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技術 生存確率推定装置、方法、及びプログラム

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 唐恒進松林達史青木政勝澤田宏
出願日 2016年7月1日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2016-132060
公開日 2018年1月11日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-005580
状態 特許登録済
技術分野 複合演算
主要キーワード 劣化故障 故障時期 メンテナンススケジュール 耐久年数 故障発生時刻 人工データ パラメトリックモデル 観測期間
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年1月11日)のものです。
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図面 (9)

課題

精度よく、対象物生存確率推定できる。

解決手段

初期化処理部30が、対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、イベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化する。発生時刻推定部32が、イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、イベント未発生観測経過時間Ti,Nと、最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新されたパラメータとに基づいて、イベント発生経過時間Ti,Rを推定する。パラメータ推定部34が、i番目のデータの各々についてのイベント発生経過時間Ti,R、最終観測経過時間Ti、及びイベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、パラメータを推定する。

概要

背景

機械耐久年数や、生物生存期間推定する代表的な技術として生存時間分析というものが広く利用されている。生存時間分析では経過時間t(例えば生物が誕生してからの生存期間(年齢))において、該当データにイベントが発生する(例えば生物の死亡)確率を算出する。生存時間分析の既存技術としては、1.カプラマイヤー、2.Cox比例ハザードモデル、3.パラメトリックモデルが存在する。

概要

精度よく、対象物生存確率を推定できる。初期化処理部30が、対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、イベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化する。発生時刻推定部32が、イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、イベント未発生観測経過時間Ti,Nと、最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新されたパラメータとに基づいて、イベント発生経過時間Ti,Rを推定する。パラメータ推定部34が、i番目のデータの各々についてのイベント発生経過時間Ti,R、最終観測経過時間Ti、及びイベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、パラメータを推定する。

目的

本発明は、上記課題を鑑みて成されたものであり、精度よく、対象物の生存確率を推定できる生存確率推定装置、方法、及びプログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イベントが発生するまで生存する対象物生存確率推定する生存確率推定装置であって、前記対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化する初期化処理部と、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新された前記パラメータとに基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定する発生時刻推定部と、i番目のデータの各々についての前記イベント発生経過時間Ti,R、前記最終観測経過時間Ti、及び前記イベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定するパラメータ推定部と、前記発生時刻推定部による推定、及び前記パラメータ推定部による推定を、予め定めた条件を満たすまで繰り返す収束判定処理部と、を含む生存確率推定装置。

請求項2

前記パラメータ推定部は、前記モデルとして、指数分布のモデルを用いる請求項1に記載の生存確率推定装置。

請求項3

前記発生時刻推定部により推定された前記イベント発生経過時間Ti,Rを出力する出力部を更に含む請求項1又は請求項2に記載の生存確率推定装置。

請求項4

前記発生時刻推定部は、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までの経過時間Ti,Nにおける、イベントが発生していない確率S(Ti,N)と、前記最終観測経過時間Tiにおける、イベントが発生していない確率S(Ti)とを、初期化又は更新された前記パラメータを用いた前記モデルに基づいて計算し、前記確率S(Ti,N)から前記確率S(Ti)までの範囲から定まる確率に基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の生存確率推定装置。

請求項5

前記パラメータ推定部は、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関する、前記イベント発生経過時間Ti,Rにおける、イベントが発生する確率f(Ti,R)と、前記イベントの発生が観測されていないi番目のデータの各々に関する前記確率S(Ti)とを用いて表される前記尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の生存確率推定装置。

請求項6

イベントが発生するまで生存する対象物の生存確率を推定する生存確率推定装置における生存確率推定方法であって、初期化処理部が、前記対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化するステップと、発生時刻推定部が、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新された前記パラメータとに基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定するステップと、パラメータ推定部が、i番目のデータの各々についての前記イベント発生経過時間Ti,R、前記最終観測経過時間Ti、及び前記イベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定するステップと、収束判定処理部が、前記発生時刻推定部による推定、及び前記パラメータ推定部による推定を、予め定めた条件を満たすまで繰り返すステップと、を含む生存確率推定方法。

請求項7

出力部が、前記発生時刻推定部により推定された前記イベント発生経過時間Ti,Rを出力するステップを更に含む請求項6に記載の生存確率推定方法。

請求項8

コンピュータを、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の生存確率推定装置の各部として機能させるためのプログラム

技術分野

0001

本発明は、生存確率推定装置、方法、及びプログラム係り、特に、イベントが発生するまで生存する対象物の生存確率を推定するための生存確率推定装置、方法、及びプログラムに関する。

背景技術

0002

機械耐久年数や、生物生存期間を推定する代表的な技術として生存時間分析というものが広く利用されている。生存時間分析では経過時間t(例えば生物が誕生してからの生存期間(年齢))において、該当データにイベントが発生する(例えば生物の死亡)確率を算出する。生存時間分析の既存技術としては、1.カプラマイヤー、2.Cox比例ハザードモデル、3.パラメトリックモデルが存在する。

先行技術

0003

David M Diez.:Survival Analysis in R,インターネット,(検索日時:2016/02/01),2013.

発明が解決しようとする課題

0004

既存技術のうち、1.カプランマイヤーは入力されたデータを集計処理することで生存確率を算出し、生存確率を表す関数パラメータ推定を行わないのに対し、2.Cox比例ハザードモデル、3.パラメトリックモデルではパラメータ推定を行う違いがある。また、いずれの技術も入力データとしては「イベントの発生有無」(例えば生物の死亡が確認されたかどうか)、および「該当データの観測開始から、イベントの発生が確認されるまでの経過時間(イベントが発生していない場合は該当データの観測期間)」の情報を元に生存確率の推定を行う。しかしながら既存技術は共通してある問題を抱えている。それは既存技術の入力データとして用いている「経過時間」というのは、「イベントが実際に発生するまでの経過時間」ではなく「イベントの発生が確認されるまでの経過時間」であるため、両者が大きくずれていた場合、生存確率の推定が不正確になる(図1参照)。

0005

このようなケースは往々にして発生する。例えば非常用電源は通常通電していないため、劣化故障などが見つけにくく、メンテナンス時に故障発見されるケースがよくある。またビルのメンテナンスでも、非破壊検査が行われる頻度は非常に低いため、実際にビルに破損が発生した時期を推定することは困難である。そのため非常用電源を例にとると、潜在的な故障が発見されにくく、対象の本質的な耐用年数の推定が難しいため、適切なメンテナンス時期がわからず、実際に利用しようという段階において故障している事態が発生しやすい。

0006

本発明は、上記課題を鑑みて成されたものであり、精度よく、対象物の生存確率を推定できる生存確率推定装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために、第1の発明に係る生存確率推定装置は、イベントが発生するまで生存する対象物の生存確率を推定する生存確率推定装置であって、前記対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化する初期化処理部と、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新された前記パラメータとに基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定する発生時刻推定部と、i番目のデータの各々についての前記イベント発生経過時間Ti,R、前記最終観測経過時間Ti、及び前記イベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定するパラメータ推定部と、前記発生時刻推定部による推定、及び前記パラメータ推定部による推定を、予め定めた条件を満たすまで繰り返す収束判定処理部と、を含んで構成されている。

0008

また、第1の発明に係る生存確率推定装置において、前記パラメータ推定部は、前記モデルとして、指数分布のモデルを用いるようにしてもよい。

0009

また、第1の発明に係る生存確率推定装置において、前記発生時刻推定部により推定された前記イベント発生経過時間Ti,Rを出力する出力部を更に含むようにしてもよい。

0010

また、第1の発明に係る生存確率推定装置において、前記発生時刻推定部は、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までの経過時間Ti,Nにおける、イベントが発生していない確率S(Ti,N)と、前記最終観測経過時間Tiにおける、イベントが発生していない確率S(Ti)とを、初期化又は更新された前記パラメータを用いた前記モデルに基づいて計算し、前記確率S(Ti,N)から前記確率S(Ti)までの範囲から定まる確率に基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定するようにしてもよい。

0011

また、第1の発明に係る生存確率推定装置において、前記パラメータ推定部は、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関する、前記イベント発生経過時間Ti,Rにおける、イベントが発生する確率f(Ti,R)と、前記イベントの発生が観測されていないi番目のデータの各々に関する前記確率S(Ti)とを用いて表される前記尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定するようにしてもよい。

0012

第2の発明に係る生存確率推定方法は、イベントが発生するまで生存する対象物の生存確率を推定する生存確率推定装置における生存確率推定方法であって、初期化処理部が、前記対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化するステップと、発生時刻推定部が、前記イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新された前記パラメータとに基づいて、前記イベント発生経過時間Ti,Rを推定するステップと、パラメータ推定部が、i番目のデータの各々についての前記イベント発生経過時間Ti,R、前記最終観測経過時間Ti、及び前記イベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、前記パラメータを推定するステップと、収束判定処理部が、前記発生時刻推定部による推定、及び前記パラメータ推定部による推定を、予め定めた条件を満たすまで繰り返すステップと、を含んで実行することを特徴とする。

0013

また、第2の発明に係る生存確率推定方法において、出力部が、前記発生時刻推定部により推定された前記イベント発生経過時間Ti,Rを出力するステップを更に含むようにしてもよい。

0014

第3の発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1の発明に係る生存確率推定装置の各部として機能させるためのプログラムである。

発明の効果

0015

本発明の生存確率推定装置、方法、及びプログラムによれば、対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化し、イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新されたパラメータとに基づいて、イベント発生経過時間Ti,Rを推定し、i番目のデータの各々についてのイベント発生経過時間Ti,R、最終観測経過時間Ti、及びイベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、パラメータを推定することを、予め定めた条件を満たすまで繰り返すことにより、精度よく、対象物の生存確率を推定できる、という効果が得られる。

図面の簡単な説明

0016

既存技術と本発明の実施の形態の開発技術による生存確率の推定の一例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置の機械のデータの入力例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置による出力例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置の構成を示すブロック図である。
故障有と故障無における経過時間Ti,N、Ti,R及び、Tiの関係を表す図である。
経過時間と生存確率の関係を表す図である。
本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置における生存確率推定処理ルーチンを示すフローチャートである。
本発明の実施の形態のシミュレーション結果の一例を示す図である。

実施例

0017

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0018

<本発明の実施の形態に係る概要

0019

まず、本発明の実施の形態における概要を説明する。

0020

本発明の実施の形態に係る開発技術はパラメトリックモデルのみに適用可能であり、カプランマイヤー、Cox比例ハザードモデルには適用できない。この手法は故障発生時刻が不明なデータについての、故障発生時刻の予測も行う。

0021

以下、対象物を「機械」、イベントを「機械の故障」、イベントの発生が「指数分布」に従う場合を例として説明する(他には対象データを「生物」、イベントを「生物の死亡」、イベントの発生が「ワイブル分布」に従うなどの例が考えられる)。

0022

本実施の形態の開発技術における、生存確率推定装置の入力と出力のイメージ図2、及び図3のようになる。図2の入力において着目してほしい点としては、従来技術では利用していなかった「故障無」が確認された時刻の情報を用いている点である。例えば非常用電源の場合、頻度は少ないが「試運転」を行うことや、周辺に設置したセンサ情報を確認することによって故障が発生していない時期の情報が得られることがある。開発技術ではこれらの「故障無」情報を利用することで、実際に故障が発生した時刻を絞り込み、より正確な故障発生時期の予測に役立てる。以下、本実施の形態の詳細を説明する。

0023

<本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置の構成>

0024

次に、本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置の構成について説明する。図4に示すように、本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置100は、CPUと、RAMと、後述する生存確率推定処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この生存確率推定装置100は、機能的には図4に示すように入力部10と、演算部20と、出力部50とを備えている。

0025

入力部10は、N個の機械の各々についての運転開始以降のデータに関して、以下の情報を受け付ける。

0026

入力部10は、i番目の機械のデータに関して、故障したか否かを表すci(i=1,2,...,M)を受け付ける。ci=1は故障発生観測、ci=0は故障発生未観測を表す。

0027

また、i番目の機械のデータに関して、機械が設置(製造)されてから故障か否かの情報が最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiを受け付ける。

0028

また、i番目の機械のデータに関して、故障発生が観測された時(ci=1)、機械が設置(製造)されてから故障していないことが確認された最後の時刻までのイベント未発生経過時間Ti,Nを受け付ける。

0029

演算部20は、初期化処理部30と、発生時刻推定部32と、パラメータ推定部34と、収束判定部36とを含んで構成されている。

0030

初期化処理部30は、以下に説明するように、i番目の機械のデータに関して、最終観測経過時間Tiによって、故障発生が観測された時(ci=1)、機械が設置(製造)されてから故障が実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化する。また、初期化処理部30は、経過時間tにおいて故障が発生する確率f(t)及び経過時間tまでに故障が発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化する。

0031

ここで、パラメータの種類は、選択するモデルによるが、本実施の形態では、モデルとして、指数分布のモデルを用いる。指数分布のモデルの場合は、パラメータはλとする。また、最終観測経過時間Ti、イベント未発生観測経過時間Ti,N、イベント発生経過時間Ti,Rは、それぞれi番目の機械のデータが観測されてからの経過時間を表す(Ti,N<Ti,R≦Ti)。図5は故障有と故障無におけるTi,N、Ti,R及び、Tiの関係を表したものである。Ti、Ti,Nは入力データから一意に定まるのに対して、Ti,Rは本実施の形態の開発技術によって推定を行う。初期化処理部30においては、以下(1)式に従ってイベント発生経過時間Ti,Rを初期化する。

0032

0033

関数である、経過時間tにおいて故障が発生する確率f(t)と経過時間tまでに故障が発生していない確率S(t)は、選択するモデルとモデルのパラメータによって定まり、以下(2)式の関係を持つ。

0034

0035

モデルによってf(t)、及びS(t)は変わりうるが、片方が定まれば他方は一意に定まる関係を持つ。例えば指数分布の場合、パラメータλによって以下(3)式、及び(4)式のように表される。

0036

0037

初期化処理部30ではパラメータλの初期値を設定する。初期値に関する制約は基本的にはないが、例えば指数分布のモデルを選択した場合、パラメータλは以下(5)式で算出するなどが考えられる。

0038

0039

発生時刻推定部32は、故障の発生が観測されたi番目の機械のデータの各々に関して、イベント未発生観測経過時間Ti,Nと、最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新されたパラメータλとに基づいて、イベント発生経過時間Ti,Rを推定する。

0040

発生時刻推定部32では、すべてのデータについて推定を行うのではなく、故障発生が観測されたデータ(ci=1)のみに対しTi,Rの推定を行う。故障発生が観測されていないデータ(ci=0)については初期化処理に設定した値を保持する。まず、i番目の機械のデータの各々に関して、観測が開始されてから故障が発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nにおける、故障が発生していない確率S(Ti,N)と、最終観測経過時間Tiにおける、故障が発生していない確率S(Ti)とを、初期化又は更新されたパラメータλを用いたモデルに基づいて計算する。次に、確率S(Ti,N)から確率S(Ti)までの範囲から、一様乱数を用いて確率S(Ti,R)を求め、逆関数を用いることにより、イベント発生経過時間Ti,Rを推定する。図6は経過時間のTi、Ti,N及び、Ti,Rと、確率のS(Ti)、S(Ti,N)、及びS(Ti,R)との関係を表したものである。

0041

パラメータ推定部34は、故障の発生が観測されたi番目の機械のデータの各々に関する、イベント発生経過時間Ti,Rにおける、故障が発生する確率f(Ti,R)と、故障の発生が観測されていないi番目の機械のデータの各々に関する確率S(Ti)とを用いて表される以下(6)式の尤度式を最適化するように、パラメータλを推定する。

0042

0043

例えば指数分布のモデルを選択した場合は初期化処理部30において説明したように、パラメータλとなり、以下(7)式によって、上記(6)式を最適化するパラメータλを算出することができる。

0044

0045

ただし、 ̄ciは、ciの反転を表す。

0046

0047

収束判定部36は、発生時刻推定部32による推定、及びパラメータ推定部34による推定を、予め定めた条件を満たすまで繰り返す。収束判定処理としては様々なやり方が考えられる。例えば、条件を、一定回数(例えば100回)、発生時刻推定部32による推定、及びパラメータ推定部34による推定を繰り返すこととし、繰り返し終了後に、出力部50に移行する。推定対象であるパラメータの変化が一定値以下になった時、出力に移行する。

0048

出力部50は、発生時刻推定部32により推定された経過時間tのイベント発生経過時間Ti,Rを出力する。また、経過時間tにおける生存確率S(t)の情報(グラフや式)が主な出力対象となる。また、パラメータ(指数分布の場合はλ)等も出力可能である。

0049

<本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置の作用>

0050

次に、本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置100の作用について説明する。入力部10において、N個の機械の各々について、故障したか否かを表すci、機械が設置(製造)されてから故障か否かの情報が最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Ti、及び故障発生が観測された時(ci=1)、機械が設置(製造)されてから故障していないことが確認された最後の時刻までのイベント未発生経過時間Ti,Nを受け付けると、生存確率推定装置100は、図7に示す生存確率推定処理ルーチンを実行する。

0051

まず、ステップS100では、i番目の機械のデータ(i=1,・・・,N)の各々に関して、最終観測経過時間Tiによって、故障発生が観測された時(ci=1)、機械が設置(製造)されてから故障が実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを上記(1)式に従って初期化する。また、経過時間tにおいて故障が発生する確率f(t)及び経過時間tまでに故障が発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータλを上記(5)式に従って初期化する。

0052

次に、ステップS102では、i番目の機械のデータの各々に関して、観測が開始されてから故障が発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nにおける、故障が発生していない確率S(Ti,N)と、最終観測経過時間Tiにおける、故障が発生していない確率S(Ti)とを、初期化又は更新されたパラメータλを用いたモデルに基づいて上記(3)式、及び(4)式に従って計算する。

0053

ステップS104では、i番目の機械のデータの各々に関して、ステップS102で計算した確率S(Ti,N)から確率S(Ti)までの範囲から、一様乱数を用いて確率S(Ti,R)を求め、逆関数を用いることにより、イベント発生経過時間Ti,Rを推定する。

0054

ステップS106では、故障の発生が観測されたi番目の機械のデータの各々に関する、イベント発生経過時間Ti,Rにおける、故障が発生する確率f(Ti,R)と、故障の発生が観測されていないi番目の機械のデータの各々に関する確率S(Ti)とを用いて表される上記(6)式の尤度式を最適化するように、上記(7)式に従って、パラメータλを推定する。

0055

ステップS108では、収束判定に関する条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしていると判定された場合にはステップS110へ移行し、条件を満たしていないと判定された場合にはステップS104に戻って処理を繰り返す。

0056

ステップS110では、ステップS106で推定された経過時間tのイベント発生経過時間Ti,Rを出力し、処理を終了する。

0057

<シミュレーション結果>

0058

本実施の形態の効果を検証するため以下のシミュレーションを行った。本実施の形態に係る開発技術、及び既存技術を用いて以下の人工データの生存確率推定を行う。

0059

データは以下の(ci,Ti,N,Ti,R,Ti)で構成されている。
・故障発生が確認されているか否か(ci)
・機械が設置(製造)されてから故障していないことが確認された最後の時刻までのイベント未発生経過時間(Ti,N)
・機械が設置(製造)されてから故障が実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間(Ti,R)
・機械が設置(製造)されてから故障か否かの情報が最後に観測された時刻までの最終観測経過時間(Ti)

0060

ただしTi,Rは正解データであって、通常の分析の際はわからない。

0061

本シミュレーションでは、人工データとして以下を用いる。

0062

・(1,7,9,10)
・(1,3,5,7)
・(1,6,7,8)
・(1,2,3,5)
・(1,10,12,13)
・(0,13,−,15)
・(0,4,−,8)

0063

パラメトリックモデルの一つである指数分布(分布パラメータ)をベースに、既存技術と本実施の形態の開発技術を適用するものとする。開発技術の収束判定処理における繰返し回数は10回とする。また、各技術の精度の検証のため正解データであるTi,Rを用いた場合の推定結果と比較を行う。正解データがすべて判明している場合、既存技術と開発技術は同じ結果となる。

0064

この時、既存技術を用いて推定された分布パラメータは

0065

0066

となった。

0067

また、本実施の形態の開発技術を用いて推定された分布パラメータは

0068

0069

となった。また、正解データを用いた場合における推定された分布パラメータは

0070

0071

となった。

0072

分布パラメータλの各推定結果を元に、横軸:経過時間、縦軸:生存確率としたのが図8である。図8より本実施の形態の開発技術の方が、より正解データに近い推定結果を出せていることがわかる。

0073

以上説明したように、本発明の実施の形態に係る生存確率推定装置によれば、対象物の各々について観測されたイベントに関するデータに基づいて、i番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが実際に発生した時刻までのイベント発生経過時間Ti,Rを初期化し、経過時間tにおいてイベントが発生する確率f(t)及び経過時間tまでにイベントが発生していない確率S(t)を推定するためのモデルに関するパラメータを初期化し、イベントの発生が観測されたi番目のデータの各々に関して、観測が開始されてからイベントが発生していないことが最後に確認された時刻までのイベント未発生観測経過時間Ti,Nと、観測が開始されてからイベントが発生したか否かが最後に観測された時刻までの最終観測経過時間Tiと、初期化又は更新されたパラメータとに基づいて、イベント発生経過時間Ti,Rを推定し、i番目のデータの各々についてのイベント発生経過時間Ti,R、最終観測経過時間Ti、及びイベント発生経過時間Ti,Rにより表される尤度式を最適化するように、パラメータを推定することを、予め定めた条件を満たすまで繰り返すことにより、精度よく、対象物の生存確率を推定できる。

0074

また、潜在的なイベント(例:機械の故障など)をモデル化し、イベント発生時期(例:故障機械の実際の故障時期)を推定することによって、対象の本質的な生存期間(例:機械の耐用年数)を測ることが可能になる。例えば機械の故障を例にとると、メンテナンスコストの増大を抑えつつ、機器が故障して利用できないリスクを削減でき、メンテナンススケジュールの最適化が見込まれる。また、機器のより本質的な耐用年数を推定することによって、機器の故障原因の推定、例えば共通部品経年劣化なのか、機器固有の原因か、人為的な原因か、などをより精度良く推定することも可能となる。

0075

なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。

0076

例えば上述した実施の形態では、対象物を機械とし、イベントを故障の発生として生存確率を推定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、イベントが発生するまで生存する対象物であればどのようなものでもよい。

0077

10 入力部
20演算部
30初期化処理部
32発生時刻推定部
34パラメータ推定部
36収束判定部
50 出力部
100生存確率推定装置

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