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課題・解決手段
本発明は、セメント、プラスターまたはモルタル組成物中でセルロースエーテルに対する代替物として有用な組成物を提供し、この組成物は、i)ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有し、かつ140,000〜50,000,000g/モルの相対重量平均分子量を有する非イオン性または実質的に非イオン性のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと、ii)カテコールタンニン、フェノール樹脂、ポリフェノール類、及びナフトールなどの1つ以上のフェノール基を含有するか、またはナフタレンスルホネートアルデヒド縮合物ポリマー、ポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマー、及びリグニンスルホネート、好ましくは、フェノール樹脂、アルデヒド縮合物ポリマー、及びリグニンスルホネートを含む分岐補因子などの、1つ以上の芳香族基と少なくとも1つの硫黄酸基との組み合わせを含有する芳香族補因子とを含む。この組成物は、i)及びii)の乾燥粉末ブレンド、i)及びii)両方のうちの1つの乾燥粉末、または水性混合物を含んでもよい。
概要
背景
概要
本発明は、セメント、プラスターまたはモルタル組成物中でセルロースエーテルに対する代替物として有用な組成物を提供し、この組成物は、i)ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有し、かつ140,000〜50,000,000g/モルの相対重量平均分子量を有する非イオン性または実質的に非イオン性のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと、ii)カテコールタンニン、フェノール樹脂、ポリフェノール類、及びナフトールなどの1つ以上のフェノール基を含有するか、またはナフタレンスルホネートアルデヒド縮合物ポリマー、ポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマー、及びリグニンスルホネート、好ましくは、フェノール樹脂、アルデヒド縮合物ポリマー、及びリグニンスルホネートを含む分岐補因子などの、1つ以上の芳香族基と少なくとも1つの硫黄酸基との組み合わせを含有する芳香族補因子とを含む。この組成物は、i)及びii)の乾燥粉末ブレンド、i)及びii)両方のうちの1つの乾燥粉末、または水性混合物を含んでもよい。なし
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請求項1
セメント、プラスターまたはモルタル組成物中のセルロースエーテルに対する代替物として有用な組成物であって、i)ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有し、かつ140,000〜50,000,000g/モルの相対重量平均分子量を有する1つ以上の非イオン性または実質的に非イオン性のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと、ii)1つ以上のフェノール基か、または1つ以上の芳香族基と少なくとも1つの硫黄酸基との組み合わせを含有する1つ以上の芳香族補因子と、を含む、組成物。
請求項2
請求項3
前記ii)1つ以上の芳香族補因子が、ナフタレンスルホネートアルデヒド縮合物ポリマー、ポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマー、リグニンスルホネート、カテコールタンニン、フェノール樹脂、ポリフェノール類、ナフトール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
請求項4
前記i)1つ以上のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーが、150,000〜5,000,000g/モルの相対重量平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
請求項5
前記i)1つ以上のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーが、アルコキシポリ(エチレングリコール)基またはポリエチレングリコール基から選択されるペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有する、請求項1に記載の組成物。
請求項6
前記i)1つ以上のブラシ状ポリマーの前記ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の平均数が、1.5〜50個のエーテル基の範囲である、請求項1に記載の組成物。
請求項7
前記i)1つ以上のブラシ状ポリマーが、ポリエトキシル化ポリビニルアルコール、ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有するマクロモノマーa)のホモポリマー、1つ以上のマクロモノマーa)と、低級アルキル(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジエチレン性不飽和架橋剤モノマー、及びこれらの混合物から選択される1つ以上のモノマーb)とのコポリマーから選択される、請求項1に記載の組成物。
請求項8
少なくとも1つのi)ブラシ状ポリマーが、1つ以上のマクロモノマーa)と1つ以上のモノマーb)との共重合生成物であり、前記モノマーb)の総共重合生成物が、前記i)ブラシ状ポリマーを作製するために用いられるモノマーの重量に基づいて、前記i)ブラシ状ポリマーの0.1〜40重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
請求項9
請求項10
水硬性セメントまたはプラスターをさらに含み、前記ii)1つ以上の芳香族補因子の固体としての総量が、総セメント固体に基づいて、0.1〜10重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
請求項11
請求項1に記載の組成物を使用するための方法であって、a)せん断の存在下で、乾燥粉末ブレンド、1つの乾燥粉末、水性混合物、またはこれらの混合物の形態の前記組成物を湿潤水硬性セメントまたはプラスターに添加して、セメント、モルタルまたはプラスターを形成すること、あるいはb)初めに、任意の形態の前記i)1つ以上のブラシ状ポリマーを湿潤水硬性セメント、モルタルまたはプラスターに添加し、次いでせん断の存在下でii)1つ以上の芳香族補因子を添加して、セメント、モルタルまたはプラスターを形成すること、のうちのいずれか1つと、次いで、前記このようにして形成されたセメント、モルタルまたはプラスターを基材に塗布することと、を含む、方法。
目次
技術分野
0001
本発明は、セメント混和材料及びドライミックス組成物において、セルロースエーテルの代替物として使用するための二成分合成ポリマー組成物に関する。より具体的には、本発明は、i)ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基、好ましくはアルコキシポリ(アルキレングリコール)基を有する非イオン性もしくは実質的に非イオン性のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと、ii)ポリ(ナフタレンスルホネート)アルデヒド樹脂などの1つ以上の芳香族補因子とを含む組成物、ならびにそれらの製造方法に関する。最後に、本発明は、これらの組成物をセメントもしくはコンクリート混和材料またはドライミックス組成物において用いる方法に関する。
0002
セルロースエーテルを含むセルロース誘導体は、それらへの水導入後の増粘性及び保水性のために、粘度調整剤(VMA)添加剤として周知である。これらは、コンクリート混合物において、例えば、石油及びガス生産に用いられる油井ケーシングをセメンチングするために、セメント系タイル接着剤(CBTA)などのドライミックス由来のモルタルで使用される。セルロースエーテルによって提供される増粘性は、その大きな回転半径(Rg)及び長い持続長(PL)を含む硬いポリマー鎖などのその性質に依存する。減水剤及び荷電増粘剤とは異なり、セルロースエーテルは、使用中にボールアップすることなく、緩く巻かれたままである。このような増粘性は、増粘剤のセメントまたはモルタル中のアルカリ性粒子上への凝集または吸着を回避させる(この現象は、セルロースエーテルポリマーが互いに緩く結びつき、それらの間に水を保持するという事実から見ることができる)。この保水性は、例えば石、石構造、コンクリートブロックまたは粘土れんが壁などの吸収性基材へのモルタルの湿式塗布及びモルタルが完全に乾燥する前の適切な凝結を可能にする。さらに、セルロースエーテルによって提供される増粘性及び保水性は、投入量依存性であり、したがって、セルロースエーテルを含有する組成物の粘度は、使用中に高度に制御可能である。しかしながら、セルロースエーテルは、セメント凝結反応を遅延させることが知られている。この凝結の遅延は、より低い強度特性をもたらす。
0003
セルロースエーテルは植物源、例えば木材パルプから、非常に高価な多段階プロセスによって製造され、今のところ、セルロースエーテルを製造するために使用される単一の製造ラインのコストは、優に数億ドルにも及ぶ。世界中で、セルロースエーテルを製造するために使用することができるほんの一握りの植物が存在するに過ぎない。特にアジアにおいて、セメントで使用するためのセルロースエーテルに対する需要が高まっているために、供給の増大に対する要求がある。従来のセルロースエーテルに取って代わることができ、かつより少ない資本集約的方法で製造することが可能な材料は、この要求に応えると思われる。
0004
Dierschke等への米国特許公開第2011/0054081号は、重縮合生成物と、ポリエーテル側鎖を有する分岐状櫛形ポリマー、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、及びメラミンスルホネートホルムアルデヒド縮合物から選択された少なくとも1つの分散剤成分とを含有するリン酸化構造単位を含む分散剤組成物を開示している。これら組成物は、凝結を過度に遅延させることがない減水剤として、水硬性混和材料において有用である。この開示は、市販の櫛形ポリマーの例のみを提供し([0239]を参照)、セルロースエーテルの保水性または増粘性を効果的に提供することができる粘度調整剤もしくは組成物として合理的に利用できるブラシ状ポリマーまたは櫛形ポリマーを製造するための方法は開示していない。さらに、既知の高流動化剤は、これらがセメント混和材料またはモルタルを容易に増粘せず、その代わりに高流動化剤は、セメント混和材料及びモルタルの粘度を降下させ(「流動化」−[0007]を参照)、保水ではなく減水を示すために、セルロースエーテルのための基材として働くことができない。
0005
本発明者は、セルロースエーテルを製造するための資本的支出がなく、セメント及びモルタルにおいてセルロースエーテルの増粘及び保水性能を供与する粘度調整剤を製造することの問題を解決しようとした。
本発明の記述
0006
1.本発明によれば、セメント、プラスターまたはモルタル組成物中でのセルロースエーテルの代替品として有用な組成物は、i)ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基、好ましくはアルコキシポリ(エチレングリコール)基またはポリエチレングリコール基を有し、かつ140,000〜50,000,000g/モル、または好ましくは250,000以上、またはより好ましくは300,000以上、あるいは好ましくは5,000,000以下、またはさらに好ましくは2,500,000以下の相対重量平均分子量(相対Mw)を有する1つ以上の非イオン性または実質的に非イオン性のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと、ii)1つ以上のフェノール基か、または1つ以上の芳香族基と少なくとも1つの硫黄酸基との組み合わせを含有する、1つ以上の芳香族補因子、例えば、ポリ(ナフタレンスルホネート)ホルムアルデヒド縮合物樹脂またはスルホネートスチレン(コ)ポリマーなどの芳香族補因子と、を含む。好ましくは、この組成物は、わずか1つだけのホルムアルデヒド縮合物樹脂を含有する。
0007
2.上記項目1に記載の組成物にあるような本発明によれば、i)ブラシ状ポリマー固体の総量の、ii)芳香族補因子固体の総量に対する重量比が、1:0.25〜1:10、または好ましくは1:1〜1:5の範囲である。好ましくは、i)1つ以上のブラシ状ポリマーが、エトキシル化ポリビニルアルコール(エトキシル化PVOH)ブラシ状ポリマーである場合、i)ブラシ状ポリマー固体の総量の、ii)芳香族補因子固体に対する重量比が、1:2〜1:3の範囲であり、好ましくはi)1つ以上のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーが、750,000を超える相対重量平均分子量を有する場合、i)ブラシ状ポリマー固体の総量の、ii)芳香族補因子固体に対する重量比は、1:1〜1:2の範囲である。
0008
3.上記項目1または2に記載の組成物にあるような本発明によれば、ii)1つ以上の芳香族補因子が、ベータナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物ポリマー(例えば、ベータナフタレンスルホネート樹脂(BNS))などのナフタレンスルホネートアルデヒド縮合物ポリマー、ポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマー、リグニンスルホネート、カテコールタンニン、フェノールホルムアルデヒド樹脂などのフェノール樹脂、ポリフェノール類、2−ナフトールなどのナフトール(napthhol)、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、この芳香族補因子は分岐状であり、より好ましくはBNSである。
0009
4.i)1つ以上のブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の平均数が、1.5〜100個のエーテル基、または1.5〜50個のエーテル基、または好ましくは3〜40個のエーテル基、またはより好ましくは5〜25個のエーテル基の範囲である、上記項目1〜3のいずれか1つに記載の本発明の組成物。
0010
5.i)1つ以上のブラシ状ポリマーが、エトキシル化ポリビニルアルコール:ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、疎水性C12〜C25アルコキシポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有するマクロモノマーa)のホモポリマー;1つ以上のマクロモノマーa)と低級アルキル(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはメチルメタクリレート、及びエチルアクリレートから選択される1つ以上のモノマーb)とのコポリマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシエチルメタクリレート;ジエチレン性不飽和架橋剤モノマー;及びこれらの混合物から選択される1つ以上のモノマーb)とのコポリマーから選択される、上記項目1〜4のいずれか一項に記載の本発明の組成物。
0011
6.1つ以上のi)ブラシ状ポリマーのうちの少なくとも1つが、1つ以上のマクロモノマーa)のモノマー混合物と1つ以上のモノマーb)との共重合生成物であり、1つ以上のモノマーb)の共重合生成物が、i)ブラシ状ポリマーを製造するために用いられる重量に基づいて、最大80重量%、または0.1〜70重量%、または好ましくは0.1〜40重量%、またはより好ましくは0.1〜20重量%の量でブラシ状ポリマー中に存在する、上記項目5に記載される本発明の組成物。
0012
7.i)1つ以上のブラシ状ポリマーのうちの少なくとも1つが、共重合残基として、20〜100モル%、または30〜99.9モル、または40〜70モル%、または好ましくは70〜99.9モル%の、マクロモノマーa)の共重合残基などの、モノマーを含有するペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有する、上記項目1〜6のいずれか1項に記載の本発明の組成物。
0013
8.i)1つ以上のブラシ状ポリマーのうちの少なくとも1つが、ポリビニルアルコールと酸化エチレンとの反応混合物から製造されたエトキシル化ポリビニルアルコール(エトキシル化PVOH)であり、酸化エチレンが、ポリビニルアルコール及び酸化エチレンの総重量に基づいて、20〜98重量%、または好ましくは50〜95重量%、またはより好ましくは70〜90重量%の量で存在する、上記項目1〜5のいずれかに記載の本発明の組成物。
0014
9.1つの乾燥粉末、i)粉末としての1つ以上のブラシ状ポリマーとii)粉末としての1つ以上の芳香族補因子との乾燥粉末ブレンド、または水性混合物を含む、上記項目1〜8のいずれかに記載の本発明の組成物。
0015
10.水硬性セメントまたはプラスターをさらに含み、i)1つ以上のブラシ状ポリマーの固体としての総量が、総セメント固体に基づいて、0.05〜2重量%、または好ましくは0.1〜1重量%、またはより好ましくは0.2〜0.5重量%の範囲である、上記項目1〜9のいずれかに記載の組成物。
0016
11.水硬性セメントまたはプラスターをさらに含み、ii)1つ以上の芳香族補因子の固体としての総量が、総固体に基づいて、0.1〜10重量%、または好ましくは0.2〜5重量%、またはより好ましくは0.2〜2重量%の範囲である、上記項目1〜9のいずれかに記載の組成物。
0017
12.貯蔵安定性である、乾燥水硬性セメントまたはプラスターとの1つの乾燥粉末または乾燥粉末ブレンドのドライミックスを含み、これにより、水の添加が湿潤水硬性セメント、モルタルまたはプラスターを形成し、ドライミックスが、密閉容器での室温、50%の相対湿度、及び標準気圧においての貯蔵の30日後にブロックまたは集塊を形成しない、上記項目9〜11のいずれかに記載の本発明による組成物。
0018
13.本発明によれば、上記項目1〜9のいずれかに記載の組成物を製造するための方法は、
i)1つ以上のブラシ状ポリマー及びii)1つ以上の芳香族補因子のそれぞれを乾燥させるか、または粉末として得て、これらを混合して、乾燥粉末ブレンドを形成すること、
i)1つ以上のブラシ状ポリマー及びii)1つ以上の芳香族補因子との水性混合物を乾燥し、好ましくは、それらを一緒に噴霧乾燥することによって、1つの乾燥粉末を形成すること、あるいは
i)1つ以上のブラシ状ポリマーとii)1つ以上の芳香族補因子との水性混合物を、粉末または水性混合物の形態で添加することのうちのいずれか1つを含む。
0019
14.本発明によれば、上記項目1〜9のいずれかに記載の組成物を使用するための方法は、
a)せん断の存在下で、乾燥粉末ブレンド、1つの乾燥粉末、水性混合物、またはこれらの混合物のうちのいずれかの形態の組成物を湿潤水硬性セメントまたはプラスターに添加して、セメント、モルタルまたはプラスターを形成すること、あるいはb)初めに、i)任意の形態の1つ以上のブラシ状ポリマーを湿潤水硬性セメント、モルタルまたはプラスターに添加し、次いでii)1つ以上の芳香族補因子を、好ましくは水性混合物として添加して、セメント、モルタルまたはプラスターを形成すること、であるa)またはb)のうちのいずれか1つと、次いで、
このようにして形成されたセメント、モルタルまたはプラスターを基材に塗布することと、を含む。塗布されたモルタルは、さらに硬化させてもよい。
0020
本明細書で使用される用語「アクリルまたはビニルポリマー」とは、α,β−エチレン性不飽和モノマー(例えば、アルキル及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、ビニルエーテルなど)と、ポリエトキシ基含有モノマー(例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(MPEG(M)A)またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEG(M)A)及びアリルポリエチレングリコール(APEG)など)との付加ポリマーを指す。
0021
本明細書で使用される成句「水性」は、水、ならびに水及び水と水混和性溶媒から実質的になる混合物を含み、好ましくは、このような混合物は、水と任意の水混和性溶媒との総重量に基づいて50重量%超の水を有する。
0022
本明細書で使用される、ブラシ状ポリマーの用語「ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の平均数」とは、その他特段の指示がない限り、マクロモノマーa)などの付加モノマーについての製造元の文献に挙げられたエーテル基の数を指すか、あるいは示されるようなエトキシル化ポリビニルアルコールの場合には、エトキシル化PVOHを製造するために用いられた反応混合物中に含まれるアルコール基当たりのエーテル基の計算された平均数、もしくはPVOH中のヒドロキシル基の%または数に調整された、エトキシル化PVOHを製造するために実際にPVOHと反応したエーテル基化合物の質量を指す。これは平均数であるために、いずれか1つのペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の実際の数は、変化するであろうし、一部のブラシ状ポリマーの繰り返し単位は、側鎖またはペンダントポリエーテル基を全く有しなくともよい。
0023
本明細書で使用される成句「総固体に基づいて」とは、合成ポリマー、天然ポリマー、酸、消泡剤、水硬性セメント、充填剤、その他の無機材料、及びその他の非揮発性添加剤を含む、水性組成物中の非揮発性成分の全ての総重量に比較しての任意の所定の成分の重量を指す。水、アンモニア、及び揮発性溶媒は、固体とは見なされない。
0024
本明細書で使用される用語「モノマーの総重量に基づいて」とは、例えばビニルモノマーなどの、ポリマーを製造するために使用された付加モノマーの総重量と比較されるポリマーまたはその一部の量を指す。
0025
本明細書で使用される、所定のモノマーの用語「共重合残基」とは、そのモノマーに対応するポリマー中の重合生成物を指す。例えば、mPEGMA(メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート)モノマーの共重合残基は、エステル基を介して重合型でのメタクリル酸に結合された、すなわち、付加ポリマー主鎖内にまたはその末端で位置する、二重結合を有しないポリエチレングリコール側鎖である。
0026
本明細書で使用される用語「ドライミックス」とは、付加水を含まず、未反応の無機粉末、例えば、ポートランドセメント粉末、石膏粉末もしくはポゾラン質粉末を含有し、水硬性セメントもしくはプラスターを形成するか、または濡れた場合に硬化する乾燥組成物を指す。ドライミックスは、ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を含有するブラシ状ポリマー、セルロースエーテル、芳香族補因子、ポリカルボキシレートエーテル、または水中で再分散可能なポリマー粉末(RDP)のような乾燥有機構成成分を含んでもよい。
0029
本明細書で使用される、ブラシ状ポリマーに関する成句「非イオン性」は、ポリマーを製造するために使用されたモノマーが、1〜14のpHにおいてアニオン性またはカチオン性電荷を有しないことを意味する。
0031
本明細書で使用される成句「ポリマー」は、その他特段の指示がない限り、ホモポリマー及び2つ以上の異なるモノマーからのコポリマーのどちらも含み、ならびにセグメント化及びブロックコポリマーを含む。
0032
本明細書で使用される用語「貯蔵安定性」は、所定の粉末添加剤組成物またはドライミックスに関して、この粉末が、密閉容器での室温、50%の相対湿度、及び標準気圧においての貯蔵の30日後にブロックまたは集塊を形成しないことを意味する。
0033
本明細書で使用される用語「実質的に非イオン性」は、1〜14のpHにおいて、ポリマーの総固体に基づいて、ポリマーのグラム当たり10×10−4モル未満の、または好ましくは5×10−5モル/gポリマー以下の、添加されたアニオン性もしくはカチオン性荷電モノマーまたはポリマー繰り返し単位(例えば、セルロースポリマー中の糖類単位または付加ポリマー中のモノマー重合残基)を含有するポリマー組成物を意味する。このようなポリマーは、アニオン性またはカチオン性荷電モノマーを含有しないモノマー混合物を重合することによって製造される。本発明のブラシ状ポリマーの製造で使用される非イオン性モノマー中の不純物として発生するアニオン性またはカチオン性モノマー、例えばマクロモノマーa)またはモノマーb)は、「添加された」アニオン性またはカチオン性荷電モノマーとは見なされない。
0036
本明細書で使用される用語「相対重量平均分子量」または「Mw」は、その他特段の指示がない限り、40℃の温度で設定された、示差屈折率検出器を装備したAgilent 1100 GPCシステム(Agilent Technologies,Lexington,MA)を用いて決定される相対分子量(相対Mw)である。40℃で直列に配置した2つのカラム(一方は7μmの親水性ポリメタクリレートビーズを備えたTSKgel G2500PWXLであり、他方は13μmの親水性ポリメタクリレートビーズを備えたTSKgelGMPWXL)を、ポリマーの分離に用いた。水性移動相として、NaOHを用いてpHを7.0に調整した20mMのリン酸塩緩衝液の水性組成物を、1mL/分の流量で分離のために使用した。MW平均値を、VarianCirrus GPC/SECソフトウェアバージョン3.3(Varian,Inc.,Palo Alto,CA)を用いて決定した。American Polymer Standards(Mentor,OH)からのポリアクリル酸標準物質を用いてGPCシステムを較正し、検量線を作成する。相対MWの決定において、例えば、重量平均分子量をエトキシル化PVOHポリマーに割り当てるために、検量線をその後の(相対)MW計算に用いた。
0037
本明細書で使用される用語「重量%、wt.%」または「重量パーセント、wt.percent」は、その他特段の指示がない限り、固体に基づく重量パーセントを意味する。
0038
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白にそうでないと指示しない限り、複数の指示物を含む。特に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、当業者によって理解されるものと同様な意味を有する。
0039
その他特段の指示がない限り、括弧を含む任意の用語は、代替的に、あたかも括弧が存在しないような用語全体及び括弧内に含まれない用語、ならびに各代替物の組み合わせを指し、したがって、用語「(メタ)アクリレート」は、代替的に、メタクリレート、またはアクリレート、もしくはこれらの混合物を包含する。
0040
同じ構成要素または特性を対象とする全ての範囲の端点は、端点を含み、独立して組み合わせ可能である。したがって、例えば、140,000〜50,000,000g/モル、または好ましくは250,000以上、またはより好ましくは300,000以上、あるいは好ましくは5,000,000以下、またはさらに好ましくは2,500,000以下の重量平均分子量の開示された範囲は、140,000〜250,000、140,000〜300,000、140,000〜2,500,000、140,000〜50,000,000、140,000〜5,000,000、または好ましくは250,000〜300,000、または好ましくは250,000〜2,500,000、または好ましくは250,000〜50,000,000、または好ましくは250,000〜5,000,000、またはより好ましくは300,000〜2,500,000、または好ましくは300,000〜5,000,000、または300,000〜50,000,000、または好ましくは2,500,000〜5,000,000または5,000,000〜50,000,000の範囲のありとあらゆるこのような分子量を意味する。
0042
本発明は、水硬性セメント組成物、例えば、セメント、モルタル、及びプラスター中で保水剤及び増粘剤としてセルロースエーテルに部分的または全体的に取って代わる組成物を提供する。本発明のブラシ状ポリマーは、非イオン性相互作用で本発明の芳香族補因子と有効に複合体を形成し、同量のセルロースエーテルを添加するときに観察される同様な効果に匹敵するモルタル、セメント、及びプラスターにおける増粘性及び保水性をもたらす。ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、高Mwを有し、ベータ−ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物ポリマー(BNS)、ポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマー、フェノールアルデヒド縮合物などのポリフェノール類、及びリグニンスルホネートなどの芳香族補因子と複合体を形成する、ポリエチレングリコールなどのペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有する。さらに、セルロースエーテルのようなこのようなブラシ状ポリマーは、無機水硬性セメントの表面に対して最小イオン性吸着挙動を有し、これによって、水性無機及び水硬性セメント組成物における保水性を可能にする。得られたブラシ状ポリマー及び芳香族補因子組成物は、水中で、低濃度において非常に高い溶液粘度を有し、望ましくない量の凝結遅延なく、モルタル、プラスター、及びセメント混和材料において高い粘度及び効果的な保水性を提供する。実際には、本発明の組成物は、水中で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)材料のMethocel(商標)F75Mセルロースエーテル(Dow,Midland,MI)と同様な低せん断溶液粘度を示す。従来のセメントタイル接着剤(CBTA)モルタル配合物において、この組成物は、同じ用量レベルにおけるHPMCのものと等しいモルタルの一貫性及び同様な保水性を提供する。またセメントまたはモルタルの凝結速度は、同じ用量レベルにおけるHPMCと比較するとき、本発明の組成物では大幅に遅延されることはない。加えて、本発明の合成ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、天然源材料に由来し、本質的に大きなばらつきがあるセルロースエーテルよりも一貫した製品を提供する。
0043
本発明の補因子は、1つ以上かつ最大1,000,000個、もしくは最大100,000個、または好ましくは2つ以上、またはより好ましくは3つ以上の芳香族基もしくはフェノール基(例えば、フェノールまたはナフトール基など)を有する、任意の化合物、ポリマーまたはオリゴマーとすることができ、芳香族補因子がフェノール基以外の芳香族基を有する場合、これは、少なくとも1つの硫黄酸基をさらに含有する。好ましくは、本発明の芳香族補因子は、1つ以上の芳香族基と少なくとも1つの硫黄酸基を有するか、またはより好ましくは、2つ以上のこのような組み合わせを有する。これらの補因子は、BNS、スチレンスルホネート(コ)ポリマー、及びリグニンスルホネート、ならびにフェノール樹脂、タンニン、及びナフトールを含むことができる。
0044
本発明のオリゴマーまたはポリマー芳香族補因子は、オリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位の10〜100%、または好ましくは30〜100%、またはより好ましくは50〜100%あるいは60〜100%で芳香族またはフェノール基を有する。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂またはナフタレンスルホネートアルデヒド樹脂(例えば、BNS)のそれぞれは、その繰り返し単位の100%で、それぞれフェノール基または芳香族基を有するホモポリマーまたはオリゴマーと見なされる。好ましくは、芳香族及び硫黄酸基を組み合わせて有するオリゴマーまたはポリマーにおいて、芳香族基の30重量%超、または好ましくは50重量%超が、例えば、コポリマーを製造するために用いられるビニルモノマーの総モル数に基づいて、30モル%超のスチレンスルホネートの共重合生成物であるポリ(スチレン−co−スチレンスルホネート)コポリマーなどの硫黄酸基を伴う。
0045
芳香族補因子は、スチレンスルホネート含有ポリマーの場合のように直鎖状であってもよく、好ましくは、ナフタレンスルホネートアルデヒドもしくはフェノールアルデヒド縮合物、タンニンまたはリグニンスルホネートなどの任意の縮合物樹脂の場合のように分岐状である。
0046
芳香族補因子が直鎖状である場合、これは、600,000〜10,000,000の分子量を有することが好ましい。
0047
芳香族補因子の好適な例は市販されており、Melcret(商標)500粉末(BASF,Ludwigshafen,DE)及びその液体型、Melcret(商標)500L(BASF)液体などである。このどちらもBNSポリマーまたはオリゴマーである。
0048
本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基、好ましくはポリエチレングリコールまたはアルコキシポリ(エチレングリコール)を有する任意のこのようなポリマーを含むことができる。ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基は、ポリマーを水溶性にするか、または少なくとも水分散性にすることに役立つ。このようなペンダントまたは側鎖ポリエーテル基としては、例えば、ヒドロキシル、メチル、エチルまたは任意の他の非イオン性基を末端に持つポリアルキレングリコール側鎖とすることができる。側鎖は、純粋なアルキレングリコール(EO、PO、BOなど)またはこれらの混合物であり得る。好適なペンダントまたは側鎖ポリエーテル基は、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールまたはこれらの2つ以上のコポリエーテルなど);アルコキシポリ(アルキレングリコール)(メトキシポリ(アルキレングリコール)、エトキシポリ(アルキレングリコール)及びこれらの組み合わせなど)から選択されてもよい。
0049
好ましくは、本発明のブラシ状ポリマーにおけるペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の平均数は、3〜25個、またはより好ましくは5〜15個の範囲のエーテル基またはアルキレングリコール基である。
0050
好ましくは、本発明のブラシ状ポリマーにおけるペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基は、エトキシ(−CH2CH2O−)基である。
0051
本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーの主鎖は、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステルまたはビニルエステルの繰り返し単位からなるが、繰り返し単位はこれらに限定されるものではない。本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、ビニル−、アリル−、イソプレニル−基などの任意の他の不飽和モノマーを用いて合成することもできる。
0052
ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有するアクリルブラシ状ポリマーの例は、ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有するアクリレートまたはアクリルアミドマクロモノマーa)の(コ)ポリマーである。このようなマクロモノマーa)は、ポリマーが水溶性になるか、または少なくとも水分散性になることに役立つことができる、ポリエチレングリコールなどの大きなペンダント親水性基を有する。
0053
ペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有する好適なアクリルブラシ状ポリマーは、a)ポリマーを製造するために用いられるモノマーの総重量に基づいて、20〜100重量%、または40〜70重量%、または好ましくは30重量%以上、または好ましくは最大80重量%、またはより好ましくは70〜99.9重量%、例えば90重量%以上の1つ以上の、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、疎水性C12〜C25アルコキシポリ(アルキレングリコール)、及び好ましくは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのペンダントポリエーテル基を有するマクロモノマーa)と、b)ポリマーを製造するために用いられるモノマーの残りとしての1つ以上のビニルまたはアクリルモノマーb)との重合生成物である。
0054
本発明のアクリルブラシ状モノマーを製造するのに好適なマクロモノマーa)は、所望の数のエーテルまたはアルキレングリコール単位を備えたポリ(アルキレングリコール)を有する任意のマクロモノマーであってもよく、例えば、2〜50個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のエチレングリコール単位を有するC12〜C25アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のプロピレングリコール単位を有するC12〜C25アルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のエチレングリコール単位を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、 2〜50個のプロピレングリコール単位を有するメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するメトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のエチレングリコール単位を有するエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはその対応する(メタ)アクリルアミド、2〜50個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個の総アルキレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個のエチレングリコール単位を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、2〜50個のプロピレングリコール単位を有するメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはモノビニルエーテル、及びイタコン酸またはマレイン酸の対応するモノエステル、モノアミド、ジエステル、及びジアミド、または前述のいずれかの混合物などである。
0055
好ましくは、本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーを製造するために用いられるマクロモノマーa)は、3〜25個のアルキレングリコールもしくはエーテル単位、または5〜20個の総エーテル単位を備えたペンダントまたは側鎖ポリエーテル基を有する。
0056
好ましくは、本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーを製造するために用いられるマクロモノマーa)は、メタクリレートモノマーである。
0057
より好ましくは、マクロモノマーa)は、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEG(M)A)、メトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(MPEG(M)A)、またはそれらの混合物、特に5〜25個のエチレングリコール単位、より好ましくは7〜15個のエチレングリコール単位を備える側鎖を有するものから選択される。
0058
本発明のアクリルブラシ状ポリマーを製造するために用いられるモノマーb)は、低級アルキル(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリート、好ましくはメチルメタクリレート、及びエチルアクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、好ましくは、ヒドロキシエチルメタクリレート;ジエチレン性不飽和架橋剤モノマー、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール−ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレートまたはアリルメタクリレート;及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。
0059
i)本発明のブラシ状ポリマーは、ポリマーを製造するために用いられるモノマーの総重量に基づいて、0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜2重量%の1つ以上のジエチレン性不飽和架橋剤モノマー、例えば、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートまたは(ポリ)エチレングリコールジアクリレートのような(ポリ)グリコールジ(メタ)アクリレート;アリルアクリレートまたはアリルメタクリレート;またはこれらの組み合わせを用いて、架橋されていてもよく、1つ以上のマクロモノマーa)と任意の他のモノマーの共重合によって製造されてもよい。
0060
好ましくは、本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーが保水性を示し、減水を示さないことを確実にするために、このようなポリマーは実質的に非イオン性である。したがって、このようなビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、0.01重量%未満の任意の添加されたエチレン性不飽和カルボン酸または塩モノマーの重合生成物である。
0062
さらに、2つ以上の分岐を有するビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、アリルメタクリレートまたは(ポリ)グリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ−エチレン性不飽和コモノマーの存在下でのマクロモノマーa)の水性開始重合を介して製造されてもよい。
0064
好ましくは、高分子量ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーを製造するために、重合は、40〜80℃、またはより好ましくは71℃以下の温度において水溶液中で行われる。
0065
より好ましくは、高分子量ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーを製造するために、重合は、40〜80℃、またはより好ましくは71℃以下の温度において、熱開始剤を用いて水溶液中で行われる。
0066
最も好ましくは、非常に高分子量のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、熱開始剤を、ポリマーを製造するために用いられるモノマー(モノマー固体)の総重量に基づいて、0.01重量%〜1重量%、またはさらにより好ましくは0.08重量%以上の濃度で用いて、水溶液中で重合される。
0067
加えて、ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、i)例えば、ポリブロモベンジル分子またはポリブロモアセチル分子のような多官能性開始剤などの1つ、2つまたは2つを超える開始基を含有するグラフト基材、ii)例えば、CuBrなどの金属臭化物塩などのグラフト基材から出発する重合のための触媒、及びiii)触媒のための可溶化配位子のそれぞれの存在下で有機溶媒溶液重合を介して製造され、その後、溶媒の除去が続く。このような方法を用いて製造されたブラシ状ポリマーは、基材からのグラフト上の開始基の数と同じほど多くの分岐を有する。このような重合法の例は、Wagmanへの米国特許第7,803,873 B2号に開示されている。このような重合法は、例えば、臭化物保護開始重合における3つの開始部位、すなわち、多官能性開始剤中のハロゲン化物の数を有する、市販の1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチルオキシメチル)エタン(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を使用してもよい。このハロゲン化物は、塩化物及び/またはヨウ化物で置き換えられてもよい。好適なグラフト基材は、塩基の存在下での上述のペンダント開始部位を含有するボロン酸とポリヒドロキシル化合物との縮合を介して製造されてもよい。このようなブラシ状ポリマーの製造で使用するための側鎖をグラフト基材とペアリングするのに好適な触媒は、重合触媒として一般的に用いられている、銅、鉄、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、またはコバルトなどの金属の金属ハロゲン化物であり、好ましくは、臭化銅、または塩化銅であってもよい。任意の溶媒及び未反応モノマーは、減圧蒸留によって、好ましくは、ポリマーの非相溶性溶媒中への沈殿、その後の濾過によって有機溶媒ポリマー溶液から除去されてもよい。
0068
本発明のビニルブラシ状ポリマーは、酸化エチレンを加水分解されたビニルエステル(コ)ポリマー(加水分解されたポリ酢酸ビニルなど)にグラフトすることによって製造され得るエトキシル化ポリビニルアルコール(エトキシル化PVOH)ブラシ状コポリマーを含む。加水分解されたビニルエステル(コ)ポリマー反応物質は、製造元の文献で報告されるか、またはポリビニルアルコール標準物質を用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される、50,000〜1,000,000g/モル、または好ましくは100,000以上の重量平均分子量Mwを有してもよい。
0069
本発明のエトキシル化PVOHを製造するための好適な方法は、例えば、Schmidt等への米国特許第1,971,662A号及びHalpern等への米国特許第3,052,652A号で見出すことができ、これらは、水性懸濁液中のグラフト化を開示している。望ましくは、溶媒または希釈剤は、Sharkeyへの米国特許第2,434,179A号におけるように、PVOHが当初スラリーであり、エトキシル化生成物が可溶性である場合に用いられる。また、エトキシル化PVOHブラシ状ポリマーは、Aubreyへの米国特許第2,844,570A号におけるように、有機溶媒溶液中で好適な触媒の存在下でペンダントまたは側鎖ポリエーテル基をグラフト化することによって製造することができる。
0070
部分的に加水分解されたポリビニルエステルポリマーは、ポリビニルエステルポリマー中の総繰り返し単位の30〜100%、または50%以上、または好ましくは85〜100%の程度まで適切に加水分解されてもよい。加水分解のより低いレベルは、経済的な溶液重合に有用な低沸点の非プロトン性溶媒中でポリビニルエステルを可溶性に保つことで役立ち、したがって、30%を超える加水分解を有するポリビニルアルコールも、キシレンなどの希釈剤でスラリープロセスにおいてエトキシル化され得る。
0072
エトキシル化PVOHブラシ状ポリマーは、140,000〜1,000,000、または好ましくは250,000以上、またはより好ましくは350,000以上の相対Mwを有してもよい。
0073
より高い重量平均分子量のポリエトキシル化ポリビニルアルコールが望まれる場合、得られたグラフトまたは反応生成物は、より低い分子量分画を除去するように透析することができる。グラフト化またはエトキシル化反応の温度は、120〜190℃、または好ましくは140〜170℃の範囲であってよい。
0074
本発明のエトキシル化PVOHブラシ状ポリマーを製造するための部分的に加水分解されたポリビニルエステルポリマーは、ポリビニルエステルポリマー中の総繰り返し単位の30〜100%、または50%以上、または好ましくは85〜100%の程度まで適切に加水分解されてもよい。
0075
加水分解されたポリビニルエステルのエトキシ側鎖へのエトキシル化またはグラフト化において使用するために好適な触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、カリウムメトキシド(KOMe);NaHなどの水化物;Hofmann等への米国特許第6,586,566号に記載されているものなどの複金属シアン化物(DMC);ブチルリチウムなどのアルキル化金属触媒;またはアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。
0076
触媒の好適な量は、総反応物質及び触媒固体に基づいて、100ppm〜10,000ppm(1重量%)の範囲であってもよく、または好ましくは、200〜1,000ppm、または好ましくは500ppm以下であってもよい。
0077
グラフト化またはエトキシル化に好適な溶媒または担体としては、例えば、非プロトン性極性溶媒、例えば、2−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)などである。
0078
エトキシル化またはグラフト化で有機溶媒が使用される場合、加水分解されたポリビニルエステルは、ポリビニルエステルポリマー及び担体もしくは液相の重量に基づいて、10重量%以下の水を含有するべきであり、または好ましくは1重量%未満の水を含有するべきである。
0079
グラフト化またはエトキシル化反応の温度は、80〜190℃、または好ましくは120〜170℃の範囲であってよい。
0080
ポリエトキシル化ポリビニルアルコールは乾燥されることが好ましい。乾燥は、加熱によって、好ましくは、真空オーブン中で乾燥させることによって、または先行技術に記載された共沸法によって行われてもよい。ブラシ状ポリマーの製造で用いられる反応物質のポリビニルアルコール(PVOH)からの水の共沸除去に、メチルエチルケトン(MEK)が溶媒として使用されることが好ましい。
0081
本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマー組成物は、湿潤型または乾燥型で使用することができる。
0082
好ましくは、本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーは、乾燥型で配合され、好ましくは、噴霧乾燥によって粉末組成物を形成する。
0083
芳香族補因子は、湿潤または乾燥型で使用することができ、ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーと組み合わせて、添加剤組成物を製造することができる。
0084
これらの組成物は、プラスター、セメント、コンクリートまたはモルタルを製造するために、これらを水硬性結合剤及び水と混和させることによって使用されてもよい。本発明の組成物は、芳香族補因子が、ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマーの湿潤セメント、モルタルまたはプラスターへの添加の前に、湿潤セメント、モルタルまたはプラスターに添加されない限りにおいて、任意の方法でセメント、プラスターまたは水硬性セメントと組み合わせることができる。この意味では、本組成物は、芳香族補因子と湿潤無機もしくは水硬性セメントまたはプラスターとが、別個の構成成分として保持された状態の二成分組成物である。使用中に、本発明の組成物は、好ましくは、粉末ブレンドまたは1つの粉末として乾燥状態で使用され、乾燥セメント、プラスターまたは乾燥モルタル組成物に添加され、ドライミックスを製造する。ドライミックスは分離され、セメント混和材料、モルタル、または湿潤プラスターを製造するための水のセメント、モルタルまたはプラスターへ添加の前には乾燥したままである。
0085
本発明の組成物において、ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマー及び芳香族補因子は、使用中に、モルタル、セメントまたはプラスターの総固体含量に投入されるブラシ状ポリマーの総量が、0.05〜2重量%、または好ましくは0.1〜1重量%の範囲であるように組み合わされる。
0086
本発明の組成物において、ビニルまたはアクリルブラシ状ポリマー及び芳香族補因子は、使用中に、モルタル、セメントまたはプラスターの総固体含量に投入される芳香族補因子の総量が、0.1〜5重量%、または好ましくは0.2〜2重量%の範囲であるように組み合わされる。
0087
本発明の組成物は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び/またはヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)などのセルロースエーテルをさらに含んでもよい。
0088
本発明の組成物は、加えて、湿潤型または乾燥型の従来の添加剤、例えば、セメント凝結促進剤及び遅延剤、空気連行剤または消泡剤、収縮剤及び湿潤剤;界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;展着剤;鉱油性粉塵抑制剤;殺生物剤;可塑剤;オルガノシラン;ジメチコン及び乳化ポリ(ジメチコン)、シリコーン油及びエトキシル化非イオン性物質などの泡止め剤;ならびにエポキシシラン、ビニルシラン及び疎水性シランなどのカップリング剤などを含有することができる。
0090
アクリルブラシ状ポリマー合成プロセス:実施例2〜8及び11〜22における全てのアクリルブラシ状ポリマーは、フリーラジカル重合を介して、水溶液ショット重合プロセスで合成した。別段の定めがない限り、熱電対、オーバーヘッドスターラー及び冷却器に連結された1000mLの四つ首丸底反応フラスコを、全てのポリマー合成に使用し、加熱マントルを、反応温度を制御するために用いた。その他特段の指示がない限り、使用された全ての化学薬品は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から得た。全てのモノマー反応物質及び固定量の脱イオン水を、初めに反応器に充填した。温度が70℃の目標温度まで上昇した後に、開始剤の制御された初期投入量を添加し、温度を一定に2時間保持した。2時間の重合の後に、開始剤の第2の投入量を用いて、残留モノマーの量を減少させ、温度を一定に2時間保持した。2番目の2時間の反応の後に、反応器を室温近くまで冷却し、その後、分析及び性能試験用に、溶液サンプルを反応器から採取した。
0091
実施例2のポリマー(以下の表1を参照):ブラシ状ポリマーを、上記「アクリルブラシ状ポリマー合成プロセス」を介して合成し、ここでは、反応物質は、185グラムの脱イオン水及び10グラムのメトキシポリ(エチレングリコール)10.8メタクリレート(mPEGMA475)モノマーであり、これら全てを反応フラスコに充填した。温度を70±1℃に設定した。開始剤の初期投入量は、0.3グラムの0.5重量%の過硫酸アンモニウム(APS)水溶液であった。開始剤の第2の投入量は、1グラムの0.5重量%のAPS水溶液を含んだ。
0092
実施例6のポリマー(以下の表1を参照):ブラシ状ポリマーを、開始剤の初期投入量が、2.0グラムの0.5重量%のAPS水溶液であった以外は、実施例2のポリマーと同じ方法で、上記「アクリルブラシ状ポリマー合成プロセス」を介して製造した。
0093
実施例7のポリマー(以下の表1を参照):ブラシ状ポリマーを、0.26グラムのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を重合前にモノマーミックス中に添加した以外は、実施例2のポリマーと同じ方法で、上記「アクリルブラシ状ポリマー合成プロセス」を介して製造した。
0094
実施例8のポリマー(以下の表1を参照):ブラシ状ポリマーを、上記「アクリルブラシ状ポリマー合成プロセス」を介して製造し、ここでは、反応物質は、178グラムの脱イオン水及び21グラムの50重量%の活性を有するメトキシ(ポリエチレングリコール)17.05メタクリレート(mPEGMA750)モノマーであり、これら全てを反応フラスコに充填した。温度を70±1℃に設定した。開始剤の初期投入量は、0.42グラムの0.5重量%のAPSであった。開始剤の第2の投入量は、1.5グラムの0.5重量%のAPSを含んだ。
0095
エトキシル化PVOH合成プロセス:
全ての器材は316ステンレス鋼製であった。各反応を600mLの反応器(管、約5.12cmの直径)で行い、この反応器は冷却コイル及びスターラー、800RPMで回転する2つのインペラーセットを装備し、98%加水分解されたPVOは、約88,000g/モルの重量平均分子量を有した(Selvol(商標)350ポリマー、Sekisui Chemicals America,Dallas,TX)。各反応について、触媒(固体KOMe)を、N2ガスを流した陽圧グローブボックス内で、反応の終わりの固体に基づいて300ppmを得るのに十分な量で、または0.1±0.05gの量で秤量し、反応器内に配置した。PVOHの指示量を反応器に添加し、指示量の無水2−メチルピロリドン(生物学的グレード、Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を注射器で反応器に添加した。反応器をプラスチックビーカーでキャップして、反応器ベイに移動させ、ここでビーカーを取り外し、反応器をインペラー/冷却管セットの上をできるだけ素早く滑らせ、待機から進入する水蒸気を減らした。次いで、反応器にパッドを詰め、N2ガスで5回減圧して空気/水を除去し、全ての供給ライン(N2及び酸化エチレン(EO))を通常の手順に従ってパージした。スターラーを起動させ(800RPM)、反応器温度を130℃に上昇させた。温度が安定したら、反応器が目標の反応器圧(0.34MPa)に達するまでEOのアリコートを添加した。EOを約25g/時の送り量で添加し、0.39MPa(56psi)最大作動圧を超えないように維持し、反応が進むにつれて計量されたEOの量を合計した。
0096
目標のEO量が添加されたら、反応を停止させ、反応器温度を130℃に維持しながら、あらゆる残留するEOを「消化」させた(EOの初期添加から消化が開始するまでの合計時間は約8時間であり、消化は、130℃で終夜継続させた)。コンピュータで監視される圧力ゲージが、60分間の時間で0.00689MPa(1psi)未満の圧力降下を示したときに、60分のさらなる遅延後に、反応器温度を60℃まで下降させることによって、反応を停止させた。
0097
反応後に、N2ガスをスパージすることによって、あらゆる過剰のEOも除去し(反応が開始してから約24時間後)、反応器を反応器ベイから取り外した。
0099
各実施例において、得られたエトキシル化PVOHの約20mLを、溶媒及び副産物から分離し、これを3,500g/モルのMWカットオフを備えた透析膜チューブ(Thermo−Fischer Scientific,Nazareth,PA)内に配置することによって、脱イオン水に対する透析によって精製した(透析チューブを、脱イオン水で満たした3.7854L(1ガロン)のジャー内に配置した)。4日間の透析期間にわたって1日2回新しい脱イオン水に交換した。4日間の透析の後に、エトキシル化PVOH水溶液を得た。
0100
実施例22〜25のそれぞれにおけるエトキシル化PVOHブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエーテル基中のエーテル基の平均数を、質量平衡によって決定した。4日間の透析の後に、水溶液の所定のサンプルを乾燥させ、反応済み酸化エチレンの量を、サンプル中のポリビニルアルコールに相当する量を差し引くことによって計算した。したがって、出発反応物質が、21gの材料からなる場合、その20gは、酸化エチレンであり、その1gはPVOH固体ということであり、エトキシル化PVOH生成物の10重量%の分画サンプルが1.5gの重さであれば、このとき生成物は、1gの10%、すなわち0.1gのPVOHを有し、残り、すなわち1.4gは反応済み酸化エチレンとなり、したがって、PVOH中のヒドロキシル基の比率に調整すると、仮にPVOH中の100%の繰り返し単位がヒドロキシル基を有するならば、エトキシル化PVOHは、側鎖当たり(ヒドロキシル基当たり)14個のエーテル基を有することになり、仮にPVOH中の繰り返し単位の50%がヒドロキシル基を有するならば、エトキシル化PVOHは、側鎖当たり(ヒドロキシル基当たり)平均で28個のエーテル基を有することになる。PVOH反応物質が、3,500g/モルを大きく超える重量であるために、透析膜は、いかなるPVOH反応物質も除去しないと想定される。
0101
実施例23のポリマー:この実施例においては、ブラシ状ポリマーを上記「エトキシル化PVOH合成プロセス」により製造し、反応器内に配置されたPVOHの量は、固体として10gであり、反応器に添加されたNMPの総量は190gであり、反応器に供給されるEOの目標量は100gであり、したがって、100%の反応で110gの生成物を得た。完全に反応された場合の反応混合物は、i)ブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエチレン基中のエーテル基の平均数が10個のエーテル基であるか、またはエーテル基のPVOH反応物質に対する重量比が10:1である所定のコポリマーを有することになるが、質量平衡によって観測された生成物は、i)ブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエチレン基中の5個のエーテル基の平均数を有した。得られたエトキシル化PVOHの相対Mwを、以下の表1に報告する。
0102
実施例25のポリマー:この実施例においては、ブラシ状ポリマーを上記「エトキシル化PVOH合成プロセス」により製造し、反応器内に配置されたPVOHの量は、固体として7.5gであり、反応器に添加されたNMPの総量は143gであり、反応器に供給されるEOの目標量は150gであり、したがって、100%の反応で162.5gの生成物を得た。完全に反応された場合の反応混合物は、i)ブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエチレン基中のエーテル基の平均数が20個のエーテル基であるか、またはエーテル基のPVOH反応物質に対する重量比が20:1である所定のコポリマーを有することになるが、観測された生成物は、i)ブラシ状ポリマーのペンダントまたは側鎖ポリエチレン基中の10個のエーテル基の平均数を有した。得られたエトキシル化PVOHの相対Mwを、以下の表1に報告する。
0103
組成物溶液粘度:示されたブラシ状ポリマーの1.5重量%の水溶液の粘度及びせん断減粘性挙動を、高処理自動化システムを装備したAnton PaarMCR301粘度計(Ashland,VA)で25℃において測定した。ブラシ状ポリマーを示された濃度で脱イオン(DI)水中で溶解し、脱イオン水溶液が均質になるまで撹拌した。0.1〜400Hzのせん断範囲で粘度を収集した。以下の表1、3、及び5において、BNSは、ナトリウムナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物(Spectrum Chemicals,New Brunswick,NJ)を指し、PSSは、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム塩、1000kg/モルの製造元が報告した分子量、Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を指し、リグニンスルホネートは、リグニンスルホネートのナトリウム塩(Fisher Scientific,Waltham,MA)を指す。
0104
以下の表1に示すように、セルロースエーテルのそれらに匹敵する、1.5重量%のポリマー水溶液としての、所定の室温せん断粘度の、本発明のビニルまたはアクリルブラシ状ポリマー及び芳香族補因子を有する組成物。劇的な複数因子の粘度増加が、芳香族補因子がアクリルブラシ状ポリマーに添加されるときに生じた。実施例3、4、及び5に示すように、どの芳香族補因子が使用されるかは問題ではないが、BNSが好ましい。実施例7に示すように、架橋されたブラシ状ポリマーは、最適な増粘性の結果をもたらし、かつ好ましい。
0105
適用試験:以下の試験の全てを、下表2のモルタル配合物に基づいて行った。モルタルを、初めに全ての乾燥材料を混ぜ合わせることによってドライミックスを調製することにより、示した材料を用いて製造した。その後、水、芳香族補因子及びブラシ状ポリマーの水溶液などの全ての湿潤構成成分を、混合用ボウル内で混ぜ合わせ、均質になるまで撹拌した。混合レベル1(低速)で混合する間に、ドライミックスを混合用ボウルに添加し、得られた構成成分をレベル1で30秒間混合し、次いでレベル2(高速)で30秒間混合した。得られた湿潤モルタルを、90秒間休ませて可溶性添加剤を溶解させ、次いでレベル2で60秒間再度混合した。
0106
0107
1.Methocel(商標)F75Mヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(The Dow Chemical Company,Midland,MI);2.粘度は、ポリマーの1.5重量%ちょうどのポリマー水溶液から採取される。*−;比較例を示す。
0108
以下の表3及び5に示すように、本発明の示された組成物の性能は、同じ濃度のヒドロキシメチルセルロースのものと同様なモルタルの一貫性及び保水性を与えた。セメント凝結速度は、セルロースエーテルによるものよりも、本発明の組成物によってそれほど減少しない。保水能力(DIN18555−7:1987−11、Beuth Verlag GmbH,Berlin,DE,1987による)及びモルタル一貫性(CE17.3 DIN EN 196−3:2009−2,Beuth Verlag,2009による)についての性能をモルタル配合物で試験した。保水能力についての許容値は90%以上、または好ましくは95%以上である。モルタル一貫性についての許容値は、90%以上、または好ましくは95%以上である。配合物において、添加の順序及び添加剤の液体型もしくは固体型は重要ではなかった。
0109
0110
0111
1.Methocel(商標)F75Mヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(The Dow Chemical Company,Midland,MI);2.全ての重量%は、固体のものであり、総セメント固体に基づく。*−比較例を示す。
0112
上の表3に示すように、本発明の組成物の全ては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)のものと同様な保水性値を与えた。実施例11A〜13A、15A〜16A、及び18Aにおける本発明の組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)のものと同様なモルタル一貫性値を与え、このことは、本発明のブラシ状ポリマー及び補因子を含む組成物が、良好なモルタル一貫性を発現することを示している。実施例17Aにおける低分子量ブラシ状ポリマーであっても、許容し得る保水性値を与えた。側鎖マクロモノマーa)中に約44個のエーテル基と各側鎖中に平均で約44個のエーテル基を備えるブラシ状ポリマー(これはホモポリマーである)を有する実施例14Aの組成物は、許容し得る保水性を与えるが、このブラシ状ポリマーの側鎖上のエーテル基の平均数は、好ましいこのような平均数よりも高い。
0113
エトキシル化PVOHポリマー適用試験:示したブラシ状ポリマー及び以下の表5に示した補因子組成物を用いるCBTAモルタル配合物、ならびに以下の表4に示したモルタルにおいて、本発明の組成物を、ブラシ状ポリマー補因子組成物の水溶液の形態で、示したセメント、砂及びセメント添加剤ドライミックスと混合した。モルタルの水含有量は、セメント固体の20〜21.5重量%で変化する。
0114
0115
0116
1.Methocel(商標)F75Mヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(The Dow Chemical Company,Midland,MI);2.全ての材量は、セメント固体に基づく固体である;*−比較例を示す。
0117
上の表5に示すように、本発明の添加剤を有するモルタル組成物の全ては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)のものと同様な保水性値を与えた。これは、本発明のエトキシル化PVOHが、本発明の芳香族補因子と組み合される場合、セルロースエーテルのように作用することを示している。