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技術 形質転換されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの微生物における抗体などのマルチサブユニットタンパク質の高純度生産

出願人 アルダーバイオ・ホールディングズ・エルエルシー
発明者 マクニール,パトリシア・ダイアンジャンソン,ニコールレスニッキー,ゲイリー・エルチ,ペイラザム,ジョン・エイガルシア−マルティネス,レオン・エフ
出願日 2017年6月19日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-119537
公開日 2018年1月18日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2018-007656
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 逆斜線 感知プローブ 混入汚染 モジュラー型 転換期 申請者ら 作業体積 スライドカセット
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この項目の情報は公開日時点(2018年1月18日)のものです。
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図面 (20)

課題

マルチサブユニットタンパク質であって、分泌型又は非分泌型でありうるものを高収量で、望まない副産物生産を減少させつつ生産する方法の提供。

解決手段

抗体以外のマルチサブユニットポリペプチドを生産する方法であって、(a)前記のマルチサブユニットポリペプチドの発現をもたらす遺伝子を含むピキアパストリス細胞を含む培養物を用いること、(b)単回のボーラス添加(「ボーラス」)により前記の培養物に大量のエタノールを急速に添加して、前記の培養物におけるエタノール濃度を0.5%〜1.5%の間とすること、(c)前記の培養物を培養して前記のマルチサブユニットポリペプチドを生産すること、を含む、但し、前記のマルチサブユニットポリペプチドの発現をもたらす遺伝子は、アルコール誘導性プロモーターには機能可能に連結されていない、方法。

概要

背景

従来の抗体は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される四量体タンパク質である。特定の種類の純粋なヒト抗体は、多くの目的に対して十分な量を天然供給物から精製することが困難であり得る、または不可能であり得る。結果として、バイオテクノロジー会社および製薬会社は、大規模に抗体を調製するために組換えDNA系の方法に目を向けている。機能性抗体生産は一般に2つのポリペプチドの合成だけでなく、N末端分泌シグナル配列タンパク質分解的プロセッシング、ポリペプチドの四量体への適切な折り畳みと構築ジスルフィド結合の形成を含む、多数の翻訳後の事象を含み、および典型的には特定のN結合グリコシル化を含む。これらの事象の全ては、真核細胞特有
オルガネラ複合体である、真核細胞の分泌経路で起こる。

そのような複合体タンパク質組換え合成は、通常生物活性物質を生産する高等真核細胞の培養物に依存し、培養哺乳類細胞が非常に一般的に使用される。しかしながら、哺乳類組織培養系の生産系は、微生物発酵方法と比較してかなりの費用の追加と困難な事態を招く。さらに、哺乳類細胞培養物から得られる産物は、その培養細胞または血清などの培養に使用した動物由来製品に存在し得る(ウイルスを含む)哺乳類病原体が存在しないことを確認するための追加的な安全性試験を必要とし得る。

先行研究は、研究用途、診断用途および治療用途に適切である可能性がある機能性抗体を生産するための費用効率が良いプラットフォームとして酵母ピキアパストリス(Pichia pastoris)を確立するのに役立ってきた。共有されている米国特許第7,935,340号および第7,927,863号を参照のこと。それらの特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。方法は、細胞密度培地体積基質の供給率、および各反応期の長さの最適化を含む、組換えタンパク質発現のためのピキア・パストリスの発酵の設計と最適化についての文献においても知られている。Cregg, J. M.編, 2007, Pichia Protocols (第2版), Methodsin Molecular Biology, vol. 389, Humana Press, Totowa, N.J., 43〜63頁内のZhang et al., “Rational Design and Optimization of Fed-Batch and Continuous Fermentations” を参照のこと。

組換えマルチサブユニットタンパク質は培養細胞から生産され得るが、望まない副産物も生産され得る。例えば、培養細胞は、遊離単量体と、不正確化学量論組成を有する複合体と、または望まない、もしくは異常なグリコシル化を有するタンパク質と共に所望のマルチサブユニットタンパク質を生産し得る。その所望のマルチサブユニットタンパク質の精製が生産コストを増加させ、精製に関わるステップ活性複合体の総収量を減少させる可能性がある。また、精製の後でさえも、望まない副産物は、懸念を生じさせる量で存在し得る。例えば、グリコシル化された副産物が、投与免疫反応リスクを上昇させる量で存在し得るが、一方、異常な複合体または凝集体が特定の活性を低下させることがあり得、そして、免疫原性である可能性もあり得る。

概要

マルチサブユニットタンパク質であって、分泌型又は非分泌型でありうるものを高収量で、望まない副産物の生産を減少させつつ生産する方法の提供。抗体以外のマルチサブユニットポリペプチドを生産する方法であって、(a)前記のマルチサブユニットポリペプチドの発現をもたらす遺伝子を含むピキア・パストリス細胞を含む培養物を用いること、(b)単回のボーラス添加(「ボーラス」)により前記の培養物に大量のエタノールを急速に添加して、前記の培養物におけるエタノール濃度を0.5%〜1.5%の間とすること、(c)前記の培養物を培養して前記のマルチサブユニットポリペプチドを生産すること、を含む、但し、前記のマルチサブユニットポリペプチドの発現をもたらす遺伝子は、アルコール誘導性プロモーターには機能可能に連結されていない、方法。A

目的

本開示は、抗体および他のマルチサブユニットタンパク質を含む、マルチサブユニットタンパク質であって、分泌型または非分泌型でありうるものを、望まない副産物の生産を減少させたり、収量を上げたりしつつ生産する改良された方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

マルチサブユニット複合体生産する方法であって、(a)前記のマルチサブユニット複合体のサブユニット発現をもたらす遺伝子を含む真核細胞を含む培養物を提供すること、(b)前記の培養物に大量のエタノールを急速に添加すること、および(c)前記の培養物を培養して前記のマルチサブユニット複合体を生産すること、を含む前記方法。

請求項2

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、前記のエタノールの急速大量投与が安定的なジスルフィド結合の形成を増強する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記のマルチサブユニット複合体が、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む1つ以上のポリペプチドを含有する、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記のマルチサブユニット複合体が抗体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、1つ以上の生産物関連変異体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動によって検出される見かけ分子量が前記の所望のマルチサブユニット複合体よりも大きい、または小さい生産物関連変異体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、異常な化学量論組成を有する複合体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、異常なジスルフィド結合を有する複合体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、還元システインを有する複合体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、異常なグリコシル化を有する複合体の相対量を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

重鎖間ジスルフィド結合の形成または安定性を調節する、請求項4に記載の方法。

請求項12

軽鎖および重鎖を連結するジスルフィド結合の形成または安定性を調節する、請求項4または11に記載の方法。

請求項13

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、1つ以上の生産物関連変異体の相対量を減少させる、請求項4または11〜12のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

前記の生産物関連変異体がH1L1生産物関連変異体、H2L1生産物関連変異体およびH4L4生産物関連変異体のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の方法と比べて、前記の抗体の純度を上昇させる、請求項4または11〜14のいずれか1項に記載の方法。

請求項16

テップ(c)の前にステップ(b)が行われる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項17

ステップ(c)の後にステップ(b)が行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項18

ステップ(c)と同時にステップ(b)が行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項19

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が約0.01%(重量/体積)と約4%(重量/体積)の間になる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項20

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が約0.01%と約4%の間、約0.02%と約3.75%の間、約0.04%と約3.5%の間、約0.08%と約3.25%の間、約0.1%と約3%の間、約0.2%と約2.75%の間、約0.3%と約2.5%の間、約0.4%と約2.25%の間、約0.5%と約1.5%の間、約0.5%と約2%の間、約0.6%と約1.75%の間、約0.7%と約1.5%の間、または約0.8%と約1.25%の間になる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項21

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が少なくとも約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.6%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%(重量/体積)になる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項22

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が多くても約4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、または0.15%(重量/体積)になる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項23

ステップ(b)が前記の培養物にエタノールを添加すること、前記の培養物にエタノールを含む担体を添加すること、エタノールを含む培地もしくは担体に前記の細胞を添加すること、または培地の一部を置き換えることを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項24

前記の大量のエタノールが1分と20分の間の期間にわたって前記の培地に急速添加される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項25

ステップ(c)が前記の細胞に酸素を供給することを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項26

前記の酸素の供給が前記の培養物を撹拌することを含む、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記の酸素の供給が酸素を含むガス混合物と前記の培養物を接触させることを含む、請求項25または26に記載の方法。

請求項28

ステップ(c)が炭素源を含む供給物を前記の培養物に添加することを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項29

前記の供給物が少なくとも1つの発酵可能な炭素源を含む、請求項28に記載の方法。

請求項30

請求項31

ステップ(c)の間に前記のエタノールの濃度を上限の設定値と下限の設定値の間に維持することをさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項32

前記の下限の設定値が約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.6%、0.6%、0.7%、0.8%、または0.9%(重量/体積)である、請求項31に記載の方法。

請求項33

前記の上限の設定値が約4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、または0.15%(重量/体積)である、請求項31または32に記載の方法。

請求項34

前記の上限の設定値が多くても約1.5%、1.4%、1.3、1.2%、または1.1%(重量/体積)である、請求項31または32に記載の方法。

請求項35

ステップ(c)の間に前記のエタノールの濃度を設定値に維持することをさらに含む、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。

請求項36

前記の設定値が約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、01.%、01.1%、01.2%、01.3%、01.4%、または01.5%(重量/体積)である、請求項35に記載の方法。

請求項37

ステップ(c)が前記の培養物中のエタノールの濃度を約0.01%と約4%の間、約0.02%と約3.75%の間、約0.04%と約3.5%の間、約0.08%と約3.25%の間、約0.1%と約3%の間、約0.2%と約2.75%の間、約0.3%と約2.5%の間、約0.4%と約2.25%の間、約0.5%と約2%の間、約0.6%と約1.75%の間、約0.7%と約1.5%の間、または約0.8%と約1.25%の間に維持することを含む、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。

請求項38

前記の培養物中のエタノールの濃度が前記の細胞によるエタノールの生産を制御することにより、または前記の培養物へのエタノールの添加により維持される、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項39

エタノールの生産を制御するステップが、グルコースの濃度、酸素の利用可能性、撹拌の強度、ガス圧、供給される空気または他のガス混合物の流速、培養物の粘度、培養物の密度、供給される空気または他のガス混合物の酸素濃度、および温度のうちの1つ以上を制御することを含む、請求項28に記載の方法。

請求項40

ステップ(a)とステップ(b)の間の時間が約72時間未満、約48時間未満、約24時間未満、約12時間未満、約9時間未満、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約90分未満、約30分未満、約5分未満、または約1分未満である、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項41

ステップ(b)とステップ(c)の間の時間が約10時間未満、約9時間未満、約8時間未満、約7時間未満、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約90分未満、約80分未満、約70分未満、約60分未満、約50分未満、約40分未満、約30分未満、約20分未満、約10分未満、約5分未満、または約1分未満である、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項42

ステップ(a)の培養物が、前記の培養物に炭素源を添加すること、および前記の炭素源を消尽するまで前記の培養物を培養することにより生産される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項43

前記の炭素源が、グリセロール、グルコース、エタノール、シトレート、ソルビトール、キシロース、トレハロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース、メリビオース、ラクトース、マルトース、ラムノース、リボース、マンノース、マンニトール、およびラフィノースのうちの1つ以上を含む、請求項42に記載の方法。

請求項44

前記の炭素源の消尽が前記の真核細胞の代謝活性の低下を検出することにより決定される、請求項42または43に記載の方法。

請求項45

前記の真核細胞の代謝活性の前記の低下が、前記の真核細胞による酸素消費の減少を検出することにより、前記の培養物におけるpHの上昇を検出することにより、前記の細胞の湿潤質量の安定化を検出することにより、または前記の培養物におけるアンモニアの濃度の上昇を検出することにより確認される、請求項44に記載の方法。

請求項46

前記の真核細胞による酸素消費の前記の減少が、前記の培養物中の溶存酸素の濃度の上昇を検出することにより確認される、請求項45に記載の方法。

請求項47

前記の真核細胞が酵母細胞を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項48

前記の酵母細胞がメチロトローフ酵母を含む、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記のメチロトローフ酵母がピキア属のメチロトローフ酵母である、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記のピキア属のメチロトローフ酵母がピキア・パストリス(Pichiapastoris)である、請求項49に記載の方法。

請求項51

前記のピキア属のメチロトローフ酵母が、ピキア・アンスタ(Pichiaangusta)、ピキア・グイレルモルディイ(Pichiaguillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichiamethanolica)、およびピキア・イノシトベラ(Pichiainositovera)からなる群より選択される、請求項49に記載の方法。

請求項52

前記のマルチサブユニット複合体の発現をもたらす前記の遺伝子が1つ以上のゲノム遺伝子座に組み込まれる、請求項49に記載の方法。

請求項53

前記のゲノム遺伝子座のうちの少なくとも1つが、pGAP遺伝子座、3’AOXTT遺伝子座、PpURA5遺伝子座、OCH1遺伝子座、AOX1遺伝子座、HIS4遺伝子座、GAP遺伝子座、pGAP遺伝子座、3’AOXTT遺伝子座、ARG遺伝子座、およびHIS4TT遺伝子座からなる群より選択される、請求項49に記載の方法。

請求項54

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットをコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下で発現する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項55

前記の誘導性プロモーターが、AOX1プロモーター、CUP1プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、およびFLD1プロモーターからなる群より選択される、請求項54に記載の方法。

請求項56

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットをコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが、CUP1プロモーター、AOX1プロモーター、ICL1プロモーター、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)プロモーター、FLD1プロモーター、ADH1プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼIIプロモーター、GAL4プロモーター、PHO3プロモーター、PHO5プロモーター、およびPykプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、それらに由来するキメラプロモーター、酵母性プロモーター、哺乳類性プロモーター、昆虫性プロモーター、植物性プロモーター、爬虫類性プロモーター、両生類性プロモーター、ウイルス性プロモーター、および鳥類性プロモーターからなる群より選択されるプロモーターの制御下で発現する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項57

前記の真核細胞が二倍体四倍体細胞、または多倍数体である、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項58

前記の真核細胞または前記の培地から前記のマルチサブユニット複合体を精製することをさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項59

前記のマルチサブユニット複合体が前記の真核細胞の細胞内成分細胞質核質、または膜から精製される、請求項58に記載の方法。

請求項60

前記の真核細胞が前記のマルチサブユニット複合体を前記の培地に分泌する、請求項58に記載の方法。

請求項61

前記のマルチサブユニット複合体が前記の培養物培地から精製される、請求項60に記載の方法。

請求項62

前記のマルチサブユニット複合体が一重特異性抗体または二重特異性抗体を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項63

前記のマルチサブユニット複合体がヒト抗体、またはヒト化抗体、またはそれらの断片を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項64

前記のヒト化抗体がマウスラットウサギヤギヒツジまたはウシ起源のものである、請求項63に記載の方法。

請求項65

前記のヒト化抗体がウサギ起源のものである、請求項62に記載の方法。

請求項66

前記のマルチサブユニット複合体が一価抗体二価抗体、または多価抗体を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項67

前記の抗体がプロテインA親和性および/またはプロテインG親和性により前記の培養物から精製される、請求項4または請求項61〜66のいずれか1項に記載の方法。

請求項68

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットを前記の一団の前記の真核細胞のうちの少なくとも1つにおいて発現する遺伝子のうちの少なくとも1つが前記の真核細胞における発現のために最適化される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項69

前記のマルチサブユニット複合体が抗体を含み、そして、前記の抗体の純度が、前記の真核細胞により生産される前記抗体であって、予測される見かけの流体力学半径を有する抗体複合体に含まれる、予測される分子量を有する抗体複合体に含まれる、および/または前記の抗体の標的に特異的に結合する前記抗体の割合を測定することにより評価される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項70

前記のマルチサブユニット複合体が抗体を含み、前記の抗体の収量が、前記の真核細胞によって生産される抗体の量を、異常にグリコシル化されている、予測される見かけの流体力学半径を有する複合体以外の抗体複合体に含まれている、予測される分子量を有する抗体複合体に含まれる、および/または前記の抗体の標的に特異的に結合することに失敗するあらゆる生産物関連変異体を差し引いて決定することにより評価される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項71

前記の抗体複合体の分子量が非還元SDS‐PAGEにより決定される、請求項58または59に記載の方法。

請求項72

前記のマルチサブユニット複合体が抗体を含み、前記の方法が前記の抗体を精製することをさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項73

前記の培養物細胞が、少なくとも100mg/L、少なくとも150mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも250mg/L、少なくとも300mg/L、100mg/Lと300mg/Lの間、100mg/Lと500mg/Lの間、100mg/Lと1000mg/Lの間、少なくとも1000mg/L、少なくとも1250mg/リットル、少なくとも1500mg/リットル、少なくとも約1750mg/リットル、少なくとも約2000mg/リットル、少なくとも約10000mg/リットル、またはそれより多くの上清抗体力価を生ずる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項74

前記のマルチサブユニット複合体の1つ以上のサブユニットが1つよりも多くの遺伝子コピーから発現する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項75

前記のマルチサブユニット複合体が、抗体であって、前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子の1〜10コピーの間のコピーから、および前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子の1〜10コピーから発現する前記の抗体を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項76

前記のマルチサブユニット複合体を発現する遺伝子が前記の細胞のゲノムに組み込まれる、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項77

前記のマルチサブユニット複合体を発現する遺伝子が染色体外因子プラスミド、または人工染色体に含まれる、請求項1〜75のいずれか1項に記載の方法。

請求項78

前記の細胞が、前記の抗体の軽鎖を発現する遺伝子のコピーを、前記の抗体の重鎖を発現する遺伝子のコピーよりも多く含む、請求項76または77に記載の方法。

請求項79

前記の細胞における前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子のコピー数と前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子のコピー数のそれぞれが、2と2、2と3、3と3、3と4、3と5、4と3、4と4、4と5、4と6、5と4、5と5、5と6、または5と7である、請求項76または76に記載の方法。

請求項80

前記の細胞における前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子のコピー数と前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子のコピー数のそれぞれが、2と1、3と1、4と1、5と1、6と1、7と1、8と1、9と1、10と1、1と2、2と2、3と2、4と2、5と2、6と2、7と2、8と2、9と2、10と2、1と3、2と3、3と3、4と3、5と3、6と3、7と3、8と3、9と3、10と3、1と4、2と4、3と4、4と4、5と4、6と4、7と4、8と4、9と4、10と4、1と5、2と5、3と5、4と5、5と5、6と5、7と5、8と5、9と5、10と5、1と6、2と6、3と6、4と6、5と6、6と6、7と6、8と6、9と6、10と6、1と7、2と7、3と7、4と7、5と7、6と7、7と7、8と7、9と7、10と7、1と8、2と8、3と8、4と8、5と8、6と8、7と8、8と8、9と8、10と8、1と9、2と9、3と9、4と9、5と9、6と9、7と9、8と9、9と9、10と9、1と10、2と10、3と10、4と10、5と10、6と10、7と10、8と10、9と10、10と10である、請求項76または77に記載の方法。

請求項81

ステップ(c)の培養物が産生培地で培養される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項82

前記の産生培地が最少培地である、請求項81に記載の方法。

請求項83

前記の最少培地が選択用薬剤欠く、請求項81に記載の方法。

請求項84

前記の最少培地が前もって形成されたアミノ酸または他の複雑な生体分子を欠く、請求項81に記載の方法。

請求項85

前記の産生培地が複合培地である、請求項81に記載の方法。

請求項86

前記の複合培地が、酵母抽出物大豆ペプトン、および他の植物性ペプトンのうちの1つ以上を含む、請求項85に記載の方法。

請求項87

ステップ(c)の培養物が高細胞密度まで培養される、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項88

高細胞密度が少なくとも50g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項89

高細胞密度が少なくとも100g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項90

高細胞密度が少なくとも300g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項91

高細胞密度が少なくとも400g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項92

高細胞密度が少なくとも500g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項93

高細胞密度が少なくとも750g/Lである、請求項87に記載の方法。

請求項94

前記の酵母細胞が少なくとも20回の倍化の間培養され、そして、前記の酵母細胞が前記の少なくとも20回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項95

ステップ(c)の細胞が少なくとも50回の倍化の間培養され、そして、前記の細胞が前記の少なくとも50回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項96

ステップ(c)の細胞が少なくとも100回の倍化の間培養され、そして、前記の細胞が前記の少なくとも100回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項97

前記のマルチサブユニット複合体のうちの少なくとも1つのサブユニットが分泌シグナルを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項98

前記のマルチサブユニット複合体が抗体を含む、請求項97に記載の方法。

請求項99

前記の分泌シグナルが、配列番号414〜437およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される1つ以上のポリペプチドを含む、請求項97または98に記載の方法または組成物

請求項100

前記のマルチサブユニット複合体が、2010年12月1日に提出された米国特許仮出願番号第61/418,832号、2011年12月1日に提出された国際特許出願番号第PCT/US11/62963号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,295号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,153号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,665号、および2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,831号に開示される抗体のうちのいずれでもない、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項101

前記のマルチサブユニット複合体がAb1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、およびAb21‐NGF、またはそれらのFab2断片もしくはFab1断片ではない、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項102

前記のマルチサブユニット複合体が、次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、またはAb21‐NGFのいずれかに含まれる相補性決定領域(CDR)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含まず、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項103

前記のマルチサブユニット複合体が、それぞれ配列番号51および401の、それぞれ配列番号53および402の、それぞれ配列番号405および406の、ならびにそれぞれ配列番号407および408の軽鎖ポリペプチド配列および重鎖ポリペプチド配列を含まない、またはそれらのポリペプチド配列から構成されない、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項104

前記のマルチサブユニット複合体が、配列番号55、56、57、58、59、および60のCDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含有する抗体を含まず、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

請求項105

前記のマルチサブユニット複合体が、明細書の「抗NGF抗体およびNGFへの結合活性を有するその結合断片」および「抗NGF抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という表題の節において開示される抗体または抗体コード配列のうちのいずれも含まない、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の開示
本願は、2011年8月19日に提出された「形質転換されたピキアパストリスなどの微生物における抗体などのマルチサブユニットタンパク質の高力価および抗純度生産のための多重コピー戦略(MULTI-COPY STRATEGY FOR HIGH-TITER AND HIGH-PURITY PRODUCTION OF MULTI-SUBUNIT PROTEINS SUCH AS ANTIBODIES IN TRANSFORMEDMICROBESSUCH AS
PICHIAPASTORIS)」という表題の米国特許仮出願番号第61/525,307号(代理人整理番号第67858.730200号)、2011年5月20日に提出された「抗CGRP組成物とその使用(ANTI-CGRP COMPOSITIONS AND USE THEREOF)」という表題の米国特許仮出願番号第61/488,660号(代理人整理番号第67858.730300号)、2011年6月14日に提出された「羞明の予防または抑制を、それを必要とする対象、特に、偏頭痛患者において行うための抗CGRP抗体および抗体断片の使用(USE OF ANTI-CGRP ANTIBODIES AND ANTIBODY FRAGMENTS TO PREVENT ORINHIBIT PHOTOPHOBIA IN SUBJECTS IN NEED THEREOF, ESPECIALLYMIGRAINE SUFFERERS)」 という表題の米国特許仮出願番号第61/496,873号(代理人整理番号第67858.770000号)、および2011年6月14日に提出された「病気の対象において下痢症治療するための抗CGRP抗体および抗体断片の使用、ならびにCGRPレベルを上昇させる治療(USE OF ANTI-CGRP ANTIBODIES AND ANTIBODY FRAGMENTS TO TREAT DIARRHEA IN SUBJECTS WITH DISEASES OR TREATMENTS THAT RESULT IN ELEVATED CGRP LEVELS)」 とい
う表題の米国特許仮出願番号第61/496,873号(代理人整理番号第67858.770000号)の利益を主張する。それらの仮出願のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0002

本願は、2012年5月8日に作成された「67858o711002.txt」という名称で、サイズが315,392バイトのファイルの中のASCII形式でEFS‐Webを介して提出されている配列表を含む。その配列表は全体の参照によりここに組み込まれる。

0003

分野
本開示は、形質転換細胞において異種性タンパク質を生産するための方法に全般的に関する。本開示は、抗体および他のマルチサブユニットタンパク質を含む、マルチサブユニットタンパク質であって、分泌型または非分泌型でありうるものを、望まない副産物の生産を減少させたり、収量を上げたりしつつ生産する改良された方法を提供する。例示的な実施形態では、形質転換細胞は酵母、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)または出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母である。

背景技術

0004

従来の抗体は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される四量体タンパク質である。特定の種類の純粋なヒト抗体は、多くの目的に対して十分な量を天然供給物から精製することが困難であり得る、または不可能であり得る。結果として、バイオテクノロジー会社および製薬会社は、大規模に抗体を調製するために組換えDNA系の方法に目を向けている。機能性抗体の生産は一般に2つのポリペプチドの合成だけでなく、N末端分泌シグナル配列タンパク質分解的プロセッシング、ポリペプチドの四量体への適切な折り畳みと構築ジスルフィド結合の形成を含む、多数の翻訳後の事象を含み、および典型的には特定のN結合グリコシル化を含む。これらの事象の全ては、真核細胞特有
オルガネラ複合体である、真核細胞の分泌経路で起こる。

0005

そのような複合体タンパク質組換え合成は、通常生物活性物質を生産する高等真核細胞の培養物に依存し、培養哺乳類細胞が非常に一般的に使用される。しかしながら、哺乳類組織培養系の生産系は、微生物発酵方法と比較してかなりの費用の追加と困難な事態を招く。さらに、哺乳類細胞培養物から得られる産物は、その培養細胞または血清などの培養に使用した動物由来製品に存在し得る(ウイルスを含む)哺乳類病原体が存在しないことを確認するための追加的な安全性試験を必要とし得る。

0006

先行研究は、研究用途、診断用途および治療用途に適切である可能性がある機能性抗体を生産するための費用効率が良いプラットフォームとして酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)を確立するのに役立ってきた。共有されている米国特許第7,935,340号および第7,927,863号を参照のこと。それらの特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。方法は、細胞密度培地体積基質の供給率、および各反応期の長さの最適化を含む、組換えタンパク質発現のためのピキア・パストリスの発酵の設計と最適化についての文献においても知られている。Cregg, J. M.編, 2007, Pichia Protocols (第2版), Methodsin Molecular Biology, vol. 389, Humana Press, Totowa, N.J., 43〜63頁内のZhang et al., “Rational Design and Optimization of Fed-Batch and Continuous Fermentations” を参照のこと。

0007

組換えマルチサブユニットタンパク質は培養細胞から生産され得るが、望まない副産物も生産され得る。例えば、培養細胞は、遊離単量体と、不正確化学量論組成を有する複合体と、または望まない、もしくは異常なグリコシル化を有するタンパク質と共に所望のマルチサブユニットタンパク質を生産し得る。その所望のマルチサブユニットタンパク質の精製が生産コストを増加させ、精製に関わるステップ活性複合体の総収量を減少させる可能性がある。また、精製の後でさえも、望まない副産物は、懸念を生じさせる量で存在し得る。例えば、グリコシル化された副産物が、投与免疫反応リスクを上昇させる量で存在し得るが、一方、異常な複合体または凝集体が特定の活性を低下させることがあり得、そして、免疫原性である可能性もあり得る。

0008

ほとんどのIgG抗体分子は、総計で16箇所の鎖内ジスルフィド架橋および鎖間ジスルフィド架橋により安定化されている。鎖内ジスルフィド架橋が重鎖および軽鎖の両方でIgGドメイン折畳みを安定化し、鎖間ジスルフィド架橋が重鎖および軽鎖の間の結合を安定化する。これらの結合の結果として、抗体は2本の重鎖と2本の軽鎖(H2L2)を含有する安定な複合体を形成する。しかしながら、誤ったジスルフィド結合形成のため、1本の軽鎖と1本の重鎖(H1L1)を有する複合体および2本の重鎖と1本の軽鎖(H2L1)を有する複合体を含む生産物関連変異体組換え抗体調製物の中に時折見出される。さらに、追加の鎖間ジスルフィド結合が形成し、そして、共有結合されているサブユニットの数が多くなっている高次複合体も形成し得る。

0009

下でさらに説明されるように、申請者らは、今では、異常なジスルフィド結合を有するこれらの複合体の生産を酵母培養物からの抗体の組換え生産の間に減少させる方法を特定している。具体的には、その方法は培養物へのエタノールボーラス添加を含み、その結果、H1L1生産物関連変異体、H2L1生産物関連変異体およびH4L4生産物関連変異体の生産が減少し、そして、所望のH2L2産物の純度が上昇する。H1L1複合体とH2L1複合体は非還元変性SDS‐PAGEにより検出され、H4L4複合体はサイズ排除クロマトグラフィーにより検出された。本対象の方法を用いて、適切なジスルフィド結合形成が促進され、その結果、抗体の純度が上昇した。これは3つの異なる抗体について示され、その3つの全てがエタノールをボーラス添加して生産されると、純度の向上を
示した(図1〜6)。これらの3つの抗体は配列が異なるだけでなく、3つの異なる抗原を認識する。また、エタノールを急速大量投与することなく生産されると、それらの抗体のうちの2つが、3番目の抗体(図5)と比較してより大量のH1L1産物を含んだ(図1〜4)。より大量のH1L1産物を含むその2つの抗体は非正準的ジスルフィド架橋または追加的なジスルフィド架橋を有し、その3番目の抗体はそれらを有しない。図1、2および3に例示される抗体は可変軽鎖ドメインに追加の鎖内ジスルフィド架橋を有し、図4に例示される抗体はその重鎖に追加の鎖内ジスルフィド架橋を有する。過剰発現したタンパク質におけるジスルフィド架橋の存在が宿主において細胞ストレスを高めることが文献中に報告されている(Gasser et al., Biotechnology and Bioengineering, Vol. 94, No. 2, pg. 353-61, June 5, 2006、Inan et al., Biotechnology And Bioengineering, Vol. 93, No. 4, pg. 771-78, March 5, 2006、 Li et al., Biochem Biophys Res Commun. 2010 November 19; 402(3): 519-524 を参照のこと)。このストレスの上昇は、追
加の鎖内ジスルフィド架橋を有する両方の抗体が「ボーラス無し」条件下でより低い生存率を有する図11、12および13に示されているように、生存率の低下を引き起こすこともできる。エタノールのボーラス添加は、したがって、生存率の上昇と純度の上昇を引き起こす。これは、特に複数のジスルフィド架橋を有する発現が難しいタンパク質を発現させているときに用いられ得る。

0010

1つの態様では、本開示は、マルチサブユニット複合体を生産する方法であって、(a)前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットの発現をもたらす遺伝子を含む真核細胞を含む培養物を提供すること、(b)前記の培養物に大量のエタノールを急速に添加すること、および(c)前記の培養物を培養して前記のマルチサブユニット複合体を生産すること、を含む方法を提供する。

0011

エタノールの急速大量投入が、前記のエタノールの急速大量投与(bolus)が無い状態で
行われる前記の同じ方法と比べて、安定的なジスルフィド結合の形成を増強し得る。

0012

前記のマルチサブユニット複合体は少なくとも1つのジスルフィド結合を含む1つ以上のポリペプチドを含み得る。

0013

前記のマルチサブユニット複合体は抗体を含み得る。

0014

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、1つ以上の生産物関連変異体の相対量を減少させ得る。

0015

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動によって検出される見かけ分子量が前記の所望のマルチサブユニット複合体よりも大きい、または小さい生産物関連変異体の相対量を減少させ得る。

0016

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、異常な化学量論組成を有する複合体の相対量を減少させ得る。

0017

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、異常なジスルフィド結合を有する複合体の相対量を減少させ得る。

0018

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、還元システインを有する複合体の相対量を減少させ得る。

0019

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法
と比べて、異常なグリコシル化を有する複合体の相対量を減少させ得る。

0020

前記の方法は、重鎖間ジスルフィド結合の形成または安定性を調節し得る。

0021

前記の方法は、軽鎖および重鎖を連結するジスルフィド結合の形成または安定性を調節し得る。

0022

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の同じ方法と比べて、1つ以上の生産物関連変異体の相対量を減少させ得る。

0023

前記の生産物関連変異体はH1L1生産物関連変異体、H2L1生産物関連変異体およびH4L4生産物関連変異体のうちの1つ以上を含み得る。

0024

前記の方法は、前記のエタノールの急速大量投与が無い状態で行われる前記の方法と比べて、前記の抗体の純度を上昇させる。

0025

ステップ(b)はステップ(c)の前に行われ得る。

0026

ステップ(b)はステップ(c)の後に行われ得る。

0027

ステップ(b)はステップ(c)と同時に行われ得る。

0028

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が約0.01%(重量/体積)と約4%(重量/体積)の間になり得る。

0029

ステップ(b)により、前記の培養物中のエタノールの濃度が約0.01%と約4%の間、約0.02%と約3.75%の間、約0.04%と約3.5%の間、約0.08%と約3.25%の間、約0.1%と約3%の間、約0.2%と約2.75%の間、約0.3%と約2.5%の間、約0.4%と約2.25%の間、約0.5%と約1.5%の間、約0.5%と約2%の間、約0.6%と約1.75%の間、約0.7%と約1.5%の間、または約0.8%と約1.25%の間になり得る。

0030

ステップ(b)により、少なくとも約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.6%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%(重量/体積)であり得る前記の培養物中のエタノールの濃度になり得る。

0031

ステップ(b)により、多くても約4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、または0.15%(重量/体積)であり得る前記の培養物中のエタノールの濃度になり得る。

0032

ステップ(b)は、前記の培養物にエタノールを添加すること、前記の培養物にエタノールを含む担体を添加すること、エタノールを含む培地もしくは担体に前記の細胞を添加すること、または培地の一部を置き換えることを含み得る。

0033

前記の大量のエタノールが1分と20分の間の期間にわたって前記の培地に急速添加され得る。

0034

ステップ(c)は前記の細胞に酸素を供給することを含み得る。

0035

前記の酸素の供給は前記の培養物を撹拌することを含み得る。

0036

前記の酸素の供給は酸素を含むガス混合物と前記の培養物を接触させることを含み得る。

0037

ステップ(c)は、炭素源を含む供給物を前記の培養物に添加することを含み得る。

0038

前記の供給物は少なくとも1つの発酵可能な炭素源を含み得る。

0040

前記の方法は、ステップ(c)の間に前記のエタノールの濃度を上限の設定値と下限の設定値の間に維持することをさらに含み得る。

0041

前記の下限の設定値は約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.6%、0.6%、0.7%、0.8%または0.9%(重量/体積)であり得る。

0042

前記の上限の設定値は約4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、または0.15%(重量/体積)であり得る。

0043

前記の上限の設定値は多くても約1.5%、1.4%、1.3、1.2%、または1.1%(重量/体積)であり得る。

0044

前記の方法は、ステップ(c)の間に前記のエタノールの濃度を設定値に維持することをさらに含み得る。

0045

前記の設定値は約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、01.%、01.1%、01.2%、01.3%、01.4%、または01.5%(重量/体積)であり得る。

0046

ステップ(c)は、前記の培養物中のエタノールの濃度を約0.01%と約4%の間、約0.02%と約3.75%の間、約0.04%と約3.5%の間、約0.08%と約3.25%の間、約0.1%と約3%の間、約0.2%と約2.75%の間、約0.3%と約2.5%の間、約0.4%と約2.25%の間、約0.5%と約2%の間、約0.6%と約1.75%の間、約0.7%と約1.5%の間、または約0.8%と約1.25%の間に維持することを含み得る。

0047

前記の培養物中のエタノールの濃度は、前記の細胞によるエタノールの生産を制御することにより、または前記の培養物へのエタノールの添加により維持され得る。

0048

前記のエタノールの生産を制御するステップは、グルコースの濃度、酸素の利用可能性
、撹拌の強度、ガス圧、供給される空気または他のガス混合物の流速、培養物の粘度、培養物の密度、供給される空気または他のガス混合物の酸素濃度、および温度のうちの1つ以上を制御することを含み得る。

0049

ステップ(a)とステップ(b)の間の時間は、約72時間未満、約48時間未満、約24時間未満、約12時間未満、約9時間未満、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約90分未満、約30分未満、約5分未満、または約1分未満であり得る。

0050

ステップ(b)とステップ(c)の間の時間は約10時間未満、約9時間未満、約8時間未満、約7時間未満、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約90分未満、約80分未満、約70分未満、約60分未満、約50分未満、約40分未満、約30分未満、約20分未満、約10分未満、約5分未満、または約1分未満であり得る。

0051

ステップ(a)の培養物は、前記の培養物に炭素源を添加すること、およびその炭素源が消尽され得るまで前記の培養物を培養することにより作製され得る。

0052

前記の炭素源はグリセロール、グルコース、エタノール、シトレート、ソルビトール、キシロース、トレハロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース、メリビオース、ラクトース、マルトース、ラムノース、リボース、マンノース、マンニトール、およびラフィノースのうちの1つ以上を含み得る。

0053

炭素源の消尽は、前記の真核細胞の代謝活性の低下を検出することにより決定され得る。

0054

前記の真核細胞の代謝活性の前記の低下が、前記の真核細胞による酸素の消費の減少を検出することにより、前記の培養物におけるpHの上昇を検出することにより、前記の細胞の湿潤質量の安定化を検出することにより、または前記の培養物におけるアンモニアの濃度の上昇を検出することにより確認され得る。

0055

前記の真核細胞による酸素消費の前記の減少は前記の培養物中の溶存酸素の濃度の上昇を検出することにより確認されうる。

0056

前記の真核細胞は酵母細胞を含み得る。

0057

前記の酵母細胞はメチロトローフ酵母を含み得る。

0058

前記のメチロトローフ酵母はピキア属のメチロトローフ酵母であり得る。

0059

前記のピキア属のメチロトローフ酵母はピキア・パストリス(Pichia pastoris)であり得る。

0060

前記のピキア属のメチロトローフ酵母は、ピキア・アンスタ(Pichia angusta)、ピキア・グイレルモルディイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、およびピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)からなる群より選択される、

0061

前記のマルチサブユニット複合体を発現する遺伝子は1つ以上のゲノム遺伝子座に挿入され得る。

0062

前記のゲノム遺伝子座のうちの少なくとも1つが、pGAP遺伝子座、3’AOXTT遺伝子座、PpURA5遺伝子座、OCH1遺伝子座、AOX1遺伝子座、HIS4遺伝子座、GAP遺伝子座、pGAP遺伝子座、3’AOX TT遺伝子座、ARG遺伝子座、およびHIS4 TT遺伝子座からなる群より選択され得る。

0063

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットをコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下で発現し得る。

0064

前記の誘導性プロモーターはAOX1プロモーター、CUP1プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、およびFLD1プロモーターからなる群より選択され得る。

0065

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットをコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが、CUP1プロモーター、AOX1プロモーター、ICL1プロモーター、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)プロモーター、FLD1プロモーター、ADH1プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼIIプロモーター、GAL4プロモーター、PHO3プロモーター、PHO5プロモーター、およびPykプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、それらに由来するキメラプロモーター、酵母性プロモーター、哺乳類性プロモーター、昆虫性プロモーター、植物性プロモーター、爬虫類性プロモーター、両生類性プロモーター、ウイルス性プロモーター、および鳥類性プロモーターからなる群より選択されるプロモーターの制御下で発現し得る。

0066

前記の真核細胞は二倍体四倍体細胞、または多倍数体であり得る。

0067

前記の方法は、前記の真核細胞または前記の培地から前記のマルチサブユニット複合体を精製することをさらに含み得る。

0068

前記のマルチサブユニット複合体は前記の真核細胞の細胞内成分細胞質核質、または膜から精製され得る。

0069

前記の真核細胞が前記のマルチサブユニット複合体を前記の培地に分泌する、

0070

前記のマルチサブユニット複合体は前記の培養物培地から精製され得る。

0071

前記のマルチサブユニット複合体は一重特異性抗体または二重特異性抗体を含み得る。

0072

前記のマルチサブユニット複合体はヒト抗体、またはヒト化抗体、またはそれらの断片を含み得る。

0073

前記のヒト化抗体はマウスラットウサギヤギヒツジまたはウシ起源のものであり得る。

0074

前記のヒト化抗体はウサギ起源のものであり得る。

0075

前記のマルチサブユニット複合体は一価抗体二価抗体、または多価抗体を含み得る。

0076

前記の抗体はプロテインA親和性および/またはプロテインG親和性により前記の培養物から精製され得る。

0077

前記のマルチサブユニット複合体のサブユニットを前記の一団の前記の真核細胞のうちの少なくとも1つにおいて発現する遺伝子のうちの少なくとも1つが前記の真核細胞における発現のために最適化され得る。

0078

前記のマルチサブユニット複合体は抗体を含むことができ、そして、前記の抗体の純度が、前記の真核細胞により生産される抗体であって、予測される見かけの流体力学半径を有する抗体複合体に含まれ得る、予測される分子量を有する抗体複合体に含まれ得る、および/または前記の抗体の標的に特異的に結合する前記抗体の割合を測定することにより評価され得る。

0079

前記のマルチサブユニット複合体は抗体を含むことができ、そして、前記の抗体の収量は、前記の真核細胞によって生産される抗体の量を、異常にグリコシル化されて得る、予測される見かけの流体力学半径を有する複合体以外の抗体複合体に含まれている、予測される分子量を有する抗体複合体に含まれ得る、および/または前記の抗体の標的に特異的に結合することに失敗するあらゆる生産物関連変異体を差し引いて決定することにより評価され得る。

0080

前記の抗体複合体の分子量は非還元SDS‐PAGEにより決定され得る。

0081

前記のマルチサブユニット複合体は抗体を含むことができ、前記の方法は前記の抗体を精製することをさらに含み得る。

0082

前記の培養物細胞は、少なくとも100mg/L、少なくとも150mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも250mg/L、少なくとも300mg/L、100mg/Lと300mg/Lの間、100mg/Lと500mg/Lの間、100mg/Lと1000mg/Lの間、少なくとも1000mg/L、少なくとも1250mg/リットル、少なくとも1500mg/リットル、少なくとも約1750mg/リットル、少なくとも約2000mg/リットル、少なくとも約10000mg/リットル、またはそれより多くの上清抗体力価を生じ得る。

0083

前記のマルチサブユニット複合体の1つ以上のサブユニットは1つよりも多くの遺伝子コピーから発現し得る。

0084

前記のマルチサブユニット複合体は、抗体であって、前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子の1〜10コピーの間のコピーから、および前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子の1〜10コピーから発現する前記の抗体を含み得る。

0085

前記のマルチサブユニット複合体を発現する遺伝子は前記の細胞のゲノムに組み込まれ得る。

0086

前記のマルチサブユニット複合体を発現する遺伝子は染色体外因子プラスミド、または人工染色体に含まれ得る。

0087

前記の細胞は、前記の抗体の軽鎖を発現する遺伝子のコピーを、前記の抗体の重鎖を発現する遺伝子のコピーよりも多く含み得る。

0088

前記の細胞における前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子のコピー数と前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子のコピー数のそれぞれが2と2、2と3、3と3、3と4、3と5、4と3、4と4、4と5、4と6、5と4、5と5、5と6、または5と7であり得る

0089

前記の細胞における前記の抗体の重鎖をコードする遺伝子のコピー数と前記の抗体の軽鎖をコードする遺伝子のコピー数のそれぞれが2と1、3と1、4と1、5と1、6と1、7と1、8と1、9と1、10と1、1と2、2と2、3と2、4と2、5と2、6と2、7と2、8と2、9と2、10と2、1と3、2と3、3と3、4と3、5と3、6と3、7と3、8と3、9と3、10と3、1と4、2と4、3と4、4と4、5と4、6と4、7と4、8と4、9と4、10と4、1と5、2と5、3と5、4と5、5と5、6と5、7と5、8と5、9と5、10と5、1と6、2と6、3と6、4と6、5と6、6と6、7と6、8と6、9と6、10と6、1と7、2と7、3と7、4と7、5と7、6と7、7と7、8と7、9と7、10と7、1と8、2と8、3と8、4と8、5と8、6と8、7と8、8と8、9と8、10と8、1と9、2と9、3と9、4と9、5と9、6と9、7と9、8と9、9と9、10と9、1と10、2と10、3と10、4と10、5と10、6と10、7と10、8と10、9と10、10と10であり得る。

0090

ステップ(c)の培養物が産生培地で培養され得る。

0091

前記の産生培地は最少培地であり得る。

0092

前記の最少培地は選択用薬剤欠く

0093

前記の最少培地は前もって形成されたアミノ酸または他の複雑な生体分子を欠く。

0094

前記の産生培地は複合培地であり得る。

0095

前記の複合培地は、酵母抽出物大豆ペプトン、および他の植物ペプトンのうちの1つ以上を含み得る。

0096

ステップ(c)の培養物は高細胞密度まで培養され得る。

0097

前記の高細胞密度は少なくとも50g/Lであり得る。

0098

前記の高細胞密度は少なくとも100g/Lであり得る。

0099

前記の高細胞密度は少なくとも300g/Lであり得る。

0100

前記の高細胞密度は少なくとも400g/Lであり得る。

0101

前記の高細胞密度は少なくとも500g/Lであり得る。

0102

前記の高細胞密度は少なくとも750g/Lであり得る。

0103

酵母細胞は少なくとも20回の倍化の間培養され得、そして、その酵母細胞は前記の少なくとも20回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持し得る。

0104

ステップ(c)の細胞は少なくとも50回の倍化の間培養され得、そして、その細胞は前記の少なくとも50回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持し得る。

0105

ステップ(c)の細胞は少なくとも100回の倍化の間培養され得、そして、その細胞は前記の少なくとも100回の倍化の後に前記のマルチサブユニット複合体の高レベルの発現を維持し得る。

0106

前記のマルチサブユニット複合体のうちの少なくとも1つのサブユニットは分泌シグナルを含み得る。

0107

前記のマルチサブユニット複合体は抗体を含み得る。

0108

分泌シグナルは、配列番号414〜437からなる群より選択される1つ以上のポリペプチドおよびそれらの任意の組合せを含み得る。

0109

前記のマルチサブユニット複合体は、2010年12月1日に提出された米国特許仮出願番号第61/418,832号、2011年12月1日に提出された国際特許出願番号第PCT/US11/62963号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,295号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,153号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,665号、および2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,831号に開示される抗体のうちのいずれでなくてもよい。

0110

前記のマルチサブユニット複合体はAb1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、およびAb21‐NGF、またはそれらのFab2断片もしくはFab1断片でなくてもよい。

0111

前記のマルチサブユニット複合体は次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、またはAb21‐NGFのいずれかに含まれる相補性決定領域(CDR)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含まなくてよく、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する。

0112

前記のマルチサブユニット複合体は、それぞれ配列番号51および401、それぞれ配列番号53および402、それぞれ配列番号405および406、ならびにそれぞれ配列番号407および408の軽鎖ポリペプチド配列および重鎖ポリペプチド配列を含まなくてよい、またはそれらのポリペプチド配列から構成されなくてよい。

0113

前記のマルチサブユニット複合体は、配列番号55、56、57、58、59、および60のCDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含有する抗体を含まなくてよく、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する。

0114

前記のマルチサブユニット複合体は、本明細書の「抗NGF抗体およびNGFへの結合活性を有するその結合断片」および「抗NGF抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という表題の節において開示される抗体または抗体コード配列のうちのいずれも
含まなくてよい。1つの態様では、本開示は、マルチサブユニット複合体を作製する方法であって、前記のマルチサブユニット複合体を発現する真核細胞を含む培養物を生じる宿主細胞の培養、前記の培養物への大量のエタノールの添加、および前記のマルチサブユニット複合体を生産するための前記培養物の培養を含む方法を提供する。マルチサブユニット複合体は1つ以上のジスルフィド結合を含むことができ、それは抗体であり得る。

0115

エタノールのボーラス濃度(%(重量/体積)で表される)は、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、最大で約1%、最大で約1.1%、最大で約1.2%、最大で約1.3%、最大で約1.4%、最大で約1.5%、最大で約1.6%、最大で約1.7%、最大で約1.8%、最大で約1.9%、最大で約2%、最大で約3%、最大で約4%、または最大で約5%などの約0.1%と約5%の間、例えば、約0.1%と約1.9%の間、約0.2%と約1.8%の間、約0.3%と約1.7%の間、約0.4%と約1.6%の間、約0.5%と約1.5%の間、約0.6%と約1.4%の間、約0.7%と約1.3%の間、約0.8%と約1.2%の間、または約0.9%と約1.1%の間、例えば、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、または約5%であり得る。

0116

前記の方法は、前記の所望のマルチサブユニット複合体の精製をさらに含み得る。

0117

例示的な実施形態では、エタノール濃度はエタノールのボーラス添加の後に制御され得、それは所望の設定値または所望の設定範囲内にエタノール濃度を維持するために用いられ得る。設定値(%(重量/体積)で表される)は約0.1%と約4%の間、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.15%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.25%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.35%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.45%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.8%、少なくとも約2%、最大で約4%、最大で約3.75%、最大で約3.5%、最大で約3.25%、最大で約3%、最大で約2.75%、最大で約2.5%、最大で約2.25%、最大で約2%、最大で約1.75%、最大で約1.5%、最大で約1.25%、最大で約1%、約0.01%と約4%の間、約0.02%と約3.75%の間、約0.04%と約3.5%の間、約0.08%と約3.25%の間、約0.1%と約3%の間、約0.2%と約2.75%の間、約0.3%と約2.5%の間、約0.4%と約2.25%の間、約0.5%と約2%の間、約0.6%と約1.75%の間、約0.7%と約1.5%の間、または約0.8%と約1.25%の間であり得る。例えば、設定値はボーラス濃度またはそのボーラス濃度のプラスマイナス1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の範囲内と同一であり得る。

0118

エタノール濃度の設定値は発酵の間に酵母細胞によるエタノール生産を制御することにより維持され得る。例えば、エタノール濃度は、グルコースの濃度の上昇(例えば、グルコース供給速度の上昇)、酸素の利用可能性の低下、撹拌強度の低下(例えば、発酵槽入力パワーの低下)、発酵槽におけるガス圧の低下、供給される空気または他のガス混合物の流速の低下、培養物の粘度の上昇、または供給される空気または他のガス混合物の酸素濃度の低下(例えば、酸素供給が用いられている場合)により上昇し得る。エタノール
生産は発酵温度の上昇によっても増加し得る。同様に、エタノール濃度は、グルコース濃度の低下(例えば、グルコース供給速度の低下)により低下し得、酸素の利用可能性の上昇、撹拌強度の上昇(例えば、発酵槽の入力パワーの上昇)、発酵槽におけるガス圧の上昇、供給される空気または他のガス混合物の流速の上昇、培養物の粘度の低下、または供給される空気または他のガス混合物の酸素濃度の上昇(例えば、酸素供給が用いられている場合)により低下し得る。エタノール生産は発酵温度の低下によっても減少し得る。

0119

本開示の方法を用いて、望まない副産物の相対量が、従来の方法と比べ、最初の量的レベルと比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または検出不可能なレベルにまで減少し得る。例となる望まない副産物であって、その相対量がそのように減少し得るものは、所望のマルチサブユニット複合体と異なる見かけの分子量を有する1つ以上の種を含み得る。例えば、見かけの分子量は化学量論組成、折畳み、複合体の構築やグリコシル化の違いにより影響を受け得る。例えば、そのような望まない副産物はサイズ排除クロマトグラフィーやゲル電気泳動を用いて検出され得、そして、所望のマルチサブユニット複合体よりも大きい、または小さい見かけの分子量を有し得る。例示的な実施形態では、望まない副産物は還元条件したで検出され得る。他の例示的な実施形態では、望まない副産物は非還元条件下で検出され得る。

0120

例示的な実施形態では、本開示は、抗体および他のマルチサブユニット複合体の組換え生産をより大きい収量と共にもたらす方法および組成物も提供する。例示的な実施形態では、収量は、本明細書において開示される方法を使用して(従来の方法と比較して)少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、またはそれより多く増加し得る。

0121

例示的な実施形態では、マルチサブユニットタンパク質を生産し得る宿主細胞は、酵母、例えば、ピキア・パストリス(P. pastoris)などのピキア属の種もしくは別のメチロトローフ酵母、または出芽酵母(S. cerevisiae)などのサッカロミセス属の種の酵母、またはシゾサッカロミセス(例えば、S. pombe)などの別の酵母であり得る。本発明において利用され得るメチロトローフ酵母の他の例にはピキア・アングスタ(Pichia angusta)(当技術分野においてハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)としても知られる)、ピキア・グイレルモルディイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・イノシトベラ(Pichia
inositovera)、オガタエア・ニトラトアベルサ(Ogataea nitratoaversa)、およびカンジダ・ボインドニイ(Candida boidnii)が含まれる。

0122

宿主細胞は真核細胞、例えば、酵母細胞、例えば、メチロトローフ酵母、例えば、ピキア属の酵母であり得る。ピキア属の例となるメチロトローフ酵母には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・グイレルモルディイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、およびピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)が含まれる。宿主細胞は、接合、例えば、マルチサブユニット複合体のサブユニットをコードする少なくとも1つの遺伝子の1つ以上のコピーをそれぞれ含有する2つの一倍体酵母細胞を接合させることにより作製され得る。

0123

好ましい実施形態では、ピキア属のメチロトローフ酵母はピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。宿主細胞は二倍体細胞または四倍体細胞であり得る。

0124

所望のマルチサブユニット複合体の前記のサブユニット、例えば、前記の所望の抗体軽鎖や重鎖をコードする前記の遺伝子のうちの少なくとも1つが、CUP1(培地の銅のレベルにより誘導される; Koller et al., Yeast 2000; 16: 651-656.を参照のこと)、テトラサイクリン誘導性プロモーター(例えば、 Staib et al., Antimicrobial Agents And Chemotherapy, Jan. 2008, p. 146-156 を参照のこと)、チアミン誘導性プロモーター、AOX1プロモーター、ICL1プロモーター、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)プロモーター、FLD1プロモーター、ADH1プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼIIプロモーター、GAL4プロモーター、PHO3プロモーター、PHO5プロモーター、およびPykプロモーター、それらに由来するキメラプロモーター、酵母性プロモーター、哺乳類性プロモーター、昆虫性プロモーター、植物性プロモーター、爬虫類性プロモーター、両生類性プロモーター、ウイルス性プロモーター、および鳥類性プロモーターなどの誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下で発現し得る。

0125

宿主細胞は前記の所望のマルチサブユニット複合体を培地に分泌し得る。代わりに、または、加えて、前記の所望のマルチサブユニット複合体は前記の宿主細胞に保持され得、そして、それから単離され得る。

0126

所望のマルチサブユニット複合体は、一重特異性抗体または二重特異性抗体などの抗体を含み得る。抗体は任意の抗原に特異的に結合する抗体であり得る。

0127

その所望のマルチサブユニット複合体は、2010年12月1日に提出された米国特許仮出願番号第61/418,832号、2011年12月1日に提出された国際特許出願番号第PCT/US11/62963号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,295号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/309,153号、2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,665号、および2011年12月1日に提出された米国特許出願番号第13/308,831号に開示される抗体のいずれか以外の抗体(例えば、抗NGF抗体のいずれか以外の抗体)であり得る。例示的な実施形態では、所望のマルチサブユニット複合体は、次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、およびAb21‐NGFのうちのいずれでもなくてよい。さらなる例示的な実施形態では、所望のマルチサブユニット複合体は次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、およびAb21‐NGFのうちのいずれかのFab2断片でなくてよい。さらなる例示的な実施形態では、所望のマルチサブユニット複合体は次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、およびAb21‐NGFのう
ちのいずれかのFab1断片でなくてよい。さらなる例示的な実施形態では、所望のマルチサブユニット複合体は次の抗体、すなわち、Ab1‐NGF、Ab2‐NGF、Ab3‐NGF、Ab4‐NGF、Ab5‐NGF、Ab6‐NGF、Ab7‐NGF、Ab8‐NGF、Ab9‐NGF、Ab10‐NGF、Ab11‐NGF、Ab12‐NGF、Ab13‐NGF、Ab14‐NGF、Ab15‐NGF、Ab16‐NGF、Ab17‐NGF、Ab18‐NGF、Ab19‐NGF、Ab20‐NGF、またはAb21‐NGFのいずれかに含まれる相補性決定領域(CDR)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含有する抗体を含まなくてよく、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する。例えば、所望のマルチサブユニット複合体は、それぞれ配列番号51および401、ならびに/またはそれぞれ配列番号53および402、ならびに/またはそれぞれ配列番号405および406、ならびに/またはそれぞれ配列番号407および408の軽鎖ポリペプチド配列および重鎖ポリペプチド配列を含まなくてよい、またはそれらのポリペプチド配列から構成されなくてよい。さらなる例として、所望のマルチサブユニット複合体は配列番号55、56、57、58、59、および60のCDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ全てを含有する抗体を含まなくてよく、かつ、NGFへの結合特異性を任意で有する。

0128

所望のマルチサブユニット複合体は、任意の種類の抗体を含み得る。例となる抗体の種類には任意の哺乳類の種、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウシなどの抗体が含まれる。好ましくは、その抗体はヒト抗体またはウサギ起源のものであり得るヒト化抗体である。所望の抗体は一価抗体、二価抗体、または多価抗体であり得る。

0129

所望のマルチサブユニット複合体のサブユニット、例えば、所望の抗体の軽鎖や重鎖を前記の一団の前記の宿主細胞のうちの少なくとも1つにおいて発現する前記の遺伝子のうちの少なくとも1つは、前記の宿主細胞における発現について(例えば、好適なコドンを選択したり、コドンの選択によりATのパーセンテージを変化させたりすることにより)最適化され得る。

0130

前記の所望のマルチサブユニット複合体、例えば、所望の抗体の純度は、グリコシル化されていない、予測される見かけの流体力学半径や(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される)見かけの分子量を有する、(例えば、SDS‐PAGEなどのゲル電気泳動および任意でウェスタンブロッティングにより検出される)予測される電気泳動移動度を有する複合体に含まれる、前記の宿主細胞により生産されるその所望のマルチサブユニット複合体の割合を測定したり、その所望のマルチサブユニット複合体の特定の活性(例えば、所望の抗体の標的への特異的な結合)を測定したりすることにより評価され得る。

0131

所望のマルチサブユニット複合体は抗体であり得、そして、前記の抗体の収量は、前記の宿主細胞により生産される所望の抗体の量を、グリコシル化されている、予測される見かけの分子量もしくは流体力学半径を有する複合体以外の抗体複合体に含まれる、および/または前記の所望の抗体の標的に特異的に結合することに失敗するあらゆる生産物関連変異体を差し引いて決定することにより評価され得る。

0132

本対象の方法は少なくとも100mg/L、少なくとも150mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも250mg/L、少なくとも300mg/L、100mg/Lと300mg/Lの間、100mg/Lと500mg/Lの間、100mg/Lと1000mg/Lの間、または1000mg/L超、例えば、1200mg/Lほど高い、10,000mg/Lほど高い、またはそれより高い上清抗体力価を生じ得る。

0133

別の態様では、所望のマルチサブユニット複合体を生産する宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞などのピキア属の二倍体細胞または四倍体細胞であり得る。前記の所望のマルチサブユニット複合体のサブユニット、例えば、所望の抗体の軽鎖および重鎖を発現する遺伝子は前記の宿主細胞のゲノムに挿入され得る、および/または染色体外因子、プラスミドもしくは人工染色体に含まれ得る。

0134

別の態様では、所望のマルチサブユニット複合体を生産する宿主細胞は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2011年8月31日に提出された米国特許仮出願番号第61/525,307号(代理人整理番号第67858.730200号)にさらに記載されるように、収量や純度を上昇させるために操作され得る。その中に記載されるように、抗体または他のマルチサブユニット複合体の収量および純度は、各サブユニットをコードする遺伝子の細胞あたりのコピー数を変えることにより大幅に改善され得る。例えば、所望のマルチサブユニット複合体が抗体である場合、宿主細胞は、重鎖を発現する遺伝子のコピーよりも多くの軽鎖を発現する遺伝子のコピーを含み得る。例示的な実施形態では、宿主細胞は、軽鎖をコードする遺伝子を1コピーから10コピーまで、および、重鎖をコードする遺伝子を1コピーから10コピーまで含み得る。前記の宿主細胞における重鎖をコードする遺伝子と軽鎖をコードする遺伝子のそれぞれのコピー数はそれぞれ2と2、2と3、3と3、3と4、3と5、4と3、4と4、4と5、4と6、5と4、5と5、5と6、または5と7であり得る。重鎖と軽鎖の遺伝子コピー数のさらなる例となる組合せには、H2xL1、H3xL1、H4xL1、H5xL1、H6xL1、H7xL1、H8xL1、H9xL1、H10xL1、H1xL2、H2xL2、H3xL2、H4xL2、H5xL2、H6xL2、H7xL2、H8xL2、H9xL2、H10xL2、H1xL3、H2xL3、H3xL3、H4xL3、H5xL3、H6xL3、H7xL3、H8xL3、H9xL3、H10xL3、H1xL4、H2xL4、H3xL4、H4xL4、H5xL4、H6xL4、H7xL4、H8xL4、H9xL4、H10xL4、H1xL5、H2xL5、H3xL5、H4xL5、H5xL5、H6xL5、H7xL5、H8xL5、H9xL5、H10xL5、H1xL6、H2xL6、H3xL6、H4xL6、H5xL6、H6xL6、H7xL6、H8xL6、H9xL6、H10xL6、H1xL7、H2xL7、H3xL7、H4xL7、H5xL7、H6xL7、H7xL7、H8xL7、H9xL7、H10xL7、H1xL8、H2xL8、H3xL8、H4xL8、H5xL8、H6xL8、H7xL8、H8xL8、H9xL8、H10xL8、H1xL9、H2xL9、H3xL9、H4xL9、H5xL9、H6xL9、H7xL9、H8xL9、H9xL9、H10xL9、H1xL10、H2xL10、H3xL10、H4xL10、H5xL10、H6xL10、H7xL10、H8xL10、H9xL10、H10xL10など、最大で10コピーの重鎖遺伝子や軽鎖遺伝子の任意の組合せが含まれ、その場合、「H」の後の数は重鎖遺伝子のコピー数を表し、「L」の後の数は軽鎖遺伝子のコピー数を表す。例えば、特定の数の重鎖遺伝子コピーと軽鎖遺伝子コピーは1つの遺伝子座、または複数遺伝子座にタンデムに挿入され得る(それらのうちのいずれか、または全てが1コピーより多くを含有し得る)。任意で、各ゲノム遺伝子座は、タンデムに挿入されている3つ、または4つより多くの遺伝子コピーを含み、それにより増殖や抗体生産の間のコピー数の安定性を促進してもよい。

0135

培養は、エネルギー源、酸素および栄養素を使用して細胞を証明することが最も典型的である。方法は、組換えタンパク質の発現のためのピキア・パストリス(P. pastoris)発酵の設計と最適化についての文献においても知られており、それには細胞密度、培地の体積、基質の供給速度、および反応の各期間の長さの最適化が含まれる。 Cregg, J. M., Ed., 2007, Pichia Protocols (第2版), Methodsin Molecular Biology, vol. 389, Humana Press, Totowa, N.J., 43〜63頁内のZhang et al., “Rational Design
and Optimization of Fed-Batch and Continuous Fermentations”を参照のこと。酸素
を追加した空気または追加していない空気などの酸素を含むガス混合物を培養物に供給す
ることができる。酵母培養物は、最少培地であり得る培地、選択薬剤欠如し得る培地、および/または前もって形成されたアミノ酸または他の複雑な生体分子を欠如し得る培地で培養され得る。培地は(例えば、酵母抽出物や植物性ペプトンを含有する)複合培地でもあり得る。培地は窒素原(例えば、メチルアミンクロリド硫酸アンモニウム、酵母抽出物、大豆ペプトン、他の植物性ペプトンなど)を含むことができる。例となる最少培地には最少ブドウ糖培地(MD)(1.34%酵母窒素ベースYNB)(アミノ酸無し)、4×10-5%ビオチン、および2%グルコース)、緩衝最少グリセロール複合培地(
BMGY)(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グリセロール、1.34%YNB(アミノ酸無し)、4×10-5%ビオチンおよび100mMリン酸カリウム(pH6.0)
)が含まれる。培地は1つ以上の塩(例えば、塩化ナトリウムカルシウム塩マグネシウム塩、およびリン酸塩)、緩衝液(例えば、リン酸カリウム緩衝液、トリス緩衝液、またはHEPES緩衝液)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、混入汚染物質の増殖を抑制したり、選択マーカーを維持したりするために添加される)、微量元素、およびグルコースまたは別のエネルギー源を含み得る。任意の追加物および置換物も、当業者に知られているだろう適切な濃度で含まれ得る。

0136

培養物は高細胞密度まで、例えば、少なくとも50g/L、少なくとも100g/L、少なくとも300g/L、少なくとも400g/L、少なくとも500g/L、または少なくとも700g/Lまで増殖させられ得る。これらの培養密度は限定的というよりも例示的なものであり、適切な培養密度は当業者によって容易に決定され得る。

0137

酵母細胞は少なくとも20回の倍化の間培養され得、そして、その酵母細胞は前記の少なくとも20回の倍化の後に前記の抗体の高レベルの発現を維持し得る。

0138

酵母細胞は少なくとも50回の倍化の間培養され得、そして、その酵母細胞は前記の少なくとも50回の倍化の後に前記の抗体の高レベルの発現を維持し得る。

0139

酵母細胞は少なくとも100回の倍化の間培養され得、そして、その酵母細胞は前記の少なくとも100回の倍化の後に前記の抗体の高レベルの発現を維持し得る。

0140

別の態様では、本開示は、前述の方法のいずれかに従って作製された安定な二倍体ピキア酵母培養物を含む培地であって、少なくとも約50mg/リットル、100mg/リットル、500mg/リットル、750mg/リットル、1000mg/リットル、1250mg/リットル、1500mg/リットル、1750mg/リットル、2000mg/リットル、またはそれよりも多くあり得る発現レベルの前記の所望の抗体を含み得る培地を提供する。これらの収量の値は限定的というよりも例示的なものである。任意で、収量は、例えば、上述のZhang et al. (2007)に記載されている方法および一般的アプローチ
を用いて最適化され得る。例えば、収量は、温度、pH、培地の組成(例えば、炭素源、炭素源の濃度、2つ以上の炭素源の混合物、窒素原および濃度、KH2PO4、K2HPO4、MgSO4、硫酸カリウムクエン酸ナトリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム;塩化コバルト硫酸銅ヨウ化ナトリウム硫酸マンガンモリブデン酸ナトリウムホウ酸塩化亜鉛硫酸(第一)鉄などの微量金属;ビオチン、イノシトール、チアミンなどのビタミン、ペプトン、酵母抽出物、カザミノ酸尿素リン酸アンモニウムまたは他のアンモニウムイオン、L‐アルギニン塩酸を含む塩および栄養素の濃度)、時間、培養物の密度、酸素投与、および収量に影響する他の要因を変化させることにより最適化され得る。例えば、所望のマルチサブユニット複合体の収量、発現や純度は、いくつかの例では、温度を所望の設定値、例えば、約17℃と約25℃の間など、約15℃と約30℃の間の設定値に維持することにより改善され得る)。理論によって限定されるつもりはないが、温度の制御が折畳みおよび翻訳後プロセッシングの経路を介して細胞内移送を助けたり、細胞性プロテアーゼの活性を低下させたりすることができるという仮説が立て
られている。同様に、所望のマルチサブユニット複合体の収量、発現や純度は、いくつかの例では、培地のpHを所望の設定値、例えば、pH4とpH7の間など、pH3からpH8の間の設定値に維持することにより改善され得る。

0141

別の態様では、本開示は、前述の方法のいずれかに従って作製された、前記の所望の抗体を培地に発現する安定な二倍体ピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母培養物を含む培地であって、前記の培養物中の前記の二倍体細胞の細胞密度が少なくとも約50g/L、100g/L、300g/L、400g/L、500g/L、700g/L、またはそれより多くあり得る、その培地を提供する。これらの培養密度は限定的というよりも例示的なものであり、適切な培養密度は当業者によって容易に決定され得る。

0142

前記の抗体または他のマルチサブユニットタンパク質の少なくとも1つのサブユニットは、ニワトリサルモネラリゾチーム(CLY)シグナルペプチド、CLY‐L8、出芽酵母インベルターゼ(SUC2)シグナルペプチド、MF‐α(プレプロ)、MF‐α(プレ)‐apv、MF‐α(プレ)‐apv‐SLEKR、MF‐α(プレプロ)‐(EA)3、αFシグナルペプチド、KILM1シグナルペプチド、抑制型酸性ホスファターゼ(PHO1)シグナルペプチド、アスペルギルスニガー(A. niger)GOXシグナルペプチド、シュワンニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)グルコアミラーゼ遺伝子(GAM1)シグナルペプチド、プロ配列を有しないヒト血清アルブミンHSA)シグナルペプチド、プロ配列を有するヒト血清アルブミン(HSA)シグナルペプチド、ISNシグナルペプチド、IFNシグナルペプチド、HGHシグナルペプチド、フィトヘマグルチニンPHA)、カイコリゾチーム、ヒトリゾチーム(LYZ1)、1型アクチビン受容体アクチビンII型受容体、ピキア・パストリス(P. pastoris)免疫グロブリン結合タンパク質(PpBiP)、ヒト抗体3D6軽鎖リーダー、およびそれらの任意の組合せなどの分泌シグナルを含み得る。

0143

宿主細胞は、前記の抗体または他のマルチサブユニットタンパク質の1つ以上のサブユニットをコードする遺伝子の1つ以上のコピーをそれぞれ含有する2つの一倍体酵母細胞を接合させることにより作製され得る。

図面の簡単な説明

0144

組換え技術で生産されたAb‐Aの純度は、抗体を生産する酵母培養物におけるグルコース供給の開始前のエタノールのボーラス添加により改善した。抗体は培養から97時間後に回収され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が、所望の完全型抗体(矢印、「完全型抗体(H2L2)」)を望まない生産物関連変異体から分離するための非還元ゲルを使用するSDS‐PAGEにより評価された(図1A)。異常な化学量論組成を有する複合体が、それらの分子量、プロテインAへの親和性、および下でさらに説明されるその他の研究に基づいて、1本の重鎖と1本の軽鎖を含む「半抗体」種(矢印、「H1L1」)および2本の重鎖と1本の軽鎖を含む複合体(「H2L1」)と特定された。H2L1複合体とH1L1複合体の相対量は抗体生産中のエタノールのボーラス添加により大幅に低下した。図1Aレーン2〜3(ボーラス無し)をレーン5(ボーラス有り)に比較されたい。レーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2および3、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製された対照試料;レーン4、試料無し;レーン5、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料。
還元条件下で処理された同一の試料を示す。その処理は完全型抗体、H1L1複合体およびH2L1複合体のそれぞれを個々の重鎖および軽鎖に分離させた。このことは、H1L1複合体とH2L1複合体は全長の重鎖および軽鎖から構成されることを確認する。レーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2および3、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製された対照試料;レーン4、試料無し;レーン5、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料。
図1C〜Eは、非還元ゲルの長さに従ってプロットされたゲルバンドの濃度(図1A、それぞれレーン2、3、および5)を示す。矢印はH1L1種に対応するピークを特定する。
同上
同上
図1C〜Eに示されるH1L1ピークに含まれる面積を表で示し、これはH1L1複合体の相対量の約90%の減少を示している。H2L1複合体の量は完全型抗体のピークからの不完全な分離のため、定量されなかった。
図2A〜Bは、酵母培養物へのエタノールのボーラス添加によるAb‐Aの純度の改善の再現性を示す。抗体は培養から87時間後(図2)に回収され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元ゲルを使用するSDS‐PAGEにより評価された。H1L1複合体とH2L1複合体(矢印)の量は再度、エタノールのボーラス添加により減少した。図2Aのレーン3(ボーラス無し)をレーン2(ボーラス有り)比較のこと。図2A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料;レーン3、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製された対照試料。
図2Bは、還元条件下で処理された、図2Aにおけるものと同一の試料を示しており、観察された生産物関連変異体は全長の重鎖および軽鎖から構成されることを再度確認している。図2A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料;レーン3、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製された対照試料。
図2Cおよび2Dは、非還元ゲルの長さに従ってプロットされたゲルバンドの濃度(図2A、それぞれレーン2、および3)を示す。矢印はH1L1種に対応するピークを特定する。
同上
図2E図2Cに示されるH1L1ピークに含まれる面積を表で示し、図2Aでは約85%のH1L1複合体の相対量の減少を示す。
図3A〜Bは、酵母培養物へのエタノールのボーラス添加によるAb‐Aの純度の改善の再現性を示す。抗体は培養から86時間後(図3)に回収され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元ゲルを使用するSDS‐PAGEにより評価された。H1L1複合体とH2L1複合体(矢印)の量は再度、エタノールのボーラス添加により減少した。図3Aのレーン4〜6(ボーラス無し)をレーン2および4(ボーラス有り)と比較のこと。図3Aのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2および4、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料;レーン3、試料無し;レーン5〜7、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製された対照試料。
図3B図3Aに示されるH1L1ピークに含まれる面積を表で示し、図3Aでは平均約87%のH1L1複合体の相対量の減少を示す。
第2の組換え抗体(「Ab‐B」)の純度も発酵過程生産期の前でのエタノールのボーラス添加により改善した。発酵培養培地の試料が培養から67時間後(「T67」)または87時間後(「T87」)(それぞれ図4A〜Bおよび4C〜D)に回収され、抗体がプロテインA親和性により精製された。その後、純度が非還元ゲルを使用するSDS‐PAGEにより評価された(図4Aおよび4C)。評価を受けた両方の時点で、半抗体種(H1L1)とH2L1複合体の量は、エタノールのボーラス添加を受けなかった対照培養物と比較して、エタノールのボーラス添加を受けた調製された発酵培養物において大幅に減少した図4Aのレーン2〜3(ボーラス無し)をレーン6〜7(ボーラス有り)と、図4Cのレーン2〜3(ボーラス無し)をレーン6〜7(ボーラス有り)と比較のこと。図4Bおよび4Dは、還元条件下で処理された同一の試料を示す。図4A〜Dのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2〜3、エタノールをボーラス添加していない発酵培養物から調製される対照試料;レーン4〜5、試料無し;レーン6〜7、エタノールをボーラス添加した発酵培養物から調製された試料。
同上
同上
同上
図4Eおよび4Fは、それぞれに図4A(T67)および4C(T87)に示されるH1L1ピークに含まれる面積を表で示し、エタノールのボーラス添加によって、図4Aに示される早い方の時点では約73%のH1L1複合体の相対量の減少が、そして、図4Cに示される遅い方の時点では平均約34%のH1L1複合体の相対量の減少が生じたことを示している。
同上
第3の組換え抗体(Ab‐C)の純度も発酵の生産期前でのエタノールのボーラス添加により改善した。抗体は培養から86時間後に回収され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元ゲルを使用するSDS‐PAGEにより評価された(図5A)。H1L1複合体とH2L1複合体はAb‐C産物ではエタノールのボーラス投与が無くともあまり多くはなく、改善の余地はあまり残っていなかった。にもかかわらず、半抗体種(H1L1)とH2L1複合体の量は、エタノールのボーラス添加を受けなかった対照培養物と比較して、エタノールのボーラス添加を受けた発酵培養物では明らかに減少した。図5Aのレーン5〜6(ボーラス無し)をレーン3(ボーラス有り)と比較のこと。図5A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2、試料無し;レーン3、エタノールのボーラス添加を受けた発酵培養物から調製された試料;レーン4、試料無し;レーン5〜6、エタノールのボーラス添加を受けなかった発酵培養物から調製された対照試料。
還元条件下で処理された同一の試料を示す。図5A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2、試料無し;レーン3、エタノールのボーラス添加を受けた発酵培養物から調製された試料;レーン4、試料無し;レーン5〜6、エタノールのボーラス添加を受けなかった発酵培養物から調製された対照試料。
図5Aに示されているH1L1ピークに含まれる面積を表で示し、エタノールのボーラス添加によるH1L1複合体の相対量の平均約61%の減少を示している。
図6A〜Fは、図1〜3に示されるAb‐A調製物の相対純度のサイズ排除クロマトグラフィーによる評価を示す。各パネルにおいて、主要なピークは2の重鎖と2本の軽鎖を含有する完全型抗体(H2L2)を含む。H1L1種はこの方法によって主要なピークから分離されることがなかった(使用された条件下で保持される非共有結合によるH1L1二量体形成のためと考えられる)。しかしながら、より大きい分子量種(主要なピークの左)およびより小さい分子量種(主要なピークの右)を含む、他の望まない生産物関連変異体が検出された。2つの完全型抗体を含有する抗体二量体(H4L4)に対応すると考えられる顕著なピークが検出され(矢印)、これらの相対量はエタノールのボーラス添加を受けた発酵培養物から調製された試料で減少した。図6A、6C、および6E(ボーラス無し)を図6B、6D、および6F(ボーラス有り)と比較のこと。
同上
同上
同上
同上
同上
図7は、図6に示される6つのAb‐A試料と5つの追加の試料のSECにより検出される生産物関連変異体の量の定量を要約する。それぞれの特定されている試料(列1)について、ランセット番号(列2、並行して実施された発酵ランを特定する)、添加されたボーラス(10g/Lか無しのどちらか、列3)、および培養試料採取され、処理される前に経過した培養時間(列4)が、主要なピーク内で検出されるタンパク質の割合(「SEC主要ピークの%」、列5)と共に示されている。増殖期末期でのエタノールのボーラス添加が主要なピークに含まれる平均パーセンテージを80.3%から最大で90.6%まで増加させた。
図8は、図4に示されるAb‐B抗体試料のSECにより検出される生産物関連変異体の量の定量を要約する。それぞれの発酵ラン(列1)について、増殖期の末期に添加されたボーラス(10g/Lか無しのどちらか、列2)、および培養試料が採取され、処理される前に経過した培養時間(列3)が、主要なピーク内で検出されるタンパク質の割合(「SEC主要ピークの%」、列4)と共に示されている。全体的な純度が上昇し、主要なピークはT67では76%から79%まで、およびT87では60%から73%まで増加した。
図9は、図5に示されるAb‐C抗体試料のSECにより検出される生産物関連変異体の量の定量を要約する。それぞれの特定されている発酵ラン(列1)について、添加されたボーラス(10g/Lか無しのどちらか、列2)、および試料が採取され、処理される前に経過した培養時間(列3)が、主要なピーク内で検出されるタンパク質の割合(「SEC主要ピークの%」、列4)と共に示されている。この方法により検出される全体的な純度にほとんど差は無く、産物の約89%がエタノールをボーラス添加して、またはボーラス添加せずに主要なピークに含まれた。このことは、ボーラス添加されてなくとも高いAb‐C抗体の初期純度に明らかに起因した。さらに、SECは完全型抗体からH1L1種を分離せず、したがって、エタノールのボーラス添加に起因するこの種の生産の減少はSECの結果に反映されなかった。
図10は、多量または少量のH1L1バンドを含有するAb‐A抗体試料における(2本目の重鎖へのジスルフィド結合を欠く)遊離重鎖の量のマススペクトロメトリー測定の結果を要約する。予想されたように、遊離重鎖の量はH1L1バンドの量と相関した。このことにより、その正体は、1本の重鎖と1本の軽鎖を含み、2本目の重鎖へのジスルフィド結合を欠くものと確認された。
図11〜13は、エタノールのボーラス添加と細胞生存率の間の相関を示す。エタノールのボーラス添加はAb‐A抗体(図11)とAb‐B抗体(図12)の細胞生存率と抗体純度を全般的に改善した。これらの結果は、細胞生存率の改善がエタノールのボーラス添加による抗体純度の改善の少なくとも一部の原因であり得ることを示唆する。これらの結果と一致して、Ab‐C抗体培養物はAb‐A培養物およびAb‐B培養物よりも高い抗体純度および細胞生存率を示した(図13)。明らかに、Ab‐C抗体生産培養物の生存率はこれらの実験では既に高いので、改善の余地はほとんどなく、培養物はエタノールのボーラス添加による生存率の改善をほとんど示さなかった。図11〜13では、斜線付きのカラムはボーラス無しを示し、白色のカラムはエタノールのボーラス添加を示す。生存率は、(この前のスライドにおいて特定されている)純度の分析のために試料が収集された1.5時間の時点で採取された発酵培養物から決定された。
同上
同上
図14は、広範囲のエタノールのボーラス濃度により抗体純度の同じ改善が生じ得ることを示す。Ab‐Aは5g/L(0.5%(重量/体積))と15g/L(1.5%(重量/体積))の間のエタノールのボーラス添加を用いて生産され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元SDS‐PAGEにより分析された。各培養物は同様の低レベルのH2L1複合体とH1L1複合体を63時間(図14A)と86時間(図14B)に示した。図14A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2および7、5g/Lのボーラス;レーン3および5、10g/Lのボーラス;レーン4および6、15g/Lのボーラス。
同上
図15は、抗体純度の同様の改善を生じつつ、溶存酸素スパイクとエタノールのボーラス添加の間に経過した時間がかなり変化し得ることを示す。Ab‐Aは10g/L(1%(重量/体積))のエタノールのボーラス添加を用いて生産され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元SDS‐PAGEにより分析された(図15A)。溶存酸素スパイク(培養物中の炭素源の消耗を示す)とエタノールのボーラス添加の間の時間である「飢餓期」は0と3時間の間で変更された。各培養物は、飢餓期の持続時間に無関係に、同様に低レベルのH2L1複合体とH1L1複合体を示した。このことは、抗体純度は飢餓期が存在しない事、または少なくとも最大で3時間の飢餓期に対して比較的に非感受性であることを示している。同じ試料が還元ゲルで分析された(図15B)。図15A〜Bのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2〜4、試料無し;レーン5、0時間の飢餓期;レーン6、3時間の飢餓期。
同上
図16は平衡化期間(エタノールのボーラス添加と供給物の供給の開始の間の時間)の抗体純度に対する効果を示す。Ab‐B抗体は10g/L(1%(重量/体積))のエタノールのボーラス添加を用いて生産され、プロテインA親和性により精製され、その後、純度が非還元SDS‐PAGEにより分析された(図16A)。図16Aのレーンの順序:レーン1、分子量マーカー;レーン2および4、試料無し;レーン3、30分の平衡化;レーン5および6、60分の平衡化時間;レーン7および8、0分の平衡化時間。
平衡化期間の持続時間は0分、30分、または60分のいずれかであった。60分の平衡化期間によって、抗体純度がより低くなった(より多量のH2L1複合体とH1L1複合体が生じた)。60分の平衡化期間では培養生存率も著しくより低く、特に培養のより早い時期で(23時間で、図16B)より低かった。生存率は培養の末期では(85時間では、図16C)やや改善した。図16B〜Cでは、斜線付きのカラムは0分の平衡化期間を示し、逆斜線付きのカラムは30分の平衡化期間を示し、白色のカラムは60分の平衡化期間を示す。
同上

0145

申請者らは、酵母から発現されるマルチサブユニット複合体の純度は、培地へのエタノールのボーラス投与により非常に改善され得ることを予期せず発見した。単回のエタノールのボーラス添加が、長期の生産期間にわたって、最大で少なくとも97時間、純度を改善させることが示された。

0146

本開示は、抗体および他のマルチサブユニット複合体を高純度で、1つ以上の望まない副産物の生産を減少させつつ組換え生産する改良された方法および組成物を提供する。例示的な実施形態では、その所望のマルチサブユニット複合体と比較して、その望まない副産物は、変化した化学量論組成、異常なグリコシル化、見かけの分子量の違い、ジスルフィド結合の違い、流体力学半径の違い、1つ以上のサブユニットの断片や短縮化型のうちの1つ以上を示し得る。望まない副産物は、1つ以上のその他の差異も示し得る。望まない副産物は、それらの調製物への影響、例えば、特定の活性のレベル、免疫原性、またはその所望のマルチサブユニット複合体の物理的構成や機能の変化によって検出されることもできる。

0147

例えば、その所望のマルチサブユニット複合体が抗体であるとき、望まない副産物はH1L1すなわち「半抗体」種(すなわち、1本の重鎖と1本の軽鎖を含み、重鎖はジスルフィド結合によって別の重鎖に連結されていない)やH2L1種(すなわち、2本の重鎖と1本の軽鎖を含むが、2本目の軽鎖を欠いている)を含み得る。

0148

理論により限定されることを意図するものではないが、エタノール濃度の急速な上昇(それはエタノールのボーラス添加によりもたらされ得る)が、正確に折り畳まれ、構築されているマルチサブユニット複合体の生産を持続的に改善したり、不正確に折り畳まれ、
または誤って構築されているマルチサブユニット複合体のプロセッシングを増進させたりして、マルチサブユニット複合体の純度を改善する遺伝子発現の持続的な変化を引き起こし得るという仮説が立てられている。さらに、抗体純度の改善が培養物中の酵母の生存率の改善と相関したことが示されており、これに基づき、申請者らは、生存率の改善が(少なくとも部分的に)純度の改善の原因となり得るという仮説を立てるが、この理論は限定的であることを意図するものではない。

0149

好ましい実施形態では、異種性マルチサブユニット複合体は、2つの重鎖サブユニットと2つの軽鎖サブユニットから構成される、ヒト化抗体などの抗体または抗体断片である。好ましい宿主細胞には酵母が含まれ、特に好ましい酵母にはメチロトローフ酵母株、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))、ピキア・グイレルオモンディイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・イノシトベラ(Pichiainositovera)、および他の株(例えば、米国特許第4,812,405号、第4,818,700号、第4,929,555号、第5,736,383号、第5,955,349号、第5,888,768号、および第6,258,559号を参照のこと。それらの特許のそれぞれが全体の参照により組み込まれる)。宿主細胞は、形質転換、接合、胞子形成などのような当技術分野において公知の方法によって生産され得る。

0150

好ましい実施形態では、宿主細胞は、異種性タンパク質サブユニットをコードする遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子について1コピーよりも多くのコピーを含み得る。例えば、複数コピーサブユニット遺伝子は1つ以上の染色体座位にタンデムで挿入され得る。タンデムに挿入されている遺伝子コピーは、マルチサブユニット複合体の生産のための培養中に安定したコピー数で保持されることが好ましい。例えば、下記の実施例では、遺伝子コピー数は、3〜4つのタンデムに挿入されている軽鎖抗体遺伝子重鎖抗体遺伝子のコピーを含有するピキア・パストリス(P. pastoris)株では一般に安定であった。

0151

異種性タンパク質サブユニットをコードする遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子が宿主細胞の1つ以上の染色体座位に組み込まれることが好ましい。遺伝子間配列プロモーター配列、コード配列、終結配列調節性配列などを含む、あらゆる適切な染色体座位が挿入のために利用され得る。ピキア・パストリス(P. pastoris)において使用することができる例となる染色体座位には、PpURA5、OCH1、AOX1、HIS4、およびGAPが含まれる。コード遺伝子は、標的部位に組み込まれるよりもむしろ、1つ以上の無作為の染色体座位に組み込まれることもできる。好ましい実施形態では、染色体座位はpGAP遺伝子座、3’AOXTT遺伝子座、およびHIS4 TT遺伝子座からなる群より選択される。その他の例示的な実施形態では、異種性タンパク質サブユニットをコードする遺伝子は、1つ以上の染色体外因子、例えば、1つ以上のプラスミドまたは人工染色体に含有され得る。

0152

例示的な実施形態では、マルチサブユニットタンパク質は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多くの非同一性サブユニットを含み得る。さらに、各サブユニットは、各マルチサブユニットタンパク質において1つ以上存在し得る。例えば、マルチサブユニットタンパク質は、2本の非同一性軽鎖と2本の非同一性重鎖を含む二特異性抗体などの多重特異性抗体であり得る。

0153

サブユニットはモノシストロン性遺伝子ポリシストロン性遺伝子、またはそれらの任意の組合せから発現され得る。各ポリシストロン性遺伝子は複数コピーの同一のサブユ
ットを含み得る、または1つ以上のコピーのそれぞれ異なるサブユニットを含み得る。

0154

ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の操作のために用いられ得る例となる方法(培養、形質転換および接合の方法を含む)は、米国特許出願公開第20080003643号、米国特許出願公開第20070298500号、および米国特許出願公開第20060270045号を含む出願公開、ならびに Higgins, D. R., and Cregg, J. M., Eds. 1998. Pichia Protocols. Methods in Molecular Biology. Humana Press, Totowa, N.J., およびCregg, J. M., Ed., 2007, Pichia Protocols (2nd edition),
Methods in Molecular Biology. Humana Press, Totowa, N.J. に開示される。それらのそれぞれは全体の参照により組み込まれる。

0155

利用され得る例となる発現カセットは、グリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子(GAP遺伝子)プロモーター、融合されている分泌シグナルをコードする配列、その後の発現される遺伝子の配列、その後のピキア・パストリス(P. pastoris)アルコールオキシダーゼI遺伝子(AOX1)に由来するピキア・パストリス(P. pastoris)転写終結シグナルをコードする配列から構成される。ゼオシン耐性マーカー遺伝子は、より高いレベルのゼオシンに対して耐性である形質転換体の選択により、株に複数のコピーの挿入されている発現ベクターを含有する株を濃縮するための手段を提供し得る。同様に、G418耐性マーカー遺伝子またはカナマイシン耐性マーカー遺伝子は、より高いレベルのジェネティシンまたはカナマイシンに対して耐性である形質転換体の選択により、株に複数のコピーの挿入されている発現ベクターを含有する株を濃縮するための手段を提供するために使用され得る。

0156

利用され得る宿主株には、栄養要求性ピキア・パストリス(P. pastoris)または他のピキア株、例えば、met1、lys3、ura3およびade1もしくは他の栄養要求性関連遺伝子に変異を有する株が含まれる。好ましい変異はどのような明らかな頻度でも復帰変異体を生ずることができず、好ましくは部分欠失変異体、またはさらにより好ましくは完全欠失変異体である。原栄養性の二倍体株または四倍体株が、栄養要求性株の相補性セットを接合させることにより作製されることが好ましい。

0157

一倍体ピキア・パストリス(P. pastoris)株の形質転換とピキア・パストリスの有性生殖環の遺伝子操作は、上記のPichia Protocols (1998, 2007) に記載されているように実行され得る。

0158

形質転換の前に、各発現ベクターは、宿主細胞内の標的遺伝子座へのベクターの挿入を導くために、標的ゲノム遺伝子座(例えば、GAPプロモーター配列)に相同な領域内の制限酵素切断により線状化され得る。各ベクターの試料は次に電気穿孔法または他の方法により所望の株の培養物に個々に形質転換され得、そして、成功した形質転換体が選択マーカー、例えば、抗生物質耐性または栄養要求性の相補を用いて選択され得る。分離株は採取され、選択条件下で単一コロニーを得るために画線され、次に、マルチサブユニット複合体(例えば、所望の抗体)のサブユニットをコードする遺伝子のコピー数を確認するために、各株から抽出されたゲノムDNAのサザンブロット分析またはPCR分析により試験され得る。予想されるサブユニット遺伝子産物の発現は、例えば、FACSウエスタンブロット、コロニーリフトおよびイムノブロット、および他の当技術分野において公知の方法により確認されてもよい。一倍体分離株は、追加の異種性遺伝子、例えば、異なる遺伝子座に組み込まれる同一のサブユニットの追加のコピーや異なるサブユニットのコピーを導入するために任意で何回も形質転換される。その後、その一倍体株が接合させられ、マルチタンパク質複合体を合成することができる二倍体株(またはより高い倍数性の株)が作製される。それぞれの予想されるサブユニット遺伝子の存在は、サザンブロッティング、PCR、および他の検出当技術分野において公知の方法により確認され得る。そ
の所望のマルチタンパク質複合体が抗体である場合、その発現はコロニーリフト法/イムノブロット法 (Wung et al. Biotechniques 21 808-812 (1996) やFACSにより確認されることもできる。

0159

この形質転換プロトコルは、異種性遺伝子を第2の遺伝子座に標的挿入するために任意で繰り返される。その異種性遺伝子は第1の遺伝子座に標的挿入されたものと同一の遺伝子または異なる遺伝子であり得る。第2の遺伝子座に組み込まれるコンストラクトが第1の遺伝子座によりコードされる配列と同一、または非常に類似しているタンパク質をコードするとき、その配列は第1の遺伝子座への望まない挿入の可能性を低下させるために変更され得る。例えば、第2の遺伝子座に組み込まれる配列は、第1の遺伝子座に挿入されている配列と比べたプロモーター配列の違い、終結配列の違い、コドン使用頻度の違いや他の許容できる配列の違いを有し得る。

0160

ピキア・パストリス(P. pastoris)一倍体株を接合させるために、かけ合わせられる各株は接合用プレートパッチ状播種され得る。例えば、好都合なことに、接合させられる各株をその増殖に適切なプレートに画線することにより複数の接合を同時に行うことができ、そして、接合の相手は2枚目のプレート(好ましくは、そのプレートはYPDなどの富栄養培地である)に画線され得る。通常、30℃で1日または2日後にその2枚のプレートの細胞を接合用プレートに交差する線のパターンで蒔いて複製を作り、各対の共に蒔かれている株での斜交平衡模様が生じ、一対の元の画線の交差部分で接合する機会を得ることができる。その後、接合用プレートを(例えば、30℃で)保温して株間の接合の開始を促進することができる。約2日後、接合用プレート上の細胞を所望の二倍体株に対して選択的な培地(例えば、接合させられる株が相補的な栄養要求性を有する場合、ドロップアウト培地プレートまたは最少培地プレートを使用することができる)上に画線、パッチ状播種、またはレプリカプレーティングすることができる。これらのプレートを適切な期間(例えば、約3日)(例えば、30℃で)保温して所望の二倍体株の選択的増殖を可能にすることができる。生じるコロニーは単一コロニーを得るために採取および画線され、各二倍体株を単離および精製することができる。

0161

本発明の方法で使用される発現ベクターは、形質転換された酵母株を特定するための選択可能栄養要求性マーカーまたは薬剤マーカーを含む、酵母特異的配列をさらに含み得る。薬剤マーカーは、例えば、薬剤の濃度を上昇させてある集団の細胞を培養し、それにより上昇したレベルのその耐性遺伝子を発現する形質転換体を選択することによって酵母宿主細胞内のベクターのコピー数を増幅するためにさらに使用され得る。

0162

例示的な実施形態では、異種性タンパク質サブユニットをコードする遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子は、誘導性プロモーターに結合されている。適切な例となるプロモーターにはアルコールオキシダーゼ1遺伝子プロモーターホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子(FLD;米国特許出願公開第2007/0298500号を参照のこと)、および当技術分野において公知の他の誘導性プロモーターが含まれる。アルコールオキシダーゼ1遺伝子プロモーターは、グルコース、グリセロールまたはエタノールなどのたいていの一般的な炭素源で酵母が増殖している間はしっかりと抑制されているが、メタノールで増殖している間は大いに誘導される (Tschopp et al., 1987; Stroman, D. W.らの米国特許第4,855,231号)。外来タンパク質の生産のため、株は最初に抑制的炭素源で増殖されてバイオマスを生成し、次に唯一(または主要な)炭素およびエネルギー源としてのメタノールに移し換えられて外来遺伝子の発現を誘導することができる。この調節系の1つの利点は、発現産物が細胞にとって有毒である外来遺伝子で形質転換されているピキア・パストリス(P. pastoris)株は、抑制性条件下で増殖することにより維持され得ることである。

0163

別の例示的な実施形態では、異種性遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子を調節化プロモーターに結合することができ、その発現レベルは適切な条件下で上方制御され得る。例となる調節化プロモーターにはCUP1プロモーター(培地中の銅のレベルにより誘導される)、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、AOX1プロモーターおよびFLD1プロモーターが含まれる。

0164

本開示の大半が抗体の生産について説明しているが、本明細書に記載される方法は他のマルチサブユニット複合体にも容易に適用される。理論により限定される意図はないが、マルチサブユニット複合体の収量と純度は、サブユニットの濃度と化学量論組成によって大いに影響を受ける可能性が有り、サブユニットの濃度と化学量論組成は次に各サブユニットの生産に責任がある遺伝子の発現レベルによって影響を受けると考えられている。本明細書において開示される方法は、2つ以上の異なるサブユニットを含むあらゆる組換えマルチサブユニット複合体の収量や純度を改善するために容易に利用され得る。さらに、本方法は、マルチタンパク質複合体の生産に限定されず、テロメラーゼ、hnRNP、リボソーム、snRNP、シグナル認識粒子原核生物真核生物RNaseP複合体、および複数の別個のタンパク質サブユニットやRNAサブユニットを含む他の任意の複合体を含むリボヌクレオタンパク質(RNP)複合体に関する使用に容易に適応されることもできる。マルチサブユニット複合体を発現する宿主細胞は、当技術分野において公知の方法によって作製され得る。例えば、様々な組合せの遺伝子コピー数を含有する一団の二倍体酵母細胞または四倍体酵母細胞は、異なるコピー数の個々のサブユニット遺伝子(そのコピー数は接合の前に知られていることが好ましい)を含有する細胞を接合することにより作製され得る。

0165

定義
本発明は、記載される特定の方法論、プロトコル、細胞株動物の種または属、および試薬に限定されることは無く、したがって変更可能であると理解されるものとする。本明細書において使用される用語は特定の実施形態の記述のみを目的としており、添付されている特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することはその用語に意図されていないことも理解されるものとする。

0166

本明細書において使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数形の指示物包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及はそのような複数の細胞を包含し、「タンパク質(the
protein)」への言及は1つ以上のタンパク質および当業者に知られるその同等物を包含する、など。本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、別途明確に指示されない限り、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。

0167

ボーラス添加:本開示において、「ボーラス添加」は、(例えば、培地中で)培養細胞と接触している物質(エタノールなど)の濃度の急速な変化を一般的に指す。例えば、その物質は培養細胞に1回の添加で加えられ得る、1回より多い一連の添加で加えられ得る、および/またはある期間にわたって(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、90、または120分にわたって)注入され得る。その物質を、培地を部分的または全体的に換えることによって、例えば、(遠心分離濾過静置、または他の方法を用いて)細胞を濃縮し、培地の一部もしくは全部を取り除き、そして、その物質を添加することによって、またはその物質を含有する培地にその細胞を加えることによって添加することもできる。その物質は担体(例えば、培地、水、生理食塩水、など)と混合され得る。例えば、エタノールのボーラス添加は、純粋エタノールまたは濃縮エタノール(例えば、100%、95%、70%、50%、60%、40%、30%、20%、など)の培地への所望の濃度を作り出すのに十分な量
での添加を含み得る。別の例として、細胞はエタノールを含有する培地に、例えば、エタノールを含有する培地に細胞を含有する接種原を添加することにより加えられ得る。

0168

ボーラス濃度:本開示において、「ボーラス濃度」は、物質(例えば、エタノール)のボーラス添加により生じる濃度を一般的に指す。

0169

接合可能な酵母の種:本発明では、これは培養で増殖させることができるあらゆる二倍体酵母または四倍体酵母を広く包含するように意図されている。酵母のそのような種は一倍体、二倍体、または他の倍数体の形態で存在し得る。所与の倍数性を有する細胞は、適切な条件下では、その形態で無限の世代にわたり増殖することができる。二倍体細胞は胞子形成して一倍体細胞を形成することもできる。続発的な接合により、二倍体株のさらなる接合または融合を介して四倍体株が生じ得る。本発明は、一倍体酵母の使用、ならびに、例えば、接合または融合(例えば、スフェロプラストの融合)により生じた二倍体酵母細胞または他の倍数体酵母細胞の使用を企図する。

0170

本発明の1つの実施形態では、接合可能な酵母はサッカロミセス(Saccharomycetaceae)科のメンバーであり、それにはアルキオジマ属(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ属(Ascobotryozyma)、キテロミセス属(Citeromyces)、デバリオミセス属(Debaryomyces)、デッケラ属(Dekkera)、エレモテシウム属(Eremothecium)、イッサチェンキア属(Issatchenkia)、カザフスタニア属(Kazachstania)、クルイヴェロミセス属(Kluyveromyces)、コダマエア属(Kodamaea)、ロデロミセス属(Lodderomyces)、パキソレン属(Pachysolen)、ピキア属(Pichia)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、サツルニスポラ属(Saturnispora)、テトラピシスポラ属(Tetrapisispora)、トルラスポラ属(Torulaspora)、ウィリオプシス属(Williopsis)、およびジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)が含まれる。本発明において有用である可能性がある他の種類の酵母にはヤロウィア属(Yarrowia)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、カンジダ属(Candida)、ハンセヌラ属(Hansenula)、フィロバシウム属(Filobasium)、スポリジオボラス属(Sporidiobolus)、ブレラ属(Bullera)、リューコスポリジウム属(Leucosporidium)、およびフィロバシデラ属(Filobasidella)が含まれる。

0171

本発明の好ましい実施形態では、接合可能な酵母はピキア属のメンバーであり、または別のメチロトローフである。本発明のさらに好ましい実施形態では、ピキア属の接合可能な酵母は次の種のうちの1つである:ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、およびハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))。本発明の特に好ましい実施形態では、ピキア属の接合可能な酵母はピキア・パストリス種である。

0172

一倍体酵母細胞:細胞の通常のゲノム(染色体)の定量を構成する各遺伝子を1コピー有する細胞。

0173

倍数体酵母細胞:細胞の通常のゲノム(染色体)の定量を構成する各遺伝子を1コピーよりも多く有する細胞。

0174

二倍体酵母細胞:細胞の通常のゲノムの定量を構成する基本的に全遺伝子を2コピー(アリル)有する細胞であって、2つの一倍体細胞の融合(接合)過程により通常形成され
る細胞。

0175

四倍体酵母細胞:細胞の通常のゲノムの定量を構成する基本的に全遺伝子を4コピー(アリル)有する細胞であって、2つの二倍体細胞の融合(接合)過程により通常形成される細胞。四倍体は、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い異なる発現カセットを担持し得る。そのような四倍体を、ヘテロタリックホモ接合性のa/a二倍体とα/α二倍体を選択的に接合させることにより出芽酵母(S. cerevisiae)において得ることができ、栄養要求性二倍体を得るための一倍体の続発的な接合によりピキア属において得ることができる。例えば、[met his]一倍体を[ade his]一倍体と接合させて二倍体[his]を得ることができ、そして[met arg]一倍体を[ade arg]一倍体と接合させて二倍体[arg]を得ることができ、次に二倍体[his]を二倍体[arg]と接合させて四倍体の原栄養株を得ることができる。当業者は、二倍体細胞の利点と利用についての言及は四倍体細胞にも当てはまり得ることを理解する。

0176

酵母の接合:2つの酵母細胞が融合して1つの酵母細胞を形成する過程。融合した細胞は一倍体細胞またはそれより高い倍数性を有する細胞であり得る(例えば、2つの二倍体細胞の接合が1つの四倍体細胞を産生する)。

0177

減数分裂:二倍体酵母細胞が還元分裂を経て4つの一倍体胞子を形成する過程。各胞子は、その後出芽して一倍体の栄養増殖細胞株を形成し得る。

0178

選択マーカー:選択マーカーは遺伝子または遺伝子断片であって、例えば、形質転換事象を介してその遺伝子を受容している細胞にある成長表現型物理的な成長特性)を与える遺伝子または遺伝子断片である。選択マーカーにより細胞は、その選択マーカー遺伝子を受容していない細胞が増殖することができない条件にある選択的増殖培地生存および増殖することができる。選択マーカー遺伝子は一般にいくつかの種類に分類され、細胞に抗生物質または他の薬品への耐性、2つの温度感受性(「ts」)変異体が交雑されるとき、またはts変異体が形質転換されるときに温度への耐性を付与する遺伝子のようなポジティブ選択マーカー遺伝子生合成遺伝子であって、その遺伝子を持たない全ての細胞に必要とされる特定の栄養素を欠く培地で増殖する能力を細胞に付与する生合成遺伝子、または変異型生合成遺伝子であって、野生型遺伝子を持たない細胞に増殖不能性を付与する変異型生合成遺伝子のようなネガティブ選択マーカー遺伝子、などを包含する。適切なマーカーにはZEO、NEO(G418)、LYS3、MET1、MET3a、ADE1、ADE3、URA3などが含まれるが、これらに限定されない。

0179

挿入物生物の染色体に共有結合している遺伝子成分(典型的には異種性の遺伝子成分)。

0180

タンデム挿入物:染色体中の近接する位置に挿入されている2コピー以上の遺伝子成分。その2つ以上のコピーは、例えば、転写される遺伝子について必ずしも方向性を持たず、あるコピーはワトソン鎖より転写され、他のコピーはクリック鎖より転写され得る。

0181

宿主細胞:本開示に関連して、宿主細胞という用語は異種性遺伝子を含有する細胞(例えば、ピキア細胞などの真核細胞)を指す。例えば、その異種性遺伝子は、所望のマルチサブユニット複合体のサブユニットの発現、タンパク質の折り畳みに関与する遺伝子(例えば、シャペロン)、発現に関与する遺伝子、もしくは分泌に関与する遺伝子の発現、および/または別の所望の遺伝子の発現をもたらし得る。異種性遺伝子は真核細胞のゲノムに挿入され得る、または、プラスミドもしくは人工染色体などの染色体外エレメントに含有され得る。

0182

発現ベクター:これらのDNAベクターは、標的宿主細胞内での外来タンパク質の発現のための操作を容易にする配列を含有する。都合がよいことに、配列の操作および形質転換用のDNAの産生は、細菌性宿主、例えば、大腸菌でまず実行され、たいてい、ベクターは、細菌性複製起点および適切な細菌用選択マーカーを包含する、そのような操作を容易にする配列を含む。選択マーカーは、形質転換された宿主細胞の選択培地での生存または増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されていない宿主細胞はその培地中で生存しない。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素に対する耐性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠損を相補するタンパク質、または(c)複合培地から入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。酵母の形質転換のためのベクターおよび方法の例は、例えば、Burke, D., Dawson, D., & Stearns, T. (2000)に記載される。 Methodsin Yeast genetics: a Cold Spring Harbor Laboratory course manual. Plainview, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0183

本発明の方法において使用される発現ベクターは、形質転換された酵母株を特定するための選択可能栄養要求性マーカーまたは選択可能薬品マーカーを含む、酵母特異的配列をさらに包含し得る。薬品マーカーは、酵母宿主細胞内でのベクターのコピー数の増幅について選択するためにさらに使用され得る。

0184

目的のポリペプチドコード配列は、通常、酵母細胞でのポリペプチドの発現のための転写調節配列および翻訳調節配列に機能するように結合されている。これらのベクター成分には、次のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:エンハンサー成分、プロモーター配列および転写終結配列。ポリペプチドの分泌のための配列、例えば、シグナル配列などを含むこともできる。発現ベクターは多くの場合、酵母ゲノムに組み込まれるので、酵母の複製起点は任意である。

0185

任意ではあるが、本発明の1つの実施形態では、マルチサブユニット複合体の1つ以上のサブユニットは、発現したポリペプチドの培地への分泌をもたらす分泌配列に機能するように結合しており、または融合しており、それは異種性マルチサブユニット複合体の収集と精製を容易にすることができる。さらにより好ましくは、分泌配列は、例えば、好ましいコドンを選択したり、コドンの選択によりATのパーセンテージを変化させたりして、宿主細胞(例えば、酵母二倍体細胞)からのポリペプチドの最適化された分泌をもたらす。分泌効率や安定性は分泌配列の選択によって影響され得ること、および最適な分泌配列は様々なタンパク質の間で異なり得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、 Koganesawa et al., Protein Eng. 2001 Sep;14(9):705-10 を参照のこと)
ことが当技術分野において知られている。多くの適切である可能性がある分泌シグナルが当技術分野において知られており、そして、それらは、特定の異種性マルチサブユニット複合体の収率や純度に対するそれらの効果について容易に試験され得る。酵母および他の種の分泌型タンパク質に存在する分泌配列、ならびに遺伝子操作された分泌配列を含む、あらゆる分泌配列を使用する可能性が有り得る。利用され得る分泌配列の例には、ニワトリリゾチーム(CLY)シグナルペプチド(MRSLLILVLCFLPLALG(配列番号414))、CLY‐L8(MRLLLLLLLLPLAALG(配列番号415))、出芽酵母インベルターゼ(SUC2)シグナルペプチド(MLLQAFLFLLAGFAAKISA(配列番号416))、MF‐α(プレプロ)(MRFPSIFTAVLFAASSALA−APVNTTTE−EGVSLEKR(配列番号417))、MF‐α(プレ)‐apv(MRFPSIFTAVLFAASSALA−APV(配列番号418))、MF‐α(プレ)‐apv‐SLEKR(MRFPSIFTAVLFAASSALA−APVSLEKR(配列番号419))、MF‐α(プレプロ)‐(EA)3(MRFPSIFTAVLFAASSALA−APVNTTTE−EGVSLEKR−EA
AEA(配列番号420))、αFシグナルペプチド(MRFPSIFTAVLFAASSALA−APVNTTTE−DETAQIPAEAVIGYSDLGDFDVAVLPFSNSTNNGLLFINTTIASIAAKE−EGVSLEKR(配列番号421))、KILM1シグナルペプチド(MTKPTQVLVRSVILFFITLLHLVVALNDVAGPAETAPVSLLPR(配列番号422))、抑制型酸性ホスファターゼ(PHO1)シグナルペプチド(MFSPILSLEIILALATLQSVFA(配列番号423))、アスペルギルス・ニガー(A. niger)GOXシグナルペプチド(MQTLLVSSLVVSLAALPHYIR(配列番号424))、シュワンニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)グルコアミラーゼ遺伝子(GAM1)シグナルペプチド(MIFLKLIKSIVIGLGLVSAIQA(配列番号425))、プロ配列を有するヒト血清アルブミン(HSA)シグナルペプチド(MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRR(配列番号426))、プロ配列を有しないヒト血清アルブミン(HSA)シグナルペプチド(MKWVTFISLLFLFSSAYS(配列番号427))、ISNシグナルペプチド(MALWMRLLPLLALLALWGPDPAAA(配列番号428))、IFNシグナルペプチド(MKYTSYILAFQLCIVLGSLGCDLP(配列番号429))、HGHシグナルペプチド(MAADSQTPWLLTFSLLCLLWPQEPGA(配列番号430))、フィトヘマグルチニン(PHA)(MKKNRMMMMIWSVGVVWMLLLVGGSYG(配列番号431))、カイコリゾチーム(MQKLIIFALVVLCVGSEA(配列番号432))、ヒトリゾチーム(LYZ1)(MKALIVLGLVLLSVTVQG(配列番号433))、1型アクチビン受容体(MVDGVMILPVIMIALPSPS(配列番号434))、アクチビンII型受容体(MGAAAKLAFAVFLISCSSG(配列番号435))、ピキア・パストリス(P. pastoris)免疫グロブリン結合タンパク質(PpBiP)(MLSLKPSWLTLAALMYAMLLVVVPFAKPVRA(配列番号436))、およびヒト抗体3D6軽鎖リーダー(MDMRVAQLLGLLLLWLPGAKC(配列番号437))が挙げられる。 Hashimoto et al., Protein Engineering vol. 11
no. 2 pp.75-77, 1998、 Oka et al., Biosci Biotechnol Biochem. 1999 Nov; 63(11):1977-83、 Gellissen et al., FEMS Yeast Research 5 (2005) 1079-1096、 Ma et al., Hepatology. 2005 Dec;42(6):1355-63、 Raemaekers et al., Eur J Biochem. 1999 Oct 1;265(1):394-403、 Koganesawa et al., Protein Eng. (2001) 14 (9): 705-710、 Daly et al., Protein Expr Purif. 2006 Apr;46(2):456-67 、 Damasceno et al., Appl Microbiol Biotechnol (2007) 74:381-389、 および Felgenhauer et al., Nucleic AcidsRes. 1990 Aug 25;18(16):4927 を参照のこと。それらの文献のそれぞれは、参照によ
りその全体が本明細書に組み込まれる)。マルチサブユニット複合体を、分泌シグナルに機能するように結合または融合せずに培地に分泌することもできる。例えば、いくつかの異種性ポリペプチドは、分泌シグナルに機能するように結合または融合せずともピキア・パストリス(P. pastoris)で発現すると培地に分泌されることが示されている。さらに、マルチサブユニット複合体は、当技術分野において公知の方法を用いて、(例えば、その複合体がほとんど分泌されない場合に、好ましくあり得る)宿主細胞から精製され得る。

0186

所望のマルチサブユニット複合体を含む培地または細胞は培養物から回収され得る。任意で、分泌型タンパク質が精製され得る。例えば、所望のマルチサブユニット複合体を含む細胞は、機械的方法化学的方法酵素的方法や浸透圧的方法(例えば、液体窒素を用いる凍結ホモジェナイザーの使用、スフェロプラスト化、超音波処理ガラスビーズ存在下での撹拌、界面活性剤の使用など)を用いて溶解され得る。所望のマルチサブユニット複合体は、当技術分野において公知の方法を用いて濃縮、濾過、透析などされ得る。所望のマルチサブユニット複合体は、例えば、その分子質量(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、等電点(例えば、等電点電気泳動)、電気泳動移動度(例えば、ゲル電気
泳動)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、荷電(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)、親和性(例えば、抗体の場合、プロテインA、プロテインGや所望の抗体が結合するエピトープへの結合)、および/またはグリコシル化状態(例えば、レクチン結合親和性により検出される)に基づいて精製され得る。所望のレベルの純度を得るために複数の精製ステップを実行することができる。例示的な実施形態では、所望のマルチサブユニット複合体は免疫グロブリン定常ドメインを含むことができ、そして、それは、プロテインA親和性またはプロテインG親和性、サイズ排除クロマトグラフィー、および(グリコシル化形態を除去するための)レクチンへの結合の欠如を用いて精製され得る。精製の際にタンパク質分解を抑制するために、任意で、フェニルメチルスルホニルフルオリドPMSF)などのAプロテアーゼ阻害剤を添加してもよい。

0187

核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に配置されるとき、「機能するように結合」されている。例えば、シグナル配列のDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレプロテインとして発現する場合、そのポリペプチドのDNAに機能するように結合している。プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、その配列に機能するように結合している。一般に、「機能するように結合している」は、結合されているDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合は、連続的であり、読み枠に合っていることを意味する。しかしながら、エンハンサーは連続的である必要は無い。結合は、都合がよい制限部位でのライゲーションにより、あるいは当業者によく知られているPCR/組換え方法(Gateway(登録商標)Technology;Invitrogen社、カールバードカリフォルニア州)により達成され得る。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを従来の実施に従って使用することができる。所望の核酸(機能するように結合した配列を含む核酸を包含する)を化学合成によって作製することもできる。

0188

プロモーターは、それらが機能するように結合している特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する、構造遺伝子開始コドンの(一般に約100〜1000bp)上流(5’側)に位置する非翻訳配列である。そのようなプロモーターはいくつかのクラス、すなわち、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、および(抑制因子不在応答して転写レベルを上昇させる)抑制性プロモーターに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件のある変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度変化に応答してそれらのプロモーターの制御下でDNAからの発現レベルの上昇を開始することができる。

0189

酵母性プロモーター断片は、酵母ゲノム内の同一の部位への発現ベクターの相同組換えまたは挿入のための部位として機能することもできる。あるいは、選択マーカーが相同組換え部位として使用される。ピキア属の形質転換は、Cregg et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:3376-3385 に記載されており、その文献は参照によりその全体が本明細書に組み
込まれる。

0190

ピキア属に由来する適切なプロモーターの例にはCUP1(培地内の銅のレベルによって誘導される)、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、AOX1プロモーター (Cregg et al. (1989) Mol. Cell. Biol. 9:1316-1323); ICL
1プロモーター (Menendez et al. (2003) Yeast 20(13):1097-108);グリセルアルデヒ
ド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター (GAP) (Waterham et al. (1997) Gene 186(1):37-44); およびFLD1プロモーター (Shen et al. (1998) Gene 216(1):93-102) が挙げられる。GAPプロモーターは強力な構成的プロモーターであり、CUP1プロモーター、AOXプロモーターおよびFLD1プロモーターは誘導性である。それぞれの前述の参照文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0191

他の酵母性プロモーターには、酵母に由来するADH1プロモーター、アルコールデヒ
ドロゲナーゼIIプロモーター、GAL4プロモーター、PHO3プロモーター、PHO5プロモーター、Pykプロモーター、およびキメラプロモーターが含まれる。さらに、哺乳類性プロモーター、昆虫性プロモーター、植物性プロモーター、爬虫類性プロモーター、両生類性プロモーター、ウイルス性プロモーター、鳥類性プロモーターなど、非酵母性プロモーターを本発明において使用することができる。最も典型的には、プロモーターは哺乳類性プロモーター(発現遺伝子にとって内在的である可能性が高い)を含み、または酵母系での効率的な転写をもたらす酵母性プロモーターもしくはウイルス性プロモーターを含むことが最も典型的である。

0192

目的のポリペプチドは、組換え技術により直接的に作製され得るだけでなく、異種性ポリペプチド、例えば、成熟型タンパク質またはポリペプチドのN末端に特定の切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても作製され得る。一般に、シグナル配列はベクターの要素であり得、または、それはベクターに挿入されるポリペプチドコード配列の一部であり得る。好適に選択される異種性シグナル配列は、宿主細胞内で利用可能である標準的な経路のうちの1つによって認識および処理されるシグナル配列である。出芽酵母のα因子プレプロシグナルは、様々な組換えタンパク質のピキア・パストリス(P. pastoris)からの分泌に有効であることが証明されている。他の酵母シグナル配列には、α接合因子シグナル配列、インベルターゼシグナル配列、および他の分泌型酵母ポリペプチドに由来するシグナル配列が含まれる。さらに、これらのシグナルペプチド配列は操作されて二倍体酵母発現系での分泌の増強がもたらされる。他の興味深い分泌シグナルには哺乳類性シグナル配列も含まれ、それは分泌されているタンパク質にとって異種性であり得る、または、分泌されているタンパク質の固有の配列であり得る。シグナル配列にはプレペプチド配列が含まれ、いくつかの例ではプロペプチド配列が含まれ得る。多くのそのようなシグナル配列が当技術分野において公知であり、それには免疫グロブリン鎖に見出されるシグナル配列、例えば、K28プレプロ毒素配列、PHA‐E、FACE、ヒトMCP‐1、ヒト血清アルブミンシグナル配列、ヒトIg重鎖、ヒトIg軽鎖などに見出されるシグナル配列が含まれる。例えば、Hashimoto et. al. Protein Eng 11(2) 75 (1998)、および Kobayashi et. al. Therapeutic Apheresis 2(4) 257 (1998) を参照のこと。それらの文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0193

転写は転写活性化配列をベクターに挿入することにより上昇し得る。これらの転写活性化配列は、cis作用性DNAエレメントであり、通常10bpから300bpまでであり、プロモーターに作用してその転写を上昇させる。転写エンハンサーはどちらかと言えば方向および位置に非依存的であり、転写単位の5’側および3’側、イントロン内ならびにコード配列自体の内側に見出されている。エンハンサーはコード配列の5’側および3’側の位置で発現ベクターに継ぎ足され得るが、好ましくはプロモーターの5’側部位に位置する。

0194

真核宿主細胞内で使用される発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含有することもできる。そのような配列は通常、翻訳終止コドンの3’側、真核生物性またはウイルス性のDNAまたはcDNA非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、mRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。

0195

上記の成分のうちの1つ以上を含有する適切なベクターの構築は標準的なライゲーション技術またはPCR/組換え方法を用いる。所望のプラスミドを作製するのに望ましい形式で、または組換え方法により、単離されたプラスミドまたはDNA断片を切断し、目的に合わせ、および再結合する。構築されたプラスミド内の配列が正しいことを確認する分析のため、ライゲーション混合物を使用して宿主細胞を形質転換し、成功した形質転換体
を、適切な場合では、抗生物質耐性(例えば、アンピシリンまたはゼオシンへの耐性)により選択する。その形質転換体に由来するプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析したり、塩基配列決定したりする。

0196

断片の制限消化およびライゲーションの代わりとして、att部位および組換え酵素に基づく組換え方法を用いてDNA配列をベクターに挿入することができる。そのような方法は、例えば、 Landy (1989) Ann. Rev. Biochem. 58:913-949 によって記載されており、当業者に知られている。そのような方法は、ラムダファージと大腸菌がコードする組換えタンパク質の混合物が介在する分子間DNA組換えを活用する。組換えは、相互作用するDNA分子上の特定の付着(att)部位の間で起こる。att部位の説明については、 Weisberg and Landy (1983) Site-Specific Recombination in Phage Lambda, in Lambda II, Weisberg, 編 (Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Press), pp. 211-250 を参照のこと。組換え後にatt部位がそれぞれの親ベクターによって供与され
る配列から構成されるハイブリッド配列であるように、その組換え部位に隣接するDNAセグメント交換される。組換えはあらゆるトポロジーのDNAの間で起こり得る。それぞれの前述の参照文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0197

att部位は、目的の配列を適切なベクターにライゲーションすることにより、特定のプライマーの使用によりattB部位を含有するPCR産物を作製することにより、att部位を含有する適切なベクターにクローン化されているcDNAライブラリーを作製するなどにより、目的の配列に導入され得る。

0198

モノシストロン性遺伝子およびポリシストロン性遺伝子。モノシストロン性遺伝子は、単一のタンパク質を翻訳するための遺伝情報を含有するRNAをコードする。ポリシストロン性遺伝子は、1つより多いタンパク質を翻訳するための遺伝情報を含有するRNAをコードする。ポリシストロン性遺伝子にコードされるタンパク質は同一もしくは異なる配列またはそれらの組合せを有し得る。ジシストロン性またはバイシストロン性は、2つのタンパク質をコードするポリシストロン性遺伝子を指す。ポリシストロン性遺伝子は任意で、翻訳のキャップ非依存的開始を促進する1つ以上の配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントを含み、そのエレメントは、mRNA分子の5’末端に結合している5’キャップ構造に独立して下流タンパク質コード領域の翻訳を推進し得る位置に配置され得る。あらゆる既知IRES配列(例えば、ウイルス起源、真核生物起源、または人工起源の)を使用することができる。例えば、Thompson et al. (2001) PNAS 98:12972-12977 に記載されるように、遺伝子間領域(IGR)にあるコオロギ麻痺ウイルスのIRE
S配列を使用することができる。任意で、IRES機能は遺伝的変更、例えば、eIF2キナーゼであるGCN2の恒常的発現を引き起こすことにより、または2つの開始tRNA(met)遺伝子が破壊されること(同上)を妨害することにより、強力化され得る。

0199

折り畳み構造は、本明細書において使用される場合、ポリペプチドおよびタンパク質の三次元構造を指し、その三次元構造ではアミノ酸残基間の相互作用が構造を安定化させるように作用している。非共有結合性相互作用が構造の決定に重要であるが、通常、目的のタンパク質は2個のシステイン残基により形成される分子内共有結合性ジスルフィド結合や分子間共有結合性ジスルフィド結合を有する。天然のタンパク質およびポリペプチドまたはそれらの誘導体および変異体について、適切な折り畳み構造は、典型的には最適な生物活性を生じる配列であり、都合がよいことに、活性、例えば、リガンド結合活性、酵素活性などのアッセイによりモニターされ得る。

0200

いくつかの例では、例えば、所望の産物が合成由来である場合、生物活性に基づくアッセイはあまり意味がない。そのような分子の適切な折り畳み構造は、物性、エネルギー的考察、モデル化研究などに基づいて決定され得る。

0201

発現宿主は、折り畳みおよびジスルフィド結合形成を増強する1つ以上の酵素、すなわち、フォルダーゼ(foldase)、シャペロニング酵素などをコードする配列の導入によってさらに改変され得る。そのような配列は、当技術分野において公知のベクター、マーカーなどを使用して、酵母宿主細胞において恒常的または誘導的に発現し得る。好ましくは、所望の発現パターンに十分である転写調節エレメント包む前記の配列は、標的化方法により酵母ゲノムに安定的に組み込まれる。

0202

例えば、真核生物性PDIは、タンパク質のシステイン参加およびジスルフィド結合異性化の効率的な触媒であるばかりでなく、シャペロン活性も示す。PDIの共発現により、複数のジスルフィド結合を有する活性型タンパク質の産生を促進することができる。BIP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)、シクロフィリンなどの発現も興味深い。本発明の1つの実施形態では、マルチサブユニット複合体を接合により形成された酵母株から発現することができ、その場合、一倍体の親株のそれぞれは別個の折り畳み酵素を発現する。例えば、1つの株がBIPを発現してよく、他方の株がPDIまたはそれらの組合せを発現してよい。

0203

「所望のタンパク質」または「標的のタンパク質」という用語は互換的に使用され、本明細書に記載される抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその結合部分などの異種性マルチサブユニットタンパク質を一般的に指す。

0204

「抗体」という用語は、エピトープに適合し、それを認識する特定の形状を有するあらゆるポリペプチド鎖含有分子構造を含み、その場合、1つ以上の非共有結合性相互作用がその分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化させる。原型の抗体分子は免疫グロブリンであり、あらゆる供給源、例えば、ヒト、げっ歯類動物、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタイヌ、他の哺乳類動物、ニワトリ、他の鳥類などに由来する全ての種類の免疫グロブリン、すなわち、IgG、IgMIgAIgEIgDなどが「抗体」と見なされる。本発明に従う出発物質として有用な抗体を生産するために好ましい供給源はウサギである。多数の抗体コード配列が記載されており、当技術分野において周知の方法によって他の抗体を産生することができる。その抗体の例にはキメラ抗体、ヒト抗体、および他の非ヒト哺乳類性抗体、ヒト化抗体、scFvなどの単鎖抗体、キャメルボディ、ナノボディ、IgNAR(サメ由来の単鎖抗体)、小モジュラー型免疫薬(small‐modular immunopharmaceutical:SMIP)、およびFabs、Fab’、F(ab’)2のような抗体断片などが含まれる。 Streltsov V A, et al., Structure of a shark IgNAR antibody variable domain and modeling of an early-developmental isotype, Protein Sci. 2005 November; 14(11):2901-9. Epub 2005 Sep. 30、 Greenberg A S, et al., A new antigen receptor gene family that undergoes rearrangement and extensive somatic diversification in sharks, Nature. 1995 Mar. 9; 374(6518):168-73、 Nuttall S D, et al., Isolation of the new antigen receptor from wobbegong sharks, and use as a scaffold for the display of protein loop libraries, Mol Immunol. 2001 August; 38(4):313-26、 Hamers-Casterman C, et al., Naturally
occurring andibodies devoid of light chains, Nature. 1993 Jun. 3; 363(6428):446-8; Gill D S, et al., Biopharmaceutical drug discovery using novel protein scaffolds, Curr Opin Biotechnol. 2006 December; 17(6):653-8. Epub 2006 Oct. 19 を参照のこと。それぞれの前述の参照文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0205

例えば、抗体または抗原結合断片は遺伝子操作により作製され得る。この技法では、他の方法と同様に、所望の抗原または免疫原に対して抗体産生細胞感作させる。抗体産生細胞から単離されたメッセンジャーRNA鋳型として使用し、PCR増幅を用いてcDNAを作製する。それぞれ最初の抗原特異性を保持する1つの重鎖遺伝子および1つの軽
鎖遺伝子を含有するベクターからなるライブラリーを、増幅した免疫グロブリンcDNAの適切な断片を発現ベクターに挿入することにより作製する。重鎖遺伝子ライブラリーを軽鎖遺伝子ライブラリーと組み合わせることによってコンビナトリアルライブラリーを構築する。これにより、(抗体分子のFab断片または抗原結合断片に類似する)重鎖および軽鎖を共発現するクローンからなるライブラリーが生じる。これらの遺伝子を担持するベクターは宿主細胞に共形移入される。形質移入された宿主で抗体遺伝子の合成が誘導されると、重鎖タンパク質および軽鎖タンパク質が自己会合して、抗原または免疫原を使用するスクリーニングによって検出され得る活性型抗体を形成する。

0206

目的の抗体コード配列には、天然の配列、ならびに開示される核酸と遺伝コード縮重のために同一ではない核酸によってコードされるもの、ならびにそれらの変異体が含まれる。変異体ポリペプチドはアミノ酸(aa)の置換、付加、または欠失を包含し得る。アミノ酸置換保存的アミノ酸置換、または非必須のアミノ酸を除去する置換、例えば、グリコシル化部位を変化させる置換、または機能に必要ではない1つ以上のシステイン残基の置換もしくは欠失により誤った折り畳みを最小化する置換であり得る。変異体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能性ドメイン触媒性アミノ酸残基など)の上昇した生物活性を保持するように、または有するように設計され得る。変異体は、本明細書において開示されるポリペプチドの断片、特に生物学的に活性を有する断片および/または機能性ドメインに対応する断片も包含する。クローン化された遺伝子のインビトロ突然変異形成の技法は公知である。ポリペプチドのタンパク質分解に対する耐性を向上させるように、または溶解性を最適化するように、またはそれらを治療薬としてより適切にするように従来の分子生物学的技術を用いて改変されているポリペプチドも本対象の発明に含まれる。

0207

キメラ抗体は、1つの種の抗体産生細胞から得られる定常軽鎖領域および重鎖領域を有する可変軽鎖領域および重鎖領域(VLおよびVH)を別の種のものと組み合わせることによって、組換え技術により作製され得る。通常、キメラ抗体は、ヒトドメインを主に有する抗体を作製するために、げっ歯類動物またはウサギの可変領域とヒトの定常領域を利用する。そのようなキメラ抗体の作製は当技術分野において周知であり、そして、(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,624,659号に記載される)標準的な手法により達成され得る。本発明のキメラ抗体のヒト定常領域はIgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域、IgG4定常領域、IgG5定常領域、IgG6定常領域、IgG7定常領域、IgG8定常領域、IgG9定常領域、IgG10定常領域、IgG11定常領域、IgG12定常領域、IgG13定常領域、IgG14定常領域、IgG15定常領域、IgG16定常領域、IgG17定常領域、IgG18定常領域またはIgG19定常領域から選択され得ることがさらに考えられている。

0208

ヒト化抗体は、より多くのヒト様免疫グロブリンのドメインさえ含み、且つ、組み込まれている動物由来の抗体の領域は相補性決定領域のみであるように操作される。これは、モノクローナル抗体の可変領域にある超可変ループの配列を注意深く検討し、それらをヒト抗体鎖の構造に適合させることにより達成される。表面的には複雑だが、実際にはその処理は簡単である。例えば、参照により完全に本明細書に組み込まれる、米国特許第6,187,287号を参照のこと。抗体をヒト化する方法は、発行された米国特許第7935340号において以前に記載されている。その特許の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、活性を維持するために追加のウサギフレームワーク残基が必要であるかどうかの決定が必要である。いくつかの例では、ヒト化抗体は、親和性または活性の欠如を最小化するためにいくつかの重要なウサギフレームワーク残基が保持されることをなお必要とする。これらの場合では、所望の活性を得るために、ヒト生殖系列配列由来の単一または複数のフレームワークアミノ酸を元々のウサギアミノ酸に戻す
ことが必要である。これらの変更は、どのウサギ残基が親和性および活性を保存するために必要であるか特定するための実験により決定される。

0209

免疫グロブリン(またはそれらの組換え相対物)全体に加えて、エピトープ結合部位(例えば、Fab’、F(ab’)2、または他の断片)を含む免疫グロブリン断片が合成され得る。「断片」または最小免疫グロブリンは、組換え免疫グロブリン技法を利用して設計され得る。例えば、本発明において使用される「Fv」免疫グロブリンは、融合軽鎖可変領域重鎖可変領域の合成により作製され得る。抗体の組合せ、例えば、2つの別個のFv特異性を含むものである、ジアボディも興味深い。本発明の別の実施形態では、SMIP(小分子免疫薬)、キャメルボディ、ナノボディ、およびIgNARが免疫グロブリン断片によって包含される。

0210

免疫グロブリンおよびその断片は、例えば、化学リンカーなどのエフェクター部分蛍光性色素、酵素、毒素、基質、生物発光物質、放射性物質化学発光部分などのような検出可能部分、またはストレプトアビジンアビジンもしくはビオチンなどの特定の結合部分を付加するために翻訳後に修飾を受けることができ、その様なものは本発明の方法および組成物において利用され得る。付加的なエフェクター分子の例は上で提供されている。

0211

生産物関連変異体:所望の産物の調製物中に存在し、所望の産物に関連する、その所望の産物(例えば、所望のマルチサブユニット複合体)以外の産物。生産物関連変異体の例には、短縮型または伸長型のペプチド、所望のグリコシル化と異なるグリコシル化を有する産物(例えば、非グリコシル化産物が所望されている場合、あらゆるグリコシル化産物は生産物関連変異体と見なされる)、異常な化学量論組成を有する複合体、不適切集合、異常なジスルフィド結合、異常または不完全な折り畳み、凝集、プロテアーゼ切断、または他の異常が挙げられる。例となる生産物関連変異体は、分子質量(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより検出される)、等電点(例えば、等電点電気泳動により検出される)、電気泳動移動度(例えば、ゲル電気泳動により検出される)、リン酸化状態(例えば、マススペクトロメトリーにより検出される)、対質量荷電比率(例えば、マススペクトロメトリーにより検出される)、タンパク質分解断片の質量または正体(例えば、マススペクトロメトリーまたはゲル電気泳動により検出される)、疎水性(例えば、HPLCにより検出される)、荷電(例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより検出される)、親和性(例えば、抗体の場合、プロテインA、プロテインGや所望の抗体が結合するエピトープへの結合により検出される)、およびグリコシル化状態(例えば、レクチン結合親和性により検出される)のうちの1つ以上の変化を示し得る。所望のタンパク質が抗体である場合、生産物関連変異体という用語は(下に記載される)グリコ重鎖変異体や半抗体種を含み得る。

0212

例となる生産物関連変異体には、異常なジスルフィド結合を含有する変異体型が含まれる。例えば、大半のIgG1抗体分子は総計で16個の鎖内ジスルフィド架橋および鎖間ジスルフィド架橋により安定化され、それらのジスルフィド架橋は重鎖と軽鎖の両方でIgGドメインの折り畳み構造を安定化し、一方、鎖間ジスルフィド架橋は重鎖および軽鎖の間の結合を安定化させる。他の抗体種も同様に特徴的な安定化鎖内ジスルフィド結合および鎖間ジスルフィド結合を含有する。さらに、いくつかの抗体(本明細書において開示されるAb‐AおよびAb‐Bを含む)は、非正準ジスルフィド結合と呼ばれる追加的なジスルフィド結合を含有する。したがって、異常な鎖間ジスルフィド結合は、安定化共有結合や追加的なサブユニットへのジスルフィド結合の不在に起因する複合体の異常な化学量論組成を生じ得る。さらに、異常なジスルフィド結合(鎖間にせよ鎖内にせよ)により抗体の構造的安定性が減少する可能性があり、それにより活性の減少、安定性の減少、凝集体を形成する傾向の上昇や免疫原性の上昇が生じ得る。異常なジスルフィド結合を含有する生産物関連変異体は、非還元型変性SDS‐PAGE、キャピラリー電気泳動、cI
EX、マススペクトロメトリー(任意で、遊離システイン質量シフトを生じさせる化学修飾を含む)、サイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、光散乱の変化、および当技術分野において公知の他の任意の適切な方法を含む様々な方法で検出され得る。例えば、 The Protein Protocols Handbook 2002, Part V, 581-583,DOI: 10.1385/1-59259-169-8:581 を参照のこと。

0213

半抗体、半抗体種、またはH1L1は、1本の重抗体鎖および1本の軽抗体鎖を含むが、2本目の重抗体鎖および軽抗体鎖への共有結合を欠くタンパク質複合体を指す。2つの半抗体は、(完全型抗体に類似の挙動、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定される見かけの分子量を生じ得る)いくつかの条件下で非共有結合により結合され続けることができる。同様に、H2L1は、2本の重抗体鎖と1本の軽抗体鎖を含むが、2本目の軽抗体鎖への共有結合を欠くタンパク質複合体を指す。これらの複合体は別の軽抗体鎖と非共有結合により結合し得る(および同様に完全型抗体に類似の挙動を生じ得る)。完全型抗体と同様に、半抗体種およびH2L1種は還元性条件下で個々の重鎖および軽鎖に解離し得る。半抗体種およびH2L1種は、完全型抗体よりも少ない見かけの分子量で移動する種として非還元型SDS‐PAGEゲル上で検出され得、例えば、H1L1は完全型抗体(例えば、約75kDa)の見かけの分子量のおよそ半分で移動する。

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