011年)T−Cell Receptor Gene Therapy: Critical Parameters for Clinical Success、J. Invest. Dermatol. 131巻:1806〜16頁を参照のこと。しかし、これらの治療法の成功はこれまで、黒色腫および腎細胞癌に限られており;TIL養子移植は、限定された腫瘍関連抗原(TAA)に特異的に向けるものではない。Linnermannら(上記)。

0119

目的の抗原、例えば、TAAを標的化するようにT細胞が選択またはプログラムされるTCR遺伝子療法を開始するための試みが行われている。現行のTCR遺伝子療法は、特異抗原、例えば、腫瘍関連抗原を対象とするTCRの配列の同定に依拠している。例えば、Rosenbergと同僚は、いくつかの研究を公開し、黒色腫関連抗原MART−1エピトープに特異的なTCRαおよびβ鎖をコードする遺伝子を、黒色腫患者に由来する末梢血リンパ球形質導入し、得られた増やされたリンパ球を養子T細胞療法に用いた。Johnsonら(2009年)Gene therapy with human and mouse T−cell receptors mediates cancer regression and targets normal tissues expressing cognate antigen、Blood 114巻:535〜46頁;Morganら(2006年)Cancer Regression in Patients After Transfer of Genetically Engineered Lymphocytes、Science 314巻:126〜29頁。MART−1特異的TCRが、TIL療法後に腫瘍退縮を経験した患者から単離された。しかし、このようなTCR、特に高アビディティTCR(治療的に有用である可能性が最も高い)の同定は、ほとんどの腫瘍抗原が自己抗原であり、これらの抗原を標的化するTCRは多くの場合、主に免疫寛容のため、欠失しているかまたは最適以下の親和性を有するという事実により複雑化される。

0120

種々の実施形態において、本発明は、再配列されていないヒトTCR可変遺伝子座をゲノムに含む遺伝子操作された非ヒト動物を提供することによってこの問題を解決する。本明細書中に記載した非ヒト動物は、ヒト化T細胞受容体の多様なレパートリーを有するT細胞を産生することができる。したがって、本明細書中に記載した非ヒト動物は、ヒト化T細胞受容体、例えば、養子T細胞移植に使用する高アビディティヒト化T細胞受容体の多様なレパートリーの供給源であり得る。

0121

したがって、一実施形態において、本発明は、ヒト抗原に対するT細胞受容体を作成する方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えば、マウスまたはラット)を目的の抗原で免疫化するステップと、前記動物に免疫応答を開始させるステップと、目的の抗原に対する特異性を有する活性化T細胞を前記動物から単離するステップと、前記抗原特異的T細胞によって発現されるT細胞受容体の核酸配列を決定するステップとを含む、方法を提供する。

0122

一実施形態において、本発明は、目的の抗原(例えば、疾患関連抗原)に特異的なヒトT細胞受容体を生成する方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を目的の抗原で免疫化するステップと、前記動物に免疫応答を開始させるステップと、目的の抗原に対して反応性のT細胞を前記動物から単離するステップと、前記T細胞によって発現されるヒトTCR可変領域の核酸配列を決定するステップと、ヒトTCR可変領域がヒトTCR定常領域に作動可能に連結するように、ヒトTCR定常領域の核酸配列を含むヌクレオチド構築物にヒトTCR可変領域をクローニングするステップと、目的の抗原に特異的なヒトT細胞受容体を前記構築物から発現させるステップとを含む、方法を提供する。一実施形態において、T細胞を単離するステップ、T細胞によって発現されるヒトTCR可変領域の核酸配列を決定するステップ、ヒトTCR定常領域の核酸配列を含むヌクレオチド構築物にヒトTCR可変領域をクローニングするステップ、およびヒトT細胞受容体を発現させるステップは、当業者に公知の標準技術を用いて行う。

0123

一実施形態において、目的の抗原に特異的なT細胞受容体をコードするヌクレオチド配列を細胞中で発現させる。一実施形態において、TCRを発現させる細胞は、CHO、COS、293、HeLa、PERC.6(商標)細胞などより選択する。

0124

目的の抗原は、疾患または状態を引き起こすかまたは疾患または状態と関連することが知られている任意の抗原、例えば、腫瘍関連抗原;ウイルス、細菌、または他の病原体由来の抗原などであることができる。多くの腫瘍関連抗原が、当技術分野において公知である。腫瘍関連抗原の選択は、Cancer Immunity (A Journal of the Cancer Research Institute) Peptide Database (archive.cancerimmunity.org/peptidedatabase/Tcellepitopes.htm)に示されている。本発明の一部の実施形態において、目的の抗原は、ヒト抗原、例えば、ヒト腫瘍関連抗原である。一部の実施形態において、抗原は、細胞型特異的細胞内抗原であり、抗原を発現する細胞を死滅させるためにT細胞受容体を使用する。

0125

一実施形態において、目的の抗原、例えば、腫瘍関連抗原に対して特異性を有するT細胞を同定する方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を目的の抗原で免疫化するステップと、前記動物に免疫応答を開始させるステップと、抗原に対して特異性を有するT細胞を前記非ヒト動物から単離するステップとを含む、方法を、本明細書中において提供する。

0126

本発明は、養子T細胞療法のための新しい方法を提供する。したがって、被験体(例えば、哺乳類被験体、例えば、ヒト被験体)において疾患または状態(例えば、癌)を治療するかまたは寛解させる方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を、疾患または状態と関連する抗原で免疫化するステップと、前記動物に免疫応答を開始させるステップと、抗原特異的T細胞の集団を前記動物から単離するステップと、単離された抗原特異的T細胞を被験体に注入するステップとを含む、方法を、本明細書中において提供する。一実施形態において、本発明は、ヒト被験体において疾患または状態を治療するかまたは寛解させる方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を、目的の抗原(例えば、疾患−または状態−関連抗原、例えば、腫瘍関連抗原)で免疫化するステップと、前記動物に免疫応答を開始させるステップと、抗原特異的T細胞の集団を前記動物から単離するステップと、抗原特異的T細胞によって発現されたT細胞受容体の核酸配列を決定するステップと、発現ベクター(例えば、レトロウイルスベクター)にT細胞受容体の核酸配列をクローニングするステップと、T細胞が抗原特異的T細胞受容体を発現するように、被験体に由来するT細胞にベクターを導入するステップと、T細胞を被験体中に注入するステップとを含む、方法を提供する。一実施形態において、T細胞受容体核酸配列は、さらにヒト化してから、被験体に由来するT細胞中に導入する。例えば、非ヒト定常領域をコードする配列を改変して、ヒトTCR定常領域にさらに類似させる(例えば、非ヒト定常領域を、ヒト定常領域と置き換える)。一部の実施形態において、疾患または状態は癌である。一部の実施形態において、抗原特異的T細胞集団は、被験体への注入前に増やす。一部の実施形態において、被験体の免疫細胞集団は、抗原特異的T細胞の注入前に免疫枯渇させる。一部の実施形態において、抗原特異性TCRは、高アビディティTCR、例えば、腫瘍関連抗原に対するアビディティが高いTCRである。一部の実施形態において、T細胞は細胞傷害性T細胞である。他の実施形態において、疾患または状態は、ウイルスまたは細菌によって引き起こされる。

0127

別の実施形態において、疾患または状態は自己免疫疾患である。TREG細胞は、自己抗原に対する寛容性を維持し、かつ病的な自己反応性を予防するT細胞のサブ集団である。したがって、本明細書中に記載した本発明の非ヒト動物における抗原特異的TREG細胞の産生に依拠する、自己免疫疾患の治療方法も、本明細書中において提供する。

0128

被験体における疾患または状態(例えば、癌)を治療するかまたは寛解させる方法であって、疾患または状態に冒された細胞(例えば、癌細胞)を被験体から非ヒト動物に導入するステップと、前記動物に、前記細胞に対する免疫応答を開始させるステップと、前記細胞に反応性のT細胞の集団を前記動物から単離するステップと、T細胞によって発現されたT細胞受容体の核酸配列を決定するステップと、ベクターにT細胞受容体配列をクローニングするステップと、被験体に由来するT細胞に前記ベクターを導入するステップと、T細胞受容体を持つ被験体のT細胞を被験体中に注入するステップとを含む、方法も、本明細書中において提供する。

0129

ヒトTCR可変ドメイン(例えば、TCRαおよび/またはβ可変ドメイン)をコードする核酸配列を作製するための、本明細書中に記載した非ヒト動物の使用も、本明細書中において提供する。一実施形態において、ヒトTCR可変ドメインをコードする核酸配列を作製するための方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を目的の抗原で免疫化するステップと、前記非ヒト動物に、目的の抗原に対する免疫応答を開始させるステップと、目的の抗原と結合するヒトTCR可変ドメインをコードする核酸配列を、それから得るステップとを含む、方法も提供する。一実施形態において、この方法は、本明細書中に記載した非ヒト動物からT細胞を単離するステップと、TCR定常領域に連結したTCR可変ドメインをコードする核酸配列を、それから得るステップとを含む、非ヒトTCR定常領域に作動可能に連結したヒトTCR可変ドメインをコードする核酸配列を作製するステップをさらに含む。

0130

ヒト治療薬(human therapeutic)を作製するための、本明細書中に記載した非ヒト動物の使用であって、目的の抗原(例えば、腫瘍関連抗原)で非ヒト動物を免疫化するステップと、非ヒト動物に免疫応答を開始させるステップと、目的の抗原に反応性のT細胞を前記動物から得るステップと、目的の抗原と結合するヒト化TCRタンパク質をコードする核酸配列(複数可)を前記T細胞から得るステップと、ヒト化TCRタンパク質をコードする前記核酸配列(複数可)をヒト治療薬に使用するステップとを含む、使用も、本明細書中において提供する。

0131

したがって、ヒト治療薬を作製するための方法であって、本明細書中に記載した非ヒト動物を目的の抗原で免疫化するステップと、非ヒト動物に免疫応答を開始させるステップと、前記目的の抗原に反応性のT細胞を前記動物から得るステップと、前記目的の抗原と結合するヒト化T細胞受容体をコードする核酸配列(複数可)を前記T細胞から得るステップと、前記ヒト化T細胞受容体をヒト治療薬に使用するステップとを含む、方法も提供する。

0132

一実施形態において、ヒト治療薬は、目的の核酸配列を持つ(例えば、目的の核酸がトランスフェクトもしくは形質導入されたまたは他の方法で導入された)T細胞(例えば、ヒトT細胞、例えば、ヒト被験体に由来するT細胞)であって、目的の抗原に対して親和性を有するヒト化TCRタンパク質を発現するようなT細胞である。一態様において、治療薬を使用する被験体は、特定の疾患または状態に対する療法を必要としており、抗原は前記疾患または状態と関連している。一態様において、T細胞は細胞傷害性T細胞であり、抗原は腫瘍関連抗原であり、前記疾患または状態は癌である。一態様において、T細胞は被験体に由来する。

0133

別の実施形態において、ヒト治療薬はT細胞受容体である。一実施形態において、治療受容体は可溶性T細胞受容体である。治療薬に使用するための可溶性T細胞受容体またはTCR可変領域の作成のために、多大な努力展開されている。可溶性T細胞受容体の作成は、再配列されたTCR可変領域の獲得に依存する。1つのアプローチは、TCRαおよびTCRβを含む単鎖TCRを設計し、かつscFv免疫グロブリンの形式と同様に、それらをリンカーによって融合させることである(例えば、国際出願WO2011/044186を参照のこと)。得られるscTvは、scFvに類似しているならば、熱安定性でかつ可溶性の形態のTCRα/β結合タンパク質を提供するであろう。代替的アプローチは、TCRβ定常ドメインを有する可溶性TCRを設計すること(例えば、Chungら(1994年)Functional three−domain single−chain T−cell receptors、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91巻:12654〜58頁を参照のこと);およびノンネイティブなジスルフィド結合をTCR定常ドメイン間の界面に作出すること(BoulterおよびJakobsen(2005年)Stable, soluble, high−affinity, engineered T cell receptors: novel antibody−like proteins for specific targeting of peptide antigens、Clinical and Experimental Immunology 142巻:454〜60頁に概説されている;また、米国特許第7,569,664号も参照のこと)を含むものであった。可溶性T細胞受容体の他の形式も記載されている。本明細書中に記載した非ヒト動物を使用すれば、目的の抗原に高い親和性で結合するT細胞受容体の配列を決定しかつ続いてその配列に基づいて可溶性T細胞受容体を設計することができる。

0134

非ヒト動物によって発現されたTCR受容体配列に由来する可溶性T細胞受容体は、目的のタンパク質、例えば、ウイルス、細菌または腫瘍関連タンパク質の機能を遮断するのに使用できる。別法として、可溶性T細胞受容体は、感染または癌細胞を死滅させることができる部分、例えば、細胞傷害性分子(例えば、化学療法薬)、毒素放射性核種プロドラッグ、抗体などに融合させることができる。可溶性T細胞受容体は、免疫調節性分子、例えば、サイトカイン、ケモカインなどに融合させることもできる。可溶性T細胞受容体は、免疫抑制分子、例えば、T細胞によって認識される抗原を持つ他の細胞をT細胞が死滅させるのを抑制する分子に融合させることもできる。免疫抑制分子に融合されたこのような可溶性T細胞受容体は、例えば、自己免疫の遮断に使用できる。可溶性T細胞受容体に融合させることができる種々の例示的免疫抑制分子が、RavetchおよびLanier(2000年)Immune Inhibitory Receptors、Science 290巻:84〜89頁に概説されており、この文献を参照により本明細書中に組み込む。

0135

本発明はまた、ヒトTCRの再配列、T細胞の発生、T細胞の活性化、免疫寛容などを含むヒトTCRと関連する免疫応答を研究するための方法を提供する。

0136

ワクチン候補を試験する方法も提供する。一実施形態において、ワクチンが免疫応答(例えば、T細胞の増殖、サイトカインの放出など)を活性化するか否か、ならびにエフェクターおよびメモリーT細胞(例えば、セントラルメモリーT細胞およびエフェクターメモリーT細胞)の産生をもたらすか否かを決定する方法を、本明細書中において提供する。

0137

本発明は、以下の非限定的な例によりさらに例示される。これらの実施例は、本発明の理解の一助とする目的で示されるものであり、いかなる形であれ、その範囲を限定することを意図するものではなく、そのように見なされるべきでもない。実施例は、当業者に周知の従来の方法(分子クローニング法など)についての詳細な説明を包含しない。別段に示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、平均分子量であり、温度は、摂氏で表示され、圧力は、大気圧であるかまたは大気圧に近いものとする。

0138

(実施例1ヒト化TCR可変遺伝子座を伴うマウスの作成)
内因性TCR(αまたはβ)可変遺伝子座の欠失、ならびに内因性Vセグメントおよび内因性Jセグメントの置き換え、または内因性Vセグメント、内因性Dセグメント、および内因性Jセグメントの置き換えを含むマウスは、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子操作法(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuela, D.M.ら(2003年)、High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis、Nat. Biotech.、21巻(6号):652〜659頁を参照されたい)を用いて作製し、この場合、細菌相同組換えを用いてBACライブラリーから導き出されたヒト配列は、マウスES細胞内の大型標的化ベクター(LTVEC)を内因性マウスTCR可変遺伝子座に対して標的とするための標的化アームにより挟まれるヒトTCR可変遺伝子座のゲノム断片を含むLTVECを作製するのに用いる。LTVECは、直鎖化し、Valenzuelaらに従い、マウスES細胞系統へと電気穿孔する。ES細胞は、ハイグロマイシン耐性またはネオマイシン耐性について選択し、マウス対立遺伝子の喪失またはヒト対立遺伝子の獲得についてスクリーニングする。

0139

標的化されたES細胞クローンは、VELOCIMOUSE(登録商標)法(Poueymirou, W.T.ら(2007年)、F0 generation mice fully derived from gene−targeted embryonic stem cells allowing immediate phenotypic analyses、Nat. Biotech.、25巻:91〜99頁)により、8細胞期(またはこれより早期)のマウス胚へと導入する。ヒト化TCR遺伝子座を保有するVELOCIMICE(登録商標)(全体がドナーES細胞から導き出されたF0のマウス)は、対立遺伝子アッセイの変法(Valenzuelaら)を用いて、内因性TCR可変対立遺伝子の喪失およびヒト対立遺伝子の獲得についてスクリーニングすることにより同定する。F0の仔マウス遺伝子型解析し、ホモ接合性となるように交配する。ヒト化TCRα可変遺伝子座および/またはヒト化TCRβ可変遺伝子座についてホモ接合性のマウス(例えば、ヒトTCRα可変セグメントおよび/またはヒトTCRβ可変セグメントのサブセットを含む)を、本明細書で記載される通りに作製し、表現型解析する。

0140

全てのマウスは、Regeneron Pharmaceuticalsの特殊な無病原体施設に収容し、育成した。全ての動物実験は、IACUCおよびRegeneron Pharmaceuticalsにより承認された。

0141

(実施例2 TCRα可変遺伝子座の漸進的ヒト化)
110のマウスVセグメントおよび60のマウスJセグメントに対応するマウスTCRα遺伝子座における1.5メガベースのDNAを、図2および3にまとめられる漸進的ヒト化戦略を用いて、ヒトTCRαの54のVセグメントおよび61のJセグメントに対応する1メガベースのDNAで置き換えた。TCRα遺伝子座の漸進的ヒト化戦略のために用いられる多様な標的化ベクターの接合部の核酸配列を表2にまとめ、配列表に組み入れる。

0142

0143

特に、図4Aで実証される通り、マウスBACクローンであるRP23−6A14(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1539)として用いて、内因性マウスTCRα遺伝子座のTCRAJ1−TCRAJ28領域を、loxP部位が後続するUb−ハイグロマイシンカセットで置き換えた。マウスBACクローンであるRP23−117i19(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1535)として用いて、内因性マウスTCRα遺伝子座のTCRAV1および内因性マウスTCRδ遺伝子座の周囲の(かつ、これを含めた)約15kbの領域を、loxP部位が後続するPGK−ネオマイシンカセットで置き換えた。二重標的化された染色体を保有するES細胞(即ち、両方の標的化ベクターで標的化された単一の内因性マウスTCRα遺伝子座)は、当技術分野で公知の核型解析法およびスクリーニング法(例えば、TAQMAN(商標))により確認した。改変されたES細胞は、CREリコンビナーゼで処理し、これにより、2つのloxP部位の間の領域(即ち、TCRAV1〜TCRAJ1にわたる内因性マウスTCRα遺伝子座からなる領域)の欠失を媒介し、単一のloxP部位、ネオマイシンカセット、ならびにマウス定常領域およびマウスエンハンサー領域だけを後に残した。この戦略は、欠失マウスTCRα/δ遺伝子座(MAID1540)の作成を結果としてもたらした。

0144

TCRαに対する第1のヒト標的化ベクターは、第1の2つの連続ヒトTCRαV遺伝子セグメント(TRAV40および41)および61のTCRαJ(50の機能的な)遺伝子セグメントを含有する、CTD2216p1BACクローンおよびCTD2285m07 BACクローン(Invitrogen)に由来する、191,660bpのヒトDNAを有した。このBACを、相同組換えにより、3’側マウス相同性アームをライゲーションするためのTCRαJ1遺伝子セグメントの403bp下流(3’側)のNot1部位と、5’側マウス相同性アームをライゲーションするための5’側AsiSI部位とを含有するように改変した。2つの異なる相同性アームは、このヒト断片へとライゲーションするために用いた:3’側相同性アームは、RP23−6A14 BACクローンに由来する内因性マウスTCRα配列を含有し、5’側相同性アームは、マウスBACクローンであるRP23−117i19に由来するマウスTCRαVの5’側の内因性TCRα配列を含有した。このマウス−ヒトキメラBACは、上流のloxP−Ub−ハイグロマイシン−loxPカセットを加えた、ヒトTCRαの遺伝子セグメントの初期挿入を、マウスTCRα遺伝子座において行うための標的化ベクター(MAID1626)として用いた(図4B)。標的化ベクターであるMAID1626のための接合部の核酸配列(配列番号1〜3)を、表2に記載する。

0145

その後、loxP−ネオマイシン−loxP選択カセットとloxP−ハイグロマイシン−loxP(またはMAID1979のためのfrt−ハイグロマイシン−frt)選択カセットとが交互になったマウスBACクローンであるRP23−117i19に由来するマウスTCRαVの5’側に内因性TCRα配列を含有する同じマウス5’側アームを使用する、一連のヒト標的化ベクターを作製した。

0146

合計で8つのヒトTCRαV(7つの機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ(50の機能的な)遺伝子セグメントを含有するヒトTCRαミニ遺伝子座を作成するために、ヒトBACクローンであるRP11−349p11(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1767)として用いた(図4C)。これにより、続く6つの(5つの機能的な)連続ヒトTCRαV遺伝子セグメント(TRAV35〜TRAV39)を含有する104,846bpのヒトDNAおよび5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットが付加された。結果として得られるTCRα遺伝子座は、5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットに加えて、マウスTCRα定常遺伝子およびマウスエンハンサーに作動可能に連結した合計で8つのヒトTCRαV(7つの機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有した。MAID1767標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号4および5)を、表2に記載する。

0147

合計で23のヒトTCRαV(17の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有するヒトTCRαミニ遺伝子座を作成するために、5’側から3’側へ、固有のI−CeuI部位、ES細胞への相同組換えのために用いられるマウスTCRA遺伝子座の5’側の20kbのマウスTCRAアーム、および逆方向のloxP−Ub−Hyg−loxPカセットを含有するマウスBACクローンに由来するDNAを、細菌相同組換えにより、5’側から3’側へ、固有のI−CeuI部位、マウスTCRA遺伝子座の5’側の20kbのマウスTCRAアーム、frt−pgk−Hyg−frtカセット、および固有のAsiSI部位を含有するように改変した。ヒトTCRαV22−V34を保有するヒトBACクローンであるRP11−622o20(Invitrogen)に由来するDNAを、相同組換えにより、固有のI−CeuI部位とAsiSI部位とにより挟まれるSpecカセットを含有するように改変した。その後、改変されたヒトBACクローン内のSpecカセットを、標準的な制限消化/ライゲーション法により、改変されたマウスBACクローン内の、I−CeuI部位とAsiSI部位との間に含まれる配列で置き換えた。結果として得られる標的化ベクター(MAID1979;図4D)により、続く15の(10の機能的な)連続ヒトTCRαJ遺伝子セグメント(TRAV22〜TRAV34)および5’側frt−pgk−Hyg−frtカセットを含有する136,557bpのヒトDNAが付加された。結果として得られるTCRα遺伝子座は、5’側frt−pgk−Hyg−frtカセットに加えて、マウスTCRα定常遺伝子およびマウスエンハンサーに作動可能に連結した、合計で23のヒトTCRαV(17の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαV遺伝子セグメントを含有した。MAID1979標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号6および7)を、表2に記載する。

0148

合計で35のヒトTCRαV(28の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有するヒトTCRαミニ遺伝子座を作成するために、ヒトBACクローンであるCTD2501−k5(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1769)として用いた(図4E)。これにより、続く12の(11の機能的な)連続ヒトTCRαV遺伝子セグメント(TRAV13−2〜TRAV21)および5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットを含有する124,118bpのヒトDNAが付加された。結果として得られるTCRα遺伝子座は、5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットに加えて、マウスTCRα定常遺伝子およびマウスエンハンサーに作動可能に連結した、合計で35のヒトTCRαV(28の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有した。MAID1769標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号8および9)を、表2に記載する。

0149

合計で48のヒトTCRαV(39の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有するヒトTCRαミニ遺伝子座を作成するために、ヒトBACクローンであるRP11−92F11(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1770)として用いた(図4F)。これにより、続く13の(11の機能的な)連続ヒトTCRαJ遺伝子セグメント(TRAV6〜TRAV8.5)および5’側loxP−Ub−ハイグロマイシン−loxPカセットを含有する145,505bpのヒトDNAが付加された。結果として得られるTCRα遺伝子座は、5’側loxP−Ub−ハイグロマイシン−loxPカセットに加えて、マウスTCRα定常遺伝子およびマウスエンハンサーに作動可能に連結した、合計で48のヒトTCRαV(39の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有する。MAID1770標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号10および11)を、表2に記載する。

0150

合計で54のヒトTCRαV(45の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有するヒトTCRαミニ遺伝子座を作成するために、ヒトBACクローンであるRP11−780M2(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1771)として用いた(図4G)。これにより、続く6つの(6つの機能的な)連続ヒトTCRαV遺伝子セグメント(TRAV1−1〜TRAV5)および5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットを含有する148,496bpのヒトDNAが付加された。結果として得られるTCRα遺伝子座は、5’側loxP−Ub−ネオマイシン−loxPカセットに加えて、マウスTCRα定常遺伝子およびマウスエンハンサーに作動可能に連結した、合計で54のヒトTCRαV(45の機能的な)遺伝子セグメントおよび61のヒトTCRαJ遺伝子セグメントを含有する。MAID1771標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号12および13)を、表2に記載する。

0151

上記のステップのうちのいずれにおいても、選択カセットは、CreリコンビナーゼまたはFlpリコンビナーゼによる欠失を介して除去する。加えて、図5で描示される通りに、ヒトTCRδ遺伝子座を導入することができる。

0152

(実施例3 TCRβ可変遺伝子座の漸進的ヒト化)
図6および7にまとめられる漸進的ヒト化戦略を用いて、33のマウスVセグメント、2つのマウスDセグメント、および14のマウスJセグメントに対応するマウスTCRβ遺伝子座における0.6メガベースのDNAを、ヒトTCRβの67のVセグメント、2つのDセグメント、および14のJセグメントに対応する0.6メガベースのDNAで置き換えた。TCRβ遺伝子座の漸進的ヒト化戦略のために用いられる多様な標的化ベクターの接合部の核酸配列を表3にまとめ、配列表に組み入れる。

0153

0154

特に、マウスBACクローンであるRP23−153p19(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1544)として用いて、内因性マウスTCRβ遺伝子座内の3’側トリプシノーゲン遺伝子クラスターのすぐ上流における17kbの領域(TCRBV30を含めた)を、loxP部位が後続するPGK−neoカセットで置き換えた(図8A)。マウスBACクローンであるRP23−461h15(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、標的化ベクター(MAID1542)として用いて、内因性マウスTCRβ遺伝子座内の5’側トリプシノーゲン遺伝子クラスターの下流における8355bpの領域(TCRBV2およびTCRBV3を含めた)を、loxP部位が後続するUb−ハイグロマイシンカセットで置き換えた。二重標的化された染色体を保有するES細胞(即ち、両方の標的化ベクターで標的化された単一の内因性マウスTCRβ遺伝子座)は、当技術分野で公知の核型解析法およびスクリーニング法(例えば、TAQMAN(商標))により確認した。改変されたES細胞は、CREリコンビナーゼで処理し、5’側loxP部位と3’側loxP部位との間の領域(TCRBV2〜TCRBV30にわたる内因性マウスTCRβ遺伝子座からなる)の欠失を媒介し、単一のloxP部位、ハイグロマイシンカセット、ならびにマウスTCRBD配列、マウスTCRBJ配列、マウス定常配列、およびマウスエンハンサー配列だけを後に残した。図8Aで言及される通り、1つのマウスTCRVβが、トリプシノーゲン遺伝子の5’側クラスターの上流に残され、1つのマウスTCRBβが、マウスEβの下流に残された。

0155

TCRβに対する第1のヒト標的化ベクターは、最初の14の連続ヒトTCRβV遺伝子セグメント(TRBV18〜TRBV29−1)を含有するBACクローンであるCTD2559j2(Invitrogen)に由来する125,781bpのヒトDNAを有した。このBACを、相同組換えにより、5’側マウス相同性アームおよび3’側マウス相同性アームをライゲーションするための、5’側AsiSI部位および3’側AscI部位を含有するように改変した。2つの異なる相同性アームは、このヒト断片へとライゲーションするために用いた:相同性アームの1つのセットは、BACクローンであるRP23−153p19に由来する下流のマウストリプシノーゲン遺伝子の周囲の内因性TCRβ配列を含有し、別のセットは、マウスBACクローンであるRP23−461h15に由来する上流のマウストリプシノーゲン遺伝子の周囲の内因性TCRβ配列を含有した。このマウス−ヒトキメラBACを、マウスTCRβ遺伝子座における、上流のfrt−Ub−ネオマイシン−frtカセットを加えた、ヒトTCRβ遺伝子セグメントの初期挿入を行うための、標的化ベクター(MAID1625)として用い、14の(8つの機能的な)ヒトTCRβVを含有するヒトTCRβミニ遺伝子座を結果としてもたらした(図8B)。MAID1625標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号14〜16)を、表3に記載する。

0156

マウスTCRβDセグメントおよびマウスTCRβJセグメントを、ヒトTCRβDセグメントおよびヒトTCRβJセグメントで置き換えるために、マウスBACクローンであるRP23−302p18(Invitrogen)およびヒトBACクローンであるRP11−701D14(Invitrogen)に由来するDNAを相同組換えにより改変し、上記のTCRβVミニ遺伝子座(即ち、MAID1625)を含有するES細胞への標的化ベクター(MAID1715)として用いた。この改変により、内因性マウスTCRβ遺伝子座内の約18540bpの領域(3’側トリプシノーゲン遺伝子のpolyAの100bp下流〜マウスTCRBD1−J1、マウス定常1、およびマウスTCRBD2−J2を包含するD2クラスター内のJセグメントから100bp下流)が、ヒトTCRBD1−J1、loxP−Ub−ハイグロマイシン−loxPカセット、マウス定常1、ヒトTCRBD2−J2を含有する約25425bpの配列で置き換えられた(図8C(i))。二重標的化された染色体を保有するES細胞(即ち、両方の標的化ベクターで標的化された単一の内因性マウスTCRβ遺伝子座)は、当技術分野で公知の核型解析法およびスクリーニング法(例えば、TAQMAN(商標))により確認した。改変されたES細胞は、CREリコンビナーゼで処理し、これにより、ハイグロマイシンカセットの欠失を媒介し、D1Jクラスター内のヒトJセグメントから下流の単一のloxP部位だけを後に残した(図8C(ii))。MAID1715標的化ベクターのための接合部の核酸配列(配列番号17〜21)を、表3に記載する。

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