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技術 エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、及び成形材

出願人 日立化成株式会社
発明者 竹澤由高田中慎吾北條房郎田中賢治吉田優香
出願日 2016年6月29日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2016-129192
公開日 2018年1月11日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 2018-002809
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 エポキシ樹脂
主要キーワード 海領域 反射次数 非極性部位 成型材 直線構造 液晶性エポキシ樹脂 スタッキング性 極性部位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年1月11日)のものです。
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図面 (1)

課題

離型性及び熱伝導性に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供する。

解決手段

エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシ化合物硬化剤フィラー、及び離型剤を含有し、硬化することにより海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能である。

概要

背景

近年、電子機器の小型化及び高性能化によるエネルギー密度の増加に伴い、単位体積当たりの発熱量が増加傾向にあることから、電子機器を構成する絶縁材料には高い熱伝導性が求められている。また、絶縁材料には、絶縁耐圧の高さ及び成形の容易さの観点から、広くエポキシ樹脂が用いられている。エポキシ樹脂の熱伝導性を高める方法として、例えば特許文献1には、配向性の高いメソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物重合させた液晶性エポキシ樹脂を利用することが有効であると記載されている。

更に、エポキシ樹脂の熱伝導性を高めるために、熱伝導率が高く且つ絶縁性フィラー樹脂に添加する方法が一般に用いられている。熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーとしては、アルミナ粒子等がある。

概要

離型性及び熱伝導性に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供する。エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシ化合物硬化剤、フィラー、及び離型剤を含有し、硬化することにより海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能である。なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、離型性及び熱伝導性に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液晶性エポキシ化合物硬化剤フィラー、及び離型剤を含有し、硬化することにより海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能なエポキシ樹脂組成物

請求項2

前記液晶性エポキシ化合物が、前記硬化剤と反応することによりスメクチック構造を形成可能である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項3

前記海島構造の島領域が、離型剤を含んで形成される請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項4

前記海島構造の海領域が、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項5

前記海島構造の島領域が、等方構造を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項6

前記海島構造の島領域が、ミセル構造を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項7

前記液晶性エポキシ化合物が、下記一般式(I)で表される化合物を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。[一般式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。]

請求項8

前記液晶性エポキシ化合物が、前記一般式(I)で表される化合物とハイドロキノンとの反応生成物を含む請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項9

前記硬化剤が、フェノールノボラック樹脂を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項10

前記フィラーが、アルミナ粒子窒化ホウ素粒子窒化アルミニウム粒子、及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項11

前記フィラーの含有率が、全固形分中、50質量%以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項12

前記離型剤が、モンタン酸エステルを含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項13

前記離型剤の含有率が、前記液晶性エポキシ化合物及び前記硬化剤の合計の質量に対して、1質量%〜20質量%である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項14

請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である成形材前駆体。

請求項15

請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物又は請求項14に記載の成形材前駆体の硬化物であり、海島構造を有する樹脂マトリックスを含む成形材。

請求項16

前記海島構造の海領域が、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含む請求項15に記載の成形材。

請求項17

前記海島構造の島領域が、等方構造を含む請求項15又は請求項16に記載の成形材。

請求項18

前記海島構造の島領域が、ミセル構造を含む請求項15又は請求項16に記載の成形材。

技術分野

0001

本発明は、エポキシ樹脂組成物成形材前駆体、及び成形材に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器の小型化及び高性能化によるエネルギー密度の増加に伴い、単位体積当たりの発熱量が増加傾向にあることから、電子機器を構成する絶縁材料には高い熱伝導性が求められている。また、絶縁材料には、絶縁耐圧の高さ及び成形の容易さの観点から、広くエポキシ樹脂が用いられている。エポキシ樹脂の熱伝導性を高める方法として、例えば特許文献1には、配向性の高いメソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物重合させた液晶性エポキシ樹脂を利用することが有効であると記載されている。

0003

更に、エポキシ樹脂の熱伝導性を高めるために、熱伝導率が高く且つ絶縁性フィラー樹脂に添加する方法が一般に用いられている。熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーとしては、アルミナ粒子等がある。

先行技術

0004

特開平11−323162号公報

発明が解決しようとする課題

0005

一般に、エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形する場合、金型からの離型性を良好にするために、離型剤を添加することがある。しかし、本願発明者らが検討したところ、液晶性エポキシ樹脂及び離型剤を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化すると、液晶性エポキシ樹脂に由来する秩序的な構造形成阻害されることにより、所望の熱伝導率が得られにくい傾向があることが判明した。

0006

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、離型性及び熱伝導性に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>液晶性エポキシ化合物硬化剤、フィラー、及び離型剤を含有し、硬化することにより海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能なエポキシ樹脂組成物。

0008

<2> 前記液晶性エポキシ化合物が、前記硬化剤と反応することによりスメクチック構造を形成可能である<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。

0009

<3> 前記海島構造の島領域が、離型剤を含んで形成される<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。

0010

<4> 前記海島構造の海領域が、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0011

<5> 前記海島構造の島領域が、等方構造を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0012

<6> 前記海島構造の島領域が、ミセル構造を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0013

<7> 前記液晶性エポキシ化合物が、下記一般式(I)で表される化合物を含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。




[一般式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。]

0014

<8> 前記液晶性エポキシ化合物が、前記一般式(I)で表される化合物とハイドロキノンとの反応生成物を含む<7>に記載のエポキシ樹脂組成物。

0015

<9> 前記硬化剤が、フェノールノボラック樹脂を含む<1>〜<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0016

<10> 前記フィラーが、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子窒化アルミニウム粒子、及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<9>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0017

<11> 前記フィラーの含有率が、全固形分中、50質量%以上である<1>〜<10>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0018

<12> 前記離型剤が、モンタン酸エステルを含む<1>〜<11>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0019

<13> 前記離型剤の含有率が、前記液晶性エポキシ化合物及び前記硬化剤の合計の質量に対して、1質量%〜20質量%である<1>〜<12>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

0020

<14> <1>〜<13>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である成形材前駆体。

0021

<15> <1>〜<13>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物又は<14>に記載の成形材前駆体の硬化物であり、海島構造を有する樹脂マトリックスを含む成形材。

0022

<16> 前記海島構造の海領域が、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含む<15>に記載の成形材。

0023

<17> 前記海島構造の島領域が、等方構造を含む<15>又は<16>に記載の成形材。

0024

<18> 前記海島構造の島領域が、ミセル構造を含む<15>又は<16>に記載の成形材。

発明の効果

0025

本発明によれば、離型性及び熱伝導性に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

エポキシ樹脂組成物の硬化物を50μmの平均厚みに研磨して偏光顕微鏡で観察した際に確認される海島構造の一例を示す図である。

0027

以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。

0028

本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において硬化物又は成形材の平均厚みは、対象となる硬化物又は成形材の無作為に選んだ5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。硬化物又は成形材の厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。

0029

<エポキシ樹脂組成物>
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシ化合物、硬化剤、フィラー、及び離型剤を含有し、硬化することにより海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能なものである。エポキシ樹脂組成物は、その他の成分を更に含有していてもよい。エポキシ樹脂組成物が上記構成であることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物は、離型性及び熱伝導性に優れるものになると考えられる。

0030

ここで、海島構造とは、連続領域である海領域と、非連続領域である島領域とからなる構造を示す。海島構造の有無は、例えば、硬化物を50μmの平均厚みに研磨して偏光顕微鏡で観察することにより確認することができる。具体的には、硬化物を50μmの平均厚みに研磨し、偏光顕微鏡(例えば、株式会社ニコン製、「OPTIPHOT2−POL」)で観察することにより、海島構造の有無を確認することができる。

0031

硬化物を50μmの平均厚みに研磨して偏光顕微鏡で観察した際に確認される海島構造の一例を図1に示す。図1に示すように、フィラー1の周囲に存在する樹脂マトリックスは、海領域2と島領域3とからなる海島構造を有している。

0032

硬化物の離型性及び熱伝導性の観点から、海島構造の海領域の割合は、樹脂マトリックス全体に対して、例えば、80体積%〜99体積%であることが好ましく、85体積%〜97体積%であることが更に好ましく、88体積%〜94体積%であることが更に好ましい。
樹脂マトリックス全体に対する海領域の割合は、例えば、硬化物を50μmの平均厚みに研磨して偏光顕微鏡で観察することにより、測定することができる。具体的には、硬化物を50μmの平均厚みに研磨し、偏光顕微鏡(例えば、株式会社ニコン製、「OPTIPHOT2−POL」)で観察して視野内の海領域の面積を測定し、視野内の樹脂マトリックスの面積に対する百分率を求めることにより、樹脂マトリックス全体に対する海領域の割合を測定することができる。

0033

硬化物の離型性及び熱伝導性の観点から、海島構造の島領域の最大径は、例えば、30μm以下であることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましい。ここで、島領域の最大径は、無作為に選んだ5つの島領域のそれぞれについて最大径を測定し、その算術平均値として与えられる値とする。

0034

硬化物の離型性及び熱伝導性の観点から、海島構造の海領域は、液晶性エポキシ化合物と硬化剤との反応物を含んで形成されることが好ましく、海島構造の島領域は、離型剤を含んで形成されることが好ましい。
また、後述するように、海島構造の海領域は、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含むことが好ましい。一方、海島構造の島領域は、等方構造(アモルファス構造若しくはランダム構造ともいう)又はミセル構造を含むことが好ましい。ミセル構造とは、両極性分子極性部位及び非極性部位の一方が外側を向き、他方が内側を向くことで形成される構造である。なお、球状ミセル構造は等方構造でもあるが、本明細書では便宜上、等方構造とミセル構造とを区別して記載する。

0035

以下、エポキシ樹脂組成物の成分について詳細に説明する。

0036

(液晶性エポキシ化合物)
エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシ化合物を含有する。液晶性エポキシ化合物は、いわゆるメソゲン構造ビフェニル基ターフェニル基ターフェニル類縁基、アントラセン基、これらがアゾメチン基又はエステル基で接続された基等)を有する化合物である。液晶性エポキシ化合物が硬化剤と反応すると、樹脂マトリックス中にメソゲン構造に由来する高次構造(周期構造ともいう)が形成される。

0037

ここでいう高次構造(周期構造)とは、樹脂マトリックス中に分子が配向配列している状態を意味し、例えば、樹脂マトリックス中に結晶構造又は液晶構造が存在する状態を意味する。このような結晶構造又は液晶構造は、例えば、直交ニコル下での偏光顕微鏡による観察又はX線散乱により、その存在を直接確認することができる。また、結晶構造又は液晶構造が存在すると樹脂の貯蔵弾性率の温度に対する変化が小さくなるので、この貯蔵弾性率の温度に対する変化を測定することにより、結晶構造又は液晶構造の存在を間接的に確認できる。

0038

メソゲン構造に由来する規則性の高い高次構造には、ネマチック構造、スメクチック構造等がある。ネマチック構造は分子の長軸が一様な方向を向いており、配向秩序のみを持つ液晶構造である。これに対し、スメクチック構造は配向秩序に加えて一次元の位置の秩序を持ち、一定周期層構造を有する液晶構造である。また、スメクチック構造の同一の周期構造内部では、層構造の周期の方向が一様である。すなわち、分子の秩序性は、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が高い。秩序性の高い周期構造が樹脂マトリックス中に形成されると、熱伝導媒体であるフォノンが散乱するのを抑制することができる。このため、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が、熱伝導率が高くなる。

0039

周期構造がスメクチック構造を含んでいるか否かは、下記方法により判断することができる。
CuKα1線を用い、管電圧40kV、管電流20mA、2θが0.5°〜30°の範囲で、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製)を用いてX線回折測定を行う。2θが1°〜10°の範囲に回折ピークが存在する場合には、周期構造がスメクチック構造を含んでいると判断される。

0040

熱伝導性の観点から、液晶性エポキシ化合物は、硬化剤と反応することによりスメクチック構造を形成可能であることが好ましい。すなわち、樹脂マトリックスは、熱伝導性の観点から、スメクチック構造を含むことが好ましい。スメクチック構造の割合は、樹脂マトリックス全体に対して、例えば、60体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましい。
樹脂マトリックス全体に対するスメクチック構造の割合は、例えば、硬化物を50μmの平均厚みに研磨して偏光顕微鏡で観察することにより、測定することができる。具体的には、硬化物を50μmの平均厚みに研磨し、偏光顕微鏡(例えば、株式会社ニコン製、「OPTIPHOT2−POL」)で観察して視野内のスメクチック構造の面積を測定し、視野内の樹脂マトリックスの面積に対する百分率を求めることにより、樹脂マトリックス全体に対するスメクチック構造の割合を測定することができる。

0041

また、樹脂マトリックスは、熱伝導性の観点から、周期長(1周期の長さ)が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を含むことが好ましい。この周期構造を含むことで、樹脂マトリックスの規則性が高くなり、より高い熱伝導率を発揮することが可能となる。
周期構造の周期長は、広角X線回折装置(例えば、株式会社リガク製、「RINT2500HL」)を用いて、下記条件でエポキシ樹脂組成物の硬化物を測定試料としてX線回折を行い、これにより得られた回折角度を、下記ブラッグの式により換算することにより得られる。

0042

測定条件
X線源:Cu
X線出力:50kV、250mA
発散スリット(DS):1.0度
散乱スリットSS):1.0度
受光スリット(RS):0.3mm
走査速度:1.0度/分
ブラッグの式:2dsinθ=nλ

0043

ここで、dは周期長、θは回折角度、nは反射次数、λはX線波長(0.15406nm)を示している。

0044

また、樹脂マトリックスは、熱伝導性の観点から、海島構造の海領域が、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含むことが好ましい。

0045

スメクチック構造を形成する観点から、液晶性エポキシ化合物は、下記一般式(I)で表される化合物を含むことが好ましい。下記一般式(I)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0046

0047

一般式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。また、R1〜R4のうちの2個〜4個が水素原子であることが好ましく、3個又は4個が水素原子であることがより好ましく、4個すべてが水素原子であることが更に好ましい。R1〜R4のいずれかが炭素数1〜3のアルキル基である場合、R1及びR4の少なくとも一方が炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。

0048

なお、一般式(I)で表される化合物の好ましい例は、例えば、特開2011−74366号公報に記載されている。具体的に、一般式(I)で表される化合物としては、4−{4−(2,3−エポキシプロポキシフェニルシクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート及び4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。

0049

液晶性エポキシ化合物の一部は、後述の硬化剤等(プレポリマー化剤)との反応生成物であるプレポリマーの状態であってもよい。一般式(I)で表される化合物を含め、分子構造中にメソゲン基を有する液晶性エポキシ化合物は、一般的に結晶化し易く、溶媒への溶解度がその他のエポキシ化合物と比べると低いものが多い。液晶性エポキシ化合物の一部を重合させてプレポリマーとすることで、結晶化が抑制され、エポキシ樹脂組成物の成形性が向上する傾向にある。

0050

プレポリマー化剤としては、後述の硬化剤と同じものであっても別のものであってもよい。具体的には、プレポリマー化剤としては、一つのベンゼン環に二個の水酸基置換基として有する2価フェノール化合物であることが好ましく、カテコールレゾルシノール、ハイドロキノン、これらの誘導体等が挙げられる。誘導体としては、ベンゼン環に炭素数1〜8のアルキル基等が置換した化合物が挙げられる。これらの2価フェノール化合物の中でも、レゾルシノール及びハイドロキノンを用いることが成形材の熱伝導性を向上させる観点から好ましく、ハイドロキノンを用いることがより好ましい。ハイドロキノンは2つの水酸基がパラ位位置関係となるように置換されている構造であるため、液晶性エポキシ化合物と反応させて得られるプレポリマーは直線構造となり易い。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造を形成し易いと考えられる。
これらのプレポリマー化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0051

液晶性エポキシ化合物は、プレポリマーとして、一般式(I)で表される化合物とハイドロキノンとの反応生成物を含むことが好ましい。

0052

一般式(I)で表される化合物とハイドロキノンとの反応生成物であるプレポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定における数平均分子量は、例えば、300〜1500であり、流動性及び熱伝導率を両立する観点から、350〜1000であることが好ましく、400〜800であることがより好ましい。

0053

プレポリマーは、エポキシ基及び水酸基の当量比(エポキシ基/水酸基)が100/5〜100/50となるように、液晶性エポキシ化合物と硬化剤とを配合して反応させたものであることが好ましく、この当量比は100/10〜100/30であることがより好ましい。

0054

液晶性エポキシ化合物の含有率は、成形性及び接着性の観点から、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、例えば、5体積%〜40体積%であることが好ましく、10体積%〜35体積%であることがより好ましく、15体積%〜35体積%であることが更に好ましく、15体積%〜30体積%であることが特に好ましい。

0055

なお、本明細書において、全固形分に対する液晶性エポキシ化合物の体積基準の含有率は、次式により求めた値とする。
液晶性エポキシ化合物の全固形分に対する含有率(体積%)={(Bw/Bd)/((Aw/Ad)+(Bw/Bd)+(Cw/Cd)+(Dw/Dd)+(Ew/Ed))}×100

0056

ここで、各変数は以下のとおりである。
Aw:フィラーの質量組成比(質量%)
Bw:液晶性エポキシ化合物の質量組成比(質量%)
Cw:硬化剤の質量組成比(質量%)
Dw:離型剤の質量組成比(質量%)
Ew:その他の任意成分(溶媒を除く)の質量組成比(質量%)
Ad:フィラーの比重
Bd:液晶性エポキシ化合物の比重
Cd:硬化剤の比重
Dd:離型剤の比重
Ed:その他の任意成分(溶媒を除く)の比重

0057

エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシ化合物以外のその他のエポキシ化合物を更に含有していてもよい。その他のエポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラッククレゾールノボラックレゾルシノールノボラック等のフェノール化合物グリシジルエーテルブタンジオールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等のアルコール化合物のグリシジルエーテル;フタル酸イソフタル酸テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸化合物グリシジルエステルアニリンイソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素グリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシモノマー;分子内のオレフィン結合エポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシモノマー;ビス(4−ヒドロキシチオエーテルエポキシ化物パラキシリレン変性フェノール樹脂メタキシリレンパラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂等のグリシジルエーテル;スチルベン型エポキシモノマー;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシモノマーなど(但し、これらのうち液晶性エポキシ化合物を除く)が挙げられる。その他のエポキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0058

その他のエポキシ化合物の含有量は特に制限されず、質量基準において、液晶性エポキシ化合物を1とした場合に、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましい。

0059

(硬化剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、液晶性エポキシ化合物と硬化反応が可能な化合物であれば特に制限されない。硬化剤の具体例としては、アミン硬化剤酸無水物硬化剤フェノール硬化剤ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0060

エポキシ樹脂組成物の半硬化物又は硬化物の周期構造の形成の観点から、硬化剤としては、アミン硬化剤又はフェノール硬化剤が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましく、フェノールノボラック樹脂を含むフェノール硬化剤が更に好ましい。

0061

フェノール硬化剤としては、低分子フェノール化合物及びそれらをノボラック化したフェノールノボラック樹脂を用いることができる。低分子フェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等の単官能フェノール化合物、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能フェノール化合物、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3官能フェノール化合物などが使用可能である。また、これらの低分子フェノール化合物をメチレン鎖等で連結してノボラック化したフェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることもできる。

0062

硬化剤として用いられるフェノールノボラック樹脂は、モノマーであるフェノール化合物を含んでいてもよい。フェノールノボラック樹脂中のモノマーの含有比率(以下、「モノマー含有比率」ともいう。)としては特に制限されない。熱伝導性及び成形性の観点から、モノマー含有比率は5質量%〜80質量%であることが好ましく、15質量%〜60質量%であることがより好ましく、20質量%〜50質量%であることが更に好ましい。モノマー含有比率が80質量%以下であると、硬化反応の際に架橋に寄与しないモノマーが少なくなり、架橋する高分子量体が多くなるため、より高密度な高次構造が形成され、熱伝導性が向上する傾向にある。また、モノマー含有比率が5質量%以上であると、成形の際に流動し易いため、フィラーとの密着性がより向上し、より優れた熱伝導性及び耐熱性が達成できる傾向にある。

0063

硬化剤としてフェノール硬化剤を用いる場合、必要に応じて硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤を併用することで、エポキシ樹脂組成物を更に充分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類は特に制限されず、通常使用される硬化促進剤から選択してよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物ホスフィン化合物、及びボレート塩化合物が挙げられる。

0064

エポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量は、配合する硬化剤の種類及び液晶性エポキシ化合物の物性を考慮して適宜設定することができる。
具体的には、液晶性エポキシ化合物におけるエポキシ基の1当量に対して硬化剤の官能基当量数が、例えば、0.005当量〜5当量であることが好ましく、0.01当量〜3当量であることがより好ましく、0.5当量〜1.5当量であることが更に好ましい。硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して0.005当量以上であると、液晶性エポキシ化合物の硬化速度をより向上することができる傾向にある。また、硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して5当量以下であると、硬化反応をより適切に制御することができる傾向にある。

0065

なお、本明細書中での化学当量は、例えば、硬化剤としてフェノール硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するフェノール硬化剤の水酸基の当量数を表し、硬化剤としてアミン硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するアミン硬化剤の活性水素の当量数を表す。

0066

(フィラー)
エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有する。フィラーとしては、熱伝導性及び絶縁性の観点から、セラミック粒子を用いることができる。セラミック粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子等が挙げられる。これらのフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フィラーは、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミナ粒子を含むことがより好ましい。アルミナ粒子は、結晶性が高いアルミナ粒子を含むことが好ましく、α−アルミナ粒子を含むことがより好ましい。

0067

フィラーの含有率は、全固形分中、例えば、50質量%以上であることが好ましく、50質量%〜98質量%であることがより好ましく、88質量%〜96質量%であることが更に好ましい。

0068

また、フィラーがアルミナ粒子を含む場合、熱伝導性の観点から、樹脂マトリックスがアルミナ粒子の表面と交差する方向にスメクチック構造の周期構造を形成していることが好ましい。アルミナ粒子の表面と交差する方向に周期構造が形成されているか否かは、例えば、直交ニコル下での偏光顕微鏡による観察又はX線散乱により確認することができる。

0069

フィラーの体積平均粒子径は、例えば、熱伝導性の観点から、0.01μm〜1mmであることが好ましく、充填性の観点から、0.10μm〜100μmであることがより好ましい。

0070

ここで、フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法による測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコールター社製、「LS230」)を用いて行うことができる。エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中のフィラーの体積平均粒子径は、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中からフィラーを抽出した後、レーザー回折散乱粒度分布測定装置を用いて測定される。

0071

具体的には、有機溶剤硝酸王水等を用いて、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中からフィラーを抽出し、超音波分散機等で充分に分散して分散液を調製する。この分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置によって体積累積分布曲線を測定する。小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径として求めることで、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材に含有されるフィラーの体積平均粒子径が測定される。

0072

(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、離型剤を含有する。離型剤としては、特に制限されず、モンタン酸ステアリン酸、モンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、モンタン酸鹸化エステル、ポリエチレン酸化ポリエチレン等が挙げられる。これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤は、離型性の観点から、モンタン酸エステル、ポリエチレン、及び酸化ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、海島構造形成の観点から、極性部位と非極性部位との両方を有し、樹脂マトリックス中でミセル構造を形成可能なものを含むことがより好ましく、モンタン酸エステルを含むことが更に好ましい。

0073

ここで、モンタン酸エステルを含む樹脂マトリックスが海島構造を形成し易い理由は、樹脂マトリックス中のモンタン酸エステルとそれ以外の成分との親和性が低いためと考えられる。また、モンタン酸エステルは極性部位と非極性部位との両方を有するため、樹脂マトリックス中でミセル構造を形成することがある。このミセル構造が形成されることにより、海領域と島領域との境界が形成され、海島構造が形成され易くなると考えられる。更に、液晶性エポキシ化合物は、硬化剤と反応してスメクチック構造等の高次構造を形成するのに対し、モンタン酸エステルは、等方構造又はミセル構造を形成するため、両者の構造の相違により相分離し、海島構造が形成され易くなると考えられる。

0074

離型剤の含有率は、例えば、液晶性エポキシ化合物及び硬化剤の合計の質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、3質量%〜15質量%であることがより好ましく、6質量%〜12質量%であることが更に好ましい。離型剤の含有率が液晶性エポキシ化合物及び硬化剤の合計の質量に対して1質量%以上であると、硬化物の離型性がより向上する傾向にある。また、離型剤の含有率が液晶性エポキシ化合物及び硬化剤の合計の質量に対して20質量%以下であると、硬化物の熱伝導性がより向上する傾向にある。

0075

(その他の成分)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤分散剤エラストマー溶剤等を更に含有していてもよい。なお、液晶性エポキシ化合物の高次構造を形成する観点から、溶剤の含有量を減らすことが好ましく、具体的に、エポキシ樹脂組成物中の溶剤の含有率は、例えば、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。

0076

(エポキシ樹脂組成物の用途等)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化物としたときの熱伝導性及び絶縁耐圧に優れる。したがって、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、各種の電気及び電子機器に含まれる発熱性電子部品(例えば、IC(IntegratedCircuit)チップ又はプリント配線板)の放熱材料に好適に用いることができる。

0077

<成形材前駆体>
本実施形態の成形材前駆体は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である。成形材前駆体を用いることにより、離型性及び熱伝導性に優れる成形材を得ることができる。熱処理の温度は、エポキシ樹脂組成物の成分に応じて設定することができ、例えば、50℃〜100℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。熱処理の時間は特に制限されず、例えば、3分間〜60分間であることが好ましく、5分間〜30分間であることがより好ましい。

0078

成形材前駆体は、更に熱処理することにより、海島構造を有する樹脂マトリックスを形成可能である。この海島構造の詳細は、エポキシ樹脂組成物で説明したものと同様である。

0079

成形材前駆体は、例えば、エポキシ樹脂組成物を混練することで得られる。混練手法としては、ニーダー混練機ロール混練機等の混練機を使用することができる。
具体的には、例えば、アルミナ粒子、液晶性エポキシ化合物、硬化剤、反応促進剤、カップリング剤、及び離型剤を含有するエポキシ樹脂組成物をニーダー混練機で、例えば80℃で10分間混練することで、成形材前駆体を得ることができる。

0080

<成形材>
本実施形態の成形材は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物又は成形材前駆体の硬化物であり、海島構造を含有する樹脂マトリックスを含む。

0081

前述したように、海島構造の海領域は、周期長が2.0nm以上4.0nm未満の周期構造を有するスメクチック構造を含むことが好ましい。一方、海島構造の島領域の構造は、等方構造又はミセル構造を含むことが好ましい。

0082

成形材は、例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物を熱処理して成形材前駆体を得る工程と、成形材前駆体を更に熱処理して成形する工程と、を経て製造することができる。或いは、本実施形態の成形材前駆体が入手できれば、その成形材前駆体を熱処理して成形する工程を経て製造することができる。

0083

成形する工程では、トランスファー成形法を用いることができる。本実施形態のエポキシ樹脂組成物によれば、成形法としてトランスファー成形法を採用しても、熱伝導率の高い成形材を得ることができる。トランスファー成形では、当該分野で通常用いられているトランスファー成形機を適用することができる。

0084

具体的には、例えば、トランスファー成形機を用いて、本実施形態の成形材前駆体を140℃、3分間の条件で熱処理することにより、成形材を得ることができる。トランスファー成形の温度は特に制限されず、液晶性エポキシ化合物の配向性の観点からは、例えば、120℃〜180℃であることが好ましく、130℃〜150℃であることがより好ましい。トランスファー成形の熱処理時間は特に制限されず、例えば、1分間〜15分間であることが好ましく、2分間〜5分間であることがより好ましい。

0085

成形材が海島構造を有する樹脂マトリックスを含むよう、熱処理の条件を調節することが好ましい。例えば、トランスファー成形後に、成形材を更に熱処理(以下、「後硬化」ともいう。)することも好ましい。後硬化により、架橋密度及び液晶性エポキシ化合物の配向性がより向上する傾向にある。このように成形材前駆体に対する熱処理は2回以上実施してもよい。

0086

後硬化に用いる加熱装置は特に制限されず、一般的に用いられる加熱装置を用いることができる。また、後硬化の温度は特に制限されず、例えば、140℃〜240℃であることが好ましく、160℃〜220℃であることがより好ましい。また、後硬化の時間は特に制限されず、例えば、10分間〜600分間であることが好ましく、60分間〜300分間であることがより好ましい。

0087

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0088

<合成例1>
窒素置換したセパラブルフラスコに、フェノール化合物としてレゾルシノール105g(0.95mol)及びカテコール5g(0.05mol)と、触媒としてシュウ酸0.11g(フェノール化合物に対して0.1質量%)と、溶剤としてメタノール15gと、を量り取った後、内容物を撹拌し、40℃以下になるように油浴で冷却しながらホルマリン30g(約0.33mol、ホルマリン(P)とフェノール化合物(F)とのモル比:P/F=0.33)を加えた。2時間撹拌した後、油浴を100℃になるように加温しながら水及びメタノールを減圧留去した。水及びメタノールが留出しなくなったことを確認した後、フェノールノボラック樹脂が50質量%となるようにシクロヘキサノンを加え、フェノール硬化剤溶液を得た。

0089

ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定で、得られたフェノールノボラック樹脂の数平均分子量は484、構造単位数nは平均で3.9であった。また、モノマー含有比率は40質量%であった。
1H−NMRの測定により、構造単位に水酸基が平均で2.1個含まれることが分かった。水酸基当量は62g/eqであった。

0090

<実施例1>
アルミナ粒子(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製、「AL35−63」;以下、「アルミナ粒子1」ともいう。)と、アルミナ粒子(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製、「AL35−45」;以下、「アルミナ粒子2」ともいう。)と、アルミナ粒子(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製、「AX3−32」;以下、「アルミナ粒子3」ともいう。)と、アルミナ粒子(日本軽金属株式会社製、「LS−235」;以下、「アルミナ粒子4」ともいう。)と、液晶性エポキシ化合物(4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート;一般式(I)で表される化合物)(以下、「樹脂3」ともいう。)とハイドロキノンとをモル比(液晶性エポキシ化合物/ハイドロキノン)で10/1.3で予め反応させたプレポリマー(数平均分子量:565)(以下、「樹脂1」ともいう。)と、硬化剤(合成例1で調製したフェノール硬化剤溶液)と、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)と、カップリング剤(信越化学工業株式会社製、「KBM−573」)と、離型剤(オー・ジー株式会社製、「リコワックスE」;モンタン酸エステルに該当)(以下、「離型剤1」ともいう。)と、を混合してエポキシ樹脂組成物を調製した。

0091

樹脂1及び硬化剤の配合量は、樹脂1のエポキシ基の当量数に対する硬化剤の水酸基の当量数の比(エポキシ基:水酸基)が1:1となるように調整した。硬化促進剤の配合量は、樹脂1と硬化剤との合計質量に対して0.8質量%となるように調整した。アルミナ粒子の配合量は、硬化後のエポキシ樹脂組成物(全固形分に相当)におけるアルミナ粒子の含有率が92.13質量%となるように調整した。カップリング剤の配合量は、フィラーの質量に対して0.14質量%となるように調整した。離型剤1の配合量は、樹脂1及び硬化剤の合計の質量に対して15質量%となるように調整した。

0092

調製したエポキシ樹脂組成物を、ニーダー混練機を用いて、80℃で10分間混練することにより、成形材前駆体を得た。そして、トランスファー成形機を用いて、金型温度140℃、成形圧力20MPa、硬化時間180秒間の条件で成形材前駆体をトランスファー成形し、180℃、120分間の条件で後硬化することにより、成形材を得た。

0093

<実施例2>
実施例1において、離型剤1の配合量を、樹脂1及び硬化剤の合計の質量に対して12質量%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0094

<実施例3>
実施例1において、離型剤1の配合量を、樹脂1及び硬化剤の合計の質量に対して9質量%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0095

<実施例4>
実施例1において、離型剤1の配合量を、樹脂1及び硬化剤の合計の質量に対して6質量%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0096

<実施例5>
実施例1において、離型剤1の配合量を、樹脂1及び硬化剤の合計の質量に対して3質量%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0097

<実施例6>
実施例1において、樹脂1の代わりに、樹脂3と液晶性エポキシ化合物(三菱化学株式会社製、「YL6121H」;一般式(I)に該当しない液晶性エポキシ化合物)とをモル比(樹脂3:YL6121H)で8:2で混合した樹脂(以下、「樹脂2」ともいう。)を用いたこと以外は参考例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0098

<比較例1>
実施例1において、離型剤1を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0099

<比較例2>
実施例1において、離型剤1の代わりに、離型剤(オー・ジー株式会社製、「PE130」;極性部位を有しない、分岐鎖なしのポリエチレンワックス)(以下、「離型剤2」ともいう。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材前駆体及び成形材を作製した。

0100

<評価>
実施例1〜6及び比較例1〜2で作製した成形材前駆体又は成形材を用いて、以下のような評価を行った。結果を表1に示す。

0101

(樹脂マトリックスの周期構造における周期長の測定)
実施例1〜6及び比較例1〜2の成形材の周期構造に由来する回折角度を、広角X線回折装置(株式会社リガク製、「RINT2500HL」)を使用して測定した。詳細には、X線源として、Cuを用い、X線出力を50kV、250mAとし、発散スリット(DS)を1.0度とし、散乱スリット(SS)を1.0度とし、受光スリット(RS)を0.3mmとし、走査速度を1.0度/分として測定した。測定した回折角度に基づき、下記ブラッグの式から周期長を求めた。
ブラッグの式:2dsinθ=nλ
ここで、dは周期長、θは回折角度、nは反射次数、λはX線波長(0.15406nm)を示している。

0102

(熱伝導率の測定)
実施例1〜6及び比較例1〜2の成形材を1cm角に切り出し、熱拡散率を測定するための試験片とした。フラッシュ法装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、「NETZSCH,nanoflashLFA447」)を用いて、切り出した試験片の熱拡散率を測定した。測定結果アルキメデス法により測定した密度と、示差走査熱量測定DSC)法により測定した比熱とを乗じることにより、成形材の厚み方向の熱伝導率を求めた。

0103

(海島構造の有無の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜2の成形材を50μmの厚さに研磨して偏光顕微鏡(株式会社ニコン製、「OPTIPHOT2−POL」)で観察することにより、海島構造の有無を確認した。そして、海島構造を確認できた場合を「A」、海島構造を確認できなかった場合を「B」と判定した。

0104

(離型性の評価)
厚み3mm、直径50mmΦの円盤状金型を用い、実施例1〜6及び比較例1〜2の成形材前駆体をトランスファー成形機により、金型温度180℃、成形圧力22.5MPa、硬化時間300秒間の条件で成形した。そして、金型から外す際に、金型への成形材成分の転写が無く、且つ、真鍮金属板を使用せずとも容易に離型するものを「A」と判定した。一方、金型から外す際に、金型への成形材成分の転写がある場合、又は成形材を金型から外す際に真鍮製金属板を使用しないと容易に離型できない場合の少なくとも一方の現象を発生するものを「B」と判定した。

0105

(スメクチック構造の有無の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜2の成型材を1cm角に切り出し、X線回折装置(株式会社リガク製)を用いて分析することにより、高次構造の有無及び状態を確認した。X線回折測定は、CuKα1線を用い、管電圧:40kV、管電流:20mA、測定範囲:2θ=0.5°〜30°の条件で行った。2θが1°〜10°の範囲に回折ピークが存在する場合には、周期構造がスメクチック構造を含んでいると判断される。スメクチック構造を確認できた場合を「A」、スメクチック構造を確認できなかった場合を「B」と判定した。

0106

0107

表1中の離型剤及びその配合量の欄における「−」は、離型剤を配合していないことを表す。

実施例

0108

表1に示されるように、比較例1は離型剤を配合していないため、離型性に劣っていた。また、比較例2はスメクチック構造を形成するものの、海島構造を形成しないため、熱伝導率がやや低かった。
それに対し、実施例1〜6は、離型剤を配合しているため離型性に優れ、海島構造を有する樹脂マトリックスを形成するために熱伝導率も高かった。

0109

1フィラー
2海島構造の海領域
3 海島構造の島領域

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