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課題・解決手段
概要
背景
電気化学電池用分離膜(separator)は、電池内で正極と負極を互いに隔離させながらイオン伝導度を持続的に維持させて、電池の充電と放電を可能にする中間膜を意味する。
最近、電子機器の携帯性を高めるための電気化学電池の軽量化および小型化の傾向に加えて、電気自動車などへの使用のための高出力大容量電池を必要とする傾向がある。このような電池分離膜の場合、高い通気性、薄い膜厚、強い機械的強度が要求されている。また、高出力電池の生産性向上のために、高熱や高いテンションによる形態安定性などに優れていることが要求される。したがって、高い通気性および気孔度を有しながらも機械的強度に優れ、また、気孔の形態および大きさの変形率が小さくて高出力電池への使用に好適な分離膜を開発する必要がある。
概要
本発明は、ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練し押出してシートを形成し、前記固形化されたシートを長手方向にT1温度でE1倍延伸および幅方向にT2温度でE2倍延伸し、前記延伸されたシートから可塑剤を抽出し、前記可塑剤が抽出されたシートを幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することを含み、前記延伸時の温度条件が100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1であり、前記延伸時の倍率条件がE1×E2=60〜80である、ポリオレフィン系分離膜の製造方法、および前記方法によって製造されたポリオレフィン系分離膜に関する。
目的
本発明は、通気度および気孔度に優れていながらも強い強度を有し、分離膜の気孔の形態あるいは大きさの変形率が少なくて電池安定性に優れた分離膜を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練し押出してシートを形成し、前記固形化されたシートを長手方向にT1温度でE1倍延伸および幅方向にT2温度でE2倍延伸し、前記延伸されたシートから可塑剤を抽出し、前記可塑剤が抽出されたシートを幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することを含み、前記延伸時の温度条件が100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1であり、前記延伸時の倍率条件がE1×E2=60〜80である、ポリオレフィン系分離膜の製造方法。
請求項2
前記倍率条件でE1/E2の比が0.85〜1である、請求項1に記載のポリオレフィン系分離膜の製造方法。
請求項3
前記ポリオレフィン系樹脂が、粘度平均分子量が1×105〜9×105g/molの高密度ポリエチレン、および粘度平均分子量が9×105g/mol以上の超高分子量ポリエチレンからなる群より選択された単独またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
請求項4
E1≧7.5であり、E2≧8である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項5
前記幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することが、幅方向に1.25倍〜2倍延伸し、前記延伸された幅方向の長さに対して70%〜100%に弛緩させることを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項6
請求項7
ポリオレフィン系樹脂を含有し、毛細管流動気孔測定器(Capillaryflowporometer)で測定した分離膜の湿潤および乾燥曲線で平均ポイント圧力(psi)/バブルポイント圧力(psi)の比が1.8〜2.4である、ポリオレフィン系分離膜。
請求項8
請求項9
前記分離膜の気孔度が40〜50%である、請求項7に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項10
前記分離膜の通気度が50〜200sec/100ccである、請求項7に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項11
前記分離膜の水滴接触角が107°以下である、請求項7に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項12
前記ポリオレフィン系樹脂が、粘度平均分子量が1×105〜9×105g/molの高密度ポリエチレン、および粘度平均分子量が9×105g/mol超過の超高分子量ポリエチレンからなる群より選択された単独またはこれらの混合物を含む、請求項7乃至11のいずれか1項に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項13
前記ポリオレフィン系分離膜が、長手方向にT1温度でE1倍延伸および幅方向にT2温度でE2倍延伸されたもので、前記延伸時の温度条件が100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1であり、前記延伸時の倍率条件がE1×E2=60〜80、E1≧7.5、およびE2≧8である、請求項7乃至11のいずれか1項に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項14
前記倍率条件でE1/E2の比が0.85〜1である、請求項13に記載のポリオレフィン系分離膜。
請求項15
請求項7乃至11のいずれか1項に記載のポリオレフィン系分離膜を含む電気化学電池。
請求項16
前記電気化学電池は、リチウム二次電池である、請求項15に記載の電気化学電池。
技術分野
0001
本発明は、多孔性ポリオレフィン系分離膜およびその製造方法に関する。
背景技術
0003
最近、電子機器の携帯性を高めるための電気化学電池の軽量化および小型化の傾向に加えて、電気自動車などへの使用のための高出力大容量電池を必要とする傾向がある。このような電池分離膜の場合、高い通気性、薄い膜厚、強い機械的強度が要求されている。また、高出力電池の生産性向上のために、高熱や高いテンションによる形態安定性などに優れていることが要求される。したがって、高い通気性および気孔度を有しながらも機械的強度に優れ、また、気孔の形態および大きさの変形率が小さくて高出力電池への使用に好適な分離膜を開発する必要がある。
発明が解決しようとする課題
0004
本発明は、通気度および気孔度に優れていながらも強い強度を有し、分離膜の気孔の形態あるいは大きさの変形率が少なくて電池安定性に優れた分離膜を提供する。
課題を解決するための手段
0005
本発明の一例によれば、ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練し押出してシートを形成し、前記固形化されたシートを長手方向にT1温度でE1倍延伸および幅方向にT2温度でE2倍延伸し、前記延伸されたシートから可塑剤を抽出し、前記可塑剤が抽出されたシートを幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することを含み、前記延伸時の温度条件が100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1であり、前記延伸時の倍率条件がE1×E2=60〜80である、ポリオレフィン系分離膜の製造方法が提供される。
0006
本発明の他の例によれば、ポリオレフィン系樹脂を含有し、毛細管流動気孔測定器で測定した分離膜の湿潤および乾燥曲線で平均ポイント圧力(psi)/バブルポイント圧力(psi)が1.8〜2.4である、ポリオレフィン系分離膜が提供される。
発明の効果
0008
本発明の一例による分離膜はまた、分離膜の気孔の大きさ分布を制御することによって、通気度と気孔度に優れていながらも強い機械的強度を有する。
図面の簡単な説明
0009
図1は、本発明の一例による分離膜に対して測定したPMI社の毛細管流動気孔測定器(Capillary flow porometer)の湿潤グラフである。前記湿潤グラフで曲線の描かれる始点の圧力をバブルポイント(bubble point)圧力(psi)といい、乾燥グラフで直線の傾きが1/2となる仮想の直線と前記湿潤曲線との交わる点の圧力を平均ポイント(mean point)圧力(psi)という。前記バブルポイント圧力および前記平均ポイント圧力は、分離膜の最大孔径の大きさと平均孔径の大きさをそれぞれ反映する。
0010
本発明の一例による多孔性ポリオレフィン系分離膜の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練し押出してシートを形成し、前記固形化されたシートを長手方向にT1温度でE1倍延伸および幅方向にT2温度でE2倍延伸し、前記延伸されたシートから可塑剤を抽出し、前記可塑剤が抽出されたシートを幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することを含み、前記延伸時の温度条件が100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1であり、前記延伸時の倍率条件がE1×E2=60〜80であるとよい。
0011
まず、前記固形化されたシートを形成することは、具体的には、ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練し押出して冷却固形化されたシートを形成することを含む。
0012
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンを含む樹脂で、例えば、超高分子量ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、およびポリエチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択された1種または2種以上を含んでもよい。他の例において、ポリオレフィン系樹脂は、前記ポリオレフィンのほか、その他の樹脂を含んでもよい。その他の樹脂の例としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアセタールなどが挙げられる。その他の樹脂を含む場合、ポリオレフィン樹脂とその他の樹脂とを適切な溶媒中にブレンディングしてポリオレフィン系樹脂組成物を製造することができる。前記高密度ポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)は、1×105〜9×105g/molであってもよく、例えば3×105〜6×105g/molであるとよい。前記超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、9×105g/mol以上、具体的には9×105〜5×106g/molであるとよい。例えば、前記高密度ポリエチレンを単独で使用するか、前記超高分子量ポリエチレンを単独で使用するか、前記高密度ポリエチレンと前記超高分子量ポリエチレンを全て使用してもよい。より具体的には、前記ポリオレフィン系樹脂の重量を基準として、前記超高分子量ポリエチレンを30重量%以下で使用し、例えば、粘度平均分子量が1×105〜9×105g/molの高密度ポリエチレンを70重量%以上、および粘度平均分子量が9×105g/mol以上の超高分子量ポリエチレンを30重量%以下で含むポリオレフィン系樹脂を使用してもよい。前記ポリオレフィン系樹脂は、高強度分離膜を製造可能で有利である。また、前記ポリオレフィン系樹脂を2種以上含む場合、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、およびプラネタリーミキサーからなる群より選択された1種以上を用いて混合してもよい。
0013
前記可塑剤は、押出温度で前記ポリオレフィン系樹脂と単相を形成する有機化合物であってもよい。本発明で使用可能な可塑剤の例としては、ノナン、デカン、デカリン、液体パラフィン(またはパラフィンオイル)、パラフィンワックスなどの脂肪族または環状炭化水素;ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜20の脂肪酸類;パルミチン酸アルコール、ステアリン酸アルコール、オレイン酸アルコールなどの炭素数10〜20の脂肪酸アルコール類などが挙げられる。これらを単独で使用するか、2種以上を混合して使用してもよい。前記可塑剤のうち、液体パラフィンを好ましく使用することができる。液体パラフィンは、人体に無害で沸点が高く揮発性成分が少なくて、湿式法で可塑剤としての使用に好適である。
0014
本願において、ポリオレフィン系樹脂および可塑剤を含む組成物を溶融混練することは当業者に知られた方法を使用することができ、150℃〜250℃の温度でポリオレフィン系樹脂と可塑剤とを溶融混練するものであってもよい。前記溶融混練された組成物を二軸押出機に注入して、150〜250℃で押出すことができる。以降、押出されたポリオレフィン系樹脂を、20〜80℃のキャスティング・ロール(casting roll)を用いて冷却するか、エアナイフから噴射される冷たい空気によって強制的に冷却して、膜を結晶化させて固形化されたシートを形成する。前記エアナイフから噴射される冷たい空気の温度は、−20℃〜40℃であってもよい。
0015
次に、前記固形化されたシートを長手方向にT1温度でE1倍延伸後、幅方向にT2温度でE2倍延伸する2軸延伸を行う。前記延伸時の延伸温度条件は、100℃<T1<115℃、100℃<T2<115℃、およびT2≧T1である。MD方向延伸温度(T1)およびTD方向延伸温度(T2)を全て115℃未満にすれば、気孔度を高めることができ、MD方向延伸温度(T1)をTD方向延伸温度(T2)より低いか同一にして延伸すれば、部位ごとの延伸長さにばらつきを生じさせることができ、以降、TD方向延伸すれば、大きさの異なる2種以上の気孔を分離膜に形成させることができる。大きさの異なる2種以上の気孔のうち、相対的に大きさの小さい気孔は熱収縮率、強度、気孔変形率の面で有利であり、相対的に大きさの大きい気孔は通気度、電解液の濡れ性および電池容量の面で有利である。前記延伸時の延伸倍率条件は、E1×E2=60〜80であるとよい。さらに、E1≧7.5、およびE2≧8であるとよい。延伸倍率において、MD方向延伸倍率(E1)およびTD方向延伸倍率(E2)をそれぞれ7.5倍および8倍以上とし、延伸面倍率(E1×E2)を60〜80とすれば、高い延伸面倍率によって分離膜の外部圧力による気孔の形状および大きさの変形率を最小化させて電池の安定性を改善することができる。
0016
本発明は、このような延伸温度および延伸倍率の条件で延伸することによって、分離膜に要求される気孔度を確保しながらも、外部圧力による気孔の形状および大きさの変形率を最小化させることができる。前記MD延伸温度(T1)は、TD延伸温度(T2)より2℃以上低くてもよい。例えば、3℃以上、または5℃以上低くてもよい。
0017
一例においては、MD方向延伸倍率(E1)が7.5倍、かつTD方向延伸倍率(E2)が8倍;MD方向延伸倍率(E1)が8倍、かつTD方向延伸倍率(E2)が8倍;MD方向延伸倍率(E1)が8倍、かつTD方向延伸倍率(E2)が8.5倍;またはMD方向延伸倍率(E1)が8.5倍、かつTD方向延伸倍率(E2)が8.5倍であるとよい。前記幅方向および長手方向の延伸倍率は、同一であるか異なっていてもよい。具体的には、E1/E2の比は、0.85〜1であるとよい。前記延伸比の範囲であれば、MDおよびTD方向の延伸温度を異ならせることで生じる部位ごとの延伸長さのばらつき効果をさらに強化させることができる。
0018
前記2軸延伸後、可塑剤を抽出することができる。前記可塑剤の抽出は、有機溶媒を用いて行われ、具体的には、長手方向延伸および幅方向延伸された分離膜を可塑剤抽出装置内の有機溶媒に浸漬して可塑剤を抽出する方式で進行させることができる。可塑剤の抽出に使用される有機溶媒は特に制限されず、可塑剤を抽出可能な溶剤であればいずれも使用が可能である。前記有機溶媒の非制限的な例としては、抽出効率が高く乾燥が容易なメチルエチルケトン、メチレンクロライド、ヘキサンなどを使用することができ、可塑剤として液体パラフィンを用いた場合には、有機溶媒としてメチレンクロライドを使用することが好ましい。
0020
本発明の他の実施形態に係る製造方法は、前記可塑剤が抽出されたシートを幅方向に最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるように延伸することを含んでもよい。前記幅方向延伸は、フィルムの残留応力を除去して最終フィルムの収縮率を減少させるための熱固定段階で、当該熱固定実行時の温度と固定比率に応じてフィルムの熱収縮率、透過度などを調整してもよい。具体的には、前記熱固定は、幅方向に延伸倍率1.25倍〜2倍に延伸し、延伸された幅方向の長さに対して70%〜100%に弛緩させて最終延伸倍率が1.25倍〜1.5倍となるようにするとよい。前記配列で熱固定すると、前記2軸延伸時に生成された気孔のばらつきを調整して通気度を改善させる効果がある。前記熱固定は、100〜150℃で行われ、例えば120〜130℃で行われる。前記範囲でフィルムの残留応力の除去に効果的であり、物性を向上させることができる。
0021
本発明は、上記の例によるポリオレフィン系分離膜の製造方法で製造されたポリオレフィン系分離膜を提供する。
0022
前記ポリオレフィン系分離膜は、毛細管流動気孔測定器で測定した分離膜の湿潤曲線で平均ポイント圧力(psi)/バブルポイント圧力(psi)が1.8〜2.4であるとよい。
0023
毛細管流動気孔測定器の湿潤および乾燥曲線で平均ポイント圧力(psi)/バブルポイント圧力(psi)の比が前記範囲であれば、気孔の大きさが多様に分布して分離膜に要求される気孔度、例えば、40%以上の気孔度を達成しながら通気度が良く、電解液の濡れ性および強度に優れた分離膜を提供することができる。
0024
前記バブルポイント圧力(psi)は、毛細管流動気孔測定器で湿潤曲線の描かれる始点の圧力を意味し、具体的には、分離膜サンプルを溶液に浸して孔中を溶液で満たし、圧力を増加させながら空気を吹き込む時、大きい孔中に満たされた溶液が先に圧力に押されて移動し、この時の圧力をバブルポイント圧力という。図1を参照すれば、前記バブルポイント圧力は、毛細管流動気孔測定器の圧力増加に応じた流速変化のグラフで流速が0を維持後、最初に増加し始める時点の圧力をいう。
0025
前記平均ポイント圧力(psi)は、毛細管流動気孔測定器で乾燥直線を描き、前記乾燥直線で傾きが1/2となる仮想の直線と前記湿潤曲線との交わる地点の圧力をいう。具体的には、分離膜サンプルを溶液で浸していない状態で、圧力を増加させながら空気を吹き込むと、圧力増加に比例して流速が増加する直線形態のグラフが得られる。図1を参照すれば、前記直線形態のグラフ[図1中の乾燥グラフ]で傾きが1/2となる仮想の直線[図1中の1/2乾燥グラフ]を描く時、この仮想の直線と前記湿潤曲線との交わる地点の圧力を平均ポイント圧力という。
0026
本発明の一例によるポリオレフィン系分離膜は、気孔度は40〜50%であり、通気度が50〜200sec/100ccであるとよい。本願において、通気度は、100ccの空気が分離膜を通過する時間を意味する。具体的には、通気度は、60〜150sec/100ccであるとよい。
0027
本発明の一例によるポリオレフィン系分離膜は、前記分離膜の長手方向および幅方向の引張強度(kg/cm2)/伸び率(%)の比がそれぞれ15〜28{(kg/cm2)/%}であるとよい。前記引張強度/伸び率の比の範囲であれば、優れた分離膜が機械的強度を有しながらも、気孔あるいは分離膜は、変形率が少なく、外部の力や衝撃による変形を最小化させることができる。また、本発明の一例によるポリオレフィン系分離膜は、前記分離膜の長手方向の引張強度が1700kg/cm2以上、かつ幅方向の引張強度が1800kg/cm2以上であり、長手方向の伸び率および幅方向の伸び率がそれぞれ100%以下、より具体的には98%以下であるとよい。前記伸び率の範囲であれば、気孔の大きさおよび形態の変形に対する安定性が改善された分離膜が提供される。本発明の一例によるポリオレフィン系分離膜は、分離膜の水滴接触角が107°以下、例えば95°〜107°、具体的には100°〜106°の範囲であるとよい。接触角が前記範囲であれば、電解液の濡れ性が良好であり、これによって電池性能が改善できる。
0028
本発明の一例によるポリオレフィン系分離膜は、前記分離膜の一面あるいは両面にコーティング層を含み、前記コーティング層は、有機バインダーを含んでもよく、追加的に無機粒子をさらに含んでもよい。前記有機バインダーとしては、例えば、重量平均分子量が1,000,000g/mol以上のポリビニリデンフルオライドホモポリマー、重量平均分子量が800,000g/mol以下のポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、あるいはこれらの混合物を含んでもよい。前記無機粒子としては、Al2O3、SiO2、B2O3、Ga2O3、TiO2、およびSnO2などが挙げられる。前記コーティング層はディップコーティング法によって形成される。前記コーティング層を有する分離膜は、105℃のオーブンで1時間放置した後、熱収縮率がMDおよびTD方向でそれぞれ3%以下であるとよい。より具体的には2%以下であるとよい。
0029
本発明に係る多孔性ポリオレフィン系分離膜は、平均厚さが7μm〜20μmであり、厚さのばらつきは前記平均厚さの4%未満であるとよい。本発明に係る多孔性ポリオレフィン系分離膜は、平均突刺強度が300gf以上であるとよいし、具体的には400gf以上であるとよい。
0030
また、本発明に係る多孔性ポリオレフィン系分離膜あるいはコーティング分離膜は、製造された分離膜を50×50mmの大きさに切断して120℃のオーブンに入れた後、1時間収縮させ、その後、収縮させた分離膜の大きさを測定し、減少した大きさを反映して収縮率を測定する時、長手方向収縮率が5%以下、かつ幅方向収縮率が3%以下であってもよく、より具体的には、長手方向収縮率が4%以下、かつ幅方向収縮率が2%以下であるとよい。
0031
本発明はまた、本発明に開示された多孔性ポリオレフィン系分離膜、正極、負極、および電解質を含む電池化学電池を提供する。電気化学電池の種類は特に制限されず、本発明の技術分野で知られた種類の電気であるとよい。本発明の電気化学電池は、好ましくは、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、またはリチウムイオンポリマー二次電池などのようなリチウム二次電池であるとよい。
0032
本発明の電気化学電池を製造する方法は特に制限されず、本発明の技術分野で通常使用する方法を使用してもよい。前記電気化学電池を製造する方法の非制限的な例は次の通りである:本発明の前記分離膜あるいはコーティング分離膜を、電池の正極と負極との間に位置させた後、これに電解液を満たす方式で電池を製造することができる。本発明の電気化学電池を構成する電極は、本発明の技術分野で通常使用する方法によって電極活物質を電極電流集電体に結着した形態で製造することができる。本発明で使用される前記電極活物質のうち、正極活物質は特に制限されず、本発明の技術分野で通常使用する正極活物質を使用することができる。具体的には、前記正極は、リチウムイオンを可逆的に挿入および脱離可能な正極活物質を含み、このような正極活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルから選択される少なくとも1種、およびリチウムとの複合金属酸化物であるとよい。金属間の固溶率は多様であり、これらの金属のほか、Mg、Al、Co、Ni、K、Na、Ca、Si、Ti、Sn、V、Ge、Ga、B、As、Zr、Mn、Cr、Fe、Sr、V、および希土類元素からなる群より選択される元素がさらに含まれる。前記正極は、例えば、リチウムと、Co、Ni、Mn、Al、Si、Ti、およびFeからなる群より選択される金属との複合金属酸化物であるとよく、具体的には、リチウムコバルトオキシド(lithium cobalt oxide、LCO。例えば、LiCoO2)、リチウムニッケルコバルトマンガンオキシド(lithium nickel manganese cobalt oxide、NCM。例えば、Li[Ni(x)Co(y)Mn(z)]O2)、リチウムマンガンオキシド(Lithium manganese oxide、LMO。例えば、LiMn2O4、LiMnO2)、リチウム鉄ホスフェート(Lithium Iron phosphate、LFP。例えば、LiFePO4)、リチウムニッケルオキシド(LNO、例えば、LiNiO2)などを使用することができる。前記負極は、リチウムイオンを挿入および脱離可能な負極活物質を含み、このような負極活物質としては、結晶質または非晶質の炭素、または炭素複合体の炭素系負極活物質(熱的に分解された炭素、コークス、黒鉛)、燃焼された有機重合体化合物、炭素繊維、酸化スズ化合物、リチウム金属、またはリチウムと他の元素との合金を使用することができる。例えば、非結晶質炭素としては、ハードカーボン、コークス、1,500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(mesocarbon microbead、MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維(mesophase pitch−based carbon fiber、MPCF)などがある。結晶質炭素としては、黒鉛系材料があり、具体的には、天然黒鉛、黒鉛化コークス、黒鉛化MCMB、黒鉛化MPCFなどがある。前記負極は、例えば、結晶質または非晶質の炭素を含んでもよい。
0033
前記正極または負極は、電極活物質のほか、結合剤および導電剤、必要な場合、増粘剤を溶媒に分散させて電極スラリー組成物を製造し、このスラリー組成物を電極集電体に塗布して製造される。前記結合剤、導電剤および増粘剤は、本発明の技術分野で通常使用するものを使用してもよい。例えば、結合剤として、ポリビニリデン−フルオライド(Polyvinylidene−fluoride、PVdF)、スチレン−ブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber、SBR)などがあり、導電剤として、カーボンブラック、増粘剤として、カーボネートメチルセルロース(Carbonate methyl cellulose、CMC)を使用してもよい。
0034
本発明で使用される前記電極電流集電体は特に制限されず、本発明の技術分野で通常使用する電極電流集電体を使用してもよい。前記電極電流集電体のうち、正極電流集電体素材の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組み合わせによって製造される箔などが挙げられる。前記電極電流集電体のうち、負極電流集電体素材の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、銅合金、またはこれらの組み合わせによって製造される箔などが挙げられる。
0036
本発明で使用される電解液は特に制限されず、本発明の技術分野で通常使用する電気化学電池用電解液を使用してもよい。前記電解液は、A+B−のような構造の塩が、有機溶媒に溶解または解離したものであってもよい。前記A+の非制限的な例としては、Li+、Na+、またはK+のようなアルカリ金属陽イオン、またはこれらの組み合わせからなる陽イオンが挙げられる。前記B−の非制限的な例としては、PF6−、BF4−、Cl−、Br−、I−、ClO4−、AsF6−、CH3CO2−、CF3SO3−、N(CF3SO2)2−、またはC(CF2SO2)3−のような陰イオン、またはこれらの組み合わせからなる陰イオンが挙げられる。前記有機溶媒の非制限的な例としては、プロピレンカーボネート(Propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(Ethylene carbonate、EC)、ジエチルカーボネート(Diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(Dimethyl carbonate、DMC)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide、DMF)、ジプロピルカーボネート(Dipropyl carbonate、DPC)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide、DMSO)、アセトニトリル(Acetonitrile)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジエトキシエタン(diethoxyethane)、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone、NMP)、エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate、EMC)、またはガンマ−ブチロラクトン(Butyrolactone)などが挙げられる。これらは、単独で使用されるか、2種以上を混合して使用される。
0037
以下、実施例、比較例および実験例を記述することによって本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例、比較例および実験例は本発明の一例示に過ぎず、本発明の内容がこれに限定されると解釈されない。
0038
実施例1:多孔性ポリオレフィン系分離膜の製造
粘度平均分子量が600,000g/molの高密度ポリエチレン(High−density polyethylene、HDPE;三井化学社製品)を二軸押出機に供給した後、流動パラフィン(極東油化)を前記ポリエチレンとの重量比がポリエチレン30対流動パラフィン70となる量で前記二軸押出機に注入して押出した。
0039
前記押出後、T−ダイを通して得られたゲル相から冷却ロールを用いてシート状の分離膜を作製した。前記分離膜に対して、110℃で長手方向(Machine Direction、MD)延伸および113℃で幅方向(Transverse Direction、TD)延伸(延伸倍率:8.0(MD)×8.0(TD))を行った。
0041
その後、前記乾燥したフィルムを幅方向に2次延伸(幅方向延伸比:1.0→1.6→1.4、延伸温度128℃)の熱固定を実施して、厚さ12.5μmの多孔性ポリオレフィン系分離膜を製造した。
0042
実施例2:多孔性ポリオレフィン系分離膜の製造
前記実施例1において、103℃で長手方向(Machine Direction、MD)延伸および105℃で幅方向(Transverse Direction、TD)延伸(延伸倍率:8.5(MD)×8.5(TD))したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ12.3μmの分離膜を製造した。
0043
比較例1:多孔性ポリオレフィン系分離膜の製造
前記実施例1において、120℃で長手方向(Machine Direction、MD)延伸および123℃で幅方向(Transverse Direction、TD)延伸(延伸倍率:8(MD)×8(TD))したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ12.2μmの分離膜を製造した。
0044
比較例2:多孔性ポリオレフィン系分離膜の製造
前記実施例2において、長手方向(Machine Direction、MD)延伸および幅方向(Transverse Direction、TD)延伸倍率を7(MD)×7(TD)としたことを除いては、前記実施例2と同様の方法で厚さ12.3μmの分離膜を製造した。
0046
0047
実験例
前記実施例1および2、並びに比較例1および2で製造された分離膜に対して、以下に開示された測定方法により、気孔度、通気度、引張強度、伸び率、収縮率、バブルポイントおよび平均ポイント圧力、および水滴接触角を測定し、その結果を表2に示した。
0048
0049
1.毛細管流動気孔測定グラフにおけるバブルポイント圧力および平均ポイント圧力の測定
前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれを、直径26mmの円でサンプリングした。PMI社の毛細管流動気孔測定器に分離膜自体を装着後、GalwickTM溶液(表面張力15.9dyne/cm)に十分に浸す。前記機器をWet up Calc.modeに設定した後、圧力別のN2の流量の流れを測定して湿潤曲線を描く。前記湿潤曲線で最初のバブルが感知される圧力をバブルポイント圧力(psi)として記録する。また、前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれを、直径26mmの円でサンプリングし、前記機器に分離膜自体を装着後、前記機器をDry up Calc.modeに設定し、圧力別N2の流速を測定してこれを乾燥曲線グラフに示した。測定された乾燥曲線グラフで原点から直線性を有するポイントまで直線を延長し、前記直線の傾きの半分となる仮想の直線を描き、この仮想の直線と前記湿潤曲線との交わる地点の圧力を平均ポイント圧力(psi)として記録する。
0050
2.気孔度
前記実施例1および2、並びに比較例1および2で製造された各分離膜の10cm×10cmの試料を切取って、その体積(cm3)と質量(g)を求め、前記体積および質量と、分離膜の密度(g/cm3)から、次の式を用いて気孔度を計算した。
0051
気孔度(%)=(体積−質量/試料の密度)/体積×100
0052
試料の密度=ポリエチレンの密度
0053
3.通気度
前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれを、直径1インチ(inch)の円が入る大きさに互いに異なる10個の地点で裁断した10個の試料を作製した後、通気度測定装置(旭精工社)を用いて、前記各試料で空気100ccの通過する時間を測定した。前記時間をそれぞれ5回ずつ測定した後、平均値を計算した。
0054
4.引張強度
前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれを、横(MD)10mm×縦(TD)50mmに互いに異なる10個の地点で裁断した10個の試料を作製した後、UTMに20mm部分を噛ませた後、上下に引いて強度を測定した。前記各試料の引張強度をそれぞれ3回ずつ測定した後、平均値を計算した。
0055
5.伸び率
前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれに対して、前記4.の引張強度の測定時、元の長さと破断点での長さとを比較して((破断点の長さ−20)/20mm)X100の値を百分率で表示する。
0056
6.収縮率
前記実施例および比較例で製造された分離膜それぞれを、横(MD)50mm×縦(TD)50mmに互いに異なる10個の地点で裁断した10個の試料を作製した。前記各試料を105℃のオーブンで1時間放置した後、各試料のMD方向およびTD方向の収縮程度を測定して、平均熱収縮率を計算した。
実施例
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