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技術 生物学的に生産された材料から高付加価値の化学物質を製造する方法

出願人 トタルリサーチアンドテクノロジーフエリユイ
発明者 ベルメイレン,ワルターヴァンリセルベルグ,ヴァレリ
出願日 2015年10月9日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2017-517082
公開日 2017年12月14日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-537174
状態 特許登録済
技術分野 触媒 有機低分子化合物及びその製造 石油精製,液体炭化水素混合物の製造
主要キーワード 圧力度 熱化学的処理 変換ゾーン 熱化学処理 垂直下降 液相原料 真空フィルタ 通常品質
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも90%含む非環状パラフィン流(A)と3〜4個の炭素原子を有する炭化水素の混合物または15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも90%含む炭化水素の混合物との混合物をスチームクラッキングして、高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレンおよびプロピレンを含む高価値の化学物質の製造方法に関する。

概要

背景

ポリマーを製造するためのエチレンプロピレンブタジエン芳香族化合物等の「ドロップインモノマー(drop-in monomers)に対するニーズ応えるために再生可能な通常プラスチックに対する要求が増えており、代替資源、例えばバイオベース製品から価値の高い基礎化学物質を製造する方法が求められている。

しかし、バイオ原料スチームクラッカーで使用するためは、いくつかの技術的な仕様スペック)をそれに合わせる必要がある。すなわち、既存のスチームクラッカーは炭化水素原料用に設計されているので、沸点範囲金属含有量、含酸素化合物の存在等の追加の技術的仕様を合わせる必要がある。スチームクラッキング用に有望なバイオ原料は、植物油動物グリース廃食用油、藻等の種々の原料に由来する脂肪酸またはトリグリセリドである。これらの原料は植物や藻類のような独立栄養生物(autotrophs)(特に、成長のために太陽光を使用し、CO2を固定する光独立栄養生物(photoautotrophs))またはヘテロ養生物(heterotrophs)(成長のために還元炭素を使用するもので、必要なエネルギー日光または還元炭素から取得するかによって光栄養生物または有機栄養生物に分かれる)、例えば動物、菌類酵母、細菌によって製造できる。大抵のヘテロ栄養生物は成長のために生体材料炭水化物タンパク質、脂肪酸)を使用するが、いくつかのヘテロ栄養生物はエネルギー源として炭化水素系材料を使用することができ、例えばメタン微生物の場合には成長のために生体起源または化石起源のメタンを使用する。ヘテロ栄養生物(heterotrophs)、特にメタン微生物は、自然の状態で、または、適切な遺伝子変化をさせた後に、生体材料または炭化水素を脂肪酸またはその誘導体、例えばトリグリセリドに変換することができる。ヘテロ栄養生物または独立栄養生物によってCO2、生体材料または化石資源から脂肪酸およびその誘導体を製造することを「生物学的に生産する」という。

従来のスチームクラッカーは基本的に変換 (conversion)セクション輻射(radiant) セクションの2つのセクションを有する炉を含んでいる。炭化水素原料は一般に液体の形、軽質原料の場合には蒸気の形で炉の変換セクションに入り、そこで加熱されるか、および/または、輻射セクションから来る高温煙道ガス間接接触するか予熱蒸気と直接接触して気化される。次いで、気化した原料は輻射セクションに導入され、そこでクラッキングが行われて軽質オレフィンが製造される。
従来のスチームクラッキングシステムはかなり高品質の原料、例えばエタン液化石油ガスLPG)、ナフサを分解するのに有効であり、ガソリンにもある程度適している。常圧残渣、真空ガスオイル(gasoil、軽油)、特に原油高分子量不揮発性成分沸点が550℃を超えるテールを有する成分を含む。多くの場合、これらのテール成分非揮発性であり、変換セクションで気化する前または従来の熱分解炉の輻射セクションに入る前に、コークスとなって沈下する。軽質成分が完全蒸発する点(「ドライポイント」)で許容される不揮発性物質は極めて低レベル(少量)である。すなわち、変換セクションの汚れ(fouling)を回避するために液相中での初期分解を最小化しなければならない。

スチームクラッキングでは重質ガスオイルの品質が非常に重要である。分子状組成物最終沸点気化能力に影響を与える(多環芳香族化合物および重質ナフテン燃料油を多くする)。原料の品質を向上させるための典型的な技術的解決策は重質ガスオイルの水素化処理である。これによって極めて価値の高い化学物質(HVC)の収量を増加させることができる。芳香族化合物の水素化(ナフテンの開環を伴うこともある)でタールが大幅に少なくなり、軽質オレフィンが多くなる。また、ガスオイル重質テール蒸留することによってタール生成を減少させることもできる。

一般に、重質原料軽質ナフサ、LPGまたはエタンよりもより化学的に安定かつ簡単にクラッキングできるが、コークスを形成する傾向がより高い。重質原料ではクラッキングの熱量も少ないので、下側コイル出口温度(COT)で軽質エンドの収量が最大に達する。液体原料の最大過酷化(severity)は軽質エンドの収率最大化を意味し、一般に芳香族化合物の形成につながる二次反応が大幅に増加し始め、原料変換レベル多環芳香族が結合して重質タールコークス形成スピシーズができるポイントにある。このポイントを越えてコークス形成部分を急速に増加させると、コイルおよび冷却交換器が急速にコークス化して運転時間が大幅に短くなる。逆に、過酷度を低下させれば運転時間を長くすることができるが未クラッキングの液体原料が増加し、所望する熱分解ガソリンおよび熱分解燃料油(PFO)の収率が悪くなる。

軽質エンド収率の最大ポイントを越えて重質炭化水素をクラッキングすると多核芳香族化合物の形成が著しく増加し、コイルが急速にコーキングする。このクラッキングの過酷度とともに二次反応の多くはコークス形成の原因となるので、副反応を最小にするためにクラッキングの滞留時間は短くする必要がある。炭化水素原料が重質になると、最大軽質エント収率と制御可能なコークス形成との間の運転ウィンドウが狭くなる。

一般に、ナフサ(沸点が15〜200℃の範囲)のスチームクラッカーで生産される重質物(C9+)の量は6重量%以下である。それに対して常圧ガスオイルの場合には8重量%以上、真空ガスオイルの場合には20重量%以上に達する。この重質物の生産ではコークス形成を減らし、急冷セクションに特別な注意をする必要がある。

カット分別する前にスチームクラッカーの輻射セクションの流出物を冷却する必要があり、間接冷却および直接冷却が用いられるが、エネルギー回収高圧スチームの生産)の点で間接冷却が好ましい。しかし、タール様分子が形成される傾向が高い重質液体炭化水素の場合には、間接急冷セクションが汚染され、その結果、運転時間が短くなる。炉の流出物に同伴するタールミストが非常に高温度にある管状交換器に付着し、コークスのような堆積物ができる。管状冷却システムの下流では重油凝縮し、スラッグになる。そのため、重質原料がタール様分子を含む傾向が高い場合には、炉の流出物を低温の安定なオイルと直接接触させて、重油をできるだけ迅速に冷却し、凝縮するために、一般に直接冷却システムが用いられる。

上記の説明から分かるように、スチームクラッカーの構成、装置および最適運転条件化石原料組成および沸点範囲に依存し、互いに異なるということは理解できよう。重質炭化水素の供給原料をスチームクラッキングする場合には、軽質オレフィンを最大にし、コークスの形成と下流の汚染を最小限に抑えるために、炭化水素に対するスチームの比を増加させ、全圧下げコイル出口温度を低くする。

すなわち、スチームクラッキングの運転条件原料混合物の品質および組成によって影響されるので、スチームクラッキングを代替原料、例えば生物学的に生産された原料混合物に変えた場合でも、運転条件を変化させずに済むようにする必要がある。

[特許文献1](国際公開第WO2011/012438号公報)にはナフサの水蒸気分解の原料としての脂肪酸を使用して軽質オレフィンを製造する方法が記載されている。この供給原料は一定の酸素カルボキシル単位)を含むので、酸化炭素(COおよびCO2)と短鎖水溶性酸が形成される。しかし、既存のスチームクラッカーはこれらの酸化炭素および低pH水性生成物を処理するようには設計されていない。

[特許文献2](国際公開第WO2011/012439号公報)には脂肪酸およびトリグリセリドを実質的な量の酸素を含まないバイオナフサとよばれるスチームクラッキングで使用可能なパラフィンに変換する方法が開示されている。これらのナフサパラフィンはその起源に応じて12〜24個の炭素を含み、従って、化石ガスオイルの沸点範囲に入る。この[特許文献2]は化石ナフサの代わりにn−C15またはn−C20パラフィンをスチームクラッキングしてプロピレンおよびエチレンの生成量をより大きくした例を開示している。しかし、バイオナフサがスチームクラッカーの運転条件に与える影響に関する記載はない。

[特許文献3](中国特許第CN101723783号公報)には原料として液体炭化水素油と植物油または植物性脂肪とを混合し、水蒸気分解でエチレンを製造する方法が開示されている。

[特許文献4](国際公開第WO2014/093016号公報)には、スチームクラッキング前にナフサ原料を前処理する、ナフサ原料からエチレンを製造する方法が開示されている。

[特許文献5](米国特許公開第US2014/0046103号明細書)には、天然に存在するトリグリセリドまたは脂肪酸からナフサを製造する方法が開示されている。得られたナフサは水素分解または水蒸気分解の原料として使用できる。重質炭化水素を水素化分解して4〜10個の炭素原子を有する短鎖の炭化水素を生成する。このプロセスの目的は芳香族炭化水素を含まない100%再生可能原料のガソリンを製造することにある。

[特許文献6](国際公開第WO2014/111598号公報)にはスチームクラッカーで使用可能なバイオナフサの製造方法が開示されている。しかし、スチームクラッカーで使用される運転条件は記載がなく、混合の影響についても記載はない。

[特許文献7](欧州特許第EP2290035号公報)にもバイオナフサの製造方法が開示されているが、この文書にも水蒸気分解装置におけるバイオナフサの影響に関しては言及がない。

[特許文献8](欧州特許第EP2290045号公報)にも同様にバイオナフサの製造方法が開示されているが、水蒸気分解装置に与える影響に関する教示はない。

[特許文献9](欧州特許第EP2917424号公報)には植物油の水素化方法と、得られた生成物をスチームクラッカーでクラッする方法が開示されている。しかし、得られたバイオナフサを純粋にクラッキングするだけで、ナフサとバイオナフサの混合物をクラッキングすることができるか否かは記載がない。

[特許文献10](米国特許公開第US2011/0319683号明細書)は再生可能原料からナフサを生成するための一般的な方法に関するものである。しかし、この文献にも通常のナフサとバイオナフサの混合物とをクラッキングした時の影響に関しては教示がない。

[特許文献11](フランス特許第FR2917424号公報)は植物油を処理してバイオナフサとして使用されるパラフィンの製造方法を開示している。しかし、バイオナフサがスチームクラッカーの運転条件に与える影響に関する教示はない。

概要

本発明は、少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも90%含む非環状パラフィン流(A)と3〜4個の炭素原子を有する炭化水素の混合物または15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも90%含む炭化水素の混合物との混合物をスチームクラッキングして、高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレンおよびプロピレンを含む高価値の化学物質の製造方法に関する。

目的

このプロセスの目的は芳香族炭化水素を含まない100%再生可能原料のガソリンを製造することにある

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

下記(a)〜(d):(a)少なくとも90重量%が少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンからなる非環状パラフィン流(A)を用意し、(b)ASTM規格D86によって測定した沸点が15℃〜200℃の範囲にある成分を少なくとも90重量%含有する炭化水素流(B)を用意し、(c)上記非環状パラフィン流(A)と上記炭化水素流(B)とを混合して原料混合物を形成し、この原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量を少なくとも0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上かつ好ましい70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下とし、(d)1kgの原料混合物当たりのスチームを0.2〜0.5kg、好ましくは0.2〜0.6にして上記原料混合物をスチームクラッキングしてクラッキング生成物、好ましくは少なくともエチレンプロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素トルエンキシレンおよび1,3−ブタジエンを含むクラッキング生成物を得る、工程を有する、価値の高い化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレン、ベンゼンを含み、場合によっては水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む化学物質をスチームクラッキングによって製造する方法であって、工程(d)を、スチーム/炭化水素比を0.5以下、好ましくは0.6以下にし、コイル出口温度を少なくとも820℃、好ましくは少なくとも830℃にして実施することを特徴とする方法。

請求項2

(c)の工程で得られる原料混合物中の非環状パラフィン流(A)に由来する直鎖パラフィンの重量含有量が最大で50重量%、好ましくは最大で40重量%、より好ましくは最大で30重量%である請求項1に記載の方法。

請求項3

非環状パラフィン流(A)を少なくとも90重量%の直鎖パラフィン流(a1)と、少なくとも30重量%、より好ましくは50重量%、最も好ましくは90重量%の分枝鎖パラフィン流(a2)とを混合して得る請求項1または2に記載の方法。

請求項4

同じ反応器中で直鎖パラフィン流(a1)の一部を異性化することによって分枝鎖パラフィン流(a2)を得る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

(c)の工程で得られる原料混合物を(d)の工程の前に少なくとも一種の炭化水素流(B*)とさらに混合し、この炭化水素流(B*)は炭化水素流(B)よりも少なくとも2℃高い初期沸点IBPと、炭化水素流(B)より少なくとも5℃高い最終沸点FBPとを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

非環状パラフィン流(A)が少なくとも30重量%の直鎖パラフィンおよび/または20%以下の多分枝鎖パラフィンを含み、組成物の残りの部分は単一分岐鎖パラフィンである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

コイル出口温度が810〜875℃、好ましくは825〜860℃、より好ましくは835℃〜850℃の範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

滞留時間が0.05〜0.5秒、好ましくは0.1〜0.4秒の範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量が少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%で且つ75重量%以下、好ましくは60重量以下、より好ましくは55重量%以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

1kgの原料混合物当たり0.35〜0.45kgのスチームの比、好ましくは1kgの原料混合物当たり0.40kgのスチームの比で、原料混合物とスチームとを混合する請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

上記非環状パラフィンを、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリグリセリド触媒水脱酸素化触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化によって得るか、脂肪酸石鹸の熱脱カルボキシル化によって得て、好ましくは上記の触媒水素脱酸素化、触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化を他の炭化水素、好ましくはASTM規格D86に従って測定したが15℃〜350℃の沸点範囲の炭化水素の存在下で実施する請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの触媒水素脱酸素化または触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化を水素と、触媒相としてNi、Mo、Coおよびこれらの混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoWおよびCoMoW酸化物または硫化物の中から選択される少なくとも1種の触媒、好ましくは高表面積炭素アルミナシリカチタニアまたはジルコニア担持された触媒の存在下で行う請求項11に記載の方法。

請求項13

非環状パラフィンを下記の(1)と(2)によって製造する請求項11に記載の方法:(1)油脂を加水分解してグリセロールと脂肪酸とし、グリセロールを除去するが、油脂を水蒸気蒸留または減圧蒸留を含む物理的精製するか、石鹸酸性化によって脂肪酸を得て、(2)上記脂肪酸を触媒水素脱酸素化、触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化し、この触媒水素脱酸素化、触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化をNi、Mo、Coおよびこれらの混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoWおよびCoMoW酸化物または硫化物の中から選択される少なくとも1種の触媒、好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニアまたはジルコニアまたはこれらの混合物に担持された触媒の存在下で行うか、高表面積炭素、マグネシア酸化亜鉛スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、炭酸カルシウム(例えばゾノトライト)、アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナまたは後者の混合物に担持された第10族(Ni、PtおよびPd)および第11族(CuおよびAg)金属またはその合金混合物の触媒の存在下で行う。

請求項14

非環状パラフィンを下記の(1)と(2)によって製造する請求項11に記載の方法:(1)油脂を加水分解してグリセロールと脂肪酸とし、グリセロールを除去するか、水蒸気蒸留または減圧蒸留を含む油脂の物理的精製によるか、石鹸の酸性化で得る、(2)バルク材料または中性または塩基性担体上に分散された塩基性酸化物、例えばアルカリ酸化物アルカリ土類酸化物ランタニド酸化物亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、研鑽カルシウム(ゾノトライト)上、塩基性ゼオライト(例えば交換または含浸で得られるアルカリ金属またはアルカリ土類低シリカ/アルミナゼオライト)上で行う脂肪酸石鹸の熱脱カルボキシル化。

請求項15

上記触媒水素脱酸素化を200〜500℃の温度で、1MPa〜10MPa(10〜100バール)の圧力下で、水素/原料比を100〜2000NL/lにして行うか、上記の触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化を100〜550℃の温度で、0.1MPa〜10MPa(1〜100バール)の圧力下で、水素/原料比を0〜2000NL/lにして行う、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、パラフィン系炭化水素スチームクラッキング水蒸気分解)によって高価値の化学物質、例えばエチレンプロピレンベンゼンブタジエンまたは水素を製造する方法に関するものである。
本発明は特に、バイオベース製品、例えば脂肪酸またはグリセリドから価値がより高い化学物質を製造する方法に関するものである。

背景技術

0002

ポリマーを製造するためのエチレン、プロピレン、ブタジエン、芳香族化合物等の「ドロップインモノマー(drop-in monomers)に対するニーズ応えるために再生可能な通常プラスチックに対する要求が増えており、代替資源、例えばバイオベース製品から価値の高い基礎化学物質を製造する方法が求められている。

0003

しかし、バイオ原料スチームクラッカーで使用するためは、いくつかの技術的な仕様スペック)をそれに合わせる必要がある。すなわち、既存のスチームクラッカーは炭化水素原料用に設計されているので、沸点範囲金属含有量、含酸素化合物の存在等の追加の技術的仕様を合わせる必要がある。スチームクラッキング用に有望なバイオ原料は、植物油動物グリース廃食用油、藻等の種々の原料に由来する脂肪酸またはトリグリセリドである。これらの原料は植物や藻類のような独立栄養生物(autotrophs)(特に、成長のために太陽光を使用し、CO2を固定する光独立栄養生物(photoautotrophs))またはヘテロ養生物(heterotrophs)(成長のために還元炭素を使用するもので、必要なエネルギー日光または還元炭素から取得するかによって光栄養生物または有機栄養生物に分かれる)、例えば動物、菌類酵母、細菌によって製造できる。大抵のヘテロ栄養生物は成長のために生体材料炭水化物タンパク質、脂肪酸)を使用するが、いくつかのヘテロ栄養生物はエネルギー源として炭化水素系材料を使用することができ、例えばメタン微生物の場合には成長のために生体起源または化石起源のメタンを使用する。ヘテロ栄養生物(heterotrophs)、特にメタン微生物は、自然の状態で、または、適切な遺伝子変化をさせた後に、生体材料または炭化水素を脂肪酸またはその誘導体、例えばトリグリセリドに変換することができる。ヘテロ栄養生物または独立栄養生物によってCO2、生体材料または化石資源から脂肪酸およびその誘導体を製造することを「生物学的に生産する」という。

0004

従来のスチームクラッカーは基本的に変換 (conversion)セクション輻射(radiant) セクションの2つのセクションを有する炉を含んでいる。炭化水素原料は一般に液体の形、軽質原料の場合には蒸気の形で炉の変換セクションに入り、そこで加熱されるか、および/または、輻射セクションから来る高温煙道ガス間接接触するか予熱蒸気と直接接触して気化される。次いで、気化した原料は輻射セクションに導入され、そこでクラッキングが行われて軽質オレフィンが製造される。
従来のスチームクラッキングシステムはかなり高品質の原料、例えばエタン液化石油ガスLPG)、ナフサを分解するのに有効であり、ガソリンにもある程度適している。常圧残渣、真空ガスオイル(gasoil、軽油)、特に原油高分子量不揮発性成分沸点が550℃を超えるテールを有する成分を含む。多くの場合、これらのテール成分非揮発性であり、変換セクションで気化する前または従来の熱分解炉の輻射セクションに入る前に、コークスとなって沈下する。軽質成分が完全蒸発する点(「ドライポイント」)で許容される不揮発性物質は極めて低レベル(少量)である。すなわち、変換セクションの汚れ(fouling)を回避するために液相中での初期分解を最小化しなければならない。

0005

スチームクラッキングでは重質ガスオイルの品質が非常に重要である。分子状組成物最終沸点気化能力に影響を与える(多環芳香族化合物および重質ナフテン燃料油を多くする)。原料の品質を向上させるための典型的な技術的解決策は重質ガスオイルの水素化処理である。これによって極めて価値の高い化学物質(HVC)の収量を増加させることができる。芳香族化合物の水素化(ナフテンの開環を伴うこともある)でタールが大幅に少なくなり、軽質オレフィンが多くなる。また、ガスオイル重質テール蒸留することによってタール生成を減少させることもできる。

0006

一般に、重質原料軽質ナフサ、LPGまたはエタンよりもより化学的に安定かつ簡単にクラッキングできるが、コークスを形成する傾向がより高い。重質原料ではクラッキングの熱量も少ないので、下側コイル出口温度(COT)で軽質エンドの収量が最大に達する。液体原料の最大過酷化(severity)は軽質エンドの収率最大化を意味し、一般に芳香族化合物の形成につながる二次反応が大幅に増加し始め、原料変換レベル多環芳香族が結合して重質タールコークス形成スピシーズができるポイントにある。このポイントを越えてコークス形成部分を急速に増加させると、コイルおよび冷却交換器が急速にコークス化して運転時間が大幅に短くなる。逆に、過酷度を低下させれば運転時間を長くすることができるが未クラッキングの液体原料が増加し、所望する熱分解ガソリンおよび熱分解燃料油(PFO)の収率が悪くなる。

0007

軽質エンド収率の最大ポイントを越えて重質炭化水素をクラッキングすると多核芳香族化合物の形成が著しく増加し、コイルが急速にコーキングする。このクラッキングの過酷度とともに二次反応の多くはコークス形成の原因となるので、副反応を最小にするためにクラッキングの滞留時間は短くする必要がある。炭化水素原料が重質になると、最大軽質エント収率と制御可能なコークス形成との間の運転ウィンドウが狭くなる。

0008

一般に、ナフサ(沸点が15〜200℃の範囲)のスチームクラッカーで生産される重質物(C9+)の量は6重量%以下である。それに対して常圧ガスオイルの場合には8重量%以上、真空ガスオイルの場合には20重量%以上に達する。この重質物の生産ではコークス形成を減らし、急冷セクションに特別な注意をする必要がある。

0009

カット分別する前にスチームクラッカーの輻射セクションの流出物を冷却する必要があり、間接冷却および直接冷却が用いられるが、エネルギー回収高圧スチームの生産)の点で間接冷却が好ましい。しかし、タール様分子が形成される傾向が高い重質液体炭化水素の場合には、間接急冷セクションが汚染され、その結果、運転時間が短くなる。炉の流出物に同伴するタールミストが非常に高温度にある管状交換器に付着し、コークスのような堆積物ができる。管状冷却システムの下流では重油凝縮し、スラッグになる。そのため、重質原料がタール様分子を含む傾向が高い場合には、炉の流出物を低温の安定なオイルと直接接触させて、重油をできるだけ迅速に冷却し、凝縮するために、一般に直接冷却システムが用いられる。

0010

上記の説明から分かるように、スチームクラッカーの構成、装置および最適運転条件化石原料組成および沸点範囲に依存し、互いに異なるということは理解できよう。重質炭化水素の供給原料をスチームクラッキングする場合には、軽質オレフィンを最大にし、コークスの形成と下流の汚染を最小限に抑えるために、炭化水素に対するスチームの比を増加させ、全圧下げコイル出口温度を低くする。

0011

すなわち、スチームクラッキングの運転条件原料混合物の品質および組成によって影響されるので、スチームクラッキングを代替原料、例えば生物学的に生産された原料混合物に変えた場合でも、運転条件を変化させずに済むようにする必要がある。

0012

[特許文献1](国際公開第WO2011/012438号公報)にはナフサの水蒸気分解の原料としての脂肪酸を使用して軽質オレフィンを製造する方法が記載されている。この供給原料は一定の酸素カルボキシル単位)を含むので、酸化炭素(COおよびCO2)と短鎖水溶性酸が形成される。しかし、既存のスチームクラッカーはこれらの酸化炭素および低pH水性生成物を処理するようには設計されていない。

0013

[特許文献2](国際公開第WO2011/012439号公報)には脂肪酸およびトリグリセリドを実質的な量の酸素を含まないバイオナフサとよばれるスチームクラッキングで使用可能なパラフィンに変換する方法が開示されている。これらのナフサパラフィンはその起源に応じて12〜24個の炭素を含み、従って、化石ガスオイルの沸点範囲に入る。この[特許文献2]は化石ナフサの代わりにn−C15またはn−C20パラフィンをスチームクラッキングしてプロピレンおよびエチレンの生成量をより大きくした例を開示している。しかし、バイオナフサがスチームクラッカーの運転条件に与える影響に関する記載はない。

0014

[特許文献3](中国特許第CN101723783号公報)には原料として液体炭化水素油と植物油または植物性脂肪とを混合し、水蒸気分解でエチレンを製造する方法が開示されている。

0015

[特許文献4](国際公開第WO2014/093016号公報)には、スチームクラッキング前にナフサ原料を前処理する、ナフサ原料からエチレンを製造する方法が開示されている。

0016

[特許文献5](米国特許公開第US2014/0046103号明細書)には、天然に存在するトリグリセリドまたは脂肪酸からナフサを製造する方法が開示されている。得られたナフサは水素分解または水蒸気分解の原料として使用できる。重質炭化水素を水素化分解して4〜10個の炭素原子を有する短鎖の炭化水素を生成する。このプロセスの目的は芳香族炭化水素を含まない100%再生可能原料のガソリンを製造することにある。

0017

[特許文献6](国際公開第WO2014/111598号公報)にはスチームクラッカーで使用可能なバイオナフサの製造方法が開示されている。しかし、スチームクラッカーで使用される運転条件は記載がなく、混合の影響についても記載はない。

0018

[特許文献7](欧州特許第EP2290035号公報)にもバイオナフサの製造方法が開示されているが、この文書にも水蒸気分解装置におけるバイオナフサの影響に関しては言及がない。

0019

[特許文献8](欧州特許第EP2290045号公報)にも同様にバイオナフサの製造方法が開示されているが、水蒸気分解装置に与える影響に関する教示はない。

0020

[特許文献9](欧州特許第EP2917424号公報)には植物油の水素化方法と、得られた生成物をスチームクラッカーでクラッする方法が開示されている。しかし、得られたバイオナフサを純粋にクラッキングするだけで、ナフサとバイオナフサの混合物をクラッキングすることができるか否かは記載がない。

0021

[特許文献10](米国特許公開第US2011/0319683号明細書)は再生可能原料からナフサを生成するための一般的な方法に関するものである。しかし、この文献にも通常のナフサとバイオナフサの混合物とをクラッキングした時の影響に関しては教示がない。

0022

[特許文献11](フランス特許第FR2917424号公報)は植物油を処理してバイオナフサとして使用されるパラフィンの製造方法を開示している。しかし、バイオナフサがスチームクラッカーの運転条件に与える影響に関する教示はない。

先行技術

0023

国際公開第WO2011/012438号公報
国際公開第WO2011/012439号公報
中国特許第CN101723783号公報
国際公開第WO2014/093016号公報
米国特許公開第US2014/0046103号明細書
国際公開第WO2014/111598号公報
欧州特許第EP2290035号公報
欧州特許第EP2290045号公報
欧州特許第EP2917424号公報
米国特許公開第US2011/0319683号明細書
フランス特許第FR2917424号公報

発明が解決しようとする課題

0024

従って、投下資本を必要とする生産設備の変更を行わず、または、既存のナフサ水蒸気分解の最適運転条件を変えずに、生物学的に生産された材料を水蒸気分解して高価値の化学物質を製造できるプロセスに対するニーズが依然として存在する。

課題を解決するための手段

0025

本発明の第1の態様では、本発明は以下の(a)〜(d):
(a)少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンを少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)を用意し、
(b)ASTM規格D86で測定した沸点が15℃〜200℃である成分を少なくとも90重量%含有する炭化水素流(B)を用意し、
(c)上記の非環状パラフィン流(A)と炭化水素流(B)とを混合して供給原料混合物を形成し、この供給原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量を0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらにより好ましくは10重量%以上、最も好ましくは20重量%以上かつ70重量以下、より好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下とし、
(d)1kgの供給原料混合物当たり0.2〜0.5kgのスチームとなる比で、上記供給原料混合物をスチームクラッキングして、好ましくは少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエンキシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む分解生成物を得る、
工程を含み、工程(d)をスチーム/炭化水素比を0.5以下にし、コイル出口温度を少なくとも820℃、好ましくは少なくとも830℃で実施することを特徴とする、価値の高い化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む化学物質の製造方法を提供する。

0026

上記の運転条件下でのスチーム/炭化水素比は炭化水素流(B)のみの場合のスチームクラッキングのスチーム/炭化水素比の110%以下であり、コイル出口温度は炭化水素流(B)のみの場合のスチームクラッキングのコイル出口温度の102%以下である。

0027

少なくとも12個の炭素原子を有する非環状パラフィン(ノルマルパラフィンイソパラフィンとの混合物)のASTM規格D86で測定した沸点はガスオイルの沸点範囲すなわち少なくとも210℃、好ましくは少なくとも220℃である。一般にはガスオイルは少なくとも運転条件を変更するか、設備の設計を変更しないとナフサクラッカーでクラッキングできないと考えられている。ガスオイルは高い最終沸点を有するので変換セクションの出口では完全に気化されず、ガスオイルの液滴が変換セクションの熱い金属表面上に打ち付けられる。そのため設備は急速に汚染され、コーキングする。

0028

しかし、非環状パラフィン特有の特性を利用して、ガスオイルの沸点範囲を有する非環状パラフィンを従来のナフサと混合することで運転条件を実質的に変更せずに同じ設備でスチームクラッキング可能な重質混合物を作成できるということ、すなわち、非環状パラフィンはガスオイルと同じように重いが、スチームクラッカーの典型的な運転条件を用いてナフサ用に設計されたスチームクラッカーでスチームクラッキングできるということが発見された。換言すれば、非環状パラフィン(ノルマルパラフィンとイソパラフィンとの混合物)は少なくとも12個の炭素原子を有するが、スチームクラッキングの運転条件にはほとんど影響を与えないということが発見された。驚くべきことに、そうしても、高価値の化学物質の生産は影響を受けず、コイル出口温度およびスチーム/炭化水素比を炭化水素流(B)に添加される重質分子C12のクラッキングに合せる必要がない。従って、上記の非環状パラフィンはナフサ、LPGまたはその混合物と一緒に処理でき、スチームクラッカーの設備、機器および運転条件を大幅に変更する必要はない。

0029

さらに、コイル出口温度およびスチーム/炭化水素比を維持したまま、原料混合物中の非環状パラフィン流の量を増加することでエチレンおよびプロピレンの含有量は増加する。こうした高価値化学品の増加によって望ましくない製品やコークスの形成が減り、最終的にプロセスをより効率的にすることができる。

0030

それに加えて、原料混合物中の非環状パラフィンの含有量は0.1重量%程度に低くすることができる。従って、運転条件に与える影響は極めて低い。また、マスバランス概念から、得られる生成物にグリーンベルを付けることができる。

0031

ナフサを大量に処理する大規模プラントで使用する場合、非環状パラフィンの入手可能性が問題になることがある。事実、この製品は大量に得ることが困難で、あまり知られておらず、相対的に高価である。しかし、原料混合物中の非環状パラフィンの含有量は少なくとも1重量%でよく、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%でよく、いずれも本発明の精神から逸脱するものではない。

0032

本発明の別の実施形態では、工程(c)で得られた原料混合物中の非環状パラフィン流(A)に由来する直鎖パラフィンの重量含有量は最大で50重量%、好ましくは最大で40重量%、より好ましくは最大で30重量%である。非環状パラフィン流(A)由来の直鎖パラフィン中のその含有量は最大で50重量%を越えてはならないということが発見された。最大含有量の50重量%を越えると混合物の曇点(cloud point)が高く成り過ぎる。曇点が上昇するとポンプ輸送に問題が生じ、固化を防止するために貯蔵タンクを加熱する必要があり、多額の投資を必要とする。

0033

本発明の別の実施形態では、非環状パラフィン流(A)が少なくとも90重量%の直鎖パラフィンを含む流れ(a1)と少なくとも30重量%、好ましくは50重量%、より好ましくは90重量%の分枝鎖パラフィンを含む流れ(a2)とを混合することによって得られる。直鎖パラフィンの含有量が高過ぎることに起因する曇点が高くなり過ぎるという問題を回避するために、直鎖パラフィンの一部を分枝鎖パラフィンで置換するのが好ましい。

0034

本発明の有利な実施形態では、分枝鎖パラフィンを直鎖パラフィンの一部を異性化して得る。好ましくは、分枝鎖パラフィン流(a2)は同じ反応器中で上記の流れ(a1)の一部を異性化して得る。

0035

非環状パラフィンは脂肪酸およびその誘導体(モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド等)の水素脱酸素化脱カルボニル化または脱カルボキシル化で製造するか、脂肪酸およびその誘導体(モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド等)の水素化処理を含むナフサおよび/またはガスオイルとの同時処理で製造するのが有利である。

0036

本発明の別の実施形態では、脂肪酸およびその誘導体(モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド等)をガスオイルと混合した後に水素化脱硫ユニット(HDS)で処理する。この同時処理することでガスオイルとの混合物中に非環状パラフィン流(A)を得ることができる。これは既存のHDSユニットが使用できるという点で重要である。さらに、この同時処理で使用するガスオイルは硫黄を含んでいてもよい。従って、HDS触媒硫化状態で維持するために追加の硫黄化合物を加える必要がない。従って、得られた混合物に炭化水素流(B)をさらに混合してスチームクラッキングをさらに実施することができる。この後者の場合、ナフサをクラックするために設計された既存のスチームクラッカーでガスオイルを高付加価値化することができる。

0037

本発明の好ましい実施形態では、少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンを少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)が、少なくとも12個の炭素原子を有する上記パラフィンが少なくとも30重量%の直鎖パラフィン、および/または、少なくとも20重量%の多分枝鎖パラフィンを含み、残りの部分が単分枝鎖パラフィンである点に特徴がある。

0038

さらに別の実施形態では、工程(c)で得られた原料混合物を、工程(d)の前に、少なくとも一種の炭化水素流(B*)と混合する。この炭化水素流(B*)は炭化水素流(B)よりも初期沸点IBPが少なくとも2℃高く、炭化水素流(B)よりも最終沸点FBPが少なくとも5℃高いことを特徴とする。炭化水素流(B*)の含有量は、工程(c)で得られた混合物中で好ましくは5重量%、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは20重量%である。さらに、工程(d)でスチームクラッキングする混合物を非環状パラフィン流(A)とナフサ(さらには重質製品)と混合して得ることができ、そうしてもスチームクラッカー装置のスチームクラッキング運転状態に大きな影響を与えないということも発見された。この場合、単独ではスチームクラッカーでは処理できなかったガスオイルを、非環状パラフィン流(A)の特殊な性質借りアップグレードすることが可能になる。

0039

さらに、本発明方法は、特別な装置を追加しないで、軽質または重質のいずれのナフサの存在下でも実施できる。生物的な生産工程で得られる非環状パラフィンの有利な利点は、重質ナフサまたはガスオイルを使用した時の負の影響をバランスできる点にある。この場合、高付加価値化学物質を一定量生産する運転条件状態で重質供給原料を用いることができる。従って、本発明は、非環状パラフィン、好ましくは生物的な生産工程で得られた非環状パラフィン(例えば脂肪酸およびその誘導体(モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド等)の水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化によって製造された)あるいは脂肪酸および誘導体(モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド等)とナフサおよび/またはガスオイルとの同時処理(これらの水素化処理を含む)で生産された非環状パラフィンと組み合わせて、通常のナフサからガスオイルまたはその混合物等のより重い供給原料まで広い範囲に適した多用途のプロセスを提供する。本発明はさらに、スチームクラッキング装置に大きな変更を必要としないという利点も有している。運転条件および原料の種類[炭化水素流(B)に対する非環状パラフィン流(A)の含有量]は高価値化学物質に要求される生産速度を満たすように公知の方法で当業者が選択することができる。

0040

好ましい実施形態では、本発明方法の終了時に生成する(すなわち工程(d)後に得られる)クラッキング生成物のエチレン/メタン重量比は炭化水素流(B)を単独でスチームクラッキングしたときに得られる比率より高い。この増加量は少なくとも2%、好ましくは5%、最も好ましくは10%である。炭化水素流(B)を単独でスチームクラッキングした時のエチレン/メタン重量比は1.7以下であるが、本発明に従って工程(c)の混合物をスチームクラッキングするとメタン収率が低下し、エチレン収率が増加する結果、エチレン/メタン重量比が増加する。このエチレン/メタン重量比の増加は多くのスチームクラッカーで度々問題となっていた技術的なボトルネックに技術的利点を提供する。すなわち、スチームクラッカーでは非凝縮軽質成分(主としてメタンと水素)を低圧セクション(炉)から高圧セクション分別蒸留)へ抜き出すが、それには極低温を必要とし、圧縮セクションと組み合わせる必要がある。多くの場合、冷間分別セクションと圧縮セクションがボトルネックであったので、スチームクラッキング装置でのメタンの生産率が低くなれば、プロセス全体の生産性を増加させることができる。従って、本発明方法は、投資を必要せずにプロセス全体のキャパシティーを増加させる代替手段となる。

0041

本発明の他の観点から、本発明は高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレン、ベンゼンを含み、必要に応じてさらに水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む化学物質の製造方法を提供する。この本発明方法は以下の(a)〜(d)の工程を含む:
(a)少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)を用意し、
(b)3〜4個の炭素原子有する炭化水素またはその混合物を含む炭化水素流(B)を用意し、
(c)上記非環状パラフィン流(A)と炭化水素流(B)とを混合して原料混合物を形成し、好ましくはこの原料混合物中の上記非環状パラフィン流(A)の重量含有量を0.1重量%以上且つ70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下とし、
(d)上記原料混合物を、原料混合物1kg当たり0.2〜0.5kgのスチームの比にしてスチームクラッキングして少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じてさらに水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む分解生成物を得る。
本発明の特徴は工程(d)でスチーム/炭化水素比を0.5以下にし、コイル出口温度を少なくとも820℃、好ましくは830℃にする点にある。

0042

本発明者は、非環状パラフィンを軽質炭化水素プロパンおよびブタン(LPG)と混合することができるということ、そして、それをスチームクラッカーで運転条件に影響を与えずに容易にクラッキングできるということを発見した。すなわち、炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングした場合と比較してスチーム/炭化水素比を110以下に維持し、炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングした時に用いるコイル出口温度と比較してコイル出口温度を102%以下に維持することができる。

0043

本発明の別の観点から、本発明は高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレン、ベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエン、プロセスをさらに含む化学物質の製造方法を提供する。本発明方法は以下の(a)〜(d):
(a)少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)を用意し、
(b)3〜4個の炭素原子を有する炭化水素またはその混合物と、15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも90重量%含む炭化水素とを含む炭化水素流(B)用意し、
(c)非環状パラフィン流(A)と炭化水素流(B)とを混合して原料混合物を形成し、好ましくは、この原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量を0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上かつ好ましくは70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下とし、
(d)1kgの原料混合物当たり0.2〜0.5kgのスチームとなる比で原料混合物をスチームクラッキングして、少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンをさらに含む分解生成物を得る、
行程を含み、工程(d)をスチーム/炭化水素比を0以下にし、コイル出口温度を少なくとも820℃、好ましくは少なくとも830℃にして行うことを特徴とする。

0044

上記運転条件下では、スチーム/炭化水素比は炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングする時に使用される比に対して110%以下に維持することができ、コイル出口温度は炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングする時に使用されるコイル出口温度に対して102%以下に維持することができる。
上記以外の実施形態は上記の実施形態を必要に応じて変更したものにすることができ、それに応じた技術的利点を得ることができる。

図面の簡単な説明

0045


は非環状パラフィンが種々の実施形態に従って調製される本発明方法を示す。

0046

定義
液化石油ガス(LPG)は基本的にプロパンとブタンとから構成される。
石油ナフサまたはナフサは15℃〜200℃の沸点を有する石油炭化水素留分として定義される。これは直鎖および分岐鎖パラフィン(単鎖および多分岐鎖)、炭素原子数が5〜約11の範囲の環状パラフィンおよび芳香族化合物の複雑な混合物で構成される。
軽質ナフサはC5〜C6炭化水素からなり、15〜90℃の沸点範囲を有し、重質ナフサはC7〜C11炭化水素からなり、90〜200℃の沸点範囲を有する。
ガスオイル(Gasoils、軽油)は約200〜350℃の沸点範囲を有し、C10〜C22炭化水素からなり、基本的に直鎖および分枝鎖のパラフィン、環状パラフィンおよび芳香族化合物(モノ−、ナフト−およびポリ芳香族を含む)を含む。
「非環状パラフィン」という用語は直鎖パラフィン、単分枝鎖パラフィンおよびイソパラフィンを意味する。これにはナフテンおよび芳香族化合物は含まれない(ただし、痕跡量または不純物とし含まれる場合は除く)。
水素脱酸素化(Hydrodeoxygenation)は炭素−酸素結合を炭素−水素結合に置換し、水を生成する有機分子から酸素原子を化学的に除去する反応を意味する。例えば下記の反応:
R−CH2−CH2−COOH+3H2−>R−CH2−CH2−CH3+2H2O
脱カルボニル化(Decarbonylation)は有機分子から一酸化炭素として炭素と一緒に酸素原子を化学的に除去する反応を意味する。例えば下記の反応:
R−CH2−CH2−COOH−>R−CH=CH2+CO+H2O
脱カルボキシル化(Decarboxylation)は有機分子から二酸化炭素として炭素と一緒に酸素原子を化学的に除去する反応を意味する。例えば下記の反応:
R−CH2−CH2−COOH−>R−CH2−CH3+CO2

0047

ここで定義した製品はほとんどの場合、完全に純粋なものではないことを理解しなければならない。これらは一般に完全な分離技術ではない蒸留によって得られる。さらに、特性評価技術にその検出限界および不確実性がある。従って、製品を参照する場合には、その製品を少なくとも98重量%、好ましくは99重量%、最も好ましくは99.5重量%含み、製品の残りは不純物であると理解すべきである。例えば、LPGを参照する場合、その少なくとも98重量%はプロパンとブタンであるが、痕跡量または不純物として他の製品エタンおよびペンタンを含むことができる。

0048

本発明の第一の観点から、本発明は高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む化学物質の製造方法を提供する。この方法は以下の工程:
(a)非環状パラフィン流(A)を用意し、
(b)炭化水素流(B)を用意し、
(c)非環状パラフィン流(A)と炭化水素流(B)とを混合して原料混合物を形成し、この原料混合物中の非環状パラフィン流(A)重量含有量を0.1重量%以上かつ好ましくは70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下とし、
(d)原料混合物の1kg当たりのスチームの重量比を0.2〜0.5、好ましくは0.2〜0.6kgにして、上記原料混合物をスチームクラッキングして高価値の化学物質、好ましくは少なくともエチレン、プロピレンおよびベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび/または1,3−ブタジエンを含む化学物質を得る、
を含み、
行程(d)をスチーム/炭化水素比を0.6以下にして行い且つコイル出口温度を少なくとも820℃、好ましくは少なくとも830℃にすることを特徴とする。

0049

工程(a)で、脂肪酸またはモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドから水素化脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化によって非環状パラフィン流(A)を製造するのが有利である。

0050

本発明の別の実施形態では、本発明方法を820から900℃の範囲のコイル出口温度で、0.01〜1秒の滞留時間で運転する。

0051

好ましい実施形態では、非環状パラフィン流(A)は、非環状パラフィン流(A)の全重量に対して少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンを少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、さらに最も好ましくは少なくとも95重量%含み、特に、少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンを少なくとも98重量%含む。

0052

非環状パラフィン流(A)中に含まれるパラフィンは12〜25個の炭素原子、好ましくは12〜20個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子を有し、且つ非環状パラフィン流(A)中に上記範囲で存在する。

0053

本発明では、少なくとも12個の炭素原子を有するパラフィンを少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)を用意する時に、直鎖パラフィンが少なくとも30重量%から成り、および/または、多分岐パラフィンが20重量%以下である非環状パラフィンにするのが好ましい。より好ましくは、直鎖パラフィンを少なくとも60重量%にし、および/または、多分岐鎖パラフィンを15重量%以下にし、より好ましくは、直鎖パラフィンを少なくとも80重量%にし、および/または、多分岐鎖パラフィンを10重量%以下にし、さらに好ましくは、直鎖パラフィンを少なくとも90重量%にし、および/または、多分岐鎖パラフィンを5重量%以下にする。多分枝鎖パラフィンとはベースになる直鎖パラフィン単位上に1つまたは複数の炭素を有する複数のアシル分岐鎖を有するパラフィンを意味する。

0054

本発明の好ましい実施形態では、炭化水素流(B)は15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%含むことができる。あるいは、炭化水素流(B)を、3〜4個の炭素原子を有する炭化水素またはその混合物を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%含む流れにすることができる。

0055

本発明の好ましい実施形態では、炭化水素流(B*)は、17℃〜205℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%含むことができる。あるいは、炭化水素流(B*)を、3から4個の炭素原子を有する炭化水素またはその混合物を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%含む流れにすることができる。

0056

本発明の好ましい実施形態では、本発明方法の工程(d)で得られた分解生成物がエチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、水素または1,3−ブタジエンの一つまたは複数を含むことができる。本発明方法の工程(d)で得られた分解生成物は燃料油の熱分解でできるメタンができるだけ少なくなるようにするのが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、生産されたエタンをスチームクラッキングの分解炉に戻して再利用することで基本的により多くのエチレンが得られるようにする。

0057

特に、本発明方法の工程(d)で得られる分解生成物はエチレン、プロピレン、ベンゼンを含み、必要に応じて水素、トルエン、キシレンおよび1,3−ブタジエンを含む。好ましい実施形態では、クラッキング生成物中のエチレン/メタンの重量比が、15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも90重量%含有する炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングして得られた比率よりも高くなる。15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分を少なくとも90重量%含有する炭化水素流(B)をスチームクラッキングした時の典型的な上記の重量比の値は1.7以下である。

0058

本発明の好ましい実施形態では、原料混合物は1kgの原料混合物当たり0.25〜0.45kgのスチーム、好ましくは1kgの原料混合物当たり0.35kgのスチームとなる比でスチームと混合できる。

0059

本発明の好ましい実施形態では、コイル出口温度は820〜875℃、好ましくは820〜870℃、好ましくは825〜860℃、より好ましくは835℃〜850℃の範囲にすることができる。このコイル出口温度は本発明方法で製造される分解生成物中の高価値の化学物質の含有量に影響を及ぼす。例えば、本発明方法で得られる分解生成物中のベンゼンの含有量は上記コイル出口温度、特に、825〜860℃、より好ましくは830°〜850℃の範囲のコイル出口温度でスチームクラッキングを運転することで増加できる。

0060

本発明の好ましい実施形態では、スチームクラッキングでの原料の滞留時間は0.05〜0.5秒、好ましくは0.1〜0.4秒の範囲にすることができる。

0061

本発明の好ましい実施形態では、原料混合物中での非環状パラフィン流(A)の重量含有量は少なくとも0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは2重量%、さらにより好ましくは3重量%、最も好ましくは5重量%であり、その最大値は95重量%、好ましくは90重量%、より好ましくは75重量%、より好ましくは60重量%、好ましくは50重量%、最も好ましくは25重量%である。

0062

本発明の別の実施形態では、行程(b)での15℃〜200℃の範囲の沸点を有する成分(またはナフサ)を少なくとも90重量%含有する炭化水素流(B)は9個以上の炭素原子(C9+)を有する炭化水素を種々の濃度で有する炭化水素流の混合物で構成される。C9+の含有量は0.1重量%〜15重量で変えることができる。C9+の含有量は例えばASTM規格D2425に従って測定できる。高C9+含有物のナフサの含有量は少なくとも1重量%、好ましくは5重量%、より好ましくは10重量%、さらにより好ましくは15重量%、最も好ましくは20重量%であり、残りは15℃〜200℃の範囲の沸点を有する他の炭化水素流と低C9+含有物である。換言すれば、炭化水素流(B)はスラチームクラッキングに対する特性が異なる、従って、HVC収量が異なる少なくとも2つのナフサの混合物で構成される。すなわち、本発明は非環状パラフィン流(A)を添加することで、運転条件に影響を与えずに、通常品質のナフサ(C9+の最大値が5重量%)に低品質のナフサ(C9+を10重量%以上含有)をブレンドできるということを発見したものである。

0063

本発明の別の実施形態では、脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドからその熱化学的処理(thermochemical treatment)によって非環状パラフィンを得ることができる。
「熱化学的処理((thermochemical treatment)」という用語は脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化を意味する。従って、少なくとも12個の炭素原子を有する非環状パラフィンは脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化によって製造することができる。

0064

従って、本発明の特定の実施形態では、本発明方法は以下の工程を含む:
(a)脂肪酸またはモノ−、ジ−またはト−グリセリドを用意し、
(b)上記の脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドを熱化学的処理して非環状パラフィンを形成し、好ましくはその90重量%は少なくとも12個の炭素原子を有し、上記の熱化学的処理は上記脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化を含み、
(c)成分の90重量%が15℃〜200℃の範囲の沸点を有する炭化水素流(B)を用意し、それを工程(b)で得られた非環状パラフィンと混合して原料混合物を形成し、この原料混合物中の工程(b)で得られた非環状パラフィンの重量含有量を0.1重量%以上、好ましくは0.1〜95重量%、より好ましくは1〜90重量%の範囲、より好ましくは2〜75重量%、好ましくは3〜50重量%、最も好ましくは5〜25重量%の範囲とし、
(d)上記原料混合物を、1kgの原料混合物の当たり0.25〜0.5kgのスチームの重量比で、スチームクラッキングし、好ましくは1kgの原料混合物の当たりスチームの重量比を0.35kgにして上記定義の分解精製物を得る、および/または、
工程(d)を810、好ましく820℃〜875℃、好ましくは820〜870℃、より好ましくは825〜860℃、最も好ましくは835℃〜850℃の範囲のコイル出口温度で、0.05〜0.5秒、好ましくは0.1〜0.4秒の滞留時間で、スチーム/炭化水素比を0.6以下にして実施し、および/または、
工程(d)で得られた分解生成物中のエチレン/メタンの重量比を1.7以上にし、および/または、
工程(d)を、スチーム/炭化水素比が炭化水素流(B)のみのスチームクラッキングで使用するスチーム/炭化水素比に比較して110%以下となり、且つ、コイル出口温度が炭化水素流(B)のみのスチームクラッキングで使用するコイル出口温度に対して102%以下となるようにして行う。

0065

本発明の好ましい実施形態では、熱化学処理された脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドは少なくとも12個の炭素原子、好ましくは12〜25個の炭素原子、好ましくはから12から20個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子を有する。好ましい実施形態では、熱化学処理された脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%が少なくとも12個の炭素原子を有している。特にその少なくとも98重量%が少なくとも12個の炭素原子を有している。

0066

本発明の好ましい実施形態では、脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの熱化学処理を水素の存在下で行うによってアシル部分に存在する、または、素除去反応で生じた二重結合を同時に水素化することができる。従って、最終生成物は本質的にパラフィン系であり、水素の存在では触媒活性を高く維持することができる。

0067

本発明の好ましい実施形態では、脂肪酸は物理的精製、例えば油脂の水蒸気蒸留または減圧蒸留によって得ることができる。また、油脂のトリグリセリドを加水分解して脂肪酸を得るか、石鹸酸性化で脂肪酸を得ることもできる。石鹸は油脂の鹸化または油脂の化学的精製、例えば油脂中に存在する遊離脂肪酸中和または油脂の加水分解で得られる脂肪酸の中和によって得るのが好ましい。

0068

脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリド水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化は水素と少なくとも1種の触媒の存在下で行うことができる。触媒は触媒相としてNi、Mo、Coまたはこれらの混合物、例えばNiW、NiMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoW、CoMoW酸化物または硫化物、好ましくは高表面積炭素アルミナシリカチタニアジルコニアまたはその混合物に担持された触媒、または高表面積炭素、マグネシア亜鉛酸化物スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウムゾノトライト)、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたはその混合物に担持された第10族金属(Ni、Pt、Pd)または第11族金属(Cu、Ag)またはその合金混合物の中から選択することができる。

0069

水素脱酸素化は200〜500℃の温度、1MPa〜10MPa(10〜100バール)の圧力下で、水素/原料比を100〜2000NL/lにして行うことができる。

0070

脱カルボニル化または脱カルボキシル化は100〜550℃の温度、0.1MPa〜10MPa(1〜100バール)の圧力下、水素/原料比を0〜2000NL/lにして行うことができる。

0071

本発明の好ましい実施形態では、非環状パラフィンは下記の方法で製造できる:
(I')油脂を加水分解してグリセロールと脂肪酸にし、グリセロールを除去、
(I'')油脂の物理的精製(蒸気蒸留または真空蒸留を含む)、
(I''')石鹸の酸性化、および
(II)脂肪酸の水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化(この水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化は水素と、好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアまたはその混合物に担持された触媒相としてのNi、Co、Moまたはその混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoW、CoMoW酸化物または硫化物、または、高表面積炭素、マグネシア、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト)、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたはその混合物に担持された第10族金属(Ni、Pt、Pd)、第11族金属(Cu、Ag)または合金混合物の中から選択することができる少なくとも1種の触媒の存在下で行う)

0072

本発明の別の好ましい実施形態では、非環状パラフィンは下記の方法で製造することができる:
(I')油脂を加水分解してグリセロールと脂肪酸にし、グリセロールを除去、
(I'')油脂の物理的精製(蒸気蒸留または真空蒸留を含む)、
(I''')石鹸の酸性化、
その後に、
(II)脂肪酸の脱カルボキシル化(この脱カルボキシル化はバルク材料としてまたは中性または塩基性担体上に分散させた塩基性酸化物、例えばアルカリ性酸化物、アルカリ土類酸化物ランタニド酸化物、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト)上で行うか、塩基性ゼオライト交換または含浸によって得られるアルカリまたはアルカリ土類低シリカ/アルミナゼオライト)上で行う)

0073

本発明の別の好ましい実施形態では、非環状パラフィンは下記の方法で製造することができる:
(I)油脂をグリセロールと脂肪酸に加水分解し、グリセロールを除去し、
(II)脂肪酸を液相と脂肪酸を含有する固体相とに分画し、
(III)脂肪酸を脱酸素化、水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化する(この水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化は水素と少なくとも1種の触媒の存在下で行う。触媒は、好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアに担持された触媒相としてCo、Ni、Moおよびその混合物、NiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoW、CoMoW酸化物や硫化物、または、高表面積炭素、マグネシア、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト)、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたはその混合物に担持された第10族金属(Ni、Pt、Pd)、第11族金属(Cu、Ag)または合金混合物の中から選択することができる)

0074

本発明の別の好ましい実施形態では、非環状パラフィンは下記の方法で製造することができる:
(I)油脂をグリセロールと脂肪酸に加水分解し、グリセロールを除去し、
(II)脂肪酸を液相と脂肪酸を含有する固相とに分画し、
(llla)固相からの脂肪酸を中和して石鹸を形成し、
(lllb)石鹸を酸性化して脂肪酸を形成し、その後
(IV)脂肪酸を脱炭カルボキシル化する(この脱炭カルボキシルは、バルクの形または中性または塩基性担体上に分散した塩基性酸化物、例えばアルカリ金属酸化物アルカリ土類金属酸化物、ランタニド酸化物、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト)上、塩基性ゼオライト(例えば、交換または含浸によって得られるアルカリまたはアルカリ土類低シリカ/アルミナゼオライト)上で行う)

0075

上記で述べたように、炭化水素流(B)は3〜4個の炭素原子を有する炭化水素またはその混合物を含むことができる。従って、本発明は、第2の態様として、以下の工程:
(a)少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも90重量%含む非環状パラフィン流(A)を用意し、
(b)3〜4個の炭素原子を有する炭化水素またはその混合物の流れ(B)を用意し、
(c)非環状パラフィン流(A)と上記の炭化水素流(B)とを混合して原料混合物を形成し、好ましくは原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量を0.1重量%以上にし、
(d)上記原料混合物を、1kgの原料混合物当たり0.25〜0.5kgのスチームとある比で、スチームでスチームクラッキングして上記定義のクラッキング製品を得る、
を含み、工程(d)は、炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングするのに使用するスチーム/炭化水素比に対してその比が110以下になり、炭化水素流(B)のみをスチームクラッキングするのに使用するコイル出口温度に対してコイル出口温度を102以下にして行うことを特徴とする、スチームクラッキングによって高価値の化学物質を製造する方法を提供する。

0076

本発明の好ましい実施形態では、工程(a)の非環状パラフィンは脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリドの水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化によって製造される。

0077

本発明の好ましい実施形態では、非環状パラフィン流(A)は少なくとも12個の炭素原子を有する成分を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%含む。特に、少なくとも12個の炭素原子を有する成分を非環状パラフィン流(A)の総量に対して少なくとも98重量%含む。

0078

非環状パラフィン流(A)中に含まれるパラフィンは12〜25個の炭素原子、好ましくは12〜20個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子を有しており、非環状パラフィン流(A)中に上記範囲内で存在しているのが好ましい。

0079

本発明の好ましい実施形態では、本発明方法の工程(d)で得られた分解生成物がエチレン、プロピレン、ベンゼン、水素、トルエン、キシレンまたは1,3−ブタジエンの1つまたは複数をさらに含んでいてもよい。

0080

本発明の好ましい実施形態では、得られた分解生成物中のエチレン/メタン重量比は1.8以上である。

0081

本発明の好ましい実施形態では、原料混合物は、1kgの原料混合物当たり0.25〜0.451kg、好ましくは0.35kgのスチーム率となる比で、スチームと混合できる。

0082

本発明の好ましい実施形態では、コイル出口温度は810から875℃、好ましくは820〜870℃、好ましくは825〜860℃まで、より好ましくは835℃〜850℃の範囲にある。このコイル出口温度は本発明方法によって製造される分解生成物中の高価値化学物質の含有量に影響を及ぼす。例えば、上記のコイル出口温度、特に825℃〜860℃、好ましくは830℃〜850℃の範囲のコイル出口温度でスチームクラッキングを運転すると、本発明の方法で得られる分解生成物中のベンゼンの含有量が増加する。

0083

本発明の好ましい実施形態では、滞留時間は0.05〜0.5秒、好ましくは0.1〜0.4秒の範囲にすることができる。

0084

本発明の好ましい実施形態では、原料混合物中の非環状パラフィン流(A)の重量含有量は0.1〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは2〜75重量%、さらに好ましくは3〜50重量%、最も好ましくは5〜25重量%の範囲にある。

0085

本発明の好ましい実施形態では、非環状パラフィンは脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリグリセリドの水素脱酸素化、脱カルボニル化または脱カルボキシル化で得ることができる。

0086

化学成分の特徴付け
試薬および生成物の分析自体は当業者に公知である。特に、製品の沸点はASTM規格D86を使用して測定される。また、種々の流れの組成はASTM規格D5443で特徴付けられる。追加情報は周知のPIONA分析で得られる。このPIONA分析はn−パラフィン、i−パラフィン、n−オレフィン、i−オレフィン、c−オレフィン、ナフテンおよび芳香族(PIONA)を決定するための標準化されたガスクロマトグラフィー技術である。C10より重い分子の場合には、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテンの含有量はUOP990の方法を用いて決定される。さらに、混合物の完全な特性はJournal of Chromatographic Science, Vol. 45, November/December 2007 pages 643-649に記載の方法に従ってASTM規格D2425とGCxGCまたはLC−GCxGCと組み合わせて決める。

0087

スチームクラッキングの一般的手順
スチームクラッカーは下記(i)〜(iii)の主要な3つのゾーンに分けることができる複雑な工業設備で、各ゾーンは極めて特定の機能を有する複数のタイプの機器を有している。
(i)熱分解炉またはクラッキング炉、冷却交換機クエンチループを含むホットゾーン
(ii)分解ガスコンプレッサ、精製・分離カラムドライヤーを含む圧縮ゾーン
(iii)コールドボックス脱メタン塔、冷間分離列の分別塔、C2およびC3コンバータ、ガソリンハイドロ安定化リアクターを含むコールドゾーン
炭化水素のクラッキングは直接加熱炉(炉)中の管状反応器中で行われる。種々の管寸法および構造のコイル管、例えばU字管または直管レイアウトを使用することができる。チューブの直径は1〜4インチの範囲である。各炉は変換ゾーン廃熱回収される)と輻射ゾーン(熱分解が起こる)から成る。原料混合物を変換ゾーンで約530〜650℃に予熱するか、原料を変換セクションで予熱した後に希釈スチームと混合してから輻射ゾーンに流す。輻射ゾーンでは上記の800〜900℃のコイル出口温度で熱分解が行われる。その滞留時間は0.01〜1秒で、これは原料の種類、所望分解度に応じて変化する。ナフサのスチームクラッキングの場合、コイル出口温度は少なくとも820℃で、スチーム/炭化水素比は0.6である。一方、ガスオイルの場合には、急速なコークス化を避けるために、スチーム/炭化水素比を大きくし、コイル出口温度を下げる必要がある。既に述べたように、有利な実施形態での滞留時間は0.05〜0.5秒、好ましくは0.1〜0.4秒である。スチーム/原料混合物の重量比は0.25〜0.5kg/kg、好ましくは0.30〜0.45kg/kg、好ましくは0.35〜0.4kg/kgである。スチームクラッキング炉の過酷度(severity)は温度、滞留時間および炭化水素圧力度によって調節することができる。コイル出口圧力は750から950ミリバール、好ましくは800〜900ミリバール、より好ましくは約850ミリバールである。コイル中での原料の滞留時間および温度は一緒に考慮しなければならない。コークス形成速度が最大許容過酷度(severity)を決定する。運転圧力を低くすると軽質オレフィンの形成が用意になり、コークスの形成が減る。可能な最低圧力は(i)コイルの出口圧力が分解ガス圧縮機の吸入部でできる限り大気圧を維持し、(ii)スチームで希釈して炭化水素の圧力を低下させる(これによってコークス形成速度を実質的に遅くできる)ことによって達成される。スチーム/原料混合物重量比はコークスの形成を制限するのに十分なレベルに維持する。

0088

熱分解炉からの流出物中には未反応原料、所望オレフィン(主としてエチレンとプロピレン)、水素、メタン、C4混合物(主としてイソブチレンとブタジエン)、熱分解ガソリン(C6〜C8範囲の芳香族化合物)、エタン、プロパン、ジオレフィンアセチレンメチルアセチレンプロパジエン)および燃料油の温度範囲沸騰する重質炭化水素(熱分解燃料油)が含まれる。この分解ガスを338〜510℃に急冷して熱分解反応を停止し、続く反応を最小限に抑え、並列伝達ライン熱交換器TLE)中に高圧スチームを発生させることによってガス顕熱を回収する。気相原料をベースにしたプラントでは、TLE−急冷ガス流は急速水冷に直接送られ、そこで循環する冷水でガスがさらに冷却される。液相原料をベースにしたプラントでは、急速水冷塔の前に予備分別装置(prefractionator)で凝縮を行って分解ガスから燃料油留分を分離する。いずれのタイプのプラントでも、分解ガス中の希釈スチームと重質ガソリンの主要部分が35〜40℃の急速水冷塔で凝縮される。次いで、水冷されたガスは4または5段階で約25〜35バールに圧縮される。各圧縮段階の間に凝縮水軽質ガソリンが除去される。分解ガスは苛性溶液または再生アミン溶液洗浄され、さらに、苛性溶液で洗浄されて酸性ガス(CO2、H2SおよびSO2)が除去される。圧縮された分解ガスは乾燥剤で乾燥され、プロピレンおよびエチレン冷媒で極低温に冷却されて製品分別(フロントエンド脱メタン、フロントエンド脱プロパンまたはフロントエンド脱エタン)される。

0089

フロントエンド脱メタンの形態では、最初に脱メタン塔で約30バールでC2+成分からテールガス(CO、H2およびCH4)が分離される。その塔底生成物脱エタン塔へ送られ、その塔頂生成物はアセチレン水素化装置で処理され、さらにC2分割カラムで分画される。脱エタン塔の塔底生成物は脱プロパン塔へ送られ、その塔頂生成物はメチルアセチレン/プロパジエン水素化装置で処理され、さらに、C3分割カラムで分画される。脱プロパン塔の塔底生成物は脱ブタン塔へ送られ、そこで熱分解ガソリン留分からC4が分離される。この分離シーケンスではC2流およびC3流に水素化に必要なH2が外部から追加される。これに必要なH2は一般にテールガスから回収される(残留COのメタン化、さらには圧力スイング吸着ユニットでの濃縮)。スチームクラッカーで通常使用されるフロントエンド脱プロパン構成はガス原料をベースにしたものである。この構成では、第三段圧縮段階後に酸性ガスを除去した後に、脱プロパン塔でC4+からC3とより軽質成分を分離する。この脱プロパン塔の塔頂成分は約30〜35バールに4段圧縮される。C3−カット中のアセチレンおよび/またはジエン留分はその中に存在しているH2によって触媒水素化される。さらに水素化して軽質ガス流は脱メタン化、脱エタン化され、C3分割される。脱エタン塔の底部生成物をC3分割することもできる。別の変形構成では、C3−塔頂成分を最初の脱エタン化し、上記のようにC2処理し、C3はC3アセチレン/ジエン水素化装置およびC3分割カラムで処理する。脱プロパン塔のC4+塔底成分は脱ブタン化して熱分解ガソリンからC4を分離する。

0090

フロントエンド脱エタン分離シーケンスには2つのバージョンがある。生成物分離シーケンスはフロントエンド脱メタン化と同じであり、フロントエンド脱プロパン分離シーケンスは第3段圧縮段階と同じである。最初にガスを約27バールで脱エタン化してC3+からC2-を分離する。その塔頂C2-流を接触水素化ユニットに送り、そこで、このC2-流中のアセチレンを選択水素化する。水素化した流れを極低温に冷却し、約9〜10バールの低圧で脱メタン化してテールガスを除去する。塔底C2流を、塔頂エチレン生成物とリサイクル用塔底エタン流とに分割する。それと並行して、フロントエンド脱エタン塔からの塔底C3+流を脱プロパン塔で製品分離処理し、その塔頂生成物をメチルアセチレン/プロパジエン水素化ユニットで処理し、さらにC3分割カラムで分画する。脱プロパン塔の塔底生成物は脱ブタン塔へ送り、熱分解ガソリン留分からC4を分離する。

0091

フロントエンド脱エタン化分離のより新しいバージョンでは、3段の圧縮段階の後に分解ガスを苛性洗浄し、予冷し、次いで約16〜18バールの頂部圧で脱エタン化する。次の段階でネット塔頂流(C2−)を約35〜37バールにさらに圧縮する。それを触媒変換器に送って流れに残っている水素でアセチレンを水素化する。この水素化後に流れを冷却し、脱メタン化してC2塔底流からテールガスを除去する。C2は、通常はカラム還流凝縮にプロピレン冷媒を使用する19〜24バールの高圧C2スプリッターの代わりに、9〜10バールの圧力で運転される低圧カラムで分割する。この低圧C2スプリッター分離方式では、オーバーヘッド冷却と圧縮システムヒートポンプオープンサイクルエチレン冷凍回路に組み込まれる。エチレン生成物がエチレン冷凍再循環システムパージ流になる。

0092

C2スプリッターのエタン塔底物はスチームクラッキングへ戻されて再利用される。市場価格に応じてプロパンを再クラッキングしてもよい。再循環炉の一つが脱コークス化している間でもプラントを連続運転するためにリサイクルスチームクラッキングを2つ以上の専用の熱分解炉で行う。

0093

上記の形態には多くの他の変形方法が存在する。特に、エチレンおよびプロピレンカットから望ましくないアセチレン/ジエンを除去するようにする。スチームクラッキングには触媒を有していないので、スチームクラッキングではFCC流動床接触分解)のように触媒を参照することはない。接触分解では炭化水素原料を触媒の存在下でクラッキングする。

0094

脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの熱化学的処理の一般的手順
脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドは天然油脂または生物学的に産生される脂肪酸またはその誘導体(植物油および動物性脂肪、好ましくは非食用飽和油食品廃棄物、植物油精製の副産物、これらの混合物の中から選択することができる)から作るか、あるいは、生体材料、CO2または化石炭化水素から脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドをオンパーパスで生物学的に生産する。脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドは天然油脂または生物学的に産生した脂肪酸またはその誘導体を物理的および/または化学的に精製前処理することによって得ることができる。物理的精製とアルカリ/化学精製は主として遊離脂肪酸の除去方法相違する。化学的精製では遊離脂肪酸、大部分はリン脂質と他の不純物がアルカリ性溶液、通常はNaOHを用いた中和時に除去される。物理的精製では遊離脂肪酸が脱臭中に蒸留によって除去される。リン脂質、その他の不純物は油脂の水蒸気蒸留の前に除去しなければならない。

0095

好ましくは天然油脂または生物学的に生産された脂肪酸またはその誘導体を物理的および/または化学的精製の前処理をして得た脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドは直鎖の飽和パラフィンを得るために熱処理することができる。その脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドを軽質オレフィン、ジエンおよび芳香族化合物を生成するために本発明のスチームクラッキングの原料として使用する非環状パラフィンに変換する方法には下記の種々のオプションが存在する。
(i)触媒水素脱酸素化、
(ii)触媒脱カルボニル化または脱カルボキシル化、または
(iii)脂肪酸石鹸の熱脱カルボキシル化。

0096

最初のオプションは水素脱酸素化で構成され、油脂からの酸素原子を除去する。これは脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドに対して行うことができる。この水素脱酸素化は連続固定床反応器連続撹拌タンク反応器またはスラリー型反応器中で行うことができる。反応器にはNi、Mo、Coおよびこれらの混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoWおよびCoMoW酸化物または硫化物の中から選択できる固体触媒、好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニアまたはジルコニアおよびその混合物に担持された触媒、高表面積炭素、マグネシア、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、(ゾノトライト)、珪酸カルシウム、アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナまたは後その混合物に担持された第10族金属(Ni、Pt、Pa)または第11族金属(Cu、Ag)またはその合金混合物の触媒を入れる。触媒活性相の支持体酸性度が低い、好ましくは中性または塩基性担体にして、分枝パラフィンを生じさせる水素存在下での高温高圧下水素異性化反応およびクラッキングを避けるのが好ましい。温度範囲は200〜500℃、圧力は1MPa〜10MPa(10〜100バール)、水素/脂肪酸またはそのモノ−、ジ−またはトリ−グリセリド原料比は100〜2000Nm3/液体m3である。最適性能および安定した連続運転のためには、Moおよび/またはCoを使用する場合、触媒の活性金属成分は硫化物の形態にするのが好ましい。

0097

微量の分解可能な硫黄化合物が存在するか、硫化物状態の金属硫化物を維持するために原料に意図的に添加するのが好ましい。硫黄化合物の例としてはH2S、COS、CS2、メルカプタン(例えばメチルスルフィド)、チオ−エーテル(例えばジメチル)、ジスルフィド(例えばジメチルジスルフィド)、チオフェンテトラヒドロチオフェン化合物が挙げられる。水素脱酸素化条件下では複数の反応が起こる。最も容易な反応はアルキル鎖中の二重結合の水素化である。C−O結合から酸素原子を除去する反応は困難な反応である。脂肪酸のカルボキシル基とグリセロール単位のヒドロキシル基の両方が水素脱酸素化される。その結果、脂肪酸から直鎖パラフィンが生成し、グリセロールからプロパンが生じる。条件(触媒、温度、水素塔)に応じて、カルボキシル基が分解してCO/CO2が生じ(脱カルボニル化および脱カルボキシル化)、それをさらにメタンに水素化することもできる。脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの水素脱酸素化をナフサおよび/またはガスオイルの存在下で行って後者の水素化処理を同時に行うこともできる。水素化処理は水素脱硫(hydrodesulfurisation)、水素脱窒素化(hydrodenitrogenation)、水素脱金属化(hydrodemetallization)および、水素脱芳香族化(hydrodearomatisationで)で構成される。これらの水素脱酸素化および水素化処理は大量の水素を消費する。

0098

第2のオプションは、脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの脱カルボニル化および脱カルボキシル化で構成される。脂肪酸は油脂から物理的精製(水蒸気蒸留/真空蒸留)によって、トリグリセリドの(水蒸気)分割によって、または酸を用いた石鹸の分割(酸性化)によって得ることができる。脱カルボニル化または脱カルボキシル化はバッチ式槽型反応器、連続固定床型反応器、連続撹拌タンク反応器またはスラリー型反応器中で固体触媒の存在下に行うことができる。触媒は好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニアまたはジルコニア上に担持された触媒相としてのNi、Co、Moまたはその合金混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoWおよびCoMoW酸化物または硫化物の中から選択することができ、あるいは、高表面積炭素、マグネシア、酸化亜鉛、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウワ(ゾノトライト等)、アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナまたは後者の混合物上に担持された第10族金属(Ni、Pt、Pd)および第11族金属(Cu、Ag)から選択することができる。触媒活性相の支持体は分枝鎖パラフィンおよびクラッキングの原因となるハイドロ異性化反応を避けるために酸性度が低い、好ましくは中性または塩基性であるのが好ましい。脱カルボキシル化を塩基性酸化物または塩基性ゼオライト(交換または含浸によって得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属低シリカ/アルミナゼオライト等)上で行うこともできる。塩基性酸化物としてはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ランタニド酸化物、亜鉛酸化物、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト等)が挙げられ、これらはバルク材料または中性または塩基性担体上に分散されていてもよい。

0099

脱カルボキシル反応に水素は必要としないが、脱カルボニル化は水素の存在下で行うのが好ましい。すなわち、水素は(例えば脱カルボニル化が優勢反応経路である場合には)水素付加反応によって触媒表面から水素付加反応によって触媒表面から不飽和種を強く吸着除去するので触媒活性を安定化させる。水素の存在はさらに、脂肪酸中のアシル部分に存在する二重結合を水素化するので、脱カルボニル化または脱カルボキシル化プロセスによってパラフィン反応生成物を得ることができる。脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの脱カルボニル化または脱カルボキシル化は水素の存在下で100〜550℃の温度、0.01〜10MPaの圧力下で行うことができる。水素/原料比は0〜2000NL/lにすることができる。脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの脱カルボニル化または脱カルボキシル化をナフサおよび/またはガスオイルの存在で行って後者の水素化処理を同時に行うことも好ましい。水素化処理は水素脱硫、水素脱窒素化、水素脱金属化および、水素脱芳香族化で構成される。

0100

脂肪酸またはそのモノ−、ジ−、トリ−グリセリドの熱化学的処理を水素の存在下で、好ましくは高表面積炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアまたは後者の混合物上に支持された触媒相としてのNi、Mo、Coおよびこれらの混合物、例えばNiW、NiMo、CoMo、NiCoW、NiCoMo、NiMoWおよびCoMoW酸化物または硫化物、または、高表面積炭素、マグネシア、酸化亜鉛、スピネル(Mg2Al2O4、ZnAAl2O4)、ペロブスカイト(BaTiO3、ZnTiO3)、珪酸カルシウム(ゾノトライト等)、アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナおよび後者の混合物上に支持された第10族金属(Ni、Pt、Pd)、第11族金属(Cu、Ag)またはその合金混合物の中から選択される触媒上で行う場合、触媒の種類と運転条件に依存して、種々の酸素除去反応、水素脱酸素化、脱カルボニル化および脱カルボキシル化が同時に起こることがある。

0101

非環状パラフィンを得るための第3のオプションは、脂肪酸石鹸の熱脱カルボキシル化である。石鹸は脂肪酸の中和による化学精製、精製トリグリセリドと石鹸の製造、グリセリドの(スチーム)分割後に得られる油脂の中和、塩基性酸化物または塩基性水酸化物を用いたグリセリドの直接鹸化、石鹸とグリロールの製造で得ることができる。脱カルボキシル化はアルカリ水酸化物を用いて加圧熱水中での脂肪酸の分解で行われてきたが、アルカンとCO2が生じる。桐油カルシウム石鹸が蒸留によって分解することは1947年から報告されている。好ましい石鹸はアルカリ、アルカリ土類金属、ランタニド亜鉛またはアルミニウムカチオンからなるものである。石鹸の熱脱カルボキシル化は溶融石鹸が対応パラフィンまたはオレフィンおよび対応金属炭酸塩または金属酸化物水酸化物とCO2に分解するまで加熱することで実施できる。この石鹸の熱分解は液体、超臨界または蒸気状水の存在下で行うのが好ましい。

0102

本発明の特定の実施形態では、非環状パラフィンを予備処理済みの固体脂肪酸から得ることができる。
図1a]〜[図1b]は脂肪酸を液体画分固体画分とに分離する実施形態を示している。分別(fractionation)すなわち「乾式分別」または「ドライ脱蝋(dry winterization)」は制御された結晶化と、溶媒の使用またはドライ処理(脱蝋、dewaxingともよばれる)とを含む分離方法を用いた固体除去操作である。これでは融点の違いによって石油留分を分離する。この分別プロセスは2つの主要段階を有し、その第1段階が結晶化である。溶融した油脂またはその溶液の温度を下げると結晶が成長する。その最終または分離温度での溶解度が形成された結晶および母液脂肪酸組成を決定する。分別の第2段階が分離プロセスである。いくつかのオプションがあり、真空フィルタ遠心分離機円錐スクリーンスクロール遠心分離機、油圧プレス膜フィルタープレスデカンタ等があるが、それぞれ利点と欠点を有している。分別を保管中または輸送中に自然に行わせることもでき、それが乾式分別プロセスの基礎である。このプロセスは最も古いタイプのプロセスで、分離方法が着実に改善しているため、製品品質の点で他の高価なプロセス、例えば溶剤洗剤を使用する分別に対して競争力がある。分別を溶媒、例えばパラフィン、アルキルアセテートエーテル類ケトン類アルコール類または塩素化炭化水素の存在下で行うこともできる。溶媒の使用は結晶化を促進し、スラリーがハンドリングできなくなる前に多くの材料を結晶化できる。「分別結晶」という用語は本明細書では「ドライ脱蝋(dry winterization)」、「乾式分別」および「溶剤分別」を含む用語である。

0103

分別処理で得られた固体脂肪酸は、水素脱酸素化、脱カルボニル化または触媒脱カルボキシル化(図1a)または脂肪酸石鹸の熱脱カルボキシル化(図1b)によって非環状パラフィンに変換できる。水素脱酸素化、脱カルボニル化、脱カルボキシル化および熱脱カルボキシル化は上記で説明した。

0104

図1a]は、分別を実施する本発明方法の特定実施形態を示している。油脂26を加水分解してグリセロール27と脂肪酸混合物28とを回収する。脂肪酸混合物28を分別結晶化して分別21して固相22と液相23とに分ける。固相22は水素脱酸素化セクション30または脱カルボニル化セクション/脱カルボキシル化セクション31へ送り、そこで非環状パラフィン35、36に変換する。この非環状パラフィンを化石LPG、ナフサまたはガスオイル40とブレンドし、得られたブレンドをスチームクラッキング50する。スチームクラッキングした製品は冷却、圧縮、分画、精製51される。分別結晶で得られた液相23はバイオディーゼル生成セクション25へ送られる。

0105

別の実施形態(図1b)では、油脂126が加水分解され、グリセロール127と脂肪酸混合物128とが回収される。脂肪酸混合物128は分別結晶化121されて固相122と液相123の画分が得られる。固相122の遊離脂肪酸を中和して石鹸131を製造する。この石鹸を脱カルボキシル化セクションへ送って、非環状パラフィン135と金属炭酸塩またはC02136とに変換する。非環状パラフィン141は化石LPG、ナフサ、ガスオイル140とブレンドされ、ブレンド物がスチームクラッキング150される。分別結晶で得られた液相123はバイオディーゼル生成セクション25へ送られる。

0106

図1c]に示す実施形態では、油脂が減圧蒸留または水蒸気蒸留210によって物理的に精製されて、混合脂肪酸212(塔頂生成物)とトリグリセリド211(底部生成物)とが回収される。オプションでは油脂221を加水分解して混合脂肪酸222とグリセロール223とを製造する。混合脂肪酸の品質を改善するためにアシル部分の二重結合を水素化するか、加水分解の前に油脂を水素化して残留する二重結合を除去し、それを加水分解工程221へ送ることができる。混合脂肪酸は水素脱酸素化セクション230へ送り、そこで非環状パラフィン236に変換するか、脱ガルニル化/脱カルボキシル化セクション231へ送って非環状パラフィン235に変換する。非環状パラフィン241は化石LPG、ナフサ、ガスオイル240とブレンドされ、スチームクラッキング250される。スチームクラッキングされた製品は冷却、分画、圧縮、精製251される。

0107

図1d]は本発明の他の特定実施例の方法を示し、油脂が減圧蒸留または水蒸気蒸留310によって物理的に精製され、塔頂生成物として混合脂肪酸312を回収し、底部生成物としてトリグリセリド311を回収する。遊離脂肪酸321を含んでいてもよい油脂あるいは物理的に精製されたトリグリセリド320のいずれも水素脱酸素化セクションに送って非環状パラフィン335とバイオプロパン330とに変換する。この非環状パラフィン341およびバイオプロパン343を化石LPG、ナフサ、ガスオイル340とブレンドし、スチームクラッカー350へ送る。スチームクラッキング済みの製品を冷却、分画、圧縮、精製351する。

0108

さらに別の実施形態(図1e)では、油脂を鹸化521して石鹸522とグリセロール523とを回収する。オプションとして、油脂を加水分解して混合脂肪酸とグリセリンを生成することもできる。あるいは、原料油脂524の化学的精製工程時の中和工程時に石鹸525を得ることもできる。別のソースとして、脂肪酸528とグリセロール527とを得る、油脂526の(スチーム)分割で得られる脂肪酸の中和529で石鹸530を得ることもできる。油脂は水素化して残留する二重結合を除去してから鹸化行程521または加水分解行程526へ送る。石鹸を脱カルボキシル化セクション531へ送って、非環状パラフィン535と金属炭酸塩またはCO2536とに変換する。非環状パラフィン541を化石LPG、ナフサ、ガスオイル540とブレンドし、スチームクラッキング550する。スチームクラッキング済みの生成物は冷却され、圧縮され、分別および精製551される。

0109

図1f]は本発明のさらに別の特定実施例を示す。油脂を物理的および/または化学的に精製(上記の各図を参照)して、生成物として混合脂肪酸と、モノ−、ジ−またはトリ−グリセリド610とを回収する。これらの脂肪酸、モノ−、ジ−またはトリ−グリセリドおよびその任意の混合物621を、化石ナフサおよび/またはガスオイル留分620と一緒に、共通熱化学的処理セクションへ送り、そこで水素化処理、水素脱酸素化、脱カルボニル化および/または脱カルボキシル化して、実質的に非環状パラフィン631とバイオプロパン630とに変換する。この場合には、化石ナフサおよび/またはガスオイル留分が同時に水素化処理[水素脱硫黄化(hydrodesulfurisation)、水素脱窒素化(hydrodearomatisation)および/または水素脱金属化(hydrodemetalisation)を含む]される。その結果得られる実質的に非環状パラフィンと、水素処理された化石ナフサおよび/またはガスオイル641とのブレンド(バイオプロパン643を含むこともある)は、化石LPG、ナフサ、ガスオイル640とブレンドされ、スチームクラッカー650へ送られる。スチームクラッキングされた生成物は冷却、圧縮、精製651される。

0110

図1a]〜[図1f]に記載の方法に従って得られた生成物またはその任意の組合せ物は主成分として軽質オレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン)、ジエン(ブタジエン、イソプレン、(ジ)シクロペンタジエンおよびピペリレン)、芳香族化合物(ベンゼン、トルエンと混合キシレン)を含む。さらに、メタン、エタンおよびプロパンを得ることもできる。

0111

実施例1
SPYROシミュレーション
ナフサ、直鎖飽和パラフィン、飽和イソパラフィンすなわち分岐鎖飽和パラフィンおよびナフサと非環状パラフィンとの混合物のスチームクラッキングをSPYROソフトウェアで評価し、生成物分布シミュレートした。参照ナフサも評価した。このナフサ(ナフサ1という)のPIONA分析結果を[表1]に示す。

0112

0113

運転条件と、純粋ナフサ1、純粋n−C15、イソC15およびナフサ1とn−C15との各種混合物をスチームクラッキングして得られた生成物の結果は[表2]に示した。

0114

0115

イソC15は15個の炭素を有する多分岐非環状パラフィンの混合物である。[表2]から分かるように、SPYROシミュレーションでは非環状直鎖パラフィン(nC15)のスチームクラッキングによってナフサまたはスチームクラックされた多重分岐鎖イソパラフィンよりもエチレンの含有量か多いものが生成される。さらに、全ての高価値化学物質(エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼンおよび水素)の総量が直鎖パラフィンの場合より実質的に高くてる。直鎖パラフィンはメタンおよびC9+成分の生成が少ない。SPYROシミュレーションによると、ナフサと非環状直鎖パラフィンとの混合物はナフサ1単独の場合と比較して、エチレンおよびプロピレンの含有量の高いものになる。全てのブレンドでHVC収量および最終HVC(ultimate HVC)(エタンを炉に再循環した後、エチレンで80%収率と仮定)はナフサ1単独の場合よりも高い。全てのブレンドでエチレン/メタン比はナフサの場合より高く、ここでは1.7である。さらに、各ブレンドのC9+成分が高くなることはない。HVC単位当たり照射セクションの熱デューティー直鎖状パラフィンとのブレンドの場合より低く、12炭素以上である。

0116

実施例2、3
種々の原料混合物(ナフサのみ、ナフサと熱化学処理されたヤシ油またはジャトロファ油との50/50重量混合物)を用いてパイロットスチームクラッカーの試験を行った。このテストで使用した粗パーム油および粗ジャトロファ油の組成を[表3]に示す。

0117

0118

パーム油の水素化脱酸素化(hydrodeoxygenation)は予備硫化した市販のCoMo触媒を用い、1.5時間-1の液空間速度で、約338℃の温度で、4MPaの圧力下で、水素/油比=1500NL/lで行った。得られた水素化脱酸素化後のパーム油は主としてn−C14〜n−C18で構成され、約100〜600重量ppmの酸素を含んでいた。
ジャトロファ油の水素化脱酸素化は予備硫化した市販のNiMo触媒に1000重量ppmの硫黄(DMDSとして)をドープし、300〜360℃の温度で、1.85時間-1の液空間速度で、6MPaの圧力下で、水素/ジャトロファ油比=1050NL/lで行った。製品中の残存酸素は常に300重量ppm以下であり、基本的にC15〜C18直鎖パラフィンを含む。
スチームクラッキングは850ミリバールの圧力で、水/炭化水素の重量比=0.4で、滞留時間=約0.25秒で実施した。実施例2は本発明に従ったもので、ナフサと熱化学処理済みパーム油との50/50重量混合物をスチームクラッキングしたものである。実施例3は熱化学処理したジャトロファ油と典型的ナフサ(ナフサ3)との30/70重量ブレンドをスチームクラッキングしたものである。ナフサ3のPIONA分析値は[表3]に示した。

0119

0120

[表4]の実施例2と実施例3では、ナフサ単独をスチームクラッキングするのに代えて、実質的に非環状パラフィンとナフサとの混合物をスチームクラッキングした時にはエチレン、1,3−ブタジエンまたはエタンの量が増加し、メタンの量が減少することを示している。HVCの総収量および最終HVCは大幅に向上し、エチレン/メタン比は化石ナフサを用いて得られた比率よりも常に高い。

0121

0122

実施例4
この実施例4では、所定ナフサ、例えばナフサ1(その組成は[表1]に示した)に非環状パラフィンを添加すると、予想しえないことに、低品質ナフサ、例えばナフサ2(その組成物は[表5]を参照)または重質ガスオイル留分を追加する余裕が生まれること、すなわち、そうしたナフサをスチームクラッキングするとHVCの量を多く製造できるということを示す。換言すれば、非環状パラフィンを添加すると、運転条件を一定に維持したまま、且つ、HVC生産量を一定に保って、低品質ナフサを他の高品質ナフサとの組み合わせに高価値化することができる。

0123

0124

ナフサ2は[表5]からわかるように17重量%のC9+を含む。一方、ナフサ1は3.3重量%のC9+しか含まない。従って、ナフサ2はナフサ1より重質化合物の含有量が多い。ナフサ2を同じ運転条件下でスチームクラッキングすると、エチレンとプロピレンの生産量はナフサ1の場合より低い。さらに、スチームクラッキング中のC9+重質生成物の量が増加し、単位HVC当たりの熱デューティーが高くなる。ナフサ2はナフサ1より品質が劣るので市場では安価である。
本発明では、[表6]から分かるように、炭素原子数が12以上の非環状の実質的に直鎖のパラフィンを使用することで、高品質のナフサ1の一部を低品質のナフサ2で置換でき、そうしてもメタンまたはC9+重質物の生成量が実質的に増えない。また、エチレン/メタン比はナフサ1だけの場合より高く、単位HVC当たりの熱熱デューティーはナフサ1だけの場合に必要なものより低い。

0125

0126

従って、本発明はさらに、通常ナフサに非環状の実質的に直鎖のパラフィンを混合することができ、さらには低品質のナフサを加えることで、スチームクラッカーの性能を維持したまま、あるいは、スチームクラッカーの性能を向上させると同時に、スチームクラッキング原料を提供することができる。また、HVCの含有量を向上させながらスチームクラッカーの性能を改善できる。同様の結果はナフサ2をガスオイルで置換した場合にも得られるであろう。
この実施例は、ほとんど全ての酸素原子を除去するための熱化学処理をし、12個以下の炭素原子を有する基本的に直鎖のパラフィンを化石ナフサとブレンドし、そのブレンドを化石ナフサ単独の場合に使用される典型的な条件下でスチームクラックキングすることによって、生物学的に生産された脂肪酸、モノ、ジまたはトリグリセリドから高価値の化学物質を製造するための技術的解決方法が発見されたということを示すものである。ナフサクラッキング条件下で重質物(C9+)が過剰に生じることはなく、エチレン/メタン比はアルミナ結合剤上の化石ナフサ単独の場合よりも高くなる。

0127

実施例5
ナフサとバイオ原料との混合物
実施例3のパーム油(以下、非異性化バイオ原料という)の水素化脱酸素化で異性化して「異性化バイオ原料」を得る。この異性化はアルミナバインダーを用いた白金SAPO−11触媒を用い、垂直下降プラグフロー反応器を使用して355℃の温度、4.0MPaの圧力下、H2/HC比=2000NL/L、WHSV=0.5h-1で実施した。ユニットの出口で液体からガスを除去した。異性化生成物の主要特性は以下の[表7]に示す。

0128

0129

実施例3の水素化脱酸素化後のパーム油のASTM規格D5771に従って測定した曇点は17℃である。それを15℃での密度が0.6527g/mLである軽質ナフサと種々の濃度で混合した。また、実施例3のパーム油も同じ軽質ナフサと種々の濃度で混合した。得られた各種混合物の曇点値は以下の[表8]に示す。

0130

実施例

0131

軽質ナフサ中の含有量が50重量%の非異性化バイオ原料を用いた場合の、混合物の曇点は−6℃で、これは貯蔵設備またはパイプ輸送設備にヒーターを付ける投資をせずプラントを使用できる最大値である。
明細書中で使用した用語および説明は例示として記載したもので、本発明を限定するためのものではない。当業者は本発明の精神および特許請求の範囲およびその均等物の範囲で種々変更を行うことができることは理解できる。全ての用語は、特に断わらない限り、その最も広い意味で理解すべきである。従って、上記の説明を読み、理解すれば他の変更および改良ができる。特に、上記で説明した寸法、材料、他のパラメータは用途のニーズに応じて変えることができる。

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