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技術 熱間圧延用チタン素材の製造方法

出願人 日本製鉄株式会社東邦チタニウム株式会社
発明者 國枝知徳高橋一浩藤井秀樹立澤吉紹森健一田中寿宗多田修山本則雄
出願日 2016年7月6日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-134260
公開日 2018年1月11日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2018-001249
状態 特許登録済
技術分野 鍛造 金属圧延一般 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 帯状コイル ディンプル間 表面性状パラメータ 塑性変形域 双晶変形 変形機構 塑性変形後 チタン素材
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

熱間圧延時に発生する表面疵を低減することができる熱間圧延用チタン素材の製造方法を提供する。

解決手段

凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、チタン素材の表面を塑性変形させて凹凸を形成することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法を採用する。

概要

背景

一般的なチタン熱間圧延用素材の製造方法は例えば次の通りである。まず、消耗電極式アーク溶解法(VAR : Vacuum arc remelting)や電子ビーム溶解法(EBR: Electron beam remelting)により、チタンを溶融させて凝固することでインゴットを製造する。次いで、インゴットを分塊鍛造圧延などの熱間加工によってブレークダウンして、スラブビレットなどの熱間圧延用素材とする。また近年では、電子ビーム溶解法により直接熱延可能な矩形インゴットを製造することで、上述のブレークダウン工程を省略技術も開発されている。

しかし、工業的に用いられる大型インゴットは、凝固組織中に数十mmにもおよぶ粗大な結晶粒が存在する。このようなインゴットを、ブレークダウン工程を経ることなく直接熱間圧延すると、粗大な結晶粒に起因して不均質な変形が生じ、大きな表面疵発達する場合がある。また、ブレークダウン工程等を経る場合でも、加工率が低かったり温度が適切でない場合には、鋳造組織が残存したり、逆に組織が粗大するなどして、熱延時に表面疵が発生してしまう場合がある。

このように表面疵が発生してしまうと、その後の脱スケール工程での歩留まりが非常に悪くなることから、熱延表面疵の発生し難い熱間圧延用素材が求められている。

特許文献1には、チタン材のインゴットを直接熱間加工する際に、表層付近の結晶粒を細粒化するために、表面層にひずみを付与した後、再結晶温度以上に加熱して表面から深さ2mm以上を再結晶させた後に、熱間加工する方法が提案されている。

また、特許文献2には、先端形状が曲率半径3〜30mmを有する鋼製工具或いは半径3〜30mmの鋼製球を用いて、熱間圧延用チタン素材の表面を冷間で塑性変形させることによって、表層部に歪みが付与された熱間圧延用チタン素材が記載されている。特許文献2によれば、このような熱間圧延用チタン素材を熱間圧延することで、粗大な凝固組織の影響を無害化できるとされている。

しかし、特許文献1では、歪を付与する手段にショットブラストが挙げられているが、一般的なショットブラストで形成される歪の深さは300〜500μm程度以下であり、数十mmを有する粗大な凝固組織に対して非常に小さく、表面欠陥が抑制されない。一方、ショットブラスト以外の歪み付与方法として圧延や鍛造といった方法がある。圧延や鍛造は、素材の表層のみならず素材全体に歪を付与できるが、例えば圧延では、表層近傍に、ロール等の接触により生じたデットメタルと呼ばれる、変形(歪)が付与されない領域が発生する場合がある。そのため、素材表面全体に適切に歪みを付与するためには、かなり大きな加工率で歪みを付与する必要がなる。そうすると、ブレークダウン工程を省略したメリットが殆ど無くなってしまい、意味をなさない。

また、特許文献2では、冷間で塑性変形させることによって歪を付与するが、特に、高強度な工業用純チタンチタン合金への適用が難しい問題があることを本発明者らが初めて見出した。すなわち、高強度な工業用純チタンやチタン合金を冷間で塑性変形させる場合は、歪みが内部まで入りにくいため、大きな荷重で加工を付与するか、若しくは複数回に渡って加工を付与する必要がある。しかしながら、大きな荷重での加工や複数回に渡る加工を施すと、表層部近傍の延性が低下し、表面で割れが発生することが新たに判明した。表面割れが生じた熱間圧延用素材を熱間圧延した場合、却って表面疵の発生が増大するおそれがある。なお、このような問題は、高強度チタンに限らず、比較的強度が小さなチタン材でも微小な表面割れが起こり得る。

概要

熱間圧延時に発生する表面疵を低減することができる熱間圧延用チタン素材の製造方法を提供する。凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、チタン素材の表面を塑性変形させて凹凸を形成することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法を採用する。なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱間圧延時に発生する表面疵を低減することができる熱間圧延用チタン素材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を塑性変形させて凹凸を形成することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。

請求項2

凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を、曲率半径3〜30mmの先端形状を有する鋼製工具打撃するかまたは前記表面に前記鋼製工具を押しつけることで、前記表面を塑性変形することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。

請求項3

凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を、半径3〜30mmの鋼製球で打撃するかまたは前記表面に前記鋼製球を押しつけることで、前記表面を塑性変形することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。

請求項4

前記表面を塑性変形することにより、うねり輪郭曲線要素の平均高さ(Wc)が0.2〜1.5mm、平均長さ(WSm)が3〜15mmのディンプルを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の熱間圧延用チタン素材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、熱間圧延時に表面疵の発生を低減できる熱間圧延用チタン素材の製造方法に関する。

背景技術

0002

一般的なチタン熱間圧延用素材の製造方法は例えば次の通りである。まず、消耗電極式アーク溶解法(VAR : Vacuum arc remelting)や電子ビーム溶解法(EBR: Electron beam remelting)により、チタンを溶融させて凝固することでインゴットを製造する。次いで、インゴットを分塊鍛造圧延などの熱間加工によってブレークダウンして、スラブビレットなどの熱間圧延用素材とする。また近年では、電子ビーム溶解法により直接熱延可能な矩形インゴットを製造することで、上述のブレークダウン工程を省略技術も開発されている。

0003

しかし、工業的に用いられる大型インゴットは、凝固組織中に数十mmにもおよぶ粗大な結晶粒が存在する。このようなインゴットを、ブレークダウン工程を経ることなく直接熱間圧延すると、粗大な結晶粒に起因して不均質な変形が生じ、大きな表面疵に発達する場合がある。また、ブレークダウン工程等を経る場合でも、加工率が低かったり温度が適切でない場合には、鋳造組織が残存したり、逆に組織が粗大するなどして、熱延時に表面疵が発生してしまう場合がある。

0004

このように表面疵が発生してしまうと、その後の脱スケール工程での歩留まりが非常に悪くなることから、熱延表面疵の発生し難い熱間圧延用素材が求められている。

0005

特許文献1には、チタン材のインゴットを直接熱間加工する際に、表層付近の結晶粒を細粒化するために、表面層にひずみを付与した後、再結晶温度以上に加熱して表面から深さ2mm以上を再結晶させた後に、熱間加工する方法が提案されている。

0006

また、特許文献2には、先端形状が曲率半径3〜30mmを有する鋼製工具或いは半径3〜30mmの鋼製球を用いて、熱間圧延用チタン素材の表面を冷間で塑性変形させることによって、表層部に歪みが付与された熱間圧延用チタン素材が記載されている。特許文献2によれば、このような熱間圧延用チタン素材を熱間圧延することで、粗大な凝固組織の影響を無害化できるとされている。

0007

しかし、特許文献1では、歪を付与する手段にショットブラストが挙げられているが、一般的なショットブラストで形成される歪の深さは300〜500μm程度以下であり、数十mmを有する粗大な凝固組織に対して非常に小さく、表面欠陥が抑制されない。一方、ショットブラスト以外の歪み付与方法として圧延や鍛造といった方法がある。圧延や鍛造は、素材の表層のみならず素材全体に歪を付与できるが、例えば圧延では、表層近傍に、ロール等の接触により生じたデットメタルと呼ばれる、変形(歪)が付与されない領域が発生する場合がある。そのため、素材表面全体に適切に歪みを付与するためには、かなり大きな加工率で歪みを付与する必要がなる。そうすると、ブレークダウン工程を省略したメリットが殆ど無くなってしまい、意味をなさない。

0008

また、特許文献2では、冷間で塑性変形させることによって歪を付与するが、特に、高強度な工業用純チタンチタン合金への適用が難しい問題があることを本発明者らが初めて見出した。すなわち、高強度な工業用純チタンやチタン合金を冷間で塑性変形させる場合は、歪みが内部まで入りにくいため、大きな荷重で加工を付与するか、若しくは複数回に渡って加工を付与する必要がある。しかしながら、大きな荷重での加工や複数回に渡る加工を施すと、表層部近傍の延性が低下し、表面で割れが発生することが新たに判明した。表面割れが生じた熱間圧延用素材を熱間圧延した場合、却って表面疵の発生が増大するおそれがある。なお、このような問題は、高強度チタンに限らず、比較的強度が小さなチタン材でも微小な表面割れが起こり得る。

先行技術

0009

特開平1−156456号公報
国際公開第2010/090352号

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱間圧延時に発生する表面疵を低減することができる熱間圧延用チタン素材の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

チタン素材を熱間圧延する場合、鋳造ままでは、粗大な結晶粒に起因し大きな皺が発生し粗大な表面疵に発展する場合がある。冷間で歪を付与し、細粒再結晶層を形成させることで防止することは可能である。しかしながら、細粒な再結晶層の厚みが薄く不十分であった場合、内部の粗大鋳造組織に起因した表面凹凸が発生し熱延疵に至る場合がある。特に、高強度を有するチタン材の場合、冷間での歪付与では十分な深さまで歪が導入されない場合があり、その結果、再結晶層が薄くなり、表面疵に至る恐れがある。また、特許文献2に記載の方法では、高強度を有するチタン材に歪みを深く導入する場合、熱間圧延用素材に表面割れが起きるおそれがある。そこで、本発明では温間〜熱間である100℃以上500℃未満の温度で熱間圧延用チタン素材に歪を付与することで、より深い再結晶層を形成させ、熱延時に発生する表面疵を抑制する。このような場合、ある程度の高強度を有する素材であっても十分に表層に歪を付与することが可能であり、表面疵を抑制できる。

0012

すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を塑性変形させて凹凸を形成することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。
(2) 凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を、曲率半径3〜30mmの先端形状を有する鋼製工具で打撃するかまたは前記表面に前記鋼製工具を押しつけることで、前記表面を塑性変形することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。
(3) 凝固組織を含むチタン素材を100℃以上500℃未満に加熱し、前記チタン素材の表面を、半径3〜30mmの鋼製球で打撃するかまたは前記表面に前記鋼製球を押しつけることで、前記表面を塑性変形することを特徴とする熱間圧延用チタン素材の製造方法。
(4) 前記表面を塑性変形することにより、うねり輪郭曲線要素の平均高さ(Wc)が0.2〜1.5mm、平均長さ(WSm)が3〜15mmのディンプルを形成することを特徴とする(1)乃至(3)の何れか一項に記載の熱間圧延用チタン素材の製造方法。

発明の効果

0013

本発明によれば、インゴットのブレークダウン工程を省略した鋳造ままのチタン素材であっても、熱延時に発生する表面疵を軽微にすることができ、優れた熱延、冷延製品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0014

図1(a)は、先端形状が曲率半径3〜20mm(3〜30R)を有する鋼製工具の例を示す図であり、図1(b)は、半径3〜20mm(3〜30R)の鋼製球の例を示す図である。
図2(a)は、図1に示した耐衝撃工具用合金製の工具を用いて熱間圧延用チタン素材の表面に所定の塑性変形を付与した後の表面性状を示す図であり、図2(b)は、図1に示した耐衝撃工具用合金製の工具を用いて熱間圧延用チタン素材の表面に所定の塑性変形を付与し、さらに、熱処理を施した後の表層の断面組織を示す図である。
図3(a)は、冷間プレス冷間圧延に用いるロールの例を示す図であり、図3(b)は、冷間プレスや冷間圧延に用いるコーナーR部を有する工具の例を示す図である。
図4(a)は、ロールで冷間プレスした後の塑性変形させた熱間圧延用チタン素材の表面を示す図であり、図4(b)は、ロールで冷間プレスして塑性変形させ、さらに熱処理した後の熱間圧延用チタン素材の表層の断面組織を示す図である。

0015

本発明の実施形態について図面を用いて以下に説明する。
本発明者らは、熱間圧延による表面欠陥を低減する観点から、結晶粒が数十mmにもおよぶインゴットの粗大な凝固組織を、さらにはブレークダウン後にも残存している当該凝固組織の影響を、無害化する方法とそれを適応した熱間圧延用チタン素材について、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得、本発明に至った。

0016

粗大な凝固組織を細粒化するため、或いは凝固組織の影響が残存している部位を解消するためには、表層部に凹凸を設けて歪みを付与した後、熱間圧延時の加熱など所定の熱処理によって、再結晶させる方法が考えられる。

0017

本発明は、熱間圧延により生じる表面欠陥を抑制できるような歪みの付与方法である。本発明では、図1に示すような、先端形状が曲率半径3〜30mm(3〜30R)を有する鋼製工具(図1(a))、或いは半径3〜30mm(3〜30R)の鋼製球(図1(b))によって、100℃以上500℃未満に加熱したチタン素材の表面を打撃し、または鋼製工具若しくは鋼製球を押しつけることで、所定量塑性変形させてディンプルを形成する。この方法によって得られた熱間圧延用チタン素材は、熱間圧延時の表面欠陥が顕著に抑制できることを見出した。なお、本実施形態では、一つのディンプルを形成させる際、鋼製工具または鋼製球の打撃または押しつけによる塑性加工を1回で行ってもよく、2回以上行ってもよい。特に本実施形態では、100℃以上に加熱した状態で塑性加工を行うので、複数回に渡って塑性加工を行ったとしても、表面割れが発生することがない。

0018

また、本発明に係る製造方法によって製造された熱間圧延用チタン素材に対して、熱間圧延を模擬した例えば温度820℃で加熱時間4時間の熱処理を行った場合に、表面から少なくとも深さ6mm超の範囲に、元の凝固組織よりも結晶粒が小さな再結晶組織を形成させることができる。このように、本発明の製造方法によれば、従来の熱間圧延用チタン素材よりも多くの再結晶を形成させることができ、熱延時に発生する表面疵を大幅に軽減できるようになる。

0019

本実施形態において表面を塑性変形するためのチタン素材は、例えば次の(A)または(B)のようなチタン素材を例示できる。これらチタン素材は、チタンを溶解して鋳造させたことによって得られる凝固組織を含んでいる。

0020

(A)消耗電極式アーク溶解法(VAR : Vacuum arc remelting)や電子ビーム溶解法(EBR: Electron beam remelting)により、チタンを一旦溶融させてから凝固させて得たインゴットを、更に分塊や鍛造、圧延などの熱間加工によってブレークダウンして、スラブやビレットなどの形状に成形したチタン素材。

0021

(B)電子ビーム溶解法により、チタンを一旦溶融させてから凝固させる際に、直接熱延可能な大きさの矩形状のインゴットとし、上記(A)のブレークダウン工程を省略して得られたチタン素材。

0022

図2(a)、図2(b)に、各々、図1(a)、図1(b)に示した耐衝撃工具用合金鋼製の工具(上述の鋼製工具または鋼製球)を用いて、チタン素材の表面に所定の塑性変形を付与した後の表面、さらに熱間圧延の加熱に相当する熱処理を施した後の表層断面組織を示す。なお、図2(a)、図2(b)は、工業用純チタンJIS2種(JIS H 4600)のスラブ形状を成す素材を用いた例である。

0023

本発明の熱間圧延用チタン素材の表面には、図2(a)のように、凹凸形状をなすディンプルが形成されており、後述するロール或いはコーナーR部を有する工具を用いて冷間プレスや冷間圧延で塑性変形させた従来の表面形態とは異なる表面形態を有している。冷間プレスした表面は工具の長手方向に直線状にコーナーRが転写された凹みがあり(図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)を参照)、また、冷間圧延した表面は平滑となっている。

0024

図2(a)のディンプルを成すような塑性変形により与えられた歪みによって、表層部は熱間圧延の加熱時に再結晶し、図2(b)に示すように、表面から6mm超25mm未満まで範囲に、再結晶が形成される。すなわち、再結晶が形成される範囲は、少なくとも、表面から深さ6mm超までの範囲となり、より好ましくは表面から深さ7mm以上の範囲になる。また、再結晶が形成される範囲は、最大で、表面から深さ25mm未満までの範囲となる。本実施形態の熱間圧延用チタン素材は、熱間圧延することで、このような組織状態となる。再結晶が形成される範囲が表面から深さ6mm以下では、20mm以上の粗大な表面欠陥の発生を抑制できない。また、再結晶が形成される範囲が表面から深さ25mm以上の範囲に広がると、歪みが分散されてしまい、熱間圧延後の結晶粒径が粗大化して表面欠陥が生じるおそれがある。好ましくは、20mm未満である。なお、再結晶が形成される範囲は、塑性変形を付与した後のチタン材の断面を熱間加工前の加熱と同等の熱処理を施した後、顕微鏡観察することで確認できる。

0025

この本発明の方法によって、熱間圧延後のチタン材の表面欠陥は非常に軽微になり、問題ないレベルにまで抑制される。一方で、本発明の方法を適用せず、表層に歪みが導入されずに鋳造ままの粗大な凝固組織を有する熱間圧延用チタン素材では、熱間圧延後に長さ20mm以上の粗大な表面欠陥が多数発生する。

0026

熱間圧延用チタン素材の表面に塑性変形を加える工具形状は、図1(a)の先端形状が曲率半径3〜30mm(3〜30R)を有するピンの場合と、半径3〜30mm(3〜30R)の球の場合で、熱間圧延後の表面欠陥を抑制する効果に差異はない。この結果から、本発明では、先端形状が曲率半径3〜50mm(3〜30R)の鋼製工具、あるいは半径3〜30mm(3〜30R)の鋼製球によって、熱間圧延用素材の表面に塑性変形を付与することとする。なお、本発明では表面のディンプル深さは0.2〜1.5mmであり、熱処理後の再結晶層が6mm超の厚みで形成される。表面欠陥が安定して、より軽微にできることから、より好ましい工具の形状は曲率半径又は半径が、7〜20mm(7〜20R)である。

0027

これに対して、鋼製工具の先端形状が、曲率半径が3mm(3R)よりも小さい場合には、付与できる歪み量やその範囲が小さく十分に表面欠陥が抑制されない場合があるのに加えて、ディンプルの凸部が急峻な形状になるために熱間圧延によって被さって表面欠陥に発展してしまう。一方、Rが大きくなり曲率半径が30mm(30R)を超えると、塑性変形時に熱間圧延用素材との接触面が平面的になってしまい、その結果、熱間圧延後の表面欠陥を抑制する効果が、部位によってばらつきを生じ十分に得られない場合がある。また、鋼製球の場合も、その半径が3R(半径3mm)未満または30R(半径30mm)を超えると、上記の先端形状の影響と同様に適正な効果が得られない。

0028

本実施形態では、熱間圧延用チタン素材の圧延面に当たる面の表面に温間もしくは熱間で歪を付与する。熱間圧延時に発生する表面疵を低減するためにはある程度の深さまでの再結晶組織が必要である。特に高硬度を有する素材などでは、歪が内部にまで入り難くなるため表層の深い位置まで後述する方法で歪を付与するためには大きな荷重で加工を付与するか、もしくは複数回にわたり加工を付与する必要がある。しかしながら、歪が付与されたことにより表層部近傍の延性が低下し、表面で割れが発生することが新たに明らかとなった。安定的に深い位置まで歪を付与すると共に、延性を向上させるためには、ある程度温度を高くして素材自体の強度を低くすることが効果的である。

0029

100℃以上の温度であれば、冷間に比べ強度が低くなり、ある程度の深さまで歪を付与することができることから、100℃を下限とした。一方、500℃以上の高温にすると、加工により付与した歪が即座に消失してしまい、その後の加熱時に再結晶させることができなくなる場合がある。また、表面にある程度の厚みの酸化被膜を形成すると、その皮膜押込みにより、表面欠陥が発生し、熱間圧延時に表面疵に進展する恐れがある。500℃未満であれば、上記のような問題が発生しないことから、500℃を上限とした。

0030

なお、チタンの種類によって強度及び延性が高くなる温度域が異なるため、より高い温度で行えばよいというわけではない。例えは、工業用純チタンなどでは、室温近傍ではチタンの変形機構の重要な1つである双晶変形活発に活動するが、400〜500℃くらいの温度ではこの双晶変形が発生しなくなるため、室温よりも延性が低下し、かえって割れが発生し易くなる。一方、Alを多く含むチタン合金では、この双晶変形が室温近傍でも殆ど発生しないため、高温にすることで延性を担保することが出来る。また、塑性変形時の温度を高温にして極端材料強度を弱くすると、表面を塑性変形させた際に表面の起伏が大きくなり過ぎ、その起伏に起因して表面疵が発生してしまう恐れがある。そのため、塑性歪を付与する温度範囲上記の温度範囲であって、塑性変形後に表面に割れを発生させず、かつ、最適な再結晶深さや表面状態を得られるように材料に適した温度範囲を選べばよい。

0031

一方、従来からある、一般的なショットブラスト(ショット粒の直径0.5〜1mm程度)、冷間圧延、ロール或いはコーナー部が曲率半径が10〜20mm(10〜20R)の工具による冷間プレス(鍛造)によっても、歪みを付与することができる。

0032

しかしながら、一般的なショットブラストは、ショット粒の直径が0.5〜1mmと小さいために与えられる歪み量も小さく、そのため、図3に示すように加熱後の再結晶層が約0.4mm(400μm)と浅く、熱間圧延時の表面欠陥を抑制することはできなかった。

0033

また、図3(a)及び図3(b)に示すような、ロール(図3(a))或いはコーナーR部を有する工具(図3(b))を用いた冷間プレスや冷間圧延で歪みを与えた場合には、図4(b)に示すように加熱後の再結晶層を表面から30mm以上の深さまで形成させることが可能である。しかし、熱間圧延後の表面欠陥は、サイズは3〜10mm程度と小さくなったものの依然として有害なレベルにあり、加えて発生頻度が大幅に増大してしまった。

0034

図3(a)、図3(b)に示した工具を用いた冷間圧延や冷間プレスは、一方向から圧下が施されるため、冷間圧延の場合には平滑な表面が、冷間プレスの場合には図4(a)のような直線状にコーナーRが転写された凹みを有する表面が形成される。この点が、球状部で塑性変形させてディンプルを形成する本発明とは大きく異なっている。なお、図4(a)は、曲率半径15mm(15R)のロールで冷間プレスした後の表面を、図4(b)はその表面を切削で平滑にした後に熱処理を施した表層断面組織をそれぞれ示している。

0035

熱間圧延チタン素材がスラブ形状の場合、ロールやコーナーR部を有する従来の工具では、その長手方向と平行に、スラブ表面は直線状に接触するため(図4(a)参照)、拘束されたスラブ表面は工具の長手方向には変形できずに、一定方向(スラブの厚み方向)の塑性変形が主となる。その結果、加熱後の再結晶粒は、結晶方位ランダム化が進まず同等な結晶方位からなる粗大なコロニーを成し、初期の粗大な凝固組織の影響が強く残ってしまうためと考えられる。また、ロールや工具と接していないスラブ側面は、大きなバルジングが生じるなど、熱間圧延用素材として適さない形状になってしまう場合がある。

0036

これに対して、本発明の方法では、100〜500℃未満の温度で、球状の部位で表面を大きく塑性変形させるため、厚み方向以外に工具球面の接触部から放射線状塑性変形域が広がる。さらに、この塑性変形域の広がりが隣接するディンプル間で重なっている。したがって、表層部はロールで圧下した場合と異なり、種々方位から塑性変形を受けることになる。その結果、加熱後に形成される表層の再結晶粒は、結晶方位のランダム化が促進されると考えられる。この点が、上述した図3のようなロール等で一方向から圧下された場合と、異なる効果を発揮している理由と考えられる。

0037

次に、上述した本発明の方法によって熱間圧延用チタン素材の表面に形成されるディンプルの形状について説明する。

0038

形成されたディンブルの凹凸の深さ(高さ)や間隔が、表面が受けた塑性変形の量やその方向を反映している。JIS B0601に記載されている表面性状パラメーターのうち、うねりの輪郭曲線要素の平均高さ(Wc)が、ディンプルの深さを、うねりの輪郭曲線要素の平均長さ(WSm)が、ディンプルの間隔を、示す値として用いることができる。冷間で塑性変形されて形成されたディンプル表面において、Wcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲で、熱間圧延後の表面欠陥が十分に抑制された。したがって、本発明では、チタン素材の表面を100〜500℃未満の温度で塑性変形することにより、Wcが0.2〜1.5mmで且つWSmが3〜15mmのディンプルを形成することがより好ましい。

0039

上述したように、Wcが1.5mmを超え、WSmが3mm未満になると、ディンプルの凹凸が急峻な形状になるために熱間圧延によって被さり、表面欠陥に発展してしまう。一方、Wcが0.2mm未満で、WSmが15mmを超えると、付与された歪み量やその範囲が小さく、十分に表面欠陥が抑制されない場合や、平面的な部位において十分な効果が得られない場合がある。

0040

上記のWc,WSmの値は、ディンプルの測定個数の合計が少なくとも30個以上となるように、複数箇所のWcとWSmを測定して、その平均を求めたものである。なお、本発明のディンプルの性状は、使用する工具の形状の他に、エアー圧力投射速度などでその塑性変形量を調整することによっても得ることができる。

0041

本実施形態は、熱間圧延用チタン素材がスラブ形状の場合には、側面やコーナー部の皺を抑制するにも同様に効果がある。その結果、熱間圧延された板(帯状コイル)のエッジやその近傍における表面欠陥や、その後の冷間圧延によるエッジ割れも、極めて軽微にできる。さらに、皺が抑制されるため、側面やコーナー部が圧延面側に周り込み発生するシーム疵も、同時に軽微にできる。

0042

ここまで、板への熱間圧延について主に説明してきたが、円柱形のビレットやインゴットを棒線に熱間圧延する際も、本発明によって同様の効果が得られて、ロールと接しない噛み出し部や自由表面部を含めて製品の表面欠陥が極めて軽微にできる。

0043

本発明を適用した熱間圧延用チタン素材によって、熱間圧延後の表面欠陥は顕著に抑制される。特に、直方体形状や円柱形のインゴット(鋳造ままの凝固組織)に本発明を適用することによって、分塊圧延などのブレークダウン工程を経ずとも、板や帯状コイルまたは棒線へ熱間圧延した際に、表面欠陥が問題ないレベルまで抑制できるという効果を奏でる。

0044

電子ビーム溶製方法は、照射する電子ビームが偏光によりビームを集中できるため、鋳型溶融チタンの間の狭い領域でも、熱を供給しやすく、それ故に鋳肌を良好に制御することができる。また、鋳型の断面形状の自由度が高い。そのため、上記(B)のような、直接熱間圧延に供することが可能なサイズの矩形や円柱形のインゴットは、電子ビーム溶解炉を用いて溶製することが好ましい。

0045

また、熱間圧延に先立って、電子ビーム溶解炉で溶製された矩形のインゴット(スラブ)は表面に、本発明のディンプル形状を成すように100℃以上500℃未満の温度範囲で塑性変形が施される。その後、熱間圧延のために加熱される。この加熱温度変形抵抗を低減するために、800℃〜950℃の範囲とすることが好ましい。さらには、スラブ加熱時に生じるスケールを抑制するためには、加熱温度は、β変態点未満が望ましい。なお、本発明に係る熱間圧延用の矩形インゴット(スラブ)は、前記したような熱間圧延によって、約2〜10mm帯状コイルに効率よく製造することができる。

0046

このように、本実施形態に従って製造された熱間圧延用の矩形インゴット(スラブ)は、熱間圧延に好適に供されるのみならず、熱間圧延されて製造されたチタン板は、表面欠陥が顕著に抑制されており、その後、冷間圧延を施しても健全薄板を製造することができるという効果を奏するものである。

0047

本発明を、ブレークダウン工程を経た熱間圧延材に適用することによって、熱間圧延時に生じる表面欠陥が極めて軽減なものとなる。その結果、熱間圧延した板や棒線の脱スケール工程や最終製品歩留を、より高めることが可能である。

0048

本発明では、対象とする熱間圧延用チタン材は工業用純チタンもしくはチタン合金の何れかからなる。ここでいう工業用純チタンは、JIS規格の1種〜4種、およびそれに対応するASTM規格のGrade1〜4、DIN規格の3・7025、3・7035、3・7055で規定される工業用純チタンを含むものとする。すなわち、本発明で対象とする工業用純チタンは、質量%で、C:0.1%以下、H:0.015%以下、O:0.4%以下、N:0.07%以下、Fe:0.5%以下、残部Tiからなる。

0049

一方、α型チタン合金である場合は、必要とする用途において適切は合金を用いればよい。
α型チタン合金としては、例えば高耐食性合金(ASTMGrade 7、11、16、26、13、30、33あるいはこれらに対応するJIS種や更に種々の元素を少量含有させたチタン材)、Ti−0.5Cu、Ti−1.0Cu、Ti−1.0Cu−0.5Nb、Ti−1.0Cu−1.0Sn−0.3Si−0.25Nb、Ti−0.5Al−0.45Si、Ti−0.9Al−0.35Si、Ti−3Al−2.5V、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo、Ti−6Al−2.75Sn−4Zr−0.4Mo−0.45Siなどがある。

0050

α+β型チタン合金としては、例えば、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−6V−2Sn、Ti−6Al−7V、Ti−3Al−5V、Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−1Fe−0.35O、Ti−1.5Fe−0.5O、Ti−5Al−1Fe、Ti−5Al−1Fe−0.3Si、Ti−5Al−2Fe、Ti−5Al−2Fe−0.3Si、Ti−5Al−2Fe−3Mo、Ti−4.5Al−2Fe−2V−3Moなどがある。

0051

さらに、β型チタン合金としては、例えば、Ti−11.5Mo−6Zr−4.5Sn,Ti−8V−3Al−6Cr−4Mo−4Zr,Ti−10V−2Fe−3Mo,Ti−13V−11Cr−3Al,Ti−15V−3Al−3Cr−3Sn,Ti−6.8Mo−4.5Fe−1.5Al、Ti−20V−4Al−1Sn、Ti−22V−4Alなどがある。

0052

本発明の実施例を、比較例(本発明の処理をまったく実施しない比較例、および本発明の条件を外れた処理を行った比較例)と対比しつつ説明する。なお、実施例において、再結晶の厚みは、塑性変形を加えた後、熱間圧延前の加熱と同等の熱処理を施した素材の断面を顕微鏡観察することにより再結晶の形成領域を確認し、その厚みを測定することで評価した。また、熱間圧延後の表面性状については、表面疵がなかった、もしくは製造上問題とならない微小な疵のみだったものを良好とし、その場合の評価結果を「○」とした。一方、20mm以上の粗大な表面疵が生じた場合は評価結果を「×」とした。

0053

試験番号1〜9〕
断面が1050mm幅×250mm厚×7000mm長のJIS1種の純チタンスラブ電子ビーム溶解により鋳造した。このチタンスラブの圧延面表面に対し、塑性変形を施した。塑性変形を加えたチタンスラブ(熱間圧延用チタン素材)を、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、ショットブラストと硝フッ酸からなる連続酸洗ライン通板し、片面あたり約60μmを溶削した後、両方の板面を目視観察し、表面疵の発生状況を評価した。結果を表1に示す。

0054

No.1の比較例は鋳造ままのスラブ表面を塑性変形せずに熱間圧延している。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面に粗大な表面疵が多発している。

0055

No.2〜5の実施例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を先端形状3〜30Rの工具を用いて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層には12〜15mm程度の再結晶層を有している。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

0056

No.6の実施例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を3〜30Rの鋼製球を打ち付けて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層には12mm程度の再結晶層を有している。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

0057

No.7の比較例は、鋳造ままのスラブを600℃まで加熱し圧延面に当たる面の表面を3〜30Rの鋼製球を打ち付けて叩き塑性変形を行っている。そのため、表面のディンプルの形状がWc2.5mmと大きくなっている。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが25mm以上となっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には大きな表面疵が大部分で発生している。

0058

No.8の比較例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を1Rの鋼製球を打ち付けて叩き塑性変形を行っている。そのため、表面のディンプルの形状はWc0.1mmと浅くなっている。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが1.5mmと浅い。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には部分的に粗大な表面疵が発生している。

0059

No.9の比較例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を先端形状40Rの工具で叩き塑性変形を行っている。そのため、表面のディンプルの形状はWSmが18.2mmと大きくなっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には大きな表面疵が大部分で発生している。

0060

0061

〔試験番号10〜12〕
断面が1050mm幅×250mm厚×7000mm長のJIS2〜4種の純チタンスラブを電子ビーム溶解により鋳造した。このチタンスラブの圧延面表面に対し、塑性変形を施した。塑性変形を加えたチタンスラブ(熱間圧延用チタン素材)を、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、ショットブラストと硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約60μmを溶削した後、両方の板面を目視観察し、表面疵の発生状況を評価した。結果を表2に示す。

0062

No.10〜12の実施例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を先端形状3〜30Rの工具を用いて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが10〜15mm程度となっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

0063

0064

〔試験番号13〜16〕
断面が1050mm幅×250mm厚×5000mm長のチタン合金スラブを電子ビーム溶解により鋳造した。このチタンスラブの圧延面表面に対し、塑性変形を施した。No.13はTi−0.05Pd合金、No.14はTi−0.5Ni−0.05Ru合金、No.15はTi−1Fe−0.35O合金、No.16はTi−3Al−2.5V合金である。これらチタンスラブ(熱間圧延用チタン素材)は、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、ショットブラストと硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約60μmを溶削した後、両方の板面を目視観察し、表面疵の発生状況を評価した。

0065

No.13〜16の実施例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を先端形状3〜30Rの工具を用いて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが7.5〜17mm程度となっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

0066

0067

〔試験番号17〜20(表4)〕
断面が1050mm幅×250mm厚×5000mm長の工業用純チタンスラブおよびチタン合金スラブをプラズマアーク溶解により鋳造した。これらチタンスラブの圧延面表面に対し、塑性変形を施した。No.17は工業用純チタンJIS1種、No.18はTi−1Cu合金、No.19はTi−1Cu−0.5Nb合金、No.20はTi−1Cu−1Sn−0.3Nb−0.25Si合金である。これらチタンスラブ(熱間圧延用チタン素材)は、820℃の炉に挿入後、約240分加熱し、連続熱間圧延ストリップミルにて5mm厚の熱延板コイルを製造し、ショットブラストと硝フッ酸からなる連続酸洗ラインを通板し、片面あたり約60μmを溶削した後、両方の板面を目視観察し、表面疵の発生状況を評価した。

0068

No.17〜20の実施例は、鋳造ままのスラブを100〜500℃未満の温度に加熱し圧延面に当たる面の表面を先端形状3〜30Rの工具を用いて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが10〜18mmとなっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の板表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

0069

0070

〔試験番号21〜25(表5)〕
断面が直径100mm×1000mm長の工業用純チタンビレットおよびチタン合金ビレットを電子ビーム溶解により鋳造した。これら線材用のビレットの圧延面表面に対し、塑性変形を施した。No.21からNo.23は工業用純チタンJIS2種、No.24はTi−1Fe−0.35O合金、No.25はTi−3Al−2.5Vである。これらビレット(熱間圧延用チタン素材)は、820℃の炉に挿入後、約120分加熱し、直径20mmまで熱間圧延した。その後、ショットブラストと硝フッ酸により、表面から約50μmを溶削した後、棒材の表面を目視観察し、表面疵の発生状況を評価した。

0071

No.21に示す比較例は、鋳造ままのビレット表面を塑性変形せずに熱間圧延している。そのため、熱間圧延、酸洗後の棒材表面に粗大な表面疵が多発している。

0072

No.21〜25の実施例は、鋳造ままのビレットを100〜500℃未満の温度に加熱し、圧延面に当たる面の表面を先端形状3〜30Rの工具を用いて叩き塑性変形を行っている。表面のディンプルの形状はWcが0.2〜1.5mm、WSmが3〜15mmの範囲内である。また、熱間圧延相当の熱処理後の表層の再結晶層の厚みが7〜13mmとなっている。そのため、熱間圧延、酸洗後の棒材表面には表面欠陥が殆ど存在せず、良好である。

実施例

0073

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