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技術 強度、延性および成形性が改善された高強度鋼板を製造する方法

出願人 アルセロールミタル
発明者 モーハンティ,ラッシュミ・ランジャンジュン,ヒョン・ジョーファン,ドンウエイ
出願日 2015年7月3日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2016-575867
公開日 2017年8月31日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-524820
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理
主要キーワード 域内温度 分配温度 残留元素 焼入れ直後 誘導加熱器 再加熱速度 冷却スピード 自動車車両
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題・解決手段

降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、および穴広げ率HERが少なくとも30%である高強度鋼板を製造する方法。鋼の化学組成は、0.15%≦C≦0.25%、1.2%≦Si≦1.8%、2%≦Mn≦2.4%、0.1%≦Cr≦0.25%、Nb≦0.05%、Ti≦0.05%、Al≦0.50%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物である。275℃から325℃の間の焼入れ温度QTまで、焼入れ直後オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる組織を得るのに十分な冷却スピード鋼板を冷却することにより、鋼板は、Ac3変態点を超えるが1000℃未満である焼鈍温度TAにおいて30秒を超える時間で焼鈍され、オーステナイト含量は、最終的な組織が3%から15%の間の残留オーステナイトならびに85から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有し、フェライトを含まないことができるような含量であり、鋼板は420℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱され、この温度において50秒から150秒の間の時間で維持され、室温まで冷却される。

概要

背景

自動車車両用の車体構造用部材および車体パネル部品などの様々な装備を製造するために、DP二相)鋼またはTRIP(変態誘起塑性)鋼でできた鋼板を使用するのは通常のことである。

例えば、マルテンサイト組織および/または一定量の残留オーステナイトを含み、約0.2%のC、約2%のMn、約1.7%のSiを含有するそのような鋼は、降伏強度が約750MPaであり、引張強度が約980MPaであり、全伸びが8%を超える。これらの鋼板は、Ac3変態点を超える焼鈍温度から焼入れしてMs変態点を超える焼入れ温度まで低下させ、続いてMs変態点を超える過時効温度まで加熱し鋼板をこの温度で一定の時間維持することによって、連続焼鈍ラインにおいて製造される。次いで鋼板は室温まで冷却される。

地球環境保全の観点から自動車燃料効率を改善するために自動車の重量を削減したいという要望のため、降伏強度および引張強度が改善された鋼板を有することが望ましい。しかしそのような鋼板は良好な延性および良好な成形性、より詳細には良好な伸びフランジ性も有する必要がある。

この点において、降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが約1180MPa、全伸びが少なくとも14%、およびISO規格16630:2009に従って測定される穴広げ率HERが少なくとも30%である鋼板を得ることが望ましい。測定方法の違いに起因して、ISO規格による穴広げ率HERの値は、JFST 1001(日本鉄鋼連盟規格)による穴広げ率λの値と非常に異なり同等ではないことを強調する必要がある。

概要

降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、および穴広げ率HERが少なくとも30%である高強度鋼板を製造する方法。鋼の化学組成は、0.15%≦C≦0.25%、1.2%≦Si≦1.8%、2%≦Mn≦2.4%、0.1%≦Cr≦0.25%、Nb≦0.05%、Ti≦0.05%、Al≦0.50%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物である。275℃から325℃の間の焼入れ温度QTまで、焼入れ直後オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる組織を得るのに十分な冷却スピードで鋼板を冷却することにより、鋼板は、Ac3変態点を超えるが1000℃未満である焼鈍温度TAにおいて30秒を超える時間で焼鈍され、オーステナイト含量は、最終的な組織が3%から15%の間の残留オーステナイトならびに85から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有し、フェライトを含まないことができるような含量であり、鋼板は420℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱され、この温度において50秒から150秒の間の時間で維持され、室温まで冷却される。

目的

本発明の目的はそのような鋼板およびそれを製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鋼板熱処理することによって、延性が改善され且つ成形性が改善された高強度鋼板を製造する方法であって、鋼板の降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、および穴広げ率HERが少なくとも30%であり、鋼の化学組成が:0.15%≦C≦0.25%1.2%≦Si≦1.8%2%≦Mn≦2.4%0.1%≦Cr≦0.25%Nb≦0.05%Ti≦0.05%Al≦0.50%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物であり、熱処理は以下の工程:−Ac3を超えるが1000℃未満である焼鈍温度TAにおいて30秒を超える時間で鋼板を焼鈍する工程、−275℃から325℃の間の焼入れ温度QTまで、オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる組織焼入れ直後に得るのに十分な冷却スピードで鋼板を冷却することにより、鋼板を焼入れする工程であって、オーステナイト含量は、最終的な組織、すなわち処理および室温までの冷却後の組織が3%から15%の間の残留オーステナイトならびに85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有し、フェライトを含まないことができるような含量である、工程−鋼板を420℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱し、鋼板をこの温度において50秒から150秒の間の分配時間Ptの間維持する工程、−鋼板を室温まで冷却する工程を含む、方法。

請求項2

鋼の化学組成が、Al≦0.05%であるような組成である、請求項1に記載の方法。

請求項3

焼入れする工程中の冷却スピードが、少なくとも20℃/秒、好ましくは少なくとも30℃/秒である、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

鋼板が焼入れ温度QTまで焼入れされた後、且つ鋼板を分配温度PTまで加熱する前に、鋼板を焼入れ温度QTにおいて2秒から8秒の間、好ましくは3秒から7秒の間に含まれる保持時間の間維持する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

焼鈍温度TAが850℃を超える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

鋼の化学組成が重量%で0.15%≦C≦0.25%1.2%≦Si≦1.8%2%≦Mn≦2.4%1.1%≦Cr≦0.25%Nb≦0.05%Ti≦0.05%Al≦0.5%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物である鋼板であって、降伏強度が少なくとも850MPa、引張強度が少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、および穴広げ率HERが少なくとも30%であり、且つ組織が3%から15%の残留オーステナイトならびに85%から97%のマルテンサイトおよびベイナイトからなりフェライトを含まない、鋼板。

請求項7

降伏強度が950MPaを超える、請求項6に記載の鋼板。

請求項8

鋼の化学組成がAl≦0.05%であるような組成である、請求項6または7に記載の鋼板。

請求項9

残留オーステナイト中の炭素の量が少なくとも0.9%、好ましくは少なくとも1.0%である、請求項6から8のいずれか一項に記載の鋼板。

請求項10

平均のオーステナイト結晶粒径が最大で5μmである、請求項6から9のいずれか一項に記載の鋼板。

技術分野

0001

本発明は、強度、延性および成形性が改善された高強度鋼板を製造する方法に関し、この方法により得られる鋼板に関する。

背景技術

0002

自動車車両用の車体構造用部材および車体パネル部品などの様々な装備を製造するために、DP二相)鋼またはTRIP(変態誘起塑性)鋼でできた鋼板を使用するのは通常のことである。

0003

例えば、マルテンサイト組織および/または一定量の残留オーステナイトを含み、約0.2%のC、約2%のMn、約1.7%のSiを含有するそのような鋼は、降伏強度が約750MPaであり、引張強度が約980MPaであり、全伸びが8%を超える。これらの鋼板は、Ac3変態点を超える焼鈍温度から焼入れしてMs変態点を超える焼入れ温度まで低下させ、続いてMs変態点を超える過時効温度まで加熱し鋼板をこの温度で一定の時間維持することによって、連続焼鈍ラインにおいて製造される。次いで鋼板は室温まで冷却される。

0004

地球環境保全の観点から自動車燃料効率を改善するために自動車の重量を削減したいという要望のため、降伏強度および引張強度が改善された鋼板を有することが望ましい。しかしそのような鋼板は良好な延性および良好な成形性、より詳細には良好な伸びフランジ性も有する必要がある。

0005

この点において、降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが約1180MPa、全伸びが少なくとも14%、およびISO規格16630:2009に従って測定される穴広げ率HERが少なくとも30%である鋼板を得ることが望ましい。測定方法の違いに起因して、ISO規格による穴広げ率HERの値は、JFST 1001(日本鉄鋼連盟規格)による穴広げ率λの値と非常に異なり同等ではないことを強調する必要がある。

発明が解決しようとする課題

0006

したがって、本発明の目的はそのような鋼板およびそれを製造する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

この目的のため、本発明は、鋼板を熱処理することによって、延性が改善され且つ成形性が改善された高強度鋼板を製造する方法であって、鋼板の降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度TSが少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、およびISO規格による穴広げ率HERが少なくとも30%であり、鋼の化学組成が重量%で
0.15%≦C≦0.25%
1.2%≦Si≦1.8%
2%≦Mn≦2.4%
0.1%≦Cr≦0.25%
Nb≦0.05%
Ti≦0.05%
Al≦0.50%
を含有し、残部はFeおよび不可避不純物である、方法に関する。熱処理は以下の工程:
Ac3を超えるが1000℃未満である焼鈍温度TAにおいて30秒を超える時間で鋼板を焼鈍する工程、
− 275℃から325℃の間の焼入れ温度QTまで、オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる組織焼入れ直後に得るのに十分な冷却スピードで鋼板を冷却することにより、鋼板を焼入れする工程であって、オーステナイト含量は、最終的な組織、すなわち処理および室温までの冷却後の組織が3%から15%の間の残留オーステナイトならびに85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有し、フェライトを含まないことができる含量である、工程
− 鋼板を420℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱し、および鋼板をこの温度において50秒から150秒の間の分配時間Ptの間維持する工程、
− 鋼板を室温まで冷却する工程
を含む。

0008

特定の実施形態において、鋼の化学組成は、Al≦0.05%であるような組成である。

0009

好ましくは、焼入れする工程中の冷却速度は、少なくとも20℃/秒、さらに好ましくは少なくとも30℃/秒である。

0010

好ましくは、この方法は、鋼板が焼入れ温度QTまで焼入れされた後、且つ鋼板が分配温度PTまで加熱される前に、鋼板を焼入れ温度QTにおいて2秒から8秒、好ましくは3秒から7秒の間に含まれる保持時間の間保持する工程をさらに含む。

0011

好ましくは、焼鈍温度はAc3+15℃を超え、特に850℃を超える。

0012

本発明は、化学組成が重量%で
0.15%≦C≦0.25%
1.2%≦Si≦1.8%
2%≦Mn≦2.4%
0.1≦Cr≦0.25%
Nb≦0.05%
Ti≦0.05%
Al≦0.5%
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物である鋼板にも関し、鋼板は降伏強度が少なくとも850MPa、引張強度が少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、および穴広げ率HERが少なくとも30%であり、組織は3%から15%の残留オーステナイトならびに85%から97%のマルテンサイトおよびベイナイトからなりフェライトを含まない。

0013

降伏強度は950MPaをも超えていてもよい。

0014

特定の実施形態において、鋼の化学組成は、Al≦0.05%であるような組成である。

0015

好ましくは、残留オーステナイト中の炭素の量は、少なくとも0.9%、好ましくは少なくとも1.0%である。

0016

好ましくは、平均のオーステナイト結晶粒径は、最大で5μmである。

図面の簡単な説明

0017

本発明の例10に対応する走査電子顕微鏡写真

0018

次に本発明を、限定を取り入れずに詳細に説明し、例10に対応する走査電子顕微鏡写真である唯一の図によって示す。

0019

本発明によれば、鋼板は、化学組成が重量%で以下を含有する半製品熱間圧延および任意選択的に冷間圧延によって得られる:
− 十分な強度を確保し、且つ十分な伸びを得るのに必要である残留オーステナイトの安定性を改善するための、0.15%から0.25%、好ましくは0.17%を超え好ましくは0.21%未満の炭素。炭素含量が高すぎる場合、熱間圧延した鋼板は硬すぎて冷間圧延できず、溶接性が不十分である。

0020

固溶体強化し、且つ過時効の間に炭化物の形成を遅らせるように、オーステナイトを安定化させるための、1.2%から1.8%、好ましくは1.3%を超え1.6%未満のケイ素

0021

− 少なくとも65%のマルテンサイトを含有する組織を得るための十分な硬化性、1180MPaを超える引張強度を有するため、且つ延性に悪影響を与える分離の問題を避けるための、2%から2.4%、好ましくは2.1%を超え好ましくは2.3%未満のマンガン

0022

−硬化性を高めるため、且つ過時効の間のベイナイトの形成を遅らせるために残留オーステナイトを安定化させるための、0.1%から0.25%のクロム

0023

脱酸素の目的で通常の場合に溶鋼に加えられる、最大で0.5%のアルミニウム。Alの含量が0.5%を超える場合、焼鈍温度は高すぎるために到達しないことになり、鋼は工業的に加工が困難となる。好ましくは、Al含量は不純物レベル、すなわち最大で0.05%に制限される。

0024

− Nb含量は0.05%に制限されるが、なぜならそのような値を超えると大きい析出物が形成され且つ成形性が低下することになり、14%の全伸びに到達することがより困難となるからである。

0025

− Ti含量は0.05%に制限されるが、なぜならそのような値を超えると大きい析出物が形成され且つ成形性が低下することになり、14%の全伸びに到達することがより困難となるからである。

0026

残部は鉄および鋼製造から生じる残留元素である。この点において、Ni、Mo、Cu、V、B、S、PおよびNは少なくとも、不可避不純物である残留元素と考えられる。したがって、それらの含量は、Niについては0.05%未満、Moについては0.02%未満、Cuについては0.03%未満、Vについては0.007%未満、Bについては0.0010%未満、Sについては0.007%未満、Pについては0.02%未満、Nについては0.010%未満である。

0027

鋼板は、当業者に公知の方法に従って、熱間圧延および任意選択的に冷間圧延によって調製される。

0028

圧延後、鋼板は酸洗いまたは洗浄され、次いで熱処理される。

0029

好ましくは組み合わせた連続焼鈍ラインで行われる熱処理は、以下の工程を含む:
−組織が完全にオーステナイトであることを確実にするように、鋼のAc3変態点を超える、好ましくはAc3+15℃を超える、すなわち本発明による鋼については約850℃を超えるが、オーステナイト結晶粒過度に粗大化させないために1000℃未満である焼鈍温度TAにおいて、鋼板を焼鈍する工程。鋼板は化学組成を均質化させるのに十分な時間をかけて、焼鈍温度で維持される、すなわちTA−5℃からTA+10℃の間で維持される。この時間は好ましくは30秒を超えるが300秒を超える必要はない。

0030

−Ms変態点を下回る焼入れ温度QTまでフェライトおよびベイナイトの形成を避けるのに十分な冷却速度で冷却することにより、鋼板を焼入れする工程。焼入れの直後にオーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる組織を有するようにするため、焼入れ温度は275℃から325℃の間であり、オーステナイト含量は、最終的な組織(すなわち処理および室温への冷却後)が、3%から15%の間の残留オーステナイトならびに85から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有し、フェライトを含まないことができるような含量である。冷却速度は少なくとも20℃/秒、好ましくは少なくとも30℃/秒である。焼鈍温度からの冷却の間にフェライトが形成されるのを避けるために、少なくとも30℃/秒の冷却速度が必要である。

0031

−鋼板を420℃から470℃の間の分配温度PTまで再加熱する工程。再加熱速度は再加熱が誘導加熱器によって行われる場合は高くてもよいが、5℃/秒から20℃/秒の間の再加熱速度では鋼板の最終的な特性に対して明確な影響を与えなかった。したがって、再加熱速度は好ましくは5℃/秒から20℃/秒の間に含まれる。好ましくは、焼入れ工程と鋼板を分配温度PTまで再加熱する工程との間で、鋼板は焼入れ温度において2秒から8秒の間、好ましくは3秒から7秒の間に含まれる保持時間の間、維持される。

0032

−鋼板を分配温度PTにおいて50秒から150秒の間の時間維持する工程。分配温度において鋼板を維持することは、分配の間に鋼板の温度がPT−10℃からPT+10℃の間にとどまることを意味する。

0033

−フェライトまたはベイナイトを形成させないために、好ましくは1℃/秒を超える冷却速度で鋼板を室温まで冷却する工程。現在、この冷却スピードは、2℃/秒から4℃/秒の間である。

0034

そのような処理によって、鋼板は3%から15%の残留オーステナイトならびに85%から97%のマルテンサイトおよびベイナイトからなりフェライトを含まない組織を有する。実際には、Ms変態点未満での焼入れに起因して、組織はマルテンサイトを含有し少なくとも50%である。しかし、そのような鋼に関して、マルテンサイトおよびベイナイトは非常に区別するのが困難である。これが、マルテンサイトおよびベイナイトの含量の合計のみが考慮される理由である。そのような組織によって、降伏強度YSが少なくとも850MPa、引張強度が少なくとも1180MPa、全伸びが少なくとも14%、およびISO規格16630:2009による穴広げ率(HER)が少なくとも30%である鋼板を得ることができる。

0035

例として、以下の組成:C=0.19%、Si=1.5%、Mn=2.2%、Cr=0.2%を有し、残部はFeおよび不純物である、厚さが1.2mmの鋼板を熱間圧延および冷間圧延により製造した。この鋼の理論上のMs変態点は375℃であり、Ac3変態点は835℃である。

0036

鋼板の試料は焼鈍、焼入れおよび分配(すなわち分配温度までの加熱およびその温度での維持)によって熱処理され、機械的特性が測定された。鋼板は焼入れ温度において約3秒間保持された。

0037

処理の条件および得られる特性は表Iに記載され、この表において焼鈍タイプの列は焼鈍が変態域内(IA)であるかまたは完全オーステナイト(full γ)であるかを特定している。

0038

0039

この表において、TAは焼鈍温度、QTは焼入れ温度、PT温度は分配の温度、Ptは分配の時間、YSは降伏強度、TSは引張強度、UEは一様伸び、TEは全伸び、HERはISO規格による穴広げ率、γは組織中の残留オーステナイトの割合であり、γ結晶粒径は平均のオーステナイト結晶粒径であり、γ中のC%は残留オーステナイト中の炭素の量であり、Fは組織中のフェライトの量であり、M+Bは組織中のマルテンサイトおよびベイナイトの合計の量である。

0040

表Iにおいて、例10は本発明によるものであり、すべての特性が最小の求められる特性よりも良好である。図に示すように、その組織は11.2%の残留オーステナイトならびに88.8%のマルテンサイトおよびベイナイトの合計を含有する。

0041

変態域内温度で焼鈍される試料に関する例1から6は、試料4、5および6についてのみ当てはまる、全伸びが14%を超える場合であっても、穴広げ率が低すぎることを示している。

0042

先行技術に関する、すなわちMs点未満で焼入れされなかった鋼板(QTはMs変態点を超えPTはQTに等しい)に関する例13から16は、そのような熱処理によって、引張強度が非常に良好な場合であっても(1220MPaを超える)、焼鈍が変態域内である場合には降伏強度はあまり高くなく(780未満)、成形性(穴広げ率)はすべての場合で十分ではない(30%未満)ことを示している。

実施例

0043

例7から12は、Ac3を超える温度で焼鈍された、すなわち組織が完全オーステナイトであった試料にすべてが関するものであり、目標の特性に到達する唯一の方法が300℃(+/−10)の焼入れ温度および450℃(+/−10)の分配温度であることを示している。そのような条件によって、850MPaを超え、950MPaをも超える降伏強度、1180MPaを超える引張強度、14%を超える全伸び、および30%を超える穴広げ率を得ることができる。例17は、470℃を超える分配温度は目標の特性を得られないことを示している。

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