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図面 (17)

課題

ニッケル水素電池を備える電池ステムにおいて、正極におけるNi2O3Hの生成量とともに正極内におけるNi2O3Hの生成むらも考慮して、Ni2O3Hの生成による電池の劣化を抑制する。

解決手段

ECU100は、第1マップを参照して、電圧VBi及び温度TBiからNi2O3Hの生成量を示すF値を算出し、第2マップを参照して、充電電流IB及び温度TBiからNi2O3Hの生成むらの大きさを示すG値を算出する。そして、ECU100は、第3マップを参照して、算出されたF値及びG値が充電制限領域に含まれると判定された場合に、電池の充電を制限するための所定の制御を実行する。

概要

背景

特開2011−233423号公報(特許文献1)は、ニッケル正極を備えるアルカリ蓄電池を開示する。ニッケル正極を備えるアルカリ蓄電池においては、ニッケル正極内にNi2O3Hが生成されると、内部抵抗が上昇して電池容量(満充電容量)が低下する。このアルカリ蓄電池では、ニッケル正極の長さ及び高さ(幅)を適切に設計することによってNi2O3Hの生成を抑制し、電池容量の低下を抑制している(特許文献1参照)。

概要

ニッケル水素電池を備える電池システムにおいて、正極におけるNi2O3Hの生成量とともに正極内におけるNi2O3Hの生成むらも考慮して、Ni2O3Hの生成による電池の劣化を抑制する。ECU100は、第1マップを参照して、電圧VBi及び温度TBiからNi2O3Hの生成量を示すF値を算出し、第2マップを参照して、充電電流IB及び温度TBiからNi2O3Hの生成むらの大きさを示すG値を算出する。そして、ECU100は、第3マップを参照して、算出されたF値及びG値が充電制限領域に含まれると判定された場合に、電池の充電を制限するための所定の制御を実行する。

目的

この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ニッケル水素電池を備える電池システムにおいて、正極におけるNi2O3Hの生成量とともに正極内におけるNi2O3Hの生成むらも考慮して、Ni2O3Hの生成による電池の劣化を抑制することである

効果

実績

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請求項1

ニッケル水素電池と、メモリを含み、前記ニッケル水素電池の充電を制御する制御装置とを備え、前記メモリは、前記ニッケル水素電池の電圧及び温度と、前記ニッケル水素電池の正極におけるNi2O3Hの生成量との対応関係を示す第1のデータと、前記ニッケル水素電池の充電電流及び温度と、前記ニッケル水素電池の正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさとの対応関係を示す第2のデータと、前記生成量及び前記生成むらの大きさと、前記ニッケル水素電池の充電を制限する制限領域との対応関係を示す第3のデータとを記憶し、前記制御装置は、前記第1のデータを参照して、前記ニッケル水素電池の電圧及び温度から前記生成量を算出し、前記第2のデータを参照して、前記ニッケル水素電池の充電電流及び温度から前記生成むらの大きさを算出し、前記第3のデータを参照して、算出された前記生成量及び前記生成むらの大きさが前記制限領域に含まれると判定された場合に、前記ニッケル水素電池の充電を制限するための所定の制御を実行する、電池ステム

技術分野

0001

この発明は、電池ステムに関し、特に、ニッケル水素電池を備える電池システムに関する。

背景技術

0002

特開2011−233423号公報(特許文献1)は、ニッケル正極を備えるアルカリ蓄電池を開示する。ニッケル正極を備えるアルカリ蓄電池においては、ニッケル正極内にNi2O3Hが生成されると、内部抵抗が上昇して電池容量(満充電容量)が低下する。このアルカリ蓄電池では、ニッケル正極の長さ及び高さ(幅)を適切に設計することによってNi2O3Hの生成を抑制し、電池容量の低下を抑制している(特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2011−233423号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記のように、ニッケル正極にはNi2O3Hが生成されるところ、正極を構成する電極シート集電箔)の大きさや物性値抵抗値)等に応じて、正極内においてNi2O3Hの生成に偏り(以下「生成むら」と称する。)が生じる場合がある。Ni2O3Hの生成むらが生じると、Ni2O3Hの生成量が少ない部位(良活性部位)に電流が集中し、その部位においてNi2O3Hの生成が加速することにより電池の劣化が加速することが懸念される。このような問題及びその対策について、特許文献1では特に検討されていない。

0005

この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ニッケル水素電池を備える電池システムにおいて、正極におけるNi2O3Hの生成量とともに正極内におけるNi2O3Hの生成むらも考慮して、Ni2O3Hの生成による電池の劣化を抑制することである。

課題を解決するための手段

0006

この電池システムは、ニッケル水素電池と、ニッケル水素電池の充電を制御する制御装置とを備える。制御装置はメモリを含み、メモリは、第1から第3のデータを記憶する。第1のデータは、ニッケル水素電池の電圧及び温度と、ニッケル水素電池の正極におけるNi2O3Hの生成量との対応関係を示すデータである。第2のデータは、ニッケル水素電池の充電電流及び温度と、ニッケル水素電池の正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさとの対応関係を示すデータである。第3のデータは、Ni2O3Hの生成量及び生成むらの大きさと、ニッケル水素電池の充電を制限する制限領域との対応関係を示すデータである。制御装置は、第1のデータを参照して、ニッケル水素電池の電圧及び温度からNi2O3Hの生成量を算出し、第2のデータを参照して、ニッケル水素電池の充電電流及び温度からNi2O3Hの生成むらの大きさを算出する。そして、制御装置は、第3のデータを参照して、算出されたNi2O3Hの生成量及び生成むらの大きさが制限領域に含まれると判定された場合に、ニッケル水素電池の充電を制限するための所定の制御を実行する。

0007

なお、所定の制御とは、たとえば、ニッケル水素電池の温度が上昇するほどニッケル水素電池の上限電圧を抑制したり、ニッケル水素電池の充電時にニッケル水素電池の使用上限温度下げたり、ニッケル水素電池の充電電流(充電電力)を制限したりする制御を含む。

0008

正極内においてNi2O3Hの生成むらが生じると電池の劣化が加速するところ、上記の電池システムにおいては、正極におけるNi2O3Hの生成量(F値)だけでなく、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)も算出され、Ni2O3Hの生成量及び生成むらの大きさに応じて、ニッケル水素電池の充電を制限するための所定の制御が実行される。これにより、たとえばNi2O3Hの生成量自体はそれ程多くないけれどもNi2O3Hの生成むらが大きいような場合にも、充電を制限してNi2O3Hの生成を抑制し、電池の劣化を抑制することができる。

発明の効果

0009

この電池システムによれば、ニッケル水素電池の正極におけるNi2O3Hの生成量とともに正極内におけるNi2O3Hの生成むらも考慮して、Ni2O3Hの生成による電池の劣化を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0010

この発明の実施の形態に従う電池システムが搭載された車両の構成を概略的に示した図である。
正極におけるNi2O3Hの存在比率と満充電容量との対応関係を示す実験結果の一例を示した図である。
第1の実験における処理手順を示すフローチャートである。
意図的にニッケル水素電池にNi2O3Hを多く生成させた正極のX線回折法による分析結果(回折パターン)の一例として示す図である。
第1の実験によって求められた、電極内のNi2O3Hの割合と、X線回折法におけるピーク面積比との関係の一例を示す図である。
第2の実験における処理手順を示すフローチャートである。
第2の実験により得られた結果が纏められた第1マップの一例を示す図である。
組電池の各セルにおいて正極を構成する電極シートの平面図である。
Ni2O3Hの生成による劣化が初期の電池における測定結果を示した図である。
Ni2O3Hの生成による劣化を進行させた電池における測定結果を示した図である。
第2マップ(第2のデータ)を作成するための実験の手順を示すフローチャートである。
実験により得られた結果が纏められた第2マップの一例を示す図である。
F値及びG値と、Ni2O3Hの生成を抑制するために充電を制限する制限領域との対応関係の一例を示した図である。
F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の処理手順を説明するフローチャートである。
F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の変形例を説明するフローチャートである。
F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の他の変形例を説明するフローチャートである。

実施例

0011

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。

0012

(電池システムの構成)
図1は、この発明の実施の形態に従う電池システムが搭載された車両1の構成を概略的に示した図である。なお、以下では、車両1がハイブリッド車両である場合について代表的に説明するが、この発明に従う電池システムは、ハイブリッド車両に搭載されるものに限定されず、ニッケル水素電池を搭載した車両全般、さらには車両以外の用途にも適用可能である。

0013

図1を参照して、車両1は、電池システム2と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」と称する。)30と、モータジェネレータ(以下「MG(Motor Generator)」と称する。)41,42と、エンジン50と、動力分割装置60と、駆動軸70と、駆動輪80とを備える。電池システム2は、組電池10と、監視ユニット20と、電子制御装置(以下「ECU(Electronic Control Unit)」と称する。)100とを含む。

0014

エンジン50は、空気と燃料との混合気燃焼させたときに生じる燃焼エネルギピストンロータなどの運動子運動エネルギに変換することによって動力を出力する内燃機関である。動力分割装置60は、たとえば、サンギヤキャリアリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を含む。動力分割装置60は、エンジン50から出力される動力を、MG41を駆動する動力と、駆動輪80を駆動する動力とに分割する。

0015

MG41,42は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石埋設された三相交流同期電動機である。MG41は、主として、動力分割装置60を経由してエンジン50により駆動される発電機として用いられる。MG41が発電した電力は、PCU30を介してMG42又は組電池10に供給される。

0016

MG42は、主として電動機として動作し、駆動輪80を駆動する。MG42は、組電池10からの電力及びMG41の発電電力の少なくとも一方を受けて駆動され、MG42の駆動力は駆動軸70に伝達される。一方、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、MG42は、発電機として動作して回生発電を行なう。MG42が発電した電力は、PCU30を介して組電池10に供給される。

0017

組電池10は、直列に接続された複数のニッケル水素単電池単セル)を含み、MG41,42を駆動するための電力を蓄える。すなわち、組電池10は、PCU50を通じてMG41,42へ電力を供給することができる。また、組電池10は、MG41,42の発電時にPCU30を通じて発電電力を受けて充電される。

0018

監視ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23とを含む。電圧センサ21は、組電池10のセル毎の電圧(以下「セル電圧」とも称される。)VBiを検出する。電流センサ22は、組電池10の充放電電流IBを検出する。なお、この実施の形態では、電流センサ22は、組電池10に対して、充電電流を正値とし、放電電流負値として検出する。温度センサ23は、セル毎の温度(以下「セル温度」とも称される。)TBiを検出する。そして、各センサは、検出結果を示す信号をECU100へ出力する。

0019

なお、電圧センサ21及び温度センサ23は、複数(たとえば数個)のセルを監視単位として電圧及び温度を検出してもよい。この場合、電圧については、複数のセルに対する検出値をそのセル数で割ることによって、セル毎の電圧(平均値)を算出することができる。

0020

PCU30は、ECU100からの制御信号に従って、組電池10とMG41,42との間で双方向の電力変換を実行する。PCU30は、MG41,42の状態をそれぞれ別々に制御可能に構成されており、たとえば、MG41を回生(発電)状態にしつつ、MG42を力行状態にすることができる。PCU30は、たとえば、MG41,42に対応して設けられる2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧を組電池10の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。

0021

ECU100は、CPU(Central Processing Unit)102と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))105と、各種信号入出力するための入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。ECU100は、各センサから受ける信号並びにメモリ105に記憶されたプログラム及びマップに基づいてエンジン50及びPCU30を制御することにより、組電池10の充放電を制御する。

0022

たとえば、組電池10を充電する必要がある場合、ECU100は、エンジン50の動力の一部を用いてMG41に発電させ、MG41が発電した電力で組電池10を充電するように、エンジン50及びPCU30(MG41,MG42)を制御する。

0023

(電池の劣化抑制
ニッケル水素単電池については、温度が高く、かつ、電圧が高い条件(たとえばセル電圧が1.5V以上となるような大電流での充電時)の下では、正極にNi2O3Hが生成される。このNi2O3Hは、電池反応には寄与しないため、正極におけるNi2O3Hの生成量が増加すると満充電容量が低下する(電池の劣化)。

0024

図2は、正極におけるNi2O3Hの存在比率と満充電容量との対応関係を示す実験結果の一例を示した図である。図2を参照して、横軸は正極におけるNi2O3Hの存在比率を示し、縦軸は満充電容量を示す。この実験結果から、Ni2O3Hの存在比率が高まると、満充電容量が低下(電池が劣化)することが分かる。

0025

そこで、セルの温度及び電圧に基づいてNi2O3Hの生成量を的確に推定し、Ni2O3Hの生成量が多くなる状況下では、電池の電圧や使用上限温度を抑える等して、Ni2O3Hの生成を抑制するための制御を行なうことが有用である。

0026

ここで、図2では、正極におけるNi2O3Hの存在比率すなわち総生成量と、満充電容量との対応関係が示されているが、正極内においては、電極シート(集電箔)の大きさや物性値(抵抗値)等に応じて、部位に応じた反応むらが生じ、その結果、部位に応じたNi2O3Hの生成むらが生じ得る。Ni2O3Hの生成むらが生じると、正極内においてNi2O3Hの生成量が少ない部位(良活性部位)に電流(充電電流)が集中し、その部位において、反応が集中することによりNi2O3Hの生成が加速される。すなわち、正極内において部位に応じたNi2O3Hの生成むらが生じると、Ni2O3Hの生成が加速することにより電池の劣化が加速することが懸念される。

0027

そこで、この実施の形態に従う電池システム2では、正極におけるNi2O3Hの生成量(正極内の部位によらない総生成量であり、以下「F値」と称する。)が推定されるとともに、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさ(以下「G値」と称する。)も推定される。なお、後述のように、G値は、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの相対的な大きさを示すパラメータであり、無次元量である。

0028

そして、電池の充電を制限する所定の制限領域に上記のF値及びG値が含まれると判定された場合に、充電を制限するための制御(後述)が実行される。これにより、Ni2O3Hの生成が抑制され、電池の劣化が抑制される。

0029

以下では、正極におけるNi2O3Hの生成量(正極内の部位によらない総生成量)を示すF値の算出方法、及び正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさを示すG値の算出方法についてまず説明し、続いて、算出されたF値及びG値に基づく制御について説明する。

0030

(F値の算出方法)
正極におけるNi2O3Hの生成量は、セルの電圧及び温度に依存する。特に、温度が高く、かつ、電圧が高い条件下(セル電圧が1.5V以上となるような大電流での充電時)において、Ni2O3Hの生成量が増加する。この実施の形態では、ニッケル水素単電池(単セル)について、電圧及び温度と、正極におけるNi2O3Hの生成量との対応関係を示す第1マップ(第1のデータ)が実験により予め作成され、ECU100のメモリ105に記憶される。そして、ECU100は、組電池10の使用中(たとえば車両1のシステム作動中)に、上記の第1マップを参照して、監視ユニット20により検出されるセル電圧及びセル温度に基づいて各セルのNi2O3Hの生成量(F値)を算出する。

0031

第1マップの作成のための実験は、たとえば次の順に行なわれる。まず、正極内のNi2O3Hの混入量と、X線回折法を用いて正極を分析した場合のピーク面積比との関係を調べるための実験(以下「第1の実験」と称する。)が行なわれる。その後、耐久試験(後述)を経たセル及び第1の実験の結果を用いて、耐久条件(電圧及び温度)と、正極におけるNi2O3Hの生成量との関係を調べるための実験(以下「第2の実験」と称する。)が行なわれる。第2の実験においては、最終的に、耐久条件(電圧及び温度)と、単セルにおけるNi2O3Hの単位時間当たりの生成量との関係を示すマップ(第1マップ)が作成される。以下、第1及び第2の実験について順に説明する。

0032

図3は、第1の実験における処理手順を示すフローチャートである。図3を参照して、このフローチャートに示される処理は、実験者により行なわれる。

0033

実験者は、新品の電極(正極)粉末に所定量(たとえば所定量Q1)のNi2O3H粉末を均一に混ぜ込んだ試料を作製する(ステップS100)。その後、実験者は、X線回折法により試料の分析を行なう(ステップS110)。具体的には、実験者は、予め定めた回折角X線ピーク面積を測定する。

0034

図4は、意図的にニッケル水素電池にNi2O3Hを多く生成させた正極のX線回折法による分析結果(回折パターン)の一例を示した図である。図4を参照して、横軸は回折角(2θ)を示し、縦軸は回折強度を示す。極端にNi2O3Hを生成させた正極の完全放電時には、Ni2O3H、β−Ni(OH)2、及び金属Ni(集電体)が含まれ得る。なお、完全放電されていない場合は、β−NiOOHも含まれ得る。

0035

「◇」の位置に対応する回折角における回折ピークは、Ni2O3Hによる回折の影響を含む。「○」の位置に対応する回折角における回折ピークは、β−Ni(OH)2による回折の影響を含む。「×」の位置に対応する回折角における回折ピークは、金属Niによる回折の影響を含む。

0036

たとえば、回折角D1〜D4における回折ピークは、主にNi2O3H(「◇」)による回折の影響を受け、その他の化合物による回折の影響をほとんど受けない。したがって、実験者は、D1〜D4のいずれかの回折角のX線を用いることにより、Ni2O3Hに起因する回折ピークの面積を測定することができる。本実施の形態においては、たとえば、回折角D1のX線ピークがX線回折法による分析に用いられる。また、たとえば、回折角D1〜D4の合算面積をX線回折法における分析に用いてもよい。

0037

再び図3を参照して、ステップS110においてX線回折法による試料の分析が行なわれると、実験者は、分析結果である回折角D1におけるピーク面積を記録する(ステップS120)。以上のように、ステップS100〜S120の処理によって、所定量(たとえば所定量Q1)のNi2O3Hが電極に混入している場合の、回折角D1におけるピーク面積が求められる。

0038

次に、Ni2O3Hと同様に、Ni(OH)2に帰属される回折ピーク(たとえば、図4に示したD’1,D’2)に着目して、Ni2O3Hが所定量(Q1)混入されたときのD’1面積を算出する。

0039

第1の実験においては、試料内に混入するNi2O3Hの量を変更して(たとえば所定量Q2,Q3等)、ステップS100〜S120の処理が複数回行なわれる。その結果、試料内のNi2O3Hの割合(Ni2O3H量/(Ni(OH)2量+Ni2O3H量))と、回折角D1におけるピーク面積比(D1/(D1+D’1))との関係を求めることができる。

0040

図5は、第1の実験によって求められた、試料内のNi2O3Hの割合と、X線回折法におけるピーク面積比との関係の一例を示す図である。図5を参照して、横軸は試料内のNi2O3Hの割合(Ni2O3H量/(Ni(OH)2量+Ni2O3H量))を示し、縦軸はX線回折法におけるピーク面積比(D1/(D1+D’1))を示す。

0041

試料内に所定量Q1,Q2,Q3のNi2O3Hを混入させた場合には、回折角D1におけるピーク面積比がそれぞれS1,S2,S3となった。以上の実験結果から、試料内のNi2O3Hの割合と回折角D1におけるピーク面積比との関係として、たとえば、図5に示される関係を求めることができる。試料内のNi2O3Hの割合と回折角D1におけるピーク面積比との関係を求めることにより、第1の実験は終了する。なお、ここではピーク面積に基づいて図5の関係を規定したが、たとえば、ピーク強度に基づいて図5の関係を規定してもよい。

0042

図6は、第2の実験における処理手順を示すフローチャートである。図6を参照して、このフローチャートに示される処理は、実験者により行なわれる。

0043

実験者は、耐久条件(電圧及び温度)を設定した上で、新品の組電池10内の単セルについて耐久試験を行なう(ステップS200)。たとえば、この耐久試験において、単セルは、恒温槽内に設けられた充電システムに設置される。恒温槽内の温度は、実験者により設定された温度に維持される。そして、一定電圧による単セルの充電が行なわれる。この一定電圧のうち金属抵抗により上昇する電圧は、正極内におけるNi2O3Hの生成に寄与しないと考えられる。

0044

耐久試験は、たとえば、SOC値所定範囲内(たとえば50%〜80%)に収まるように、所定時間の充電と所定時間の放電とを繰り返すことにより行なわれる。所定範囲は、たとえば、電池システム2においてSOC値が制御される制御範囲である。なお、耐久試験は、たとえば、全体として数日〜数ヵ月かけて行なわれる。

0045

ステップS200において耐久試験が終了すると、実験者は、耐久試験を行なったセルを解体して正極を取り出し、X線回折法による分析を行なう(ステップS210)。その後、実験者は、電極内のNi2O3Hの割合とX線回折法におけるピーク面積比との関係(第1の実験において導出図5))と、分析結果であるピーク面積比とを用いることによって、Ni2O3Hの単位時間当たりの生成量を算出する(ステップS220)。

0046

たとえば、ピーク面積がS10である場合には、Ni2O3Hの生成比はQ10と推定される(図5)。推定されたNi2O3Hの生成比(Q10)から算出することができるNi2O3Hの生成量を耐久試験における総充電時間で除算することにより、Ni2O3Hの単位充電時間当たりの生成量を算出することができる。なお、耐久試験の時間ではなく、耐久試験における総充電時間で除算が行なわれる理由は、Ni2O3Hはある程度の電圧(たとえば1.5V以上)が印加されなければ生成されず、放電時には生成されにくいものと考えられるからである。なお、本実施の形態においては、単位時間は、たとえば1秒である。

0047

その後、実験者は、ステップS220において推定されたNi2O3Hの単位時間当たりの生成量を、設定された耐久条件の電圧及び温度における結果として記録する(ステップS230)。以上のように、ステップS200〜S230の処理によって、設定された耐久条件におけるNi2O3Hの単位時間当たりの生成量(単セル当たり)が求められる。

0048

そして、この第2の実験については、耐久条件(電圧及び温度)を変更して、ステップS200〜S230の処理が複数回行なわれる。その結果、単セルについての、電圧及び温度とNi2O3Hの単位時間当たりの生成量との関係を求めることができる。これにより、第2の実験は終了する。

0049

図7は、第2の実験により得られた結果が纏められた第1マップ200の一例を示す図である。図7を参照して、横軸は耐久条件の温度を示し、縦軸は耐久条件の電圧を示す。

0050

第1マップ200においては、セル温度(T0,T1,T2・・・)とセル電圧(V0,V1,V2・・・)との組み合わせ毎に、単セルにおけるNi2O3Hの単位時間当たりの生成量(f00,f01,f10・・・)が対応付けられている。なお、電圧(V0,V1,V2・・・)は、セル電圧から金属抵抗に由来する電圧上昇分が除かれた値である。Ni2O3Hの単位時間当たりの生成量(f00,f01,f10・・・)は、第2の実験によって得られた結果である。この実施の形態に従う電池システム2においては、第1及び第2の実験によって第1マップ200が予め作成され、作成された第1マップ200はメモリ105に記憶される。

0051

そして、組電池10の使用中(たとえば車両1のシステム作動中)に、上記の第1マップ200が参照され、組電池10の各セルについて、監視ユニット20により検出されるセル電圧及びセル温度に基づいてNi2O3Hの生成量(F値)が算出される。

0052

(G値の算出方法)
図8は、組電池10の各セルにおいて正極を構成する電極シートの平面図である。セルの電極体は、正極を構成する複数の電極シート(以下「正極シート」とも称する。)と、負極を構成する複数の電極シートとが、セパレータを介して積層されることにより形成されている。この図8では、一枚の正極シート11が示されている。

0053

図8を参照して、正極シート11は、金属製の集電箔12と、集電箔12の表面に形成される正極活物質13とを含む。正極活物質13が形成されている部位において電気化学反応が生じ、正極活物質13が形成されていない部位(図の左端)において集電端子(図示せず)が接続される。

0054

正極シート11においては、シート(集電箔12)の大きさ(特にx方向の長さ)や物性値(集電箔12の金属抵抗値)等に応じて、正極シート11の正極活物質13が形成されている部位において、部位に応じた反応むらが生じ、その結果、部位に応じたNi2O3Hの生成むらが生じ得る。この実施の形態では、正極活物質13が形成されている部位を図示のようにたとえば9等分し、耐久試験後の各部位におけるNi2O3Hの生成量がX線回析によって測定される。

0055

図9図10は、図8に示した正極シート11の各領域A〜DにおけるNi2O3Hの生成量をX線回折により測定した結果の一例を示した図である。この図9図10では、様々な耐久試験を行なった電池の中から劣化度の異なる2種類の電池を選び、その分析結果を代表図として示している。そして、図9は、Ni2O3Hの生成による劣化が初期の電池における測定結果を示し、図10は、Ni2O3Hの生成による劣化を進行させた電池における測定結果を示す。

0056

図9図10を参照して、横軸は回折角(2θ)を示し、縦軸は回折強度を示す。図9における回折角d1,d2及び図10における回折角d1〜d3の回折ピークがNi2O3Hに帰属されるものである。なお、回折角d0の回折ピークは、新品相(β−Ni(OH)2/β−NiOOH)に帰属されるものである。

0057

図9の測定結果から、劣化初期段階の電池では、Ni2O3Hの生成は、図8に示される領域C,Dにおいて優先的に生じることが分かる。そして、図10の測定結果から、劣化の進んだ電池では、Ni2O3Hの生成は、正極シート11の全域で発生しており、さらに、図9と同様に生成量にはむらがあることも確認できる。

0058

そこで、上述の知見に基づき、この実施の形態では、新品の組電池10内の単セルについて耐久試験を実施して、耐久試験後の正極シート11の各部位におけるNi2O3Hの生成量がX線回析によって測定され、正極内におけるNi2O3Hの生成むらが測定される。Ni2O3Hの生成むらの大きさは、たとえば、Ni2O3Hの生成量が最も多い領域の生成量を全部位の平均値で正規化した値(無次元量)とすることができる。

0059

Ni2O3Hの生成むらの大きさは、セルに流れる電流(充電電流)及び温度に依存する。特に、温度が高く、かつ、充電電流が大きい条件下において、Ni2O3Hの生成むらが大きくなる。この実施の形態では、ニッケル水素単電池(単セル)について、充電電流及び温度と、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさとの対応関係を示す第2マップ(第2のデータ)が実験により予め作成され、ECU100のメモリ105に記憶される。そして、ECU100は、組電池10の使用中(たとえば車両1のシステム作動中)に、上記の第2マップを参照して、監視ユニット20により検出される充電電流及びセル温度に基づいて、各セルにおけるNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)を算出する。

0060

図11は、第2マップ(第2のデータ)を作成するための実験の手順を示すフローチャートである。図11を参照して、このフローチャートに示される処理は、実験者により行なわれる。

0061

実験者は、耐久条件(充電電流及び温度)を設定した上で、新品の組電池10内の単セルについて耐久試験を行なう(ステップS300)。たとえば、この耐久試験において、単セルは、恒温槽内に設けられた充電システムに設置される。恒温槽内の温度は、実験者により設定された温度に維持される。そして、一定電流による単セルの充電が行なわれる。耐久試験は、たとえば、全体として数日〜数ヵ月かけて行なわれる。

0062

ステップS300において耐久試験が終了すると、実験者は、耐久試験を行なったセルを解体して正極を取り出し、正極内におけるNi2O3Hの生成むらを分析する(ステップS310)。具体的には、たとえば、図8に示したように正極シートを9等分した各領域におけるNi2O3Hの生成量をX線回折法により測定する。

0063

その後、実験者は、正極シートの各領域におけるNi2O3H生成量の分析結果から、セルの正極内において単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさを算出する(ステップS320)。具体的には、各領域におけるNi2O3Hの生成量に基づいて、耐久試験において生じたNi2O3Hの生成むらの大きさが算出され、その算出値を耐久試験における総充電時間で除算することにより、単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさを算出することができる。

0064

なお、上述のように、Ni2O3Hの生成むらの大きさは、たとえば、Ni2O3Hの生成量が最も多い領域の生成量を全部位の平均値で正規化した値(無次元量)である。また、上記において、耐久試験の時間ではなく、耐久試験における総充電時間で除算が行なわれる理由は、Ni2O3Hの生成むらは充電時(特に大電流での充電時)に生じるからである。なお、単位時間は、F値の算出の場合と同様にたとえば1秒である。

0065

その後、実験者は、ステップS320において算出された、単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさを、設定された耐久条件の充電電流及び温度における結果として記録する(ステップS330)。以上のように、ステップS300〜S330の処理によって、設定された耐久条件における、単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさ(単セル当たり)が求められる。

0066

そして、耐久条件(充電電流及び温度)を変更して、ステップS300〜S330の処理が複数回行なわれる。その結果、単セルについての、充電電流及び温度と単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさとの関係を求めることができる。

0067

図12は、上記の実験により得られた結果が纏められた第2マップ300の一例を示す図である。図12を参照して、横軸は耐久条件の温度を示し、縦軸は耐久条件の電流(充電電流)を示す。

0068

第2マップ300においては、セル温度(T0,T1,T2・・・)と充電電流(I0,I1,I2・・・)との組み合わせ毎に、単セルにおいて単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさ(g00,g01,g10・・・)が対応付けられている。この実施の形態に従う電池システム2においては、この第2マップ300が上記の実験(耐久試験)によって予め作成され、作成された第2マップ300はメモリ105に記憶される。

0069

そして、組電池10の使用中(たとえば車両1のシステム作動中)に、上記の第2マップ300が参照され、組電池10の各セルについて、監視ユニット20によって検出される電流IB(充電電流)及びセル温度に基づいてNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)が算出される。

0070

なお、上記において、G値は、実験(耐久試験)によって作成された第2マップ300を用いて算出されるものとしたが、以下のように算出してもよい。すなわち、組電池10の各セルにおいて正極を構成する正極シート11について、たとえば図8に示したような各領域における金属抵抗及び反応抵抗温度依存性有)をラダー回路によってモデル化し、このラダー回路を用いて、監視ユニット20によって検出される電流IB(充電電流)及びセル温度に基づいてG値を算出してもよい。

0071

(F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御)
この実施の形態に従う電池システム2では、上述のように、正極におけるNi2O3Hの生成量(正極内の部位によらない総生成量)を示すF値とともに、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさを示すG値が推定される。そして、F値とともにG値も考慮して組電池10の劣化状態が的確に判断され、Ni2O3Hの生成を抑制して電池の劣化を抑制するための制御が実行される。

0072

図13は、F値及びG値と、Ni2O3Hの生成を抑制するために充電を制限する制限領域との対応関係の一例を示した図である。図13を参照して、斜線で示される領域Sは、Ni2O3Hの生成を抑制して電池の劣化を抑制するために、組電池10の充電を制限する領域である。たとえば、組電池10のセルのいずれかについてF値及びG値が領域Sに含まれる場合に、充電を制限するための制御(後述)が実行される。

0073

この実施の形態に従う電池システム2では、F値及びG値と、組電池10の充電を制限する領域Sとの対応関係を示す第3マップ(第3のデータ)が予め準備され、ECU100のメモリ105に記憶される。図13に示した例では、F値が大きくなる程(Ni2O3Hの生成量が多くなる程)充電が制限され、また、G値が大きくなる程(正極内におけるNi2O3Hの生成むらが大きくなる程)充電が制限される。これにより、たとえば、F値はそれ程上昇していないけれどもG値が上昇している場合には、正極内におけるNi2O3Hの生成むらにより電池の劣化が加速し得るところ、このような電池劣化を抑制することができる。

0074

図14は、F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、上記単位時間を1サイクルとして、組電池10の充電実行中にECU100により繰り返し実行される。

0075

図14を参照して、ECU100は、監視ユニット20の電圧センサ21、電流センサ22及び温度センサ23から、組電池10のセル電圧VBi、電流IB及びセル温度TBiを示す信号をそれぞれ取得する(ステップS400)。

0076

次いで、ECU100は、メモリ105に記憶された第1マップ200を参照して、各セルについて、ステップS400で取得されたセル電圧VBi及びセル温度TBiに対応する、単位時間当たりのNi2O3Hの生成量を取得する。そして、ECU100は、各セルについて、第1マップ200を参照して取得された単位時間当たりのNi2O3Hの生成量を、1サイクル前に算出されたNi2O3Hの生成量(F値)に加算することにより、現在のNi2O3Hの生成量(F値)を算出する(ステップS410)。なお、算出されたNi2O3Hの生成量(F値)は、メモリ105に記憶される。すなわち、1サイクル前に算出されたNi2O3Hの生成量(F値)は、メモリ105に記憶されている。

0077

続いて、ECU100は、メモリ105に記憶された第2マップ300を参照して、各セルについて、ステップS400で取得された電流IB(充電電流)及びセル温度TBiに対応する、単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさを取得する。そして、ECU100は、各セルについて、第1マップ200を参照して取得された、単位時間に生じるNi2O3Hの生成むらの大きさを、1サイクル前に算出されたNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)に加算することにより、現在のNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)を算出する(ステップS420)。なお、算出されたNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)も、メモリ105に記憶される。すなわち、1サイクル前に算出されたNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)は、メモリ105に記憶されている。

0078

各セルについてのF値及びG値が算出されると、ECU100は、メモリ105に記憶された第3マップを参照して、各セルについて、ステップS410,420においてそれぞれ算出されたF値及びG値が、組電池10の充電を制限する制限領域(領域S)に含まれるか否かを判定する(ステップS430)。

0079

ステップS430において、F値及びG値が制限領域(領域S)に含まれるセルが存在すると判定されると(ステップS430においてYES)、ECU100は、組電池10の充電電力の上限Winを制限する等して、F値及びG値が制限領域に含まれるセルにおいて、温度が高いほど上限電圧を抑制する(ステップS440)。これにより、当該セルの電圧がその上限電圧を超えないように組電池10の充電が制限され、Ni2O3Hの生成が抑制される。なお、温度に伴なう上限電圧の抑制は、連続的であってもよいし、離散的であってもよい。

0080

一方、ステップS430において、F値及びG値が制限領域(領域S)に含まれるセルが存在しないと判定された場合は(ステップS430においてNO)、ECU100は、ステップS440を実行することなくリターンへと処理を移行する。

0081

以上のように、この実施の形態においては、正極におけるNi2O3Hの生成量(F値)が算出されるとともに、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさ(G値)も算出される。そして、この実施の形態によれば、F値とともにG値も考慮して、Ni2O3Hの生成による組電池10の劣化を抑制することができる。

0082

[変形例]
上記の実施の形態では、F値及びG値が制限領域(領域S)に含まれるセルが存在すると、当該セルにおけるNi2O3Hの生成を抑制するために、当該セルの上限電圧を抑制するものとしたが、Ni2O3Hの生成を抑制するための手法はこれに限定されるものではない。

0083

図15は、F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の変形例を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理も、上記単位時間を1サイクルとして、組電池10の充電実行中にECU100により繰り返し実行される。

0084

図15を参照して、このフローチャートは、図14に示したフローチャートにおいて、ステップS440に代えてステップS442を含む。すなわち、ステップS430において、F値及びG値が制限領域(領域S)に含まれるセルが存在すると判定されると(ステップS430においてYES)、ECU100は、F値及びG値が制限領域に含まれるセルの使用上限温度を下げる(ステップS442)。これにより、当該セルの温度がその使用上限温度を超えないように組電池10の充電が制限され、Ni2O3Hの生成が抑制される。

0085

図16は、F値及びG値に基づく電池劣化抑制制御の他の変形例を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理も、上記単位時間を1サイクルとして、組電池10の充電実行中にECU100により繰り返し実行される。

0086

図16を参照して、このフローチャートは、図14に示したフローチャートにおいて、ステップS440に代えてステップS444を含む。すなわち、ステップS430において、F値及びG値が制限領域(領域S)に含まれるセルが存在すると判定されると(ステップS430においてYES)、ECU100は、組電池10の充電電力の上限Winを制限して、充電電流を制限する(ステップS444)。その結果、Ni2O3Hの生成むらが抑制され、組電池10の劣化が抑制される。すなわち、この変形例は、比較的G値が大きい場合に有用な制御手法と考えられる。さらには、組電池10の充電電力の上限Winを制限することで、上記の実施の形態のように領域S(図13)に含まれるセルの電圧を制限しつつ、組電池10に流れる電流を制限する場合もあり得る。

0087

なお、上記の実施の形態及びその変形例では、セルの電圧及び温度と、正極におけるNi2O3Hの生成量との対応関係が、第1マップ200(図7)としてメモリ105に記憶されるものとしたが、上記の対応関係を関係式として表し、その関係式(データ)をメモリ105に記憶するようにしてもよい。同様に、上記では、充電電流及びセル温度と、正極内におけるNi2O3Hの生成むらの大きさとの対応関係が、第2マップ300(図12)としてメモリ105に記憶されるものとしたが、上記の対応関係を関係式として表し、その関係式(データ)をメモリ105に記憶するようにしてもよい。さらに、F値及びG値と、組電池10の充電を制限する制限領域との対応関係を示す第3マップ(図13)についても、対応関係を関係式として表してメモリ105に記憶してもよい。

0088

また、上記においては、組電池10のセル毎に電圧及び温度を監視するものとしたが、複数(たとえば数個)のセルを監視単位として電圧及び温度を検出してもよい。この場合、電圧については、監視単位のセル数で検出値を割ることによって、セル毎の電圧(平均値)を算出することができる。

0089

また、上記においては、組電池10内の単セルについて耐久試験を行なうものとしたが、複数のセルを1つの単位として耐久試験を行なってもよいし、組電池10に対して耐久試験を行なってもよい。

0090

また、上記においては、Ni2O3Hの生成量の測定についてX線回析法を用いるものとしたが、他の測定方法、たとえば、熱分析(DTA−TG(Differential Thermal Analysis-Thermo Gravimetric))測定や、XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)測定を用いてもよい(Niの平均価数変化に着目)。

0091

今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0092

1 車両、2電池システム、10組電池、11正極シート、12集電箔、13正極活物質、20監視ユニット、21電圧センサ、22電流センサ、23温度センサ、30 PCU、41,42 MG、50エンジン、60動力分割装置、70駆動軸、80駆動輪、100 ECU、102 CPU、105メモリ、200 第1マップ、300 第2マップ。

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