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技術 乱数生成装置、乱数生成方法、および乱数生成プログラム

出願人 日本電気株式会社国立研究開発法人情報通信研究機構
発明者 太中裕貴青野良範
出願日 2016年7月6日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-133851
公開日 2018年1月11日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2018-005702
状態 特許登録済
技術分野 暗号化・復号化装置及び秘密通信
主要キーワード 確率質量 多項式近似式 問題解決手法 不規則信号 離散分布 非負実数 ガウス分布関数 累積法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

記憶領域が限られた装置上においても、分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を効率的に生成すること。

解決手段

候補計算部は、確率分布累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、乱数データに第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、第一丸め値を出力候補データとして出力する。第一評価部は、上側近似函数および下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、出力候補データを受け、乱数データに第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、第二丸め値が出力候補データに等しいか否かを判定し、第二丸め値が出力候補データに等しいときに、出力候補データを確率分布に従った乱数として出力する。

概要

背景

まず、離散ガウス分布を定義する。実数集合に属する実数値sにより定まる函数



として、整数の集合に属する整数値uを確率



で出力した分布を、分散値がsの離散ガウス分布と呼ぶ。ここで、πは円周率を表し、expは自然対数の底を表す。

この離散ガウス分布に従って生成された乱数は、格子暗号に用いられる(例えば、非特許文献1参照)。格子暗号は耐量子暗号として期待され、計算効率が良く、機能性の高い暗号スキームとして研究されている暗号システムである。

離散ガウス分布は全ての整数値を取りうる確率分布である。離散ガウス分布を格子暗号として用いる場合、次のように、分布の出力する整数値の範囲を、自然数の集合に属する、セキュリティパラメータnに依存する形で制限する事で、確率変数の生成を効率化する事が多い。つまり、



として



を離散ガウス分布の出力範囲とする。分布が出力する整数の範囲をこのように制限しても、格子暗号の安全性に影響を与えないことが知られている。

正規化定数Wを



と定義するとき、分布が出力する整数の範囲を上述のように制限した離散ガウス分布は、



とおき、このΨ(x)を用いて、整数の集合に属する整数値uを確率Ψ(u)で出力する。

そこで本明細書では、以下「離散ガウス分布」といったら、分布が出力する整数の範囲が



であり、整数の集合に属する整数値uを確率Ψ(u)で出力する確率分布を指すものとする。

また、函数



を、「離散ガウス分布を定める函数」と呼ぶことにする。

離散ガウス分布に従う乱数生成方法として、累積法と棄却サンプル法との二つが知られている。ここでは、離散ガウス分布を定める函数をφ(x)とし、分布の生成範囲



とする。

まず累積法について、非特許文献2の記載に基づいて説明する。図7に示すように、この非特許文献2に開示された、第1の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置200は、記憶装置210と、探索器220と、一様乱数生成器230とから成る。

このような構成を有する、第1の関連技術の離散ガウス分布に従う乱数生成装置200は、次のように動作する。

まず、乱数生成装置200は、値



事前計算し、記憶装置210に記憶しておく。次に、一様乱数生成器230が実数値x∈[0,1]を出力する。一様乱数生成器230から出力された、実数の集合に属する実数値xは、探索器220に送られる。

探索器220は、記憶装置210に記憶されている値から、φ(z - 1)≦x≦φ(z)なる、整数の集合に属する整数値zを二分探索し、符号sign=±を一様に選び、整数の集合に属する



を出力する。
以上が累積法による離散ガウス分布に従う乱数生成方法である。

累積法では記憶装置210に記憶するデータ



の数がtσに比例する。よって、累積法は、メモリ量が制限された装置上で、分散値σの大きい離散ガウス分布を生成することができないという問題がある。分散σは既存の格子暗号では大きな値になっている。具体的なメモリ量は、たとえば、非特許文献3では、下記の表1のようになっている。

格子暗号は、RSA(Rivest-Shamir-Adleman)方式をはじめとした周知の暗号方式も計算量が少ない為、センサ機器携帯電話のような計算資源や記憶容量が小さいデバイスでの利用が期待されている。しかしながら、格子暗号のサブルーチンである離散ガウス分布の生成に累積法を用いた場合、累積法で必要とするデータの保存に多くの記憶容量を使ってしまう。そのため、格子暗号をこのようなデバイスでは利用できなくなってしまう。

次に、棄却サンプル法について説明する。棄却サンプル法は離散ガウス分布に限らず、任意の離散型確率分布に従った乱数を生成する際に適応できるものである。そこで、まず一般の離散型確率分布に従った確率変数Xに対する棄却サンプル法を、非特許文献4にしたがって説明する。その後で、離散ガウス分布に従った乱数を生成する棄却サンプル法について説明する。

離散型確率分布p(X=xi)に従う乱数を、棄却サンプル法を利用して生成するには、以下のようにする。

まず、すべてのxiに対して、t(xi)≧p(xi)を満足する函数t(x)で、函数t(x)を効率的に計算できるものを準備し、正規化をおこなったr(x)=t(x)/Σt(xi)とおく。

次の手順により、確率変数Xに対する離散型分布p(X=xi)(確率分布函数)に従う乱数の棄却サンプル法を行う。
(Step 1) 確率分布函数rをもつ乱数Yを生成する。
(Step 2) Yとは独立に区間[0,1]の一様乱数Uを発生させる。
(Step 3) U≦p(Y)/t(Y)を満たす場合は乱数としてX=Yとする。満たさない場合は(Step1)にもどる。

次に離散ガウス分布に従う乱数を生成する方法を、非特許文献5に基づいて説明する。なお、非特許文献5に開示された方法を、後述する本発明のそれと比較するため、非特許文献5に開示された方法を実現するための装置構成についても付記する。

非特許文献5では、上述した棄却サンプル法を函数t(x)が恒等的に1である場合に対して適応したものである。

図8に示すように、この非特許文献5に開示された、第2の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置300は、棄却判定器310と、乱数生成器320と、出力装置330とからなる。このような構成を有する、第2の関連技術の離散ガウス分布に従う乱数生成装置300は次のように動作する。

すなわち、乱数生成器320が、整数の集合に属する



の範囲で、整数の集合に属する一様乱数u1(整数値)を生成する。次に、乱数生成器320は、[0,φ(0)]の範囲で、実数の集合に属する実数値乱数u2を生成する。

次に、整数の集合に属する一様乱数u1と実数の集合に属する実数値乱数u2とが棄却判定器310に入力される。棄却判定器310は、φ(u1)と実数の集合に属するu2とを比較し、u2≦φ(u1)なら整数の集合に属するu1を出力する。

そうでなければ、乱数生成装置300は、最初のステップ戻り、同じ操作をやり直す。

以上が棄却サンプル法による離散ガウス分布に従う乱数生成方法である。この棄却サンプル法に関する課題は、棄却されるごとにガウス分布関数を計算しなければならないので、計算効率がわるくなる点である。

また、本発明に関連する先行技術文献(特許文献)も知られている。

例えば、特許文献1は、秘密鍵共有の暗号システムに用いられる相関乱数を発生する相関乱数発生装置を開示している。この特許文献1に開示された相関乱数発生装置は、駆動用不規則信号発生部と、駆動用不規則信号伝送部と、第1乱数発生部と、第2乱数発生部とから構成される。第1乱数発生部は、乱数用不規則信号生成部と、パラメータ値生成部と、量子化部とを含んで構成される。また、第2乱数発生部も、乱数用不規則信号生成部と、パラメータ値生成部と、量子化部とを含んで構成される。量子化部は、乱数用不規則信号を量子化して離散化された乱数を出力する。

特許文献2は、得られる計算結果の精度を保証する損失分布計算システムを開示している。指定された頻度分布累積分布函数をPf(・)と書くこととする。また、Pf(・)の確率函数(確率質量函数)をpf(・)と書くことにする。指定された規模分布の累積分布函数をPs(・)と書くこととする。また、Ps(・)が離散分布の場合は、その確率函数(確率質量函数)をps(・)、Psが連続分布の場合は、その確率密度関数をPs(・)と書くことにする。損失分布計算システムは、頻度分布蓄積手段と、規模分布蓄積手段と、規模分布離散化手段と、離散化規模分布蓄積手段とを含む。入力された頻度分布の情報は、頻度分布蓄積手段に蓄積される。規模分布離散化手段は、規模分布蓄積手段に蓄積されている規模分布Ps(・)に対して、上側離散化、または下側離散化、またはその両方をおこない、上側離散化規模分布Us(・)、または下側離散化規模分布Ds(・)、またはその両方を生成し、離散化規模分布蓄積手段に蓄積する。

概要

記憶領域が限られた装置上においても、分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を効率的に生成すること。候補計算部は、確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、乱数データに第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、第一丸め値を出力候補データとして出力する。第一評価部は、上側近似函数および下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、出力候補データを受け、乱数データに第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、第二丸め値が出力候補データに等しいか否かを判定し、第二丸め値が出力候補データに等しいときに、出力候補データを確率分布に従った乱数として出力する。

目的

本発明の目的は、上述したいずれかの課題を解決する、乱数生成装置、乱数生成方法、および乱数生成プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成装置であって、乱数データを生成する乱数生成器と、前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算部と、前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する第一評価部と、を備えることを特徴とする乱数生成装置。

請求項2

前記累積分布函数は、分散値がsの離散ガウス分布の累積分布函数であることを特徴とする、請求項1に記載の乱数生成装置。

請求項3

前記上側近似函数は、であり、前記下側近似函数は、であることを特徴とする、請求項2に記載の乱数生成装置。

請求項4

前記第二丸め値が前記出力候補データに等しくないときに、棄却サンプル法を用いて前記乱数を生成する第二評価部を更に有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乱数生成装置。

請求項5

前記第二評価部は、前記乱数として整数ガウス値を計算する、請求項4に記載の乱数生成装置。

請求項6

与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成方法であって、乱数生成器が、乱数データを生成し、候補計算部が、前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力し、第一評価部が、前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する、をことを特徴とする乱数生成方法。

請求項7

前記累積分布函数は、分散値がsの離散ガウス分布の累積分布函数であることを特徴とする、請求項6に記載の乱数生成方法。

請求項8

前記上側近似函数は、であり、前記下側近似函数は、であることを特徴とする、請求項7に記載の乱数生成方法。

請求項9

前記第二丸め値が前記出力候補データに等しくないときに、第二評価部が、棄却サンプル法を用いて前記乱数を生成する、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の乱数生成方法。

請求項10

コンピュータを、確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、乱数生成器から生成された乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算手段、および前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記確率分布にしたがった乱数として出力する第一評価手段、として機能させる乱数生成プログラム

技術分野

0001

本発明は、離散ガウス分布に従う乱数を生成する、乱数生成装置乱数生成方法、および乱数生成プログラムに関する。

背景技術

0002

まず、離散ガウス分布を定義する。実数集合に属する実数値sにより定まる函数



として、整数の集合に属する整数値uを確率



で出力した分布を、分散値がsの離散ガウス分布と呼ぶ。ここで、πは円周率を表し、expは自然対数の底を表す。

0003

この離散ガウス分布に従って生成された乱数は、格子暗号に用いられる(例えば、非特許文献1参照)。格子暗号は耐量子暗号として期待され、計算効率が良く、機能性の高い暗号スキームとして研究されている暗号システムである。

0004

離散ガウス分布は全ての整数値を取りうる確率分布である。離散ガウス分布を格子暗号として用いる場合、次のように、分布の出力する整数値の範囲を、自然数の集合に属する、セキュリティパラメータnに依存する形で制限する事で、確率変数の生成を効率化する事が多い。つまり、



として



を離散ガウス分布の出力範囲とする。分布が出力する整数の範囲をこのように制限しても、格子暗号の安全性に影響を与えないことが知られている。

0005

正規化定数Wを



と定義するとき、分布が出力する整数の範囲を上述のように制限した離散ガウス分布は、



とおき、このΨ(x)を用いて、整数の集合に属する整数値uを確率Ψ(u)で出力する。

0006

そこで本明細書では、以下「離散ガウス分布」といったら、分布が出力する整数の範囲が



であり、整数の集合に属する整数値uを確率Ψ(u)で出力する確率分布を指すものとする。

0007

また、函数



を、「離散ガウス分布を定める函数」と呼ぶことにする。

0008

離散ガウス分布に従う乱数生成方法として、累積法と棄却サンプル法との二つが知られている。ここでは、離散ガウス分布を定める函数をφ(x)とし、分布の生成範囲



とする。

0009

まず累積法について、非特許文献2の記載に基づいて説明する。図7に示すように、この非特許文献2に開示された、第1の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置200は、記憶装置210と、探索器220と、一様乱数生成器230とから成る。

0010

このような構成を有する、第1の関連技術の離散ガウス分布に従う乱数生成装置200は、次のように動作する。

0011

まず、乱数生成装置200は、値



事前計算し、記憶装置210に記憶しておく。次に、一様乱数生成器230が実数値x∈[0,1]を出力する。一様乱数生成器230から出力された、実数の集合に属する実数値xは、探索器220に送られる。

0012

探索器220は、記憶装置210に記憶されている値から、φ(z - 1)≦x≦φ(z)なる、整数の集合に属する整数値zを二分探索し、符号sign=±を一様に選び、整数の集合に属する



を出力する。
以上が累積法による離散ガウス分布に従う乱数生成方法である。

0013

累積法では記憶装置210に記憶するデータ



の数がtσに比例する。よって、累積法は、メモリ量が制限された装置上で、分散値σの大きい離散ガウス分布を生成することができないという問題がある。分散σは既存の格子暗号では大きな値になっている。具体的なメモリ量は、たとえば、非特許文献3では、下記の表1のようになっている。

0014

0015

格子暗号は、RSA(Rivest-Shamir-Adleman)方式をはじめとした周知の暗号方式も計算量が少ない為、センサ機器携帯電話のような計算資源や記憶容量が小さいデバイスでの利用が期待されている。しかしながら、格子暗号のサブルーチンである離散ガウス分布の生成に累積法を用いた場合、累積法で必要とするデータの保存に多くの記憶容量を使ってしまう。そのため、格子暗号をこのようなデバイスでは利用できなくなってしまう。

0016

次に、棄却サンプル法について説明する。棄却サンプル法は離散ガウス分布に限らず、任意の離散型確率分布に従った乱数を生成する際に適応できるものである。そこで、まず一般の離散型確率分布に従った確率変数Xに対する棄却サンプル法を、非特許文献4にしたがって説明する。その後で、離散ガウス分布に従った乱数を生成する棄却サンプル法について説明する。

0017

離散型確率分布p(X=xi)に従う乱数を、棄却サンプル法を利用して生成するには、以下のようにする。

0018

まず、すべてのxiに対して、t(xi)≧p(xi)を満足する函数t(x)で、函数t(x)を効率的に計算できるものを準備し、正規化をおこなったr(x)=t(x)/Σt(xi)とおく。

0019

次の手順により、確率変数Xに対する離散型分布p(X=xi)(確率分布函数)に従う乱数の棄却サンプル法を行う。
(Step 1) 確率分布函数rをもつ乱数Yを生成する。
(Step 2) Yとは独立に区間[0,1]の一様乱数Uを発生させる。
(Step 3) U≦p(Y)/t(Y)を満たす場合は乱数としてX=Yとする。満たさない場合は(Step1)にもどる。

0020

次に離散ガウス分布に従う乱数を生成する方法を、非特許文献5に基づいて説明する。なお、非特許文献5に開示された方法を、後述する本発明のそれと比較するため、非特許文献5に開示された方法を実現するための装置構成についても付記する。

0021

非特許文献5では、上述した棄却サンプル法を函数t(x)が恒等的に1である場合に対して適応したものである。

0022

図8に示すように、この非特許文献5に開示された、第2の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置300は、棄却判定器310と、乱数生成器320と、出力装置330とからなる。このような構成を有する、第2の関連技術の離散ガウス分布に従う乱数生成装置300は次のように動作する。

0023

すなわち、乱数生成器320が、整数の集合に属する



の範囲で、整数の集合に属する一様乱数u1(整数値)を生成する。次に、乱数生成器320は、[0,φ(0)]の範囲で、実数の集合に属する実数値乱数u2を生成する。

0024

次に、整数の集合に属する一様乱数u1と実数の集合に属する実数値乱数u2とが棄却判定器310に入力される。棄却判定器310は、φ(u1)と実数の集合に属するu2とを比較し、u2≦φ(u1)なら整数の集合に属するu1を出力する。

0025

そうでなければ、乱数生成装置300は、最初のステップ戻り、同じ操作をやり直す。

0026

以上が棄却サンプル法による離散ガウス分布に従う乱数生成方法である。この棄却サンプル法に関する課題は、棄却されるごとにガウス分布関数を計算しなければならないので、計算効率がわるくなる点である。

0027

また、本発明に関連する先行技術文献(特許文献)も知られている。

0028

例えば、特許文献1は、秘密鍵共有の暗号システムに用いられる相関乱数を発生する相関乱数発生装置を開示している。この特許文献1に開示された相関乱数発生装置は、駆動用不規則信号発生部と、駆動用不規則信号伝送部と、第1乱数発生部と、第2乱数発生部とから構成される。第1乱数発生部は、乱数用不規則信号生成部と、パラメータ値生成部と、量子化部とを含んで構成される。また、第2乱数発生部も、乱数用不規則信号生成部と、パラメータ値生成部と、量子化部とを含んで構成される。量子化部は、乱数用不規則信号を量子化して離散化された乱数を出力する。

0029

特許文献2は、得られる計算結果の精度を保証する損失分布計算システムを開示している。指定された頻度分布累積分布函数をPf(・)と書くこととする。また、Pf(・)の確率函数(確率質量函数)をpf(・)と書くことにする。指定された規模分布の累積分布函数をPs(・)と書くこととする。また、Ps(・)が離散分布の場合は、その確率函数(確率質量函数)をps(・)、Psが連続分布の場合は、その確率密度関数をPs(・)と書くことにする。損失分布計算システムは、頻度分布蓄積手段と、規模分布蓄積手段と、規模分布離散化手段と、離散化規模分布蓄積手段とを含む。入力された頻度分布の情報は、頻度分布蓄積手段に蓄積される。規模分布離散化手段は、規模分布蓄積手段に蓄積されている規模分布Ps(・)に対して、上側離散化、または下側離散化、またはその両方をおこない、上側離散化規模分布Us(・)、または下側離散化規模分布Ds(・)、またはその両方を生成し、離散化規模分布蓄積手段に蓄積する。

0030

特開2008−070636号公報
国際公開第2011/037169号

先行技術

0031

Regev “On lattices, learning with errors, random linear codes, and cryptography ”, STOC2005,ACM(2005), 84-93
Chris Peikert “An efficient and parallel Gaussian Sampler for lattices. ” , CRYPTO, 2010, pages 80-97
DWARAKANATH , GALBRAITH “Sampling From Discrete Gaussians for Lattice-Based Cryptography on a Constrained Device ”
四辻哲章 “計算機シュミレーションのための確率分布乱数生成法 ” 92ページ~93ページ
Craig Gentry, Chris Peikert , Vinod Vaikuntanathan “ How to Use a Short Basis: Trapdoors for Hard Lattices and New Cryptographic Constructions ”, STOC, 2008, pages 197-206

発明が解決しようとする課題

0032

離散ガウス分布に従う乱数生成方法には、上述したように、累積法と棄却サンプル法とがあるが、以下に、それぞれの課題を順番に述べる。

0033

累積法に関しての問題点は、記憶領域が限られた装置上で、分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を生成することが、非効率的にしか生成できないということである。その理由は、記憶領域が限られた装置では記憶領域に記憶すべき値



をすべて記憶することができないからである。

0034

棄却サンプル法に関しての問題点は、離散ガウス分布に従う乱数の生成速度が遅い点である。その理由は、棄却されるごとにガウス分布函数を計算しなければならないので、計算効率がわるくなるからである。

0035

尚、特許文献1は、与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する装置を開示しているにすぎない。

0036

特許文献2は、規模分布に対して、上側離散化規模分布、または下側離散化規模分布、またはその両方を生成する技術的思想を開示しているに過ぎない。

0037

本発明の目的は、上述したいずれかの課題を解決する、乱数生成装置、乱数生成方法、および乱数生成プログラムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0038

本発明の乱数生成装置は、与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成装置であって、乱数データを生成する乱数生成器と;前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算部と;前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する第一評価部と;を備えることを特徴とする。

0039

本発明の乱数生成方法は、与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成方法であって、乱数生成器が、乱数データを生成し;候補計算部が、前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力し;第一評価部が、前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する、ことを特徴とする。

0040

本発明の乱数生成プログラムは、コンピュータを、確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、乱数生成器から生成された乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算手段;および前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記確率分布にしたがった乱数として出力する第一評価手段;として機能させる。

発明の効果

0041

本発明によれば、記憶領域が限られた装置上においても、分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を効率的に生成することができる。

図面の簡単な説明

0042

本発明の第1の実施形態に係る乱数生成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示した乱数生成装置に使用される、候補計算部の構成を示すブロック図である。
図1に示した乱数生成装置に使用される、第一評価部の構成を示すブロック図である。
図1に示した乱数生成装置に使用される、第二評価部の構成を示す図である。
第1の実施形態に係る乱数生成装置の動作を示す流れ図である。
本発明の第2の実施改訂に係る乱数生成装置の第二評価部の動作を示すフローチャートである。
第1の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置の構成を示すブロック図である。
第2の関連技術に係る離散ガウス分布に従う乱数生成装置の構成を示すブロック図である。

実施例

0043

[本発明の問題解決手法
本発明は、格子暗号及び署名に用いる、制限された装置上における離散ガウス分布に従う乱数を生成する、乱数生成装置、乱数生成方法、および乱数生成プログラムである。

0044

まず、本発明の理解を容易にするために、離散ガウス分布に対する累積分布函数を用いて、以下のようにして離散ガウス分布に従う乱数を生成できることについて述べる。
(Step1)実数値一様乱数u∈[0,1]をとる。
(Step2)実数値一様乱数uに対し、離散ガウス分布の累積分布函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取る。
(Step3)符号(±)を一様に選び、(Step2)で得た値に付け、出力する。

0045

以上で述べた方法により、原理的には離散ガウス分布に従う乱数を生成できる。しかしながら、離散ガウス分布の累積分布函数



の逆函数を効率的に計算するのは困難であるので、上述した方法をそのまま用いる事はできない。

0046

そこで、函数



の逆函数を効率的に求める一手法として、整数の集合に属する定義域



の値を記憶領域に保存し、これらを用いて函数Ψの逆函数を求める、というものがある。この方法を用いれば、φ(k)を求めるのに必要な計算時間が省略できるので、函数Ψの逆函数を効率的に求めることができる。

0047

しかしながら、この手法を用いるには、φ(k)の値全てを記憶領域に保存しなければならない。本発明の目的は、記憶領域が限られた装置上においても分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を生成する事にあるので、この手法では問題が解決されない。

0048

そこで本発明では、函数Ψの逆函数Ψ−1(u)を以下のアイデアに基づいて、記憶領域をさほど消費することなく、分散値の大きい離散ガウス分布に従う乱数を効率的に生成することができるサンプル法を実現する。ここで、上付き文字−1又は{-1}は、逆函数を意味する。

0049

[A,Cの性質
まず、離散ガウス分布に対する累積分布函数Ψ(x)を上下にはさむ。すなわち、実数xを定義域に持つ実数値函数A(x),C(x)として、以下の性質1〜4を満たすものを選ぶ:
性質1. 全ての非負実数xに対し、A(x)≧Ψ(x)≧C(x)
性質2. yに対する実数値函数A(y)の逆函数A−1(y)の整数丸めの値と、yに対する実数値函数C(y)の逆函数C−1(y)の整数丸めの値とは、多くのyに関して一致する。(性質1より、これらのyに対しては逆函数Ψ−1(y)の整数丸めの値も逆函数A−1(y)の整数丸めの値と一致する。)
性質3. Aの逆函数は効率的に計算できる。
性質4. 次のいずれかの性質が満たされている:
i. Cの逆函数が効率的に計算できる。
ii. Cが効率的に計算できる。

0050

以下、函数A(x)およびC(x)を、それぞれ、上側近似函数および下側近似函数と呼ぶことにする。

0051

本発明では,これらの函数を用いる事で,前述したStep1, 2, 3を以下のように改良する。

0052

まず(Step 1)では前述したのと同様、実数値一様乱数u∈[0,(1/2)]をとる。

0053

次にStep 2では、函数Ψの逆函数Ψ−1(u)を直接計算する代わりに、函数Aの逆函数A−1(u)を計算する。性質1により、逆函数A−1(u)は効率的に計算でき、しかも性質2により、多くのuに対し、逆函数A−1(u)の整数丸めの値は逆函数Ψ−1(u)の整数丸めの値に等しい。

0054

これは、すなわち、本発明では、多くのuに対し、函数Ψの逆函数Ψ−1(u)の整数丸めを効率的に計算できる事を意味する。

0055

(Step 1)で得た乱数uに対し、A−1(u)=Ψ−1(u)が実際に成立する事を確認するための十分条件として、本発明では、逆函数A−1(u)の整数丸めの値と逆函数C−1(u)の整数丸めの値とが一致している事を確認する。

0056

性質1より、これらが一致していれば、逆函数A−1(u)の整数丸めの値は逆函数Ψ−1(u)の整数丸めの値に等しいので、逆函数A−1(u)に(Step 3)の符号をつけた値を出力値とする。

0057

ここで、逆函数A−1(u)の整数丸めの値(第一丸め値)と逆函数C−1(u)の整数丸めの値(第二丸め値)とが一致している事を確認する方法には2通りある。

0058

第一の方法は、函数Cの逆函数C−1(u)を計算し、逆函数A−1(u)の整数丸めの値(第一丸め値)と逆函数C−1(u)の整数丸めの値(第二丸め値)とを直接比較する、というものである。この方法は、逆函数C−1(u)の計算を伴うので、性質4.iが成立している場合に効率的に実行できる方法である。

0059

第二の方法は、iを逆函数A{-1}(u)の整数丸めの値(第一丸め値)としたときに、C(i-(1/2))を計算して、uと比較し、C(i-(1/2))≦uなら逆函数A{-1}と逆函数C{-1}の整数丸めの値は一致する、というものである。これは、(i-(1/2))≦C{-1}(u)より、



から分かる。

0060

この方法は函数C(u)の計算を伴うので、性質4.iiが成立している場合に効率的に実行できる方法である。

0061

また、函数Aの逆函数A−1(u)の整数丸めの値(第一丸め値)と函数Cの逆函数C−1(u)の整数丸めの値(第二丸め値)とが一致していないケースでは、本発明では函数Ψの逆函数Ψ−1(u)を直接求め、そこに(Step 3)の符号をつけたものを出力値とする。

0062

ここで、函数ΨのΨ−1(u)の計算は効率的ではないので、このケースでは計算時間を要する事になる。しかしながら、性質2により、そもそもこのケースが起こることはめったにないので、本発明が必要とする計算時間の期待値は小さくてすむ。

0063

上側近似函数A(x)と下側近似函数C(x)の具体的な形に関しては、後述する[発明の実施の形態]で述べる。

0064

なお、上側近似函数A(x)はどのように求めても良いが、たとえば上側近似函数A(x)をテイラー展開し、必要な有効数字を得るのに十分な項までを計算することで求める事ができる。下側近似函数C(x)、逆函数A−1(u)、逆函数C−1(u)も同様である。

0065

本発明では、上側近似函数A(x)と下側近似函数C(x)(ないしその逆函数)を計算するのに必要となるデータ(たとえばこれらの函数のテイラー展開の最初の数項の係数)のみを記憶領域に保存しておけば良い。したがって、本発明を用いれば、記憶容量が少ない装置上で、離散ガウス分布に従う乱数を効率的に発生することができる。

0066

上では、性質1〜性質4を満たす函数A, Cを用いる事で本発明を実現したが、性質3および性質4の代わりに、以下の性質5および性質6を満たす函数A, Cを用いても、本発明を実現できる。
性質5. Cの逆関数は効率的に計算できる。
性質6. 次のいずれかの性質が満たされている:
i. Aの逆関数が効率的に計算できる。
ii. Aが効率的に計算できる。

0067

性質5および性質6は、性質3および性質4においてAとCを入れ替えたものである。よって、前述した本発明のアイデアでAとCとを入れ替えれば、性質5および性質6を満たすAとCに対しても、本発明を適応できる。

0068

以上のようにして、本発明の目的を達成することができる。具体的な方法については、後述する実施の形態に記載する。

0069

次に、本発明の効果について説明する。

0070

第1の効果は、メモリ量、すなわち記憶容量が制限された装置上においても、離散ガウス分布に従う乱数を生成できる点にある。

0071

累積法では



の値を100bitで記憶する。

0072

棄却サンプル法では、ガウス函数の多項式近似式における係数を記憶する。

0073

これに対して、本発明では、ガウス函数の多項式近似式における係数、上側近似函数の逆函数、下側近似函数の逆函数の多項式近似式における係数を記憶する。

0074

このことから、本発明では、メモリ量が制限された装置上でも、分散値が大きい離散ガウス分布の生成を行うことができる。よって、本発明を格子暗号のサブルーチンと用いる事で、センサ機器や携帯電話のような計算資源や記憶容量が小さいデバイスでの利用が期待される。

0075

第2の効果は、計算効率が改善できる点にある。

0076

累積法では、1つの出力値に対して、2分探索の計算量を必要とする。

0077

棄却サンプル法では、1つの出力値に対して、



を必要とする。

0078

これに対して、本発明では、高確率で(上側近似函数の逆函数の計算)+(下側近似函数の逆函数の計算)であるので、1つの出力値に対して、効率的に乱数を生成することが期待できる。

0079

[発明の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し,重複する説明を省略する場合がある。

0080

[第1の実施形態]
[構成の説明]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る乱数生成装置は、プログラム制御により動作するコンピュータ(中央処理装置プロセッサデータ処理装置)90と、一様乱数を[0.1]の範囲で生成する一様乱数生成部100と、出力装置140とを備えている。

0081

コンピュータ90は、候補計算部110と、第一評価部120と、第二評価部130とを含む。出力装置140は符号決定部141を含む。

0082

ここでは、

0083

図2に示されるように、候補計算部110は、乱数入力部111と、上側近似逆函数計算部112とを含む。

0084

図3に示されるように、第一評価部120は、候補データ入力部121と、下側近似逆函数計算部122とを含む。

0085

図4に示されるように、第二評価部130は、棄却判定部131と、乱数生成部132とを含む。

0086

図5を参照して、図1に示した乱数生成装置の動作について説明する。

0087

一様乱数生成部100は乱数データu∈[0,(1/2)]を出力する(ステップS501)。

0088

次に一様乱数生成部100により出力された、実数の集合に属する乱数データuは候補計算部110の乱数入力部111に送られる。

0089

以下に述べる候補計算部110と第一評価部120との動作において、次の二つの函数を考える。一つの函数は、離散ガウス分布の累積分布函数より真に大きい函数(以下、「上側近似函数」とよび、A(x)とおく)である。もう一方の函数は、累積分布函数より真に小さい函数(以下、「下側近似函数」とよび、C(x)とおく)である。

0090

例えば上側近似函数として



を考え、下側近似函数として



を考える。

0091

以下の説明では、候補計算部110に上側近似函数が含まれ、第一評価部120に下側近似函数が含まれるとして説明する。しかしながら、候補計算部110に下側近似函数が含まれ、第一評価部120に上側近似函数が含まれるようにしてもよい。

0092

候補計算部110の上側近似逆函数計算部112は、上側近似函数を持つ。上側近似逆函数計算部112は、乱数入力部111から受けた乱数データuに対して、上側近似函数A(u)の逆函数A{-1}(u)を計算することで、最終的に出力したい整数値(第一丸め値)の出力候補データ113として、[A{-1}(u)]と[A{-1}(u)]-1を2つ出力する(ステップS502)。

0093

この出力候補データ113は、第一評価部120へ送られる。

0094

第一評価部120の下側近似逆函数計算部122は、乱数データuに対して、下側近似函数C(x)の逆函数C{-1}(u)を整数丸めした値(第二の丸め値)[C{-1}(u)]を計算した後、整数値[C{-1}(u)]と[A{-1}(u)]の値が等しいかどうかを判定する(ステップS503)。

0095

ここで、[A{-1}(u)]=[C{-1}(u)]の判定方法には二種類ある。
第一の方法は、[A{-1}(u)]と[C{-1}(u)]とを計算し、一致をみる方法である。
第二の方法は、uとC([A{-1}(u)]-(1/2))との大小関係を比較して、u≧C([A{-1}(u)]-(1/2))なら[C{-1}(u)]=[A{-1}(u)]と判定でき、そうでなければ値が異なると判定する方法である。

0096

これら2つの方法のうちどちらの方法を選ぶかは、上側近似函数A(x)、下側近似函数C(x)の選び方による(上述した[A, Cの性質]を参照)。

0097

この判定で、整数値[C{-1}(u)]と[A{-1}(u)]の値が等しければ、第一評価部120は、整数値[A{-1}(u)]=[C{-1}(u)]を出力装置140へ送信する。

0098

出力装置140の符号決定部141は、符号±を決定し、[A{-1}(u)]=[C{-1}(u)]に符号をつけ出力する(ステップS504)。

0099

値が異なれば、第一評価部120は、整数値[A{-1}(u)]を第二評価部130へ送信する。

0100

第二評価部130の棄却判定部131は、a=[A{-1}(u)]としたとき、



を比較し、



a-1を出力し、そうでなければaを出力装置140へ送信する(ステップS505)。

0101

出力装置140は、送られてきたデータを符号決定部141へ送信する。符号決定部141は、符号(±)を出力装置140により送られたデータにつけ、出力する(ステップS506)。

0102

[第1の実施形態の効果の説明]
次に、本第1の実施形態の効果について説明する。

0103

本第1の実施形態では、まず出力の候補を効率的に生成し、効率的かつ高確率で第一評価部120において一つに絞るというように構成されているため、効率的にサンプルできる。さらには、誤差函数の逆函数の多項式のみ記憶すればよいので、少ない記憶容量の装置上であっても離散ガウス分布に従う乱数が生成できる。

0104

[第2の実施形態]
[構成の説明]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。

0105

第2の実施形態に係る乱数生成装置は、図1乃至図4に図示した第1の実施形態に係る乱数生成装置と構成上では実質的に同一であるが、第二評価部130の動作のみが異なる。

0106

[動作の説明]
次に、図6を参照して、第2の実施の形態に係る第二評価部130の動作について説明する。

0107

第二評価部130は、出力候補データaを受け取り、函数φ(x+1)と函数φ(x)とを用いて、棄却サンプル法を行う。

0108

まず、乱数生成部132は、ステップS601では、0〜a-1の実数範囲で実数の集合に属する乱数u1(実数値)を生成し、さらに整数の集合に属する整数値kにおける{k+(1/2)}から乱数u1に最近の整数値kを取る。

0109

次に、乱数生成部132は、ステップS602では、0〜φ(0) の実数範囲で乱数u2を生成する。

0110

次に、第二評価部130の棄却判定部131は、ステップS603では、



であるかを判定する。もし



でない場合は、棄却判定部131は、ステップS601に戻る。もし



であるなら、棄却判定部131は、ステップS604へ進み、



であるか否かを判定する。もし



であるなら、棄却判定部131はaを出力し(ステップS605)、そうでなければ、棄却判定部131は、a-1を出力する(ステップS606)。

0111

[第2の実施形態の効果の説明]
次に、本第2の実施形態の効果について説明する。

0112

本第2の実施形態では、まず出力の候補を効率的に生成し、効率的かつ高確率で第一評価部において一つに絞るというように構成されているため、効率的にサンプルできる。さらには、誤差函数の逆函数の多項式のみ記憶すればよいので、少ない記憶容量の装置上であっても離散ガウス分布に従う乱数を生成することができる。

0113

[発明の効果の説明]
次に、本発明の効果について説明する。

0114

第1の効果は、メモリ量、すなわち記憶容量が制限された装置上においても離散ガウス分布に従う乱数を生成することができることである。
第2の効果は、計算効率を改善できることである。

0115

なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。

0116

尚、乱数生成装置の各部は、ハードウェアソフトウェアとの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAM(random access memory)に乱数生成プログラムが展開され、該乱数生成プログラムに基づいて制御部(CPU(central processing unit))等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。また、該乱数生成プログラムは、記録媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録された乱数生成プログラムは、有線無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスク磁気ディスク半導体メモリ装置ハードディスクなどが挙げられる。

0117

上記実施の形態を別の表現で説明すれば、乱数生成装置として動作させるコンピュータを、RAMに展開された乱数生成プログラムに基づき、候補計算部110、第一評価部120、および第二評価部130として動作させることで実現することが可能である。

0118

また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。

0119

以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

0120

上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。

0121

(付記1)与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成装置であって、
乱数データを生成する乱数生成器と、
前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算部と、
前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する第一評価部と、
を備えることを特徴とする乱数生成装置。

0122

(付記2)前記累積分布函数は、分散値がsの離散ガウス分布



の累積分布函数であることを特徴とする、付記1に記載の乱数生成装置。

0123

(付記3)前記上側近似函数は、



であり、
前記下側近似函数は、



であることを特徴とする、付記2に記載の乱数生成装置。

0124

(付記4)前記第二丸め値が前記出力候補データに等しくないときに、棄却サンプル法を用いて前記乱数を生成する第二評価部を更に有する、付記1乃至3のいずれか1項に記載の乱数生成装置。

0125

(付記5)前記第二評価部は、前記乱数として整数ガウス値を計算する、付記4に記載の乱数生成装置。

0126

(付記6)与えられた確率分布にしたがって乱数を生成する乱数生成方法であって、
乱数生成器が、乱数データを生成し、
候補計算部が、前記確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、前記乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力し、
第一評価部が、前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記乱数として出力する、
をことを特徴とする乱数生成方法。

0127

(付記7)前記累積分布函数は、分散値がsの離散ガウス分布



の累積分布函数であることを特徴とする、付記6に記載の乱数生成方法。

0128

(付記8)前記上側近似函数は、



であり、
前記下側近似函数は、



であることを特徴とする、付記7に記載の乱数生成方法。

0129

(付記9)前記第二丸め値が前記出力候補データに等しくないときに、第二評価部が、棄却サンプル法を用いて前記乱数を生成する、付記6乃至8のいずれか1項に記載の乱数生成方法。

0130

(付記10)前記第二評価部が、前記乱数として整数ガウス値を計算する、付記9に記載の乱数生成方法。

0131

(付記11)
コンピュータを、
確率分布の累積分布函数をそれぞれ上側および下側で挟む形の上側近似函数および下側近似函数の一方を第一近似函数として所有し、乱数生成器から生成された乱数データに前記第一近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第一丸め値を計算し、該第一丸め値を出力候補データとして出力する候補計算手段、および
前記上側近似函数および前記下側近似函数の他方を第二近似函数として所有し、前記出力候補データを受け、前記乱数データに前記第二近似函数の逆函数を作用させ、整数丸めを取って得られる第二丸め値を計算し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいか否かを判定し、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しいときに、前記出力候補データを前記確率分布にしたがった乱数として出力する第一評価手段、
として機能させる乱数生成プログラム。

0132

(付記12)前記累積分布函数は、分散値がsの離散ガウス分布



の累積分布函数であることを特徴とする、付記11に記載の乱数生成プログラム。

0133

(付記13)前記上側近似函数は、



であり、
前記下側近似函数は、



であることを特徴とする、付記12に記載の乱数生成プログラム。

0134

(付記14)前記コンピュータを、前記第二丸め値が前記出力候補データに等しくないときに、棄却サンプル法を用いて前記乱数を生成する第二評価手段として更に機能させる、付記11乃至13のいずれか1項に記載の乱数生成プログラム。

0135

(付記15)前記第二評価手段は、前記乱数として整数ガウス値を計算する、付記14に記載の乱数生成プログラム。

0136

本発明は、格子暗号及び署名に用いる、離散ガウス分布に従う乱数の生成の用途に適用できる。

0137

90コンピュータ(中央処理装置;プロセッサ;データ処理装置)
100一様乱数生成部
110 候補計算部
111乱数入力部
112 上側近似逆函数計算部
113候補データ
120 第一評価部
121 候補データ入力部
122 下側近似逆函数計算部
130 第二評価部
131棄却判定部
132乱数生成部
140出力装置
141 符号決定部

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