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課題・解決手段

本発明は、ヒト又は動物組織インビトロで培養又は増殖する(2、2’)方法に関する。本方法は、ヒト又は動物の組織試料を得ること;試料の組織を小型化すること(21、21’);足場又はヒドロゲル上に小型化した組織を置くことによってアセンブリを生成すること(22、22’);3D灌流システム培養チャンバ内にアセンブリを配置すること(23、23’);及び、3D灌流システム内でアセンブリを所定の時間、灌流すること(24、24’)を含む。本発明に従った方法は、灌流したバイオリアクターシステムを使用する高効率のインビトロ培養のために、インビトロのフレッシュ組織検体を調製し、かつ直接培養することを可能にする。組織の単細胞は、大抵の場合、微細環境シグナル欠落に起因して、インビトロでの細胞死被ることから、細胞集塊及び数百細胞の組織断片を含む小型化組織の使用は、インビトロでの細胞死を防ぎ、かつ、上皮間質及び免疫細胞などの特定の細胞型からなる初期不均一組織微小環境を維持するために役立ちうる。よって、本発明に従った方法は、全組織を経時的に効率的に培養することができ、よって、元来の細胞型の生存を可能にする。

概要

背景

近年、単層細胞培養の欠点を証明する科学的根拠を発端として、三次元(3D)環境における細胞の培養を可能にする技術が開発されている。これらの技術は、細胞を播種することができるが、細胞クラスター組織又は組織様構造、生検及び類似のものも含まれうる、適切な多孔性生体材料、すなわち足場の使用を含む。例えば、結腸直腸がんなどの上皮腫由来腫瘍検体インビトロでの静置培養確立されており、非常に限られた範囲内ではあるものの、一次組織生存及び増殖を可能にする。

結果として、これらの技術に伴う特定のニーズに応じて、ツールが利用可能になっている。これらのツールの中でもとりわけ、バイオリアクターは、3Dでの細胞培養に適した、制御された化学物理的環境を提供する。特に、灌流バイオリアクターは、静置培養の典型的な制限を克服するのに有効であることを示している。これらの制限としては、足場を通じた均一な細胞播種の欠如、特に足場の中心部分における限定された物質輸送、すなわち栄養素の供給及び老廃物の除去が含まれる。

この意味において、国際公開第2013/182574号(A1)は、効率的なヒト又は動物組織細胞培養内での簡易的な操作及び取り扱いを可能にする3D灌流バイオリアクター及びシステム提示している。他を超越して、栄養素利用性及び酸素供給は、このような3D灌流バイオリアクターシステムを使用することによって増大させることができる。

しかしながら、前臨床研究に幅広く用いられているがん細胞株などの特定の細胞株は、それらが由来する(腫瘍)組織の不均一性をごくわずかにしか反映しない。それらは遺伝学的にほとんど同種であり、幾つかの限定的な形態学的不均一性を伴っており、数十年に及ぶインビトロでの培養を通じてプラスチックの皿に適合されている。最近の研究は、通常使用される卵巣がん細胞株の試料コピー数の変化、突然変異及びmRNA発現プロファイルを、高悪性度漿液性卵巣がん腫瘍試料のものと比較した。驚くほどに、この事例においてほとんど使用されない細胞株のほうが、通常使用される細胞株よりも同族腫瘍プロファイルが酷似していた。この理由から、細胞株ベースの研究をそれらに対応する患者移行することは、必ずしも簡単に行えるとは限らない。

腫瘍微小環境は、例えば間質細胞及び免疫細胞などの細胞成分、並びに、例えば細胞外マトリックス成分などの非細胞成分で構成される。インビボでのこれらの悪性侵襲性細胞の増殖について特徴付けたとしても、ほとんどのがん細胞は、インビボならびにインビトロでの持続的増殖についてそれらの因子に強く依存する。間質及び免疫細胞は腫瘍増殖パターンに多大な影響を及ぼす。

結腸直腸がんとの関連では、細胞−細胞間接触の保持が一次結腸直腸がん検体に由来する腫瘍細胞スフェロイド生成効率を増大させることが示されている。したがって、ニッチ依存性シグナルの提供は、腫瘍細胞にとって重要でありうる。

他方では、腫瘍材料利用可能性の制限を克服するために、腫瘍組織の皮下移植の際に生じる患者由来異種移植(PDX)モデルが提案されている。報告された効率は腫瘍の種類に応じて決まり、結腸直腸がんでは約68%である。腫瘍増殖は1〜2か月後に観察することができる。研究は、生成した腫瘍が、それらが由来する一次腫瘍よりも転移性病変のほうにより対応していることを示している。

スフェロイド細胞培養由来及び患者由来の異種移植の両方について、上皮細胞画分のみが生存かつ増殖することから、初発腫瘍の微小環境の不均一性は経時とともに失われる。PDXの場合には、ヒト間質細胞はマウス間質細胞に置換される。したがって、初期組成は大幅に変化する。

したがって、間質及び上皮の両成分のような関連する細胞型を含む、全腫瘍組織の経時的な生存を可能にする培養システム又は培養方法が必要である。

概要

本発明は、ヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する(2、2’)方法に関する。本方法は、ヒト又は動物の組織試料を得ること;試料の組織を小型化すること(21、21’);足場又はヒドロゲル上に小型化した組織を置くことによってアセンブリを生成すること(22、22’);3D灌流システム培養チャンバ内にアセンブリを配置すること(23、23’);及び、3D灌流システム内でアセンブリを所定の時間、灌流すること(24、24’)を含む。本発明に従った方法は、灌流したバイオリアクターシステムを使用する高効率のインビトロ培養のために、インビトロのフレッシュ組織検体を調製し、かつ直接培養することを可能にする。組織の単細胞は、大抵の場合、微細環境シグナルの欠落に起因して、インビトロでの細胞死被ることから、細胞集塊及び数百細胞の組織断片を含む小型化組織の使用は、インビトロでの細胞死を防ぎ、かつ、上皮、間質及び免疫細胞などの特定の細胞型からなる初期の不均一組織微小環境を維持するために役立ちうる。よって、本発明に従った方法は、全組織を経時的に効率的に培養することができ、よって、元来の細胞型の生存を可能にする。

目的

これらのツールの中でもとりわけ、バイオリアクターは、3Dでの細胞培養に適した、制御された化学物理的環境を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ヒト又は動物組織インビトロで培養又は増殖する方法(2、2’)であって、ヒト又は動物の組織試料を得ること;試料の組織を小型化すること(21、21’);足場又はヒドロゲル上に小型化した組織を置くことによってアセンブリを生成すること(22、22’);3D灌流システム培養チャンバの内部にアセンブリを配置すること(23、23’);及びアセンブリを3D灌流システム内で所定の時間、灌流すること(24、24’)を含む方法。

請求項2

組織を小型化することが、組織を機械的に前処理することを含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

組織を小型化することが、組織を酵素的に前処理することを含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

アセンブリを生成する前に組織を清浄化することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

組織を清浄化することが、組織を洗浄することを含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

組織を清浄化することが、防腐処理を含む、請求項4又は5に記載の方法。

請求項7

アセンブリを生成することが、足場又はヒドロゲルの一方の側に格子を配置し、足場又はヒドロゲルの他方の側にさらなる格子を配置することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

アセンブリを生成することが、アセンブリがサンドイッチアセンブリになるように、小型化した組織を2つの足場の間に置くことを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

3D灌流システムの内部でアセンブリが直接灌流される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

3D灌流システムの内部でアセンブリを灌流することが、交互の方向で適用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

足場が細胞外マトリックスタンパク質コーティングされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

腫瘍又はがん治療効性試験する方法であって、患者の腫瘍又はがんから組織を得ること;請求項1から11のいずれか一項に記載の方法で組織を培養すること(1);組織に処理を施すこと(2);組織をモニタリングすること(3);及びモニタリングされた組織を評価すること(4)を含む方法。

請求項13

患者の腫瘍又はがんからさらなる組織を得ること;請求項1から12のいずれか一項に記載の方法においてさらなる組織を培養すること(1’);さらなる組織に第2の処理を施すこと(2’);さらなる組織をモニタリングすること(3);及びモニタリングされた組織及びさらなる組織を評価することによって第1の処理又は第2の処理を選択すること(4)をさらに含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

第1の処理が組織への第1の物質の提供を含み、第2の処理がさらなる組織への第2の物質の提供を含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

第1の処理が第1の投与レジメンを含み、第2の処理が第2の投与レジメンを含む、請求項13又は14に記載の方法。

請求項16

請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において腫瘍組織を所定の時間、培養することを含む、ヒト又は動物の腫瘍組織に由来する細胞型細胞富化する方法。

請求項17

腫瘍組織から前記細胞型の細胞を単離することをさらに含む、請求項16に記載の方法。

請求項18

複数の潅流媒体を前記細胞型の細胞の増殖能に関して比較すること;それらの能力を考慮して複数の潅流媒体から一の潅流媒体を特定すること;及び3D灌流システムにおいてサンドイッチアセンブリを灌流するための好ましい潅流媒体を選択することを含む、請求項16又は17に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、ヒト又は動物組織インビトロで培養又は増殖する方法、このような培養又は増殖方法を使用して腫瘍又はがん治療効性試験する方法、及びこのような培養又は増殖方法を使用してヒト又は動物の腫瘍組織由来するある細胞型細胞富化する方法に関する。

背景技術

0002

近年、単層細胞培養の欠点を証明する科学的根拠を発端として、三次元(3D)環境における細胞の培養を可能にする技術が開発されている。これらの技術は、細胞を播種することができるが、細胞クラスター、組織又は組織様構造、生検及び類似のものも含まれうる、適切な多孔性生体材料、すなわち足場の使用を含む。例えば、結腸直腸がんなどの上皮腫瘍由来の腫瘍検体のインビトロでの静置培養確立されており、非常に限られた範囲内ではあるものの、一次組織生存及び増殖を可能にする。

0003

結果として、これらの技術に伴う特定のニーズに応じて、ツールが利用可能になっている。これらのツールの中でもとりわけ、バイオリアクターは、3Dでの細胞培養に適した、制御された化学物理的環境を提供する。特に、灌流バイオリアクターは、静置培養の典型的な制限を克服するのに有効であることを示している。これらの制限としては、足場を通じた均一な細胞播種の欠如、特に足場の中心部分における限定された物質輸送、すなわち栄養素の供給及び老廃物の除去が含まれる。

0004

この意味において、国際公開第2013/182574号(A1)は、効率的なヒト又は動物の組織細胞培養内での簡易的な操作及び取り扱いを可能にする3D灌流バイオリアクター及びシステム提示している。他を超越して、栄養素利用性及び酸素供給は、このような3D灌流バイオリアクターシステムを使用することによって増大させることができる。

0005

しかしながら、前臨床研究に幅広く用いられているがん細胞株などの特定の細胞株は、それらが由来する(腫瘍)組織の不均一性をごくわずかにしか反映しない。それらは遺伝学的にほとんど同種であり、幾つかの限定的な形態学的不均一性を伴っており、数十年に及ぶインビトロでの培養を通じてプラスチックの皿に適合されている。最近の研究は、通常使用される卵巣がん細胞株の試料コピー数の変化、突然変異及びmRNA発現プロファイルを、高悪性度漿液性卵巣がん腫瘍試料のものと比較した。驚くほどに、この事例においてほとんど使用されない細胞株のほうが、通常使用される細胞株よりも同族腫瘍プロファイルが酷似していた。この理由から、細胞株ベースの研究をそれらに対応する患者移行することは、必ずしも簡単に行えるとは限らない。

0006

腫瘍微小環境は、例えば間質細胞及び免疫細胞などの細胞成分、並びに、例えば細胞外マトリックス成分などの非細胞成分で構成される。インビボでのこれらの悪性侵襲性細胞の増殖について特徴付けたとしても、ほとんどのがん細胞は、インビボならびにインビトロでの持続的増殖についてそれらの因子に強く依存する。間質及び免疫細胞は腫瘍増殖パターンに多大な影響を及ぼす。

0007

結腸直腸がんとの関連では、細胞−細胞間接触の保持が一次結腸直腸がん検体に由来する腫瘍細胞スフェロイド生成効率を増大させることが示されている。したがって、ニッチ依存性シグナルの提供は、腫瘍細胞にとって重要でありうる。

0008

他方では、腫瘍材料利用可能性の制限を克服するために、腫瘍組織の皮下移植の際に生じる患者由来異種移植(PDX)モデルが提案されている。報告された効率は腫瘍の種類に応じて決まり、結腸直腸がんでは約68%である。腫瘍増殖は1〜2か月後に観察することができる。研究は、生成した腫瘍が、それらが由来する一次腫瘍よりも転移性病変のほうにより対応していることを示している。

0009

スフェロイド細胞培養由来及び患者由来の異種移植の両方について、上皮細胞画分のみが生存かつ増殖することから、初発腫瘍の微小環境の不均一性は経時とともに失われる。PDXの場合には、ヒト間質細胞はマウス間質細胞に置換される。したがって、初期組成は大幅に変化する。

0010

したがって、間質及び上皮の両成分のような関連する細胞型を含む、全腫瘍組織の経時的な生存を可能にする培養システム又は培養方法が必要である。

0011

本発明によれば、この要求は、独立請求項1の特徴によって定義されるヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法によって、独立請求項11の特徴によって定義される腫瘍又はがんの治療有効性を試験する方法によって、及び独立請求項14の特徴によって定義されるヒト又は動物の腫瘍組織に由来するある細胞型の細胞を富化する方法によって解決される。好ましい実施態様は従属請求項の対象である。

0012

特に、本発明は、ヒト又は動物の組織試料を得ること;試料の組織を小型化すること;足場上に小型化した組織を置くことによってアセンブリを生成すること;3D灌流システム培養チャンバ内にアセンブリを配置すること;及び、3D灌流システム内でアセンブリを所定の時間、灌流することを含む、ヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法に取り組む。

0013

ヒト又は動物の組織は、がん組織、特に結腸直腸がん組織でありうる。さらには、組織は、膠芽細胞腫組織、メラノーマ組織、膀胱がん組織、前立腺がん組織、乳がん組織又は任意の他の腫瘍組織でありうる。

0014

3D灌流システムは、特に、国際公開第2013/182574号(A1)に記載されるバイオリアクターなどの3D灌流バイオリアクターでありうる。

0015

本明細書で用いられる用語「小型化」は、特に、組織の前消化及び/又は機械的処理に関しうる。消化又は小型化された組織は、細胞集塊及び、十から数百細胞など、複数の細胞の組織断片でありうる。組織塊又は細胞集塊は、例えば、1mm×1mmなど、約0.5mmから約2mmの寸法を有しうる。よって、組織の小型化は、細胞集塊及び/又は組織断片を提供すること、又は組織を断片化することに関しうる。

0016

足場は、任意の適切な天然由来の又は合成の材料で作ることができる。例えば足場は、増殖及び取り扱いに関して比較的効率的でありうる、ポリエチレン又は、特にコラーゲンから作ることができる。足場は、細胞外マトリックスタンパク質(例えばマトリゲル等)を用いて、又は用いずにコーティングすることができ、及び/又は、適切な細胞起源(例えば間質細胞等)とともに前培養することができる。さらには、足場は、バイオリアクターの培養チャンバの形状に適合する形状で提供することもできる。例えば、3D灌流システムの円筒状の培養チャンバでは、足場は好ましくは円盤の形状でありうる。

0017

バイオリアクター内でのアセンブリの灌流では、血清を含まない培地、又は、例えば、ヒト又は動物の血清、患者由来の血漿プールされたヒト血清ウシ胎児血清又はこれらの組み合わせからなる血清を含む培地の群から選択されうる培地を使用することができる。以前のデータから分かるように、ウシ胎児血清(FCS)は間質細胞の増殖を優先的に促進するのに対し、自己及びヒト血清は間質及び上皮細胞の両方の増殖を促進することから、自己及びヒト血清が好ましい場合がある。自己血清(AS)は、腫瘍組織に関連する患者から抗凝血剤を添加せずにシリンジ全血試料回収すること;4℃で30分間、2600gで血液を遠心分離すること;及び、ASとして定義される上清を回収することによって調製することができる。自己血漿(aHP)は、同一の手順だが抗凝血剤(ヘパリン又はEDTAなど)を使用して血液を回収することによって、得ることができる。

0018

本発明に従った方法は、3D灌流システムにおける直接灌流によって、例えば結腸直腸がん細胞株の、全組織量の数倍に組織を増加可能にする。形態学的特徴及び全ゲノム発現に基づけば、生成された組織様構造は、腫瘍などのインビボで生成された組織のほうにより近い場合がある。さらには、薬剤処理に対するそれらの感受性又は耐性は異種移植のものと類似しており、例えばネオアジュバントで処理した結腸直腸がん試料の感受性又は耐性にさえも類似している。したがって、3D灌流システムは、初発腫瘍組織の重要な機能を保持することができる。小さい組織塊、すなわち小型化した組織を使用することにより、初発腫瘍の微小環境組成を維持することができ、足場を取り囲む組織又はその近くの組織の統合を可能にする。

0019

本発明に従った方法は、灌流バイオリアクターシステム、すなわち3D灌流システムを使用する高効率のインビトロでの培養のための、結腸直腸がん腫瘍検体などのインビトロのフレッシュ組織検体を調製、かつ直接培養することを可能にする。組織の単細胞は、大抵の場合、微小環境シグナルの欠落に起因して、細胞死被ることから、細胞集塊及び数百細胞の組織断片を含む小型化組織の使用は、インビトロでの細胞死を防ぐのみならず、上皮、間質及び免疫細胞などの特定の細胞型からなる初期の不均一組織微小環境を維持するために役立ちうる。

0020

よって、本発明に従った方法は、腫瘍組織全体を経時的に効率的に培養することができる。本方法は、初発腫瘍の間質及び上皮の両部分など、全ての元来の細胞型の生存の増加を可能にする。

0021

好ましくは、組織の小型化は組織を機械的に前処理することを含む。このような機械的前処理は、切断、ミンチ、剪断又は同様のもの、及びこれらの組み合わせでありうる。このように、組織は、効率的に小型化することができる。あるいは又は加えて、組織の小型化は、好ましくは組織を酵素的に前処理することを含む。これは、さらなる効率的な組織の小型化をもたらすことができ、機械的前処理との組合せは特に有益でありうる。

0022

好ましくは、本発明に従った方法はさらに、アセンブリを生成する前に組織を清浄化することを含む。したがって、清浄化は、組織を小型化した後、又は、特に組織を小型化する前に、行われうる。組織に応じて、このような清浄化は特に有益でありうる。例えば、乳房組織は典型的には無菌であり、清浄化の必要がないのに対して、結腸組織は細菌を有し、組織を清浄化することは有用でありうる。したがって、組織を清浄化することは、好ましくは組織を洗浄することを含む。このような洗浄は、組織の比較的単純な清浄化をもたらしうる。あるいは又は加えて、組織を清浄化することは、好ましくは防腐処理を含む。防腐処理は、例えば、オクテニジン又はオクテニジン二塩酸塩を含む製剤を用いて行われうる。このような防腐処理は組織の効率的な清浄化を可能にし、洗浄との組合せは特に有益でありうる。

0023

好ましくは、アセンブリを生成することは、一方の側に格子を、他方の側にさらなる格子を配置することを含む。よって、アセンブリを生成することは、格子、足場、及び清浄化した小型化組織をリングとともに固定することを含みうる。リングは特に、ポリテトラフルオロエチレンテフロン登録商標))でできたリングでありうる。足場、細胞、格子及び、最終的にはリングを含むこのようなアセンブリは、例えばバイオリアクターに関連して、比較的容易な静的負荷又は取り扱いを可能にする、コンパクトなアセンブリを形成することができる。

0024

好ましくは、アセンブリを生成することは、アセンブリがサンドイッチアセンブリになるように、小型化した組織を2つの足場の間に置くことを含む。また、アセンブリは、小型化組織の複数の層と交互になっている複数の足場を備えることができる。例えば、2つの細胞層を3つの足場と交互にすることができ、又は、3つの細胞層を4つの足場と交互にすることができる。格子がアセンブリの生成に使用される場合には、格子を1つの足場の上に配置し、さらなる格子を他のもう1つの足場の上に配置することができる。具体的には、清浄化した小型化組織から離れて面する足場の側に格子を配置し、清浄化した小型化組織から離れて面する他のもう1つの足場の側にさらなる格子を配置することができる。

0025

好ましくは、3D灌流システムの内部において、アセンブリは直接灌流する。この意味において、用語「直接」とは、培地をアセンブリ又はコンストラクトを通じて組織に灌流させることに関する。対照的に、細胞内を通過するのではなく細胞上に連続的に流れることによって、2D細胞層に栄養素が供給される、マイクロチャネル又は同様の技術を使用するオーバーフロー技術が存在する。しかしながら、細胞を直接的かつ三次元的に灌流する場合に、より効率的であり、より均質に細胞を増殖可能にすることが分かった。

0026

好ましくは、バイオリアクター内でのアセンブリの灌流は交互方向で施される。一方向性の灌流と比較して、交互方向での灌流は組織の増殖効率を増大することができる。

0027

本発明のさらなる態様は、患者の腫瘍又はがんから組織を得ること;先行する請求項のいずれか1つに従った方法で組織を培養すること;組織に処理を施すこと;組織をモニタリングすること;及び、処理の際にモニタリングした組織の増殖、生存能力及び/又は容積における変化を評価することを含む、腫瘍又はがんの治療有効性を試験する方法に関する。

0028

よって、処理は、1つ又は複数の物質又は薬剤の提供、特定の投与レジメン放射線治療化学療法、放射線治療のプロトコール及び又は腫瘍又はがん患者の治療に適した任意の他の治療の適用、又はこれらの組み合わせを包含することができる。このような方法は、特定の又は具体的な腫瘍又はがんにおけるその効率に関して、特定の治療の評価を可能にする。これは、特定の腫瘍又はがんの可能性についての適切な治療の効率的な評価をなす。

0029

好ましくは、この方法は、患者の腫瘍又はがんからさらなる組織を得ること;先行する請求項のいずれか1つに従った方法でさらなる組織を培養すること;さらなる組織に第2の処理を施すこと;さらなる組織をモニタリングすること;及び、処理の際にモニタリングした組織及びさらなる組織の増殖、生存能力及び/又は容積を評価することによって第1の処理又は第2の処理を選択することをさらに含む。

0030

処理及び第2の処理は、連続的に又は同時に行うことができる。それらは、同一の所定の時間、行うことができる。したがって、期間は予め2日間に規定することができる。

0031

異なる処理をした特定の患者由来の腫瘍組織試料のインビトロでの状態を比較することによって、適切な又は最適化したインビボでの処理を選択することができる。これは、患者にとって好ましい治療を効率的に選択可能にする。

0032

好ましくは、第1の処理は組織への第1の物質の提供を含み、第2の処理はさらなる組織への第2の物質の提供を含む。第1及び第2の物質は同一の又は異なる薬学的有効成分を含みうる。第1及び第2の物質は、腫瘍又はがん患者の治療に適した薬剤でありうる。

0033

好ましくは、第1の処理は第1の投与レジメンを含み、第2の処理は第2の投与レジメンを含む。そのような方法では、第1及び第2の処理は、例えば、異なる投与量での1つ又は複数の物質の提供でありうる。

0034

本発明の別のさらなる態様は、上述のヒト又は動物の組織を所定の時間、インビトロで培養又は増殖する方法において腫瘍組織を培養することを含む、ヒト又は動物の腫瘍組織に由来する特定の細胞型の細胞を富化する方法に関する。例えば、このような細胞は、腫瘍間質細胞、腫瘍免疫浸潤細胞又は腫瘍上皮細胞でありうる。よって、本方法は、好ましくは、腫瘍組織からその細胞型の細胞を単離することをさらに含む。

0035

好ましくは、本方法は、複数の潅流媒体を細胞型の細胞の増殖能に関して比較し;それらの能力を考慮して複数の潅流媒体から一の潅流媒体を特定し;バイオリアクター内でサンドイッチアセンブリに潅流させるための好ましい潅流媒体を選択する、各工程をさらに含む。これは、特定の細胞型の効率的な富化を可能にする。腫瘍間質細胞を富化するためには、例えばRPMI1640が好ましい潅流媒体でありうる。このような好ましい実施態様では、腫瘍組織は、上述のヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法とは別の方法で培養することもできる。

0036

本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施態様から明らかになり、かつ解明されるであろう。

図面の簡単な説明

0037

本発明に従った方法は、例示的な実施態様によって及び添付の図面を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法の一実施形態を使用する、本発明に従った腫瘍又はがんの治療有効性を試験する方法の一実施形態のブロック図。
本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法のさらなる実施態様の第1の具体例(図2から7)、及びCRC検体の一次灌流培養図2)。
灌流培養下での組織形成能
上皮、間質及び増殖マーカー免疫蛍光染色。
組織増殖における流れの効果。
20日間にわたって培養した組織の増殖。
懸濁下での細胞の生存。
本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法のさらなる実施態様の第2の具体例(図8から14)、及び実験設計(図8)。
小型化腫瘍組織、すなわち腫瘍検体P262の代表的な組織学分析:0日目−元々の組織;10日目−U−カップ培養後;異種移植61日目−免疫不全マウス皮下注入した消化腫瘍単細胞懸濁液。
造血細胞マーカー
定量分析
ルミナールA乳がん組織の組織構造、すなわち、左パネル:元々の組織、及び右パネル:3D灌流バイオリアクターで培養した腫瘍組織(H&E:ヘマトキシリンエオシンCK22:汎サイトケラチンERエストロゲン受容体)。
ルミナールA乳がんを使用するインビトロの薬剤試験
PHA(1ng/mL)で7日間処理したルミナールA乳がん(MAM18)の免疫組織化学。全浸潤リンパ球にはCD45染色、T−細胞にはCD3染色、マクロファージにはCD68染色。

実施例

0038

図1は、本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法(培養方法)の実施態様が適用される、本発明に従った腫瘍又はがんの治療の有効性を試験する方法(選択方法)の実施態様を示している。この選択方法は、腫瘍の組織及び同一の腫瘍のさらなる組織を、培養方法1、1’を用いて完全に同一に培養する第1の工程を含む。ここで、組織及びさらなる組織は、洗浄及び防腐処理によって清浄化され、かつ、機械的及び酵素的処理11、11’によって小型化又は前消化される。前消化された組織及び前消化されたさらなる組織の各々は、2つの円盤の形状をしたコラーゲン足場の間に配置される。格子は、それぞれ、足場組織アセンブリ及び足場さらなる組織アセンブリの最上部及び底部に配置される。格子、足場及び組織アセンブリ、並びに格子、足場及びさらなる組織アセンブリは、その後、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))リングによって一緒に固定される。それによって、サンドイッチアセンブリ及びさらなるサンドイッチアセンブリが形成される12、12’。

0039

その後、サンドイッチアセンブリ及びさらなるサンドイッチアセンブリは、第2013/182574号(A1)に記載されるように、3D灌流バイオリアクターの培養チャンバ内に配置される13、13’。3D灌流バイオリアクターの内部において、その後、サンドイッチアセンブリ及びさらなるサンドイッチアセンブリは、例えば、10日間又は20日間など数日間、適切な培地で灌流される14、14’。

0040

選択方法の第2の工程では、第1の処理は組織2に適用され、第2の処理はさらなる組織2’に適用される。それによって、腫瘍を処理するための第1の薬剤は第1の投与レジメンで組織に提供され、第1の薬剤とは異なる第2の薬剤は第2の投与レジメンでさらなる組織に提供される。他の実施態様では、第1及び第2の薬剤は同一であって差し支えなく、第1及び第2の処理は適用される投与レジメンのみが変化するか、又は第1及び第2の投与レジメンは同一であり、第1及び第2の処理は使用される薬剤のみが変化する。他のさらなる実施態様では、3つ以上の処理が腫瘍の組織に適用される。

0041

第2の工程の終了時に、組織及びさらなる組織が評価され、ここで第1及び第2の処理の効率が格付け評価される3。例えば、組織及びさらなる組織を、例えば容積及び/又はアポトーシスに関して比較することは、第1又は第2の処理のいずれかが特定の腫瘍組織をより効率的に妨げるという結論を導きうる。次に、より効率的な治療が選択され4、患者に適用される5。

0042

以下において、本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法のさらなる実施態様の第1の具体例がさらに詳細に説明される。

0043

培地、培地添加物及び足場

0044

腫瘍組織細胞検体は、1%GlutaMAXTM−I 100x(Gibco(登録商標))、1%カナマイシン硫酸塩100x(Gibco(登録商標)社)、メトロニダゾール(250x;200mg/ml、Braun社)、セフロキシム(250x;15mg/ml、Braun社)、1%Fungizol(Sigma−Aldrich社)、1%HEES1M(Gibco(登録商標)社)、N−アセチルシステイン1mM(NAC、500x、ストック500mM、Sigma−Aldrich社)、ニコチンアミド10mM(Nic、100x、ストック 1M、Sigma−Aldrich社)を含むRPMI(SIGMA−Aldrich(登録商標)社)又はDMEM/F12(Gibco(登録商標)社)中で最長20日間、維持される。追加的な培地添加物は、プロスタグランジンE2 0.1ug/ml(Tocris Bioscience社)及び上皮増殖因子25ng/ml(Stem Cell Technologies社、フランス国グルノーブル所在)である。

0045

血液由来培養条件では、患者由来の血漿、プールされたヒト血清(血液バンク、University Hospital Basel、スイス国所在)又はウシ胎児血清(Gibco(登録商標)社)のいずれかが10%濃度で用いられる。血清を含まない標準的なオルガノイド培養の培地添加物には、B27 2%(Invitrogen社)及びN2 1%(Invitrogen社)が用いられた。

0046

コラーゲン(UF)足場(Ultrafoam Avitene Collagen Hemostat(登録商標)、UF)は、米国ウォウィック所在のDavol Inc.から入手される。不織ポリエチレン(185g/m2、ニードルパンチカタログ番号72.185.503、PET)足場メッシュは、ドイツ国ミルドナウ所在のNorafin Industries社から入手される。コラーゲン架橋足場(Optimaix)は、ドイツ国所在のMatricelGmbH社から入手される。足場は、コラーゲン−サンドイッチ−アセンブリ用に、生検パンチで8mmに切断される。

0047

ヒト組織材料

0048

外科的に切除されたフレッシュな結腸直腸がん(n=24)、膠芽細胞腫(n=3)又は乳がん検体(n=11)の試料は、University Hospital Basel、Regional Hospital Olten又はregional Hospital Luganoにおいて手術された患者から入手される。初期の組織試料は直径3〜5mmであり、腫瘍センター病理学者によって切除される。組織は、4℃のリン酸緩衝生理食塩水PBS、Sigma−Aldrich社)で慎重に洗浄される。

0049

ミンチ化及び塊化した組織又は小型化組織の調製

0050

組織をPBSで3回洗浄し、外科用メスバラバラにミンチ化した。ミンチ化した組織は、その後、コラゲナーゼIV(100x、ストック20kU/ml;Worthington CLSS−4)、DNAse I(100x、ストック 50mg/ml;Sigma−Aldrich D5025)、HEPES(100x、ストック 1M、GIBCO 15630−056)、カナマイシン(100x;GIBCO 15160−047)、アンホテリシンB(100x、ストック 250ug/ml;Sigma−Aldrich A9528)、メトロニダゾール(250x;ストック 200mg/ml、Braun)、セフロキシム(250x;ストック 15mg/ml、Braun)とともにDMEM(GIBCO)中、MACSmixチューブローテーター(Miltenyi Biotec社)上で連続的な円滑な回転で、37℃で1時間、酵素的に前消化される。生成した塊組織は、EDTA1:250&プールした10%ヒト血清(血液バンク、University Hospital Basel、スイス国所在)を含むPBSで1回洗浄され、その後、2.5%オクテニジン(Schue lke&Mayr社、ドイツ国所在)−10%ヒト血清−PBS溶液で5分間、処理される。オクテニジンを完全に除去するため、EDTA−HS−PBSを用いた追加の洗浄が行われる。

0051

コラーゲン−サンドイッチアセンブリにおける3D灌流培養

0052

組織塊を灌流下、3Dで培養するため、国際公開第2013/182574号(A1)に記載される細胞播種及び3D足場の培養のための灌流バイオリアクターシステムが用いられる。したがって、前消化された組織断片(塊)は、残りの細胞消化物ともに足場に置かれる。2〜3つのさらに大きい組織断片(寸法0.5mm)を置いてもよい。その後、足場は足場ホルダに移され、別の足場が適用されてコラーゲン−サンドイッチアセンブリが得られる。コラーゲン−足場の最上部及び底部に格子が用いられ、保持された足場はテフロン(登録商標)リングによって固定される。その後、このコンストラクトは灌流バイオリアクターの培養チャンバ内に置かれる。灌流培養用に、0.3ml/分の流量が選択される。

0053

1週間に2回、培地交換が行われる。コンストラクトは10日間又は20日間で回収される。DNA定量化分析、組織学的分析及び免疫蛍光分析はそれらの時点で行われる。

0054

塊化した組織のオルガノイド細胞培養

0055

塊組織のオルガノイド細胞培養には、Satoら(Gastroenterology 2011)が記載した従来の方法が用いられる。簡潔に説明すると、0.5〜1mmの大きさを、コーティングしたマトリゲル(増殖因子低減、フェノールレッドなし、BD Bioscience社、スイス国所在)の24ウェルプレート上で培養した。培地添加物を補充した培養培地を上に重ね、組織断片を3D灌流培養と同一の培養期間で培養した。

0056

DNA定量化

0057

先に記載した回収された試料は、先に述べたように 56℃で16時間、再蒸留水又はリン酸カリウムバッファー中で、プロテイナーゼ溶液(1mg/ml プロテイナーゼK、50mm TRIS、1mmEDTA、1mmヨードアセトアミド、及び10μg/mlペプスタチン−A;Sigma-Aldrich、USA)を用いてさらに消化される。

0058

DNA定量化は、市販の蛍光ベースのキット、すなわちCyQUANT(登録商標)細胞増殖アッセイ(Invitrogen社、米国所在)によって行われる。製造業者のプロトコールに従って希釈標準溶液を調製した。分析は、Spectra Max Gemini XS Microplate Spectrofluorometer(米国、Molecular Devices社)を用いて蛍光を測定することにより行われる。励起及び放出波長はそれぞれ485nm及び538nmである。各プレートの試料は較正曲線を含む。各試料は3重に測定された。

0059

組織学的染色及び免疫蛍光

0060

3D灌流培養後の腫瘍−コラーゲン組織は、1.5%パラホルムアルデヒド中、4℃で一晩固定され、パラフィン包埋され(TPC15 Medite、スイス国所在)、ミクロトーム(Leica社、スイス国所在))によって切片化される(5m−厚さ)。パラフィン切片は、脱パラフィン化され、水和され、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色され、その後、光学顕微鏡検査法の下で観察される。

0061

パラフィン包埋された切片の免疫蛍光分析は、即時使用の標的賦活液(DAKO、S1700)を用いた95℃で30分間の抗原賦活化の後に行われる。増殖性細胞集団の特徴を明らかにするため、Ki67モノクローナル抗体1:100(Rb mAbFITC、AbCAM、ab27619)が用いられる。間質細胞の可視化のため、ビメンチンモノクローナル抗体(ウサギmAb、細胞シグナル伝達5741)、及び上皮細胞用に EPCAMモノクローナル抗体(マウスmAb、細胞シグナル伝達2929)が適用される。シグナル強度の向上のため、ヤギ抗ウサギ二次モノクローナル抗体、Alexa−Fluor 488 1:400(IgG、Invitrogen社)、resp.ヤギ抗マウスモノクローナル抗体、Alexa−Fluor 546 1:400(IgG、Invitrogen社)が適用される。核は、DAPI 1:100(Invitrogen社)で染色される。組織学的及び免疫組織化学的切片は、BX−61顕微鏡(Olympus社、ドイツ国所在)を使用して分析される。

0063

培養した一次試料の上清は、EPCAM−APC(ab27619、clone SP6、Abcam社、イギリス国ケンブリッジ所在)及びヨウ化プロピジウム(Sigma−Aldrich社)で染色される。分析は、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences社、ドイツ国所在)を使用して行われる。ゲートアイソタイプコントロールreps.非染色試料に従って調整される。

0064

統計分析

0065

統計分析は、先に述べたように行われる(Flis et al.Anticancer Res 2009)。データは平均値±標準偏差(SD)として提示される。

0066

結果

0067

インビトロでの3D培養のための一次結腸直腸がん検体を培養するため、特定のニーズに適した先に述べた灌流バイオリアクター(図2)の利点が採用される。先の報告においてニッチシグナル上の一次腫瘍細胞の重大な依存性、細胞の不均一性及び3D構造について述べられていることから、灌流培養には前消化されミンチ化された組織又は組織断片が用いられる。組織断片の酵素的前処理は、先に報告されるように、これらの組織形成能を増強する(図2.1)。

0068

片利共生的な微生物は、CRC組織検体を非常に汚染する。したがって、細菌の負荷を低減するために、10%HSを添加補充したPBS−EDTAを用いた初期洗浄、及び2.5%オクテニジンを用いた短時間処理が行われる。

0069

調製及び前処理の後、腫瘍断片は、例えば「足場−サンドイッチ」又はサンドイッチアセンブリにおける、2つのコラーゲン足場の間に置かれる。この工程は、灌流下での静的負荷の後に組織検体を所定位置に保持するために必要なだけでなく、取り囲む足場での腫瘍の増殖及び再構成を可能にするためにも必要である。10日間の灌流培養は、空の対応物と比較して、コラーゲン足場の大規模再構築を生じる(図3)。ポリエチレン又は架橋コラーゲン足場のような試験される他の足場は、組織様構造の生成にとってあまり適当ではない(図2.3)。

0070

初期の研究は、H&E染色でより高密度かつより大きい組織を形成する自己ヒト血漿が、ウシ胎児血清よりも優れていることを示している。自己ヒト血漿の利用可能性は通常、制限されることから、同様の組織構造を経時的にもたらしうる、組織培養用のプールされたヒト血清が使用される。プールされたヒト血清は、オルガノイド及び灌流細胞培養によって評価して、B27/N2を使用する通常の血清を含まない手法と比較して、優れた組織産生量及び品質の傾向を示す。静置3D培養について述べたように、プロスタグランジンE2(PGE2)及び上皮増殖因子(EGF)の添加は、組織形成をさらに増加するのに役立ちうる。全DNA量で測定、かつ組織学的に評価して、同様の傾向が見られ、したがって、市販のプールしたヒト血清をEGF及びPGE2と共に添加補充した灌流培地に使用される。

0071

腫瘍培養についての前述の手法を使用して10日間の培養後、コラーゲン足場の強力な再構成が観察される。直径1ミリメートルまでの範囲の大きい腫瘍−結節が、試験したすべての事例において明確に視認される。再構成の能力は、例えば、培養以前の、フレッシュ又は凍結などの個別の患者及び組織の状態に依存していた。興味深いことに、RPMI1640培地は、DMEM/F12培地と比較して、コラーゲン足場のより強力な再構成を誘導するように見える(図3.A)。

0072

組織学的評価の際に、それぞれEPCAM又はビメンチン特異的染色によって検出可能な上皮部分及び間質部分の両方の部分を含む不均一な組織形成が観察される(図4.B、3.C)。幾つかの事例では、リンパ球による浸潤が観察できる。RPMI1640培地は、巨視視点で視認されるように、かつ組織学的評価のように、間質の増殖をDMEMよりも若干高い程度に促進する(図3.B)。興味深いことに、上皮細胞は障壁又は腺房構造を形成した。そして最終的には消化管形態を再現する絨毛様突起の維持につながる(図3.C、3.D)。それにもかかわらず、上皮構造は、依然として、初発腫瘍塊に由来する元型と一致する、非常に異形かつ未分化表現型を示す。

0073

EPCAMの染色による免疫蛍光評価は、結節構造が、排他的ではないにしてもほとんどが上皮の性質のものであることを示している。組織は、増殖マーカーKi67で染色して、生存能力があり、かつ増殖性である(図4.A)。増殖は間質部分及び上皮部分の両方で見られうる。細胞増殖頻度は、初発腫瘍検体において見られるものと同様である。

0074

一次腫瘍培養における灌流の使用を評価するため、3D灌流培養を、オルガノイド培養技術による組織塊の培養と比較する。巨視的には、上述の通り、10日間の灌流培養後、最大2ミリメートルに及ぶ大きい腫瘍結節が視認され、オルガノイド静置培養では寸法のわずかな差異及び単細胞の回避のみが観察できる(図5.A)。

0075

10日後の試料に依拠すれば、静置培養と比較して、灌流培養では、最大で13倍の全DNA量の増加(±7.3)に達する。20日間の培養後では差異は低下したが、それでもなお2.2倍を維持している(図5.B)。実際、腫瘍検体が静置条件における足場−サンドイッチ内で培養される場合、10日間の培養後には小さい試料のみが回収され、取り囲むコラーゲン足場のほとんどは消化される。灌流培養では、足場の再構成が生じる。加えて、灌流の不存在下では、組織はほとんどが分解され、組織溶解兆候が視認される。

0076

腫瘍組織は灌流培養下で10日間、生存かつ増殖性を保つことができることから、腫瘍組織がより長い期間、増殖することができるか否かについて評価する。したがって、腫瘍組織は10日間又は20日間のいずれかの期間で培養され、組織学的分析(図6.A、6.B)が行われる。初発腫瘍断片と比較して、組織の増殖及び経時的な成熟を観察することができ、20日目の時点で緻密組織に達する。間質細胞及び上皮細胞は両方とも、経時的に保存することができる。

0077

3D灌流培養技術の可能性を評価するため、腫瘍組織は12日間培養され、腫瘍組織の半分は、その後さらに9日間、再培養される。コラーゲン足場は、第1の時点で幾つかの腫瘍−結節を示し、それより後の時点では、若干の再構成を伴って、中心密度がより高くなる。組織学的には、上皮細胞及び間質細胞は両時点において観察することができ、コラーゲン足場内で統合される。

0078

腫瘍組織は、増殖の間に循環血液中に細胞を脱落することから、腫瘍細胞は血流中の循環性腫瘍細胞として検出することができる。循環性腫瘍細胞の数は、予後と相関し、治療反応とも相関している。興味深いことに、灌流培地のFACS解析によれば、生存している腫瘍細胞は、EPCAM及びPIで評価して、経時的に検出することができる(図7)。脱落した生存能力のある腫瘍細胞は20日間にわたって検出され、そのパーセンテージは腫瘍によって異なる。相当な数の細胞も同様に非上皮の性質のものである。

0079

上記第1の実施例の論考

0080

インビトロでの患者の生検又は外科的検体に由来する一次腫瘍培養は、数十年来、科学における長期的目標となっている。過去に行われた相当な努力にもかかわらず、一次培養は依然として、確立するのが困難なままである。多くの種類のがんでは、がん細胞よりも正常細胞を増殖するほうがはるかに容易である。メラノーマなど、比較的増殖させるのが容易ながんでさえも、転移性のがんでしか不死の細胞株として確立させることができない。以前の研究は、一次腫瘍が、成功を収めたインビトロでの培養について、腫瘍微小環境からのシグナルに強く依存することを示した。良性細胞及び悪性細胞の両方からなる腫瘍微小環境の維持は、このオルガノイド細胞培養技術をもってしても、依然として達成困難である。

0081

灌流バイオリアクターシステムを使用する高効率のインビトロ培養のためのインビトロでのフレッシュな結腸直腸がん腫瘍検体を調製かつ直接培養するため、本発明に従った方法を用いて、新しいプロトコールが達成されうる。腫瘍組織の単細胞分解物(digest)は、微細環境シグナルの欠落に起因して、大抵の場合、インビトロでの細胞死につながることから、細胞集塊及び数百細胞の組織断片を生じる、機械的及び酵素的に前処理された結腸直腸がんの検体が用いられる。第1の時点では、このことは、インビトロでの細胞死を防ぐためだけでなく、上皮細胞、間質細胞及び免疫細胞からなる初期の不均一な腫瘍微小環境を保持するためにも役立つ。恐らく、この機械的及び酵素的ストレスは、インビトロでの組織生成に役立ちうる、組織の治癒過程の開始につながる。

0082

結腸直腸検体は片利共生生物によってかなり過成長されるため、細菌増殖の低減及び抑制は、この意味において本質的である。37℃の灌流培地としての最良条件での細菌増殖は、数倍を超える細胞増殖をもたらす。この成功をおさめた前処理に加えて、抗生物質カクテルの添加が必要である。この添加剤は細胞自体の増殖能力の低下にもつながることから、片利共生生物との相互作用が顕著ではない他の腫瘍では、より少ない種類の抗生物質が使用されうる。

0083

興味深いことに、自己患者由来の血漿又はプールされたヒト血清を用いた培養はウシ胎児血清よりも優れており、ここで、組織断片はほとんど生存しない。ウシ胎児血清に感作されたヒトリンパ系細胞は、多種多様な培養されたヒト腫瘍及び通常の標的細胞に対し、細胞傷害性アセンブリにおいて活性である。リンパ系細胞が存在する現在の条件下では、FCSに起因する非特異的活性化は組織破壊つながりうる。血清をベースとした培地は、血清を含まない手法よりも依然として優れている。EGF又はPGE2のようなさらなる添加剤は、個別の腫瘍特性に応じた組織再生能の向上に役立てることができる。

0084

コラーゲン−サンドイッチアセンブリ内での腫瘍−コンストラクトの直接灌流を使用することにより、不均一な腫瘍組織の生存だけでなく、強力な再構成及び足場内への統合も観察することができる。一般的な組織工学の目的では、足場は、細胞及び増殖因子に加えて、主要な重要パーツの1つであり、生理構造物を作り上げるためには極めて重要である。コラーゲン足場は、異なる細胞型の増殖を支持するための高い適合性を有し、バイオリアクターシステム内での灌流下の組織形成を促進することが示されている。

0085

培養フェーズの間に上皮細胞が選択される確立されたオルガノイド細胞培養と比較して、灌流バイオリアクター内では20日間以上の間質の生存を観察することができる。これは、腫瘍−間質間の相互作用が薬物反応修正において非常に重要であるという意味において、重要である。フローなしでは、組織は、酸素及び栄養素の利用性が制限されることにより、可能な静置条件下で分解した。腫瘍組織のフロー培養は、静置アセンブリに対して数倍高い組織量を生じうる。フローは、剪断応力による細胞の追加的な機械的刺激を用いて、ある程度(to some extend)血管系resp.自然発生の間質流を模倣することができる。

0086

灌流下での組織形成は全ての事例の66%で可能であり、片利共生生物は結腸直腸がんのインビトロ培養についての主要な問題であることから、汚染された試料が除外されればそれよりも高くなる。これは、一次結腸直腸がんオルガノイド培養について報告された30%の効率を顕著に超え、60%から70%の成功をおさめた腫瘍発生の報告された効率を有する患者由来の異種移植(PDX)と同様に位置づけられる。PDXモデルに関しては、腫瘍を6−8mmの寸法に増殖させるためには最長で2か月が必要であり(自身の経験による)、バイオリアクター内での灌流培養は、はるかに短時間で足場に腫瘍組織を統合させることができる。

0087

組織の品質及び組成は患者に応じて異なり、出発する組織は均一ではなかったため、同一の患者に由来するものであっても培養に応じてある程度の不均一性が存在する。初発の組織検体の適切な選択は、培養の成功をもたらすために重要である。標準化は一般的な組織resp.オルガノイド様培養の主要な制限であり、同一の出発物質に由来する組織形成能の不均一性を低減するためにはさらなる研究が必要である。この問題を回避するために、培養前の組織(寸法、形態、病理学的評価)の厳しい選考基準又は並行バイオリアクター培養での増殖を使用することができるが、それにもかかわらず出発物質は一般的に制限される。

0088

上述の培養技術は、乳がん、メラノーマ、膀胱がん、前立腺がん、膠芽細胞腫及び任意の他の腫瘍組織などの他の腫瘍型にも使用することができる。

0089

上述の灌流3D培養では、腫瘍微小環境は経時的に保存され、したがって個別化した方式での薬物試験が可能である。これは、個人化した薬物スクリーニングにおける新しい分野を開くものである。主な制限の1つは、依然として、利用可能な腫瘍材料の量である。下記表1に見られるように、凍結組織検体由来の腫瘍組織の増殖が達成可能なため、スクリーニングはセンターで行うことができ、腫瘍組織は冷凍培地で輸送された。この意味において、治療反応用のマーカーは、このようなスクリーニングについて特定かつ実行されるはずである。結腸直腸がん細胞株を使用することにより、c−Flip、Traf−1及びBcl−2のような抗アポトーシス遺伝子が、ネオアジュバント処理された直腸がん患者試料に似た治療反応のマーカーとなりうることが分かる。

表1:フレッシュな組織及び凍結組織の試験結果

0090

全腫瘍微小環境のインビトロでの培養は、腫瘍増殖におけるその効果をより理解するために役立ちうる。これは、腫瘍細胞株を単独で用いることによる評価が困難な新規標的の薬能のスクリーニングの扉を開くことができる。複合的な微小環境を統合する新しい生理的表現型スクリーニングは、腫瘍研究に関して大きな可能性がある。

0091

さらには、腫瘍微小環境での腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、患者の生存に顕著に寄与する。養子細胞療法の間のこの集団の増殖及び再移入は非常に効率的である。特にTIL集団を増殖するシステム及び/又は腫瘍特異性について選択する方法は、この意味において大きな価値がありうる。上述の一次腫瘍培養の手法は、この点において重要でありうる。

0092

以下において、本発明に従ったヒト又は動物の組織をインビトロで培養又は増殖する方法のさらなる実施態様の第2の具体例がさらに詳細に説明される。

0093

図8に示されるように、第2の例において、国際公開第2013/182574号(A1)に記載される3D灌流バイオリアクターはヒト一次組織片の培養に適している。システムは、主に結腸直腸がん及びルミナールA乳がんについて試験される。よって、組織検体は片面1mmから2mmの大きさの小塊手動で切断される。組織片は、8mmの直径を有する2つのコラーゲン足場の間に置かれ、アセンブリ又は「サンドイッチ」を作出し、その後、これは3D灌流バイオリアクターの灌流チャンバ内に置かれる。各バイオリアクターには、8〜10mLの培養培地が用いられる。塊は、10から20日間、培地交換せずに培養される。

0094

標準化を高めるため、検体は組織チョッパー装置(McIlwain Tissue Chopper; Ted Pella Inc.)を使用して切断することもできる。しかしながら、このような機器の使用の可能性は、腫瘍型及び患者に依存する、組織の機械的特性(ソフト又はハード)に応じて決まる。培地交換を行わないという選択は、自己血清の限られた利用性のためである。いずれにせよ、細胞の量の少なさ及び増殖率の低さに起因して、培地の消費も遅く、よって培地交換の回避を現実的に可能にする。pHの評価は、経時によって変化がなかったことを示している。自己血清(AS)は、腫瘍組織に関連する患者から、抗凝血剤を添加せずにシリンジで全血試料を採取すること;血液を4℃で30分間、2600gで遠心分離にかけること;及び、ASとして定義される上清を回収することによって調製することができる。自己血漿(aHP)は、同一の手順ではあるが抗凝血剤(ヘパリン又はEDTAなど)を使用して血液を採取することによって得ることができる。

0095

3D灌流バイオリアクター内での培養用に、腫瘍組織を調製する。それ自体の起源に起因して、結腸直腸がん組織は汚染の危険性に非常にさらされており、清浄化の工程が必要とされる。病理学から組織が到着するとすぐに、組織を次の手順に供する:(i)PBS中で3回洗浄、(ii)防腐処理:10%オクテニジン溶液中で10分間、及び(iii)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄。

0096

足場又はアセンブリもまた、第2の例内で調製される。サンドイッチ培養システムは、3D灌流バイオリアクターの灌流チャンバ内に腫瘍塊を保持するために、2つの足場を必要とする。足場は、腫瘍塊に機械的及び生物学的な支持体を提供する。材料の選択はコラーゲンタイプ1(Avitene Ultrafoam、ref#1050050)である。この材料は乾燥したスポンジとして到着し、予湿の工程を必要とし、長さにおいて20%の縮小が測定される。予湿工程は4℃で一晩、又は37℃で2〜3時間、行われる。湿潤性溶液として、PBS又は培地が用いられうる。さらには、この工程の間、足場は、例えば、マトリゲル溶液をコーティングとして使用するなど、その機械的及び/又は生物学的特性を高めるために他の材料でコーティングされうる。

0097

腫瘍塊の培養に用いられる培地は、自己血清の使用をサポートする修正バージョンである。この培地は、以下のように構成される:DMEM/F12(Invitrogen社、11320−074)に以下のものを補充添加:ヒト血清10%又は自己血清10%、Glutamax(Gibco、35050−061、100x)、Hepes(Gibco、15630−056、100x)、カナマイシン(Gibco、25389−940、100x)、並びに以下からなる抗生物質のカクテル(結腸直腸がん用のみ):シプロキサン(Bayer、200x)、メトロニダゾール(Braun、200mg/ml、250x)、セフロキシム(Braun、15mg/ml、250x)、アンフォテリシン(Anfotericin)B(Sigma−Aldrich、100x)、N−アセチル−L−システイン(Sigma−Aldrich、A9165−5G、1mM)、ニコチンアミド(Sigma−Aldrich;N0636)、上皮増殖因子(EGF、Peprotech、25ng/mL)、及びプロスタグランジンE2(PGE2、1ng/mL)。

0098

図9は、ヒト結腸直腸がんの第2の例の結果を示している。具体的には、それは、代表的な実験の結果を示している。患者由来の元々の材料、3D灌流バイオリアクターにおける10日間の培養後の組織、及び、免疫不全マウスに単細胞の懸濁液として消化組織を注入した後に得られた、患者由来の異種移植(PDX)後61日間で生成する組織が報告されている。ヘマトキシリン−エオシン染色(H&E)は、たとえPDXと比較して程度が低いとしても、3D灌流バイオリアクター培養における組織構造の維持を示した。最も重要なことに、それは、インビトロ培養システム内での上皮腫瘍細胞(EpCAM陽性(posivite))及び間質細胞(ビメンチン陽性)の保持である。注目すべきことに、10日間の培養後に、幾つかの細胞、主にEpCAM陽性細胞は、たとえ元々の組織と比較して程度が低いにしても、Ki67タンパク質の発現による増殖の兆候を示している。

0099

図10は、10日間の培養後にこれらの型の細胞が依然として存在することを示す、全腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の同定に使用される、CD45の陽性染色赤血球及び血小板以外の造血細胞のマーカーを示している。しかしながら、それらの機能性は評価されるべきである。

0100

図11に示されるように、主な腫瘍細胞成分の全ての存在を示す定量分析は、フローサイトメトリー又はqRTPCRによっても行うことができる。さまざまな細胞型のなかでもとりわけ同様の比率を維持する可能性を示すことができる、元々の組織との完全比較もまた行われうる(図11のフローサイトメトリー)。

0101

図12は、ヒトルミナールA乳がんについての第3の結果を示している。よって、結腸直腸がん細胞を対象とする第2の例に関して上述したものと本質的に同一又は同様の方法及び手順が適用される。しかしながら、結腸直腸がん細胞の例又は上述のそれらの試料の少なくとも幾つかとは対照的に、第3の例では、乳がん細胞清浄化手順には供されず、乳がん細胞は前消化されず、培地は先に規定されたような抗生物質のカクテルを含まず、上記結腸直腸がんの幾つかの試料について規定されたような培地交換は行われない。

0102

ルミナールA乳がんは、エストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン受容体(PR)陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性として定義され、腫瘍細胞の増殖がほとんどない(低%のKi67陽性細胞)。この型の腫瘍は、その生存及び増殖のために、増殖因子としてエストロゲンを必要とする。小型化した組織又は組織塊は10%のヒト自己血清(AS)を含む培地内で培養され、したがってエストロゲンを含む増殖因子のすべてを受け取る。自己血清(AS)は、全血試料を腫瘍組織に関連する患者から抗凝血剤を添加せずにシリンジで採取すること;血液を4℃で30分間、2600gで遠心分離にかけること;及び、ASとして定義される上清を回収することによって調製される。左のカラムは、フレッシュに摘出された一次ルミナールA乳がんのH&E及びER染色を示している。一次組織に見られる腺様の構造が、バイオリアクター培養組織のH&E染色でも視認されることは、注目すべき重要なことである。注目すべきことに、腫瘍組織内の細胞は、7日目から足場に浸潤し始める。上皮腫瘍細胞は、Ck22(上皮細胞の同定用の汎サイトケラチン)での陽性染色によって示されるように、最新の時点まで維持される。代わりに、ERの発現は14日目に失われた。

0103

幾つかの実験(9検体を試験した)の後、組織塊は、培養7日目で足場内で増殖を開始し、インビボの腫瘍組織と同様の状構造を形成する。最新の21日間の時点では、より多くの細胞が足場において検出可能であったが、その代わり、塊の内部ではアポトーシス細胞が増加した。

0104

インビトロ培養におけるエストロゲンの添加効果を評価する。よって、本目的は、外因性エストロゲン(2−エストラジオール、Sigma−Aldrich社、E2758、200ng/mL)の追加添加が、コントロール(自己血清中の存在するエストロゲンの量のみ)と比較して組織の良好な生存及び増殖を促進しうるかどうかを解明することである。得られたデータは、エストロゲン添加あり(E+)又は添加なし(E−)の腫瘍塊間の特定の差異を示していない。

0105

インビトロでの培養における抗エストロゲン受容体の薬物効果も評価され、図13に示されている。本目的は、個別化医療のための概念の証明として、インビトロ培養腫瘍検体上での薬物試験の実施の可能性を検証することである。フルベストラント(Sigma I4409)−選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)−の長い半減期(ヒトでは40日間)に起因して、及びそれが通常は臨床で使用されていることから、フルベストラントが薬物として選択される(使用薬物濃度:100nM(ER−陽性乳がん細胞株:MCF−7、T47D、BT474及びMDA−MB−361を使用するインビトロ試験、7日間の処理)。薬剤はバイオリアクター培養の開始時(0日目)に添加される。図13に明確に見られるように、フルベストラントには治療効果がある。

0106

腫瘍微小環境の1つの重要な成分は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に代表され、これは幾つかの腫瘍型では患者の予後を決定することによる重要な役割を果たし、いわゆるがん免疫療法において大きな注目を集めている。インビトロで培養された腫瘍塊の内部においてTILを刺激することが可能かどうかを理解するために、PHA(フィトヘマグルチニン)を使用することによって、TILの代謝及び増殖活性を刺激する。PHA(1ng/mL)はバイオリアクター培養の開始時(0日目)に添加される。

0107

図14に示すように、7日間の時点では、TILの存在は、マクロファージCD68細胞がまだ組織内にある代わりに、主に足場にあるCD3陽性T−細胞で依然として検出可能である。これらは、免疫学的問題の研究又はインビトロで培養された腫瘍検体におけるがん免疫療法の試験の可能性を高める。

0108

第2の例及びその結果に基づき、国際公開第2013/182574号(A1)に記載される3D灌流バイオリアクターの使用の見通しは、インビトロでの腫瘍生物学及び免疫学における有望な経路の試験に;PDX(患者由来の異種移植)の腫瘍形成を増加させるためのツールとして;推定上の新規薬物の検証のための前臨床インビトロモデルとして;HCS後に:古典的2D試験又は革新的3D試験のために、及び動物実験の前に:一次腫瘍細胞の増殖による個別化医療(PM)のために及び短時間増殖又は生きている組織の維持のために、使用することができる。

0109

本発明は、図面及び前述の記載において例証され、かつ詳細に説明されているが、このような例証及び説明は例示的又は典型的とみなされるべきであって、限定されるべきではない。変更および修正は、添付の特許請求の範囲及び精神の範囲内で、当業者によってなされうることが理解されよう。具体的には、本発明は、上記及び下記のさまざまな実施態様の特徴を任意に組み合わせたさらなる実施態様にも及ぶ。

0110

本発明はまた、図に個別に示されるさらなる特徴は、前述した又は後述する説明には記載されていないかもしれないが、それらの特徴のすべてに及ぶ。また、図面及び説明に記載される実施態様の単一代替物(single alternatives)及びそれらの特徴の単一代替物は、本発明の主題から又は開示される主題から、排除されうる。本開示は、請求項又は例示的な実施態様に定義される特徴からなる主題、ならびに上記特徴を含む主題を含む。

0111

さらには、請求項において、語句「含む」は他の要素又は工程を除外せず、不定詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。単一のユニット又は工程は、請求項に列挙される幾つかの特徴の機能を実現しうる。ある特定の寸法が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの寸法の組み合わせを使用して利益を享受することができないことを示しているわけではない。特に、特質又は値に関連して、用語「本質的に」、「約」、「およそ」などは、まさにその特質も、又はまさにその値も、それぞれ規定する。所与数値又は範囲との関連で、用語「約」とは、例えば、その所与の値又は範囲の20%の範囲内、10%の範囲内、5%の範囲内又は2%の範囲内である値又は範囲のことをいう。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するように解釈されるべきではない。

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