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課題・解決手段
概要
背景
ビデオ拡大機は、盲又はロービジョンである個人(すなわち、「BLVユーザ」)にとって重要な道具である。その構成には、典型的には、アームに取り付けられているカメラと、関連するモニタとが含まれる。アームは、カメラが、観察されている対象物の上に真っ直ぐに配置されることを可能にする。対象物は、例えば、処方薬の瓶又は新聞若しくは本である。アームは、通常、カメラが対象物又は文書の特定の部分に対し焦点を合わせることを可能にするように調節可能である。BLVユーザは、次いで、対象物と任意の関連する文字とが観察及び読取に十分であるように拡大されることができるよう、所望の倍率レベルを選択することが可能である。色のコントラスト化と画像の回転とが、さらに観察を容易にするために提供されることが可能である。観察されている対象物に対する正確な移動を可能にするように、随意で、X−Yテーブルをカメラの下に配置することが可能である。ビデオプロセッサ及びルックアップテーブルは、カメラによって生成されるビデオ信号を処理するために使用される。このビデオ信号は、画像の縮尺、画像位置、色のコントラスト、及び他の画像特徴のうちの1つ以上に対して変更を加えるように処理されることが可能である。
これらの理由の全てによって、ビデオ拡大機は、BLVコミュニティのメンバーにとって不可欠な道具となっている。それにもかかわらず、従来のビデオ拡大機は、依然としていくつかの欠点を有する。これらの欠点のうちの1つはレイテンシである。レイテンシとは、ビデオ信号が処理されていることから生じるわずかな遅延を指す。この遅延は、通常はミリ秒で計測され、画像がカメラによって取り込まれることと、それに続く画像のモニタ上への表示との間に生じる。フレームバッファの使用によって、一般にレイテンシは増大する。フレームバッファは、データの1つのフレーム全体のビットマップを格納するメモリストアである。フレームバッファによって、ビデオフレームの縮尺を変更することが可能になり、他の場合にはフレームに所望の属性を与えることが可能になる。フレームのバッファリングから生じるレイテンシは、大抵の用途において大概気付かれない。しかし、ビデオ拡大機に関しては、BLVユーザは対象物の操作とそれに続く画像のビデオモニタ上への出現との間のラグに気付くであろうから、レイテンシは極めて問題である。このラグによって、BLVユーザにより行われる手作業は非常に複雑なものとなる。
また、ビデオ拡大機では、ユーザの視覚を画面上に集中させることを助ける手法が用いられる。この理由のため、従来のビデオ拡大機では、画面の複数の領域が暗くされることがある。この暗くされた領域によって、暗くされていない領域が強調されることになる。これにより、BLVユーザが対象物の1つの範囲に集中することが可能になる。文字の場合、これによって、BLVユーザが一度に一行の文字を読むことが可能になる。続く行がユーザに対して提示されるように、下にある文字がスクロールされることが可能である。この手法は有用であるものの、いくつかの問題点が存在する。文字の領域を暗くすることによって、文書内におけるそうした領域の位置がBLVユーザに分からなくなることがしばしばある。また、これによって、ユーザが対象物の周囲や長い文章を通じて見ることが困難になる。
様々なビデオ処理手法が、従来技術において知られている。それらの手法のうちの一部
では、レイテンシを低減することについて説明されている。例えば、イーアターナス(Eaturnus)の特許文献1では、超低レイテンシのビデオ通信システムが開示されている。このシステムは、画像フレーム又は画像フィールドを取得又は再構成するための画像取得回路又は画像再構成回路を備える伝送ユニットを用いる。ビデオデータの少なくとも一部を処理するために、ビデオ処理ユニットも備えられる。また、ビデオデータの少なくとも一部を送信又は受信するための通信ユニットも備えられる。
同じように、カーツウェル(Kurzweil)の特許文献2には、ポータブル読取装置用の光学文字認識における処理レイテンシを低減するためのシステムが開示されている。このポータブル読取装置は、画像を受信してその画像の処理する部分を選択するコンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータ可読媒体を有するコンピューティング装置を備え得る。この装置は、次いで、画像の選択結果を第1の処理を用いて処理し、第1の処理が終了すると、第2の処理が開始される。第2の処理が行われている間、この画像の別の部分に対し、第1の処理が繰り返される。
キム(Kim)の特許文献3には、ポイント制御を備える画像拡大機が開示されている。この方法により、拡大を使用する画像制御が可能になる。この方法は、画像の一部分を選択することと、次いで、この選択された部分を拡大することとを含む。次いで、フレームの拡大及び選択された部分に対し、アクションが実行される。この変更には、選択された部分の特徴を変更することが含まれる。
それらの発明によって、それら自身の一意な個々の目的が実現されるが、どの発明にも問題点が存在する。例えば、先行技術のいずれもレイテンシに関連する問題を十分に除いていない。同じように、先行技術のいずれもロービジョンのユーザにより適切なやり方で文書の選択されている部分にシェーディングを適用することを可能としていない。
概要
拡大機カメラ用のビデオプロセッサが開示される。特に、本開示は、フレームバッファの使用を除いたビデオプロセッサに関する。そのため、他の場合にはビデオ信号に存在するレイテンシが低減される。また、本開示のビデオプロセッサにより、表示のうちの選択される部分をシェーディングすることも可能となる。これによって、表示のシェーディングされていない部分が強調されるのと同時にユーザが対象物全体を知覚することが可能になる。
目的
本方法の目的の1つは、得られる画像を盲又はロービジョンのユーザがより簡単に観察することを可能とするように、ビデオ信号を処理することである
効果
実績
- 技術文献被引用数
- - 件
- 牽制数
- - 件
この技術が所属する分野
請求項1
ビデオ信号を処理するための方法であって、カメラと、関連するルックアップテーブルを有するマイクロプロセッサと、モニタとを用い、ロービジョンのユーザによる使用に適合されており、前記カメラを観察される対象物へ向ける工程であって、前記カメラはビデオ信号を生成し、前記ビデオ信号は一連のビデオフレームを含み、各フレームは複数の画素からなる画素のアレイを含む、工程と、前記ビデオ信号を前記マイクロプロセッサへ送る工程と、前記ルックアップテーブルからの命令に従って前記マイクロプロセッサによって前記ビデオ信号を処理する工程であって、前記ルックアップテーブルは、前記アレイのシェーディングされている部分と、適用されるシェーディングの程度とを指定し、前記シェーディングの程度は、下にある画像がマスクされない程度であり、前記アレイの前記シェーディングされている部分は、前記アレイのシェーディングされていない部分を強調するように機能することによって、前記ロービジョンのユーザによる観察を容易にする、工程と、前記ロービジョンのユーザによる観察用に、処理された前記ビデオ信号を前記モニタへ送る工程であって、前記マイクロプロセッサは前記ビデオを画素毎に処理することによって、レイテンシが低減されるようにフレームバッファを不要とする、工程と、を備える方法。
請求項2
ビデオ信号を処理するための方法であって、カメラと、マイクロプロセッサと、モニタとを用い、前記カメラによって対象物を観察し、対応するビデオ信号を生成する工程であって、前記ビデオ信号はフレームを含み、前記フレームは、複数の画素からなる画素のアレイからなる、工程と、前記フレームに所定の視覚的特性を与えるように前記マイクロプロセッサによって前記ビデオ信号を処理する工程であって、前記処理は画素毎に行われ、それによって、前記フレームがビデオバッファに記憶されることを不要とする、工程と、処理された前記ビデオ信号を観察用に前記モニタへ送る工程と、を備える方法。
請求項3
前記ビデオ信号は、ルックアップテーブルに記憶されている命令によって処理される、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記ルックアップテーブルは、前記アレイのシェーディングされている部分と、適用されるシェーディングの程度とを指定する、請求項3に記載の方法。
請求項5
前記シェーディングの程度は、下にある画像がマスクされない程度であり、前記アレイの前記シェーディングされている部分は、前記アレイのシェーディングされていない部分を強調するように機能する、請求項4に記載の方法。
請求項6
前記アレイの前記シェーディングされていない部分は垂直方向に延びている、請求項5に記載の方法。
請求項7
前記アレイの前記シェーディングされていない部分は水平方向に延びている、請求項5に記載の方法。
請求項8
請求項9
前記所定の視覚的特性は、ロービジョンのユーザによる観察を容易にする、請求項2に記載の方法。
請求項10
ビデオ信号を処理するためのシステムにおいて、対象物を観察し、対応するビデオ信号を生成するカメラであって、前記ビデオ信号はフレームを含み、前記フレームは、複数の画素からなる画素のアレイから構成されている、カメラと、前記ビデオ信号を処理するためのマイクロプロセッサ及び関連するルックアップテーブルであって、前記処理は前記フレームに所定の視覚的特性を与え、前記処理は画素毎に実行され、それによって、前記フレームがビデオバッファに記憶されることを不要とする、マイクロプロセッサ及び関連するルックアップテーブルと、前記所定の視覚的特性を有する前記ビデオ信号を表示するためのモニタと、を備えるシステム。
技術分野
0001
本開示はビデオ拡大機に関する。また、本開示は、レイテンシを低減させるようにビデオ信号を処理する手段に関する。モニタ内において観察範囲のうちの選択される部分を強調しないようにシェーディングを適用するビデオ処理の手段も開示される。
背景技術
0002
ビデオ拡大機は、盲又はロービジョンである個人(すなわち、「BLVユーザ」)にとって重要な道具である。その構成には、典型的には、アームに取り付けられているカメラと、関連するモニタとが含まれる。アームは、カメラが、観察されている対象物の上に真っ直ぐに配置されることを可能にする。対象物は、例えば、処方薬の瓶又は新聞若しくは本である。アームは、通常、カメラが対象物又は文書の特定の部分に対し焦点を合わせることを可能にするように調節可能である。BLVユーザは、次いで、対象物と任意の関連する文字とが観察及び読取に十分であるように拡大されることができるよう、所望の倍率レベルを選択することが可能である。色のコントラスト化と画像の回転とが、さらに観察を容易にするために提供されることが可能である。観察されている対象物に対する正確な移動を可能にするように、随意で、X−Yテーブルをカメラの下に配置することが可能である。ビデオプロセッサ及びルックアップテーブルは、カメラによって生成されるビデオ信号を処理するために使用される。このビデオ信号は、画像の縮尺、画像位置、色のコントラスト、及び他の画像特徴のうちの1つ以上に対して変更を加えるように処理されることが可能である。
0003
これらの理由の全てによって、ビデオ拡大機は、BLVコミュニティのメンバーにとって不可欠な道具となっている。それにもかかわらず、従来のビデオ拡大機は、依然としていくつかの欠点を有する。これらの欠点のうちの1つはレイテンシである。レイテンシとは、ビデオ信号が処理されていることから生じるわずかな遅延を指す。この遅延は、通常はミリ秒で計測され、画像がカメラによって取り込まれることと、それに続く画像のモニタ上への表示との間に生じる。フレームバッファの使用によって、一般にレイテンシは増大する。フレームバッファは、データの1つのフレーム全体のビットマップを格納するメモリストアである。フレームバッファによって、ビデオフレームの縮尺を変更することが可能になり、他の場合にはフレームに所望の属性を与えることが可能になる。フレームのバッファリングから生じるレイテンシは、大抵の用途において大概気付かれない。しかし、ビデオ拡大機に関しては、BLVユーザは対象物の操作とそれに続く画像のビデオモニタ上への出現との間のラグに気付くであろうから、レイテンシは極めて問題である。このラグによって、BLVユーザにより行われる手作業は非常に複雑なものとなる。
0004
また、ビデオ拡大機では、ユーザの視覚を画面上に集中させることを助ける手法が用いられる。この理由のため、従来のビデオ拡大機では、画面の複数の領域が暗くされることがある。この暗くされた領域によって、暗くされていない領域が強調されることになる。これにより、BLVユーザが対象物の1つの範囲に集中することが可能になる。文字の場合、これによって、BLVユーザが一度に一行の文字を読むことが可能になる。続く行がユーザに対して提示されるように、下にある文字がスクロールされることが可能である。この手法は有用であるものの、いくつかの問題点が存在する。文字の領域を暗くすることによって、文書内におけるそうした領域の位置がBLVユーザに分からなくなることがしばしばある。また、これによって、ユーザが対象物の周囲や長い文章を通じて見ることが困難になる。
0005
様々なビデオ処理手法が、従来技術において知られている。それらの手法のうちの一部
では、レイテンシを低減することについて説明されている。例えば、イーアターナス(Eaturnus)の特許文献1では、超低レイテンシのビデオ通信システムが開示されている。このシステムは、画像フレーム又は画像フィールドを取得又は再構成するための画像取得回路又は画像再構成回路を備える伝送ユニットを用いる。ビデオデータの少なくとも一部を処理するために、ビデオ処理ユニットも備えられる。また、ビデオデータの少なくとも一部を送信又は受信するための通信ユニットも備えられる。
0006
同じように、カーツウェル(Kurzweil)の特許文献2には、ポータブル読取装置用の光学文字認識における処理レイテンシを低減するためのシステムが開示されている。このポータブル読取装置は、画像を受信してその画像の処理する部分を選択するコンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータ可読媒体を有するコンピューティング装置を備え得る。この装置は、次いで、画像の選択結果を第1の処理を用いて処理し、第1の処理が終了すると、第2の処理が開始される。第2の処理が行われている間、この画像の別の部分に対し、第1の処理が繰り返される。
0007
キム(Kim)の特許文献3には、ポイント制御を備える画像拡大機が開示されている。この方法により、拡大を使用する画像制御が可能になる。この方法は、画像の一部分を選択することと、次いで、この選択された部分を拡大することとを含む。次いで、フレームの拡大及び選択された部分に対し、アクションが実行される。この変更には、選択された部分の特徴を変更することが含まれる。
0008
それらの発明によって、それら自身の一意な個々の目的が実現されるが、どの発明にも問題点が存在する。例えば、先行技術のいずれもレイテンシに関連する問題を十分に除いていない。同じように、先行技術のいずれもロービジョンのユーザにより適切なやり方で文書の選択されている部分にシェーディングを適用することを可能としていない。
先行技術
発明が解決しようとする課題
0010
したがって、フレームバッファの使用を除くとともに関連するレイテンシを大いに低減するパススルー信号プロセッサを備える卓上ビデオ拡大機カメラが必要とされる。本開示のビデオ拡大機は、この課題を満たし、既存のビデオ拡大機によって提示される他の欠点を補うように設計されている。
0011
また、対象物の一部を観察可能としつつシェーディングすることを可能とする拡大機カメラも必要とされる。これによって、対象物又は文字の選択部分を強調することを可能とする一方、同時にその対象物又は文字の残りが知覚されることを可能とする。本開示のビデオ拡大機は、この課題を満たし、既存のビデオ拡大機によって提示される他の欠点を補うように設計されている。
課題を解決するための手段
0012
本開示は、レイテンシが低いビデオ拡大機に関する。
本開示のビデオ拡大機は、いくつかの重要な利点を有する。例えば、フレームバッファを除去することによって、信号処理における任意の目立った遅延を回避することができる。
0013
別の利点は、ユーザがほぼリアルタイムで対象物を観察することを可能とするパススルービデオプロセッサを利用することによって実現され、これは、対象物がBLVユーザによって操作されている時にとりわけ重要である。
0014
さらなる利点は、画面の選択されている部分がシェーディングされ、それによってシェーディングされていない部分が強調されるようにビデオ信号を処理することによって実現される。
0015
さらに別の利点は、対象物又は文字の所定の部分を強調することを可能とする一方、同時にユーザが文書の残りの部分を知覚することを可能とすることによって、実現される。
本発明の様々な実施形態は、これらの利点のうちのいずれも有していなくてもよく、一部又は全部を有していてもよい。本発明の他の技術的利点は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
0016
本開示の拡大機の斜視図。
本開示に関連して使用されるビデオプロセッサの概略図。
盲又はロービジョンのユーザによる使用のためのシェーディングを示す前立面図。
本開示の画素毎の信号処理を示す図。
本開示に関連する工程のうちの一部を示すフローチャート。
本開示の追加の一実施形態を示す図。
実施例
0017
ここで、本開示及びその利点のより完全な理解のため、添付の図面と共に以下の記載を参照する。
類似の参照符号は、図面のいくつかの図を通じて類似の部分を参照する。
0018
本開示は、拡大機カメラ用のビデオプロセッサに関する。特に、本開示は、フレームバッファの使用を除いたビデオプロセッサに関する。そのため、ビデオ信号に他の場合には存在するレイテンシが低減される。また、本開示のビデオプロセッサにより、表示のうちの選択される部分をシェーディングすることも可能となる。これによって、表示のシェーディングされていない部分が強調されるのと同時にユーザが表示全体を知覚することが可能になる。本発明の様々な構成要素と、それらが相互に関連する手法とについて、より詳細に後述する。
0019
図1には、本開示に従って構成されている卓上ビデオ拡大機10を示す。示した特定の拡大機は、2015年1月28日に出願された「ハンドルを有するビデオ拡大機カメラ(Video Magnifier Camera with Handle)」と題される同時係属中の出願(出願番号第14/607,197号)においてより完全に記載されている。この共に所有される出願の内容を全ての目的のために本明細書に完全に組み込む。ビデオ拡大機10は、カメラアーム22上に取り付けられている高精細度カメラ20を備える。カメラアーム22は、フレキシブルである。また、アーム22は、観察される対象物の上にユーザがカメラ20を適切に配置することを可能とするように、垂直軸の周りを回動可能であるとともに、1つ以上の水平軸の周りを旋回可能である。一実施形態において、アーム22は、装置ハウジング26の後部上のトラフ24内に受け入れられるように寸法を決定されている。観察される対象物は、カメラ20の直下に配置されることができる。これに代えて、対象物を正確に配向させることを可能とするために、カメラ20の下にX−Yテーブルを備えることができる。
0020
拡大機10は、ベース32によって支持されている。ベース32は、これによって、ケーブル(VGA又はHDMI(登録商標)ケーブルなど)を介してカメラ20に対して接続されているビデオモニタ34を支持する。カメラ20によって生成される信号は、ビデオプロセッサ36によって処理され、オペレータによる観察用にモニタ34上に表示される。図2には、プロセッサ36(好適には、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FGPA」))と、関連するルックアップテーブル38(「LUT」)とを示す。LUT38は、入力信号に基づいて出力値を割り当てる。本発明では、入力信号は、フレーム毎に(frame−by−frame basis)処理されるのではなく画素毎に(pixel−by−pixel basis)処理される。画素毎に信号を処理することによって、フレームバッファの必要が除かれる。メモリバッファにおける大量のデータの記憶ではなく、記録される画像の各個々の画素をプロセッサ36及びLUT38が処理することができる。この「パススルー」処理によって処理回数が増加するので、関連するレイテンシは大いに低減する。この画素毎の処理を図4に図表によって示す。この画素毎の処理を達成するために、カメラの解像度は、モニタの解像度に合わせられている。
0021
プロセッサ36及びLUT38は、表示される画像に対し複数の異なる特性のいずれも与えることができる。一例では、表示される画像の配色が変更される。例えば、画像は、青/緑、赤/黄、又は黒/白などのコントラスト色同士により表示されることができる。ユーザは、最も効果的な出力を見つけるために、様々な色の組み合わせを通じて循環させてもよい。
0022
これに代えて、ビデオ信号は、表示されるビデオの1以上の所望の領域を強調するように処理されることができる。本発明のこの特徴を、図3に示す。示すように、文字は、その文字の上部及び下部(42a及び42b)をシェーディングすることによって表示上で強調される。これは、シェーディングされていない部分42(c)を強調する所望の効果を有する。シェーディングの程度は、特定のユーザの必要に応じて変更可能である。そうしたシェーディングが網膜色素変性症などの病気を患っているBLVユーザに有用であることは分かっている。しかし、このシェーディングは、好適には、下にある言葉又は画像を完全にマスクする、すなわち完全に見えなくするほどには強くない。これによって、ユーザが文章内で位置が分からなくなることが防止される。同じように、これによって、ユーザが下にある画像の配向が分からなくなることが防止される。シェーディングの程度と、シェーディングの配向及び配置とは、ユーザによって選択されることができる。例えば、シェーディングは、画像の水平部分ではなく垂直部分を強調するように配向されることができる。
0023
特定の範囲への集中の助けとなることに加えて、シェーディングは、ユーザの眼に入る光の量を低減する。そのため、眼精疲労が低減され、いくつかのロービジョン障害に関連する痛みが弱くなる。このように、半透明のシェーディングによって、ユーザが利用できる観察可能な範囲を制限することなく、モニタからの光が低減される。
0024
図5は、ビデオ信号処理の本方法に関連する工程を示すフローチャートである。示されているように、この方法は、カメラと、関連するルックアップテーブルを有するマイクロプロセッサと、モニタとを使用して実行される。本方法の目的の1つは、得られる画像を盲又はロービジョンのユーザがより簡単に観察することを可能とするように、ビデオ信号を処理することである。
0025
第1の工程では、カメラが観察される対象物へ向けられる。この対象物は、ユーザが調べることを望む様々な対象物のいずれであってもよい。対象物がカメラの下に配置されてもよく、カメラが離れた対象物に向けられてもよい。次いで、カメラは、記録されている
画像に対応するビデオ信号を生成する。このビデオ信号は、一連の連続するビデオフレームを含む。この好適な実施形態では、画像の解像度は、用いられるモニタに合うように選択される。そのため、個々のビデオフレームの各々は、個々の画素すなわち絵素からなるアレイを含む。画素数は、下にある画像の解像度の関数である。例えば、各フレームは、幅1024画素、高さ768画素を含む。ビデオ信号は、次にビデオプロセッサへ送られる。
0026
この信号は、次いで、マイクロプロセッサによって、ルックアップテーブルからの予め設定されている命令に従って処理される。1つの可能な実施形態では、ルックアップテーブルは、アレイのシェーディングされる部分と、適用されるシェーディングの程度とを指定する。好適には、シェーディングの程度は、下にある画像がマスクされない程度である。下にある画像を完全にはマスクしないことにより、ユーザは表示されている対象物についての空間的認識を維持することができる。図3に示すように、アレイのシェーディングされている部分は、そのアレイのシェーディングされていない部分を強調するように機能し、それによってロービジョンのユーザによる観察を容易にする。シェーディングされている部分は、ユーザの嗜好に応じて垂直に配置されることも水平に配置されることもできる。
0027
処理されたビデオ信号は、次に、表示されるモニタへ送られる。マイクロプロセッサが画素毎にビデオを処理することから、画像ストア(フレームバッファなど)の使用が除かれる。そのため、これによってレイテンシが大いに低減する。