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技術 触覚評価方法および触覚評価システム

出願人 国立大学法人広島大学
発明者 栗田雄一辻敏夫荒川剛
出願日 2016年7月8日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-135730
公開日 2018年1月11日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2018-004585
状態 特許登録済
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査 特定の目的に適した力の測定 力の測定一般
主要キーワード 水平スライド機構 擬似指 立体形 濡れ具合 相対変位δ 圧力分布センサ 偏心度 非接触領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

物体に触れたときに感じ触覚を定量的に高精度に評価する。

解決手段

触覚評価方法は、被検体弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てるステップ(S1)と、被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かすステップ(S2)と、擬似指または被検体を動かしたときの擬似指と被検体との接触面の変化を取得するステップ(S3)と、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をパラメータ化するステップ(S4)と、得られたパラメータに基づいて被検体に触れたときの触覚を定量的に評価するステップ(S5)とを備える。

概要

背景

人は物体把持するとき、指先に覚える「滑る」感覚に応じて無意識に指への力の入れ具合を調整している。人が知覚するこのような滑る感覚は指先の固着率によって説明することができる。固着率は接触領域に対する固着領域面積比として定義される。物体を把持するとき指の腹がある程度潰れて物体表面と接触する。接触領域とは指と物体との接触面全体のことをいう。接触領域の一部は指が物体に固着して滑りが生じない領域であり、残りの部分は物体の表面摩擦特性により滑りが生じる領域である。接触領域において滑りが生じない領域が固着領域である。すなわち、固着率が大きいほど滑りにくく、固着率が小さいほど滑りやすいと言える。

人が未知の物体を把持するとき、初めは物体の表面摩擦特性の違いにより固着率にばらつきがみられるが、物体把持に慣れてくると物体の表面摩擦係数の違いにかかわらず固着率がほぼ一定になることがわかっている。このように、人は表面摩擦特性が異なるさまざまな物体に対してその物体を把持する際の指への力の入れ具合を無意識に調整してその物体をうまく把持することができる。

人の手をまねロボットに物体を把持させる場合、把持力が強すぎると物体が壊れるおそれがあり、逆に把持力が弱すぎるとロボットの指先と物体との接触領域に全面滑りが生じて物体をうまく把持することができない。かかる問題に関して、指に相当する弾性体測定対象物に接触させたときの接触面の変形情報、接触面に働く接線方向の力、および弾性体の物性定数に基づいて指が全面滑りを起こすまでの滑り余裕摩擦係数計測する触覚センサが下記特許文献1に開示されている。

概要

物体に触れたときに感じ触覚を定量的に高精度に評価する。触覚評価方法は、被検体弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てるステップ(S1)と、被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かすステップ(S2)と、擬似指または被検体を動かしたときの擬似指と被検体との接触面の変化を取得するステップ(S3)と、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をパラメータ化するステップ(S4)と、得られたパラメータに基づいて被検体に触れたときの触覚を定量的に評価するステップ(S5)とを備える。

目的

本発明は、物体に触れたときに感じる触覚を定量的に高精度に評価する方法およびシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てるステップと、前記被検体に前記擬似指を押し当てた状態で前記擬似指または前記被検体を動かすステップと、前記擬似指または前記被検体を動かしたときの前記擬似指と前記被検体との接触面の変化を取得するステップと、前記擬似指または前記被検体の動きと前記接触面の変化との関係をパラメータ化するステップと、得られたパラメータに基づいて前記被検体に触れたときの触覚を定量的に評価するステップとを備えた触覚評価方法

請求項2

前記被検体を動かすステップにおいて前記擬似指の押し当て方向に対して垂直となる方向に前記擬似指または前記被検体を移動させ、前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記接触面の偏心度を計算し、前記パラメータ化するステップにおいて前記擬似指または前記被検体の移動量と前記接触面の偏心度との関係をパラメータ化する請求項1に記載の触覚評価方法。

請求項3

前記被検体を動かすステップにおいて前記擬似指の押し当て方向の軸回りに前記擬似指または前記被検体を回転させ、前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記接触面の回転度を計算し、前記パラメータ化するステップにおいて前記擬似指または前記被検体の回転角度と前記接触面の回転度との関係をパラメータ化する請求項1に記載の触覚評価方法。

請求項4

前記擬似指が透明ゲルで形成されており、前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記擬似指の平面視方向から前記接触面を撮像して前記接触面を測定する請求項1ないし3のいずれかに記載の触覚評価方法。

請求項5

前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記接触面の周りから前記接触面に平行に光を当てた状態で前記接触面を撮像する請求項4に記載の触覚評価方法。

請求項6

前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記擬似指と前記被検体との接触箇所の周りを測距して前記接触面を測定する請求項請求項1ないし3のいずれかに記載の触覚評価方法。

請求項7

前記接触面の変化を取得するステップにおいて前記被検体の周りに配したフォトリフレクタにより前記擬似指と前記被検体との接触箇所の周りを測距する請求項6に記載の触覚評価方法。

請求項8

被検体に弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てる第1の機構と、前記被検体に前記擬似指を押し当てた状態で前記擬似指または前記被検体を動かす第2の機構と、前記擬似指と前記被検体との接触面を測定する測定装置と、前記擬似指または前記被検体を動かしたときの前記接触面の変化を取得し、前記擬似指または前記被検体の動きと前記接触面の変化との関係をパラメータ化し、得られたパラメータに基づいて前記被検体に触れたときの触覚を定量的に評価する計算処理装置とを備えた触覚評価システム

請求項9

前記擬似指が透明ゲルで形成されており、前記測定装置が前記擬似指の上方から前記接触面を撮像するカメラである請求項8に記載の感触評価システム。

請求項10

前記測定装置が、前記擬似指の先端の周囲に配置され、前記擬似指と前記被検体との接触箇所までの距離を測定する複数の測距素子を含む請求項8に記載の感触評価システム。

技術分野

0001

本発明は、触覚評価方法および触覚評価システムに関し、特に、物体に触れたときに感じる触覚を定量的に評価する技術に関する。

背景技術

0002

人は物体を把持するとき、指先に覚える「滑る」感覚に応じて無意識に指への力の入れ具合を調整している。人が知覚するこのような滑る感覚は指先の固着率によって説明することができる。固着率は接触領域に対する固着領域面積比として定義される。物体を把持するとき指の腹がある程度潰れて物体表面と接触する。接触領域とは指と物体との接触面全体のことをいう。接触領域の一部は指が物体に固着して滑りが生じない領域であり、残りの部分は物体の表面摩擦特性により滑りが生じる領域である。接触領域において滑りが生じない領域が固着領域である。すなわち、固着率が大きいほど滑りにくく、固着率が小さいほど滑りやすいと言える。

0003

人が未知の物体を把持するとき、初めは物体の表面摩擦特性の違いにより固着率にばらつきがみられるが、物体把持に慣れてくると物体の表面摩擦係数の違いにかかわらず固着率がほぼ一定になることがわかっている。このように、人は表面摩擦特性が異なるさまざまな物体に対してその物体を把持する際の指への力の入れ具合を無意識に調整してその物体をうまく把持することができる。

0004

人の手をまねロボットに物体を把持させる場合、把持力が強すぎると物体が壊れるおそれがあり、逆に把持力が弱すぎるとロボットの指先と物体との接触領域に全面滑りが生じて物体をうまく把持することができない。かかる問題に関して、指に相当する弾性体測定対象物に接触させたときの接触面の変形情報、接触面に働く接線方向の力、および弾性体の物性定数に基づいて指が全面滑りを起こすまでの滑り余裕摩擦係数計測する触覚センサが下記特許文献1に開示されている。

先行技術

0005

国際公開第2006/030570号

発明が解決しようとする課題

0006

人が物体に触れたときに感じる触覚は物体間の滑り余裕や摩擦係数によって一定程度評価することはできる。しかし、物体表面の微細凹凸(例えば、布や紙の場合には表面の毛羽立ち具合)や手の濡れ具合などによっても触覚は変わり得るため、触覚評価においてこれらの観点も考慮する必要がある。

0007

上記問題に鑑み、本発明は、物体に触れたときに感じる触覚を定量的に高精度に評価する方法およびシステムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一局面に従った触覚評価方法は、被検体弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てるステップと、被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かすステップと、擬似指または被検体を動かしたときの擬似指と被検体との接触面の変化を取得するステップと、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をパラメータ化するステップと、得られたパラメータに基づいて被検体に触れたときの触覚を定量的に評価するステップとを備える。

0009

また、上記触覚評価方法を実施するための触覚評価システムは、被検体に弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てる第1の機構と、被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かす第2の機構と、擬似指と被検体との接触面を測定する測定装置と、擬似指または被検体を動かしたときの接触面の変化を取得し、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をパラメータ化し、得られたパラメータに基づいて被検体に触れたときの触覚を定量的に評価する計算処理装置とを備える。

0010

上記触覚評価方法および上記触覚評価システムによると、擬似指を一定の力で被検体に押し当てた状態で擬似指または被検体を動かしたときの擬似指または被検体の動きと擬似指と被検体との接触面との変化の関係をパラメータ化し、当該パラメータに基づいて触覚が定量的に評価される。被検体表面の微細な凹凸や擬似指の濡れ具合などによって得られるパラメータが変わり得ることから、これら観点も考慮した高精度な触覚評価が可能になる。

0011

被検体を動かすステップにおいて擬似指の押し当て方向に対して垂直となる方向に擬似指または被検体を移動させてもよく、接触面の変化を取得するステップにおいて接触面の偏心度を計算してもよく、パラメータ化するステップにおいて擬似指または被検体の移動量と接触面の偏心度との関係をパラメータ化してもよい。

0012

被検体を動かすステップにおいて擬似指の押し当て方向の軸回りに擬似指または被検体を回転させてもよく、接触面の変化を取得するステップにおいて接触面の回転度を計算してもよく、パラメータ化するステップにおいて擬似指または被検体の回転角度と接触面の回転度との関係をパラメータ化してもよい。

0013

擬似指が透明ゲルで形成されていてもよく、接触面の変化を取得するステップにおいて擬似指の平面視方向から接触面を撮像して接触面を測定してもよい。さらに、接触面の変化を取得するステップにおいて接触面の周りから接触面に平行に光を当てた状態で接触面を撮像してもよい。

0014

接触面の変化を取得するステップにおいて擬似指と被検体との接触箇所の周りを測距して接触面を測定してもよい。具体的には、接触面の変化を取得するステップにおいて被検体の周りに配したフォトリフレクタにより擬似指と被検体との接触箇所の周りを測距してもよい。

0015

擬似指が透明ゲルで形成されていてもよく、測定装置が擬似指の上方から接触面を撮像するカメラであってもよい。

0016

測定装置が、擬似指の先端の周囲に配置され、擬似指と被検体との接触箇所までの距離を測定する複数の測距素子を含んでいてもよい。

発明の効果

0017

本発明によると、物体に触れたときに感じる触覚を定量的に高精度に評価することができる。

図面の簡単な説明

0018

指と物体との接触面を示す模式図
Hertzの接触理論を説明する図
固着率と相対変位との関係を表したグラフ
接線方向の力を印加する前後の指と物体との接触面の変化の例を示す図
検証実験を説明する図
擬似指を被検体に押し当てた状態で被検体をスライドさせたときの接触面の偏心度とスライド量との関係を表したグラフ
本発明の一実施形態に係る触覚評価方法の手順を示すフローチャート
回転前後の指と物体との接触面の変化の例を示す図
第1の実施形態に係る触覚評価システムの模式図
第1の実施形態において被検体と接触した擬似指を平面視した模式図
第2の実施形態に係る触覚評価システムの模式図
第2の実施形態において被検体と接触した擬似指を平面視した模式図

実施例

0019

以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。

0020

なお、発明者らは、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、図面に描かれた各部材の寸法、厚み、細部の詳細形状などは実際のものとは異なることがある。

0021

1.本発明の基礎となった知見
(1)固着率
図1は、指と物体との接触面を示す模式図である。上述したように、弾性体である指が物体に接触するとき、指の腹がある程度潰れて接触領域(接触面)が形成される。便宜のため、接触面を円形とし、その半径をrsとする。さらに、接触面の中央部に円形の固着領域が形成されるものとし、その半径をrcとする。このとき、固着率sは次式1で表される。

0022

0023

(2)固着率と相対変位との関係
二物体の弾性接触としてHertz接触が知られている。図2は、Hertzの接触理論を説明する図である。Hertz接触は指が物体に接触するときのモデル(以下、指先接触モデルと称する)として扱うことができる。

0024

図2において、指に相当する弾性体が剛性体の表面の法線方向に力Fgで接触し、弾性体の先端に接線方向(x軸方向)へ力Flが印加され、弾性体と剛性体との接触箇所に図1に示したような接触面が形成されているものとする。

0025

ここで、剛性体表面の摩擦係数をμとすると、固着領域の大きさは摩擦係数μ、法線方向の力Fgおよび接線方向の力Flに影響を受けることから次式2が成り立つ。

0026

0027

式1および式2から、指先接触モデルにおける固着率sは次式3のように表される。

0028

0029

一方、Hertz接触において、弾性体に接線方向の力Flが印加されることで、弾性体と剛性体との接触面に微小な相対変位が生じる。Hertzの接触理論によるとこの相対変位δは次式4のように表される。

0030

0031

ただし、式4においてG=E/{2(1+ν)}であり、Eは縦弾性係数、νは動粘性係数である。

0032

ここで式3を変形して次式5が得られる。

0033

0034

式5を式4に代入することで次式6が得られる。

0035

0036

式6から、固着率sが減少するにつれて相対変位δが増大することがわかる。図3は、固着率sと相対変位δとの関係を表したグラフである。

0037

(3)偏心度と相対変位との関係
図4は、接線方向の力Flを印加する前後の指と物体との接触面の変化の例を示す図である。図4左側は力Flが印加されていない初期状態の接触面を示し、図4右側はx軸方向に力Flが印加されたときの変形後の接触面を示す。初期状態の接触面の重心を原点Oとする。初期状態の接触面において第1象限面積をSs1、第2象限の面積をSs2、第3象限の面積をSs3、第4象限の面積をSs4とする。また、変形後の接触面において第1象限の面積をSt1、第2象限の面積をSt2、第3象限の面積をSt3、第4象限の面積をSt4とする。このとき、x軸の偏心度eは次式7で定義される。

0038

0039

偏心度eとHertz接触における相対変位δとの間には次式8の関係式が成り立つことがわかっている。

0040

0041

すなわち、偏心度eは相対変位δと比例関係にある。このことから偏心度eは固着率sとも関係があり、式6および式8から、固着率sが減少するにつれて偏心度eが増大することがわかる。換言すると、偏心度eにより固着率sの大小を評価することができる、すなわち、物体表面の滑りにくさまたは滑りやすさを評価することができる。

0042

(4)検証実験
物体の表面特性の違いによる偏心度の違いを検証するために次のような実験を行った。図5は検証実験を説明する図である。被検体に弾性材料でできた擬似指を一定の力で押し当てた状態で被検体を一定速度でスライドさせ、そのときの擬似指と被検体との接触面の変化を観察する。被検体は2種類用意し、一つは表面に凹凸のある滑りにくい素材Aであり、もう一つは表面に凹凸のない滑りやすい素材Bである。被検体に擬似指を5[N]の力で押し当てて被検体を速度2.5[mm/s]で10[mm]までスライドさせる試行を5回行った。

0043

図6は、検証実験の結果を表すグラフである。グラフの横軸は被検体のスライド量、縦軸は接触面の偏心度であり、グラフは全試行の平均を表す。被検体のスライド量はHertz接触における相対変位δに相当する。図6のグラフからわかるように素材Aおよび素材Bともにスライド量が大きくなるに従って偏心度が大きくなる。ただし、同じスライド量でも素材Bよりも素材Aの方が偏心度が小さい。すなわち、滑りにくい素材はスライド量の増加に対して偏心度の増加が小さく、滑りやすい素材はスライド量の増加に対して偏心度の増加が大きい。したがって、図6のグラフを例えば直線近似することでその傾きの大小によって素材の表面特性を評価することができる。

0044

2.触覚評価方法
発明者は上記知見に基づいて、物体の表面特性の違いにより人がさまざまに感じる触覚を定量的に評価する方法を発明した。以下、本発明に係る触覚評価方法について説明する。

0045

本発明に係る触覚評価方法は、擬似指を被検体の表面に接触させて試験することで被検体表面のざらつき感やつるつる・すべすべ感といった触覚を定量的に評価するものである。擬似指は略球欠状の弾性材料でできており、人の指先に相当する。被検体に特に制限はなく、繊維、紙、プラスチックガラス、金属、自然物、人工物などさまざまなものを使用することができる。本発明に係る触覚評価方法は後述の触覚評価システムにより実施することができる。触覚評価方法の詳細を先に説明する。

0046

図7は、本発明の一実施形態に係る触覚評価方法の手順を示すフローチャートである。まず、試料台に被検体を載置して被検体の表面に擬似指の球冠を一定の力で押し当てる(S1)。ここで、被検体に擬似指を押し当てるための機構(第1の機構)を用いる。さらに言うと、擬似指の押し当て力を測定するための力センサを設置して、第1の機構は力センサの測定値が常に一定になるように擬似指の押し当て力を調整することが好ましい。

0047

なお、被検体を固定して擬似指を移動させて被検体に擬似指を押し当ててもよいし、逆に擬似指を固定して被検体を移動させて被検体に擬似指を押し当てるようにしてもよい。また、力センサは被検体側または擬似指側に設置すればよい。

0048

次に、被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かす(S2)。ここで、擬似指または被検体を動かすための機構(第2の機構)を用いる。第2の機構は被検体が載置された試料台を動かしてもよいし、逆に擬似指を動かしてもよい。擬似指または被検体を動かす方向は、擬似指の押し当て方向に対して垂直となる方向である。擬似指または被検体の動かし方は、例えば、一定速度でスライドさせる、一定周期往復運動させるなどである。あるいは、第2の機構は被検体が載置された試料台を擬似指の押し当て方向の軸回りに回転させてもよいし、逆に擬似指を当該軸回りに回転させてもよい。

0049

次に、被検体または擬似指を動かしたときの擬似指と被検体との接触面の変化を取得する(S3)。ここで、擬似指と被検体との接触面を測定する測定装置と、擬似指または被検体を動かしたときの接触面の変化を取得する計算処理装置とを用いる。

0050

擬似指は弾性材料でできているため、被検体に押し当てられることで擬似指の球冠は一定程度潰れて被検体と面接触する。測定装置はそのような面接触した領域を測定する。計算処理装置は測定装置の測定結果から擬似指と被検体との接触面の輪郭を抽出する。なお、接触面の輪郭抽出処理は周知の画像処理技術を用いて行うことができる。

0051

被検体に擬似指を押し当てた状態で擬似指または被検体を動かすと擬似指と被検体との接触面が変形する。計算処理装置は、擬似指または被検体を動かす前の接触面を初期状態の接触面として、擬似指または被検体を動かして変形した接触面の偏心度を計算する。より詳細には、計算処理装置は測定装置から初期状態の接触面の画像情報を受け、当該接触面の重心Oを求めて各象限の面積Ss1,Ss2,Ss3,Ss4を計算する。さらに計算処理装置は測定装置から変形後の接触面の画像情報を受け、当該接触面の各象限の面積St1,St2,St3,St4を計算して式7に従って偏心度を計算する。なお、接触面の重心を求める処理および各象限の面積計算は周知の画像処理技術を用いて行うことができる。

0052

被検体または擬似指を擬似指の押し当て方向の軸回りに回転させる場合には、被検体と擬似指との接触面の変化を評価する尺度として回転度を用いることができる。図8は、回転前後の指(擬似指)と物体(被検体)との接触面の変化の例を示す図である。図8左側は初期状態の接触面を示す。初期状態の接触面の重心を原点Oとする。図8右側は原点Oを中心に左回りに角度θだけ回転したときの回転後の接触面を示す。初期状態の接触面の第1象限の面積をS(0)、回転後の接触面の第1象限の面積をS(θ)として、回転度rは、
r=S(θ)/S(0)
で定義することができる。このように、回転度は擬似指と被検体との接触面の回転角がわからなくても面積比で計算できる点で有利である。計算処理装置は第2の機構から回転角度の情報を得なくとも測定装置から得た擬似指と被検体との接触面の画像情報から回転度を計算することができる。

0053

次に、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をパラメータ化する(S4)。ここで、擬似指または被検体の動きと、擬似指と被検体との接触面の変化との関係をパラメータ化する計算処理装置を用いる。例えば、試料台を一定速度でスライドさせて被検体の動きと偏心度との関係が図6のグラフのようになったとする。この場合、計算処理装置は、被検体の動きと偏心度との関係を直線近似してその直線の傾きをパラメータとして抽出することができる。

0054

なお、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係のパラメータ化は直線近似に限られない。高次関数対数関数指数関数などの非線形関数近似してもよい。さらに、得られた擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係をいくつかの区間に分割して、各区間で異なる関数に近似してもよい。あるいは、往復運動させる場合にはヒステリシスの大きさをパラメータとして抽出することができる。また、被検体の表面が乾いているときと水分を与えたときの各条件下で抽出したパラメータの変化の度合い、あるいは、擬似指の表面特性やサイズをさまざまに変更したときのパラメータの変化の度合いを新たなパラメータとして抽出することができる。

0055

最後に、得られたパラメータに基づいて被検体に触れたときの触覚を定量的に評価する(S5)。ここで、被検体の触覚を定量的に評価する計算処理装置を用いる。例えば、擬似指または被検体の動きと接触面の変化との関係を直線近似した場合、計算処理装置は当該直線の傾きを当該被検体に触れたときの触覚を表す評価値として評価結果を出力する。

0056

3.触覚評価システム
次に、上記の触覚評価方法を実施する触覚評価システムについて説明する。

0057

(第1の実施形態)
図9は、第1の実施形態に係る触覚評価システムの模式図である。便宜のため、図の左右方向をX軸方向、図の奥行き方向をY軸方向、図の上下方向をZ軸方向とする。

0058

本実施形態に係る触覚評価システム100Aにおいて、支持台10の上面に水平スライド機構11が可動自在に設置されている。水平スライド機構11は図略のモータギア駆動軸などを備えており、支持台10上でX軸方向およびY軸方向に可動し、さらにXY平面上で回転することもできる。水平スライド機構11は上記の第2の機構に相当する。

0059

水平スライド機構11の上面に試料台12が設置されている。試料台12は触覚評価システム100Aによる評価対象となる被検体101が載置されるステージである。なお、被検体101として薄いシート状のものを想定している。

0060

試料台12の適当な箇所に力センサ13が設置されている。力センサ13は試料台12に対して法線方向に加わる力を計測する。

0061

試料台12の周囲を取り囲むように適当な間隔で光源14,14,・・・が配設されている。光源14,14,・・・は、試料台12の上面に略平行に試料台12の中心方向に光14a,14a,…を照射する。

0062

水平スライド機構11の上面に垂直スライド機構15が設置されている。垂直スライド機構15は、水平スライド機構11に設置された支持部15aと、支持部15aに接続されたアーム15bと、アーム15bに把持された透明板15cとを備える。垂直スライド機構15は上記の第1の機構に相当する。

0063

垂直スライド機構15は図略のモータ、ギア、軸などを備えており、アーム15bをZ軸方向に駆動する。透明板15cは試料台12の上方略中央部に試料台12の上面と平行に配置されている。

0064

透明板15cの下面に透明の擬似指16が設置されている。擬似指16は弾性特性を有する透明ゲルでできており、その形状は略球欠である。擬似指16の平面は透明板15cの下面と接触し、擬似指16の球冠は試料台12側を向いている。すなわち、垂直スライド機構15のアーム15bがZ軸方向下へ駆動されることで、擬似指16の球冠の先端部分が試料台12に載置された被検体101の表面に押し当てられるようになっている。そしてそのときの押し当て力が力センサ13によって計測される。

0065

アーム15bの上端部にカメラ17が設置されている。カメラ17は、試料台12の上方略中央部に当たる位置に配置され、擬似指16の上方から擬似指16と被検体101との接触面を撮像する。カメラ17は上記の測定装置に相当する。

0066

図10は、第1の実施形態において被検体101と接触した擬似指16を平面視した模式図である。便宜のため、試料台12は円形とし、試料台12の周囲に8個の光源14,14,・・・が配置されているものとし、被検体101、透明板15c、カメラ17などの図示は省略している。被検体101と接触した擬似指16を平面視すると、擬似指16と被検体101との接触領域16aと非接触領域16bとで違った画像に見える。ここで光源14,14,・・・から試料台12の中心方向に光14a,14a,・・・を照射することで、非接触領域16bは光14a,14a,・・・をよく透過するため明るく見えるが、接触領域16aは光14a,14a,・・・が乱反射するため暗く見える。このように光源14,14,・・・から光14a,14a,・・・を照射することにより接触領域16aをより明確に捉えて、擬似指16と被検体101との接触面をより正確に測定することができる。

0067

図9戻り、水平スライド機構11、力センサ13、垂直スライド機構15、およびカメラ17は、コンピュータ20に接続されている。コンピュータ20は上記の計算処理装置に相当する。コンピュータ20は力センサ13から信号を受けて、擬似指16の押し当て力が一定になるように垂直スライド機構15を制御する。また、コンピュータ20は擬似指16を被検体101に一定の力で押し当てた状態で水平スライド機構11を制御して試料台12に載置された被検体101を決められた通りに動かす。そして、コンピュータ20は、カメラ17が撮像した画像を解析して擬似指16と被検体101との接触面を抽出し、その偏心度を計算する。さらに、コンピュータ20は、被検体101の動きと偏心度との関係をパラメータ化し、得られたパラメータに基づいて被検体101に触れたときの触覚を定量的に評価して評価結果を出力する。

0068

(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る触覚評価システム100Aでは透明ゲルでできた擬似指16を使用する必要がある。被検体101の下に圧力分布センサを設ければ当該圧力分布センサの信号から擬似指16と被検体101との接触面が計算できるため、擬似指16を透明ゲルにする必要はなくなるが、圧力分布センサの精度が低いため接触面を高精度に測定することが困難である。また、第1の実施形態に係る触覚評価システム100Aでは被検体101は薄いシート状のものに制限される。第2の実施形態に係る触覚評価システムはこれらの制限をなくすものである。

0069

図11は、第2の実施形態に係る触覚評価システムの模式図である。便宜のため、図の左右方向をX軸方向、図の奥行き方向をY軸方向、図の上下方向をZ軸方向とする。

0070

本実施形態に係る触覚評価システム100Bにおいて、支持台10の上面に水平スライド機構11が可動自在に設置されている。水平スライド機構11は図略のモータ、ギア、駆動軸などを備えており、支持台10上でX軸方向およびY軸方向に可動し、さらにXY平面上で回転することもできる。水平スライド機構11は上記の第2の機構に相当する。

0071

水平スライド機構11の上面に試料台12が設置されている。試料台12は、水平スライド機構11の上面に設置された下部ステージ12aと、その上方に位置する上部ステージ12bと、これら両ステージを連結する関節機構12c,12c,・・・とを備える。関節機構12c,12c,・・・は図略のモータ、ギア、軸などを備えており、上部ステージ12bをZ軸方向に駆動する。さらに、関節機構12c,12c,・・・は上部ステージ12bを任意の角度に傾斜させることができる。上部ステージ12bは触覚評価システム100Bによる評価対象となる被検体101が載置されるステージである。なお、被検体101として薄いシート状のものに限らず、任意の厚み、任意の立体形状のものを使用することができる。

0072

水平スライド機構11の上面にフレーム21,21が立設されている。一方のフレーム21に関節機構22が設置されている。関節機構22の先端部は力センサ13を介して、擬似指16が取り付けられる取付板23に接続されている。関節機構22は上記の第1の機構に相当する。

0073

取付板23の下面に擬似指16が設置されている。擬似指16は弾性材料でできており、その形状は略球欠である。擬似指16の平面は取付板23の下面と接触し、擬似指16の球冠は試料台12側を向いている。すなわち、関節機構22が取付板23をZ軸方向下へ駆動することで、擬似指16の球冠の先端部分が試料台12の上部ステージ12bに載置された被検体101の表面に押し当てられるようになっている。そしてそのときの押し当て力が力センサ13によって計測される。

0074

2つのフレーム21,21に平面視円環形状の円環フレーム24が支持されている。円環フレーム24は擬似指16の球冠の先端部分を取り囲むように配置されている。

0075

円環フレーム24の内面にフォトリフレクタやレーザー変位計などの測距素子25,25,・・・が適当な間隔で配置されている。測距素子25,25,・・・は円環フレーム24の内側に存在する物体に光25a,25a,・・・を発光し、その反射光25b,25b,・・・を受光することでその物体まで距離を測定する。

0076

図12は、第2の実施形態において被検体101と接触した擬似指16を平面視した模式図である。便宜のため、円環フレーム24の内面に8個の測距素子25,25,・・・が配置されているものとし、関節機構22、取付板23、力センサ13などの図示は省略している。擬似指16と被検体101とが接触して接触領域16aが形成されている場合、測距素子25,25,・・・が発光した光25a,25a,・・・は擬似指16と被検体101との接触領域16aで反射し、測距素子25,25,・・・は反射光25b,25b,・・・を受光する。そして、各測距素子25の測定結果を総合することで擬似指16と被検体101との接触領域16aの接触面を抽出することができる。

0077

なお、円環フレーム24と擬似指16の先端部とに位置ずれがあると、測距素子25,25,・・・が擬似指16と被検体101との接触面をピンポイントで測距することは難しい。そこで、Z軸方向にある程度の範囲を持たせて当該接触面を測距し、その平均値を用いるようにしてもよい。

0078

図11へ戻り、水平スライド機構11、関節機構12c,12c,・・・、力センサ13、関節機構22、および測距素子25,25,・・・は、コンピュータ20に接続されている。コンピュータ20は上記の計算処理装置に相当する。コンピュータ20は力センサ13から信号を受けて、擬似指16の押し当て力が一定になるように関節機構22を制御する。また、コンピュータ20は擬似指16を被検体101に一定の力で押し当てた状態で水平スライド機構11を制御して試料台12に載置された被検体101を決められた通りに動かす。そして、コンピュータ20は、測距素子25,25,・・・の信号を解析して擬似指16と被検体101との接触面を抽出し、その偏心度を計算する。さらに、コンピュータ20は、被検体101の動きと偏心度との関係をパラメータ化し、得られたパラメータに基づいて被検体101に触れたときの触覚を定量的に評価して評価結果を出力する。

0079

以上のように本実施形態によると、擬似指16を一定の力で被検体101に押し当てた状態で擬似指16または被検体101を動かしたときの擬似指16または被検体101の動きと擬似指16と被検体101との接触面との変化の関係をパラメータ化し、当該パラメータに基づいて触覚が定量的に評価される。被検体101表面の微細な凹凸や擬似指16の濡れ具合などによって得られるパラメータが変わり得ることから、これら観点も考慮した高精度な触覚評価が可能になる。

0080

以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。

0081

したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。

0082

また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。

0083

100A,100B触覚評価システム
101 被検体
16擬似指
15垂直スライド機構(第1の機構)
22関節機構(第1の機構)
11水平スライド機構(第2の機構)
17カメラ(測定装置)
25 測距素子(測定装置)
20コンピュータ(計算処理装置)

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