図面 (/)
課題・解決手段
架橋されたセルロースを形成する方法は、架橋剤を、含有される過剰の水が少量か皆無の(例えば、25〜55%の固形分の)セルロース繊維の水性混合物と混合すること、得られた混合物を固体85〜100%に乾燥させること、次いで乾燥させた混合物を硬化してセルロース繊維を架橋させることを包含する。システムは、約25〜55%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物と架橋剤とから、架橋していない未結合セルロース繊維と架橋剤との実質的に同質の混合物を形成するための、混合ユニット;実質的に同質の混合物を85〜100%の粘稠度に乾燥するための乾燥ユニット;および架橋剤を硬化することによって、乾燥され硬化された架橋されたセルロース繊維を形成するための、硬化ユニットを包含する。このような方法および/またはシステムによって生産される繊維内架橋されたセルロースパルプ繊維は、約2〜14%のパルプ上の化学物質のレベルおよび少なくとも12.0g/gのAFAQキャパシティを有する。
概要
背景
[0003]従来、吸収性製品の大部分において、サザンパインその他の針葉樹種に由来するセルロース繊維が使用されているが、これは、これらの繊維の形態が優れた吸収性能を提供するためである。サザンパインなどの針葉樹繊維は、広葉樹繊維に比べると、より長く(例えば、約2.5mmの長さ加重繊維長を有し)、より粗い(例えば、約20mg/100mより大きい粗さを有する)傾向があり、低密度のパッドを形成し、それらの重量の数倍の液体を保持するのに十分な空隙容量を有する。一方、広葉樹繊維は、紙用途におけるそれらの性能で知られており、より短い繊維長(例えば、約1mm)とより低い目の粗さ(例えば、約20mg/100m未満)により、高密度の構造と滑らかな紙の表面を提供する。
[0004]架橋されたセルロース繊維は、通常、従来の針葉樹パルプ繊維の乾燥させたシートまたはロールに、シートに化学物質が確実に含浸されるように一般的に薄い濃度で架橋剤を適用すること、それに続いてハンマーミルでの湿式の繊維化を行い、処理された個々のセルロース繊維を生成することによって生産される。次いでこれらの繊維は、例えばフラッシュドライヤー中で乾燥させ、例えばオーブン中で硬化させる。得られた繊維は、セルロース繊維中のセルロース分子が架橋されている繊維内架橋を示す。繊維内架橋は、一般的に、セルロース繊維に撚りと巻きを付与し、さらには一部の吸収性製品で有利な特性である嵩も繊維に付与する。
概要
架橋されたセルロースを形成する方法は、架橋剤を、含有される過剰の水が少量か皆無の(例えば、25〜55%の固形分の)セルロース繊維の水性混合物と混合すること、得られた混合物を固体85〜100%に乾燥させること、次いで乾燥させた混合物を硬化してセルロース繊維を架橋させることを包含する。システムは、約25〜55%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物と架橋剤とから、架橋していない未結合セルロース繊維と架橋剤との実質的に同質の混合物を形成するための、混合ユニット;実質的に同質の混合物を85〜100%の粘稠度に乾燥するための乾燥ユニット;および架橋剤を硬化することによって、乾燥され硬化された架橋されたセルロース繊維を形成するための、硬化ユニットを包含する。このような方法および/またはシステムによって生産される繊維内架橋されたセルロースパルプ繊維は、約2〜14%のパルプ上の化学物質のレベルおよび少なくとも12.0g/gのAFAQキャパシティを有する。
目的
[0003]従来、吸収性製品の大部分において、サザンパインその他の針葉樹種に由来するセルロース繊維が使用されているが、これは、これらの繊維の形態が優れた吸収性能を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
架橋されたセルロース製品の形成方法であって、架橋剤を、固形分を有し、含有される過剰の水が少量か皆無の未結合セルロース繊維の水性混合物と混合すること、ここで該架橋剤は、該固形分に基づき該未結合セルロース繊維の架橋の望ましいレベルを達成するのに好適な量で添加され;得られた混合物を固体85〜100%に乾燥させること;および乾燥させた混合物を、該未結合セルロース繊維を架橋するのに有効な条件下で硬化すること;を含む、上記方法。
請求項2
前記水性混合物が、約25〜55%の固形分を有する、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記水性混合物が、約35〜55%の固形分を有する、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記水性混合物が、約40〜50%の固形分を有する、請求項2に記載の方法。
請求項5
前記架橋剤が、周囲条件で前記未結合セルロース繊維の水性混合物と混合される、請求項1に記載の方法。
請求項6
前記架橋剤が、前記未結合セルロース繊維の架橋の望ましいレベルを達成するのに必要な量以下の量で添加される、請求項1に記載の方法。
請求項7
混合の前に、前記水性混合物を加工して、繊維の塊を低減することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項8
請求項9
混合が、前記水性混合物に対して10〜50%の固形分で前記架橋剤を添加することを包含する、請求項1に記載の方法。
請求項10
請求項11
混合の前に、前記水性混合物を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項12
前記水性混合物を形成することが、湿潤ラップ、事前に乾燥させたセルロース系繊維、およびまだ乾燥させていないセルロース系繊維の1種またはそれより多くを、水と混合することを包含する、請求項11に記載の方法。
請求項13
請求項14
請求項15
前記水性混合物を形成することが、約25〜55%の固形分でセルロース繊維を水と混合することを包含する、請求項11に記載の方法。
請求項16
前記水性混合物を形成することが、約25%より低い固形分でセルロース繊維を水と混合すること、それに続いて約25〜55%の固形分を達成するために前記混合物を少なくとも部分的に脱水することを包含する、請求項11に記載の方法。
請求項17
請求項18
架橋されたセルロース製品の形成方法であって、約40〜50%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物を形成すること;ポリアクリル酸架橋剤を、約2〜14%のパルプ上の化学物質のレベルを達成する量で該水性混合物と混合すること、ここで前記架橋剤は周囲条件で混合され;得られた混合物を固体85〜100%に乾燥させること;および乾燥させた混合物を、該未結合セルロース繊維を架橋するのに有効な条件下で硬化すること;を含む、方法。
請求項19
周囲条件で、約25〜55%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物と架橋剤とから、架橋していない未結合セルロース繊維と架橋剤との実質的に同質の混合物を形成するように設計されている混合ユニット;該混合ユニットの下流にあり、該架橋剤を硬化させずに該実質的に同質の混合物を85〜100%の粘稠度に乾燥するように設計されている乾燥ユニット;および該乾燥ユニットの下流にあり、該架橋剤を硬化することによって、乾燥され硬化された架橋されたセルロース繊維が形成されるように設計されている硬化ユニット;を含む、システム。
請求項20
前記混合ユニットが、前記未結合セルロース繊維の水性混合物を形成するように設計されている第一のゾーン、および前記水性混合物と前記架橋剤の両方を受け取り、前記実質的に同質の混合物を形成するように設計されている第二のゾーンを包含する、請求項19に記載のシステム。
請求項21
前記第一および第二のゾーンが、2つの連続する押出機の領域である、請求項20に記載のシステム。
請求項22
前記混合ユニットが、高粘度ミキサーを包含する、請求項19に記載のシステム。
請求項23
約2〜14%のパルプ上の化学物質のレベルおよび少なくとも12.0g/gのAFAQキャパシティを有する、繊維内架橋されたセルロースパルプ繊維。
請求項24
前記セルロースパルプ繊維が、広葉樹セルロースパルプ繊維を包含する、請求項23に記載の繊維。
請求項25
前記セルロースパルプ繊維が、広葉樹セルロースパルプ繊維である、請求項24に記載の繊維。
請求項26
前記広葉樹セルロースパルプ繊維が、ユーカリパルプ繊維である、請求項24に記載の繊維。
請求項27
前記セルロースパルプ繊維が、ポリアクリル酸および/またはポリカルボン酸架橋剤で繊維内架橋されている、請求項23に記載の繊維。
請求項28
少なくとも16.0g/gのAFAQキャパシティを有する、請求項23に記載の繊維。
関連出願
0001
[0001]本出願は、米国非仮出願第14/320,279号(タイトル「改質された繊維、方法、およびシステム」、2014年6月30日出願、その内容を参照により本明細書に組み込む)に対する権利を有し、それに基づく優先権の利益を主張する。
技術分野
背景技術
0003
[0003]従来、吸収性製品の大部分において、サザンパインその他の針葉樹種に由来するセルロース繊維が使用されているが、これは、これらの繊維の形態が優れた吸収性能を提供するためである。サザンパインなどの針葉樹繊維は、広葉樹繊維に比べると、より長く(例えば、約2.5mmの長さ加重繊維長を有し)、より粗い(例えば、約20mg/100mより大きい粗さを有する)傾向があり、低密度のパッドを形成し、それらの重量の数倍の液体を保持するのに十分な空隙容量を有する。一方、広葉樹繊維は、紙用途におけるそれらの性能で知られており、より短い繊維長(例えば、約1mm)とより低い目の粗さ(例えば、約20mg/100m未満)により、高密度の構造と滑らかな紙の表面を提供する。
0004
[0004]架橋されたセルロース繊維は、通常、従来の針葉樹パルプ繊維の乾燥させたシートまたはロールに、シートに化学物質が確実に含浸されるように一般的に薄い濃度で架橋剤を適用すること、それに続いてハンマーミルでの湿式の繊維化を行い、処理された個々のセルロース繊維を生成することによって生産される。次いでこれらの繊維は、例えばフラッシュドライヤー中で乾燥させ、例えばオーブン中で硬化させる。得られた繊維は、セルロース繊維中のセルロース分子が架橋されている繊維内架橋を示す。繊維内架橋は、一般的に、セルロース繊維に撚りと巻きを付与し、さらには一部の吸収性製品で有利な特性である嵩も繊維に付与する。
発明が解決しようとする課題
0005
[0005]この方法の欠点の1つは、生産プロセスの高い資本コスト、それに加えて硬化前に繊維を乾燥させることによる高エネルギーにかかるコストである。別の欠点は、湿式のハンマーミリングは、熱および高空気流の通常のミル条件下で繊維および化学物質の蓄積を生じる可能性があることである。加えて、湿式のハンマーミリングは、繊維化されない繊維の塊であるノットまたは元のパルプシートの破片などの望ましくない特色をもたらす。一般的に、生産速度が増加するにつれ、ハンマーミリング効率が低下するためにノットのレベルも増加する。
課題を解決するための手段
0006
[0006]架橋されたセルロース製品を形成する方法、加えてそれから形成された架橋されたセルロース製品の様々な実施態様が本明細書で開示される。製品としては、例えば、個々の架橋されたセルロース繊維、加えて全体的に個々の架橋されたセルロース繊維で作製されたマット、パッド、シート、ウェブなどが挙げられる。
0007
[0007]一形態において、本発明の開示は、架橋されたセルロース製品を形成する方法であって、架橋剤を、固形分を有し、含有される過剰の水が少量か皆無の未結合セルロース繊維の水性混合物と混合することを包含する、上記方法を提供する。架橋剤は、固形分に基づき、セルロース繊維中で望ましいレベルの架橋を達成するのに好適な量で添加される。いくつかの方法において、混合は、周囲条件で行われる。いくつかの方法において、架橋剤は、望ましいレベルの架橋を達成するのに必要な量以下の量で添加される。本方法は、得られた混合物を固体85〜100%に乾燥させること、次いで乾燥させた混合物を硬化してセルロース繊維を架橋することをさらに包含する。いくつかの方法において、水性混合物の固形分は、約25〜55%である。いくつかの方法は、例えば例えば、ベールまたはロールの形態で提供される繊維からセルロース繊維をハイドラパルピングすることによって、水性混合物を形成することを包含する。
0008
[0008]このような方法の1つの特定の非限定的な例において、約40〜50%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物を形成し、それに続いてポリアクリル酸架橋剤を、約2〜14%のパルプ上の化学物質(chemical on pulp)のレベルを達成する量で水性混合物と混合し、ここで前記架橋剤は周囲条件で混合される。次いで得られた混合物は、上記のように乾燥され硬化される。
0009
[0009]別の形態において、本発明の開示は、架橋されたセルロース製品を形成するためのシステムであって、周囲条件で、約25〜55%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物と架橋剤とから、架橋していない未結合セルロース繊維と架橋剤との実質的に同質の混合物を形成するように設計されているミキサーを包含する、上記システムの実施態様を提供する。本システムはさらに、ミキサーの下流に、架橋剤を硬化させずに実質的に同質の混合物を85〜100%の粘稠度に乾燥するように設計されているドライヤー;およびドライヤーに連結されている、架橋剤を硬化することによって、乾燥され硬化された架橋されたセルロース繊維が形成されるように設計されている硬化ユニットを包含する。
0010
[0010]別の形態において、本発明の開示は、約2〜14%のパルプ上の化学物質のレベルおよび少なくとも12.0g/gのAFAQキャパシティを有する繊維内架橋されたセルロースパルプ繊維を提供する。一部の実施態様において、セルロース繊維は、広葉樹セルロースパルプ繊維、例えばユーカリセルロースパルプ繊維であるか、またはそれらを包含する。
0011
[0011]上記で簡単に説明した概念、特色、方法、および構成要素の配置については、添付の図面および以下の詳細な説明を参照しながら明らかにする。
図面の簡単な説明
0012
図1は、本発明の開示の一形態に従って架橋されたセルロース繊維を生産するのに好適なシステムの例示的な非限定的な実施態様の概略図である。
図2は、本発明の開示に係る方法によって調製された架橋されたセルロース繊維の数々のサンプルの0.3psi(2.07kPa)の負荷におけるAFAQキャパシティとMUPキャパシティとの関係を表すグラフである。
図3は、従来のアプローチに従って調製されたサンプルと比較した、本発明の開示の一形態に従って20%ポリアクリル酸架橋剤を用いて調製された代表的なサンプルのAFAQキャパシティと架橋剤のCOPとの関係を表すグラフである。
図4は、本発明の開示の一形態に従って様々な架橋剤を用いて調製された代表的なサンプルのAFAQキャパシティと架橋剤のCOPとの関係を表すグラフである。
図5は、従来のアプローチに従って調製されたサザンパインサンプルと比較した、本発明の開示の一形態に従って調製された代表的なユーカリサンプルのAFAQキャパシティと架橋剤のCOPとの関係を表すグラフである。
0013
[0017]参考文献の1つであるHerronらのUS5183707によれば、3つの基本的な架橋プロセスがある。第一のプロセスは、乾燥架橋として特徴付けることができ、これは、例えばBernardinのUS3224926で説明されている。「乾燥架橋」プロセスにおいて、個々になった架橋された繊維は、架橋剤を含む水溶液中で膨潤した繊維を含浸させること、機械的な作用によって繊維を脱水し離解すること、および繊維を高温で乾燥させて、繊維が実質的に個々の状態のままで架橋を達成することによって生産される。繊維は元々、架橋前に水分を抜いた結果として、膨潤しておらずばらばらになった状態で架橋される。これらのプロセスは、「乾燥架橋」繊維と称されるものを生産する。乾燥架橋繊維は、一般的に、架橋結合によって高度に硬くなり、それにより生じる吸収性構造は、比較的高い湿潤および乾燥弾力を示す。乾燥架橋繊維はさらに、低い流体保持値(fluid retention value;FRV)を特徴とする。
0014
[0018]第二のタイプは、SteigerのUS3241553に例示されており、架橋剤と触媒とを含有する水溶液中で繊維を架橋することを含む。この方式で生産された繊維は、「水溶液架橋」繊維と称される。セルロース系繊維における水の膨潤作用のために、水溶液架橋繊維は、崩壊していない膨潤した状態のままで架橋される。乾燥架橋繊維に比べて、水溶液架橋繊維、例えば’553特許で開示されたものは、より大きいフレキシビリティーおよびより低い剛性を有し、より高い流体保持値(FRV)を特徴とする。水溶液架橋繊維により生じる吸収性構造は、乾燥架橋繊維により生じる構造より低い湿潤および乾燥弾力を示す。
0015
[0019]SangenisらのUS4035147に例示されている第三のタイプにおいて、個々になった架橋された繊維は、繊維を膨潤させるには不十分な量の水を含有する実質的に非水性の溶液中で、水分を抜いた膨潤していない繊維を架橋剤および触媒と接触させることによって生産される。架橋は、この実質的に非水性の溶液中に繊維が存在している間に起こる。このプロセスは、本明細書では「非水溶液架橋」繊維と称される繊維を生産する。このような繊維は、膨潤試薬として当業者公知の溶液と長く接触させても膨潤しない。乾燥架橋繊維のように、非水溶液架橋繊維は、架橋結合によって高度に硬くなり、それにより生じる吸収性構造は、比較的高い湿潤および乾燥弾力を示す。
0016
[0020]本明細書においてより詳細に説明したように、本発明の開示は、Herronによって説明された3つと比較してより実行可能でフレキシブルなさらなるアプローチを記載する。
0017
[0021]一般的に、架橋されたセルロース系繊維は、好適な条件(例えば、温度、圧力など)下での繊維内架橋を達成するのに十分な量で架橋剤をセルロース系繊維に適用することによって調製することができる。ポリアクリル酸で架橋されたセルロース系繊維の数々の例およびポリアクリル酸で架橋されたセルロース系繊維を作製するための方法の例は、US5549791、US5998511、およびUS6306251に記載されている。ポリアクリル酸で架橋されたセルロース系繊維を形成するための従来のアプローチを例示しているとみなされ得るシステムおよび方法は、例えば、US5447977およびUS6620865で開示されている。したがって、「従来のアプローチ」への言及は、一般的に上述の特許でのアプローチとそれに続くHerronによって説明されるような「乾燥架橋プロセス」による架橋されたセルロース繊維の生産を指す。簡単に言えば、これらの特許におけるシステムは、繊維処理ゾーンを通ってセルロース繊維のマットまたはウェブを輸送するための運搬装置、繊維処理ゾーンで繊維に架橋剤を適用するためのアプリケーター、マットを含む個々のセルロース繊維を分離して、実質的に壊れておらず本質的に別々になったセルロース繊維で構成される繊維産物を形成するためのファイバライザー、残留した水分をフラッシュ蒸発させるための、ファイバライザーに連結されているドライヤー、ならびに繊維の追加の加熱のための制御温度ゾーン、および架橋剤を硬化して、乾燥され硬化された個々の架橋された繊維を形成するためのオーブンを包含する。
0018
[0022]架橋されたセルロース繊維製品を生産するための現在の商業的なプロセスは、上述の’977および’865特許で開示されたものとは異なる試薬、試薬量、反応および他のプロセス条件などを使用する可能性があるが、本発明の開示の目的に関して、本明細書で現在の商業的なプロセスへの言及は、一般的に、これらの特許で概説された従来のアプローチを指す。
0019
[0023]以下の段落で、従来のアプローチの様々な形態をより詳細に説明する。用語「マット」は、一緒に共有結合させていないが、機械的に絡み合わせたおよび/または水素結合で結合させたセルロース繊維または他の繊維を含む不織シート構造を指す。繊維としては、木材パルプから得られた繊維、または綿ぼろ(cotton rag)、麻、草類、サトウキビ、トウモロコシの茎、トウモロコシの皮などの他の源、またはシートに敷き詰めることができる他の好適なセルロース繊維源が挙げられる。セルロース繊維のマットは、一般的にシート形態であり、別々のサイズの多数のベール梱包されたシートのうちの1つであってもよいし、または連続するロールであってもよい。
0020
[0024]セルロース繊維の各マットは、マットを乗せた運搬装置によって繊維処理ゾーンを通って輸送され、そこで架橋剤溶液がマットに適用される。架橋剤溶液は、噴霧、ローリング、浸漬などの方法を使用してマットの片面または両面に適用される。架橋剤溶液が適用された後、溶液は、例えばマットを一対のローラーに通過させるによって、マット全体に均一に分散させることができる。
0021
[0025]次いで含浸させたマットは、ハンマーミルを介してマットをフィードすることによって湿潤繊維化される。ハンマーミルは、マットをその構成要素である個々のセルロース繊維に崩壊させ、次いでセルロース繊維は、残留した水分を除去するために乾燥ユニットを介して空気輸送される。
0022
[0026]次いで得られた処理したパルプは、パルプの温度を硬化温度にするために、追加の加熱ゾーン(例えばドライヤー)を介して空気輸送される。1つの改変法において、ドライヤーは、繊維を受け取り、フラッシュ乾燥方法により繊維から残留した水分を除去するための第一の乾燥ゾーン、および化学反応(例えば、一部の実施態様ではエステル化)を完了させるために架橋剤を硬化するための第二の加熱ゾーンを包含する。あるいは、別の改変法では、処理された繊維は、フラッシュドライヤーを吹き抜けることで、残留した水分が除去され、硬化温度に加熱され、次いでオーブンに移され、そこで処理された繊維は、続いて硬化される。全体として、処理された繊維は乾燥され、次いで架橋を達成するのに十分な時間および十分な温度で硬化される。
0023
[0027]上述したように、従来のこれまで用いられてきたアプローチは、いくつかの不利益を有する。例えば、従来の(「乾燥架橋」)アプローチにおいて、架橋溶液は、一般的に、パルプシートへの化学物質の含浸をより確実に完了させるために極めて薄い(したがってそれ相応に極めて低い粘度であり、一般的には5cPより低い)。従来の方法は、含浸をより確実に完了させるために、過剰の化学物質を添加することも含み、これは、余分な化学物質を取り扱うことへの懸念をもたらす。加えて、例えばハンマーミルによる湿潤繊維化は、通常のミル条件下で繊維および化学物質の蓄積(時には汚染とも称される)を生じる可能性があり、このような蓄積は定期的に除去しなければならず、生産停止時間が必要になる。加えて、湿式のハンマーミリングは、ノットを残す傾向があり、一般的に、生産速度が増加するにつれてノット数が増加し、それ相応にハンマーミリング効率も減少する。さらに、従来のアプローチは、繊維を硬化する前の湿式のハンマーミリングおよび水除去プロセスに起因する高エネルギーにかかるコストを含む。水溶液架橋のマイナス面は、過剰の水および化学物質のための再利用/再生ループを必要とし、制御しなければならないことである。
0024
[0028]また、従来のアプローチは、繊維マットを水性架橋溶液で湿潤させ、次いでハンマーミルにフィードする前にローラーを通過させて繊維化する乾燥架橋プロセスとの有効な使用に好適なセルロース繊維のタイプに制限があることも発見された。したがって、液体で含浸させたときに機械的な操作に耐える十分な完全性を有するマットを形成しない繊維は、標準的な架橋機器で効率的に加工することが非現実的とは言わないまでもより一層難しくなる傾向がある。上述したように、広葉樹繊維は、それらの繊維の形態のために、吸収性製品または架橋されたセルロース繊維の用途には一般的に使用されない。加えて、しかしながら、一部の広葉樹繊維、例えばユーカリは、湿潤させると容易にばらばらになるマットを形成するため、従来のアプローチでの使用にとって好適な繊維ではない。
0025
[0029]本明細書でより詳細に論じられるように、本発明の開示に係るシステムおよび/または方法は、上述の不利益を回避することに加えて、比較的より広範なセルロース繊維と共に使用できるアプローチを提供することが可能である。例えば、架橋剤を、含有される過剰の水が少量か皆無の未結合セルロース繊維の水性混合物と混合することは、ドライヤーの負担を低減し、湿式のハンマーミリングに伴う汚染およびノット含有の問題を回避することができる。化学物質再利用ループへの必要性を低減するかまたはなくすことも可能である。さらに、高固形分の水性繊維混合物は、例えば高粘度ミキサー(high consistency mixer)において従来のアプローチで使用される場合より高い濃度の架橋剤と混合することができ、それでもなお有効な化学物質の分散を達成できることが発見された。高固形分を有する材料は比較的より高い粘度(例えば、10〜50cPまたはそれより高い)を有し、さらに、高粘性材料と組み合わされた場合、特に実用的な加工時間以内に繊維との実質的に同質の混合物を達成することは難しいことが従来から見出されていることを考慮すると、これは予想外である。加えて、含浸させたマットの機械的な操作は必須ではないため、資本コストをさらに低減させることに加えて、ユーカリなどの広葉樹の種からのセルロース繊維、またはシートまたはマットの形態では利用できないセルロース繊維などの低い湿潤引張強度または構造的な完全性を有するセルロース繊維を架橋する選択肢をもたらす可能性がある。加えて、本発明の開示の方法は、広葉樹または針葉樹の木以外の植物種由来のセルロース繊維、加えて処理されたセルロース(例えばマーセル法で処理された繊維など)にも適している可能性がある。
0026
[0030]セルロース繊維および水の混合物は、本明細書では「セルロース繊維の水性混合物」(または水が存在することが明らかな場合、単に「繊維」)とも称されるが、異なる濃度範囲で異なる物理特性を示す。濃度範囲を特徴付ける1つの方法は、セルロース繊維により水が保持される方式によるものである。例えば、セルロース繊維は、繊維表面内および繊維表面上の孔中の、および繊維間のスペース中の所定量の水と結合することができる。一般的に、水は、より大きい孔(時にはマクロ孔と呼ばれる)よりも、より小さい孔(時には微小孔と呼ばれる)中でより強く結合する。このような混合物の濃度は、慣例的に固形分に対して表され、この場合、セルロースと水との混合物の重量で割ったセルロースの重量を指す。
0027
[0031]一般に、約15〜25%までの固形分を有する混合物は、流体の特徴を示す。この固形分範囲の混合物は、時にはスラリーと称される。スラリーは、過剰の水、すなわち、表面張力により繊維間に保持されない、または繊維の孔中に保持されない水を、引力および/または適用された真空を介して排出することができる。
0028
[0032]固形分約25%またはそれ超では、残存する過剰の水は少量か皆無であり、その混合物はもはや一般的に流動性ではない。その代わりに、固形分25%またはそれ超の(および約40〜50%までの)混合物は、時にはクラム(crumb)と称される湿った塊がある集合体の形態をとることが多い。このような混合物からそれ以上の水が排出されないとしても、自由水、すなわち、繊維間および大きい孔中に保持された水が、それでもなお例えばスクリュープレス、押出機、ベルトプレス、ロールプレスなどの標準的な脱水機器による機械的圧力によって除去される場合もある。
0029
[0033]上述のスラリーおよびクラム水性混合物中のセルロース繊維は、「未結合」と特徴付けることができ、これはすなわち、多少の機械的な絡み合いが存在する可能性があるが、例えば共有結合、水素結合、または他のタイプの化学結合によって繊維が一緒に化学結合していないことである。
0030
[0034]約55%の固形分において、残存する水は、繊維内、一般的には微小孔内に結合しており、より高い固形分レベルを達成するために蒸発によって除去されなければならない。これは、一般的に、オーブン、フロートドライヤー、ドラムドライヤー、フラッシュドライヤーなどの標準的な乾燥機器によって行われる。結合した水の蒸発は、一般的に、繊維の崩壊と繊維内部および/または繊維間における水素結合の形成を伴う。
0031
[0035]これらの3つの濃度範囲を分ける理論限界の固形分レベルは、繊維種、木材をパルプ化して繊維を生成する方式、パルプが精製されているかどうかおよびどの程度精製されているかなどによって、異なるタイプのセルロース繊維間である程度変動すると予想される。
0032
[0036]本発明の開示での使用に好適なセルロース繊維の水性混合物は、あらゆる好適な方法によって生産されてもよく、例えば、ハイドラパルパーまたは類似装置で、セルロース、例えばロールまたはベール形態のセルロースを水と望ましい固形分まで混合することによって生産されてもよい。このプロセスは、時にはスラッシング(slushing)と称される。任意選択で、湿潤ラップ(lap)または他の水を含有する形態(例えば、まだ乾燥させていないセルロース繊維)のパルプが使用されてもよく、水は、望ましい固形分を達成するために必要に応じて添加または除去される。いくつかの方法において、より低い固形分の水性混合物が作製され、次いで例えば押出機を用いて望ましい固形分に脱水される。いくつかの方法において、水性混合物を加工して、繊維の塊を除去または低減してもよく、これは、例えば、望ましい固形分が達成されたら、1つまたはそれより多くのランプブレーカー、ピンミルを通って、または他の好適な手段を使用して混合物をフィードすることによって行ってもよい。
0033
[0037]本発明の開示に係る方法において、架橋剤は、過剰の水が少量か皆無の、すなわち約25〜55%の固形分の範囲の濃度で、セルロース混合物に添加される。上記で論じられた架橋に対する従来のアプローチにおける方式にいくらか類似する方式で、架橋剤が添加されるときに水性セルロース混合物中に過剰の水が存在すると、エネルギーコストの増加に相当する追加の乾燥時間が必要になり、さらに乾燥機器中に化学物質の蓄積を引き起こして、汚染の可能性を増加させ、および/または除去のために停止時間を必要とする可能性もある。加えて、過剰の水を含有する混合物(例えばスラリー)に架橋剤を添加することは、水がセルロース繊維から排出されるときに溶液中の架橋剤の一部の偶発的な損失を招く可能性があり、このような損失はモニターが難しい場合があり、プロセス効率を低下させる可能性がある。
0034
[0038]また、過剰の水は、繊維を膨潤させて、一部の架橋剤が完全に細胞壁を透過できるようにするという仮説も立てられる。これは、架橋された繊維における繊維の剛性、望ましい品質に干渉する可能性がある。セルロース繊維を硬くするという概念は、I−ビーム作用によって説明される。架橋が繊維の表面に限定される場合、より硬い繊維が得られる。細胞壁に透過する化学物質は、剛性が発生する場合には、効率が低い。過剰の化学物質を提供することは、化学物質の固体が少ない(水が過剰である)ために、化学物質の回収または再利用ループなどを必要とすることによって、化学物質の効率、加えてプロセス効率を低減させる。
0035
[0039]したがって、本明細書で開示された方法において、架橋剤は、約25〜55%の固形分の範囲で、未結合セルロース繊維と水との混合物に添加され、それにより上記の効率の欠点の多くが解決される。ドライヤーの負担を低減することによってプロセス効率を高めたいという要望に従えば、より好ましい範囲は、約35〜55%である。高粘度ミキサーなどの高固形分の材料を取り扱うことができる現在の混合機器のキャパシティは、ある程度の実用上の限界を取り入れる傾向があるため、最も好ましい範囲は、約40〜50%である。
0036
[0040]本明細書で使用される場合、用語「架橋剤」は、これらに限定されないが、多数の架橋剤および架橋触媒のいずれか1つを含む。以下は、有用な架橋剤および触媒の代表的な列挙である。以下に記載される特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み入れられる。
0037
[0041]好適な尿素ベースの架橋剤としては、メチロール化尿素、メチロール化環状尿素、メチロール化低級アルキル環状尿素、メチロール化ジヒドロキシ環状尿素、ジヒドロキシ環状尿素、および低級アルキルで置換された環状尿素などの置換尿素が挙げられる。具体的な尿素ベースの架橋剤としては、ジメチルジヒドロキシ尿素(DMDHU、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU、1,3−ジヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロール尿素(DMU、ビス[N−ヒドロキシメチル]尿素)、ジヒドロキシエチレン尿素(DHEU、4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロールエチレン尿素(DMEU、1,3−ジヒドロキシメチル−2−イミダゾリジノン)、およびジメチルジヒドロキシエチレン尿素(DDI、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)が挙げられる。
0038
[0042]好適な架橋剤としては、US4822453、US4888093、US4889595、US4889596、US4889597、およびUS4898642に記載されるような、C2〜C8ジアルデヒド(例えば、グリオキサール)、少なくとも1つのアルデヒド基を有するC2〜C8ジアルデヒド酸類似体などのジアルデヒド、ならびにこれらのアルデヒドおよびジアルデヒド酸類似体のオリゴマーが挙げられる。他の好適なジアルデヒド架橋剤としては、US4853086、US4900324、およびUS5843061に記載されるものが挙げられる。
0039
[0043]他の好適な架橋剤としては、アルデヒドおよび尿素ベースのホルムアルデヒド付加生成物が挙げられる。例えば、US3224926、US3241533、US3932209、US4035147、US3756913、US4689118、US4822453、US3440135、US4935022、US3819470、およびUS3658613を参照されたい。
0040
[0044]好適な架橋剤としては、尿素のグリオキサール付加物、例えば、US4968774に記載のもの、ならびにUS4285690、US4332586、US4396391、US4455416、およびUS4505712に記載されるようなグリオキサール/環状尿素付加物が挙げられる。
0041
[0045]他の好適な架橋剤としては、ポリカルボン酸などのカルボン酸架橋剤が挙げられる。ポリカルボン酸架橋剤(例えば、クエン酸、プロパントリカルボン酸、およびブタンテトラカルボン酸)および触媒は、US3526048、US4820307、US4936865、US4975209、およびUS5221285に記載されている。少なくとも3つのカルボキシル基を含有するC2〜C9ポリカルボン酸(例えば、クエン酸およびオキシ二コハク酸)の架橋剤としての使用は、US5137537、US5183707、US5190563、US5562740、およびUS5873979に記載されている。
0042
[0046]高分子量のポリカルボン酸も好適な架橋剤である。好適な高分子量のポリカルボン酸架橋剤は、US4391878、US4420368、US4431481、US5049235、US5160789、US5442899、US5698074、US5496476、US5496477、US5728771、US5705475、およびUS5981739に記載されている。架橋剤としてのポリアクリル酸および関連するコポリマーは、US5447977、US5549791、US5998511、およびUS6306251に記載されている。またポリマレイン酸架橋剤は、US5998511にも記載されている。
0043
[0047]具体的な好適なポリカルボン酸架橋剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、酒石酸一コハク酸(tartrate monosuccinic acid)、マレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメチルビニルエーテル−co−マレイン酸コポリマー、ポリメチルビニルエーテル−co−イタコン酸コポリマー、アクリル酸のコポリマー、およびマレイン酸のコポリマーが挙げられる。
0044
[0048]他の好適な架橋剤は、US5225047、US5366591、US5556976、US5536369、US6300259、およびUS6436231に記載されている。
0045
[0049]好適な触媒としては、酸性塩、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、およびリンを含有する酸のアルカリ金属塩を挙げることができる。一実施態様において、架橋触媒は、次亜リン酸ナトリウムである。また架橋剤と触媒との混合物またはブレンドを使用することもできる。
0046
[0050]架橋剤は、固形分に基づき未結合セルロース繊維の架橋の望ましいレベルを達成するのに好適な量で添加される。架橋の望ましいレベルの決定はしばしば、例えば架橋による繊維剛性の増加と毛細管圧の減少との相殺、加えて材料およびエネルギーのコスト、取り扱いの懸念、生産速度などの数々の考察に基づく。架橋剤の量は、質量パーセントを指す「パルプ上の化学物質」(または「COP」)として特徴付けることができる。本開示に係るいくつかの方法は、架橋剤を約2〜14%のCOPで添加することを包含するが、他のCOPレベルおよび/または範囲も本開示の範囲内である。プロセス効率の原理に従って、いくつかの方法において、架橋剤の量は、架橋の望ましいレベルを達成するのに必要な量以下である。
0047
[0051]架橋剤の濃度は、一般的に、水性混合物への架橋剤の添加により得られた混合物の含水量が望ましい範囲を超えて増加しないように選択される。例えば、高分子架橋剤の場合の典型的な濃度範囲は、約5〜50%である。
0048
[0052]一方で、老成前に得られた混合物の含水量を望ましい範囲未満に減少させること(すなわち、乾燥前)も、望ましくない作用を有する可能性がある。いくつかの架橋剤の場合、水の除去は、混合物が粘性になったり、および/または別の意味で操作が難しくなったりする可能性があり、その結果として加工がより遅くなる。この一例は、高分子架橋剤を用いた場合に見られる可能性があり、その場合、水の欠如が重合を開始させて、混合物の固形分を増加させて粘性になる可能性がある。したがって、本発明の開示に係る方法において、架橋剤は、周囲条件で水性混合物に添加され、ここで周囲条件は、本明細書では溶液からの水の損失が最小化される一連の条件(例えば、温度、圧力、空気流、時間など)と定義される。
0049
[0053]架橋剤は、高粘度ミキサー、押出機(または押出機の領域、例えば脱水セクションの下流にある押出機のセクション)、リファイナーなどのあらゆる好適な方式で、未結合セルロース繊維の水性混合物と混合されてもよい。高粘度ミキサーを使用する1つの利点は、一部の実施態様において、高粘度ミキサーは、架橋化学物質を約50%までの固形分で混合物に直接注入することを可能にするだけでなく、ミキサーは、繊維をフラッフィングして、繊維を乾燥させるために準備することも可能にすることである。一旦混合されたら、本発明の開示の方法は、例えば標準的な乾燥用具(例えば、フラッシュドライヤー、ジェットドライヤー、リングドライヤーなど、またはそれらの組合せ)を用いて混合物を約固体85〜100%に乾燥させることを包含する。
0050
[0054]硬化は、架橋剤とセルロースとの化学結合を作り出す化学反応を開始させ継続させることを指す。架橋は、架橋剤に応じて異なる化学反応によって起こる。例えば、ポリアクリル酸およびポリカルボン酸架橋剤は、典型的には、セルロースと反応する場合、エステル化反応を用いた化学物質の架橋を確立する。本発明の開示は、エステル化による架橋反応だけでなく、エーテル化などの他の架橋反応、加えてこのような反応に好適な反応条件によっても進行する方法を包含する。本発明の開示に係る方法は、混合物中の未結合セルロース繊維を架橋するのに有効な条件下で、乾燥させた混合物を硬化することによって進行する。硬化は、従来のアプローチで使用される方法などのあらゆる好適な方法で達成され得る。
0051
[0055]上記で論じられた例示的な方法とそれに含まれる様々な工程、概念、および改変法を考慮して、図1は、本発明の開示の形態に係る架橋されたセルロース組成物を生産するのに好適な、一般的に10で表示されるシステムの例示的な非限定的な実施態様の概略図であることが理解できる。
0052
[0056]システム10は、矢印によって連結される一連のボックスを包含することが図1に示される。説明されるように、ボックスは、システム10の異なる機能的な領域またはユニットを表す。ボックス、加えて用語「ユニット」は、便宜上、各機能的ユニットが、単一の構成要素(例えば機械、機器のピース、用具など)、または1つまたはそれより多くの他の機能的ユニットも取り入れているより大きい構成要素の一部であり得る場合に使用され、または協同してユニットの機能(複数可)を実行する複数の構成要素などを表す場合もある。システム10の様々な機能的ユニットおよび構成要素は、例えば単一の設備(例えばミル)内に共に配置されていてもよいし、または互いに離れて配置されていてもよい。システム10は、実験スケールから工業的/商業的スケールに至るあらゆる好適なスケールであってもよい。矢印は、一般的に、材料または様々な機能的ユニットによって生産または加工された製品の方向を表し、したがって、1つのユニットから、他方のユニット(例えばコンジット、コンベヤーなど)、および/または加工または操作機器の他のピースに材料を輸送するあらゆる好適な手段を表す場合もある。
0053
[0057]システム10は、周囲条件で、約25〜55%の固形分を有する未結合セルロース繊維の水性混合物と架橋剤とから、架橋していない未結合セルロース繊維と架橋剤との実質的に同質の混合物を形成するように設計されている混合ユニット20を包含することが示される。したがって混合ユニット20は、上述したように、例えば、水性繊維混合物および架橋剤が添加される高粘度ミキサーまたはリファイナー、加えて混合物の成分ごとにあらゆる必要な計量および/または送達機器を包含していてもよい。したがって、繊維22および水24は、混合物として提供されてもよく、例えば水性混合物が混合ユニット20の上流で形成され、次いで混合ユニット20中で架橋剤26と混合される実施態様では、例えば望ましい固形分を有する水性混合物として提供されてもよい。上述したように、ハイドラパルパー、押出機、または他の好適な機器などの機器(示されていない)が混合物を生産してもよい。このような混合物は、混合ユニット20に導入する前に、例えば、1つまたはそれより多くのピンミル、スクリュープレス、リファイナー、ランプブレーカー、サージビンまたはホッパー、コンベヤーなどの脱水、加工および/または操作機器の1つまたはそれより多くのピース(示されていない)を通過させてもよい。
0054
[0058]任意選択で、一部の実施態様において、混合ユニット20は、このような機器を取り入れていてもよく、さらに、例えば水性混合物が生産され、次いで架橋剤26と混合されるように、別々の材料として繊維22および水24を受け入れるように設計されていてもよい。このような実施態様において、混合ユニットは、上述したような水性混合物を形成するように設計されている第一のゾーン(別々に示されていない)、および水性混合物と架橋剤の両方を受け取り、実質的に同質の混合物を形成するように設計されている第二のゾーン(別々に示されていない)を包含することを特徴とする場合もある。このような実施態様の一例として、第一および第二のゾーンは、2つの連続する押出機の領域であってもよい。水性混合物が例えば低い固形分で生産され、次いで架橋化学物質と混合するために望ましい固形分まで脱水される実施態様において、混合ユニット20は、例えば脱水装置からハイドラパルパーへの水の再利用/再生ループを包含していてもよい。
0055
[0059]混合ユニットは、要求に応じて、周囲条件下で、すなわち、溶液からの水の損失が最小化される、温度、圧力、空気流、時間などのプロセス条件下で、上述したように1種またはそれより多くの架橋化学物質および/または触媒を包含し得る水性繊維混合物を、架橋剤と混合するように設計されている。用語「実質的に同質の」は、セルロース繊維、水、および架橋剤の混合物を説明するのに使用される場合、乾燥され硬化されるときに、各繊維全体にわたりばらつきがなく一様の架橋が形成されるように、架橋剤が繊維中に十分によく分散されていることを表す。上述したように、混合ユニットはまた、例えば混合ユニットが高粘度ミキサーを包含する実施態様において、混合物中で繊維をフラッフィングする(すなわち、増加した嵩密度を付与する)ことも可能である。任意選択で、混合ユニットは、乾燥前に混合物をフラッフィングする他の機器を包含していてもよい。
0056
[0060]混合ユニット20の下流は、混合ユニットからの混合物を受け取り、混合物を固体85〜100%に乾燥させるように設計されている乾燥ユニット30である。したがって、乾燥ユニット30は、1つまたはそれより多くの乾燥装置、例えば1つまたはそれより多くのオーブン、フロートドライヤー、ドラムドライヤー、フラッシュドライヤー、ジェットドライヤーなどを包含していてもよい。一部の実施態様において、乾燥ユニット30は、硬化温度まで、または硬化温度近くまで繊維を昇温してもよい。
0057
[0061]最終的に、乾燥させた繊維は、架橋剤を硬化するように設計されている硬化ユニット40に受け取られ、それにより乾燥され架橋されたセルロース繊維が形成される。したがって硬化ユニットは、追加の乾燥装置、オーブンなどを取り入れていてもよい。一部の実施態様において、乾燥ユニットおよび/または硬化ユニットは、例えば設定された温度および/または時間で繊維を平衡化させるためのホールド領域を取り入れていてもよく、またはこのような平衡化は、1つの機能的ユニットから次の機能的ユニットに繊維を輸送するときに行ってもよい。一部の実施態様は、硬化機器から乾燥機器への空気/熱の再利用/再生ループを包含していてもよい。
0058
[0062]架橋された繊維が形成されたら、繊維は硬化ユニット40を出て、一般的に50で表示される様々な後処理プロセスに供されてもよく、このような後処理プロセスとしては、例えば再湿潤化とそれに続くベール梱包を包含し得る標準的な方法に従ってベール梱包することによって、例えば出荷または貯蔵のために繊維を準備するためのプロセスなどが挙げられる。
0059
[0063]架橋されたセルロース組成物の吸収特性(例えば湿潤状態での嵩、吸い上げ時間(wick time)、吸い上げ速度(wick rate)、吸収能など)は、自動繊維吸収品質(Automatic Fiber Absorption Quality;AFAQ)分析器(ウェアーハウザー社、ワシントン州フェデラルウェイ)を使用して決定され得る。以下の段落で、標準的な試験手順を説明する。
0060
[0064]4グラムのパルプ組成物のサンプル(50%RHおよび73°F(23℃)で少なくとも4時間調整された)をピンミルに通過させてパルプをほぐし、次いでチューブにエアレイドする。チューブをAFAQ分析器に置く。次いでプランジャーを0.6kPaの圧力でエアレイドフラッフパッドに降ろす。パッドの高さを測定し、パッドの高さからパッドの嵩(またはサンプルによって占められる体積)を決定する。重量を増加させて2.5kPaの圧力を達成し、嵩を再計算する。結果は、2種の異なる圧力における乾燥フラッフパルプでの2つの嵩の測定である。
0061
[0065]増加する圧力のプランジャーの下で、水がチューブの底部に(パッドの底部に)に導入され、水がパッドを介して上方へ吸い上げられてプランジャーに到達するのに必要な時間が測定される。これから、吸い上げ時間および吸い上げ速度を決定することができる。2.5kPaにおける湿潤パッドの嵩も計算することができる。次いでチューブからプランジャーを引き抜き、湿潤パッドをそのまま60秒間膨張させる。一般的に、サンプルの弾性が高ければ高いほど、サンプルはより大きく膨張してその湿潤した静止状態に到達すると予想される。膨張したら、この弾性は、湿潤パッドにプランジャーを0.6kPaで再度適用し、嵩を決定することによって測定される。0.6kPaにおける湿潤パッドの最終的な嵩は、パルプ組成物の「0.6kPaにおける湿潤状態での嵩」(cm3/gで示され、これは、0.6kPaのプランジャー負荷における湿潤パッド重量当たりの湿潤パッドによって占められた体積を表示する)とみなされる。吸収能(または「AFAQキャパシティ」)は、機器から水を排出した後に湿潤パッドの重さを量ることによって計算してもよく、乾燥したパルプ1グラム当たりの水のグラムとして報告される。
0062
[0066]繊維サンプルの最大取り込み(「MUP」)もキャパシティタイプの値であるが、異なる負荷で測定された場合である。細孔容積および孔径分布を決定するために、多孔質材料サンプルの毛細管圧の測定は、TRI/自動ポロシメーター(ニュージャージー州プリンストンのTRI/プリンストン社(TRI/Princeton Inc.))でなされる(例えば、EP2407133A1を参照;さらに、The Journal of Colloid and Interface Science、162巻、1号(1994年1月)、163〜170頁も参照;両方の開示は参照により本明細書に組み入れられる)。本出願で使用されるように、飽和の関数として材料の毛細管圧のヒステリシス曲線を決定することは、周囲空気の圧力が変化するにつれて多孔質材料に入る液体の増加量を記録することを含む。試験チャンバー中のサンプルは、平衡状態(それ以上液体の取り込み/放出がない状態)における毛細管圧に相当する正確に制御された空気圧変化に晒される。この機器は、圧力を減少させて(孔径を増加させて)液体を吸収するか、または圧力を増加させて(孔径を減少させて)液体を排出するかのいずれかによって、使用者指定の増加量で試験チャンバーの空気圧を変化させることによって作動する。吸収された(排出された)液体の体積が、各圧力増加量でのバランスと共に測定される。
0063
[0067]標準的な試験手順は、23℃±2℃(73°F)および50%±5%の相対湿度で行われる。試験は、0.9%食塩水を使用して実行される。表面張力(mN/m)、接触角(°)、および密度(g/cc)は、当業界において公知のあらゆる方法によって決定され、計器のソフトウェアに提供される(この場合、使用される値はそれぞれ72、0、および1である)。バランスを156.7gに合わせ、平衡速度を90mg/分に設定する。方程式R=2ycosθ/Δpに従って毛細管圧をスキャンするための孔半径プロトコール(毛細管圧工程に相当)を設定し、ここでRは孔半径であり、yは表面張力であり、θは接触角であり、Δpは毛細管圧である。例えば、第一の吸収の場合の孔半径(R)工程の設定(圧力は減少する)は、25、74、98、108、120、136、156、184、245、368、735、1470、2940であり、脱離の場合(圧力は増加する)は、1470、735、490、368、147、82、65、54、47、42、25である。0.5gのサンプルを直径52mmの丸い試料に切断し、次いで試験前に最低4時間にわたり23℃±2℃(73°F)および相対湿度50%±5%で調整する。重量を±0.0001まで測定し、試料を、膜(MF(商標)セルロースニトレートメンブレンフィルタータイプ8.0ミクロンSCWP、メルクミリポア社(Merck Millipore Ltd.)、コーク、アイルランドより入手可能)の中心に置く。サンプル上に望ましい負荷(0.2psiまたは1.38kPa)を加え、チャンバーを閉じる。計器によって適切な空気圧をセルにかけた後、バランスへの液体の自由な動きを許容する液体バルブを開け、半径プロトコール下での試験を始める。1回の吸収/脱離サイクルにより計器を稼働させる。同様の様式でブランク(サンプル試料なし)を実行する。
0064
[0068]ブランク実行からの質量の取り込み値は、目的の孔半径(圧力)それぞれにおけるサンプルの取り込み値から直接差し引かれる。最大取り込みは、サンプルによって吸収された液体の最大値であり、これは最も低い圧力に相当する。各毛細管圧工程における飽和は、液体の取り込みから以下のようにして自動的に計算される:S=ml/mlmax(ここでS=飽和、ml=圧力工程における液体の取り込み(mL)、およびmlmax=最大の液体の取り込み(mL)である)。圧力は、水のcmおよび飽和%で報告される。第一の吸収曲線および脱離曲線からのデータを使用する。100%の飽和でサンプルによって吸収された液体が、最大取り込みである。計器によって提供された液体の最大取り込み(mL)を液体密度で割って、液体重量をグラムで提供する。最大取り込み(グラム)を乾燥サンプル重量(グラム)で割って、g/gで報告された値を得る。
0065
[0069]上述の実施例の実施態様は、あらゆる数の好適な適用方法、加えてそれらの組合せを例示しており、これら全ては、本発明の開示に包含されることが理解される。
[0070]以下の実施例は、代表的な非限定的な実施態様、ならびに上記で論じられた方法および概念に従った架橋されたセルロース製品を形成する方法を要約するが、実際には例示的なものである。試薬の量、時間、条件、および他のプロセス条件は、以下の実施例で開示された具体的な代表的手順では、本発明の開示の範囲から逸脱せずに開示されたものから変更される場合がある。
0066
[0071]実施例1(ラボスケール、PAAおよび種々の繊維固形分)
[0072]サザンパイン繊維(CF416、ウェアーハウザーNR社)を実験室用パルパーで1000g(OD)のバッチでスラッシングし、次いで実験室用遠心分離機で脱水した。脱水した繊維を、実験室用ピンミルを使用してより小さい繊維束に分解した。繊維の固形分を測定し、次いで、コンベヤーを介して試験に望ましい量の繊維をホッパーにフィードした。ホッパー底部のスクリューにより、従来の精製プレート(C2976)を垂直の配置で備え、あらゆる繊維の切断が最小化されるようにギャップを設定した(一般的に0.050インチ〜0.300インチ)実験室用スプラウト型リファイナーに繊維をフィードした。20%の固形分での架橋化学物質(ポリアクリル酸(「PAA」)ポリマー)を、繊維がリファイナーに入る直前に、スクリューの端部に配置された化学物質のポートを介して適用した。繊維を固定速度で送った。化学物質のポンプ速度を変えて、必要な化学物質の添加レベルを達成した。処理された繊維はリファイナーを出てプラスチックビーカーに送られた。フルイドエネルギー4”サーマルジェット(Fluid Energy 4”ThermaJet、商標)ジェットドライヤー中で、356°F(180℃)の目的とする入口温度で繊維を乾燥させた。乾燥させた繊維を室温で平衡化し、その後、370°F(187.8℃)で5分間硬化した。
0067
[0073]サンプルを市販の対照(CMC530、ウェアーハウザーNR社より入手可能)と比較した同じ化学物質の投入量および硬化条件下で、ただし従来の方法に従って調製された。表1に、代表的なサンプルとそれらの対応する一定COPでのAFAQキャパシティの結果を示す(サンプルUCは、未処理対照を表し、サンプルCC−PAAは、PAAを使用した市販の対照を表す)。表1は、高固体で有効な架橋が達成されただけでなく、本発明の開示の高固体方法に従って調製されたサンプルのAFAQキャパシティは、意外なことに従来の方法に従って調製されたサンプルと比較してより優れていることを示す。
0068
0069
[0074]実施例2(ラボスケール、クエン酸)
[0075]架橋剤として18%ポリカルボン酸(クエン酸)溶液を使用して、実施例1のプロセスに従った。繊維の平均固形分は43.3%であった。硬化条件は、340°F(171.1℃)で5分間であった。代表的なサンプルのAFAQキャパシティの結果を、表2に記載の未処理対照(サンプルCC−クエン酸は、クエン酸架橋剤を使用した市販の対照を表す)と共に同じクエン酸架橋剤を使用した市販の対照(CMC520、ウェアーハウザーNR社より入手可能)と比較する。ここでも本発明の開示の高固体方法に従って調製されたサンプル2のAFAQキャパシティは、意外なことに市販の対照と比較してより大きい。
0070
0071
[0076]実施例3(ラボスケール、種々のPAA固形分)
[0077]繊維の投入される固形分を一定に保ちながらポリアクリル酸架橋剤の投入される固形分の範囲16.8〜40%全体にわたり実施例1のプロセスを行った。各サンプルにつき、数々のレベルの架橋剤を適用した。性能を評価するために、2つのキャパシティ方法(最大取り込みまたは「MUP」、およびAFAQキャパシティ)間の関係を比較した。全てのサンプルにつき、最初の溶液強度または架橋剤に関係なく同じ関係が適用されることが観察された。
0072
[0078]図2は、一般的に、実施例3で説明されるようにして(すなわち、約2〜14%のCOP範囲にわたりPAA架橋剤を用いて)調製された数々のサンプルのAFAQキャパシティ(x軸において左から右へ増加する)と0.3psi(2.07kPa)の負荷におけるMUPキャパシティ(y軸において下から上に増加する)との相関を示すグラフであり、さらに、実施例2で説明されるようにして(すなわち、18%クエン酸架橋剤、類似のCOP範囲を用いて)調製されたサンプル、加えて実験対照も包含する。
0073
[0079]実施例4(ラボスケール、別のプロセス設計)
[0080]サザンパイン繊維(CF416、ウェアーハウザーNR社)を実験室用パルパーで1000g(OD)のバッチでスラッシングし、次いで実験室用遠心分離機で脱水した。脱水した繊維を、実験室用ピンミルを使用してより小さい繊維束に分解した。繊維の固形分は、43.8%であると測定された。この繊維をコンベヤーを介してホッパーにフィードした。ホッパー底部のスクリューにより、「デビルトゥース」混合プレート(C2975A)を備え、あらゆる繊維の切断が最小化されるようにギャップを設定した実験室用スプラウト型リファイナーに繊維をフィードした。20%の固形分でのPAA架橋化学物質を、繊維がリファイナーに入る直前に、スクリューの端部に配置された化学物質のポートを介して適用した。化学物質を固定速度で送った。コンベヤー速度を変えて目的とする繊維フィード速度を達成して、必要な化学物質の投入量を供給した。処理された繊維はリファイナーを出てプラスチックバケツに送られた。フルイドエネルギープロセシング&イクイップメント社(Fluid Energy Processing & Equipment Company)の4”サーマルジェット(商標)ドライヤー中で、356°F(180℃)の目的とする入口温度で繊維を乾燥させた。乾燥させた繊維を室温で平衡化し、その後、370°F(187.8℃)で5分間硬化した。
0074
[0081]製品を、同じ化学物質の投入量および硬化条件下で調製された市販の対照(CMC530)と比較した。表3に結果を示し、ここでサンプル4は製品を表し、サンプル1Dデータは、比較のためにも包含される。
0075
0076
[0082]実施例5(パイロットスケール)
[0083]実施例1のプロセスに従ったプロセスを使用したパイロット規模の試験を行った。サザンパイン繊維(CF416、ウェアーハウザーNR社)をパイロットパルパー(ブラッククローソン(Black Clawson)の容量300ガロン)中でスラッシングし、次いで脱水のために市販のスクリュープレス(プレステクノロジーアンドマニュファクチュアリング社(Press Technology and Manufacturing Inc)、モデル08L200)にフィードした。スクリュープレスからの繊維塊を回転式ピンミルによって粉砕した。繊維の固形分は、41.6%であると測定された。繊維を、6インチのスクリューを有する容量式フィーダーに入れた。計量された繊維をコンベヤーに落とし、コンベヤーから、あらゆる繊維の切断が最小化されるようにギャップを設定した水平の配置のC2975Aミキサープレートを使用して高濃度(「HC」)ミキサーの入口(アンドリッツ(Andritz)製造)に繊維が投入された。架橋化学物質(22.3%PAA溶液)を注入ポートを介してミキサーの入口にポンプ注入した。必要な化学物質の添加レベルがもたらされるように化学物質のフィード速度を調整した。処理された繊維は市販のミキサーを出てドラムに送られ、次いでフルイドエネルギープロセシング&イクイップメント社の4”サーマルジェット(商標)ドライヤー中で乾燥させた。乾燥させた繊維を室温で平衡化し、その後、380°F(193.3℃)で8分間硬化した。パイロット規模の検査の性能は、表4に示したように、同じ目的とする化学物質の投入量および硬化条件での実験室レベルの結果と同等であった。
0077
0078
[0084]実施例6(ラボスケール、種々のCOP)
[0085]20%PAAを使用して、架橋化学物質の添加レベルの範囲全体にわたり実施例1のプロセスを行った。図3で示されたように、約2〜14%の範囲にわたるこのような繊維のAFAQキャパシティが、類似の条件(試薬の量、時間など)下における商業的な方法に従って生産された架橋されたセルロース繊維全体で改善されたことが見出された。実施例1に従って調製されたサンプルは、「新しいプロセス」のデータポイントと表示され、それに対して商業的な方法によって調製されたサンプルは、「現行プロセス」のデータポイントと表示される。
0079
[0086]図4は、PAA架橋剤(架橋剤の固形分の範囲にわたり)とクエン酸架橋剤の両方を用いて試験された範囲全体にわたり、COPが増加するにつれてAFAQキャパシティも増加する(y軸において下から上に増加する)という一般的な傾向を示す。
0080
[0087]実施例7a(別のパルプ)
[0088]ウェアーハウザーから得られたまだ乾燥させていないダグラスファーの湿潤ラップをスラッシングし、脱水し、加工し、20%でPAAと混合して、実施例6のプロセスに従って乾燥および硬化した。従来のプロセスは1回乾燥させたパルプシートを使用するため、従来のプロセスに従ったサンプルは、湿潤ラップ(これは、乾燥履歴のないパルプである)を用いて調製されなかった。結果(表5に示される代表的なサンプル)は、湿潤ラップから形成された架橋された繊維の好都合なAFAQキャパシティを示した。
0081
0082
[0089]実施例7b(代替パルプ)
[0090]ユーカリパルプ(漂白ユーカリクラフトパルプ、フィブリアベラセル工場(Fibria Veracel mill)、ブラジルより入手可能)を実施例4のプロセスに従って加工した。表6に、代表的なサンプル(サンプル7−EUCはユーカリを表し、サンプルUC−EUCは未処理ユーカリを表す)を示す。比較のために、表6は、市販の対照(CMC530、サンプルCC−PAAと表示される)、およびCF416から調製され、サンプル7−EUCと同じCOPで同じ方法に従って架橋された実験対照(サンプルLC−PAAと表示される)に関するデータも包含する。
0083
0084
[0091]表6は、ユーカリパルプで有効な架橋が達成されただけでなく、それらのAFAQキャパシティが、慣例的に生産されたサザンパイン架橋のAFAQキャパシティを超えたことを示す。
0085
[0092]ユーカリ繊維の場合にCOPレベルを変化させて数々のサンプルを調製した。図5は、本発明の開示の方法に従って架橋されたユーカリ繊維(図5では「ユーカリ」と表示される)のAFAQキャパシティが、サンプルのCOP範囲にわたり、従来の架橋方法に従って生産されたサザンパインクラフトパルプ(図5では「サザンパイン」と表示される)のAFAQキャパシティより優れていたことを示すグラフである。
実施例
0086
[0093]前述の操作上の原理ならびに例示された実施例および実施態様を参照しながら本発明を示し、説明したが、本発明の本質および範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な変化を施すことが可能であることは、当業者には明らかであると予想される。本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるこのような全ての代替物、改変および多様性を包含することが意図される。
0087
10 システム
20混合ユニット
22 繊維
24 水
26架橋剤
30乾燥ユニット
40硬化ユニット
50 後処理