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技術 グラフェンを含む透明導電膜

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 沖川侑揮山田貴壽石原正統長谷川雅考
出願日 2016年6月28日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-128050
公開日 2018年1月11日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-006044
状態 特許登録済
技術分野 非絶縁導体 導電材料 面発熱体 積層体(2)
主要キーワード 接触シート フレキシブルヒーター 転写積層体 ナノグラフェン マイクロ波表面波プラズマ ミクロサイズ プラズマ反応容器 プラズマ処理ガス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年1月11日)のものです。
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図面 (6)

課題

抵抗な透明導電膜を提供する。

解決手段

透明導電膜10は、透明基材12と、透明基材12上に設けられたグラフェン14と、グラフェン14上に設けられたポリメタクリル酸メチル層16を有する。ポリメタクリル酸メチル層16の厚さは20〜150nmである。

概要

背景

SP2結合した炭素原子による導電性の平面状結晶は、グラフェン膜と呼ばれている。グラフェン膜については、非特許文献1に詳述されている。グラフェン膜は、様々な形態の結晶性炭素膜基本単位である。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜の例としては、一層のグラフェン膜による単層グラフェンナノメートルサイズのグラフェン膜の数層から十層程度の積層体であるナノグラフェン、さらに数層から数十層程度のグラフェン膜積層体が基材面に対して垂直に近い角度で配向するカーボンナノウォール(非特許文献2参照)などがある。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜は、高い移動度を持つことから高周波デバイスとしての利用が、また高い光透過率を持つことから透明導電膜透明電極としての利用が期待されている。

グラフェン膜の製造方法として、天然黒鉛からの剥離法、炭化ケイ素高温熱処理によるケイ素の脱離法、様々な金属表面への形成法などがこれまでに開発されている。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜を用いた電子デバイスは、多岐にわたる工業的な利用が検討されている。このため、高いスループットで大面積のグラフェン膜が形成できる成膜方法出現が望まれている。化学気相合成法CVD)による銅箔表面へのグラフェン膜の形成法が知られている(非特許文献3および非特許文献4参照)。その中の一つであるマイクロ波表面波プラズマCVD(非特許文献5参照)は、低温かつ短時間でグラフェン膜を成膜することができるため、プラスチックなどの耐熱性が低い基板上への電子デバイスの作製が期待される。

概要

抵抗な透明導電膜を提供する。透明導電膜10は、透明基材12と、透明基材12上に設けられたグラフェン14と、グラフェン14上に設けられたポリメタクリル酸メチル層16を有する。ポリメタクリル酸メチル層16の厚さは20〜150nmである。

目的

このため、高いスループットで大面積のグラフェン膜が形成できる成膜方法の出現が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

透明基材と、前記透明基材上に設けられたグラフェンと、前記グラフェン上に設けられたポリメタクリル酸メチル層とを有し、前記ポリメタクリル酸メチル層の厚さが20〜150nmである透明導電膜

請求項2

請求項1において、前記グラフェンが単層グラフェンから構成される透明導電膜。

請求項3

請求項1において、前記グラフェンが2層〜10層複層グラフェンから構成される透明導電膜。

請求項4

請求項1から3のいずれかにおいて、前記グラフェンと前記ポリメタクリル酸メチル層との積層部のシート抵抗が353Ω以下である透明導電膜。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載された透明導電膜と、前記透明導電膜のポリメタクリル酸メチル層を保護する保護膜とを有するタッチパネル

請求項6

請求項5において、前記保護膜が接着層を介して前記透明導電膜上に設けられているタッチパネル。

請求項7

請求項1から4のいずれかに記載された透明導電膜と、前記グラフェンと接触している一対のコンタクト電極と、前記一対のコンタクト電極に接続された電源とを有するフレキシブルヒーター

技術分野

0001

本発明は、グラフェンとその保護膜を備える透明導電膜に関するものである。

背景技術

0002

SP2結合した炭素原子による導電性の平面状結晶は、グラフェン膜と呼ばれている。グラフェン膜については、非特許文献1に詳述されている。グラフェン膜は、様々な形態の結晶性炭素膜基本単位である。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜の例としては、一層のグラフェン膜による単層グラフェンナノメートルサイズのグラフェン膜の数層から十層程度の積層体であるナノグラフェン、さらに数層から数十層程度のグラフェン膜積層体が基材面に対して垂直に近い角度で配向するカーボンナノウォール(非特許文献2参照)などがある。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜は、高い移動度を持つことから高周波デバイスとしての利用が、また高い光透過率を持つことから透明導電膜や透明電極としての利用が期待されている。

0003

グラフェン膜の製造方法として、天然黒鉛からの剥離法、炭化ケイ素高温熱処理によるケイ素の脱離法、様々な金属表面への形成法などがこれまでに開発されている。グラフェン膜から構成される結晶性炭素膜を用いた電子デバイスは、多岐にわたる工業的な利用が検討されている。このため、高いスループットで大面積のグラフェン膜が形成できる成膜方法出現が望まれている。化学気相合成法CVD)による銅箔表面へのグラフェン膜の形成法が知られている(非特許文献3および非特許文献4参照)。その中の一つであるマイクロ波表面波プラズマCVD(非特許文献5参照)は、低温かつ短時間でグラフェン膜を成膜することができるため、プラスチックなどの耐熱性が低い基板上への電子デバイスの作製が期待される。

0004

国際公開第2012/108526号

先行技術

0005

山田久美、化学と工業、61 (2008) pp.1123-1127
Y. Wu, P. Qiao, T.Chong, Z. Shen, Adv. Mater., 14 (2002) pp.64-67
X. Li, W. Cai, J. An, S. Kim, J. Nah, D. Yang, R. Piner, A. Velamakanni, I. Jung, E. Tutuc, S. K. Banerjee, L. Colombo, R. S. Ruoff, Science, 324 (2009) pp.1312-1314
X. Li, Y. Zhu, W. Cai, M. Borysiak, B. Han, D. Chen, R. D. Piner, L. Colombo, R. S Ruoff, Nano Letters, 9 (2009) pp.4359-4363
J. Kim, M. Ishihara, Y. Koga, K. Tsugawa, M. Hasegawa, S. Iijima, Applied Physics Letters 98 (2011) pp.091502-1-091502-3

発明が解決しようとする課題

0006

CVDで合成するグラフェンは、非特許文献3から非特許文献5に記載されているように、CuやNiなどの触媒金属上に形成される。このため、グラフェンを任意の基板上に形成するには、触媒金属上からその基板上にグラフェンを転写する技術が必要となる。ポリメタクリル酸メチル(以下、「PMMA」と記載することがある)などのポリマーを用いて、グラフェンを転写する方法が知られている。

0007

すなわち、触媒金属上のグラフェンにPMMA層を形成した後、触媒金属をエッチング液にて除去する。残ったPMMA層/グラフェンを任意の基板上に貼り付けた後、アセトンでPMMA層を除去することで、任意の基板上にグラフェンが形成できる。本出願では、例えば「PMMA層/グラフェン」は、グラフェン上にPMMA層を有する積層体を示している。三層以上の積層体についても同様に表記する。図5に、この方法で得られるグラフェン24/基板22の構造を有するグラフェン転写積層体20を示す。

0008

PMMA層を除去したグラフェンにクラックが入る場合があることが、顕微鏡で観察された。このクラックは、グラフェンの電気伝導特性劣化につながると考えられる。このため、グラフェンにクラックが入らないような転写技術確立するか、任意の基板上にグラフェンを形成する全く別の手法を考える必要があった。本発明は、こうした現状に鑑みてなされたものであり、グラフェン自体の劣化がなく、低抵抗の透明導電膜を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、グラフェンの転写の際に保護膜のPMMA層を除去せず、PMMA層/グラフェンのままでシート抵抗が低減できる知見を得た。本発明はこの知見に基づいて完成に至ったものであり、本出願では以下の発明が提供される。

0010

本発明の透明導電膜は、透明基材と、透明基材上に設けられたグラフェンと、グラフェン上に設けられたポリメタクリル酸メチル層とを有し、ポリメタクリル酸メチル層の厚さが20〜150nmである。本発明の透明導電膜において、グラフェンが単層グラフェンから構成されていてもよく、2層〜10層複層グラフェンから構成されていてもよい。本発明の透明導電膜において、グラフェンとポリメタクリル酸メチル層との積層部のシート抵抗が353Ω以下であることが好ましい。

0011

本発明のタッチパネルは、本発明の透明導電膜と、透明導電膜のポリメタクリル酸メチル層を保護する保護膜とを有している。本発明のタッチパネルにおいて、保護膜が接着層を介して透明導電膜上に設けられていてもよい。本発明のフレキシブルヒーターは、本発明の透明導電膜と、グラフェンと接触している一対のコンタクト電極と、一対のコンタクト電極に接続された電源とを有している。

発明の効果

0012

本発明によれば、低抵抗な透明導電膜が得られる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態の透明導電膜の断面模式図
本発明の実施形態の透明導電膜の製造工程を説明するための断面模式図。
実施例2および実施例3で得られた各種透明導電膜のラマン分光スペクトル(広域)。
実施例2および実施例3で得られた各種透明導電膜のラマン分光スペクトル(狭域)。
従来のグラフェン転写積層体の断面模式図。

0014

以下、本発明の透明導電膜、タッチパネル装置、およびフレキシブルヒーターについて、実施形態と実施例に基づいて説明する。重複説明は適宜省略する。なお、2つの数値の間に「〜」を記載して数値範囲を表す場合には、これらの2つの数値も数値範囲に含まれるものとする。

0015

図1は、本発明の実施形態に係る透明導電膜10を示している。透明導電膜10は、透明基材12と、グラフェン14と、ポリメタクリル酸メチル層16を備えている。透明基材12は薄い板状部材で、例えば石英から作製される。透明基材12の材料としては、石英以外に、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のフレキシブル性がある透明樹脂などが挙げられる。なお、本出願では、透明基材の「透明」は、白色光を90%以上透過するものをいう。

0016

グラフェン14は、透明基材12上に設けられている。グラフェン14は、単層グラフェンから構成されていてもよい。熱CVD法を用いると単層グラフェンが合成しやすいからである。また、グラフェン14は、2層〜10層の複層グラフェンから構成されていてもよい。プラズマCVD法を用いると2層〜10層の複層グラフェンが合成しやすいからである。

0017

グラフェン14が2層〜10層の複層グラフェンから構成されている場合、単層グラフェンから構成されている場合と比べて、透明導電膜10のガスバリア性等の性能が向上する。PMMA層16は、グラフェン14に設けられている。PMMA層16の厚さは20〜150nmである。フレキシブル性がある透明基材12を用いた場合、PMMA層16の厚さを20〜150nmとすることによって、透明導電膜10のフレキシブル性が担保できるからである。

0018

図2は、透明導電膜10の製造工程を示している。まず、図2(a)に示すように、薄板状の触媒金属18上にグラフェン14を形成する。グラフェン14は、プラズマ処理を用いた以下の合成方法によって得られる(特許文献1参照)。すなわち、有機化合物などの炭素源と触媒金属18とが含まれている金属基材を加熱しながら、プラズマ中の荷電粒子電子エネルギーをこの金属基材に照射することによって、金属基材中の炭素源を活性化してグラフェンを生成する。触媒金属18としては、炭素溶けにくい銅、イリジウム白金、またはこれらのいずれかの金属と炭素の合金などが挙げられる。

0019

金属基材中の炭素源、プラズマ反応容器内に付着していた微量の炭素成分、およびプラズマ処理ガス中に含まれていた微量の炭素成分によって、触媒金属18上にグラフェン14が生成する。この方法によれば、従来の熱CVD法や樹脂炭化法と比べて、短時間でグラフェンが生成できる。なお、金属基材中の炭素含有量は4〜10000ppmであることが望ましい。また、金属基材の表面粗さRaは200〜0.095nmであることが望ましい。さらに、金属基材の温度を900℃以下にしてグラフェン14を生成することが望ましい。実施例で示すように、本発明の透明導電膜では、グラフェンの作製方法に特に制限がない。

0020

つぎに、図2(b)に示すように、グラフェン14上にPMMA溶液を塗布し、乾燥させてPMMA層16を厚さ20〜150nmで形成する。そして、図2(c)に示すように、触媒金属18をウエットエッチング等によって除去する。最後に、図2(d)に示すように、透明基材12とグラフェン14が接するように、PMMA層16/グラフェン14を透明基材12上に設置する。こうして、PMMA層16/グラフェン14/透明基材12である透明導電膜10が得られる。

0021

従来は、図5に示すように、PMMA層/グラフェン/基板からPMMA層を除去して、グラフェン24/基板22を使用していた。本実施形態では、PMMA層16を除去しないことによって、PMMA層16/グラフェン14のシート抵抗を、PMMA層16を除去したときのグラフェン14のシート抵抗より低くできる。これは、透明導電膜10の作製工程でグラフェンにクラックがほとんど入らないことや、PMMA層16/グラフェン14構造でのグラフェン14への応力が関係していると考えられる。具体的には、PMMA層16/グラフェン14のシート抵抗は、353Ω以下にできる。

0022

透明導電膜10は、タッチパネルやフレキシブルヒーターなどの様々な用途に応用できる。すなわち、本発明の実施形態に係るタッチパネルは、1以上の透明導電膜10と、透明導電膜10のPMMA層16を保護する保護膜とを備えている。保護膜は、接着層を介して透明導電膜上に設けられている。2枚の透明導電膜10を用いることによって、抵抗膜方式投影型静電容量方式のタッチパネルが得られる。また、透明導電膜10の四隅電圧印加することによって、表面型静電容量方式のタッチパネルが得られる。

0023

本発明の実施形態に係るフレキシブルヒーターは、透明導電膜10と、グラフェンと接触している一対のコンタクト電極と、一対のコンタクト電極に接続された電源とを有している。本実施形態のフレキシブルヒーターに温度制御部を設け、透明導電膜10の温度に応じて、電源からコンタクト電極に供給する電力量を制御してもよい。

0024

以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0025

実施例1:プラズマCVD法によるグラフェンを用いた透明導電膜
(1)透明導電膜の作製
表面波プラズマCVDチャンバー中に、触媒金属である厚さ約10μmの銅箔をセットした。まず、通電加熱により銅箔の温度を上げて約900℃に維持しながら、水素(200sccm)ガスのプラズマを銅箔に45秒間照射し、銅箔上にグラフェンを生成してグラフェン/銅箔を得た(図2(a)参照)。つぎに、グラフェン/銅箔の上に、PMMAのアニソール溶液(2%)を塗布し、3000rpmで30秒間スピンコートした。

0026

そして、室温で自然乾燥させてPMMA層/グラフェン/銅箔の積層体を得た(図2(b)参照)。つぎに、0.5mol/L過硫酸アンモニウムを用いて、銅箔をエッチング除去してPMMA層/グラフェンを得た(図2(c)参照)。そして、透明基材である約40mm角石英基板とグラフェンが接するように、PMMA層/グラフェンを石英基板上に設置して、PMMA層/グラフェン/石英基板の透明導電膜を得た(図2(d)参照)。

0027

(2)透明導電膜のPMMA層/グラフェン部分のシート抵抗測定
接触シート抵抗測定器(ナプソン社製、EC−80)を用いて、PMMA層/グラフェン/石英基板のPMMA層/グラフェン部分のシート抵抗を測定した。非接触シート抵抗測定方法は、渦電流発生によるキャパシタンスの変化を読み取ることでシート抵抗を見積もる方法で、サンプルへのダメージがないことが特徴である。PMMA層/グラフェン部分のシート抵抗は126Ωであった。

0028

(3)透明導電膜からPMMA層を除去した後のグラフェンのシート抵抗測定
透明導電膜からPMMA層を除去したグラフェンのみのシート抵抗を測定することで、PMMA層の効果を検証した。まず、上記でシート抵抗測定を行った透明導電膜をアセトンに浸潤させてPMMA層を除去し、グラフェン/石英基板を得た。つぎに、グラフェン/石英基板のグラフェン部分のシート抵抗を測定したところ、461Ωであった。PMMA層を除去したことによって、石英基板上の膜部分のシート抵抗が約4倍に上昇した。

0029

実施例2:熱CVD法によるグラフェンを用いた透明導電膜
PMMA層/グラフェンの低抵抗化優位性を示すため、熱CVD法で作製したグラフェンを用いて、透明導電膜の作製と各種評価を行った。熱CVD法で作製したグラフェン/銅箔(グラフェンプラットフォーム社から購入)を用いた点を除いて、実施例1と同様にして透明導電膜の作製と各種評価を行った。PMMA層/グラフェン/石英基板の透明導電膜のPMMA層/グラフェン部分のシート抵抗は353Ωであった。また、PMMA層除去後のグラフェン部分のシート抵抗981Ωであった。これらの結果から、グラフェン膜の作製方法に関わらず、PMMA層/グラフェンは、PMMA除去後のグラフェンと比べて、低抵抗であることがわかった。

0030

実施例3:PMMA層を再形成した透明導電膜
PMMA層/グラフェンが低抵抗になっている原因を探るために、以下の検証実験を行った。まず、実施例2で得られたPMMA層を除去したグラフェン/石英基板の上にPMMA層を再度形成して、PMMA層/グラフェン/石英基板の透明導電膜を得た。PMMA層の再形成方法は、実施例2の最初のPMMA層の形成と同じ方法にした。この透明導電膜のPMMA層/グラフェン部分のシート抵抗は921Ωであった。PMMA層を再形成する前のグラフェン部分のシート抵抗981Ωからわずかに減少した。実施例2のPMMA層除去前のPMMA層/グラフェンのシート抵抗が353Ωであったことを考慮すると、PMMAのグラフェンへのドーピング作用はほとんどないと推測される。

0031

実施例4:透明導電膜のラマン分光分析
グラフェンの結晶品質を評価する観点から透明導電膜のラマン分光分析を行った。ラマン分光スペクトルのピークシフトを見ることでグラフェンへの応力を、また欠陥を示すDバンドの強度を観察することで、グラフェンへのダメージを検証することが可能となる。図3は、実施例2および実施例3で得られた各種透明導電膜のラマン分光スペクトル(広域)である。使用したレーザー光波長は532nmであった。

0032

実施例2で得られたPMMA層/グラフェン/石英基板のラマン分光スペクトルが下段で、実施例2で得られたPMMA層除去後のグラフェン/石英基板のラマン分光スペクトルが中段で、実施例3で得られたPMMA層再形成後のPMMA層/グラフェン/石英基板のラマン分光スペクトルが上段である。なお、グラフェンを「Gr」と、石英基板を「ガラス」とそれぞれ表記した。各スペクトルを比較すると、欠陥の有無を示すDバンド(1350cm−1近傍)の強度は、ほとんど変化していなかった。これはPMMA層の除去前後でグラフェンのダメージがほとんどないことを示唆している。ただし、ラマン分光装置で用いたレーザー径が約1μmであるため、この程度の大きさにおける評価となる。

0033

図4は、図3部分拡大図である。すなわち、Gバンド(1600cm−1近傍)および2Dバンド(2700cm−1近傍)のシフトが観察しやすいように、図3のラマン分光スペクトル(広域)の1560〜1640cm−1と2650〜2730cm−1を選択したのが、図4のラマン分光スペクトル(狭域)である。図4に示すように、PMMA層除去後の透明導電膜のスペクトル(中段)のGバンドおよび2Dバンドのピーク位置は、PMMA除去前の透明導電膜のスペクトル(下段)のそれぞれのピーク位置と比較して負側にシフトしていた。

実施例

0034

また、PMMA層再形成後の透明導電膜のスペクトル(上段)のGバンドおよび2Dバンドのピーク位置は、PMMA層除去後の透明導電膜のスペクトル(中段)のGバンドおよび2Dバンドのピーク位置とほとんど変わらなかった。この結果から、PMMA層除去前にグラフェンに加わっていた応力がPMMA層除去により解放された、またはPMMA層除去により伸びる力がグラフェンに加わったと推測される。この解放または伸びる力によって、グラフェンにミクロサイズのクラックが入り、PMMA層除去後のグラフェンのシート抵抗が高くなったと推測される。

0035

10…透明導電膜
12…透明基材
14…グラフェン
16…ポリメタクリル酸メチル層
18…触媒金属
20…グラフェン転写積層体
22…基板
24…グラフェン

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