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技術 タイヤ用ゴム組成物及びその評価方法

出願人 横浜ゴム株式会社
発明者 佐藤元五十嵐英征
出願日 2016年7月7日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-134753
公開日 2018年1月11日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-004552
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般 高分子組成物 機械的応力負荷による材料の強さの調査 熱的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 荷重負荷試験 ロスエネルギー ラボ試験 時刻歴データ 断熱温度上昇 平均圧 圧縮面 温度低下量
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

重荷重用タイヤキャップコンパウンドとして好適なタイヤ用ゴム組成物及びそのようなゴム組成物低コストで精度良く判定することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物の評価方法を提供する。

解決手段

タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済み試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形圧縮荷重負荷し、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいてパルス波形の1サイクル当たり断熱温度上昇量を算出し、該断熱温度上昇量に基づいてタイヤ用ゴム組成物を評価する。そして、試験片の温度が60℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物、又は、試験片の温度が70℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物を採用する。

概要

背景

建設車両用タイヤに代表される大型の重荷重用タイヤは、キャップトレッドが厚く、しかも高荷重条件で使用されるのが一般的である。このような空気入りタイヤにおいては、キャップトレッドにおける発熱量が多いため、その発熱による劣化特性耐久性能として重要である。

空気入りタイヤのキャップトレッドの発熱量を低減するための1つの手法として、トレッド部に区画されたブロックに浅い溝を形成し、そのブロックを複数の小ブロック細分化することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トレッド部の構造上の工夫のみならず、当然のことながら、キャップコンパウンドとして発熱性が低いゴム組成物を探求することが行われている。

従来、キャップトレッドの発熱特性を評価する方法として、実際に空気入りタイヤを加硫し、その実タイヤを用いた走行試験を行い、所定の条件で走行した後にトレッド部を穿孔し、その深部到達温度を実測している。到達温度とはトレッド部の発熱量と放熱量とが平衡状態となった温度であり、このような到達温度を適正化することが耐久性能を改善する上で重要である。

しかしながら、上述のように実際に空気入りタイヤを加硫し、走行後にトレッド部の深部の到達温度を実測する場合、試験用のタイヤを多数用意する必要があり、その試験コストが高いという問題がある。特に、大型の重荷重用タイヤは材料費が高いため、評価用タイヤを削減することが望まれている。

概要

重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして好適なタイヤ用ゴム組成物及びそのようなゴム組成物を低コストで精度良く判定することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物の評価方法を提供する。タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済み試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形圧縮荷重負荷し、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいてパルス波形の1サイクル当たり断熱温度上昇量を算出し、該断熱温度上昇量に基づいてタイヤ用ゴム組成物を評価する。そして、試験片の温度が60℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物、又は、試験片の温度が70℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物を採用する。

目的

特に、大型の重荷重用タイヤは材料費が高いため、評価用タイヤを削減することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済み試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形圧縮荷重負荷し、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて前記パルス波形の1サイクル当たり断熱温度上昇量を算出し、該断熱温度上昇量に基づいて前記タイヤ用ゴム組成物を評価することを特徴とするタイヤ用ゴム組成物の評価方法

請求項2

前記圧縮荷重の最大値を800kPa〜1200kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を前記最大値の20%以下とし、前記パルス波形の1サイクルを2.0秒〜3.0秒とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物の評価方法。

請求項3

前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、前記試験片の温度が60℃である時点で、前記断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下である場合に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物の評価方法。

請求項4

前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、前記試験片の温度が70℃である時点で、前記断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下である場合に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物の評価方法。

請求項5

タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒とする試験条件において、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出される前記パルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、前記試験片の温度が60℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。

請求項6

タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒とする試験条件において、前記試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出される前記パルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、前記試験片の温度が70℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。

技術分野

0001

本発明は、タイヤに使用されるゴム組成物及びその評価方法に関し、更に詳しくは、重荷重用タイヤキャップコンパウンドとして好適なタイヤ用ゴム組成物及びそのようなゴム組成物を低コストで精度良く判定することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物の評価方法に関する。

背景技術

0002

建設車両用タイヤに代表される大型の重荷重用タイヤは、キャップトレッドが厚く、しかも高荷重条件で使用されるのが一般的である。このような空気入りタイヤにおいては、キャップトレッドにおける発熱量が多いため、その発熱による劣化特性耐久性能として重要である。

0003

空気入りタイヤのキャップトレッドの発熱量を低減するための1つの手法として、トレッド部に区画されたブロックに浅い溝を形成し、そのブロックを複数の小ブロック細分化することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トレッド部の構造上の工夫のみならず、当然のことながら、キャップコンパウンドとして発熱性が低いゴム組成物を探求することが行われている。

0004

従来、キャップトレッドの発熱特性を評価する方法として、実際に空気入りタイヤを加硫し、その実タイヤを用いた走行試験を行い、所定の条件で走行した後にトレッド部を穿孔し、その深部到達温度を実測している。到達温度とはトレッド部の発熱量と放熱量とが平衡状態となった温度であり、このような到達温度を適正化することが耐久性能を改善する上で重要である。

0005

しかしながら、上述のように実際に空気入りタイヤを加硫し、走行後にトレッド部の深部の到達温度を実測する場合、試験用のタイヤを多数用意する必要があり、その試験コストが高いという問題がある。特に、大型の重荷重用タイヤは材料費が高いため、評価用タイヤを削減することが望まれている。

先行技術

0006

特開2015−134571号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして好適なタイヤ用ゴム組成物及びそのようなゴム組成物を低コストで精度良く判定することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物の評価方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するための本発明のタイヤ用ゴム組成物の評価方法は、タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済み試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形圧縮荷重負荷し、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて前記パルス波形の1サイクル当たり断熱温度上昇量を算出し、該断熱温度上昇量に基づいて前記タイヤ用ゴム組成物を評価することを特徴とするものである。

0009

また、上記目的を達成するための本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒とする試験条件において、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出される前記パルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、前記試験片の温度が60℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下であることを特徴とするものである。

0010

更に、上記目的を達成するための本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、前記圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、前記圧縮荷重の最小値を100kPaとし、前記パルス波形の1サイクルを2.5秒とする試験条件において、前記試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出される前記パルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、前記試験片の温度が70℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下であることを特徴とするものである。

発明の効果

0011

本発明者は、タイヤ用ゴム組成物の評価方法について鋭意研究した結果、試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、試験片に注入されたエネルギーと試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出されるパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量は、特に重荷重用タイヤのキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を評価する上で有用であることを知見し、その知見に基づいて本発明に至ったのである。

0012

即ち、本発明では、タイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの試験片を作製し、該試験片の温度を測定しながら該試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいてパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量を算出し、該断熱温度上昇量に基づいてタイヤ用ゴム組成物を評価することにより、特に重荷重用タイヤのキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を低コストで精度良く判定することができる。

0013

重荷重用タイヤの走行環境を考慮して、具体的な試験条件として、圧縮荷重の最大値を800kPa〜1200kPaとし、圧縮荷重の最小値を前記最大値の20%以下とし、パルス波形の1サイクルを2.0秒〜3.0秒とすることが好ましい。このような条件を設定することにより、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を低コストで精度良く判定することができる。

0014

特に、圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、圧縮荷重の最小値を100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、試験片の温度が60℃である時点で、断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下である場合に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することができる。つまり、上記試験条件において、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出されるパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、試験片の温度が60℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.05℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物は、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして有効である。

0015

また、圧縮荷重の最大値を1000kPaとし、圧縮荷重の最小値を100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、試験片の温度が70℃である時点で、断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下である場合に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することができる。つまり、上記試験条件において、該試験片に注入されたエネルギーと該試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出されるパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量であって、試験片の温度が70℃である時点に対応する断熱温度上昇量が0.04℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物は、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして有効である。

図面の簡単な説明

0016

本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の評価方法で使用される試験片を示す斜視図である。
試験片に対して圧縮荷重を負荷する装置の要部を示す側面図である。
試験片に対して負荷される圧縮荷重のパルス波形(1サイクル)を経時的に示すグラフである。
試験片に負荷される圧縮荷重及び試験片の圧縮変位を経時的に示すグラフである。
試験片の内蔵仕事量を経時的に示すグラフである。
試験片の温度と断熱温度上昇量及び放熱量との関係を示すグラフである。

0017

以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の評価方法で使用される試験片を示すものである。図1に示すように、試験片1は、試験すべきタイヤ用ゴム組成物からなる加硫済みの円柱体である。試験片1の形状及び寸法は直径dに対する高さhの比が0.5±0.05であると共に試験装置の試験能力の範囲内であれば任意に選択することが可能であり、例えば、高さhが5mm〜10mmであり、直径dが10mm〜20mmである円柱体を使用することができる。より具体的には、高さhが8.5mmであり、直径が17mmである円柱体が使用される。

0018

図2は試験片に対して圧縮荷重を負荷する装置の要部を示すものである。図2に示すように、試験片1は下側の支持部材11と上側の押圧部材12との間に配置される。支持部材11はその位置が固定される一方で、押圧部材12は鉛直方向に沿って往復移動自在に構成されており、支持部材11と押圧部材12との間に挟まれた試験片1に対して圧縮荷重Fを負荷するようになっている。また、試験片1の温度は不図示の温度センサにより検出されるようになっている。温度センサとしては、接触式及び非接触式の温度センサを使用することができる。試験片の圧縮面への固定は重要であり、試験の最中に滑り等が発生しないよう、やすり目加工を施したものを使用したり、滑りを防止するために試験片と押圧部材とを接着剤で固定したりする。滑りが発生すると、試験ストロークが大きくなり測定された断熱温度上昇が大きく計算されるので、正しい値を得るために滑りが発生しない条件で測定し直す必要が生じる。

0019

図3は試験片に対して負荷される圧縮荷重のパルス波形(1サイクル)を経時的に示すものである。図3に示すように、パルス波形としては、例えばハーバーサイン波を適用することができる。このようなパルス波形に基づいて試験片1に対して圧縮荷重Fが負荷される。圧縮荷重Fの最大値Fmaxは試験片に加わる最大の圧縮応力として800kPa〜1200kPaの範囲に設定され、圧縮荷重Fの最小値Fminは同様に試験片に加わる最大の圧縮応力として最大値Fmaxの20%以下に設定され、パルス波形の1サイクルは2.0秒〜3.0秒の範囲に設定される。より具体的には、圧縮荷重Fの最大値Fmaxを試験片に加わる最大の圧縮応力として1000kPaとし、圧縮荷重Fの最小値Fminを試験片に加わる最大の圧縮応力として100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒(0.4Hz)とする。この場合、パルス波形の変動域は900kPaとなる。荷重負荷試験時には、試験片1に対して図3のようなパルス波形の圧縮荷重Fを反復的に負荷する。このような圧縮荷重を与える装置として、例えば、GABO社製の電気アクチュエータ圧縮負荷装置(500N)やINSTRON社製の電気油圧サーボ式試験装置を使用することが可能である。

0020

図4は試験片に負荷される圧縮荷重及び試験片の圧縮変位を経時的に示し、図5は試験片の内蔵仕事量を経時的に示し、図6は試験片の温度と断熱温度上昇量及び放熱量との関係を示すものである。これら図4図6は、変位荷重時刻歴データから試験片に注入されたエネルギーと試験片から返却されたエネルギーとの収支(内蔵仕事量)を算出し、それに基づいてパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量を算出する方法を説明するための例であり、本発明で使用されるパルス波形の圧縮荷重と必ずしも一致するものではない。

0021

図4に示すように、試験片1に対してパルス波形の圧縮荷重F(N)を負荷すると、試験片1には圧縮荷重Fに応じて圧縮変位H(mm)が生じる。ここで、1サイクル中の微小時間における圧縮変位ΔHと前記微小時間における平均圧縮荷重Fとを求めたとき、ΔW=F×ΔHより、微小時間における供試体外部から供試体に与えられた仕事量ΔWが算出される。このとき、供試体外部から供試体に与えられた仕事量ΔWを積算して得られる内蔵仕事量ΣΔWは図5のようになる。図5に示すように、ゴム組成物からなる試験片1に対して注入されるエネルギーは試験片1から返却されるエネルギーよりも多くなるため、その収支である内蔵仕事量ΣΔWはパルス波形の1サイクル後に増加し、その増加分が1サイクル当たりのロスエネルギーΔEとなる。ロスエネルギーΔEが全て熱エネルギーに変換され、試験片1の昇温帰結するものと仮定すると、パルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadは下記(1)式から求めることができる。但し、Cは試験片の比熱であり、ρは試験片の密度、Vは試験片の体積である。
ΔTad=ΔE/(C・ρ・V) ・・・(1)

0022

図6において、横軸は試験片1の温度T(℃)を示し、縦軸は断熱温度上昇量ΔTad(℃/サイクル)を示す。また、図6において、試験片1の温度Tは環境温度T0を始点としている。上述の如く算出されたパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadを試験片1の温度Tに関連付けてプロットすると図6のようになる。図6に示すように、通常タイヤが用いられる際のトレッドゴム温度範囲において断熱温度上昇量ΔTadは試験片1の温度Tが高いほど低下する傾向がある。このような断熱温度上昇量ΔTadに基づいてタイヤ用ゴム組成物を評価することにより、特に重荷重用タイヤのキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を低コストで精度良く判定することができる。

0023

例えば、図6に示す発熱特性を有するタイヤ用ゴム組成物をキャップコンパウンドとして用いた重荷重用タイヤについて、走行試験に基づいてトレッド部の深部の到達温度Tend(終端温度)を実測し、これを図6に表示したとき、このタイヤ用ゴム組成物が実際に用いられた場合の放熱特性推定することができる。つまり、放熱に基づきタイヤが1回転(1サイクル)する間の温度低下量ΔTreはゴム温度が高いほど増加する傾向があり、定常状態における到達温度Tendにおいて放熱に基づく温度低下量ΔTreと断熱温度上昇量ΔTadとが等価となるので、放熱に基づく温度低下量ΔTreの変化曲線を推定することができる。この放熱特性は主として走行状態とタイヤサイズで決まるがタイヤ表面形状や断面構造の影響を受けたものである。ここで、タイヤ用ゴム組成物を開発・設計するにあたって、到達温度Tendを下げることを目標とする場合、その目標となる到達温度Tendにおける断熱温度上昇量ΔTadの要求値が決まる。つまり、その目標となる到達温度Tendにおいては、断熱温度上昇量ΔTadを放熱に基づく温度低下量ΔTreに対して同等以下とすることが必要である。従って、そのような断熱温度上昇量ΔTadを満足するゴム組成物を作成し、それをキャップコンパウンドとして使用すれば良い。これにより、試験片1を利用したラボ試験に基づいて、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして好適なゴム組成物を低コストで精度良く選別することができる。また、ラボ試験により選別されたゴム組成物については、実際の走行試験で発熱特性を確認することが好ましいが、少なくとも過剰な走行実験を排除することができる。

0024

上述したタイヤ用ゴム組成物の評価方法において、重荷重用タイヤ(特に、建設車両用タイヤ)の走行環境を考慮して、具体的な試験条件として、圧縮荷重Fの最大値Fmaxを圧縮応力として800kPa〜1200kPaとし、圧縮荷重Fの最小値Fminを圧縮応力として最大値Fmaxの20%以下とし、パルス波形の1サイクルを2.0秒〜3.0秒とすると良い。このような条件を設定することにより、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を低コストで精度良く判定することができる。試験条件が上記範囲から外れると、発熱特性が重視される重荷重用タイヤの走行環境が必ずしも十分に反映されなくなる。

0025

特に、圧縮荷重Fの最大値Fmaxを圧縮応力として1000kPaとし、圧縮荷重Fの最小値Fminを圧縮応力として100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、試験片1の温度Tが60℃である時点で、断熱温度上昇量ΔTadが0.05℃/サイクル以下、好ましくは、限りなくに近い場合に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することができる。つまり、上記試験条件において、試験片1に注入されたエネルギーと試験片1から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出されるパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadであって、試験片1の温度Tが60℃である時点に対応する断熱温度上昇量ΔTadが0.05℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物は、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして有効である。60℃における断熱温度上昇量ΔTadを指標とし、その値を上記のように設定した場合、重荷重用タイヤのトレッド部の到達温度を従来よりも低減することが可能になる。

0026

また、圧縮荷重Fの最大値Fmaxを圧縮応力として1000kPaとし、圧縮荷重Fの最小値Fminを圧縮応力として100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒としたとき、試験片1の温度Tが70℃である時点で、断熱温度上昇量ΔTadが0.04℃/サイクル以下、好ましくは、限りなく零に近い場合(現実には、ゴム粘弾性的性質のために零とはならない)に、キャップトレッドとしての発熱性が低いと判定することができる。つまり、上記試験条件において、試験片1に注入されたエネルギーと試験片1から返却されたエネルギーとの収支に基づいて算出されるパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadであって、試験片1の温度Tが70℃である時点に対応する断熱温度上昇量ΔTadが0.04℃/サイクル以下であるタイヤ用ゴム組成物は、重荷重用タイヤのキャップコンパウンドとして有効である。70℃における断熱温度上昇量ΔTadを指標とし、その値を上記のように設定した場合、重荷重用タイヤのトレッド部の到達温度を従来よりも低減することが可能になる。なお、60℃における断熱温度上昇量ΔTadとは別に70℃における断熱温度上昇量ΔTadを規定するのは、例えば40インチ超えの大きいサイズのタイヤの場合、到達温度が高めに推移するからである。

0027

3種類のゴム組成物A1〜A3について、加硫済みの試験片を作製し、試験片の温度を測定しながら試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、試験片に注入されたエネルギーと試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいてパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadを算出し、それを試験片の温度に対してプロットした。その際、圧縮荷重の最大値を圧縮応力として1000kPaとし、圧縮荷重の最小値を圧縮応力として100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒とした。その結果に基づいて、試験片の温度が60℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadを求めた。

0028

更に、上記ゴム組成物A1〜A3をキャップコンパウンドとして用い、タイヤサイズが2700R49である試験例1〜3の建設車両用タイヤを作製した。これら試験例1〜3の建設車両用タイヤをそれぞれドラム試験機に装着し、空気圧500kPa、荷重200kN、走行速度10km/hの条件にて1時間走行させた後、トレッド部をベルトエッジ付近の位置で穿孔し、トレッド部の厚さ方向の中心位置における到達温度を測定した。その結果を表1に示す。

0029

0030

表1に示すように、試験片の温度が60℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadが0.05℃/サイクル以下であるゴム組成物A1,A2を用いた試験例1,2では、走行後のトレッド部の到達温度が相対的に低くなっていた。これに対して、試験片の温度が60℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadが0.05℃/サイクルを超えているゴム組成物A3を用いた試験例3では、走行後のトレッド部の到達温度が相対的に高くなっていた。このことからも判るように、60℃における断熱温度上昇量ΔTadはキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を判定するための指標として極めて有効である。

0031

次に、3種類のゴム組成物A4〜A6について、加硫済みの試験片を作製し、試験片の温度を測定しながら試験片に対してパルス波形の圧縮荷重を負荷し、試験片に注入されたエネルギーと試験片から返却されたエネルギーとの収支に基づいてパルス波形の1サイクル当たりの断熱温度上昇量ΔTadを算出し、それを試験片の温度に対してプロットした。その際、圧縮荷重の最大値を圧縮応力として1000kPaとし、圧縮荷重の最小値を圧縮応力として100kPaとし、パルス波形の1サイクルを2.5秒とした。その結果に基づいて、試験片の温度が70℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadを求めた。

0032

更に、上記ゴム組成物A4〜A6をキャップコンパウンドとして用い、タイヤサイズが2700R49である試験例4〜6の建設車両用タイヤを作製した。これら試験例4〜6の建設車両用タイヤをそれぞれドラム試験機に装着し、空気圧500kPa、荷重200kN、走行速度10km/hの条件にて1時間走行させた後、トレッド部をベルトエッジ付近の位置で穿孔し、トレッド部の厚さ方向の中心位置における到達温度を測定した。その結果を表2に示す。

0033

実施例

0034

表2に示すように、試験片の温度が70℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadが0.04℃/サイクル以下であるゴム組成物A4,A5を用いた試験例4,5では、走行後のトレッド部の到達温度が相対的に低くなっていた。これに対して、試験片の温度が70℃である時点での断熱温度上昇量ΔTadが0.04℃/サイクルを超えているゴム組成物A6を用いた試験例6では、走行後のトレッド部の到達温度が相対的に高くなっていた。このことからも判るように、70℃における断熱温度上昇量ΔTadはキャップコンパウンドに使用されるゴム組成物の発熱特性を判定するための指標として極めて有効である。

0035

1試験片
11支持部材
12 押圧部材

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