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技術 Foxp3陽性T細胞を誘導するための組成物及びFoxp3陽性T細胞の製造方法

出願人 キッコーマン株式会社
発明者 石川友紀内田理一郎篠原靖智足立真樹
出願日 2017年6月22日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2017-122333
公開日 2018年1月11日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2018-002714
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 液性組成物 微生物発酵物 油性タイプ ニコチンアミドモノヌクレオチド 発酵多糖類 環状型 妊産婦 食品規格
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この項目の情報は公開日時点(2018年1月11日)のものです。
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図面 (6)

課題

本発明の目的は、Foxp3陽性細胞の割合を高めるように作用する有効成分を含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導組成物を提供することにある。

解決手段

上記目的は、下記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物により解決される。(1)アデニン(2)ニコチンアミド(3)ヌクレオシドリン酸化合物(4)上記(1)〜(3)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の構造を分子内に有する化合物

概要

背景

アレルギーとは、「ダニホコリ花粉食物などの異物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」をいう(例えば、非特許文献1を参照)。また、自己免疫疾患とは、「自分の細胞ホルモン等を異物とみなし、免疫が攻撃をしかけることで惹起される生体にとって不利益な症状」をいう。両者はともに、本来生体に害のあるものに対して働くはずの免疫システムが、無害のものに対して過剰に機能することで、生体に不利益な症状を引き起こす。

しかし、このような免疫の過剰応答を抑制するシステムも、生体は同時に兼ね備えている。例えば、外来タンパク質に対して免疫反応が起こらない仕組みである経口免疫寛容が働くことで、食物アレルギーが起こらないように制御されている(例えば、非特許文献2を参照)。つまり、食物アレルギーとは特定の食物に対する免疫寛容がうまく働かなくなっている状態と考えられる。

これまでのアレルギー治療は、アレルゲンの徹底除去によるアレルギーの発症防止が主であった。しかし、アレルゲンを除去する生活は患者やその家族に多大な精神的ストレスを与える。また、原因アレルゲンに対する経口免疫寛容が生体に誘導されない限り、根本的な治療にはならない。食物アレルギーに関しては、根本的な治療を目指す治療法として、原因アレルゲンを含む食品を少量ずつ摂取することで原因アレルゲンに対する耐性の獲得を誘導する経口免疫療法が臨床研究されている。しかし、治療経過中にアナフィラキシーショックを起こすことも多く、かつ、重篤副反応も起こりうるため現段階では、本治療法は、一般診療として推奨されていない(例えば、非特許文献2を参照)。自己免疫疾患に関しても現在対処療法が主で、完治を目指した治療は難しい。

そこで、免疫寛容を効率的に誘導することが可能となれば、アレルギーや自己免疫疾患の根本的な治療を安全に行え、さらには、まだこれらを発症していない人々の発症を未然に防ぐことができる。

生体内の免疫系には様々な免疫細胞関与する。T細胞は、免疫系を担う重要な細胞として知られており、その名称胸腺(Thymus)でつくられる細胞ということに由来する。T細胞は、発現する細胞表面マーカーの種類や数によって数十種類以上に分類され、それぞれが個別の役割を担う。

T細胞の1種として制御性T細胞が知られており、その中でもFoxp3が陽性である制御性T細胞(以下、Foxp3陽性T細胞やTregなどとよぶ。)は、抗原特異的に異常な又は過剰な他のT細胞の働きを抑制する、免疫寛容において重要な役割を果たし得ることが知られている。例えば、ヒト腸内においては常在細菌がTregを誘導し免疫恒常性を保っていることや、Tregの数やpopulationがアレルギーや自己免疫疾患の発症に影響を与えることが報告されている(非特許文献3及び4を参照)。

Foxp3陽性T細胞に対するニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD)の影響について、NADの静脈投与によりFoxp3陽性T細胞が減少することや腫瘍組織においてはFoxp3陽性T細胞を活性化すること(非特許文献5を参照)、NADはFoxp3陽性T細胞をTh17細胞に転換すること(非特許文献6を参照)が知られている。また、NADはTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞などのヘルパーT細胞に作用し、細胞の性質を変化させ得ることが知られている(非特許文献7を参照)。

概要

本発明の目的は、Foxp3陽性T細胞の割合を高めるように作用する有効成分を含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導組成物を提供することにある。上記目的は、下記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物により解決される。(1)アデニン(2)ニコチンアミド(3)ヌクレオシドリン酸化合物(4)上記(1)〜(3)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の構造を分子内に有する化合物

目的

本発明が解決しようとする課題は、Foxp3陽性T細胞の割合を高めるように作用する有効成分を含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、Foxp3陽性細胞への分化誘導組成物。(1)アデニン(2)ニコチンアミド(3)ヌクレオシドリン酸化合物(4)上記(1)〜(3)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の構造を分子内に有する化合物

請求項2

請求項3

前記(4)の化合物は、酸化型又は還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、酸化型又は還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸フラビンアデニンジヌクレオチド、ニコチンアミドグアニンジヌクレオチド、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド、ニコチンアミド1,N6−エテノアデニンジヌクレオチド、アセチル補酵素A又はアセトアセチル補酵素Aである、請求項1〜2のいずれか1項に記載のFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物。

請求項4

前記組成物は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化誘導するための組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物。

請求項5

前記組成物は、TGF−βの存在下で、該組成物を用いない場合と比べて、1.2倍の強度で、Foxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導するための組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物。

請求項6

前記組成物は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からTh17陽性T細胞への分化を抑制するための組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を有効成分として含有する、免疫抑制用組成物免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物又は腸内環境改善用組成物

請求項8

被験体から採取したFoxp3陰性T細胞に、サイトカインの存在下で、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を接触させる工程を含む、Foxp3陽性T細胞の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、Foxp3陽性細胞誘導するための組成物及びFoxp3陽性T細胞の製造方法に関する。

背景技術

0002

アレルギーとは、「ダニホコリ花粉食物などの異物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」をいう(例えば、非特許文献1を参照)。また、自己免疫疾患とは、「自分の細胞やホルモン等を異物とみなし、免疫が攻撃をしかけることで惹起される生体にとって不利益な症状」をいう。両者はともに、本来生体に害のあるものに対して働くはずの免疫システムが、無害のものに対して過剰に機能することで、生体に不利益な症状を引き起こす。

0003

しかし、このような免疫の過剰応答を抑制するシステムも、生体は同時に兼ね備えている。例えば、外来タンパク質に対して免疫反応が起こらない仕組みである経口免疫寛容が働くことで、食物アレルギーが起こらないように制御されている(例えば、非特許文献2を参照)。つまり、食物アレルギーとは特定の食物に対する免疫寛容がうまく働かなくなっている状態と考えられる。

0004

これまでのアレルギー治療は、アレルゲンの徹底除去によるアレルギーの発症防止が主であった。しかし、アレルゲンを除去する生活は患者やその家族に多大な精神的ストレスを与える。また、原因アレルゲンに対する経口免疫寛容が生体に誘導されない限り、根本的な治療にはならない。食物アレルギーに関しては、根本的な治療を目指す治療法として、原因アレルゲンを含む食品を少量ずつ摂取することで原因アレルゲンに対する耐性の獲得を誘導する経口免疫療法が臨床研究されている。しかし、治療経過中にアナフィラキシーショックを起こすことも多く、かつ、重篤副反応も起こりうるため現段階では、本治療法は、一般診療として推奨されていない(例えば、非特許文献2を参照)。自己免疫疾患に関しても現在対処療法が主で、完治を目指した治療は難しい。

0005

そこで、免疫寛容を効率的に誘導することが可能となれば、アレルギーや自己免疫疾患の根本的な治療を安全に行え、さらには、まだこれらを発症していない人々の発症を未然に防ぐことができる。

0006

生体内の免疫系には様々な免疫細胞関与する。T細胞は、免疫系を担う重要な細胞として知られており、その名称胸腺(Thymus)でつくられる細胞ということに由来する。T細胞は、発現する細胞表面マーカーの種類や数によって数十種類以上に分類され、それぞれが個別の役割を担う。

0007

T細胞の1種として制御性T細胞が知られており、その中でもFoxp3が陽性である制御性T細胞(以下、Foxp3陽性T細胞やTregなどとよぶ。)は、抗原特異的に異常な又は過剰な他のT細胞の働きを抑制する、免疫寛容において重要な役割を果たし得ることが知られている。例えば、ヒト腸内においては常在細菌がTregを誘導し免疫恒常性を保っていることや、Tregの数やpopulationがアレルギーや自己免疫疾患の発症に影響を与えることが報告されている(非特許文献3及び4を参照)。

0008

Foxp3陽性T細胞に対するニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD)の影響について、NADの静脈投与によりFoxp3陽性T細胞が減少することや腫瘍組織においてはFoxp3陽性T細胞を活性化すること(非特許文献5を参照)、NADはFoxp3陽性T細胞をTh17細胞に転換すること(非特許文献6を参照)が知られている。また、NADはTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞などのヘルパーT細胞に作用し、細胞の性質を変化させ得ることが知られている(非特許文献7を参照)。

先行技術

0009

「食物アレルギーの診療の手引き2011」2011年
「食物アレルギー診療ガイドライン2012」2012年
Robinson D.S. et al., The Journal of clinical Investigation., 2004, 114, 1389-1397
Fessler, J. et al., BioDrugs., 2013, 27, 281-291
Hubert, S., et al., J. Ex. Med., 2010, pp.2561-2568
Elkhal et al., Scientific reports, 2016, pp.1-12
Tullius et al., Nature Communications, 2014, pp.1-17

発明が解決しようとする課題

0010

上記のとおり、Foxp3陽性T細胞は、生体内において免疫寛容を促進する作用を有し、該作用によりアレルギー症状自己免疫症状などの免疫系症状を改善、緩和、抑制などをし得る。また、非特許文献5〜6には、NADがTh17細胞に転換するなどしてFoxp3陽性T細胞の細胞数を減じること、腫瘍組織におけるFoxp3陽性T細胞を活性化し得ることが記載されている。しかし、Foxp3陽性T細胞の割合を効率的に高めることについては、これまでに知られていない。

0011

そこで、本発明が解決しようとする課題は、Foxp3陽性T細胞の割合を高めるように作用する有効成分を含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物を提供すること及び該組成物を利用したFoxp3陽性T細胞の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、驚くべきことに、NADをはじめとして、アデニンニコチンアミドヌクレオシドリン酸化合物及びこれらの化合物の構造を分子内に有する化合物(以下、NAD等ともよぶ。)がFoxp3陰性であるナイーブT細胞(以下、Foxp3陰性T細胞ともよぶ。)をFoxp3陽性T細胞へ分化誘導する作用を示すことを見出した。

0013

これまでに、NADがFoxp3陽性T細胞の細胞数を減じることや特定部位にあるFoxp3陽性T細胞を活性化することは知られていた。また、非特許文献7のFigure 10に示されているとおり、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)やインターロイキン−2(IL−2)の存在下で、並びにIL−4、IL−12及びIFN−γに対する抗体の存在下で、ナイーブCD4陽性T細胞からFoxp3陽性T細胞を分化誘導できることは知られていた。

0014

しかし、NAD等が有する作用として、ナイーブCD4陽性T細胞のようなFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導し、Foxp3陽性T細胞の割合を高める作用は、本発明者らによって初めて見出された作用である。そして、本発明者らは、上記NAD等が有する作用に基づいて、NAD等を有効成分として含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物及び該組成物を利用したFoxp3陽性T細胞の製造方法を創作することに成功した。本発明はこれらの知見及び成功例に基づいて完成するに至った発明である。

0015

したがって、本発明によれば、下記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物が提供される。
(1)アデニン
(2)ニコチンアミド
(3)ヌクレオシドリン酸化合物
(4)上記(1)〜(3)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の構造を分子内に有する化合物

0016

本発明の別の側面によれば、本発明のFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物を有効成分として含有する、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物又は腸内環境改善用組成物が提供される。

0017

好ましくは、本発明の組成物において、前記ヌクレオシドリン酸化合物は、アデノシン一リン酸アデノシン二リン酸アデノシン三リン酸シチジン一リン酸シチジン二リン酸シチジン三リン酸チミジン一リン酸チミジン二リン酸チミジン三リン酸ウリジン一リン酸ウリジン二リン酸ウリジン三リン酸グアノシン一リン酸グアノシン二リン酸又はグアノシン三リン酸である。
好ましくは、本発明の組成物において、前記(4)の化合物は、酸化型又は還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、酸化型又は還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸フラビンアデニンジヌクレオチド、ニコチンアミドグアニンジヌクレオチド、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド、ニコチンアミド 1,N6−エテノアデニンジヌクレオチド、アセチル補酵素A又はアセトアセチル補酵素Aである。
好ましくは、本発明の組成物は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導するための組成物である。
好ましくは、本発明の組成物は、TGF−βの存在下で、該組成物を用いない場合と比べて、1.2倍の強度で、Foxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導するための組成物である。
好ましくは、本発明の組成物は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からTh17陽性T細胞への分化を抑制するための組成物である。

0018

本発明の別の側面によれば、被験体から採取したFoxp3陰性T細胞に、サイトカインの存在下で、本発明の組成物を接触させる工程を含む、Foxp3陽性T細胞の製造方法が提供される。

発明の効果

0019

本発明の組成物は、有効成分によるナイーブCD4陽性T細胞のようなFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導する作用並びに免疫抑制作用、免疫寛容促進作用、免疫調整作用及び腸内環境改善作用を通じて、経口的又は非経口的な形態で、ぜんそく、アトピー花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー症状や自己免疫症状を改善、緩和、抑制、治療又は予防するための組成物及び免疫療法のための組成物として使用できる。

0020

特に、食物アレルギーの発症者にとって、アレルゲン除去食品の摂取は該発症者やその周囲の者にとって負担が甚大であるが、免疫寛容を増強し得る本発明の組成物を飲食品医薬品などに配合又はそれら自体として使用することでアレルギー症状の改善が期待できる。

0021

また、本発明の製造方法によれば、生体外でのFoxp3陽性T細胞の製造が可能であることから、生体外で製造したFoxp3陽性T細胞を生体内に移入することにより、上記したアレルギー症状や自己免疫症状を改善、緩和、抑制、治療又は予防することが期待できる。

図面の簡単な説明

0022

図1は、後述する実施例の例1に記載があるとおり、NADによるFoxp3陽性T細胞の分化誘導作用及びTh17細胞の減少化作用の結果を示す図である。
図2は、後述する実施例の例2に記載があるとおり、IL−2存在下で、NADがTh17細胞の分化を誘導しなかった結果を示す図である。
図3は、後述する実施例の例2に記載があるとおり、IL−2存在下で、NADがFoxp3陽性T細胞の分化を誘導した結果を示す図である。
図4は、後述する実施例の例3に記載があるとおり、Th17細胞への分化を誘導するための各種抗体及びサイトカインの存在下で、NADがTh17細胞の分化を促進しなかった結果を示す図である。
図5は、後述する実施例の例3に記載があるとおり、Th17細胞への分化を誘導するための各種抗体及びサイトカインの存在下で、NADがFoxp3陽性T細胞の分化を誘導した結果を示す図である。

0023

以下、本発明の詳細について説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0024

[Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物]
本発明の組成物の一態様は、下記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物である。
(1)アデニン
(2)ニコチンアミド
(3)ヌクレオシドリン酸化合物
(4)上記(1)〜(3)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の構造を分子内に有する化合物

0025

本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用される。例えば、「組成物」は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、2種以上の物質が組み合わさってなる物であり、具体的には、有効成分と別の物質とが組み合わさってなるもの、有効成分の2種以上が組み合わさってなるものなどが挙げられ、より具体的には、有効成分の1種以上と固形担体又は溶媒の1種以上とが組み合わさってなる固形組成物及び液性組成物などが挙げられる。

0026

一般に、骨髄で産生されたT細胞は胸腺で分化及び成熟した後、Foxp3陰性T細胞として血流循環している。ナイーブT細胞が、各種サイトカインによる刺激を受けることにより、各サブセットへと分化する。例えば、ナイーブT細胞は、TGF−βやIL−6などの刺激により、Th17細胞やFoxp3陽性T細胞に分化する。また、Th17細胞はFoxp3陽性T細胞へと可逆的又は不可逆的に転換することが示唆されている。分化とは、一般的に、特性をもたない細胞が様々な特性を持つ細胞に変化することをいうところ、本明細書における「分化」は、ある特性を有する細胞が別の特性を有する細胞に転じることを広く意味することに加え、一般に分化細胞として知られている2種の細胞の間での、可逆的又は不可逆的な相互の転換をも含む、より広範な概念として用いられ得る。

0027

上記(1)〜(4)の化合物は、Foxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導する作用、すなわち、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、それら化合物自体に加えて、被験体に適用した場合に上記化合物になり得るものや上記化合物のように機能し得るものを含み、具体的にはアデニン、ニコチンアミド及びヌクレオシドリン酸化合物並びにアデニン、ニコチンアミド及び/又はヌクレオシドリン酸化合物の構造を分子内に有する化合物の薬学的に許容可能な塩といった塩や類似体アナログ)などを包含する、一定の範囲を有するものである。

0028

上記(1)〜(4)の化合物は、組成物の形態や用途などに応じて適宜変更し得るものであり、例えば、経口用組成物として使用される場合は、経口した際に被験体に対して安全性が認められるものであることが好ましい。上記(1)〜(4)の化合物は、上記(1)の化合物、上記(2)の化合物、上記(3)の化合物及び上記(4)の化合物をそれぞれ単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて使用し得る。

0029

上記(3)の化合物であるヌクレオシドリン酸化合物は、分子内に塩基、糖(グリコシル基)及びリン酸基を有する構造を有し、かつ、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アデノシン二リン酸(ADP)やADPの構造において置換欠失、挿入などの修飾がなされているADPアナログが挙げられ、具体的にはアデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン三リン酸(ATP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)などが挙げられ、好ましくはFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用が高く、かつ、細胞障害性が低い、AMP、ADP、CMP、TMP、UMP及びGMPである。ヌクレオシドリン酸化合物は、例えば、cAMPなどの環状型であってもよく、dAMPなどのデオキシ型であってもよい。上記(3)の化合物は、例えば、ヌクレオシドリン酸化合物のいずれか1種を単独で、又はヌクレオシドリン酸化合物の2種以上を組み合わせて使用し得る。

0030

上記(4)の化合物は、アデニン、ニコチンアミド及び/又はヌクレオシドリン酸化合物の構造を分子内に有し、かつ、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD、NAD+)や還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)といったニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADP、NADP+)や還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)といったニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドグアニンジヌクレオチド(NGD)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド、ニコチンアミド 1,N6−エテノアデニンジヌクレオチド、アセチル補酵素A(アセチルCoA)又はアセトアセチル補酵素A(アセトアセチルCoA)などが挙げられ、好ましくはADPの構造を分子内に有し、かつ、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用が顕著に高い、NAD、NADH、NADP、NADPH、FAD、アセチルCoA及びアセトアセチルCoAである。上記(4)の化合物は、例えば、上記(4)の化合物のいずれか1種を単独で、又は上記(4)の化合物の2種以上を組み合わせて使用し得る。

0031

上記(4)の化合物のその他の例としては、構造の一部にニコチンアミドを有する化合物及びその類似体が挙げられ、具体的にはニコチンアミドを構成するピリジン及び/又はカルボン酸アミドにおいて部分的に置換、欠失、挿入などの修飾がなされたピリジンカルボン酸アミド誘導体などが挙げられる。ピリジンカルボン酸アミド誘導体としては、例えば、2−クロロニコチンアミド、6−メチルニコチンアミドイソニコチンアミド、4−ピリジンカルボン酸アミドチミンシトシンウラシルナイアシンピコリンビニルピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン3−アミノピリジン、3−メチルピリジン、3−シアノピリジン、3−エチルピリジン3−ピリジンメタノール、3−ビニルピリジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0032

上記(1)〜(4)に記載の化合物は、その入手方法について特に限定されず、例えば、市販されているものや当業者に通常知られている合成的手法により製造したものなどとして入手することができる。例えば、上記(1)〜(4)の化合物は、その製造方法に微生物発酵工程が含まれるとき、上記(1)〜(4)の化合物の添加とは別に、又は該添加と組み合わせて、微生物体内、例えば乳酸菌などの細菌の菌体内に存在する上記(1)〜(4)の化合物を増大させるような手法を採用することにより製造することができる。このようにして得た微生物発酵物は、それ自体、本発明の組成物の一態様として使用できる。

0033

Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物は、含有する上記(1)〜(4)の化合物が有効成分として機能することにより、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用を示す。Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用は、Foxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導する作用であって、結果としてFoxp3陽性T細胞の割合を高め得る作用であれば、その作用機序、合わせて伴う他の作用、程度などについては特に限定されない。

0034

通常、生体内にはTGF−βやIL−2などのサイトカインが存在する。そこで、Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物が生体内に適用されると、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化が誘導される。したがって、本発明の組成物の具体的な一態様は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導するための組成物である。サイトカインとしては、例えば、T細胞の増殖や分化に関連するサイトカインなどが挙げられ、具体的にはTGF−β、IL−2、IL−12、IL−4、IL−6、IL−23などが挙げられるが、好ましくはTGF−β及びIL−2である。サイトカインはこれらを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。

0035

上記(1)〜(4)の化合物は、Foxp3陰性T細胞からFoxp3陽性T細胞への分化を誘導する作用と関係して、又は該作用とは関係なく、Foxp3陰性T細胞からTh17陽性T細胞への分化を抑制する作用、すなわち、Th17陽性T細胞への分化抑制作用を示し得る。したがって、本発明の組成物の具体的な一態様は、サイトカインの存在下でFoxp3陰性T細胞からTh17陽性T細胞への分化を抑制するための組成物である。

0036

Th17陽性T細胞が産生するIL−17は、炎症性サイトカイン炎症メディエーター(IL−1、IL−2、IL−6、IL−8、IL−22、G−CSFMCP−1、TNF−α、NOS−2、メタロプロテアーゼケモカインなど)の産生を誘導することが知られている。したがって、上記(1)〜(4)の化合物は、Th17陽性T細胞への分化抑制作用を介して、上記の炎症性サイトカインや炎症メディエーターの産生を抑制することができる。

0037

Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用及びTh17陽性T細胞への分化抑制作用は、その評価方法について特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載があるように、Foxp3陽性T細胞及びTh17陽性T細胞が特異的に発現する遺伝子の発現量を測定することやこれらの細胞の細胞数や割合を測定することにより評価することができる。

0038

Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用及びTh17陽性T細胞への分化抑制作用の評価方法の一具体例は、Foxp3陰性T細胞とFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物とを共培養し、次いで培養後に回収した細胞からRNAを抽出し、次いで抽出したRNAを逆転写してcDNAライブラリーを得て、次いで得られたcDNAライブラリーを基にFoxp3陽性T細胞及びTh17陽性T細胞が特異的に発現する遺伝子の発現量を測定することを含む方法である。

0039

Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用及びTh17陽性T細胞への分化抑制作用の評価方法の別の一具体例は、Foxp3陰性T細胞とFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物とを共培養し、次いで培養した細胞における細胞内標識又は細胞外標識によってFoxp3陽性T細胞やTh17陽性T細胞のpopulationを測定することを含む方法である。Foxp3陽性T細胞やTh17陽性T細胞のpopulationは、例えば、フローサイトメトリーなどの方法、ELISAラジオイムノアッセイRIA)などの抗原抗体反応を利用する方法などにより測定することができる。

0040

Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用は、その程度について特に限定されないが、例えば、TGF−βの存在下で、本発明の組成物を用いない場合よりもFoxp3陽性T細胞の割合を高める作用であり、好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもFoxp3陽性T細胞の割合を1.1倍以上に高める作用であり、より好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもFoxp3陽性T細胞の割合を1.2倍以上に高める作用であり、さらに好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもFoxp3陽性T細胞の割合を1.3倍以上に高める作用であり、なおさらに好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもFoxp3陽性T細胞の割合を1.4倍以上に高める作用である。

0041

Foxp3陰性T細胞からTh17陽性T細胞への分化を抑制する作用は、その程度について特に限定されないが、例えば、本発明の組成物を用いない場合よりもTh17陽性T細胞の割合を低める作用であり、好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもTh17陽性T細胞の割合を0.9倍以下に低める作用であり、より好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもTh17陽性T細胞の割合を0.85倍以下に低める作用であり、さらに好ましくは本発明の組成物を用いない場合よりもTh17陽性T細胞の割合を0.80倍以下に低める作用である。

0042

[免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物及び腸内環境改善用組成物]
本発明の組成物の具体的な一態様は、上記(1)〜(4)の化合物を有効成分として含有する、又はFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物を有効成分として含有する、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物及び腸内環境改善用組成物である。

0043

免疫抑制用組成物は、通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、適用された被験体の免疫応答を抑制又は低減するための組成物であり得る。

0044

免疫寛容促進用組成物は、通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、適用した被験体における抗原に対し免疫応答が抑制される状態(すなわち免疫寛容状態)になることを促進するための組成物や自己に対し過剰に応答する免疫が抑制される状態になることを促進するための組成物であり得る。

0045

免疫調整用組成物は、通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、適用された被験体に対して、免疫抑制や免疫寛容促進を介して、又はこれらに関係なく、免疫応答を緩和や改善するなどして適正化するための組成物であり得る。

0046

腸内環境改善用組成物は、通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、適用された被験体の腸内の免疫応答を適正化して、腸内環境が良好になるように改善又は維持するための組成物であり得る。

0047

免疫応答や免疫寛容のメカニズム未解明な部分が多く、本発明の技術的範囲はいかなる理論や推測にも拘されるものではないが、本発明の組成物の具体的な一態様である免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物及び腸内環境改善用組成物は、例えば、適用された被験体において、Tregの割合を高めることにより、それぞれの作用が発揮され得る。

0048

免疫抑制状態や免疫寛容状態は、その評価方法について当業者にとって公知の方法を特に制限せずに挙げることができ、例えば、Tregの反応性を測定することにより評価する方法が挙げられ、具体的には上記したようなFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用及びTh17陽性T細胞への分化抑制作用の評価方法が挙げられる。

0049

免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物及び免疫調整用組成物は、Tregを誘導して免疫寛容、特に経口免疫寛容を増強するために使用するものであってもよい。例えば、食物アレルギーの治療又は予防が望まれる対象に対し、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物及び免疫調整用組成物を配合した飲食品や医薬品を適用することにより、経口免疫寛容が誘導され、食物アレルギーなどのアレルギー症状や自己免疫症状を改善、緩和、抑制、治療又は予防することが可能である。免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物及び免疫調整用組成物は、非経口免疫寛容を誘導するものであってもよい。

0050

また、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物及び免疫調整用組成物は、IL−17の産生やIL−17によって惹起される炎症性サイトカインや炎症メディエーターの産生に伴う、関節リウマチ全身性エリテマトーデス多発性硬化症乾癬潰瘍性大腸炎クローン病などの症状を改善、緩和、抑制、治療又は予防することが期待できる。

0051

Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物及び腸内環境改善用組成物は、それらを単独で、又はそれらを配合する飲食品組成物医薬品組成物などの形態をとり得る。したがって、本発明の組成物の具体的な一実施態様は、上記(1)〜(4)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、又はFoxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物若しくは腸内環境改善用組成物を含有する、飲食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物化粧品組成物動物飼料組成物などである。

0052

Foxp3陽性T細胞への分化誘導用組成物、免疫抑制用組成物、免疫寛容促進用組成物、免疫調整用組成物及び腸内環境改善用組成物は、その適用対象適用方法について特に限定されず、例えば、適用対象は動物、中でも哺乳類が挙げられ、哺乳類としてはヒト、イヌネコウシウマなどが挙げられ、これらの中でもヒトであることが好ましい。

0053

[飲食品組成物]
飲食品組成物は、摂取後に少なくともFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用が発揮し得る限り、あらゆる飲食品の形態をとり得るが、例えば、果汁飲料野菜ジュース果物野菜ジュース、茶飲料コーヒー飲料スポーツドリンク清涼飲料、健康飲料などの飲料;ヨーグルトチーズなどの乳製品スープ、麺、プリンジャムなどの加工飲食品チューインガムキャンディ錠菓グミゼリーチョコレートビスケットスナックなどの菓子アイスクリームシャーベット氷菓などの冷菓醤油味噌などの調味料などが挙げられる。飲食品組成物には、本発明の目的を達成し得る限り、上記(1)〜(4)の化合物以外の他のFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用、免疫抑制作用、免疫寛容促進作用、免疫調整作用及び/又は腸内環境改善作用を有し、かつ、食経験のある、天然物若しくは非天然物やこれらの含有物を配合してもよい。例えば、飲食品組成物には、経口免疫寛容増強効果が知られている、乳酸菌や該乳酸菌を含む発酵産物フラボノイドゲニステインゲニスチンなどを含む豆乳;醤油などに含まれる大豆発酵多糖類ビタミンCなどのビタミン類などを配合することが好ましい。

0054

乳酸菌とは、例えば、ペディオコッカス属ラクトバチルス属ラクトコッカス属の乳酸菌が挙げられるが、ラクトコッカス属の乳酸菌が好ましく、ラクトコッカスラクティスがより好ましく、ラクトコッ力ス・ラクティスK478株(ラクトコッ力ス・ラクティスK478株は、K478として独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに2014年1月9目に受領され、受託番号NITE−P01786が付与されている。)がさらに好ましい。

0055

飲食品組成物における有効成分の含有量は、摂取後に少なくともFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用が発揮し得る程度の量であれば特に限定されないが、例えば、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用は用量依存的である傾向を鑑みて、摂取者の体格年齢、所望の効果の程度などに合わせて適宜設定することができる。具体的には、有効成分がNAD又はNADHである場合、有効成分の摂取量が、例えば、1〜1,000mg/体重60kg/日となるように、飲食品組成物における有効成分の含有量を適宜設定することができるが、これに限定されない。摂取回数は特に限定されないが、例えば、1日1〜3回であり、摂取量に応じて適宜回数増減することができる。

0056

有効成分は、上記(1)〜(4)の化合物のいずれかを単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて使用することができ、或いは、これらと、上記(1)〜(4)の化合物と同様の作用を有することが知られている他の成分とを組み合わせて使用することができる。

0057

飲食品組成物は、本発明の目的を達成し得る限り、他の成分と混合して使用することができる。他の成分としては、例えば、糖質甘味料安定化剤乳化剤澱粉、澱粉加工物澱粉分解物食塩着香料着色料酸味料風味原料栄養素果汁などの動植物食材賦形剤増量剤結合剤増粘剤香油などの通常の食品加工に使用される添加物をさらに含有することができる。添加物の使用量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜設定され得る。

0058

飲食品組成物は、通常用いられる形態であれば特に限定されず、例えば、固形状、液状、ゲル状、懸濁液状、クリーム状、シート状、スティック状、粉状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、ペースト状、カプセル状カプレット状などの各形態をとり得る。

0059

飲食品組成物の具体的な一態様は、例えば、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品である。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント美容飲食品などのいわゆる健康飲食品に加えて、乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品などの特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。

0060

飲食品組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパックストリップ包装ヒートシールアルミパウチプラスチック合成樹脂などを用いるフィルム包装バイアルなどのガラス容器アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。

0061

[医薬品組成物]
医薬品組成物は、適用後に少なくともFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用が発揮し、それに伴い免疫疾患を治療及び/又は予防し得る限り、あらゆる医薬品の形態をとり得る。医薬品組成物には、本発明の目的を達成し得る限り、上記(1)〜(4)の化合物以外の他のFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用、免疫抑制作用、免疫寛容促進作用、免疫調整作用及び/又は腸内環境改善作用を有する生理活性物質を配合してもよい。例えば、医薬品組成物の有効成分として、上記(1)〜(4)の化合物と、Tregの分化誘導において重要な役割を果たすTGF−βやTregの機能維持に重要とされるIL−2、T細胞の分化や活性化に寄与する共刺激分子抗CD28抗体、抗体刺激分子抗CD3e抗体、ビタミンAやその誘導体であるレチノイン酸などとを併用することが考えられる。

0062

医薬品組成物で治療及び/又は予防し得る免疫疾患は特に限定されないが、例えば、種々の自己免疫疾患、アレルギー疾患移植片対宿主病(GVHD)、炎症性疾患感染性疾患腫瘍性疾患などが挙げられ、具体的には生体内でTregを誘導すると、花粉症などのアレルギー疾患が治療され得る。

0063

医薬品組成物は、有効成分を水溶性溶剤に溶かして、製薬上許容される塩の形態で製剤にした状態で存在し得る。このような製薬上許容される塩の形態としては、生理的に受け入れられる水溶性の塩、例えばナトリウムカリウムマグネシウムカルシウムなどの塩の形で生理的なpHにて緩衝させた形態が挙げられる。また、水溶性溶剤の他に、非水溶性溶剤を用いることができ、このような非水溶性溶剤としては、例えばアルコールエタノールプロピレングリコールなどが挙げられる。

0064

医薬品組成物には、有効成分以外に様々な目的に対するその他の成分を含めてもよく、このようなその他の成分としては、例えば保存剤緩衝剤などが挙げられる。保存剤としては、ナトリウム重亜硫酸、ナトリウム重硫酸、ナトリウムチオ硫酸塩化ベンザルコニウムクロロブタノールチメロサール酢酸フェニル水銀硝酸フェニル水銀メチルパラベンポリビニルアルコールフェニルエチルアルコールアンモニアジチオスレイトールベータメルカプトエタノールなどが挙げられる。また、緩衝剤としては、炭酸ナトリウムホウ酸ナトリウムリン酸ナトリウム酢酸ナトリウム重炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これら薬剤は、系のpHを2〜9、好ましくは4〜8の間で維持することができる量で存在することができる。

0065

医薬品組成物の剤型は特に限定されないが、例えば、注射剤筋肉、皮下、皮内)、経口製剤点鼻製剤などが例示される。例えば、医薬品組成物が花粉症などのアレルギー疾患を治療するためのワクチンとして調製することができる。医薬品組成物がワクチンの形態である場合、複数種類の有効成分を含む混合カクテルワクチンであってもよい。

0066

医薬品組成物をワクチンとして使用する場合、医薬品組成物以外の成分であり、それ自身には活性がなく、医薬品組成物のワクチンとしての効果をより一層高める効果のある成分を含んだ不活性成分含有ワクチンであってもよい。不活性成分としては、アジュバントトキソイドなどが挙げられる。アジュバントの例としては、限定することを意図するものではないが、水酸化アルミニウムリン酸アルミニウムリン酸カルシウムなどの沈降性タイプのもの、フロイント完全アジュバントフロイント不完全アジュバントなどの油性タイプのものが挙げられる。

0067

医薬品組成物は、ワクチンの形態で存在する場合、好ましくは皮内、皮下、静脈内、筋肉内投与などによる注射又は注入、あるいは経皮、又は咽頭などの粘膜からの吸入などにより、体内に投与され得る。

0068

医薬品組成物を調製する場合、かかる免疫抑制効果は用量依存的であるため、有効成分量は患者の年齢、体格、症状などに合わせて適宜設定することができる。NAD又はNADHを有効成分とする場合、その用量は、例えば、1〜1,000mg/体重60kg/日である。医薬品組成物の投与が必要な患者には、アレルギー患者、例えば、経口免疫寛容が破綻している食物アレルギー患者や、消化管機能や経口免疫寛容が未熟乳幼児が含まれる。

0069

[Foxp3陽性T細胞の製造方法]
本発明の別の態様として、被験体から採取したFoxp3陰性T細胞に、TGF−βやIL−2などのサイトカインの存在下で、本発明の組成物のいずれかの一態様を接触させる工程(以下、接触工程ともよぶ。)を含む、Foxp3陽性T細胞の製造方法が提供される。

0070

接触工程で使用されるFoxp3陰性T細胞は特に限定されず、例えば、被験体の血液や脾臓から単離した細胞の中から、末梢血単核球細胞(PBMC)、CD4、CD62L及び/又はCD45RAを発現している細胞などを適宜選択することにより調製することができる。被験体は特に限定されず、例えば、ヒト、マウスラット、イヌ、ネコといった哺乳動物などが挙げられる。細胞を分取する方法も特に限定されず、例えば、いずれかの分子を指標に分取することができる。

0071

Foxp3陰性T細胞と本発明の組成物との接触は適当な培地中で行うことが好ましい。本発明の組成物のFoxp3陽性T細胞への分化誘導作用が用量依存的である傾向を鑑みて、本発明の組成物の使用量は当業者が適宜決定することができる。NAD又はNADHを培地中に添加する場合、その添加量は、例えば、培地1ml当たり2〜50μg程度である。接触時間は、例えば、2.5〜3日間程度である。上記接触工程は他の追加成分の存在下で行ってもよく、例えば抗CD28抗体、抗CD3e抗体などを培地に添加してもよい。

0072

サイトカインの添加方法は特に限定されず、例えば、Foxp3陰性T細胞と本発明の組成物とを接触するときに同時に、又はそのときに前後して、添加することができる。

0073

上記方法により製造されるTregは、in vivo又はex vivoでの使用が考えられる。例えば、製造されたTregを血管などを介して免疫疾患に罹患している被験体に戻すことにより、被験体において免疫抑制が発揮し得る。

0074

本発明の製造方法では、本発明の目的を達成し得る限り、接触工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。また、工程内及び工程間は、連続的又は断続的に実施することができる。

0075

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。

0076

[例1.NADによるFoxp3陽性T細胞誘導性の評価]
ヒトT細胞株Jurkatを用いて、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のFoxp3陽性T細胞(Treg)の誘導を、Treg及びTh17細胞に特異的な遺伝子の発現量を測定することにより評価した。

0077

Tregは、免疫寛容に影響する因子として知られている。NADがTregを誘導することを検証するために、NAD及びTGF−βとヒトCD4陽性細胞(T細胞)株であるJurkatとを共培養し、NADによるTreg誘導活性を評価した。また、Th17細胞は、Tregが増加すると減少することが知られている。そこで、Th17細胞がNADによりどのように変化するかについても検証した。

0078

Treg及びTh17細胞への誘導は、Tregのマーカー遺伝子であるFoxp3のmRNA及びTh17細胞のマーカー遺伝子であるRORγt(以下、PORgtともよぶ。)のmRNAの発現量を定量することにより評価した。NADに対するポジティブコントロールとして、Treg誘導活性をもつことが知られているレチノイン酸(RA)を使用した。

0079

NADは1,000μMに、又はRAは500μMになるように、1×PBSバッファーに溶解して、NAD溶液及びRA溶液を調製した。NAD溶液及びRA溶液をそれぞれ終濃度が100μM(NAD)又は50μM(RA)になるように後述する細胞懸濁液に添加した。

0080

Jurkatを培養するための培地は、Gibco社製RPMI1640倍地に、下記の終濃度になるように試薬を添加することにより調製した。
10%(v/v) FBS
1%(w/v) Penicilline/Streptomycin
10 mMHEES
1 mM Sodium Pyruvate

0081

Jurkat(Clone E6−1、ATCCTIB−152)凍結ストックを培地に添加し、週に2回程度培地を交換しながら37℃、5%CO2条件で培養し、第5継代(P5)の時点で3×106 cells/mLのワーキングストックを作製した。ワーキングストックを培地に添加し培養後2回継代し、P9時点での細胞を回収し、培地で1回洗浄した後、再度細胞を回収した。回収した細胞の一部を抜き取り血球計算板を用いて細胞数を計測して求めた値より、回収した細胞に培地を適量加えて、細胞懸濁液(5.7×105 cells/mL)を調製した。

0082

96ウェル平底プレート(BDFALCON社製)に下記の試薬及び細胞懸濁液を下記の最終濃度になるように添加し、該プレートを37℃、5%CO2条件で、3日間培養することにより、JurkatをFoxp3陽性T細胞へ誘導した。ここで、NAD群はJurkat、TGF−β及びNADを含む群であり;RA群はJurkat、TGF−β及びRAを含む群であり;PBS群はJurkat、TGF−β及び1×PBS(NAD及びRAと同量)を含む群である。
Jurkat細胞1×105/ウェル
TGF−β(R&D System社製)2ng/mL
NAD 100μM、RA 50μM又は1×PBS

0083

誘導後の細胞を回収し、1×PBSで1回洗浄した後、MACHEREY−NAGEL社製NucleoSpin RNAキットを用いて細胞からRNAを抽出した。抽出したRNAを該キットの指示にしたがって逆転写した後、得られたcDNAをTAKARA社製SYBR Premix Ex Taq II及びTAKARA社製プライマーを用いて定量PCRを行い、Foxp3のmRNA(mFoxp3)の発現量及びRORgtのmRNA(mRORgt)の発現量を定量した。PBS群を基準(1)として、NAD群及びRA群のmFoxp3発現量及びmRORgt発現量を相対的に示した結果を図1に示す。

0084

図1が示すとおり、サンプルを添加せず、溶媒である1×PBSのみを添加し培養した場合のPBS群と比較して、NAD群は、RA群と同様に、Foxp3mRNAの発現を有意に誘導した(危険率5%)。また、NAD群は、RA群と同様に、RORgt mRNAの発現を低下させた。これらの結果より、NADは、CD4陽性T細胞をTregへと分化誘導する作用を有することが確認された。

0085

また、別のアッセイ系を採用することにより、以下の事項が確認された:NAD及び還元型NAD(NADH)は、添加量が20μM程度よりも多い場合に、Th17細胞分化条件であるTGF−β及びIL−6の存在下で、CD4陽性CD62L陽性T細胞を濃度依存的にTregへ誘導する作用を示すこと;ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、還元型NADP(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、アデノシン二リン酸(ADP)、ニコチンアミドグアニンジヌクレオチド(NGD)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミド、アデニン、シチジン一リン酸(CMP)、ウリジン一リン酸(UMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、アデノシン一リン酸(AMP)、アセチル補酵素A(アセチルCoA)及びアセトアセチル補酵素A(アセトアセチルCoA)は、TGF−β及びIL−6の存在下で、CD4陽性CD62L陽性T細胞をTregへ誘導する作用を示すこと;γ−グルタミルチロシン(γ-Glu−Tyr)は、TGF−β及びIL−6の存在下で、CD4陽性CD62L陽性T細胞をTregへ誘導する作用を示さないこと;これらの化合物のうち、分子内にADPの構造を有するNAD、NADH、NADP、NADPH、FAD、アセチルCoA及びアセトアセチルCoA並びにADPは、格別顕著なTregへの分化誘導作用を示すこと。

0086

以上の事項より、NAD及び分子内にADPの構造を有する化合物、並びにアデニン、ニコチンアミド、ヌクレオシド一リン酸及びヌクレオシド二リン酸、特にNAD及び分子内にADPの構造を有する化合物は、未分化T細胞をTregへ分化誘導する作用を有することが確認された。

0087

[例2.IL−2存在下でのNADによるFoxp3陽性T細胞誘導性の評価]
ヒトから単離したナイーブT細胞を用いて、IL−2存在下におけるNADのTregの誘導を、Treg及びTh17細胞に特異的なマーカーの発現を測定することにより評価した。

0088

被験者より採血を行い、末梢血単核球細胞(PBMC)の分離を常法に従って行った。すなわち、血液及び生理食塩水を等量ずつ混合した混合液を、該混合液の半量であるFicollへ重層となるように加えた。得られた溶液を、600gで30分間遠心し、中間層を回収することでPBMCを得た。

0089

回収したPBMCをpH7.2のリン酸バッファー(PBS)で洗浄した後、ヒトNaive CD4+ T Cell Isolation Kit II(ミルニーバイオテク社)を用いることで、ナイーブT細胞を回収した。回収したナイーブT細胞を、抗ヒトCD3抗体(Biolegend社) 20μg/ml−PBSでコーティング(37℃、2時間)した96ウェル平底プレート(日本BD社)に、5μg/ml抗ヒトCD28抗体(Biolegend社)、及び20U/mlIL−2(PeproTech社)を添加した10%FBS含有RPMI1640培地(シグマ社)を用いて、5×104 cells/well(培養液量200μl)となるように播種した。ここで、NADは終濃度50μMとなるように添加した。また、コントロールとしてはNADを添加しない系を用いた。ナイーブT細胞を播種した96ウェル平底プレートを培養した。

0090

培養7日後、Phorbol 12−Myristate 13−acetate(PMA、シグマ社)、イオノマイシン(シグマ社)及びGolgiStop(BD社)を、それぞれ終濃度が0.1μg/ml、0.25μg/ml及び2μl/mlとなるように添加した。これらの試薬を添加した4時間後に回収した細胞を、PE−Cy7標識抗ヒトCD4抗体(Biolegend社)及びPE標識抗ヒトCD25抗体(Biolegend社)で染色した。染色後の細胞について、Foxp3 Staining Kit(eBioscience社)により細胞を固定し、FITC標識抗ヒトIL−17抗体(Biolegend社)、BV421標識抗ヒトIFN−γ抗体(Biolegend社)及びAlexa Fluor647標識抗ヒトFoxp3抗体(Biolegend社)で染色し、フローサイトメーターにより各マーカーの発現を解析した。

0091

マーカーの発現解析から、Th17細胞(IL−17産生細胞)のpopulationを表わした結果を図2に示し、Foxp3陽性T細胞のpopulationを表わした結果を図3に示す。図2事象Q1の比較から、NADの添加の有無により、Th17細胞の割合に差異がみられなかったことが確認できる。これは、NADによってTh17細胞への分化は誘導されなかったことを示す。

0092

それに対して、図3の事象P4の比較から、NADの添加の有無により、Foxp3陽性T細胞の割合に差異があったことが確認できる。これは、NADによってFoxp3陽性T細胞への分化が誘導されたことを示す。

0093

[例3.Th17細胞誘導条件下におけるNADによるFoxp3陽性T細胞誘導性の評価]
ヒトから単離したナイーブT細胞を用いて、Th17細胞への分化を誘導するための各種抗体及びサイトカインの存在下におけるNADのTregの誘導を、Treg及びTh17細胞に特異的なマーカーの発現を測定することにより評価した。

0094

例2と同様にして回収したナイーブT細胞を、抗ヒトCD3抗体(Biolegend社) 20μg/ml−PBSでコーティング(37℃、2時間)した96ウェル平底プレート(日本BD社)に、5μg/ml抗ヒトCD28抗体、5μg/ml及び抗ヒトIFN−γ抗体(Biolegend社)並びに10ng/ml ヒトIL−1β、10ng/ml ヒトIL−6、10ng/ml ヒトIL−23、1ng/ml ヒトTGF−β及び20U/ml IL−2(PeproTech社)を添加した10%FBS含有RPMI1640培地(シグマ社)を用いて、5×104 cells/well(培養液量200μl)となるように播種した。ここで、NADは終濃度20μM及び40μMとなるように添加した。また、コントロールとしてはNADを添加しない系を用いた。ナイーブT細胞を播種した96ウェル平底プレートを培養した。

0095

培養7日後、Phorbol 12−Myristate 13−acetate(PMA、シグマ社)、イオノマイシン(シグマ社)及びGolgiStop(BD社)を、それぞれ終濃度が0.1μg/ml、0.25μg/ml及び2μl/mlとなるように添加した。これらの試薬を添加した4時間後に回収した細胞を、PE−Cy7標識抗ヒトCD4抗体(Biolegend社)で染色した。染色後の細胞について、Foxp3 Staining Kit(eBioscience社)により細胞を固定し、FITC標識抗ヒトIL−17抗体(Biolegend社)、BV421標識抗ヒトIFN−γ抗体(Biolegend社)及びAlexa Fluor647標識抗ヒトFoxp3抗体(Biolegend社)で染色し、フローサイトメーターにより各マーカーの発現を解析した。

0096

マーカーの発現解析から、Th17細胞(IL−17産生細胞)のpopulationを表わした結果を図4に示し、Foxp3陽性T細胞のpopulationを表わした結果を図5に示す。図4中の各図の比較から、NADの添加の有無や添加量にかかわらず、Th17細胞の割合に差異がみられなかったことが確認できる。これは、ナイーブT細胞をTh17細胞への分化を誘導する条件であったにもかかわらず、NADが存在することによりTh17細胞への分化は誘導されなかったことを示す。

実施例

0097

それに対して、図5中の各図の比較から、NADの添加の有無により、Foxp3陽性T細胞の割合に差異があったことが確認できる。図4との結果をあわせて考えれば、例えTh17細胞への分化を誘導する条件であったとしても、NADによってFoxp3陽性T細胞への分化が優先して誘導されたことを示す。

0098

本発明の組成物は、経口的及び非経口的のいずれの態様においても適用可能な有効成分を含むものであり、Foxp3陽性T細胞への分化誘導作用、免疫抑制作用、免疫寛容促進作用、免疫調整作用及び腸内環境改善作用を通じて、抗アレルギー活性抗炎症活性、抗感染症活性、抗腫瘍活性などを期待する摂取者にとって有用なものであり、このような摂取者の健康及び福祉に資する飲食品、医薬品、医薬部外品化粧品、サプリメントなどとして利用可能なものである。

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