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技術 プラント制御装置、圧延制御装置、プラント制御方法およびプラント制御プログラム

出願人 株式会社日立製作所
発明者 服部哲
出願日 2016年7月1日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-131374
公開日 2018年1月11日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-005544
状態 特許登録済
技術分野 圧延の制御 フィードバック制御一般
主要キーワード 偏差周波数 たな板 識別周波数 変更度合 高速フーリエ変換結果 時間応答関数 制御操作端 周波数依存特性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

制御前状態量と制御後状態量の変動の周波数特性からフィードフォワード制御に効果のある制御タイミングシフト量を効率よく求める。

解決手段

制御ゲインタイミングシフト量設定装置102は、制御前状態量(入側板厚偏差ΔHTRK)および制御後状態量(出側板厚偏差Δh)の時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、制御前状態量に対する制御後状態量の位相差および減衰量を、周波数応答測定装置201により取得する。さらに、メンバーシップ関数105〜107、ファジィ推論装置108、パラメータ変更装置109を介して、制御前状態量をフィードフォワード制御に反映させるまで制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよびフィードフォワード制御用の制御ゲインGFFを算出する。

概要

背景

金属板圧延することにより薄い金属材料を効率的に生産するプラントである圧延機においては、被圧延材である金属板の硬度ムラによる板厚不良が発生する場合がある。硬度ムラとは、被圧延材の硬さが被圧延材の全体にわたって一様でない状態をいう。被圧延材の硬さは、圧延される際の変形抵抗となるため、圧延の際に被圧延材を搬送する搬送方向である圧延方向に硬度ムラが生じていると、位置によって被圧延材の潰れ方が異なり、圧延された後の板厚に変動が発生する。

圧延は、元の金属板の板厚である原板厚から製品厚まで、一般に被圧延材を複数回圧延機に通すことで行われる。硬度ムラが存在すると、位置によって被圧延材の硬さが異なるため板厚変動が発生するが、複数回の圧延において毎回板厚偏差が新たに発生する。製品の板厚精度を向上させるために、圧延機においては板厚制御が実施されるが、硬度ムラにより圧延の度に発生する板厚変動を、従来の板厚制御で除去することは困難であった。

例えば、ある回の圧延時に発生した硬度ムラによる板厚変動を、次回の圧延時に入側板厚計で検出して、フィードフォワード的な板厚制御により板厚変動を抑制することはできる。しかしながら、その板厚制御により、それまでの板厚変動は抑制されるが、硬度ムラによって新たな板厚変動が発生する。このような場合、新たな板厚変動を抑制するには、通常の制御ゲインより大きな制御ゲインが必要となる。そこで、特許文献1に開示された板厚制御方法では、周波数分析により硬度ムラの有無を判断し、フィードフォワード板厚制御の制御ゲインを変更することが行われている。

また、フィードフォワード制御においては、十分な制御効果を期待するためには、制御ゲインとともに制御出力位相シフト量が重要である。そこで、特許文献2に開示された板厚制御装置では、複数の制御状態量間の位相関係に基づき制御ゲインおよび位相シフト量を調整することにより、最大の制御効果を引き出そうとしている。

概要

制御前状態量と制御後状態量の変動の周波数特性からフィードフォワード制御に効果のある制御タイミングシフト量を効率よく求める。制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、制御前状態量(入側板厚偏差ΔHTRK)および制御後状態量(出側板厚偏差Δh)の時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、制御前状態量に対する制御後状態量の位相差および減衰量を、周波数応答測定装置201により取得する。さらに、メンバーシップ関数105〜107、ファジィ推論装置108、パラメータ変更装置109を介して、制御前状態量をフィードフォワード制御に反映させるまで制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよびフィードフォワード制御用の制御ゲインGFFを算出する。

目的

本発明の目的は、制御前状態量および制御後状態量が複雑な波形となる場合であっても、より大きなフィードフォワード制御の効果を実現できる制御出力の制御タイミングシフト量(位相シフト量Δ)を効率よく求めることが可能なプラント制御装置圧延制御装置プラント制御方法およびプラント制御プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被加工物加工処理する際の制御前の制御状態量である制御前状態量に基づき、その制御後の制御状態量である制御後状態量フィードフォワード制御するプラント制御装置であって、前記制御前状態量および前記制御後状態量のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を取得する周波数応答測定手段と、前記取得した位相差および減衰量に基づき、前記制御前状態量を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量を決定するフィードフォワード制御パラメータ調整手段と、を有することを特徴とするプラント制御装置。

請求項2

前記フィードフォワード制御パラメータ調整手段は、前記周波数応答測定手段で取得した前記位相差および前記減衰量に基づいて前記フィードフォワード制御用制御ゲインを決定することを特徴とする請求項1に記載のプラント制御装置。

請求項3

前記制御後状態量が所定の範囲内となったときの前記被加工物の加工処理の際の加工条件のデータに、前記加工処理の際の前記フィードフォワード制御で用いられた前記制御出力タイミングシフト量および前記フィードフォワード制御用の制御ゲインが対応付けられて構成されたデータを記憶したデータベースをさらに備え、前記フィードフォワード制御パラメータ調整手段は、加工処理開始時に、前記データベースを検索し、当該加工処理と同じ加工条件のデータが記憶されていた場合には、前記データベースに記憶されていたデータに基づき前記制御出力タイミングシフト量および前記フィードフォワード制御用の制御ゲインを決定することを特徴とする請求項2に記載のプラント制御装置。

請求項4

被加工物を加工処理する際の制御前の制御状態量である制御前状態量に基づき、その制御後の制御状態量である制御後状態量をフィードフォワード制御するプラント制御装置であって、前記制御前状態量および前記制御後状態量それぞれの時系列データについてフーリエ変換を実施し、それぞれの周波数成分を算出する第1の周波数応答測定手段と、前記算出された前記制御前状態量の周波数成分に対する前記制御後状態量の周波数成分の減衰量が最小となるときの周波数を調整対象周波数として決定する第2の周波数応答測定手段と、前記制御前状態量とおよび前記制御後状態量それぞれの時系列データをフーリエ変換した結果に基づき、前記決定した調整対象周波数における前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を算出する第3の周波数応答測定手段と、前記算出された位相差および減衰量の少なくとも一方に基づき、前記制御前状態量の変動量を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量、および、前記フィードフォワード制御用の制御ゲインを決定するフィードフォワード制御パラメータ調整手段と、を有することを特徴とするプラント制御装置。

請求項5

前記第2の周波数応答測定手段は、前記第1の周波数応答測定手段により算出された制御後状態量の周波数成分に基づき、前記制御後状態量に含まれる外乱の周波数である外乱周波数を求め、前記外乱周波数のうち前記制御前状態量の周波数成分に対する前記制御後状態量の減衰量が最小となる前記外乱周波数を前記調整対象周波数として決定し、前記調整対象周波数と前記調整対象周波数でない前記外乱周波数との差分値最小値の2分の1より大きい値を外乱識別周波数分解能として取得し、前記第3の周波数応答測定手段は、前記外乱識別周波数分解能により定められる高速フーリエ変換に適合したサンプリング周期およびデータ数に従って取得された前記制御前状態量および前記制御後状態量のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換し、それぞれの高速フーリエ変換結果に基づき、前記調整対象周波数における前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を算出することを特徴とする請求項4に記載のプラント制御装置。

請求項6

前記第1の周波数応答測定手段が前記制御前状態量および前記制御後状態量それぞれの時系列データについて実施するフーリエ変換は、高速フーリエ変換であることを特徴とする請求項4に記載のプラント制御装置。

請求項7

被圧延材圧延する際の制御前の制御状態量である入側板厚偏差に基づき、その制御後の制御状態量である出側板厚偏差をフィードフォワード制御する圧延制御装置であって、前記入側板厚偏差および前記出側板厚偏差のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、前記入側板厚偏差に対する前記出側板厚偏差の位相差および減衰量を取得する周波数応答測定手段と、前記取得した位相差および減衰量に基づき、前記入側板厚偏差を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量を決定するフィードフォワード制御パラメータ調整手段と、を有することを特徴とする圧延制御装置。

請求項8

被加工物を加工処理する際の制御前の制御状態量である制御前状態量に基づき、その制御後の制御状態量である制御後状態量をフィードフォワード制御するプラント制御装置が、前記制御前状態量および前記制御後状態量のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を算出するステップと、前記取得した位相差および減衰量に基づき、前記制御前状態量を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量を算出するステップと、を実行することを特徴とするプラント制御方法

請求項9

被加工物を加工処理する際の制御前の制御状態量である制御前状態量に基づき、その制御後の制御状態量である制御後状態量をフィードフォワード制御するプラント制御装置を構成するコンピュータに、前記制御前状態量および前記制御後状態量のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を算出するステップと、前記取得した位相差および減衰量に基づき、前記制御前状態量を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量を算出するステップと、を実行させるためのプラント制御プログラム

技術分野

背景技術

0002

金属板圧延することにより薄い金属材料を効率的に生産するプラントである圧延機においては、被圧延材である金属板の硬度ムラによる板厚不良が発生する場合がある。硬度ムラとは、被圧延材の硬さが被圧延材の全体にわたって一様でない状態をいう。被圧延材の硬さは、圧延される際の変形抵抗となるため、圧延の際に被圧延材を搬送する搬送方向である圧延方向に硬度ムラが生じていると、位置によって被圧延材の潰れ方が異なり、圧延された後の板厚に変動が発生する。

0003

圧延は、元の金属板の板厚である原板厚から製品厚まで、一般に被圧延材を複数回圧延機に通すことで行われる。硬度ムラが存在すると、位置によって被圧延材の硬さが異なるため板厚変動が発生するが、複数回の圧延において毎回板厚偏差が新たに発生する。製品の板厚精度を向上させるために、圧延機においては板厚制御が実施されるが、硬度ムラにより圧延の度に発生する板厚変動を、従来の板厚制御で除去することは困難であった。

0004

例えば、ある回の圧延時に発生した硬度ムラによる板厚変動を、次回の圧延時に入側板厚計で検出して、フィードフォワード的な板厚制御により板厚変動を抑制することはできる。しかしながら、その板厚制御により、それまでの板厚変動は抑制されるが、硬度ムラによって新たな板厚変動が発生する。このような場合、新たな板厚変動を抑制するには、通常の制御ゲインより大きな制御ゲインが必要となる。そこで、特許文献1に開示された板厚制御方法では、周波数分析により硬度ムラの有無を判断し、フィードフォワード板厚制御の制御ゲインを変更することが行われている。

0005

また、フィードフォワード制御においては、十分な制御効果を期待するためには、制御ゲインとともに制御出力位相シフト量が重要である。そこで、特許文献2に開示された板厚制御装置では、複数の制御状態量間の位相関係に基づき制御ゲインおよび位相シフト量を調整することにより、最大の制御効果を引き出そうとしている。

先行技術

0006

特開2000−33409号公報
特願2015−182905号(本発明出願時未公開

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1に開示された技術においては、硬度ムラに基づく被圧延材の搬送方向の変形抵抗変動を除去するために、前回の圧延時に発生した板厚変動を、次回の圧延時に入側板厚変動としてフィードフォワード制御により除去している。その際、硬度ムラの有無に応じてフィードフォワード制御の制御ゲインを変更することが行われている。

0008

フィードフォワード制御は、比例制御であり、対象となる制御状態量の偏差位相振幅が合った制御出力を与えることで制御効果を最大限とすることが可能となる。ここで、制御対象の制御状態量の偏差として正弦波仮定し、その制御状態量の偏差に制御ゲインを乗じた量を制御出力とし、その制御の結果として、この制御状態量の偏差の位相および振幅がどのように変化するかについて検討する。

0009

例えば、制御状態量の偏差を表す正弦波sin(ωt)に対する制御出力として、制御ゲインGおよび位相シフト量Δの正弦波を作成し、フィードフォワード制御の制御結果をyとする。このとき、yは、式(1)のように表される。

0010

ここで、式(1)におけるyの振幅Xおよび位相差δは、それぞれ式(2−1)および(2−2)によって表される。

0011

図24は、フィードフォワード制御における制御出力の位相シフト量Δと制御前後の制御状態量の位相差δおよび振幅Xとの関係を示した図であり、(a)は、位相シフト量Δと位相差δとの関係を示した図、(b)は、位相シフト量Δと制御後の制御状態量の振幅Xとの関係を示した図である。図24(b)に示すように、制御する位相シフト量Δが大きくなると振幅も大きくなり、制御ゲインGによっては、位相シフト量Δがプラスまたはマイナス60度を超えると制御効果が得られないばかりか逆効果となることが分かる。すなわち、制御出力に位相シフト量Δを含めた場合には、得られる制御結果yの位相が元の正弦波sin(ωt)からずれてしまうことが分かる。

0012

つまり、比例制御であるフィードフォワード制御の制御ゲインGを増大させても、制御出力の位相が制御対象の制御状態量の位相とずれている場合、すなわち、位相シフト量Δが存在する(ゼロでない)場合、制御効果は、小さくなるばかりでなく、かえって悪化することもある。

0013

ここで、硬度ムラに起因する板厚変動が発生する場合、その圧延制御では板厚制御だけでなく張力制御も行われる。そのため、板厚変動と硬度ムラの位相関係がずれることとなる。この位相関係とは、各波形ピーク位置が1周期360度に対してどれくらいの角度でずれているかを示す。従って、被圧延材の入側板厚偏差によるフィードフォワード制御を実施しても、本来の硬度ムラとは位相関係がずれているため、十分な制御効果が得られなくなる。

0014

なお、このような状況は、金属材料の圧延における被圧延材の硬度ムラに限らず、一般的なプラントの制御においても生じ得る。とくに、基準となる変動要因に基づいて生じた制御前の変動要因を含む制御対象物を制御して制御結果を得るようなケースでは、基準となる変動要因と制御前の変動要因との位相がずれている場合、前記同様に十分な制御効果が得られない。

0015

特許文献2には、制御対象の制御状態量が位相の異なる複数の変動要因を含んでいるような圧延機などのプラントのフィードフォワード制御において、制御出力の位相シフト量Δを好適に調整して制御効果を高める技術が開示されている。この技術によれば、まず、圧延などの加工処理が行われる際の制御前の制御状態量(制御前状態量)の変動と、制御後の制御状態量(制御後状態量)の変動との位相差δが位相差取得部により取得される。そして、その位相差δに基づき、制御前状態量の計測結果をフィードフォワード制御に反映させるときの位相シフト量Δがフィードフォワード調整部により決定される。そのため、フィードフォワード制御の制御出力で用いられる制御ゲインGおよび位相シフト量Δを適切に決めることが可能となり、制御効果を向上させることができる。

0016

しかしながら、この特許文献2に開示された発明では、前記位相差取得部が時系列の制御前状態量と制御後状態量のテーブルを作成し、この両者のテーブルを比較しながらその位相差δを決定する。そのため、制御前状態量および制御後状態量に多数の周波数成分が含まれ、その波形が複雑になった場合には、制御の対象となる板厚外乱(硬度ムラ)の周波数の特定や位相差δの決定がやりにくくなる。その結果、制御出力の位相シフト量Δを精度よく定めることが困難になるなどの問題があることが分かってきた。

0017

以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、制御前状態量および制御後状態量が複雑な波形となる場合であっても、より大きなフィードフォワード制御の効果を実現できる制御出力の制御タイミングシフト量(位相シフト量Δ)を効率よく求めることが可能なプラント制御装置、圧延制御装置、プラント制御方法およびプラント制御プログラムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0018

前記発明の目的を達成するために、本発明に係るプラント制御装置は、被加工物を加工処理する際の制御前の制御状態量である制御前状態量に基づき、その制御後の制御状態量である制御後状態量をフィードフォワード制御するプラント制御装置であって、前記制御前状態量および前記制御後状態量のそれぞれの時系列データを高速フーリエ変換した結果に基づき、前記制御前状態量に対する前記制御後状態量の位相差および減衰量を取得する周波数応答測定手段と、前記取得した位相差および減衰量に基づき、前記制御前状態量を前記フィードフォワード制御に反映させるまでの遅延時間である制御出力タイミングシフト量を決定するフィードフォワード制御パラメータ調整手段と、を有することを特徴とする。

発明の効果

0019

本発明によれば、制御前状態量および制御後状態量が複雑な波形となる場合であっても、より大きなフィードフォワード制御の効果を実現できる制御出力の制御タイミングシフト量(位相シフト量Δ)を効率よく求めることが可能なプラント制御装置、圧延制御装置、プラント制御方法およびプラント制御プログラムが提供される。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態に係る圧延機および圧延制御装置の全体構成の例を示した図。
圧延機による被圧延材の圧延現象および圧延制御に関係するパラメータの例を示した図。
圧延現象の制御モデルの例を示した図。
板厚制御装置における板厚制御の基本制御構成の例を示した図。
張力制御装置における張力制御の基本制御構成の例を示した図。
板厚制御、張力制御ともに制御を実施しない場合のシミュレーション結果の例を示した図。
入側および出側の張力制御を比例積分制御で実施し、かつ、出側の板厚制御のフィードバック制御のみを実施した場合のシミュレーション結果の例を示した図。
図7の場合の条件に加え、前段スタンド圧延機の出側の板厚制御のフィードバック制御をした場合のシミュレーション結果の例を示した図である。
本発明の実施形態に係る板厚制御装置およびフィードフォワード制御調整装置拡張制御構成の例を示した図。
制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置の詳細な構成の例を示した図。
周波数応答法の概要を説明するための図で、(a)は時間空間での応答モデルを示した図、(b)は周波数空間での応答モデルを示した図。
FFTによる周波数応答シミュレーション結果の例を示した図で、(a)は、データ収集時間が10.24秒の場合の例、(b)は、データ収集時間が5.12秒の場合の例。
FFTによる周波数応答シミュレーション結果の例を示した図で、(c)は、データ収集時間が2.56秒の場合の例、(b)は、入力信号単一周波数で、データ収集時間が2.56秒の場合の例。
サンプリング周期データ数検索テーブルの例を示した図。
板厚外乱測定装置の構成の例を示した図。
入側板厚偏差振幅および出側板厚偏差振幅の周波数依存特性の例を示した図。
周波数応答推定装置の構成の例を示した図。
#4スタンド圧延機の入側および出側の張力制御を比例積分制御で実施し、かつ、#4スタンド圧延機の出側板厚のフィードバック制御およびフィードフォワード制御を実施した場合のシミュレーション結果の例を示した図。
図18と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量を増加させる方向に変更した場合のシミュレーション結果の例を示した図。
図19と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御ゲインを増大させた場合のシミュレーション結果の例を示した図。
図20と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量を減少させる方向に変更した場合のシミュレーション結果の例を示した図。
図18の例とは逆側にフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量をずらした場合のシミュレーション結果の例を示した図。
本発明の実施形態に係る圧延制御装置を構成する情報処理装置ハードウェア構成の例を示した図。
フィードフォワード制御における制御出力の位相シフト量と制御前後の制御状態量の位相差および振幅との関係を示した図であり、(a)は、位相シフト量と位相差との関係を示した図、(b)は、位相シフト量と制御後の制御状態量の振幅との関係を示した図。

実施例

0021

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、以下、本明細書では、プラント制御装置の具体例として、金属などの被圧延材を圧延する圧延機の圧延制御装置について説明する。

0022

≪1.基本制御構成≫
図1は、本発明の実施形態に係る圧延機1および圧延制御装置2の全体構成の例を示した図である。ここでは、圧延機1は、4スタンド構成のタンデム圧延機であるとし、圧延制御装置2は、主として、被圧延材3を圧延するとき硬度ムラにより発生する板厚変動を最小にするための制御を行う。

0023

図1に示すように、本実施形態に係る圧延機1(タンデム圧延機)は、4台のスタンド圧延機11〜14が直列に並べられて構成され、被圧延材3は、これら4台のスタンド圧延機11〜14により連続的に圧延される。このとき、被圧延材3は、圧延されながら、図1では左側から右側へ移動する。

0024

スタンド圧延機11〜14は、それぞれ上下6本のロールによって構成され、上下6本のロールは、被圧延材3を挟んで内側より作業ロール中間ロールバックアップロールと呼ばれる。また、スタンド圧延機11〜14の出側などには、圧延制御装置2での制御に必要な制御状態量を取得するために板厚計41〜44および張力計51〜54が設けられている。

0025

また、圧延制御装置2は、電動機速度制御装置21〜25、ロールギャップ制御装置31〜34、板厚制御装置61〜64、張力制御装置71〜74などにより構成される。本実施形態では、板厚制御装置61〜64および張力制御装置71〜74が重要な役割を果たすことになるが、その詳細については、以下、順次説明する。

0026

まず、板厚制御の詳細を説明する前に、被圧延材3の圧延現象について説明しておく。図2は、圧延機1による被圧延材3の圧延現象および圧延制御に関係するパラメータの例を示した図である。図2に示すように、圧延は、圧延機1の上下の作業ロール間で被圧延材3を潰すことにより実施される。このとき、被圧延材3は、入側張力Tbおよび出側張力Tfにより引っ張られ、圧延荷重Pにより潰されることで、入側板厚Hは出側板厚hとなる。このような圧延現象により先進率fおよび後進率bが生じ、作業ロール速度がVRの場合、入側速度Veおよび出側速度Voは、先進率fおよび後進率bを用いて、それぞれ図2中に示した式で表される。

0027

図3は、圧延現象の制御モデルの例を示した図である。タンデム圧延機の場合、自スタンド圧延機の入側速度Ve、出側速度Voおよび後段スタンド圧延機の入側速度、前段スタンド圧延機の出側速度により入側張力Tb、出側張力Tfが変化する。これらの張力が変化すると、圧延荷重Pおよび出側板厚h、入側速度Ve、出側速度Voが変化する。

0028

図3に示すように、圧延荷重P、先進率fおよび後進率bは、いずれも、入側板厚H、出側板厚h、入側張力Tb、出側張力Tf、変形抵抗kおよび摩擦係数μに依存する関数として表される。また、図3の右下部に記載された式に含まれるパラメータLは、スタンド圧延機11〜14の隣接するスタンド間の距離を表す。また、入力V−1は、隣接前段スタンド圧延機からの出側速度であり、V+1は、隣接後段スタンド圧延機への入側速度を表す。

0029

以上のように、圧延現象は、入側板厚H、作業ロール速度VR、ロールギャップSを入力とし、入側張力Tb、出側張力Tf、出側板厚hを出力とする現象であるが、張力を介して前後段のスタンド圧延機での圧延現象とも関係する複雑な現象である。

0030

図1を参照すると、4台のスタンド圧延機11〜14のそれぞれに対応するように、作業ロール速度VRを制御する電動機速度制御装置21〜24および作業ロール間の間隔であるロールギャップSを操作するロールギャップ制御装置31〜34が設けられている。圧延加工では、製品となる被圧延材3の板厚が製品の品質上とくに重要であるため、スタンド圧延機11〜14の出側には、被圧延材3の板厚を測定するための板厚計41〜44が設置されている。また、被圧延材3に掛かる張力は、圧延操業の安定性のためには重要であり、板厚精度にも関わるため、スタンド圧延機11〜14の出側に張力計51〜54が設置されている。また、#4スタンド圧延機14の出側には、その出側の張力を制御するために出側ブライドルロール15、および、出側ブライダルロール15駆動用電動機の速度を制御する電動機速度制御装置25が設置されている。

0031

以上のように構成された圧延機1および圧延制御装置2において、#1スタンド圧延機11の板厚制御装置61は、ロールギャップ制御装置31を介して、#1スタンド圧延機11のロールギャップSを制御する。また、#2〜#4スタンド圧延機12〜14の板厚制御装置62〜64は、前段すなわち#1〜#3スタンド圧延機11〜13の作業ロール速度VRを、電動機速度制御装置21〜23を介して制御する。

0032

このとき、#2スタンド圧延機12以降の板厚制御装置62〜64では、入側の板厚計41〜43の検出結果を用いたフィードフォワード制御が実施され、さらに、出側の板厚計42〜44の検出結果を用いたフィードバック制御が実施される。例えば、板厚制御装置62では、入側の板厚計41の検出結果を用いたフィードフォワード制御が実施され、さらに、出側の板厚計42の検出結果を用いたフィードバック制御が実施される。

0033

また、#1〜#3スタンド圧延機11〜13の張力制御装置71〜73は、その出側の張力計51〜55で検出された張力に基づき、次段のスタンド圧延機12〜14のロールギャップSを求める。ロールギャップ制御装置32〜34は、その求められたロールギャップSに従い作業ロールの位置を操作する。例えば、張力制御装置71は、#1スタンド圧延機11の出側の張力計51で検出された張力に基づき#2スタンド圧延機12のロールギャップSを求め、ロールギャップ制御装置32は、その結果に基づき#2スタンド圧延機12の作業ロールの位置を操作する。

0034

また、#4スタンド圧延機14の張力制御装置73は、電動機速度制御装置25を介して出側ブライドルロール15の速度を操作することで#4スタンド圧延機14の出側の張力を制御する。

0035

図4は、板厚制御装置64における板厚制御の基本制御構成の例を示した図である。図4に示すように(図2も併せて参照)、板厚制御装置64は、#3スタンド圧延機13の出側の板厚計43にて測定された入側板厚偏差ΔHを、被圧延材3の測定位置が#4スタンド圧延機14の直下に到達するまでの時間TFF遅延させる移送処理をする。ここで、入側板厚偏差ΔHの計測結果は、圧延前の制御状態量であり、いわゆる制御前状態量ということができる。

0036

次に、板厚制御装置64は、前記移送処理結果に制御ゲインGFFを乗じてフィードフォワード制御量を得る。また、板厚制御装置64は、#4スタンド圧延機14の出側の板厚計44にて測定された出側板厚偏差Δhに制御ゲインGFBを乗じて積分処理し、フィードバック制御量を得る。板厚制御装置64は、こうして取得したフィードフォワード制御量とフィードバック制御量とを加算して得られる量を、#3スタンド圧延機13の電動機速度制御装置23へ出力する。ここで、出側板厚偏差Δhの計測結果は、圧延後の制御状態量であり、いわゆる制御後状態量ということができる。

0037

なお、硬度ムラによる板厚変動は、発生位置の#4スタンド圧延機14直下では検出できず、#4スタンド圧延機14から離れた位置に設置された板厚計44にて検出される。そのため、板厚変動発生から検出までの無駄時間が存在するので、フィードバック制御量の計算には積分の制御量が含まれる。

0038

板厚制御装置62,63の構成は、板厚制御装置64と同様の構成となっているので、以下、その説明を省略する。一方、板厚制御装置61は、#1スタンド圧延機11のロールギャップSを制御するためのものであるので、その構成および制御方法は、板厚制御装置64とは異なるものとなる。ただし、本実施形態では、板厚制御装置61の構成および制御法の説明を省略する。

0039

図5は、張力制御装置73における張力制御の基本制御構成の例を示した図である。図5に示すように(図2も併せて参照)、張力制御装置73は、#3スタンド圧延機13と#4スタンド圧延機14との間に設置された張力計53で測定された張力実績値T34FBと張力指令値T34refの偏差ΔT34を用いて、比例積分制御を行う構成となっている。この積分制御においては、制御出力が制御状態量に対して位相が90度ずれるため、結果として得られる#4スタンド圧延機14の出側板厚hにおいては、本来の硬度ムラ位置に対して板厚偏差Δhの位相がずれる。

0040

≪2.基本制御構成に基づくシミュレーション≫
次に、図6図8を用いて、図1に示すような4スタンド構成のタンデム圧延機における圧延現象のシミュレーション結果について説明する。そのシミュレーションでは、硬度ムラである変形抵抗の変動により、#4スタンド圧延機14の板厚変動、張力変動および荷重変動が時間の経過とともにどのように変動するかを計算した。

0041

図6は、板厚制御、張力制御ともに制御を実施しない場合のシミュレーション結果の例を示した図である。また、図7は、#4スタンド圧延機14の入側および出側の張力制御を比例積分制御で実施し、かつ、#4スタンド圧延機14の出側の板厚制御のフィードバック制御のみを実施した場合のシミュレーション結果の例を示した図である。また、図8は、図7の場合の条件に加え、#4スタンド圧延機14の前段の#3スタンド圧延機13の出側の板厚制御のフィードバック制御をした場合のシミュレーション結果の例を示した図である。

0042

なお、図6図8において、“板厚変動”は、入側板厚Hの変動(入側板厚偏差ΔH)が実線で、出側板厚hの変動(出側板厚偏差Δh)が破線で示されている。同様に、“張力変動”は、入側張力の変動が実線で、出側張力の変動が破線で示され、“荷重変動”は、圧延荷重の変動が実線で、変形抵抗変動が破線で示されている。
また、時間は図の左側から右側に向かって流れており、左端が現在、右端が最も過去の状態を示す。

0043

図6の場合のシミュレーションでは、硬度ムラがそのまま板厚変動として現れる。そのため、変形抵抗の変動と#4スタンド圧延機14における入側板厚Hの変動および出側板厚hの変動とは波形のピーク位置が一致し、相互の位相関係にはズレがない(例えば、縦の実線の位置を参照)。

0044

一方、図7の場合のシミュレーションでは、#4スタンド圧延機14の出側板厚hの変動の位相が入側の板厚変動より早くなる位相進みが生じている。これは、#4スタンド圧延機14の板厚制御装置64において積分制御を実施しているため、90度の位相遅れの制御出力となり、式(1)〜(3)および図24に示したような関係から、位相シフト量Δがマイナスとなるからである。その結果、板厚制御の結果である#4スタンドの出側板厚hの変動の位相ズレδはプラスとなる。

0045

また、図8の場合のシミュレーションでは、#4スタンド圧延機14の前段の♯3スタンド圧延機13の板厚制御でもフィードバック制御を実施するため、#4スタンド圧延機14の入側板厚Hの変動は、変形抵抗よりも進み位相となっている。

0046

以上のように、硬度ムラのように制御対象が元々有している変動要因に対して所定の制御を行うことにより、位相の異なる他の変動要因が発生し、制御対象の制御状態量間の位相関係が変動してしまうことがある。

0047

通常、タンデム圧延機においては、#1スタンド圧延機11を始めとして、それぞれのスタンド圧延機12〜14で板厚制御を実施するため、変形抵抗の変動と、その結果として現れる出側板厚hの変動(出側板厚偏差Δh)とは位相がずれこととなる。そのため、スタンド圧延機の入側板厚偏差ΔHを用いてフィードフォワード制御を実施する場合、変形抵抗変動と入側板厚偏差ΔHとの位相ずれの影響により、十分な制御効果が得られなくなる。

0048

従来、フィードフォワード制御の制御パラメータ調整方法としては、制御出力〜制御操作端までの無駄時間および応答を考慮して、図4におけるフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを設定し、制御結果である出側板厚偏差Δhにより制御ゲインGを変更することが行われていた。しかしながら、この方法を用いた場合、対象の制御状態量である入側板厚偏差ΔHと硬度ムラである変形抵抗変動との間に位相差があるため十分な制御効果が得らないことが多かった。

0049

前出の式(1)、(2−1)、(2−2)および図24で示したように、フィードフォワード制御においては、制御ゲインGと位相シフト量Δに相当する制御出力タイミングシフト量ΔTFFとを適切に設定することが必要である。そして、この設定は、圧延速度や他にどのような制御が実施されているかを考慮して決定する必要があり、複雑な調整となる。圧延速度の場合、板厚変動の周波数が変わるため、制御出力〜制御操作端動作までの応答が変化する。また、タンデム圧延機の場合、その応答は、どの圧延機スタンドでどのような板厚制御、張力制御が実施されているかで異なる。

0050

フィードフォワード制御において制御出力タイミングシフト量ΔTFF(位相シフト量Δ)および制御ゲインGを適切に設定することは重要であるが、両者は、式(1)、(2−1)、(2−2)を用いて説明した関係で結びついている。例えば、制御ゲインGを変更すると、制御前後の制御状態量間の位相差δも変動する。逆に制御出力タイミングシフト量ΔTFFを変更すると制御状態量の振幅Xも変動してしまう。従って、両者を適切に設定するように調整するのは、実際上困難である。

0051

前出の式(2−2)に示されているように、制御前後の制御状態量間の位相差δは、逆正接関数であるため、−∞〜+∞に対して−90度〜+90度を定義域とする。また、式(2−2)から明らかなように、+∞を超えて−となった場合、90度より大となるため、図24のように位相差δは便宜的に90度を超えるものとしている。さらに、式(2−2)により、制御ゲインGが1より大でない場合には、制御状態量間の位相差δは90度を超えない。従って、制御状態量間の位相差δが90度を超えている場合には、制御ゲインGが大き過ぎると予測できる。

0052

また、位相シフト量Δと制御前後の制御状態量間の位相差δとは互いに逆方向となるため、制御状態量間の位相差δが分かれば位相シフト量Δ、換言すれば、制御出力タイミングシフト量ΔTFFをどのように変更するかを予測することができる。例えば、制御状態量間の位相差δが+方向の場合には、位相シフト量Δを増加方向、すなわち、マイナス側からプラス側に向かう方向に変更すればよい。また、逆の場合には、位相シフト量Δを減少方向、すなわち、プラス側からマイナス側に変更すればよい。

0053

以上のように、板厚制御におけるフィードフォワード制御の場合、入側の板厚計43で検出した入側板厚偏差ΔHと出側の板厚計44で検出した出側板厚偏差Δhの位相関係を、制御状態量間の位相差δとみなすことができる。同様に、入側板厚偏差ΔHから制御出力までの制御出力タイミングシフト量ΔTFFを位相シフト量Δとみなすことができる。したがって、これらの制御状態量を用いて、フィードフォワード制御における制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを調整することができる。そこで、図4に示した板厚制御装置64の基本制御構成に、制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを調整する機能を付加した構成を、以下、板厚制御装置64の拡張制御構成という。

0054

≪3.拡張制御構成≫
<3.1フィードフォワード制御調整装置>
図9は、本発明の実施形態に係る板厚制御装置64およびフィードフォワード制御調整装置101の拡張制御構成の例を示した図である。ここで、フィードフォワード制御調整装置101は、板厚制御装置64で実施するフィードフォワード制御のための制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを求める装置である。すなわち、フィードフォワード制御調整装置101は、板厚制御装置64の拡張制御構成を実現する装置であり、本実施形態の大きな特徴となっている。

0055

図9に示すように、フィードフォワード制御調整装置101では、#4スタンド圧延機14の入側の板厚計43で検出された入側板厚偏差ΔHに対し、#4スタンド圧延機14の出側の板厚計44の直下を通過するタイミングまでの移送処理が施される。そして、この移送処理で得られた値を入側板厚偏差ΔHTRKとする。なお、図9中に記載されている時間TX3D−4は、#4スタンド圧延機14の入側の板厚計43の直下から#4スタンド圧延機14までの移送時間を表し、時間T4−X4Dは、#4スタンド圧延機14から#4スタンド圧延機14の出側の板厚計44直下までの移送時間を表す。

0056

また、フィードフォワード制御調整装置101では、#4スタンド圧延機14の圧延荷重を測定するための圧延荷重計46によって検出された圧延荷重Pに対し、#4スタンド圧延機14直下からその出側の板厚計44直下までの移送処理が施される。そして、この移送処理で得られた値を圧延荷重PTRKとする。なお、圧延荷重Pの変動は、被圧延材3の硬度ムラに応じて発生する制御状態量の変動である。

0057

制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、前記移送処理で得られた入側板厚偏差ΔHTRK、圧延荷重PTRKおよび板厚計44で検出された出側板厚偏差Δhを入力として、制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求める。なお、制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求める方法については、図10以降の図を用いて別途詳しく説明する。

0058

制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102で求められた制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFは、板厚制御装置64に入力される。板厚制御装置64は、入側板厚ΔHを用いたフィードフォワード制御を実施するが、そのフィードフォワード制御の制御ゲインGとして、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102で求められた制御ゲインGFFを用いる。さらに、制御出力のタイミングを表す入側板厚偏差ΔHの移送時間TFFを、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102で求められた制御出力タイミングシフト量ΔTFFを用いて、TFF=TX3D−3−ΔTFFと修正する。

0059

なお、図9では、フィードフォワード制御調整装置101は、板厚制御装置64の外に設けられた別の装置として描かれているが、板厚制御装置64の中に含まれる装置であってもよい。

0060

<3.2制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置>
図10は、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102の詳細な構成の例を示した図である。図10に示すように、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、周波数応答測定装置201、3つのメンバーシップ関数105,106,107、ファジィ推論装置108、パラメータ変更装置109などを備えて構成される。

0061

前記したように、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、入側板厚偏差ΔHTRK、出側板厚偏差Δh、圧延荷重PTRKおよび出側板厚偏差Δhを入力として、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを計算する。計算された制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFは、板厚制御装置64へ出力される。板厚制御装置64は、制御ゲインGFFを用い、移送時間TFFを調整した上でフィードフォワード制御を実施する。すなわち、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102が板厚制御装置64におけるフィードフォワード制御時の制御パラメータを設定するとともに調整する役割を果たす。これは、従来技術にない本実施形態の大きな特徴の1つである。

0062

板厚制御装置64におけるフィードフォワード制御の目的は、出側板厚偏差Δhを入側板厚偏差ΔHよりも小さくすることにある。そのため、フィードフォワード制御が好適に働くと、出側板厚偏差Δhが小さくなる。しかしながら、出側板厚偏差Δhが小さくなると、入側板厚偏差ΔHと出側板厚偏差Δhとの位相関係の判断がしにくくなる。その場合には、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求めるのが困難になる場合がある。そこで、本実施形態に係る制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102では、硬度ムラの影響を受ける圧延荷重PTRKと入側板厚偏差ΔHTRKの位相関係も用いて、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求めている。これも、本実施形態の大きな特徴の1つである。

0063

そこで、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、入側板厚偏差ΔHTRKと出側板厚偏差Δh、入側板厚偏差ΔHTRKと圧延荷重PTRKといった時系列信号間の信号の減衰量や位相関係を求めることが必要となる。

0064

特許文献2に開示された発明では、2つの時系列信号の位相をずらしながら「1周期分の2乗誤差」を演算し、それが最小となる位相を2つの時系列信号間の位相差としている。この方法は、基準信号の1周期の認識が必要であるのに加え、基準信号と比較信号の振幅が制御効果により大幅に相違した場合や、複数の周波数成分が重複した場合などには適用するのが困難になることがあった。そこで、本実施形態では、2つの時系列信号間の信号の減衰量および位相関係を、比較的容易に求めることが可能な周波数応答法を用いる。

0065

(参考1:周波数応答法について)
図11は、周波数応答法の概要を説明するための図で、(a)は時間応答モデルの例を示した図、(b)は周波数応答モデルの例を示した図である。圧延制御では、被圧延材3は、例えば#4スタンド圧延機14の入側から入って、圧延現象により板厚を減少させた後、#4スタンド圧延機14の出側から出てくる。すなわち、被圧延材3の入側板厚偏差ΔHは、圧延現象により出側板厚偏差Δhへと変化する。

0066

ここで、図11(a)に示すように、入側板厚偏差ΔHの時間変化をx(t)で表わし、出側板厚偏差Δhの時間変化をy(t)で表すと、圧延現象は、y(t)=g(t)・x(t)を満たす時間応答関数g(t)として表わすことができる。すなわち、時間空間の信号(時系列信号)である入側板厚偏差x(t)は、圧延現象の時間応答関数g(t)によって時間空間の信号である出側板厚偏差y(t)に変換される。

0067

このような時間応答関数g(t)によって表される圧延現象は、図11(b)に示す周波数応答関数G(ω)を用いて表すことができる。すなわち、入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhを周波数空間での信号(周波数成分の値)である入側板厚偏差X(ω)および出側板厚偏差Y(ω)と表すと、両者の関係を、Y(ω)=G(ω)・X(ω)と表すことができる。つまり、周波数空間での信号である入側板厚偏差X(ω)は、圧延現象の周波数応答関数G(ω)によって周波数空間での信号である出側板厚偏差Y(ω)に変換される。

0068

時間空間の入側板厚偏差x(t)および出側板厚偏差y(t)は、例えば、#4スタンド圧延機14の入側の板厚計43および出側の板厚計44によって検出される時系列信号として得ることができる。一方、周波数空間における入側板厚偏差X(ω)および出側板厚偏差Y(ω)は、時間空間で得られたx(t)およびy(t)をそれぞれフーリエ変換することにより得られる。

0069

圧延現象を、周波数空間の入力信号X(ω)、出力信号Y(ω)および周波数応答関数G(ω)を用いて表現する利点は、入力信号および出力信号の振幅および位相の関係を周波数ごとに比較するのが容易になることにある。すわなち、周波数空間では、圧延現象による板厚偏差信号の減衰量や位相差を容易に求めることができる。

0070

すなわち、本実施形態では、入側板厚偏差x(t)および出側板厚偏差y(t)は、板厚計43,44による検出値として得られる。また、周波数空間の入側板厚偏差X(ω)および出側板厚偏差Y(ω)は、入側板厚偏差x(t)および出側板厚偏差y(t)をそれぞれフーリエ変換することにより求められる。そして、周波数応答関数G(ω)は、次の式(3)により求めることができる。

0071

さらに、この周波数応答関数G(ω)から、周波数ωにおける減衰量gainおよび位相差phaseを、次の式(4−1)および式(4−2)により求めることができる。

0072

(参考2:離散フーリエ変換およびFFTについて)
ここで、周波数空間の入側板厚偏差X(ω)および出側板厚偏差Y(ω)を求めるときに用いられる離散データのフーリエ変換(離散フーリエ変換)について説明しておく。一般に、1周期がN個のサンプリングデータからなる時系列信号f(t)を、N個の独立な周波数がkの正弦波信号を用いて表現すると、次の式(5)のように表される。

0073

ここで、1周期分のサンプリングデータの順序を表す数n=0,1,・・・,Nを、0〜2πの位相を表す時間tに対応付ければ、t=2π・n/Nと表すことができる。したがって、式(5)は、次の式(6)のように表すことができる。

0074

そして、式(6)を離散フーリエ変換することにより、次の式(7)が得られる。

0075

ここで、係数cmは、複素数である。また、式(7)において、2πm/Nは、周波数に相当する。すなわち、係数cmは、式(5)で表わされる時系列信号f(t)の、周波が2πm/Nであるときの周波数成分を表したものとなっている。したがって、係数cmの絶対値および偏角は、それぞれ、周波数が2πm/Nであるときの時系列信号f(t)の周波数成分の振幅および位相を表したものとなる。

0076

さらに、離散フーリエ変換をコンピュータで処理する場合には、通常、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:以下、FFTと略記)が用いられる。FFTは、適用する条件として、変換対象のデータ数が2のべき乗であることが必要であるが、通常の離散フーリエ変換に比べれば計算量が大幅に少なくなるという大きな利点を有している。

0077

一般に、N個のデータをフーリエ変換する場合、通常の離散フーリエ変換では、N2に比例する計算量が必要となるが、FFTでは、N・log2Nに比例する計算量ですむことが知られている。例えば、1024個のデータのフーリエ変換を行う場合、FFTの計算量は、通常の離散フーリエ変換の計算量に対し、
log21024/1024=10/1024
となる。すなわち、FFTの計算量は、通常の離散フーリエ変換の100分の1程度の計算量ですむ。

0078

<3.3FFTの周波数分解能およびデータ収集時間>
以上のように、FFTは、2のべき乗のデータ数を必要とするため、データのサンプリングの時間間隔サンプリング間隔)にも制約が生じる。ここで、サンプリング間隔の逆数であるサンプリング周波数をfsとし、サンプリング数(データ数)をNとすると、周波数分解能Δfは、Δf=fs/Nにより算出することができ、データ収集時間MTは、MT=N/fs=1/Δfにより算出することができる。

0079

ここで、データ収集時間MTとは、FFTへの入力となるデータのサンプリング開始から終了までの時間をいい、周波数分解能Δfは、FFTを実施する場合の周波数軸方向での分解能をいう。また、サンプリング周波数fsでサンプリングされたデータにおいて2つの周波数成分を分解可能な理論的最大周波数frは、fr=fs/2により与えられる。すなわち、2つの周波数成分は、周波数分解能Δfの2倍以上離れていないと分離することができない。

0080

周波数分解能Δfおよびデータ収集時間MTは、ともに小さいほうがよい。しかしながら、前記のごとくMT=1/Δfの関係があることから、両者を同時に小さくすることはできない。したがって、FFTを利用する上では、周波数分解能Δfおよびデータ収集時間MTを実用的に適切な値に設定することが重要となる。

0081

ところで、本発明の実施形態に係る板厚制御のフィードフォワード制御の目的は、その制御ゲインGおよび位相シフト量Δを調整して、制御効果を上げることにある。そのためには、できるだけ短い時間間隔で計算を実施する必要があり、また、データ収集時間MTを可能な限り短くする必要がある。

0082

一方、入側板厚についての外乱すなわち入側板厚偏差ΔHに複数の周波数成分が含まれている場合、それぞれの外乱の周波数を分離できなければ、それぞれの外乱の周波数成分における減衰量gainおよび位相差phaseを計算することができない。従って、これらの条件を満たすデータ収集時間を選定する必要がある。

0083

図12および図13は、FFTによる周波数応答シミュレーション結果の例を示した図である。図12(a)のシミュレーション結果は、データ収集時間MTが10.24秒で、周波数分解能Δfが0.1Hz程度となる場合のケースである。このシミュレーションでは、板厚に対する外乱を意味する入側板厚偏差ΔHとして、0.5Hz、1.0Hz、2.0Hz、3.0Hzの正弦波を混合して入力信号とした。このとき入力された正弦波は、前記各々の周波数において、出力信号である出側板厚偏差Δhの減衰量gainおよび位相差phaseが次のようになるように設定されている。
(周波数) (減衰量gain) (位相差phase)
0.5Hz −6.0dB 60度
1.0Hz −4.4dB −45度
2.0Hz −3.1dB −30度
3.0Hz −1.9dB 30度

0084

なお、図12(a)において、上段グラフは、時間空間における入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhの時間変化を示し、下段のグラフは、FFT実施後の周波数空間における入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δh(出力信号)の周波数特性を示したグラフである。また、下段のグラフには、減衰量gainおよび位相差phaseが併せて示されている。

0085

図12(a)の下段の周波数空間のグラフから分かるように、4つの周波数成分は、出側板厚偏差Δhでも明確に分離されており、減衰量gainおよび位相差phaseも正確に求められている。ただし、外乱つまり入側板厚偏差ΔHの周波数の最小値が0.5Hzから判断すると、データ収集時間が10秒というのは長いといわざるを得ない。すなわち、この場合、フィードフォワードのAGC(Automatic Gain Control)の調整を実施するのに、板厚変動周期(2秒)の5周期分以上の時間がかかることとなる。

0086

図12(b)のシミュレーション結果は、データ収集時間MTが5.12秒で、周波数分解能Δfが0.2Hz程度となる場合のケースである。このケースのシミュレーションで入力される入側板厚偏差ΔHは、図12(a)の場合と同じであり、シミュレーション結果を表すグラフの表示形式も、図12(a)に準じたものである。

0087

図12(b)の下段の周波数空間のグラフから分かるように、出側板厚偏差Δhでも入力信号に含まれる4つの周波数成分は、ほぼ明確に分離され、減衰量gainおよび位相差phaseともに概ね正確に求められている。なお、この図は、入力信号に含まれる任意の2つの周波数の最小分離幅(0.5Hz)が周波数分解能Δf(0.2Hz)の2倍以上離れていれば、減衰量gainおよび位相差phaseをほぼ正確に求めることができることを示した実例ともなっている。

0088

図13(c)のシミュレーション結果は、データ収集時間MTが2.56秒で、周波数分解能Δfが0.4Hz程度となる場合のケースである。このケースのシミュレーションで入力される入側板厚偏差ΔHは、図12(a)の場合と同じであり、シミュレーション結果を表すグラフの表示形式は、図12(a)に準じたものである。

0089

図13(c)の下段の周波数空間のグラフから分かるように、この場合には、入力信号である入側板厚偏差ΔHに含まれる0.5Hzと1.0Hzの周波数とは、入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhのいずれでも十分に分離されていない。そのため、得られる減衰量gainおよび位相差phaseともに不正確なものになっている。

0090

図13(d)のシミュレーション結果は、データ収集時間MTが2.56秒で、周波数分解能Δfが0.2Hz程度となる場合のケースであるが、入側板厚偏差ΔHとしては、単一の周波数0.5Hzの正弦波が入力される。この場合、図13(d)の下段のグラフに示されているように、出側板厚偏差Δhでも0.5Hzの周波数が正しく分離されており、減衰量gainおよび位相差phaseともにほぼ正確に求められている。

0091

なお、この場合のデータ収集時間MTは、2.56秒であり、出側板厚偏差Δhの周波数0.5Hzが再現可能な2秒+αの時間であり、ほぼ最小時間でフィードフォワードのAGCの調整が可能であることが分かる。

0092

ところで、FFTでは、処理対象のデータ数を2のべき乗に限定することで計算時間を大幅に短縮している。そのため、FFTへの入力データ数を任意の数とすることはできない。したがって、データ収集時間MTは、データのサンプリング周期とデータ数の組合せにより大幅に変化する。

0093

例えば、周波数分解能Δfが0.1Hz(周期が10秒)のケースを考える。この場合、サンプリング周期を10ms、データ数を1024個とすれば、データ収集時間MTが10.24秒となる。このデータ収集時間MTは、周波数分解能Δf=0.1Hzから得られる周期の10秒にほぼ同じになる。これに対し、サンプリング周期を8ms、データ数を2048個とすると、データ収集時間MTは、16.384秒となり、周期の10秒に比べ大幅に大きくなってしまう。

0094

次に、周波数分解能Δfが0.5Hz(周期が2秒)のケースを考える。この場合、サンプリング周期を10ms、データ数を256個とすれば、データ収集時間MTは、2.56秒となり、前記周期の2秒と比較して大きくなってしまう。そこで、サンプリング周期を8ms、データ数を256個とすると、データ収集時間MTは、2.048秒となり、周期の2秒とほぼ同じになる。

0095

図14は、サンプリング周期・データ数検索テーブルの例を示した図である。図14に示すように、サンプリング周期・データ数検索テーブルは、周波数分解能Δfに応じて、最小データ収集時間に最も適した実データ収集時間を得ることが可能なサンプリング周期およびデータ数を格納したテーブルである。ここで「最も適した」とは、最小データ収集時間よりも大きく、かつ、最小データ収集時間に最も近いことを意味する。

0096

FFTを用いた周波数応答法により、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整を実施するためには、該当する周波数の入側板厚偏差ΔHに対する出側板厚偏差Δhの減衰量gainおよび位相差phaseを可能な限り高速(短時間)に求める必要がある。そのためには、FFTに用いるデータ収集時間MTを最小とすることが重要となる。データ収集時間MTは、実際に発生している板厚偏差(入側板厚偏差ΔH)に応じて必要となる最小分解能に基づき、最小データ収集時間が決まり、それに必要なサンプリング数およびデータ数が設定される。

0097

<3.4周波数応答測定装置>
次に、周波数応答法を用いて、板厚制御のフィードフォワード制御における制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求める方法について説明する。周波数応答法によれば、データ収集時間MTを設定して、入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差ΔhをFFT処理することにより、そのデータ収集時間MTにおける振幅を求めることができる。前記したように、硬度ムラは、被圧延材3の長手方向の硬さ変動であり、圧延のたびに発生するものであるから、硬度ムラに起因して前の圧延で発生した板厚変動である入側板厚偏差ΔHと圧延後の板厚変動である出側板厚偏差Δhとは、ほぼ同一周波数となる。また、通常の入側板厚偏差ΔHと異なり、硬度ムラに起因する出側板厚偏差Δhは減衰量が小さいことが予想される。

0098

したがって、以下の手順により、フィードフォワード制御における制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求めることにより、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整を効率的に実施することができる。なお、以下の説明において、入側板厚偏差ΔHは、移送処理後の入側板厚偏差ΔHTRKを意味することが多いが、その場合であっても、単に入側板厚偏差ΔHと記載する。

0099

(手順1)入側板厚偏差ΔHTRKと出側板厚偏差ΔhをFFT処理する。なお、このFFT処理は、所定の板厚外乱の検出に必要な周波数分解能Δfに応じた周期で実施される。
(手順2) 前記FFT処理結果に基づき、出側板厚偏差Δhが予め定めた値以上で、かつ減衰量gainが最も小さくなる周波数を、硬度ムラ外乱の周波数(以下、調整対象周波数という)として求める。そして、硬度ムラ外乱の周波数と他の外乱の周波数とを識別可能な外乱識別周波数分解能Δfcを求める。
(手順3) 前記外乱識別周波数分解能Δfcに基づき最小データ収集時間を求め、さらに、FFTを考慮したサンプリング数およびサンプリング周期を設定する。
(手順4) 前記設定したサンプリング数およびサンプリング周期でFFTを実施し、入側板厚偏差ΔHTRKと出側板厚偏差Δhとについて前記調整対象周波数における減衰量および位相関係を求める。
(手順5) 前記位相関係に基づきフィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを求め、これらを板厚制御装置64へ出力する。

0100

以上の手順1〜手順5は、図10に示された制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102によって実施される。すなわち、周波数応答測定装置201を構成する板厚外乱測定装置202は、手順1を実施し、板厚外乱推定装置203は、手順2を実施し、周波数応答推定装置204は、手順3および手順4を実施する。また、手順5は、メンバーシップ関数105〜107、ファジィ推論装置108およびパラメータ変更装置109によって実施される。そして、以上の手順4および手順5を繰り返すことで、板厚制御装置64におけるフィードフォワード制御における制御パラメータ(すなわち、制御ゲインGFFおよび入側板厚偏差ΔHの移送時間TFF)の調整を実行する。

0101

以下、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102を構成する周波数応答測定装置201の詳細な構成および制御内容について説明する。周波数応答測定装置201は、図10に示されているように、板厚外乱測定装置202、板厚外乱推定装置203および周波数応答推定装置204を備えて構成される。

0102

図15は、板厚外乱測定装置202の構成の例を示した図である。図15に示すように、板厚外乱測定装置202は、入側板厚偏差テーブル2021、出側板厚偏差テーブル2022、入側板厚偏差FFT装置2023、出側板厚偏差FFT装置2024などを含んで構成される。

0103

一般に、板厚偏差の原因となる外乱(以下、板厚外乱という)の周波数は、圧延速度だけでなく板厚外乱の種類などにより相違する。ここでは、板厚偏差から、例えば、0.5Hz以上の周波数の板厚外乱を除去することを考え、周波数分解能Δfを0.1Hzとする。なお、これらの値は、実際の板厚外乱の状況や操業状態により、ユーザが適宜設定し、また、変更できるものとする。

0104

周波数分解能Δfが0.1Hzの場合、最小データ収集時間は10秒となる。そこで、図14に示したサンプリング周期・データ数検索テーブルを参照すると、サンプリング周期=0.01秒およびデータ数=1024が得られる。以降の板厚外乱測定装置202でのFFTなどの処理は、これらの数値を用いて実施される。

0105

板厚外乱測定装置202の記憶装置(図示省略)には、それぞれ1024個のデータを格納可能な入側板厚偏差テーブル2021および出側板厚偏差テーブル2022が用意されている。そして、板厚外乱測定装置202には、移送処理後の入側板厚偏差ΔHであるΔHTKRおよび出側板厚偏差Δhがサンプリング周期0.01秒毎に入力され、それぞれ前記テーブルの0番地から1023番地に順に書き込まれる。

0106

入側板厚偏差テーブル2021および出側板厚偏差テーブル2022へのデータ書き込みが終了すると、入側板厚偏差FFT装置2023は、入側板厚偏差テーブル2021に書き込まれたデータを入力データとして、FFT処理を実行する。同様に、出側板厚偏差FFT装置2024は、出側板厚偏差テーブル2022に書き込まれたデータを入力データとして、FFT処理を実行する。そして、これらのFFT処理の結果として、入側板厚偏差周波数成分H(f)および出側板厚偏差周波数成分h(f)が得られる。

0107

ここで、入側板厚偏差周波数成分H(f)および出側板厚偏差周波数成分h(f)の周波数f=m・Δf(Δfは、周波数分解能)のときの値は、先に説明した式(7)で定義されるcmを計算することによって求められる。なお、その際、式(7)に含まれる時系列信号f(n)のデータは、それぞれ、入側板厚偏差テーブル2021および出側板厚偏差テーブル2022によって与えられる。

0108

したがって、周波数f=m・Δfであるときの時系列信号f(n)すなわち入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhの振幅の減衰量および位相差は、前出の式(4−1)および(4−2)に基づき、式(8−1)および(8−2)のように表すことができる。

0109

以上の処理の結果として、板厚外乱測定装置202においては、入側板厚偏差FFT装置2023から入側板厚偏差振幅Hg(m)および入側板厚偏差位相Hp(m)が出力される。同様に、出側板厚偏差FFT装置2024から出側板厚偏差振幅hg(m)および出側板厚偏差位相hp(m)が出力される。

0110

図16は、入側板厚偏差振幅Hg(m)および出側板厚偏差振幅hg(m)の周波数依存特性の例を示した図である。すなわち、図16は、横軸を周波数とし、縦軸にそれぞれの周波数に対する入側板厚偏差振幅Hg(m)および出側板厚偏差振幅hg(m)の値を、破線および実線で示した図の例である。以下、図16を参照しつつ、板厚外乱推定装置203が実行する処理内容について説明する。

0111

図16の例では、入側板厚偏差振幅Hg(m)を表す破線のグラフは、(A),(B)および(C)の周波数位置、すなわち、周波数がmA・Δf,mB・ΔfおよびmC・Δfとなる位置で大きな値となっている。これは、入側板厚偏差ΔHがこれらの周波数を有する板厚外乱によって変動していることを表している。

0112

この入側板厚偏差振幅Hg(m)は、圧延現象により出側板厚偏差振幅hg(m)に変化する。ここで、図16の(A)のように、入側板厚偏差振幅Hg(m)と比べて出側板厚偏差振幅hg(m)が十分に小さい場合には、通常の板厚制御が効果的に作用しているため自然減衰(圧延現象のみでの板厚変動抑制効果)が大きいことを表している。したがって、(A)の周波数mA・Δfに対しては、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整はしなくてもよい。

0113

これに対し、(B)のように、入側板厚偏差振幅Hg(m)と比べて出側板厚偏差振幅hg(m)がほとんど減衰していない場合には、その原因は、硬度ムラであると予想される。そこで、(B)の周波数mB・Δfに対しては、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整が必要となる。

0114

また、(C)のように、出側板厚偏差振幅hg(m)がそれほど大きくなくても、入側板厚偏差振幅Hg(m)と比べてあまり減衰していない場合には、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整は必要であると判断される。

0115

通常、実測される入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhにはノイズ成分(実際のノイズまたはノイズとみなしてよい部分)が含まれるため、入側板厚偏差振幅Hg(m)および出側板厚偏差振幅hg(m)にもノイズ成分が含まれる。そこで、ここでは、入側板厚偏差振幅Hg(m)および出側板厚偏差振幅hg(m)に対し、予めノイズレベルLnを定めおく。そして、出側板厚偏差振幅hg(m)がそのノイズレベルLnを超えたときの周波数については、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整が必要であると判断する。

0116

本実施形態では、以上を考慮し、板厚外乱推定装置203は、まず、出側板厚偏差振幅hg(m)が予め定められたノイズレベルLnを超えるときの周波数を外乱周波数fciとして求める。図16の例では、外乱周波数fciとして、mA・Δf,mB・ΔfおよびmC・Δfが求められている。ここで、i=1,2.・・・であり、外乱周波数fciが複数あるときの識別番号である。

0117

続いて、板厚外乱推定装置203は、前記求められた外乱周波数fciについて、入側板厚偏差振幅Hg(m)に対する出側板厚偏差振幅hg(m)の比を求め、その比が最も大きいときの外乱周波数fciを、調整対象周波数fcとする。図16の例では、調整対象周波数fcとして、mB・Δfが求められている。

0118

以上の説明から分かるように、調整対象周波数fcとは、硬度ムラのために生ずる板厚変動が最も大きくなる周波数を意味する。したがって、こうして求めた調整対象周波数fcに対しては、フィードフォワード制御の制御パラメータである制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを適切に調整することが必要となる。なお、外乱周波数fciは、調整対象周波数fcの候補ではあるが、硬度ムラでない原因で生ずる板厚変動の周波数も含まれる。

0119

さらに、板厚外乱推定装置203は、調整対象周波数fcと、調整対象周波数fcを除いた調整対象周波数fciとの差分の最小値を求める。そして、その最小値に1/2を乗じた値を、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整に必要な外乱識別周波数分解能Δfcとして求める。すなわち、板厚外乱推定装置203は、
Δfc=(1/2)・min{|fci−fc|:fci≠fc}
を計算する。
なお、この計算は、調整対象周波数fcとその調整対象周波数fcに最も近い外乱周波数fciとの差分周波数の1/2を求める処理に相当する。

0120

ちなみに、図16の例では、周波数mA・Δfの方が周波数mC・Δfよりも、調整対象周波数fcであるmB・Δfに近い。したがって、フィードフォワード制御の制御パラメータの調整に必要な外乱識別周波数分解能Δfcは、
Δfc=(mB−mA)・Δf/2
として求められる。

0121

板厚外乱推定装置203は、以上の処理で求めた調整対象周波数fcを硬度ムラ外乱に起因する板厚偏差の周波数であると推定する。そして、これら求めた調整対象周波数fcおよび外乱識別周波数分解能Δfcを周波数応答推定装置204へ出力する。

0122

なお、ここでは、入側板厚偏差振幅Hg(m)と出側板厚偏差振幅hg(m)との比較に基づき調整対象周波数fcを求めたが、入側板厚偏差位相Hp(m)と出側板厚偏差位相hp(m)との比較に基づき調整対象周波数fcを求めてもよい。

0123

図17は、周波数応答推定装置204の構成の例を示した図である。周波数応答推定装置204は、板厚外乱推定装置203で得られた外乱識別周波数分解能Δfcに基づきFFTを実施する。そのため、周波数応答推定装置204は、まず、図14に示したサンプリング周期・データ数検索テーブルを参照することにより、外乱識別周波数分解能Δfcに基づきサンプリング周期(1/Δfs)およびデータ数Ncを決定する。

0124

図17に示すように、周波数応答推定装置204には、それぞれNc個のデータを格納可能な入側板厚偏差テーブル2041、出側板厚偏差テーブル2042および圧延荷重テーブル2043が用意されている。そして、サンプリング周期Δfs毎に周波数応答推定装置204に入力される入側板厚偏差ΔHTRK、出側板厚偏差Δhおよび圧延荷重PTRKがそれぞれに対応するテーブルの0番地からNc−1番地に順に書き込まれる。

0125

それぞれNc−1番地までのデータの書き込みが終了すると、入側板厚偏差FFT装置2044は、入側板厚偏差テーブル2041に書き込まれたデータのFFT処理を実行する。同様に、出側板厚偏差FFT装置2045は、出側板厚偏差テーブル2042に書き込まれたデータのFFT処理を実行し、圧延荷重FFT装置2046は、圧延荷重テーブル2043に書き込まれたデータのFFT処理を実行する。

0126

なお、周波数応答推定装置204のFFT処理で用いられるデータのデータ数Ncは、板厚外乱推定装置203のFFT処理で用いられるデータのデータ数Nよりも、通常、十分に小さな値、例えば、1/10程度の値となる。そのため、板厚外乱推定装置203のFFT処理が短時間で済むことになる。

0127

これらのFFT処理の結果として、入側板厚偏差FFT装置2044、出側板厚偏差FFT装置2045および圧延荷重FFT装置2046は、それぞれ入側板厚偏差周波数成分Hc(f)、出側板厚偏差周波数成分hc(f)および圧延荷重周波数成分Pc(f)を得る。

0128

入側板厚〜出側板厚応答測定装置2047は、以上のようにして求められた入側板厚偏差周波数成分Hc(f)および出側板厚偏差周波数成分hc(f)に基づき、入側板厚〜出側板厚応答Gh(f)を演算する。同様に、入側板厚〜圧延荷重応答測定装置2048は、入側板厚偏差周波数成分Hc(f)および圧延荷重周波数成分Pc(f)に基づき、入側板厚〜出側板厚応答GP(f)を演算する。

0129

ここで、入側板厚〜出側板厚応答Gh(f)および圧延荷重周波数成分Pc(f)は、それぞれ次の式(9−1)および(9−2)に従って演算される。

0130

次に、入側板厚〜出側板厚応答測定装置2047は、式(9−1)の周波数fに板厚外乱推定装置203で求められた調整対象周波数fcを代入し、その偏角を求めることにより、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDを演算する。同様に、入側板厚〜圧延荷重応答測定装置2048は、式(9−2)の周波数fに調整対象周波数fcを代入し、その偏角を求めることにより、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPを演算する。また、出側板厚偏差FFT装置2045は、出側板厚偏差周波数成分hc(f)の周波数fに調整対象周波数fcを代入し、その絶対値を求めることにより、出側板厚偏差PP値ΔhPPを演算する。

0131

すなわち、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTED、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPおよび出側板厚偏差PP値ΔhPPは、次の式(10−1)〜(10−3)により演算される。

0132

なお、以上の説明では、板厚外乱測定装置202および周波数応答推定装置204は、1周期分の例えばN個の実績データを取得後にFFTを実施するとしたが、1つの実績データを取得するたびにFFTを実施するようにすることもできる。そのためには、入側板厚偏差テーブル2021,2041などの実績データを格納するテーブルでは、新しい実績データを0番地に書き込むときには、0〜N−1番地のデータを1〜N番地にシフトさせた後書き込むようにする。こうすることにより、入側板厚偏差テーブル2021,2041などのテーブルには常に最新の実績データが書き込まれていることとなる。よって、入側板厚偏差FFT装置2023,2044などは、最短では実績データ取得周期でFFTを実施することが可能になる。

0133

<3.5メンバーシップ関数およびファジィ推論装置>
ところで、フィードフォワード制御においては、入側板厚偏差ΔHを用いて、出側板厚偏差Δhを小さくすることを目的とする。したがって、制御対象となるのは、出側板厚偏差Δhである。硬度ムラである変形抵抗変動の影響は、入側板厚偏差ΔHとして#4スタンド入側において現れているので、#4スタンドの板厚制御装置64は、入側板厚偏差ΔHを用いたフィードフォワード制御を実施する。そして、フィードフォワード制御調整装置101は、入側板厚偏差ΔHと出側板厚偏差Δhの位相関係からフィードフォワード制御を調整する。

0134

その結果、フィードフォワード制御の効果が好適に現れると、出側板厚偏差Δhの検出値が小さくなり、理想的には0となる。この場合、入側板厚偏差ΔHと出側板厚偏差Δhの位相関係を求めるのは困難となる。これに対して、圧延荷重Pは、硬度ムラによる出側板厚偏差Δh除去の結果として、大きく変動しているため、これを出側板厚偏差Δhの代わりとして用いることができる。そこで、本実施形態では、フィードフォワード制御調整装置101は、入側板厚偏差ΔHと圧延荷重Pの位相関係からフィードフォワード制御の制御出力タイミングシフト量ΔTFFの調整を実施する機能を備えている。

0135

図10に示すように、制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、メンバーシップ関数105,106,107およびファジィ推論装置108を備えており、これらにより以上の調整機能を実現する。

0136

まず、メンバーシップ関数105は、出側板厚偏差PP値ΔhPPを入力とし、SHSおよびSHBの値を求める。ここで、SHSは、出側板厚偏差Δhが小さい場合の度合いを示す値であり、SHBは、出側板厚偏差Δhが大きい場合の度合いを示す値である。

0137

同様に、メンバーシップ関数106は、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDを入力とし、TEDB、TEDM、TEDZ、TEDP、TEDTの値を求める。
ここで、TEDBは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDのマイナス値が大きい場合の度合いを示す値であり、TEDMは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDがマイナス側である場合の度合いを示す値である。また、TEDZは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDがゼロである度合を示す値である。また、TEDPは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDがプラス側である場合の度合いを示す値であり、TEDTは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDのプラス値が大きい場合の度合を示す値である。

0138

また、メンバーシップ関数107は、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPを入力とし、TEPM、TEPZ、TEPPの値を求める。
ここで、TEPMは、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがマイナス側である場合の度合を示す値である。TEPZは、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがゼロである場合の度合を示す値である。TEPPは、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがプラス側である場合の度合を示す値である。

0139

なお、図10において、メンバーシップ関数105,106,107における横軸に設けられている各閾値は、予め定めたものを使用する。メンバーシップ関数105におけるSBは、出側板厚偏差Δhを用いたフィードフォワード制御の調整の実施可否の判定に用いる閾値である。例えば、出側板厚偏差Δhが1μm以下の場合に、フィードフォワード制御の調整に際して出側板厚偏差Δhを使用しないのであればSB=1μmである。このように、本実施形態に係る制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、出側板厚偏差Δhの変動幅が所定の範囲内である場合、出側板厚偏差Δhでなく圧延荷重Pの変動の位相を参照する。

0140

メンバーシップ関数106におけるDB、DTは、制御ゲインが高過ぎることの判定に用いる閾値である。例えば、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDが90度を超えるような場合は、制御ゲインが高いと判断される。この場合、DB=−90度、DT=90度に設定され、制御ゲインを下げる制御が実施される。

0141

メンバーシップ関数106におけるDM、DPおよびメンバーシップ関数107におけるPM、PPは、出力タイミングシフト量の調整が不要であることの判定に用いる閾値である。例えば、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDが±20度以内の場合には、出力タイミングシフト量ΔTFFの調整は不要と判断される。この場合、DM=−20度、DP=20度、同様にPM=−20度、PP=20度に設定される。なお、これらの値は一例であり、圧延状況や設備の特性に応じて適宜変更可能である。

0142

また、DZ、PZとしては、出側板厚偏差Δhが最小となり、フィードフォワード制御の効果が最大限となる場合の入側板厚−出側板厚間位相差ΔTED、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPが設定される。なお、これらの位相差の値は、例えば、圧延シミュレーションや実圧延における手動調整時の実績データなどに基づき予め決定されているものとする。制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置102は、入力される入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDなどの位相差を、予め定められた値と比較することにより出力タイミングシフト量ΔTFFを決定する。

0143

ファジィ推論装置108は、メンバーシップ関数105,106,107で求められたSHS,SHB,TEDB,TEDM,TEDZ,TEDP,TEDT,TEPM,TEPZ,TEPPを用いて、TFFP,TFFM,GFFP,GFFMを求める。ここで、TFFPおよびTFFMは、それぞれフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを増加側に変更する度合および減少側に変更する度合を表す値である。また、GFFPおよびGFFMは、それぞれ制御ゲインGFFを増加側に変更する度合いおよび減少側に変更する度合を表す値である。

0144

一般に、推論ルールは、種々存在するが、本実施形態に係るファジィ推論装置108は、次の条件で表される処理を行う。
IF (A and B)then C の場合: C=min(A,B)
IF (A or B) then C の場合: C=max(A,B)

0145

出側板厚偏差Δhが大きく、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDがゼロの場合、フィードフォワード制御の制御ゲインGFFが小さいと考えられるため、次の推論ルールが適用される。
IF (SHB and TEDZ) then GFFP

0146

また、出側板厚偏差Δhが大きく、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDがある場合、制御出力タイミングシフト量ΔTFFがずれていると判断される。したがって、このずれをなくすことで出側板厚偏差Δhが小さくなることが期待されるため、次の推論ルールが適用される。
IF (SHB and TEDP) then TFFP
IF (SHB and TEDM) then TFFM

0147

また、出側板厚偏差Δhが大きく、入側板厚−出側板厚間の位相差が大きく90度を超えるような場合、フィードフォワード制御の制御ゲインGFFが大きすぎると判断される。この場合、まず、制御ゲインGFFを下げ、適正な制御ゲインとなってから制制御出力タイミングシフト量ΔTFFを調整したほうがよいと考えられる。したがって、この場合、次の推論ルールが適用される。
IF (SHB and TEDT) then GFFM
IF (SHB and TEDB) then GFFM

0148

また、出側板厚偏差Δhが小さく、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPが大きい場合、制制御出力タイミングシフト量ΔTFFを調整することで出側板厚偏差Δhをさらに小さくすることが期待される。したがって、この場合、次の推論ルールが適用される。
IF (SHS and TEPP) then TFFM
IF (SHS and TEPM) then TFFP

0149

圧延現象のシミュレーションによれば、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがマイナス側の場合に制御出力タイミングシフト量ΔTFFを増加側に変更すると、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPが小さくなる。また、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがプラス側の場合に制御出力タイミングシフト量ΔTFFを減少側に変更すると、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPが小さくなる。以上に示した推論ルールは、このシミュレーション結果に基づき定められたものである。

0150

図24の関係は、入側板厚偏差ΔHと出側板厚偏差Δhのような制御状態量が制御の前後でどのように変化するかを示したものである。圧延荷重Pは、入側および出側の板厚変動ならびに入側および出側の張力により定まるものであることから、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPと制御出力タイミングシフト量ΔTFFとの関係は、図24とは異なるものとなる。しかしながら、制御出力タイミングシフト量ΔTFFを変更した場合における入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPの変化傾向が分かれば、本実施形態のように、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPを制御出力タイミングシフト量ΔTFFの調整に利用することができる。

0151

以上の推論ルールを用いることにより、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを増加側に変更する度合であるTFFPおよび減少側に変更する度合であるFFMを求めることができる。さらに、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFを増加側に変更する度合であるGFFPおよび減少側に変更する度合であるGFFMを求めることができる。

0152

なお、以上に説明した推論ルールは一例であり、この推論ルールに限定されるものではない。例えば、フィードフォワード制御における制御状態量、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFF、制御出力タイミングシフト量ΔTFFなどを変更して、出側板厚偏差Δhを小さくするものであればどのような推論ルールでもよい。また、推論ルールは、圧延現象のシミュレーションによるものではなく、実際の圧延操業において、手動で調整してみた実績データにより決定したものであってもよい。このほうが現実の圧延現象により合致したものとなる場合が多い。

0153

パラメータ変更装置109は、以上で求めた変更度合TFFP、TFFM、GFFP、GFFMを用い、次の式(11−1)、(11−2)に従って、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを変更する。

0154

ここで、CTFFP、CTFFM、CGFFP、CGFFMは、調整用のパラメータである。CTFFPは、制御出力タイミングシフト量ΔTFFの1回当りの増加側の変更量を示す値、CTFFMは、その減少側の変更量を示す値である。また、CGFFPは、制御ゲインGの1回当りの増加側の変更量を示す値、CGFFMは、その減少側の変更量を示す値である。

0155

以上のように、フィードフォワード制御調整装置101は、板厚制御装置64におけるフィードフォワード制御のフィードフォワード制御用の制御ゲインGFFおよび制御出力タイミングシフト量ΔTFFを常に最適の状態に調整することが可能となる。その結果、フィードフォワード制御の制御効果が大幅に向上する。

0156

≪4.拡張構成に基づくシミュレーション≫
続いて、フィードフォワード制御調整装置101の効果をシミュレーションにより検証した結果について、図18図22を用いて説明する。

0157

図18は、#4スタンド圧延機14の入側および出側の張力制御を比例積分制御で実施し、かつ、#4スタンド圧延機14の出側板厚のフィードバック制御およびフィードフォワード制御を実施した場合のシミュレーション結果の例を示した図である。このシミュレーション条件は、図8でのシミュレーション条件にフィードフォワード制御の板厚制御を追加した場合に相当する。なお、図18において、“板厚変動”は、入側板厚の変動(入側板厚偏差ΔH)が実線で、出側板厚の変動(出側板厚偏差ΔH)が破線で示されている。同様に、“張力変動”は、入側張力の変動が実線で、出側張力の変動が破線で示され、“荷重変動”は、圧延荷重の変動が実線で、変形抵抗変動が破線で示されている。また、入側板厚の位相は実線の縦線で、出側板厚の位相は破線の縦線で、圧延荷重の位相は一点鎖線の縦線で示されている。これらの実線、破線および一点鎖線が表す意味は、図19図22でも同様である。

0158

図18においては、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDは、実線の縦線と破線の縦線との間隔で示され、進み位相であることが分かる。また、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPは実線の縦線と一点鎖線の縦線との間隔で示され、遅れ位相となっている。そして、この例では、出側板厚偏差Δhが大きいので、ここでは、まず、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを進み位相側すなわち増加方向に変更させると、シミュレーション結果は、図19のようになる。

0159

図19は、図18と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを増加させる方向に変更した場合のシミュレーション結果の例を示した図である。図19においては、図18の例に比べ、実線と破線との間で示される入側板厚−出側板厚間位相差ΔTED、実線と一点鎖線との間で示される入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPともに小さくなっていることがわかる。さらに言えば、出側板厚偏差Δhの振幅も若干ではあるが小さくなっている。

0160

この結果は、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFは適切であるものの、制御ゲインGFFが不足していることを示している。そこで、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFを増大させると、シミュレーションの結果は、図20のようになる。

0161

図20は、図19と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御ゲインGFFを増大させた場合のシミュレーション結果の例を示した図である。図20においては、図19の例に比べ、出側板厚偏差Δhが大幅に小さくなっていることが分かる。しかしながら、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTEDは、遅れ位相と判断される。そこで、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを遅れ位相側に変更させると、シミュレーション結果は、図21のようになる。

0162

図21は、図20と同じシミュレーション条件において、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFを減少させる方向に変更した場合のシミュレーション結果の例を示した図である。図21に示されたシミュレーション結果では、出側板厚偏差Δhは、ほとんどゼロになっており、出側板厚偏差Δhは、ほとんど除去されたといってよい。

0163

なお、図21の例では、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがわずかながら遅れ位相となっている。そこで、この遅れ位相の値をメンバーシップ関数107のPZとして設定することで、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPを用いて、さらにフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFの調整を行うこともできる。

0164

図22は、図18の例とは逆側にフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFをずらした場合のシミュレーション結果の例を示した図である。図22では、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPは進み位相となって現れている。そのため、このシミュレーションでは、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPがプラス側の場合には、制御出力タイミングシフト量ΔTFFを減少側に調整することで出側板厚偏差Δhを小さくすることができることが分かる。

0165

以上、本実施形態によれば、圧延操業中に圧延実績データを取り込みながら、フィードフォワード制御における制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを修正していくことでフィードフォワード制御の効果を向上させることができる。また、本実施形態では、制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFは、基本的には、入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差ΔhをFFT処理した結果に基づき求められる。そのため、入側板厚偏差ΔHおよび出側板厚偏差Δhに多くの周波数成分が含まれていたとしても、その中から硬度ムラによる板厚変動の周波数を見つけたり、制御対象とすべき入側板厚偏差ΔHと出側板厚偏差Δhの位相差δを求めたりするのが容易化される。その結果、前記の制御出力タイミングシフト量ΔTFFや制御ゲインGFFがより適切に求められるため、フィードフォワード制御の効果を大きく向上させることができる。すなわち、本実施形態により、制御前状態量と制御後状態量の変動の周波数特性からフィードフォワード制御のための制御出力タイミングを短時間に効率よく調整することが可能になったといえる。

0166

≪5.実施形態の変形例≫
<変形例1>
前記実施形態では、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFは、入側板厚−出側板厚間位相差ΔTED、入側板厚−圧延荷重間位相差ΔTEPを用いて調整されるものとした。しかしながら、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを調整する方法は、この方法に限定されない。

0167

図17に示したように、入側板厚〜圧延荷重応答測定装置2048および入側板厚〜出側板厚応答測定装置2047は、入側板厚〜圧延荷重応答GP(f)および入側板厚〜出側板厚応答GPh(f)を計算している。したがって、調整対象周波数fcにおける減衰率|GP(fc)|、|Gh(fc)|を求めることができる。そこで、これらの減衰率のデータを用いてファジィ推論装置108における制御ルールを増加させることにする。例えば、 IF (SHB and TEDP) then TFFM という制御ルールにおいて、|Gh(fc)|が大きい(減衰量が少ない)場合は、GFFPも同時に実施するように変更する。

0168

こうして、フィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを調整することができる。この場合、調整に要する応答時間が短縮されるなどの効果も期待できる。

0169

<変形例2>
変形例2では、実際の圧延工程で所定の製造品質を満たす出側板厚偏差Δhが得られたときのフィードフォワード制御用の制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFの実績値を記憶したデータベースがさらに設けられている実施形態を想定する。このデータベースには、圧延工程で所定の製造品質を満たす出側板厚偏差Δhが得られたときの被圧延材3の鋼種、圧延速度、目標板厚などの圧延条件に、制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFが、対応付けられて記憶されている。

0170

この場合、圧延開始時にデータベースを検索し、同様な圧延条件でのデータが記憶されているときには、その同様な圧延条件での制御出力タイミングシフト量ΔTFFおよび制御ゲインGFFを取り出して使用することができる。そのため、本変形例では、過去の圧延工程で実績のあるフィードフォワード制御の制御パラメータを使用し、さらに修正していくことが可能になる。その結果、フィードフォワード制御における制御効果をより大きなものにすることができる。

0171

<変形例3>
前記実施形態におけるフィードフォワード制御の制御ゲインおよび位相を調整する基本的な概念は、シングルスタンド圧延機におけるロール偏心板厚制御などにも適用することができる。この場合、シングルスタンド圧延機の入側板厚計で検出された入側板厚偏差に基づき、例えばロールギャップ(上下作業ロールの間隔)を操作端として出側板厚偏差を制御する。このような圧延制御は、しばしばゲージメータ式と呼ばれ、その圧延現象の基本式は、次の式(12)のように表される。

0172

ここで、圧延荷重偏差ΔPとして、入側板厚偏差ΔHおよび入側板厚偏差Δhのみを考慮した場合には、圧延荷重偏差ΔPは、次の式(13)によって表すことができる。

0173

式(13)において、出側板厚偏差Δh=0とするためには、式(12)を考慮したとき、ロールギャップ偏差ΔSと入側板厚偏差ΔHとの間には、次の式(14)の関係が成り立つことが分かる。

0174

式(14)は、入側板厚偏差ΔHに基づきロールギャップ偏差ΔSをフィードフォワード比例制御することにより、出側板厚偏差Δhをゼロにすることできることを意味する。すなわち、入側板厚偏差ΔHに次の式(15)で表わされる制御ゲインを乗ずることにより、ロールギャップ偏差ΔSを得ることができる。

0175

さらに、圧延荷重偏差ΔPとして、被圧延材3の硬度ムラすなわち変形抵抗変動Δkまで考慮した場合には、圧延荷重偏差ΔPは、次の式(16)によって表すことができる。

0176

式(16)において、出側板厚偏差Δh=0とするためには、式(12)を考慮したとき、ロールギャップ偏差ΔSと入側板厚偏差ΔHおよび変形抵抗変動Δkとの間には、次の式(17)の関係が成り立つことが分かる。

0177

ここで、入側板厚偏差ΔHおよび変形抵抗変動Δkが同一の周波数成分を有する場合には、式(17)は、次の式(18)のように表すことができる。

0178

さらに、式(18)は、次の式(18)のように変形することができる。

0179

式(19)に含まれるXおよびδの値は、GおよびΔを次の式(20)で求めたとき、前出の式(2−1)および(2−2)で与えられる。

0180

式(19)は、ロールギャップ偏差ΔSのフィードフォワード制御には、入側板厚偏差ΔHに乗ずべき制御ゲインGおよび入側板厚偏差ΔHの位相ズレについて調整が必要であることを表している。したがって、その調整は、前記実施形態で説明した構成と同様の構成を用いて実施することができる。

0181

≪6.補足
図23は、本発明の実施形態に係る圧延制御装置2を構成する情報処理装置500のハードウェア構成の例を示した図である。本発明の実施形態およびその変形例で用いられる板厚制御装置64やフィードフォワード制御調整装置101などを含んで構成された圧延制御装置2は、ソフトウェアハードウェアとの組み合わせによって実現される。このような情報処理装置500は、一般的なPC(Personal Computer)やワークステーションなどと同様の構成を有している。

0182

すなわち、情報処理装置500は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、ROM(Read Only Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、I/F(InterfaceCircuits)505などがバス508を介して接続されている。また、I/F505には、LCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部506やキーボードなどからなる操作部507が接続されている。

0183

CPU501は、プログラムの実行手段であるとともに、各種の演算を実行する演算手段でもある。RAM502は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性記憶媒体であり、CPU501が実行するときのプログラムが記憶されるとともに、そのプログラムの実行に際し必要な各種の情報が記憶される。ROM503は、読み出し専用不揮発性記憶媒体であり、ファームウェアなどのプログラムが格納される。

0184

HDD504は、情報の読み書きが可能な不揮発性磁気記憶媒体であり、OS(Operating System)、板厚制御に必要な制御プログラム制御情報、一般的なアプリケーション・プログラムなどが格納される。I/F505は、表示部506や操作部507を構成する機器をバス508と接続し、その機器との間の情報のやり取りを制御する。さらに、I/F505は、圧延機1に設けられている各種の計測器(例えば、板厚計41、張力計51など)や各種の機器の制御装置(例えば、ロールギャップ制御装置31など)との間で情報のやり取りを行うインタフェースとしても用いられる。

0185

以上のように構成された情報処理装置500において、ROM503、HDD504などの記録媒体から読み出されRAM502に展開されたプログラムを、CPU501が実行することにより、本発明の実施形態に係る圧延制御装置2の機能が実現される。なお、この場合、圧延制御装置2の機能は、1台の情報処理装置500で実現されてもよく、複数台の情報処理装置500で実現されていてもよい。

0186

本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。

0187

1圧延機
2圧延制御装置
3被圧延材
11,12,13,14スタンド圧延機
15 出側ブライドルロール
21,22,23,24,25電動機速度制御装置
31,32,33,34ロールギャップ制御装置
41,42,43,44板厚計
51,52,53,54張力計
61,62,63,64板厚制御装置
71,72,73,74張力制御装置
101フィードフォワード制御調整装置
102制御ゲイン・タイミングシフト量設定装置
105,106,107メンバーシップ関数
108ファジィ推論装置(フィードフォワード制御パラメータ調整手段)
109パラメータ変更装置(フィードフォワード制御パラメータ調整手段)
201周波数応答測定装置(周波数応答測定手段)
202板厚外乱測定装置(第1の周波数応答測定手段)
203 板厚外乱推定装置(第2の周波数応答測定手段)
204 周波数応答推定装置(第3の周波数応答測定手段)
2021入側板厚偏差テーブル
2022出側板厚偏差テーブル
2023 入側板厚偏差FFT装置
2024 出側板厚偏差FFT装置
2041 入側板厚偏差テーブル
2042 出側板厚偏差テーブル
2043圧延荷重テーブル
2044 入側板厚偏差FFT装置
2045 出側板厚偏差FFT装置
2046 出側板厚偏差FFT装置
2047入側板厚〜出側板厚応答測定装置
2048 入側板厚〜圧延荷重応答測定装置
500情報処理装置(コンピュータ)
501 CPU
502 RAM
503 ROM
504 HDD
505 I/F
506 表示部
507 操作部
508バス
δ位相差
Δ位相シフト量
Δf周波数分解能
Δfc 外乱識別周波数分解能
Δfsサンプリング周期
ΔH 入側板厚偏差
ΔHTRK 入側板厚偏差
Δh 出側板厚偏差
ΔhPP 出側板厚偏差PP値
ΔT34張力偏差
ΔTFF制御出力タイミングシフト量
ΔTED 入側板厚−出側板厚間位相差
ΔTEP 入側板厚−圧延荷重間位相差
G,GBF,GFF 制御ゲイン
T34FB張力実績値
T34ref張力指令値
TFF移送時間
fsサンプリング周波数
fr最大周波数(=fs/2)
fci外乱周波数
fc調整対象周波数
Lnノイズレベル
PTRK 圧延荷重
Hc(f) 入側板厚偏差周波数成分
hc(f) 出側板厚偏差周波数成分
Pc(f) 圧延荷重周波数成分
Hg(m) 入側板厚偏差振幅
Hp(m) 入側板厚偏差位相
hg(m) 出側板厚偏差振幅
hp(m) 出側板厚偏差位相

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