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課題・解決手段
概要
背景
慢性肝疾患は世界における主要な死因のひとつである。慢性肝疾患としては、ウイルス性肝炎であるB型慢性肝炎とC型慢性肝炎を筆頭に、薬物性肝炎、アルコール性肝炎や自己免疫性肝炎がある。
肝炎においては、炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)や腫瘍壊死因子α(TNF-α)の過剰産生が観察される。IL-1βはIL-1受容体と結合し、c-Jun-NH2-ターミナルキナーゼ(JNK)の活性化を誘導する。JNKが活性化された結果、転写因子のAP-1が活性化され、炎症反応が惹起される。それと並行して、転写因子NF-κBを抑制するInhibitor of κB(IκB)が分解され、p65、p50等のサブユニットからなるNF-κBが活性化される。その結果、肝細胞においてインターロイキン-6(IL-6)、一酸化窒素合成酵素2(NOS2)などの炎症性物質の遺伝子の転写が誘導される。一方、TNF-αは3量体のTNF受容体と結合し、JNKおよびNF-κBを活性化する。また、カスパーゼは細胞にアポトーシスを起こさせるシグナル伝達経路を構成する一群のシステインプロテアーゼであるが、カスパーゼ依存的なアポトーシスの経路に加え、TNF-αを介するJNK活性化によって肝細胞のアポトーシスが誘導されることが知られている。
肝炎の前病態として、脂肪肝がある。脂肪肝は、肝細胞内に中性脂肪を中心とした脂質が蓄積した病態である。病因としては、過栄養、肥満、アルコールの過剰摂取、糖尿病、高カロリー輸液、一部の薬物、栄養障害、妊娠などがある。アルコール非摂取者においても脂肪肝から肝炎への症状進行が認められることがあり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれている。北米人口の30−40%、日本でも人口の14%が非アルコール性の脂肪肝であり、その10−20%がNASHへと進行すると報告されている。NASHは進行性の肝疾患であり、肝硬変、肝不全や肝癌になるリスクがある。現在、肝移植の15%以上はNASHに関連した肝硬変が原因とされている。米国では、2020年までに肝移植の第一適応疾患になると予想されている。近年、肝への脂肪蓄積にIL-1β及びTNF-αが関与していることが示唆されている。
肝疾患の治療に現在使用されている薬剤としては、ウイルス性肝炎にはインターフェロン製剤が主として挙げられる。インターフェロンは肝炎ウイルスを減少させる薬剤であるが、すべての患者に効果が認められるものではなく、治療費も高額となる。また、精神障害、血小板や白血球の減少、投薬中止後のリバウンド、間質性肺炎などの多くの副作用が報告されている。肝機能を改善する薬剤として、グリチルリチン製剤や漢方薬も使用されているが、明確な効果が認められないことが多い。このようなことから、肝疾患を治療する、あるいは脂肪肝から肝疾患への進行を抑制する、副作用の少ない肝の保護方法あるいは肝保護剤が求められている。
本発明者らは、本抽出物が、NF-κB活性化の阻害、NF-κB標的遺伝子の発現抑制、JNK活性化の阻害、肝細胞のアポトーシスの抑制、カスパーゼ活性化の阻害及び/又は脂肪蓄積の抑制等による肝の保護作用を有することを見出した。本抽出物の肝臓に対する作用については、四塩化炭素誘発の肝硬変及び3'‐メチル‐ジエチルアミノアゾベンゼン誘発の肝悪性腫瘍の発現抑制作用が特許文献1及び非特許文献1に開示されている。しかし、本抽出物が、肝におけるNF-κB等の活性化の阻害やアポトーシスの抑制、脂肪蓄積の抑制作用等を有することについては何ら記載されていない。
概要
本発明の目的は、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を治療の必要な患者に投与することからなる肝の保護方法並びに該抽出物を有効成分とする肝保護剤等を提供することにある。本発明において、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の投与により肝細胞のNF-κB活性化、NF-κB標的遺伝子の発現、JNKの活性化、アポトーシス及び脂肪蓄積が阻害又は抑制されることが認められた。本抽出物を有効成分として含有する製剤は、副作用が少ない安全性の高い薬剤である。従って、本発明は非常に有用な肝の保護方法並びに肝保護剤を提供するものである。
目的
本発明は、本抽出物を、治療の必要な患者に投与することからなる肝の保護方法並びに本抽出物を有効成分とする肝保護剤等を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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この技術が所属する分野
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請求項1
治療が必要な患者にワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を投与することからなる肝の保護方法。
請求項2
請求項3
肝の保護が肝線維症の予防、治療又は進行抑制によるものである請求項1に記載の方法。
請求項4
請求項5
請求項6
請求項7
肝の保護がJNK活性化の阻害によるものである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
請求項8
請求項9
アポトーシスの抑制がカスパーゼ活性化の阻害によるものである請求項8に記載の方法。
請求項10
肝の保護が肝への脂肪蓄積の抑制によるものである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
請求項11
請求項12
投与が注射によるものである請求項11に記載の方法。
請求項13
投与が経口によるものである請求項11に記載の方法。
技術分野
0001
本発明は、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物(以下「本抽出物」ということがある。)の新規な医薬用途あるいは本抽出物による新規な治療法に関するものである。より具体的には、本抽出物による、肝におけるNuclear Factor-κB (NF-κB)活性化の阻害、NF-κB標的遺伝子の発現抑制、c-junN末端キナーゼ(JNK)活性化の阻害、肝細胞のアポトーシスの抑制、カスパーゼ活性化の阻害及び/又は脂肪蓄積の抑制によって肝を保護する方法、又は本抽出物を有効成分とする肝保護剤に関する。
背景技術
0002
慢性肝疾患は世界における主要な死因のひとつである。慢性肝疾患としては、ウイルス性肝炎であるB型慢性肝炎とC型慢性肝炎を筆頭に、薬物性肝炎、アルコール性肝炎や自己免疫性肝炎がある。
肝炎においては、炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)や腫瘍壊死因子α(TNF-α)の過剰産生が観察される。IL-1βはIL-1受容体と結合し、c-Jun-NH2-ターミナルキナーゼ(JNK)の活性化を誘導する。JNKが活性化された結果、転写因子のAP-1が活性化され、炎症反応が惹起される。それと並行して、転写因子NF-κBを抑制するInhibitor of κB(IκB)が分解され、p65、p50等のサブユニットからなるNF-κBが活性化される。その結果、肝細胞においてインターロイキン-6(IL-6)、一酸化窒素合成酵素2(NOS2)などの炎症性物質の遺伝子の転写が誘導される。一方、TNF-αは3量体のTNF受容体と結合し、JNKおよびNF-κBを活性化する。また、カスパーゼは細胞にアポトーシスを起こさせるシグナル伝達経路を構成する一群のシステインプロテアーゼであるが、カスパーゼ依存的なアポトーシスの経路に加え、TNF-αを介するJNK活性化によって肝細胞のアポトーシスが誘導されることが知られている。
0003
肝炎の前病態として、脂肪肝がある。脂肪肝は、肝細胞内に中性脂肪を中心とした脂質が蓄積した病態である。病因としては、過栄養、肥満、アルコールの過剰摂取、糖尿病、高カロリー輸液、一部の薬物、栄養障害、妊娠などがある。アルコール非摂取者においても脂肪肝から肝炎への症状進行が認められることがあり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれている。北米人口の30−40%、日本でも人口の14%が非アルコール性の脂肪肝であり、その10−20%がNASHへと進行すると報告されている。NASHは進行性の肝疾患であり、肝硬変、肝不全や肝癌になるリスクがある。現在、肝移植の15%以上はNASHに関連した肝硬変が原因とされている。米国では、2020年までに肝移植の第一適応疾患になると予想されている。近年、肝への脂肪蓄積にIL-1β及びTNF-αが関与していることが示唆されている。
0004
肝疾患の治療に現在使用されている薬剤としては、ウイルス性肝炎にはインターフェロン製剤が主として挙げられる。インターフェロンは肝炎ウイルスを減少させる薬剤であるが、すべての患者に効果が認められるものではなく、治療費も高額となる。また、精神障害、血小板や白血球の減少、投薬中止後のリバウンド、間質性肺炎などの多くの副作用が報告されている。肝機能を改善する薬剤として、グリチルリチン製剤や漢方薬も使用されているが、明確な効果が認められないことが多い。このようなことから、肝疾患を治療する、あるいは脂肪肝から肝疾患への進行を抑制する、副作用の少ない肝の保護方法あるいは肝保護剤が求められている。
0005
本発明者らは、本抽出物が、NF-κB活性化の阻害、NF-κB標的遺伝子の発現抑制、JNK活性化の阻害、肝細胞のアポトーシスの抑制、カスパーゼ活性化の阻害及び/又は脂肪蓄積の抑制等による肝の保護作用を有することを見出した。本抽出物の肝臓に対する作用については、四塩化炭素誘発の肝硬変及び3'‐メチル‐ジエチルアミノアゾベンゼン誘発の肝悪性腫瘍の発現抑制作用が特許文献1及び非特許文献1に開示されている。しかし、本抽出物が、肝におけるNF-κB等の活性化の阻害やアポトーシスの抑制、脂肪蓄積の抑制作用等を有することについては何ら記載されていない。
0006
特開昭55−87724号公報(5、6頁)
先行技術
0007
肝臓、24巻、10号、55−60頁、1983年
発明が解決しようとする課題
0008
本発明は、本抽出物を、治療の必要な患者に投与することからなる肝の保護方法並びに本抽出物を有効成分とする肝保護剤等を提供するものである。
図面の簡単な説明
0009
図1は、GFPレポーターにより肝細胞におけるNF-κB活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図2は、NF-κBルシフェラーゼアッセイにより肝細胞におけるNF-κB活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図3a、3b及び3cは、NF-κBルシフェラーゼアッセイにより肝星細胞におけるNF-κB活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図4a、4b、4c及び4dは、ウェスタンブロッティングにより肝細胞におけるIκBαの分解及びp65の活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k及び5lは、肝細胞におけるNF-κB標的遺伝子のmRNA発現及びタンパク質発現に対する本抽出物の抑制活性を調べた試験結果である。
図6a及び6bは、肝細胞におけるJNK活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図7は、肝細胞におけるアポトーシスに対する本抽出物の抑制活性を調べた試験結果である。
図8は、肝細胞におけるカスパーゼ活性化に対する本抽出物の阻害活性を調べた試験結果である。
図9a、9b、9c及び9dは、肝細胞における脂肪蓄積に対する本抽出物の抑制活性を調べた試験結果である。
0010
本抽出物は、ワクシニアウイルスを接種して発痘した動物の炎症組織から抽出分離した非蛋白性の活性物質を含有する抽出物である。本抽出物は、抽出された状態では液体であるが、乾燥することにより固体にすることもできる。本抽出物を有効成分として含有する製剤は、医薬品として非常に有用なものである。この場合、本抽出物が本製剤の有効成分であるから、本抽出物は本製剤の原薬ということになる。本製剤として出願人が日本において製造し販売している具体的な商品に「ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤」(商品名:ノイロトロピン/NEUROTROPIN〔登録商標〕)がある。この製剤には、注射剤と錠剤があり、いずれも医療用医薬品(ethical drug)である。
0011
ノイロトロピンの注射剤の適応症は、「腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、蕁麻疹)に伴う掻痒、アレルギー性鼻炎、スモン(SMON)後遺症状の冷感・異常知覚・痛み」である。ノイロトロピンの錠剤の適応症は、「帯状疱疹後神経痛、腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、変形性関節症」である。ノイロトロピン製剤は、出願人が創製し、医薬品として開発したものであり、その有効性と安全性における優れた特長が評価され、長年にわたり販売されて、日本の医薬品市場で確固たる地位を確立しているものである。
0012
本発明のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、以下の方法、すなわちワクシニアウイルスを接種して発痘した炎症組織を破砕し、抽出溶媒を加えて組織片を除去した後、除蛋白処理を行い、これを吸着剤に吸着させ、次いで有効成分を溶出することによって得ることができる。例えば、ワクシニアウイルスをウサギの皮膚に接種して発痘した炎症皮膚組織を採取し、破砕して抽出溶媒を加えて処理した後、組織片を除去し、除蛋白処理を行い、これを酸性条件において吸着剤に吸着させ、次いで有効成分を塩基性条件において溶出することによって得ることができる。
0013
ワクシニアウイルスを接種し炎症組織を得るための動物としては、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、ラット、マウスなどワクシニアウイルスが感染する種々の動物を用いることができ、炎症組織としてはウサギの炎症皮膚組織が好ましい。ウサギはウサギ目に属するものであればいかなるものでもよい。例としては、アナウサギ、カイウサギ(アナウサギを家畜化したもの)、ノウサギ(ニホンノウサギ)、ナキウサギ、ユキウサギ等がある。これらのうち、カイウサギが使用するには好適である。日本では過去から飼育され家畜又は実験用動物として繁用されている家兎(イエウサギ)と呼ばれるものがあるが、これもカイウサギの別称である。カイウサギには、多数の品種(ブリード)が存在するが、日本白色種やニュージーランド白色種(ニュージーランドホワイト)といった品種が好適に用いられ得る。
0014
ワクシニアウイルス(vaccinia virus)は、いかなる株のものであってもよい。例としては、リスター(Lister)株、大連(Dairen)株、池田(Ikeda)株、EM−63株、ニューヨーク市公衆衛生局(New YorkCity Board of Health)株等が挙げられる。
0015
本抽出物の基本的な抽出工程としては、例えば、以下のような工程が用いられる。
(A)について
ウサギの皮膚にワクシニアウイルスを皮内接種して発痘させた炎症皮膚組織を採取する。採取した皮膚組織はフェノール溶液等で洗浄、消毒を行なう。この炎症皮膚組織を破砕し、その1乃至5倍量の抽出溶媒を加える。ここで、破砕とは、ミンチ機等を使用してミンチ状に細かく砕くことを意味する。また、抽出溶媒としては、蒸留水、生理食塩水、弱酸性乃至弱塩基性の緩衝液などを用いることができ、フェノール等の殺菌・防腐剤、グリセリン等の安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩類などを適宜添加してもよい。この時、凍結融解、超音波、細胞膜溶解酵素又は界面活性剤等の処理により細胞組織を破壊して抽出を容易にすることもできる。得られた懸濁液を、5日乃至12日間放置する。その間、適宜攪拌しながら又は攪拌せずに、30乃至45℃に加温してもよい。得られた液を固液分離(濾過又は遠心分離等)によって組織片を除去して粗抽出液(濾液又は上清)を得る。
0016
(B)について
(A)で得られた粗抽出液について除蛋白処理を行う。除蛋白は、通常行われている公知の方法により実施でき、加熱処理、蛋白質変性剤(例えば、酸、塩基、尿素、グアニジン、アセトン等の有機溶媒など)による処理、等電点沈澱、塩析等の方法を適用することができる。次いで、不溶物を除去する通常の方法、例えば、濾紙(セルロース、ニトロセルロース等)、グラスフィルター、セライト、ザイツ濾過板等を用いた濾過、限外濾過、遠心分離などにより析出してきた不溶蛋白質を除去した濾液又は上清を得る。
0017
(C)について
(B)で得られた濾液又は上清を、酸性、好ましくはpH3.5乃至5.5に調整し、吸着剤への吸着操作を行う。使用可能な吸着剤としては、活性炭、カオリン等を挙げることができ、抽出液中に吸着剤を添加し撹拌するか、抽出液を吸着剤充填カラムに通過させて、該吸着剤に有効成分を吸着させることができる。抽出液中に吸着剤を添加した場合には、濾過や遠心分離等によって溶液を除去して、活性成分を吸着させた吸着剤を得ることができる。
0018
(D)について
(C)で得られた吸着剤から活性成分を溶出(脱離)させるには、当該吸着剤に溶出溶媒を加え、塩基性、好ましくはpH9乃至12に調整し、室温又は適宜加熱して或いは撹拌して溶出し、濾過や遠心分離等の通常の方法で吸着剤を除去する。用いられる溶出溶媒としては、塩基性の溶媒、例えば塩基性のpHに調整した水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等又はこれらの適当な混合溶液を用いることができ、好ましくはpH9乃至12に調整した水を使用することができる。溶出溶媒の量は適宜設定することができる。このようにして得られた溶出液を、原薬として用いるために、適宜pHを中性付近に調整するなどして、最終的にワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚抽出物(本抽出物)を得ることができる。
0019
本抽出物は、できた時点では液体であるので、適宜濃縮・希釈することによって所望の濃度のものにすることもできる。本抽出物から製剤を製造する場合には、加熱滅菌処理を施すのが好ましい。注射剤にするためには、例えば塩化ナトリウム等を加えて生理食塩液と等張の溶液に調製することができる。また、液体の状態の本抽出物に適切な濃縮乾固等の操作を行うことによって、錠剤等の経口用固形製剤を製造することもできる。本抽出物からこのような経口用固形製剤を製造する具体的な方法は、日本特許第3818657号や同第4883798号の明細書に記載されている。本製剤はこうして得られる注射剤や経口用固形製剤等である。
0020
治療の必要な患者へ薬学的に有効な量を投与する方法としては、経口投与の他に皮下、筋肉内、静脈内投与等が挙げられ、投与量はワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の種類によって適宜設定することができる。市販の製剤で認められている投与量は、基本的には内服では1日16NU、注射剤では1日3.6乃至7.2NUを投与するよう医療用医薬品としては示されているが、疾患の種類、重傷度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減可能である(NU:ノイロトロピン単位。ノイロトロピン単位とは、疼痛閾値が正常動物より低下した慢性ストレス動物であるSARTストレスマウスを用い、Randall-Selitto変法に準じて試験を行い、鎮痛効力のED50値をもって規定する。1NUはED50値が100 mg/kgであるときのノイロトロピン製剤の鎮痛活性含有成分1mgを示す活性である。)
0021
以下に、本抽出物の製造方法の例、並びに本抽出物の新規な薬理作用、すなわちNF-κB活性化の阻害、NF-κB標的遺伝子の発現抑制、JNK活性化の阻害、肝細胞のアポトーシスの抑制、カスパーゼ活性化の阻害及び脂肪蓄積の抑制等による肝の保護作用に関する薬理試験結果を示すが、本発明はこれらの実施例の記載によって何ら制限されるものではない。
0022
実施例1(本抽出物の製造)
健康な成熟家兎の皮膚にワクシニアウイルスを皮内接種し、発痘した皮膚を切り取り採取した。採取した皮膚はフェノール溶液で洗浄・消毒を行なった後、余分のフェノール溶液を除去し、破砕して、フェノール溶液を加え混合し、3〜7日間放置した後、さらに3〜4日間攪拌しながら35〜40℃に加温した。その後、固液分離して得た抽出液を塩酸でpH4.5〜5.2に調整し、90〜100℃で30分間、加熱処理した後、濾過して除蛋白した。さらに、濾液を水酸化ナトリウムでpH9.0〜9.5に調整し、90〜100℃で15分間、加熱処理した後、固液分離した。
0023
得られた除蛋白液を塩酸でpH4.0〜4.3に調整し、除蛋白液質量の2%量の活性炭を加えて2時間撹拌した後、固液分離した。採取した活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH9.5〜10とし、60℃で90〜100分間撹拌した後、遠心分離して上清を得た。遠心分離で沈澱した活性炭に再び水を加えた後、水酸化ナトリウムでpH10.5〜11とし、60℃で90〜100分間撹拌した後、遠心分離して上清を得た。両上清を合せて、塩酸で中和し、本抽出物を得た。
0024
実施例2(試験方法)
次に、上記実施例1で得られた本抽出物を被験薬として用いた肝細胞のNF-κB活性化阻害、JNK活性化阻害、NF-κB標的遺伝子発現抑制、カスパーゼ活性化抑制、アポトーシス抑制及び脂肪蓄積抑制作用活性を示す薬理試験の結果の一例を示す。
0025
1)マウス、試薬及び細胞
野生型のC57BL/6マウスはJackson Laboratory(Bar Harbor)から購入した。この研究で使用したNF-κBレポータートランスジェニックマウスは、NF-κBプロモーターの制御下で緑色の蛍光蛋白(GFP)を発現している。初代培養肝細胞は、野生型C57BL/6マウス及びNF-κB−レポーターGFPトランスジェニックマウスからin situコラゲナーゼ還流分散法で採取した。生存率90%以上の肝細胞を実験に使用した。肝細胞を培養2時間後に、培地を10%FBS入りM199培地から無血清M199培地又は1%FBSを含むM199培地に変え、一晩培養した。続いて、以下の処理を行った。実験中、M199培地を肝細胞の培養に使用した。
0026
2)GFPレポーターによるNF-κBの活性の測定
NF-κB-レポーターGFPトランスジェニックマウスから単離した初代肝細胞を、一晩無血清状態にした後に、まず、本抽出物(0、0.01、0.1、0.2又は0.4 NU/ mL)の存在下で1、6又は24時間処理した。次に、細胞を、10 ng/ mlのリコンビナントIL-1β(R&Dシステム)の存在又は非存在下で6時間処理した。肝細胞のGFPの蛍光シグナル強度を蛍光顕微鏡にて測定した。データは、各3 wellで行い平均値及び標準誤差を求めた。
0027
3)NF-κBルシフェラーゼアッセイによるNF-κBの活性の測定
1%FBSを含むM199培地に交換後、野生型の初代培養肝細胞又は肝星細胞を、アデノウイルスNF-κB-ルシフェラーゼレポーターを10 moi(multiplicity of infection)感染させ、16時間培養した。細胞は、本抽出物(0.2 NU/mL)による処理1時間後にリコンビナントIL-1β(2 ng/mL)、TNF-α(2 ng/mL 、R&Dシステム)又はリポ多糖(LPS、10ng/mL)で刺激した。IL-1β、TNF-α又はLPS処理8時間後にルシフェラーゼアッセイを行った。ルシフェラーゼ活性は各ウェルの肝細胞たん白濃度で補正した。データは、各3 wellで行い平均値及び標準誤差を求めた。
0028
4)定量リアルタイムPCR
初代培養肝細胞を本抽出物(0.2 NU/ mL)で1時間前処置し、つづいて、リコンビナントIL-1β又はTNF-αで刺激した。IL-1β又はTNF-α刺激2又は6時間後に、total RNAをTRIZOL(Technologies)を用いて抽出し、続いてtotal RNAをcDNAに逆転写した。次に、cDNAを用いCFX96リアルタイムPCRシステム(Bio-Rad)を用いて定量リアルタイムPCR を行った。データは、各3 wellで行い平均値及び標準誤差を求めた。
0029
5)ウェスタンブロット
タンパク質抽出物を電気泳動し、ブロットした後、IκBα、リン酸化p65、p65、リン酸化JNK(CeIl Signaling)、JNK(Santa Cruz Biotechnology)又はβ-アクチン(Sigma Aldrich)に対する抗体と反応させた 。適切な西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を結合した2次抗体で処理し、発色させた。データは、各3 wellで行い平均値及び標準誤差を求めた。
0030
6)アポトーシスの測定
細胞を付着した後、肝細胞を無血清で16時間培養した。まず、本抽出物(0.2 NU/mL)で1時間前処置し、次いで、アクチノマイシンD(200 ng/mL;Sigma Aldrich)及びIL-1β(2 ng / mL)、又はアクチノマイシンD 及びTNF-α(2 ng / mL)で16時間処理した。アポトーシスは、TUNEL染色キット(Roche)を用いて調べた。TUNEL陽性細胞は、100倍率で10か所の視野を検鏡し測定した。データは、各3 wellで行い平均値及び標準誤差を求めた。
0031
7)脂肪蓄積の測定
本抽出物(0.01、0.1又は0.2 NU/mL)で処理した初代培養肝細胞にIL-1β(10 ng / mL)又はパルミチン酸(200μM)を添加し、24時間後の肝細胞内の脂肪蓄積をオイルレッドO染色で評価した。
0032
8)統計解析
2群間は、two-tailed unpaired student t-testを用いて比較した。多群間は、one-wayANOVAを用いて比較した。GraphPad Prism 4.02(GraphPad Software)を用いて解析した。p値が<0.05を有意とみなした。実験は少なくとも3回実施し同様の結果が得られたので、代表的なデータを提示した。
0033
実施例3(試験結果)
1)GFPレポーターによるNF-κBの活性
IL-1β処理1時間前に0.01、0.1又は0.2 NU/mLの本抽出物で処理をした結果、IL-1βで誘導されるNF-κB活性化が有意に抑制された。結果の一例を図1に示した。
0034
2)NF-κBルシフェラーゼアッセイによる肝細胞におけるNF-κBの活性の測定
IL-1β処理1時間前に0.2 NU/mLの本抽出物で処理をした結果、IL-1βで誘導されるNF-κB活性化が有意に抑制された。結果の一例を図2に示した。
0035
3)NF-κBルシフェラーゼアッセイによる肝星細胞におけるNF-κBの活性の測定
IL-1β、TNF-α又はLPS処理1時間前に0.4 NU/mLの本抽出物で処理をした結果、IL-1β、TNF-α又はLPSで誘導される肝星細胞におけるNF-κB活性化が有意に抑制された。結果の一例を図3a、3b及び3cに示した。
これらNF-κB活性化の抑制、特に肝星細胞におけるはNF-κB活性化の抑制は、肝星細胞活性化による肝の線維化を予防、治療、進行抑制する効果である。
0036
4)ウェスタンブロッティングによるIκBαの分解及びp65の活性化の測定
IL-1β又はTNF-α処理によって、NF-κBの核内移行を阻害するIκBαの分解が速やかに引き起こされた。本抽出物による処理によってIL-1β又はTNF-α処理によるIκBαの分解は遅延した。更に、IL-1β又はTNF-α処理による、NF-κBのサブユニットである p65のリン酸化は、本抽出物による処理によって減弱した。結果の一例を図4a、4b、4c及び4dに示した。
0037
5)定量リアルタイムPCR及びELISA法によるNF-κB標的遺伝子発現の測定
IL-1β処理は、IL-6、NOS2、CCL5、CXCL1及びCXCL2のmRNA発現量並びにCXCL1のタンパク質発現量の増加を誘導した。本抽出物による処理は、肝細胞でのIL-1βによるIL-6、NOS2、CCL5、CXCL1及びCXCL2のmRNA発現量増加並びにCXCL1のタンパク質発現量増加を有意に抑制した。TNF-α処理によってもIL-6、NOS2、CCL5、CXCL1及びCXCL2のmRNA発現量並びにCXCL1のタンパク質発現量の増加を誘導し、これらの増加は本抽出物の前処理により有意に抑制された。結果の一例を図5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k及び5lに示した。
0038
6)ウェスタンブロッティングによるJNKの活性化の測定
IL-1βにて処理した場合、JNKは肝細胞内で急速にリン酸化される。IL-1βを介したJNKの活性化は、本抽出物による処理によって減少した。更に、IL-1βによるJNKの標的遺伝子であるJunbの発現上昇は有意に抑制された。同様に、TNF-αも肝細胞でのJNKの急激な活性化を誘導し、TNF-α誘発のJNKのリン酸化は、本抽出物の前処置により抑制された。結果の一例を図6a及び6bに示した。
0039
7)アポトーシスの測定
IL-1β及びアクチノマイシンDの添加16時間後で、肝細胞の明らかなアポトーシスが認められた。本抽出物による前処置はIL-1β及びアクチノマイシンD誘発のアポトーシスを減少させた。また、IL-1β及びアクチノマイシンDよるアポトーシスに関与するJNKの活性化は、本抽出物による処理によって抑制された。
同様に、TNF-α及びアクチノマイシンDの添加16時間後でも、明らかな肝細胞のアポトーシスが認められた。本抽出物による処理は、TNF-α及びアクチノマイシンDの添加により誘発される肝細胞のアポトーシスを顕著に減少させた。また、TNF-α及びアクチノマイシンDの添加によるアポトーシスに関与するJNKの活性化は、本抽出物による処理によって有意に抑制された。結果の一例を図7に示した。
0040
8)活性型カスパーゼ-3発現量の測定
IL-1β及びアクチノマイシンD添加8時間後には、活性型カスパーゼ-3の発現量の増加がみられた。本抽出物による前処置は、活性型カスパーゼ-3発現量の増加を抑制した。
同様に、TNF-α及びアクチノマイシンDの添加8時間後には、活性型カスパーゼ-3発現量が増加した。本抽出物による処置は、活性型カスパーゼ-3発現量の増加を抑制した。結果の一例を図8に示した。
0041
9)脂肪蓄積の測定
IL-1β又はパルミチン酸の添加24時間後では、明らかな肝細胞の脂肪蓄積が確認された。本抽出物による処理によってIL-1β又はパルミチン酸誘発の脂肪蓄積が有意に抑制された。結果の一例を図9a、9b、9c及び9dに示した。
なお、本抽出物による処理によって、脂肪蓄積の抑制に関与するAMP活性化キナーゼが活性化することも認められた。
0042
以上のことから、本発明として、次のようなものを導くことができるが、これらに限定されるものではない。
0043
(1)治療が必要な患者にワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を投与することからなる肝の保護方法。
(2)肝の保護が慢性肝疾患の予防、治療又は進行抑制によるものである(1)に記載の方法。
(3)肝の保護が肝線維症の予防、治療又は進行抑制によるものである(1)に記載の方法。
(4)肝線維症の予防、治療又は進行抑制が、肝星細胞活性化の抑制によるものである(3)に記載の方法。
(5)肝の保護が脂肪肝の予防、治療又は肝疾患への進行抑制によるものである(1)に記載の方法。
(6)肝の保護がNF-κB活性化の阻害によるものである(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)肝の保護がJNK活性化の阻害によるものである(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(8)肝の保護が肝細胞のアポトーシスの抑制によるものである(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(9)肝細胞のアポトーシスの抑制がカスパーゼ活性化の阻害によるものである(8)に記載の方法。
(10)肝の保護が肝への脂肪蓄積の抑制によるものである(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(11)投与されるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物がワクシニアウイルスを接種したウサギの炎症皮膚組織からの抽出物である(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(12)投与が注射によるものである(11)に記載の方法。
(13)投与が経口によるものである(11)に記載の方法。
0044
(14)ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を有効成分として含有する肝保護剤。
(15)慢性肝疾患の予防、治療又は進行抑制剤である(14)に記載の肝保護剤。
(16)肝線維症の予防、治療又は進行抑制剤である(14)に記載の肝保護剤。
(17)肝線維症の予防、治療又は進行抑制が、肝星細胞活性化の抑制によるものである(16)に記載の肝保護剤。
(18)脂肪肝の予防、治療剤又は肝疾患への進行抑制剤である(14)に記載の肝保護剤。
(19)肝の保護がNF-κB活性化の阻害によるものである(14)〜(18)のいずれかに記載の肝保護剤。
(20)肝の保護がJNK活性化の阻害によるものである(14)〜(18)のいずれかに記載の肝保護剤。
(21)肝の保護がアポトーシスの抑制によるものである(14)〜(18)のいずれかに記載の肝保護剤。
(22)アポトーシスの抑制がカスパーゼ活性化の阻害によるものである(21)に記載の肝保護剤。
(23)肝の保護が肝への脂肪蓄積の抑制によるものである(14)〜(18)のいずれかに記載の肝保護剤。
(24)炎症組織がウサギの炎症皮膚組織である(14)〜(18)のいずれかに記載の肝保護剤。
(25)注射剤である(24)に記載の肝保護剤。
(26)経口剤である(24)に記載の肝保護剤。
0045
(27)肝を保護するために用いるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(28)肝の保護が慢性肝疾患の予防、治療又は進行抑制によるものである(27)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(29)肝の保護が肝線維症の予防、治療又は進行抑制によるものである(27)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(30)肝線維症の予防、治療又は進行抑制が、肝星細胞活性化の抑制によるものである(29)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(31)肝の保護が脂肪肝の予防、治療又は肝疾患への進行抑制によるものである(27)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(32)肝の保護がNF-κB活性化の阻害によるものである(27)〜(31)のいずれかに記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(33)肝の保護がJNK活性化の阻害によるものである(27)〜(31)のいずれかに記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(34)肝の保護が肝細胞のアポトーシスの抑制によるものである(27)〜(31)のいずれかに記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(35)肝細胞のアポトーシスの抑制がカスパーゼ活性化の阻害によるものである(34)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(36)肝の保護が肝への脂肪蓄積の抑制によるものである(27)〜(31)のいずれかに記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(37)炎症組織がウサギの炎症皮膚組織である(27)〜(31)のいずれかに記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(38)投与が注射によるものである(37)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
(39)投与が経口によるものである(37)に記載のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物。
実施例
0046
(40)肝保護剤の製造におけるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の使用。
(41)肝保護が慢性肝疾患の予防、治療又は進行抑制によるものである(40)に記載の使用。
(42)肝の保護が肝線維症の予防、治療又は進行抑制によるものである(40)に記載の使用。
(43)肝線維症の予防、治療又は進行抑制が、肝星細胞活性化の抑制によるものである(42)に記載の使用。
(44)肝保護が脂肪肝の予防、治療又は肝疾患への進行抑制によるものである(40)に記載の使用。
(45)肝保護がNF-κB活性化の阻害によるものである(40)〜(44)のいずれかに記載の使用。
(46)肝保護がJNK活性化の阻害によるものである(40)〜(44)のいずれかに記載の使用。
(47)肝保護が肝細胞のアポトーシスの抑制によるものである(40)〜(44)のいずれかに記載の使用。
(48)肝細胞のアポトーシスの抑制がカスパーゼ活性化の阻害によるものである(47)に記載の使用。
(49)肝保護が肝への脂肪蓄積の抑制によるものである(40)〜(44)のいずれかに記載の使用。
(50)炎症組織がウサギの炎症皮膚組織である(40)〜(44)のいずれかに記載の使用。
(51)投与が注射によるものである(50)に記載の使用。
(52)投与が経口によるものである(50)に記載の使用。
0047
以上のとおり、本抽出物がIL-1βやTNF-αで誘発される肝細胞のNF-κB活性化、NF-κB標的遺伝子の発現、JNKの活性化、肝細胞のアポトーシス等に対する阻害又は抑制作用及び脂肪蓄積に対する抑制作用を示すことが明らかにされた。この結果から、本抽出物の投与は、NF-κBやJNKが関与すると考えられる慢性肝疾患、肝星細胞活性化が関与する肝線維症及び/又は脂肪肝から肝疾患への進行に対して効果的な予防又は治療方法になり得ると考えられた。また、本抽出物を有効成分として含有する製剤は、長年に亘って使用され、副作用が少ない安全性の高い薬剤として認められていることから、慢性肝疾患及び/又は脂肪肝の肝疾患への進行に対する有用な予防又は治療剤になり得るものである。このように、本発明は新規な肝の保護方法並びに肝保護剤を提供するものであり、非常に有用性の高いものである。
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