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課題
解決手段
入出力回路特性調整装置は、回転角制御部、締結制御部、特性曲線取得部、非締結特性調整部、シフト角記憶部、締結前回転角調整部を有する。回転角制御部は調整ネジの回転角を制御する。締結制御部はナットの締結を制御する。特性曲線取得部は非締結状態で調整ネジの回転角と入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得する。非締結特性調整部は非締結状態で調整ネジの回転角を特性曲線上の目標調整点に調整する。シフト角記憶部は、目標調整点でナットを締結した時の特性変化量を、特性曲線における回転角の変化量に換算し、その角度をシフト角として記憶する。締結前回転角調整部は、目標調整点とシフト角とに基づいて定めた締結前回転角に調整ネジの回転角を調整する。
概要
背景
近年のデジタルデータ通信における高速化・大容量化にともなって、より高性能かつ低コストの電子機器の開発が求められている。こうした電子機器においては、入力信号に対し、増幅や減衰やフィルタリングなどの処理を行って出力信号に変換する入出力回路が用いられる。上述した電子機器の高性能化に伴い、これらの入出力回路には、厳しい規格の特性が要求される。
一般的に、入出力回路は、回路の形状や構造、または、可変抵抗や可変インダクタなど複数の素子によって、特性を調整できるように構成される。代表的なものは、調整ねじで特性を調整することが可能な入出力回路である。調整ネジを用いた入出力回路では、調整が完了した後は、振動などの影響で特性が変化することを防ぐため、調整ネジを固定する。その固定は、例えば、入出力回路本体側の雌ネジとナットによるダブルナット方式で行うことができる。
上記の調整ネジを用いた入出力回路の特性調整では、厳しい要求特性規格を満たすために、調整ねじの挿入長をμmオーダで高精度に調整することが必要となる。このような高精度の調整にあっては、調整ネジをナットで締結する際のわずかな挿入長や姿勢の変化で、入出力回路の特性が目標特性からずれてしまう場合がある。特性がずれた場合は、ナットを緩めて微調整を行い、再度ナットを締める操作を、ネジ毎に何度も繰り返さなければならない。そこで、ナットの締結で生じる特性変化を極力小さくしようとする試みが種々為されている。
例えば、例えば特許文献1には、入出力回路本体とナットとの間にバネ座金を挟み、雌ネジの加工部と雄ネジの加工部との隙間を、バネ座金のバネ力で解消する技術が開示されている。
また特許文献2には、厚み方向に凹部を有するナットと、ナットの凹部に係合する凸部とバネ性を有する片とを有するバネ座金を用いて、信頼性を向上する技術が開示されている。この技術では、バネ座金がナットに係合することで、バネ座金の径方向の位置変動を抑制し、バネ座金に加わる発生荷重の方向を調整ネジの軸と一致させて、信頼性を向上させている。
概要
調整ネジをナットで締結した時に入出力回路特性を目標特性に調整できる入出力回路特性調整装置を提供する。入出力回路特性調整装置は、回転角制御部、締結制御部、特性曲線取得部、非締結特性調整部、シフト角記憶部、締結前回転角調整部を有する。回転角制御部は調整ネジの回転角を制御する。締結制御部はナットの締結を制御する。特性曲線取得部は非締結状態で調整ネジの回転角と入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得する。非締結特性調整部は非締結状態で調整ネジの回転角を特性曲線上の目標調整点に調整する。シフト角記憶部は、目標調整点でナットを締結した時の特性変化量を、特性曲線における回転角の変化量に換算し、その角度をシフト角として記憶する。締結前回転角調整部は、目標調整点とシフト角とに基づいて定めた締結前回転角に調整ネジの回転角を調整する。
目的
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、調整ネジをナットで締結した時に入出力回路特性を目標特性に調整できる入出力回路特性調整装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
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この技術が所属する分野
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請求項1
入出力回路に螺入された特性調整用の調整ネジを回転させる調整ネジ回転機構と、前記調整ネジを前記入出力回路に締結するナットを回転させるナット回転機構と、前記調整ネジ回転機構を制御して前記調整ネジの回転角を制御する回転角制御部と、前記ナット回転機構を制御して前記ナットの締結を制御する締結制御部と、前記ナットを締結しない状態における前記回転角と前記入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得する特性曲線取得部と、前記調整ネジを前記入出力回路に締結しない状態で前記回転角を前記特性曲線上の目標調整点に調整する非締結特性調整部と、前記調整ネジを前記目標調整点に調整した状態で前記ナットを締結した時の特性変化量を前記特性曲線における前記回転角の変化量に換算してシフト角として記憶するシフト角記憶部と、前記ナットの締結を解除した状態で、前記シフト角と前記目標調整点とに基づいて定めた締結前回転角に前記回転角を調整する締結前回転角調整部とを有することを特徴とする入出力回路特性調整装置。
請求項2
前記目標調整点を基準としたときに、前記締結前回転角が、前記シフト角と逆方向で大きさが略同一であることを特徴とする請求項1に記載の入出力回路特性調整装置。
請求項3
請求項4
入出力回路に螺入された特性調整用の調整ネジの回転角を制御し、前記調整ネジを前記入出力回路に締結するナットの締結を制御し、前記ナットを締結しない状態における前記回転角と前記入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得し、前記調整ネジを前記入出力回路に締結しない状態で前記回転角を前記特性曲線上の目標調整点に調整し、前記調整ネジを前記目標調整点に調整した状態で前記ナットを締結した時の特性変化量を前記特性曲線における前記回転角の変化量に換算してシフト角として記憶し、前記ナットの締結を解除した状態で、前記シフト角と前記目標調整点とに基づいて定めた締結前回転角に前記回転角を調整することを特徴とする入出力回路特性調整方法。
請求項5
前記目標調整点を基準としたときに、前記締結前回転角が、前記シフト角と逆方向で大きさが略同一であることを特徴とする請求項4に記載の入出力回路特性調整方法。
請求項6
前記締結前回転角への調整の最後の調整を、前記調整ネジが前記入出力回路から抜ける方向の回転で行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の入出力回路特性調整方法。
請求項7
前記締結前回転角に前記調整ネジを調整した状態で、前記ナットの締結を、前記シフト角を取得する時の前記ナットの締結と同じトルクで行うことを特徴とする請求項4乃至請求項6いずれか一項に記載の入出力回路特性調整方法。
請求項8
入出力回路に螺入された特性調整用の調整ネジの回転角を制御するステップと、前記調整ネジを前記入出力回路に締結するナットの締結を制御するステップと、前記ナットを締結しない状態における前記回転角と前記入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得するステップと、前記調整ネジを前記入出力回路に締結しない状態で前記回転角を前記特性曲線上の目標調整点に調整するステップと、前記調整ネジを前記目標調整点に調整した状態で前記ナットを締結した時の特性変化量を前記特性曲線における前記回転角の変化量に換算してシフト角として記憶するステップと、前記ナットの締結を解除した状態で、前記シフト角と前記目標調整点とに基づいて定めた締結前回転角に前記回転角を調整するステップとを有することを特徴とする入出力回路特性調整プログラム。
請求項9
前記入出力回路の特性を請求項4乃至請求項6いずれか一項に記載の入出力回路特性調整方法で第1の目標特性に調整し、前記第1の目標特性への調整後に、前記ナットの締結を解除して第2の目標特性の近傍で前記回転角と前記入出力回路の特性との関係を表す第2の特性曲線を取得し、前記第2の特性曲線上の第2の目標調整点を第2の基準とし、前記第2の基準から前記第1の目標特性への調整と等しい前記締結前回転角に前記回転角を調整し、前記第1の目標特性への調整と同じ前記トルクで前記ナットを締結することを特徴とする入出力回路特性調整方法。
請求項10
前記入出力回路の特性を請求項4乃至請求項6いずれか一項に記載の入出力回路特性調整方法で第1の目標特性に調整するステップと、前記第1の目標特性への調整後に、前記ナットの締結を解除して第2の目標特性の近傍で前記回転角と前記入出力回路の特性との関係を表す第2の特性曲線を取得するステップと、前記第2の特性曲線上の第2の目標調整点を第2の基準とするステップと、前記第2の基準から前記第1の目標特性への調整と等しい前記締結前回転角に前記回転角を調整するステップと、前記第1の目標特性への調整と同じトルクで前記ナットを締結するステップとを有することを特徴とする入出力回路特性調整プログラム。
技術分野
背景技術
0002
近年のデジタルデータ通信における高速化・大容量化にともなって、より高性能かつ低コストの電子機器の開発が求められている。こうした電子機器においては、入力信号に対し、増幅や減衰やフィルタリングなどの処理を行って出力信号に変換する入出力回路が用いられる。上述した電子機器の高性能化に伴い、これらの入出力回路には、厳しい規格の特性が要求される。
0003
一般的に、入出力回路は、回路の形状や構造、または、可変抵抗や可変インダクタなど複数の素子によって、特性を調整できるように構成される。代表的なものは、調整ねじで特性を調整することが可能な入出力回路である。調整ネジを用いた入出力回路では、調整が完了した後は、振動などの影響で特性が変化することを防ぐため、調整ネジを固定する。その固定は、例えば、入出力回路本体側の雌ネジとナットによるダブルナット方式で行うことができる。
0004
上記の調整ネジを用いた入出力回路の特性調整では、厳しい要求特性規格を満たすために、調整ねじの挿入長をμmオーダで高精度に調整することが必要となる。このような高精度の調整にあっては、調整ネジをナットで締結する際のわずかな挿入長や姿勢の変化で、入出力回路の特性が目標特性からずれてしまう場合がある。特性がずれた場合は、ナットを緩めて微調整を行い、再度ナットを締める操作を、ネジ毎に何度も繰り返さなければならない。そこで、ナットの締結で生じる特性変化を極力小さくしようとする試みが種々為されている。
0006
また特許文献2には、厚み方向に凹部を有するナットと、ナットの凹部に係合する凸部とバネ性を有する片とを有するバネ座金を用いて、信頼性を向上する技術が開示されている。この技術では、バネ座金がナットに係合することで、バネ座金の径方向の位置変動を抑制し、バネ座金に加わる発生荷重の方向を調整ネジの軸と一致させて、信頼性を向上させている。
先行技術
0007
特開平7-42722号公報
特開2003-307208号公報
発明が解決しようとする課題
0008
しかしながら、特許文献1の技術には、ナット締結で特性が目標値からずれることを避けられないという問題がある。これは、バネ座金のバネ力が、ナット締め時のトルクよりも小さく、ナットで調整ネジを締結した時に、調整ネジの挿入量が変化するためである。
0009
また、特許文献2の技術でも、ナットで調整ネジを締結した時に、調整ネジの挿入量が変化することには変わりがない。このため、特許文献1の技術と同様に、ナット締結によって特性が目標値からずれるという問題がある。
0010
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、調整ネジをナットで締結した時に入出力回路特性を目標特性に調整できる入出力回路特性調整装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0011
上記の課題を解決するため、入出力回路特性調整装置は、回転角制御部、締結制御部、特性曲線取得部、非締結特性調整部、シフト角記憶部、締結前回転角調整部を有する。回転角制御部は調整ネジの回転角を制御する。締結制御部はナットの締結を制御する。特性曲線取得部は非締結状態で調整ネジの回転角と入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得する。非締結特性調整部は非締結状態で調整ネジの回転角を特性曲線上の目標調整点に調整する。シフト角記憶部は、目標調整点でナットを締結した時の特性変化量を、特性曲線における回転角の変化量に換算し、その角度をシフト角として記憶する。締結前回転角調整部は、目標調整点とシフト角とに基づいて定めた締結前回転角に調整ネジの回転角を調整する。
発明の効果
0012
本発明の効果は、調整ネジをナットで締結した時に入出力回路特性を目標特性に調整できる入出力回路特性調整装置を提供できることである。
図面の簡単な説明
0013
第1の実施形態を示すブロック図である。
第2の実施形態を示すブロック図である。
第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
第2の実施形態における特性の推移を示すグラフである。
第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。
第3の実施形態における特性の推移を示すグラフである。
第4の実施形態における特性の推移を示すグラフである。
第4の実施形態の適用例の特性の推移を示すグラフである。
第4の実施形態の別の適用例の特性の推移を示すグラフである。
第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。
第5の実施形態の特性の推移を示すグラフである。
第6の実施形態を示す断面図である。
実施例
0014
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
0015
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の入出力回路特性調整装置を示すブロック図である。入出力回路特性調整装置は、調整ネジ回転機構1と、ナット回転機構2と、回転角制御部3と、締結制御部4と、特性曲線取得部5と、非締結特性調整部6と、シフト角記憶部7と、締結前回転角調整部8とを有している。
0016
調整ネジ回転機構1は、入出力回路に螺入された特性調整用の調整ネジを回転させる。回転角制御部3は、調整ネジ回転機構1を制御し、その結果として、調整ネジの回転角を制御する。なお、以降の説明では、調整ネジを入出力回路にねじ込む方向の回転を正方向、抜く方向の回転を逆方向とする。
0017
ナット回転機構2は、調整ネジを入出力回路に締結するためのナットを回転させる。締結制御部4は、ナット回転機構2を制御して、ナットによる調整ネジの締結を制御する。
0018
特性曲線取得部5は、ナットを締結しない状態における、調整ネジの回転角と入出力回路の特性との関係を表す特性曲線を取得する。
0019
非締結特性調整部6は、ナットを締結しない状態で、調整ネジの回転角を特性曲線上の目標調整点に調整する。
0020
シフト角記憶部7は、調整ネジの回転角を目標特性に調整した状態で、ナットを締結した時の特性変化量を特性曲線における回転角の変化量に換算し、その角度をシフト角として記憶する。ナットを締結すると調整ネジは抜かれる方向に動くので、入出力回路の特性は、特性曲線上の目標調整点から逆方向に移動した点に動くことになる。
0021
締結前回転角調整部8は、取得した目標調整点とシフト角とに基づいて締結前回転角を定め、調整ネジの回転角を締結前回転角に調整する。具体的には、例えば、目標調整点を基準として、正方向にシフト角分だけ回転した回転角とすることができる。この状態で、シフト角を求めた時と同じトルクでナットを締結すると、入出力回路の特性は、シフト角に対応する分だけ変化し、特性曲線上の目標調整点に一致するように調整される。なお、以降の説明では「入出力回路の特性」を単に「特性」という場合がある。
0022
以上説明したように、本実施形態によれば、ナットの締結による特性変化を相殺して、調整ネジ締結後の入出力回路の特性を目標特性に調整することができる。
0023
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の入出力回路特性調整装置を示すブロック図である。入出力回路特性調整装置は、特性測定器100と、機械制御部200と、制御部300とを有している。また、機械制御部200に制御される調整ネジ回転機構210と、ナット回転機構220とを有し、ナット回転機構はトルク制御部221を備えている。
0024
特性測定器100は、入出力回路400の特性を測定し、結果を制御部300に送信する。
0025
機械制御部200は、制御部300によって制御され、その制御にしたがって、調整ネジ回転機構210とナット回転機構220とを制御し、調整ネジ410、ナット420、それぞれを回転させる。
0026
制御部300は、特性曲線取得部310と、非締結特性調整部320と、シフト角記憶部330と、締結前回転角調整部340とを有している。
0027
特性曲線取得部310は、締結を解除した状態における、調整ネジ410の回転角と入出力回路400の特性との関係としての特性曲線を取得する。その取得は、例えば、ナット420を非締結として、調整ネジ410を回転させ、回転角ごとの特性を特性測定器100により測定することで行うことができる。
0028
非締結特性調整部320は、機械制御部200を制御して、ナット420の締結を解除し、調整ネジ410の回転角を制御し、入出力回路の特性を目標特性となるように調整する。この調整を非締結特性調整と呼ぶこととする。ここで、目標特性に対応する特性曲線上の点を目標調整点と呼ぶこととする。
0029
シフト角記憶部330は、非締結特性調整によって入出力回路が目標特性に調整された状態から、所定トルクでナット420を締結した時の、特性曲線におけるシフト角を記憶する。第1の実施形態で説明したように、シフト角はナットの締結による特性変化と同じ特性変化量を、特性曲線上で与える回転角のことである。
0030
締結前回転角調整部340は、ナット420を締結した時に、入出力回路400の特性が目標特性となるように、ナット420締結前の調整ネジ410の回転角を調整する。具体的には、シフト角記憶部330に記憶されたシフト角と同じ角度だけ、非締結時の目標調整点から正方向に調整ネジ410を回転する。
0031
次に、特性調整装置の動作について説明する。図3はこの動作を示すフローチャートである。まず、ナット回転機構220がナット420を回転させて調整ネジ410の締結を解除する(S1)。この状態で、調整ネジ410の回転角を変えながら特性を測定して、特性曲線を取得する(S2)。次に、入出力回路400の特性が目標特性となる回転角(目標調整点)に、調整ネジ410の回転角を調整する(S3)。この時の回転角を0、特性値をy1とする。ここでナット回転機構220を用いて所定トルクでナット420を締結する(S4)。この締結により、調整ネジ410は入出力回路400から引き抜かれる方向に動き、特性値が変化する。この時の特性値をy2とする。次に、回転角が0未満でかつ特性値がy2となる特性曲線上の点を求める。この点に対応する回転角がシフト角(−θ1とする)になる。この値−θ1を、シフト角記憶部に記憶する(S5)。次にナット420の締結を解除する(S6)。そして、調整ネジ410を正方向に回転させて、回転角を+θ1にする(S7)。この状態から、ナット420を所定トルクで締結する(S8)。この操作により、入出力回路の特性は、特性曲線上で−θ1に対応する分だけ変化するから、ナット締結後の特性が目標特性に調整される。
0032
次に、上記の動作における特性の推移について具体例を用いて説明する。図4は、調整ネジ410の回転角と特性値との関係を示す特性曲線の一例である。グラフの極小点が目標調整点となっている。図4を用いて調整動作の各ステップと、対応する特性の推移について説明する。
0033
まずナット420による締結を解除する。そして、調整ネジ410の回転角を制御して、入出力回路400の特性をa点の目標特性に調整する。この時の調整ネジ410の回転角を0、特性値をy1とする。(1)ここでナット420を所定トルクで締結すると、調整ネジ410は入出力回路400から引き抜かれる方向に動き、特性値がy2に変化する。これは、特性曲線上で、回転角が0未満でかつ特性値がy2となるb点に移動したことに相当する。そこで、b点の回転角をシフト角−θ1として記憶する。(2)次に、ナット420の締結を解除して調整ネジ410を正方向に回転し、回転角が+θとなるように調整する。この操作は特性が特性曲線上のc点に移動したことに相当する。(3)ここで、ナット420を(1)と同じ所定トルクで締結する。すると、特性は調整ネジ410が回転角θ1分だけ逆方向に回転したのと同じだけ変化する。その結果、特性は特性曲線上の目標調整点であるa点に移動し、ナット締結後の特性を目標特性に合わせることができる。なお、上記の説明には、回転角に対する特性変化が目標特性に近づくほど急峻に小さくなるV字型の例を挙げたが、目標特性に近づくほど変化が緩やかになるU字型や、逆に急峻に大きくなる∧字型や、緩やかに大きくなる∩字型であっても良い。また、目標点より負方向の回転角と特性とが1対1に対応していれば上記と異なる特性であっても良い。
0034
以上、説明したように、本実施形態によれば、本実施形態によれば、調整ネジをナットで締結した後の、入出力回路の特性を目標特性に調整することができる。
0035
(第3の実施形態)
ドライバを調整ネジに勘合させると、ネジとネジ穴の間に隙間があるので,ドライバを回転してもネジが回転しない不感帯、いわゆるバックラッシュがある。本実施形態では、このバックラッシュによって調整に誤差が生じることを防ぐ方法について説明する。
0037
まず、ナット回転機構220がナット420を回転させて調整ネジ410の締結を解除した状態にする(S101)。この状態で、調整ネジ410の回転角を変えながら特性を測定して、特性曲線を取得する(S102)。このとき回転角は常に逆方向に回して特性を取得する。次に、入出力回路400の特性が目標特性となる回転角(目標調整点)に、調整ネジ410の回転角を調整する(S103)。この時、最後に目標調整点に合わせる回転を逆方向で行う。この時の特性値をy1とする。ここでナット回転機構220を用いて所定トルクでナット420を締結する(S104)。この締結により、調整ネジ410は入出力回路400から引き抜かれる方向に動き、特性値が変化する。この時の特性値をy2とする。次に、回転角が0未満でかつ特性値がy2となる特性曲線上の点を求める。この点に対応する回転角がシフト角−θ1になる。この値−θ1をシフト角記憶部に記憶する(S105)。次にナット420の締結を解除する(S106)。そして、調整ネジ410の回転角を+θ1にする調整を行うが、回転角をθ1に合わせる前に、回転角を一旦+θ1+α(αは任意の正の値)にする(S107)。そして逆方向の回転で調整ネジ410を回転し、回転角を+θ1に調整する(S108)。この状態から、ナット420を所定トルクで締結する(S109)。以上の動作により、調整ネジ410とナット420との間に生じるバックラッシュの影響を低減して、ナット締結後の特性が目標特性に調整することができる。
0038
次に具体例を用いて上記の動作と特性の推移との関係を説明する。
図6は、調整ネジ410の回転角と特性値との関係を示す特性曲線の一例である。図6を用いて調整動作の各ステップと、対応する特性の推移について説明する。
0039
まずナット420による締結を解除する。そして、調整ネジ410の回転角を制御して、入出力回路400の特性をa点の目標特性に調整する。この時、最後に目標調整点に合わせる回転を逆方向で行う。この時の特性値をy1とする。(1)ここでナット420を所定トルクで締結すると、調整ネジ410は入出力回路400から引き抜かれる方向に動き、特性値がy2に変化する。これは、特性曲線上で、回転角が0未満でかつ特性値がy2となるb点に移動したことに相当する。そこで、b点の回転角をシフト角−θ1として記憶する。(2)次に、ナット420の締結を解除して調整ネジ410を正方向に回転し、回転角が+θ+αとなるように調整する。この操作は特性が特性曲線上のd点に移動したことに相当する。(3)そして、逆方向に調整ネジ410を回転し、回転角を+θにする。これは特性曲線上でd点からe点に移動することに相当する。この操作により調整ネジ410とナット420の間のバックラッシュが最小化される。(4)次に、調整ネジ410をナット420で締結する。すると調整ネジ410が−θ回転したことに相当する分だけ特性が変化し、入出力回路400の特性が目標特性(a点)に調整される。なお、上記の説明には、回転角に対する特性変化が目標特性に近づくほど急峻に小さくなるV字型の例を挙げたが、目標特性に近づくほど変化が緩やかになるU字型や、逆に急峻に大きくなる∧字型や、緩やかに大きくなる∩字型であっても良い。また、目標点より負方向の回転角と特性とが1対1に対応していれば上記と異なる特性であっても良い。
0040
以上説明したように、本実施形態によれば、調整ネジのバックラッシュの影響を低減して、正確に、入出力回路の特性を目標特性に調整することができる。
0041
(第4の実施形態)
調整ネジ,受け側の入出力回路のタップ、ナットおよび締結トルクの組み合わせが同じであれば、第2、第3の実施形態で説明したシフト角は、同じになると考えられる。なぜなら,調整ネジ、タップとナットが一意に決まれば,弾性変形・塑性変形量は一意に決まるためである。これは、たとえ調整する特性値が別の指標になったとしても変わることがない。このため、同一の調整ネジを繰り返し調整する場合は、一度シフト角を求めておけば、以降の調整では、シフト角の算出を省略することが可能である。
0042
図7は既知のシフト角を用いる場合の調整を説明するための特性曲線である。調整に用いるシフト角θ1が既に求められているものとする。この場合は、シフト角を求める動作が省略できて、(1)まずナットの締結を解除して調整ネジ410を正方向に回転し、目標調整点(0)に対して+θとなるように調整する。この操作により特性を特性曲線上のc点に移動させる。この時、第3の実施形態と同様に逆方向から+θに合わせれば、バックラッシュの影響を低減することができる。(2)次にナットを、シフト角を求めた時と同じ所定トルクで締結すると、特性は特性曲線上の目標調整点であるa点に移動し、ナット締結後の特性を目標特性に合わせることができる。
0043
なお既述の通り、同一の調整ネジ、タップ、ナット、締結トルクの組み合わせであれば、シフト角は同じになるため、異なる特性への調整においても、既知のシフト角を同様に利用することができる。図8および図9に具体例を示す。図8は、特性曲線の傾きが異なる特性調整に同じシフト角θ1を適用した例である。この場合も、ナット420による締結を解除して、まず目標特性のa点に調整し、(1)そこから+θ1だけ調整ネジ410を正方向に回転してc点に調整し、(2)ナット420を所定トルクで締結することにより特性をa点に調整することができる。図9は、目標調整点が極大値となる場合の例である。この場合も、同様にして、(1)目標特性のa点から+θ1正方向に調整ネジ410を回転してc点に調整し、(2)ナット420を所定トルクで締結することで目標特性のa点に特性を調整することができる。
0044
図10は上記のように、同一のネジを繰り返し調整、しかも特性の指標を変えた調整を行う動作を示すフローチャートである。まず、第2の実施形態または第3の実施形態の方法により、入出力回路の特性を第1の目標特性に調整する(S201)。この定義済み処理は、図3または図5のフローチャートで表される。次に、ナットの締結を解除する(S202)。次に第2の目標特性の近傍で、調整ネジの回転角に対する特性曲線を取得する(S203)。次にシフト角記憶部に記憶されているシフト角−θ1を参照する(S204)。次いで、第2の目標調整点から正方向に+θ1シフトした回転角に調整ネジを調整する(S205)。この時、第3の実施形態と同様に最後の調整を逆方向の回転で行うと、バックラッシュの影響を低減することができる。そして、ナットを所定トルクで締結する(S206)。以上により、入出力回路の特性を目標特性に調整することができる。
0045
以上、説明したように、本実施形態によれば、既知のシフト角を用いて、効率よく入出力回路の特性を調整することができる。
0046
(第5の実施形態)
第2または第3の実施形態の方法で、調整ネジの調整を行った場合に、1回で目標調整点に調整できなかった場合があったとする。本実施形態はこのようなケースに対応する方法について説明する。
0047
図11は上記の方法を説明するための特性曲線である。ここでは第2の実施形態の方法を用いる場合を例にして説明する。まずナット420による締結を解除する。そして、調整ネジ410の回転角を制御して、入出力回路の特性をa点の目標特性に調整する。この時の調整ネジ410の回転角を0、特性値をy1とする。(1)ここでナット420を所定トルクで締結すると、入出力回路の特性は、特性値がy2、回転角が−θ1である特性曲線上のb点に移動する。(2)次に、ナット420の締結を解除して調整ネジ410の回転角が+θとなるc点に調整する。こここでナット420を締結する。ここまでは第2の実施形態と同様である。しかしながらナット420を締結した時に特性値がy1に戻らなかったとする。(3)この場合ナット420の締結を解除して、締結前調整点の回転角を微調整し、ナット締結時の特性値がy1となる時の締結前調整点を見つけることになる。改めて見つけた締結前調整点をc´点とし、c´点の回転角をθ2とする。そして、シフト角記憶部に記憶されているシフト角を−θ1から−θ2に置き換える。(4)次いで、c´点から所定トルクでナット420を締結することにより、特性が特性曲線上のa点に移動し、入出力回路の特性を目標特性に調整することができる。その後、同一の調整ネジを繰り返し調整する場合には、−θ2をシフト角として利用することで、シフト角の算出を省略することができる。なお、c´点を見つける方法は任意であるが、例えば、ナットの締結解除→回転角調整→ナットの締結→特性チェックのサイクルを繰り返すことにより行うことができる。
0049
(第6の実施形態)
本実施形態では、具体的な入出力回路特性調整装置の構成例について説明する。図12は入出力回路特性調整装置の構成例を示す断面図である。
0050
入出力回路特性調整装置は、特性測定器100と、機械制御部200と、制御部300とを有している。また、調整ネジ回転機構210と、ナット回転機構220とを有する。
0051
特性測定器100は、入出力回路400の特性を測定し、結果を制御部300に送信する。
0052
機械制御部200は、制御部300によって制御され、その制御にしたがって、調整ネジ回転機構210とナット回転機構220とを制御する。調整ネジ回転機構210については、回転角を制御し、ナット回転機構220については、回転角度および回転方向のトルクを制御する。機械制御部200は、例えば、シーケンサやパーソナルコンピュータとすることができる。
0053
制御部300は、特性測定器100の測定結果を受信し、受信した測定結果に基づいて機械制御部200を制御する。制御部300には、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができる。
0054
調整ネジ回転機構210は、入出力回路400の調整ネジ410を回転させる機構であり、先端部分が調整ネジ410に嵌合する調整ネジ用回転ビット211と、調整ネジ用回転ビット211を回転させる回転駆動部212とを有する。両者は、上下機構213に連結され、上下方向の動作が可能である。また、調整ネジ用回転ビット211の回転軸は、回転方向保持部品214によって回転動作を妨げる事なく回転方向を保持される。
0055
調整ネジ用回転ビット211は、例えばドライバービットなどの機構部品とすることができる。回転駆動部212には、例えば、電磁力を利用して回転角度を微調整可能なステッピングモータなどを用いることができる。回転方向保持部品214は、例えばベアリングである。
0056
ナット回転機構220は、ナット420を回転させる機構であり、先端部分がナット420に嵌合するナット用回転ビット222と、ナット用回転ビット222を回転させる回転駆動部223とを有する。ここで、ナット用回転ビット222の回転軸は、調整ネジ用回転ビット211の回転軸と一致するように配置する。そのために、例えば、図12のように、回転方向変換機構224を用いて、回転駆動部223の回転軸225を変換する。
0057
回転駆動部223の回転軸225は、回転方向保持部品226によって、回転動作を妨げる事なく回転方向を保持される。また、回転駆動部223、回転軸225、回転方向保持部品226、回転方向変換機構224およびナット用回転ビット222は、上下機構227に連結され、上下方向の動作が可能である。以上のようにして、調整ネジ用回転ビット211が、ナット用回転ビット222の内部を貫通して回転動作および上下動作を行う事ができる様に構成する。
0058
ナット用回転ビット222は、その先端部分がナット420の外形部分と嵌め合う事により、ナット420に回転動作を伝達可能な例えばソケットレンチに類する機構部品とすることができる。回転方向変換機構224は、2つの交差する回転軸を連結して回転動作を伝達可能な、例えば傘歯車などの機構部品とすることができる。回転駆動部223は、例えば電磁力を利用して回転方向のトルクを調整可能なトルクモータなどを用いることができる。回転方向保持部品226は、例えばベアリングとすることができる。
0059
以上説明したように、本実施形態によれば、汎用的な構成要素の組み合わせで、第1乃至第5の実施形態を実施可能とする入出力回路特性調整装置を構成することができる。
0060
上述した第1乃至第5の実施形態の処理をコンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
0061
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
0062
1、210調整ネジ回転機構
2、220ナット回転機構
3回転角制御部
4締結制御部
5、310特性曲線取得部
6、320 非締結特性調整部
7、330シフト角記憶部
8、340締結前回転角調整部
100特性測定器
200機械制御部
221トルク制御部
300 制御部
400入出力回路
410 調整ネジ
420 ナット