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技術 がん特異的突然変異に対し抗原特異性を有するT細胞受容体を単離する方法

出願人 アメリカ合衆国
発明者 トラン、エリックル、ヨング-チェンロビンズ、ポールエフ.ロゼンバーグ、ステーヴンエー.
出願日 2014年10月2日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2017-517662
公開日 2017年10月26日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-531640
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 動物,微生物物質含有医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤
主要キーワード 類似程度 日付ファイル 並列配列 ナノボール アクセスセンタ 冷水道水 結合アルゴリズム ナノポア
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月26日)のものです。
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図面 (15)

課題・解決手段

がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCRを単離する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者がん細胞核酸中の1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;自己T細胞を選択すること;及び選択された自己T細胞から、TCRをコードするヌクレオチド配列を単離することを含み、TCRは、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、方法が開示される。また、関連の、細胞集団を調製する方法、細胞集団、TCR、医薬組成物、及びがんを治療又は予防する方法が開示される。

概要

背景

発明の背景
抗がん抗原T細胞受容体(TCR)を発現するよう遺伝学的に操作された細胞を用いる養子細胞療法(ACT)は、一部のがん患者において有益な臨床反応をもたらし得る。それにもかかわらず、がんや他の病気を、TCRを操作した細胞を使用して、首尾よく広範に治療することへの障害が残っている。例えば、がん抗原を特異的に認識するTCRは、同定すること及び/又は患者から単離することが困難であり得る。従って、がん反応性TCRを得る方法の改善についてのニーズがある。

概要

がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCRを単離する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;自己T細胞を選択すること;及び選択された自己T細胞から、TCRをコードするヌクレオチド配列を単離することを含み、TCRは、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、方法が開示される。また、関連の、細胞集団を調製する方法、細胞集団、TCR、医薬組成物、及びがんを治療又は予防する方法が開示される。なし

目的

本発明の一実施形態は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を単離する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己抗原提示細胞(APC)を、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現される主要組織適合性複合体MHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択すること;及び選択された自己T細胞から、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離することを含み、TCR又はその抗原結合部分は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞受容体(TCR)又はその抗原結合部分を単離する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者がん細胞核酸中1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己抗原提示細胞(APC)を、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現される主要組織適合性複合体MHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択すること;及び選択された自己T細胞から、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離することを含み、TCR又はその抗原結合部分は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、方法。

請求項2

患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することが、突然変異アミノ酸配列を含むペプチド又はペプチドプールでAPCをパルスすることを含み、プール中の各ペプチドは異なる突然変異アミノ酸配列を含む、請求項1の方法。

請求項3

患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することが、突然変異アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をAPCに導入することを含む、請求項1の方法。

請求項4

自己APCに導入されるヌクレオチド配列がタンデムミニ遺伝子(TMG)コンストラクトであり、各ミニ遺伝子が異なる遺伝子を含み、各遺伝子が突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含む、請求項3の方法。

請求項5

腫瘍の複数断片を患者から得ること、該複数断片からの自己T細胞のそれぞれを別々に、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養すること、及び複数断片のそれぞれからのT細胞を、突然変異アミノ酸配列に対する抗原特異性に関して別々に評価することを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項の方法。

請求項6

突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することが、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択的に増殖させることを含む、請求項1〜5のいずれか1項の方法。

請求項7

突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することが、プログラム細胞死1(PD−1)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG−3)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン3(TIM−3)、4−1BB、OX40、及びCD107aのいずれか1以上を発現するT細胞を選択することを含む、請求項1〜6のいずれか1項の方法。

請求項8

突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することが、(i)突然変異アミノ酸配列を提示するAPCとの共培養に際して、ネガティブコントロールによって分泌される1以上のサイトカインの量と比較して、より多くの量の1以上のサイトカインを分泌するか、又は(ii)突然変異アミノ酸配列を提示するAPCとの共培養に際して、1以上のサイトカインを分泌するネガティブコントロールT細胞の数と比較して、少なくとも2倍の多さの数のT細胞が1以上のサイトカインを分泌するT細胞を選択することを含む、請求項1〜7のいずれか1項の方法。

請求項9

1以上のサイトカインが、インターフェロン(IFN)−γ、インターロイキンIL)−2、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、顆粒球単球コロニー刺激因子GMCSF)、IL−4、IL−5、IL−9、IL−10、IL−17及びIL−22を含む、請求項8の方法。

請求項10

がん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定することが、がん細胞の全エクソーム、全ゲノム、又は全トランスクリプトーム配列決定すること含む、請求項1〜9のいずれか1項の方法。

請求項11

がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を発現する細胞集団を調製する方法であって、請求項1〜10のいずれか1項の方法により、TCR又はその抗原結合部分を単離すること、及び単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を末梢血単核細胞(PBMC)に導入して、TCR又はその抗原結合部分を発現する細胞を得ることを含む、方法。

請求項12

TCR又はその抗原結合部分を発現するPBMCの数を増幅することを更に含む、請求項11の方法。

請求項13

請求項1〜10のいずれか1項の方法により単離された、TCR又はその抗原結合部分。

請求項14

請求項11又は12により調製された、単離された細胞集団。

請求項15

(a)請求項13のTCR若しくはその抗原結合部分、又は(b)請求項14の、単離されたT細胞集団、及び医薬的に許容可能な担体を含む、医薬組成物

請求項16

哺乳動物におけるがんの治療又は予防において使用するための、請求項13のTCR若しくはその抗原結合部分、請求項14の単離された細胞集団、又は請求項15の医薬組成物。

請求項17

がんが上皮癌である、請求項16に記載の使用のための、TCR若しくはその抗原結合部分、単離された細胞集団、又は医薬組成物。

請求項18

がんが胆管がん黒色腫結腸がん又は直腸がんである、請求項16に記載の使用のための、TCR若しくはその抗原結合部分、単離された細胞集団又は医薬組成物。

請求項19

PBMCが患者に対して自己である、請求項16〜18のいずれか1項に記載の使用のための、単離された細胞集団、又は単離された細胞集団を含む医薬組成物。

請求項20

PBMCが患者に対して同種異系である、請求項16〜18のいずれか1項に記載の使用のための、単離された細胞集団、又は単離された細胞集団を含む医薬組成物。

技術分野

0001

電子提出された物件の参照による組み込み
本明細書と同時提出され、且つ、以下の通り識別されるコンピューター可読のヌクレオチドアミノ酸配列表が、参照により、本明細書中にその全体が組み込まれる:2014年9月15日付ファイル名「718291ST25.TXT」、29,577バイトのASCIIテキストファイル1件。

背景技術

0002

発明の背景
抗がん抗原T細胞受容体(TCR)を発現するよう遺伝学的に操作された細胞を用いる養子細胞療法(ACT)は、一部のがん患者において有益な臨床反応をもたらし得る。それにもかかわらず、がんや他の病気を、TCRを操作した細胞を使用して、首尾よく広範に治療することへの障害が残っている。例えば、がん抗原を特異的に認識するTCRは、同定すること及び/又は患者から単離することが困難であり得る。従って、がん反応性TCRを得る方法の改善についてのニーズがある。

0003

発明の要旨
本発明の一実施形態は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を単離する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己抗原提示細胞(APC)を、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現される主要組織適合性複合体MHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択すること;及び選択された自己T細胞から、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離することを含み、TCR又はその抗原結合部分は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、方法を提供する。

0004

本発明の別の実施形態は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、TCR又はその抗原結合部分を発現する細胞集団を調製する方法であって、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定すること;患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導すること;患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養すること;(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現されるMHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択すること;選択された自己T細胞から、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離すること(TCR又はその抗原結合部分は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する);及び単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を末梢血単核細胞(PBMC)に導入し、TCR又はその抗原結合部分を発現する細胞を得ることを含む、方法を提供する。

0005

本発明のさらなる実施形態は、関連する細胞集団、TCR又はその抗原結合部分、医薬組成物、及びがんを治療又は予防する方法を提供する。

図面の簡単な説明

0006

図1Aは、3737−TILと、OKT3、又は緑色蛍光タンパク質(GFP)RNA若しくは表示したタンデムミニ遺伝子(TMG)コンストラクトトランスフェクションした樹状細胞(DC)との、20時間の共培養後に、インターフェロン(IFN)−γ酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT)アッセイによって測定した、1x103(1e3)細胞あたりのスポット数を示すグラフである。「>」は、1×103細胞あたり500超のスポットを示す。モックトランスフェクションした細胞は、核酸の添加なしで、トランスフェクション試薬のみで処理した。図1Bは、OKT3或いはGFP RNA、TMG−1、又は表示した野生型(wt)遺伝子ALK、CD93、ERBB2IP、FCER1A、GRXCR1、KIF9、NAGS、NLRP2、若しくはRAC3をトランスフェクションしたDCとの共培養後の、OX40+である、CD4+の3737−TILのパーセンテージを示すグラフである。モックトランスフェクションした細胞は、核酸の添加なしで、トランスフェクション試薬のみで処理した。
図2A〜2Cは、何もなしでか、又は表示したHLA遮断抗体(MHC−1、MHC−II、HLA−DP、HLA−DQ、若しくはHLA−DR)と前培養していた、TMG−1をトランスフェクションしたDC(A)又は624−CIITA細胞((B)及び(C))と共培養した3737−TIL(A)、DMF5T細胞(B)、又はT4T細胞(C)について、20時間目において、IFN−γELISPOTアッセイによって測定した、1×103(1e3)細胞あたりのスポット数を示すグラフである(A〜C)。図2Dは、DMSO、突然変異(mut)ALK又はmutERBB2IPの25アミノ酸(−AA)長ペプチドで一晩パルスした、自己DQ−0301/−0601B細胞(灰色の棒)又はHLA−DQ05/0601遺伝子座黒色の棒)若しくはHLA−DQ−0201/0301遺伝子座(斜線なしの棒)において一部適合する同種異系EBV−B細胞と共培養した3737−TILについて、20時間目においてIFN−γELISPOTアッセイによって測定した、1×103(1e3)細胞あたりのスポット数を示すグラフである。ETGHLENGNKYPNLE(配列番号53);図2Eは、mutERBB2IPの25アミノ酸ペプチドTSFLSINSKEETGHLENGNKYPNLE(配列番号73)又は表示した、切断型mutERBB2IPペプチドFLSINSKEETGHLENGNKYPNLE(配列番号30)、SINSKEETGHLENGNKYPNLE(配列番号31)、NSKEETGHLENGNKYPNLE(配列番号32)、KEETGHLENGNKYPNLE(配列番号33)、ETGHLENGNKYPNLE(配列番号53)、TSFLSINSKEETGHL(配列番号34)、TSFLSINSKEETGHLEN(配列番号35)、TSFLSINSKEETGHLENGN(配列番号36)、TSFLSINSKEETGHLENGNKY(配列番号37)、若しくはTSFLSINSKEETGHLENGNKYPN(配列番号38)で一晩パルスした自己B細胞と共培養した3737−TILについて、20時間目において、IFN−γELISPOTアッセイにより測定した1×103(1e3)細胞あたりのスポット数を示すグラフである。
図3Aは、生きている、CD4+(陰影付き)T細胞又はCD8+(陰影なし)T細胞にゲートしたフローサイトメトリーによって測定した、3737−TIL中の様々なTCRVβクローン型のパーセンテージを示すグラフである。図3Bは、3737−TILの養子細胞移入0日目(矢印で表示)前後の、表示した日数で測定した、患者3737の血清サンプル中で検出したIFN−γ量(pg/ml)を示すグラフである。エラーバーは平均の標準誤差(SEM)である。図3Cは、細胞移入0日目(矢印で表示)に対する、表示した月数での全腫瘍負荷(丸)(前処置基準の%として測定)又は三角)若しくは肝臓四角)における腫瘍負荷を示すグラフである。図3Dは、フローサイトメトリーによって測定した、CD4+Vβ22−OX40+の3737−TILにおける、種々のTCRVβクローン型のパーセンテージを示すグラフである。
図4A及び4Bは、3737−TILを用いた養子細胞移入前後(細胞移入前の腫瘍菱形)及び細胞移入後の種々の腫瘍(Tu−1−Post(四角)、Tu−2−Post(▲)、及びTu−3−Post(▼)))の様々な時点で、患者3737の血液(丸)中の、2のERBB2IP突然変異特異的TCRβ−CDR3クローン型、Vβ22+(A)及びVβ5.2+(B)の頻度を示すグラフである。陰影付きの棒は、移入細胞(3737−TIL)における2のERBB2IP−突然変異特異的TCRβ−CDR3クローン型、Vβ22+(A)及びVβ5.2+(B)の頻度を示す。「X」は「検出なし」を示す。図4Cは、3737−TIL(T細胞)及び種々の養子細胞移入前(Tu−Pre)及び後(Tu−1−post、Tu−2−post及びTu−3−post)の腫瘍における、ACTBと比べたERBB2IPの発現を示すグラフである。図4Dは、細胞移入(矢印で表示)に対する、表示した月数における全腫瘍負荷(丸)(前処置基準の%として測定)又は肺(三角)若しくは肝臓(四角)における腫瘍負荷を示すグラフである。
図5Aは、同定した、突然変異した6アミノ酸残基(そのN−及びC−末端に、両側の12アミノ酸が隣接する)を含有するポリペプチドをコードするタンデムミニ遺伝子(TMG)コンストラクトの一例の模式図である。突然変異KIF2C配列は、DSSLQARLFPGLTIKIQRSNGLIHS(配列番号57)である。
図5Bは、自己メラニン細胞又はHLA−A*0205及びTMGコンストラクトRJ−1(図9Aに示す構造)、RJ−2、RJ−3、RJ−4、RJ−5、RJ−6、RJ−7、RJ−8、RJ−9、RJ−10、RJ−11、RJ−12、若しくは空のベクターを共トランスフェクションしたCOS−7細胞と一晩共培養したTIL2359T細胞によって分泌されるIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図5Cは、HLA−A*0205及びRJ−1変異体をトランスフェクションしたCOS−7細胞と共培養したTIL2359によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである(表中、「wt」と表示した遺伝子を、WT配列に再変換した)。KIF2C WT配列はDSSLQARLFPGLAIKIQRSNGLIHS(配列番号65)である。
図5Dは、HLAcDNAコンストラクト(左から右の各棒で特定される):HLA−A*0101(陰影なしの棒)、HLA−A*0201(灰色の棒)、又はHLA−A*0205(黒色の棒)と共に、空のベクター、KIF2C WT、又は突然変異KIF2CのcDNAコンストラクトをトランスフェクションしたCOS−7細胞と共培養したTIL2359によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図5Eは、種々の濃度(μM)のKIF2C10−19 WT(RLFPGLAIKI;配列番号58)(グラフ中の下の線)又は突然変異KIF2C10−19(RLFPGLTIKI;配列番号59)(グラフ中の上の線)でパルスした、HLA−A*0205を安定に発現するHEK293細胞と一晩共培養したTIL2359T細胞によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図6Aは、自己メラニン細胞又は、空のベクター若しくはDW−1〜DW−37から成る群から選択されたTMGコンストラクトをトランスフェクションした、HLA−C*0701を安定に発現するHEK293細胞と共培養したTIL2591T細胞によって分泌されるIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図6Bは、TMGコンストラクトDW−6の構造を示す模式図である。突然変異POLA2配列は、TIIEGTRSSSHFVFVPSLRDVHHE(配列番号64)である。
図6Cは、HLA−C*0701及びDW−6変異体をトランスフェクションしたCOS−7細胞と共培養したTIL2591によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである(表中、「wt」と表示した遺伝子を、WT配列に再変換した)。POLA2 WT配列は、TIIEGTRSSGSHLVFVPSLRDVHHE(配列番号66)である。
図6Dは、HLA cDNAコンストラクト(左から右の各バーで特定される):HLA−C*0401(陰影なしの棒)、HLA−C*0701(灰色の棒)、又はHLA−C*0702(黒色の棒)と共に、空のベクター、POLA2 WT、又は突然変異POLA2のcDNAコンストラクトをトランスフェクションしたCOS−7細胞と共培養したTIL2591によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図6Eは、種々の濃度(μM)のPOLA2413−422 WT(TRSSGSHLVF;配列番号67)(グラフ中の下の線)又は突然変異POLA2413−422(TRSSGSHFVF;配列番号68)(グラフ中の上の線)でパルスした、HLA−C*0701を安定に発現するHEK293細胞と、一晩共培養したTIL2591T細胞によって分泌されたIFN−γ量(pg/mL)を示すグラフである。
図7A〜7Fは、突然変異反応性細胞の第2回投与の前(A〜C)及び6ヶ月後(D〜F)に撮影した、患者3737の肺のコンピューター断層撮影(CT)スキャンである。矢印はがん病変を指す。

0007

発明の詳細な説明
本発明の一実施形態は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を単離する方法を提供する。本発明は多くの利点を提供する。例えば、本発明の方法は、患者の全MHC分子拘束性の多数の突然変異を、一度に迅速に評価し得、患者の突然変異反応性T細胞の全レパートリーを同定し得る。更に、本発明の方法は、免疫原性がん突然変異を、(a)がん特異的サイレント突然変異(突然変異アミノ酸配列をコードしない)及び(b)非免疫原性アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異と区別することにより、TCR又はその抗原結合部分によって標的とされ得る1以上のがん特異的突然変異アミノ酸配列を同定し得る。更に、本発明は、患者に特有のがん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を提供し得、それにより、患者のがんを治療又は予防するのに有用であり得る、「個人向け」のTCR又はその抗原結合部分を提供する。本発明の方法はまた、例えばcDNAライブラリーを用いるもの等の、がん抗原を同定する従来の方法における固有の技術的バイアスを回避し得、それらの方法よりも時間と労力が少ない場合もある。例えば、本発明の方法は、T細胞と、特に上皮がん(例)に関して作製が困難であり得る腫瘍細胞株とを共培養することなく、突然変異応答性T細胞を選択し得る。特定の理論又はメカニズムには縛られないが、本発明の方法は、正常な非がん性細胞の破壊を最少化又は回避し、それによって毒性を低減又は除去しつつ、がん細胞の破壊を目的とするTCR又はその抗原結合部分を同定及び単離し得ると考えられる。従って、本発明はまた、例えば、化学療法単独、外科手術又は放射線等の他のタイプの治療に反応しないがん等のがんを、首尾よく治療又は予防するTCR又はその抗原結合部分を提供し得る。

0008

該方法は、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定することを含み得る。がん細胞は、腫瘍細胞又はがん細胞を含有するか、又は含有することが予想される患者由来の任意の身体試料から得られ得る。身体試料は、血液、原発腫瘍から若しくは転移腫瘍から得られた組織サンプル等の任意の組織サンプル、又は腫瘍若しくはがん細胞を含有する他の任意のサンプルであり得る。がん細胞の核酸は、DNAであってもRNAであってもよい。

0009

がん特異的突然変異を同定するために、該方法は、正常な非がん性細胞のDNA又はRNA等の核酸を配列決定し、がん細胞の配列を正常な非がん性細胞の配列と比較することを更に含み得る。正常な非がん性細胞は、患者又は異なる個体から得られ得る。

0010

がん特異的突然変異は、突然変異アミノ酸配列(「非サイレント突然変異」とも言われる)をコードし、がん細胞において発現するが、正常の非がん性細胞ではしない任意の遺伝子における任意の突然変異であり得る。本発明の方法において同定され得るがん特異的突然変異の非限定的な例としては、ミスセンスナンセンス、挿入、欠失重複フレームシフト及びリピート伸長変異(repeat expansion mutation)が挙げられる。本発明の一実施形態においては、該方法は、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、少なくとも1の遺伝子を同定することを含む。しかし、本発明の方法を用いて同定され得る、かかるがん特異的突然変異を含有する遺伝子の数は限定されず、1超(例えば、約2、約3、約4、約5、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約400、約600、約800、約1000、約1500、約2000若しくはそれ以上、又は上記の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)の遺伝子が挙げられ得る。同様に、本発明の一実施形態においては、該方法は、突然変異アミノ酸配列をコードする、少なくとも1のがん特異的突然変異を同定することを含む。しかし、本発明の方法を用いて同定され得る、かかるがん特異的突然変異の数は限定されず、1超(例えば、約2、約3、約4、約5、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約400、約600、約800、約1000、約1500、約2000若しくはそれ以上、又は上記の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)のがん特異的突然変異が挙げられ得る。1超のがん特異的突然変異が同定される実施形態においては、がん特異的突然変異は、同一の遺伝子又は異なる遺伝子中に位置し得る。

0011

一実施形態においては、がん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定することは、がん細胞の全エクソーム、全ゲノム、又は全トランスクリプトームを配列決定することを含む。配列決定は、当該技術分野で公知の、任意の好適な様態で行われ得る。本発明の方法において有用であり得る配列決定技術の例としては、次世代配列決定(NGS)(「大規模並列配列決定技術」とも言われる)又は第3世代配列決定(Third Generation Sequencing)が挙げられる。NGSは、非サンガーベースハイスループットDNA配列決定技術を指す。NGSにより、数百万又は数十億のDNA鎖並行して配列決定され得、相当に高いスループットをもたらし、ゲノムのサンガー配列決定によく用いられる、フラグメントクローニング法に対する必要性を最小限に抑える。NGSにおいては、ゲノム全体を小断片に分割することによって、核酸テンプレートが、ゲノム全体にわたって、並行してランダムに読み取られ得る。NGSは、好都合なことに、非常に短い期間、例、約1〜約2週以内、好ましくは約1〜約7日以内、又は、最も好ましくは24時間未満の時間内に、ゲノム、エクソーム又はトランスクリプトーム全体の核酸配列情報を提供し得る。市販されているか、又は文献に記載されている複数のNGSプラットフォームが、本発明の方法に関連して用いられ得る(例、Zhang et al.,J.Genet.Genomics,38(3):95−109(2011)及びVoelkerding et al.,Clinical Chemistry,55:641−658(2009)に記載されたもの)。

0012

NGSの技術及びプラットフォームの非限定的な例としては、(GS−FLX 454ゲノムシークエンサー,454 Life Sciences(Branford,CT)、ILLUMINA SOLEXAゲノムアナライザー(Illumina Inc.,San Diego,CA)、若しくはILLUMINA HISEQ2000ゲノムアナライザー(Illumina)を用いて(例)、又はRonaghi et al.,Science,281(5375):363−365(1998)(例)に記載の通りに、行われるような)1塩基合成(sequencing−by−synthesis)(「パイロシークエンシング」としても知られる)、(SOLIDプラットフォーム(Life Technologies Corporation,Carlsbad,CA)又はPOLONATOR G.007プラットフォーム(Dover Systems,Salem,NH)を用いて(例)行われるような)シークエンシング・バイ・ライゲーション(sequencing−by−ligation)、(PACBIO RS system(Pacific Biosciences(Menlo Park,CA)又はHELISCOPE platform(Helicos Biosciences(Cambridge,MA)を用いて(例)行われるような)単一分子配列決定、(Oxford Nanopore Technologies(Oxford,UK)のGRIDONプラットフォーム、Nabsys(Providence,RI)によって開発されたハイブリダイゼーションアシテッドナノポアシークエンシングHANS)プラットフォーム、プローブアンカーライゲーション(cPAL)と呼ばれるDNAナノボールDNBテクノロジーによる、リガーゼベースのDNA配列決定プラットフォームを用いて(例)行われるような)単一分子配列決定のための技術、単一分子配列決定のための電子顕微鏡ベースの技術、及びイオン半導体シークエンシングが挙げられる。

0013

該方法は、患者の自己抗原提示細胞(APC)を、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することを含み得る。APCとしては、それらの細胞表面上の主要組織適合複合体(MHC)分子と関係して、タンパク質ペプチド断片を提示する任意の細胞が挙げられ得る。APCとしては、例えば、マクロファージ、DC、ランゲルハンス細胞Bリンパ球及びT細胞のうちの任意の1以上が挙げられ得る。好ましくは、APCはDCである。本発明の方法は、患者からの自己APCを用いることによって、好都合なことに、患者に発現するMHC分子の関係で提示されるがん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を同定し得る。MHC分子は、MHCクラスI、MHCクラスII、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DM、HLA−DO、HLA−DP、HLA−DQ及びHLA−DR分子が挙げられるが、これらに限定されない、患者によって発現される任意のMHC分子であり得る。本発明の方法は、例えば、いくつかのMHCクラスI対立遺伝子を選択する(a select few MHC class I alleles)ためのみに有用であり得、突然変異反応性T細胞を選択するための試薬(例えば、MHCテトラマー不完全なセット)の入手が限られていることによって制約され得る、MHC分子又は突然変異アミノ酸配列を同定するためのエピトープ予測アルゴリズムを用いることなく、患者によって発現される任意のMHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列を、好都合に同定し得る。従って、本発明の一実施形態においては、本発明の方法は、患者によって発現される任意のMHC分子の関係において提示される突然変異アミノ酸配列を、好都合に同定し、任意の特定のMHC分子に制限されない。好ましくは、自己APCは、抗原陰性自己APCである。

0014

患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することは、当該技術分野で公知の、任意の好適な方法を用いて行われ得る。本発明の一実施形態においては、患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することは、突然変異アミノ酸配列を含むペプチド又はペプチドプールで自己APCをパルスすることを含み、プール中の各ペプチドは、異なる突然変異アミノ酸配列を含む。プール中の突然変異アミノ酸配列の各々は、がん特異的突然変異を含有する遺伝子によってコードされ得る。これに関して、自己APCは、APCがペプチド(複数可)を内在化させ、MHC分子に結合した突然変異アミノ酸配列(複数可)を細胞膜上に提示するような様態で、突然変異アミノ酸配列を含むペプチド又はペプチドのプールと共に培養され得る。1超の遺伝子が同定され、各遺伝子が突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する実施形態においては、該方法は、プール中の各ペプチドが異なる突然変異アミノ酸配列を含むペプチドプールで、自己APCをパルスすることを含み得る。APCをパルスする方法は、当該技術分野で公知であり、Solheim(Ed.),Antigen Processing and Presentation Protocols(Methodsin Molecular Biology),Human Press,(2010)(例)に記載の通りである。APCをパルスするために使用されるペプチド(複数可)としては、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸(複数可)が挙げられ得る。ペプチド(複数可)は、突然変異アミノ酸(複数可)のカルボキシル側及びアミノ側のそれぞれに、同定された遺伝子によってコードされる内因性タンパク質由来の、任意の好適な数の、連続したアミノ酸を更に含み得る。突然変異の各側に隣接する、内在性タンパク質由来の連続したアミノ酸の数は限定されず、例えば、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、又は上記の値のいずれか2つによって規定される範囲であり得る。好ましくは、ペプチド(複数可)は、突然変異アミノ酸(複数可)の各側に、内因性タンパク質由来の約12の連続したアミノ酸を含む。

0015

本発明の一実施形態においては、患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導することは、突然変異アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を、APCに導入することを含む。ヌクレオチド配列はAPCに導入され、APCは突然変異アミノ酸配列を発現し、MHC分子に結合させて、細胞膜上に提示する。突然変異アミノ酸をコードするヌクレオチド配列は、RNAであってもDNAであってもよい。APCへのヌクレオチド配列の導入は、Solheim et al.(上記)(例)に記載の通りに、当該技術分野で公知の、異なる様々な方法のいずれかで行われ得る。APCへのヌクレオチド配列の導入に有用な技術の非限定的な例としては、形質転換形質導入、トランスフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられる。1超の遺伝子が同定される実施形態においては、該方法は、それぞれが、異なる遺伝子によってコードされる突然変異アミノ酸配列をコードする、1超のヌクレオチド配列を調製すること、及び各ヌクレオチド配列を自己APCの、異なる集団に導入することを含み得る。これに関して、各集団が、異なる突然変異アミノ酸配列を発現し提示する、自己APCの複数の集団が得られ得る。

0016

1超の遺伝子が同定され、各遺伝子が突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する実施形態においては、該方法は、1超の遺伝子をコードするヌクレオチド配列を導入することを含み得る。これに関して、本発明の一実施形態においては、自己APCに導入されるヌクレオチド配列は、TMGコンストラクトであり、各ミニ遺伝子は異なる遺伝子を含み、各遺伝子は突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含む。各ミニ遺伝子は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、本発明の方法によって同定された1の突然変異(突然変異の各側に、同定された遺伝子によってコードされる内在性タンパク質からの、任意の好適な数の連続したアミノ酸が隣接する)をコードし得る。コンストラクト中のミニ遺伝子の数は限定されず、例えば、約5、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25若しくはそれ以上、又は上記の値のうちの任意の2つにより規定される範囲が挙げられ得る。APCは、TMGコンストラクトによってコードされる突然変異アミノ酸配列を発現し、MHC分子に結合した突然変異アミノ酸配列を細胞膜上に提示する。一実施形態においては、該方法は、各コンストラクトが、異なる遺伝子によってコードされた突然変異アミノ酸配列の異なるセットをコードする、1超のTMGコンストラクトを調製すること、及び各TMGコンストラクトを自己APCの異なる集団に導入することを含む。これに関して、各集団が、異なるTMGコンストラクトによってコードされる突然変異アミノ酸配列を発現し提示する、自己APCの複数の集団が得られ得る。

0017

該方法は、患者の自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを培養することを含み得る。T細胞は、腫瘍、血液、骨髄リンパ節胸腺、又は他の組織若しくは体液が挙げられるがこれらに限定されない、患者中の多くのソースから得られ得る。T細胞には、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞(例、Th1細胞及びTh2細胞)、CD8+T細胞(例、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤細胞(例、腫瘍浸潤リンパ球(TIL))、末梢血T細胞、記憶T細胞、ナイーブT細胞などが挙げられるが、これらに限定されない、任意のタイプのT細胞が含まれ得、任意の発生段階のものであり得る。T細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、又はCD4+及びCD8+両方のT細胞であり得る。該方法は、自己T細胞が、APCによって提示された突然変異アミノ酸配列に特異的に結合し、免疫学的に認識するような様態で、T細胞がAPCによって提示される突然変異アミノ酸配列に遭遇するように、自己T細胞と自己APCとを共培養することを含み得る。本発明の一実施形態においては、自己T細胞は、直接自己APCに接触して共培養される。

0018

該方法は、(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現されるMHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択することを含み得る。語句「抗原特異性」は、本明細書で用いる場合、自己T細胞によって発現されるTCR又はその抗原結合部分が、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に特異的に結合し得、免疫学的に認識し得ることを意味する。選択することは、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞を同定し、それらを、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有さないT細胞から分離することを含み得る。突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することは、任意の好適な方法で行われ得る。本発明の一実施形態においては、該方法は、例えば、自己T細胞の選択に先立って、インターロイキン(IL)−2又はIL−15等のT細胞増殖因子と共培養することによって、又は本発明の他の態様に関して本明細書に記載の通りに、自己T細胞の数を増幅することを含む。本発明の一実施形態においては、該方法は、自己T細胞の選択に先立って、IL−2又はIL−15等のT細胞増殖因子で、自己T細胞の数を増幅することを含まない。

0019

例えば、自己T細胞と、突然変異アミノ酸配列を提示するAPCとの共培養の際に、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞は、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するこれらのT細胞を同定するために用いられ得る、様々なT細胞活性マーカーのうちの任意の1以上を発現し得る。かかるT細胞活性化マーカーとしては、プログラム細胞死1(PD−1)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG−3)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン3(TIM−3)4−1BB、OX40、及びCD107aが挙げられ得るが、これらに限定されない。従って、本発明の一実施形態においては、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することは、PD−1、LAG−3、TIM−3、4−1BB、OX40、及びCD107aのうちの任意の1以上を発現するT細胞を選択することを含む。1以上のT細胞活性化マーカーを発現する細胞は、例えば、マーカーの発現に基づいて、Turcotte et al.,Clin.Cancer Res.,20(2):331−43(2013)及びGros et al.,J.Clin.Invest.,124(5):2246−59(2014)(例)に記載の通りに、蛍光活性細胞選別FACS)又は磁気活性化細胞選別(MACS)等の、当該技術分野で公知の、様々な技術のいずれかを用いて選別され得る。

0020

本発明の別の実施形態においては、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することが、(i)突然変異アミノ酸配列を提示するAPCとの共培養に際して、ネガティブコントロールによって分泌される1以上のサイトカインの量と比較して、より多くの量の1以上のサイトカインを分泌するか、又は(ii)突然変異アミノ酸配列を提示するAPCとの共培養に際して、1以上のサイトカインを分泌するネガティブコントロールT細胞の数と比較して、少なくとも2倍の多さの数のT細胞が1以上のサイトカインを分泌する、T細胞を選択することを含む。1以上のサイトカインは、T細胞によるその分泌がT細胞の活性化(例、突然変異アミノ酸配列に特異的に結合し免疫学的に認識するT細胞に発現するTCR)に特徴的である、任意のサイトカインを含み得る。分泌がT細胞活性化に特徴的であるサイトカインの非限定的な例としては、IFN−γ、IL−2、及び腫瘍壊死因子α(TNF−α)、顆粒球単球コロニー刺激因子GMCSF)、IL−4、IL−5、IL−9、IL−10、IL−17、及びIL−22が挙げられる。

0021

例えば、TCR若しくはその抗原結合部分、又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞は、(a)ある濃度の、突然変異アミノ酸配列を含むペプチド(例、約0.05ng/mL〜約10μg/mL(例、0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、5μg/mL又は10μg/mL))でパルスした、抗原陰性APC、又は(b)突然変異アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が導入されたAPCとの共培養の際に、ネガティブコントロールによって分泌されるIFN−γの量と比較して、T細胞又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞が、IFN−γを、少なくとも2倍多く分泌する場合、突然変異アミノ酸配列に対する「抗原特異性」を有すると考えられ得る。ネガティブコントロールは、例えば、(i)(a)同濃度の関係性のないのペプチド(例、野生型アミノ酸配列、又は突然変異アミノ酸配列と異なる配列を有する他の何らかのペプチド)でパルスした抗原陰性APC、又は(b)関係性のないペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が導入されたAPCと共培養された、TCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞、或いは(ii)(a)同濃度の、突然変異アミノ酸配列を含むペプチドでパルスされた抗原陰性APC又は(b)突然変異アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が導入されたAPCと共培養された(例、TCR又はその抗原結合部分を発現しないPBMCに由来する)非形質導入T細胞であり得る。TCR若しくはその抗原結合部分又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞はまた、T細胞又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞が、突然変異アミノ酸を含む、より高濃度のペプチドでパルスした抗原陰性APCと共培養した際、ネガティブコントロール(例えば上記のネガティブコントロールのいずれか)と比較して、T細胞又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞が、より多くの量のIFN−γを分泌する場合、TCR若しくはその抗原結合部分、又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞は、また、突然変異アミノ酸配列に対し「抗原特異性」を有し得る。IFN−γ分泌は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)等の、当該技術分野で公知の方法によって測定され得る。

0022

代替的に、又は追加的に、TCR若しくはその抗原結合部分、又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞は、(a)ある濃度の突然変異アミノ酸配列を含むペプチドでパルスした抗原陰性APC、又は(b)IFN−γを分泌するネガティブコントロールT細胞の数と比較して、突然変異アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が導入されたAPCとの共培養の際に、少なくとも2倍の多さの数のT細胞又はTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞がIFN−γを分泌する場合、突然変異アミノ酸配列に対する「抗原特異性」を有すると考えられ得る。ペプチド及びネガティブコントロールの濃度は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載された通りであり得る。IFN−γを分泌する細胞の数は、例えば、ELISPOT等の、当該技術分野で公知の方法によって測定され得る。

0023

本発明の一実施形態においては、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞は、(1)本明細書に記載の、任意の1以上のT細胞活性化マーカーの発現、(2)より多くの量の、本明細書に記載の通りの1以上のサイトカインの分泌、を両方し得るが、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞は、より多くの量の、1以上のサイトカインを分泌することなく、任意の1以上のT細胞活性化マーカーを発現し得るか、又は任意の1以上のT細胞活性化マーカーを発現することなく、より多くの量の、1以上のサイトカインを分泌し得る。

0024

本発明の別の実施形態においては、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択することは、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する自己T細胞を選択的に増殖させることを含む。これに関して、該方法は、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有さないT細胞よりも、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞の増殖が有利になるような様態で、自己T細胞と自己APCとを共培養することを含み得る。従って、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有さないT細胞と比較して、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞の割合が高い、T細胞の集団が提供される。

0025

本発明の一実施形態においては、該方法は、複数の腫瘍断片を患者から得ること、該複数断片からの自己T細胞のそれぞれを別々に、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通りに、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養すること、及び複数断片のそれぞれからのT細胞を、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通りに、突然変異アミノ酸配列に対する抗原特異性に関して別々に評価することを更に含む。

0026

T細胞が、複数の突然変異アミノ酸配列(例、TMGコンストラクトによってコードされた複数の突然変異アミノ酸配列又は自己APC上にパルスされたペプチドプール中の複数の突然変異アミノ酸配列)を発現する自己APCと共培養される本発明の実施形態においては、自己T細胞を選択することは、自己T細胞を、複数の各突然変異アミノ酸配列に対する抗原特異性に関して、別々に評価することを更に含み得る。例えば、本発明の方法は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り(例えば、各々が、コンストラクトによってコードされる(又はプール中に含まれる)異なる突然変異アミノ酸配列を提示する、別々のAPC集団を提供することにより)、患者の自己APCを、コンストラクトによってコードされる(又はプール中に含まれる)各突然変異アミノ酸配列を提示するよう、別々に誘導することを更に含み得る。該方法は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、患者の自己T細胞と、各突然変異アミノ酸配列を提示する、異なる自己APC集団とを、別々に、共培養することを更に含み得る。該方法は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、且つ(b)患者によって発現されるMHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を、別々に選択することを更に含み得る。これに関して、該方法は、複数の突然変異アミノ酸配列をコードするTMGコンストラクトによってコードされる(又はプール中に含まれる)どの突然変異アミノ酸配列が、自己T細胞によって免疫学的に(例、除去プロセスによって)認識されるのかを決定することを含み得る。

0027

該方法は、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を、選択された自己T細胞から単離することを更に含み得、TCR又はその抗原結合部分は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する。本発明の一実施形態においては、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離する前に、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、選択された自己T細胞の数が増幅され得る。T細胞の数の増幅は、例えば、米国特許第8,034,334号;米国特許第8,383,099号;米国特許出願公開第2012/0244133号;Dudley et al.,J.Immunother.,26:332−42(2003);及びRiddell et al.,J.Immunol.Methods,128:189−201(1990)に記載の通りの、当該技術分野で公知の、多くの方法のいずれかによって達成され得る。本発明の別の実施形態においては、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、選択された自己T細胞の数は、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を単離する前に増幅されない。

0028

TCRの「抗原結合部分」は、本明細書中で用いられる場合、抗原結合部分が、本発明の他の態様に関して本明細書中に記載される通り、同定された遺伝子によってコードされた突然変異アミノ酸配列に特異的に結合するならば、それが一部であるTCRの、連続するアミノ酸を含む任意の部分を指す。用語「抗原結合部分」は、本発明のTCRの任意の部分又は断片(該部分又は断片は、その部分であるTCR(親TCR)の生物学的活性を保持する)を指す。抗原結合部分は、例えば、突然変異アミノ酸配列に特異的に結合する能力を保持するか、又はがんを検出、治療、又は予防する能力を保持するそれらのTCRの部分を、親TCRと比較して、類似程度、同程度、又はそれを上回る程度包含する。親TCRに関して、機能的部分は、例えば、親TCRの約10%、25%、30%、50%、68%、80%、90%、95%又はそれ以上を含み得る。

0029

抗原結合部分は、本発明のTCRのα鎖及び/又はβ鎖可変領域(複数可)の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3の1以上を含む部分等の、本発明のTCRのα鎖及びβ鎖のいずれか又は両方の抗原結合部分、を含み得る。本発明の一実施形態においては、抗原結合部分は、α鎖のCDR1(CDR1α)、α鎖のCDR2(CDR2α)、α鎖のCDR3(CDR3α)、β鎖のCDR1(CDR1β)、β鎖のCDR2(CDR2β)、β鎖のCDR3(CDR3β)、又はそれらの任意の組合せのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、抗原結合部分は、本発明のTCRの、CDR1α、CDR2α、及びCDR3αのアミノ酸配列;CDR1β、CDR2β及びCDR3βのアミノ酸配列;又はCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β及びCDR3βのすべてのアミノ酸配列を含む。

0030

本発明の一実施形態においては、抗原結合部分は、例えば、上記のCDR領域の組み合わせを含む、本発明のTCRの可変領域を含み得る。これに関して、抗原結合部分は、本発明のTCRの、α鎖の可変領域(Vα)のアミノ酸配列、β鎖の可変領域(Vβ)のアミノ酸配列、又はVα及びVβの両方のアミノ酸配列を含み得る。

0031

本発明の一実施形態においては、抗原結合部分は、可変領域と定常領域との組み合わせを含み得る。これに関して、抗原結合部分は、本発明のTCRのα鎖若しくはβ鎖、又はα鎖及びβ鎖の両方の全長を含み得る。

0032

選択された自己T細胞からの、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列の単離は、当該技術分野で公知の任意の好適な様態で行われ得る。例えば、該方法は、例えば、TCRα鎖及びTCRβ鎖の定常プライマーを用いた、cDNA末端の5’迅速増幅(RACE)ポリメラーゼ連鎖反応PCR)等の、確立された分子クローニング技術及び試薬を用いて、自己T細胞からRNAを単離し、TCR又はその抗原結合部分を配列決定することを含み得る。

0033

本発明の一実施形態においては、該方法は、TCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を、Green et al.(Eds.),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;4th Ed.(2012)(例)に記載の通りの、確立された分子クローニング技術を用いて、組換え発現ベクタークローニングすることを含み得る。本明細書の目的のためには、用語「組換え発現ベクター」は、コンストラクトがmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、該ベクターが、mRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを細胞内で発現させるのに十分な条件下で細胞と接触させられる場合、mRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドの、宿主細胞による発現を可能にする、遺伝学的に改変されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドコンストラクトを意味する。本発明のベクターは、全体として天然には存在しない。しかしながら、ベクターの一部は天然に存在し得る。組換え発現ベクターは、一本鎖又は二本鎖の、一部が天然のソースから合成され又は得られる、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチドを含有し得る、DNA及びRNAが挙げられるが、これらに限定されない、任意のタイプのヌクレオチドを含み得る。組換え発現ベクターは、天然に存在するヌクレオチド間結合、天然に存在しないヌクレオチド間結合、又は両方のタイプの結合を含み得る。好ましくは、天然に存在しない、又は改変されたヌクレオチド又はヌクレオチド間結合は、ベクターの転写又は複製を妨害しない。

0034

本発明の組換え発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであり得、任意の好適な宿主細胞を形質転換又はトランスフェクションするために用いられ得る。好適なベクターとしては、プラスミド及びウイルス等の、増殖及び増幅のため、若しくは発現又は両方のために設計されたものが挙げられる。ベクターは、トランスポゾントランスポザーゼ、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla,CA)、pETシリーズ(Novagen,Madison,WI)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)及びpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,CA)から成る群から選択され得る。λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、及びλNM1149等のバクテリオファージベクターも用いられ得る。植物の発現ベクターの例としては、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物の発現ベクターの例としては、pEUK−C1、pMAM及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。好ましくは、組換え発現ベクターは、ウイルスベクター(例、レトロウイルスベクター)である。

0035

本発明の方法により単離されたTCR又はその抗原結合部分は、養子細胞療法のための細胞を調製するのに有用であり得る。これに関して、本発明の実施形態は、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を発現する細胞集団を調製する方法を提供し、該方法は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、TCR又はその抗原結合部分を単離し、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列をPBMCに導入して、TCR、又はその抗原結合部分を発現する細胞を得ること含む。

0036

PBMCに、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列(例、組換え発現ベクター)を導入することは、Green et al.(上記)(例)に記載通りの、当該技術分野で公知の、異なる様々な方法のいずれかで行われ得る。PBMCにヌクレオチド配列を導入するのに有用な技術の非限定的な例としては、形質転換、形質導入、トランスフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられる。

0037

本発明の一実施形態においては、該方法は、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を、患者に対して自己のPBMCに導入することを含む。これに関して、本発明の方法によって同定及び単離されたTCR又はその抗原結合部分は、各患者個人向けにされ得る。しかしながら、別の実施形態においては、本発明の方法は、再発する(「ホットスポット」とも呼ばれる)がんに特異的な突然変異によりコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するTCR又はその抗原結合部分を同定及び単離し得る。これに関して、該方法は、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を、患者に対して同種異系であるPBMCに導入することを含み得る。例えば、該方法は、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を、腫瘍が、同一MHC分子に関して同一の突然変異を発現する別の患者のPBMCに導入することを含み得る。

0038

本発明の一実施形態においては、PBMCとしてT細胞が挙げられる。T細胞は、任意のタイプのT細胞、例えば、本発明の他の態様に関して本明細書中に記載されるもののいずれかであり得る。特定の理論又はメカニズムには縛られないが、より分化していない「より若い」T細胞は、より分化した「より老いた」T細胞と比較して、より高い、in vivoでの持続性、増殖及び抗腫瘍活性のいずれか1以上に関連し得ると考えられている。従って、本発明の方法は、好都合なことに、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、TCR又はその抗原結合部分を同定及び単離し得、該TCR又はその抗原結合部分を、TCR又はその抗原結合部分が単離され得る「より老いた」T細胞(例、患者の腫瘍におけるエフェクター細胞)と比較して、in vivoで、より高い持続性、増殖及び抗腫瘍活性のいずれか1以上を提供し得る「より若い」T細胞に導入し得る。

0039

本発明の一実施形態においては、該方法は、TCR又はその抗原結合部分を発現するPBMCの数を増幅することを更に含む。PBMCの数は、例えば、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、増幅され得る。これに関して、本発明の方法は、好都合なことに、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するT細胞を多数作製し得る。

0040

本発明の別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される方法のいずれかによって単離されたTCR又はその抗原結合部分を提供する。本発明の一実施形態は、TCRのアルファ(α)鎖、TCRのベータ(β)鎖、TCRのガンマ(γ)鎖、TCRのデルタ(δ)鎖、又はそれらの組み合わせ等の、2ポリペプチド(即ち、ポリペプチド鎖)を含むTCRを提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される通り、TCRの、1以上のCDR領域、1以上の可変領域、又はα鎖及びβ鎖の一方若しくは両方を含む、TCRの抗原結合部分を提供する。本発明のTCR又はその抗原結合部分のポリペプチドは、TCR又はその抗原結合部分が、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するならば、任意のアミノ酸配列を含み得る。

0041

本発明の別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載される方法のいずれかに従って調製された、単離された細胞集団を提供する。細胞集団は、少なくとも1の他の細胞(例、単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現しない宿主細胞(例、PBMC)又はT細胞以外の細胞(例、B細胞、マクロファージ、好中球赤血球肝細胞内皮細胞上皮細胞筋肉細胞、脳細胞等)に加えて、単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現するPBMCを含む不均一集団であり得る。或いは、細胞集団は、集団が、単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現するPBMCを主に含む(例、実質的にそれからなる)、実質的に均一な集団であり得る。集団はまた、集団の全ての細胞が、単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現するように、集団の全ての細胞が、単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現する単一のPBMCのクローンである、細胞のクローン集団であり得る。本発明の一実施形態においては、細胞集団は、本明細書に記載の単離されたTCR又はその抗原結合部分を発現するPBMCを含むクローン集団である。PBMCに、単離されたTCR又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を導入することにより、本発明の方法は、好都合なことに、単離されたTCRを発現し、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するPBMC細胞を高い割合で含む、細胞集団を提供する。本発明の一実施形態においては、細胞集団のうちの約1%〜約100%、例えば約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%、又は上記の値のいずれか2つによって規定される範囲が、単離されたTCRを発現し、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するPBMC細胞を含む。特定の理論又はメカニズムには縛られないが、単離されたTCRを発現し、突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有するPBMC細胞を、高い割合で含む細胞集団では、PBMCの機能(例、PBMCが、がん細胞の破壊を目的とする能力、及び/又はがんを治療若しくは予防する能力)を妨げ得る、不適切な細胞の割合が低いと考えられる。

0042

本発明のTCR、若しくはその抗原結合部分、及び細胞集団は、医薬組成物等の組成物へと製剤化され得る。これに関して、本発明は、本発明のTCR、若しくはその抗原結合部分、又は細胞集団のいずれか及び医薬的に許容可能な担体を含む、医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、本発明のTCR、若しくはその抗原結合部分、又は細胞集団を、化学療法剤等、別の医薬的に活性な物質(複数可)又は薬剤(複数可)(例、アスパラギナーゼ(asparaginase)、ブスルファン(busulfan)、カルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、フルオロウラシル(fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、パクリタキセル(paclitaxel)、リツキシマブ(rituximab)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)など)と組み合わせて含み得る。

0043

好ましくは、担体は医薬的に許容可能な担体である。医薬組成物に関して、担体は、考慮中の、特定の本発明のTCR、若しくはその抗原結合部分、又は細胞集団のために従来用いられているもののいずれかであり得る。かかる医薬的に許容可能な担体は、当業者に周知であり、公衆にとって容易に入手可能である。医薬的に許容可能な担体は、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないものであることが好ましい。

0044

担体の選択は、特定の本発明のTCR、その抗原結合部分、又は細胞集団によって、及び本発明のTCR、その抗原結合部分、又は細胞集団を投与するために用いられる特定の方法によって、ある程度決定される。従って、多様な、本発明の医薬組成物の好適な製剤がある。好適な製剤としては、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内及び腹腔内投与のための、いずれかの製剤が挙げられ得る。本発明のTCR又は細胞集団を投与するために、1超の経路が用いられ得、特定の例においては、特定の経路が、別の経路よりも迅速且つ効果的な反応をもたらし得る。

0045

好ましくは、本発明のTCR、その抗原結合部分、又は細胞集団は、注射により静脈内(例)に投与される。本発明の細胞集団が投与される場合、注射用の細胞のための医薬上許容される担体は、任意の等張性の担体、例えば、通常の生理食塩水(水中約0.90% w/vのNaCl、水中約300mOsm/LのNaCl、又は水1リットル当たり約9.0gのNaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott,Chicago,IL)、PLSMA−LYTE A(Baxter,Deerfield,IL)、水中約5%のデキストロース、又は乳酸リンゲル液等が挙げられ得る。一実施形態においては、医薬上許容される担体には、ヒト血清アルブミンが添加される。

0046

本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団及び医薬組成物は、がんを治療又は予防する方法において用いられ得ると考えられる。特定の理論又はメカニズムには縛られないが、本発明のTCR又はその抗原結合部分は、TCR又はその抗原結合部分が、細胞に発現する場合、突然変異アミノ酸配列を発現する標的細胞に対する免疫応答を媒介することができるように、がん特異的突然変異によってコードされる突然変異アミノ酸配列に、特異的に結合すると考えられる。これに関して、本発明は、哺乳動物におけるがんを治療又は予防する方法であって、哺乳動物におけるがんを治療又は予防するための有効量の、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、その抗原結合部分又は細胞集団のいずれかを、哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。

0047

用語「治療する」及び「予防する」並びにそれらの派生語は、本明細書で用いる場合、100%の、又は完全な治療又は予防を必ずしも意味しない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有すると認識する、様々な程度の治療又は予防が存在する。これに関して、本発明の方法は、任意のレベルの任意の量の、哺乳動物におけるがんの治療又は予防を提供し得る。更に、本発明の方法により提供される治療又は予防は、治療又は予防されている1以上の状態又はがんの症状の治療又は予防を含み得る。例えば、治療又は予防は、腫瘍の退行を促進することを含み得る。また、本明細書の目的のために、「予防」は、がんの発症、又はその症状若しくは状態を遅延させることを包含し得る。

0048

本発明の目的のために、投与される本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物の量又は用量(例、本発明の細胞集団が投与される場合、細胞数)は、例えば、哺乳動物において、適切な期間にわたって治療的又は予防的反応をもたらすのに十分であるべきである。例えば、本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物の用量は、がん特異的突然変異によりコードされる突然変異アミノ酸配列と結合するのに、又は、投与時から約2時間以上、例えば、12〜24時間以上という期間でがんを検出、治療若しくは予防するのに十分でなければならない。いくつかの実施形態においては、該期間はもっと長くなり得る。用量は、投与される特定の本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物の有効性、及び動物(例、ヒト)の状態、及び治療される動物(例、ヒト)の体重によって決定される。

0049

投与量を決定するための多くのアッセイが、当該技術分野において公知である。本発明の目的のために、それぞれ異なる用量のT細胞を与えられる哺乳動物の1群のうちのある哺乳動物に、所与の用量のかかるT細胞を投与した際、標的細胞が溶解される程度、又は、本発明のTCR若しくはその抗原結合部分を発現するT細胞によってIFN−γが分泌される程度を比較することを含むアッセイが用いられ、哺乳動物に投与される開始用量が決定され得る。一定用量の投与の際の、標的細胞が溶解する程度、又はIFN−γが分泌される程度は、当該技術分野において公知の方法によりアッセイされ得る。

0050

本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物の用量はまた、本発明の特定のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は組成物の投与に伴い得る、任意の不都合な副作用の存在、性質及び程度によって決定される。典型的には、主治医は、年齢、体重、身体全体の健康、食事性別、投与される本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物、投与経路、及び治療される状態の重症度等の種々の要因を考慮して、個々の患者のそれぞれを治療する、本発明のTCR、その抗原結合部分、細胞集団又は医薬組成物の投与量を決定する。

0051

本発明の細胞集団が投与される実施形態においては、投与される注入当たりの細胞数は、例えば、100万〜1000億細胞の範囲で変わり得る;しかしながら、この例示的な範囲を下まわるか、又は上まわる量は、本発明の範囲内である。例えば、本発明の宿主細胞の1日用量は、約100万〜約1500億細胞(例、約500万細胞、約2500万細胞、約5億細胞、約10億細胞、約50億細胞、約200億細胞、約300億細胞、約400億細胞、約600億細胞、約800億細胞、約1000億細胞、約1200億細胞、約1300億細胞、約1500億細胞又は上記の値のいずれか2つによって規定される範囲)、好ましくは約1000万〜約1300億細胞(例、約2000万細胞、約3000万細胞、約4000万細胞、約6000万細胞、約7000万細胞、約8000万細胞、約9000万細胞、約100億細胞、約250億細胞、約500億細胞、約750億細胞、約900億細胞、約1000億細胞、約1100億細胞、約1200億細胞、約1300億細胞又は上記の値のいずれか2つによって規定される範囲)、より好ましくは約1億細胞〜約1300億細胞(例、約1億2000万細胞、約2億5000万細胞、約3億5000万細胞、約4億5000万細胞、約6億5000万細胞、約8億細胞、約9億細胞、約30億細胞、約300億細胞、約450億細胞、約500億細胞、約750億細胞、約900億細胞、約1000億細胞、約1100億細胞、約1200億細胞、約1300億細胞(又は上記の値のいずれか2つによって規定される範囲)であり得る。

0052

細胞集団が投与される、本発明の方法の目的のために、細胞は、哺乳動物に対して同種異系又は自己の細胞であり得る。好ましくは、細胞は、哺乳動物に対して自己である。

0053

本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の、哺乳動物におけるがんの治療又は予防において使用するための、TCR、その抗原結合部分、単離された細胞集団又は医薬組成物のいずれかを提供する。

0054

がんは、好都合には、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、胞横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん肛門肛門管又は肛門直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、頸部胆嚢又は胸膜のがん、鼻腔、又は中耳のがん、口腔のがん、のがん、外陰部のがん、胆管がん慢性リンパ球性白血病慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん子宮頸がん胃腸カルチノイド腫瘍神経膠腫ホジキンリンパ腫下咽頭がん腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん肺がん悪性中皮腫黒色腫多発性骨髄腫鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫中咽頭がん卵巣がん陰茎のがん、膵臓がん腹膜大網及び腸間膜のがん、咽頭がん前立腺がん直腸がん、腎がん皮膚がん小腸がん、軟部組織がん、胃がん精巣がん甲状腺がん子宮のがん、尿管がん、膀胱がん固形腫瘍及び液性腫瘍を含む任意の腫瘍であり得る。好ましくは、がんは上皮がんである。一実施形態においては、がんは、胆管がん、黒色腫、結腸がん、又は直腸がんである。

0055

本発明の方法において言及される哺乳動物は、任意の哺乳動物であり得る。用語「哺乳動物」は、本明細書で用いる場合、マウス及びハムスター等のネズミ目の哺乳動物、及びウサギ等のウサギ目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない任意の哺乳動物を指す。哺乳動物が、ネコ科の動物(ネコ)及びイヌ科の動物(イヌ)を含むネコ目由来であることが好ましい。好ましくは、哺乳動物は、ウシ科の動物(ウシ)及びイノシシ科の動物(ブタ)を含むウシ目、又はウマ科の動物(ウマ)を含むウマ目(Perssodactyla)由来である。好ましくは、哺乳動物は、霊長目、セボイド(Ceboids)目若しくはシモイド(Simoids)目(サル)又は、類人(Anthropoids)目(ヒト及び類人猿)である。より好ましい哺乳動物は、ヒトである。特に好ましい実施形態においては、哺乳動物は、がん特異的突然変異を発現する患者である。

0056

以下の実施例は、本発明を更に説明するが、もちろん、決してその範囲を限定するものとして解釈すべきではない。

0057

実施例1〜7に関して、材料及び方法を以下に示す。

0058

全エクソーム配列決定
Jones et al.,Science 330:228−231(2010)に記載の通り、凍結保存した腫瘍組織OCT包埋)及び正常末梢血細胞の全エクソーム配列決定を、Personal Genome Diagnostics(PGDx、Baltimore、MD)により行った。配列の、それぞれの塩基での、明確で質の高い平均読み取り数は、腫瘍及び正常の(PBMCの)DNAについて、それぞれ155及び160であった。

0059

患者の治療及び養子細胞療法のための腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の作製
患者3737を、制度審査委員会(IRB)承認プロトコル:「転移性消化管がんにおけるリンパ球枯渇療法後の、短期間培養自己腫瘍浸潤リンパ球を用いた第II相試験治験登録ID:NCT01174121)」に登録した。該プロトコルは、消化管がん患者における、ex vivoで増幅した自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入の安全性と有効性を評価するために計画した。

0060

患者の最初の治療に用いるTILを、Jin et al.,J.Immunother.,35:283−292(2012)に記載の通り作製した。簡潔に述べると、切除した腫瘍を、約1〜2mmの断片に細かく刻み、個々の断片を、高用量IL−2(6000IU/ml,Chiron,Emeryville,CA)を含有する2mlの完全培地(CM)を含有する、24ウェルプレートウェルに入れた。CMは、当所(in−house)10%ヒト血清、2mM L−グルタミン、25mMHEPES及び10μg/mlゲンタマイシンを添加したRPMIから成っていた。更に、混合腫瘍消化物も、高用量のIL−2と共にCM中で培養した。T細胞の初期増殖(2〜3週の間)の後、選択培養物からの5×106のT細胞を、放射線照射した同種異系PBMCを用いて、ガス透過性G−Rex100フラスコ中で、5%ヒトAB血清、3000IU/mlのIL−2、及び30ng/mlのOKT3抗体(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)を添加した400mlの50/50培地中で、1対100の比で急速増幅した。50/50培地は、CMとAIM−V培地との1対1の混合物で構成されていた。全細胞を37℃、5%CO2で培養した。注入に先立ち、細胞数を2週間急速増幅させた。患者3737は、高用量IL−2の4回投与と合わせて、全部で424億のT細胞を受容するのに先立ち、シクロホスファミド及びフルダラビンで構成される非骨髄破壊リンパ枯渇療法(lymphodepleting regimen)を受けた。

0061

回目患者治療に用いたTILは、最初の治療と同様の方法で、以下の変更を伴って作製した。最初の治療用生成物(患者3737−TIL)は、5の個別TIL培養物の組み合わで構成された。これら5培養物を、CD4及びVβ22の発現及び突然変異ERBB2IPに対する反応性について個々に評価し、1の培養物が、Vβ22+ERBB2IP突然変異反応性CD4+T細胞に非常に富んでいることが見出された。次いで、この1のTIL培養物(高用量IL−2による初期増殖後)を上記の通り急速増幅させた。患者は、高用量IL−2の4回投与と合わせて、全部で1260億のT細胞を受容するのに先立ち、最初の治療と同じ非骨髄破壊的リンパ枯渇療法を受けた。

0062

TMGコンストラクトの作製
簡潔に述べると、全エクソーム配列決定によって同定された各非同義置換突然変異について、対応するアミノ酸の変異(野生型タンパク質配列の12アミノ酸が隣接する)をコードする、「ミニ遺伝子」コンストラクトを作製した。複数のミニ遺伝子を遺伝学的に融合させて、TMGコンストラクトを作製した。これらのミニ遺伝子コンストラクトは、コドンを最適化し、DNA String construct(Life Technologies,Carlsbad CA)として合成した。次いで、TMGを、In−Fusion technology(Clontech,Mountain View,CA)を用いてpcDNA3.1ベクターにクローニングした。部位特異的突然変異誘発を用いて、9つの「野生型復帰」TMG−1コンストラクト(Gene Oracle,Mountain View,CA)を作製した。標準的サンガー配列決定(Macrogen and Gene Oracle)により、全TMGのヌクレオチド配列を確認した。

0063

自己APCの作製
単球由来の未成熟DCを、プラスチック付着法を用いて作製した。簡潔に述べると、自己フェレーシス試料融解し、洗浄し、純粋なAIM−V培地(Life Technologies)を用いて5〜10×106細胞/mlに設定し、次いで、適切なサイズの組織培養フラスコ中、約1×106細胞/cm2で、37℃、5%CO2でインキュベーションした。90分後、非接着細胞回収し、フラスコをAIM−V培地でしっかり洗浄し、次いでAIM−V培地で更に60分間インキュベーションした。次いで、フラスコをAIM−V培地で再びしっかり洗浄し、次いで、付着細胞をDC培地でインキュベーションした。DC培地は、5%ヒト血清(当所で回収、処理)、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、800IU/mlGM−CSF並びに800U/mlIL−4を含有するRPMIで構成されていた(培地サプリメントはLife Technologiesから、サイトカインはPeprotechから)。3日目に、新しいDC培地を培養物に加えた。フレッシュな、又は凍結/融解したDCを、最初の刺激後5〜7日目の実験に用いた。全実験において、フローサイトメトリーを用いて、CD11c、CD14、CD80、CD86、及びHLA−DR(すべてBD Bioscienceから)の発現について細胞を表現型解析し、細胞が、主に未成熟DC(CD11c+、CD14−、CD80low、CD86+、及びHLA−DR+;データは示さず)であることを確認した。

0064

抗原提示B細胞は、CD40L及びIL−4刺激法を用いて作製した。簡潔に述べると、ヒトCD19マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を用いて、自己フェレーシス試料から陽性のB細胞を選択した。次いで、CD19+細胞を、CD40L(3T3−CD40L)を安定に発現する放射線照射(6000rad)3T3細胞と共に、B細胞培地中で約1:1の比で培養した。B細胞培地は、7.5〜10%のヒト血清(当所)、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)、10μg/mlゲンタマイシン(CellGro,Manassas,VA)、2mM L−グルタミン(Life Technologies)、及び200U/ml IL−4(Peprotech)を添加したIMDM培地(Life Technologies)で構成されていた。3日目からフレッシュなB細胞培地を加え、その後2〜3日ごとに培地を添加又は交換した。放射線照射3T3−CD40Lフィーダー細胞も必要に応じて更に添加した。抗原提示B細胞は、通常、最初の刺激後2〜3週の実験において用いた。

0065

in vitro転写RNA(IVT)RNAの生成
タンデムミニ遺伝子をコードするプラスミドを、制限酵素SacIIで線状化した。GFPをコードする、コントロールのpcDNA3.1/V5−His−TOPOベクターを、NotIで線状化した。制限消化を、EDTA酢酸ナトリウム及びエタノール沈殿終結させた。プラスミドの完全消化を、標準的なアガロースゲル電気泳動によって確認した。message machine T7 Ultra kit(Life Technologies)を用い、製造業者による指示の通り、約1μgの線状化プラスミドを、IVT RNAの生成に用いた。LiCl2法を用いてRNAを沈殿させ、RNAの純度及び濃度を、NanoDrop分光光度計を用いて評価した。次いで、RNAをマイクロチューブに等分し、使用するまで−80℃で保存した。

0066

RNAトランスフェクション
APC(DC又はB細胞)を回収し、PBSで1回洗浄し、次いでOpti−MEM(Life Technologies)に10〜30×106細胞/mlで再懸濁した。IVTRNA(4μg又は8μg)をギャップ2mmのエレクトロポレーションキュベットの底に等分して入れ(aliquoted to the bottom)、50μl又は100μlのAPCをキュベットに直接加えた。従って、エレクトロポレーションで使用するRNA終濃度は80μg/mlであった。エレクトロポレーションは、BTX−830矩形波エレクトロポレーターを用いて行った。DCは150V、10ミリ秒、1パルスでエレクトロポレーションし、B細胞は150V、20ミリ秒、1パルスでエレクトロポレーションした。これらの設定を用いたトランスフェクション効率は、GFPRNAで評価したところ、決まって70〜90%の間であった(データ示さず)。全工程を室温で行った。エレクトロポレーション後直ちに、細胞を、適切なサイトカインを添加したDC培地又はB細胞培地を含有するポリプロピレンチューブに移した。トランスフェクションした細胞を、37℃、5%CO2で一晩(12〜14時間)インキュベーションした。共培養アッセイにおける使用に先立ち、細胞を、PBSで1回洗浄した。

0067

ペプチドパルス
自己B細胞を回収し、洗浄し、次いで、IL−4を添加したB細胞培地に1×106細胞/mlで再懸濁し、次いで、1μg/mlの25マーペプチドで、一晩(12〜14時間)、37℃、5%CO2でインキュベーションした。一晩パルスした後、次いで、B細胞をPBSで2回洗浄し、次いでT細胞培地に再懸濁し、直ちに共培養アッセイに用いた。用いたペプチドは:突然変異ERBB2IP(

0068

0069

(配列番号73));野生型ERBB2IP(

0070

0071

(配列番号45));ネガティブコントロールとして、突然変異ALK(RVLKGGSVRKLRHAKQLVLELGEEA(配列番号46))であった。突然変異ERBB2IPペプチドは異なる3ソース(GenScript,Piscataway,NJ、Peptide 2.0,Chantilly,VA及びSelleckChem,Houston TX)から購入し、全て同じin vitroの結果をもたらした。一方、野生型ERBB2IPペプチド及び突然変異ALKペプチドはPeptide 2.0から購入した。同種異系EBV−B細胞を培養するためには、B細胞培地の代わりに、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)、10μg/mlゲンタマイシン(CellGro)並びに2mM L−グルタミンを含有するRPMI培地を用いた。

0072

T細胞の選別、増幅、及びクローニング
細胞選別を必要とする全実験において、BDFACSAria IIu及びBD FACSJazzを用いた。表示した実験においては、選別したT細胞を、30ng/ml抗CD3抗体(OKT3)及び3000IU/mlIL−2を含有する50/50培地中の過剰放射線照射(4000rad)同種異系フィーダー細胞(ドナーが異なる3種類の白血球除去輸血サンプルのプール)を用いて増幅した。限界希釈クローニングを、96ウェル丸底プレート中で、1ウェルあたり5e4フィーダー細胞及び1ウェルあたり1〜2T細胞で、上記の刺激条件を用いて行った。培地を、刺激後約1週間から始めて、その後一日おきに、又は必要に応じて、交換した。細胞は、通常、最初の刺激の約2〜3週後に、アッセイにおいて用いるか、又は更に増幅させた。

0073

共培養アッセイ:IFN−γELISPOT及びELISA、細胞表面活性化マーカーについてのフローサイトメトリー、及び細胞内サイトカイン染色(ICS)
APCとしてDCを使用する場合、96ウェル平底又は丸底のプレート1ウェル当たり、約3.5×104〜7×104のDCを用いた。APCとしてB細胞を使用する場合、96ウェル丸底プレート1ウェル当たり、約2×105の細胞を用いた。ELISPOTアッセイにおいては、1ウェルあたり1×103〜1×104のエフェクターT細胞を用い、フローサイトメトリーアッセイにおいては、1ウェルあたり1×105のエフェクターT細胞を用いた。T細胞は、通常解凍し、IL−2を含有する50/50培地(3000IU/ml IL−2)中に2日間静置(rest)し、次いで、共培養アッセイに先立ち、PBSで(3回)洗浄した。共培養は、すべて、外的に添加されたサイトカインの非存在下で行った。すべてのアッセイについて、ポジティブコントロールとして、プレート結合OKT3(0.1μg/ml又は1μg/ml)を用いた。

0074

HLA遮断抗体を含む実験においては、以下の抗体を用いた:汎クラスII(クローン:IVA12)、汎クラスI(クローン:W6/32)、HLA−DR(クローン:HB55)、HLA−DP(クローン:B7/21)、及びHLA−DQ(クローン:SPV−L3)。T細胞との共培養に先立ち、細胞を、37℃、5%CO2で1〜2時間、表示した抗体20〜50μg/mlでブロッキングした。T4は、チロシナーゼ中のエピトープに対して反応性である、HLA−DR4拘束性TCRで形質導入したT細胞である。DMF5は、MART−1に対して反応性のHLA−A2拘束性T細胞株である。624−CIITAは、CIITA(クラスII、MHC、トランスアクチベーター)の異所的発現によりMHC−IIを安定に発現する、HLA−A2及びHLA−DR4陽性黒色腫細胞株であり、MART−1及びチロシナーゼの発現について陽性である。

0075

IFN−γELISPOTアッセイに関しては、簡潔に述べると、ELIIPプレート(Millipore、MAIPSWU)を1ウェルあたり50μlの70%エタノールで2分間前処理し、PBSで3回洗浄し、次いで、50μlの10μg/ml IFN−γ捕捉抗体(Mabtech、クローン:1−D1K)でコーティングし、冷蔵庫中で一晩インキュベーションした。OKT3コントロールについては、ウェルを、IFN−γ捕捉抗体(10μg/ml)及びOKT3(1μg/ml)の混合物でコーティングした。共培養に先立ち、プレートをPBSで3回洗浄し、続いて、50/50培地で、室温(RT)で少なくとも1時間、ブロッキングした。20〜24時間共培養後、プレートをはじいて細胞を取り出し(cells were flicked out of the plate)、PBS(0.05%Tween−20(PBS−T)添加)で6回洗浄し、次いで、室温で2時間、100μl/ウェルの、0.22μmで濾過した1μg/mlビオチン化抗ヒトIFN−γ検出抗体溶液(Mabtech,クローン:7−B6−1)でインキュベーションした。次いで、プレートをPBS−Tで3回洗浄し、続いて100μl/ウェルのストレプトアビジン−ALP(Mabtech、Cincinatti、OH、1:3000に希釈)で1時間インキュベーションした。次いで、プレートをPBSで6回洗浄し、続いて100μl/ウェルの、0.45μmで濾過したBCIP/NBT基質溶液(KPL,Inc.)で発色させた。冷水道水で十分にすすぐことにより反応を停止させた。ELISPOTプレートを、ImmunoSpotプレートリーダー及び関連ソフトウェア(Cellular Technologies,Ltd、Shaker Heights,OH)を用いてスキャンし、計数した。

0076

T細胞活性化マーカーOX40及び4−1BBの発現を、フローサイトメトリーにより、刺激後約t=22〜26時間で評価した。簡潔に述べると、細胞をペレット化し、FACS緩衝液(1%FBS及び2mMEDTAを添加した1×PBS)で洗浄し、次いで、暗所中4℃で約30分間、適切な抗体で染色した。BDFACSCanto IIフローサイトメーターでの取得に先立ち、細胞を、FACS緩衝液で少なくとも1回洗浄した。データは、すべて、生きている単細胞(PI陰性)にゲートした。

0077

サイトカイン産生を、細胞内サイトカイン染色(ICS)及びフローサイトメトリーを用いて評価した。簡潔に述べると、標的細胞及びエフェクター細胞を、96ウェルプレートのウェル中に混合した後、GolgiStop及びGolgiPlugの両方を培養物に添加した(BD Biosciences)。GolgiStop及びGolgiPlugは、製造業者が推奨する濃度の1/2で用いた。刺激のt=6時間後に、Cytofix/Cytoperm kit(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いて、製造業者の指示書に従って細胞を処理した。簡潔に述べると、細胞をペレット化し、FACS緩衝液で洗浄し、次いで細胞表面マーカー(上記)について染色した。次いで、固定及び透過処理に先立ち、細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、細胞を、Perm/Wash緩衝液で洗浄し、暗所中4℃で30分間、サイトカインに対する抗体で染色した。FACSCantoIIフローサイトメーターでの取得に先立って、細胞を、Perm/Wash緩衝液で2回洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁した。フローサイトメトリーデータは、すべて、FLOWJOソフトウェア(TreeStar Inc)を用いて解析した。

0078

human IFN−γELISAkitを用いて、血清試料中のIFN−γを、製造業者(Thermo Scientific,Waltham、MA)の指示通りに検出した。

0079

フローサイトメトリー抗体
力価を測定した、以下の抗ヒト抗体を細胞表面染色に用いた:CCR7−FITC(クローン:150503)、CD45RO−PE−Cy7(クローン:UCHL1)、CD62L−APC(クローン:DREG−56)、CD27−APC−H7(クローン:M−T271)、CD4−efluor 605NC(クローン:OKT4)、CD57−FITC(クローン:NK−1)、CD28−PE−Cy7(クローン:CD28.2)、CD127−APC(クローン:eBioRDR5)、CD3−AF700(クローン:UCHT1)、CD4−FITC、PE−Cy7、APC−H7(クローン:SK3)、CD8−PE−Cy7(クローン:SK1)、Vβ22−PE(クローン:IMMU 546)、Vβ5.2−PE(クローン:36213)、OX40−PE−Cy7又はFITC(クローン:Ber−ACT35)、4−1BB−APC(クローン:4B4−1)、及びCD107a−APC−H7(クローン:H4A3)。CD4−efluor605NC(eBioscience)、Vβ22−PE及びVβ5.2−PE(Beckman Coulter)並びに4−1BB−APC及びOX40−PE−Cy7(BioLegend)を除いて、抗体はすべてBD Biosciences由来であった。細胞内サイトカイン染色のために、適切に力価測定した、以下:IFN−γ−FITC(クローン:4S.B3)、IL−2−APC(クローン:MQ1−17H12)、TNF−PerCPCy5.5又はAPC(クローン:MAb11)、IL−17−PE(クローン:eBio64DEC17)、及びIL−4−PE−Cy7(クローン:8D4−8)の抗ヒト抗体を用いた。IL−4−PE−Cy7(BD Bioscience)以外のICS抗体は、すべて、eBioscience由来であった。IO Mark Β Mark TCR V kitを用いて、TCR−Vβのレパートリーを評価した(Beckman Coulter)。

0080

ERBB2IP突然変異の配列決定
サンガー配列決定を用いて、全エクソーム配列決定によって見出されたERBB2IP突然変異を検証した。RNeasy Mini kit(Qiagen)を用いて、スナップ凍結したT細胞又は腫瘍組織(OCTブロック)から全RNAを抽出した。次いで、全RNAを、オリゴdTプライマー(Life Technologies)と共にThermoScript逆転写酵素を用いてcDNAに逆転写した。次いで、正常cDNA及び腫瘍cDNAを、突然変異に隣接する以下のERBB2IPプライマー:ERBB2IP Seq Forward:5’−TGTTGA CTC AAC AGCCAC AG−3’(配列番号47)及びERBB2IP Seq Reverse:5’−CTG GAC CACTTTTCT GAG GG−3’(配列番号48)を用いたPCRにおいて、鋳型として用いた。PhusionDNAポリメラーゼ(Thermo Scientific)を、推奨される3ステッププロトコル(58℃のアニーリング温度(15秒)及び72℃の伸長(30秒)を伴う)で用いた。標準的なアガロースゲル電気泳動及びゲル抽出(Clontech)により、PCR産物を単離した。同一のPCRプライマー(Macrogen)を用いて、産物を直接配列決定した。

0081

定量的PCR
RNeasy Mini kit(Qiagen,Venlo,Netherlands)を用いて、スナップ凍結したT細胞又は腫瘍組織(OCTブロック)から全RNAを抽出した。次いで、全RNAを、qScriptcDNASupermix(Quanta Biosciences,Gaithersburg,MD)を用いてcDNAに逆転写した。遺伝子特異的Taqmanプライマー並びに、ヒトβ−アクチンカタログ番号:401846)及びERBB2IP(カタログ番号:4331182)に対するプローブセットは、Life Technologiesから購入した。定量的PCRは、7500 Fast Real Time PCR機を用い、TAQMANFast Advanced Master Mix(いずれもApplied Biosystemsから)を用いて行った。標準的なアガロースゲル電気泳動により、増幅産物特異性を確認した。算出された閾値サイクル(Ct)はすべて30以下であった。

0082

TCR−Vβディープシークエンシング
DNeasy blood and tissue kit(Qiagen)を用いて、末梢血、T細胞及び凍結した腫瘍組織から単離したゲノムDNAに対して、immunoSEQ,Adaptive Biotechnologies(Seattle,WA)により、TCR−Vβディープシークエンシングを行った。サンプル当たりの、実益性のある(productive)TCRの読み取り総数は、279,482〜934,672の範囲であった。TCR頻度の算出においては、TCRの、実益性のある再配列のみを用いた。

0083

TCR配列決定及びERBB2IP突然変異反応性TCRの構築
T細胞をペレット化し、全RNAを単離した(RNeasy Mini kit,Qiagen)。次いで、TCRのα鎖及びβ鎖の定常プライマーを用いて、全RNAで、製造業者(SMARTer RACEcDNAamplification kit,Clontech)による指示通りに、5’RACEを行った。キットプログラム1を、伸長時間を変更(3分ではなく2分)して、PCRに用いた。α鎖及びβ鎖定常プライマーの配列は、TCR−α、5’−GCC ACAGCACTGTGCTCT TGA AGTCC−3’(配列番号49);TCR−β、5’−CAG GCA GTA TCT GGA GTC ATT GAG−3(配列番号50)である。次いで、標準的なアガロースゲル電気泳動及びゲル抽出(Clontech)により、TCRのPCR産物を単離した。その後、産物は直接配列決定したか、又はTOPO−TAクローニングした後、個々のコロニーの配列決定を行った(Macrogen)。既知のVβ22+T細胞クローンの配列決定のために、qScript cDNA Supermix(Quanta Biosciences)を用いて、RNAからcDNAを生成した。次いで、これらのcDNAを、TCR−β定常プライマー(上記)及びVβ22特異的プライマー:5’−CACCATGGA TAC CTG GCTCGT ATG C−3’(配列番号51)を用いるPCRにおいて鋳型として用いた。標準的なアガロースゲル電気泳動及びゲル抽出(Clontech)により、PCR産物を単離した。TCR−β定常鎖のネステッドプライマー:5’−ATT CAC CCA CCA GCT CAG−3’(配列番号52)を用いて、産物を直接配列決定した(Macrogen)。

0084

Vβ22+ERBB2IP−突然変異TCRの構築は、Vβ22+TCR−αのV−D−J領域を、マウスTCR−α定常鎖に、及びVβ22+TCR−β−V−D−J領域を、マウスTCR−β定常鎖に融合させることにより行った。α及びβ鎖は、フリンSGSG P2Aリンカー(furin SGSG P2A linker)によって隔てた。マウスTCR定常領域の使用により、導入TCRの対形成が促進され、フローサイトメトリーによる、マウスTCR−β鎖に特異的な抗体(eBioscience)を用いた、確かに形質導入されたT細胞の同定が容易になる。TCRコンストラクトを合成し、MSGV1レトロウイルスベクター(Gene Oracle)にクローニングした。

0085

末梢血T細胞のTCR形質導入
自己フェレーシス試料を解凍し、5%の当所ヒト血清、10μg/mlゲンタマイシン(CellGro)、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン、1.25μg/mlアンフォテリシンB(Fungizone)並びに2mM L−グルタミン(いずれもLife Technologiesから)を添加した、RPMI及びAIM−V培地の50/50混合物からなるT細胞培地中、2×106細胞/mlに設定した。2×106細胞(1ml)を、レトロウイルスによる形質導入前の2日間、50ng/mlの可溶性OKT3(Miltenyi Biotec)及び300IU/ml rhuIL−2(Chiron)を含む24ウェルプレート中で刺激した。一過性レトロウイルス上清を生成するために、リポフェクタミン2000(Life Technologies)を用いて、Vβ22陽性ERBB2IP突然変異特異的TCRをコードするレトロウイルスベクターMSGV1(1.5μg/ウェル)及びエンベロープをコードするプラスミドRD114(0.75μg/ウェル)を、レトロウイルスパッケージング細胞株293GP(6ウェルのポリ−D−リジンコーティングプレート1ウェル当たり1×106細胞、トランスフェクションの前日にプレーティング)に共トランスフェクションした。トランスフェクション後42〜48時間で、レトロウイルス上清を回収し、DMEM培地で1:1に希釈し、レトロネクチンでコーティングした(10μg/ml,Takara)非組織培養処理6ウェルプレートに向けて、32℃で2時間、2,000gで遠心分離した。次いで、活性化T細胞(ウェル当たり2×106、IL−2を含有するT細胞培地中0.5×106細胞/ml)を、レトロウイルスプレートへ、300gで10分間スピンした。活性化T細胞を、一晩形質導入し、プレートから取り出し、IL−2を含有するT細胞培地中で更に培養した。GFP及びモックの形質導入コントロールを、形質導入実験に含めた。細胞は、通常、レトロウイルス形質導入の10〜14日後にアッセイした。

0086

実施例1
本実施例は、それぞれの遺伝子が、突然変異アミノ酸配列をコードするがん特異的突然変異を含有する、患者のがん細胞の核酸中の1以上の遺伝子を同定する方法を実例で示す。

0087

複数の化学療法レジメンを通して進行した広範転移性胆管がんを伴った、43女性(患者(Pt.)3737)を、消化管GI)がん患者のための、TILベースの養子細胞療法(ACT)プロトコルに登録した。患者3737の臨床的特徴を表1に示す。

0088

0089

肺転移を切除し、全エクソーム配列決定用及び治療用T細胞作製用のソースとして用いた。表2は、患者3737からの転移性肺結節の全エクソーム配列決定によって同定された体細胞突然変異を示す。腫瘍結節は、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)染色切片病理学的解析により、約70%が腫瘍であると推定された。全エクソーム配列決定により、26の非同義突然変異が明らかになった(表2)。

0090

0091

0092

0093

実施例2
本実施例は、患者の自己APCを、突然変異アミノ酸配列を提示するよう誘導する方法;患者の自己T細胞集団と、突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCとを共培養する方法;及び(a)突然変異アミノ酸配列を提示する自己APCと共培養されて、(b)患者によって発現されるMHC分子の関係で提示される突然変異アミノ酸配列に対し抗原特異性を有する、自己T細胞を選択する方法を実例で示す。

0094

実施例1で同定された各突然変異について、内因性タンパク質由来の12アミノ酸が各側に隣接する、突然変異アミノ酸をコードするミニ遺伝子コンストラクトを設計した。複数のミニ遺伝子をタンデムで合成し、タンデムミニ遺伝子(TMG)コンストラクトを作製した(表3)。表3において、下線は、点突然変異又はヌクレオチドの挿入若しくは欠失によってコードされる突然変異アミノ酸及び新規配列を示す。スプライス部位ドナー突然変異(splice−site donor mutation)(HLA−DOA及びLONRF3)については、その部位で突然変異がスプライシングを妨げるという仮定に基づいて、下流のイントロンに入って次の終止コドンまで続く突然変異ミニ遺伝子転写産物を設計した。DIP2Cにおけるスプライス部位アクセプター突然変異(splice−site acceptor mutation)は評価しなかった。

0095

0096

次いで、TMGコンストラクトを、in vitro転写(IVT)RNAの生成用の鋳型として用いた。次いで、これらのIVT TMG RNAの各々を、自己APC(DC)に個別にトランスフェクションし、続いてTILとの共培養を行い、処理され、提示された突然変異抗原のいずれがTILによって認識されたかを決定した。3737−TILは、TMG−1に存在するが、TMG−2やTMG−3には存在しない突然変異抗原に対して反応性であることが観察された(図1A)。更に、活性化マーカーOX40及び4−1BBの上方制御により実証される通り(表4A及び4B)、CD4+T細胞集団において反応性が優勢であった。表4A及び4Bは、非特異的刺激剤OKT3と共に培養したDC、又は緑色蛍光タンパク質(GFP)RNA若しくは、全エクソーム配列決定によって同定された種々の突然変異をコードする、表示したタンデムミニ遺伝子(TMG)コンストラクトをトランスフェクションしたDCとの共培養後に、フローサイトメトリーによる検出で、表示した表現型を有するとされた3737−TILのパーセンテージを示す。モックトランスフェクションした細胞は、核酸の添加なしで、トランスフェクション試薬のみで処理した。データを、生きているCD3+細胞にゲートした。

0097

0098

0099

CD4陰性(CD8+)T細胞集団で、いくらかの4−1BB上方制御が観察されたが、これらの細胞は、選別されるも、TMGに対する反応性は見出されなかった。TMG−1における9突然変異のうち、いずれが3737−TILによって認識されていたかを決定するために、それぞれが、野生型配列へ復帰させた突然変異のうちの1つを含有する、TMG−1の更なる9コンストラクトを合成した。ERBB2相互作用タンパク質(ERBB2IP)突然変異が野生型配列に復帰した場合にのみ、3737−TILのTMG−1への反応性が消滅し、TILが、ERBB2IPE805G突然変異を特異的に認識することが示された(図1B)。

0100

ERBB2IP突然変異反応性T細胞応答を、分子的に特性解析した。IFN−γELISPOTアッセイを行い、20時間目に結果を測定した。患者3737−TILと、何も添加しないでか、又は表示した(MHC−I、MHC−II、HLA−DP、HLA−DQ、又はHLA−DRに対する)HLA遮断抗体を添加してプレインキュベーションした、TMG−1をトランスフェクションしたDCとを共培養した(図2A)。抗体ブロッキングに対するコントロールとして、HLA−A2拘束性MART反応性T細胞DMF5(図2B)及びHLA−DR拘束性チロシナーゼ反応性T細胞T4(図2C)と、何も添加しないでか、又は表示されたHLA遮断抗体を添加してプレインキュベーションした、MART及びチロシナーゼ陽性624−CIITA黒色腫細胞株とを共培養した。3737−TILの応答は、抗HLA−DQ抗体によって遮断された(図2A)。

0101

別のIFN−γELISPOTアッセイを行い、20時間目に結果を測定した。患者3737−TILと、DMSO、突然変異(mut)ALK又は突然変異ERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした、自己B細胞又はHLA−DQ遺伝子座が一部適合する、同種異系EBV−B細胞とを共培養した(図2D)。

0102

別のIFN−γELISPOTアッセイを行い、20時間目で結果を測定した。患者3737−TILと、mutERBB2IPの25アミノ酸ペプチド又は表示した切断型mutERBB2IPペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを共培養した(図2E)。

0103

図2A〜2Eに示す通り、3737−TILの応答はHLA−DQB1*0601対立遺伝子拘束性であり、最小エピトープは13アミノ酸配列、NSKEETGHLENGN(配列番号29)内に位置した。

0104

実施例3
本実施例は、実施例2で同定したERBB2IP特異的CD4+T細胞のTCR−Vβ22鎖で(そのα鎖と対応させて)遺伝的に改変した自己オープンレパートリー末梢血T細胞(autologous open repertoire peripheral blood T cells)が、突然変異ERBB2IPペプチドに対する特異的反応性を付与したことを示す。

0105

活性化マーカーとしてOX40を用い、実施例2で同定した、突然変異ERBB2IP特異的CD4+T細胞のクローン性を、それらを抗原特異的活性化後に選別することにより特性解析した。次いで、これらの細胞を、バルクで増幅し、限界希釈によりクローニングした。フローサイトメトリーに基づく、TCR−Vβレパートリーの調査により、バルク増幅集団の>95%がVβ22+であり、評価したクローンの10/11が、純粋にVβ22+であることが実証された。TCR配列解析により、試験したVβ22+クローンの6/6において、TCRβV−D−J配列が同一なことを明らかにし(表5)、ERBB2IP突然変異反応性T細胞の大部分が、支配的なVβ22+T細胞クローンから構成されることが示された。

0106

0107

このVβ22 TCRを発現するT細胞クローンは、突然変異ERBB2IPペプチドによる刺激に際して、サイトカインIFN−γを特異的に産生した(表6)。CD4+Vβ22+クローンと、OKT3又は野生型(wt)ERBB2IP、突然変異(mut)ALK、若しくはmutERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを、6時間共培養した。表6は、フローサイトメトリーによって測定した、共培養後に細胞内IFN−γを産生する(IFN−γ+)か、又は細胞内IFN−γを産生しない(IFN−γ−)、CD4+でVβ22+及びVβ22−のクローンのパーセンテージを示す。データは、同一のTCR−Vβ配列を共に有する2クローンのうちの代表例である。

0108

0109

更に、このTCR−Vβ22鎖を、そのα鎖(表7)と対応させて遺伝学的に改変した自己オープンレパートリー末梢血T細胞は、突然変異ERBB2IPペプチド(表8A及び8B)に対する特異的反応性を付与した。このことは、このTCRが、ERBB2IPE805G突然変異を特異的に認識することを実証した。自己オープンレパートリー末梢血T細胞を、Vβ22+クローン由来のTCRで形質導入(Td)し(表8A)、又は核酸の添加なしで形質導入試薬のみで処理し(Mock)(表8B)、次いで、反応性に関して、表6に記載の通り評価した。内因性Vβ22+TCR定常領域を、マウス定常領域と交換し、マウスTCRβ定常領域(mTCRβ)に対する抗体を用いた導入TCRの検出を可能にした。全てのアッセイにおいて、プレート結合OKT3をコントロールとして用いた。表8A及び8Bは、フローサイトメトリーによって測定される、細胞内IFN−γを産生する(IFN−γ+)か、又は細胞内IFN−γを産生しない(IFN−γ−)、mTCRβ+及びmTCRβ−の細胞のパーセンテージを示す。

0110

0111

0112

0113

実施例4
本実施例は、実施例2で同定した自己細胞を用いて、がんを治療する方法を実例で示す。

0114

患者3737は、CD4+ERBB2IP突然変異反応性T細胞を含有する424億のTILを養子移入後、T細胞の増殖及び機能を増強するために、IL−2の投与を4回受けた。患者3737は、治療のために肺病変の切除を受けた。次いで、腫瘍を小断片に細かく切り、高用量のIL−2でインキュベーションして、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を増幅した。IL−2中での、最初の細胞数の増幅後、選択したTIL培養物の数を、放射線照射同種異系末梢血フィーダー細胞、OKT3及びIL−2を含む急速増幅プロトコル(REP)を用いて、更に2週間増幅した。細胞注入に先立ち、患者を、シクロホスファミド(CTX:60mg/kg,1日1回2日間)、続いてフルダラビン(Flu:25mg/m2、5日間)でプレコンディショニングした。患者3737−TILは、100億(25%)超のERBB2IP突然変異反応性T細胞を含有する424億のTILを含み、0日目に投与し、続いてIL−2(アルデスロイキン,7.2e5IU/kg)を8時間ごとに投与した。患者はIL−2の投与を合計4回受けた。

0115

3737−TILと、TMG−1又は野生型(wt)復帰ERBB2IPをコードするTMG−1をトランスフェクションしたDCとを共培養し、フローサイトメトリーを用いて、刺激後24時間で、CD4+T細胞上のOX40及びVβ22の発現を評価した。プレート結合OKT3の刺激をポジティブコントロールとして用いた。フローサイトメトリー解析により、投与した3737−TIL産物全体の約25%が、Vβ22+突然変異反応性T細胞で構成され(図3A、表9)、100億超のERBB2IP突然変異特異的CD4+T細胞の注入に等しいことが実証された。表9は、フローサイトメトリーにより測定した、OX40を発現する(OX40+)か、又はOX40を発現しない(OX40−)Vβ22+及びVβ22−の細胞のパーセンテージを示す。

0116

3737−TILの養子細胞移入前及び後に、患者3737の血清試料に対して、IFN−γELISAアッセイを行った。結果を図3Bに示す。図3Bに示す通り、患者血清において、細胞注入後最初の5日間に、IFN−γのレベル上昇が検出された。

0117

患者は、細胞注入前には、明らかな進行性疾患の兆候を有していたが、2ヶ月の追跡調査により腫瘍退縮が観察され、肺及び肝臓の標的病変は、全て退行し続け、治療7ヶ月後には、最大の30%減退に達した(図3C)。患者は、細胞注入後約13ヶ月間、疾患の安定化を経て、その後、疾患の進行は肺のみで認められ、肝臓では認められなかった。

0118

0119

実施例5
本実施例は、実施例4の細胞の、in vitroの表現型及び機能を実例で示す。

0120

CD4+ERBB2IP突然変異反応性T細胞が、疾患の安定化における役割を果たす証拠があるか否かを判定するために、細胞の、in vitroの表現型及び機能を評価した。3737−TILと、野生型(wt)ERBB2IP、突然変異型(mut)ALK又はmut ERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを、6時間共培養した。フローサイトメトリーを用いて、Vβ22の発現を評価し、CD4+集団におけるIFN−γ(表10A)、腫瘍壊死因子(TNF)(表10B)、及びIL−2(表10C)の細胞内産生を検出した。表示した表現型を有する細胞のパーセンテージを表10A〜10Cに示す。表10Dは、表示した数のサイトカインを発現したVβ22+細胞のパーセンテージを示す。突然変異ERBB2IPペプチドによる刺激は、IFN−γ、TNF及びIL−2の確固とした共発現を誘導した(表10A〜10C)が、IL−4又はIL−17はほとんど又は全くされなかったので、Vβ22+ERBB2IP突然変異反応性CD4+T細胞が、多機能性Th1細胞であることが見出された。

0121

0122

0123

0124

0125

表現型の更なる特性解析により、これらの細胞が、主に、細胞溶解能を有するエフェクター記憶CD4+T細胞であることが明らかとなった(表11及び12)。Vβ22(ERBB2IP突然変異反応性T細胞に相当する)及びT細胞分化マーカーCD28、CD45RO、CD57、CCR7、CD127、CD62L及びCD27の発現について、患者3737−TILを、フローサイトメトリーにより評価した。データを、生きているCD3+CD4+細胞にゲートした。アイソタイプ染色した細胞又は非染色細胞を用いて、正及び負の象限ゲートを設定した。表示した表現型を有する細胞のパーセンテージを表11に示す。ヒト末梢血細胞(すべての分化段階のT細胞を含有する)を実験に含め、抗体が作用していることを確認した。

0126

0127

患者3737−TILと、OKT3又は野生型(wt)ERBB2IP、突然変異型(mut)ALK若しくはmutERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを、6時間共培養した。共培養開始時に、脱顆粒マーカーCD107aに対して特異的な抗体を加えた。フローサイトメトリーを用いて、Vβ22の発現を評価し、CD107aの細胞表面移動化(cell surface mobilization)を検出した。データをCD4+集団にゲートした。表示した表現型を有する細胞のパーセンテージを表12に示す。

0128

0129

3737−TIL中に存在する、多機能性、Vβ22陰性で、ERBB2IP突然変異反応性の、少数のCD4+T細胞集団もあるようであった(表9及び10)。これらのVβ22陰性細胞を、野生型(wt)ERBB2IP、突然変異型(mut)ALK又はmutERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞と共培養する前に、FACSで選別し、次いで、IL−2含有培地中で2日間静置した(rest)。フローサイトメトリーを用いて、Vβ22の発現を評価し、刺激後6時間(h)の、CD4+集団におけるIL−2(表13C)、TNF(表13B)、及びIFN−γ(表13A)の細胞内産生を検出した。表示した表現型を有する細胞のパーセンテージを表13A〜13Cに示す。

0130

0131

0132

0133

フローサイトメトリーを用いて、CD4+集団におけるOX40及びVβ22の発現(expression OX40 and Vβ22)を、刺激後24時間目に評価した。OX40を上方制御した細胞を選別し、細胞の数を増幅し、TCR−Vβレパートリーを、フローサイトメトリーにより解析した。結果を図3Dに示す。Vβ22陰性細胞を選別し、続いてこれらの細胞を活性化すると、3737−TIL中に、このエピトープに対して反応性の更なるクローン型が1以上存在し(表13A〜13C)、そのうち最も優占的なクローン型が、Vβ5.2である(図3D)ことが明らかになった。

0134

選別された、図3Dに記載の細胞と、wtERBB2IP、mut ALK又はmutERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを、6時間共培養した。フローサイトメトリーを用いて、Vβ5.2の発現を評価し、CD4+集団におけるIL−2(表14C)、TNF(表14B)、及びIFN−γ(表14A)の細胞内産生を検出した。表15は、表示した数のサイトカインを発現したVβ5.2+細胞のパーセンテージを示す。

0135

0136

0137

0138

0139

突然変異ERBB2IPによる刺激に際して、OX40を上方制御したVβ22陰性細胞を選別し、細胞数を増幅した。次いで、これらの細胞からのRNAを単離し、TCR−β定常鎖プライマーを用いて5’相補的DNA末端の迅速増幅(5’RACE)を行って、発現したTCR−Vβ配列を同定した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物に対してTOPO−TAクローニングを行い、次いで、個々のコロニーで配列決定した。フローサイトメトリーは、これらのT細胞の40〜50%がVβ5.2(TRBV5−6)であることを実証した。サンガー配列決定によると、TOPO−TAコロニーの3/7が、表16に示す配列を有するVβ5.2(TRBV5−6)であった。表16に、Vβ22陰性ERBB2IP突然変異反応性T細胞の、最も高頻度なTCRβV−D−J配列を示す。

0140

0141

大部分のVβ5.2+細胞が、抗原特異的様態で、複数のサイトカインを産生した(表14A〜14C、15及び16)。突然変異ERBB2IPを認識する、少数の、Vβ5.2陰性(及びVβ22陰性)CD4+T細胞の集団も存在するようであった(表14A〜14C及び15)。従って、患者3737を治療するために用いたTILは、ERBB2IPにおいて同一の突然変異を認識する、異なる多機能性CD4+T細胞を少なくとも3クローン含有し、この突然変異が、高度に免疫原性であることを示した。

0142

実施例6
本実施例は、実施例4の細胞のin vivoでの持続性を実証する。

0143

CD4+ERBB2IP突然変異反応性T細胞が、疾患の安定化における役割を果たす証拠があるか否かを判定するために、細胞の、in vivoでの持続性を評価した。TCR−Vβディープシークエンシングにより、これらのクローン型は、ACTの前では末梢血においてまれであるか、又は検出されないことが明らかとなった(図4A及び4B)。ACTの10日後、両クローンは、末梢血中の全T細胞の2%超存在したが、細胞注入後34日目までに0.3%未満に減少した(図4A及び4B)。ACTの約1年半後に切除された3例の肺転移は、ERBB2IP突然変異反応性T細胞によって浸潤されており(図4A及び4B)、これらの細胞が、がんの退縮及び疾患の安定化に寄与することが示された。Vβ22+ERBB2IP突然変異反応性クローンは、腫瘍結節3(Tu−3−Post)で検出された、最も高頻度なクローンであり、腫瘍中の全T細胞の約8%に相当した(図4A及び4B)が、このクローンは、腫瘍結節1及び2中、頻度の高さがそれぞれ2番目及び12番目だった。Vβ5.2+ERBB2IP突然変異反応性クローンも、その血中頻度と比較して、3腫瘍結節全てにおいて濃縮されていた(図4A及び4B)。従って、患者3737は、転移病巣に浸潤して持続する100億超のERBB2IP突然変異特異的多機能性Th1細胞を受容した後、1年超の間、疾患の安定化を伴う腫瘍退縮を経た。

0144

患者3737−TIL(T細胞)、及び養子細胞移入の前(Tu−Pre)後の腫瘍中の、ERBB2IP発現の定量的逆転写酵素PCR(RT−qPCR)解析を行った。細胞注入の約17ヶ月後に、肺の、転移性の別個の3病変(Tu−1、−2、−3−Post)を切除した。結果を、β−アクチン(ACTB)と相対的に、図4Cに示す。突然変異を含有する、ERBB2IP遺伝子の350塩基対(bp)セグメントを、図4Cに記載したcDNAサンプルからPCR増幅し、サンガー配列決定した。突然変異の位置は、アミノ酸配列の805位の変化に対応する、コード配列の2414位のヌクレオチドであった。定量的RT−PCRによって決定された通り、元の肺病変及び再発肺病変の両方において、比較的高レベルのERBB2IP発現が観察され(図4C)、サンガー配列決定により、すべての腫瘍病変において、ERBB2IP突然変異の存在が確認された。

0145

ACT前後のT細胞浸潤及びMHC発現の、免疫組織化学的解析を行った。ACT後の腫瘍は、最初のACTの約17ヶ月後に回収した。陽性対照扁桃)を全ての染色についてに含めた。in situでの、腫瘍のT細胞浸潤及びMHC発現を、それぞれ表17及び18に要約する。

0146

0147

0148

実施例7
本実施例は、突然変異反応性Th1細胞の、実施例4の抗腫瘍応答への寄与を実証する。

0149

突然変異反応性Th1細胞の、in vivoでの抗腫瘍応答への寄与を特異的に評価するために、>95%がVβ22+ERBB2IP突然変異反応性Th1細胞(約1200億の突然変異反応性細胞)で構成されるTIL産物を作製し、患者3737に養子移入した。

0150

再治療に用いたTIL産物のフローサイトメトリー解析を行った。表19は、CD3にゲートした後、97%がCD4+/CD8−であり、これらのうち98%が、CD4+細胞に更にゲートした後にVβ22+であったことを示す(表20)。再治療TILと、野生型(wt)又は突然変異型(mut)ERBB2IPの25アミノ酸長ペプチドで一晩パルスした自己B細胞とを、6時間共培養した。フローサイトメトリーを用いて、CD4+の集団における細胞内TNF産生を検出した(表20)。

0151

0152

0153

患者は、再度標的病変の減少を経たが、最初の治療とは異なり、腫瘍退縮が、最初の1ヶ月目の追跡調査でも認められ、2回目の治療後4ケ月目の追跡調査において続いていた(図4D)。2回目の治療後8ケ月目の追跡調査時に、腫瘍退縮が継続していた。

0154

突然変異反応性細胞の2回目の投与後6ヶ月に、患者3737の、肺のコンピューター断層撮影(CT)スキャンを撮影した。得られた画像を図7A〜Cに示す。これらの画像を、突然変異反応性細胞の第2回投与に先立って撮影したもの(図7D〜7F)と比較した。図7A〜7Fに示す通り、約36%のがん性病変の減少が観察され、固形がんの治療効果判定のための(RECIST)基準に基づく、部分反応(PR)がもたらされた。

0155

2回目の、突然変異反応性細胞投与の8ヶ月後、患者3737の、肝臓及び肺の陽電子放出断層撮影(PET)スキャンを撮影した。標的病変の継続的な収縮が観察された。腫瘍の代謝活性を測定するために、放射性標識グルコースアナログFDG(フルオロデオキシグルコース)を投与して、腫瘍によるグルコースの取り込みを評価した。PETスキャンでは、肝臓の2病変ではグルコース取り込みが示されず、肺病変では一部の取り込みが示されたのみであった。

0156

実施例8〜10
実施例8〜10についての材料及び方法を以下に示す。

0157

患者材料及び細胞株
すべての患者の材料は、国立がん研究所の施設治験審査委員会が承認した臨床試験過程で得た。患者2359及び患者2591を、Dudley et al.,J.Clin.Oncol.,26:5233−9(2008)に記載されている臨床試験(それぞれ、試験登録ID:NCT00096382及びID:NCT00335127)に登録した。患者に切除術を施し、それからTIL株と腫瘍細胞株の両方を樹立した。本研究に使用するTILは、Dudley et al.,J.Immunother.,26:332−42(2003)に記載の方法により作製した。簡潔に述べると、腫瘍断片を切除し、IL−2含有培地中で培養した。増幅したTIL培養物の数を、自己又はHLA適合腫瘍の認識についてスクリーニングし、急速増幅プロトコル(REP)(Riddell et al.,Science,257:238−41(1992))を用いて、反応性TILの数を、IL−2、抗CD3抗体及び放射線照射したフィーダー細胞により、患者注入用に大量増幅した(Riddell et al.,Science,257:238−41(1992))。一部少数のTILに第2のREPを施した。T細胞及び腫瘍細胞を、共培養アッセイ用に、200μLの培地(5%ヒト血清を添加したAIM−V培地)を含む96ウェルプレート中1:1の割合で、16時間(hr)培養した。

0158

臨床活性を有するTILの抗原反応性を評価するために、養子TIL療法による持続的完全寛解を経た、2名の転移性黒色腫患者を調査した。患者2359は、右に、大腿腸骨及び鼠径リンパ節に転移した、原発性皮膚黒色腫を有していた。この個人は、治療後8年間超にわたって進行中であった、自己TILの移入に反応して、全転移性病変の完全退縮を経た。患者2591は、腹壁腸間膜リンパ節、右結腸及び鎖骨上リンパ節に転移した原発性背部黒色腫(back melanoma)を有していた。この個人は、自己TIL移入に反応して、全転移性病変の完全退縮を経、治療後9年間無疾患であった。

0159

全エクソーム配列決定
該方法は、Robbins et al.,Nat.Med.,19:747−52(2013)に記載されている。ゲノムDNA精製、ライブラリー構築、約20,000のコード遺伝子のエクソーム捕獲(capture)、並びに腫瘍試料及び正常試料の次世代配列決定を、Personal Genome Diagnostics(Baltimore,MD)で行った。要約すると、腫瘍試料及び正常試料由来のゲノムDNAを断片化し、Illumina TRUSEQlibrary construction(Illumina,San Diego、CA)に用いた。エクソン領域は、Agilent SURESELECT 50Mb kit(version 3)を、製造業者の指示書(Agilent,Santa Clara、CA)に従って溶液中に捕捉した。HISEQ 2000 Genome Analyzer(Illumina)を用いて、各フラグメントの各末端から100塩基を得るペアエンド配列決定を行った。配列データを、参照用ヒトゲノム配列にマッピングし、配列改変を、5,000万塩基超の腫瘍DNA及び正常DNAの比較によって決定した。各試料について80億塩基超の配列データを得たが、該塩基の多くは、捕獲されたコード領域由来であった。腫瘍試料及び正常試料において、4300万塩基超の標的DNAを解析し、正常DNA試料及び腫瘍DNA試料における各塩基で、平均42〜51の読み取りを得た。

0160

生物情報科学的解析は、ワシトン大学医学部の個人ゲノム診断及びゲノム技術アクセスセンター、ゲノミクス及び病理学部門が行った。タグを、CASAVA 1.6ソフトウェア(Illumina)のELANDアルゴリズムを用いて、ヒトゲノム参照用配列(hg18)と整列させた。その後の解析用の配列読み取りを、IlluminaのBASECALL softwareの純度フィルターを用いて選択した。次いで、CASAVA1.6ソフトウェアのELANDv2 algorithmを適用して、点突然変異及び小規模な挿入及び欠失を同定した。dbSNPに記録された既知の多型を、解析から除外した。起こり得る体細胞突然変異を、Jones et al.,Science,330:228−31(2010)に記載の通りにフィルターにかけ、目視で検証した。

0161

タンデムミニ遺伝子ライブラリーの構築
黒色腫試料由来の非同義突然変異を、全エクソーム配列決定データから同定した。同定された突然変異アミノ酸6残基(そのN−及びC−末端両側に、両側の12アミノ酸が隣接する)を含有するポリペプチドをコードするタンデムミニ遺伝子コンストラクトを合成し(Integrated DNA Technologies,Coralville、Iowa)、次いで、IN−FUSION AdvantagePCRCloning Kit(Clontech)を用い、製造業者の指示書に従って、pcDNA3.1発現ベクターにクローニングした。

0162

IFN−γELISPOTアッセイ
腫瘍細胞株及びペプチドでパルスした標的細胞に対する応答を、15μg/mlの抗IFN−γモノクローナル抗体1D1K(Mabtech、Inc.,Cincinnati,OH)でコーティングした96ウェルPVDF膜フィルタープレート(EMD Millipore,Billerica,MA)を用いて、IFN−γELISPOTアッセイで定量した。結合したサイトカインを、1μg/mlのビオチン化抗IFN−γ抗体7−B6−1(Mabtech)を用いて検出した。HLA−A*0201、HLA−A*0205又はHLA−C*0701を発現するHEK293細胞を、ペプチドで、37℃で2時間パルスした。以下のペプチド:MART−1:AAGIGILTV(配列番号54)、突然変異KIF2C:RLFPGLTIKI(配列番号55)、突然変異POLA2:TRSSGSHFVF(配列番号56)を使用した。T細胞を、標的細胞又は50ng/ml PMA及び1μMイオノマイシンを含有する培地(PMA/I)と一晩共培養した。105T細胞あたりのスポット数を算出した。

0163

実施例8
本実施例は、TIL2359が、ミニ遺伝子ライブラリースクリーニングによって評価される通り、突然変異抗原を認識することを実例で示す。

0164

TIL2359の反応性を、腫瘍DNA及び正常DNAのエクソーム解析によって同定された非同義突然変異に基づき作製したTMGコンストラクトを用いて評価した。各TMGコンストラクトは、正常遺伝子産物中に存在する更なる12コドンがいずれの側にも隣接する突然変異コドンに対応する、個別のミニ遺伝子断片を、最大6つコードした。1例を図5Aに示す。

0165

Mel2359から同定された非同義点突然変異を含有するエクソームDNA配列に基づいた71ミニ遺伝子をコードする、タンデムの12ミニ遺伝子群の個々の1つを、別々に、COS−7細胞に一過的にトランスフェクションした。これらのCOS−7細胞に、このTILによる自己腫瘍細胞認識用に用いられる支配的なHLA拘束性要素である、HLA−A*0205もトランスフェクションした。これらのトランスフェクタントとTIL2359との共培養により、TMGの12コンストラクトのうちの1つ、RJ−1の認識がもたらされた(図5B)。図5Aに示す通り、RJ−1は、EPHB2、KIF2C、SLC44A5、ABCA4、DENND4B、及びEPRS遺伝子の突然変異断片をコードしていた。続いて、RJ−1変異体の6コンストラクト(各々が、6ミニ遺伝子のうちの1つにおいて、存在する突然変異残基の代わりに、WTをコードする)を作製した(図5C)。TIL2359は、HLA−A*0205と、個別にトランスフェクションされたRJ−1の6変異体のうちの5つとを共トランスフェクションしたCOS−7細胞を認識したが、WT KIF2C配列をコードする変異体では認識できなかった。このことは、このミニ遺伝子が、TIL2359が認識した突然変異エピトープをコードすることを示した(図5C)。この観察を更に検証するために、COS−7細胞に、HLA−A*0101、HLA−A*0201又はHLA−A*0205のcDNAのいずれかとともに、Mel2359から増幅されたWT又は突然変異全長KIF2C cDNA転写産物のいずれかを共トランスフェクションした。共培養実験により、TIL2359T細胞は、突然変異KIF2C遺伝子産物と共トランスフェクションしたCOS−7細胞を、HLA−A*0205拘束性様態で認識するが、WT KIF2C遺伝子産物とではそうしないことを示した(図5D)。

0166

突然変異KIF2Cコード領域は、天然のKIF2Cタンパク質中の16位のアラニンの、トレオニンへの置換をもたらす、ヌクレオチド46での、CからAへのシングルトランスバージョンを含有していた。エクソーム配列決定の結果により、Mel2359由来のDNAは、46位で、もっぱら突然変異残基に合致するが、正常な残基にはしないことが示され、Mel2359 DNAの直接的サンガー配列決定により、結果を確認した。このことにより、この遺伝子座でのヘテロ接合性喪失が示された。TIL2359によって認識される突然変異KIF2Cエピトープを同定するための試みにおいて、高親和性でHLA−A*0205に結合すると予測された、KIF2C突然変異を包含するペプチドを合成し(Hoof et al.,Immunogenetics,61:1−13(2009))、HLA−A*0205を安定して発現するHEK293細胞にパルスした(表21)。残基10〜19に対応するデカマーでパルスしたHEK293−A*0205細胞は、TIL2359 T細胞から多量のIFN−γの放出を促進し、該ペプチドは、最低濃度0.1nMで認識された。対照的に、対応するWTペプチドは、10μMで、有意なIFN−γ放出を誘導しなかった(図5E)。

0167

0168

実施例9
本実施例は、TIL2591が、ミニ遺伝子ライブラリースクリーニングにより同定された突然変異抗原を認識することを実例で示す。

0169

TIL2591によって認識される突然変異T細胞抗原は、Mel2591から同定された非同義点突然変異を含有するエクソームDNA配列に基づいて、217ミニ遺伝子をコードする37個のTMGコンストラクトを合成することによって同定した。TIL2591は、複数のHLA拘束性エレメントとの関係で自己腫瘍細胞を認識した。従って、Mel2591から単離したMHCクラスI HLA6分子のそれぞれを安定して発現するHEK293細胞株に、37のTMGコンストラクトを個別に、一過的にトランスフェクションし、続いてTIL2591との一晩の共培養を行った。初期の結果により、TIL2591が、ミニ遺伝子DW−6を一過的にトランスフェクションしたHLA−C*0701+HEK293細胞(HEK293−C*0701)(HLA−C*0701+HEK293 cells(HEK293−C*0701)cells)を認識するが、他のミニ遺伝子コンストラクトには有意に反応しないことが示された(図6A)。次いで、DW−6タンデムコンストラクト(図6B)における個々の突然変異6ミニ遺伝子のそれぞれを、別々にWT配列に復帰させた(図6C)。WT変異体に対する応答の評価により、TIL2591が、DW−6変異体の各々(WT POLA2断片をコードするコンストラクトを除く)をトランスフェクションしたCOS−7細胞を認識することが示された(図6C)。これらの知見を検証するために、COS−7細胞に、HLA−C*0401、HLA−C*0701又はHLA−C*0702cDNAと共に、WT又は突然変異の全長POLA2 cDNAコンストラクトのいずれかをトランスフェクションした。TIL2591 T細胞は、HLA−C*0701と突然変異POLA2コンストラクトをトランスフェクションした標的細胞のみを認識し、対応するWT転写産物ではしなかった(図6D)。POLA2コード領域のヌクレオチド1258における、CからTへのシングルの変化により、WT POLA2タンパク質の420位での、フェニルアラニンロイシンへの置換がもたらされた。サンガー配列決定により、ゲノムDNA及びMel2591 RNAに由来するcDNAの両方が、1258位にWT及び突然変異ヌクレオチドの両方を含有する一方、患者2591のPBMCから単離したゲノムDNAは、WT配列に対応することが示された、このことにより、これが、Mel2591細胞におけるヘテロ接合性体細胞突然変異を表すことが示された。

0170

次いで、HLA−C*0701結合アルゴリズムを用いて、420位の突然変異ロイシン残基オーバーラップするPOLA2ペプチドの候補を同定した(表22)。共培養の結果により、突然変異POLA2の残基413〜422に対応するデカマーでパルスしたHLA−C*0701+HEK293細胞が、最低濃度10nMで、TIL2591T細胞からのIFN−γの放出を刺激することが示された。対照的に、対応するWTペプチドでは、高濃度10μMで、有意なIFN−γ放出が誘導されなかった(図6E)。

0171

0172

次いで、TIL2359及び2591における、突然変異したKIF2C及びPOLA2をそれぞれ認識するT細胞の割合を、IFN−γ酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT)アッセイを用いて推定した。TIL2359は、自己黒色腫に応答して観察されたのと同様、突然変異KIF2CエピトープでパルスしたHLA−A*0205+細胞に応答して、100,000T細胞あたり約2,000スポットを生成した(表23)。TIL2591は、HLA−A2拘束性MART−1エピトープに応答して7000超のスポットを生成したが、HLA−C*0701拘束性突然変異POLA2エピトープに対して反応したT細胞はほんのわずかであった(表23)。

0173

0174

実施例10
本実施例は、ミニ遺伝子ライブラリースクリーニングにより同定した、消化管(GI)がんに存在する突然変異抗原に対して反応性のT細胞を同定する方法を実例で示す。

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  • 国立大学法人東京医科歯科大学の「 生体ガス計測装置」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】生体ガスを連続的に採取するとともに、採取した生体ガスからの対象物質の測定を即時に、かつ、経時的に行うことの可能な生体ガス計測装置を提供する。身体に対向する側に開口部11を有するととも... 詳細

  • 森永乳業株式会社の「 生菌数の測定方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】1種類又は複数種類の細菌を含む被検体から、簡便でありながら精度のよい特定のビフィズス菌の生菌数の測定方法を提供すること。1種類又は複数種類の細菌を含む被検体からビフィドバクテリウム・... 詳細

  • 積水メディカル株式会社の「 リアルタイムPCRによる核酸検出方法」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】本発明は、ろ紙に血液を含ませた後乾燥させたろ紙血の紙片中に含まれる標的核酸を、核酸増幅反応を利用して増幅した産物をリアルタイムPCRにより光学的に検出する方法及び定量する方法、さらにはこれらの... 詳細

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